JP4889246B2 - 筆記具用分散体及び該分散体を添加したボールペン用インク - Google Patents

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Description

本発明は、インク収容管に直接収容するボールペンインクに使用する分散体、当該分散体を使用したボールペンインク及び当該ボールペンインクを使用したボールペンに関する。
筆記具用インク、特にボールペンインクにおいては着色剤が多く配合される。着色剤が染料の場合、インク外観色は殆ど黒色に近い暗色となってしまう。例えば赤、青、緑インクの場合、インク外観色は描線色とは大きく異なり、殆ど黒色に近い暗色である。更に、ピンク色、空色のような鮮やかな色彩の色であっても、着色剤が染料単独であると、インク外観色は描線色とは大きく異なって見える。また、着色として顔料を使用した場合であっても、暖色系の色はともかく、寒色である青系の色については、やはりインク外観色が暗い色となってしまう。このためインク液体から筆記色を明確に確認することができない場合がある。
インク外観色と描線色とが比較的一致した色を呈するため(即ち、「外観視認性」を付与するため)には、一般的に白色顔料をインク中に添加することが行われる。しかし、白色顔料を従来のボールペンインクに添加すると、使用されている溶剤中で白色顔料が経時的に凝集、沈降してしまい、それに伴うカスレや、筆記不能が発生する等の問題があった。白色顔料の経時的な凝集、沈降による不具合を改善するためには、経時的に安定な分散体を得ることが必要となる。
水性ボールペンインクにおいては、アクリル系樹脂もしくは酸化チタン等が用いられており、これらは比較的容易に分散可能であり、経時的に安定な白色分散体を得ることが可能である。また、安定な分散体を得るために、インクにゲル化剤を添加して白色顔料等の沈降を抑制することも行われる。例えば、特開平11−12526号公報には、染料及び水性媒体からなる筆記具用水性インク組成物中に、水性媒体に不溶性で平均粒径が100〜1000nmの白色樹脂粒子を含有させてインク液体時の視認色と白紙への筆記描線の視認色とをほぼ近似させている。
一方、油性ボールペンインクにおいて、アクリル系樹脂を用いると、油性ボールペンインクの溶剤とアクリル系樹脂との親和性が強く、分散剤を用いても吸着が困難なことにより、経時的に安定なアクリル系樹脂等の有機顔料の分散は、非常に困難である。特開平11−343444号公報には、白色有機顔料を使用して油性ボールペンインクに外観視認性を付与する技法が記載されているが、ここに記載されている白色有機顔料は、インクの着色剤として染料を用いると、この染料と相互作用して経時的に凝集、沈降を生じ、安定な分散体を提供しない場合があることがわかっている。
また、無機粒子として酸化チタン粒子を用いると、酸化チタンは比重が高く油性インク中では沈降し易いことから経時的に安定な分散を得ることが非常に困難である。更に、水性インクに適用されるインクにゲル化剤を添加するという技法を用いようとすると、油性ボールペンインクの経時安定性、ボールペンの筆記性能等に様々な問題が発生し、好ましくない結果を生じる。従って、インクにゲル化剤を添加し白色顔料の沈降を抑制するという技法をボールペン用油性インクに用いることは困難である。
特開平11−12526 特開平11−343444
本発明の目的は、油性ボールペンインクにおいて外観視認性を付与する経時安定性の良好な白色分散体を提供することである。また本発明の目的は、当該分散体を使用した油性ボールペンインクを提供することであり、さらに本発明のもう一つの目的は外観視認性のあるインクを用いた油性ボールペンを提供することにある。
本発明者は、上記課題を達成するため鋭意検討した結果、下記に示す構成を有する分散体により課題を解決できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち本発明は、
(1)比表面積20m2/g以上である無機窒化物微粒子、ブチラール樹脂分散剤、並びに脂肪族アルコール類及び/または脂肪族グリコールモノエーテル類からなる溶剤を少なくとも含む筆記具用分散体。
(2)前記無機窒化物微粒子が窒化ホウ素微粒子である(1)記載の分散体。
(3)比表面積が50m2/g以上である微粒子シリカをさらに含む(1)または(2)記載の分散体。
(4)前記溶剤が下記に示す分子構造(1):
Figure 0004889246
で表される(1)〜(3)のいずれか一つに記載の分散体。
(5)(1)〜(4)のいずれか一つに記載の分散体、染料、及び溶剤を少なくとも含むボールペンインク。
(6)脂肪族アルコール類及び/または脂肪族グリコールモノエーテル類が、インク中の溶剤全量に対して50〜100質量%を占める(5)に記載のボールペンインク。
(7)前記溶剤が下記に示す分子構造(1):
Figure 0004889246
で表される(6)に示すボールペンインク。
(8)(5)〜(7)のいずれか一つに記載のインクを用いるボールペン。
本発明によれば、無機窒化物微粒子を分散剤と共に所定の溶剤に分散することにより、経時的に安定な筆記具用分散体として有用な分散体を得ることができる。
本発明によれば、外観上その色を判別することができ、また、外観色と描線色が一致し、経時的な安定性に優れ、長時間保存した場合にもペン先の目詰まりを起こさない筆記具用油性インク組成物が提供される。
また、本発明の分散体中に微粒子シリカを添加することにより、分散体をインクに添加した際の微粒子の沈降が抑制でき、経時的にさら安定な分散体が提供される。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明の分散体に用いる無機窒化物微粒子には、例えば、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の微粒子を挙げることができる。これらの中で、窒化ホウ素が特に好ましい。窒化ホウ素はもっとも白色度が高く、インクの外観視認性を高めるために好適である。また、窒化ホウ素は比較的比重が小さく、本来的に沈降しにくい傾向を有する。本発明に用いることができる無機窒化物微粒子の具体的な例としては、市販品として水島合金鉄社製のBN粉末FS−1(窒化ホウ素微粒子)がある。
本発明で使用する無機窒化物微粒子は比表面積20m2/g以上である。より好ましくは、比表面積20〜100m2/g、更に好ましくは、比表面積30〜70m2/gである。比表面積は微粒子の一次粒子径を予測する指標となり、一般的に、比表面積が小さい場合は一次粒子径が大きくなり、比表面積が大きい場合は一次粒子径が小さくなる。本発明において、比表面積が20m2/gより小さいものは無機窒化物微粒子の一次粒子径が大きくなり分散しにくく、また分散しても、沈降等の問題が発生するため好ましくない。
比表面積が大きすぎると無機窒化物微粒子の一次粒子径が小さくなりすぎ、無機窒化物微粒子分散体を安定化させるために多量の分散剤が必要となる。また、経時的に凝集が起こりやすくなり分散体の安定性を損なう場合がある。比表面積が100m2/gを超えると、このような傾向が強くなる。比表面積の測定はBET法を用いて行う。BET法は、比表面積の測定においては一般的に用いられる方法であるので、その具体的な内容は本明細書では省略する。
油性ボールペンインクが外観視認性を有するためには、分散後の分散体中の無機窒化物微粒子の平均粒径は130〜300nmであり、より好ましくは、平均粒径は150〜250nm、更に好ましくは170〜220nmである。ここでいう無機窒化物微粒子の平均粒径は、一次粒子及び二次粒子を含めた平均粒径である。分散後の分散体中の無機窒化物微粒子の平均粒径が大きすぎると粒子沈降の問題が発生し、小さすぎると安定な分散体を得るため多量の分散剤が必要となる場合がある。また、経時的に凝集が起きる場合があり、凝集すると、分散体の透明性が増すことになり、外観視認性を付与する効果が少なくなる等の問題が発生する。特に、平均粒径が100nm以下となるとこの傾向が大きくなり、分散体の透明性が増し、外観視認性を付与する効果が少なくなる。平均粒径の測定は、光散乱式粒径測定法で行うことができる。光散乱式粒径測定法、粒径及び粒径分布の測定においては一般的に用いられる方法であるので、その具体的な内容は本明細書では省略する。
本発明の分散体中の無機窒化物微粒子の量は、分散体の総量に対して1〜30質量%、より好ましくは2〜20質量%、更に好ましくは5〜15質量%である。無機窒化物微粒子の添加率が少ない場合、分散体をボールペンインクに添加する際の比率が高くなり、油性ボールペンインク設計におけるインク成分の配合に自由度がなくなる。無機窒化物微粒子の添加率が高い場合、分散体自体の粘度が上昇して分散効率が悪くなり、さらに、経時的に分散体がゲル化する等の不具合が発生する。
本発明において、無機窒化物微粒子を使用すると良好な微粒子分散体を得ることができる理由は、定かではないが、次のように考えることができる。
外観視認性を高めるために、本発明において白色微粒子として無機酸化物微粒子を使用すると、いずれの微粒子も分散体が経時的に相互作用して流動性が損なわれるか、もしくは凝集、沈降する傾向にある。これらの無機酸化物微粒子は酸化物であるが、表面に水酸基を有していると考えられ、微粒子同士でそれぞれの水酸基同士が水素結合により相互作用を示すと考えられる。これが、経時的な流動性の低下、もしくは凝集、沈降の問題を発生させると考えられる。これに対し無機窒化物微粒子は、酸化物のような水素結合による相互作用がほとんどないと考えられ、微粒子同士が相互作用しにくく、良好な分散体がえられると考えられる。
本発明に用いる分散剤としては、上記無機窒化物微粒子の分散体に経時安定性を提供するものであって、分散体の分散媒である溶剤と適合するものが好ましい。本発明の分散体においては、分散剤としてブチラール樹脂を用いる。
本発明に用いるブチラール樹脂は、計算によって得られる分子量が5000〜200000であり、より好ましくは10000〜100000、更に好ましくは15000〜60000が好ましい。計算分子量が5000より小さい場合、分散剤としての効果が弱く経時的に安定な分散体が得られにくい。計算分子量が200000を超えると、分散剤自体が分子間で相互作用をするため分散体が初期からゲル化する傾向となる。また、経時的にも安定な分散体が得られにくい。
本発明に用いるブチラール樹脂としては、市販されているものを用いることができ、例えば、積水化学社製のエスレックBシリーズのBL−1、BL−1H、BL−2、BL−2H、BL−5、BL−10、BL−S、BL−SH、BX−L、BM−1、BM−2、BM−5、BM−SH、BH−3、BH−6、BH−A、BH−S、BX−1、BX−3、及びBX−5、並びにエスレックKSシリーズのKS−10、KS−1、KS−3、およびKS−5等がある。
ブチラール樹脂の添加比率は、無機窒化物微粒子の総量に対して3〜300質量%であり、より好ましくは10〜200質量%、更に好ましくは30〜150質量%である。
ブチラール樹脂の添加比率が無機窒化物微粒子に対して3質量%より少なくなった場合、分散剤不足により経時的に無機窒化物微粒子の凝集が生じ、分散体がゲル化する不具合が発生する。ブチラール樹脂の添加比率が無機窒化物微粒子に対して300質量%より多くなる場合は、分散体の粘度が高くなり分散効率が悪くなる。
本発明の分散体の調製に用いる溶剤は、脂肪族アルコール類及び/または脂肪族グリコールモノエーテル類である。
従来の油性ボールペンインクに使用されている溶剤を用いることができるが、一般的なベンジルアルコールやエチレングリコールモノフェニルエーテル等の芳香族アルコールや芳香族グリコールモノエーテルを溶剤として使用すると、ブチラール樹脂で分散した無機窒化物微粒子分散体の経時的な安定性が悪く、経時的に粘度変化や無機窒化物微粒子が沈降する等の問題が発生する。この原因は定かではないが、芳香族系溶剤中においてはブチラール樹脂が顔料表面に吸着しにくいことや顔料表面に吸着したブチラール樹脂が拡がり難いためと考えられる。
本発明の分散剤の調製に用いる溶剤は、後に説明する本発明に係る油性ボールペンインクの溶剤と同じタイプであることが、適合性、製造容易性等の観点から都合が良い。従って、分散体の溶剤として、後に説明する本発明の油性ボールペンインクの溶剤として好ましい溶剤から選ぶことができる。
特に好ましいのは次の化学式1に示されるような溶剤である。
Figure 0004889246
化学式1を有する溶剤として、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、1,3ブタンジオール、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノール等が挙げられる。これらの溶剤は無機窒化物微粒子を分散させるのに特に好ましい。
本発明の分散体は、微粒子シリカをさらに含むことができる。微粒子シリカは、分散体に含まれる無機窒化物微粒子の沈降、凝集を更に抑制する効果を示す。
本発明の分散体は、それ自体経時的に安定であり、無機窒化物微粒子は沈降しにくいが当該分散体でもやはり微量の顔料の沈降が発生する場合がある。沈降は、経時的に無機窒化物微粒子同士が凝集し粒径が大きくなることにより発生すると考えられる。微粒子シリカは無機窒化物微粒子同士が凝集する際に凝集妨害物質として作用すると考えられ、微粒子シリカを添加することにより、凝集がさらに抑制される結果、より無機窒化物微粒子の沈降が起こりにくくなると考えられる。また、微粒子シリカは無機窒化物微粒子より一次粒子径が小さいため分散体中でより安定に分散しており、無機窒化物微粒子が沈降する際にその存在が抵抗となるため、無機窒化物微粒子の沈降が抑制されると考えられる。
本発明に用いる微粒子シリカは比表面積が50m2/g以上であり、好ましくは80m2/g、更に好ましくは100m2/g以上である。比表面積が50m2/gより小さい場合、一次粒子径が大きく上記効果が得られにくい。
本発明に用いる微粒子シリカは、シリカ表面を疎水化処理したものが好ましい。シリカ表面に親水基が多く残存していると、親水基が他のシリカ粒子や、分散剤等と相互作用を生じやすく経時的に安定な分散体が得られにくい。
本発明の分散体に用いる微粒子シリカの量は、無機窒化物微粒子に対し1〜50質量%、好ましくは2〜30質量%、更に4〜15質量%の比率で添加することが好ましい。微粒子シリカの添加量が1質量%より少なすぎると微粒子シリカ添加による効果がない。微粒子シリカの添加量が50質量%を超えると、この分散体を添加した油性ボールペンインクを使用してボールペンを製造した場合、チューブ内壁にシリカが吸着され、インク量が減った際でもチューブ壁面にインクがへばりついた状態(クリアドレイン性が悪い状態)となる。
本発明の分散体に使用することができる微粒子シリカは、市販のものを用いることができ、例えば、日本アエロジル社製のAEROSOLシリーズのR972、R972V、R972CF、R974、R202、R805、R812、及びR812S等の疎水製グレードのもの、もしくは、日本アエロジル社製のAEROSOLシリーズの50、130、200、300、380、及びTT600等の親水性グレードがある。
本発明の分散体は、ビーズミル、ロール等の一般的な分散機で分散させることが可能である。しかし、本発明で使用する無機窒化物微粒子を、所定の粒子径まで分散するため、また、粗大粒子を極力減らすためには、他の有機顔料以上に強い分散エネルギーが必要となる。従って、分散には比較的強い分散エネルギーを発揮する分散機により分散することが好ましい。
本発明で使用する無機窒化物微粒子を分散するにおいて、他の微粒子、例えば、有機顔料を分散するのに必要な分散エネルギーを超える分散エネルギーを必要とするのは、無機窒化物微粒子の製造方法に起因すると考えられる。
一次粒子径の小さい無機窒化物微粒子を得るために製造時に結晶成長させる際、反応を比較的早く終了させ結晶が大きくならないようにコントロールする必要がある。そのため、製造時に未反応物質であるホウ酸等が残存し易く、当該未反応物がバインダーの役割をして無機窒化物微粒子をほぐれにくくしているためと考えられる。
上述した本発明分散体をボールペンインク中に添加することにより、外観視認性が向上したボールペンインクが得られる。インク中への無機窒化物微粒子の添加量は、インク総量に対して、0.1〜15質量%であり、好ましくは、0.3〜10質量%、更に好ましくは、0.5〜5質量%である。
粒子の添加量が0.1質量%未満となると、外観視認性の付与が困難となる。粒子添加量が15質量%を超えると、これらの粒子を含有した分散体を多量にインクに添加する必要があり、インクを生成する際にその他の原材料を添加することが難しくなる場合がある。また、粒子添加濃度が高い場合は、インク原材料と相互作用を起こしやすくなる傾向があり、経時的にインクがゲル化する等の不具合を生じる場合がある。
本発明のボールペンインクに用いるインク溶剤としては、上述したように、分散体を調製するための溶剤と同じタイプとなるのが好ましい。従って、本発明のボールペンインクに用いるインク溶剤は、脂肪族アルコール類及び/または脂肪族グリコールモノエーテル類である。脂肪族アルコール類及び/または脂肪族グリコールモノエーテル類は、インク中の溶剤全量に対して50〜100質量%、好ましくは70〜100質量%、更に好ましくは、90〜100質量%含まれているのが好ましい。
脂肪族アルコール類及び/または脂肪族グリコールモノエーテル類がインク中の溶剤全量の50%より少ない場合は、分散体をインクに添加した際に、分散体の安定性が損なわれ、インク中で窒化物微粒子が沈降する不具合が発生する。
本発明のインク組成物に用いる溶剤は、20℃での蒸気圧が0.01〜50mmHg、より好ましくは0.05〜30mmHg、更に好ましくは0.2〜10mmHgが好ましい。
蒸気圧が低すぎるとボールペンインクとして紙面に筆記した際に描線乾燥性、裏抜け等の問題が発生する。蒸気圧が高すぎるとボールペンとした際にペン先から溶剤が揮発し、初筆性が悪くなり、筆記不能の原因となる。また、ペン後端部にインク追従体を置き直接揮発を抑制したとしても経時的に溶剤がインク追従性を透過しインクの物性が変化する不具合が発生する。
なお、本発明のボールペンにおいては、適切な脂肪族系の溶剤を使用したとしてもペン後端部からインク溶剤の揮発を抑制し、インク溶剤の吸湿を抑制するためにインク追従体をインク後端部に充填することが好ましい。
本発明の油性ボールペンインクに使用可能な溶剤は、具体的にアルコール類としては、炭素数が2以上の脂肪族アルコールであり、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、n−ヘキサノール、メチルアミルアルコール、2−エチルブタノール、n−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、n−オクタノール、2−オクタノール、2−エチルヘキサノール、3,5,5−トリメチルヘキサノール、ノナノール、n−デカノール、ウンデカノール、n−デカノール、トリメチルノニルアルコール、テトラデカノール、ヘプタデカノール、シクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノールやその他多種の高級アルコール等が挙げられる。
また、多価アルコールとしてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、3−メチル−1,3ブンタンジオール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3プロパンジオール、1,3ブタンジオール、1,5ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等の分子内に2個以上の炭素、2個以上の水酸基を有する多価アルコールが挙げられる。
グリコールエーテルとしては、メチルイソプロピルエーテル、エチルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルブチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、ヘキシルエーテル、2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−1−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールターシャリ−ブチルエーテルジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
特に好ましい溶剤は次の化学式1で示される溶剤である。
Figure 0004889246
化学式1を有する溶剤として、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、1,3ブタンジオール、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノール等が挙げられる。
これらの溶剤は、溶剤の蒸気圧に起因するボールペンインクの性能面、安全性及び経口毒性等の点から好ましい。
本発明のボールペンインクに使用する染料としては、使用する染料が分散体を破壊しないものであれば一般的な油性ボールペン用インクに使用されているいずれの染料も使用することができる。それらの染料の例としては、通常の染料インク組成物に用いられる直接染料、酸性染料、塩基性染料、媒染・酸性媒染染料、酒精溶性染料、アゾイック染料、硫化・硫化建染染料、建染染料、分散染料、油溶染料、食用染料、金属錯塩染料、造塩染料、樹脂に染料を染着した染料等の中から任意のものを使用することができる。これらの中で、造塩染料、樹脂に染料を染着した染料等が好ましい。染料の配合量は、インク総量当たり1〜50質量%の範囲となることができる。
一般的な油性ボールペン用インクに使用されている造塩染料としては、パリファーストカラー(登録商標、オリエント化学工業(株)製)、アイゼンスピロン染料、アイゼンSOT染料(登録商標名、保土谷化学工業(株)製)がある。
樹脂に染料を染着した染料としては、keiko−Colot MPI−500シリーズ、keiko−Colot MPI−500Cシリーズ、keiko−Colot NKS−1000シリーズがある。
本発明の分散体は、外観視認性を向上させるため、寒色系の色の染料に使用した場合、またピンクや空色等の鮮やかなインク色の染料に採用した場合に特に効果を発揮する。
本発明のボールペンインクは、分散体、染料以外にボールペンの筆記性能を向上するための色剤、樹脂、界面活性剤、補助溶剤等を添加することが可能である。さらにはインクに悪影響を及ぼさず相溶することができる防錆剤、防徽剤、潤滑剤および湿潤剤等を配合することができる。
補助溶剤としては、脂肪族系の溶剤だけでなく、芳香族系の溶剤も使用可能である。特に、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノフェニルエーテルは染料の溶解助剤として有効であるため、補助溶剤として使用すると好ましい場合がある。
本発明のボールペンは、ボール、チップホルダーからなるペン先、インク収容管、チップと該収容管をつなぐ継ぎ手、ペン軸等から構成され、前記インク収容管に本発明のボールペン用インク組成物を充填したものである。
本発明のインク組成物をボールペンに用いる場合には、インク追従体をボールペン後端部に付与することが好ましい。使用する溶剤は揮発性があるので、揮発防止、吸湿性防止、インク漏れ防止としてインク追従体を添加するものである。
以下に実施例によって、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこの実施例によって、何等限定されるものではない。
実施例1〜3は、本発明の分散体の配合例およびその調製を表す。
実施例1
BN粉末FS−1(水島合金鉄社製)(白色微粒子:窒化ホウ素) 5.0質量%
エスレックB BM−1(積水化学社製)(分散剤:ブチラール樹脂) 5.0質量%
ソルフィット(クラレ社製) 90.0質量%
(溶剤:3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール)
これらの材料を2時間撹拌した後、室温まで放置し、日本アイリッヒ社製分散機DCP SF−12により5時間分散し分散体5Kgを得た。
粉砕媒体として、0.5mmのジルコニアビーズを使用した。
なお、BN粉末FS−1は、比表面積34m2/gの窒化ホウ素微粒子である。
実施例2
BN粉末FS−1(水島合金鉄社製)(白色微粒子:窒化ホウ素) 10.0質量%
エスレックB BL−10(積水化学社製)(分散剤:ブチラール樹脂) 5.0質量%
ソルフィット(クラレ社製) 85.0質量%
(溶剤:3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール)
これらの材料を2時間撹拌した後、室温まで放置し、日本アイリッヒ社製分散機DCP SF−12により5時間分散し分散体5Kgを得た。
粉砕媒体として、0.5mmのジルコニアビーズを使用した。
実施例3
BN粉末FS−1(水島合金鉄社製)(白色微粒子:窒化ホウ素) 10.0質量%
エスレックB BL−10(積水化学社製)(分散剤:ブチラール樹脂) 5.0質量%
アエロジルR972(日本アエロジル社製)(微粒子シリカ) 1.0質量%
ソルフィット(クラレ社製) 84.0質量%
(溶剤:3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール)
これらの材料を2時間撹拌した後、室温まで放置し、日本アイリッヒ社製分散機DCP SF−12により5時間分散し分散体5Kgを得た。
粉砕媒体として、0.5mmのジルコニアビーズを使用した。
なお、アエロジルR972は、比表面積130m2/gである。
実施例4(本発明のボールペンインクの調製)
実施例2の分散体(窒化ホウ素微粒子分散体) 20.0質量%
Keiko-Color MPI507C(日本蛍光化学社製)(染料) 30.0質量%
Aizen spilon Red C-BH(保土谷化学社製)(染料) 1.0質量%
エスレックB BL−10(積水化学社製)(粘度調整剤) 7.0質量%
ソルフィット(クラレ社製) 42.0質量%
(溶剤:3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール)
これら材料を5時間撹拌した後、室温まで放置し、ピンク色のボールペンインクを得た。
実施例5(本発明のボールペンインクの調製)
実施例3の分散体(窒化ホウ素微粒子分散体) 20.0質量%
Keiko-Color MPI507C(日本蛍光化学社製)(染料) 30.0質量%
Aizen spilon Red C-BH(保土谷化学社製)(染料) 1.0質量%
エスレックB BL−10(積水化学社製)(粘度調整剤) 7.0質量%
ソルフィット(クラレ社製) 42.0質量%
(溶剤:3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール)
これら材料を5時間撹拌した後、室温まで放置し、ピンク色のボールペンインクを得た。
実施例6(本発明のボールペンインクの調製)
実施例3の分散体(窒化ホウ素微粒子分散体) 20.0質量%
Keiko-Color MPI567C(日本蛍光化学社製)(染料) 30.0質量%
エスレックB BL−10(積水化学社製)(粘度調整剤) 7.0質量%
ソルフィット(クラレ社製) 43.0質量%
(溶剤:3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール)
これら材料を5時間撹拌した後、室温まで放置し、紫色のボールペンインクを得た。
実施例7(本発明のボールペンインクの調製)
実施例3の分散体(窒化ホウ素微粒子分散体) 20.0質量%
Keiko-Color MPI508C(日本蛍光化学社製)(染料) 30.0質量%
Aizen spilon Blue C-RH(保土谷化学社製)(染料) 1.0質量%
エスレックB BL−10(積水化学社製)(粘度調整剤) 7.0質量%
ソルフィット(クラレ社製) 42.0質量%
(溶剤:3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール)
これら材料を5時間撹拌した後、室温まで放置し、空色のボールペンインクを得た。
比較例1および2は、無機窒化物微粒子以外の白色粒子を用いた分散体の配合例である。
比較例1
エポスタ−S(日本触媒社製)(有機白色微粒子) 10.0質量%
エスレックB BL−10(積水化学社製)(分散剤:ブチラール樹脂) 5.0質量%
アエロジルR972(日本アエロジル社製)(微粒子シリカ) 1.0質量%
ソルフィット(クラレ社製) 84.0質量%
(溶剤:3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール)
これらの材料を2時間撹拌した後、室温まで放置し、日本アイリッヒ社製分散機DCP SF−12により5時間分散し分散体5Kgを得た。
粉砕媒体として、0.5mmのジルコニアビーズを使用した。
なお、エポスタ−Sは、比表面積35m2/gのメラミンホルムアルデヒド縮重合物である。
比較例2
超微粒子酸化チタンTTO−55C(石原産業社製)(無機白色微粒子)10.0質量%
エスレックB BL−10(積水化学社製)(分散剤:ブチラール樹脂) 5.0質量%
アエロジルR972(日本アエロジル社製)(微粒子シリカ) 1.0質量%
ソルフィット(クラレ社製) 84.0質量%
(溶剤:3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール)
これらの材料を2時間撹拌した後、室温まで放置し、日本アイリッヒ社製分散機DCP SF−12により5時間分散し分散体5Kgを得た。
粉砕媒体として、0.5mmのジルコニアビーズを使用した。
なお、超微粒子酸化チタンTTO−55Cは、比表面積30m2/gの酸化チタンである。
比較例3
本例は、白色微粒子が、窒化ホウ素微粒子であるがその比表面積が本発明の範囲外である例である。
BN粉末HP−P1(水島合金鉄社製)(白色微粒子:窒化ホウ素) 10.0質量%
エスレックB BL−10(積水化学社製)(分散剤:ブチラール樹脂) 5.0質量%
アエロジルR972(日本アエロジル社製)(微粒子シリカ) 1.0質量%
ソルフィット(クラレ社製) 84.0質量%
(溶剤:3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール)
これらの材料を2時間撹拌した後、室温まで放置し、日本アイリッヒ社製分散機DCP SF−12により5時間分散し分散体5Kgを得た。
粉砕媒体として、0.5mmのジルコニアビーズを使用した。
なお、BN粉末HP−P1は、比表面積15m2/gの窒化ホウ素微粒子である。
比較例4
本例は溶剤として芳香族系溶剤を用いた例である。
BN粉末FS−1(水島合金鉄社製)(白色微粒子:窒化ホウ素) 10.0質量%
エスレックB BL−10(積水化学社製)(分散剤:ブチラール樹脂) 5.0質量%
アエロジルR972(日本アエロジル社製)(微粒子シリカ) 1.0質量%
ベンジルアルコール(芳香族系溶剤) 17.0質量%
エチレングリコールモノフェニルエーテル(芳香族系溶剤) 67.0質量%
これらの材料を2時間撹拌した後、室温まで放置し、日本アイリッヒ社製分散機DCP SF−12により5時間分散し分散体5Kgを得た。
粉砕媒体として、0.5mmのジルコニアビーズを使用した。
比較例5
本例は、白色微粒子を含まない例である。
Keiko-Color MPI507C(日本蛍光化学社製)(染料) 30.0質量%
Aizen spilon Red C-BH(保土谷化学社製)(染料) 1.0質量%
エスレックB BL−10(積水化学社製)(粘度調整剤) 8.5質量%
ソルフィット(クラレ社製) 60.5質量%
(溶剤:3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール)
これら材料を5時間撹拌した後、室温まで放置し、ピンク色のボールペンインクを得た。
比較例6
本例は、白色微粒子を含まない例である。
Keiko-Color MPI567C(日本蛍光化学社製)(染料) 30.0質量%
エスレックB BL−10(積水化学社製)(粘度調整剤) 8.5質量%
ソルフィット(クラレ社製) 61.5質量%
(溶剤:3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール)
これら材料を5時間撹拌した後、室温まで放置し、紫色のボールペンインクを得た。
比較例7
比較例1の分散体(有機白色微粒子分散体) 20.0質量%
Keiko-Color MPI567C(日本蛍光化学社製)(染料) 30.0質量%
エスレックB BL−10(積水化学社製)(染料) 7.0質量%
ソルフィット(クラレ社製) 43.0質量%
(溶剤:3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール)
これら材料を5時間撹拌した後、室温まで放置し、紫色のボールペンインクを得た。
比較例8
比較例2の分散体(白色酸化チタン粒子分散体) 20.0質量%
Keiko-Color MPI567C(日本蛍光化学社製)(染料) 30.0質量%
エスレックB BL−10(積水化学社製)(粘度調整剤) 7.0質量%
ソルフィット(クラレ社製) 43.0質量%
(溶剤:3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール)
これら材料を5時間撹拌した後、室温まで放置し、紫色のボールペンインクを得た。
比較例9
比較例3の分散体(比表面積15m2/gの窒化ホウ素微粒子) 20.0質量%
Keiko-Color MPI567C(日本蛍光化学社製)(染料) 30.0質量%
エスレックB BL−10(積水化学社製)(粘度調整剤) 7.0質量%
ソルフィット(クラレ社製) 43.0質量%
(溶剤:3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール)
これら材料を5時間撹拌した後、室温まで放置し、紫色のボールペンインクを得た。
以上の実施例及び比較例で得られた分散体、ボールペンインクを以下の評価テストにより評価した。
<評価テスト1>
蓋をしたガラス管に分散体を入れ、70℃1週間放置し、ガラス管中の中層の分散体を採取し粘度を測定した。得られた粘度値と初期粘度と比較した。
粘度測定は、E型粘度計(トキメック社製)を使用し25℃、剪断速度を192/秒で測定した。
<評価テスト2>
蓋をしたガラス管に分散体を入れ、70℃1週間放置し、ガラス管中の中層の分散体を採取し粘度を測定し、非ニュートン粘性指数を算出した。得られた非ニュートン粘性指数と初期の非ニュートン粘性指数を比較した。
非ニュートン指数測定は、E型粘度計(トキメック社製)を使用し25℃、剪断速度を38.3〜383.0/秒の間で変化させ、得られた粘度値から算出した。
<評価テスト3>
蓋をしたガラス管に分散体を入れ、70℃1週間放置した後、ガラス管の底部分に沈降物がないか確認した。
以下の評価基準に従って判断した。
○:ガラス管の底部分に沈降物ほとんどなし。
×:ガラス管の底部分に明らかに沈降物あり。
<評価テスト4>
ボールペンインクを内層がポリプロピレンのチューブに搭載し、先端にボールペン用チップ、後端部に鉱油からなるフォロワー充填した三菱鉛筆社製SXR−10のボールペンリフィール形態とした。
このSXR−10のボールペンリフィールの外観視認性を確認した。
以下の評価基準に従って判断した。
○:リフィール外観色と描線色がほぼ一致し、リフィール外観色からインク色が予想可能である。
×:リフィール外観色と描線色が一致せず、リフィール外観色からインク色が予想できない。
<評価テスト5>
ボールペンインクを内層がポリプロピレンのチューブに搭載し、先端にボールペン用チップ、後端部に鉱油からなるフォロワー充填した三菱鉛筆社製SXR−10のボールペンリフィール形態とした。
SXR−10のボールペンリフィール形態で50℃1週間横向きに放置した後、チューブ側面に分散体微粒子が沈降しているか確認をした。
以下の評価基準に従って判断した。
○:分散体微粒子が沈降した跡がほとんどなし。
△:分散体微粒子が沈降した跡が薄い線となって見える。
△△:分散体微粒子が沈降した跡がはっきりと線となって見える。
×:分散体微粒子が沈降した跡が非常にはっきりしている。
上記評価テストを行った結果を表1に示す。
Figure 0004889246
実施例1〜3の本発明の分散体は初期粘度と70℃1週間後の粘度はほとんど変化しない結果となった。また、非ニュートン粘性指数も初期と70℃1週間後でほとんど変化しない結果となった。更に、ガラス管の底部分に沈降物も見受けられなかった。
以上より、実施例1〜3は本発明の分散体として良好な性能を有していることが確認された。
また、実施例2、実施例3の本発明の分散体を使用したボールペンインクである実施例4〜7のインクに関し、無機窒化物粒子分散体の添加により、評価テスト4の外観視認性が良好な結果が得られた。
以上より本発明の無機窒化物微粒子分散体を油性ボールペンインクに添加すると外観視認性を付与する効果があることがわかる。
実施例2の本発明の分散体を使用したボールペンインクである実施例4のインクは、リフィール状態での横向き放置した際の評価テスト5では、極微量の窒化ホウ素微粒子の沈降があるためか粒子が沈降した跡が薄い線となって見える結果が得られた。これに対し、同量の窒化ホウ素を含有するが、微粒子シリカも一緒に含有する実施例3の分散体を使用したボールペンインクである実施例5〜7は、いずれも評価テスト5において良好な結果を示した。
以上の結果により、無機窒化物微粒子分散体中に所定の微粒子シリカを適当量添加することにより分散体微粒子の沈降を抑制できる効果があることがわかる。
比較例1の分散体は初期粘度と70℃1週間後の粘度はほとんど変化しない結果となった。また、非ニュートン粘性指数も初期と70℃1週間後でほとんど変化しない結果となった。更に、ガラス管の底部分に沈降物も見受けられなかった。
これらの点に関しては、比較例1は筆記具用分散体として良好な性能を有していると考えられる。しかし、比較例1の分散体を使用したボールペンインクである比較例7のインクにおいては、有機白色微粒子であるエポスタ−Sとインク原材料である染料が相互作用を示し、有機白色微粒子であるエポスタ−Sが著しく凝集する現象が発生した。その結果、チューブにインクを充填しリフィール化する際に、ペン先にインクを供給するために遠心分離を行うが、その際に有機白色微粒子が遠心力により沈降しリフィール先端付近に集中するため、リフィール後端部においては、有機白色微粒子がほとんど存在しない状態となり、外観視認性がなくなる不具合が発生した(表1において「評価不能」で表す)。
以上より、比較例1の分散体は筆記具用分散体としては良好であるもののボールペンインクには使用できない結果が得られた。
比較例2は70℃1週間後の粘度が20%程度減少している。また、70℃1週間後の非ニュートン粘性指数が初期より高い値となっている。更に、ガラス管の底部分に顔料の沈降が見受けられた。これは、経時変化により酸化チタン微粒子が凝集沈降したため、中層付近の粘度が減少し、また、酸化チタン微粒子濃度が減少したため酸化チタン微粒子同士の相互作用が弱まり非ニュートン粘性指数が高い値となったと考えられる。
以上より比較例2の分散体は、筆記具用分散体として非常に不安定であり適当でないことがわかる。
比較例2の分散体をボールペンインクに使用した比較例8では、酸化チタン微粒子を含む分散体を添加したため外観視認性は付与される。しかし、この分散体自体が非常に不安定であることから評価テスト5の試験において酸化チタン微粒子が著しく沈降し、沈降した跡が非常にはっきりする結果が得られた。
以上より、比較例2の分散体はボールペンインクに使用するには適当でないことがわかる。
比較例3は70℃1週間後の粘度が15%程度増加している。また、70℃1週間後の非ニュートン粘性指数が初期より低い値となっている。更に、ガラス管の底部分に顔料の沈降が見受けられた。これは、経時変化により、比表面積15m2/gの窒化ホウ素微粒子同士が相互作用を示し、相互作用が増加したことによる沈降により中層付近の顔料濃度が減少しているにも関わらず中層付近の粘度が増加し更に非ニュートン粘性指数が低い値となったと考えられる。
以上より比較例3の分散体は、筆記具用分散体として非常に不安定であり適当でないことがわかる。
比較例3の分散体をボールペンインクに使用した比較例9では、窒化ホウ素微粒子を含む分散体を添加したため外観視認性は付与される。しかし、分散体自体が非常に不安定であることから評価テスト5の試験に置いて粒子が著しく沈降し、沈降した跡が非常にはっきりする結果が得られた。
以上より、比較例3の分散体はボールペンインクに使用する際には適当でないことがわかる。
比較例4は70℃1週間後の粘度が20%程度増加している。また、70℃1週間後の非ニュートン粘性指数が初期より低い値となっている。更に、ガラス管の底部分に顔料の沈降が見受けられた。これは、経時変化により窒化ホウ素微粒子同士が相互作用を示し、相互作用がましたことによる窒化ホウ素微粒子沈降により中層付近の顔料濃度が減少しているにも関わらず中層付近の粘度が増加し更に非ニュートン粘性指数が低い値となったと考えられる。比較例4の分散体は、芳香族系の溶剤を使用しているためか分散安定性が悪くなったものと考えられる。
以上より比較例4の分散体は、本発明の分散体と同じ窒化ホウ素微粒子を使用しているが分散体として非常に不安定であり適当でないことがわかる。しかし、発明例である実施例からわかるように、本発明の分散体で使用しているような脂肪族系の溶剤を使用することで所定の物性を示す窒化ホウ素微粒子の分散安定性が芳香族系の溶剤を使用した場合より良好になることがわかる。
比較例5、6のボールペンインクは、本発明の分散体を添加していない以外は実施例4、6ボールペンインクと同じである。
比較例5は、インク色がピンクであるが外観視認できる色は暗赤色であり描線色と外観視認した際の色が異なる。比較例6は、インク色が紫であるが外観視認できる色はほとんど黒色であり描線色と外観視認した際の色が全く異なる。
以上より、本発明の分散体を添加することで描線色と外観視認できる色とが一致したインクを提供することがわかる。

Claims (8)

  1. 比表面積が20m2/g以上、平均粒径が130〜300nmである無機窒化物微粒子、ブチラール樹脂分散剤、並びに脂肪族アルコール類及び/または脂肪族グリコールモノエーテル類からなる溶剤を少なくとも含む筆記具用白色分散体。
  2. 前記無機窒化物微粒子が窒化ホウ素微粒子である請求項1記載の白色分散体。
  3. 比表面積が50m2/g以上である微粒子シリカをさらに含む請求項1または2記載の白色分散体。
  4. 前記溶剤が下記に示す分子構造(1):
    Figure 0004889246
    で表される請求項1〜3のいずれか一項記載の白色分散体。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項記載の白色分散体、染料、及び溶剤を少なくとも含むボールペンインク。
  6. 脂肪族アルコール類及び/または脂肪族グリコールモノエーテル類が、インク中の溶剤全量に対して50〜100質量%を占める請求項5に記載のボールペンインク。
  7. 前記溶剤が下記に示す分子構造(1):
    Figure 0004889246
    で表される請求項6に記載のボールペンインク。
  8. 請求項5〜7のいずれか一項に記載のインクを用いるボールペン。
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