JP2005154256A - 層状岩塩型構造を有するリチウム−鉄−マンガン複合酸化物 - Google Patents

層状岩塩型構造を有するリチウム−鉄−マンガン複合酸化物 Download PDF

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Abstract

【課題】リチウムイオン二次電池の正極材料として、安定で良好な充放電特性を発揮しうるリチウム-鉄-マンガン複合酸化物を提供することを主な目的とする。
【解決手段】下記の構成要件を備えた層状岩塩型構造を有するリチウム-鉄-マンガン複合酸化物:
(a)組成式Li1+x(FeyMn1-y)1-xO2(ただし、0.4≦y≦0.6、0.18≦x≦0.33)で表され
る、
(b)リチウム位置への遷移金属イオン占有率が12%以下である、
(c)組成式中の全遷移金属量が67%以上であり、かつ4価鉄量が12%以上である、
(d)25℃での自発磁化が0.4Gcm3/g以下である。
【選択図】図3

Description

本発明は、リチウム-鉄-マンガン複合酸化物に関し、特にリチウムイオン二次電池用正極材料として有用なリチウム-鉄-マンガン複合酸化物に関する。
現在、我が国において、携帯電話、ノートパソコンなどのポータブル機器に搭載されている二次電池の殆どは、傑出したエネルギー密度を有するリチウムイオン二次電池である。リチウムイオン二次電池は、さらに、電気自動車、電力負荷平準化システムなどの種々の分野における大型電池としても、今後重要な役割を担うものと予測されており、その重要性はますます高まっている。
従来から、鉄を活用した4V級リチウム二次電池正極材料は、電池の低コスト化、素材コストの安定化などの観点から必要とされてきた。本発明者らは、LiFeO2-Li2MnO3固溶体(
本明細書においては、組成式Li1+x(FeyMn1-y)1-xO2により、或いはリチウム-鉄-マンガン複合酸化物として記述する)が、4V級鉄系正極材料となりうることをすでに見出している
。(特許文献1および2)。また、ニッケルイオンを固溶させることにより、充放電特性を改善しうることをも可能なことを明らかにしている(特許文献3)。
しかしながら、非特許文献1が明らかにしている様に、上記組成式で示される材料の充放電特性は、材料中の鉄含有量或いは製造条件などに大きく影響されるので、大量生産時の品質管理は容易ではない。従って、リチウム-鉄-マンガン複合酸化物のどの様な組成、特性、製造方法などが、正極材料に対し安定で良好な充放電特性を付与しうるかを見出すことが極めて重要である。
更に、リチウム−鉄−マンガン複合酸化物をリチウム二次電池正極材料として実用化するためには、既存の実用化の進んでいる正極材料、例えば、リチウムマンガンスピネル(Li1+δMn2-δO4(0<δ<0.33))に対して優位な特性を有することも必要な要件となる。
特開2002-068748号公報 特開2002-121026号公報 特開2003-048718号公報 M.Tabuchi, A.Nakashima, H.Shigemura, K.Ado, H.Kobayashi, H.Sakaebe, H.Kageyama, T.Nakamura, M.Kohzaki, A.Hirano and R.Kanno, Journal of The Electrochemical Society, 149, A509-A524, 2002(以下においては、これを"田渕文献"として引用する。)
本発明は、リチウムイオン二次電池の正極材料として、安定で良好な充放電特性を発揮することができ、しかも既存の正極材料と比較してより優れた充放電特性を有するリチウム-鉄-マンガン複合酸化物を提供することを主な目的とする。
本発明者は、正極材料としてのリチウム-鉄-マンガン複合酸化物において、充放電特性に影響を及ぼす種々の要因について研究を進めた結果、その解明に成功して、上記した目的を達成し得る新規な高品質リチウム-鉄-マンガン複合酸化物を得るに至った。
すなわち、本発明は、下記のリチウム-鉄-マンガン複合酸化物、正極材料およびリチウ
ムイオン二次電池を提供する。
1.下記の構成要件を備えた層状岩塩型リチウム-鉄-マンガン複合酸化物:
(a)組成式Li1+x(FeyMn1-y)1-xO2(ただし、0.4≦y≦0.6、0.18≦x≦0.33)で表される、
(b)リチウム位置への遷移金属イオン占有率が12%以下である、
(c) 組成式中の全遷移金属量が67%以上であり、かつ4価鉄量が12%以上である
(d) 25℃での自発磁化が0.4Gcm3/g以下である。
2.上記項1に記載の層状岩塩型リチウム-鉄-マンガン複合酸化物を含むリチウムイオン二次電池用正極材料。
3.上記項2に記載の材料を正極とするリチウムイオン二次電池。
以下、上述の要件を充足する本発明リチウム-鉄-マンガン複合酸化物を製造するための方法の代表的な一例を示し、その方法を構成する工程(1)〜(4)のそれぞれについて詳細に説明する。その後で、実施例および比較例に基づいて、本発明リチウム-鉄-マンガン複合酸化物が備えるべき要件について、詳述する。
I.工程(1)
工程(1)は、鉄塩とマンガン塩の混合溶液にアルカリ水溶液を添加して共沈物を得る工程
である。
鉄源材料およびマンガン源材料としては、それぞれの金属の水溶性塩(塩化物、硝酸塩、硫酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩など)、水酸化物などが挙げられる。これらの塩は、無水物および水和物のいずれであってもよい。これらの塩類および水酸化物は、両金属について、それぞれ単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、金属源としては、いずれの金属についても、金属や金属酸化物を塩酸などの酸で溶解させた水溶液を用いてもよい。
混合水溶液中のFe/(Fe+Mn)モル比は、目的とする複合金属酸化物中のFe/(Fe+Mn)モル比に応じて、適宜選択することができるが、上記組成式に対応して、0.4≦y≦0.6程度とす
ることがより好ましい。
本発明においては、鉄塩とマンガン塩の混合溶液に対しアルカリ水溶液を添加して、鉄-マンガン共沈物を沈殿させるに際し、反応温度を20℃以下、より好ましくは10℃以下、
さらに好ましくは5〜-15℃程度に保持する。この温度制御により、不純物としてのスピネルフェライト(MnFe2O4)の生成を抑制して、目的とする複合酸化物中の鉄イオン量の低下
を防止することが可能となる。特に、0℃以下の低温状態を維持するために、不凍液とし
ての機能を発揮するに必要な量のメタノール、エタノール、エチレングリコールなどのアルコールを混合溶液に添加する。不凍液の添加量は、設定反応温度を考慮して、水100重
量部に対し1〜50重量部程度とする。
上記混合溶液から鉄-マンガン共沈物を形成させるためのアルカリ源としては、水酸化
リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アンモニアなどを水溶液の形態(通常0.1〜20M程度、好ましくは0.5〜10M程度)で使用する。アルカリ源水溶液は、攪拌下に、混合溶液が完全にアルカリ性(pH11以上)となるまで滴下する。アルカリ源として水酸化リチウムを使用する場合には、アルカリ源由来のリチウムも、目的とする複合酸化物中のリチウム成分の一部を構成することになる。
II.工程(2)
次いで、0〜150℃程度(より好ましくは20〜100℃程度)で2〜7日間程度(より好ましくは3
〜5日間程度)の時間をかけて、共沈物を含む反応液に空気を吹き込みつつ、共沈物の酸化と熟成とを行う。次いで、得られた酸化物を蒸留水で洗浄して、過剰のアルカリ成分およ
び残留塩類を除去し、濾別した共沈物を得る。
III.工程(3)
次いで、精製した共沈物を所定の容器(例えば、ポリテトラフルオロエチレン製ビーカー)中で蒸留水と混合し、これに水酸化リチウム(無水物および/または水和物)、塩化リチ
ウム、硝酸リチウムなどのリチウム塩を0.1〜10M程度(より好ましくは1〜8M程度)の濃度
となるように加えて攪拌し、さらに塩素酸カリウムなどの酸化剤を0.1〜10M程度(より好
ましくは0.5〜5M程度の濃度)となるように加えて攪拌した後、この容器を水熱反応装置(例えば、オートクレーブ)内に静置して、容器内の混合物を水熱反応に供する。この水熱反応処理用混合物は、リチウム塩と酸化剤とを含む液を予め調製した後、これに上記の生成共沈物を加え、攪拌することにより、調製しても良い。
水熱反応条件は、特に限定されるものではないが、通常100〜400℃程度の温度で0.1〜150時間程度であり、より好ましくは150〜300℃程度の温度で1〜100時間程度である。
水熱反応処理終了の反応液を放冷させた後、残存するリチウム塩などを除去するために、水熱反応処理生成物を水、水-アルコール、アセトンなどにより洗浄し、ろ過する。か
くして、精製した層状岩塩型リチウム-鉄-マンガン系複合酸化物(低結晶性試料)を得る。
IV.工程(4)
次いで、層状岩塩型リチウムフェライト系複合酸化物の結晶性を一層向上させるため、上記で得られた複合酸化物を粉砕し、粉末形態或いは水溶液形態のLi塩(水酸化リチウム、
塩化リチウム、硝酸リチウムなどから選択される:添加量はアルカリ種により異なるが、水酸化リチウム、水酸化カリウムの場合、仕込モル量に対して0.3-1.2倍モル程度のリチ
ウム塩が、水酸化ナトリウムの場合は仕込量の0.3-1.7倍モル程度のリチウム塩が必要)と混合し、大気中において50〜200℃程度(より好ましくは70〜150℃程度の温度)で乾燥後粉砕した後、大気中、酸化性雰囲気中、不活性雰囲気中或いは還元雰囲気中575〜725℃程度(より好ましくは600〜700℃程度)で1〜200時間程度(より好ましくは10-100時間程度)焼成してもよい。リチウム塩は、反応の均一性を確保するために、水溶液の形態で使用することがより好ましい。さらに、この焼成終了後、過剰のリチウム塩を除去するために、焼成物を水洗処理或いは溶媒洗浄処理し、濾過した後、80℃以上の温度(より好ましくは100℃程度の温度)で加熱乾燥してもよい。
さらに、この加熱乾燥物を粉砕し、焼成し、洗浄し、乾燥するという一連の操作を繰り返し行うことにより、リチウムフェライト系複合酸化物の優れた特性(リチウムイオン二
次電池用正極材料としての作動電圧領域における安定的な充放電特性、高容量など)をよ
り一層改善することができる。
上記の工程(1)〜(4)を経て合成されたリチウムフェライト系複合酸化物は、(a)組成式Li1+x(FeyMn1-y)1-xO2(ただし、0.4≦y≦0.6、0.18≦x≦0.33)で表される、(b)リチウム位置への遷移金属イオン占有率が12%以下である、(c) 組成式中の全遷移金属量が67%以上であり、かつ4価鉄量が12%以上である、および(d) 25℃での自発磁化が0.4Gcm3/g以下で
あるという特性を有している。
尚、上記規定において、(b)項に示す「リチウム位置への遷移金属イオン占有率」とは
、後述する実施例1におけるX線リードベルト解析の項で詳述するように、層状岩塩型構造モデルを用いた際のLi単独層内の格子位置(3a位置)における遷移金属元素(Fe及びMn)の占有率を元素比(%)とした表したものである。また、(c)項に示す「組成式中の全遷移金属量」とは、同様に、層状岩塩型構造モデルを用いた際のLi単独層内の格子位置(3a位置)における遷移金属元素(Fe及びMn)の占有率(元素比(%))とLi-Mn-Fe混合層内の格
子位置(3b位置)における遷移金属元素(Fe及びMn)の占有率(元素比(%))の和を示す
ものである。
本発明によるリチウム-鉄-マンガン系複合酸化物を用いるリチウムイオン二次電池は、公知の手法により製造することができる。すなわち、正極材料として、本発明方法により得られた複合酸化物を使用し、負極材料として、公知の金属リチウム、炭素系材料(活性
炭、黒鉛)などを使用し、電解液として、公知のエチレンカーボネート、ジメチルカーボ
ネートなどの溶媒に過塩素酸リチウム、LiPF6などのリチウム塩を溶解させた溶液を使用
し、さらにその他の公知の電池構成要素を使用して、常法に従って、リチウムイオン二次電池を組立てることができる。
本発明によるリチウム-鉄-マンガン系複合酸化物は、既存のリチウムコバルト酸化物系正極材料と同等の作動電圧領域(約4V)において安定に充放電させることができる新規な材料である。
本発明によるリチウム-鉄-マンガン系複合酸化物は、既存のリチウム-鉄-マンガン系複合酸化物に比して、不純物としてのスピネルフェライト(MnFe2O4)の生成が抑制されてい
るので、有効鉄イオン量が多い。
また、本発明によるリチウム-鉄-マンガン系複合酸化物は、安価な原料を使用して合成することができる。
本発明によるリチウム-鉄-マンガン系複合酸化物は、高温環境下においても正極材料として優れた性能を発揮し得るものである。例えば、高温充放電条件(例えば、60℃程度)において、実用化されている代表的な低価格正極材料であるリチウムマンガンスピネルと比較した場合に、より高容量を有するものである。よって、本発明のリチウム-鉄-マンガン系複合酸化物は、例えば、車載用二次電池などの高温環境下で使用される可能性のあるリチウムイオン二次電池用の正極としても優れた性能を発揮することができる。
本発明方法によるリチウム-鉄-マンガン系複合酸化物は、特に、サイクル劣化の少ない、低コストのリチウムイオン二次電池用正極材料として、極めて有用である。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
実施例1
ガラス製ビーカーに0.125molに相当する硝酸鉄(III)九水和物50.50gと0.125molに相当す
る塩化マンガン(II)四水和物24.72gを秤量し、蒸留水300mlを加えてよく攪拌し、完全に
溶解させた。得られた鉄-マンガン混合水溶液を入れたビーカーを氷冷槽内で室温以下(5
℃)に保っておいた。別のガラス製ビーカーに水酸化リチウム一水和物50gを秤量し、蒸留水300mlを加えて攪拌し、完全に溶解させた。得られた水酸化リチウム水溶液を、5℃に保たれた鉄-マンガン混合水溶液に徐々に滴下して、鉄-マンガン共沈物を作製した。
共沈物を含む反応液を氷冷槽より取り出し、室温で空気を吹き込みながら共沈物を2日
間空気酸化した。空気酸化後の共沈物に蒸留水1000mlを加え、よく攪拌した後、濾過して過剰の水酸化リチウム、水溶性塩などを分離除去した。
容量1000mlのポリテトラフルオロエチレン製ビーカーに水酸化リチウム1水和物60gおよび塩素酸カリウム(酸化剤)60gを秤量し、蒸留水500mlを加え、よく攪拌した後、上記で得
た濾過物を加え、攪拌して分散させた。このポリテトラフルオロエチレン製ビーカーをオートクレーブ中に静置し、220℃で8時間水熱処理を行った。水熱反応終了後の処理液を自然冷却した後、オートクレーブから生成物を取り出し、蒸留水にて5回デカンテーション
を行って生成物を洗浄し、濾過し、ポリテトラフルオロエチレン製シャーレに移した。このシャーレ内に水酸化リチウム1水和物0.25mol(10.49g)を蒸留水100mlに溶解させた水酸
化リチウム水溶液を加え、よく攪拌した後、100℃乾燥させた。
次いで、乾燥生成物をめのう乳鉢にてよく粉砕した後、得られた粉末をアルミナ製焼成容器に薄く広げて入れ、電気炉を用いて酸素気流中650℃で20時間焼成を行った。焼成後
、生成物を室温まで24時間かけて冷却し、粉砕した後、蒸留水により5回デカンテーショ
ンを行って、過剰の水酸化リチウム、炭酸リチウムなどを除去し、濾過し、100℃で12時
間乾燥することにより、目的物質であるリチウム-鉄-マンガン複合酸化物を得た。得られた粉末は、図1から明らかな様に、平均一次粒子径が約100nmの微粒子であることがわか
る。
得られた試料のX線回折パターンを図2において、"+"(上方の曲線)として示す。すべてのピークは
Figure 2005154256
の空間群を有する層状岩塩型構造由来の単位胞(格子定数a=2.8769(3)Å、c=14.2725(12)
Å、ピーク位置は図2において、回折図形下の縦棒で表示)で指数づけ可能であり、層状
岩塩型を有するリチウム-鉄-マンガン複合酸化物が生成していることが確認できた。得られた格子定数値は、前出の"田渕文献"に記載されているリチウム-鉄-マンガン複合酸化物の値(a=2.882Å、c=14.287Å)に近かった。
充放電特性評価
得られた試料20mgに対し、アセチレンブラック5mgおよびポリテトラフルオロエチレン粉
末0.5mgを加えて、乳鉢にて混合し、金属アルミニウム集電体に圧着した。得られた正極
合材を120℃で真空乾燥した後、グローブボックス内に導入し、グローブボックス内にて
支持塩LiPF6とエチレンカーボネートおよびジエチルカーボネート混合溶媒からなる電解
液と金属リチウム負極を用いて、コイン型リチウム二次電池を作製した。
この電池を充放電装置に接続し、試験温度30℃、充放電電位範囲3-4.3V、充放電電流密度42mA/gで、充電開始で充放電特性評価を行った。
図3の充放電曲線は、各充放電条件での充放電容量を計測した結果を示している(右上
がりの曲線が充電曲線に対応し、右下がりの曲線が放電曲線に対応する)。また、表1は
、充放電容量を示す。なお、以下の各表には、下記実施例2〜10および比較例1〜7で得られた複合酸化物についての結果を併せて示してある。
Figure 2005154256
図3および表1から、充電容量は100mAh/g以上を有し、初期放電時に4V平坦領域が現れ、初期放電平均電圧も3.80V以上、10サイクル後も3.5V以上で、48mAh/g程度の放電容量を有していることが明らかである。このことから、本発明による物質が4V級リチウム二次電池材料として良好な特性を有していることが確認できた。
化学分析
誘導結合プラズマ(ICP)法により得られたLi、Fe、Mn含有量(重量%)から、以下の式1およ
び2を用いて計算された組成式Li1+x(FeyMn1-y)1-xO2中のxおよびy値は、それぞれ0.20および0.503と見積もられ、x値は基準値の0.18よりも大きく、y値も0.4-0.6の範囲内なので、目的物質が得られていることがわかった(表2参照)。
式1:x=(Li量/6.94-鉄量/55.85-マンガン量/54.94)/(Li量/6.94+鉄量/55.85+マンガン量/54.94)
式2:y=鉄量/55.85/(鉄量/55.85+マンガン量/54.94)
ここで"6.94"、"55.85"および"54.94"という値は、それぞれリチウム、鉄およびマンガンの原子量である。
Figure 2005154256
X線リートベルト解析
図2のX線回折パターン(2θ範囲30-125°、0.02°ステップで各ステップ3.5s積算で測定)を"RIETAN-2000"(F. Izumi and T. Ikeda, Mater. Sci. Forum, 321-324 (2000) 198-203)により、最小自乗法にてフィッティングを行い、以下の層状岩塩型構造モデル(図4参照)を用いた際のLi単独層内格子位置(3a位置)に混在する遷移金属(M)占有率(%)とLi-Mn-Fe混合層内格子位置(3b位置)中に存在する遷移金属(M')占有率(%)を可変パラメータとして算
出した。
構造モデル:(Li1-mMm)3a[Li1-nM 'n]3bO2:ここで、括弧の添え字の3aは3a位置のイオン
分布を表し、3bは3b位置でのイオン分布を表す。
両占有率の和を全遷移金属量(%)と定義した。X線回折結果に基づく各種のパラメータ
を表3に示す。
Figure 2005154256
前出の"田渕文献"に記載の様に、中性子回折を用いた3a位置にはLiイオン以外に主に鉄イオンが混在することがわかっている。すなわち3a位置への遷移金属の混在は鉄イオンの乱れによって引き起こされている。充放電時に脱離・挿入されるリチウムイオンは3a位置のリチウムイオンであり、リチウムイオン脱離・挿入は3a位置のリチウムイオンが隣接する6c位置の空孔を介して隣の3a位置に移ることによって起こるため、3a位置への遷移金属イオンの存在は、リチウムイオン拡散の妨げとなり、充放電特性劣化の原因となりうる。従って、この3a位置の遷移金属イオン量はできる限り少なくすることが望ましい。本発明により得られた物質の3a位置遷移金属イオン量は約4%程度と低いものであり、そのため充
放電特性の良好な試料が作製できていることがわかる。
また、得られた全遷移金属量は、本発明物質中の鉄イオン量および鉄イオン価数に依存する。全遷移金属量に対する鉄イオン量(Fe/(Fe+Mn)比、y値)が0.5である場合に、鉄イオンがすべて3価であって、かつマンガンイオンがすべて4価である場合には、組成式は
Li(4-z)/3FezMn(2-2z)/3O2のz=0.4の場合に相当し、Li1.2Fe0.4Mn0.4O2で表される。すなわち、この組成では全遷移金属量は0.8(80%)となる。ところが、後述の様に、57Feメスバウワ分光の結果から鉄イオンの一部が4価に酸化されているため、組成式は
Li(4-z)/3Fe3+ zM 4+ (2-2z)/3O2(M=Mn、Fe)へと変化し、zは0.4より小さくなる。目的物質中の全遷移金属量は3価鉄量と以下の式3の関係があるため
式3:全遷移金属量(%)=100×(z+2/3-2z/3)=100×(2+z)/3
において、z=0.4の時には、全遷移金属量は80%であるが、z<0.4では全遷移金属量は80%以下に下がりうる。しかしながら、すべての鉄が4価になった状態(z=0)においても、全遷移金属量は式3より2/3(67%)以上はあるはずである。しかるに、試料中に鉄イオンが存在す
る不純物相(立方晶岩塩型のα-LiFeO2やスピネルフェライトLiFe5O8あるいはMnFe2O4)の
ようなものが存在すると、目的物質である層状岩塩型の結晶相中の鉄イオン量が減少し、上記値(67%)以下になる場合がある。その場合には、構造中の充放電活性種である鉄イオ
ン量の減少により充放電容量が著しく低下するものと考えられる。本実施例1においては、この量が68.4%であることから、良好な充放電特性が得られたものと考えられる。
57 Feメスバウワ分光
得られた物質中の鉄イオン価数を推定するために、室温(25℃)にて57Feメスバウワ分光スペクトルを測定した(図5参照;±2.5mm/sの速度範囲、速度較正用標準物質α-Fe)。得られたスペクトル(●)は非対称ダブレット形状であり、試料が常磁性体であることを示している。
非対称ダブレットをフィッティングするために異性体シフト値の異なる2つの対称的な
ダブレット(AおよびB成分)を用いた。A成分の異性体シフト値は、+0.3327(6)mm/sであり
、文献(G.Prado, A.Rougier, L.Fournes and C.Delmas, Journal of The Electrochemical Society, 147, 2880-2884:以下"Prado文献"という)中の電気化学的に酸化したLi0.53(Ni0.9Fe0.1)1.06O2試料中の3価鉄の値(+0.33mm/s)に近いことから、A成分は3価鉄成分と
帰属された。一方、B成分の異性体シフト値は-0.038(4)mm/sであり、前述のLi0.53(Ni0.9Fe0.1)1.06O2試料中の4価鉄の値(-0.11mm/s)に近いことから、B成分は4価鉄成分と解釈できる。これらAおよびB成分の面積比は、68.5:31.5であることから、この試料中で鉄イオンは3価と4価の混合原子価状態にあることがわかる。これらの結果を表4に示す。なお、表4には、後述の磁化測定データを併せて記載してある。
Figure 2005154256
"田渕文献"に記載されている様に、本実施例物質は、3価鉄成分が充電時に4価に酸化され、放電時に3価に戻ることにより、4V領域で充放電する材料である。そのため、単純に
は目的物質中の3価鉄イオン量は100%に近いことが望ましい、しかしながら、高電流密度
下での充放電試験においては、正極材料は高電子伝導性を有する必要があり、本実施例物質では、電子伝導性は鉄イオンの3価/4価混合原子化状態により発現している。これらの
点を総合的に考慮して、本発明による物質の場合、4価鉄イオン量は12%以上存在することを必須とする。実施例1の物質の場合には、4価鉄量は31.5%あることから、充放電特性が
良好な試料が得られたものと解釈できる。
磁化測定
実施例1で得られた物質は、メスバウワ分光スペクトルにより、室温では常磁性体であることが明らかとなったが、3価鉄イオンを含むため、試料中にスピネルフェライトに代表
されるフェリ磁性を有する磁性不純物(LiFe5O8あるいはMnFe2O4)が微量(1%以下)に混入してくる可能性がある。このような磁性不純物は、前述の粉末X線回折による検出はきわめ
て困難である。
そこで振動型磁束計を用いて、上記不純物の自発磁化を測定し、その値を不純物量に比例するパラメータとして評価を行った。磁化測定は±10kOeの磁場範囲において、25℃で
行った。磁化の較正用標準物質としてマンガンタットン塩((NH4)2Mn(SO4)2・6H2O)を用いた。
得られた磁化曲線を図6に示す。試料が常磁性体である場合には、この曲線は傾き正の
直線となるが、得られた曲線はS字型となっており、微量の磁性不純物を含んでいること
がわかる。自発磁化を見積もるため、+7から+10kOeの磁化を磁場に対して一次回帰直線(図中点線)で近似し、その切片を求め、-7から-10kOeの磁化を磁場に対して一次回帰直線の切片に対応する値の絶対値との平均値をとった。本実施例試料では、自発磁化は0.155(5)Gcm3/gと見積もられた。仮にこの不純物がLiFe5O8のみと見積もられると、その室温で
の自発磁化は文献(近角聡信、太田恵造、安達健五、津屋 昇、石川義和 編、磁性体ハ
ンドブック、朝倉書店、1975年、 p611:以下"近角文献"という)から、65Gcm3/gなので、不純物量は0.24%と見積もられる。一方、また、MnFe2O4のみである場合には、約75Gcm3/gなので、上記"近角文献"から、不純物量は0.21%と見積もられる。このように磁化測定に
より、微量不純物検出が可能である。本実施例1による試料の自発磁化は、本発明が規定する許容自発磁化値の上限0.4Gcm3/gよりも小さいので、充放電特性に特に悪影響を与え
ないことがわかる。
高温充放電試験
負極を黒鉛に変更したこと以外は、上記充放電特性評価で用いたものと同様の構造のコイン型リチウム二次電池を作製した。この電池を60℃に保たれた恒温槽に入れ、充放電電位範囲2.5-4.3V(ただし最大充電容量を150mAh/gに制限)、電流密度42mA/gとして充電開始で10サイクルまで充放電特性評価を行った。
比較として、リチウムマンガンスピネル(Li1.1Mn1.9O4)を正極材料とすること以外は、上記方法と同様にして作製したコイン型リチウム二次電池を用いて、60℃において充放電試験を行った。尚、ここで用いたLi1.1Mn1.9O4は、Mn2O3とLiOHをモル比0.95:1.1の割合で乾式混合し、大気中900℃、20時間焼成することにより作製したものである。
図7は60℃における充放電特性を示すグラフであり、右上がりの曲線が充電曲線であり、右下がりの曲線が放電曲線である。図7において、"1c"とあるのは、初期充電容量を示す曲線、"10c"とあるのは、10サイクル後充電容量を示す曲線、"1d"とあるのは、初期
放電容量を示す曲線、"10d"とあるのは、10サイクル後放電容量を示す曲線である。
得られた充放電特性(図7)より、実施例1材料を用いた電池は、初期放電容量こそ100mAh/gと低いものの10サイクル後の放電容量は148mAh/gであり、比較としたリチウムマンガンスピネルを用いた電池(1サイクル目放電容量74mAh/g、10サイクル目放電容量41mAh/g)に
比べて高容量であった。 また、実施例1材料を用いた電池は、10サイクル後の平均放電
電圧も3.21Vあり、高電位を維持していることがわかる。
更に、60℃での充放電試験を行った後、実施例1の材料を用いた電池を室温(30℃)に戻
し、同一の充放電条件で10サイクル充放電試験を行い、長期サイクル特性を評価した。
図8は、60℃での10サイクルの充放電試験後に、室温(30℃)で充放電試験を行った場合の充放電特性を示すグラフであり、図7と同様に、"1c"とあるのは、初期充電容量を示す曲線、"10c"とあるのは、10サイクル後充電容量を示す曲線、"1d"とあるのは、初期放
電容量を示す曲線、"10d"とあるのは、10サイクル後放電容量を示す曲線である。また
、図9は、この充放電試験におけるサイクル数による充放電容量の変化を示すグラフである。
図8及び図9より、実施例1の材料を用いた電池は、平均放電電圧3.2V、放電容量120-123mAh/gでサイクル毎に容量低下を起こすことなく充放電可能であることが判る。
以上の試験は、実用化されている負極材料である黒鉛を用いて高温での充放電特性を評価し、更に、長期サイクル特性を評価するものである。この結果は、実施例1の材料は、
負極として黒鉛を用いた実用に近い電池構成においても安定に充放電可能なことを示すものである。
実施例1材料の総合評価
以上の化学分析、リートベルト解析、57Feメスバウワ分光スペクトルおよび磁化測定により得られる各パラメータは、いずれも目的物質の生成を示していることから、本実施例材料は、良好な充放電特性を備えているものと解釈できる。
実施例2
水熱処理反応生成物に水酸化リチウムを混合し、乾燥し、粉砕して得た粉末を電気炉で焼成するに際し、その焼成温度を600℃とした以外は実施例1(焼成温度650℃)と同様の手法で、リチウム-鉄-マンガン複合酸化物を合成した。
得られた試料のX線回折パターンより、実施例1と同様にすべてのピークは、
Figure 2005154256
の空間群を有する層状岩塩型構造由来の単位胞(格子定数a=2.8783(3) Å、c=14.2656(12)Å)で指数づけ可能であり、層状岩塩型を有するリチウム-鉄-マンガン複合酸化物が生成
していることが確認できた。得られた格子定数値は、"田渕文献"に記載されているリチウム-鉄-マンガン複合酸化物の値(a=2.882Å、c=14.287Å)に近かった。
充放電特性評価
実施例1と同様の手法により、本実施例で得られた試料を用いてコイン型リチウム二次電池を作製した。得られた電池を充放電装置に接続し、充放電電位範囲3-4.3V、充放電電流密度42mA/gで、充電開始で充放電特性評価を行った。
表1から明らかな様に、充電容量は100mAh/g以上であり、初期放電時に4V平坦領域が現れ、初期放電平均電圧も3.80V以上、10サイクル後も3.5V以上で52mAh/g程度の放電容量を有していることから、本実施例材料が、4V級リチウム二次電池材料として良好な特性を有していることが確認できた。
化学分析
実施例1と同様にして、誘導結合プラズマ(ICP)法により得られたLi、FeおよびMn含有量(
重量%)を用いて計算された組成式Li1+x(FeyMn1-y)1-xO2中のx値およびy値は、それぞれ0.21および0.505と見積もられた(表2参照)。x値は基準値の0.18より大きく、かつy値も0.4〜0.6の範囲内にあるので、所望の物質が得られていることがわかった。
X線リートベルト解析
実施例1と同様の手法により、前述の結晶構造パラメータを算出した。
表3に示す様に、本実施例により得られた物質の3a位置遷移金属イオン量は、約5.5%程度と12%以下であり、かつ全遷移金属量は、基準値である67%より大きい69.4%であり、所
望の物質が得られていることが確認できた。
57 Feメスバウワ分光
実施例1と同様に室温(25℃)にて57Feメスバウワ分光スペクトルを測定した。
得られたスペクトルは、非対称ダブレット形状であり、それをフィッティングするために異性体シフト値の異なる2つの対称的なダブレット(AおよびB成分)を用いた。A成分の異性体シフト値は、+0.3358(6)mm/sであり、"Prado文献"中の電気化学的に酸化したLi0.53(Ni0.9Fe0.1)1.06O2試料中の3価鉄の値(+0.33mm/s)に近いことから、A成分は3価鉄成分と
帰属された。一方、B成分の異性体シフト値は、-0.029(4)mm/sであり、前述のLi0.53(Ni0.9Fe0.1)1.06O2試料中の4価鉄の値(-0.11mm/s)に近いことからB成分は4価鉄成分と解釈できる。これらAおよびB成分の面積比は、66.3:33.7であることから、この試料中で鉄イオンは3価と4価の混合原子価状態にあることがわかる(表4参照)。本発明物質の場合には、4価鉄イオン量は12%以上存在することを必須としており、本実施例2の物質において、4
価鉄量は33.7%あることから、目的物質が得られたものと解釈できる。
磁化測定
実施例1と同様にして、振動型磁束計を用いて、不純物由来の自発磁化を測定し、その値を不純物量に比例するパラメータとして評価を行った。
自発磁化は0.078(3)Gcm3/gと見積もられた。この値は、本発明が規定する許容自発磁化値の上限0.4Gcm3/gより小さいので、目的物質が得られていることがわかる。
実施例2材料の総合評価
以上の化学分析、リートベルト解析、57Feメスバウワ分光スペクトルおよび磁化測定により得られる各パラメータは、いずれも目的物質の生成を示していることから、本実施例材料は、良好な充放電特性を備えているものと解釈できる。
実施例3
鉄-マンガン共沈物を調製するに際し、鉄-マンガン混合水溶液のビーカーをガラス製からチタン製に変更し、その溶液に対し、水酸化リチウム一水和物50gを含む水溶液に代えて
同量の水酸化ナトリウム50gを含む水酸化ナトリウム水溶液を滴下する以外は実施例1と
同様にして、目的物質であるリチウム-鉄-マンガン複合酸化物を得た。
得られた試料のX線回折パターンより、実施例1と同様にすべてのピークは
Figure 2005154256
の空間群を有する層状岩塩型構造由来の単位胞(格子定数a= 2.8821(2)Å、c= 14.2808(10)Å)で指数づけ可能であり、層状岩塩型を有するリチウム-鉄-マンガン複合酸化物が生成していることが確認できた。得られた格子定数値は、"田渕文献"に記載されているリチウム-鉄-マンガン複合酸化物の値(a=2.882Å、c=14.287Å)に近かった。
充放電特性評価
実施例1と同様の手法により、本実施例で得られた試料を正極材料として用いてコイン型
リチウム二次電池を作製した。得られた電池を充放電装置に接続し、充放電電位範囲3-4.3V、充放電電流密度42mA/gで、充電開始で充放電特性評価を行った。
表1から明らかな様に、充電容量は100mAh/g以上であり、初期放電時に4V平坦領域が現れ、初期放電平均電圧も3.80V以上、10サイクル後も3.5V以上で51mAh/g程度の放電容量を有している。このことから、本実施例材料が、4V級リチウム二次電池材料として有用な特性を有していることが確認できた。
化学分析
実施例1と同様にして、誘導結合プラズマ(ICP)法により得られたLi、FeおよびMn含有量(重量%)を用いて計算された組成式Li1+x(FeyMn1-y)1-xO2中のx値およびy値は、それぞれ0.23および0.502と見積もられた(表2参照)。x値は基準値の0.18より大きく、かつy値も0.4-0.6の範囲内にあるので、目的とする物質が得られていることがわかった。
X線リートベルト解析
実施例1と同様の手法により、前述の結晶構造パラメータを算出した。
表3に示す様に、本実施例により得られた物質の3a位置遷移金属イオン量は、約7.1%と12%以下であり、かつ全遷移金属量は、基準値である67%より大きい72.4%であることから
、目的とする物質が得られていることが確認できた。
57 Feメスバウワ分光
実施例1と同様に室温(25℃)にて57Feメスバウワ分光スペクトルを測定した。
得られたスペクトルは、非対称ダブレット形状であり、それをフィッティングするために異性体シフト値の異なる2つの対称的なダブレット(AおよびB成分)を用いた。A成分の異性体シフト値は、+0.3406(8)mm/sであり、"Prado"文献中の電気化学的に酸化したLi0.53(Ni0.9Fe0.1)1.06O2試料中の3価鉄の値(+0.33mm/s)に近いことから、A成分は3価鉄成分と
帰属された。一方、B成分の異性体シフト値は-0.005(9)mm/sであり、前述のLi0.53(Ni0.9Fe0.1)1.06O2試料中の4価鉄の値(-0.11mm/s)に近いことからB成分は4価鉄成分と解釈できる。これらAおよびB成分の面積比は、70.4:29.6であることから、この試料中で鉄イオンは3価と4価の混合原子価状態にあることがわかる(表4参照)。本発明物質の場合には、4
価鉄イオン量は12%以上存在することを必須としており、本実施例3の物質において、4価鉄量は29.6%であることから、目的物質が得られたものと解釈できる。
磁化測定
実施例1と同様にして、振動型磁束計を用いて、不純物由来の自発磁化を測定し、その値を不純物量に比例するパラメータとして評価を行った。自発磁化は、0.0221(13)Gcm3/gと見積もられた(表4参照)。この値は、本発明が規定する許容自発磁化値の上限0.4Gcm3/g
より小さいので、目的とする物質が得られていることがわかる。
実施例3材料の総合評価
以上の化学分析、リートベルト解析、57Feメスバウワ分光スペクトルおよび磁化測定により得られる各パラメータは、いずれも目的物質の生成を示していることから、本実施例材料は、良好な充放電特性を備えているものと解釈できる。
実施例4
ポリテトラフルオロエチレン製シャーレに収容された精製水熱反応生成物に対し、濃度の異なる水酸化リチウム一水和物水溶液を添加すること、および焼成温度を変更すること以外は、実施例3と同様にして、目的物質であるリチウム-鉄-マンガン複合酸化物を調製し
た。すなわち、蒸留水100ml中の水酸化リチウム一水和物量を0.375mol(15.74g)とし(実
施例3では、0.25mol(10.49g)である)、焼成温度を600℃とした(実施例3では650℃である)。
得られたリチウム-鉄-マンガン複合酸化物試料のX線回折パターンより、実施例1と同様にすべてのピークは、
Figure 2005154256
の空間群を有する層状岩塩型構造由来の単位胞(格子定数a =2.8821(3)Å、c= 14.2675(11)Å)で指数づけ可能であり、層状岩塩型を有するリチウム-鉄-マンガン複合酸化物が生成していることが確認できた。得られた格子定数値は、"田渕文献"に記載されているリチウム-鉄-マンガン複合酸化物の値(a=2.882Å、c=14.287Å)に近かった。
充放電特性評価
実施例1と同様の手法により、本実施例で得られた試料を正極材料として、コイン型リチウム二次電池を作製した。得られた電池を充放電装置に接続し、充放電電位範囲3-4.3V、充放電電流密度42mA/gで、充電開始で充放電特性評価を行った。
表1から明らかな様に、充電容量は100mAh/g以上であり、初期放電時に4V平坦領域が現れ、初期放電平均電圧も3.80V以上、10サイクル後も3.5V以上で50mAh/g程度の放電容量を有している。これらのことから、本実施例物質が、4V級リチウム二次電池材料として有用な特性を有していることが確認できた。
化学分析
実施例1と同様にして、誘導結合プラズマ(ICP)法により得られたLi、FeおよびMn含有量(
重量%)を用いて計算された組成式Li1+x(FeyMn1-y)1-xO2中のx値およびy値は、それぞれ0.22および0.505と見積もられた(表2参照)。x値は基準値の0.18より大きく、かつy値も0.4-0.6の範囲内にあるので、所望の物質が得られていることがわかった。
X線リートベルト解析
実施例1と同様の手法により、前述の結晶構造パラメータを算出した。
表3に示す様に、本実施例により得られた物質の3a位置遷移金属イオン量は、約8.8%と12%以下であり、全遷移金属量は、基準値である67%より大きい72.5%であることから、目
的とする物質が得られていることが確認できた。
57 Feメスバウワ分光
実施例1と同様に室温(25℃)にて57Feメスバウワ分光スペクトルを測定した。
得られたスペクトルは、非対称ダブレット形状であり、それをフィッティングするために異性体シフト値の異なる2つの対称的なダブレット(AおよびB成分)を用いた。A成分の異性体シフト値は、+0.3406(4)mm/sであり、"Prado"文献中の電気化学的に酸化したLi0.53(Ni0.9Fe0.1)1.06O2試料中の3価鉄の値(+0.33mm/s)に近いことから、A成分は3価鉄成分と
帰属された。一方、B成分の異性体シフト値は、-0.039(4)mm/sであり、前述のLi0.53(Ni0.9Fe0.1)1.06O2試料中の4価鉄の値(-0.11mm/s)に近いことからB成分は4価鉄成分と解釈できる。これらA成分およびB成分の面積比は、75.5:24.5であることから、この試料中で鉄イオンは3価と4価の混合原子価状態にあることがわかる(表4参照)。本発明物質の場合には、4価鉄イオン量は12%以上存在することを必須としており、本実施例4の物質の場合には、4価鉄量は24.5%であることから、目的とする物質が得られたものと解釈できる。
磁化測定
実施例1と同様にして、振動型磁束計を用いて、不純物由来の自発磁化を測定し、その値を不純物量に比例するパラメータとして評価を行った。自発磁化は0.0761(10)Gcm3/gと見積もられた(表4参照)。この値は、本発明が規定する許容自発磁化値の上限0.4Gcm3/gよ
り小さいので、目的とする物質が得られていることがわかる。
実施例4材料の総合評価
以上の化学分析、リートベルト解析、57Feメスバウワ分光および磁化測定により得られる各パラメータは、いずれも目的物質の生成を示していることから、本実施例による材料は、良好な充放電特性を備えているものと解釈できる。
実施例5
水熱処理反応生成物に水酸化リチウムを混合し、乾燥し、粉砕して得た粉末を電気炉で焼成するに際し、その焼成温度を650℃とした以外は実施例4(焼成温度600℃)と同様の手法で、リチウム-鉄-マンガン複合酸化物を合成した。
得られた試料のX線回折パターンより、実施例1と同様にすべてのピークは
Figure 2005154256
の空間群を有する層状岩塩型構造由来の単位胞(格子定数a = 2.8792(2)Å、c= 14.2794(10)Å)で指数づけ可能であり、層状岩塩型を有するリチウム-鉄-マンガン複合酸化物が生
成していることが確認できた。得られた格子定数値は、"田渕文献"に記載されているリチウム-鉄-マンガン複合酸化物の値(a=2.882Å、c=14.287Å)に近かった。
充放電特性評価
実施例1と同様の手法により、本実施例で得られた試料を正極材料として、コイン型リチウム二次電池を作製した。得られた電池を充放電装置に接続し、充放電電位範囲3-4.3V、充放電電流密度42mA/gで、充電開始で充放電特性評価を行った。
表1から明らかな様に、充電容量は100mAh/g以上であり、初期放電時に4V平坦領域が現れ、初期放電平均電圧も3.80V以上、10サイクル後も3.5V以上で50mAh/g程度の放電容量を有していることから、本実施例材料が、4V級リチウム二次電池材料として有用な特性を有していることが確認できた。
化学分析
実施例1と同様にして、誘導結合プラズマ(ICP)法により得られたLi、FeおよびMn含有量(
重量%)を用いて計算された組成式Li1+x(FeyMn1-y)1-xO2中のx値およびy値は、それぞれ0.21および0.505と見積もられた(表2参照)。x値は基準値の0.18より大きく、かつy値も0.4-0.6の範囲内にあるので、目的とする物質が得られていることがわかった。
X線リートベルト解析
実施例1と同様の手法により、前述の結晶構造パラメータを算出した。
本実施例により得られた物質の3a位置遷移金属イオン量は約5.6%と12%以下であり、か
つ全遷移金属量は、基準値である67%より大きい70.5%であることから、目的とする物質が得られていることが確認できた。
57 Feメスバウワ分光
実施例1と同様にして、室温(25℃)にて57Feメスバウワ分光スペクトルを測定した。
得られたスペクトルは、非対称ダブレット形状であり、それをフィッティングするために異性体シフト値の異なる2つの対称的なダブレット(AおよびB成分)を用いた。A成分の異性体シフト値は、+0.3355(7)mm/sであり、"Prado"文献中の電気化学的に酸化したLi0.53(Ni0.9Fe0.1)1.06O2試料中の3価鉄の値(+0.33mm/s)に近いことから、A成分は3価鉄成分と
帰属された。一方、B成分の異性体シフト値は-0.028(7)mm/sであり、前述のLi0.53(Ni0.9Fe0.1)1.06O2試料中の4価鉄の値(-0.11mm/s)に近いことからB成分は4価鉄成分と解釈できる。これらAおよびB成分の面積比は、70.7:29.3であることから、この試料中で鉄イオンは3価と4価の混合原子価状態にあることがわかる(表4参照)。本発明物質の場合には、4価鉄イオン量は12%以上存在することを必須としており、本実施例5の物質において、4
価鉄量は29.3%であることから、目的とする物質が得られたものと解釈できる。
磁化測定
実施例1と同様にして、振動型磁束計を用いて、不純物由来の自発磁化を測定し、その値を不純物量に比例するパラメータとして評価を行った。自発磁化は、0.0953(10)Gcm3/gと見積もられた。この値は、本発明が規定する許容自発磁化値の上限0.4Gcm3/gより小さい
ので、目的とする物質が得られていることがわかる。
実施例5材料の総合評価
以上の化学分析、リートベルト解析、57Feメスバウワ分光および磁化測定により得られる各パラメータは、いずれも目的物質の生成を示していることから、本実施例材料は、良好な充放電特性を備えているものと解釈できる。
実施例6
鉄-マンガン共沈物を調製するに際し、鉄-マンガン混合水溶液に対し、水酸化ナトリウム50gを含む水溶液に代えて同量の水酸化カリウム50gを含む水酸化カリウム水溶液を滴下する以外は実施例3と同様にして、目的物質であるリチウム-鉄-マンガン複合酸化物を得た。
得られた試料のX線回折パターンより、実施例1と同様にすべてのピークは
Figure 2005154256
の空間群を有する層状岩塩型構造由来の単位胞(格子定数a = 2.8821(3)Å、c= 14.2742(12)Å)で指数づけ可能であり、層状岩塩型を有するリチウム-鉄-マンガン複合酸化物が生
成していることが確認できた。得られた格子定数値は、"田渕文献"に記載されているリチウム-鉄-マンガン複合酸化物の値(a=2.882Å、c=14.287Å)に近かった。
充放電特性評価
実施例1と同様の手法により、本実施例で得られた試料正極材料として、コイン型リチウム二次電池を作製した。得られた電池を充放電装置に接続し、充放電電位範囲3-4.3V、充放電電流密度42mA/gで、充電開始で充放電特性評価を行った。
表1から明らかな様に、充電容量は100mAh/g以上であり、初期放電時に4V平坦領域が現れ、初期放電平均電圧も3.80V以上、10サイクル後も3.5V以上で52mAh/g程度の放電容量を有している。これらのことから、本実施例の物質が、4V級リチウム二次電池材料として有用な特性を有していることが確認できた。
化学分析
実施例1と同様にして、誘導結合プラズマ(ICP)法により得られたLi、FeおよびMn含有量(
重量%)を用いて計算された組成式Li1+x(FeyMn1-y)1-xO2中のx値およびy値は、それぞれ0.21および0.504と見積もられた(表2参照)。x値は基準値の0.18より大きく、かつy値も0.4
〜0.6の範囲内にあるので、所望の物質が得られていることがわかった。
X線リートベルト解析
実施例1と同様の手法により、前述の結晶構造パラメータを算出した。
本実施例により得られた物質の3a位置遷移金属イオン量は、約7.2%と12%以下であり、
かつ全遷移金属量は、基準値である67%よりも大きい72.5%であることから、目的とする物質が得られていることが確認できた。
57 Feメスバウワ分光
実施例1と同様にして、室温(25℃)にて57Feメスバウワ分光スペクトルを測定した。
得られたスペクトルは、非対称ダブレット形状であり、それをフィッティングするために、異性体シフト値の異なる2つの対称的なダブレット(AおよびB成分)を用いた。A成分の異性体シフト値は +0.3383(6)mm/sであり、"Prado"文献中の電気化学的に酸化したLi0.53(Ni0.9Fe0.1)1.06O2試料中の3価鉄の値(+0.33mm/s)に近いことから、A成分は3価鉄成分と帰属された。一方、B成分の異性体シフト値は-0.043(6)mm/sであり、前述のLi0.53(Ni0.9Fe0.1)1.06O2試料中の4価鉄の値(-0.11mm/s)に近いことからB成分は4価鉄成分と解釈できる。これらAおよびB成分の面積比は76.2:23.8であることから、この試料中で鉄イオンは3価と4価の混合原子価状態にあることがわかる(表4参照)。本発明物質においては、4価
鉄イオン量は12%以上存在することを必須としており、本実施例6の物質において、4価鉄量は23.8%であることから、目的物質が得られたものと解釈できる。
磁化測定
実施例1と同様にして、振動型磁束計を用いて、不純物由来の自発磁化を測定し、その値を不純物量に比例するパラメータとして評価を行った。自発磁化は、0.0208(11)Gcm3/gと見積もられた(表4参照)。この値は、本発明が規定する許容自発磁化値の上限0.4Gcm3/gより小さいので、目的とする物質が得られていることがわかる。
実施例6材料の総合評価
以上の化学分析、リートベルト解析、57Feメスバウワ分光および磁化測定により得られる各パラメータは、いずれも目的物質の生成を示していることから、本実施例による材料は、良好な充放電特性を備えているものと解釈できる。
実施例7
チタン製ビーカーに0.125molに相当する硝酸鉄(III)九水和物50.50gと0.125molに相当す
る塩化マンガン(II)四水和物24.72gとを秤量し、蒸留水300mlおよびメタノール100mlを加えてよく攪拌し、完全に溶解させた。得られた鉄-マンガン混合水溶液を入れたビーカー
を低温恒温水漕内で冷却し、-10℃に保っておいた。別のガラス製ビーカーに水酸化リチ
ウム一水和物50gを秤量し、蒸留水300mlを加えて攪拌し完全に溶解させた。得られた水酸化リチウム水溶液を、-10℃に保たれた前記鉄-マンガン混合水溶液に徐々に滴下して、鉄-マンガン共沈物を作製した。
得られた共沈物を低温恒温水漕より取り出し、室温で空気を吹き込みながら共沈物を2
日間空気酸化した。空気酸化後の共沈物に蒸留水1000mlを加え、よく攪拌した後、濾過して過剰の水酸化リチウム、アルコール、水溶性塩などを分離除去した。
容量1000mlのポリテトラフルオロエチレン製ビーカーに水酸化リチウム1水和物60gおよび塩素酸カリウム(酸化剤)60gを秤量し、蒸留水500mlを加え、よく攪拌した後、上記で得た濾過物を加え、攪拌して分散させた。このポリテトラフルオロエチレン製ビーカーをオ
ートクレーブ中に静置し、220℃で8時間水熱処理を行った。水熱処理完了後の反応液を自然冷却した後、オートクレーブより生成物を取り出し、蒸留水にて5回デカンテーション
を行って生成物を洗浄し、濾過し、ポリテトラフルオロエチレン製シャーレに移した。このシャーレ内に水酸化リチウム1水和物0.25mol(10.49g)を蒸留水100mlに溶解させた水酸
化リチウム水溶液を加えよく攪拌した後、100℃で乾燥させた。
次いで、乾燥生成物をめのう乳鉢にてよく粉砕した後、得られた粉末をアルミナ製焼成容器に薄く広げて入れ、電気炉を用いて酸素気流中600℃で20時間焼成を行った。焼成生
成物を室温まで24時間かけて冷却し、生成物を粉砕した後、蒸留水により5回デカンテー
ションを行って、過剰の水酸化リチウム、塩素酸カリウムなどを除去し、100℃で12時間
乾燥することにより、目的物質であるリチウム-鉄-マンガン複合酸化物を得た。
得られた試料のX線回折パターンから、実施例1試料と同様に、すべてのピークは
Figure 2005154256
の空間群を有する層状岩塩型構造由来の単位胞(格子定数a=2.8821(3)Å、c=14.2792(10)
Å)で指数づけ可能であり、層状岩塩型を有するリチウム-鉄-マンガン複合酸化物が生成
していることが確認できた。得られた格子定数値は、"田渕文献"に記載されているリチウム-鉄-マンガン複合酸化物の値(a=2.882Å、c=14.287Å)に近かった。
充放電特性評価
実施例1と同様の手法により、本実施例で得られた試料を正極材料として、コイン型リチウム二次電池を作製した。得られた電池を充放電装置に接続し、充放電電位範囲3-4.3V、充放電電流密度42mA/gで、充電開始で充放電特性評価を行った。
表1から明らかな様に、充電容量は100mAh/g以上であり、初期放電時に4V平坦領域が現れ、初期放電平均電圧も3.80V以上、10サイクル後も3.5V以上で52mAh/g程度の放電容量を有している。これらのことから、本実施例による物質が、4V級リチウム二次電池材料として有用な特性を有していることが確認できた。
化学分析
実施例1と同様にして、誘導結合プラズマ(ICP)法により得られたLi、FeおよびMn含有量(
重量%)を用いて計算された組成式Li1+x(FeyMn1-y)1-xO2中のx値およびy値は、それぞれ0.20および0.504と見積もられた(表2参照)。x値は基準値の0.18より大きく、y値も0.4〜0.6の範囲内にあるので、目的とする物質が得られていることがわかった。
X線リートベルト解析
実施例1と同様の手法により、前述の結晶構造パラメータを算出した。
表3に示すとおり、本実施例により得られた物質の3a位置遷移金属イオン量は、約6.7%程度と12%以下であり、かつ全遷移金属量は、基準値である67%より大きい71.1%であるこ
とから、目的とする物質が得られていることが確認できた。
57 Feメスバウワ分光
実施例1と同様にして、室温(25℃)にて57Feメスバウワ分光スペクトルを測定した。
得られたスペクトルは、非対称ダブレット形状であり、それををフィッティングするために異性体シフト値の異なる2つの対称的なダブレット(AおよびB成分)を用いた。A成分の異性体シフト値は、+0.3398(4)mm/sであり、"Prado文献"中の電気化学的に酸化したLi0.53(Ni0.9Fe0.1)1.06O2試料中の3価鉄の値(+0.33mm/s)に近いことから、A成分は3価鉄成分
と帰属された。一方、B成分の異性体シフト値は-0.043(4)mm/sであり、前述のLi0.53(Ni0.9Fe0.1)1.06O2試料中の4価鉄の値(-0.11mm/s)に近いことからB成分は4価鉄成分と解釈できる。これらAおよびB成分の面積比は、76.5:23.5であることから、この試料中で鉄イオンは3価と4価の混合原子価状態にあることがわかる(表4参照)。本発明物質は、4価鉄イ
オン量は12%以上であることを必須としており、実施例7の物質の場合には、4価鉄量は23.5%であることから、目的とする物質が得られたものと解釈できる。
磁化測定
実施例1と同様にして、振動型磁束計を用いて、不純物由来の自発磁化を測定し、その値を不純物量に比例するパラメータとして評価を行った。自発磁化は、0.0150(11)Gcm3/gと見積もられた(表4参照)。この値は、本発明が規定する許容自発磁化値の上限0.4Gcm3/g
より小さいので、目的とする物質が得られていることがわかる。
実施例7材料の総合評価
以上の化学分析、リートベルト解析、57Feメスバウワ分光および磁化測定により得られる各パラメータは、いずれも目的物質の生成を示していることから、本実施例物質は、良好な充放電特性を備えているものと解釈できる。
実施例8
水熱処理反応生成物に水酸化リチウム水溶液を混合し、乾燥し、粉砕して得た粉末を電気炉で焼成するに際し、その焼成温度を650℃とした以外は実施例7(焼成温度600℃)と同様の手法により、リチウム-鉄-マンガン複合酸化物を合成した。
得られた試料のX線回折パターンより、実施例1と同様にすべてのピークは
Figure 2005154256
の空間群を有する層状岩塩型構造由来の単位胞(格子定数a= 2.8803(2)Å、c= 14.2741(10)Å)で指数づけ可能であり、層状岩塩型を有するリチウム-鉄-マンガン複合酸化物が生成していることが確認できた。得られた格子定数値は、"田渕文献"に記載されているリチウム-鉄-マンガン複合酸化物の値(a=2.882Å、c=14.287Å)に近かった。
充放電特性評価
実施例1と同様の手法により、本実施例で得られた試料を正極材料として、コイン型リチウム二次電池を作製した。得られた電池を充放電装置に接続し、充放電電位範囲3-4.3V、充放電電流密度42mA/gで、充電開始で充放電特性評価を行った。
表1に示す通り、充電容量は100mAh/g以上であり、初期放電時に4V平坦領域が現れ、初期放電平均電圧も3.80V以上、10サイクル後も3.5V以上で54mAh/g程度の放電容量を有していることが明らかである。これらのことから、本実施例物質が、4V級リチウム二次電池材料として有用な特性を有していることが確認できた。
化学分析
実施例1と同様にして、誘導結合プラズマ(ICP)法により得られたLi、FeおよびMn含有量(
重量%)を用いて計算された組成式Li1+x(FeyMn1-y)1-xO2中のx値およびy値はそれぞれ0.22および0.503と見積もられた(表2参照)。x値は基準値の0.18より大きく、かつy値も0.4〜0.6の範囲内にあるので、目的とする物質が得られていることがわかった。
X線リートベルト解析
実施例1と同様の手法により、前述の結晶構造パラメータを算出した。
表3から明らかな様に、本実施例により得られた物質の3a位置遷移金属イオン量は、約6.
1%程度と12%以下であり、かつ全遷移金属量は、基準値である67%より大きい71.2%である
ことから、目的とする物質が得られていることが確認できた。
57 Feメスバウワ分光
実施例1と同様に室温(25℃)にて57Feメスバウワ分光スペクトルを測定した。
得られたスペクトルは、非対称ダブレット形状であり、それをフィッティングするために異性体シフト値の異なる2つの対称的なダブレット(AおよびB成分)を用いた。A成分の異性体シフト値は、+0.3378(4)mm/sであり、"Prado文献"中の電気化学的に酸化したLi0.53(Ni0.9Fe0.1)1.06O2試料中の3価鉄の値(+0.33mm/s)に近いことから、A成分は3価鉄成分と
帰属された。一方、B成分の異性体シフト値は、-0.020(4)mm/sであり、前述のLi0.53(Ni0.9Fe0.1)1.06O2試料中の4価鉄の値(-0.11mm/s)に近いことからB成分は4価鉄成分と解釈できる。これらAおよびB成分の面積比は73.1:26.9であることから、この試料中で鉄イオンは3価と4価の混合原子価状態にあることがわかる(表4参照)。本発明物質においては、4
価鉄イオン量は12%以上存在することを必須としており、本実施例8の物質の4価鉄量は26.9%であることから、目的物質が得られたものと解釈できる。
磁化測定
実施例1と同様にして、振動型磁束計を用いて、不純物由来の自発磁化を測定し、その値を不純物量に比例するパラメータとして評価を行った。自発磁化は、0.0227(11)Gcm3/gと見積もられた(表4参照)。この値は、本発明が規定する許容自発磁化値の上限0.4Gcm3/g
より小さいので、目的とする物質が得られていることがわかる。
実施例8材料の総合評価
以上の化学分析、リートベルト解析、57Feメスバウワ分光および磁化測定により得られる各パラメータは、いずれも目的とする物質の生成を示していることから、本実施例材料は、良好な充放電特性を備えているものと解釈できる。
実施例9
水熱処理反応生成物に水酸化リチウム水溶液を混合し、乾燥し、粉砕して得た粉末を電気炉で焼成するに際し、その焼成温度を700℃とした以外は実施例8(焼成温度650℃)と同様の手法により、リチウム-鉄-マンガン複合酸化物を合成した。
得られた試料のX線回折パターンより、実施例1と同様にすべてのピークは
Figure 2005154256
の空間群を有する層状岩塩型構造由来の単位胞(格子定数a= 2.8835(3)Å、c= 14.2985(11)Å)で指数づけ可能であり、層状岩塩型を有するリチウム-鉄-マンガン複合酸化物が生成していることが確認できた。得られた格子定数値は、"田渕文献"に記載されているリチウム-鉄-マンガン複合酸化物の値(a=2.882Å、c=14.287Å)に近かった。
充放電特性評価
実施例1と同様の手法により、本実施例で得られた試料を正極材料として、コイン型リチウム二次電池を作製した。得られた電池を充放電装置に接続し、充放電電位範囲3-4.3V、充放電電流密度42mA/gで、充電開始で充放電特性評価を行った。
表1から明らかな様に、充電容量は100mAh/g以上であり、初期放電時に4V平坦領域が現れ、初期放電平均電圧も3.80V以上、10サイクル後も3.5V以上で51mAh/g程度の放電容量を有している。これらのことから、本実施例で得られた物質が、4V級リチウム二次電池材料として有用な特性を有していることが確認できた。
化学分析
実施例1と同様にして、誘導結合プラズマ(ICP)法により得られたLi、FeおよびMn含有量(
重量%)を用いて計算された組成式Li1+x(FeyMn1-y)1-xO2中のx値およびy値は、それぞれ0.24および0.502と見積もられた(表2参照)。x値は基準値の0.18より大きく、かつy値も0.4〜0.6の範囲内にあるので、目的とする物質が得られていることがわかった。
X線リートベルト解析
実施例1と同様の手法により、前述の結晶構造パラメータを算出した。
本実施例により得られた物質の3a位置遷移金属イオン量は、約4.5%程度と12%以下であ
り、かつ全遷移金属量は、基準値である67%より大きい70.5%であることから、目的とする物質が得られていることが確認できた。
57 Feメスバウワ分光
実施例1と同様に室温(25℃)にて57Feメスバウワ分光スペクトルを測定した。
得られたスペクトルは、非対称ダブレット形状であり、それをフィッティングするために、異性体シフト値の異なる2つの対称的なダブレット(AおよびB成分)を用いた。A成分の異性体シフト値は+0.3390(6)mm/sであり、"Prado文献"中の電気化学的に酸化したLi0.53(Ni0.9Fe0.1)1.06O2試料中の3価鉄の値(+0.33mm/s)に近いことから、A成分は3価鉄成分と
帰属された。一方、B成分の異性体シフト値は-0.018(5)mm/sであり、前述のLi0.53(Ni0.9Fe0.1)1.06O2試料中の4価鉄の値(-0.11mm/s)に近いことからB成分は4価鉄成分と解釈できる。これらAおよびB成分の面積比は68.7:31.3であることから、この試料中で鉄イオンは3価と4価の混合原子価状態にあることがわかる(表4参照)。本発明物質においては、4価
鉄イオン量は12%以上存在することを必須としており、実施例9物質において、4価鉄量は31.3%であることから、所望の物質が得られているものと解釈できる。
磁化測定
実施例1と同様にして、振動型磁束計を用いて、不純物由来の自発磁化を測定し、その値を不純物量に比例するパラメータとして評価を行った。
自発磁化は、0.0432(10)Gcm3/gと見積もられた(表4参照)。この値は、本発明が規定する許容自発磁化値の上限0.4Gcm3/gよりも小さいので、目的とする物質が得られているこ
とがわかる。
実施例9材料の総合評価
以上の化学分析、リートベルト解析、57Feメスバウワ分光および磁化測定により得られる各パラメータは、いずれも本発明の目的物質の生成を示していることから、本実施例材料は、良好な充放電特性を備えているものと解釈できる。
実施例10
鉄-マンガン共沈物を調製するに際し、鉄-マンガン混合水溶液に対し、水酸化リチウム一水和物50gを含む水溶液に代えて同量の水酸化カリウム50gを含む水溶液を滴下する以外は実施例8と同様にして、目的物質であるリチウム-鉄-マンガン複合酸化物を得た。
得られた試料のX線回折パターンより、実施例1と同様にすべてのピークは
Figure 2005154256
の空間群を有する層状岩塩型構造由来の単位胞(格子定数a= 2.8805(3)Å、c= 14.2888(11
)Å)で指数づけ可能であり、層状岩塩型を有するリチウム-鉄-マンガン複合酸化物が生成していることが確認できた。得られた格子定数値は、"田渕文献"に記載されているリチウム-鉄-マンガン複合酸化物の値(a=2.882Å、c=14.287Å)に近かった。
充放電特性評価
実施例1と同様の手法により、本実施例で得られた試料を正極材料として用いて、コイン型リチウム二次電池を作製した。得られた電池を充放電装置に接続し、充放電電位範囲3-4.3V、充放電電流密度42mA/gで、充電開始で充放電特性評価を行った。
表1から明らかな様に、充電容量は100mAh/g以上であり、初期放電時に4V平坦領域が現れ、初期放電平均電圧も3.80V以上、10サイクル後も3.5V以上で50mAh/g程度の放電容量を有している。これらのことから、本実施例物質が、4V級リチウム二次電池材料として有用な特性を有していることが確認できた。
化学分析
実施例1と同様にして、誘導結合プラズマ(ICP)法により得られたLi、FeおよびMn含有量(
重量%)を用いて計算された組成式Li1+x(FeyMn1-y)1-xO2中のx値およびy値は、それぞれ0.21および0.503と見積もられた(表2参照)。x値は基準値の0.18より大きく、かつy値も0.4〜0.6の範囲内にあるので、所望の物質が得られていることがわかった。
X線リートベルト解析
実施例1と同様の手法により、前述の結晶構造パラメータを算出した。
本実施例により得られた物質の3a位置遷移金属イオン量は、約4.7%程度と12%以下であ
り、かつ全遷移金属量は、基準値である67%より大きい69.7%であることから、目的とする物質が得られていることが確認できた。
57 Feメスバウワ分光
実施例1と同様にして、室温(25℃)にて57Feメスバウワ分光スペクトルを測定した。
得られたスペクトルは、非対称ダブレット形状であり、それをフィッティングするために、異性体シフト値の異なる2つの対称的なダブレット(AおよびB成分)を用いた。A成分の異性体シフト値は+0.3337(5)mm/sであり、"Prado文献"中の電気化学的に酸化したLi0.53(Ni0.9Fe0.1)1.06O2試料中の3価鉄の値(+0.33mm/s)に近いことから、A成分は3価鉄成分と
帰属された。一方、B成分の異性体シフト値は-0.018(3)mm/sであり、前述のLi0.53(Ni0.9Fe0.1)1.06O2試料中の4価鉄の値(-0.11mm/s)に近いことからB成分は4価鉄成分と解釈できる。これらAおよびB成分の面積比は、70.4:29.6であることから、この試料中で鉄イオンは3価と4価の混合原子価状態にあることがわかる(表4参照)。本発明の目的物質においては、4価鉄イオン量は12%以上存在することを必須としており、本実施例10の物質において、4価鉄量は29.6%であることから、目的物質が得られたものと解釈できる。
磁化測定
実施例1と同様にして、振動型磁束計を用いて、不純物由来の自発磁化を測定し、その値を不純物量に比例するパラメータとして評価を行った。
自発磁化は、0.1543(15)Gcm3/gと見積もられた(表4参照)。この値は、本発明が規定する許容自発磁化値の上限0.4Gcm3/gよりも小さいので、目的とする物質が得られているこ
とがわかる。
実施例10材料の総合評価
以上の化学分析、リートベルト解析、57Feメスバウワ分光および磁化測定により得られる各パラメータは、いずれも目的物質の生成を示していることから、本実施例材料は、良好な充放電特性を備えているものと解釈できる。
比較例1
鉄-マンガン共沈物生成時の温度を室温(25℃)とした以外は実施例1と同様にして、鉄-マ
ンガン-リチウム複合酸化物を合成した。
得られた試料のX線回折パターンより、実施例1と同様にすべてのピークは
Figure 2005154256
の空間群を有する層状岩塩型構造由来の単位胞(格子定数a= 2.8920(5)Å、c= 14.2677 (19)Å)で指数づけ可能であり、層状岩塩型を有するリチウム-鉄-マンガン複合酸化物が生
成していることが確認できた。得られた格子定数値は、"田渕文献"に記載されているリチウム-鉄-マンガン複合酸化物の値(a=2.882Å、c=14.287Å)に近かった。
充放電特性評価
実施例1と同様の手法により、本実施例で得られた試料を正極材料としてコイン型リチウム二次電池を作製した。得られたこの電池を充放電装置に接続し、充放電電位範囲3-4.3V、充放電電流密度42mA/gで、充電開始で充放電特性評価を行った。
表1から明らかな様に、充電容量は100mAh/g以下であり、初期放電時には4V平坦領域が現れるものの、初期放電平均電圧は3.80V未満(3.68V)、10サイクル後は3.5V以上で24mAh/g程度の放電容量しか有していなかった。
本比較例物質は、4V級リチウム二次電池材料として不適当であることが明らかである。
化学分析
実施例1と同様にして、誘導結合プラズマ(ICP)法により得られたLi、FeおよびMn含有量(
重量%)を用いて計算された組成式Li1+x(FeyMn1-y)1-xO2中のx値およびy値は、それぞれ0.20および0.508と見積もられた(表2参照)。x値は基準値の0.18より大きく、かつy値も0.4〜0.6の範囲内にあるので、本比較例物質は、組成においては、目的物質との差異は認め
られなかった。
X線リートベルト解析
実施例1と同様の手法により、前述の結晶構造パラメータを算出した。
表3から明らかな様に、本比較例により得られた物質の3a位置遷移金属イオン量は、約13.7%程度と12%以上であり、目的物質と異なっていた。全遷移金属量は、基準値である67%より大きい73.4%であり、目的とする物質と差はなかった。
57 Feメスバウワ分光
実施例1と同様にして、室温(25℃)にて57Feメスバウワ分光スペクトルを測定した。
得られたスペクトルは、非対称ダブレット形状であり、それをフィッティングするために異性体シフト値の異なる2つの対称的なダブレット(AおよびB成分)を用いた。A成分の異性体シフト値は+0.3413(6)mm/sであり、"Prado文献"中の電気化学的に酸化したLi0.53(Ni0.9Fe0.1)1.06O2試料中の3価鉄の値(+0.33mm/s)に近いことから、A成分は3価鉄成分と帰
属された。一方、B成分の異性体シフト値は-0.039(5)mm/sであり、前述のLi0.53(Ni0.9Fe0.1)1.06O2試料中の4価鉄の値(-0.11mm/s)に近いことからB成分は4価鉄成分と解釈できる
。これらAおよびB成分の面積比は75.9:24.1であることから、この試料中で鉄イオンは3
価と4価の混合原子価状態にあることがわかる。本発明の目的物質においては、4価鉄イオン量は12%以上存在することを必須としており、本比較例1の物質における4価鉄量は24.1%あることから、4価鉄イオン量においては、目的物質との差異は認められなかった。
磁化測定
実施例1と同様にして、振動型磁束計を用いて、不純物由来の自発磁化を測定し、その値を不純物量に比例するパラメータとして評価を行った。
自発磁化は0.0521(10)Gcm3/gと見積もられた(表4参照)。この値は、本発明が規定する許容自発磁化値の上限0.4Gcm3/gより小さいので、自発磁化においては、目的物質との差
異は認められなかった。
比較例1材料の総合評価
以上の化学分析、リートベルト解析、57Feメスバウワ分光および磁化測定により得られる各パラメータのうち、3a位置での遷移金属イオンの乱れが基準値を上回っており、本発明の目的物質が生成されなかったことがわかる。従って、そのために、本実施例材料を正極材料とするリチウム二次電池が良好な充放電特性を発揮しないものと解釈できる。
比較例2
ポリテトラフルオロエチレン製シャーレに収容された精製水熱反応生成物に対し、濃度の異なる水酸化リチウム一水和物水溶液を添加する以外は、実施例1と同様にして、リチウム-鉄-マンガン複合酸化物を調製した。すなわち、蒸留水100ml中の水酸化リチウム一水
和物量を0.375mol(15.74g)とした(実施例1では、0.25mol(10.49g)である)。
得られた試料のX線回折パターンより、実施例1と同様にすべてのピークは
Figure 2005154256
の空間群を有する層状岩塩型構造由来の単位胞(格子定数a= 2.8633(3)Å、c= 14.2519(12)Å)で指数づけ可能であり、層状岩塩型を有するリチウム-鉄-マンガン複合酸化物が生成していることが確認できた。得られた格子定数値は、"田渕文献"に記載されているリチウム-鉄-マンガン複合酸化物の値(a=2.882Å、c=14.287Å)に近かった。
充放電特性評価
実施例1と同様の手法により、本比較例で得られた試料を正極材料として、コイン型リチウム二次電池を作製した。得られた電池を充放電装置に接続し、充放電電位範囲3-4.3V、充放電電流密度42mA/gで、充電開始で充放電特性評価を行った。
表1から明らかな様に、充電容量は100mAh/g以下であり、初期放電時に4V平坦領域が現れるものの、初期放電平均電圧は3.80V未満(3.78V)、10サイクル後は3.5V以上で35mAh/g
程度の放電容量しか有していなかった。すなわち、本比較例2の物質は、4V級リチウム二次電池材料として、不適当であることが確認できた。
化学分析
実施例1と同様にして、誘導結合プラズマ(ICP)法により得られたLi、FeおよびMn含有量(
重量%)を用いて計算された組成式Li1+x(FeyMn1-y)1-xO2中のx値およびy値は、それぞれ0.15および0.501と見積もられ、x値は基準値の0.18より小さく、目的物質と異なっていた。一方、y値は0.4〜0.6の範囲内にあるので、目的物質との差異は認められなかった。
X線リートベルト解析
実施例1と同様の手法により、前述の結晶構造パラメータを算出した。
本比較例により得られた物質の3a位置遷移金属イオン量は、約0.60%程度と12%以下であり、目的物質との差はなかった。これに対し、全遷移金属量は、基準値である67%より小
さい62.9%であり、目的物質と異なることがわかった。
57 Feメスバウワ分光
実施例1と同様にして、室温(25℃)にて57Feメスバウワ分光スペクトルを測定した。
得られたスペクトルは、非対称ダブレット形状であり、それをフィッティングするために異性体シフト値の異なる2つの対称的なダブレット(AおよびB成分)を用いた。A成分の異性体シフト値は+0.3410(17)mm/sであり、"Prado文献"中の電気化学的に酸化したLi0.53(Ni0.9Fe0.1)1.06O2試料中の3価鉄の値(+0.33mm/s)に近いことから、A成分は3価鉄成分と帰属された。一方、B成分の異性体シフト値は-0.044(6)mm/sであり、前述のLi0.53(Ni0.9Fe0.1)1.06O2試料中の4価鉄の値(-0.11mm/s)に近いことからB成分は4価鉄成分と解釈できる。これらAおよびB成分の面積比は70.3:29.7であることから、この試料中で鉄イオンは3価
と4価の混合原子価状態にあることがわかる。本発明の目的物質の場合には、4価鉄イオン量は12%以上存在することを必須としており、本比較例2の物質の場合には、4価鉄量は29.7%あることから、目的物質と差異は認められなかった。
磁化測定
実施例1と同様にして、振動型磁束計を用いて、不純物由来の自発磁化を測定し、その値を不純物量に比例するパラメータとして評価を行った。
自発磁化は、0.112(1)Gcm3/gと見積もられた(表4参照)。この値は、本発明が規定する許容自発磁化値の上限0.4Gcm3/gより小さく、自発磁化に関しては、本比較例の物質と目
的物質との間に、差異は認められなかった。
比較例2材料の総合評価
比較例2材料について、化学分析、X線リートベルト解析、57Feメスバウワ分光および磁
化測定により得られる各パラメータのうち、組成式のx値および全遷移金属量が基準値未
満であり、本比較例では、目的とする物質が生成されていないことがわかる。その結果、本比較例物質を正極材料とするリチウム二次電池においては、良好な充放電特性が得られないものと解釈できる。
比較例3
水熱処理反応生成物に水酸化リチウム水溶液を混合し、乾燥し、粉砕して得た粉末を電気炉で焼成するに際し、その焼成温度を550℃とした以外は実施例3(焼成温度650℃)と同様の手法により、リチウム-鉄-マンガン複合酸化物を合成した。
得られた試料のX線回折パターンより、実施例1と同様にすべてのピークは
Figure 2005154256
の空間群を有する層状岩塩型構造由来の単位胞(格子定数a= 2.8955(3)Å、c= 14.3041(13)Å)で指数づけ可能であり、層状岩塩型を有するリチウム-鉄-マンガン複合酸化物が生成していることが確認できた。得られた格子定数値は、"田渕文献"に記載されているリチウム-鉄-マンガン複合酸化物の値(a=2.882Å、c=14.287Å)に近かった。
充放電特性評価
実施例1と同様の手法により、本比較例で得られた試料を正極材料としてを用いて、コイン型リチウム二次電池を作製した。この電池を充放電装置に接続し、充放電電位範囲3-4.
3V、充放電電流密度42mA/gで、充電開始で充放電特性評価を行った。
表1から明らかな様に、充電容量は100mAh/g以上であり、初期放電時に4V平坦領域が現れるものの、初期放電平均電圧は3.80V未満(3.78V)、10サイクル後は3.5V以上で39mAh/g
程度の放電容量しか有していなかった。
本比較例による物質が、4V級リチウム二次電池材料として不適当であることが確認できた。
化学分析
実施例1と同様にして、誘導結合プラズマ(ICP)法により得られたLi、FeおよびMn含有量(
重量%)から計算された組成式Li1+x(FeyMn1-y)1-xO2中のx値およびy値は、それぞれ0.19および0.502と見積もられた(表2参照)。x値は基準値の0.18より大きく、かつy値も0.4〜0.6の範囲内にあるので、本発明目的物質との差異は認められなかった。
X線リートベルト解析
実施例1と同様の手法により、前述の結晶構造パラメータを算出した。
本発明により得られた物質の3a位置遷移金属イオン量は約11.6%程度と12%以下であり、本発明目的物質と差はなかった。また、全遷移金属量も、基準値である67%より大きい75.5%であり、本発明目的物質と差はなかった。
57 Feメスバウワ分光
実施例1と同様に室温(25℃)にて57Feメスバウワ分光スペクトルを測定した。
得られたスペクトルは非対称ダブレット形状であり、それをフィッティングするために異性体シフト値の異なる2つの対称的なダブレット(AおよびB成分)を用いた。A成分の異性体シフト値は、+0.3475(13)mm/sであり、"Prado"中の電気化学的に酸化したLi0.53(Ni0.9Fe0.1)1.06O2試料中の3価鉄の値(+0.33mm/s)に近いことから、A成分は3価鉄成分と帰属された。一方、B成分の異性体シフト値は、+0.004(6)mm/sであり、前述のLi0.53(Ni0.9Fe0.1)1.06O2試料中の4価鉄の値(-0.11mm/s)に近いことから、B成分は4価鉄成分と解釈できる。これらAおよびB成分の面積比は89.6:10.4であることから、本比較例試料中で、鉄イオンは3価と4価の混合原子価状態にあることがわかる。本発明物質においては、4価鉄イオ
ン量は12%以上存在することを必須としており、本比較例3物質において、4価鉄量は10.4%と少なく、得られた物質は、本発明目的物質と異なることがわかった。
磁化測定
実施例1と同様にして、振動型磁束計を用いて、不純物由来の自発磁化を測定し、その値を不純物量に比例するパラメータとして評価を行った。自発磁化は、0.0161(19)Gcm3/gと見積もられた(表4参照)。この値は、本発明が規定する許容自発磁化値の上限0.4Gcm3/g
より小さいので、目的物質との差異は認められなかった。
比較例3材料についての総合評価
以上の化学分析、X線リートベルト解析、57Feメスバウワ分光および磁化測定により得ら
れる各パラメータのうち、4価鉄量のみが基準値未満であり、本比較例では、目的とする
物質が生成されていないことがわかる。その結果、本比較例物質を正極材料とするリチウム二次電池においては、良好な充放電特性が得られないものと解釈できる。
比較例4
水熱処理反応生成物に水酸化リチウム水溶液を混合し、乾燥し、粉砕して得た粉末を電気
炉で焼成するに際し、その焼成温度を550℃とした以外は実施例6(焼成温度650℃)と同様の手法により、リチウム-鉄-マンガン複合酸化物を合成した。
得られた試料のX線回折パターンより、すべてのピークは、
Figure 2005154256
の空間群を有する層状岩塩型構造由来の単位胞(格子定数a= 2.8901(3)Å、c= 14.2935(13)Å)で指数づけ可能であり、層状岩塩型を有するリチウム-鉄-マンガン複合酸化物が生成していることが確認できた。得られた格子定数値は、"田渕文献"に記載されているリチウム-鉄-マンガン複合酸化物の値(a=2.882Å、c=14.287Å)に近かった。
充放電特性評価
実施例1と同様の手法により、本実施例試料を正極材料として、コイン型リチウム二次電池を作製した。得られた電池を充放電装置に接続し、充放電電位範囲3-4.3V、充放電電流密度42mA/gで、充電開始で充放電特性評価を行った。
表1から明らかな様に、充電容量は100mAh/g以上であり、初期放電時に4V平坦領域が現れるものの、初期放電平均電圧は3.80V未満(3.78V)、10サイクル後は3.5V以上で40mAh/g
程度の放電容量しか有していなかった。
本比較例の物質が4V級リチウム二次電池材料として必要な特性を備えていないことが明らかである。
化学分析
実施例1と同様にして、誘導結合プラズマ(ICP)法により得られたLi、FeおよびMn含有量(
重量%)から計算された組成式Li1+x(FeyMn1-y)1-xO2中のx値およびy値は、それぞれ0.17および0.503と見積もられ、x値は基準値の0.18より小さく、本発明の目的物質と異なっていた。一方y値は0.4〜0.6の範囲内にあるので、目的物質との差異は認められなかった。
X線リートベルト解析
実施例1と同様の手法により、前述の結晶構造パラメータを算出した。
本発明により得られた物質の3a位置遷移金属イオン量は約9.4%程度と12%以下であり、
かつ全遷移金属量は、基準値である67%より大きい74.1%であり、本発明の目的物質と差はなかった。
57 Feメスバウワ分光
実施例1と同様に室温(25℃)にて、57Feメスバウワ分光スペクトルを測定した。
得られたスペクトルは非対称ダブレット形状であり、それをフィッティングするために異性体シフト値の異なる2つの対称的なダブレット(AおよびB成分)を用いた。A成分の異性体シフト値は、+0.3419(4)mm/sであり、"Prado文献"中の電気化学的に酸化したLi0.53(Ni0.9Fe0.1)1.06O2試料中の3価鉄の値(+0.33mm/s)に近いことから、A成分は3価鉄成分と帰
属された。一方、B成分の異性体シフト値は、+0.013(4)mm/sであり、前述のLi0.53(Ni0.9Fe0.1)1.06O2試料中の4価鉄の値(-0.11mm/s)に近いことからB成分は4価鉄成分と解釈できる。これらAおよびB成分の面積比は90.6:9.4であることから、この試料中で鉄イオンは3価と4価の混合原子価状態にあることがわかる(表4参照)。本発明目的物質において、4価鉄イオン量は12%以上存在することを必須としているのに対し、本比較例4物質において
は、4価鉄量は9.4%と少なく、比較例4物質と本発明目的物質とは異なることがわかった
磁化測定
実施例1と同様にして、振動型磁束計を用いて、不純物由来の自発磁化を測定し、その値を不純物量に比例するパラメータとして評価を行った。
自発磁化は、0.0169(17)Gcm3/gと見積もられた(表4参照)。この値は、本発明が規定する許容自発磁化値の上限0.4Gcm3/gより小さいので、目的物質との差異は認められなかっ
た。
比較例4材料の総合評価
以上の化学分析、X線リートベルト解析、57Feメスバウワ分光および磁化測定により得られる各パラメータのうち、組成式上のx値および4価鉄量が基準値未満であることから、本比較例4物質は、本発明の目的物質とは異なる物性を有していることが明らかである。そのため、本比較例物質は、良好な充放電特性を発揮できないものと解釈できる。
比較例5
ポリテトラフルオロエチレン製シャーレに収容された精製水熱反応生成物に対し、濃度の異なる水酸化リチウム一水和物水溶液を添加する以外は、実施例6と同様にして、リチウム-鉄-マンガン複合酸化物を調製した。すなわち、蒸留水100ml中の水酸化リチウム一水
和物量を0.375mol(15.74g)とした(実施例6では、0.25mol(10.49g)である)。
得られた試料のX線回折パターンより、すべてのピークは、
Figure 2005154256
の空間群を有する層状岩塩型構造由来の単位胞(格子定数a= 2.8865(3)Å、c= 14.2604(13)Å)で指数づけ可能であり、層状岩塩型を有するリチウム-鉄-マンガン複合酸化物が生成していることが確認できた。得られた格子定数値は、"田渕文献"に記載されているリチウム-鉄-マンガン複合酸化物の値(a=2.882Å、c=14.287Å)に近かった。
充放電特性評価
実施例1と同様の手法により、本比較例で得られた試料を正極材料として用いて、コイン型リチウム二次電池を作製した。得られた電池を充放電装置に接続し、充放電電位範囲3-4.3V、充放電電流密度42mA/gで、充電開始で充放電特性評価を行った。
表1から明らかな様に、充電容量は100mAh/g以下であり、初期放電時に4V平坦領域が現れるものの、初期放電平均電圧は3.80V未満(3.79V)、10サイクル後は3.5V以上で39mAh/g
程度の放電容量しか有していなかった。
本比較例の物質が4V級リチウム二次電池材料として必要な特性を備えていないことが明らかである。
化学分析
実施例1と同様にして、誘導結合プラズマ(ICP)法により得られたLi、FeおよびMn含有量(
重量%)から計算された組成式Li1+x(FeyMn1-y)1-xO2中のx値およびy値は、それぞれ0.16および0.506と見積もられ、x値が基準値0.18未満であり、本発明目的物質と異なっていた。一方、y値は0.4〜0.6の範囲内にあるので、目的物質との差異は認められなかった。
X線リートベルト解析
実施例1と同様の手法により、前述の結晶構造パラメータを算出した。
表3に示す通り、本比較例により得られた物質の3a位置遷移金属イオン量は約1.0%程度と12%以下であり、本発明目的物質と差はなかった。これに対し、全遷移金属量は、65.5%と基準値である67%未満であり、目的物質と異なることがわかった。
57 Feメスバウワ分光
実施例1と同様に室温(25℃)にて、57Feメスバウワ分光スペクトルを測定した。得られた
スペクトルは非対称ダブレット形状であり、それをフィッティングするために異性体シフト値の異なる2つの対称的なダブレット(AおよびB成分)を用いた。A成分の異性体シフト値は+0.3325(5)mm/sであり、"Prado文献"中の電気化学的に酸化したLi0.53(Ni0.9Fe0.1)1.06O2試料中の3価鉄の値(+0.33mm/s)に近いことから、A成分は3価鉄成分と帰属された。一
方、B成分の異性体シフト値は-0.0187(4)mm/sであり、前述のLi0.53(Ni0.9Fe0.1)1.06O2
試料中の4価鉄の値(-0.11mm/s)に近いことからB成分は4価鉄成分と解釈できる。これらA
およびB成分の面積比は72.5:27.5であることから、この試料中で鉄イオンは3価と4価の
混合原子価状態にあることがわかる(表4参照)。本発明目的物質において、4価鉄イオン
量は12%以上存在することを必須としており、本比較例5物質においても、4価鉄量は27.5%であることから、この点に関しては、目的物質との差異はないことがわかった。
磁化測定
実施例1と同様にして、振動型磁束計を用いて、不純物由来の自発磁化を測定し、その値を不純物量に比例するパラメータとして評価を行った。
自発磁化は、0.660(6)Gcm3/gと見積もられた(表4参照)。この値は、本発明が規定する許容自発磁化値の上限0.4Gcm3/gより大きいので、本比較例5物質は、本発明目的物質と
異なることがわかった。
比較例5材料の総合評価
以上の化学分析、X線リートベルト解析、57Feメスバウワ分光および磁化測定により得ら
れる各パラメータのうち、本比較例5物質は、組成式中のx値および全遷移金属量が基準
値未満であって、かつ自発磁化値が基準値を超えており、本発明目的物質とは明確に相違していることが明らかである。そのため、比較例5物質は、良好な充放電特性を備えていないものと解釈できる。
比較例6
水熱処理反応生成物に水酸化リチウム水溶液を混合し、乾燥し、粉砕して得た粉末を電気炉で焼成するに際し、その焼成温度を500℃とした以外は実施例7(焼成温度600℃)と同様の手法により、リチウム-鉄-マンガン複合酸化物を合成した。
得られた試料のX線回折パターンより、すべてのピークは
Figure 2005154256
の空間群を有する層状岩塩型構造由来の単位胞(格子定数a=2.8936(3)Å、c= 14.3135(13)Å)で指数づけ可能であり、層状岩塩型を有するリチウム-鉄-マンガン複合酸化物が生成
していることが確認できた。得られた格子定数値は、"田渕文献"に記載されているリチウム-鉄-マンガン複合酸化物の値(a=2.882Å、c=14.287Å)に近かった。
充放電特性評価
実施例1と同様の手法により、本比較例で得られた試料を正極材料として、コイン型リチウム二次電池を作製した。この電池を充放電装置に接続し、充放電電位範囲3-4.3V、充放電電流密度42mA/gで、充電開始で充放電特性評価を行った。
表1から明らかな様に、充電容量は100mAh/g以上であり、初期放電時に4V平坦領域が現れるものの、初期放電平均電圧は3.80V未満(3.70V)、10サイクル後は3.5V以上で36mAh/g
程度の放電容量しか有していなかった。
本比較例の物質が、4V級リチウム二次電池材料として必要な特性を備えていないことが明らかである。
化学分析
実施例1と同様にして、誘導結合プラズマ(ICP)法により得られたLi、FeおよびMn含有量(
重量%)を用いて計算された組成式Li1+x(FeyMn1-y)1-xO2中のx値およびy値は、それぞれ0.15および0.505と見積もられ、x値が基準値0.18未満であり、本発明の目的物質とは異なっていた。一方、y値は0.4〜0.6の範囲内にあり、本発明の目的物質と一致していた。
X線リートベルト解析
実施例1と同様の手法により、前述の結晶構造パラメータを算出した。
本比較例により得られた物質の3a位置遷移金属イオン量は、約8.7%程度と12%以下であ
り、かつ全遷移金属量も、72.4%で基準値である67%以上であり、本発明目的物質との差異は認められなかった。
57 Feメスバウワ分光
実施例1と同様に室温にて57Feメスバウワ分光スペクトルを測定した。得られたスペクト
ルは非対称ダブレット形状であり、それをフィッティングするために異性体シフト値の異なる2つの対称的なダブレット(AおよびB成分)を用いた。A成分の異性体シフト値は+0.3449(3)mm/sであり、非特許文献3中の電気化学的に酸化したLi0.53(Ni0.9Fe0.1)1.06O2試料
中の3価鉄の値(+0.33mm/s)に近いことから、A成分は3価鉄成分と帰属された。一方、B成
分の異性体シフト値は-0.072(4)mm/sであり、前述のLi0.53(Ni0.9Fe0.1)1.06O2試料中の4価鉄の値(-0.11mm/s)に近いことからB成分は4価鉄成分と解釈できる。これらAおよびB成
分の面積比は91.3:8.7であることから、この試料中で鉄イオンは3価と4価の混合原子価
状態にあることがわかる。本発明目的物質において、4価鉄イオン量は12%以上存在することを必須としており、本比較例物質においては、4価鉄量は8.7%と少なく、本発明目的物
質と異なることがわかった。
磁化測定
実施例1と同様にして、振動型磁束計を用いて、不純物由来の自発磁化を測定し、その値を不純物量に比例するパラメータとして評価を行った。
自発磁化は、0.0405(12)Gcm3/gと見積もられた(表4参照)。この値は、本発明が規定する許容自発磁化値の上限0.4Gcm3/gよりも小さく、比較例6物質と本発明目的物質との差
異は認められなかった。
比較例6材料の総合評価
以上の化学分析、X線リートベルト解析、57Feメスバウワ分光および磁化測定により得ら
れる各パラメータのうち、組成式中のx値および4価鉄量が基準値未満であることから、比較例6においては、本発明目的物質が生成していないことがわかる。そのため、比較例6物質は、良好な充放電特性を発揮しないものと解釈できる。
比較例7
水熱処理反応生成物に水酸化リチウム水溶液を混合し、乾燥し、粉砕して得た粉末を電気炉で焼成するに際し、その焼成温度を750℃とした以外は実施例10(焼成温度650℃)と同
様の手法により、リチウム-鉄-マンガン複合酸化物を合成した。
得られた試料のX線回折パターンより、すべてのピークは
Figure 2005154256
の空間群を有する層状岩塩型構造由来の単位胞(格子定数a=2.8747(3)Å、c= 14.2908(12)Å)で指数づけ可能であり、層状岩塩型を有するリチウム-鉄-マンガン複合酸化物が生成
していることが確認できた。得られた格子定数値は、"田渕文献"に記載されているリチウム-鉄-マンガン複合酸化物の値(a=2.882Å、c=14.287Å)に近かった。
充放電特性評価
実施例1と同様の手法により、本比較例で得られた試料を正極材料として用いて、コイン型リチウム二次電池を作製した。得られた電池を充放電装置に接続し、充放電電位範囲3-4.3V、充放電電流密度42mA/gで、充電開始で充放電特性評価を行った。
表1から明らかな様に、充電容量は100mAh/g未満であり、初期放電時に4V平坦領域が現れるものの、初期放電平均電圧は3.80V未満(3.55V)、10サイクル後は3.5V以上で3mAh/g程度の放電容量しか有していなかった。
本比較例の物質は、4V級リチウム二次電池材料として必要な特性を備えていないことが明らかである。
化学分析
実施例1と同様に誘導結合プラズマ(ICP)法により得られたLi、Fe、Mn含有量(重量%)を用
いて計算された組成式Li1+x(FeyMn1-y)1-xO2中のx値およびy値は、それぞれ0.20および0.505と見積もられ、両値ともに本発明目的物質の組成範囲内であった。
X線リートベルト解析
実施例1と同様の手法により、前述の結晶構造パラメータを算出した。
本比較例により得られた物質の3a位置遷移金属イオン量は約3.5%程度と12%以下であり
、かつ全遷移金属量も69.0%で基準値である67%以上であり、本発明目的物質との差異は認められなかった。
57 Feメスバウワ分光
実施例1と同様に室温(25℃)にて、57Feメスバウワ分光スペクトルを測定した。得られた
スペクトルは非対称ダブレット形状であり、それをフィッティングするために異性体シフト値の異なる2つの対称的なダブレット(AおよびB成分)を用いた。A成分の異性体シフト値は+0.3379(9)mm/sであり、"Prado文献"中の電気化学的に酸化したLi0.53(Ni0.9Fe0.1)1.06O2試料中の3価鉄の値(+0.33mm/s)に近いことから、A成分は3価鉄成分と帰属された。一
方、B成分の異性体シフト値は-0.018(7)mm/sであり、前述のLi0.53(Ni0.9Fe0.1)1.06O2試料中の4価鉄の値(-0.11mm/s)に近いことからB成分は4価鉄成分と解釈できる。これらAお
よびB成分の面積比は75.7:24.3であることから、本比較例試料中で鉄イオンは3価と4価
の混合原子価状態にあることがわかる。本発明目的物質においては、4価鉄イオン量は12%以上存在することを必須としており、本比較例物質においても、4価鉄量は24.3%と大きく、本発明目的物質との差異は認められなかった。
磁化測定
実施例1と同様にして、振動型磁束計を用いて、本比較例物質中の不純物由来の自発磁化を測定し、その値を不純物量に比例するパラメータとして評価を行った。
表4に示す様に、自発磁化は、0.489(3)Gcm3/gと見積もられた。この値は、本発明が規定する許容自発磁化値の上限0.4Gcm3/gより大きいので、本比較例物質が、本発明目的物
質と異なることがわかった。
比較例7材料の総合評価
以上の化学分析、X線リートベルト解析、57Feメスバウワ分光および磁化測定により得ら
れる各パラメータのうち、自発磁化値が基準値を超えており、本発明目的物質が得られていないことがわかる。このことから、本比較例の物質は、4V級リチウム二次電池材料として必要な特性を備えていないことが明らかである。
本発明物質の諸条件設定の説明
表1〜4に示す実施例および比較例の結果から、請求項1の条件(a)〜(d)を満足するリチウム-鉄-マンガン酸化物のみが、リチウム二次電池における正極材料として、良好な充放電特性を発揮することが明らかである。
実施例1で得られた平均一次粒子径約100nmのリチウム-鉄-マンガン複合酸化物粉末を示す透過型電子顕微鏡写真である。 実施例1で得られたリチウム-鉄-マンガン複合酸化物粉末のX線回折パターンである。 実施例1で作製したコイン型リチウム二次電池の30℃における充放電曲線である。 層状岩塩型リチウム-鉄-マンガン複合酸化物の構造モデルである。 実施例1で得られた材料の室温における57Feメスバウワ分光スペクトルである。 実施例1で得られた材料の室温における磁化曲線である。 実施例1で作製したコイン型リチウム二次電池(黒鉛負極)とリチウムマンガンスピネルを正極材料として用いたコイン型リチウム二次電池(黒鉛負極)についての60℃における充放電特性を示すグラフである。 実施例1で作製した黒鉛を負極として用いたコイン型リチウム二次電池の60℃における10サイクルの充放電試験後の30℃における充放電特性を示すグラフである。 実施例1で作製した黒鉛を負極として用いたコイン型リチウム二次電池の60℃における10サイクルの充放電試験後の30℃における充放電試験における充電サイクル数と充放電容量との関係を示すグラフである。

Claims (3)

  1. 下記の構成要件を備えた層状岩塩型構造を有するリチウム-鉄-マンガン複合酸化物:
    (a)組成式Li1+x(FeyMn1-y)1-xO2(ただし、0.4≦y≦0.6、0.18≦x≦0.33)で表される、
    (b)リチウム位置への遷移金属イオン占有率が12%以下である、
    (c)組成式中の全遷移金属量が67%以上であり、かつ4価鉄量が12%以上である、
    (d)25℃での自発磁化が0.4Gcm3/g以下である。
  2. 請求項1に記載の層状岩塩型構造を有するリチウム-鉄-マンガン複合酸化物を含むリチウムイオン二次電池用正極材料。
  3. 請求項2に記載の材料を正極とするリチウムイオン二次電池。

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