JP2005176484A - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 車両の乗員が走行挙動に対して違和感を感じることを防止しつつ蓄電装置の温度状態を所望の状態に設定する。
【解決手段】 バッテリ温度TBが所定温度#TBL未満となる高圧バッテリの低温状態あるいは冷却水温度TWが所定温度#TWL未満となる内燃機関の低温状態において、非駆動状態のモータの所定相のみに継続して通電を行うことで、モータは非駆動状態のままで高圧バッテリの放電電流を増大させ、高圧バッテリの内部抵抗による自己発熱およびモータの所定相のステータ巻線の巻線抵抗による自己加熱を促進させる。
【選択図】 図4
Description
このようなハイブリッド車両の制御装置としては、例えば内燃機関の出力をモータの出力により補助するアシスト動作に対してモータによるアシスト量を増大させる制御と、モータを発電機として作動させて発電により発生した電気エネルギーをバッテリに充電する強制充電の制御とを交互に繰り返すことでバッテリの放電電流および充電電流を増大させ、内部抵抗による自己発熱を促進させることでバッテリの温度を昇温させる制御装置(例えば、特許文献1参照)が知られている。
また、例えば内燃機関の駆動力による車両走行状態であっても、バッテリからモータへ電力を供給してモータを力行運転させたり、モータを発電機として作動させて発電により発生した電気エネルギーをバッテリに充電させることによって、バッテリの放電電流および充電電流を増大させ、内部抵抗による自己発熱を促進させることでバッテリの温度を昇温させる制御装置(例えば、特許文献2参照)が知られている。
また、請求項2に記載の本発明のハイブリッド車両の制御装置によれば、モータは非駆動状態のままで所定相のステータ巻線の巻線抵抗による自己発熱を促進させることができ、このモータの発熱によって内燃機関を昇温させることができる。
さらに、請求項3に記載の本発明のハイブリッド車両の制御装置によれば、蓄電装置や内燃機関の温度が低下することに伴い加温要求量を増大させることで、蓄電装置や内燃機関を所望の温度まで昇温させるのに要する時間が長くなってしまうことを防止することができる。
さらに、請求項4から請求項8に記載の本発明のハイブリッド車両の制御装置によれば、蓄電装置が過剰に放電することによって劣化が生じてしまうことを防止することができる。
さらに、請求項9に記載の本発明のハイブリッド車両の制御装置によれば、モータの自己発熱によって間接的に内燃機関を所望の温度まで昇温させることができる。
図1はこの発明の実施形態に係るパラレルハイブリッド車両1(以下、単に、ハイブリッド車両1と呼ぶ)を示し、内燃機関(ENG)11、モータ(MOT)12、トランスミッション(T/M)13を直列に直結した構造のものである。内燃機関11およびモータ12の両方の駆動力は、例えばオートマチックトランスミッション(AT)あるいはマニュアルトランスミッション(MT)等のトランスミッション13から左右の駆動輪(前輪あるいは後輪)W,W間で駆動力を配分するディファレンシャル(図示略)を介して車両の駆動輪W,Wに伝達される。また、ハイブリッド車両1の減速時に駆動輪W側からモータ12側に駆動力が伝達されると、モータ12は発電機として機能していわゆる回生制動力を発生し、車体の運動エネルギーを電気エネルギーとして回収する。さらに、ハイブリッド車両1の運転状態に応じて、モータ12は内燃機関11の出力によって発電機として駆動され、発電エネルギーを発生するようになっている。
このブリッジ回路14aは、複数のスイッチング素子であるトランジスタTU1,TU2,TV1,TV2,TW1,TW2を備えて構成され、これらのトランジスタTU1,…,TW2は、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar mode Transistor)とされている。
トランジスタTU1,TU2,TV1,TV2,TW1,TW2のコレクタ−エミッタ間には、それぞれダイオードDU1,DU2,DV1,DV2,DW1,DW2が配置され、各トランジスタTU1,TU2,TV1,TV2,TW1,TW2のエミッタに、各ダイオードDU1,DU2,DV1,DV2,DW1,DW2のアノードが接続され、各コレクタには、各ダイオードDU1,DU2,DV1,DV2,DW1,DW2のカソードが接続されている。
また、モータ12に備えられた3相(U相、V相、W相)の各交流入出力端子12U,12V,12Wには、ブリッジ回路14aの各交流入出力端子14U,14V,14Wが接続されている。ここで、交流入出力端子14UはトランジスタTU1のエミッタおよびトランジスタTU2のコレクタに接続され、交流入出力端子14VはトランジスタTV1のエミッタおよびトランジスタTV2のコレクタに接続され、交流入出力端子14WはトランジスタTW1のエミッタおよびトランジスタTW2のコレクタに接続されている。
そして、平滑コンデンサ14bは直流入出力端子14P,14N間に接続されている。
そして、パワードライブユニット14は、制御装置16からの制御指令を受けてモータ12の駆動及び回生作動を制御する。例えばモータ12の駆動時には、制御装置16から出力されるトルク指令に基づき、高圧バッテリ15から出力される直流電力を3相交流電力に変換してモータ12へ供給する。一方、モータ12の回生動作時には、モータ12から出力される3相交流電力を直流電力に変換して高圧バッテリ15を充電する。
このパワードライブユニット14の電力変換動作は、制御装置16からブリッジ回路14aの各トランジスタTU1,TU2,TV1,TV2,TW1,TW2のゲートに入力されるパルス、つまりパルス幅変調(PWM)により各トランジスタTU1,TU2,TV1,TV2,TW1,TW2をオン/オフ駆動させるためのパルスに応じて制御され、このパルスのデューティ、つまりオン/オフの比率のマップ(データ)は予め制御装置16に記憶されている。
制御装置16により電力変換動作が制御されるDC−DCコンバータ19は、例えば双方向のDC−DCコンバータであって、高圧バッテリ15の端子間電圧(蓄電電圧VB)あるいはモータ12を回生作動または昇圧駆動した際のパワードライブユニット14の端子間電圧を所定の電圧値まで降圧して12Vバッテリ18を充電すると共に、高圧バッテリ15の残容量(SOC:State Of Charge)が低下している場合には、12Vバッテリ18の端子間電圧を昇圧して高圧バッテリ15を充電可能である。
このため、制御装置16には、例えばパワープラント(つまり内燃機関11およびモータ12)の状態を検出する各種のセンサ(例えば、内燃機関11の回転数を検出する回転数センサや、モータ12のロータの磁極位置(位相角)を検出する回転角センサ等)から出力される信号およびハイブリッド車両1の状態を検出する各種のセンサ(例えば、速度を検出する車速センサ等)から出力される信号に加えて、高圧バッテリ15の蓄電電圧VBを検出する電圧センサ21から出力される信号と、高圧バッテリ15の充電電流および放電電流を検出する電流センサ22から出力される信号と、高圧バッテリ15の温度(バッテリ温度)TBを検出する温度センサ23から出力される信号とが入力されている。
例えば、制御装置16がパワードライブユニット14を制御して高圧バッテリ15を充電する際には、制御装置16は回転角センサの出力波形に基づいてブリッジ回路14aへ送出するパルスの同期をとりつつ、ブリッジ回路14aによって所定の電圧値まで昇圧を行う。すなわち、制御装置16は、所定の電圧値を得るためのモータ12の回転数に応じたデューティのマップ(データ)等を予め記憶しており、制御装置16は、このマップ(データ)を参照して、ブリッジ回路14a内の各トランジスタTU1,TU2,TV1,TV2,TW1,TW2をオン/オフ駆動させるためのパルスのデューティを制御する。
この冷却システムにおいて、内燃機関11のウォータジャケットから排出される冷却水の温度(冷却水温度TW)を検出する第1の温度センサ33と、モータ12の冷却流路から排出される冷却水の温度(冷却水温度TM)を検出する第2の温度センサ34とが備えられ、各温度センサ33,34から出力される信号が制御装置16に入力されている。
次に、ステップS02においては、第1の温度センサ33によって検出される内燃機関11のウォータジャケットから排出される冷却水の温度(冷却水温度TW)を入力する。
次に、ステップS03においては、バッテリ温度TBが所定温度#TBL未満となる低温状態であるか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、ステップS04に進む。
なお、所定温度#TBLはヒステリシスを有する値である。
そして、ステップS04においては、バッテリ温度TBに応じたバッテリ通電要求量RBを算出し、後述するステップS09に進む。ここで、制御装置16には、例えば図5に示すように、バッテリ温度TBに対して、バッテリ通電要求量RBに応じた所定の通電率の変化を示すマップ(データ)等が予め記憶されており、バッテリ温度TBがヒステリシスを有する所定温度#TU(例えば、低側#TU2)から低下することに伴い、通電率が増大傾向に変化するように設定され、バッテリ温度TBが所定温度#TU(例えば、高側#TU1)を超えて増大すると通電率がゼロ(つまり、高圧バッテリ15の放電電流がゼロであって、高圧バッテリ15の自己加熱による加温動作の実行禁止)となるように設定されている。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS05に進む。
この判定結果が「YES」の場合には、一連の処理を終了する。
なお、所定温度#TBUはヒステリシスを有する値である。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS06に進む。
ステップS06においては、冷却水温度TWが所定温度#TWL未満となる内燃機関11の低温状態であるか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、一連の処理を終了する。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS07に進む。
なお、所定温度#TWLはヒステリシスを有する値である。
ステップS07においては、例えば第2の温度センサ34によって検出されるモータ12の冷却流路から排出される冷却水の温度(冷却水温度TM)に基づき、モータ12およびパワードライブユニット14が高温状態であるか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、一連の処理を終了する。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS08に進み、冷却水温度TWに応じたエンジン通電要求量REを算出し、ステップS09に進む。
この判定結果が「YES」の場合には、一連の処理を終了する。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS10に進む。
なお、所定の下限値#SLはヒステリシスを有する値である。
ステップS10においては、バッテリ通電要求量RBがエンジン通電要求量REよりも大きいか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、ステップS11に進み、通電要求にバッテリ通電要求量RBを設定して、ステップS13に進む。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS12に進み、通電要求にエンジン通電要求量REを設定して、ステップS13に進む。
ステップS13においては、設定した通電要求を高圧バッテリ15の放電可能量に応じて制限する。ここで、制御装置16には、例えば図7に示すように、バッテリ温度TBに対して、高圧バッテリ15の放電可能量に応じた所定の通電率の変化を示すマップ(データ)等が予め記憶されており、バッテリ温度TBが相対的に低温領域において低下することに伴い、あるいは、バッテリ温度TBが相対的に高温領域において増大することに伴い、通電率が低下傾向に変化するように設定されている。また、バッテリ温度TBが低温領域と高温領域との中間領域に向かい低温領域から増大することに伴い、あるいは、中間領域に向かい高温領域から低下することに伴い、通電率が増大傾向に変化するように設定されている。さらに、バッテリ温度TBが低温領域の所定温度#TL未満に低下すると通電率がゼロ(つまり、高圧バッテリ15の放電電流がゼロであって、高圧バッテリ15の自己加熱による加温動作の実行禁止)となるように設定されている。
このステップS14での2相通電では、例えば図2に示すように、コレクタが直流入出力端子14Pに接続されている各トランジスタTU1,TV1,TW1と、エミッタが直流入出力端子14Nに接続されている各トランジスタTU2,TV2,TW2との2組から、互いに異なる相の組み合わせとなる各1つのトランジスタ(例えば、トランジスタTU1とトランジスタTV2等)を選択して、この組み合わせに対して通電を継続する。この場合、複数相に対する通電を転流させないことから、モータ12に回転トルクは発生しないことになる。
また、ハイブリッド車両1の始動時等において内燃機関11が低温状態である場合にも、非駆動状態のモータ12の所定相のみに継続して通電を行うことで、モータ12は非駆動状態のままで所定相のステータ巻線の巻線抵抗による自己発熱を促進させることができ、このモータ12の自己加熱によって、モータ12に連結された内燃機関11を昇温させることができる。これにより、内燃機関11の暖機に要する時間を短縮することができると共に、暖機時の排気ガスに含まれる有害成分を低減することができる。
しかも、高圧バッテリ15の残容量(SOC)が所定の下限値#SL未満となる状態や、バッテリ温度TBが低温領域の所定温度#TL未満に低下する極低温状態では、高圧バッテリ15の放電電流を増大させる制御の実行を規制することによって、高圧バッテリ15が過剰に放電してしまうことを防止し、高圧バッテリ15に劣化が生じることを抑制することができる。
また、上述した実施の形態においては、第2の温度センサ34によって検出されるモータ12の冷却流路から排出される冷却水の温度(冷却水温度TM)に基づき、モータ12およびパワードライブユニット14が高温状態であるか否かを判定したが、これに限定されず、例えば第2の温度センサ34の代わりに、モータ12の温度やパワードライブユニット14の温度やDC−DCコンバータの温度を検出する各温度センサを備え、これらの温度センサから出力される検出信号に基づいて、モータ12およびパワードライブユニット14が高温状態であるか否かを判定してもよい。
12 モータ
14 パワードライブユニット(通電切換手段)
15 高圧バッテリ(蓄電装置)
16 制御装置(電流積算量取得手段、禁止手段、残容量取得手段)
23 温度センサ(温度取得手段)
ステップS04、ステップS08、ステップS11〜ステップS13 加温要求量設定手段
ステップS14 蓄電装置加熱手段、モータ加熱手段
Claims (9)
- 車両の動力源としての内燃機関および複数相のモータと、複数のスイッチング素子からなり前記モータの複数相に対する通電を順次転流させる通電切換手段と、前記モータと電気エネルギーの授受を行う蓄電装置とを備え、
少なくとも前記内燃機関または前記モータの何れか一方の駆動力を駆動輪に伝達して走行可能なハイブリッド車両の制御装置であって、
前記蓄電装置の温度を検出または推定する温度取得手段と、
加温要求量を設定する加温要求量設定手段と、
前記温度取得手段にて取得された前記蓄電装置の温度が所定温度未満、かつ、前記モータが非駆動状態において、前記蓄電装置から前記通電切換手段に供給される電力により前記複数相のうちの所定相のみに通電して前記蓄電装置を放電状態に設定することで前記蓄電装置を前記加温要求量に応じて自己加熱する蓄電装置加熱手段と
を備えることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 車両の動力源としての内燃機関および複数相のモータと、複数のスイッチング素子からなり前記モータの複数相に対する通電を順次転流させる通電切換手段と、前記モータと電気エネルギーの授受を行う蓄電装置とを備え、
少なくとも前記内燃機関または前記モータの何れか一方の駆動力を駆動輪に伝達して走行可能なハイブリッド車両の制御装置であって、
前記内燃機関の温度を検出または推定する機関温度取得手段と、
加温要求量を設定する加温要求量設定手段と、
前記機関温度取得手段にて取得された前記内燃機関の温度が所定温度未満、かつ、前記モータが非駆動状態において、前記蓄電装置から前記通電切換手段に供給される電力により前記複数相のうちの所定相のみに通電することで前記モータを前記加温要求量に応じて自己加熱するモータ加熱手段と
を備えることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 前記加温要求量設定手段は、少なくとも前記温度取得手段にて取得された前記蓄電装置の温度または前記機関温度取得手段にて取得された前記内燃機関の温度が低下することに伴い前記加温要求量が増大傾向に変化するように設定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のハイブリッド車両の制御装置。
- 前記加温要求量設定手段は、前記温度取得手段にて取得された前記蓄電装置の温度が相対的に低温領域および高温領域である場合の前記加温要求量が、前記温度取得手段にて取得された前記蓄電装置の温度が前記低温領域と前記高温領域との中間領域である場合の前記加温要求量よりも小さくなるように設定することを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。
- 前記蓄電装置の残容量を検出または推定する残容量取得手段を備え、
前記加温要求量設定手段は、前記残容量取得手段にて取得された前記蓄電装置の残容量が低下することに伴い前記加温要求量が減少傾向に変化するように設定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のハイブリッド車両の制御装置。 - 前記蓄電装置の残容量を検出または推定する残容量取得手段と、
前記残容量取得手段にて取得された前記蓄電装置の残容量が所定の下限残容量よりも小さい場合に前記蓄電装置加熱手段の作動を禁止する禁止手段と
を備えることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。 - 前記蓄電装置の放電電流および充電電流の積算量である電流積算量を検出または推定する電流積算量取得手段と、
前記放電電流を正として前記電流積算量取得手段にて取得された前記電流積算量が所定の上限電流積算量よりも大きい場合に前記蓄電装置加熱手段の作動を禁止する禁止手段と
を備えることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。 - 前記蓄電装置加熱手段の作動時間が所定時間を超えた場合に前記蓄電装置加熱手段の作動を禁止する禁止手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。
- 少なくとも前記内燃機関と前記モータとが互いに連結されている構造および前記モータのケーシングと前記内燃機関とが連結されている構造および前記内燃機関と前記モータとが冷却水を共有する構造のうちの何れかひとつの構造を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のハイブリッド車両の制御装置。
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