JP2005177818A - 冷間圧延における形状制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 圧延荷重,形状制御手段の制御量,素材クラウン及び圧延前形状を変数とし、板端から距離が異なる複数の個所について板幅中央に対する伸び率差を表す数式モデルを予め作成し、圧延荷重の予測値及び素材クラウン,圧延前形状の実測値を数式モデルに代入し、伸び率差が目標値に一致するように形状制御手段の制御量を算出し、設定する。圧延中の形状制御では、連続的に測定した圧延荷重の実測値及び素材クラウン,圧延前形状の実測値を数式モデルに代入し、伸び率差が目標値に一致するように形状制御手段の制御量を算出し、補正する。
【選択図】 図6
Description
そこで、本発明者等は、圧延荷重と素材クラウンの両方の影響を取り込んだ数式モデルを用いてプリセット制御及び圧延中の形状制御を行うことにより、圧延開始時よりコイル全長にわたって良好な形状をもった鋼帯を製造する方法を開発し、特許文献5として紹介した。
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、圧延前形状の影響を考慮した数式モデルを用いてプリセット制御及び圧延中に形状制御することにより、圧延前形状の影響を補正し、形状精度に優れた圧延材を高生産性で製造できる制御方法を提供することを目的とする。
また、連続的に測定した圧延荷重の実測値及び素材クラウン,圧延前形状の実測値を数式モデルに代入し、伸び率差が目標値に一致するように形状制御手段の制御量を算出し、補正するとき、圧延中の形状制御も可能となる。
この場合にも、連続的に測定した圧延荷重の実測値及び圧延前形状の実測値を数式モデルに代入し、伸び率差が目標値に一致するように形状制御手段の制御量を算出し、補正するとき、圧延中の形状制御も可能となる。
その結果、板端からの距離が異なる複数箇所について板幅中央部に対する伸び率差が圧延前素材の伸び率差と比例関係にあることに着目し、伸び率の差に圧延前形状が与える影響を取り込んだ数式モデルを使用すると、形状制御手段の制御量を高精度で設定及び補正でき、良好な形状をもつ圧延材が製造されることを見出した。
耳伸び,中伸び等の単純な形状不良だけでなく、クォータ伸びや各種伸びが複雑に組み合わさった複合伸びを防止するためには、圧延形状を複数の指標で評価し制御することが要求される。そこで、本発明においては、圧延形状を板端から距離が異なる複数箇所における伸び率と板幅中央との伸び率との差で圧延形状を評価する。
εe=ele−elc ・・・・(1)
εq=elq−elc ・・・・(2)
同様に、圧延前素材の伸び率差ε0e,ε0qは、圧延素材の板端部の伸び率をel0e,クォータ部の伸び率をel0q,板幅中央部の伸び率をel0cとするとき、それぞれ式(3)及び(4)で表される。
ε0e=el0e−el0c ・・・・(3)
ε0q=el0q−el0c ・・・・(4)
なお、板端部及びクォータ部の測定位置については、形状を適切に表し、且つ精度のよい数式モデルが得られるように経験的に定められる。
形状制御手段であるワークロールベンダーも圧延荷重と同様にロール撓みを変化させて圧延形状を変化させるものであり、図2に示すように、ワークロールベンダー力Bと伸び率差εe,εqとの間も線形関係にある。
図4,5に示すように、圧延前素材の伸び率差ε0e,ε0qと圧延後の伸び率差εe,εqとの間も線形関係にある。
以上の各要因相互の関係から、ae,be,ce,de,ee,aq,bq,cq,dq,eqを影響係数として、式(5)、(6)で圧延形状予測式を表わすことができる。
εe=ae・P+be・B+ce+de・Cr+ee・ε0e ・・・・(5)
εq=aq・P+bq・B+cq+dq・Cr+eq・ε0q ・・・・(6)
εe=ae・P+be・B+ce+ee・ε0e ・・・・(7)
εq=aq・P+bq・B+cq+eq・ε0q ・・・・(8)
伸び率差εe,εqがそれぞれ目標値εe 0,εq 0に近づくようなワークロールベンダー力Bの算出に際しては、式(9)で示す評価関数Jが最小となるように、ワークロールベンダー力Bを算出し、設定する。式中,we,wqは重み係数を示す。
J=we(εe−εe 0)2+wq(εq−εq 0)2 ・・・・(9)
このような場合には、素材クラウンの影響を考慮して形状予測式(5)、(6)を用いて形状制御を行う。
この場合には、ワークロールベンダー力Bの初期設定に際しては、圧延荷重Pを予測し、圧延荷重Pの予測値及び圧延前素材の伸び率差ε0e,ε0qの測定値から、式(9)で示す評価関数Jが最小となるようにワークロールベンダー力Bを算出し、設定する。形状検出器が配置されている圧延機では、本発明による方法によりワークロールベンダー力を初期設定した後、形状検出器で得られた圧延材の形状測定結果に基づいて圧延中にも形状制御できる。形状検出器を備えていない圧延機では、圧延荷重Pを連続的に測定し、圧延荷重Pの測定値及び圧延前素材の伸び率差ε0e,ε0qの測定値から、式(9)で示す評価関数Jが最小となるようにワークロールベンダー力の制御量Bを算出し、補正する。
使用する形状制御手段は、ワークロールベンダーに限ったものではなく、6段圧延機の形状制御手段である中間ロールベンダーや中間ロールシフトを用いる場合にも、圧延形状予測式を式(5),(6)、又は式(7),(8)と同様な線形式で表し、中間ロールベンダー,中間ロールシフト等を設定又は補正できる。
εe=ae・P+be・B+ce+de・Cr+ee・ε0e+fe・I ・・・・(10)
εq=aq・P+bq・B+cq+dq・Cr+eq・ε0q+fq・I ・・・・(11)
εe=ae・P+be・B+ce+ee・ε0e+fe・I ・・・・(12)
εq=aq・P+bq・B+cq+eq・ε0q+fq・I ・・・・(13)
ここで、Iは中間ロールベンダー力、fe,fqは影響係数である。
比較のため、特許文献5で紹介した方法によりプリセット制御し、圧延開始後は形状検出器の出力値に基づいて制御しながらスキンパス圧延した。
これに対し、圧延前形状の影響を考慮していない比較法では、圧延後半に急峻度が0.5%以内に収束したが、圧延初期は圧延前素材の形状が残存し、急峻度は0.8%以上と大きな値であった。
圧延開始時には式(5),(6),(9)に基づいてワークロールベンダー力Bを設定し、圧延中には荷重計5で圧延荷重Pを連続測定し、測定結果を上位コンピュータ3に入力した。そして、圧延荷重Pの実測値と素材クラウンCr及び圧延前素材の伸び率差ε0e,ε0qの実測値を式(5),(6),(9)に代入して伸び率差εe,εqが目標値εe 0,εq 0に一致するようにワークロールベンダー力Bを補正した。
スキンパス後の鋼帯は、図8に示すように、圧延開始からコイル全長にわたって急峻度が0.5%以内に収められた良好な形状であった。
他方、圧延前形状の影響を考慮しない比較法では、圧延前形状が残存し、急峻度は0.8%前後で推移していた。
比較のため、特許文献5で紹介した方法によりプリセット制御し、圧延開始後は形状検出器の出力値に基づいて制御しながら圧延した。
これに対し、圧延前形状の影響を考慮しない比較法では、圧延後半に急峻度が0.5%以内に収束したが、圧延初期は圧延前素材の形状が残存し、急峻度は0.8%以上と大きな値であった。
圧延開始時には式(9),(12),(13)に基づいてワークロールベンダー力B及び中間ロールベンダー力Iを設定し、圧延中には荷重計5で圧延荷重Pを連続測定し、測定結果を上位コンピュータ3に入力した。そして、圧延荷重Pの実測値及び圧延前素材の伸び率差ε0e,ε0qの実測値を式(9),(12),(13)に代入して伸び率差εe,εqが目標値εe 0,εq 0に一致するようにワークロールベンダー力B及び中間ロールベンダー力Iを補正した。
圧延された鋼帯は、図11に示すように、圧延開始からコイル全長にわたって急峻度が0.5%以内に収められた良好な形状であった。
他方、圧延前形状の影響を考慮しない比較法では、圧延前形状が残存し、急峻度は0.8%前後で推移していた。
4:プロセスコンピュータ 5:荷重計 6:6段圧延機
7:中間ロールベンダー
Claims (4)
- 圧延荷重,形状制御手段の制御量,素材クラウン及び圧延前形状を変数とし、板端から距離が異なる複数の箇所について板幅中央に対する伸び率差を表す数式モデルを予め作成し、圧延荷重の予測値及び素材クラウン,圧延前形状の実測値を数式モデルに代入し、伸び率差が目標値に一致するように形状制御手段の制御量を算出し、設定することを特徴とする冷間圧延における形状制御方法。
- 圧延荷重,形状制御手段の制御量,素材クラウン及び圧延前形状を変数とし、板端から距離が異なる複数の箇所について板幅中央に対する伸び率差を表す数式モデルを予め作成し、連続的に測定した圧延荷重の実測値及び素材クラウン,圧延前形状の実測値を数式モデルに代入し、伸び率差が目標値に一致するように形状制御手段の制御量を算出し、補正することを特徴とする冷間圧延における形状制御方法。
- 圧延荷重,形状制御手段の制御量及び圧延前形状を変数とし、板端から距離が異なる複数の箇所について板幅中央に対する伸び率差を表す数式モデルを予め作成し、圧延荷重の予測値及び圧延前形状の実測値を数式モデルに代入し、伸び率差が目標値に一致するように形状制御手段の制御量を算出し、設定することを特徴とする冷間圧延における形状制御方法。
- 圧延荷重,形状制御手段の制御量及び圧延前形状を変数とし、板端から距離が異なる複数の箇所について板幅中央に対する伸び率差を表す数式モデルを予め作成し、連続的に測定した圧延荷重の実測値及び圧延前形状の実測値を数式モデルに代入し、伸び率差が目標値に一致するように形状制御手段の制御量を算出し、補正することを特徴とする冷間圧延における形状制御方法。
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