JP2005150297A - 電気光学装置用基板の製造方法、電気光学装置用基板、電気光学装置、電子機器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 SIMOX法により半導体基板の内部に絶縁層を形成した後、これを基板本体上に貼り合わせて積層基板とし、スイッチング素子の能動層となる半導体層以外の不要な積層部を除去する。半導体層の膜厚は、SIMOX法での絶縁層形成時のイオンの加速電圧によって調整することができる。
【選択図】 図5
Description
加えて、犠牲酸化においては、酸化膜の除去工程が不可欠となるが、この工程はウエット処理であるために、半導体層と支持基板との接合界面にエッチャントが滲み込み、半導体層に剥がれやパーティクルが発生するという問題があった。特に、画素部に発生したHF欠陥は、表示不良を招き、プロジェクタのライトバルブとして用いた場合には、画素部の欠陥が拡大投影されて表示品位が大きく損なわれるという問題があった。
ところで、各スイッチング素子の半導体膜の膜厚は、表示領域の画素部においては光リークを防止する目的で、薄くすることが好ましいが、非表示領域の周辺駆動回路部では、耐電圧を大きくする目的で、厚くすることが好ましい。このように相反する条件を共に満たす半導体層の膜厚は、例えば200nm程度となる。このような膜厚の半導体層をCMP法によって研磨すると、研磨量が大きくなるので、研磨ムラによって半導体層の面内均一性が低くなり、所定膜厚200nmに対して±10nmものバラつきが発生してしまうという問題があった。また、このような膜厚の半導体層を予め用意し、これを支持基板へ接合することは現状技術では対応しかねるという問題があった。
半導体基板の内部に絶縁層を設ける手法として、半導体基板の片側表面からイオン注入を行った後に、熱処理を施す方法、いわゆるSIMOX法(Separation by Implantation of Oxygen)を採用することが好ましい。一般にSIMOX法とは、シリコン基板の内部に酸素イオンを注入し、熱処理することで基板内部に埋め込みシリコン酸化膜を形成する手法をいうが、本明細書では、酸素イオンの他に窒素イオン等、シリコン原子と結合して絶縁膜を形成するイオンを注入し、熱処理することで基板内部に絶縁層を形成する手法として、SIMOX法を定義する。このSIMOX法で半導体基板の内部に絶縁層を設けることにより、半導体基板の薄膜化を行うことができる。この方法ではウエット工程を含まないので、ウエット工程を原因とする半導体層の剥がれやパーティクル発生等の不良がなくなり、表示品位の高い電気光学装置用基板の提供が可能となる。さらに、支持基板上に、表示領域と周辺回路領域の各スイッチング素子の同一の能動層厚となる薄膜の半導体層を一工程で容易に形成できる。
SIMOX法で形成された絶縁層により半導体基板が上下2層の半導体層に区分され、その一方がスイッチング素子の能動層となるので、この半導体層の膜厚は半導体基板内での絶縁層が形成される深さによって決まる。よって、半導体基板の内部に所望の深さで絶縁層を形成すれば、この絶縁層によって区分される半導体層の膜厚が調整できる。本発明の製造方法によれば、半導体基板の内部に絶縁層を設ける方法として、SIMOX法を使用するので、イオン注入の際の加速電圧を変化させることにより、絶縁層が形成される深さを容易かつ正確に調整することができる。よって、所望膜厚の半導体層を支持基板上に形成でき、目的に応じた特性を有する電気光学装置用基板が提供できる。
また、本発明の電気光学装置は、上記電気光学装置用基板を備えたことを特徴とする。また、本発明の電子機器は、この電気光学装置を備えたことを特徴とする。本構成によれば、光リーク電流の発生を十分に防止し、かつ十分な耐圧特性を有した高性能な電気光学装置及び電子機器を実現することができる。また、製造の歩留まりも高めることができる。特に、本電気光学装置を投射型表示装置の光変調手段として用いた場合、HF欠陥等が拡大投影されることによる表示品質の低下を確実に防止できるため、本発明の効果がよりよく発揮される。
[電気光学基板および電気光学装置]
図1は、本発明の液晶パネルの一実施形態の全体構成を示す平面図である。この液晶パネルは、本発明の電気光学基板の製造方法によって得られたTFTアレイ基板を備えてなるものであって、図1は、このTFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素とともに対向基板の側から見た状態を示した平面図である。また、図2は、図1のA−A’断面図であり、図3は、図1のB−B’断面図である。
図1は、TFTアレイ基板10をその上に形成された各構成要素とともに対向基板20の側から見たものである。図1に示すように、TFTアレイ基板10の上には、シール材51がその縁に沿って設けられており、その内側には、シール材51に並行して額縁としての遮光膜53が設けられている。また、図1において、符号52は、表示領域を示している。表示領域52は、額縁としての遮光膜53の内側の領域であり、液晶パネルの表示に実質的に寄与する領域である。また、符号54は、表示領域の外側の領域である周辺回路領域を示している。
このように構成され、画素電極9aと対向電極21とが対向するように配置されたTFTアレイ基板10と対向基板20との間には、液晶層50が形成されている。
上記液晶パネルのTFTアレイ基板10を製造する方法を、図4ないし図11を参照して詳細に説明する。なお、図1〜図3と図4〜図11とは、異なる縮尺で示している。まず、基板本体10A上に、遮光膜11と第1層間絶縁膜12とを形成する工程について詳細に説明する。図4はこの工程におけるTFTアレイ基板10を図2および図3に示した液晶パネルの断面図に対応させて示す工程図である。
まず、半導体基板206として、単結晶シリコン基板206aを用意する。単結晶シリコン基板206aの厚さは、例えば600μmであり、図5(a)に示したように、基板本体10Aと貼り合わされる側の表面には、酸化膜層206bが形成されることが好ましい。酸化膜層206bは、単結晶シリコン基板206aの表面を0.05〜0.8μm程度、酸化することにより形成できる。酸化膜層206bは、後述する水素イオン注入工程およびSIMOX法のイオン注入工程において、単結晶シリコン基板206aの表面荒れを防止する目的で形成するものであるので、イオン注入工程の条件によっては、酸化膜層206bを形成しなくても良い。
まず、図7(a)に示すように、Nチャネルの半導体膜1aに対応する位置にレジスト膜301を形成し、Pチャネルの半導体膜1aにPなどのV族元素のドーパント302を低濃度で(例えば、Pイオンを70keVの加速電圧、2×1011/cm2のドーズ量にて)ドープする。
図7(b)に示すように、図示を省略するPチャネルの半導体膜1aに対応する位置にレジスト膜を形成し、Nチャネルの半導体膜1aにBなどのIII族元素のドーパント303を低濃度で(例えば、Bイオンを35keVの加速電圧、1×1012/cm2のドーズ量にて)ドープする。
次に、図7(d)に示すように、半導体膜1aを延設してなる第1蓄積容量電極1fを低抵抗化するため、基板本体10A表面の第1蓄積容量電極1f以外の部分に対応する部分にレジスト膜307(走査線3aよりも幅が広い)を形成し、これをマスクとしてその上からPなどのV族元素のドーパント308を低濃度で(例えば、Pイオンを70keVの加速電圧、3×1014/cm2のドーズ量にて)ドープする。
次に、図8(b)に示すように、レジストマスクを用いたフォトリソグラフィー工程、エッチング工程等により、図2に示した如き所定パターンの走査線3aと共に容量線3bを形成する。尚、この後、基板本体10Aの裏面に残存するポリシリコンを基板本体10Aの表面をレジスト膜で覆ってエッチングすることにより除去する。
この後、高濃度ソース領域1d、1i及び高濃度ドレイン領域1e、1jを活性化するために約850℃のアニール処理を20分程度行う。
さらに、図10(b)に示すように、フォトリソグラフィー工程、エッチング工程等により、データ線6aを形成する。
次に、図10(c)に示すように、データ線6a上を覆うように、例えば、常圧又は減圧CVD法やTEOSガス等を用いて、NSG、PSG、BSG、BPSGなどのシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等からなる第3層間絶縁膜7を形成する。第3層間絶縁膜7の膜厚は、約500〜1500nmが好ましく、更に800nmがより好ましい。
次に、図11(b)に示すように、第3層間絶縁膜7の上に、スパッタ処理等により、ITO等の透明導電性薄膜9を、約50〜200nmの厚さに堆積する。
続いて、画素電極9aの上にポリイミド系の配向膜の塗布液を塗布した後、所定のプレティルト角を持つように、且つ所定方向にラビング処理を施すこと等により、配向膜16が形成される。
以上のようにして、TFTアレイ基板(電気光学装置用基板)10が製造される。
対向基板20の製造方法及びTFTアレイ基板10と対向基板20とから液晶パネルを製造する方法について説明する。
図2に示した対向基板20については、基板本体20Aとしてガラス基板等の光透過性基板を用意し、基板本体20Aの表面上に、遮光膜23及び周辺見切りとしての遮光膜53を形成する。遮光膜23及び周辺見切りとしての遮光膜53は、例えばCr、Ni、Alなどの金属材料をスパッタリングした後、フォトリソグラフィー工程、エッチング工程を経て形成される。なお、これらの遮光膜23、53は、上記の金属材料の他、カーボンやTiなどをフォトレジストに分散させた樹脂ブラックなどの材料から形成してもよい。
そして、最後に、対向基板20の投射光が入射する側およびTFTアレイ基板10の出射光が出射する側に各々、例えば、TN(Twisted Nematic)モード、VA(VerticallyAligned)モード、PDLC(Polymer Dipersed Liquid Crystal)モード等の動作モードや、ノーマリーホワイトモード/ノーマリーブラックモードの別に応じて、偏光フィルム、位相差フィルム、偏光手段などが所定の方向で配置される。
このようにして製造された液晶パネルでは、TFTアレイ基板10における光リーク電流の発生や半導体層の欠損を原因とした表示特性の劣化が起こらないので、高品位の画像表示が可能となる。
次に、上記実施態様の電気光学装置を備えた電子機器の一例である投射型表示装置ついて説明する。
図12は、本発明の投射型表示装置の一例を示した概略構成図である。図12において、投射型表示装置1100は、上述した液晶パネル(電気光学装置)を3個用意し、おのおのRGB用の液晶装置962R、962Gおよび962Bとして用いた投射型表示装置の光学系の概略構成図を示す。本例の投射型表示装置の光学系には、光源装置(光源)920と、均一照明光学系923が採用されている。そして、投射型表示装置は、この均一照明光学系923から出射される光束Wを赤(R)、緑(G)、青(B)に分離する色分離手段としての色分離光学系924と、各色光束R、G、Bを変調する変調手段としての3つのライトバルブ925R、925G、925Bと、変調された後の色光束を再合成する色合成手段としての色合成プリズム910と、合成された光束を投射面100の表面に拡大投射する投射光学系としての投射レンズユニット906を備えている。また、青色光束Bを対応するライトバルブ925Bに導く導光系927をも備えている。
次に、緑反射ダイクロイックミラー942において、青緑反射ダイクロイックミラー941において反射された青色、緑色光束B、Gのうち、緑色光束Gのみが直角に反射されて、緑色光束Gの出射部945から色合成光学系の側に出射される。緑反射ダイクロイックミラー942を通過した青色光束Bは、青色光束Bの出射部946から導光系927の側に出射される。本例では、均一照明光学素子の光束Wの出射部から、色分離光学系924における各色光束の出射部944、945、946までの距離がほぼ等しくなるように設定されている。
このように平行化された赤色、緑色光束R、Gは、ライトバルブ925R、925Gに入射して変調され、各色光に対応した画像情報が付加される。すなわち、これらの液晶装置は、図示しない駆動手段によって画像情報に応じてスイッチング制御されて、これにより、ここを通過する各色光の変調が行われる。一方、青色光束Bは、導光系927を介して対応するライトバルブ925Bに導かれ、ここにおいて、同様に画像情報に応じて変調が施される。なお、本例のライトバルブ925R、925G、925Bは、それぞれさらに入射側偏光手段960R、960G、960Bと、出射側偏光手段961R、961G、961Bと、これらの間に配置された液晶パネル962R、962G、962Bとからなる液晶ライトバルブである。
各ライトバルブ925R、925G、925Bを通って変調された各色光束R、G、Bは、色合成プリズム910に入射され、ここで合成される。そして、この色合成プリズム910によって合成された光が投射レンズユニット906を介して所定の位置にある投射面100の表面に拡大投射されるようになっている。
[電気光学基板の製造方法]
本実施形態の電気光学基板の製造方法において、第1実施形態の電気光学基板の製造方法と異なる点は、単結晶シリコン基板206aに注入するイオンを酸素に代えて窒素とし、絶縁層206cをシリコン窒化膜としたところである。これに加えて、基板本体10Aに単結晶シリコン基板206aを貼り合せて複合基板250とした後に、この複合基板250から絶縁層206cを除去せず、半導体膜1aと共にパターニングして、ゲート絶縁層2として利用するところである。これらの第1実施形態と異なる工程を取り出して図13に示した。
Claims (15)
- 半導体基板と支持基板とを貼り合わせてなる複合基板が用いられ、表示領域および周辺回路領域となる各領域にスイッチング素子をそれぞれ備えてなる電気光学装置用基板の製造方法であって、
前記半導体基板の内部に絶縁層を形成する工程と、
内部に絶縁層を有する前記半導体基板を支持基板に貼り合わせる工程と、
前記支持基板に貼り合わされた前記半導体基板の表層側の半導体層を除去する工程とを有し、
前記支持基板上に残存した半導体層を用いて前記各領域のスイッチング素子を形成することを特徴とする電気光学装置用基板の製造方法。 - 前記絶縁層形成工程においては、前記半導体基板の片側表面からイオン注入を行った後に熱処理を施すことによって、前記半導体基板の内部に絶縁層を形成することを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置用基板の製造方法。
- 前記表示領域および前記周辺回路領域となる各領域に、同一の能動層厚の半導体層を有するスイッチング素子をそれぞれ形成することを特徴とする請求項1または2に記載の電気光学装置用基板の製造方法。
- 前記半導体基板の表層側の半導体層を除去する工程の後、前記支持基板に貼り合わされた半導体基板の内部の絶縁層を除去する工程をさらに有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板の製造方法。
- 前記イオン注入を行う側の半導体基板の表面に、イオン注入の前に予め絶縁層を設ける工程を有することを特徴とする請求項2ないし4のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板の製造方法。
- 前記半導体基板に注入するイオン種が酸素または窒素であることを特徴とする請求項2ないし5のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板の製造方法。
- 前記半導体基板へのイオン注入の加速電圧を調整することにより、半導体基板の内部に所望の深さで絶縁層を形成することを特徴とする請求項2ないし6のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板の製造方法。
- 前記半導体基板へのイオン注入の際の加速電圧が10〜50keVであることを特徴とする請求項7記載の電気光学装置用基板の製造方法。
- 前記支持基板が絶縁性基板からなることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板の製造方法。
- 前記支持基板が透明基板であることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板の製造方法。
- 前記支持基板がガラスまたは石英からなることを特徴とする請求項9または10に記載の電気光学装置用基板の製造方法。
- 前記半導体基板が単結晶シリコン基板であることを特徴とする請求項1ないし11のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板の製造方法。
- 請求項1ないし12のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板の製造方法によって得られたことを特徴とする電気光学装置用基板。
- 請求項13に記載の電気光学装置用基板を備えたことを特徴とする電気光学装置。
- 請求項14に記載の電気光学装置を備えたことを特徴とする電子機器。
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