JP2002205485A - ボールペンリフィール - Google Patents

ボールペンリフィール

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JP2002205485A
JP2002205485A JP2001002321A JP2001002321A JP2002205485A JP 2002205485 A JP2002205485 A JP 2002205485A JP 2001002321 A JP2001002321 A JP 2001002321A JP 2001002321 A JP2001002321 A JP 2001002321A JP 2002205485 A JP2002205485 A JP 2002205485A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フロートとインク貯蔵管との間の間隙から加
圧ガス側へインクが流れ出しにくく、しかも、インクの
減少に伴うフロートの移動が円滑に行われるようにし
た、いわゆる加圧式のボールペンリフィールを提供す
る。 【解決手段】 ボールペンリフィール10は、チップ20と
インク貯蔵管30と尾栓40とを備え、インク貯蔵管30のチ
ップ20側にはインク80が充填され、インク貯蔵管30の反
チップ20側には加圧ガス90が充填される。インク貯蔵管
30の内部であって、インク80と加圧ガス90との間には、
インク80の減少に伴って一定範囲を移動するフロート10
0が設けられる。フロート100の外径をφC、インク貯蔵
管30の内径のうち、フロート100の移動範囲の内径をφ
D、としたときに、0.0005≦(φD−φC)/φ
C≦0.043、を満たすように形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ボールペンリフィ
ール、更に詳しくは、インク貯蔵管の内部に加圧ガスを
充填し、この加圧ガスの圧力によりインクをチップ方向
へ押し出すようにした、いわゆる加圧式のボールペンリ
フィールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、ボールペンリフィールには、
種々のものが提供されている。例えば、インク貯蔵管
と、このインク貯蔵管の一方側に固定したチップと、イ
ンク貯蔵管の反チップ側に設けた尾栓とを備え、インク
貯蔵管のチップ側にインクを充填するとともに、インク
貯蔵管の反チップ側には加圧ガスを充填し、この加圧ガ
スの圧力によりインクをチップ方向へ押し出すようにし
た、いわゆる加圧式のボールペンリフィールが提供され
ている。
【0003】このような加圧式のボールペンリフィール
は、加圧ガスがインクを常にチップ方向へ押圧するの
で、チップを上向きにした状態でも筆記可能となってい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、インク貯蔵
管の内径を比較的細く形成しておけば、インク貯蔵管の
内部で毛細管力が働きやすくなるため、チップを上向き
にした状態でも、インク貯蔵管の内部に充填したインク
は、反チップ方向へ流れ出しにくくなる。ただ、上述し
たような加圧式のボールペンリフィールでは、インク貯
蔵管の内部に、インクと加圧ガスとの双方を充填する必
要があるため、インク貯蔵管の内径を比較的細く形成す
ると、加圧ガスの充填スペースを比較的小さくするか、
インクの充填量を比較的少なくするか、又はインク貯蔵
管の長さを比較的長く形成しなければならないこととな
る。
【0005】しかし、加圧ガスの充填スペースを比較的
小さくすると、インクを最後まで使い切る前に加圧ガス
の圧力が大気圧にまで低下し、これにより、インクを最
後まで使い切れなくなってしまうおそれがある。また、
加圧ガスの充填スペースを比較的小さくしつつも、イン
クを最後まで使い切れるようにするためには、加圧ガス
の圧力を比較的高めに設定する必要があるが、そうする
と、今度はチップの先端からインクが漏れ出してしまう
おそれがある。
【0006】また、インクの充填量を比較的少なくする
と、「筆記距離」が比較的短くなってしまうこととな
る。また、インク貯蔵管の長さを比較的長く形成する
と、ボールペンリフィールの全長が比較的長くなってし
まうところ、ボールペンリフィールの長さには一定の制
限があるため、インク貯蔵管の長さをむやみに長く形成
することもできない。
【0007】このため、上述したような加圧式のボール
ペンリフィールでは、インク貯蔵管の内径を比較的太く
形成することが行われる。しかし、インク貯蔵管の内径
を太く形成すると、インク貯蔵管の内部で毛細管力が働
きにくくなるため、今度はインク貯蔵管の内部に充填し
たインクが反チップ方向へ流れ出しやすくなってしま
う。
【0008】このため、加圧式のボールペンリフィール
では、インク貯蔵管の内径を比較的太く形成するととも
に、インクと加圧ガスとの間に、インクの減少に伴って
移動するフロートを設け、このフロートにより、インク
が反チップ方向へ流れ出さないようにしている。ただ、
インクと加圧ガスとの間にフロートを設けても、インク
貯蔵管の内径に対してフロートの外径が小さすぎると、
インク貯蔵管とフロートとの間の間隙から、インクが反
チップ方向へ流れ出してしまうおそれがある。
【0009】一方、インク貯蔵管の内径に対してフロー
トの外径が大きすぎると、インクの減少に伴うフロート
の移動が円滑に行われなくなってしまうおそれがある。
すなわち、加圧式のボールペンリフィールでは、「イン
クの反チップ方向へ流れ出し」を防止することは、きわ
めて困難なのである。 (請求項1)そこで、本発明のうち請求項1に記載した
発明は、フロートの外径をインク貯蔵管の内径に対して
所定範囲内に形成することにより、「インクの反チップ
方向への流れ出し」を防止しつつも、インクの減少に伴
うフロートの移動が円滑に行われるようにしたボールペ
ンリフィールを提供することを目的とする。 (請求項2)また、本発明のうち請求項2に記載した発
明は、請求項1に記載した発明の目的に加えて、インク
の粘度を所定範囲内に調製することにより、「インクの
反チップ方向への流れ出し」をより確実に防止できるよ
うにしたボールペンリフィールを提供することを目的と
する。 (請求項3)更に、本発明のうち請求項3に記載した発
明は、請求項1又は2に記載した発明の目的に加えて、
インクに構造粘性付与剤を添加することにより、「イン
クの反チップ方向への流れ出し」をより確実に防止でき
るようにしたボールペンリフィールを提供することを目
的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成するために鋭意研究を重ねた結果、フロートの外径
をインク貯蔵管の内径に対して所定範囲内に形成するこ
とにより、「インクの反チップ方向への流れ出し」を防
止しつつも、インクの減少に伴うフロートの円滑な移動
を確保できることを見い出し、以下の発明を完成するに
至った。 (請求項1)すなわち、本発明のうち請求項1に記載し
た発明は、インク貯蔵管(30)と、このインク貯蔵管
(30)の一方側に固定したチップ(20)と、インク貯蔵
管(30)の反チップ(20)側に設けた尾栓(40)とを備
え、前記インク貯蔵管(30)のチップ(20)側には、イ
ンク(80)が充填され、前記インク貯蔵管(30)の反チ
ップ(20)側には、加圧ガス(90)が充填され、前記加
圧ガス(90)の圧力により、インク(80)をチップ(2
0)方向へ押し出すようにしたボールペンリフィール(1
0)であって、前記インク貯蔵管(30)の内部であっ
て、インク(80)と加圧ガス(90)との間には、インク
(80)の減少に伴って一定範囲を移動するフロート(10
0)が設けられ、前記フロート(100)の外径をφC、前
記インク貯蔵管(30)の内径のうち、フロート(100)
の移動範囲の内径をφD、としたときに、 0.0005≦(φD−φC)/φC≦0.043 を満たすように形成したことを特徴とする。
【0011】ここで、「インク貯蔵管(30)と、このイ
ンク貯蔵管(30)の一方側に固定したチップ(20)と、
インク貯蔵管(30)の反チップ(20)側に設けた尾栓
(40)とを備え、前記インク貯蔵管(30)のチップ(2
0)側には、インク(80)が充填され、前記インク貯蔵
管(30)の反チップ(20)側には、加圧ガス(90)が充
填され、前記加圧ガス(90)の圧力により、インク(8
0)をチップ(20)方向へ押し出すようにしたボールペ
ンリフィール(10)」とは、いわゆる加圧式のボールペ
ンリフィール(10)をいう。
【0012】また、「インク貯蔵管(30)」は、例え
ば、円筒状に形成することができる。また、インク貯蔵
管(30)は、筒状に形成されればよく、したがって、例
えば、一方側から他方側へ向けて径を段階的に小さくす
るように形成してもよい。具体的には、例えば、円筒状
の大径部(31)と、この大径部(31)の一方側に連設し
た、大径部(31)よりも径が小さい円筒状の中径部(3
2)と、この中径部(32)の反大径部(31)側に連設し
た、中径部(32)よりも径が小さい円筒状の小径部(3
3)とを有するように、インク貯蔵管(30)を形成して
もよい。
【0013】また、インク貯蔵管(30)は、例えば、ス
テンレス又は真鍮などの金属材料を用いて、プレス加工
によって一体的に形成することができる。また、インク
貯蔵管(30)は、金属材料を用いて形成される場合に限
られず、例えば、プラスチック材料を用いて、押し出し
成形や射出成形などによって形成してもよい。
【0014】また、インク貯蔵管(30)は、一体的に形
成される場合に限られず、例えば、インク(80)を貯蔵
するためのインク貯蔵部と、このインク貯蔵部とチップ
(20)とを連結するための継手部とを別々に形成し、こ
れらを繋ぎ合わせることによって形成してもよい。ま
た、「尾栓(40)」は、インク貯蔵管(30)の内部に充
填した加圧ガス(90)が外部に漏れ出さないようにする
ためのものである。
【0015】また、尾栓(40)は、例えば、インク貯蔵
管(30)の反チップ(20)側の端部近辺に圧入すること
により、インク貯蔵管(30)の反チップ(20)側に設け
ることができる。また、尾栓(40)は、例えば、インク
貯蔵管(30)の反チップ(20)側の端部近辺に螺合させ
ることにより、インク貯蔵管(30)の反チップ(20)側
に設けてもよい。
【0016】また、尾栓(40)は、例えば、金属製の留
め具(41)と、この留め具(41)のチップ(20)側に設
けたゴム製のシール部材(42)とによって構成すること
ができる。そして、金属製の留め具(41)により、耐圧
性の向上を図るとともに、ゴム製のシール部材(42)に
より、気密性の向上を図ることができる。また、尾栓
(40)は、例えば、金属材料を用いて円柱状に形成して
もよい。そして、インク貯蔵管(30)の反チップ(20)
側の端部近辺に圧入した際には、例えば、尾栓(40)の
外周面とインク貯蔵管(30)の内周面との間の間隙に充
填剤を注入することにより、気密性の向上を図ることが
できる。
【0017】また、「フロート(100)」は、インク貯
蔵管(30)の内部に充填したインク(80)が反チップ
(20)方向へ向けて流れ出さないようにするためのもの
である。また、フロート(100)は、インク貯蔵管(3
0)の内部であって、インク(80)と加圧ガス(90)と
の間に設けられ、インク(80)の減少に伴って一定範囲
を移動可能に形成される。
【0018】また、インク貯蔵管(30)が円筒状に形成
されれば、フロート(100)は、例えば、円柱状に形成
することができる。また、インク貯蔵管(30)が六角筒
状に形成されれば、フロート(100)は、例えば、六角
柱状に形成することができる。また、インク貯蔵管(3
0)が、円筒状の大径部(31)と、この大径部(31)の
一方側に連設した、大径部(31)よりも径が小さい円筒
状の中径部(32)と、この中径部(32)の反大径部(3
1)側に連設した、中径部(32)よりも径が小さい円筒
状の小径部(33)とを有するように形成されれば、フロ
ート(100)は、例えば、円柱状に形成して、大径部(3
1)の内部に設けることができる。また、この場合、例
えば、大径部(31)の内部を、フロート(100)の移動
範囲とすることができる。
【0019】また、フロート(100)は、例えば、ポリ
プロピレン(PP)などの合成樹脂を用いて、射出成形
によって一体的に形成することができる。更に、本発明
に係るボールペンリフィール(10)は、フロート(10
0)の外径をφC、インク貯蔵管(30)の内径のうち、
フロート(100)の移動範囲の内径をφD、としたとき
に、 0.0005≦(φD−φC)/φC≦0.043 を満たすように形成されている。
【0020】そして、本発明に係るボールペンリフィー
ル(10)は、φCとφDとの関係につき上記式を満たす
ように形成することにより、フロート(100)とインク
貯蔵管(30)との間に所定の間隙を設け、これにより、
インク(80)の減少に伴うフロート(100)の移動が円
滑に行われるようにするとともに、フロート(100)と
インク貯蔵管(30)との間の間隙から加圧ガス(90)側
へインク(80)が流れ出しにくくなるようにしているの
である。
【0021】なお、0.0005>(φD−φC)/φ
Cとなるように形成すると、フロート(100)とインク
貯蔵管(30)との間の間隙が狭すぎて、インク(80)の
減少に伴うフロート(100)の移動が円滑に行われなく
なってしまうおそれがあるのである。また、(φD−φ
C)/φC>0.043となるように形成すると、フロ
ート(100)とインク貯蔵管(30)との間の間隙が広す
ぎて、フロート(100)とインク貯蔵管(30)との間の
間隙からインク(80)が加圧ガス(90)側へ流れ出して
しまうおそれがあるのである。 (請求項2)また、本発明のうち請求項2に記載した発
明は、請求項1に記載した発明の構成に加えて、インク
(80)は、25℃における粘度が、10,000mPa
・s以上50,000mPa・s以下となるように調製
されていることを特徴とする。
【0022】このように、本発明に係るボールペンリフ
ィール(10)は、25℃におけるインク(80)の粘度を
10,000mPa・s以上50,000mPa・s以
下に調製することにより、フロート(100)とインク貯
蔵管(30)との間の間隙から加圧ガス(90)側へインク
(80)がより一層流れ出しにくくなるようにしているの
である。
【0023】なお、25℃におけるインク(80)の粘度
が10,000mPa・s未満では、フロート(100)
とインク貯蔵管(30)との間の間隙から加圧ガス(90)
側へのインク(80)の流れ出しを確実に防止できなくな
ってしまうおそれがあるのである。一方、25℃におけ
るインク(80)の粘度が50,000mPa・s超で
は、「書き味」が重くなってしまうおそれがあるのであ
る。
【0024】勿論、インク(80)の粘度が上記範囲外で
あっても、使用することは可能である。 (請求項3)また、本発明のうち請求項3に記載した発
明は、請求項1又は2に記載した発明の構成に加えて、
インク(80)は、構造粘性付与剤を含有することを特徴
とする。
【0025】ここで、「構造粘性付与剤」は、インク
(80)の粘度を上昇させるとともに、インク(80)に構
造粘性を付与するためのものである。また、構造粘性付
与剤としては、例えば、カーボンブラック(具体的に
は、例えば、三菱化学株式会社製のカーボンブラックM
A−100(商品名))や微粒子シリカ(具体的には、
例えば、日本アエロジル株式会社製のアエロジル380
(商品名))などを用いることができる。
【0026】そして、本発明に係るボールペンリフィー
ル(10)は、インク(80)に構造粘性付与剤を添加する
ことにより、インク(80)の粘度を上昇させるととも
に、インク(80)に構造粘性を付与して、フロート(10
0)とインク貯蔵管(30)との間の間隙から加圧ガス(9
0)側へインク(80)がより一層流れ出しにくくなるよ
うにしているのである。
【0027】勿論、インク(80)に構造粘性付与剤を添
加しなくても、使用することは可能である。
【0028】
【発明の実施の形態】本発明に係るボールペンリフィー
ルの実施の形態を、図示例と共に説明する。図1は、本
実施の形態に係るボールペンリフィール10の側面断面
図、図2は、図1のA部拡大図、図3は、図1のB部拡
大図、図4は、チップ20の要部断面図、図5は、フロー
ト100の斜視図である。
【0029】本実施の形態に係るボールペンリフィール
10は、チップ20と、このチップ20に固定したインク貯蔵
管30と、このインク貯蔵管30の反チップ20側に設けた尾
栓40とを備えている。前記チップ20は、ボール50と、こ
のボール50を保持するためのホルダー60とを備え、ま
た、前記ホルダー60は、ボール50を収納するためのボー
ルハウス61と、ボール50にインク80を供給するためのイ
ンク誘導孔62と、ボール50にインク80が十分に供給され
るようにするための複数のインク溝63と、ボールハウス
61に収納したボール50が外部に飛び出さないようにする
ためのカシメ部64とを有している。
【0030】また、前記インク貯蔵管30は、ほぼ円筒状
に形成され、そのチップ20側にはインク80が充填され、
その反チップ20側には加圧ガス90が充填されている。ま
た、インク貯蔵管30の内部であって、インク80と加圧ガ
ス90との間には、インク80の減少に伴って一定範囲を移
動するフロート100が設けられている。また、前記尾栓4
0は、インク貯蔵管30の反チップ20側の端部近辺に圧入
され、インク貯蔵管30の反チップ20側に充填した加圧ガ
ス90が外部に漏れないようにしている。
【0031】以下、更に、本実施の形態に係るボールペ
ンリフィール10について詳述する。 (チップ20)前記チップ20は、ボール50と、このボール
50を保持するためのホルダー60とを備えている。 (ボール50)前記ボール50は、筆記面にインク80を塗布
するためのものである。
【0032】このボール50は、超硬合金、ステンレス、
焼入鋼、又はセラミックなどを用いて形成されている。
また、このボール50は、球状に形成され、その表面粗さ
Raを、0.010μm以上0.080μm以下に形成
されている。そして、ボール50の表面粗さRaを0.0
10μm以上0.080μm以下にすることにより、ボ
ール50と筆記面との間の摩擦抵抗を大きくし、これによ
り、筆記面上でのボール50の滑りを低減させて、「かす
れ」を起こしにくくするとともに、筆記開始時における
かすれにくさである「初筆性」を向上させているのであ
る。
【0033】なお、ボール50の表面粗さRaを0.01
0μm未満にすると、ボール50と筆記面との間の摩擦抵
抗を十分に大きくすることができず、これにより、筆記
面上でボール50が滑りやすくなってしまうので、「かす
れ」を十分に抑えることができなくなってしまったり、
あるいは「初筆性」が低下してしまったりするのであ
る。
【0034】また、ボール50の表面粗さRaを0.08
0μm超にすると、ボール受け座72が磨耗しやすくな
り、これにより、使用開始から比較的早い時期に「書き
味」が低下してしまったり、あるいは「筆記距離」が短
くなってしまったりするのである。勿論、ボール50の表
面粗さRaが上記範囲外であっても、使用することは可
能である。 (ホルダー60)前記ホルダー60は、ボール50を保持する
ためのものである。
【0035】このホルダー60は、ステンレス、洋白、真
鍮、又は黄銅などの金属製の線材を用いて形成されてい
る。また、このホルダー60は、ボール50を収納するため
のボールハウス61と、ボールハウス61に収納したボール
50にインク80を供給するためのインク誘導孔62と、ボー
ルハウス61に収納したボール50にインク80が十分に供給
されるようにするための複数のインク溝63と、ボールハ
ウス61に収納したボール50が外部に飛び出さないように
するためのカシメ部64とを有している。
【0036】更に、このホルダー60は、カシメ部64側か
ら反カシメ部64側へ向けて外径を次第に大きくする円錐
状のテーパー部66と、このテーパー部66の反カシメ部64
側に連続して設けた円筒状の胴体部67と、この胴体部67
の反テーパー部66側に連続して設けた、胴体部67よりも
径が小さい円筒状の固定部68と、胴体部67と固定部68と
の間に設けた、階段状の外向き段部69とを有している。
【0037】以下、更に、このホルダー60の各部につい
て詳述する。 (ボールハウス61)前記ボールハウス61は、ボール50を
収納するためのものである。このボールハウス61は、ホ
ルダー60の一方側の端部近辺に設けられている。また、
このボールハウス61は、円筒状の側面部70と、インク誘
導孔62側へ向けて内径を次第に小さくする円錐状の底面
部71とを有している。
【0038】また、このボールハウス61は、線材の一方
側から他方側へ向けて、線材の軸心に回転軸を一致させ
たドリルで切削することによって形成されている。ま
た、前記底面部71は、インク誘導孔62の開口部の周囲
に、ボール50の曲率とほぼ同一の曲率を有する凹球面状
のボール受け座72を有している。また、このボール受け
座72は、ボールハウス61にボール50を収納した後に、ハ
ンマーでボール50をインク誘導孔62側へ向けて押圧する
ことによって形成されている。
【0039】また、前記側面部70は、その内径を、ボー
ル50の直径の101%以上111%以下に形成されてい
る。すなわち、ボール50の直径をφA、側面部70の内径
をφBとしたときに、 1.01≦φB/φA≦1.11(式1) を満たすように形成されているのである。
【0040】そして、側面部70の内径をボール50の直径
の101%以上111%以下に形成することにより、ボ
ール50と側面部70との間に十分なインク80通路を確保
し、これにより、「かすれ」を起こしにくくするととも
に、「初筆性」を向上させているのである。なお、側面
部70の内径をボール50の直径の101%未満に形成する
と、ボール50と側面部70との間に十分なインク80通路を
確保することができず、これにより、「かすれ」を起こ
しやすくなってしまったり、あるいは「初筆性」が低下
してしまったりするのである。
【0041】また、側面部70の内径をボール50の直径の
111%超に形成すると、チップ20の先端からインク80
が漏れ出してしまったり、あるいはボール50がボールハ
ウス61から飛び出してしまうおそれがあるのである。勿
論、ボール50の直径に対する側面部70の内径が上記範囲
外であっても、使用することは可能である。 (インク誘導孔62)前記インク誘導孔62は、ボールハウ
ス61に収納したボール50にインク80を供給するためのも
のである。
【0042】このインク誘導孔62は、ホルダー60の反ボ
ールハウス61側の端部からボールハウス61まで貫通して
いる。また、このインク誘導孔62は、線材の反ボールハ
ウス61側の端部からボールハウス61側へ向けて、線材の
軸心に回転軸を一致させたドリルで切削することによっ
て形成されている。 (インク溝63)前記インク溝63は、ボールハウス61に収
納したボール50にインク80が十分に供給されるようにす
るためのものである。
【0043】このインク溝63は、インク誘導孔62のボー
ルハウス61側の内周面に、インク誘導孔62の中心からみ
て放射状に設けられている。また、このインク誘導孔62
は、線材のボールハウス61側から反ボールハウス61側へ
向けて、ブローチ加工を施すことによって形成されてい
る。 (カシメ部64)前記カシメ部64は、ボールハウス61に収
納したボール50が外部に飛び出さないようにするための
ものである。
【0044】このカシメ部64は、ホルダー60のボールハ
ウス61側の端部に設けられている。また、このカシメ部
64は、円錐状に形成され、その最小径部33分の内径を、
ボール50の直径よりも小さく形成されている。また、こ
のカシメ部64は、ボールハウス61にボール50を収納した
後に、線材のボールハウス61側の端部に圧延加工を施す
ことによって形成されている。
【0045】そして、このカシメ部64により、ボール50
は、その一部をボールハウス61から突出させつつ、ホル
ダー60の先端に回転自在に保持されることとなってい
る。更に、ボール50とカシメ部64との間には、クリアラ
ンス65と呼ばれる微小な間隙が設けられ、このクリアラ
ンス65が、筆記時におけるインク80の通路となってい
る。
【0046】そして、ボール50の回転に伴って、ボール
50の表面に付着したインク80が筆記面に転写されること
により、筆記面に描線が描かれるのである。 (インク貯蔵管30)前記インク貯蔵管30は、ほぼ円筒状
に形成され、そのチップ20側にはインク80が充填され、
その反チップ20側には加圧ガス90が充填されている。ま
た、インク貯蔵管30の内部であって、インク80と加圧ガ
ス90との間には、インク80の減少に伴って一定範囲を移
動するフロート100が設けられている。
【0047】具体的には、このインク貯蔵管30は、ステ
ンレス又は真鍮などの金属材料を用いて、プレス加工に
よって一体的に形成されている。また、このインク貯蔵
管30は、円筒状の大径部31と、この大径部31の一方側に
連設した、大径部31よりも径が小さい円筒状の中径部32
と、この中径部32の反大径部31側に連設した、中径部32
よりも径が小さい円筒状の小径部33とを有している。
【0048】更に、このインク貯蔵管30は、大径部31と
中径部32との間に設けた、階段状の内向き段部34と、中
径部32と小径部33との間に設けた、円錐状の絞り部35と
を有している。前記大径部31は、加圧ガス90及びインク
80を充填するための部分である。すなわち、大径部31の
反中径部32側には、加圧ガス90が充填され、大径部31の
中径部32側には、中径部32を経て小径部33に至るまで、
インク80が充填されている。
【0049】また、大径部31の反中径部32側の端部近辺
には、大径部31に充填した加圧ガス90が外部に漏れない
ようにするための尾栓40が圧入されている。また、大径
部31の反中径部32側の端部には、尾栓40を圧入した後に
縮径部が形成され、この縮径部により、大径部31に圧入
した尾栓40が加圧ガス90の圧力によって外部に飛び出さ
ないようにしている。
【0050】また、大径部31の内部であって、インク80
と加圧ガス90との間には、インク80の減少に伴って移動
するフロート100が設けられている。そして、このフロ
ート100により、大径部31の中径部32側に充填したイン
ク80が反チップ20方向へ流れ出さないようにしている。
すなわち、大径部31の内径は比較的大きく形成されてい
るため、大径部31の内部では毛細管力が働きにくい。こ
のため、大径部31に充填されたインク80は、反チップ20
方向へ流れ出しやすいのである。そこで、大径部31の内
部であって、インク80と加圧ガス90との間に、ほぼ円柱
状に形成したフロート100を設けることにより、大径部3
1に充填されたインク80が反チップ20方向へ流れ出さな
いようにしているのである。
【0051】更に、大径部31の内部に設けたフロート10
0は、インク80の減少に伴って中径部32方向へ移動し、
大径部31と中径部32との間に設けた内向き段部34に当接
すると、その中径部32方向への移動を停止する。また、
前記内向き段部34は、大径部31と中径部32とを繋ぐため
の部分であって、階段状に形成されている。
【0052】また、前記中径部32は、インク80を充填す
るための部分であって、大径部31よりも径が小さい円筒
状に形成されている。なお、中径部32の内径は比較的小
さく形成されているため、中径部32の内部では毛細管力
が働きやすい。このため、中径部32の内部においては、
加圧ガス90とインク80との間にフロート100を設けなく
ても、インク80が大径部31方向へ流れ出しにくいのであ
る。
【0053】また、前記絞り部35は、中径部32と小径部
33とを繋ぐための部分であって、円錐状に形成されてい
る。また、前記小径部33は、チップ20を固定するための
部分であって、中径部32よりも径が小さい円筒状に形成
されている。また、この小径部33は、その内径を、チッ
プ20の固定部68の外径よりもわずかに小さく形成されて
いる。
【0054】そして、この小径部33にホルダー60の固定
部68を圧入することにより、チップ20をインク貯蔵管30
の一方側に固定しているのである。更に、この小径部33
にホルダー60の固定部68を圧入する際には、小径部33の
反中径部32側の端部とホルダー60の外向き段部69とが当
接しないようにし、これにより、小径部33の変形を防止
して、気密性の向上を図っている。
【0055】また、この小径部33は、ホルダー60の固定
部68を圧入される前に焼鈍され、これにより、ホルダー
60の固定部68が圧入されることによる応力腐食割れを防
止している。また、この小径部33は、焼鈍により、その
硬度をビッカース硬度でHv50以上Hv400以下に
することが好ましく、特に、ビッカース硬度でHv10
0以上Hv200以下にすることが好ましい。
【0056】そして、小径部33の硬度を上記範囲内に設
定することにより、ホルダー60の固定部68を小径部33に
圧入しやすくすることができるとともに、高荷重で筆記
しても小径部33が破損しにくくすることができ、更に
は、加圧ガス90の圧力でチップ20がインク貯蔵管30から
抜けにくくすることができるのである。なお、小径部33
の硬度をビッカース硬度でHv50未満にすると、高荷
重で筆記した際に小径部33が破損してしまったり、ある
いは加圧ガス90の圧力でチップ20がインク貯蔵管30から
抜けてしまうおそれがあるのである。
【0057】一方、小径部33の硬度をビッカース硬度で
Hv400超にすると、ホルダー60の固定部68を小径部
33に圧入しにくくなってしまうのである。勿論、小径部
33の硬度が上記範囲外であっても、使用することは可能
である。なお、インク貯蔵管30は、インク80と反応して
変形したり、クラック(破損)したり、あるいは膨潤し
たりすることなく、かつ、気密性や耐圧性などに優れた
材料を用いて形成されればよく、したがって、ステンレ
スや真鍮などの金属材料を用いて、プレス加工によって
一体的に形成される場合に限られるものではない。
【0058】具体的には、例えば、プラスチック材料を
用いて、押し出し成形や射出成形などによってインク貯
蔵管30を形成してもよい。また、インク貯蔵管30は、一
体的に形成される場合に限られるものではない。具体的
には、例えば、インク80を貯蔵するためのインク貯蔵部
と、このインク貯蔵部とチップ20とを連結するための継
手部とを別々に形成し、これらを繋ぎ合わせることによ
ってインク貯蔵管30を形成してもよい。 (インク80)前記インク80は、着色剤、溶剤、構造粘性
付与剤、樹脂、添加剤などを適宜配合することによって
調製されている。 (着色剤)着色剤としては、従来から油性ボール50ペン
用インク80に用いられてきた染料又は顔料の多くを用い
ることができる。
【0059】具体的には、例えば、バリファーストカラ
ー(商品名、オリエント化学工業株式会社製)、ニグロ
シンEX(商品名、オリエント化学工業株式会社製)、
アイゼンスピロン染料、アイゼンSOT染料(商品名、
保土谷化学工業株式会社製)、スピロンバイオレットC
−RH(商品名、保土谷化学工業株式会社製)、スピロ
ンイエローC−2GH(商品名、保土谷化学工業株式会
社製)などの染料を着色剤として用いることができる。
【0060】また、例えば、酸化チタン、カーボンブラ
ック、カーボンブラックMA−100(商品名、三菱化
学株式会社製)、金属粉などの無機系顔料を着色剤とし
て用いることもできる。また、例えば、アゾレーキ、不
溶性アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン顔
料、ペリレン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン
顔料、染料レーキ、ニトロ顔料、ニトロソ顔料などの有
機系顔料を着色剤として用いることもできる。
【0061】なお、上述した染料又は顔料は、それぞれ
単独で用いてもよく、また、2種以上を適宜組み合わせ
て用いてもよい。また、着色剤の含有量は、インク80の
全量に対して10重量%以上60重量%以下が好まし
い。着色剤の含有量がインク80の全量に対して10重量
%未満では、描線の色が薄く見えてしまい、一方、着色
剤の含有量がインク80の全量に対して60重量%超で
は、インク80が経時的に不安定になってしまうからであ
る。 (溶剤)溶剤としては、従来から油性ボール50ペン用イ
ンク80に用いられてきた有機溶剤の多くを用いることが
できる。
【0062】具体的には、例えば、エチレングリコール
モノフェニルエーテル、ベンジルアルコール、フェノキ
シエタノール、プロピレングリコール、ジプロピレング
リコール、1,3−ブチレングリコール、ヘキシレング
リコール、テトラリン、プロピレングリコールモノフェ
ニルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエー
テル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジ
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、
トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、N−メ
チル−2−ピロリドンなどの有機溶剤を溶剤として用い
ることができる。
【0063】なお、これらの有機溶剤は、それぞれ単独
で用いてもよく、また、2種以上を適宜組み合わせて用
いてもよい。また、溶剤の含有量は、インク80の全量に
対して20重量%以上80重量%以下が好ましい。溶剤
の含有量がインク80の全量に対して20重量%未満で
は、溶解力が不足して高粘度となってしまい、一方、溶
剤の含有量がインク80の全量に対して80重量%超で
は、粘度が十分に高くならないからである。 (構造粘性付与剤)構造粘性付与剤は、インク80の粘度
を上昇させるとともに、インク80に構造粘性を付与する
ためのものである。
【0064】この構造粘性付与剤を添加されたインク80
は、低剪断速度下では比較的高い粘度を示すものの、高
剪断速度下では比較的低い粘度を示す。ここで、非筆記
時におけるチップ20の先端近辺では、インク80は、低剪
断速度下におかれることとなる。このため、この構造粘
性付与剤を添加されたインク80は、非筆記時におけるチ
ップ20の先端近辺では、比較的高い粘度を示し、これに
より、チップ20の先端からのインク80の漏れ出しを防止
している。
【0065】一方、筆記時におけるチップ20の先端近辺
では、インク80は、高剪断速度下におかれることとな
る。このため、この構造粘性付与剤を添加されたインク
80は、筆記時におけるチップ20の先端近辺では、比較的
低い粘度を示し、これにより、なめらかに筆記できるの
である。具体的には、例えば、カーボンブラック(具体
的には、例えば、三菱化学株式会社製のカーボンブラッ
クMA−100(商品名))や微粒子シリカ(具体的に
は、例えば、日本アエロジル株式会社製のアエロジル3
80(商品名))などの無機微粒子を構造粘性付与剤と
して用いることができる。
【0066】なお、これらの無機微粒子は、それぞれ単
独で用いてもよく、また、2種以上を適宜組み合わせて
用いてもよい。また、構造粘性付与剤の含有量は、イン
ク80の全量に対して1重量%以上20重量%以下が好ま
しく、特にインク80の全量に対して5重量%以上15重
量%以下が好ましい。
【0067】そして、構造粘性付与剤の含有量を上記範
囲内に設定することにより、チップ20の先端からのイン
ク80の漏れ出しを防止しつつ、しかも、なめらかに筆記
できるようにすることができるのである。なお、構造粘
性付与剤の含有量がインク80の全量に対して1重量%未
満では、インク80の構造粘性を十分に高めることができ
ず、これにより、チップ20の先端からインク80が漏れ出
してしまうおそれがあるのである。
【0068】一方、構造粘性付与剤の含有量がインク80
の全量に対して20重量%超では、インク80の構造粘性
が高すぎてしまい、これにより、書き味が重くなってし
まうのである。勿論、インク80に構造粘性付与剤を添加
しなくても、使用することは可能である。 (樹脂)樹脂は、インク80の粘度を上昇させたり、ある
いは構造粘性付与剤をインク80中に分散させたりするた
めのものである。
【0069】具体的には、例えば、ケトン樹脂(具体的
には、例えば、日立化成株式会社製のハイラック#11
1(商品名))、フェノール樹脂、マレイン樹脂、キシ
レン樹脂、ポリエチレンオキサイド、ロジン樹脂、ロジ
ン誘導体、テルペン系樹脂、クロマン−インデン樹脂、
ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン(具体的
には、例えば、ISP社製のポリビニルピロリドンK−
90(商品名))、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重
合物、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸ポリ
メタクリル酸共重合物などの樹脂を、インク80の粘度を
上昇させたり、あるいは構造粘性付与剤をインク80中に
分散させるための樹脂として用いることができる。
【0070】なお、これらの樹脂は、それぞれ単独で用
いてもよく、また、2種以上を適宜組み合わせて用いて
もよい。また、樹脂の含有量は、インク80の全量に対し
て5重量%以上80重量%以下が好ましく、特にインク
80の全量に対して25重量%以上70重量%以下が好ま
しい。
【0071】そして、樹脂の含有量を上記範囲内に設定
することにより、チップ20の先端からのインク80の漏れ
出しを防止しつつ、しかも、なめらかに筆記できるよう
にすることができるのである。なお、樹脂の含有量がイ
ンク80の全量に対して5重量%未満では、インク80の粘
度を十分に上昇させることができず、これにより、チッ
プ20の先端からインク80が漏れ出してしまうおそれがあ
るのである。
【0072】また、樹脂の含有量がインク80の全量に対
して5重量%未満では、インク80の粘度を十分に上昇さ
せることができないために、構造粘性付与剤としての無
機微粒子がインク80中に分散せずに沈降してしまう。そ
うすると、インク80に構造粘性を付与することができな
くなってしまい、これによっても、チップ20の先端から
インク80が漏れ出してしまうおそれがあるのであるので
ある。
【0073】一方、樹脂の含有量がインク80の全量に対
して80%超では、インク80の粘度が高すぎてしまい、
これにより、書き味が重くなってしまうのである。 (添加剤)添加剤としては、従来から油性ボール50ペン
用インク80に用いられてきた増粘剤、曳糸性付与剤、界
面活性剤、分散剤、潤滑剤、発色剤、防菌剤などを用い
ることができる。
【0074】具体的には、例えば、潤滑剤及び発色剤と
してのオレイン酸、増粘剤及び分散剤としてのハイラッ
ク#111(商品名、日立化成株式会社製)、増粘剤、
分散剤及び曳糸性付与剤としてのポリビニルピロリドン
K−90(商品名、ISP社製)などを添加剤として用
いることができる。 (インク80の製造方法)このインク80は、上述した各成
分を混合撹拌等することによって製造されている。
【0075】具体的には、このインク80は、顔料分散段
階、アエロジル分散段階、染料溶解段階、混合段階、ろ
過段階などを経て製造されている。顔料分散段階は、顔
料を溶剤などに分散させる段階である。この顔料分散段
階では、まず、ハイラック#111(樹脂)、オレイン
酸(添加剤)、ベンジルアルコール(溶剤)、フェノキ
シエタノール(溶剤)などを60℃程度に加熱しながら
混合し、ここにカーボンブラックMA−100(顔料)
を加えて、ニーダー、プラネタリーミキサー、ロールな
どを用いて撹拌する。
【0076】アエロジル分散段階は、アエロジルを溶剤
などに分散させる段階である。このアエロジル分散段階
では、まず、ハイラック#111(樹脂)、ポリビニル
ピロリドンK−90(樹脂)、ベンジルアルコール(溶
剤)、フェノキシエタノール(溶剤)などを60℃程度
に加熱しながら混合し、ここにアエロジル380(構造
粘性付与剤)を加えて、ニーダー、プラネタリーミキサ
ー、ロールなどを用いて撹拌する。
【0077】染料溶解段階は、染料を溶剤などに溶解さ
せる段階である。この染料溶解段階では、ニグロシンE
X(染料)、スピロンバイオレットC−RH(染料)、
スピロンイエローC−2GH(染料)、ベンジルアルコ
ール(溶剤)、フェノキシエタノール(溶剤)、オレイ
ン酸(添加剤)などを60℃程度に加熱しながら撹拌し
て、これらを溶解させている。
【0078】混合段階は、上記各段階で得られたものを
混合させる段階である。この混合段階では、顔料分散段
階によって得られたものと、アエロジル分散段階によっ
て得られたものと、染料溶解段階によって得られたもの
とを60℃程度に加熱しながら約1時間撹拌して、これ
らを溶解及び混合させている。ろ過段階は、混合段階で
得られたものをろ過する段階である。
【0079】このろ過段階により、インク80の夾雑物を
除去する。 (インク80の粘度)このインク80は、25℃における粘
度が、10,000mPa・s以上50,000mPa
・s以下となるように調製されている。そして、25℃
におけるインク80の粘度を10,000mPa・s以上
50,000mPa・s以下に調製することにより、チ
ップ20の先端からインク80が漏れ出さないようにしつつ
も、書き味がなめらかになるようにしているのである。
【0080】なお、25℃におけるインク80の粘度が1
0,000mPa・s未満では、チップ20の先端からイ
ンク80が漏れ出してしまうおそれがあるのである。一
方、25℃におけるインク80の粘度が50,000mP
a・s超では、書き味が重くなってしまうのである。勿
論、インク80の粘度が上記範囲外であっても、使用する
ことは可能である。 (加圧ガス90)前記加圧ガス90は、インク貯蔵管30の内
部に充填されているインク80をチップ20方向へ押し出す
ためのものであって、インク貯蔵管30の大径部31内部の
反中径部32側に充填されている。 (加圧ガス90の圧力)この加圧ガス90は、ボールペンリ
フィール10組立て時における圧力が、絶対気圧で0.1
5MPa以上0.4MPa以下となるように設定されて
いる。
【0081】そして、ボールペンリフィール10組立て時
における加圧ガス90の圧力を、絶対気圧で0.15MP
a以上0.4MPa以下に設定することにより、チップ
20の先端からインク80が漏れ出さないようにしつつも、
インク80を最後まで使い切ることができるようにしてい
るのである。なお、ボールペンリフィール10組立て時に
おける加圧ガス90の圧力が、絶対気圧で0.15MPa
未満では、インク80を最後まで使い切れなくなってしま
うおそれがあるのである。
【0082】一方、ボールペンリフィール10組立て時に
おける加圧ガス90の圧力が、絶対気圧で0.4MPa超
では、チップ20の先端からインク80が漏れ出してしまう
おそれがあるのである。勿論、ボールペンリフィール10
組立て時における加圧ガス90の圧力が上記範囲外であっ
ても、使用することは可能である。 (加圧ガス90の収納体積)また、ボールペンリフィール
10組立て時における加圧ガス90の収納体積は、ボールペ
ンリフィール10組立て時におけるインク80の収納体積の
2倍以上5倍以下に設定されている。
【0083】すなわち、ボールペンリフィール10組立て
時におけるインク80の収納体積をVA、ボールペンリフ
ィール10組立て時における加圧ガス90の収納体積をVB
としたときに、 VA×2≦VB≦VA×5(式2) を満たすように形成されているのである。
【0084】そして、ボールペンリフィール10組立て時
における加圧ガス90の収納体積を、ボールペンリフィー
ル10組立て時におけるインク80の収納体積の2倍以上5
倍以下に形成することにより、インク80の充填量をでき
るだけ多くしつつも、加圧ガス90の圧力をできるだけ低
く抑えるようにしているのである。すなわち、インク貯
蔵管30の容積は一定であるので、インク80の充填量を多
くすれば、その分加圧ガス90の充填スペースが小さくな
る。逆に、インク80の充填量を少なくすれば、その分加
圧ガス90の充填スペースが大きくなる。
【0085】ここで、インク80の充填量を多くしても、
インク80を最後まで使い切れるようにするためには、そ
の分加圧ガス90の圧力を高くしなければならないことに
なる。そうすると、チップ20の先端からインク80が漏れ
出してしまうおそれがあるのである。一方、加圧ガス90
の圧力を低く抑えつつも、インク80を最後まで使い切れ
るようにするためには、その分インク80の充填量を少な
くしなければならないことになる。
【0086】そこで、インク80の充填量をできるだけ多
くしつつも、加圧ガス90の圧力をできるだけ低く抑える
ためには、ボールペンリフィール10組立て時における加
圧ガス90の収納体積を、ボールペンリフィール10組立て
時におけるインク80の収納体積の2倍以上5倍以下に形
成することが好ましいのである。なお、ボールペンリフ
ィール10組立て時における加圧ガス90の収納体積が、ボ
ールペンリフィール10組立て時におけるインク80の収納
体積の2倍未満では、インク80を最後まで使い切れるよ
うにしようとすると、加圧ガス90の圧力を比較的高くし
なければならないことから、チップ20の先端からインク
80が漏れ出してしまうおそれがあるのである。
【0087】一方、ボールペンリフィール10組立て時に
おける加圧ガス90の収納体積が、ボールペンリフィール
10組立て時におけるインク80の収納体積の5倍超では、
加圧ガス90の圧力を比較的低く抑えても、インク80を最
後まで使い切れるようにすることはできるが、その分イ
ンク80の充填量が少なくなってしまうのである。勿論、
ボールペンリフィール10組立て時におけるインク80と加
圧ガス90との収納体積比が上記範囲外であっても、使用
することは可能である。 (加圧ガス90の組成)また、この加圧ガス90は、反応し
にくいガスの割合が、加圧ガス90全体の85%以上とな
るように調製されている。
【0088】ここで、反応しにくいガスとしては、例え
ば、窒素(N2)、ヘリウム(He)、ネオン(N
e)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノ
ン(Xe)などのガスを用いることができる。また、上
述したガスは、それぞれ単独で用いてもよく、また、2
種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0089】ただ、窒素(N2)は、取り扱いが容易で
安全性が高く、しかもコストが安いので、反応しにくい
ガスとしては、特に窒素(N2)を用いることが好まし
い。すなわち、反応しにくいガスの主体を窒素(N2
によって構成することにより、ボールペンリフィール10
の組立てや取り扱いをより一層容易にすることができる
のである。
【0090】そして、反応しにくいガスの割合を加圧ガ
ス90全体の85%以上にすることにより、インク80が変
質しにくくなるようにすることができ、更には、加圧ガ
ス90の圧力が低下しにくくなるようにすることができる
のである。すなわち、酸素(O2)などのガスは、イン
ク80の各成分と反応しやすい。そして、酸素(O2)な
どのガスがインク80の各成分と反応すると、インク80が
変質してしまうのである。また、酸素(O2)などのガ
スがインク80の各成分と反応すると、インク80が変質し
てしまうだけでなく、加圧ガス90中から酸素(O2)な
どのガスが減ってしまう。このため、酸素(O2)など
の反応しやすいガスが減った分だけ、加圧ガス90の圧力
が低下してしまうのである。
【0091】そこで、インク80が変質しにくくなるよう
にするとともに、加圧ガス90の圧力が低下しにくくなる
ようにするためには、反応しにくいガスの割合を加圧ガ
ス90全体の85%以上にすることが好ましく、特に反応
しにくいガスの割合を加圧ガス90全体の90%以上にす
ることが好ましいのである。なお、反応しにくいガスの
割合が加圧ガス90全体の85%未満では、酸素(O 2
などのガスがインク80の各成分と反応しやすくなってし
まうことから、インク80が変質しやすくなってしまい、
更には、加圧ガス90の圧力が低下しやすくなってしまう
のである。更に、加圧ガス90の圧力の低下が大きいと、
場合によっては、インク80を最後まで使い切ることがで
きなくなってしまうのである。
【0092】勿論、加圧ガス90中の反応しにくいガスの
割合が上記範囲外であっても、使用することは可能であ
る。 (フロート100)前記フロート100は、前述したように、
インク貯蔵管30の大径部31に充填したインク80が反チッ
プ20方向へ流れ出さないようにするためのものである。
【0093】具体的には、このフロート100は、ほぼ円
柱状に形成され、その一方側の底面には、側面まで貫通
する空気溝101が設けられ、他方側の底面には、刳り貫
き部102が設けられている。また、このフロート100は、
ポリプロピレン(PP)などの合成樹脂を用いて、射出
成形によって一体的に形成されている。
【0094】そして、このフロート100は、空気溝101が
設けられている底面をインク80側へ向けるとともに、刳
り貫き部102が設けられている底面を加圧ガス90側へ向
けるようにして、インク貯蔵管30の大径部31の内部に設
けられている。また、前記空気溝101は、フロート100が
内向き段部34に当接した際に、中径部32の大径部31側の
開口部を塞がないようにするためのものである。
【0095】すなわち、このフロート100は、インク80
の減少に伴って、大径部31の内部を中径部32方向へ移動
し、内向き段部34に当接すると、その中径部32方向への
移動を停止する。このとき、フロート100のインク80側
の底面が、中径部32の大径部31側の開口部を塞いでしま
うおそれがある。そこで、中径部32の大径部31側の開口
部を塞がないようにするために、フロート100のインク8
0側の底面に、フロート100の側面まで貫通する空気溝10
1を設けているのである。
【0096】また、前記刳り貫き部102は、フロート100
がインク80中に沈まないようにするためのものである。
すなわち、このフロート100は、ポリプロピレン(P
P)などの合成樹脂を用いて形成されているため、イン
ク80中に沈んでしまうおそれがある。そこで、フロート
100の加圧ガス90側の底面に刳り貫き部102を設けること
により、見かけの比重を小さくして、フロート100がイ
ンク80中に沈まないようにしているのである。
【0097】更に、このフロート100は、フロート100の
外径をφC、インク貯蔵管30の大径部31の内径をφDと
したときに、 0.0005≦(φD−φC)/φC≦0.043(式3) を満たすように形成されている。そして、上記式3を満
たすようにフロート100を形成することにより、フロー
ト100とインク貯蔵管30との間に所定の間隙を設け、こ
れにより、インク80の減少に伴うフロート100の移動が
円滑に行われるようにするとともに、フロート100とイ
ンク貯蔵管30との間の間隙からインク80が加圧ガス90側
へ流れ出さないようにしているのである。
【0098】なお、0.0005>(φD−φC)/φ
Cとなるようにフロート100を形成すると、フロート100
とインク貯蔵管30との間の間隙が狭すぎて、インク80の
減少に伴うフロート100の移動が円滑に行われなくなっ
てしまうおそれがあるのである。一方、(φD−φC)
/φC>0.043となるようにフロート100を形成す
ると、フロート100とインク貯蔵管30との間の間隙が広
すぎて、フロート100とインク貯蔵管30との間の間隙か
らインク80が加圧ガス90側へ流れ出してしまうおそれが
あるのである。
【0099】また、フロート100は、インク80と反応し
て変形したり、クラック(破損)したり、あるいは膨潤
したりしない材料を用いて形成されればよく、したがっ
て、ポリプロピレン(PP)などの合成樹脂を用いて形
成される場合に限られるものではない。また、フロート
100は、インク80中に沈まないように形成されればよ
く、したがって、加圧ガス90側の底面に刳り貫き部102
を有するように形成される場合に限られるものではな
い。
【0100】具体的には、例えば、インク80よりも比重
が小さい材料を用いてフロート100を形成することによ
り、フロート100がインク80中に沈まないようにしても
よい。また、例えば、インク80よりも比重が大きい材料
を用いてフロート100を形成しても、内部に気泡などを
設けることにより、見かけの比重を小さくして、フロー
ト100がインク80中に沈まないようにすることができ
る。 (尾栓40)前記尾栓40は、インク貯蔵管30の内部に充填
された加圧ガス90が外部に漏れ出さないようにするため
のものである。
【0101】この尾栓40は、金属製の留め具41と、この
留め具41の一方側に設けたゴム製のシール部材42とを備
え、このシール部材42をチップ20側へ向けるようにし
て、インク貯蔵管30の反チップ20側の端部近辺に圧入さ
れている。そして、この尾栓40は、ゴム製のシール部材
42により、気密性の向上を図るとともに、金属製の留め
具41により、耐圧性の向上を図っているのである。
【0102】
【実施例】以下、実施例及び比較例により、本発明を更
に詳しく説明する。 (ボールペンリフィール10の評価1)下記の表1に、実
施例1−1から実施例1−24まで及び比較例1−1か
ら比較例1−31までの各ボールペンリフィール10の構
成と、これらのボールペンリフィール10の「初筆性」、
「筆記距離」及び「ボール50の飛び出し」についての評
価をそれぞれ示す。
【0103】ここで、実施例1−1から実施例1−24
まで及び比較例1−1から比較例1−31までに示す各
ボールペンリフィール10は、「ボール50の表面粗さ(R
a)」及び「ボール50の直径に対するボールハウス61の
側面部70の内径の割合(φB/φA)」が、それぞれ異
なるように形成したものである。また、実施例1−1か
ら実施例1−24まで及び比較例1−1から比較例1−
31までに示す各ボールペンリフィール10は、ボール50
の材質を超硬合金とし、ホルダー60の材質をステンレス
とし、ボール50の直径を0.7mmとし、下記の組成の
インク80を用い、25℃におけるインク80の粘度を3
0,000mPa・sとし、ボールペンリフィール10組
立て時における加圧ガス90の圧力を絶対気圧で0.3M
Paとした。
【0104】また、インク80の組成は、 ベンジルアルコール(溶剤):37.4重量% フェノキシエタノール(溶剤):1.5重量% オレイン酸(添加剤):8.0重量% ニグロシンEX(着色剤):22.5重量% スピロンバイオレットC−RH(着色剤):9.0重量
% スピロンイエローC−2GH(着色剤):6.0重量% カーボンブラックMA−100(着色剤・構造粘性付与
剤):8.0重量% ハイラック#111(樹脂):5.4重量% ポリビニルピロリドンK−90(樹脂):0.8重量% アエロジル380(構造粘性付与剤):1.4重量% とした。
【0105】また、「初筆性」の試験は、まず、手書き
にて筆記可能であることを確認し、手書きが終了してか
ら1時間経過後又は1日経過後に、ISO規格1414
5−1に準拠した自動筆記試験機を用い、 筆記速度:4.5m/min 筆記角度:90° 筆記負荷:1.96N の条件で行った。
【0106】また、「初筆性」の評価は、5本のボール
ペンリフィール10について行った上記試験の結果の平均
値を採り、 (イ)筆記試験開始から描線の記録が円滑に行われるま
での距離が2mm以内であった → 評価「A」 (ロ)筆記試験開始から描線の記録が円滑に行われるま
での距離が5mm以内であった → 評価「B」 (ハ)筆記試験開始から描線の記録が円滑に行われるま
での距離が10mm以内であった → 評価「C」 (ニ)筆記試験開始から描線の記録が円滑に行われるま
での距離が10mm以上であった → 評価「D」 とした。
【0107】また、「筆記距離」の試験は、まず、手書
きにて筆記可能であることを確認し、その後に、ISO
規格14145−1に準拠した自動筆記試験機を用い、 筆記速度:4.5m/min 筆記角度:60° 筆記負荷:1.96N の条件で筆記不能になるまで行った。
【0108】また、「筆記距離」の評価は、10本のボ
ールペンリフィール10について行った上記試験の結果の
平均値を採り、 (イ)インク80が完全になくなるまで筆記可能であった
→ 評価「A」 (ロ)充填量の1/4未満のインク80を残して筆記不能
となった → 評価「B」 (ハ)充填量の1/4以上のインク80を残して筆記不能
となった → 評価「C」 とした。
【0109】また、「ボール50の飛び出し」の試験は、
ボールペンリフィール10を、 気温:150℃ 湿度:30% に設定した恒温槽内に100時間投入することによって
行った。
【0110】また、「ボール50の飛び出し」の評価は、
100本のボールペンリフィール10について上記試験を
行い、 (イ)ボールハウス61からボール50が飛び出してしまっ
たものが1本もなかった→ 評価「○」 (ロ)ボールハウス61からボール50が飛び出してしまっ
たものが1本以上あった→ 評価「×」 とした。
【0111】なお、表1中、「Ra」は「ボール50の表
面粗さRa(単位:μm)」を、「φB/φA」は「ボ
ール50の直径に対するボールハウス61の側面部70の内径
の割合」を、「初筆性(1h)」は「手書きが終了して
から1時間経過後の初筆性の評価」を、「初筆性(1
d)」は「手書きが終了してから1日経過後の初筆性の
評価」を、「筆記距離」は「筆記距離の評価」を、「飛
び出し」は「ボール50の飛び出しの評価」を、それぞれ
示す。
【0112】
【表1】
【0113】このように、実施例1−1から実施例1−
24までの各ボールペンリフィール10は、「初筆性」に
優れ、また、「筆記距離」も十分長く、しかも、ボール
ハウス61からボール50が飛び出してしまうこともなかっ
た。すなわち、実施例1−1から実施例1−24までに
示すようにボールペンリフィール10を形成すれば、「初
筆性」に優れ、また、「筆記距離」も十分長く、しか
も、ボールハウス61からボール50が飛び出しにくいボー
ルペンリフィール10とすることができるのである。
【0114】一方、比較例1−1から比較例1−31ま
での各ボールペンリフィール10は、「初筆性」に劣る
か、「筆記距離」が短いか、又はボールハウス61からボ
ール50が飛び出しやすいかのいずれか1以上の欠点を有
していた。すなわち、比較例1−1から比較例1−31
までに示すようにボールペンリフィール10を形成する
と、「初筆性」に劣るか、「筆記距離」が短いか、又は
ボールハウス61からボール50が飛び出しやすいかのいず
れか1以上の欠点を有するボールペンリフィール10とな
ってしまうのである。
【0115】更に、「ボール50の表面粗さRa」の限界
数値についての実験を行ったところ、少なくとも、ボー
ル50の表面粗さRaを0.010μm以上0.080μ
m以下にすれば、筆記面上でボール50が滑りにくく、か
つ、ボール受け座72が磨耗しにくくなり、これにより、
「かすれ」を起こしにくくなり、また、「初筆性」に優
れ、しかも、「筆記距離」も十分に長くなることが確認
された。
【0116】また、「ボール50の表面粗さRa」を0.
010μm未満にすると、筆記面上でボール50が滑りや
すくなってしまうことから、「かすれ」を起こしやすく
なり、また、「初筆性」に劣ってしまうことが確認され
た。また、「ボール50の表面粗さRa」を0.080μ
m超にすると、ボール受け座72が磨耗しやすくなってし
まうことから、「筆記距離」が短くなってしまうことが
確認された。
【0117】また、「ボール50の直径に対するボールハ
ウス61の側面部70の内径の割合(φB/φA)」の限界
数値についての実験を行ったところ、少なくとも、ボー
ルハウス61の側面部70の内径をボール50の直径の101
%以上111%以下に形成すれば、すなわち、1.01
≦φB/φA≦1.11(式1)を満たすように形成す
れば、ボール50と側面部70との間に十分なインク80通路
を確保することができ、これにより、「かすれ」を起こ
しにくくなり、また、「初筆性」に優れ、しかも、ボー
ルハウス61からボール50が飛び出しにくくなることが確
認された。
【0118】また、ボールハウス61の側面部70の内径を
ボール50の直径の101%未満に形成すると、すなわ
ち、1.01>φB/φAに形成すると、ボール50と側
面部70との間に十分なインク80通路を確保することがで
きなくなってしまうことから、「かすれ」を起こしやす
くなり、また、「初筆性」に劣ってしまうことが確認さ
れた。
【0119】また、ボールハウス61の側面部70の内径
を、ボール50の直径の111%超に形成すると、すなわ
ち、φB/φA>1.11に形成すると、ボール50がボ
ールハウス61から飛び出しやすくなってしまうことが確
認された。なお、この試験は、インク80の組成、インク
80の粘度、及び加圧ガス90の圧力などを変えて行った
が、前述した結果と同様の傾向が見られた。 (ボールペンリフィール10の評価2)下記の表2に、実
施例2−1から実施例2−3まで及び比較例2−1から
比較例2−3までの各ボールペンリフィール10の構成
と、これらのボールペンリフィール10の「インク80の漏
れ出し」及び「書き味」についての評価をそれぞれ示
す。
【0120】ここで、実施例2−1から実施例2−3ま
で及び比較例2−1から比較例2−3までに示す各ボー
ルペンリフィール10は、「インク80の組成」及び「イン
ク80の粘度」が、それぞれ異なるように形成したもので
ある。また、実施例2−1から実施例2−3まで及び比
較例2−1から比較例2−3までに示す各ボールペンリ
フィール10は、ボール50の材質を超硬合金とし、ホルダ
ー60の材質をステンレスとし、ボール50の直径を0.7
mmとし、ボール50の表面粗さRaを0.036μmと
し、ボール50の直径に対するボールハウス61の側面部70
の内径の割合(φB/φA)を1.014とし、ボール
ペンリフィール10組立て時における加圧ガス90の圧力を
絶対気圧で0.3MPaとした。
【0121】また、インク80の粘度測定は、E型粘度計
にてレギュラーコーンを用い、 回転数:1.0〜2.5回転/分 温度:25℃ の条件で行った。
【0122】また、「インク80の漏れ出し」の試験は、
インク貯蔵管30に充填する加圧ガス90の圧力を0.3M
Paまで上げたときに、チップ20の先端からインク80が
漏れ出すか否かを観察することにより行った。また、
「インク80の漏れ出し」の評価は、 (イ)チップ20の先端からのインク80の漏れ出しがなか
った → 評価「○」 (ロ)チップ20の先端から漏れ出して、チップ20の先端
にインク80の滴ができ、そのインク80の滴の直径が1m
m未満であった → 評価「△」 (ハ)チップ20の先端から漏れ出して、チップ20の先端
にインク80の滴ができ、そのインク80の滴の直径が1m
m以上であった → 評価「×」 とした。
【0123】また、「書き味」の試験は、手書きにて筆
記することにより行った。また、「書き味」の評価は、 (イ)書き味がなめらかであった → 評価「○」 (ロ)書き味がやや重かった → 評価「△」 (ハ)書き味が重かった → 評価「×」 とした。
【0124】なお、表2中、「BA」は「ベンジルアル
コール(溶剤)」を、「PG」は「フェノキシエタノー
ル(溶剤)」を、「オレイン酸」は「オレイン酸(添加
剤)」を、「EX」は「ニグロシンEX(着色剤)」
を、「C−RH」は「スピロンバイオレットC−RH
(着色剤)」を、「C−2GH」は「スピロンイエロー
C−2GH(着色剤)」を、「MA−100」は「カー
ボンブラックMA−100(着色剤・構造粘性付与
剤)」を、「#111」は「ハイラック#111(樹
脂)」を、「PVP」は「ポリビニルピロリドンK−9
0(樹脂)」を、「アエロジル」は「アエロジル380
(構造粘性付与剤)」を、「粘度」は「25℃における
粘度(単位:mPa・s)」を、「漏れ出し」は「イン
ク80の漏れ出しの評価」を、「書き味」は「書き味の評
価」を、それぞれ示す。
【0125】
【表2】
【0126】このように、実施例2−1から実施例2−
3までの各ボールペンリフィール10は、「インク80の漏
れ出し」がなく、しかも、「書き味」がなめらかであっ
た。すなわち、実施例2−1から実施例2−3までに示
すようにボールペンリフィール10を形成すれば、「イン
ク80の漏れ出し」がなく、しかも、「書き味」がなめら
かなボールペンリフィール10とすることができるのであ
る。
【0127】一方、比較例2−1から比較例2−3まで
の各ボールペンリフィール10は、「インク80の漏れ出
し」があるか、又は「書き味」がなめらかではないかの
いずれか1以上の欠点を有していた。すなわち、比較例
2−1から比較例2−3までに示すようにボールペンリ
フィール10を形成すると、「インク80の漏れ出し」があ
るか、又は「書き味」がなめらかではないかのいずれか
1以上の欠点を有するボールペンリフィール10となって
しまうのである。
【0128】更に、インク80の粘度の限界数値について
の実験を行ったところ、少なくとも、25℃におけるイ
ンク80の粘度を10,000mPa・s以上50,00
0mPa・s以下にすれば、「インク80の漏れ出し」が
なく、しかも、「書き味」がなめらかになることが確認
された。また、25℃におけるインク80の粘度を10,
000mPa・s未満にすると、チップ20の先端からイ
ンク80が漏れ出してしまうことが確認された。
【0129】また、25℃におけるインク80の粘度を5
0,000mPa・s超にすると、「書き味」が重くな
ってしまうことが確認された。また、25℃におけるイ
ンク80の粘度を10,000mPa・s以上50,00
0以下にしても、インク80に構造粘性付与剤を添加しな
いと、チップ20の先端からインク80が漏れ出してしまう
ことが確認された。 (ボールペンリフィール10の評価3)下記の表3に、実
施例3−1、実施例3−2、比較例3−1、及び比較例
3−2の各ボールペンリフィール10の構成と、これらの
ボールペンリフィール10の「インク80の漏れ出し」及び
「筆記距離」についての評価をそれぞれ示す。
【0130】ここで、実施例3−1、実施例3−2、比
較例3−1、及び比較例3−2に示す各ボールペンリフ
ィール10は、「加圧ガス90の圧力」が、それぞれ異なる
ように形成したものである。また、実施例3−1、実施
例3−2、比較例3−1、及び比較例3−2に示す各ボ
ールペンリフィール10は、ボール50の材質を超硬合金と
し、ホルダー60の材質をステンレスとし、ボール50の直
径を0.7mmとし、ボール50の表面粗さRaを0.0
36μmとし、ボール50の直径に対するボールハウス61
の側面部70の内径の割合(φB/φA)を1.014と
し、ボールペンリフィール10の評価1で示したインク80
を用い、25℃におけるインク80の粘度を30,000
mPa・sとした。
【0131】また、「インク80の漏れ出し」の試験は、
直径5〜6cmの円を5周筆記した後に、25℃の環境
下に1分間放置し、チップ20の先端からインク80が漏れ
出すか否かを観察することにより行った。また、「イン
ク80の漏れ出し」の評価は、 (イ)チップ20の先端からのインク80の漏れ出しがなか
った → 評価「○」 (ロ)チップ20の先端から漏れ出して、チップ20の先端
にインク80の滴ができ、そのインク80の滴の直径が1m
m未満であった → 評価「△」 (ハ)チップ20の先端から漏れ出して、チップ20の先端
にインク80の滴ができ、そのインク80の滴の直径が1m
m以上であった → 評価「×」 とした。
【0132】また、「筆記距離」の試験は、まず、手書
きにて筆記可能であることを確認し、その後に、ISO
規格14145−1に準拠した自動筆記試験機を用い、 筆記速度:4.5m/min 筆記角度:60° 筆記負荷:1.96N の条件で筆記不能になるまで行った。
【0133】また、「筆記距離」の評価は、10本のボ
ールペンリフィール10について行った上記試験の結果の
平均値を採り、 (イ)筆記不能になるまでの距離が600m以上であっ
た → 評価「○」 (ロ)筆記不能になるまでの距離が400m以上600
m未満であった → 評価「△」 (ハ)筆記不能になるまでの距離が400m未満であっ
た → 評価「×」
【0134】
【表3】
【0135】このように、実施例3−1及び実施例3−
2の各ボールペンリフィール10は、「インク80の漏れ出
し」がなく、しかも、「筆記距離」が十分に長かった。
すなわち、実施例3−1及び実施例3−2に示すように
ボールペンリフィール10を形成すれば、「インク80の漏
れ出し」がなく、しかも、「筆記距離」が十分に長いボ
ールペンリフィール10とすることができるのである。
【0136】一方、比較例3−1及び比較例3−2の各
ボールペンリフィール10は、「インク80の漏れ出し」が
あるか、又は「筆記距離」が短くなってしまうかのいず
れか1以上の欠点を有していた。すなわち、比較例3−
1及び比較例3−2に示すようにボールペンリフィール
10を形成すると、「インク80の漏れ出し」があるか、又
は「筆記距離」が短くなってしまうかのいずれか1以上
の欠点を有するボールペンリフィール10となってしまう
のである。
【0137】更に、「加圧ガス90の圧力」の限界数値に
ついての実験を行ったところ、少なくとも、加圧ガス90
の圧力を絶対圧力で0.15MPa以上0.40MPa
以下にすれば、「インク80の漏れ出し」がなく、しか
も、「筆記距離」が十分に長くなることが確認された。
また、加圧ガス90の圧力を絶対圧力で0.15MPa未
満にすると、インク80を最後まで使い切れなくなってし
まい、「筆記距離」が短くなってしまうことが確認され
た。
【0138】また、加圧ガス90の圧力を絶対圧力で0.
40MPa超にすると、チップ20の先端からインク80が
漏れ出してしまうことが確認された。 (ボールペンリフィール10の評価4)下記の表4に、実
施例4−1、実施例4−2、比較例4−1、及び比較例
4−2の各ボールペンリフィール10の構成と、これらの
ボールペンリフィール10の「筆記距離」についての評価
をそれぞれ示す。
【0139】ここで、実施例4−1、実施例4−2、比
較例4−1、及び比較例4−2に示す各ボールペンリフ
ィール10は、「加圧ガス90中の反応しにくいガスの割
合」が、それぞれ異なるように形成したものである。ま
た、実施例4−1、実施例4−2、比較例4−1、及び
比較例4−2に示す各ボールペンリフィール10は、反応
しにくいガスとして窒素(N2)を用いた。
【0140】また、実施例4−1、実施例4−2、比較
例4−1、及び比較例4−2に示す各ボールペンリフィ
ール10は、ボール50の材質を超硬合金とし、ホルダー60
の材質をステンレスとし、ボール50の直径を0.7mm
とし、ボール50の表面粗さRaを0.036μmとし、
ボール50の直径に対するボールハウス61の側面部70の内
径の割合(φB/φA)を1.014とし、ボールペン
リフィール10の評価1で示したインク80を用い、25℃
におけるインク80の粘度を30,000mPa・sと
し、ボールペンリフィール10組立て時における加圧ガス
90の圧力を絶対気圧で0.3MPaとした。
【0141】また、「筆記距離」の試験は、組立て後1
年間、50℃の環境下に保管し、その後に、ISO規格
14145−1に準拠した自動筆記試験機を用い、 筆記速度:4.5m/min 筆記角度:60° 筆記負荷:1.96N の条件で筆記不能になるまで行った。
【0142】また、「筆記距離」の評価は、10本のボ
ールペンリフィール10について行った上記試験の結果の
平均値を採り、 (イ)筆記不能になるまでの距離が600m以上であっ
た → 評価「○」 (ロ)筆記不能になるまでの距離が400m以上600
m未満であった → 評価「△」 (ハ)筆記不能になるまでの距離が400m未満であっ
た → 評価「×」
【0143】
【表4】
【0144】このように、実施例4−1及び実施例4−
2の各ボールペンリフィール10は、「筆記距離」が十分
に長かった。すなわち、実施例4−1及び実施例4−2
に示すようにボールペンリフィール10を形成すれば、加
圧ガス90中の酸素(O2)などのガスがインク80の各成
分と反応することによる加圧ガス90の圧力低下を抑える
ことができ、これにより、「筆記距離」が十分に長いボ
ールペンリフィール10とすることができるのである。
【0145】一方、比較例4−1及び比較例4−2の各
ボールペンリフィール10は、「筆記距離」が短くなって
しまった。すなわち、比較例4−1及び比較例4−2に
示すようにボールペンリフィール10を形成すると、加圧
ガス90中の酸素(O2)などのガスがインク80の各成分
と反応することにより、加圧ガス90の圧力が低下してし
まい、これにより、「筆記距離」が短いボールペンリフ
ィール10となってしまうのである。
【0146】また、窒素(N2)以外の反応しにくいガ
スについても、上述した実験と同様の実験を行ったとこ
ろ、上述した評価と同様の評価が得られた。更に、「加
圧ガス90中の反応しにくいガスの割合」の限界数値につ
いての実験を行ったところ、少なくとも、加圧ガス90中
の反応しにくいガスの割合を85%以上にすれば、加圧
ガス90中の酸素(O2)などのガスがインク80の各成分
と反応することによる加圧ガス90の圧力低下を十分に抑
えることができ、これにより、「筆記距離」が十分に長
くなることが確認された。
【0147】また、加圧ガス90中の反応しにくいガスの
割合を85%未満にすると、加圧ガス90中の酸素
(O2)などのガスがインク80の各成分と反応すること
により、加圧ガス90の圧力が低下してしまい、これによ
り、「筆記距離」が短くなってしまうことが確認され
た。 (ボールペンリフィール10の評価5)下記の表5に、実
施例5−1、実施例5−2、比較例5−1、及び比較例
5−2の各ボールペンリフィール10の構成と、これらの
ボールペンリフィール10の「インク80の流れ出し」につ
いての評価をそれぞれ示す。
【0148】ここで、実施例5−1、実施例5−2、比
較例5−1、及び比較例5−2に示す各ボールペンリフ
ィール10は、「フロート100の外径をφC、インク貯蔵
管30の大径部31の内径をφDとしたときにおける、(φ
D−φC)/φCの値」が、それぞれ異なるように形成
したものである。また、実施例5−1、実施例5−2、
比較例5−1、及び比較例5−2に示す各ボールペンリ
フィール10は、ボール50の材質を超硬合金とし、ホルダ
ー60の材質をステンレスとし、ボール50の直径を0.7
mmとし、ボール50の表面粗さRaを0.036μmと
し、ボール50の直径に対するボールハウス61の側面部70
の内径の割合(φB/φA)を1.014とし、フロー
ト100の材質をポリプロピレン(PP)とし、ボールペ
ンリフィール10の評価1で示したインク80を用い、25
℃におけるインク80の粘度を30,000mPa・sと
し、ボールペンリフィール10組立て時における加圧ガス
90の圧力を絶対気圧で0.3MPaとした。
【0149】また、「インク80の流れ出し」の試験は、
ISO規格14145−1に準拠した自動筆記試験機を
用い、 筆記速度:4.5m/min 筆記角度:60° 筆記負荷:1.96N の条件で200m筆記した後、チップ20を上向きにした
状態で、25℃の環境下に3日間保管し、その後、フロ
ート100とインク貯蔵管30との間の間隙からインク80が
加圧ガス90側へ流れ出しているか否かを観察した。
【0150】また、「インク80の流れ出し」の評価は、
10本のボールペンリフィール10について上記試験を行
い、 (イ)フロート100とインク貯蔵管30との間の間隙から
インク80が加圧ガス90側へ流れ出しているものが1本も
なかった → 評価「○」 (ロ)フロート100とインク貯蔵管30との間の間隙から
インク80が加圧ガス90側へ流れ出しているものが1本以
上あった → 評価「×」 とした。
【0151】
【表5】
【0152】このように、実施例5−1及び実施例5−
2の各ボールペンリフィール10は、フロート100とイン
ク貯蔵管30との間の間隙からインク80が加圧ガス90側へ
流れ出すことがなかった。すなわち、実施例5−1及び
実施例5−2に示すようにボールペンリフィール10を形
成すれば、フロート100とインク貯蔵管30との間の間隙
からインク80が加圧ガス90側へ流れ出さないボールペン
リフィール10とすることができるのである。
【0153】一方、比較例5−1及び比較例5−2の各
ボールペンリフィール10は、フロート100とインク貯蔵
管30との間の間隙からインク80が加圧ガス90側へ流れ出
しやすいという欠点を有していた。すなわち、比較例5
−1及び比較例5−2に示すようにボールペンリフィー
ル10を形成すると、フロート100とインク貯蔵管30との
間の間隙からインク80が加圧ガス90側へ流れ出しやすい
ボールペンリフィール10となってしまうのである。
【0154】更に、「(φD−φC)/φCの値」の限
界数値についての実験を行ったところ、少なくとも、
0.0005≦(φD−φC)/φC≦0.043(式
3)となるように形成すれば、フロート100とインク貯
蔵管30との間の間隙からインク80が加圧ガス90側へ流れ
出しにくくなることが確認された。また、0.0005
>(φD−φC)/φCとなるように形成すると、フロ
ート100とインク貯蔵管30との間の間隙が狭すぎて、イ
ンク80の減少に伴うフロート100の移動が円滑に行われ
なくなってしまうことが確認された。
【0155】一方、(φD−φC)/φC>0.043
となるように形成すると、フロート100とインク貯蔵管3
0との間の間隙からインク80が加圧ガス90側へ流れ出し
やすくなってしまうことが確認された。なお、本発明
は、上記実施例に限定されるものではない。
【0156】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に記載し
た発明によれば、フロートとインク貯蔵管との間の間隙
から加圧ガス側へインクが流れ出しにくく、しかも、イ
ンクの減少に伴うフロートの移動が円滑に行われるボー
ルペンリフィールを提供することができるのである。
【0157】また、請求項2に記載した発明によれば、
フロートとインク貯蔵管との間の間隙から加圧ガス側へ
インクがより一層流れ出しにくいボールペンリフィール
を提供することができるのである。更に、請求項3に記
載した発明によれば、フロートとインク貯蔵管との間の
間隙から加圧ガス側へインクがより一層流れ出しにくい
ボールペンリフィールを提供することができるのであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係るボールペンリフィールの側
面断面図。
【図2】図1のA部拡大図。
【図3】図1のB部拡大図。
【図4】チップの要部断面図。
【図5】フロートの斜視図。
【符号の説明】
10 ボールペンリフィール 20 チップ 30 インク貯蔵管 31 大径部 32 中径部 33 小径部 34 内向き段部 35 絞り部 40 尾栓 41 留め具 42 シール部材 50 ボール 60 ホルダー 61 ボールハ
ウス 62 インク誘導孔 63 インク溝 64 カシメ部 65 クリアラ
ンス 66 テーパー部 67 胴体部 68 固定部 69 外向き段
部 70 側面部 71 底面部 72 ボール受け座 80 インク 90 加圧ガス 100 フロー
ト 101 空気溝 102 刳り貫
き部 φA ボールの直径 φB 側面部の
内径 φC フロートの外径 φD 大径部の
内径
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年1月16日(2001.1.1
6)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0058
【補正方法】変更
【補正内容】
【0058】具体的には、例えば、プラスチック材料を
用いて、押し出し成形や射出成形などによってインク貯
蔵管30を形成してもよい。また、インク貯蔵管30は、一
体的に形成される場合に限られるものではない。具体的
には、例えば、インク80を貯蔵するためのインク貯蔵部
と、このインク貯蔵部とチップ20とを連結するための継
手部とを別々に形成し、これらを繋ぎ合わせることによ
ってインク貯蔵管30を形成してもよい。 (インク80)前記インク80は、着色剤、溶剤、構造粘性
付与剤、樹脂、添加剤などを適宜配合することによって
調製されている。 (着色剤)着色剤としては、従来から油性ボールペン用
インクに用いられてきた染料又は顔料の多くを用いるこ
とができる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0061
【補正方法】変更
【補正内容】
【0061】なお、上述した染料又は顔料は、それぞれ
単独で用いてもよく、また、2種以上を適宜組み合わせ
て用いてもよい。また、着色剤の含有量は、インク80の
全量に対して10重量%以上60重量%以下が好まし
い。着色剤の含有量がインク80の全量に対して10重量
%未満では、描線の色が薄く見えてしまい、一方、着色
剤の含有量がインク80の全量に対して60重量%超で
は、インク80が経時的に不安定になってしまうからであ
る。 (溶剤)溶剤としては、従来から油性ボールペン用イン
クに用いられてきた有機溶剤の多くを用いることができ
る。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0073
【補正方法】変更
【補正内容】
【0073】一方、樹脂の含有量がインク80の全量に対
して80%超では、インク80の粘度が高すぎてしまい、
これにより、書き味が重くなってしまうのである。 (添加剤)添加剤としては、従来から油性ボールペン用
インクに用いられてきた増粘剤、曳糸性付与剤、界面活
性剤、分散剤、潤滑剤、発色剤、防菌剤などを用いるこ
とができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インク貯蔵管と、このインク貯蔵管の一
    方側に固定したチップと、インク貯蔵管の反チップ側に
    設けた尾栓とを備え、 前記インク貯蔵管のチップ側には、インクが充填され、 前記インク貯蔵管の反チップ側には、加圧ガスが充填さ
    れ、 前記加圧ガスの圧力により、インクをチップ方向へ押し
    出すようにしたボールペンリフィールであって、 前記インク貯蔵管の内部であって、インクと加圧ガスと
    の間には、インクの減少に伴って一定範囲を移動するフ
    ロートが設けられ、 前記フロートの外径をφC、 前記インク貯蔵管の内径のうち、フロートの移動範囲の
    内径をφD、としたときに、 0.0005≦(φD−φC)/φC≦0.043 を満たすように形成したことを特徴とするボールペンリ
    フィール。
  2. 【請求項2】 インクは、25℃における粘度が、1
    0,000mPa・s以上50,000mPa・s以下
    となるように調製されていることを特徴とする請求項1
    記載のボールペンリフィール。
  3. 【請求項3】 インクは、構造粘性付与剤を含有するこ
    とを特徴とする請求項1又は2記載のボールペンリフィ
    ール。
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