JP2012080674A - 電動車両 - Google Patents
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Abstract
【課題】昇降圧コンバータのリアクトルの推定温度による電動機の駆動制限をより適正に行なう。
【解決手段】昇降圧コンバータのリアクトルの推定温度TLを現在までに演算されたリアクトルの推定温度とバッテリの充放電電流Ibとに基づいて演算すると共に、演算したリアクトルの推定温度TLが昇降圧コンバータを冷却する冷却システムの冷却水温Twが低いほど高くなるように定められた閾値より高いときには、バッテリを充放電してもよい最大許容電力である入出力制限Win,Woutを制限した実行用入出力制限Winf,Woutfの範囲内で駆動軸に要求される要求トルクTr*が出力されて走行するようモータと昇降圧コンバータとを制御する。これにより、昇降圧コンバータのリアクトルの推定温度TLによるモータの駆動制限をより適正に行なうことができる。
【選択図】図4
【解決手段】昇降圧コンバータのリアクトルの推定温度TLを現在までに演算されたリアクトルの推定温度とバッテリの充放電電流Ibとに基づいて演算すると共に、演算したリアクトルの推定温度TLが昇降圧コンバータを冷却する冷却システムの冷却水温Twが低いほど高くなるように定められた閾値より高いときには、バッテリを充放電してもよい最大許容電力である入出力制限Win,Woutを制限した実行用入出力制限Winf,Woutfの範囲内で駆動軸に要求される要求トルクTr*が出力されて走行するようモータと昇降圧コンバータとを制御する。これにより、昇降圧コンバータのリアクトルの推定温度TLによるモータの駆動制限をより適正に行なうことができる。
【選択図】図4
Description
本発明は、電動車両に関し、詳しくは、二次電池と電動機との間で電圧を調整しながら電力のやりとりを行なう昇降圧コンバータのリアクトルの推定温度を反映したリアクトル温度反映値が閾値より高いときには、二次電池を充放電してもよい最大許容電力である入出力制限を制限した実行用入出力制限の範囲内で走行に要求される要求駆動力が出力されて走行するよう電動機と昇降圧コンバータとを制御する電動車両に関する。
従来、この種の電動車両としては、走行用の動力を出力するモータと、バッテリと、バッテリとモータとに接続され2つのトランジスタとリアクトルとを有する昇圧回路と、昇圧回路を冷却水により冷却する冷却システムとを備え、バッテリの充放電電流と昇圧回路の昇圧比と冷却システムの冷却水温とに基づいて予め定めたマップを用いて昇圧回路のリアクトル温度を推定し、推定したリアクトル温度が所定値を超えると小さくなるようにバッテリを充放電してもよい最大電力としての入出力制限を設定し、設定した入出力制限を用いて制限したトルク指令でモータを駆動制御するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
上述の電動車両では、昇圧回路のリアクトルにはある程度の大きさの熱容量があるなどの特性があるため、現在までに推定されたリアクトル温度にバッテリの充放電電流による温度変化の影響を反映させることによって、リアクトル温度を推定することも考えられる。この場合、推定したリアクトル温度が所定値を超えると一律に小さくなるようにバッテリの入出力制限を設定してモータのトルク指令を制限すると、リアクトル温度が耐熱温度に至るまでに余裕があるときでもモータからのトルクが制限されるなど、モータの駆動制限を適正に行なうことができない場合が生じる。
本発明の電動車両は、昇降圧コンバータのリアクトルの推定温度による電動機の駆動制限をより適正に行なうことを主目的とする。
本発明の電動車両は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の電動車両は、
走行用の動力を入出力可能な電動機と、二次電池と、複数のスイッチング素子とリアクトルとを有し前記二次電池と前記電動機との間で電圧を調整しながら電力のやりとりを行なう昇降圧コンバータと、前記昇降圧コンバータを冷却液により冷却する冷却装置と、前記昇降圧コンバータのリアクトルの推定温度を反映したリアクトル温度反映値を現在までに演算された前記リアクトル温度反映値と前記二次電池の充放電電流とに基づいて演算すると共に、前記演算したリアクトル温度反映値が閾値より高いときには前記二次電池を充放電してもよい最大許容電力である入出力制限を制限した実行用入出力制限の範囲内で走行に要求される要求駆動力が出力されて走行するよう前記電動機と前記昇降圧コンバータとを制御する制御手段と、を備える電動車両において、
前記閾値は、前記冷却装置の冷却水の温度が低いほど高くなる傾向に設定されている、
ことを特徴とする。
走行用の動力を入出力可能な電動機と、二次電池と、複数のスイッチング素子とリアクトルとを有し前記二次電池と前記電動機との間で電圧を調整しながら電力のやりとりを行なう昇降圧コンバータと、前記昇降圧コンバータを冷却液により冷却する冷却装置と、前記昇降圧コンバータのリアクトルの推定温度を反映したリアクトル温度反映値を現在までに演算された前記リアクトル温度反映値と前記二次電池の充放電電流とに基づいて演算すると共に、前記演算したリアクトル温度反映値が閾値より高いときには前記二次電池を充放電してもよい最大許容電力である入出力制限を制限した実行用入出力制限の範囲内で走行に要求される要求駆動力が出力されて走行するよう前記電動機と前記昇降圧コンバータとを制御する制御手段と、を備える電動車両において、
前記閾値は、前記冷却装置の冷却水の温度が低いほど高くなる傾向に設定されている、
ことを特徴とする。
この本発明の電動車両では、昇降圧コンバータのリアクトルの推定温度を反映したリアクトル温度反映値を現在までに演算されたリアクトル温度反映値と二次電池の充放電電流とに基づいて演算すると共に、演算したリアクトル温度反映値が昇降圧コンバータを冷却する冷却装置の冷却水の温度が低いほど高くなる傾向に設定された閾値より高いときには、二次電池を充放電してもよい最大許容電力である入出力制限を制限した実行用入出力制限の範囲内で走行に要求される要求駆動力が出力されて走行するよう電動機と昇降圧コンバータとを制御する。リアクトルの温度が高いときでも冷却装置の冷却液の温度が低いほどリアクトルの温度上昇は抑制されやすい。したがって、冷却装置の冷却液の温度が低いほど高くなる傾向に設定された閾値を用いることにより、冷却装置の冷却水の温度に拘わらずに設定された閾値(例えば、冷却装置の冷却水の温度が想定される上限水温であることを前提としてリアクトルの温度が許容される上限温度を超えないように設定された閾値など)を用いるものに比して、昇降圧コンバータのリアクトルの推定温度による電動機の駆動制限をより適正に行なうことができる。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例としての電気自動車20の構成の概略を示す構成図であり、図2は、モータ32を含む電気系の構成の概略を示す構成図である。実施例の電気自動車20は、図1に示すように、駆動輪26a,26bにデファレンシャルギヤ24を介して連結された駆動軸22に回転子が接続された同期発電電動機としてのモータ32と、モータ32を駆動するためのインバータ34と、二次電池として構成されたバッテリ50と、バッテリ50からの電力を昇圧してインバータ34側(以下、高電圧系という)に供給し高電圧系からの電力を降圧してバッテリ50側(以下、低電圧系という)に供給する昇降圧コンバータ42と、モータ32が駆動されるようインバータ34を制御すると共に昇降圧コンバータ42を制御するモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)36と、車両全体をコントロールするメイン電子制御ユニット(以下、メインECUという)60と、を備える。
図2に示すように、インバータ34は、6つのトランジスタT11〜T16とトランジスタT11〜T16に逆方向に並列接続された6つのダイオードD11〜D16とにより構成されている。トランジスタT11〜T16は、高電圧系の電力ライン48の正極母線48aと負極母線48bとに対してソース側とシンク側になるよう2個ずつペアで配置されており、対となるトランジスタ同士の接続点の各々にモータ32の三相コイル(U相,V相,W相)の各々が接続されている。また、昇降圧コンバータ42は、2つのトランジスタT21,T22とトランジスタT21,T22に逆方向に並列接続された2つのダイオードD21,D22とリアクトルLとにより構成されている。2つのトランジスタT21,T22は、それぞれ高電圧系の電力ライン48の正極母線48aと負極母線48bとに接続されており、その接続点にリアクトルLが接続されている。リアクトルLと負極母線48bとにはそれぞれバッテリ50の正極端子と負極端子とが接続されている。
さらに、実施例の電気自動車20は、モータ32の冷却やインバータ34および昇降圧コンバータ42の各種素子が取り付けられた基板49の冷却を行なう電気系用の冷却システム70を備える。冷却システム70は、循環流路72内を循環するように冷却水を圧送する電動ポンプ74と、電動ポンプ74により圧送されてモータ32を冷却した冷却水と外気との熱交換を行なうラジエータ76とを備え、ラジエータ76内を通過して基板49を冷却した冷却水を電動ポンプ74が吸引し圧送することによって、冷却水を循環させている。なお、電動ポンプ74は、実施例では、イグニッションオンされてからイグニッションオフされるまでは常時駆動されているものとした。
メインECU60は、図示しないCPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM,入出力ポートおよび通信ポートを備える。メインECU60は、バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧やバッテリ50の出力端子に接続された電力ラインに取り付けられた電流センサ51からの充放電電流Ib,バッテリ50に取り付けられた温度センサ52からの電池温度Tbなどのバッテリ50を管理するのに必要な信号,イグニッションスイッチ61からのイグニッション信号,シフトレバーのポジションを検出するシフトポジションセンサ62からのシフトポジションSP,アクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ64からのアクセル開度Acc,ブレーキペダルの踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ66からのブレーキポジションBP,車速センサ68からの車速Vなどを入力ポートを介して入力すると共に、種々の信号を出力ポートを介して出力する。また、メインECU60は、通信ポートを介してモータECU36と接続されており、モータECU36に各種制御信号を出力すると共にモータECU36から各種データを必要に応じて入力する。さらに、メインECU60は、電流センサ51からの充放電電流Ibの積算値に基づいてバッテリ50の残容量(SOC)を演算したり、演算した残容量(SOC)と温度センサ52からの電池温度Tbとに基づいてバッテリ50を充放電してもよい最大許容電力である入出力制限Win,Woutを演算している。バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、電池温度Tbに基づいて入出力制限Win,Woutの基本値を設定し、バッテリ50の残容量(SOC)に基づいて出力制限用補正係数と入力制限用補正係数とを設定し、設定した入出力制限Win,Woutの基本値に補正係数を乗じることにより設定することができる。
モータECU36は、図示しないCPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM,入出力ポートおよび通信ポートを備える。モータECU36は、モータ32の回転子の回転位置を検出する図示しない回転位置検出センサからの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータ32に印加される相電流などのモータ32やインバータ34の状態を検出する種々のセンサからの信号,高電圧系の電圧を平滑するコンデンサ44の電圧を検出する電圧センサ45からの電圧VH,低電圧系の電圧を平滑するコンデンサ46の電圧を検出する電圧センサ47からの電圧VL,冷却システム70の循環流路72に取り付けられて冷却水の温度を検出する温度センサ78からの冷却水温Twなどを入力すると共に、インバータ34のトランジスタT11〜T16をスイッチング制御することによってモータ32を駆動したり昇降圧コンバータ42のトランジスタT21,T22をスイッチング制御する。また、モータECU36は、回転位置検出センサからの信号に基づいてモータ32の回転数Nmを演算したり、メインECU60から通信により入力したバッテリ50の充放電電流Ibに基づいて昇降圧コンバータ42のリアクトルLの推定温度TLを演算している。リアクトルLの推定温度TLは、所定時間t毎(例えば数msec毎)に繰り返し実行される図示しない温度推定ルーチンにより演算することができる。温度推定ルーチンでは、所定時間t前のリアクトルLの推定温度とバッテリ50の充放電電流Ibと現在のリアクトルLの推定温度TLとの関係を実験や解析などにより求めることにより推定温度TLを表す評価関数を予め設定して図示しないROMに記憶しておき、記憶した評価関数に前回このルーチンを実行したときに演算した推定温度(前回TL)とバッテリ50の充放電電流Ibとを与えることにより推定温度TLを演算するものとした。図3の上段に、バッテリ50の充放電電流Ibと演算されたリアクトルLの推定温度TLとの時間変化の様子の一例を示す。図3の下段については後述する。リアクトルLの推定温度TLを所定時間t前のリアクトルLの温度とバッテリ50の充放電電流Ibとに基づいて演算するのは、リアクトルLにはある程度の大きさの熱容量があるためなどの理由に基づく。
実施例の電気自動車20は、基本的には、メインECU60とモータECU36とにより実行される以下に説明する駆動制御によって走行する。メインECU60では、まず、アクセルペダルポジションセンサ64からのアクセル開度Accと車速センサ68からの車速Vとに応じて走行のために駆動軸22に要求される要求トルクTr*を設定し、バッテリ60を充放電することができる最大電力としての入出力制限Win,Woutの範囲内で要求トルクTr*をモータ32のトルク指令Tm*に設定し、設定したトルク指令Tm*をモータECU36に送信する。モータECU36では、モータ32のトルク指令Tm*を受信すると、モータ32の回転数Nmと受信したトルク指令Tm*とに基づいてインバータ34に印加すべき高電圧系の目標電圧VH*を設定し、モータ32が設定したトルク指令Tm*で駆動されるようインバータ34をスイッチング制御すると共に、高電圧系の電圧VHが設定された目標電圧VH*になるよう昇降圧コンバータ42をスイッチング制御する。実施例の電気自動車20は、こうした制御により、基本的にはバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内でアクセル開度Accに応じた要求トルクTr*を駆動軸22に出力して走行する。
また、実施例の電気自動車20では、昇降圧コンバータ42のリアクトルLが高温になったときにリアクトルLの更なる温度上昇が抑制されるよう、メインECU60により図示しない実行用入出力制限設定ルーチンを実行することによって、リアクトルLの推定温度TLによるモータ32の駆動制限が行なわれる。このルーチンは所定時間毎(例えば数msec毎)に繰り返し実行される。実行用入出力制限設定ルーチンでは、メインECU60のCPUは、まず、昇降圧コンバータ42のリアクトルLの推定温度TLと電気系の冷却システム70の温度センサ78により検出された冷却水温TwとをモータECU36から通信により入力し、入力したリアクトルLの推定温度TLと冷却水温Twとに基づいてバッテリ50の入出力制限Win,Woutを制限するための制限係数kwを値1以下の正の係数として設定し、設定した制限係数kwが値1未満であるか否かを判定する。制限係数kwの設定は、リアクトルLの更なる温度上昇の抑制を開始するか否か及びリアクトルLの更なる温度上昇を抑制する程度を判断するために、リアクトルLの推定温度TLとリアクトルLの冷却能力を反映する冷却水温Twとに基づいて行なわれ、実施例では、リアクトルLの推定温度TLと冷却水温Twと制限係数kwとの関係を予め実験などにより定めて制限係数設定用マップとして図示しないROMに記憶しておき、推定温度TLと冷却水温Twとが与えられると記憶したマップから対応する制限係数kwを導出して設定するものとした。制限係数kwが値1のときには、バッテリ50の入出力制限Win,Woutを制限する必要はないと判断して、本ルーチンを終了する。一方、制限係数kwが値1未満のときには、バッテリ50の残容量(SOC)と電池温度Tbとに基づいて演算されたバッテリ50の入出力制限Win,Woutに制限係数kwをそれぞれ乗じて実行用入出力制限Winf,Woutfを設定し、本ルーチンを終了する。こうして実行用入出力制限Winf,Woutfが設定されると、上述の駆動制御でバッテリ50の入出力制限Win,Woutに代えて実行用入出力制限Winf,Woutfが用いられる。即ち、次式(1)〜(3)に示すように、設定された実行用入出力制限Winf,Woutfをモータ32の回転数Nmで除して得られるトルク制限Tmin,Tmaxにより駆動軸22に要求される要求トルクTr*を制限することによってモータ32のトルク指令Tm*が設定される。
Tmin = Winf/Nm (1)
Tmax = Woutf/Nm (2)
Tm* = max(min(Tr*,Tmax),Tmin) (3)
Tmax = Woutf/Nm (2)
Tm* = max(min(Tr*,Tmax),Tmin) (3)
図4は、制限係数設定用マップの一例を示す説明図である。このマップでは、リアクトルLの推定温度TLがある閾値以下のときには制限係数kwに値1が設定され、推定温度TLがこの閾値より高いほど制限係数kwに値1より正の所定値まで直線的に小さくなる値が設定される。この閾値は、リアクトルLの温度がリアクトルLに許容される上限温度(耐熱温度)を超えないよう予め実験などにより定められたものであり、この閾値としては、冷却システム70における冷却水温Twが冷却水温Twに想定される上限水温である第1水温Tw1(例えば、65℃や70℃など)のときには閾値TL1が用いられ、冷却水温Twが第1水温Tw1よりも第2水温Tw2,第3水温Tw3の順に低くなると閾値TL1より順に高くなる閾値TL2,閾値TL3が用いられている。したがって、昇降圧コンバータ42のリアクトルLの推定温度TLが、昇降圧コンバータ42を冷却する冷却水の冷却水温Twが低いほど高くなるように定められた閾値より高いときには、バッテリ50の入出力制限Win,Woutを制限した実行用入出力制限Winf,Woutfの範囲内で駆動軸22に要求される要求トルクTr*をモータ32のトルク指令Tm*に設定する、モータ32の駆動制限が行なわれることなる。図3の下段は、こうしてリアクトルLの推定温度TLが閾値を超えて高くなったときにモータ32の駆動制限を開始する前の入出力制限Win,Woutからモータ32の駆動制限を開始した後の実行用入出力制限Winf,Woutfへの時間変化の様子の一例を示している。こうした制御により、昇降圧コンバータ42のリアクトルLが閾値を超えて高温になったときに更なる温度上昇が生じるのを抑制することができる。特に、冷却システム70の冷却水温Twが想定される上限水温である第1水温Tw1のときでもリアクトルLが耐熱温度を超えないように定められた単一の閾値TL1を用いる場合に比して、リアクトルLが耐熱温度を超えるまでに余裕があるにも拘わらずモータ32からのトルクが制限されるのが抑制され、リアクトルLの推定温度TLによるモータ32の駆動制限をより適正に行なうことができる。この結果、車両に要求されるパワーを出力して走行するのをより適正に行なうことができる。
以上説明した実施例の電気自動車20によれば、昇降圧コンバータ42のリアクトルLの推定温度TLを現在までに演算されたリアクトルLの推定温度とバッテリ50の充放電電流Ibとに基づいて演算すると共に、演算したリアクトルLの推定温度TLが昇降圧コンバータ42を冷却する冷却水の冷却水温Twが低いほど高くなるように定められた閾値より高いときには、バッテリ50を充放電してもよい最大許容電力である入出力制限Win,Woutを制限した実行用入出力制限Winf,Woutfの範囲内で駆動軸22に要求される要求トルクTr*が出力されて走行するようモータ32と昇降圧コンバータ42とを制御する。これにより、昇降圧コンバータ42のリアクトルLの推定温度TLによるモータ32の駆動制限をより適正に行なうことができる。
実施例では、昇降圧コンバータ42の推定温度TLとして評価関数を用いて設定したものを制限係数kwの設定に用いるものとしたが、昇降圧コンバータ42の推定温度TLを反映する値を評価関数を用いて設定したものを制限係数kwの設定に用いるものとしてもよい。また、実施例では、モータ32からの動力により走行する電気自動車20に適用して説明したが、エンジンからの動力とモータからの動力とにより走行可能なハイブリッド自動車に適用するものとしてもよい。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、モータ32が「電動機」に相当し、バッテリ50が「二次電池」に相当し、昇降圧コンバータ42が「昇降圧コンバータ」に相当し、モータ32や昇降圧コンバータ42を冷却水により冷却する冷却システム70が「冷却装置」に相当し、所定時間t前のリアクトルLの推定温度とバッテリ50の充放電電流Ibとに基づいて現在のリアクトルLの推定温度TLを演算したりトルク指令Tm*でモータ32を制御するモータECU36と、リアクトルLの推定温度TLと冷却システム70における冷却水温Twとに基づいて設定した換算係数kwが値1未満のときにはバッテリ50の入出力制限Win,Woutに制限係数kwを乗じて実行用入出力制限Winf,Woutfを設定すると共に設定した実行用入出力制限Winf,Woutfの範囲内で駆動軸22に要求される要求トルクTr*を制限してモータ32のトルク指令Tm*を設定するメインECU60との組み合わせが「制御手段」に相当する。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、電動車両の製造産業に利用可能である。
20 電気自動車、22 駆動軸、24 デファレンシャルギヤ、26a,26b 駆動輪、32 モータ、34 インバータ、36 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、42 昇降圧コンバータ、44,46 コンデンサ、45,47 電圧センサ、48 電力ライン、48a 正極母線、48b 負極母線、50 バッテリ、51 電流センサ、52 温度センサ、60 メイン電子制御ユニット(メインECU)、61 イグニッションスイッチ、62 シフトポジションセンサ、64 アクセルペダルポジションセンサ、66 ブレーキペダルポジションセンサ、68 車速センサ、70 冷却システム、72 循環流路、74 電動ポンプ、76 ラジエータ、78 温度センサ、D11〜D16,D21,D22 ダイオード、T11〜T16,T21,T22 トランジスタ、L リアクトル。
Claims (1)
- 走行用の動力を入出力可能な電動機と、二次電池と、複数のスイッチング素子とリアクトルとを有し前記二次電池と前記電動機との間で電圧を調整しながら電力のやりとりを行なう昇降圧コンバータと、前記昇降圧コンバータを冷却液により冷却する冷却装置と、前記昇降圧コンバータのリアクトルの推定温度を反映したリアクトル温度反映値を現在までに演算された前記リアクトル温度反映値と前記二次電池の充放電電流とに基づいて演算すると共に、前記演算したリアクトル温度反映値が閾値より高いときには前記二次電池を充放電してもよい最大許容電力である入出力制限を制限した実行用入出力制限の範囲内で走行に要求される要求駆動力が出力されて走行するよう前記電動機と前記昇降圧コンバータとを制御する制御手段と、を備える電動車両において、
前記閾値は、前記冷却装置の冷却水の温度が低いほど高くなる傾向に設定されている、
ことを特徴とする電動車両。
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JP2015220840A (ja) * | 2014-05-16 | 2015-12-07 | 三菱電機株式会社 | 電力変換装置およびその制御方法 |
JP2016041012A (ja) * | 2015-12-22 | 2016-03-24 | 三菱電機株式会社 | 電力変換装置 |
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