JP2005166280A - 照明光学系および撮影装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 光学部材の材料自体の特性を改善することによって、より小型化を図ることができる照明光学系を提供する。
【解決手段】 光源2と、該光源からの光の照射方向に配置された光学部材4とを有する照明光学系において、該光学部材を、樹脂材料からなる母材に、粒径が1μmより小さい粒子を含有した粒子含有材料により形成する。上記粒径は、可視領域の光の波長よりも小さくてもよく、さらに100nm以下でもよい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、照明光学系、特に撮影装置の照明ユニット等として用いられる照明光学系に関する。
従来、ストロボ光学系は、光源からの射出光をフレネルレンズや反射傘といった光学部材を介し、その形状を最適化することで、所定の配光特性が得られるように各部の形状を規定してきた。
一方、近年、この種のストロボを搭載したデジタルカメラや携帯機器における最大の課題は、機器をいかに小型化するかであり、ストロボ光学系も例外ではない。そして、ストロボ光学系の小型化に伴う光学性能の劣化を抑えるために、従来多くの提案がなされてきた。
本出願人は、光源の近傍にプリズムを配置し、このプリズムの全反射を使って小型で効率の良い照明光学系を提案してきた(特許文献1,2参照)。
一方、照明光学系の光学部材に素粒子を分散させて、光学材料の特性向上を図った提案が以前からなされている。例えば、特許文献3においては、母材に屈折率の異なる微粒子を分散させ、屈折率の異なる不均一な厚みの層を形成することにより、射出光が均一になるような面光源装置が提案されている。
また、特許文献4では、母材に屈折率の異なる相溶性を有しない粒子を均一に分散させることにより、光束を意図的に拡散させて必要とされる方向に効率良く導くような液晶バックライト用の照明系が提案されている。
さらに、特許文献5には、ガラス管の内部に金属酸化物を含有させ、ガラス管内の金属酸化物の含有量を内面側から徐々に変化させることによって、屈折率分布を与えるようにした技術が提案されている。
特開平10−115852号公報(段落0039〜0041、図1等) 特開2000−250102号公報(段落0036〜0039、図5,6等) 特開平11−345512号公報(段落0010〜0013、図4〜6等) 特開平8−201807号公報(段落0027〜0041、図1〜3等) 特開平11−188268公報(段落0056〜0065、図1,2等)
前述したように、デジタルカメラ等の電子機器の小型化に伴ない、これに搭載するストロボ光学系も小型化が必須である。しかしながら、上述した技術を用いても、現状の光学特性を維持したまま、より小型化を図ることは困難である。
現在、ストロボ光学系を構成する光学部材の材料としては、光学特性に優れ、かつ外観部材としても十分な機械的強度を持ったPMMA(ポリメチルメタクリレート)が多く用いられている。この材料を含め、光学部材として使用される主要な光学樹脂材料の屈折率は、約1.5前後である。
しかし、ストロボ光学系の小型化を実現させるためには、通常の樹脂材料より高い屈折率を持つ材料を使用することが必須条件となる。
一方、上記特許文献1,2で提案されているような光学系においては、光源と光学部材までの距離が非常に接近している。このことは、光学材料の種類によっては、光源の発熱によって変形や変色が生じ、光学部材の形状や光学特性を維持できない可能性がある。このような状況から、光学材料の選定に当たっては、単に材料が高屈折率であるという点に着目するだけでなく、光源から発生する熱への配慮も必要となる。
さらに、特許文献3,4にて提案の光学系では、いずれも母材とは異なった屈折力を持った数μm程度の比較的大きな透明の素粒子を分散させているが、これらは基本的に光を均一に拡散させることを目的としたものであり、光学部材の光学特性や機械的特性を同時に改善させることはできない。
また、特許文献5にて提案の光源では、母材がガラスであり、極めて高価となることに加えて、光源であるガラス管そのものに屈折率勾配を形成しており、該光源からの光に光学作用を与える光学部材に対する提案ではない。
本発明は、光学部材の形状に加えて、光学部材の材料自体の特性を改善することによって、より小型化を図ることができるようにした照明光学系を提供することを目的としている。
上記の目的を達成するために、本発明では、光源と、該光源からの光の照射方向に配置された光学部材とを有する照明光学系において、該光学部材を、樹脂材料からなる母材に、粒径が1μm(ミクロン)より小さい(いわゆるナノオーダーの)粒子を含有した粒子含有材料により形成している。
ここで、上記粒径は、可視領域の光の波長(400〜700nm〈ナノメートル〉)よりも小さくてもよく、さらに100nm以下でもよい。
また、光学部材としては、入射面と、射出面と、該入射面から入射した光を全反射作用を用いて射出面に導く反射面とを有するとよい。
また、上記粒子は、前記光学部材内で略均一に分散させてもよいが、光学部材の入射面および射出面のうち少なくとも一方の光学面付近での粒子の分布濃度を、該光学面付近以外の部分の粒子の分布濃度よりも低くするとよい。また、上記反射面付近での粒子の分布濃度を、該反射面付近以外の部分の粒子の分布濃度よりも高くしてもよい。
上記発明によれば、上記光学部材は、光源からの光を含有された粒子によって拡散させたり、光透過率をほとんど減少させたりすることがなく、母材のみで形成された光学部材に比べて高い屈折率を有する。このため、光学特性を劣化させることなく(必要な光照射特性を確保しつつ)照明光学系を小型化することができる。
例えば、上記粒子含有材料で形成した光学部材を第1の光学部材とし、上記母材のみで形成した第2の光学部材を用いた照明光学系に対して、該光学部材の材料以外の光照射に関する条件を同一として略等価な光照射特性を持たせたとき、第1の光学部材の光軸方向寸法や光軸直交方向の寸法を、第2の光学部材のそれらよりも小さくすることができる。
したがって、本発明の照明光学系を用いた撮影装置をより小型化したり、撮影装置内のスペース効率を高めたりすることができる。
さらに、光学部材に全反射作用を有する反射面を形成する場合、屈折率が高いほど全反射し易くなる(臨界角が小さくなる)ので、反射面での透過による光の損失が少なくなり、光の利用効率の高い照明光学系とすることができる。このため、反射面付近での粒子の含有濃度を、該反射面付近以外の部分の粒子の含有濃度よりも高くすることが有効である。
また、光学部材の屈折率が高くなると、入射面および射出面での表面反射が増加する可能性があるので、これら光学面付近での粒子の分布濃度を、該光学面付近以外の部分の粒子の分布濃度よりも低くすれば、該表面反射を抑え、光量ロスの少ない効率の良い光学系とすることができる。
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
図1、図3および図5には、本発明の実施例1である照明光学系、特にカメラに内蔵されるストロボ光学系の構成を示している。なお、図1(a),(b)は、上記照明光学系の光軸直交方向の断面図(縦断面図)、図3は上記照明光学系の水平断面図である。図1(b)および図3には、光源の中心から射出した代表光線の光線トレース図も合わせて示している。図5は上記照明光学系の分解斜視図である。また、図6には、上記照明光学系を搭載したカメラを示している。
まず図6において、11はカメラ本体であり、12はカメラ本体11の前面ほぼ中央に設けられた撮影レンズ鏡筒である。また、1はカメラ本体11の正面から見て右側上部に配置された本実施例の照明光学系を用いたストロボユニットである。
13はカメラ本体11内に設けられた、CCDやCMOSセンサ等の撮像素子19による被写体像の光電変換撮影(又はフィルムによる撮影)を行わせるためのレリーズボタンである。14は撮影レンズをズーミングするためのズームスイッチであり、このズームスイッチ14を前側に倒すとテレ方向に、後側に倒すとワイド方向にそれぞれズームさせることができる。
15はカメラの各種モードを切り替えるための操作ボタン、16はカメラの動作をユーザーに知らせるための液晶表示パネルである。また、17は外光の明るさを測定する測光ユニットの受光窓、18はファインダーの覗き窓である。なお、本発明の照明光学系は、図6に示すカメラに限らず、他のカメラ(一眼レフカメラやビデオカメラ等)に搭載することもできる。
次に、本実施例のストロボユニット(照明光学系)の光学特性を決定する構成要素について、図1,図3および図5を用いて説明する。
これらの図において、2は円筒直管形状の発光放電管(キセノン管)である。3は発光放電管2から射出した光束のうち照射光軸L方向の後方(照明光学系の照射方向の反対側)および上下方向に向かう成分を前方に反射させる反射傘(反射部材)である。反射傘3は、内側の面が高反射率面で形成された光輝アルミ等の金属材料又は内側の面に高反射率の金属蒸着面が形成された樹脂材料等で構成されている。
4は透明体により一体形成された光学部材である。この光学部材4の入射面側のうち照射光軸(以下、単に光軸という)Lの付近(中心付近)には、発光放電管2の長手方向に対して略直交する方向(上下方向)に正の屈折力を有するシリンドリカルレンズ面(正屈折部)4aが形成されている。さらに該シリンドリカルレンズ面4aの上下方向の周辺部には、それぞれ屈折面(入射面)4b,4b’と反射面4c,4c’とを有する一対のプリズム部(反射部)が形成されている。シリンドリカルレンズ面4aから入射した光束および入射面4b,4b’から入射して反射面4c,4c’で反射した光束は、同一の射出面4dから照射面に向かって射出する。
従来、上記光学部材4の材料としては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等の透過率の高い光学用有機高分子材料が用いられてきた。これは、ガラスやセラミックより低コストで軽量、かつ成形が容易なためである。しかし、本実施例ではさらなる小型化を図ると共に光学特性の向上を図るため、母材となる有機高分子材料にナノオーダーの無機超微粒子を分散させたナノコンポジット、若しくは母材となる有機高分子材料とナノオーダーの無機超微粒子の両分子を共有結合させたハイブリッド樹脂材料を用いている。
このような有機・無機複合材料は、例えば、30ナノメートル以下(1ナノメートルは10のー9乗メートル、すなわち10億分の1メートル)の無機微粒子(無機ナノ粒子)が母材中に均一に分散しているため、レーリー散乱等による透過性の損失が抑えられ、高い透明性を維持することができる。また、母材となる高分子材料と無機ナノ粒子の選択幅が広いので、様々な屈折率に対応することができ、各種成形加工性に対応できる。さらに、同一材料の組み合わせでも、無機ナノ粒子の分布濃度を変えることにより、屈折率を自由に変化させることができる。しかも、屈折率の異なる様々な異種材料に密着・塗布して使用することができ、全体の屈折率の変化を制御することもできる。
無機ナノ粒子の代表的なものとしては、酸化ニオブ(Nb25)や酸化チタン(TiO)がある。この微粒子単体の屈折率はいずれも2.3と高く、母材となる有機材料の屈折率が1.5程度と低い場合でも、これに無機ナノ粒子を分散含有させることによって、光学部材4としての大幅な屈折率の上昇が見込める。
このナノコンポジット若しくは無機微粒子と光学樹脂のハイブリッド材料は、上記説明のように、従来にない優れた特性(透明性、耐熱性、機械強度、表面硬度、成形性等)を持っている。本実施例では、この特性を利用して照明光学系の大幅な小型化や性能向上を実現している。
なお、無機微粒子の母材に対する含有率は、適宜選択可能であるが、20〜30重量%以上で上記効果が顕著に表れ、さらに50%以上でも必要な透過性が維持されつつ上記効果が得られると考えられる。特に、本発明にいう超微粒子は、その粒径(平均粒径)が1μm以下というようにきわめて小さいので、必要な透過性を維持しつつ含有率を増加させ易い。すなわち屈折率を高め易い。また、粒径が可視光の波長領域である400〜700nm以下であるような場合、特に100nm以下のような超微粒子であると、可視光の波長よりも十分に小さく、照明光の進行を妨げない(拡散をほとんど生じさせない)と考えられるので、高い透過性と高屈折率とを兼ね備えた光学材料を実現できる可能性が高い。
以下に、本発明(実施例)の照明光学系にこの材料を使用した場合の利点を列挙する。
1.従来の樹脂材料より屈折率を高くできるため、形状を簡素化できる。すなわち、等価な集光光学系を形成するための光学部材の光軸方向厚さを薄くできるため、全体形状を小型化でき、また加工のし易い形態にまとめることができる。また、同じ屈折効果を持たせた場合、光学面の曲率をゆるく設定でき、光学部材への入射時と射出時の表面反射によるロスを最小限に抑えることができる。
2.母材単体より耐熱温度が高く、光学部材を光源に対して接近して配置することが可能であり、この結果、全体形状を更に小型化することができる。
3.母材単体よりも流動性が高く、光学材料の微細な形状にも対応が容易である。また設計自由度が大きくなる。
4.着色が容易で光学的損失も少ない。顔料系の色補正より光量損失を抑えられる。
以上説明したように、本発明において上記材料を利用することによって、数々の光学上都合の良い特性を引き出せることが期待できる。
上記構成のカメラおよび照明光学系において、カメラの動作モードが、例えば「ストロボオートモード」にセットされている場合には、レリーズボタン13がユーザーによって押された後に、不図示の測光ユニットで測定された外光の明るさと、撮像素子19(又はフィルム)の感度とに応じて、ストロボユニット1を発光させるか否かを不図示の中央演算装置が判断する。
中央演算装置が撮影状況下において「ストロボを発光させる」と判定した場合には、中央演算装置は発光信号を出力し、不図示の発光制御回路から反射傘3に取り付けられたトリガーリード線を介して発光放電管2を発光させる。
発光放電管2から射出した光束のうち、光軸L方向の後方および上下方向に射出された光束は反射傘3での反射を介して、また、光軸L方向の前方に射出した光束は直接、発光放電管2の前方に配置された光学部材4に入射する。そして、該光束は、光学部材4により所定の配光特性(光照射特性)に変換された後、被写体側に照射される。
次に、図1から図4を用いて、従来方式より小型であり、かつ照明光を必要照射範囲に均一に効率良く照射することができる本実施例のストロボユニット1における照明光学系の最適な設定方法について説明する。
図1(a),(b)は、本実施例の照明光学系における上下方向の配光特性の最適化を図るための基本的な考え方を示す図であり、図2(a),(b)は本実施例との比較のために用いる、従来の照明光学系を示している。なお、図1(a),(b)および図2(a),(b)は、それぞれ同一の断面における形状を示し、各図(b)は各図(a)に光線トレース部を付け加えて示したものである。
これらの図においては、発光放電管2,102として、この発光放電管のガラス管の内外径を示している。この種の照明光学系の実際の発光放電管の発光現象としては、効率を向上させるため、内径一杯に発光させる場合が多く、放電管の内径一杯の発光点からほぼ均一に発光していると考えて差し支えない。しかし、説明を容易にするため、発光放電管、すなわち光源の中心から射出した光束を代表光束と考え、図1(b),2(b)では、この代表光束のみを示している。
実際の配光特性としては、図に示したような光源中心から発した代表光束に加え、発光放電管の周辺部から射出した光束によって、配光特性は全体として若干広がる方向に変化するが、配光特性の傾向としてはほとんど一致するため、以下この代表光束を用いて説明する。
まず、反射傘3,103は、光源中心に対して光軸L方向の後方の部分を発光放電管2,102とほぼ同心の半円筒形状(以下、半円筒部3a,103aという)としている。これは、反射傘3,103での反射光を再度光源の中心部付近に戻すのに有効な形状であり、発光放電管2,102のガラス部の屈折による悪影響を受けにくくさせる効果がある。
また、このように構成することによって、反射傘3,103による反射光を光源からの直接光とほぼ等価な射出光として扱うことができ、この後に続く光学系の全体形状を小型化することも可能となる。
また、形状をちょうど半円筒としている理由は、これより小さいと上下方向に向かう光束を集光させるために光学部材4,104が大型化してしまい、逆にこれ以上大きいと反射傘3,103の内部にこもる光束が増え、効率低下が生じるためである。
一方、反射傘3,103の上下の周辺部3b,3b’,103b,103b’は、光学部材4,104の反射面4c,4c’,104c,104c’に沿うように形成されており、この反射面で全反射しきれず透過した光束を、周辺部3b,3b’,103b,103b’で反射させ、再度光学部材4,104に入射させるように構成している。
次に、本実施例の照明光学系の配光特性に最も影響を与える光学部材4の形状について説明する。本実施形態では、最も小型で、かつ、必要照射範囲内において均一な配光分布を得るため、以下のような構成を採用している。
まず、図1(a)に示すように、光学部材4の入射面側における光軸L付近(中心付近)は、光軸Lに直交する面内において正の屈折力を有するシリンドリカルレンズ面4aとなっている。これにより、発光放電管2から射出された光束のうち光軸L付近を進む光束は、所定の角度範囲に均一な配光分布を持った光束に変換され、その後、光学部材4の射出面4dから射出する。
ここで、均一な配光特性を持たせるため、光学部材4のシリンドリカルレンズ面4aの形状を、発光放電管2の中心からの射出角度と光学部材4を通過した後の射出角度との間に比例関係が成立するような連続的な非球面形状とし、入射光束をある一定の照射角度範囲の光束として集光させるように構成している。この状態は、図1(b)の光線トレース図の光軸L付近の様子から理解することができる。
次に、発光放電管2の中心から射出する光束のうち、光軸Lに対する角度が大きく、直接上下の周辺部の屈折面(入射面)4b,4b’に入射する成分について説明する。
ここで、上下の周辺部に向かう光束は、まず入射面4b,4b’から入射した後、反射面4c,4c’で反射する成分である。そして、この光束の形状は、反射後の光束を光軸Lに対して上下の成分を重ね合わせることによって、上記シリンドリカルレンズ面4aに入射した光束とほぼ同様の照射角度範囲で、かつ均一な配光分布を持つように設定されている。この光線の様子は、図1(b)の光線トレース図に示すとおりである。
このようにして、図1(b)に示すように、全体として必要照射範囲に対して均一な配光分布を得ることができる。またこのとき、光学部材4の周辺部4b,4b’とシリンドリカルレンズ面4aとは互いに独立した全く別々の光路を形成して集光(照射)制御を行うことができる。
一方、上記説明では、光源である発光放電管2から射出した光束のうち直接、光学部材4に入射する光束について説明したが、発光放電管2から後方に向かって射出された光束もほぼ同様の光路を辿って照射面側に射出される。すなわち、反射傘3の中心部の形状が光源中心に対して同心円形状であるため、光源中心から射出した光束は、反射傘3で反射した後、再度光源中心に戻るように反射し、その後は上記説明と同様に、光学部材4の作用によって必要照射角度の成分に変換されて照射面に照射されることになる。
次に、比較説明図である図2(a),(b)を併せ用いて、本実施例における光学部材4の材料としてナノコンポジットを用いた場合の効果について説明する。なお、図2(a),(b)で示した光学部材104は、通常ストロボ光学系で多用されているポリメチルメタクリレート(PMMA:屈折率1.492)を用いた場合の最適形状を示したものであり、集光特性(光照射特性)としては上記実施例1とほぼ等価な光学系を構成している。
両図を比較してわかるように、光学部材4の材料としてナノコンポジットを用いることによって、光学部材4の大幅な小型化を図ることが可能になる。なお、本実施例では、光学系の大きさの比較を厳密に行うため、光源である発光放電管2、反射傘3の形状および発光放電管2と光学部材4の各入射面との位置関係や発光放電管2の発光特性等、上記材料以外の光照射に関わる条件を図2(a),(b)に示した従来の光学系と同一とし、純粋に光学部材4のみの形状比較を行ったものである。
実施例1である図1と図2に示す従来の光学系との最大の相違点は、光学系の全体形状、特に光学系の奥行き方向の厚みを極端に薄型化している点である。図示の例で説明すると、図2に示す従来構成ではこの厚み(ここでは、光軸上での厚み)としてdの寸法を必要としていた。これに対し、本実施例の光軸方向の厚みの寸法はD(<d)であり、この小さな奥行きでほぼ集光特性が等価な光学系を構成することができる。
このように、光学部材として屈折率の高い材料を用いることによって、ほぼ等価の光学特性を持った照明光学系を極めて薄型に構成することが可能となり、その結果、これを搭載する光学機器の全体形状を小型化する上で都合がよい。特に本実施例では、形状的に最も変化の大きい光学部材4の厚みに関しては、光学材料の屈折率を大幅に上昇させることによって、約40%の薄型化を実現している。
さらに、本実施例の光学系は、上記厚みの減少だけでなく、上下の開口高さも幾分減少させることを可能にしている。図示の例では、比較説明の図2(b)の開口高さがhであるのに対し、光学材料を屈折率の高いものとした本実施例では開口高さがH(<h)であり、この開口高さHで従来とほぼ等価の光学特性を持った光学系を構成することが可能である。具体的には、開口高さを約5%小型化している。
このように、本実施例では、発光放電管2の長手方向に対して略直交する方向において、発光放電管2の中心から射出されたすべての光束のうち、図1(b)に示したシリンドリカルレンズ面4aに入射した光束と、プリズム部(入射面4b,4b’および反射面4c,4c’)に入射した光束はそれぞれ、各光学面の光学作用によって均一な配光分布を持った光束に変換されると共に、配光分布が重なり合う。これにより、全体として効率良く均一な配光特性を得ることができる。しかも、光学系の全体を今までになく小型化することが可能になる。また、光学部材の各部の曲面をなだらかに構成できるため、成型性が向上するばかりでなく、樹脂材料を通過する際の光量低下を最小限に抑えることができる。さらに、この照明光学系を搭載した撮影装置その他の光学機器の小型、軽量化にも寄与する。
次に、図3および図4を用いて、本実施例の発光放電管2の長手方向での集光作用について説明する。
図3は、発光放電管2の中心軸を含む平面で光学系を切ったときの断面を示しており、発光放電管2の長手方向中央かつ径方向中心からの光線のトレース図も合わせて示している。また、図4は、本発明の効果を明確化するために、光学系を従来材料で構成した場合の光学系を示しており、図3と同様に、発光放電管102の長手方向中央かつ径方向中心からの光線トレース図も合わせて示している。
まず、図4を用いて従来の光学系の構成を説明する。なお、図4に示した光学部材104の材料は、本実施例の光学部材4に比べて屈折率の低いポリメチルメタクリレート(PMMA:屈折率1.492)を想定している。
図4に示すように、光学部材104の射出面側は、放電管2の長手方向の中央部付近に形成された、両斜面が等角度のプリズム部104eと、周辺部に形成されたフレネルレンズ部104f,104f’とから構成されている。このように形成した光学部材104の中心部付近のプリズム部104eには、入射角度の比較的大きな成分(入射後のプリズム部内での角度が30°〜40°前後の成分)を、入射面で屈折した角度のままの状態で射出面から射出させる、すなわち射出面での屈折の影響をほとんど受けずに射出面から射出させる効果があり、入射光束をある一定の照射角度範囲の光束として集光させる効果がある。
この一方、プリズム部104eに入射した光束の一部はプリズム面でほぼ全反射して再度、放電管102側に戻される。この光束は、反射傘103で反射した後、再度光学部材104に入射し、プリズム部104e又はフレネルレンズ部104f,104f’で所定の角度成分に変換された後、被写体面上に照射される。
このように、放電管102の中心から射出された光束のほとんどがある一定の角度分布の光束に変換されて、光学部材104から射出されることになる。この際の照明光の配光分布は、プリズム部104eの頂角の角度設定のみに依存し、プリズム部104eのピッチ等には影響を受けない。このため、光軸L方向の深さを必要とせず、非常に浅い領域の中で集光制御ができるため、光学系全体を小型化することができる。
さらに、図示のように光学部材104の射出面側の周辺部にはフレネルレンズ部104f,104f’が形成されている。光学部材104は、形状が薄く構成されているものの、この周辺部では、ある程度の光束の指向性が得られる領域であり、この部分にフレネルレンズ部を形成することによって、比較的効率良く集光作用を生じさせることができる。図4では、この部分の顕著な集光作用は見られないが、これは、発光放電管102の中心から射出した光束のみを示したためである。発光放電管102の両端の端子部付近から射出した光束に関しては、かなりの光束が光軸L付近に集まる成分に変換される。
このように、光学部材104の光学材料として屈折率の比較的低い材料を用いた場合、各部の射出面形状を工夫することで、発光放電管102に近い極めて薄い光学系でも、照射光束をある一定角度範囲内に効率良く集光させることができる。しかし、本実施例のように光学材料の屈折率が高い材料を用いた場合には、図4に示した光学構成を採ることはできない。これは、光学部材として屈折率が高い材料を用いた場合には、光学部材に入射した光束が内部で全反射し易く、射出面として想定している面から出にくいためである。このため、光学部材の射出面としては、急な曲率を持った曲面、または急角度のプリズム面やフレネルレンズ面を構成することはできず、図3に示すような屈折力の弱いフレネルレンズ4eを形成することが好ましい。
本実施例では、この点を考慮し、光学部材4の射出面に屈折力の弱いフレネルレンズ4eを形成している。また、本実施例では、フレネルレンズ4eの各角度設定をほぼ一定角度で構成している。このように構成することで、高屈折率材料を用いた場合の全反射による悪影響を最小限に抑えると共に、効率の良い集光動作を行わせることができる。
なお、本実施例では、光学部材4のシリンドリカルレンズ面4aの形状を、発光放電管2の中心からの射出角度と光学部材4を通過した後の光の射出角度との間に比例関係が成立するような連続的な非球面形状としたが、シリンドリカルレンズ面4aの形状は非球面形状に限定されることはなく、これを近似する一定曲率のシリンドリカルレンズ面や、光源長手方向にも曲率を持たせたトーリック面を用いてもよい。
また、本実施例では、光学部材の入射面側の各面の構成および射出面側の各面の構成が、光軸Lに関してすべて対称形状となる場合について示したが、必ずしもこのような対称形状に限定されるものではない。
例えば、光学部材4の入射面側のプリズム部4b、4cおよび4b’、4c’は、光軸Lに対して対称形状としているが、必ずしもこのように形成する必要はなく、非対称形状にしてもよい。これは、プリズム部だけに言えることではなく、中央部のシリンドリカルレンズ面4aに関しても同様である。
さらに、射出面側における放電管長手方向の中央に形成したフレネルレンズ部4eに関しても、フレネルレンズの各角度は一定である必要はなく徐々に変化させてもよく、また、左右の角度設定が異なるフレネルレンズを用いてもよい。
図7(a)および図7(b)には、本発明の実施例2である照明光学系を示している。この照明光学系は、実施例1と同様に、カメラに内蔵されるストロボユニットに用いられるものである。なお、本実施例は、実施例1の一部を変形した例であり、実施例1の図1に対応する縦断面図のみを示している。基本的構成については、実施例1とほぼ同様であるため、重複する部分については簡単に説明する。また、図7(a),図7(b)は同一断面の形状を示しており、図7(b)は、図7(a)に、光源中心から射出した代表光線の光線トレース図を追加したものである。
図7(a)および図7(b)において、22は発光放電管(キセノン管)、23は反射傘である。反射傘23は実施例1の反射傘3とほぼ同様の形状で構成されている。すなわち、反射傘23の光源中心に対して光軸L方向後方の部分は発光放電管22とほぼ同心の半円筒形状(以下、半円筒部23aという)に形成されている。また、反射傘23の周辺部23b,23b’は、実施例1よりも小型化しているものの形態的にはほぼ同様の形状であり、光学部材24の反射面24c,24c’の背面に沿うように形成されている。周辺部23b,23b’は、反射面24c,24c’において全反射できず透過した光束を反射し、再び光学部材24に入射させる。
なお、本実施例の特徴は、図示の形状からもわかるように、実施例1と比較して、光源である発光放電管22と光学部材24の各入射面24a,24b,24b’との距離を接近させ、光学系全体をさらに小型化させたことである。
本実施例でも、光学部材24の材料には、有機材料からなる母材に数十ナノメートル以下の無機微粒子(無機ナノ粒子)を均一に分散させたナノコンポジットを用いている。
このナノコンポジットの特徴の1つとして、光学部材を母材単体で構成した状態よりも耐熱性が向上することが知られている。例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)にシリカ粒子(約10ナノメートル)を含有させたものでは、耐熱性が10〜30℃上昇し、微粒子の含有量の増加と共に耐熱温度も上昇する。このように、光学材料としてナノコンポジットを用いた場合には、従来の光学材料で成形した場合に比べて耐熱性が優れている。これは、本発明の対象とするような照明光学系においては大変重要な特性であり、従来の構成では限界と考えられていた大きさよりも更に光学系の小型化に有効な特性である。
すなわち、通常、光源から光を発生させる場合、光と共に多量の熱も発生してしまうことが少なくない。そこで、耐熱性を増した材料を光学部材として用いることによって、光源である発光放電管と光学部材とを従来の構成よりもさらに接近させて配置することができ、この結果、光学系全体を大幅に小型化することができる。
以下、図7(a)および図7(b)に示す光線トレース図を使って、光学系の詳細形状について説明する。同図においては、発光放電管22としてガラス管の内外径を示している。実施例1と同様に、説明を容易にするため、光源中心から射出した光束を代表光束と考え、図中にはこの代表光束のみを示している。以下この代表光束に従って説明する。
図7(a)に示すように、発光放電管22からの光束のうち、光学部材24の光軸L付近(中心付近)に向かう光束は、正の屈折力を有するシリンドリカルレンズ面24aに入射し、これによって集光される。また、光学部材24の射出光軸Lに対して離れた位置(周辺部)に向かう光束は、シリンドリカルレンズ面24aの上下に設けられた入射面24b,24b’から入射し、プリズム部を構成する反射面24c,24c’で全反射されて集光される。シリンドリカルレンズ面24aに入射した光束および入射面24b,24b’から入射し、反射面24c,24c’で反射した光束は、同一の射出面24dから照射面に向かって射出する。
ここで、光学部材24の材料の耐熱性が増していることを考慮して、本実施例では、実施例1(図1)に比べて発光放電管22に接近した位置に入射面24a,24b,24b’の位置を設定している。これにより、光学部材24を光源に接近させた分、実施例1に比べて光学系全体の形状をより小型化することができる。
また、図7(b)の光線トレース図に示すように、照明光学系の配光特性(光照射特性)としては、実施例1および図2に示す従来の光学材料を用いた場合とほぼ等価な特性を得ることができる。
一方、前述したように、発光放電管22の中心から後方に射出された光束は、反射傘23の半円筒部23aで反射して再度、放電管22の中心を通った後、前方に射出される。この後の光束の振る舞いは図7(b)に示した光線トレース図と同様である。
本実施例と図2に示した従来の光学系との最大の相違点は、光学系全体の形状、特に光学系の奥行き方向の厚みを極端に(実施例1よりも)薄型化している点である。図示の例で説明すると、図2に示す従来構成では、光学部材の光軸上での厚みとしてdの寸法を必要としていた。これに対し、本実施例における光軸方向の厚みの寸法はD2(<D<d)であり、この奥行きで、実施例1や図2の従来構成の光学系とほぼ等価な特性を有する光学系を構成することができる。
このように、光学部材として屈折率の高い材料を用いることによって、ほぼ等価の光学特性を持った光学系を極めて薄型に構成することが可能となり、この結果、光学機器の全体形状を小型化する上で都合がよい。特に本実施例では、形状的に最も変化の大きい光学部材24の厚みに関して、光学材料の屈折率を大幅に上昇させることによって、約45%の薄型化を実現している。
一方、本実施例の光学系は、上記厚みの減少だけでなく上下の開口高さも大幅に減少している。図示の例では、図2の従来構成の開口高さがhであるのに対し、光学材料の屈折率を高めた本実施例では、開口高さH2(<H<h)でほぼ等価の光学特性を有する光学系を構成することができ、開口高さを約25%小型化している。
このように、本実施例では、発光放電管2の長手方向に対して略直交する方向において、発光放電管2の中心から射出された光束のうち、図7(a)に示したシリンドリカルレンズ面24aに入射した光束と、プリズム部(入射面24b,24b’および反射面24c,24c’)に入射した光束はそれぞれ、各光学面の光学作用によって均一な配光分布を持った光束に変換されると共に、それらの配光分布が重なり合う。これにより、全体として効率良く均一な配光特性を得ることができると共に、光学系の全体を今までになく小型化することが可能になる。
また、光学部材24の各部の曲面をなだらかに構成できるため、成型性が向上するばかりでなく、樹脂材料を通過する際の光量低下を最小限に抑えることができる。さらに、この照明光学系を搭載する撮影装置その他の光学機器の小型、軽量化にも寄与する。
なお、本実施例における発光放電管22の長手方向の形状に関しては、実施例1と同様である。
以上説明したように、本実施例によれば、実施例1と同様に、反射傘23と光学部材24という少ない構成部品でありながら、小型かつ薄型で、必要照射範囲外への照射による光量損失の少ない極めて効率の良い照明光学系を構成することができる。
しかも、本実施例では、反射傘23の周辺部23b,23b’を、発光放電管22の後側まで回り込む位置まで延ばしているため、放電管22からの発光エネルギをより有効に利用した照明光学系を構成することができる。
図8には、本発明の実施例3である照明光学系を示している。この照明光学系は、実施例1と同様に、カメラに内蔵されるストロボユニットに用いられるものである。なお、本実施例は、形状的には実施例1とほぼ等価であるが、光学部材の材料として使用するナノコンポジットの特徴を最大限に生かすため、ナノコンポジットの無機超微粒子の濃度分布を一部偏らせている。すなわち、実施例1,2にて説明した光学部材2,24は、無機超微粒子を母材に対して均一に分散させることによって光学材料の持つ各種光学的・機械的な特性の改善を行ったが、本実施例では、さらに光学部材内で局部的に濃度分布を異ならせること、具体的には、光学部材の表面付近の濃度をそれ以外の部分とは異ならせたことによって、さらに光学的特性の改善を図っている。また、超微粒子の含有濃度を変化させる領域を表面付近とすることによって、光学部材の製造が比較的容易にできることも本発明の特徴のひとつである。
図8において、32は光源である発光放電管、33は発光放電管32から後方に向かった光束を前方に反射させるための反射傘である。本実施例の反射傘33は、実施例1,2とは異なり、略半円筒の反射面形状のみで構成されている。
34は光学部材であり、前述したように、部分的に超微粒子の濃度分布を異ならせている。この光学部材34は、以下の部分によって構成されている。
光学部材34の光軸L付近(中心付近)には、正の屈折力を有するシリンドリカルレンズ面34aが形成されており、ここに入射した発光放電管32からの光束を集光する。
また、光学部材34の射出光軸Lに対して離れた上下位置(周辺部)には、入射面34b,34b’が配置されている。これら入射面34b,34b’から入射した光束は、反射面34c、34c’で全反射して集光される。なお、入射面34b,34b’および反射面34c、34c’によりプリズム部が形成されている。
また、上記各光学面で集光制御された光束は合成されて同一の射出面34dから照射面に向かって射出する。ここで、上記光学部材34の表面(入射出面34a,34b,34b’)の近傍には、光学部材34の母材である比較的低屈折率の層(図中に小さな黒点の集まりとして示す)が現れている。また、これと同様に、射出面34dの近傍にも、光学部材34の母材である比較的低屈折率の層(図中小さな黒点の集まりとして示す)が現れている。
このように、光学部材34に光が入射する面または光学部材34から射出する面を比較的屈折率の低い母材が現れた面で構成する(すなわち、入射出面の近傍における微粒子の濃度を、他の部分よりも低くする)ことによって、表面反射による光量ロスを抑えることができる。これは、一般に、光が光学材料に対して入射したり射出したりする際には、屈折率差が少ない方が表面反射による光量ロスを少なく抑えることができるためである。表面反射による光量ロスを抑えることで、限られた発光放電管32からの光束を効率良く使うことができる。
従来、表面反射防止の効果的な方法としては、入射出面に反射防止膜を形成することが以前より知られている。しかし、特殊な表面処理工程を必要とする反射防止膜を本発明の各実施例で説明する光学部材に適用するには、高価となり過ぎ、量産性を考えた場合に実用的ではない。そこで、本実施例では、特殊な薄膜を形成することなく表面反射を軽減するため、ナノコンポジットに含まれる超微粒子の濃度分布を適宜変化させる、すなわち超微粒子の濃度が低い低屈折率層を光学部材34の入射面と射出面の近傍に配置している。
一方、反射面34c、34c’の近傍は、入射出面とは逆に、超微粒子が高濃度に分散された領域(図中に格子領域として示す)とする。一般に、ナノコンポジット材料においては、超微粒子の含有濃度が濃いほど屈折率が高くなることが知られている。
以下、本実施例において、反射面近傍での光学材料の屈折率を高める(超微粒子の含有濃度を高める)理由について説明する。
本実施例で用いる光学部材34のもう1つの大きな特性として、光学部材34の全反射を利用して効率良く集光を行うことが挙げられる。ここで、実施例1の図1(b)の光線トレース図に示すように、光源中心から射出した光束については反射面4c,4c’での全反射作用が有効に機能しているが、光源中心よりも前方(照射面側)に位置する発光点から射出した光束に関しては、必ずしも反射面4c、4c’ですべての光束が全反射することができない。これらの光束の反射面4c、4c’に対する入射角が、臨界角よりも小さいためである。このため、反射傘3の周辺部3b,3b’を光学部材4の反射面4c,4c’の背面まで回りこむように配置し、この周辺部3b,3b’での反射を利用して、反射面4c,4c’で反射せずに透過した光束の一部を光学部材4内に再入射させる必要があった。しかし、このような構成では、反射面4c,4c’の近傍で光学部材4に対して射出・入射する成分が存在し、効率低下の要因となるため、必ずしも好ましい構成とは言えない。
本実施例では、ナノコンポジット材料の無機超微粒子の光学部材34内での濃度分布を均一でなくすることで、光学部材34内における反射面34c,34c’付近の屈折率を高め、可能な限り多くの光束が反射面34c,34c’で全反射しやすい(つまりは臨界角が小さくなる)構成としている。したがって、反射面34c,34c’で反射することができずに透過して外部に抜け出てしまう光束の存在を少なくすることが可能になる。
これにより、従来、全反射作用を利用するために生じた設計上の制約をゆるくすることができるため、光学部材の形状に対する設計自由度が増す。またこれと共に、発光放電管32から射出するほとんどすべての光束を全反射作用によって制御することが可能となるため、反射傘33の周辺部の反射面(実施例1にいう周辺部3b,3b’)を必要とせず、図8に示すように、反射傘33の形状を大幅に簡略化することができる。この結果、光学系の性能改善と形状の簡素化を同時に図ることが可能になる。
このように本実施例では、光学部材34として使用するナノコンポジット材料の表面近傍部分の超微粒子の分布濃度を、他の部分に対して異ならせることによって、数多くの有利な特性を持たせている。
なお、本実施例では、超微粒子の濃度分布を、入射面、射出面および反射面のすべての面の近傍にて変化させているが、必ずしもすべての面の近傍で濃度分布を変化させる必要はなく、一部の面の近傍についてのみ超微粒子の濃度分布を変化させてもよい。また、光学系の形態としても必ずしも上記実施例の形態に限定されるわけではなく、各種形態の集光レンズや集光プリズムに上記技術を用いてもよい。
また、本実施例では、ナノコンポジットの材料自体の超微粒子濃度分布を変化させた場合について説明したが、これに加えて、光学部材の入射出面に低屈折率の薄膜を形成したり、光学部材の反射面に高屈折率の薄膜を形成したりしてもよい。
図9、図11および図13には、本発明の実施例4である照明光学系、特にカメラに内蔵されるストロボ光学系の構成を示している。なお、図9(a),(b)は、上記照明光学系の光軸直交方向の断面図(縦断面図)、図11は上記照明光学系の水平断面図である。図9(b)および図11には、光源の中心から射出した代表光線の光線トレース図も合わせて示している。図13は上記照明光学系の分解斜視図である。また、図14には、上記照明光学系を搭載したカメラを示している。
まず図14に示すカメラにおいて、実施例1の図6で示した構成要素と共通する構成要素については、図6中と同符号を付して説明に代える。41はカメラ本体11の正面から見て右側上部に配置された本実施例の照明光学系を用いたストロボユニットである。
次に、本実施例の照明光学系の光学特性を決定する構成要素について、図9、図11および図13を用いて詳細に説明する。
これらの図において、42は円筒直管形状の発光放電管(キセノン管)である。43は発光放電管42から射出した光束のうち光軸L方向の後方および上下方向に向かう成分を前方に反射させる反射傘(反射部材)である。反射傘43は、内側の面が高反射率面で形成された光輝アルミ等の金属材料又は内側の面に高反射率の金属蒸着面が形成された樹脂材料等で構成されている。
44は透明体により一体形成された光学部材である。この光学部材44は、図9に示すように、平面からなる入射面44aと、この入射面44aの前方上下方向に設けられた反射面44b,44b’と、図11に示すように左右の反射面44c,44c’と、左右方向に屈折力を持つシリンドリカルレンズ面からなる射出面44dとを有する。
上記光学部材44の材料としては、小型化を図ると共に光学特性の向上を図るため、母材となる有機高分子材料にナノオーダーの無機超微粒子を分散させたナノコンポジット、若しくは母材となる有機高分子材料とナノオーダーの無機超微粒子の両分子を共有結合させたハイブリッド樹脂材料を用いている。
このナノコンポジット若しくは無機微粒子と光学樹脂のハイブリッド材料は、上記実施例で説明したように、従来にない優れた特性(透明性、耐熱性、機械強度、表面硬度、成形性等)を持っており、本実施例においてもこの特性を利用して照明光学系の大幅な薄型化や性能向上を実現している。
上記構成のカメラおよび照明光学系において、カメラの動作については、上記実施例1と同様である。ここでは、本実施例の照明光学系の作用について詳細に説明する。なお、上記実施例と同様に、説明を簡単にするため、本実施例でも、発光放電管42の略中心部から射出した光線のトレース図である図9(b)および図11を用いて説明する。
発光放電管42から射出した光束のうち、光軸L方向後方および上下方向に射出した光束は、反射傘43での反射を介して、また光軸L方向前方に射出した光束は直接、前側に配置された光学部材44に入射して所定の配光特性に変換された後、被写体側に照射される。
次に、図9(a),(b)を用いて、従来より小型で、かつ照明光を必要照射範囲に均一に効率良く照射することができる本実施例の照明光学系の最適な設定方法について説明する。
図9(a)は、本実施例の照明光学系の発光放電管42の径方向における縦断面であり、上下方向の配光特性の最適化を図るための基本的な考え方を示す図である。また、図10(a),(b)は、本実施例との比較のために用いる、従来の照明光学系を示す図である。
なお、図9(a),(b)および図10(a),(b)は、それぞれ同一の断面における形状を示し、各図(b)は各図(a)に光線トレース部を付け加えて示したものである。
これらの図においては、発光放電管42,112として、この発光放電管42,112のガラス管の内外径を示している。理由は実施例1で説明した通りである。
まず、反射傘43,113は、光源中心に対して光軸L方向後方の部分を発光放電管42,112とほぼ同心の円筒形状(以下、円筒部43a,113aという)としている。これは、反射傘43,113での反射光を再度光源の中心部付近に戻すのに有効な形状であり、発光放電管42,112のガラス部の屈折による悪影響を受けにくくさせる効果がある。また、このように構成することによって、反射傘43,113による反射光を光源からの直接光とほぼ等価な射出光として扱え、この後に続く光学系の全体形状を小型化することも可能となる。
一方、反射傘43,113の上下の周辺部43b,43b’,113b,113b’は、光学部材44,114の入射面44a,114aの上下の端点にほぼ接するように延びる反射面で構成されている。これら周辺部43b,43b’,113b,113b’は、上記円筒部43a,113aと光学部材44,114の反射面44b,44b’,114b,114b’とを連続的に移行させる形状に形成されている。
また、図10(a),(b)および図12に示す光学部材114は、本実施例の光学部材と同様に、平面からなる入射面114aと、この入射面114aの前方上下方向に設けられた反射面114b,114b’と、左右の反射面114c,114c’と、左右方向に屈折力を持つシリンドリカルレンズ面からなる射出面114dとを有する。
次に、本実施例の照明光学系の配光特性に最も影響を与える光学部材44の形状について説明する。本実施例では、光学系の上下の厚みを最も薄型にすると共に、射出面の曲率を弱くし、光学部材の射出面をそのままカメラ等の光学機器の外観面に出せるような形態としたことを特徴としている。このことによって、図10に示す従来の構成で必要とされた射出面近傍を覆う反射板115や、大きな曲率によって生じるレンズ部の窪みをカバーするための保護パネル116を必要とせず、小型化やコストダウンが図れる。しかも、従来のように複数の光学部材を介さずに光束を射出させるので、光学特性の劣化の少ない光学系を構成することができる。また、本実施例では、光学系の配光特性についても、必要照射範囲内において均一な配光分布を得られるような構成の工夫をしている。
まず、光学部材44の各部は、図9(a)に示すように構成されている。入射面44aは、光源である発光放電管42の至近距離に正対した平面であり、反射面44b,44b’は、入射面44aの近傍にて断面積が小さく、射出面44dに向かうにつれて徐々に断面積が大きくなるような曲面で形成されている。さらに、射出面44dは、図9(a)に示す上下方向の断面では、屈折力を持たないシリンドリカルレンズ面で構成されている。
このように光学部材44の各部の形状を構成することより、発光放電管42から射出された光束は、光学部材44への入射角度によって、それぞれ異なった光路を辿って全体としては一定の角度範囲に収まるような光束に変換される。すなわち、入射面44aに対して入射角度が小さい成分に関しては、上下の反射面44b,44b’で反射されることなくそのまま射出面44dより射出される。この場合、この入射角度が小さい成分に関しては、図9(a)の断面に関する限り集光作用を受けず、入射面44aへの入射時の角度特性を持ったまま射出面44dより射出する。
一方、入射面44aへの入射角度の大きな成分に関しては、上下の反射面44b,44b’で全反射する。そして、入射面44aへの入射角度が大きい成分ほど反射回数が多くなる。これにより、射出面44dに至る段階で、所定の角度範囲の光束に変換される。このような光束の振る舞いを示したのが、図9(b)である。
この図から、発光放電管42に対して360°の範囲から様々な方向に照射した光束は、光学部材44の上下方向に狭い開口Hから射出されるにもかかわらず、ほぼ一定の角度範囲の光束に変換されていることがわかる。
次に、図10(a),(b)を併せ用いて、光学部材44の材料としてナノコンポジットを用いた本実施例の効果について説明する。なお、図10(a),(b)で示した光学部材114は、ストロボ光学系で通常多用されているポリメチルメタクリレート(PMMA:屈折率1.492)を用いた場合の最適形状を有するものであり、集光特性(光射出特性)としては本実施例のものとほぼ等価な光学系を構成している。
両図を比較してわかるように、本実施例では、光学材料としてナノコンポジットを用いることによって、光学部材44の大幅な薄型化を図ることが可能になる。なお、本実施例では、光学系の大きさの比較を厳密に行うため、光源である発光放電管42、反射傘43の形状および発光放電管42と光学部材44の入射面44aとの位置関係や発光放電管42の発光特性等、上記材料以外の光照射に関わる条件を図10(a),(b)に示した従来の光学系と同一とし、純粋に光学部材4のみの形状比較を行ったものである。
本実施例における従来構成との最大の相違点は、光学系の全体、特に光学系の上下方向の厚みを極端に薄型化している点である。図示の例で説明すると、図10(a),(b)に示す従来構成では、この厚みとしてhの寸法を必要としていた。これに対し、本実施例での上下方向の厚みの寸法はH(<h)であり、この小さな厚みで、従来とほぼ等価な集光特性(光照射特性)を有する光学系を構成している。
このように、光学部材44の材料として屈折率の高い材料を用いることによって、従来とほぼ等価の光学特性を持った光学系を極めて薄型に構成することが可能となり、これを搭載する光学機器の全体も小型化することができる。特に、本実施例では、形状的に最も変化の大きい光学部材44の厚みに関しては、光学材料の屈折率を大幅に上昇させることによって、約35%の薄型化を実現している。
さらに、本実施例の光学系では、上記のように高屈折率材料を用いることにより上下方向の厚みを縮小させることができるだけでなく、部品点数も削減できることから、光軸方向の全長も幾分短縮させることが可能である。図示の例では、図10(a),(b)に示した従来構成の光軸方向の全長がdであるのに対し、高屈折率材料を用いた本実施例では、光軸方向の全長はD(<d)で、従来構成とほぼ等価の光学特性を持った光学系を構成することが可能である。具体的には、光軸方向の全長を約10%小型化している。
このように、本実施例では、発光放電管42の長手方向に対して略直交する方向において、発光放電管42の中心から射出されたすべての光束が、図9(b)に示した各光学部材の作用によってそれぞれ均一な配光分布を持った光束に変換される。また、光学系の全体を今までになく小型化することが可能になる。
次に、図11および図12を用いて、本実施例の発光放電管の長手方向における集光作用について説明する。
図11は、本実施例において、発光放電管42の中心軸を含む平面で光学系を切ったときの断面を示しており、発光放電管42の長手方向中央部かつ径方向中心部からの光線のトレース図も合わせて示している。また、図12は、光学部材114を従来材料で構成した場合の図であり、図11と同様、発光放電管112の長手方向中央部かつ径方向中心部からの光線のトレース図も合わせて示している。
まず、図12を用いて従来の光学系の構成を説明する。なお、図12で用いている光学部材114の材料は、本実施例の光学部材44の材料に比べて屈折率の低いポリメチルメタクリレート(PMMA:屈折率1.492)を想定している。
図12に示すように、光学部材114の射出面114dには、発光放電管112からの射出光を集光させるため、曲率の大きなシリンドリカルレンズ面が形成されている。このように屈折率の低い光学材料を用いた場合には、小型で大きな集光効果を持たせようとすると、射出面側の曲率をきつくしなければ所望の集光効果を得ることができない。また、このように曲率のきつい曲面をカメラ等の光学機器の外観面にそのまま出すことはできず、外観面に凹部を生じさせないようにするための保護パネル116が必要である。さらに、光学部材114で集光した光束を、効率良く保護パネル116に導くために、光学部材114の射出面114dと保護パネル116の間を隙間なく覆うような反射板115も必要である。このように従来構成では、構成部品の数は増えるものの、全体としては比較的薄いスペースの中で、効率良くかつ均一な配光特性を持った光束に変換することが可能であった。
一方、本実施例のように、屈折率が高い光学材料を用いた場合には、図12に示した光学構成に比べて遥かに簡単な構成でほぼ等価な光学特性を有する光学系を構成することができる。これは、光学材料として屈折率が高い材料を用いた場合には、屈折作用が大きく、わずかな曲率でも効率良く集光できるためである。図示の例で示すように、高屈折率材料を用いることによって、射出面44dのような弱い(小さい)曲率でもほぼ等価な集光効果があり、この程度の曲率であれば、カメラ等の光学機器の外観形状をそのまま外観部材として出すことも可能である。しかも、ナノコンポジット材料の特性として、従来材料に比べて機械的強度も増すことから、この点においても光学部材44の射出面44dをそのまま外観部材として使用しても支障がない。
さらに、本実施例では、光源から射出した光束が多くの光学部材を介さずに照射されるため、光学的な効率も良く、限られたエネルギを有効に活用することができる。
なお、本実施例では、光学部材44の入射面側の各面の構成および射出面側の各面の構成が、光軸Lに関してすべて対称形状となる場合について示したが、必ずしもこのような対称形状に限定されるものではない。
図15には、本発明の実施例5である照明光学系、特にカメラに内蔵されるストロボ光学系の構成を示している。なお、本実施例は、実施例4の一部を変形した例であり、上記図11に対応する縦断面図のみ示している。また、図15には、光源中心から射出した代表光線の光線トレース図も示している。
図示のように、本実施例は、図11の光学部材44に対して、光学部材54の射出面54dをフレネルレンズに置き換えたものである。他の構成については実施例4とほぼ同様な構成のため、説明は簡単に行う。
図15において、52は発光放電管(キセノン管)である。53は反射傘であり、実施例4の反射傘43とほぼ同様の形状で構成されている。54はナノコンポジット材料を用いた光学部材であり、入射面54aと、側面反射面54c,54c’と、射出面54dとを有する。
本実施例の特徴は、光学部材54の射出面54dをフレネルレンズ面としたものであり、これにより、カメラ等の光学機器の外観形状に影響を与えず、光学特性としてもほとんど悪影響を受けない光学系を構成することができる。なお、光学部材54の材料としてナノコンポジットを用い、光学部材54の屈折率を高く設定することによって、図示のように、フレネルレンズの各面の角度も緩やかに設定可能であり、成形も容易である。
また、本実施例の光学特性は、発光放電管52の中心部付近から射出した光束を示す図15と図11との比較により分かるように、実施例4の光学系とほぼ等価である。
以上説明したように、上記各実施例によれば、光源から様々な方向に射出される光束を、ナノコンポジット若しくは母材となる樹脂材料とナノオーダーの超微粒子の両分子を共有結合させたハイブリッド樹脂材料によって形成された光学部材を用い、屈折と全反射を効率良く利用するので、上記母材のみから形成された光学部材を用いた場合と等価な光学特性(光射出特性)を維持しつつ、小型化もしくは薄型化することができる。したがって、該照明光学系を用いたカメラ等の光学機器の小型化やスペース効率の向上を図ることができる。
しかも、構成によっては部品点数を削減でき、コストダウンを図れると共に、少ない光学部材を介して光りを照射できるので、光学部材を通る途中で失われる光エネルギを減らすことができ、必要照射範囲内に照射される光の有効エネルギを従来に比べて増加させることができる。すなわち、照明光学系の効率を大幅に向上させることができる。
また、光学部材の形状を比較的弱い曲率の面で構成することができ、凹凸形状を少なくする等の形状の簡素化を図ることが可能である。したがって、成形時間の短縮や型代の削減が可能になるなど、加工面でのコストダウンを十分に期待することができる。
さらに、光学部材に含有させた超微粒子の濃度分布を、光学部材の表面付近でそれ以外の部分に対して変化させることにより、光学特性を改善することが可能である。したがって、表面反射による光量ロスの少ない、また反射面で全反射しきれずに透過してしまう光線の少ない、効率の良い光学系を構成することができる。
(a)は本発明の実施例1である照明光学系の縦断面図、(b)は(a)に光線トレース図を付加した図。 (a)は従来の照明光学系の縦断面図、(b)は(a)に光線トレース図を付加した図。 実施例1の照明光学系の水平断面図。 従来の照明光学系の水平断面図。 実施例1の照明光学系の分解斜視図。 実施例1の照明光学系を備えたカメラの斜視図。 本発明の実施例2である照明光学系の縦断面図。 本発明の実施例3である照明光学系の縦断面図。 (a)は本発明の実施例4である照明光学系の縦断面図、(b)は(a)に光線トレース図を付加した図。 (a)は従来の照明光学系の縦断面図、(b)は(a)に光線トレース図を付加した図。 実施例4の照明光学系の水平断面図。 従来の照明光学系の水平断面図。 実施例4の照明光学系の分解斜視図。 実施例4の照明光学系を備えたカメラの斜視図。 本発明の実施例5である照明光学系の水平断面図。
符号の説明
1 照明光学系
2,22,32,42,52 発光放電管
3,23,33,43,53 反射傘
4,24,34,44,54 光学部材
4a,24a,34a シリンドリカルレンズ面
4c,4c’,24c,24c’,34c,34c’,44b,44b’,44c,44c’反射面
11 カメラ本体
12 撮影レンズ鏡筒
19 撮像素子

Claims (15)

  1. 光源と、該光源からの光の照射方向に配置された光学部材とを有し、
    前記光学部材は、樹脂材料からなる母材に、粒径が1μmより小さい粒子を含有した粒子含有材料により形成されていることを特徴とする照明光学系。
  2. 前記粒径が、可視領域の光の波長よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の照明光学系。
  3. 前記粒径が、100nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の照明光学系。
  4. 前記母材が、ポリメチルメタクリレートであり、
    前記粒子が、酸化ニオブ、酸化チタンおよびシリカのうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の照明光学系。
  5. 前記粒子の前記母材に対する含有率が、20重量%以上であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の照明光学系。
  6. 前記含有率が、30重量%以上であることを特徴とする請求項5に記載の照明光学系。
  7. 前記含有率が、50重量%以上であることを特徴とする請求項6に記載の照明光学系。
  8. 前記光学部材は、入射面と、射出面と、前記入射面から入射した光を全反射作用を用いて前記射出面に導く反射面とを有することを特徴とする請求項1から7のいずれか1つに記載の照明光学系。
  9. 前記光学部材は、前記粒子が前記光学部材内で略均一に分散していることを特徴とする請求項1から8のいずれか1つに記載の照明光学系。
  10. 前記光学部材は、入射面と射出面とを有し、
    前記入射面および射出面のうち少なくとも一方の光学面付近での前記粒子の分布濃度が、該光学面付近以外の部分の前記粒子の分布濃度よりも低いことを特徴とする請求項1から8のいずれか1つに記載の照明光学系。
  11. 前記光学部材は、前記反射面付近での前記粒子の分布濃度が、該反射面付近以外の部分の前記粒子の分布濃度よりも高いことを特徴とする請求項8に記載の照明光学系。
  12. 前記粒子含有材料で形成した前記光学部材を第1の光学部材とし、
    前記母材のみで形成した第2の光学部材を用いた照明光学系に対して、該光学部材の材料以外の光照射に関する条件を同一として略等価な光照射特性を持たせたとき、
    前記第1の光学部材の光軸方向の寸法が、前記第2の光学部材の光軸方向寸法よりも小さいことを特徴とする請求項1から11のいずれか1つに記載の照明光学系。
  13. 前記粒子含有材料で形成した前記光学部材を第1の光学部材とし、
    前記母材のみで形成した第2の光学部材を用いた照明光学系に対して、該光学部材の材料以外の光照射に関する条件を同一として略等価な光照射特性を持たせたとき、
    前記第1の光学部材の光軸直交方向の寸法が、前記第2の光学部材の光軸直交方向の寸法よりも小さいことを特徴とする請求項1から11のいずれか1つに記載の照明光学系。
  14. 被写体を照明する請求項1から13のいずれか1つに記載の照明光学系と、
    前記被写体の像を光電変換する撮像素子とを備えたことを特徴とする撮影装置。
  15. 被写体を照明する請求項1から13のいずれか1つに記載の照明光学系を有し、前記被写体の像を記録媒体に記録することを特徴とする撮影装置。
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