JP5365189B2 - 電源装置およびこれを搭載する車両 - Google Patents

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Description

本発明は、電源装置およびこれを搭載する車両に関し、詳しくは、電力により作動する機器と電力のやり取りを行なう電源装置およびこうした電源装置を搭載した車両に関する。
従来、この種の電源装置としては、充放電可能なバッテリと、バッテリからの電力をその直流電圧を変換してモータ駆動用のインバータ回路側に供給するDC/DCコンバータと、を備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、DC/DCコンバータの損失が最小となるよう設定されたキャリア周波数でDC/DCコンバータをスイッチング制御することにより、装置のエネルギ効率を向上させるものとしている。
特開2003−116280号公報
上述のようにDC/DCコンバータなどの電圧調整回路を備える電源装置では、一般に、スイッチング素子の劣化を抑制することが課題の一つとされている。こうした課題に対し、スイッチング素子の発熱による温度上昇が素子の耐熱温度の範囲内になるように、DC/DCコンバータのスイッチング素子の温度が高いときには、その温度が低いときよりもキャリア周波数を低下させることも考えられるが、スイッチング素子の温度が低いときでもその劣化を抑制することが望まれる。
本発明の電源装置およびこれを搭載する車両は、二次電池側の電圧に対して機器側の電圧を調整する電圧調整回路のスイッチング素子の劣化を抑制することを主目的とする。
本発明の電源装置およびこれを搭載する車両は、少なくとも上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の電源装置は、
電力により作動する機器と電力のやり取りを行なう電源装置であって、
二次電池と、
前記二次電池と前記機器とに接続され、スイッチング素子を有し、該スイッチング素子のスイッチングにより前記二次電池側の電圧に対して前記機器側の電圧を調整する電圧調整手段と、
前記スイッチング素子の温度の単位時間あたりの上昇量が所定量以下と推定されるときには前記電圧調整手段のスイッチング素子をスイッチングする実行用周波数に第1の周波数を設定し、前記上昇量が前記所定量より大きいと推定されるときには前記実行用周波数に前記第1の周波数より低い第2の周波数を設定する実行用周波数設定手段と、
前記設定された実行用周波数で前記スイッチング素子がスイッチングされて前記機器側の電圧が調整されるよう前記電圧調整手段を制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
この本発明の電源装置では、電力により作動する機器と二次電池とに接続されスイッチング素子を有しスイッチング素子のスイッチングにより二次電池側の電圧に対して機器側の電圧を調整する電圧調整手段のスイッチング素子の温度の単位時間あたりの上昇量が所定量以下と推定されるときには電圧調整手段のスイッチング素子をスイッチングする実行用周波数に第1の周波数を設定し、上昇量が所定量より大きいと推定されるときには実行用周波数に第1の周波数より低い第2の周波数を設定する。そして、設定された実行用周波数でスイッチング素子がスイッチングされて機器側の電圧が調整されるよう電圧調整手段を制御する。これにより、スイッチング素子の温度の上昇量が所定量より大きいと推定されるときにはスイッチング素子に生じる熱応力が抑制されるから、電圧調整手段のスイッチング素子の劣化を抑制することができる。ここで、「所定量」としては、スイッチング素子に生じる熱応力の許容範囲を定める量として実験または解析により予め定められたものなどを用いることができる。
こうした本発明の電源装置において、前記実行用周波数設定手段は、前記二次電池の充放電電流の大きさが所定値以下のときを前記上昇量が前記所定量以下と推定されるときとして前記第実行用周波数に前記第1の周波数を設定し、前記二次電池の充放電電流の大きさが前記所定値より大きいときを前記上昇量が前記所定量より大きいと推定されるときとして前記実行用周波数に前記第2の周波数を設定する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、スイッチング素子の温度の上昇量が所定量以下か否かをより適正に推定することができる。
また、本発明の電源装置において、前記スイッチング素子の温度を検出する素子温度検出手段と、前記スイッチング素子を冷却する冷却液の温度である冷却液温度を検出する冷却液温度検出手段と、を備え、前記実行用周波数設定手段は、前記検出されたスイッチング素子の温度から前記検出された冷却液温度を減じて得られる温度差が所定温度以下のときを前記上昇量が前記所定量以下と推定されるときとして前記実行用周波数に前記第1の周波数を設定し、前記温度差が前記所定温度より大きいときを前記上昇量が前記所定量より大きいと推定されるときとして前記実行用周波数に前記第2の周波数を設定する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、スイッチング素子の温度の上昇量が所定量以下か否かをより適正に推定することができる。
さらに、本発明の電源装置において、前記実行用周波数設定手段は、前記実行用周波数が変更されてから所定時間が経過するまでは前記上昇量に拘わらず前記実行用周波数を保持する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、実行用周波数が頻繁に変更されるのが抑制され、実行用周波数の変更に伴ってスイッチング素子のスイッチングによる騒音が変動するのを抑制することができる。ここで、「所定時間」としては、実行用周波数が頻繁に変更されてスイッチング素子のスイッチングに伴う騒音の音色や音量が頻繁に変動することによる違和感を抑制するためのものとして実験により予め定められた時間などを用いることができる。
あるいは、本発明の電源装置において、前記実行用周波数設定手段は、前記第2の周波数として前記上昇量が前記所定量より大きいほど低くなる傾向の周波数を用いて前記実行用周波数を設定する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、電圧調整手段のスイッチング素子の劣化をより適正に抑制することができる。
本発明の車両は、上述のいずれかの態様の本発明の電源装置、即ち、基本的には、電力により作動する機器と電力のやり取りを行なう電源装置であって、二次電池と、前記二次電池と前記機器とに接続され、スイッチング素子を有し、該スイッチング素子のスイッチングにより前記二次電池側の電圧に対して前記機器側の電圧を調整する電圧調整手段と、前記スイッチング素子の温度の単位時間あたりの上昇量が所定量以下と推定されるときには前記電圧調整手段のスイッチング素子をスイッチングする実行用周波数に第1の周波数を設定し、前記上昇量が前記所定量より大きいと推定されるときには前記実行用周波数に前記第1の周波数より低い第2の周波数を設定する実行用周波数設定手段と、前記設定された実行用周波数で前記スイッチング素子がスイッチングされて前記機器側の電圧が調整されるよう前記電圧調整手段を制御する制御手段と、を備える電源装置を搭載し、前記機器は、走行用の動力を入出力する電動機である、ことを要旨とする。
この本発明の車両では、上述のいずれかの態様の本発明の電源装置を搭載するから、本発明の電源装置が奏する効果、例えば電圧調整手段のスイッチング素子の劣化を抑制することができる効果などと同様の効果を奏することができる。
本発明の電源装置の制御方法は、
二次電池と、電力により作動する機器と前記二次電池とに接続されスイッチング素子を有し該スイッチング素子のスイッチングにより前記二次電池側の電圧に対して前記機器側の電圧を調整する電圧調整手段とを備え、前記機器と電力のやり取りを行なう電源装置の制御方法であって、
(a)前記スイッチング素子の温度の単位時間あたりの上昇量が所定量以下と推定されるときには前記電圧調整手段のスイッチング素子をスイッチングする実行用周波数に第1の周波数を設定し、前記上昇量が前記所定量より大きいと推定されるときには前記実行用周波数に前記第1の周波数より低い第2の周波数を設定し、
(b)前記設定された実行用周波数で前記スイッチング素子がスイッチングされて前記機器側の電圧が調整されるよう前記電圧調整手段を制御する、
ことを要旨とする。
この本発明の電源装置の制御方法では、電力により作動する機器と二次電池とに接続されスイッチング素子を有しスイッチング素子のスイッチングにより二次電池側の電圧に対して機器側の電圧を調整する電圧調整手段のスイッチング素子の温度の単位時間あたりの上昇量が所定量以下と推定されるときには電圧調整手段のスイッチング素子をスイッチングする実行用周波数に第1の周波数を設定し、上昇量が所定量より大きいと推定されるときには実行用周波数に第1の周波数より低い第2の周波数を設定する。そして、設定された実行用周波数でスイッチング素子がスイッチングされて機器側の電圧が調整されるよう電圧調整手段を制御する。これにより、スイッチング素子の温度の上昇量が所定量より大きいと推定されるときにはスイッチング素子に生じる熱応力が抑制されるから、電圧調整手段のスイッチング素子の劣化を抑制することができる。ここで、「所定量」としては、スイッチング素子に生じる熱応力の許容範囲を定める量として実験または解析により予め定められたものなどを用いることができる。
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
図1は本発明の一実施例である電源装置を搭載するハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図であり、図2はモータMG1,MG2を含む電機駆動系の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図1に示すように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、動力分配統合機構30に接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに減速ギヤ35を介して接続されたモータMG2と、直流電流を交流電流に変換してモータMG1,MG2に供給可能なインバータ41,42と、バッテリ50からの電力をその電圧を変換してインバータ41,42に供給可能な昇圧回路55と、車両全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。ここで、実施例の電源装置としては、主として、バッテリ50と昇圧回路55と後述するモータ用電子制御ユニット40とが相当する。
エンジン22は、例えばガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関であり、エンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により燃料噴射制御や点火制御,吸入空気量調節制御などの運転制御を受けている。エンジンECU24には、エンジン22の運転状態を検出する各種センサからの信号、例えば、エンジン22のクランクシャフト26のクランク角を検出する図示しないクランクポジションセンサからのクランクポジションなどが入力されている。エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、エンジンECU24は、図示しないクランクポジションセンサからのクランクポジションに基づいてクランクシャフト26の回転数、即ちエンジン22の回転数Neも演算している。
動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを回転要素として差動作用を行なう遊星歯車機構として構成されている。動力分配統合機構30は、キャリア34にはエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、リングギヤ32にはリングギヤ軸32aを介して減速ギヤ35がそれぞれ連結されており、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側にそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32側に出力する。リングギヤ32に出力された動力は、リングギヤ軸32aからギヤ機構60およびデファレンシャルギヤ62を介して、最終的には車両の駆動輪63a,63bに出力される。
モータMG1およびモータMG2は、図2に示すように、いずれも外表面に永久磁石が貼り付けられたロータと三相コイルが巻回されたステータとを備える周知の同期発電電動機として構成されている。インバータ41,42は、6つのトランジスタT11〜T16,T21〜26と、トランジスタT11〜T16,T21〜T26に逆方向に並列接続された6つのダイオードD11〜D16,D21〜D26と、により構成されている。トランジスタT11〜T16,T21〜T26は、それぞれインバータ41,42が電力ライン54として共用する正極母線54aと負極母線54bとに対してソース側とシンク側になるよう2個ずつペアで配置されており、対となるトランジスタ同士の接続点の各々にモータMG1,MG2の三相コイル(U相,V相,W相)の各々が接続されている。したがって、正極母線54aと負極母線54bとの間に電圧が作用している状態で対をなすトランジスタT11〜T16,T21〜T26のオン時間の割合を制御することにより三相コイルに回転磁界を形成でき、モータMG1,MG2を回転駆動することができる。インバータ41,42は、正極母線54aと負極母線54bとを共用しているから、モータMG1,MG2のいずれかで発電される電力を他のモータに供給することができる。正極母線54aと負極母線54bとには平滑用のコンデンサ57が接続されている。
昇圧回路55は、図2に示すように、2つのトランジスタT31,T32(例えば、バイポーラトランジスタやMOSFET,IGBTなど)とトランジスタT31,T32に逆方向に並列接続された2つのダイオードD31,D32とリアクトルLとにより構成されている。2つのトランジスタT31,T32は、それぞれインバータ41,42の正極母線54aと負極母線54bとに接続されており、その接続点にリアクトルLが接続されている。また、リアクトルLと負極母線54bとにはそれぞれバッテリ50の正極端子と負極端子とが接続されている。したがって、トランジスタT31,T32をオンオフ制御することによりバッテリ50の直流電力をその電圧を昇圧してインバータ41,42に供給したり正極母線54aと負極母線54bとに作用している直流電圧を降圧してバッテリ50を充電したりすることができる。リアクトルLと負極母線54bとには平滑用のコンデンサ58が接続されている。以下、昇圧回路55より電力ライン54側を高電圧系といい、昇圧回路55よりバッテリ50側を低電圧系という。
インバータ41,42および昇圧回路55は、いずれもモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により制御され、これによりモータMG1,MG2が駆動制御される。モータECU40は、CPU40aを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU40aの他に処理プログラムを記憶するROM40bと、データを一時的に記憶するRAM40cと、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号やモータMG1,MG2の三相コイルのU相,V相に流れる相電流を検出する電流センサ45U,45V,46U,46Vからの各相電流,インバータ41,42に取り付けられてスイッチング素子T11〜T16,T21〜T26の温度を検出する温度センサ47,48からの素子温度Ti1,Ti2,電圧センサ57aからのコンデンサ57の電圧(以下、高電圧系の電圧VHという),電圧センサ58aからのコンデンサ58の電圧,昇圧回路55に取り付けられてトランジスタT31,T32の温度を検出する温度センサ59からの素子温度Tc,インバータ41,42および昇圧回路55を構成する各素子(トランジスタ,ダイオード)が取り付けられた図示しない基板に設けられてインバータ41,42および昇圧回路55を冷却する不凍液としての冷却水の温度を検出する水温センサ49からの冷却水温Twなどが入力ポートを介して入力されている。モータECU40からは、インバータ41,42のトランジスタT11〜T16,T21〜T26へのスイッチング制御信号や昇圧回路55のトランジスタT31,T32へのスイッチング制御信号が出力ポートを介して出力されている。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信ポートを介して接続されており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、モータECU40は、回転位置検出センサ43,44からの信号に基づいてモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2も演算している。
バッテリ50は、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池などの二次電池として構成されており、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧,バッテリ50の出力端子に接続された電力ライン54に取り付けられた電流センサ51aからの充放電電流Ib,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51bからの電池温度Tbなどが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。また、バッテリECU52は、バッテリ50を管理するために電流センサ51aにより検出された充放電電流Ibの積算値に基づいて蓄電量SOCを演算したり、演算した蓄電量SOCと電池温度Tbとに基づいてバッテリ50を充放電してもよい最大許容電力である入出力制限Win,Woutを演算している。なお、バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、電池温度Tbに基づいて入出力制限Win,Woutの基本値を設定し、バッテリ50の蓄電量SOCに基づいて出力制限用補正係数と入力制限用補正係数とを設定し、設定した入出力制限Win,Woutの基本値に補正係数を乗じることにより設定することができる。充放電電流Ibは、放電側を正,充電側を負とするものとした。
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。なお、ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される図示しない駆動制御ルーチンでは、要求トルクに対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようエンジン22の目標運転ポイント(回転数,トルク)とモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*とが設定されてエンジンECU24とモータECU40とに送信される。このとき、エンジンECU24は受信した目標運転ポイントでエンジン22が運転されるようエンジン22を制御し、モータECU40は受信したトルク指令Tm1*,Tm2*でモータMG1,MG2が駆動されるようインバータ41,42をスイッチング制御する。
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20に搭載された電源装置の動作、特に昇圧回路55により高電圧系の電圧VHを調整する際の動作について説明する。図3は、モータECU40により実行される昇圧制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される図示しない駆動制御ルーチンと並行して所定時間毎(例えば数msec毎)に繰り返し実行される。
図3の昇圧制御ルーチンが実行されると、モータECU40のCPU40aは、まず、電圧センサ57aからの高電圧系の電圧VHや高電圧系の目標電圧VH*,バッテリ50の充放電電流Ibなど制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS100)。ここで、目標電圧VH*は、実施例では、図示しない駆動制御ルーチンにより設定されたモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*とモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2とを入力すると共にトルク指令Tm1*と回転数Nm1とに基づいてモータMG1の定格電圧の範囲内で予め定めたマップを用いて設定される電圧とトルク指令Tm2*と回転数Nm2とに基づいてモータMG2の定格電圧の範囲内で予め定めたマップを用いて設定される電圧とのうち大きい方として設定されたものを入力するものとした。バッテリ50の充放電電流Ibは、電流センサ51aにより検出されたものをバッテリECU52からハイブリッド用電子制御ユニット70を介して通信により入力するものとした。
こうしてデータを入力すると、昇圧回路55のトランジスタT31,T32をスイッチングする周波数としてのキャリア周波数CFが変更されてから所定時間trefが経過したか否かを判定し(ステップS110)、キャリア周波数CFが変更されてから所定時間trefが経過しているときには、入力したバッテリ50の充放電電流Ibに基づいてキャリア周波数CFを設定し(ステップS120)、設定したキャリア周波数CFによるトランジスタT31,T32のスイッチングにより高電圧系の電圧VHが目標電圧VH*となるよう昇圧回路55のスイッチング制御を行なって(ステップS160)、昇圧制御ルーチンを終了する。ここで、キャリア周波数CFは、実施例では、バッテリ50の充放電電流Ibとキャリア周波数CFとの関係を予め定めてキャリア周波数設定用マップとしてROM40bに記憶しておき、充放電電流Ibが与えられると記憶したマップから対応するキャリア周波数CFを導出して設定するものとした。図4にキャリア周波数設定用マップの一例を示す。図示するように、キャリア周波数CFは、充放電電流Ibの絶対値が第1電流Ib1以下のときには高周波数CFHに設定され、充放電電流Ibの絶対値が第1電流Ib1より大きく第2電流Ib2以下のときには高周波数CFHより低い中間周波数CFMに設定され、充放電電流Ibの絶対値が第2電流Ib2より大きいときには中間周波数CFMより低い低周波数CFLに設定される。これは、バッテリ50の充放電電流Ibは昇圧回路55のトランジスタT31,T32を流れる電流に対応し、充放電電流Ibの大きさが大きいほどトランジスタT31,T32の温度の単位時間(例えば、数msecや数十msecなど)あたりの上昇量が大きくなる傾向にあるという昇圧回路55の特性に基づく。ここで、高周波数CFHは、スイッチング素子T31,T32のスイッチングによる騒音(例えば音量など)が運転者や乗員に違和感を与えない程度に高い周波数として実験または解析により予め定められた値(例えば、9kHzや10kHzなど)を用いるものとし、低周波数CFLは、スイッチング素子T31,T32のスイッチングによる騒音をある程度許容すると共に昇圧回路55のトランジスタT31,T32に生じる熱応力が十分に抑制されるよう実験または解析により予め定められた値(例えば、5kHzや6kHzなど)を用いるものとし、中間周波数CFMは、高周波数CFHと低周波数CFLとの中間値として予め定められた値(例えば、7kHzや8kHzなど)を用いるものとした。また、第1電流Ib1は、昇圧回路55を高周波数CFHとしてのキャリア周波数CFでスイッチング制御する状態におけるトランジスタT31,T32に生じる熱応力の許容範囲を定める充放電電流Ibの大きさとして実験または解析により予め定められた値を用いるものとし、第2電流Ib2は、昇圧回路55を中間周波数CFMとしてのキャリア周波数CFでスイッチング制御する状態におけるトランジスタT31,T32に生じる熱応力の許容範囲を定める充放電電流Ibの大きさとして実験または解析により予め定められた値を用いるものとした。さらに、所定時間trefは、バッテリ50の充放電電流Ibの変動に応じてキャリア周波数CFが頻繁に変更されてトランジスタT31,T32のスイッチングに伴う騒音(例えば、音色や音量など)が頻繁に変動することにより運転者や乗員に違和感を与えるのを抑制するためのものであり、実験により予め定められた時間(例えば、0.3秒や0.5秒,1秒など)を用いることができる。したがって、ステップS110でキャリア周波数CFが変更されてから所定時間trefが経過していないときには、入力した充放電電流Ibに基づいてキャリア周波数CFを設定することなく前回このルーチンを実行したときまでに設定されたキャリア周波数CFを保持し、このキャリア周波数CFを用いて高電圧系の電圧VHが目標電圧VH*となるよう昇圧回路55のスイッチング制御を行なって(ステップS130)、昇圧制御ルーチンを終了する。
図5に、バッテリ50の充放電電流Ibと昇圧回路55のキャリア周波数CFと昇圧回路55のスイッチング素子としてのトランジスタT31,T32の温度の推定される上昇量との時間変化の一例を模式的に示す。図中、実線は実施例を示し、一点鎖線は一律に高周波数CFHをキャリア周波数CFとして用いる場合の比較例を示す。図示するように、時間t1でバッテリ50の充放電電流Ibが第1電流Ib1より大きくなるとキャリア周波数CFは高周波数CFHから中間周波数CFMに低減され、時間t2で充放電電流Ibが第1電流Ib1以下になるとキャリア周波数CFは高周波数CFHに戻される。このように、バッテリ50の充放電電流Ibの大きさが大きいほどトランジスタT31,T32の温度の単位時間あたりの上昇量が大きくなる傾向にあるという昇圧回路55の特性を考慮して、充放電電流Ibの絶対値が第1電流Ib1より大きいときにはトランジスタT31,T32の温度の上昇量がトランジスタT31,T32に生じる熱応力の許容範囲の上限に相当する上昇量を超えると推定して昇圧回路55のキャリア周波数CFを高周波数CFHから中間周波数CFMや低周波数CFLに低減するから、トランジスタT31,T32の温度が高いか低いかに拘わらずトランジスタT31,T32に大きな熱応力が繰り返し作用するのが抑制され、トランジスタT31,T32の劣化を抑制することができる。また、キャリア周波数CFが変更されてから所定時間trefが経過するまではキャリア周波数CFを保持するから、トランジスタT31,T32のスイッチングに伴う騒音が頻繁に変動することにより運転者や乗員に違和感を与えるのを抑制することができる。この結果、昇圧回路55の各素子(トランジスタ,ダイオード)が取り付けられた基板のはんだやワイヤを含む素子の小型化やこうした素子を含むパワーモジュールの小型化を図ることができる。なお、キャリア周波数CFを低減するとトランジスタT31,T32のスイッチングに伴う騒音の音量が大きくなりやすいとも考えられるが、バッテリ50の充放電電流Ibの大きさが大きいときには車両の加速時など暗騒音も大きくなる傾向にあるため、キャリア周波数CFの低減による運転者や乗員への違和感は生じ難い。
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20に搭載された電源装置よれば、昇圧回路55の特性を考慮して、バッテリ50の充放電電流Ibの絶対値が第1電流Ib1以下のときには高周波数CFHを昇圧回路55のキャリア周波数CFに設定し、充放電電流Ibの絶対値が第1電流Ib1より大きいときには高周波数CFHより低い中間周波数CFMや低周波数CFLをキャリア周波数CFに設定し、設定したキャリア周波数CFを用いて昇圧回路55をスイッチング制御するから、昇圧回路55のトランジスタT31,T32の温度に拘わらずトランジスタT31,T32に大きな熱応力が繰り返し作用するのが抑制され、トランジスタT31,T32の劣化を抑制することができる。
実施例のハイブリッド自動車20に搭載された電源装置では、バッテリ50の充放電電流Ibの絶対値が第1電流Ib1以下のときには高周波数CFH,第1電流Ib1より大きく第2電流Ib2以下のときには中間周波数CFM,第2電流Ib2より大きいときには低周波数CFLをキャリア周波数CFに設定するものとしたが、図6の変形例のキャリア周波数設定用マップに示すようにバッテリ50の充放電電流Ibの絶対値が第1電流Ib1以下のときには高周波数CFH,第2電流Ib2以上のときには低周波数CFL,第1電流Ib1より大きく第2電流Ib2より小さいときには高周波数CFHより低く低周波数CFLより高い範囲で徐々に低くなる周波数をキャリア周波数CFに設定するものとしてもよいし、バッテリ50の充放電電流Ibの絶対値が第1電流Ib1以下のときには高周波数CFHをキャリア周波数CFに設定すると共に充放電電流Ibの絶対値が第1電流Ib1より大きいときには中間周波数CFMより低く低周波数CFLより高い所定の周波数をキャリア周波数CFに設定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20に搭載された電源装置では、昇圧回路55のキャリア周波数CFが変更されてから所定時間trefが経過するまではバッテリ50の充放電電流Ibに拘わらずキャリア周波数CFを保持するものとしたが、昇圧回路55のキャリア周波数CFが変更されてから所定時間trefが経過したか否かを判定することなくバッテリ50の充放電電流Ibに基づいてキャリア周波数CFを設定するものとしてもよいし、所定時間trefが経過するのを待つ処理に代えてまたは加えて、図7の変形例のキャリア周波数設定用マップを用いてバッテリ50の充放電電流Ibに基づいてキャリア周波数CFを設定するものとしてもよいし、電流センサ51aにより検出された充放電電流Ibに対してなまし処理やレート処理などの緩変化処理を施して得られる制御用の充放電電流に基づいてキャリア周波数CFを設定するものとしてもよい。図7のマップでは、実施例の第1電流Ib1に代えてこれより若干高い第1高電流Ib1Hと若干低い第1低電流Ib1Lを用いると共に実施例の第2電流Ib2に代えてこれにより若干高い第2高電流Ib2Hと若干低い第2低電流Ib2Lとを用いる、即ち、バッテリ50の充放電電流Ibの閾値にヒステリシスを設けることによりキャリア周波数CFが頻繁に変更されるのを抑制する。これにより、トランジスタT31,T32のスイッチングに伴う騒音が頻繁に変動することにより運転者や乗員に違和感を与えるのを抑制することができる。
実施例のハイブリッド自動車20に搭載された電源装置では、バッテリ50の充放電電流Ibの大きさが大きいほどトランジスタT31,T32の温度の単位時間あたりの上昇量が大きくなる傾向にあるという昇圧回路55の特性を考慮して、充放電電流Ibの絶対値が第1電流Ib1より大きいときにはトランジスタT31,T32の温度の上昇量がトランジスタT31,T32に生じる熱応力の許容範囲の上限に相当する上昇量を超えると推定して昇圧回路55のキャリア周波数CFを高周波数CFHから中間周波数CFMや低周波数CFLに低減するものとしたが、温度センサ59からのトランジスタT31,T32の素子温度Tcから水温センサ49からのインバータ41,42および昇圧回路55を冷却する冷却水の冷却水温Twを減じて得られる温度差ΔTcが大きいほどトランジスタT31,T32の温度の単位時間あたりの上昇量が大きくなる傾向にあるという昇圧回路55の別の特性を考慮して、温度差ΔTcが第1温度Tc1より大きいときにはトランジスタT31,T32の温度の上昇量がトランジスタT31,T32に生じる熱応力の許容範囲の上限に相当する上昇量を超えると推定して昇圧回路55のキャリア周波数CFを高周波数CFHから中間周波数CFMや低周波数CFLに低減するものとしてもよい。この場合、図3の昇圧制御ルーチンおよび図4のキャリア周波数設定用マップに代えて図8の昇圧制御ルーチンおよび図9のキャリア周波数設定用マップを用いるものとすればよい。図8の昇圧制御ルーチンでは、電圧センサ57aからの高電圧系の電圧VHや高電圧系の目標電圧VH*,温度センサ59からの素子温度Tc,水温センサ49からの冷却水温Twなど制御に必要なデータを入力すると共に(ステップS200)、入力した素子温度Tcから冷却水温Twを減じることにより温度差ΔTcを計算し(ステップS210)、キャリア周波数CFが変更されてから上述の所定時間trefが経過しているときには計算した温度差ΔTcに基づいて図9のマップを用いてキャリア周波数CFを設定し(ステップS220,S230)、所定時間trefが経過していないときにはそれまでに設定されているキャリア周波数CFを保持して(ステップS220)、設定または保持したキャリア周波数を用いて高電圧系の電圧VHが目標電圧VH*となるよう昇圧回路55のスイッチング制御を行なって(ステップS240)、昇圧制御ルーチンを終了する。図9のキャリア周波数設定用マップは、図4のマップの充放電電流Ibの絶対値と第1電流Ib1と第2電流Ib2とに代えて温度差ΔTcと第1温度Tc1と第2温度Tc2とを用いる点を除いて図4のマップと同一である。ここで、第1温度Tc1は、昇圧回路55を高周波数CFHとしてのキャリア周波数CFでスイッチング制御する状態におけるトランジスタT31,T32に生じる熱応力の許容範囲を定める温度差ΔTcとして実験または解析により予め定められた値を用いるものとし、第2温度Tc2は、昇圧回路55を中間周波数CFMとしてのキャリア周波数CFでスイッチング制御する状態におけるトランジスタT31,T32に生じる熱応力の許容範囲を定める温度差ΔTcとして実験または解析により予め定められた値を用いるものとした。このように、昇圧回路55の別の特性を考慮して、昇圧回路55の冷却水の冷却水温Twに対するトランジスタT31,T32の素子温度Tcの温度差ΔTcに基づいてキャリア周波数CFを設定するから、トランジスタT31,T32の温度が高いか低いかに拘わらずトランジスタT31,T32に大きな熱応力が繰り返し作用するのが抑制され、トランジスタT31,T32の劣化を抑制することができる。なお、この変形例においても、図9のキャリア周波数設定用マップに代えて、図6のマップに相当するマップや図7のマップに相当するマップを用いて、温度差ΔTcに基づいてキャリア周波数CFを設定するものとしても構わない。
実施例のハイブリッド自動車20に搭載された電源装置では、バッテリ50の充放電電流Ibの絶対値に基づいて昇圧回路55のキャリア周波数CFを設定するものとしたが、バッテリ50の充放電電流Ibの絶対値に代えて、温度センサ59からの素子温度Tcの時間微分値(例えば、昇圧制御ルーチンにより入力した温度センサ59からの素子温度Tcから数回前や十数回前に昇圧制御ルーチンを実行したときに入力した温度センサ59からの素子温度Tcを減じて得られる値など)に基づいて昇圧回路55のキャリア周波数CFを設定するなどとしてもよい。
実施例では、エンジン22やモータMG1の動力を動力分配統合機構30を介して駆動輪63a,63bに接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すると共にモータMG2の動力をリングギヤ軸32aに出力して走行するハイブリッド自動車に適用して説明したが、図10の変形例の電気自動車120に例示するように、エンジン22やモータMG1を備えずに走行用のモータMGからの動力を駆動輪63a,63bに出力して走行する車両に適用するものとしてもよい。
実施例では、ハイブリッド自動車や電気自動車など電力により作動する機器として走行用の動力を入出力するモータと電力のやり取りを行なう電源装置について説明したが、車載されていない電動機や電動機とは異なる電力を用いて作動する機器と電力のやり取りを行なう電源装置の形態としてもよく、こうした電源装置の制御方法の形態としてもよい。
ここで、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、モータMG1やモータMG2が「機器」に相当し、バッテリ50が「二次電池」に相当し、昇圧回路55が「電圧調整手段」に相当し、キャリア周波数CFが変更されてから所定時間tref経過したときにバッテリ50の充放電電流Ibの絶対値が第1電流Ib1以下のときには高周波数CFHをキャリア周波数CFに設定すると共にバッテリ50の充放電電流Ibの絶対値が第1電流Ib1より大きいときには高周波数CFより低い中間周波数CFMや低周波数CFLをキャリア周波数CFに設定する図3の昇圧制御ルーチンのステップS110,S120の処理を実行するモータECU40が「実行用周波数設定手段」に相当し、設定したキャリア周波数CFを用いて高電圧系の電圧VHが目標電圧VH*になるよう昇圧回路55をスイッチング制御する図3の昇圧制御ルーチンのステップS130の処理を実行するモータECU40が「制御手段」に相当する。また、温度センサ59が「素子温度検出手段」に相当し、水温センサ49が「冷却液温度検出手段」に相当する。
ここで、「機器」としては、モータMG1やモータMG2に限定されるものではなく、電力を用いて作動する機器であれば如何なるものとしても構わない。「二次電池」としては、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池などの二次電池としてのバッテリ50に限定されるものではなく、二次電池であれば、如何なるタイプのものとしても構わない。「電圧調整手段」としては、昇圧回路55に限定されるものではなく、DC/DCコンバータなど、二次電池と機器とに接続されスイッチング素子を有しスイッチング素子のスイッチングにより二次電池側の電圧に対して機器側の電圧を調整するものであれば如何なるものとしても構わない。「実行用周波数設定手段」としては、キャリア周波数CFが変更されてから所定時間tref経過したときにバッテリ50の充放電電流Ibの絶対値が第1電流Ib1以下のときには高周波数CFHをキャリア周波数CFに設定すると共にバッテリ50の充放電電流Ibの絶対値が第1電流Ib1より大きいときには高周波数CFより低い中間周波数CFMや低周波数CFLをキャリア周波数CFに設定するモータECU40に限定されるものではなく、複数の電子制御ユニットの組み合わせによるものや水温センサ49からの冷却水温Twに対する温度センサ59からの素子温度Tcの温度差ΔTcに基づいてキャリア周波数CFを設定するものなど、スイッチング素子の温度の単位時間あたりの上昇量が所定量以下と推定されるときには電圧調整手段のスイッチング素子をスイッチングする実行用周波数に第1の周波数を設定し、上昇量が所定量より大きいと推定されるときには実行用周波数に第1の周波数より低い第2の周波数を設定するものであれば、如何なるものとしても構わない。「制御手段」としては、設定したキャリア周波数CFを用いて高電圧系の電圧VHが目標電圧VH*になるよう昇圧回路55をスイッチング制御するモータECU40に限定されるものではなく、複数の電子制御ユニットの組み合わせによるものなど、設定された実行用周波数でスイッチング素子がスイッチングされて機器側の電圧が調整されるよう電圧調整手段を制御するものであれば如何なるものとしても構わない。また、「素子温度検出手段」としては、温度センサ59に限定されるものではなく、スイッチング素子の温度を検出するものであれば如何なるものとしても構わない。「冷却液温度検出手段」としては、水温センサ49に限定されるものではなく、スイッチング素子を冷却する冷却液の温度である冷却液温度を検出するものであれば如何なるものとしても構わない。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための最良の形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、電源装置や車両の製造産業などに利用可能である。
本発明の一実施例である電源装置を搭載するハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。 モータMG1,MG2を含む電機駆動系の構成の概略を示す構成図である。 モータECU40により実行される昇圧制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 昇圧回路55のキャリア周波数設定用マップの一例を示す説明図である。 バッテリ50の充放電電流Ibと昇圧回路55のキャリア周波数CFと昇圧回路55のスイッチング素子としてのトランジスタT31,T32の推定される温度上昇量との時間変化の一例を模式的に示す説明図である。 変形例のキャリア周波数設定用マップの一例を示す説明図である。 変形例のキャリア周波数設定用マップの一例を示す説明図である。 変形例のモータECU40により実行される昇圧制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 変形例のキャリア周波数設定用マップの一例を示す説明図である。 変形例の電気自動車120の構成の概略を示す構成図である。
符号の説明
20 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 動力分配統合機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、32a リングギヤ軸、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、35 減速ギヤ、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、40a CPU、40b ROM、40c RAM、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、45U,45V,46U,46V 電流センサ、47,48 温度センサ、49 水温センサ、50 バッテリ、51a 電流センサ、51b 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、54a 正極母線、54b 負極母線、55 昇圧回路、57,58 コンデンサ、57a,58a 電圧センサ、59 温度センサ、60 ギヤ機構、62 デファレンシャルギヤ、63a,63b 駆動輪、64a,64b 車輪、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、120 電気自動車、D11〜D16,D21〜D26,D31,D32 ダイオード、T11〜T16,T21〜T26,T31,T32 トランジスタ、L リアクトル、MG1,MG2,MG モータ。

Claims (4)

  1. 電力により作動する機器と電力のやり取りを行なう電源装置であって、
    二次電池と、
    前記二次電池と前記機器とに接続され、スイッチング素子を有し、該スイッチング素子のスイッチングにより前記二次電池側の電圧に対して前記機器側の電圧を調整する電圧調整手段と、
    前記スイッチング素子の温度の単位時間あたりの上昇量が所定量以下と推定されるときには前記電圧調整手段のスイッチング素子をスイッチングする実行用周波数に第1の周波数を設定し、前記上昇量が前記所定量より大きいと推定されるときには前記実行用周波数に前記第1の周波数より低い第2の周波数を設定する実行用周波数設定手段と、
    前記設定された実行用周波数で前記スイッチング素子がスイッチングされて前記機器側の電圧が調整されるよう前記電圧調整手段を制御する制御手段と、
    前記スイッチング素子の温度を検出する素子温度検出手段と、
    前記スイッチング素子を冷却する冷却液の温度である冷却液温度を検出する冷却液温度検出手段と、
    を備え、
    前記実行用周波数設定手段は、前記検出されたスイッチング素子の温度から前記検出された冷却液温度を減じて得られる温度差が所定温度以下のときを前記上昇量が前記所定量以下と推定されるときとして前記実行用周波数に前記第1の周波数を設定し、前記温度差が前記所定温度より大きいときを前記上昇量が前記所定量より大きいと推定されるときとして前記実行用周波数に前記第2の周波数を設定する手段である、
    電源装置。
  2. 請求項1記載の電源装置であって、
    前記実行用周波数設定手段は、前記実行用周波数が変更されてから所定時間が経過するまでは前記上昇量に拘わらず前記実行用周波数を保持する手段である、
    電源装置。
  3. 請求項1または2記載の電源装置であって、
    前記実行用周波数設定手段は、前記第2の周波数として前記上昇量が前記所定量より大きいほど低くなる傾向の周波数を用いて前記実行用周波数を設定する手段である、
    電源装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1つの請求項に記載の電源装置を搭載した車両であって、
    前記機器は、走行用の動力を入出力する電動機である、
    車両。
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