JP3826078B2 - 照明装置およびこれを備えた撮影装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、照明装置、特に、開口面積が狭く限定された照明装置の光学特性の改良、およびこれを備えた撮影装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
カメラ等の撮影装置に用いられている照明装置に関して、光源から様々な方向に射出した光束を効率よく必要照射画角内に集光させるために、従来種々の提案がなされている。特に近年、従来光源の前に配置されていたフレネルレンズのかわりに、プリズム・ライトガイド等の全反射を利用した光学部材を配置することによって、集光効率の向上、小型化を図ったものが提案されている。
【0003】
一方、照射範囲固定タイプの照明装置では、撮影装置の高倍率ズーム化に伴って照射範囲の狭いテレ状態で不要な範囲に照明が行われ、エネルギロスが生ずるが、この現象を解消するため、従来撮影範囲に対応した照明を行うような各種照射角可変照明装置が提案されている。
【0004】
上記のような技術を応用した照明系の公知技術としては、本出願人が特開2001−66672号公報にて開示しているように、光源の前方に配置され入射光束の少なくとも一部を全反射させてすべて光軸に平行化させた状態にする光学プリズムと、この光学プリズムの被写体側に配置した第1と第2の光学パネルとからなり、この2つの光学パネルの相対的位置変化によって照射角度を可変させたものがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
近年のカメラ等の撮影装置においては、装置の小型化や軽量化が進む一方、撮影レンズは高倍率ズーム化の傾向にある。一般的に、このような撮影装置の撮影レンズは小型化かつ高倍率化によって徐々に暗くなる傾向にあり、補助光源を使用しないで撮影すると、手ぶれ等によって撮影結果に悪影響を及ぼすおそれがあった。このような背景から、通常はカメラ等の撮影装置では、補助光源として照明装置が内蔵されているが、上記のような状況からこの補助照明装置の使用頻度が従来に比べて大幅に増加すると共に、一回の撮影に必要とされる発光量も増える傾向にあった。
【0006】
このような傾向から、上述の特開2001−66672号公報では、光源の前方に配置され入射光束の少なくとも一部を全反射させてすべて光軸に平行化させた状態にする光学プリズムと、この光学プリズムの被写体側に配置した第1と第2の光学パネルとで構成し、この2つの光学パネルの相対的位置変化によって照射角度を可変させるようにしている。
【0007】
しかし、このような構成の照明装置では、照明光の集光拡散を行うために3つの光学部材を必要とし部品点数が多くなってしまうこと、また集光光学系を構成するための光学プリズムの形状が大型化してしまい光学系全体形状が大きくなってしまうこと、多くの光学部品を介するため、その配置の位置精度も必要となることから組立作業が複雑化すること、などの課題が残されていた。
【0008】
このように、従来の集光光学系では配置スペースや組立作業の複雑さ等の点で問題があり、光学特性を劣化させずに小型化を図ることのできる光学系を構成することは難しい。一方、このような照射角度を可変とする照明装置においては、テレ側に対応する位置に光学系が位置しているときは、最も集光させた状態での照明を行うことが必要であり、限られた開口面積のすべての面を有効に利用しなければ、本来必要とされるガイドナンバーを得ることができないことも事実である。このことから、小型化と光学特性の向上という課題を同時に成立させることが必須の課題となっている。
【0009】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたもので、光源からの光を効率良く利用することができ、且つ省スペース化に寄与することのできる簡単な構成の照明装置およびこれを備えた撮影装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本願発明に係る照明装置は、光源と、この光源の径方向を含む断面において光源からの光束を略光軸上に集光させる第1の光学部材と、光軸中心付近に正レンズ部を有するとともに、周辺部に第1の光学部材における集光領域からの光束に集光作用を及ぼす第1のフレネルレンズ面を含むフレネルレンズ部を有する第2の光学部材とを有し、第2の光学部材は、フレネルレンズ部よりも周辺部に設けられ、集光領域からの光束を反射させてフレネルレンズ部に導く反射面を有するとともに、フレネルレンズ部は反射面で反射した光束を、反射面に入射する光束に対して集光させる第2のフレネルレンズ面を有する構成としている。
【0011】
このように、光源から略光軸上(集光領域)に集光(収斂)された後に第1のフレネルレンズ面に直接入射してくる光束と、この集光領域に集光された後に反射面で反射されて第2のフレネルレンズ面に入射してくる光束(すなわち、フレネルレンズ部よりも外周側にそれた光束)の両方に対して集光作用を与え、照明光として利用する構成とすることにより、光源の径方向(特に光軸と直交する方向)における照明装置のサイズの小型化に寄与することができる。
【0012】
さらに、このように第1および第2の光学部品によって光源からの光束に対して集光作用を及ぼす構成としたことにより、構成部品の数を従来よりも少ない数に抑えつつ(すなわち、簡単な構成としつつ)、光源からの光を効率良く利用することのできる(エネルギロスの少ない)照明装置を提供することができる。
【0013】
また、従来の3つの光学部品によって構成する場合に比べ、光学部品の数を2つに減らしたことにより、それぞれの光学部品同士の相対的な配置位置のずれ等による光学特性への影響も生じにくく、その光学特性の安定性・信頼性を高めることが可能となる。
【0014】
すなわち、光源からの光を効率良く利用することができ、且つ省スペース化に寄与することのできる簡単な構成の照明装置およびこれを備えた撮影装置を提供することが可能となる。
【0015】
ここで、第2のフレネルレンズ面の光軸に対する傾斜角度をθとするとき、
10°≦ θ ≦35°
なる条件を満たすことが好ましい。
【0016】
これによれば、集光領域に集光された後の光束の、第1のフレネルレンズ面への入射を妨げることがなく、光源からの光を効率良く利用することができる。すなわち、このように第2のフレネルレンズ面を光軸に対して傾斜させることで、光束が第1のフレネルレンズ面に入射する際の光路を確保している。
【0017】
また、第1の光学部材は、光軸中心付近に正レンズ部を有するとともに、周辺部に反射面を有することが望ましい。
【0018】
ここで、光源および第1の光学部材は、第2の光学部材に対して光軸方向に一体的に移動可能に配置され、光源および第1の光学部材の移動により、光照射範囲が変化する構成としてもよく、これによれば、照明状況や使用者の要求等に応じて光源および第1の光学部材を移動させることで、求められる照明機能を満たすよう臨機応変に対応することができる。
【0019】
なお、光源は光軸と直交する方向に延びる放電管であることが好ましい。
【0020】
また、上述のような照明装置を備え、この照明装置による照明光を利用して撮影を行う撮影装置を構成することもできる。
【0021】
この他、照明装置と、ズームレンズの移動により撮影倍率を変更可能な撮影光学系とを設け、ズームレンズが光源および第1の光学部材と連動している撮影装置を構成することで、照射角度範囲が狭く中心部で高い照度が必要となるテレ状態において、第1の光学部材から射出された光束をエネルギロスの少ない状態で光軸と略平行な方向に導くことができ、光束を射出する射出口の開口面積が制限されている場合でも良好な照度を得ることができる撮影装置を提供することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1から図14には、本発明の実施形態であるストロボ装置(照明装置)およびこのストロボ装置を搭載したカメラ(撮影装置)の構成を示している。図1〜図6は上記ストロボ装置の光学系の縦断面(光源の径方向を含む断面)図、図7および図8は上記ストロボ装置の光学系の水平断面(光源の長手方向中心軸を含む断面)図、図9は上記ストロボ装置の光学系の一部を示す縦断面図である。
【0023】
また、図10は上記ストロボ装置を搭載したカメラの内部構造を示した分解斜視図であり、図11および図12は上記ストロボ装置の組立状態を示す斜視図である。さらに、図13および図14は上記カメラの組立状態での内部構造を示す斜視図である。
【0024】
ここで、図1〜図9においては、光源の中心から射出した光線のトレース図も合わせて示している。
【0025】
図13および図14に示すように、本実施形態のストロボ装置は、カメラ本体21の上部に被写体側に照明を行うことができるように配置されている。
【0026】
図10において、カメラ本体21のレンズ鏡筒部25内に設けられた撮影光学系がズーム動作に伴って撮影光軸L方向(前後方向)に移動すると、この撮影光学系の駆動機構を構成する部品に設けられた直進ピン211がレンズ鏡筒部25の上面に形成された直進溝212に沿って前後方向に移動する。
【0027】
レンズ鏡筒部25の上方にはカム板23が配置されており、このカム板23の下面には、直進ピン211が係合する不図示の駆動カムが形成されている。このため、直進ピン211が前後方向に移動すると、カム板23は図中の左右方向(撮影光軸Lと略直交する水平方向)に移動する。
【0028】
また、カム板23には、ストロボ駆動カム231と、ファインダ駆動カム232とが形成されている。ストロボ駆動カム231には、ストロボ装置を構成する光源ユニット本体15に設けられたカムピン(図12における151)が係合し、ファインダ駆動カム232には、カメラ本体21に固定されるファインダ地板22のファインダ収納部222に収納保持されたファインダ光学系(図示せず)のうちの一部のレンズに設けられたカムピンが係合している。このため、カム板23が左右方向に移動すると、ファインダ光学系のレンズが撮影光軸Lと略平行な方向(前後方向)に移動し、光源ユニット本体15が撮影光軸Lと略平行な光軸X方向に移動することで、ストロボズーム動作およびファインダーズーム動作が行われる。
【0029】
図10において、ストロボ装置は、前面光学素子(第2の光学部材)11、中間プリズム(第1の光学部材)12、放電管13、反射傘14、光源ユニット本体15、押さえゴム16により構成される。前面光学素子11は、ストロボ光の照射窓としてファインダ地板22に固定される。放電管13およびこの放電管13の後側に配置される反射傘14は、押さえゴム16によって光源ユニット本体15に固定され、中間プリズム12は、放電管13の前側に配置されて光源ユニット本体15に固定される。
【0030】
なお、放電管13は、不図示のリード線を介してカメラ本体21側の電源回路(図示せず)に接続されており、光源として光を発する。反射傘14は、放電管13から後方に向けて射出した光を反射して、放電管13側に戻す。放電管13は、押さえゴム16の弾性力によって反射傘14に押し付けられる。そして、これら、中間プリズム12、放電管13、反射傘14および光源ユニット本体15により光源ユニット1が構成される。
【0031】
前述したように、光源ユニット本体15に設けられたカムピン151とカム板23に形成されたストロボ駆動カム231とのカム作用によって光源ユニット(中間プリズム12、放電管13および反射傘14)1は、前面光学素子11に対して前後方向に一体的に移動する。これにより、前面光学素子11と中間プリズム12との間隔が変化して、放電管13から射出された光の集光若しくは発散の度合いが変化し、撮影レンズのズーム動作に伴ってストロボ光の照射範囲が変更される。
【0032】
図12は、光源ユニット1を下方から見た図である。光源ユニット本体15の下面には、ストロボ駆動カム231に係合するカムピン151と、ガイド突起152とが光源ユニット本体15に一体形成されている。ガイド突起152は、図10に示すファインダ地板22に形成されたレール221に係合するためのものである。
【0033】
さらに、図11および図12に示すように、光源ユニット本体15の上下面には摺動突起153が光源ユニット本体15に一体形成されている。これら摺動突起153は、光源ユニット1が前後移動する際にファインダ地板22およびその上面に取り付けられる上カバー(図示せず)に対して摺動し、光源ユニット1の上下方向のがたつきを抑え、滑らかな移動を可能とするためのものである。
【0034】
なお、これら摺動突起153と当接する部材はファインダ地板22でなくてもよく、例えばカメラの外装部材でもよい。
【0035】
図13は、撮影レンズがワイドの状態を、図14はテレの状態をそれぞれ示している。これらの図に示すように、ワイド状態では、前面光学素子11と中間プリズム12とが最も接近し、テレ状態では、前面光学素子11と中間プリズム12とが最も離れた状態となる。これらワイド状態とテレ状態との間での前面光学素子11と中間プリズム12との光軸方向における相対位置変化により、放電管13から射出された光の照射範囲が変化する。
【0036】
次に、ストロボ装置の動作および光学作用について、図1〜9を用いてさらに詳しく説明する。
【0037】
これらの図において、放電管13は、円筒形状を有するキセノン管であり、光軸Xと略直交する方向(ここでは略水平方向)に延びるように配置されている。反射傘14は、放電管13から射出した光束のうち後方に射出された成分を前方(被写体側)に反射させるためのものであり、その反射面には、高反射率を有する光輝アルミ等の金属材料を使用するか、または高反射率の金属蒸着面が形成されている。
【0038】
第1の光学部材としての中間プリズム12は、放電管13の径方向を含む断面において放電管13からの光束を略光軸上に集光させ、所定の配光特性に制御するための光学部材である。
【0039】
また、第2の光学部材としての前面光学素子11は、中間プリズム12の前方に配置され、図7および図8に示すように、光源側の入射面には、放電管13の長手方向における屈折力を有するシリンドリカルレンズ部111が形成されている。また、前面光学素子11の被写体側となる射出面における光軸中心部付近には、図1および図2に示すように、上下方向における正の屈折力を有するシリンドリカルレンズ部(正レンズ部)112が形成されているとともに、シリンドリカルレンズ部112を挟んだ上下周辺部には、中間プリズム12による集光領域からの光束に集光作用を及ぼす第1および第2のフレネルレンズ面(後述)を含むフレネルレンズ部113,114が形成されている。
【0040】
なお、前面光学素子11および中間プリズム12の材料としては、アクリル樹脂等の透過率の高い光学用樹脂材料が好ましい。
【0041】
以上のように構成される本実施形態の照明装置は、光源ユニット1(特に、中間プリズム12)と前面光学素子11との光軸方向における位置関係(間隔)を変化させて上下方向および左右方向での照射範囲を、ズーム動作が可能な撮影レンズの焦点距離(つまりは画角)に対応するように変化させるものである。
【0042】
以下、図1および図2を用いて、上下方向の照射範囲変更を行うための最適形状の設定に関して説明する。
【0043】
なお、図1および図2において、各部に付した符号は、図3〜図14に対応している。
【0044】
反射傘14は、その反射面の形状を放電管13とほぼ同心形状の半円筒形状としている。これは、反射傘14での反射光を放電管13の中心部付近に戻すのに有効な形状である。これにより、放電管13のガラスの屈折による悪影響を受けにくくするとともに、放電管14から中間プリズム12に直接入射する光と反射傘14での反射を介した光とを放電管13のほぼ同一点(中心点)からの射出光として扱えるようになり、この後に続く光学系の全体を小型化することが可能となる。
【0045】
図9は、光学系の基本的な考え方を説明するための図であり、放電管13、反射傘14および中間プリズム12の径方向断面の詳細形状と、放電管13の中心部から射出した光束についての光線トレース図を合わせて示している。
【0046】
この径方向断面において、中間プリズム12の光源側の入射部分における光軸中心部付近には、正の屈折力を有する非球面のシリンドリカルレンズ部121 (正レンズ部)が形成されている。また、このシリンドリカルレンズ部121を挟んだ上下周辺部には、平面形状の周辺入射面122,123が形成されている。さらに、周辺入射面122の上方および周辺入射面123の下方にはそれぞれ、非球面形状を有する反射面124,125が形成されている。シリンドリカルレンズ部121および反射面124,125は、放電管13から射出した光束を、光源の径方向において、光軸X上の略1点Pに向けて集光させる(略光軸上の集光領域に集光(収斂)させる)形状を有しており、これにより、集光点Pから前方に発散していく光束の広がり角度を、所定角度αに絞り込むことが可能になる。なお、中間プリズム12の被写体側となる射出面126は、平面に形成されている。
【0047】
以下、この中間プリズム12の上下方向における光学作用についてさらに詳しく説明する。まず、放電管13の中心部付近から前方に射出した光束のうち、光軸に対する角度が小さい成分に関しては、直接、シリンドリカルレンズ部121に入射する。この光束は、シリンドリカルレンズ部121の正の屈折力によって中間プリズム12の射出面126から射出した後、点P付近の集光領域に集光する。
【0048】
また、放電管13の中心部付近から射出した光束のうち、光軸に対する角度が比較的大きな成分に関しては、屈折面122,123で屈折してから中間プリズム12内に入射し、反射面124,125に向かう。反射面124,125は、屈折面122,123から入射した光束に対して全反射条件を満たす形状に形成されているため、反射面124,125に入射した光束はほぼ全てが反射する。さらに、反射面124,125の形状により、ここで反射した光束は、上記シリンドリカルレンズ部121の屈折力による集光領域と略同じ領域に集光する。
一方、放電管13の中心から後方の反射傘14に向かった光束は、前述したように反射傘14の反射面形状が放電管13と同心形状の半円筒面であるため、再度、放電管13の中心に戻り、上述した中間プリズム12への直接入射光と略同じ光路をたどって、点P付近に集光する。
【0049】
このように、放電管13の中心から射出した光束はすべて点P付近に集光する。また、このとき、集光後の光束の発散角度範囲も角度αに抑えられ、以下に説明する光学系において、取扱い易い光束に変換することが可能である。
【0050】
ところで、中間プリズム12の周辺入射面122,123は、光軸に対する角度が比較的大きな平面で構成されている。これは、図示の光路からも分かるように、反射面124,125で反射した光束が集光点Pに向かう際に、これら周辺入射面122,123で不要な反射をせず、効率良く射出面126側に導くことができるようにするためである。
【0051】
この周辺入射面122,123の角度としては、反射面124,125の最も後側の部分で反射した光線の光軸に対する角度とほぼ一致するように設定することが望ましく、これは最も光量ロスを少なくする理想的な角度となる。
【0052】
以上説明したように、中間プリズム12の各光学面の形状を設定することにより、放電管13からその全周囲に向かって射出した光束を、ほぼ一点P(集光領域)から射出する角度範囲αの光束に変換することができる。
【0053】
しかも、中間プリズム12の各光学面での光路制御を屈折と反射という2種類の光学作用を用いて行っているにもかかわらず、屈折光と反射光の光路の境界領域での特性変化が少なく、境界領域においてほぼ連続的な配光特性を得ることができる。
【0054】
次に、上述した集光領域への集光を利用した照射範囲変化について、図1および図2を用いて説明する。
【0055】
図1は、撮影レンズがワイド状態のときに対応したストロボ装置の光学配置図である。なお、以下この状態を、ストロボ装置に関してもワイド状態という。この図に示すように、ワイド状態では、前面光学素子11と中間プリズム12とが最も接近している。そしてこの状態では、中間プリズム12による集光領域と前面光学素子11の入射面111の位置がほぼ一致する。
【0056】
但し、集光点Pと前面光学素子11の入射面との最適な位置関係は、撮影レンズに必要とされる焦点距離との関係によって適宜変化する。
【0057】
ここで、前面光学素子11の形状について詳しく説明する。前面光学素子11の入射面111には、上下方向に関してレンズ効果を持たせておらず、この面は、先に触れたようにおよび後に詳述するように、放電管13の長手方向の集光に利用している。
【0058】
一方、前面光学素子11の射出面側は、集光効果を持たせるための各種形状が設定されている。
【0059】
まず、光軸中心部付近には、図の紙面に対して垂直な方向に延びる非球面のシリンドリカルレンズ部112が形成されており、このシリンドリカルレンズ部112は、この図の断面での上下方向において正の屈折力を持つ正レンズとなっている。また、上下周辺部には、同図の断面での上下方向において入射してきた光束に対して屈折作用を及ぼすフレネルレンズ部113,114が形成されている。ここで、フレネルレンズ部113は、第1のフレネルレンズ面113aおよび第2のフレネルレンズ面113bを有し、フレネルレンズ部114は、第1のフレネルレンズ面114aおよび第2のフレネルレンズ面114bを有している(図3参照)。これら第1および第2のフレネルレンズ面の詳細については後述する。
【0060】
次に、このように構成された前面光学素子11の光学的作用について説明する。図1に示すように、ワイド状態では、放電管13の中心から射出された光束のほぼ全部は、前面光学素子11の射出面中央部に形成されたシリンドリカルレンズ部112から射出している。一般にワイド状態における配光特性が最も配光ムラを生じやすいが、本実施形態では、ワイド状態での照射光束をすべてシリンドリカルレンズ部112の連続的な非球面形状によって配光制御するように構成することによって、不連続な形状によって生ずる配光むらを極力排除し、ほぼ均一な配光特性が得られるように構成している。
【0061】
また、このワイド状態では、シリンドリカルレンズ部112と中間プリズム12による集光領域との距離が近いため、集光効果は弱く、比較的広い範囲へのストロボ光照射を行うことができる。
【0062】
一方、図2は、撮影レンズがテレ状態のときに対応したストロボ装置の光学配置図である。以下この状態を、ストロボ装置に関してもテレ状態という。
【0063】
図2に示すように、テレ状態では、放電管13の中心から射出し、中間プリズム12により集光された光束は、集光領域に集光された後、十分に広がって前面光学素子11の射出面のほぼ全体に導かれる。そして、射出面に形成されたシリンドリカルレンズ部112とフレネルレンズ部113,114の光学作用により、極めて狭い角度範囲に集光されることになる。
【0064】
ここで、本実施例のフレネルレンズ部の形状は従来のフレネルレンズとは異なり、このテレ状態で従来にない効率の良い集光を行わせる形態となっている。
【0065】
以下、本実施形態の最も特徴的なこの形状について図3〜図6を用いてさらに詳細に説明する。
【0066】
図3は、テレ状態における上下方向の断面形状の考え方を説明するための図である。図示のように本実施形態において形成されているフレネルレンズ部は、通常フレネルレンズとして機能する面(第1のフレネルレンズ面113a,114a)を繋いでいる面(第2のフレネルレンズ面113b,114b)の傾き(図中θ)が従来のフレネルレンズのそれに比べて非常に大きい角度に設定されていることがわかる。本来、この第2のフレネルレンズ面の傾きは、第1のフレネルレンズ面の有効面積を増やすために極力少なくするように(θを小さくするように)設定するのが一般的であり、成型上必要となる抜きテーパ約2°〜4°程度の値としている場合が多い。しかし、本実施形態によるフレネルレンズ部では、第2のフレネルレンズ面の傾斜角をこのような少ない角度にしていると、かえって照明の効率を低下させる原因となってしまう場合がある。
【0067】
これは以下のような理由による。本実施形態による照明装置の特徴として、光源から射出された光束を一度集光領域に集光させていることが挙げられる。このようにして集光領域から射出された光束を屈折させる集光レンズとしては、余程屈折率の強いレンズで屈折させない限り、フレネルレンズ部において屈折させられた後も光束は光軸に対してある程度広がった分布になる。この場合、フレネルレンズ面を照射面側に形成すると、第1のフレネルレンズ面において屈折させられた後に空間に射出された光束が隣接する第2のフレネルレンズ面から再入射してしまい、照射されるべき方向とは全く異なった方向に射出してしまう光束が発生してしまうという問題が生じる。この第2のフレネルレンズ面からの再入射を防ぐための構成としては、第2のフレネルレンズ面が光軸に対して所定の傾きをもつように設定する方法が有効である。この角度設定は、必要とされる照射範囲によっても異なるが以下の角度範囲になることが好ましい。
10°≦ θ ≦35°
ここで上記範囲の最小値である10°は、上述のように、この第2のフレネルレンズ面の逃げ(光軸に対する傾斜角)がなくなると、照射面上での有効光束が減少してしまうため、この減少を防止するために必要な最小限の角度である。一方、最大値の35°は、この傾斜角度があまりにも大きすぎると本来のフレネルレンズとして機能するレンズ領域が減少してしまい、レンズとしての本来の機能が劣化してしまうことになるため、この点を考慮して設定される最大限許容できる角度である。
【0068】
すなわち、集光領域に集光された後の光束の、第1のフレネルレンズ面への入射を妨げることがなく、光源からの光を効率良く利用することができる。すなわち、このように第2のフレネルレンズ面を光軸に対して傾斜させることで、光束が第1のフレネルレンズ面に入射する際の光路を確保している。
【0069】
上記のような理由から、本発明では、第2のフレネルレンズ面を光軸に対してある所定の角度だけ傾斜させている。特に、本実施形態では、光軸中心に最も近い第2のフレネルレンズ面の角度を20°、光軸中心から最も離れた第2のフレネルレンズ面の角度を30°とし、これらの角度をそれぞれ最小、最大として中心部から周辺部に向かうにしたがって徐々に角度が大きくなるように設定しており、何れも上記角度範囲内の値をとるように設定している。
【0070】
一方、上記のようなフレネルレンズの構成をとることによって新たな課題も生じる。すなわち、第2のフレネルレンズ面に上記のような傾斜を与えることによって、第1のフレネルレンズ面の有効面積が減少し、被照射面上の中央部付近の照度が低下してしまうことである。本発明では、上記フレネルレンズの形状を用いると共に、以下のような対策をとることによって、この被照射面上の中央部付近の照度低下を補っている。
【0071】
まず、図4に、図3と同一断面図を示した上に、光軸中心方向に向かう光束が、前面光学素子11のどの部分を使って光源内部に到達しているかの様子を示している。図4に示す光学系においては、前面光学素子11の射出面のすべての領域から光軸と略平行に射出される有効な光束が存在していることがわかる。このことから、フレネルレンズを使用しているにもかかわらず、第2のフレネルレンズ面を含むすべてのフレネルレンズ面の領域から有効な照射を実現できていることがわかる。
【0072】
なお、従来の照明装置の部品点数等の問題点を、射出面側に通常光学装置の外観部に多用されるフレネルレンズを形成したものを使用した構成とすることで改善する方法もあるが、この構成には種々の問題点がある。
【0073】
フレネルレンズを用いる場合、大きな屈折力を得ると共に光学系の全長を短くすることができる反面、エネルギロスの少ない凸レンズ面と同等の集光効果を持たせようとすると、射出面として大きな開口面積が必要になるという問題がある。特に、開口面積が一定の大きさに制限されるような光学系において、このようなフレネルレンズを用いた構成を適用した場合には、一般的に光学特性が低下する傾向がある。
【0074】
この構成の詳細を図18に示す。図示のような構成(すなわち、本実施形態における第2のフレネルレンズ面が光軸に対して傾斜していない構成)の場合、フレネルレンズを用いて集光作用を与えることにより、光学系の光軸方向における全長の短縮に寄与することができる。その一方で、同図中の光線トレース図から、レンズ部射出面のすべての領域が光学系として有効に機能していないこともわかる。すなわち、レンズとして機能する各フレネルレンズ面(本実施形態における第1のフレネルレンズ面)を結ぶ第2のフレネルレンズ面にあたる部分(エッジ部分)が障害となって不連続点を生じており、この障害となっている部分付近で、光軸方向に射出される光束が存在していないことがわかる。また、光軸と略平行に射出される有効な光束は、レンズ中央部から離れるに従って徐々に減少するという傾向があることもわかる。
【0075】
このように、光学系の全長を短縮させるためには、単に光学系の射出面側にフレネルレンズを形成するという対処法だけでは不十分であり、射出面の開口面積の増加に対応した射出光量の増加を図ることができない。本実施形態の光学系では、このような単に光学系の射出面側にフレネルレンズを形成するだけの構成では存在しない別の反射光路を形成しており、フレネルレンズを設けただけの構成では発生してしまう問題も生じない。
【0076】
この様子をさらに詳しく図5、図6を用いて説明する。
【0077】
図5は、第1のフレネルレンズ面による光路を示したものである。図2の説明のように、ほぼ光源中心から射出された光束を光軸と略平行な方向に射出させることができる。
【0078】
次に図6に示すのが、本実施形態による照明装置の特徴の一つである反射面を用いた集光光路である。上述したように、一般的に、中間プリズム12と前面光学素子11の距離が離れたテレ状態では、集光領域に集光された後の光束は前面光学素子11の広い範囲に広がることになる。このことを利用して、テレ状態では前面光学素子11の側面115、116を反射面として利用する光学系を構成している。
【0079】
また、光源中心からの光線トレース図からだけでは説明できないが、実際には、光源中心部付近以外からも射出される光束は存在し、この光束を有効に活用することによって、より効率の良い照射を行わせることができる。特に、光源の中心部より前側から射出した光束は、中心部付近から射出した光束に比べ、より広い範囲に広がる傾向があるが、本実施形態の構成によれば、従来テレ状態の光学配置において十分に利用することができなかった光束を有効に利用することができる。
【0080】
詳細について図6を用いてさらに説明する。閃光放電管13の光源中心より少し前側より射出し、光軸に対して比較的大きな角度を持った成分が、前面光学素子11内において側面115、116で全反射し、フレネルレンズ部における第2のフレネルレンズ面から射出していることがわかる。
【0081】
すなわち、フレネルレンズ部よりも周辺部に設けられたこの反射面により、集光領域からの光束を反射させて、フレネルレンズ部に導く。このようにしてフレネルレンズ部に導かれた光束は、第2のフレネルレンズ部によって、反射面に入射する光束に対して(反射面に入射する光束からみて)集光させるような屈折作用を受ける。
【0082】
このような光路は前面光学素子11の側面115、116を反射面とすることによって初めて実現することができる光路である。この反射面は、十分に全反射を利用しうる角度範囲にあり、余計なコストアップ(特別な部品の追加等)を伴うことなく実現することができる。
【0083】
またこの反射面は、後述する放電管の長手方向における集光を行わせるシリンドリカルレンズの中央部付近の比較的厚い部分を利用して形成したものであり、この閃光放電管の長手方向の集光を行わせると同時に上下方向の反射面としても活用できるため、スペース効率良く光学系の構成としても都合がよい。
【0084】
なお、この反射面は、必要に応じて別部材とすることも可能であり、この場合には、反射面を有する反射部材を反射面115、116と同様な位置に配置することで同様な効果を奏することができる。
【0085】
ここでは、光源中心よりも前側から出た光束についての光路を説明したが、このような光束は決して特異なものではなく、実際の発光点は閃光放電管のガラス管内径部のほぼ全面で均一に存在している。上記光路で使用する光源中心の前側から射出する光束も、中心部付近から射出する光束に比べ強度は弱まるが十分に存在しており、この成分を活用する効果は極めて大きい。
【0086】
実際に、上記光路を形成した光学系を採用したことによって、光軸と略平行に射出される光束を15%から20%増加させることができた。このことから、射出面の開口面積が制限されているような光学系において、光源からの光束のエネルギロスを極力抑えた照明を行う方法として有効な手段であるといえる。
【0087】
次に、上記光学系の移動量について説明する。
【0088】
本実施例のワイド状態とテレ状態での前面光学素子11に対する中間プリズム12(光源ユニット1)の位置変化量(移動量)は、2.5mmである。この移動量は従来方式の照明装置に比べて極めて小さい。
【0089】
また、移動量がこれ以上少ないと、微少な移動量で大きな照射範囲変化を得ることになり、機構設計が困難になるが、本実施形態のような移動量レベルであれば、機構設計上、最も取扱いやすい寸法関係になっていると言える。
【0090】
次に、図7および図8を用いて、左右方向(放電管13の長手方向)の照射範囲の変更について説明する。なお、図7および図8には、放電管13の中心からの光線トレース図も合わせて示している。
【0091】
図7は、図1に対応するワイド状態での左右方向の集光状態を示している。この図に示すように、前面光学素子11の入射面側に、左右方向の照射範囲変更を行うための各種形状が形成されている。
【0092】
まず、光軸中心部付近にはシリンドリカルレンズ部111が形成されている。本実施形態では、ワイド状態で前面光学素子11に中間プリズム12が接近し、テレ状態で離れる構成を採っているため、テレ状態で強い集光効果を得ることができる。図7および図8の光線トレース図から見ても、ワイド状態よりテレ状態の方が集光力が強くなっていることが分かる。
【0093】
ここで、左右方向の集光に関して最も特徴的なのは、シリンドリカルレンズ部111の左右方向外側に形成されているプリズム部である。このプリズム部は、入射面115,116と内面反射面117,118とから形成されている。内面反射面117,118は、入射面115,116からの入射光に対して全反射条件を満たすように設定されている。本実施形態では、ワイド状態からテレ状態まで前面光学素子11に対する中間プリズム12の光軸方向位置を変化させることにより、入射面115,116からプリズム部内に入射する光束領域を変化させることによって、左右方向の大幅な照射範囲変更を可能としている。
【0094】
図7に示すワイド状態では、中間プリズム12から射出した光束のうち左右両端近傍の最小の光束がプリズム部に入射して光軸側に集光され、他の光束はシリンドリカルレンズ部111によって広い範囲に照射される。
【0095】
一方、図8に示すテレ状態では、プリズム部に入射する光束は最大となる。すなわち、入射面115,116のほぼ全体から光線がプリズム部に入射する。そして、これらの光束が光軸側に集光され、他の光束はシリンドリカルレンズ部111によって狭い範囲に照射される。したがって、テレ状態での十分な集光が行われる。
【0096】
このように、図1および図2に示した上下方向における全反射による集光効果を、左右方向に関しても応用することにより、少ない部品構成であるにもかかわらず、極めて効率良く集光を行わせることができる。
【0097】
以上のように構成されたストロボ装置の配光特性を図15および図16に示す。図15はワイド状態での上下方向および左右方向の配光特性を、図16はテレ状態における上下方向および左右方向の配光特性をそれぞれ示している。なお、両図とも、中心光量に対して50%の光量で規定した有効照射範囲は、図中−1と表示された範囲に対応する。
【0098】
これらの図から分かるように、ワイド状態からテレ状態に移行させることにより、照射範囲(角度)は、左右方向に関しては83.6°から39.4°に、また上下方向に関しては44.8°から16.9°へとそれぞれ大幅に変化させることができる。
【0099】
しかも、このときに配光分布はどの位置でもほぼ均一に保たれ、むらのない均一な配光特性を得ることが可能である。
【0100】
さらに、この照射範囲変化に伴う中心光量の増加は2倍以上におよび、極めて効率良く照射範囲の変更が達成されている。
【0101】
このように、本実施形態では、中間プリズム12(光源ユニット1)が前面光学素子11に対して僅か2.5mm移動するだけであるにもかかわらず、上下方向および左右方向ともに大幅に照射範囲を変更することができ、しかも配光特性も良好で、ガイドナンバーの大幅な増加を望むことができる。
【0102】
なお、本実施形態では、照射範囲可変タイプの照明装置について説明したが、本発明は、照射範囲固定タイプの照明装置にも適用することができる。この場合には、光学部品として中間プリズム、前面光学素子11の2種のプリズムを相対移動させる構成ではなく、単一のプリズムを利用して同一の効果を持たせることも可能である。
【0103】
また、上記実施形態ではスチルカメラに搭載されたストロボ装置について説明したが、本発明は、ビデオカメラや携帯型情報端末に搭載される撮影装置に用いられる照明装置にも適用することができる。
【0104】
なお、上述した前面光学素子11の射出面側の断面形状は、光学特性の観点で言えば例えば図17に示すようにすべてシリンドリカルレンズ面で構成することが望ましいが(同図から、この射出面のすべての面において、光軸と略平行な方向に向かう光束が存在することがわかる。)、このような構成すると、屈折力が強いために周辺部形状の落ち込み(凹み)が大きくなり(極端な突出部もしくは陥没部が生じてしまうことになり)、カメラの外観部を構成する前面窓として用いるのに適していない。また、光軸方向における光学系の全長が長くなってしまうという欠点もある。よって、本実施形態のように、落ち込みの少ない中心部をシリンドリカルレンズ面とし、周辺部をフレネルレンズ面にするという2種のレンズ面で構成することで上述のような問題を解消することができる。なお、図17では前面光学素子11の射出面の断面形状の詳細、および前面光学素子11の射出面から光軸方向に進む光束の存在領域を合わせて示している。
【0105】
以上説明したように、上述の実施形態による照明装置によれば、射出面側にフレネルレンズを用いるような照明光学系において、フレネルレンズのエッジ部分で生じる本来有効に機能しない領域を、別光路を使って有効に活用することができる。
【0106】
しかも、本実施形態による照明装置では、照射角度範囲が狭く中心部で高い照度が必要となるテレ状態において、射出面のほとんど全ての領域から射出した光束を光軸と略平行な方向に導くことができ、制限された開口面積の中でも光源からの光を高効率に利用することができる。
【0107】
このように、光源から略光軸上(集光領域)に集光(収斂)された後に第1のフレネルレンズ面に直接入射してくる光束と、この集光領域に集光された後に反射面で反射されて第2のフレネルレンズ面に入射してくる光束(すなわち、フレネルレンズ部よりも外周側にそれた光束)の両方に対して集光作用を与え、照明光として利用する構成とすることにより、光源の径方向(特に光軸と直交する方向)における照明装置のサイズの小型化に寄与することができる。
【0108】
さらに、このように2つの光学部品によって光源からの光束に対して集光作用を及ぼす構成としたことにより、構成部品の数を従来よりも少ない数に抑えつつ(すなわち、簡単な構成としつつ)、光源からの光を効率良く利用することのできる(エネルギロスの少ない)照明装置を提供することができる。
【0109】
また、従来の3つの光学部品によって構成する場合に比べ、光学部品の数を2つに減らしたことにより、それぞれの光学部品同士の相対的な配置位置のずれ等による光学特性への影響も生じにくく、その光学特性の安定性・信頼性を高めることが可能となる。
【0110】
さらに、従来と同様な大きさと開口面積を有する照明装置に比べて、小型、薄型、そして軽量化を図った照明装置を提供することができ、且つ光源からのエネルギを高効率に利用することができる。さらに、このような照明装置を用いた簡単な構成で安価なスチルカメラ、ビデオカメラ等の撮影装置を提供することが可能となる。
【0111】
また、光源および第1の光学部材を、第2の光学部材に対して光軸方向に一体的に移動可能なように配置し、光源および第1の光学部材の移動により、光照射範囲が変化するようにしたことで、照明状況や使用者の要求等に応じて光源および第1の光学部材を移動させることで、求められる照明機能を満たすよう臨機応変に対応することができる。
【0112】
【発明の効果】
以上のように、本願発明によれば、光源からの光を効率良く利用することができ、且つ省スペース化に寄与することのできる簡単な構成の照明装置およびこれを備えた撮影装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態である照明装置のワイド状態における光学配置および光線分布を示す、放電管の径方向を含む断面図である。
【図2】上記照明装置のテレ状態における光学配置および光線分布を示す、放電管の径方向を含む断面図である。
【図3】上記照明装置のテレ状態における上下方向の断面形状について説明するための図である。
【図4】上記照明装置のテレ状態における光学配置および光軸と略平行な方向に向かう光束の光線分布を示す、放電管の径方向を含む断面図である。
【図5】上記照明装置のテレ状態における光学配置および光軸と略平行な方向に向かう光束のうち本来のフレネルレンズの光路の光線分布を示す、放電管の径方向を含む断面図である。
【図6】上記照明装置のテレ状態における光学配置および光軸と略平行に射出される光束のうち全反射を用いた光路の光線分布を示す、放電管の径方向を含む断面図である。
【図7】上記照明装置のワイド状態における光学配置および光線分布を示す、放電管の長手方向を含む断面図である。
【図8】上記照明装置のテレ状態における光学配置および光線分布を示す、放電管の長手方向を含む断面図である。
【図9】上記照明装置のうち光源ユニット(放電管、反射笠および中間プリズム)の光学配置および光線分布を示す、放電管の径方向を含む断面図である。
【図10】上記照明装置を搭載したカメラの構成部品を分解して示した斜視図である。
【図11】上記照明装置のうち光源ユニットの構成を示す上方斜視図である。
【図12】上記照明装置のうち光源ユニットの構成を示す下方斜視図である。
【図13】上記照明装置を搭載したカメラ(撮影レンズのワイド状態)の構成部品を組立状態で示した斜視図である。
【図14】上記照明装置を搭載したカメラ(撮影レンズのテレ状態)の構成部品を組立状態で示した斜視図である。
【図15】上記照明装置のワイド状態における配光特性を示した図である。
【図16】上記照明装置のテレ状態における配光特性を示した図である。
【図17】前面光学素子11の射出面側の断面形状の一例について説明するための図である。
【図18】前面光学素子11の射出面側の断面形状の他の例について説明するための図である。
【符号の説明】
1 光源ユニット
11 前面光学素子
12 中間プリズム
13 放電管
14 反射傘
15 光源ユニット本体
16 押さえゴム
21 カメラ本体
22 ファインダ地板
23 カム板
151 カムピン
152,153 摺動突起
221 レール
Claims (7)
- 光源と、
この光源の径方向を含む断面において前記光源からの光束を略光軸上に集光させる第1の光学部材と、
光軸中心付近に正レンズ部を有するとともに、周辺部に前記第1の光学部材における集光領域からの光束に集光作用を及ぼす第1のフレネルレンズ面を含むフレネルレンズ部を有する第2の光学部材とを有し、
前記第2の光学部材は、前記フレネルレンズ部よりも周辺部に設けられ、前記集光領域からの光束を反射させて前記フレネルレンズ部に導く反射面を有するとともに、前記フレネルレンズ部は前記反射面で反射した光束を、前記反射面に入射する光束に対して集光させる第2のフレネルレンズ面を有することを特徴とする照明装置。 - 前記第2のフレネルレンズ面の光軸に対する傾斜角度をθとするとき、
10°≦ θ ≦35°
なる条件を満たすことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。 - 前記第1の光学部材は、光軸中心付近に正レンズ部を有するとともに、周辺部に反射面を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の照明装置。
- 前記光源および第1の光学部材は、前記第2の光学部材に対して前記光軸方向に一体的に移動可能に配置され、
前記光源および第1の光学部材の移動により、光照射範囲が変化することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の照明装置。 - 前記光源は前記光軸と直交する方向に延びる放電管であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の照明装置。
- 請求項1から5のいずれかに記載の照明装置を備え、
この照明装置による照明光を利用して撮影を行うことを特徴とする撮影装置。 - 請求項4に記載の照明装置と、
ズームレンズの移動により撮影倍率を変更可能な撮影光学系とを有し、
前記ズームレンズは前記光源および第1の光学部材と連動していることを特徴とする撮影装置。
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