JP2005154294A - カルボン酸の回収方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】カルボン酸又はその誘導体を用いてアシルオキシベンゼンスルホン酸又はその塩を製造する際に、得られた反応生成物から高い回収率でカルボン酸を回収でき、また回収されたカルボン酸の着色度が低く、臭気が少ないカルボン酸の回収方法を提供する。
【解決手段】カルボン酸又はその誘導体をアシル化剤として用いて製造された、一般式(1)
【化1】
Figure 2005154294

(式中、R1は炭素数1〜18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基を示し、R2は炭素数1~17の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基またはアルケニル基を示し。M1は水素原子又は陽イオン基であり。)で表されるアシルオキシベンゼンスルホン酸又はその塩を含む反応生成物を固液分離して、得られた液相部に含まれるアシルオキシベンゼンスルホン酸又はその塩を加水分解した後、該液相部からカルボン酸を回収するカルボン酸の回収方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、カルボン酸の回収方法に関し、特に漂白活性化剤などとして有用なアシルオキシベンゼンスルホン酸又はその塩を製造する際に、反応生成物から着色度の低いカルボン酸を効率よく回収する方法に関する。
アシルオキシベンゼンスルホン酸塩は、衣類などの汚れ、シミ汚れなどに有効な漂白性能を発揮することから、漂白活性化剤として特に有用な化合物である(例えば、特許文献1)。このアシルオキシベンゼンスルホン酸塩の製造方法として、フェノールスルホン酸塩とカルボン酸無水物をN,N−ジメチルホルムアミドやN,N−ジメチルアセトアミド等の極性の中性溶媒中で、炭素数7〜12の脂肪酸石鹸を触媒とする方法が知られている。また、アシル化剤としてカルボン酸ハライドを使用する方法も知られている。そして、このような反応において得られた反応生成物は、通常晶析処理を施され、更に濾過・洗浄され高純度のアシルオキシベンゼンスルホン酸又はその塩を得ることができるが、一方で、その濾液を共沸脱水又は蒸留することにより濾液中に含まれるカルボン酸を溶媒などとともに回収し、必要に応じ上記アシルオキシベンゼンスルホン酸塩の製造等に再利用することが試みられている。
しかしながら、上記の方法で回収されたカルボン酸は、その着色度が高く、また臭気の強いものであり、実用上好ましいものではなかった。そして、この回収カルボン酸を再利用して、例えば、アシルオキシベンゼンスルホン酸又はその塩を製造する場合、これを用いて得られる無水カルボン酸、更には該無水カルボン酸をアシル化剤として用いて製造したアシルオキシベンゼンスルホン酸又はその塩もまた着色度が高く実用上好ましいものではなかった。また、上記方法では、目的とするカルボン酸の回収率も十分なものではなかった。
特開昭59−22999号公報
本発明は、カルボン酸又はその誘導体をアシル化剤として用いてアシルオキシベンゼンスルホン酸又はその塩を製造する際に、得られた反応生成物から高い回収率でカルボン酸を回収でき、また回収されたカルボン酸の着色度が低く、臭気が少ないカルボン酸の回収方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、アシルオキシベンゼンスルホン酸又はその塩を含む反応生成物を固液分離して、得られた液相部からカルボン酸を回収する際に、該液相部に含まれるアシルオキシベンゼンスルホン酸又はその塩を加水分解した後に、該液相部からカルボン酸を回収することにより、着色の少ないカルボン酸を回収することができ、またその回収率が改善されることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、
カルボン酸又はその誘導体をアシル化剤として用いて製造された、一般式(1)
Figure 2005154294
(式中、R1は炭素数1〜18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基、nは0~2の整数を示し、R2は炭素数1~17の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基またはアルケニル基を示し、nが2の場合、2つのR1は同じでも異なっていてもよい。M1は水素原子又は陽イオン基であり、aはM1の価数を示す。)で表されるアシルオキシベンゼンスルホン酸又はその塩を含む反応生成物を固液分離して、得られた液相部に含まれるアシルオキシベンゼンスルホン酸又はその塩を加水分解した後、該液相部からカルボン酸を回収するカルボン酸の回収方法、及び上記方法により回収されたカルボン酸から誘導されたカルボン酸無水物と一般式(2)
Figure 2005154294
(式中、M2は水素原子又は陽イオン基であり、bはM2の価数を示す。R1、n、M1、aは前記と同じ。)で表されるヒドロキシベンゼンスルホン酸又はその塩と反応させて、前記一般式(1)で表されるアシルオキシベンゼンスルホン酸またはその塩を製造するアシルオキシベンゼンスルホン酸またはその塩の製造方法を提供する。
本発明のカルボン酸の回収方法によれば、カルボン酸の回収率が高く、また回収されたカルボン酸は着色度が低く、臭いの少ないものとなる。
また、本発明の方法により回収されたカルボン酸あるいはこれから得られたカルボン酸無水物などのアシル化剤を用いることにより着色度の低いアシルオキシベンゼンスルホン酸またはその塩を得ることができる。
本発明のカルボン酸の回収方法において、一般式(1)で表されるアシルオキシベンゼンスルホン酸又はその塩を含む反応生成物としては、カルボン酸又はその誘導体をアシル化剤として用いて、一般式(1)で表されるアシルオキシベンゼンスルホン酸又はその塩を製造する方法として知られている種々の反応から得られる反応生成物がいずれも包含されるが、そのうち、本発明においては、上記一般式(2)で表されるヒドロキシベゼンスルホン酸又はその塩と、カルボン酸誘導体からなるアシル化剤とを反応させて得られた反応生成物が好ましく用いられる。
一般式(2)において、R1で示される炭素数1〜18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基、各種デシル基、各種ドデシル基、各種テトラデシル基、各種ヘキサデシル基、各種オクタデシル基、ビニル基、プロペニル基、アリル基、各種オクテニル基、各種デセニル基、各種ドデセニル基、各種ヘキサデセニル基、オレイル基などが挙げられるが、これらの中でメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基の中から選ばれる炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基が好ましい。nは0又は1が好ましく、さらに好ましくは0である。nが1以上の場合、R1のOH基に対する導入位置はパラ位以外であればよく、特に制限はない。
一般式(2)において、M1及びM2のうちの陽イオン基としては、ナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属;カルシウム、バリウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属;アンモニウム;ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム等の置換アンモニウム;テトラメチルアンモニウム、ジデシルジメチルアンモニウム等の四級アンモニウムなどがあるが、そのうちアルカリ金属が好ましく、特に工業的な面からナトリウムが好ましい。また、M1及びM2は、たがいに同一でも異なっていてもよいが、操作性の面から、同一であることが好ましい。
なお、本発明において用いられるヒドロキシベンゼンスルホン酸又はその塩は、該ヒドロキシベンゼンスルホン酸又はその塩における前記一般式(2)のパラ体の含有割合が70質量%以上、好ましくは80質量%以上のものである。
一般式(2)で表されるヒドロキシベゼンスルホン酸又はその塩をカルボン酸誘導体と反応させることにより、一般式(1)で表されるアシルオキシベンゼンスルホン酸又はその塩を製造する。
カルボン酸誘導体としては、一般式(3)
Figure 2005154294
(式中、R2は前記と同じ。)で表されるカルボン酸無水物、あるいは一般式(5)
2−COX (5)
(式中、R2は前記と同じであり、Xは弗素、塩素、臭素及びヨウ素から選ばれるハロゲン原子を示す。)で表されるカルボン酸ハライドなどを用いることができる。
前記一般式(2)で表されるヒドロキシベンゼンスルホン酸又はその塩と、カルボン酸無水物を反応させて、前記一般式(1)で表されるアシルオキシベンゼンスルホン酸又はその塩を製造するプロセスにおいては、前記一般式(2)で表されるヒドロキシベンゼンスルホン酸又はその塩として、M1がナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属で、M2が水素原子であるものが好ましく、特に工業的な面から、M1がナトリウムで、M2が水素原子であるものが好ましい。
カルボン酸無水物としては、前記一般式(3)で表される化合物を用いることができる。
一般式(3)で表されるカルボン酸無水物としては、R2が炭素数1〜17、好ましくは5〜17のものであり、その具体例としては、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、3,5,5−トリメチルカプロン酸、2−メチルカプリル酸、2−メチルカプリン酸、3,7−ジメチルカプロン酸、2−エチルヘキサン酸、イソステアリン酸などの各種カルボン酸の酸無水物などが挙げられる。
ヒドロキシベンゼンスルホン酸又はその塩とカルボン酸無水物の反応方法については特に制限はなく従来公知の方法をいずれも採用することができるが、本発明においては、硫酸などの酸触媒の存在下に、例えば、トルエンなどの反応に不活性な溶媒中において、実質的に無水のヒドロキシベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩と、実質的に化学量論的量の前記カルボン酸無水物を50〜110℃程度の温度で反応させることにより、目的のアシルオキシベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩を得ることができる。
また、前記一般式(2)で表されるヒドロキシベンゼンスルホン酸又はその塩と、カルボン酸ハライドを反応させて、前記一般式(1)で表されるアシルオキシベンゼンスルホン酸又はその塩を製造するプロセスにおいては、前記一般式(2)で表されるヒドロキシベンゼンスルホン酸又はその塩として、M1及びM2が共にナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属であるものが好ましく、特に工業的な面からナトリウムであるものが好ましい。
用いられるカルボン酸ハライドとしては、前記一般式(5)で表される化合物を用いることができる。一般式(5)で表されるカルボン酸ハライドの具体例としては、前述の一般式(3)で表される無水カルボン酸の説明において例示したカルボン酸のクロライド、ブロマイド等が挙げられる。
ヒドロキシベンゼンスルホン酸又はその塩とカルボン酸ハライドの反応方法については特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができるが、本発明においては、例えば、N,N−ジメチルアセトアミドなどの反応に不活性な溶媒中において、実質的に無水のヒドロキシベンゼン類のスルホン酸のモノ又はジアルカリ金属塩と、実質的に化学量論的量の前記カルボン酸ハライドを、30〜150℃、好ましくは80〜120℃程度の温度で反応させることにより、目的のアシルオキシベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩を得ることができる。
また、本発明においては、前記一般式(2)で表されるヒドロキシベンゼンスルホン酸又はその塩と、無水酢酸等の低級(好ましくは、C1〜C3)カルボン酸の無水物とを反応させて、低級アシルアキシベンゼンスルホン酸又はその塩を生成させ、次いで一般式(6)
3−COOH (6)
(式中、R3は炭素数5~17の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基またはアルケニル基を示す。)で表されるカルボン酸とエステル交換反応を行うことにより、前記一般式(1)で表されるアシルオキシベンゼンスルホン酸又はその塩を製造することもできる。
このプロセスにおいては、前記一般式(5)で表されるヒドロキシベンゼンスルホン酸又はその塩として、M1がナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属で、M2が水素原子であるものが好ましく、特に工業的な面から、M1がナトリウムで、M2が水素原子であるものが好ましい。
また、前記一般式(6)で表されるカルボン酸の具体例としては、前述の一般式(3)で表されるカルボン酸無水物の説明において例示した各種カルボン酸が挙げられる。
このプロセスにおいて、ヒドロキシベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩と低級カルボン酸の無水物との反応、及び次いで行われるカルボン酸とのエステル交換反応の方法については特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができる。
一般式(2)で表されるヒドロキシベンゼンスルホン酸又はその塩とカルボン酸誘導体を反応させる方法のうち、本発明においては、カルボン酸誘導体として、特に一般式(3)で表される無水カルボン酸を用いる方法が好ましい。
また、本発明においては、一般式(1)で表されるアシルオキシベンゼンスルホン酸又はその塩を含む反応生成物としては、フェノールを触媒存在下、カルボン酸でエステル化した後に、これを三酸化イオウ等によりスルホン化して得られたものも挙げることができる。使用されるカルボン酸としては、前記一般式(6)で表されるものと同様のものを用いることができる。
なお、本発明において得られるアシルオキシベンゼンスルホン酸又はその塩は、該アシルオキシベンゼンスルホン酸又はその塩における前記一般式(1)のパラ体の含有割合が70質量%以上、好ましくは80質量%以上のものである。
上記反応において得られた反応生成物中には、一般式(1)で表されるアシルオキシベンゼンスルホン酸又はその塩の他に、例えば、カルボン酸、その他のアシル化剤、トルエンなどの反応溶媒が含まれ、更に、反応系により2−アシルオキシベンゼンスルホン酸又はその塩、ヒドロキシベンゼンスルホン酸又はその塩、スルホン酸エステル、ケトンフェニルエステルのスルホン化物あるいはその塩、ケトンフェニルエステル、ケトンフェノール等も含まれる。本発明は、このような反応生成物に含まれるカルボン酸、特に一般式(4)
2COOH (4)
(式中、R2は炭素数1~17、好ましくは5〜17の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基またはアルケニル基を示す。)で表されるカルボン酸を含むカルボン酸を回収する方法に関し、上記反応生成物を固液分離してこれに含まれる一般式(1)で表されるアシルオキシベンゼンスルホン酸及びその塩を得るとともに、液相部から上記カルボン酸を回収するものである。
このような固液分離には、通常、反応生成物からの晶析、濾過等の工程が包含され、必要に応じ洗浄、乾燥などが行われる。晶析については、その方法に特に制限はなく、アシルオキシベンゼンスルホン酸又はその塩を含む反応生成物に水を添加した後所定の冷却速度で冷却することにより行う方法、あるいは水及び有機溶媒を使用する方法を用いることができる。
冷却による場合は反応後所定量の水を添加した後、例えば0.05〜10℃/分、好ましくは 0.1〜5℃/分の速度で冷却し、所定温度迄冷却することにより行うことができる。また、水及び有機溶媒で晶析させる方法としては従来公知の方法をいずれも使用することができ、有機溶媒としては、例えばN,N −ジメチルホルムアミド、N,N −ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒が、必要に応じ、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトニトリル等の比較的低沸点の溶媒と組み合わせて用いられる。
上記晶析により得られた結晶は、濾過や遠心分離等により加圧下、常圧下あるいは減圧下で分離されるが、本発明においては、分離後の濾液等の液相部からこれに含まれるカルボン酸を回収する。この液相部には、アシルオキシベンゼンスルホン酸又はその塩の他に、例えば、カルボン酸、トルエンなどの反応溶媒、水等が含まれ、更に反応系に応じ前記した種々の副生成物、未反応原料、他の溶媒等の不純物が含まれている。
本発明においては、このような液相部から例えば共沸脱水、蒸留等により、カルボン酸や溶媒等を回収するが、その際、共沸脱水、蒸留等の前に上記液相部に含まれるアシルオキシベンゼンスルホン酸又はその塩の加水分解を行う。加水分解は、好ましくは、反応を効率よく行う等の点から硫酸、パラトルエンスルホン酸等の酸触媒の存在下で行い、例えば60〜100℃の範囲の温度で、1〜8時間反応させることにより行うことができる。
加水分解の際、水は、液相部に含有されるアシルオキシベンゼンスルホン酸又はその塩1モルに対し、例えば1モル以上存在させることが好ましく、より好ましくは1〜50モルである。また、酸触媒は、液相部100質量部に対し、例えば0.1〜5質量部添加することが好ましい。
本発明においては、上記加水分解後に、必要に応じ、更に水を添加するなどして上記液相部を水層と油層に分離し、該油層について共沸脱水、蒸留等を行いカルボン酸等を回収する。共沸脱水や蒸留の方法には特に制限はなく、公知の方法をいずれも使用することができ、例えば、150〜250℃の温度で、常圧下あるいは0.1〜10kPaの減圧下で行うことができる。
上記のようにして本発明の方法により回収されたカルボン酸は、着色度が低く、好ましくはAPHAで15以下のもので、また臭いの少ないものである。また、回収されたカルボン酸中に含まれるカルボン酸フェニル等の不純物の含有量が著しく少なく、純度の高い(好ましくは、95質量%以上の純度を有する)ものであった。
本発明のカルボン酸の回収方法は、アシルオキシベンゼンスルホン酸又はその塩の製造時に得られる濾液に適用することが好ましいが、そのほかにも、アシルオキシベンゼンスルホン酸又はその塩及び炭素数1〜17のカルボン酸を含む混合物、また、必要に応じこれらにトルエン等の有機溶媒及び/又は水を含有する混合物であれば、その他種々の用途において得られ、あるいは使用する混合物からカルボン酸等を回収する際にも適用することができる。
このような回収カルボン酸は、前述した方法により一般式(1)で表されるアシルオキシベンゼンスルホン酸又はその塩の製造に用いることができ、例えば、そのような製造方法においてアシル化剤であるカルボン酸無水物やカルボン酸ハライドの原料として、あるいはそのままアシル化剤として用いることができる。
なお、一般式(3)で表されるカルボン酸無水物は、回収されたカルボン酸を使用して、例えば、これと無水酢酸等の低級カルボン酸の無水物とを反応させることにより得ることができ、また一般式(5)で表されるカルボン酸ハライドは、回収カルボン酸を通常の方法によりハロゲン化することにより得ることができる。
本発明の方法により回収されたカルボン酸を用いて得られる上記カルボン酸無水物あるいはカルボン酸ハライドはいずれも着色度が低いものであり、また、このようなアシル化剤を用いることにより着色度が低いアシルオキシベンゼンスルホン酸又はその塩を得ることができる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。
実施例1
攪拌機付きの5Lの四つ口フラスコ中に、フェノールスルホン酸ナトリウムと無水ラウリン酸を反応させて得られたエステル化反応終了品を晶析、濾過して得られた濾液(組成:水6質量%、トルエン37質量%、ラウリン酸44質量%、ラウロイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム9質量%、フェノールスルホン酸ナトリウム4質量%)4000gと硫酸40gを加え、80℃で4時間攪拌した。その後、水600gを加え、水層と油層を分離した。油層については蒸留を行い、130℃でトルエン留分を得た後、200℃、1.3kPaでラウリン酸留分を得た。その結果、トルエン留分1440g、ラウリン酸留分1840gが得られた。得られたトルエンは純度99.9質量%、回収率97%、色相はAPHA標準液と比較することによって測定した結果、APHAで5未満であった。また得られたラウリン酸は純度99.9質量%以上(ラウリン酸フェニル:0.1質量%未満)、その回収率はラウリン酸およびラウロイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウムを基準として94質量%、色相はAPHAで5であり、またほとんど臭いのないものであった。
さらに攪拌機付きの2Lの四つ口フラスコに、得られたラウリン酸1000g(5モル)、無水酢酸255g(2.5モル)を加え、120℃で27kPaにした後、系内の圧力を1.3kPaに徐々に低下させ、生成する酢酸を留去し、無水ラウリン酸を製造した。得られた無水ラウリン酸は純度78質量%、色相はAPHAで10であった。
一方、攪拌機付きの1Lの四つ口フラスコにフェノールを400g(4.25モル)加え、窒素雰囲気下で撹拌しながら50℃に昇温した。その後、98質量%硫酸446g(純度約98質量%、4.46モル)を50〜100℃で滴下し、100℃で1時間撹拌した。液体クロマトグラフィー分析により得られたフェノールスルホン酸のパラ体の収率は88%(パラ体の純度は80%)であった。
さらに攪拌機付きの1Lの四つ口フラスコに得られたフェノールスルホン酸100g(パラ体:0.46モル)と水155.6gを加え、48質量%の水酸化ナトリウム水溶液44.9gを40〜60℃で滴下し、30質量%のフェノールスルホン酸ナトリウム水溶液を得た。その後、100〜120℃で水を留去し、フェノールスルホン酸ナトリウム水溶液を約半分の質量にした後、トルエン270gを加え110℃で共沸脱水を行い、水分含量を0.2質量%未満にした。
さらに80℃まで冷却後、硫酸2.3g(0.023モル)を加え、上記の無水ラウリン酸225g(純度78質量%、0.46モル)を滴下し、80℃で8時間攪拌し、エステル化反応終了品を得た。液体クロマトグラフィー分析により得られたラウロイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウムのパラ体の収率は88%であった。得られた反応生成物に、2−プロパノール:水=8:2の溶液を加えて溶解させ、ラウロイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム濃度が5質量%の溶液を作り、溶液の色をAPHA標準液と比較することによって色相を測定した結果、APHAで50であった。
比較例1
実施例1と同様にして得られた、水6質量%、トルエン37質量%、ラウリン酸44質量%、ラウロイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム9質量%、フェノールスルホン酸ナトリウム4質量%からなる濾液3100gの蒸留を行い、130℃でトルエン留分を得た後、200℃、1.3kPaでラウリン酸留分を得た。その結果、トルエン留分1090g、ラウリン酸留分1210g得られた。得られたトルエンは純度99.9質量%以上、回収率は95%、色相はAPHA標準液と比較することによって測定した結果、APHAで5未満であった。また得られたラウリン酸は、純度93.2質量%(ラウリン酸フェニル:6.8質量%)、回収率はラウリン酸を基準として89質量%、色相はAPHAで80であった。
さらに攪拌機付きの2Lの四つ口フラスコに、得られたラウリン酸1000g(5モル)、無水酢酸255g(2.5モル)を加え、120℃で27kPaとした後、系内の圧力を1.3kPaに徐々に低下させ、生成する酢酸を留去し、無水ラウリン酸を製造した。得られた無水ラウリン酸は純度72質量%、色相はAPHAで300であった。
一方、攪拌機付きの1Lの四つ口フラスコにフェノールを400g(4.25モル)加え、窒素雰囲気下で撹拌しながら50℃に昇温した。その後、98質量%硫酸429g(純度約98質量%、4.46モル)を50〜100℃で滴下し、100℃で1時間撹拌した。液体クロマトグラフィー分析により得られたフェノールスルホン酸のパラ体の収率は88%(パラ体の純度は80%)であった。
さらに攪拌機付きの1Lの四つ口フラスコに得られたフェノールスルホン酸100g(パラ体:0.46モル)と水155.6gを加え、48質量%の水酸化ナトリウム水溶液44.9gを40〜60℃で滴下し、30質量%のフェノールスルホン酸ナトリウム水溶液を得た。その後、100〜120℃で水を留去し、フェノールスルホン酸ナトリウム水溶液を約半分の質量にした後、トルエン270gを加え110℃で共沸脱水を行い、水分含量を0.2質量%未満にした。
さらに80℃まで冷却後、硫酸2.3g(0.023モル)を加え、上記の無水ラウリン酸244g(純度72質量%、0.46モル)を滴下し、80℃で8時間攪拌し、エステル化反応終了品を得た。液体クロマトグラフィー分析により得られたラウロイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウムのパラ体の収率は88%であった。得られた反応生成物に、2−プロパノール:水=8:2の溶液を加えて溶解させ、ラウロイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム濃度が5質量%の溶液を作り、溶液の色をAPHA標準液と比較することによって色相を測定した結果、APHAで500以上であった。
反応物の分析はNMRおよび液体クロマトグラフィーを用いて行った。液体クロマトグラフィーについては、以下のカラム、溶離液及び検出器を用いて行った。
ラウロイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、トルエン、ラウリン酸の定量:
カラム:GL Science Inc. Inertsil ODS-3V(5μm)、150mm×4.6mmφ
溶離液:水/メタノール=600mL/2400mL中にテトラブチルアンモニウムブロミド 17.3g, 酢酸 5mL含有
検出器:RI
p−フェノールスルホン酸ナトリウムの定量:
カラム:関東化学株式会社製リクロスファー100 PR−18(5μm)、250mm×4mmφ
溶離液:以下のA液、B液を用いるグラジェント法
A液:0.1モル/リットル NaClO4 含有 CH3CN/水質量比=15/85溶液
B液:CH3CN 100%
検出器:UV 260nm
Figure 2005154294
参考例1
攪拌機付きの5Lの四つ口フラスコ中に、水6質量%、トルエン37質量%、ラウリン酸44質量%、ラウロイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム9質量%、フェノールスルホン酸ナトリウム4質量%からなる混合物を入れ、これを実施例1と同様にして水層と油層を分離した後に、蒸留によりトルエン留分、ラウリン酸留分を回収した。
得られたラウリン酸についても、実施例1と同様の結果が得られた。すなわち、高い純度、高い回収率が得られ、着色、臭いについても良好であった。
本発明の方法で回収されたカルボン酸は、アシルオキシベンゼンスルホン酸又はその塩、特にアルカリ金属塩の製造に用いられ、得られたアシルオキシベンゼンスルホン酸又はその塩は、過炭酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウムなどの過酸化水素発生基質や過酸化水素と水中で接触させることにより、低温でも容易に有機過酸を発生し、衣類などの汚れ、シミ汚れなどに有効な漂白性能を発揮することから、漂白活性化剤として、洗浄剤組成物などに用いることができる。

Claims (7)

  1. カルボン酸又はその誘導体をアシル化剤として用いて製造された、一般式(1)
    Figure 2005154294
    (式中、R1は炭素数1〜18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基、nは0~2の整数を示し、R2は炭素数1~17の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基またはアルケニル基を示し、nが2の場合、2つのR1は同じでも異なっていてもよい。M1は水素原子又は陽イオン基であり、aはM1の価数を示す。)で表されるアシルオキシベンゼンスルホン酸又はその塩を含む反応生成物を固液分離して、得られた液相部に含まれるアシルオキシベンゼンスルホン酸又はその塩を加水分解した後、該液相部からカルボン酸を回収するカルボン酸の回収方法。
  2. 前記加水分解を酸触媒の存在下で行う請求項1記載の回収方法。
  3. 前記反応生成物が、一般式(2)
    Figure 2005154294
    (式中、M2は水素原子又は陽イオン基であり、bはM2の価数を示す。R1、n、M1、aは前記と同じ。)で表されるヒドロキシベンゼンスルホン酸又はその塩と、一般式(3)
    Figure 2005154294
    (式中、R2は前記と同じ。)で表されるカルボン無水物とを反応させて得られる反応生成物である請求項1又は2に記載の回収方法。
  4. 反応生成物を固液分離して得られた液相部が、反応生成物を少なくとも晶析及び濾過して得られた濾液である請求項1〜3のいずれかに記載の回収方法。
  5. 回収するカルボン酸が、一般式(4)
    2COOH (4)
    (R2は炭素数1~17の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基またはアルケニル基を示す。)で表されるカルボン酸を含む請求項1〜4のいずれかに記載の回収方法。
  6. 回収されたカルボン酸のAPHAが15以下である請求項1〜5のいずれかに記載の回収方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載された方法により回収されたカルボン酸から誘導されたカルボン酸無水物と一般式(2)
    Figure 2005154294
    (式中、M2は水素原子又は陽イオン基であり、bはM2の価数を示す。R1、n、M1、aは前記と同じ。)で表されるヒドロキシベンゼンスルホン酸又はその塩と反応させて、前記一般式(1)
    Figure 2005154294
    (式中、R1は炭素数1〜18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基、nは0~2の整数を示し、R2は炭素数1~17の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基またはアルケニル基を示し、nが2の場合、2つのR1は同じでも異なっていてもよい。M1は水素原子又は陽イオン基であり、aはM1の価数を示す。)で表されるアシルオキシベンゼンスルホン酸またはその塩を製造するアシルオキシベンゼンスルホン酸またはその塩の製造方法。
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