JP2005152304A - 炊飯器 - Google Patents

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Abstract

【課題】交流電源を整流して電力を供給するインバータ手段により加熱コイルに高周波電力を供給し鍋を加熱する炊飯器において、交流電源の周波数が異なる地域間において、入力電流やピーク電圧のばらつきを抑制する。
【解決手段】鍋1を加熱する加熱コイル2にスイッチング手段4により構成するインバータ手段より高周波電力を供給し、交流電源5を整流してインバータ手段に電力を供給し、交流電源5の周波数を電源周波数検知手段10により検知するとともに、交流電源5より供給される入力電流を入力電流検知手段13により検知し、入力電流の目標値を入力電流設定手段20により設定し、検知電流補正手段18により入力電流検知手段13の出力値を電源周波数に応じて補正し、検知電流補正手段18と入力電流設定手段20の出力に応じてスイッチング手段4のオン時間を制御手段21により制御するよう構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、交流電源を整流して電力を供給するインバータ手段により加熱コイルに高周波電力を供給し鍋を加熱する炊飯器に関するものである。
従来、この種の炊飯器は、鍋を加熱する加熱コイルにスイッチング素子により構成するインバータ手段より高周波電流を供給し、スイッチング手段の両端電圧をピーク電圧検知手段により検知し、交流電源から炊飯器に供給される入力電流を入力電流検知手段で検知し、電圧検知手段の出力と入力電流検知手段の出力のうちいずれか高い方の出力に応じて、スイッチング手段のオン時間を短くし、入力電流を制御している(例えば、特許文献1、2参照)。
また、加熱コイルに流れる電流を検知するコイル電流検知手段を設け、コイル電流検知手段の出力と入力電流検知手段の出力に応じて、交流電源から供給される入力電流を制御しているものもある(例えば、特許文献3参照)。
図9は、特許文献1に記載された従来の炊飯器を示すものである。
図9に示すように、鍋1は、等価回路を示しており、磁束を通す金属を複数用いた積層体で構成し、加熱コイル2を磁気結合している。共振用コンデンサ3は加熱コイル2に並列接続し、加熱コイル2と並列共振回路を構成している。スイッチング手段4は、MOSFETやIGBTなどの半導体素子と、この半導体素子に逆接続した逆接続ダイオードで構成している。これら加熱コイル2、共振用コンデンサ3、スイッチング手段4でインバータ手段を構成している。
交流電源5は、ダイオードブリッジ7、チョークコイル8、平滑用コンデンサ9で構成した整流手段6で整流し、インバータ手段に電力を供給している。入力電流検知手段13は、カレントトランス14、抵抗15、ダイオードブリッジ16、電解コンデンサ17で構成し、カレントトランス14の交流信号をダイオードブリッジ16、電解コンデンサ17からなる整流平滑回路で直流信号に変換して交流電源5より供給される入力電流を検知している。
ピーク電圧検知手段61は、IGBTのコレクタ電圧のピーク値を検知するエミッタフォロア回路などで構成し、このピーク電圧検知手段61の出力と入力電流検知手段13の出力とをマイクロコンピュータなどで構成した制御手段91に入力し、制御手段91は、入力電流検知手段13とピーク電圧検知手段61の出力値に応じて、スイッチング手段4のオン時間を制御するよう構成している。
特公昭61−26306号公報 特開平5−114472号公報 特開2003−135272号公報
しかしながら、このような従来の構成では、入力電流を設定する基準電圧が一定にもかかわらず、入力電流検知手段13を構成するカレントトランス14の入力電流−出力電圧特性(以下、入出力特性という)が交流電源の周波数によって変動するので、交流電源周波数50Hzの地域と60Hzの地域で入力電流がばらつくという問題を有していた。
また、ピーク電圧検知手段61を構成するエミッタフォロア回路についても、充放電回路の時定数が固定されているので、交流電源周波数50Hzの地域と60Hzの地域で検知するピーク電圧値がばらつくという問題を有していた。
本発明は上記従来の課題を解決するもので、交流電源の周波数が異なる地域間において、入力電流やピーク電圧のばらつきを抑制することを目的としている。
本発明は上記目的を達成するために、鍋を加熱する加熱コイルにスイッチング手段により構成するインバータ手段より高周波電力を供給し、整流手段により交流電源を整流してインバータ手段に電力を供給し、交流電源の周波数を電源周波数検知手段により検知するとともに、交流電源より供給される入力電流を入力電流検知手段により検知し、入力電流の目標値を入力電流設定手段により設定し、検知電流補正手段により入力電流検知手段の出力値を電源周波数検知手段が検知した電源周波数に応じて補正し、検知電流補正手段と入力電流設定手段の出力に応じてスイッチング手段のオン時間を制御手段により制御するよう構成したものである。
これにより、入力電流検知手段の入出力特性が交流電源の周波数の影響を受けた分を検知電流補正手段により補正することとなり、交流電源周波数の変動で入力電流が変動するのを防止することができ、交流電源の周波数が異なる地域間で生じる入力電流のばらつきを抑制することができる。
本発明の炊飯器は、交流電源の電源周波数が異なる地域間で生じる入力電流のばらつきを抑制することができる。
第1の発明は、鍋を加熱する加熱コイルと、前記加熱コイルに高周波電力を供給するインバータ手段と、前記インバータ手段を構成するスイッチング手段と、交流電源を整流し前記インバータ手段に電力供給する整流手段と、前記交流電源の周波数を検知する電源周波数検知手段と、前記交流電源より供給される入力電流を検知する入力電流検知手段と、入力電流の目標値を設定する入力電流設定手段と、前記入力電流検知手段の出力値を前記電源周波数検知手段が検知した電源周波数に応じて補正する検知電流補正手段と、前記検知電流補正手段と前記入力電流設定手段の出力に応じて前記スイッチング手段のオン時間を制御する制御手段とを備えたものであり、入力電流検知手段の入出力特性が交流電源の周波数の影響を受けた分を検知電流補正手段で補正することとなり、交流電源周波数の変動で入力電流が変動するのを防止でき、交流電源周波数の異なる地域間の入力電流のばらつきを抑制することができる。
第2の発明は、上記第1の発明において、交流電源電圧を検知する電源電圧検知手段と、電源周波数検知手段の検知した周波数に応じて前記電源電圧検知手段の出力値を補正する検知電圧補正手段とを備え、入力電流設定手段は、前記検知電圧補正手段の出力値に応じて、入力電流の目標値を変更するようにしたものであり、交流電源の周波数が変化して、電源電圧検知手段の入出力特性が変化しても、交流電源の周波数に応じた補正値を加えるので、電源電圧検知手段の入出力特性を一定にすることができる。これにより、交流電源電圧を精度よく検知することができ、入力電力が一定となるように入力電流の目標値を変えることができることとなり、交流電源周波数の異なる地域間での入力電力のばらつきを抑制することができる。
第3の発明は、上記第1または第2の発明において、スイッチング手段の両端電圧のピーク値を検知するピーク電圧検知手段と、電源周波数検知手段が検知する周波数に応じて前記ピーク電圧検知手段の出力値を補正するピーク電圧補正手段とを備え、制御手段は、前記ピーク電圧補正手段の出力値が所定値を超えるとスイッチング手段のオン時間を短くするようにしたものであり、ピーク電圧検知手段の入出力特性が交流電源の周波数によって変化しても、ピーク電圧補正手段が交流電源周波数に応じた補正値を加えることとなり、スイッチング手段のピーク電圧の上限値が電源周波数により変動するのを抑えることができる。これによって、交流電源の周波数が異なる地域間でスイッチング手段の上限値がばらつくのを抑えることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1の炊飯器の一部ブロック化した回路図である。
図1に示すように、鍋1は、等価回路を示しており、磁束を通す金属を複数用いた積層体で構成している。加熱コイル2は鍋1と磁気結合し、鍋1を加熱するようにしている。この加熱コイル2は複数の銅線を束ねたリッツ線を更に20数本で撚った線で構成しており、高周波電流が流れたときの電流分布を均一にしている。
共振用コンデンサ3は加熱コイル2に並列接続しており、加熱コイル2と並列共振回路を構成している。本実施の形態では、高周波電流が流れても損失の少ないポリプロピレンコンデンサを使用している。スイッチング手段4は、MOSFETやIGBTなどの半導体素子と、この半導体素子に逆接続した逆接続ダイオードで構成している。MOSFETやIGBTは耐圧が高く、高周波のスイッチングが可能で、大電流を流すことができるという利点がある。
本実施の形態において、インバータ手段は加熱コイル2、共振用コンデンサ3、スイッチング手段4で構成し、加熱コイル2に高周波電力を供給している。
交流電源5は炊飯器に電力を供給するもので、交流電源5の電源周波数は、東日本地域では50Hz、西日本地域では60Hzとなっている。整流手段6は、ダイオードブリッジ7、チョークコイル8、平滑用コンデンサ9で構成し、交流電源5を整流してインバータ手段に電力を供給している。ここで、平滑用コンデンサ9の容量は数μFと小さく、加熱コイル2に高周波電流を流した場合、リプルが生じる。本実施の形態では、このリプル電圧は、交流電源5の電圧と同じとなる。
電源周波数検知手段10は、交流電源5の周波数を検知するもので、同期パルス発生手段11とパルスカウンタ12で構成している。同期パルス発生手段11は交流電源電圧を分圧する分圧抵抗とこの分圧抵抗の出力に応じてオンオフするトランジスタとで構成し、電源電圧波形に同期してハイまたはロー信号を出力する。パルスカウンタ12は同期パルス発生手段11の所定時間当りのパルス数をカウントし、所定パルス数を超えると60Hz、所定パルス以下なら50Hzと判定する。
入力電流検知手段13は、交流電源5より供給される入力電流を検知するもので、カレントトランス14、抵抗15、ダイオードブリッジ16、電解コンデンサ17で構成しており、カレントトランス14の交流信号をダイオードブリッジ16、電解コンデンサ17からなる整流平滑回路で直流信号に変換している。抵抗15はカレントトランス14の出力電圧値を調整するものである。
検知電流補正手段18は、入力電流検知手段13の出力値を電源周波数検知手段10が検知した電源周波数に応じて補正するものて、マイクロコンピュータの演算器やROM19などで構成している。この検知電流補正手段18は予めROM19に50Hz用の補正係数α50、60Hz用の補正係数α60を記憶しており、交流電源周波数に応じて、最適な補正係数を入力電流検知手段13の出力と演算する。ここで、検知電流補正手段18への入力電圧をVi、出力電圧をVhとすると、交流電源5の周波数が50Hzのときの出力電圧Vhは(式1)で表すことができる。
Vh=α50×Vi・・・・・・(1)
入力電流設定手段20は、入力電流の目標値に対応する値を設定するもので、マイクロコンピュータ内部のROMに予め複数の入力電流の目標値に対応する8ビットの設定値を記憶しておき、炊飯工程、鍋の大きさなどの条件ごとに所定の目標値に対応した8ビットの設定値を出力する。
制御手段21は、検知電流補正手段18と入力電流設定手段20の出力に応じてスイッチング手段4のオン時間を制御するもので、マイクロコンピュータ内部のAD変換器やPWM発生器などで構成し、検知電流補正手段18の出力電圧をAD変換器で受け、このAD変換器の出力値と入力電流設定手段20の設定値が同じになるように、PWM発生器のハイパルス幅を制御する。駆動手段22は、NPNトランジスタとPNPトランジスタからなるプッシュプル回路で構成しており、制御手段21がハイパルスを出力しているときにスイッチング手段4を構成しているIGBTにハイ電圧を出力する。
図2は、入力電流検知手段13の入力電流Iinと出力電圧Viの関係を示す特性図である。
図2に示すように、同じ入力電流でも50Hzの方が出力電圧が低くなる傾向がある。これはカレントトランス14の入出力特性と電解コンデンサ17の充放電特性が大きな要因である。本実施の形態では、50Hzのときの入出力特性が60Hzの時と同じになるように、補正係数α60=1、α50=1.2とする。ここに示した補正係数α50、α60の値は特に限定するものではなく、実際の回路構成によって最適な値を決めればよい。
図2において、Iinrefは炊飯工程の一部で使用する入力電流の目標値である。Virefは入力電流設定手段20が設定する基準電圧で、入力電流の目標値Iinrefに対応する出力電圧である。本実施の形態では、Vinrefは交流電源5の周波数が60Hzのときに入力電流Iinrefが流れると出力される電圧である。交流電源5の周波数が50Hzのときに、入力電流Iinrefが流れると入力電流検知手段13はViref50を出力する。ここで、補正係数α50、α60と入力電流検知手段13の出力電圧Viref、Viref50の関係は(式2)のようになっている。
α60×Viref=α50×Viref50・・・・・・(2)
上記構成において動作、作用を説明する。まず、炊飯工程もしくは保温工程を開始する前に、電源周波数検知手段10が交流電源5の周波数を検知する。このとき、周波数が50Hzであれば検知電流補正手段18は補正係数をα50に設定し、入力電流検知手段13の出力電圧Viをα50倍して制御手段21に出力する。入力電流設定手段20は基準電圧Virefの8ビット換算値を制御手段21に出力する。制御手段21は、検知電流補正手段18の出力電圧が基準電圧Virefになるようにスイッチング手段4のオン時間を制御する。
交流電源5の周波数が60Hzのときも同様に、電源周波数検知手段10が交流流電源5の周波数を60Hzと検知すると、検知電流補正手段18は60Hz用の補正係数α60を設定し、入力電流検知手段13の出力電圧Viをα60倍して制御手段21に出力する。これ以降の動作については50Hzのときと同様なので、ここでは省略する。
以上のように、交流電源5の周波数に対応して検知電流補正手段18が入力電流検知手段13の出力電圧を補正するので、入力電流検知手段13の入出力特性が交流電源周波数の影響で変化しても、入力電流の変動を抑えることができる。
以上のように、本実施の形態においては、電源周波数検知手段10が交流電源5の周波数を検知し、この検知した周波数に対応して、検知電流補正手段18が入力電流検知手段13の出力値を補正することにより、交流電源5の周波数による入力電流検知手段13の入出力特性の影響をなくし、交流電源周波数が異なる地域間での入力電流のばらつきを抑えることができる。
なお、本実施の形態では、電源周波数検知手段10を電源波形に同期してハイまたはローを出力する同期パルス発生手段11と、同期パルス発生手段11の所定時間あたりのパルス数をカウントするパルスカウンタ12で構成したが、同期パルス発生手段11のパルス幅を検知し、その長さで50Hzか60Hzを判定してもよい。この場合は、パルス数をカウントする方法よりも短時間で50Hzか60Hzを判定することができるが、外部ノイズにより誤判定する確率が上昇する。いずれにしても電源周波数検知手段10は交流電源5の周波数が50Hzであるか60Hzであるかを判定できる構成であれば、特に上記の構成に限定するものではない。
また、本実施の形態では、入力電流検知手段13をカレントトランス14の出力を整流し直流電圧として出力する構成としているが、カレントトランス14の代わりに抵抗を用いてもよい。抵抗を用いる場合は、カレントトランス14を用いる方法に比べるとばらつき公差の種類が豊富で、ばらつきの小さい抵抗を使用しやすくなるが、大電流が流れるので抵抗の発熱などに注意する必要がある。
また、本実施の形態では、検知電流補正手段18をマイクロコンピュータで構成したが、例えば、図3に示すように、別の構成にしてもよい。
すなわち、図3に示すように、抵抗31、32は分圧回路を構成している。抵抗33とトランジスタ34の直列回路はトランジスタ34がオンオフすることで抵抗31、32からなる分圧回路の分圧比を変えることができる。つまり、電源周波数検知手段10が検知した交流電源周波数に応じて、トランジスタ34をオンオフすることで入力電流検知手段13の出力を補正することができる。この場合、マイクロコンピュータで構成する方式より部品点数は増えるが、マイクロコンピュータの処理時間を短くすることができる。
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2の炊飯器の一部ブロック化した回路図である。
図4に示すように、電源電圧検知手段41は、交流電源5の電圧を検知するもので、複数の抵抗からなる分圧回路とこの分圧回路の出力をピークホールドするピークホールド回路とで構成している。なお、ピークホールド回路はトランジスタを用いたエミッタフォロア回路と電解コンデンサ、電解コンデンサを放電する放電抵抗で構成している。
検知電圧補正手段42は、電源周波数検知手段10の検知した周波数に応じて電源電圧検知手段41の出力値を補正するもので、マイクロコンピュータ内部の演算器やROM43などで構成している。ROM43には交流電源5の周波数が50Hzのときの補正係数β50と60Hzのときの補正係数β60が記憶されており、この補正係数と電源電圧検知手段41の出力の積を入力電流設定手段45に出力する。
電源電圧設定手段44は、マイクロコンピュータ内部のROMに予め基準値を記憶している。通常、この基準値は交流電源5の電圧が100Vのときに電源電圧検知手段41が出力する電圧である。入力電流設定手段45は、検知電圧補正手段42の出力値と電源電圧設定手段44の基準値の差に基づいて入力電流の目標値を変更するよう構成している。他の構成は上記実施の形態1と同じであり、同一符号を付して説明を省略する。
図5は電源電圧検知手段41の入力電圧Vinと出力電圧Voutの関係を示す特性図である。なお、入力電圧Vinは交流電源5の実効電圧である。
図5に示すように、電源電圧が同じでも50Hzの出力電圧の方が低くなる傾向がある。この理由は、50Hzの方が電解コンデンサの放電時間が長いためである。
図5において、Vinrefは交流電源5の基準電圧である。本実施の形態では、Vinrefは実効電圧で100Vとする。Voutref50は電源周波数が50Hzのとき、Vinrefに対応する出力値である。Voutref60は電源周波数が60Hzのとき、交流電源5の基準電圧Vinrefに対応する出力値である。ここで、Vinrefに対応する基準値をVoutrefとすると、補正係数β50、β60と、Voutref、Voutref50、Voutref60の関係は(式3)のようになる。
Voutref=β60×Voutref60
=β50×Voutref50・・・・・・(3)
本実施の形態では、β60=1、β50=1.2とする。この値は電源電圧検知手段41を構成する部品の定数から導出することができる。
以上のように、本実施の形態の炊飯器においては、電源電圧検知手段41の入出力特性が交流電源5の周波数により変動しても、検知電圧補正手段42により補正し、入力電流設定手段に出力する値が同じになるようにしている。
上記構成において動作、作用を説明する。まず、炊飯工程もしくは保温工程を開始する前に、電源周波数検知手段10が交流電源5の周波数を検知する。このとき、周波数が50Hzであれば検知電圧補正手段42はROM43より補正係数β50を選択し、電源電圧検知手段41の出力Voutとα50の積を入力電流設定手段45に出力する。電源電圧設定手段44は基準値Voutrefを設定し、入力電流設定手段45に出力する。入力電流設定手段45は初期値として基準電圧Virefを設定する。入力電流設定手段45は(式4)に示すようにVoutrefと(β50×Vout)の差を計算し、この差に基づき制御手段21に出力する基準電圧を変更する。
Viref=Viref+A×(Voutref−β50×Vout)・・・・・・(4)
ここで、Aは係数であり、鍋1、加熱コイル2、共振用コンデンサ3や制御手段19などを構成するマイクロコンピュータの特性により定められるものである。
制御手段21は、検知電流補正手段18の出力電圧が基準電圧Virefになるようにスイッチング手段4のオン時間を制御する。これにより、交流電源5の電圧が100Vより高いときには入力電流の目標値を下げ、逆に100Vより低いときには入力電流の目標値を上げることになるので、交流電源5の電源電圧変動に対し、一定の入力電力で動作することができる。
交流電源5の周波数が60Hzのときには、検知電圧補正手段42はROM43より補正係数β60を選択し、電源電圧検知手段41の出力電圧Voutとβ60の積を入力電流設定手段45に出力する。これ以降の動作は50Hzのときと同様であるのでここでは省略する。
以上のように、本実施の形態においては、交流電源5の電圧を検知する電源電圧検知手段41と、交流電源5の周波数に応じて電源電圧検知手段41の出力を補正する検知電圧補正手段42を加え、入力電流設定手段45が検知電圧補正手段42の出力に応じて基準電圧を変更することにより、交流電源5の周波数が異なる地域で入力電流検知手段13や電源電圧検知手段41の入出力特性が変化しても、交流電源5の電圧を精度よく検知することができるので、交流電源周波数の異なる地域間での入力電力のばらつきを抑制することができる。
なお、本実施の形態では、検知電圧補正手段42をマイクロコンピュータで構成したが、別の構成にしてもよい。例えば、図3の検知電流補正手段のブロック図で示したように、抵抗分圧回路の分圧比をトランジスタのオンオフで切り換えるようにしてもよい。この場合、マイクロコンピュータで構成する方式より部品点数は増えるが、マイクロコンピュータの処理時間を短くすることができる。
(実施の形態3)
図6は、本発明の実施の形態3の炊飯器の一部ブロック化した回路図である。
図6に示すように、ピーク電圧検知手段61は、スイッチング手段4の両端電圧のピーク値を検知するもので、複数の抵抗からなる分圧回路とこの分圧回路の出力をピークホールドするピークホールド回路とで構成している。なお、ピークホールド回路はトランジスタを用いたエミッタフォロア回路と電解コンデンサ、電解コンデンサを放電する放電抵抗で構成している。
ピーク電圧補正手段62は、電源周波数検知手段10が検知する周波数に応じてピーク電圧検知手段61の出力値を補正するもので、マイクロコンピュータで構成している。マイクロコンピュータ内部のROM63には、交流電源周波数50Hz用の補正係数γ50と60Hz用の補正係数γ60が記憶されており、電源周波数検知手段10が検知した周波数に応じて最適な補正係数を選択する。ここで、ピーク電圧検知手段61の出力電圧をVco、ピーク電圧補正手段62の出力電圧をVchとすると、交流電源5の周波数が50Hzのときの出力電圧Vchは(式5)で表すことができる。
Vch=γ50×Vco・・・・・・(5)
制御手段64は、ピーク電圧補正手段62の出力値が上限値Vcorefより大きい場合に、スイッチング手段4のオン時間を短くするよう構成している。他の構成は上記実施の形態1と同じであり、同一符号を付して説明を省略する。
図7は、ピーク電圧検知手段61の入力電圧Vciと出力電圧Vcoの関係を示す特性図である。ここで、入力電圧Vciはスイッチング手段4の両端電圧のピーク値を示している。なお、ピーク値とは交流電源5の一周期中のピーク値を示している。図7に示すように、電源電圧が同じでも50Hzの出力電圧の方が低くなる傾向がある。この理由は、50Hzの方が電解コンデンサの放電時間が長いためである。
図7において、Vcirefはスイッチング手段4の両端電圧の上限値を示している。この上限値Vcirefは、炊飯器の炊飯工程での両端電圧ピーク値とスイッチング手段4を構成するIGBTの絶対最大定格の中心値あたりにすると、回路部品がばらついても誤動作することがなくなる。本実施の形態の炊飯器では、Vcirefは850Vとする。Vcoref50は電源周波数が50Hzのときに、上限値Vcirefの入力に対して出力される値である。Vcoref60は電源周波数が60Hzのときに、上限値Vcirefの入力に対して出力される値である。
ここで、上限値Vcirefに対応する基準値をVcorefとすると、補正係数γ50、γ60と、Vcoref、Vcoref50、Vcoref60の関係は(式6)のようになっている。
Vcoref=γ60×Vcoref60=γ50×Vcoref50・・・・・・(6)
本実施の形態では、γ60=1、γ50=1.2とする。この値はピーク電圧検知手段61を構成する部品の定数から導出することができる。
以上のように、本実施の形態の炊飯器においては、ピーク電圧検知手段61の入出力特性が交流電源5の周波数により変動しても、ピーク電圧補正手段62がピーク電圧検知手段61の出力値を補正し、制御手段64に出力する値が同じになるようにしている。
図8は、制御手段64の内部ブロック図を示している。図8に示すように、第一の演算手段81は、マイクロコンピュータで構成しており、入力電流設定手段20の出力値Virefと検知電流補正手段18の出力値Vhの差dViを計算し、その結果をオン時間変化量設定手段83に出力する。なお、検知電流補正手段18の出力値Vhの方が大きい場合は、dViは負の値となる。
第二の演算手段82は、第一の演算手段81と同様に、マイクロコンピュータで構成しており、スイッチング手段4の両端電圧の上限値Vcorefとピーク電圧補正手段62の出力値Vchの差dVcoを計算し、その結果をオン時間変化量設定手段83に出力する。なお、スイッチング手段4の両端電圧の上限値Vcorefの方が大きい場合は、dVcoは負の値となる。
オン時間変化量設定手段83はマイクロコンピュータ内部にROMに記憶されたデータテーブルで構成している。オン時間変化量設定手段83は第一の演算手段81と第二の演算手段82より計算結果が入力されると、データテーブルの中から、計算結果の条件に対応したオン時間の変化量dTonを設定する。なお、本実施の形態のデータテーブルは、dVi、dVcoいずれか一方が負の値の場合、dTonは負の値を示すように構成している。
オン時間演算手段84は、それまでのオン時間Tonに変化量dTonを加えて、新しいオン時間TonとしてPWM手段85に出力する。PWM手段85はオン時間Tonの期間、駆動手段22にハイパルスを出力する。
上記構成において動作、作用を説明する。まず、炊飯工程もしくは保温工程を開始する前に、電源周波数検知手段10が交流電源5の周波数を検知する。このとき、周波数が50Hzであればピーク電圧補正手段62はマイクロコンピュータ内部のROM63より補正係数γ50を選択し、ピーク電圧検知手段61の出力Vcoとγ50の積Vchを制御手段64に出力する。
制御手段64はピーク電圧補正手段62の出力値Vchと上限値Vcorefの差dVcoを演算するとともに、検知電流補正手段18の出力値Vhと入力電流設定手段20の出力値Virefの差dViを演算する。オン時間変化量設定手段83は、このdVco、dViの条件にあったオン時間変化量dTonをデータテーブルより呼び出す。オン時間演算手段84はdTonを今までのオン時間Tonに加え、新しいオン時間TonとしてPWM手段85に出力し、PWM手段85よりTonの期間、ハイパルスを出力する。なお、図8でも説明したように、dTonはdViまたはdVcoが負の値のとき、負の値となるようにしている。つまり、入力電流またはピーク電圧のどちらか一方が基準値を超えた場合はオン時間を短くすることとなる。
交流電源5の周波数が60Hzのときには、ピーク電圧補正手段62はROM63より60Hz用の補正係数γ60を選択し、ピーク電圧検知手段61の出力値Vcoと補正係数γ60の積を制御手段64に出力する。これ以降の動作は50Hzのときと同様であるのでここでは省略する。
以上のように、本実施の形態においては、スイッチング手段4の両端電圧のピーク値を検知するピーク電圧検知手段61と、ピーク電圧検知手段61の出力値を交流電源5の周波数に応じて補正するピーク電圧補正手段62を加え、制御手段64がピーク電圧補正手段62の出力値が上限値を超えたときにオン時間を短くすることにより、交流電源5の周波数が異なる地域でピーク電圧検知手段61の入出力特性が変化しても、ピーク電圧補正手段62により変化した特性に対応した補正値が加えられるので、入出力特性は50Hz、60Hzで共通となり、交流電源周波数が異なる地域間でスイッチング手段4の両端電圧の上限値がばらつくことを抑えることができる。
なお、本実施の形態では、ピーク電圧補正手段62をマイクロコンピュータで構成したが、別の構成にしてもよい。例えば、図3の検知電流補正手段のブロック図で示したように、抵抗分圧回路の分圧比をトランジスタのオンオフで切り換えるようにしてもよい。この場合、マイクロコンピュータで構成する方式より部品点数は増えるが、マイクロコンピュータの処理時間を短くすることができる。
以上のように、本発明にかかる炊飯器は、交流電源の電源周波数が異なる地域間で生じる入力電流のばらつきを抑制することができるので、交流電源を整流して電力を供給するインバータ手段により加熱コイルに高周波電力を供給し鍋を加熱する炊飯器として有用である。
本発明の実施の形態1における炊飯器の一部ブロック化した回路図 同炊飯器の入力電流検知手段の入力電流と出力電圧の関係を示す特性図 同炊飯器の検知電流補正手段の他の例のブロック図 本発明の実施の形態2における炊飯器の一部ブロック化した回路図 同炊飯器の電源電圧検知手段の入力電圧と出力電圧の関係を示す特性図 本発明の実施の形態3における炊飯器の一部ブロック化した回路図 同炊飯器のピーク電圧検知手段の入力電圧と出力電圧の関係を示す特性図 同炊飯器の制御手段の内部ブロック図 従来の炊飯器の一部ブロック化した回路図
符号の説明
1 鍋
2 加熱コイル(インバータ手段)
3 共振用コンデンサ(インバータ手段)
4 スイッチング手段(インバータ手段)
5 交流電源
6 整流手段
10 電源周波数検知手段
13 入力電流検知手段
18 検知電流補正手段
20 入力電流設定手段
21 制御手段

Claims (3)

  1. 鍋を加熱する加熱コイルと、前記加熱コイルに高周波電力を供給するインバータ手段と、前記インバータ手段を構成するスイッチング手段と、交流電源を整流し前記インバータ手段に電力供給する整流手段と、前記交流電源の周波数を検知する電源周波数検知手段と、前記交流電源より供給される入力電流を検知する入力電流検知手段と、入力電流の目標値を設定する入力電流設定手段と、前記入力電流検知手段の出力値を前記電源周波数検知手段が検知した電源周波数に応じて補正する検知電流補正手段と、前記検知電流補正手段と前記入力電流設定手段の出力に応じて前記スイッチング手段のオン時間を制御する制御手段とを備えた炊飯器。
  2. 交流電源電圧を検知する電源電圧検知手段と、電源周波数検知手段の検知した周波数に応じて前記電源電圧検知手段の出力値を補正する検知電圧補正手段とを備え、入力電流設定手段は、前記検知電圧補正手段の出力値に応じて、入力電流の目標値を変更するようにした請求項1記載の炊飯器。
  3. スイッチング手段の両端電圧のピーク値を検知するピーク電圧検知手段と、電源周波数検知手段が検知する周波数に応じて前記ピーク電圧検知手段の出力値を補正するピーク電圧補正手段とを備え、制御手段は、前記ピーク電圧補正手段の出力値が所定値を超えるとスイッチング手段のオン時間を短くするようにした請求項1または2記載の炊飯器。
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