JP5250965B2 - 車両の制御装置、車両の制御方法、その制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムおよびそのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 - Google Patents

車両の制御装置、車両の制御方法、その制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムおよびそのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 Download PDF

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Description

この発明は、車両の制御装置、車両の制御方法、その制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムおよびそのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
近年、環境に配慮した自動車として、電気自動車、ハイブリッド自動車および燃料自動車等の車輪駆動用のモータを搭載する自動車が注目を浴びている。駆動用のモータは、過熱を防止してコイルや駆動素子を保護するため種々の対策が講じられている。
たとえば、特開2001−16880号公報(特許文献1)には、モータの作動頻度(コイルに対する通電時間)に基づいてモータの雰囲気温度を推定し、モータに与える駆動電流を停止させることが開示されている。
特開2001−16880号公報 特開平11−215687号公報 特開平7−59254号公報 特開平11−289790号公報 特開昭51−38047号公報
しかしながら、特開2001−16880号公報に開示された技術では、実際的な温度測定のための測定器具が用いられず、コイルに対する通電時間に基づいて間接的に温度が推定されるので、使用環境等の影響を考慮するとモータの性能限界近くまではモータを運転できなかった。
一方、モータのコイルは、一般に三相であり、各相ごとに温度を測定するセンサを設けるのは、モータの体格が大きくなってしまうという問題がある。そこで、代表のコイルに温度センサを設けることも考えられる。
図18は、代表のコイルに温度センサを設ける場合についての問題点を説明するための図である。
車両が上り坂にある場合に、渋滞等のため停止と前進を繰返しているようなときを考える。図18に示すように、アクセルを踏んでモータによる前進する力Fuと自重で坂を下ろうとする力Fdとを釣り合わせて停止状態を保持することが生じる。ブレーキを踏んで停止させることで、このような状態は大抵解消するが、このような状態が長時間続くと特定相のコイルに電流が集中する場合がある。
特定相のコイルに電流が集中すると、発熱が大きいコイルの温度よりも代表のコイルに設けられた温度センサで検出される温度が低い場合があり、検出温度をそのまま過熱保護の判断に使用することはできない。
この発明の目的は、体格を小さく保ちつつ、過熱保護と性能維持が両立された車両の制御装置を提供することである。
この発明は、要約すると、複数相のコイルを有するモータを搭載する車両の制御装置であって、複数相のコイルに流れる各相の電流を計測する電流センサと、複数相のうちの第1相のコイルの温度を測定する温度センサと、モータの回転数を検出する回転センサと、電流センサ、温度センサおよび回転センサの出力に応じて複数相のコイルへの通電を制御する制御部とを備える。制御部は、複数相のコイルのうち第1相以外の第2相のコイルについて、モータの回転数が所定値より小さい場合に所定値を超える電流が流れるという条件が成立すると計数値を増加させ条件が不成立になると計数値を減少させ、計数値に基づいてモータの熱保護を行なう。
好ましくは、制御部は、モータの熱保護としてモータの出力を減少させる。
好ましくは、制御部は、計数値が所定値を超えると温度センサの出力から第2相のコイルの温度を推定し、推定した温度に応じたモータの熱保護を行なう。
より好ましくは、所定値は、温度センサの検出温度に基づいて定められる。
好ましくは、制御部は、モータの熱保護として複数相のコイルのうち第2相以外の相のコイルに電流集中相が変わるようにモータのロータの回転角を変化させる。
好ましくは、車両の制御装置は、アクセルペダルの踏込み量を検出するアクセル位置センサをさらに備える。制御部は、モータの熱保護として複数相のコイルのうち第2相以外の相のコイルに電流集中相が変わるように、アクセル位置センサの出力に対応するモータの出力トルクを変化させる。
好ましくは、制御部は、計数値が所定値を超えると第1相のコイルが電流集中相になるようにモータのロータの回転角を変化させ、温度センサの出力から得られる第1相のコイルの温度が所定温度を超えるとモータの出力を制限する。
この発明は、他の局面に従うと、複数相のコイルを有するモータを搭載する車両の制御方法であって、車両は、複数相のコイルに流れる各相の電流を計測する電流センサと、複数相のうちの第1相のコイルの温度を測定する温度センサと、モータの回転数を検出する回転センサと、電流センサ、温度センサおよび回転センサの出力に応じて複数相のコイルへの通電を制御する制御部とを含む。制御方法は、複数相のコイルうち第1相以外の第2相のコイルについて、モータの回転数が所定値より小さい場合に所定値を超える電流が流れるという条件が成立するか否かを判断するステップと、条件が成立すると計数値を増加させるステップと、条件が不成立になると計数値を減少させるステップと、計数値に基づいてモータの熱保護を行なうステップとを備える。
好ましくは、モータの熱保護を行なうステップは、モータの出力を減少させる。
好ましくは、モータの熱保護を行なうステップは、計数値が所定値を超えると温度センサの出力から第2相のコイルの温度を推定し、推定した温度に応じたモータの熱保護を行なう。
より好ましくは、所定値は、温度センサの検出温度に基づいて定められる。
好ましくは、モータの熱保護を行なうステップは、複数相のコイルのうち第2相以外の相のコイルに電流集中相が変わるようにモータのロータの回転角を変化させる。
好ましくは、車両は、アクセルペダルの踏込み量を検出するアクセル位置センサをさらに備える。モータの熱保護を行なうステップは、複数相のコイルのうち第2相以外の相のコイルに電流集中相が変わるように、アクセル位置センサの出力に対応するモータの出力トルクを変化させる。
好ましくは、モータの熱保護を行なうステップは、計数値が所定値を超えると第1相のコイルが電流集中相になるようにモータのロータの回転角を変化させ、温度センサの出力から得られる第1相のコイルの温度が所定温度を超えるとモータの出力を制限する。
この発明は、さらの他の局面に従うと、上記いずれかの車両の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
この発明は、さらに他の局面に従うと、上記いずれかの車両の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
本発明によれば、モータの体格を小さく保ちつつ、モータの性能を限界近くまで発揮できるとともに過熱保護が図られる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
図1は、本発明の実施の形態に係る車両100の主たる構成を示す図である。なお車両100は、モータとエンジンとを車両の駆動に併用するハイブリッド自動車であるが、本発明は、モータで車輪を駆動する電気自動車、燃料電池自動車等に対しても適用することができる。
図1を参照して、車両100は、バッテリBと、接続部40と、昇圧コンバータ12と、平滑用コンデンサC1、C2と、電圧センサ13,21と、負荷回路23と、エンジン4と、モータジェネレータMG1,MG2と、動力分割機構3と、車輪2と、制御装置30とを含む。
車両100は、さらに、電源ラインPL1,PL2と、接地ラインSLと、バッテリBの端子間の電圧VBを検出する電圧センサ10と、バッテリBに流れる電流IBを検出する電流センサ11とを含む。バッテリBとしては、たとえば、鉛蓄電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池等の二次電池を用いることができる。
接続部40は、バッテリBの負極と接地ラインSLとの間に接続されるシステムメインリレーSMR3と、バッテリBの正極と電源ラインPL1との間に接続されるシステムメインリレーSMR2と、システムメインリレーSMR2と並列接続される直列に接続された抵抗R1およびシステムメインリレーSMR1とを含む。システムメインリレーSMR1〜SMR3は、制御装置30から与えられる制御信号CONT1〜CONT3にそれぞれ応じて導通/非導通状態が制御される。
コンデンサC1は、システムメインリレーSMR1〜SMR3オン時において、バッテリBの端子間電圧を平滑化する。コンデンサC1は、電源ラインPL1と接地ラインSL間に接続される。また、電源ラインPL1と接地ラインSL間には、負荷回路である図示しない電動エアコンが接続されている。
電圧センサ21は、コンデンサC1の両端間の電圧VLを検知して制御装置30に対して出力する。昇圧コンバータ12は、コンデンサC1の端子間電圧を昇圧する。コンデンサC2は、昇圧コンバータ12によって昇圧された電圧を平滑化する。電圧センサ13は、平滑用コンデンサC2の端子間電圧VHを検知して制御装置30に出力する。
負荷回路23は、インバータ14および22を含む。インバータ14は、昇圧コンバータ12から与えられる直流電圧を三相交流に変換してモータジェネレータMG2に出力する。
動力分割機構3は、エンジン4とモータジェネレータMG1,MG2に結合されて、これらの間で動力を分配する機構である。たとえば動力分割機構としてはサンギヤ、プラネタリキャリヤ、リングギヤの3つの回転軸を有する遊星歯車機構を用いることができる。この3つの回転軸がエンジン4、モータジェネレータMG1,MG2の各回転軸にそれぞれ接続される。
なおモータジェネレータMG2の回転軸は、図示しない減速ギヤおよび作動ギヤによって車輪2に結合されている。また動力分割機構3の内部にモータジェネレータMG2の回転軸に対する減速機をさらに組み込んでもよい。また、この減速機の減速比を切り替え可能に構成しても良い。
昇圧コンバータ12は、一方端が電源ラインPL1に接続されるリアクトルL1と、電源ラインPL2と接地ラインSLとの間に直列に接続されるIGBT素子Q1,Q2と、IGBT素子Q1,Q2にそれぞれ並列に接続されるダイオードD1,D2とを含む。
リアクトルL1の他方端はIGBT素子Q1のエミッタおよびIGBT素子Q2のコレクタに接続される。ダイオードD1のカソードはIGBT素子Q1のコレクタと接続され、ダイオードD1のアノードはIGBT素子Q1のエミッタと接続される。ダイオードD2のカソードはIGBT素子Q2のコレクタと接続され、ダイオードD2のアノードはIGBT素子Q2のエミッタと接続される。
インバータ14は、電源ラインPL2と接地ラインSLに接続されている。インバータ14は、車輪2を駆動するモータジェネレータMG2に対して昇圧コンバータ12の出力する直流電圧を三相交流に変換して出力する。またインバータ14は、回生制動に伴い、モータジェネレータMG2において発電された電力を昇圧コンバータ12に戻す。このとき昇圧コンバータ12は、降圧回路として動作するように制御装置30によって制御される。
インバータ14は、U相アーム15と、V相アーム16と、W相アーム17とを含む。U相アーム15,V相アーム16,およびW相アーム17は、電源ラインPL2と接地ラインSLとの間に並列に接続される。
U相アーム15は、電源ラインPL2と接地ラインSLとの間に直列接続されたIGBT素子Q3,Q4と、IGBT素子Q3,Q4とそれぞれ並列に接続されるダイオードD3,D4とを含む。ダイオードD3のカソードはIGBT素子Q3のコレクタと接続され、ダイオードD3のアノードはIGBT素子Q3のエミッタと接続される。ダイオードD4のカソードはIGBT素子Q4のコレクタと接続され、ダイオードD4のアノードはIGBT素子Q4のエミッタと接続される。
V相アーム16は、電源ラインPL2と接地ラインSLとの間に直列接続されたIGBT素子Q5,Q6と、IGBT素子Q5,Q6とそれぞれ並列に接続されるダイオードD5,D6とを含む。ダイオードD5のカソードはIGBT素子Q5のコレクタと接続され、ダイオードD5のアノードはIGBT素子Q5のエミッタと接続される。ダイオードD6のカソードはIGBT素子Q6のコレクタと接続され、ダイオードD6のアノードはIGBT素子Q6のエミッタと接続される。
W相アーム17は、電源ラインPL2と接地ラインSLとの間に直列接続されたIGBT素子Q7,Q8と、IGBT素子Q7,Q8とそれぞれ並列に接続されるダイオードD7,D8とを含む。ダイオードD7のカソードはIGBT素子Q7のコレクタと接続され、ダイオードD7のアノードはIGBT素子Q7のエミッタと接続される。ダイオードD8のカソードはIGBT素子Q8のコレクタと接続され、ダイオードD8のアノードはIGBT素子Q8のエミッタと接続される。
各相のアームの中間点は、モータジェネレータMG2の各相のコイルの一端に接続されている。すなわち、モータジェネレータMG2は、三相の永久磁石同期モータであり、U,V,W相の3つのコイルUL,VL,WLは各々一方端が中点に共に接続されている。そして、U相コイルULの他方端がIGBT素子Q3,Q4の接続ノードに接続される。またV相コイルVLの他方端がIGBT素子Q5,Q6の接続ノードに接続される。またW相コイルWLの他方端がIGBT素子Q7,Q8の接続ノードに接続される。
なお、以上のIGBT素子Q1〜Q8に代えてパワーMOSFET等の他の電力スイッチング素子を用いても良い。
電流センサ24は、モータジェネレータMG2に流れる電流をモータ電流値MCRT2として検出し、モータ電流値MCRT2を制御装置30へ出力する。電流センサ24は、U相コイルULに流れる電流を検出するセンサ24Uと、V相コイルVLに流れる電流を検出するセンサ24Vとを含む。W相コイルWLに流れる電流はセンサ24U,24Vの出力から計算により求めることができる。このため、W相コイルWLには電流センサは設けられていない。そして、W相コイルWLには、後に図3で示すように温度センサ42が設けられている。
インバータ22は、昇圧コンバータ12から昇圧された電圧を受けて、たとえばエンジン4を始動させるために、モータジェネレータMG1を駆動する。また、インバータ22は、エンジン4から伝達される動力によってモータジェネレータMG1で発電された電力を昇圧コンバータ12に戻す。このとき昇圧コンバータ12は、降圧回路として動作するように制御装置30によって制御される。
なお、インバータ22の内部の構成は、図示しないがインバータ14と同様であり、詳細な説明は繰返さない。
電流センサ25は、モータジェネレータMG1に流れる電流をモータ電流値MCRT1として検出し、モータ電流値MCRT1を制御装置30へ出力する。電流センサ25は、U相コイルに流れる電流を検出するセンサ25Uと、V相コイルに流れる電流を検出するセンサ25Vとを含む。W相コイルに流れる電流はセンサ25U,25Vの出力から計算により求めることができる。このため、W相コイルWLには電流センサは設けられていない。
制御装置30は、トルク指令値TR1,TR2、モータ回転数MRN1,MRN2、電圧VB,VH、電流IBの各値、モータ電流値MCRT1,MCRT2および起動指示IGONを受ける。そして制御装置30は、昇圧コンバータ12に対して昇圧指示PWU,降圧指示PWDおよび動作禁止を指示する信号CSDNを出力する。
モータ回転数MRN1は、回転センサ46で検出される。モータ回転数MRN2は、回転センサ44で検出される。回転センサ44,46としては、ロータの回転速度と絶対位置が検出可能なレゾルバを用いることができる。
さらに、制御装置30は、インバータ22に対して、駆動指示PWMI1と回生指示PWMC1とを出力する。駆動指示PWMI1は、昇圧コンバータ12の出力である直流電圧をモータジェネレータMG1を駆動するための交流電圧に変換させる指示である。また、回生指示PWMC1は、モータジェネレータMG1で発電された交流電圧を直流電圧に変換して昇圧コンバータ12側に戻すための指示である。
同様に制御装置30は、インバータ14に対して、駆動指示PWMI2と回生指示PWMC2とを出力する。駆動指示PWMI2は、モータジェネレータMG2を駆動するための交流電圧に直流電圧を変換させる指示である。また回生指示PWMC2は、モータジェネレータMG2で発電された交流電圧を直流電圧に変換して昇圧コンバータ12側に戻すための指示である。
また、制御装置30は、必要に応じてブレーキ48を作動させることもある。
図2は、モータジェネレータMG2のステータコイルの巻き方の一例を説明するための図である。
図2は8極モータのステータの一例を示している。U相コイルは直列に接続されたコイルUL1〜UL8を含む。V相コイルは直列に接続されたVL1〜VL8を含む。W相コイルは直列に接続されたコイルWL1〜WL8を含む。
図2はコイルが巻かれたステータを回転軸の方向から見た状態をモデル的に示している。ステータコアにはスロットSL1〜SL48が設けられており、スロットSL1とスロットSL6を用いてコイルWL1が巻回されている。
コイルWL1に使用したスロットSL1,SL6に対して2ずつシフトしたスロットすなわちスロットSL3,SL8を用いてコイルVL1が巻回されている。さらにコイルVL1に使用したスロットに対して2ずつシフトしたスロットを用いてコイルUL1が巻回されている。このようにずれたスロットを用いてステータの全周にわたりコイルUL1〜UL8,VL1〜VL8,WL1〜WL8が各々巻回されている。
ステータ43の内部空洞には、ロータ41が配置される。ロータは電磁鋼板が積層されて形成され、貫通穴に永久磁石が挿入されている。
図3は、ステータコイルに設けられる温度センサの配置を示した概略図である。
図3を参照して、U相コイルULが最外周に配置され、W相コイルWLが最内周に配置され、それらの間にV相コイルVLが配置されている。コイルとコイルの相間には、絶縁紙62,64が配置されている。
そして、W相コイルWLには、温度センサ42が設けられている。コイルUL,VL,WLについては、使用条件によっては流れる電流値が異なる場合がある。そのため温度も異なる場合がある。しかし、ハイブリッド自動車では、搭載スペースや重量に制限があり、モータの体格は厳しく制限されている。したがって温度センサをU相およびV相にも設けることは難しい。
なお、図3の例ではW相コイルに温度センサ42が設けられる例が示されるが、他の相に温度センサ42が配置されても良い。
図4は、三相のコイルに流れる電流について説明するための波形図である。
図5は、ロータ位置が図4のF1に有るときに各コイルに流れる電流を示した図である。
図4、図5を参照して、U相コイル、V相コイル、W相コイルには120°ずつ位相がずれた電流が流される。そして、ロータ位置が図4のF1に有るときには、図5に示すようにU相コイルULに流れる電流をiuとすると、V相コイルVLに流れる電流iv、W相コイルWLに流れる電流iwは、ともに−0.5iuとなる。
コイルの銅損は電流値の2乗に比例するので、U相コイルの銅損は温度を測定しているW相コイルの銅損の4倍になる。
一定以上の速度で車両が走行している場合には、ロータ位置は図4のF1〜F6まで順に回転するので1相のコイルに電流が集中することはない。しかし、図18で説明したように上り坂の途中で渋滞等のため停止している際にブレーキを踏まずにアクセルペダルの加減で停止状態を維持させるような場合や、縁石や車止めなどの障害物に車輪が当接しているときにアクセルペダルを踏込んでいる場合には、たとえばロータ位置が図4のF1に固定された状態で電流が流れる。すると、1相のコイルが他のコイルよりも多く発熱する状態となってしまう。
図6は、コイル温度の変化について説明するための図である。
図5のようにU相コイルに多くの電流が集中する状態が継続すると、W相コイルに設けられている温度センサ42は、U相コイルの熱が伝達されるまでに時間の遅れが生じる。したがって、図6に示すように電流集中状態となった初期温度がT0とすると温度センサで検知されるΔTwに対してU相コイルの昇温幅ΔTuは大きくなっている。
図7は、図1の制御装置30の機能ブロック図である。なお、この制御装置30は、ソフトウエアでもハードウエアでも実現が可能である。
図7を参照して、制御装置30は、電流センサ24UからU相コイルULに流れる電流値MCRT2(U)を受けてU相コイルの電流集中を監視するU相コイル電流監視部31と、電流センサ24VからV相コイルVLに流れる電流値MCRT2(V)を受けてV相コイルの電流集中を監視するV相コイル電流監視部32と、カウンタ用のクロック信号CLKを発生するクロック発生器36と、U相用カウンタ34と、V相用カウンタ35と、モータ電流制御部33とを含む。
U相コイル電流監視部31は、U相コイルULの電流集中を検出すると、U相用カウンタ34にカウントアップ指示UPを送り、U相コイルULの電流集中が解消されると、U相用カウンタ34にカウントダウン指示DOWNを送る。U相用カウンタ34はクロック信号CLKに基づいてカウント操作をすることにより電流集中が生じている期間の時間を積算する。
V相コイル電流監視部32は、V相コイルVLの電流集中を検出すると、V相用カウンタ35にカウントアップ指示UPを送り、V相コイルVLの電流集中が解消されると、V相用カウンタ35にカウントダウン指示DOWNを送る。V相用カウンタ35はクロック信号CLKに基づいてカウント操作をすることにより電流集中が生じている期間の時間を積算する。
なお、電流集中時の発熱量と電流集中解消時の放熱量の違いに基づいて、U相用カウンタ34およびV相用カウンタ35のカウントアップとカウントダウンの単位時間(クロック信号CLKの数)を変えても良い。
モータ電流制御部33は、U相用カウンタ34のカウント値またはV相用カウンタ35のカウント値が上限値を超えるとモータに供給する電流に制限をかける。この上限値は、U相用カウンタ34またはV相用カウンタ35がカウント開始したときの温度センサ42で測定したW相コイルの温度Twに応じて変更される。また、モータ電流制御部33は、コイル温度Twが一定値以下に下るとU相用カウンタ34、V相用カウンタ35のカウント値をリセット信号RESETで零に初期化する。
図7では、U相用カウンタ34、V相用カウンタ35を設け、W相コイルの温度と電流集中継続時間からU相、V相についてコイル温度を推定して制御を行なう例を示したが、さらにW相用カウンタを設けても良い。W相についても、電流集中発生から温度センサ42での温度上昇検知までに時間遅れが生ずる場合もあるので、W相用カウンタを設けてW相の電流集中時間を積算することで、温度上昇をすみやかに検知できる。
以上図7で説明した制御装置30は、コンピュータを用いてソフトウエアで実現することも可能である。
図8は、制御装置30としてコンピュータ180を用いた場合の一般的な構成を示した図である。
図8を参照して、コンピュータ180は、CPU185と、A/D変換器181と、ROM182と、RAM183と、インターフェース部184とを含む。
A/D変換器181は、各種センサの出力等のアナログ信号AINをディジタル信号に変換してCPU185に出力する。またCPU185はデータバスやアドレスバス等のバス186でROM182と、RAM183と、インターフェース部184に接続されデータ授受を行なう。
ROM182は、たとえばCPU185で実行されるプログラムや参照されるマップ等のデータが格納されている。RAM183は、たとえばCPU185がデータ処理を行なう場合の作業領域であり、各種変数を一時的に記憶する。
インターフェース部184は、たとえば他のECUとの通信を行なったり、ROM182として電気的に書換可能なフラッシュメモリ等を使用した場合の書換データの入力などを行なったり、メモリカードやCD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体からのデータ信号SIGの読込みを行なったりする。
なお、CPU185は、入出力ポートからデータ入力信号DINやデータ出力信号DOUTを授受する。
制御装置30は、このような構成に限られるものでなく、複数のCPUを含んで実現されるものであっても良い。
図9は、制御装置30が実行する処理の制御構造を示すフローチャートである。このフローチャートの処理は一定時間毎または所定の条件が成立する毎にメインルーチンから呼び出されて実行される。また、このフローチャートの処理がU相、V相のコイルの各々について実行される。
図1、図9を参照して、このフローチャートの処理が開始されると、まずステップS1において、各相コイルについてカウントされているカウント値がゼロであるか否かが判断される。ステップS1においてカウント値がゼロであると判断された場合には、ステップS2において温度センサ出力に基づきカウンタ上限値Xが決定される。
図10は、図9のステップS2において設定される温度センサ出力と上限値Xの関係を示した図である。
図10に示すように、温度センサ出力が低い場合はカウンタ上限値X(時間secに相当する)は長くなる。これは、温度が低い場合には電流集中が発生しても使用可能上限温度に到達するまでの時間が長いからである。
一例として、温度センサ出力が59℃以下である場合には上限値XはA1に設定され、温度センサ出力が60〜99℃である場合には上限値XはA2に設定される。また、温度センサ出力が100〜120℃である場合には上限値XはA3に設定され、温度センサ出力が130以上である場合には上限値XはA4に設定される。ただし、A1>A2>A3>A4である。
再び図9を参照して、ステップS1においてカウンタ値がゼロで無かった場合およびステップS2の処理が終了した場合には、ステップS3に処理が進む。
ステップS3では、モータ回転数が所定値B1(rpm)より小さいことおよび該当相のコイルの電流値が所定値i0(A)より大きいことが同時に成立しているか否かが判断される。すなわちステップS3では、モータが低回転であるときに、特定の相のコイルに電流集中が発生したことが検出される。
ステップS3において、|回転数|<所定値B1(rpm)かつ|電流値|>所定値i0(A)が成立した場合には、処理はステップS6に進み、該当相のカウンタをインクリメントする。そしてステップS7においては、該当相のカウンタ値が上限値以上になったか否かが判断される。
ステップS7において、カウンタ値≧上限値Xが成立しない場合にはステップS11において制御はメインルーチンに移される。一方ステップS7においてカウンタ値≧上限値Xが成立した場合にはステップS8に処理が進む。
ステップS8では、コイルを過熱から保護するためにコイル保護が実行される。コイル保護は、たとえば、モータ出力を低下させたり、モータのロータを回転させて過熱している特定相に電流集中が発生しないようにしたり、コイルに対して空冷、水冷または油冷等の冷却能力を増加させるようにしたりする。
ステップS8のコイル保護が実施された結果、コイル温度が所定値まで低下したが否かがステップS9で判断される。コイル温度が所定値まで低下していた場合にはステップS10でカウンタがリセットされその後ステップS11で制御がメインルーチンに移される。一方、ステップS9でコイル温度が所定値まで低下していなければ、ステップS10のカウンタリセットは実行されずステップS11で制御がメインルーチンに移される。
ステップS3において、|回転数|<所定値B1(rpm)かつ|電流値|>所定値i0(A)の条件が成立しない場合には、処理はステップS4に進み、該当相のカウンタのデクリメントが行なわれる。そしてステップS5において温度センサ42の出力に基づきカウンタ上限値Xを更新する処理が行なわれる。ステップS5の上限値Xの更新処理が終了すると、ステップS11において制御はメインルーチンに移される。
図11は、図9のカウンタインクリメントおよびデクリメント動作を説明するための波形図である。
図11を参照して、時刻t1に至るまでは、カウンタのカウント値Nはゼロであり、コイルの電流は所定値i0(A)未満である。したがって、電流集中判定結果を示す信号はLレベルに非活性化されている。
時刻t1において、該当コイルの電流値が所定値i0(A)を超え、電流集中の発生が検出される。なお、モータ回転数は図11の波形では示されていないが、|モータ回転数|<所定値B1(rpm)は成立しているものとする。
すると、時刻t1〜t2の間、電流集中判定結果を示す信号がHレベルに活性化される。そして、この間、図9のステップS3からステップS6に処理が流れ、カウンタインクリメントが実行される。カウント値Nは時間に比例して増加していく。時刻t1〜t2においては、時刻t1でカウント値Nの加算開始される直前の状態で図9のステップS2において上限値Xが設定されこの上限値XがステップS7の判断に使用される。
時刻t2〜t3では、電流値が所定値i0(A)を下回ったことに応じて、電流集中判定を示す信号がLレベルに非活性化される。この間、図9のステップS3からステップS4に処理が進み、カウンタのデクリメントが実行される。なお、カウンタのインクリメントの1ステップ分の増分とデクリメントの1ステップ分は、異なる値であっても良い。時刻t2〜t3の間は、カウント値Nは減少していく。
時刻t3〜t4においては、再び、電流値が所定値i0(A)を超えたことに応じて、電流集中判定を示す信号がHレベルに活性化される。このため、カウント値Nは増加していく。時刻t3〜t4においては、時刻t3でカウント値Nが減少から増加に転じる直前の状態で図9のステップS2において更新された上限値Xが設定されこの上限値XがステップS7の判断に使用される。
時刻t4〜t5では、再び、電流値が所定値i0(A)を下回ったことに応じて、電流集中判定を示す信号がLレベルに非活性化される。この間、カウンタのデクリメントが実行される。
時刻t5〜t6においては、再び、電流値が所定値i0(A)を超えたことに応じて、電流集中判定を示す信号がHレベルに活性化される。このため、カウント値Nは増加していく。時刻t5〜t6においては、時刻t5でカウント値Nが減少から増加に転じる直前の状態で図9のステップS2において更新された上限値Xが設定されこの上限値XがステップS7の判断に使用される。そして時刻t6において、カウント値Nが上限値Xに到達すると、図9のステップS7からステップS8に処理が進み、コイル保護開始フラグが立ち、コイル保護処理が実行される。
ステップS8のコイル保護処理としては、いくつかのやり方が考えられるので、複数の例(ステップS8A〜S8D)を以下説明する。
図12は、コイル保護処理の第1の例を説明するためのフローチャートである。
図12を参照して、まず第1の例であるステップS8Aが開始されると、ステップS21において、モータの出力を減少させる。この減少は、運転者が違和感を覚えない程度にゆっくりと行なわれる。このため、モータ電流値を毎秒i1(A)減少させるまたはトルクを毎秒T1(Nm)減少させるといったように、モータ出力を減少させる変化量に制限が加えられている。
ステップS21に続き、ステップS22において車が後退したか否かが判断される。後退は、たとえば、車輪に連動して動くモータジェネレータMG2の回転を検知している回転センサ44の出力で検出することができる。なお、車輪に設けられている車輪速センサで検出しても良い。ステップS22において、車が後退しなければ、再びステップS21に処理が戻り、モータの出力を減少させることが継続される。
図13は、モータ出力の減少にともなうアクセル開度と要求駆動トルクの関係の変化を説明するための図である。
図12のステップS21の処理が繰り返し実行されると、図13の線W1→W2→W3というように、アクセルを同じだけ踏んでいても、要求駆動トルク(この場合モータ出力トルクにも該当)が次第に減らされていく。これにより、特定相のコイルに発生した電流集中が解消に向かう。しかし、図18で説明したように上り坂の途中で停止していた場合には、モータ出力をある程度まで減少させると車が後退してしまう。
図12のステップS22で車の後退が検出されると、ステップS23に処理が進む。ステップS23では、警告ランプを点灯させ運転者にブレーキ48を作動させるためにブレーキペダルを踏むように促す。アクセルペダルからブレーキペダルに踏み換えが行なわれれば、モータジェネレータMG2に生じている電流集中は解消する。
または、ステップS23において、制御装置30が自動的にブレーキ48を作動させて車両の後退を防止しても良い。ブレーキを作動させることにより、モータジェネレータMG2にトルクを発生させなくても車両が後退しなくなるので、あわせてモータジェネレータMG2のステータコイルに電流を流さないように制御すれば、電流集中状態を解消することができる。
ステップS23の処理が終了すると、ステップS24において制御は図9のフローチャートに移される。
図14は、コイル保護処理の第2の例を説明するためのフローチャートである。
図14を参照して、まず第2の例であるステップS8Bが開始されると、ステップS31において、電流集中相コイルの温度が推定される。
先に図6で説明したように、W相コイルの温度と電流が集中しているU相コイルの間には、温度差が生じている。したがって、カウント開始時の温度T0に対して上昇する分について1より大きい係数を掛けてU相の温度を求めるようにしても良い。また、実験的に温度上昇のカーブを求めておき、T0,Tw、Xに対してTuをマップとして持っておいても良い。ステップS31において、電流集中相のコイル温度が推定されると、ステップS32において推定温度に対応した負荷率の低減が行なわれた後にステップS33において制御は図9のフローチャートに移される。
図15は、負荷率の低減について説明するための図である。
図15に示すように、W相センサ温度およびU,V相推定温度に対して負荷率が最大100%として規定されている。温度が150℃までは、負荷率が100%である。この場合は、予め定められている上限値のパワーまでモータ出力を上げることができる。負荷率が制限されると、アクセルペダルをさらに踏込んだとしても、上限値のパワーに負荷率を乗じたパワーまでしかモータ出力を上げることができなくなる。
温度が150℃を超えると負荷率は0%に向けて減少し、180℃では0%になる。なお、これらの温度については例示であり、モータのコイルの材質や線径等によって適宜設定される。
なお、図14のステップS32における負荷率の低減は、W相コイルで検出された温度に基づいて負荷率の低減が実施されるシステムが確立している場合は、それを少し変形することで容易に実現できる。例えば、電流集中相がU相やV相のコイルである場合には、U相やV相のコイルについて温度の推定を行ない、推定された温度がW相のコイル温度よりも高い場合には、W相のコイル温度の値を推定した温度に模擬的に置き換えて負荷率の低減処理を行なわせればよい。
図16は、コイル保護処理の第3の例を説明するためのフローチャートである。
図1、図16を参照して、第3の例であるステップS8Cが開始されると、ステップS41において、制御装置30は、モータの出力トルクを減少させる。この減少は、運転者が違和感を覚えない程度にゆっくりと行なわれる。このため、モータ出力トルクを減少させる変化量に制限が加えられている。
ステップS41に続き、ステップS42において、車が後退してモータのロータが動くことにより電流集中相が切替わったか否かが判断される。たとえば、出力トルクを減少させることにより、図18で説明したような上り坂での停止中から数センチメートル程度車両が後退すれば、車輪に連動して動くモータジェネレータMG2のステータが回転し、電流集中相が例えばU相からV相へと切替わる。車両が動く距離が数センチメートルであれば、ゆっくり後退させれば運転者を驚かせることなく電流集中相を切替えることができる。
電流集中相の切替わりは、電流センサ24の出力を監視することで判断できる。電流集中相が切替わることで、電流集中により発熱するコイルが隣接相に移るので、3相のコイルで発熱が平均化される。
ステップS42において、電流集中相が切替わらない間はステップS41に処理が戻り、制御装置30は、さらにモータジェネレータMG2のトルクの減少をさせる。
ステップS42において、電流集中相が切替わっていた場合は、ステップS43に処理が進み、制御装置30は、トルクを元に戻して車両を停止させ、続いてステップS44において制御が図9のフローチャートに移される。
このように、コイルに電流集中が発生しそれが所定時間継続したときは、ロータをわずかに回転させ電流集中相を切替えることで熱を分散させる。これによりモータのコイル保護が実現できる。
図17は、コイル保護処理の第4の例を説明するためのフローチャートである。
図1、図17を参照して、第4の例であるステップS8Dが開始されると、ステップS51において、制御装置30は、モータの出力トルクを減少させる。この減少は、運転者が違和感を覚えない程度にゆっくりと行なわれる。このため、モータ出力トルクを減少させる変化量に制限が加えられている。
ステップS51に続き、ステップS52において、車が後退してモータのロータが動くことにより電流集中相が温度センサを装着している相のコイルに切替わったか否かが判断される。たとえば、出力トルクを減少させることにより、図18で説明したような上り坂での停止中から数センチメートル程度車両が後退すれば、車輪に連動して動くモータジェネレータMG2のステータが回転し、電流集中相が例えばU相やV相から図3で説明したように温度センサ42が装着されているW相へと切替わる。車両が動く距離が数センチメートルであれば、ゆっくり後退させれば運転者を驚かせることなく電流集中相を切替えることができる。
電流集中相の切替わりは、電流センサ24の出力を監視することで判断できる。電流集中相がW相に切替われば、一番発熱するコイルの温度が直接温度センサ42で監視できるので、性能限界近くまでコイルに電流を流すことを継続することが可能となる。
ステップS52において、電流集中相コイルが温度センサ装着相のコイルに切替わらない間はステップS51に処理が戻り、制御装置30は、さらにモータジェネレータMG2のトルクの減少をさせる。
ステップS52において、電流集中相コイルが温度センサ装着相のコイルに切替わっていた場合は、ステップS53に処理が進み、制御装置30は、トルクを元に戻して車両を停止させ、続いてステップS54において温度センサ42の出力に基づく負荷率の低減が実行される。この負荷率の低減は、図15で説明しているので、説明は繰返さない。
ステップS54の負荷率の低減処理が終了すると、ステップS55において制御が図9のフローチャートに移される。
図14で説明したようにU相やV相に電流が集中している場合に温度を推定してこの負荷率の低減処理を適用するよりも、図17で説明したように直接温度が観測できているW相に電流を集中させてこの負荷率の低減処理を適用するほうが、保護が最適化される。
以上の説明に基づいて、再度図1および図9を用いて本実施の形態について総括的に説明する。この発明は、ある局面に従うと、複数相のコイルUL,VL,WLを有するモータMG2を搭載する車両の制御方法である。車両は、複数相のコイルUL,VL,WLに流れる各相の電流を計測する電流センサ24と、複数相のうちの第1相(W相)のコイルの温度を測定する温度センサ42と、モータMG2の回転数を検出する回転センサ44と、電流センサ24、温度センサ42および回転センサ44の出力に応じて複数相のコイルUL,VL,WLへの通電を制御する制御部30とを含む。制御方法は、複数相のコイルうち第1相以外の第2相のコイルについて、モータの回転数が所定値より小さい場合に所定値を超える電流が流れるという条件が成立するか否かを判断するステップS3と、条件が成立すると計数値を増加させるステップS6と、条件が不成立になると計数値を減少させるステップS4と、計数値に基づいてモータの熱保護を行なうステップS8とを備える。
図12で示されるように、好ましくは、モータの熱保護を行なうステップS8Aは、モータの出力を減少させる。
図14で示されるように、好ましくは、モータの熱保護を行なうステップS8Bは、計数値が所定値を超えると温度センサ42の出力から第2相のコイルの温度を推定し、推定した温度に応じたモータの熱保護を行なう。
より好ましくは、所定値は、温度センサ42の検出温度に基づいて定められる。
図16で示されるように、好ましくは、モータの熱保護を行なうステップS8Cは、複数相のコイルのうち第2相以外の相のコイルに電流集中相が変わるようにモータのロータの回転角を変化させる。
好ましくは、車両は、アクセルペダルの踏込み量を検出するアクセル位置センサ49をさらに備える。図13で示されるように、モータの熱保護を行なうステップは、複数相のコイルのうち第2相以外の相のコイルに電流集中相が変わるように、アクセル位置センサ49の出力に対応するモータMG2の出力トルクを変化させる。
図17で示されるように、好ましくは、モータの熱保護を行なうステップS8Dは、計数値が所定値を超えると第1相(W相)のコイルが電流集中相になるようにモータMG2のロータの回転角を変化させ、温度センサ42の出力から得られる第1相のコイルの温度が所定温度を超えるとモータの出力を制限する。
なお、以上、コイル保護として、モータ出力を低減させたり、電流集中相コイルを切替えて熱を分散させたりする例を説明したが、コイル保護として空冷、水冷、油冷等の冷却装置が設けられている場合は冷却装置を作動開始させたり、作動中の冷却能力を増加させたりしても良い。
また、以上の実施の形態で開示された制御方法は、コンピュータを用いてソフトウエアで実行可能である。この制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムをコンピュータ読み取り可能に記録した記録媒体(ROM、CD−ROM、メモリカードなど)から車両の制御装置中のコンピュータに読み込ませたり、また通信回線を通じて提供したりしても良い。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の実施の形態に係る車両100の主たる構成を示す図である。 モータジェネレータMG2のステータコイルの巻き方の一例を説明するための図である。 ステータコイルに設けられる温度センサの配置を示した概略図である。 三相のコイルに流れる電流について説明するための波形図である。 ロータ位置が図4のF1に有るときに各コイルに流れる電流を示した図である。 コイル温度の変化について説明するための図である。 図1の制御装置30の機能ブロック図である。 制御装置30としてコンピュータ180を用いた場合の一般的な構成を示した図である。 制御装置30が実行する処理の制御構造を示すフローチャートである。 図9のステップS2において設定される温度センサ出力と上限値Xの関係を示した図である。 図9のカウンタインクリメントおよびデクリメント動作を説明するための波形図である。 コイル保護処理の第1の例を説明するためのフローチャートである。 モータ出力の減少にともなうアクセル開度と要求駆動トルクの関係の変化を説明するための図である。 コイル保護処理の第2の例を説明するためのフローチャートである。 負荷率の低減について説明するための図である。 コイル保護処理の第3の例を説明するためのフローチャートである。 コイル保護処理の第4の例を説明するためのフローチャートである。 代表のコイルに温度センサを設ける場合についての問題点を説明するための図である。
符号の説明
2 車輪、3 動力分割機構、4 エンジン、10,13,21 電圧センサ、11,24,25 電流センサ、12 昇圧コンバータ、14,22 インバータ、15 U相アーム、16 V相アーム、17 W相アーム、23 負荷回路、24U,24V,25U,25V センサ、30 制御装置、31 U相コイル電流監視部、32 V相コイル電流監視部、33 モータ電流制御部、34 U相用カウンタ、35 V相用カウンタ、36 クロック発生器、40 接続部、41 ロータ、42 温度センサ、43 ステータ、44,46 回転センサ、48 ブレーキ、62,64 絶縁紙、100 車両、180 コンピュータ、181 A/D変換器、184 インターフェース部、186 バス、B バッテリ、C1,C2 コンデンサ、D1〜D8 ダイオード、L1 リアクトル、MG1,MG2 モータジェネレータ、PL1,PL2 電源ライン、Q1〜Q8 IGBT素子、R1 抵抗、SL 接地ライン、SL1〜SL48 スロット、SMR1〜SMR3 システムメインリレー、UL,VL,WL,UL1〜UL8,VL1〜VL8,WL1〜WL8 コイル。

Claims (16)

  1. 複数相のコイルを有するモータを搭載する車両の制御装置であって、
    前記複数相のコイルに流れる各相の電流を計測する電流センサと、
    前記複数相のうちの第1相のコイルの温度を測定する温度センサと、
    前記モータの回転数を検出する回転センサと、
    前記電流センサ、前記温度センサおよび前記回転センサの出力に応じて前記複数相のコイルへの通電を制御する制御部とを備え、
    前記制御部は、前記複数相のコイルのうち前記第1相以外の第2相のコイルについて、前記モータの回転数が所定値より小さい場合に所定値を超える電流が流れるという条件が成立すると計数値を増加させ前記条件が不成立になると前記計数値を減少させて前記計数値を更新し、
    前記制御部は、更新した前記計数値に基づいて前記モータの熱保護を行なう、車両の制御装置。
  2. 前記制御部は、前記計数値が上限値に到達すると前記モータの熱保護として前記モータの出力を減少させ
    前記制御部は、前記計数値を減少させた場合には、前記上限値を前記温度センサの出力に基づいて更新する、請求項1に記載の車両の制御装置。
  3. 前記制御部は、前記計数値が所定値を超えると前記温度センサの出力から前記第2相のコイルの温度を推定し、推定した温度に応じた前記モータの熱保護を行なう、請求項1に記載の車両の制御装置。
  4. 前記所定値は、前記温度センサの検出温度に基づいて定められる、請求項3に記載の車両の制御装置。
  5. 前記制御部は、前記モータの熱保護として前記複数相のコイルのうち前記第2相以外の相のコイルに電流集中相が変わるように前記モータのロータの回転角を変化させる、請求項1に記載の車両の制御装置。
  6. アクセルペダルの踏込み量を検出するアクセル位置センサをさらに備え、
    前記制御部は、前記モータの熱保護として前記複数相のコイルのうち前記第2相以外の相のコイルに電流集中相が変わるように、前記アクセル位置センサの出力に対応する前記モータの出力トルクを変化させる、請求項1に記載の車両の制御装置。
  7. 前記制御部は、前記計数値が所定値を超えると前記第1相のコイルが電流集中相になるように前記モータのロータの回転角を変化させ、前記温度センサの出力から得られる前記第1相のコイルの温度が所定温度を超えると前記モータの出力を制限する、請求項1に記載の車両の制御装置。
  8. 複数相のコイルを有するモータを搭載する車両の制御方法であって、
    前記車両は、
    前記複数相のコイルに流れる各相の電流を計測する電流センサと、
    前記複数相のうちの第1相のコイルの温度を測定する温度センサと、
    前記モータの回転数を検出する回転センサと、
    前記電流センサ、前記温度センサおよび前記回転センサの出力に応じて前記複数相のコイルへの通電を制御する制御部とを含み、
    前記制御方法は、
    前記複数相のコイルうち前記第1相以外の第2相のコイルについて、前記モータの回転数が所定値より小さい場合に所定値を超える電流が流れるという条件が成立するか否かを判断するステップと、
    前記条件が成立すると計数値を増加させて更新するステップと、
    前記条件が不成立になると前記計数値を減少させて更新するステップと、
    更新された前記計数値に基づいて前記モータの熱保護を行なうステップとを備える、車両の制御方法。
  9. 前記モータの熱保護を行なうステップは、前記計数値が上限値に到達すると前記熱保護として前記モータの出力を減少させ
    前記計数値を減少させて更新するステップは、前記上限値を前記温度センサの出力に基づいて更新する、請求項8に記載の車両の制御方法。
  10. 前記モータの熱保護を行なうステップは、前記計数値が所定値を超えると前記温度センサの出力から前記第2相のコイルの温度を推定し、推定した温度に応じた前記モータの熱保護を行なう、請求項8に記載の車両の制御方法。
  11. 前記所定値は、前記温度センサの検出温度に基づいて定められる、請求項10に記載の車両の制御方法。
  12. 前記モータの熱保護を行なうステップは、前記複数相のコイルのうち前記第2相以外の相のコイルに電流集中相が変わるように前記モータのロータの回転角を変化させる、請求項8に記載の車両の制御方法。
  13. 前記車両は、
    アクセルペダルの踏込み量を検出するアクセル位置センサをさらに備え、
    前記モータの熱保護を行なうステップは、前記複数相のコイルのうち前記第2相以外の相のコイルに電流集中相が変わるように、前記アクセル位置センサの出力に対応する前記モータの出力トルクを変化させる、請求項8に記載の車両の制御方法。
  14. 前記モータの熱保護を行なうステップは、前記計数値が所定値を超えると前記第1相のコイルが電流集中相になるように前記モータのロータの回転角を変化させ、前記温度センサの出力から得られる前記第1相のコイルの温度が所定温度を超えると前記モータの出力を制限する、請求項8に記載の車両の制御方法。
  15. 請求項8〜14のいずれか1項に記載の車両の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
  16. 請求項8〜14のいずれか1項に記載の車両の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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