JP2005179626A - 加圧用ボールペン用インキ組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 低温においても滑らかな筆感、描線が得られ、特に、長期間ペン先上向き方向に保存してもインキ吹き出しがなく、加圧ボールペンに好適なボールペン用インキ組成物を提供する。
【解決手段】 少なくとも着色剤、樹脂及び有機溶剤と、粒子径が5μm以上の粒子及び/又は比重3.0以上の粒子とを含むインキ組成物であって、前記粒子の沈降抑制剤として、1次粒子径100nm以下の顔料を用いたポリビニルブチラール樹脂分散体を含有することを特徴とする加圧ボールペン用インキ組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、加圧したボールペン用インキ組成物に関し、更に詳しくは、常温での筆記性及び特に低温での筆記性に優れ、かつ、長期保存時においても加圧ボールペン固有の問題であるインキ吹き出し抑制に優れた加圧ボールペン用インキ組成物に関する。
一般に、ボールペンには、ボールペン先とインキ収容管及びそれに充填されたインキからなる重力式(大気開放型)と、インキ充填後のインキ充填管内及びそれを含む閉鎖された容器内に窒素ガス等の加圧ガスを封入した、いわゆる加圧式ボールペンが知られている。
この加圧式ボールペンは、上向き筆記や特殊機能を持たせたインキを流出させることができるといった利点はあるが、インキが充填されたリフィール内部が常に加圧されているために、ペン先から少量のインキが漏れ出す虞れがある。
これを防止するためには、インキの見かけ粘度を高くしなければならず、これによって、筆記感が重くなる等の問題があり、冬期には、それが更に顕著になるといった問題があった。
一方、加圧した筆記又は標記器具として、例えば、ボール周りにインキ又は流体を流出させない筆記具とすることを主眼とするボールペン筆記具が知られており、該筆記具の書写用流体は少なくとも1種の溶剤及び着色剤と、上記溶剤に可溶性であって書写用流体の他の成分と共に該流体に粘弾性、強凝集性、強粘着性、流体抵抗性及びフィルム形成性を与える少なくとも1種のポリマーとよりなり、該書写用流体は100000cps以上の粘度(ブルックフィールドLMT粘度計に第5円筒形スピンドルを用い、25℃、0.3rpmにおいて測定して)を持ち、かつ上記ポリマーとして交差連結カルボキシポリメチレン型ポリマーまたはポリビニルピロリドン型ポリマー、またはこの両者を用いたことを特徴とするボールペン筆記具が知られている(特許文献1参照)。
また、高級脂肪酸石鹸を含むチキソトロピックな加圧ボールペン用インキが知られており、その粘度は実施例から600000cpsや80000cpsが例示されている(特許文献2参照)。
更に、50000cps以上の粘度に設定した、金属光沢を有するインキ組成物が知られており(特許文献3参照)、また、プロツターに使用される加圧ボールペン用インキが知られており、その粘度が40000〜5000000cpsの範囲が好ましいことが記載されている(特許文献4参照)。
しかしながら、上記各文献1〜4に開示される加圧用インキ組成物は、その粘性は高いため、筆記感が重く、機械に筆記させるプロッターペンとしては適していても、特に冬期に手書き筆記する場合は未だ重い筆感となる点に課題があるものである。
他方、インキ組成物を比較的低粘度にした場合には、ペン先からのインキ吹き出しが促進されることとなる。このため、加圧ボールペン用インキ組成物では、一般に、インキの吹き出し抑制剤としてインキ流出を阻害するような粗大粒子が添加されている。例えば、特定構造の加圧式ボールペンリフィールに用いるインキとして、粘性値が10000mPa・s〜50000mPa・sにある比較的低粘度の加圧ボールペン用インキ組成物が知られている(本願出願人の先行出願となる特許文献5参照)。
一般に、加圧ボールペン用インキ組成物の粘度を上記の粘度範囲に設定した場合、吹き出し防止として添加されている粗大粒子が十分な大きさでない場合は、インキ吹き出しが発生し、一方、粗大粒子が吹き出しを防止するのに十分な大きさである場合には、ペン体を上向きに長期放置した場合、粒子が沈降してペン先の粒子濃度が減少し、結果としてインキ吹き出しが発生する場合があるなどの課題がある。
上記文献5においては、上述の課題に関しては何等明示されておらず、本発明者らの追試験を行ったところ、ペン体を長期間上向き放置した場合には、ペン先の粗大粒子であるシリカ濃度が減少し、インキ吹き出しが発生することが判明した。また、インキ吹き出しについても観察された。
更に、インキ中に酸化チタンやアルミナといった高比重の粒子を添加する場合においても、同様に粒子沈降の課題が発生する。この粒子の沈降を抑制する手段としては、通常、インキにチキソトロピー性を付与する手段が用いられるが、粗大粒子の沈降を抑制するようなチキソ性付与を行うと、インキの凝集力が強くなり流動性を失う結果、低温での筆記性が重くなったり、筆記時にインキのボタ落ちなどの原因となる課題がある。
他方、本願出願人は、カスレが発生しにくい加圧式ボールペン用インキとして、少なくとも着色剤(顔料等)と有機溶剤と樹脂と構造粘性賦与剤(SiO2)とアミノ変性シリコーンオイルとからなる加圧式ボールペン用インキ(特許文献6参照)を出願しているが、この文献6に開示の実施例及び比較例を本発明者者らが追試験を行ったところ、実施例1及び3においては、100000mPa・s以上の非常に粘性が高いインキ組成物が得られ、実施例2においては粘度が50000mPa・s以下の比較的低粘度のインキが得られた。しかしながら、いずれのインキにおいても、インキ中に粗大粒子が存在しないため、インキ吹き出し抑制については不十分な結果となり、特に実施例2はインキ吹き出しが顕著であった。
特公昭47−48565号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開昭50−96336号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開昭60−186574号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開昭62−7775号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開2002−205483号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開2001−89691号公報(特許請求の範囲、実施例等)
本発明は、上記従来技術の課題等に鑑み、これを解消しようとするものであり、加圧ボールペン用インキ組成物として、インキを比較的低粘度とすることにより、常温での筆記性及び特に低温での筆記性に優れ、かつ、長期保存時においても粗大粒子、高比重粒子の沈降等の問題が発生せず、加圧ボールペン固有の問題であるインキ吹き出し抑制に優れた加圧ボールペン用インキ組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来の課題等について、鋭意検討した結果、少なくとも着色剤、樹脂及び有機溶剤と、粒子径が5μm以上の粒子及び/又は高比重粒子とを含むインキ組成物において、前記粒子の沈降抑制剤として、特定物性の樹脂分散体を含有せしめることにより、上記目的の加圧ボールペン用インキ組成物を得ることに成功し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(7)に存する。
(1) 少なくとも着色剤、樹脂及び有機溶剤と、粒子径が5μm以上の粒子及び/又は比重3.0以上の粒子とを含むインキ組成物であって、前記粒子の沈降抑制剤として、1次粒子径100nm以下の顔料を用いたポリビニルブチラール樹脂分散体を含有することを特徴とする加圧ボールペン用インキ組成物。
(2) 前記粒子が粒子径5μm以上のSiO2の凝集体を含む上記(1)に記載の加圧用ボールペン用インキ組成物。
(3) 前記加圧ボールペン用インキ組成物の粘度が、25℃において10000mPa・s〜39000mPa・sである上記(1)又は(2)に記載の加圧ボールペン用インキ組成物。
(4) 25℃における剪断速度1s-1における粘度と10s-1における粘度比が1.5以下である上記(1)〜(3)の何れか一つに記載の加圧用ボールペン用インキ組成物。
(5) ポリビニルブチラール樹脂分散体に用いる顔料の含有量がインキ組成物全量に対して、0.5〜10重量%である上記(1)〜(4)の何れかひとつに記載の加圧用ボールペン用インキ組成物。
(6) ポリビニルブチラール樹脂分散体に用いる顔料が銅フタロシアニンブルー顔料である上記(1)〜(5)の何れか一つに記載の加圧用ボールペン用インキ組成物。
(7) ポリビニルブチラール樹脂分散体に用いる顔料がジケトピロロピロール顔料である上記(1)〜(5)の何れか一つに記載の加圧用ボールペン用インキ組成物。
本発明によれば、低温においても滑らかな筆感、描線が得られるものであり、特に、低温筆記性に優れる加圧ボールペンに好適で、優れた筆記性、長期保存後も優れた耐久インキ漏れ性の加圧ボールペン用インキ組成物が提供される。
以下に、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明の加圧ボールペン用インキ組成物は、少なくとも着色剤、樹脂及び有機溶剤と、粒子径が5μm以上の粒子又は比重3.0以上の粒子とを含むインキ組成物であって、前記粒子の沈降抑制剤として、1次粒子径100nm以下の顔料を用いたポリビニルブチラール樹脂分散体を含有することを特徴とするものである。
本発明に用いる着色剤としては、加圧ボールペン用に用いられている着色剤であれば、特に限定されず、染料や顔料などが挙げられる。
染料としては、例えば、油溶性染料が挙げられ、具体的には、田岡染料製造社製のRhodamine B Base(C.I.Solvent Red 49)、中外化成社製のSoldan Red 3R(C.I.Solvent Red 18)、National Aniline Div.製のMethyl Violet 2B Base(C.I.Solvent Violet 8)、BASF社製のVictoria Blue F4R(C.I.Solvent Blue 2)、NIGROSINE BASE LK(C.I.Solvent Black 5)、オリエント化学工業社製のVALIFAST Yellow 3104(C.I.Solvent Yellow 19)、VALIFAST Yellow 3105(C.I.Solvent Yellow 21)、SPIRIT BLACE AB(C.I.Solvent Black 5)、NIGROSIN BASE EX,EE,EEL,EX−BP,EB(C.I.Solvent Black 7)、VALIFAST BLACE 3804(C.I.Solvent Black 34)、VALIFAST Yellow 1109、VALIFAST ORANGE 2210、VALIFAST RED 1320、VALIFAST BLUE 1605、VALIFAST VIOLET 1701、保土ヶ谷化学工業社製のSpilon Black GMH special(C.I.Solvent Black 43)、Spilon Yellow C−2GH、Spilon Yellow C−GNH、Spilon Red C−GH、Spilon Red C−BH、Spilon Blue BPNH、S.B.Blue 701、Spilon Blue C−RH、Spilon Violet C−RH、S.P.T.O.Orange−6、S.P.T.Blue−111等が挙げられる。
顔料としては、例えば、カーボンブラック、グラファイト、二酸化チタン顔料等の無機顔料、タルク、アルミナ、マイカ、アルミナシリケート等の体質顔料、アゾ・縮合アゾ系顔料、フタロシアニン系原料、アンスラキノン顔料、キナクドリン顔料、イソインドリノン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、各種レーキ顔料等の有機顔料、蛍光顔料、パール顔料、金色、銀色等のメタリック顔料等が挙げられる。
本発明で用いる着色剤は、上記した染料、顔料の1種又は2種以上、或いは上記した染料、顔料を混合して用いてもよく、好ましくは、鮮やかな描線濃度を発揮せしめる点から顔料を含むことが望ましい。
これらの着色剤の含有量は、インキ組成物全量に対して、合計で10〜60重量%、更に好ましくは、20〜50重量%含むことが好ましい。
これらの着色剤が10重量%未満では、描線濃度等で薄くなる等の弊害が発生し、60重量%より多く含むと、流動性や溶解成分の溶解性が悪くなり、保存安定性が悪くなり、好ましくない。
本発明に用いる粒子径が5μm以上の粒子及び/又は比重3.0以上の粒子は、加圧ボールペンにおけるインキ吹き出しを抑制するために含有するものである。
本発明に用いる粒子径が5μm以上の粒子とは、インキ組成物をガラス板上に滴下し、上からカバーガラス等の薄いガラス板で被覆して、光学顕微鏡等で内部観察した際に5μm以上であることを認識できる大きさの粒子を指し、単独粒子のみならず微粒子の凝集体を含むものである。
好ましくは、粒子径としては、5μm〜100μmの範囲であることが望ましく、単独粒子より微粒子の凝集体であることが望ましい。単独粒子であると、ペン先において目詰まりしやすいのに対し、微粒子の凝集体である場合には、ペン先にてボールとチップの受け座の剪断を受けて容易に変形する結果、インキと共に排出されやすく、目詰まりが少ないので好ましい。
また、粒子径が5μm未満であると、インキの吹き出し抑制に不十分であり、一方、100μmを超えると、ペン先での目詰まりの問題又は筆感が悪くなる等の問題から好ましくない。
この粒子の存在量は、ペン先でのボール径やそのクリアンス等でも影響してくるが、500μm×500μmの光学顕微鏡の視野の中に前記凝集体等の塊が10個以上あると、ペン先からのインキ漏れが、実用上問題ない状態で防止でき、好ましくは、20〜80個程度とすることが望ましい。
本発明に用いる上記特性の粒子としては、上記特性を有するものであれば、特に限定されないが、シリカ(SiO2)粒子が好適に用いられる。用いることができるシリカ粒子としては、特に、無水シリカが好ましく、具体的には、日本アエロジル社製の50、90G、130、200、200V、200CF、200FAD、300、300CF、380、972R、972V、R972CF、R974、R202、R805、R812、R812S、OX50、TT600、RX200、RY200、RY200でAL203との混合品として、MOX80、MOX170、CABOT社製のL90、LM−130、LM−5、M−5、M−5P、PTG、MS−55、MS−75、HS−5、EH−5、TS−530、TS−610、TS−720等が挙げられる。
更に好ましいシリカ粒子としては、BET法による比表面積が80m2/g以上で、特に好ましいものは、200m2/g以上450m2/g以下のものが望ましい。
これらのシリカの含有量は、インキ組成物全量に対して、0.5〜5重量%、好ましくは、1〜3重量%、更に好ましくは、2.0〜2.5重量%とすることが望ましい。
このシリカの含有量が0.5重量%未満であると、インキ漏れ防止効果が少なくなり、逆に、5重量%を越えると、インキの粘度が非常に高くなり、手書き筆記用のボールペンとして不都合を生じることとなり、好ましくない。
また、本発明で用いる比重3.0以上の粒子とは、真比重3.0以上の粒子をいい、例えば、酸化チタン、アルミナ等が挙げられる。これらの比重3.0以上の粒子の含有量は、インキ組成物全量に対して、合計で10〜60重量%、更に好ましくは、30〜50重量%含むことが望ましい。
この比重3.0以上の粒子の含有量が10重量%未満であると、描線濃度等で薄くなる等の弊害が発生し、60重量%を越えて多く含むと、保存安定性が悪くなり、好ましくない。
本発明では、上記粒子径が5μm以上の粒子と比重3.0以上の粒子とを夫々上記含有量の範囲で併用してもよいものである。
本発明において、前記粒子の沈降抑制剤として用いられる1次粒子径100nm以下の顔料を用いたポリビニルブチラール(以下、「PVB」という)樹脂分散体は、PVB樹脂に対して、分散性を示す顔料が使用される。
例えば、カーボンブラック、グラファイト、二酸化チタン顔料等の無機顔料、タルク、アルミナ、マイカ、アルミナシリケート等の体質顔料、アゾ・縮合アゾ系顔料、フタロシアニン系原料、アンスラキノン顔料、キナクドリン顔料、イソインドリノン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、各種レーキ顔料等の有機顔料等が挙げられる。
特に好ましくは、更なる沈降抑制の点から、銅フタロシアニンブルー顔料、ジケトピロロピロール顔料が好適に用いられる。具体的には、銅フタロシアニンブルー顔料としては、大日本インキ社製のFastgen Blue 5421、Fastgen Blue EP−7S、大日精化工業社製のChromofine Blye 5187、5188、Ciba Speciaity Chemicals社製のIrgaline Blue GLVOなどが挙げられる。また、ジケトピロロピロール顔料としては、Ciba Speciaity Chemicals社製のIrgazin DPP Red RubineTR、Irgazin DPP Red BTRなどが挙げられる。
なお、用いるPVB樹脂分散体の顔料は、上記顔料の中から、インキの色相に影響を与えない顔料が選択される。
本発明において、このPVB樹脂分散体に用いる顔料の1次粒子径は、100nm以下であることが好ましく、これにより1次粒子径が100nmを超えた大きな粒子のPVB樹脂分散体である場合には、目的とする沈降抑制機能を有さず、好ましくない。また、100nm以下の粒子と100nmを超える粒子の混在がみられる場合には、少なくとも、半数以上が100nm以下であることが好ましい。
なお、本発明における「1次粒子径が100nm以下」とは、顔料の形状が球状若しくはそれに近い形状である場合には、その平均長が100nm以下である場合を指し、また、顔料が層状である場合にはその平面部の短い長さ方向が100nm以下である場合を指し、1方向に長細い棒状である場合には、短い長さ方向が100nm以下である場合を指す。これらの長さの測定にあたっては、電子顕微鏡による観察が好ましい。
このPVB樹脂分散体に用いる顔料の使用量は、インキ組成物全量に対して、0.5〜10重量%、好ましくは、1〜5重量%の範囲で使用される。
この顔料の使用量が0.5重量%未満であると、沈降抑制効果が不十分であり、逆に、10重量%を越えると、顔料が微粒子なため、チキソ性が強くなり、筆記性に悪影響を及ぼすこととなる。
本発明において、上記PVB樹脂分散体に用いる顔料がチキソ性をほとんど有さない粘性において、沈降抑制剤として機能する原因は定かではないが、微粒子顔料の相互の凝集力等に起因するものと推察される。
また、本発明で用いる着色剤における顔料と、上記PVB樹脂分散体に用いる顔料とは、着色剤としての機能を同一にするが、後者は1次粒子径が100nm以下であり、PVB樹脂に対して分散性を示す点などで相違するものであり、区別化されるものである。
また、PVB樹脂分散体に用いるPVB樹脂は、沈降抑制剤として機能する顔料の分散性を向上さぜて安定化を図る目的及び粘度調整のために使用されるものである。
用いることができるPVB樹脂としては、デンカブチラール#2000−1、#2000−2、#2000−D、#3000−1、#3000−2、#3000−4、#3000−K、#4000−1、#4000−2、#5000−S(以上、電気化学工業社製)、エスレックBL−1、BL−1H、BL−2、BL−3、BL−S、BX−L、BM−1、BM−2、BM−5、BM−S、BH−3、BX−1、BX−7(以上、積水化学工業社製)などが挙げられ、これらは単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
これらのPVB樹脂の含有量は、インキ組成物全量に対して、0.5〜10重量%、好ましくは、1〜5重量%の範囲とすることが望ましい。
このPVB樹脂の含有量が0.5重量%未満であると、沈降抑制として用いる顔料等の分散が不安定となり、逆に、10重量%を越えると、インキ全体の粘度が高くなり、好ましくない。
このPVB樹脂分散体は、例えば、加温装置付き撹拌機に溶剤成分、PVB樹脂を投入後、50℃の加温した後、PVB樹脂を完全に溶解させた後、1次粒子径100nm以下の顔料顔料を添加して、三本ロールミル又はビーズミルを用いて分散し、顔料/PVB樹脂分散体を調製することができる。
本発明に用いる有機溶剤は、粘度調整と染料の溶解促進、顔料等の分散調整、インキの乾燥性調整のために含有するものである。
用いることができる有機溶剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、へキシレングリコール等のグリコール系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、3−メトキシブタノール、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレグリコールモノへキシルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール−n−プロピルエーテル、プロピレングリコール−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコール−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノノルマルブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコール−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノフェニルエーテル等のエーテル系溶剤、ベンジルアルコール、α−メチルベンジルアルコール等のアルコール系溶剤やプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、N−メチルー2−ピロリドンロジンアルコール、水(精製水、イオン交換水、純水)などが挙げられ、これらの溶剤は単独であるいは2種以上を混合して使用することができる。
これらの溶剤の含有量は、インキ組成物全量に対して、30〜80重量%が好ましく、更に好ましくは、35〜60重量%とすることが望ましい。
本発明では、更に、定着性向上、筆跡の裏写り防止の他、顔料等の分散剤としての機能や粘度調整、染料の溶解促進のために各種樹脂を含有することができる。
用いることができる樹脂としては、例えば、トルエンスルホンアミド・エポキシレジン、シクロヘキサノン、アセトフェノン、尿素などのケトンとホルムアルデヒドとの縮合樹脂、シクロヘキサノンの縮合樹脂及びこれらを水素添加した樹脂、マレイ酸樹脂、スチレンとマレイン酸エステルとの共重合体、スチレンとアクリル酸又はそのエステルとの共重合休、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、重合脂肪酸とポリアミン類との縮合体であるポリアミド、エポキシ樹脂、ポリビニルアルキルエーテル、クマロンーインデン樹脂、ポリテルペン、テルペン樹脂類、テルペン−フェノール樹脂類、キシレン樹脂、ロジン系樹脂やその水素添加物、ロジン変性されたマレイン酸樹脂、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合物、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸ポリメタクリル酸共重合物、ポリオキシエチレンやフェノール樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、単独であるいは2種以上混合して使用することができる。
これらの樹脂の含有量は、インキ組成物全量に対して、0〜30重量%が好ましく、更に好ましくは、1〜25重量%とすることが望ましい。
本発明の加圧ボールペン用インキ組成物には、更に、本発明の効果を損なわない範囲で、潤滑剤として高級脂肪酸、金属石鹸、リン酸エステル系潤滑剤、長鎖アルキル基を有するノニオン性界面活性剤等を含有することができ、特に、オレイン酸が最も好適に用いられる。また、その他適宜な界面活性剤、分散剤等必要に応じて使用できる。
本発明において、インキの粘度は、ペン先からのインキの漏出を防止せしめ、筆記感の向上、インキ収容管にインキを充填する時間を更に短時間にし、しかも、更にクリアドレーン性を向上せしめる点から、25℃において10000mPa・sec〜39000mPa・secに調整することが好ましく、更に好ましくは、20000mPa・sec〜35000mPa・seとすることが望ましい。
この粘度が39000mPa・secを越えて粘度が高くなると、筆感が重くなり、滑らかに書きづらくなり、逆に、10000mPa・sec未満であると、初期は問題がないが、時間が経過すると、インキ漏れが発生する場合があり、好ましくない。
また、本発明において、25℃における剪断速度1s-1における粘度と10s-1における粘度比(1s-1の粘度/10s-1の粘度)が1.5以下、更に好ましくは、1.0〜1.3とすることが望ましい。この粘度比が1.5を超えると、チキソ性が強くなる結果、インキのボタ落ちなど、筆記性を悪化させることがある。また、インキ収容管をポリプロピレンなどの外観視認可能な樹脂とした場合には、クリアドレーン性の悪化を引き起こすこととなることがある。
本発明の加圧ボールペンインキ組成物は、上記各成分を用いて従来公知のインキ組成物の製造方法を適用して製造することができる。すなわち、溶剤溶解成分は撹拌混合機で各成分を溶解することによって加圧ボールペン用インキ組成物等を得ることができ、顔料等を用いた場合には分散混合機で顔料を分散剤、他の成分と共に分散させ、その後、予め調製した顔料/PVB樹脂分散体などの必要成分を追加混合することによって加圧ボールペン用インキ組成物等を得ることができる。
なお、製造時、染料などの固形物を溶解させるために加熱することや、有機顔料などの粗大粒子を除去するためにフィルター、遠心分離機等を用いることなど必要に応じて使用できる。
また、粒子径5μm以上の粒子がSiO2の凝集体の場合は、これらが存在するように加工することが望ましい。
本発明の加圧ボールペン用インキ組成物を充填する加圧式のボールペン構造としては、加圧式のボールペン構造であれば、特に限定されず、例えば、インキ充填後のインキ充填管内及びそれを含む閉鎖された樹脂製、金属製などの容器内に窒素ガス等の加圧ガス等を封入したリフィール及びその先端にボールペン型チップからなるペン先とを備えた加圧式ボールペンなどが挙げられる。
このように構成される本発明の加圧ボールペン用インキ組成物では、少なくとも着色剤、樹脂及び有機溶剤と、粒子径が5μm以上の粒子及び/又は比重3.0以上の粒子とを含むインキ組成物であって、前記粒子の沈降抑制剤として、1次粒子径100nm以下の顔料を用いたポリビニルブチラール樹脂分散体を含有することにより、比較的低粘度においても長期保存後も粒子の沈降がないため、インキ吹き出し防止性能が維持され、ひいては長期間の保存後の筆記性に優れたインキとなる。
また、本発明の加圧ボールペン用インキ組成物は、その配合組成から、すなわち、粘着、接着性のある樹脂を含み、着色剤は溶解又は微細に分散しているため、紙面等に速やかに浸透し、美麗な描線を形成するため、紙面に筆記した筆記描線は消しゴムで消去することができないものである。
次に、本発明を実施例及び比較例等を挙げて更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例によって何ら限定されるものではない。
得られた各インキ組成物の25℃の粘度は、コーンプレート型粘度計(株式会社トキメック製:TV−20タイプ)で測定した。
また、インキの粘度比の産出には、レオメーターMCR−300(physica社製)で測定を行った。測定には、コーンプレート(直径:25mm、角度:2°)を用いて、25℃における定常流測定を行い、1sec-1と10sec-1での粘度値の比を算出した。
〔実施例1〜10及び比較例1〜5〕
下記表1に示す配合組成及び下記方法により各加圧ボールペン用インキ組成物を調製した。
(顔料/PVB分散体の調製、実施例1〜10及び比較例2,4について)
顔料/PVB分散体は、以下のようにして調製した。
まず、加温装置付き撹拌機に溶剤成分、PVB樹脂を投入後、50℃の加温した後、PVB樹脂を完全に溶解させた。その後、顔料を添加して、三本ロールミル又はビーズミルを用いて分散し、顔料/PVB分散体を調製した。
(インキの調製、実施例1〜10及び比較例1〜5について)
インキの調製においては、特に断らない限りは、加温装置付き撹拌機に溶剤成分を投入後、50℃の加温した後、樹脂成分、着色剤成分、顔料/PVB分散体、その他の成分を順次添加後5時間撹拌した。その後、粒子(シリカ等)を添加して十分に撹拌した後、三本ロールで2pass処理(比較例4を除く)したものを10μmのフィルターに通してからインキを回収した。
上記で得た実施例1〜10及び比較例1〜5のインキ組成物について、下記方法によりシリカ粒子の凝集物塊の有無、概略個数を測定した。また、下記方法によりペン体(加圧ボールペン)を作製し、下記評価方法により筆記性(筆記描線評価)、インキ漏れ試験、15℃における筆記性、長期上向き放置後のインキ漏れ試験を行った。
これらの結果を下記表1に示す。
〔シリカ凝集物塊の有無、概略個数の評価方法〕
各インキ状態は、接眼・対物10×10の倍率顕微鏡でインキを観察し、状態を写真撮影した。なお、面積を確定するため、0.05×0.05mmの方眼フィルムを試料に覆い測定した。各個別のシリカ凝集物の有無及び塊は、対物ミクロスケール(最小目盛10μm)にてその有無及び概略の大きさを測定した。
用いたスライドグラス・カバーグラスは、通常の生物顕微鏡で使用されるもので、試料の厚みもほぼ一定になるため、特に問題ない。より正確な厚みで試料を作成する場合は、血球計算盤、バクテリア計算盤などの深さが一定になるものを使用してもよい。
ペン先のボール径やそのクリアランス等でも影響してくるが、500μm×500μm視野の中に前記塊が10個以上あるものを、凝集塊有りとした。また、赤・青インキは、直接顕微鏡観察可能であったが、黒インキは顕微鏡観察で光量不足となりやすいので、スライドグラスのインキ重量を測定し、それと同量の溶剤を添加し、ピン等で軽く混合して観察した。なお、この場合、塊の個数はカウント後2倍とした。
なお、インキ調製の途中においては、それぞれ適時にインキをサンプリングして、接眼・対物10×10の倍率顕微鏡(Nion社製、以下同様)でインキを観察し、シリカの塊を観察してインキ化し、本発明の好適な大きさ個数になるよう調整した。
〔加圧ボールペンの作製〕
上記各実施例及び比較例で調製した各インキ組成物0.3mlを充填した後、窒素ガスで概略3000hpaの圧力を維持した状態で三菱鉛筆社製のSJP−7に組み立てて試験用の加圧油性ボールペンを作製した。
(筆記性、描線評価方法)
試験用ボールペンによりフリーハンドで筆記用紙に筆記し、描線品位を下記評価基準で評価した。
評価基準:
◎:インキのボタ落ちが全く見られない。
○:インキのボタ落ちがやや見られる。
△:インキのボタ落ちが目立つ。
×:インキのボタ落ちが顕著である。
(インキ漏れ試験方法)
インキ漏れ試験は、各試験用ボールペンを捨て書きした後、温度25℃、湿度60%で7日間ペン先を下向きに放置して、ペン先から漏れ出したインキの量を測り、試料数10本中の最頻値をとり、下記評価基準で評価した。
評価基準:
◎:インキ漏れが全くない。
○:ペン先に極少量のインキ漏れが認められる。
△:ペン先に中程度のインキ漏れが認められる。
△△:ペン先に多量のインキ漏れが認められる。
×:インキが漏れ落ちた。
(15℃における筆記性の評価法)
15℃環境下において、試験用ボールペンによりフリーハンドで筆記用紙に筆記し、筆感の滑らかさと軽さ下記評価基準で評価した。
評価基準:
◎:非常に滑らかで軽い書き味。
○:滑らかで軽い書き味。
△:やや滑らかさや軽さに欠ける書尊味。
△△:やや重い書き味。
×:非常に重い書き味。
(長期上向き放置後のインキ漏れ試験方法)
各試験用ボールペンを温度50℃、湿度65%環境下で1ヶ月上向き放置後、各試験用ボールペンを捨て書きした後、ペン先から漏れ出したインキの量を測り、試料数10本中の最頻値をとり、下記評価基準で評価した。
評価基準:
◎:インキ漏れが全くない。
○:ペン先に極少量のインキ漏れが認められる。
△:ペン先に中程度のインキ漏れが認められる。
△△:ペン先に多量のインキ漏れが認められる。
×:インキが漏れ落ちた。
Figure 2005179626
上記表1の結果から明らかなように、本発明の範囲内となる実施例1〜10は、本発明の範囲外となる比較例1〜5に較べて、優れた筆記性、長期保存後も優れた耐インキ漏れ性が得られる加圧ボールペン用インキ組成物となることが判明した。
比較例1、5(特開2002−205483 実施例2−2)では、1次粒子径100nmの粒子を含みながら、PVB樹脂が添加されていないために、目的とする粒子沈降抑制機能を有さず、比較例3においては、分散体において微粒子の顔料が存在しないため、長期経過後hインキ吹き出しが発生している。更に、比較例2,4においては、5μm以下の粒子を全く含まないか、含むと認識できる個数でないため、本発明の効果が発揮されていないことが判る。

Claims (7)

  1. 少なくとも着色剤、樹脂及び有機溶剤と、粒子径が5μm以上の粒子及び/又は比重3.0以上の粒子とを含むインキ組成物であって、前記粒子の沈降抑制剤として、1次粒子径100nm以下の顔料を用いたポリビニルブチラール樹脂分散体を含有することを特徴とする加圧ボールペン用インキ組成物。
  2. 前記粒子が粒子径5μm以上のSiO2の凝集体を含む請求項1に記載の加圧用ボールペン用インキ組成物。
  3. 前記加圧ボールペン用インキ組成物の粘度が、25℃において10000mPa・s〜39000mPa・sである請求項1又は2に記載の加圧ボールペン用インキ組成物。
  4. 25℃における剪断速度1s-1における粘度と10s-1における粘度比が1.5以下である請求項1〜3の何れか一つに記載の加圧用ボールペン用インキ組成物。
  5. ポリビニルブチラール樹脂分散体に用いる顔料の含有量がインキ組成物全量に対して、0.5〜10重量%である請求項1〜4の何れかひとつに記載の加圧用ボールペン用インキ組成物。
  6. ポリビニルブチラール樹脂分散体に用いる顔料が銅フタロシアニンブルー顔料である請求項1〜5の何れか一つに記載の加圧用ボールペン用インキ組成物。
  7. ポリビニルブチラール樹脂分散体に用いる顔料がジケトピロロピロール顔料である請求項1〜5の何れか一つに記載の加圧用ボールペン用インキ組成物。
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