JP2005145778A - ガラス成形レンズの製造方法及びその製造装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 上下方向に延びる貫通孔10を有する胴型2と、貫通孔10の上側及び下側から当該貫通孔10に挿入される上型3及び下型4と、上型3の上方に載置された重り5と、を備えた重り付き金型1を用いたガラス成形レンズの製造方法である。
この製造方法では、上型3と下型4との間にガラス素材がセットされた重り付き金型1を加熱してガラス素材を軟化させることにより、ガラス素材をプレス成形する。また、プレス成形は、重り5の重力によりなされる。
【選択図】 図1
Description
しかし、ガラスレンズは、射出成形が可能で量産が容易なプラスチックレンズと比較して生産性が低いという問題がある。特に、ガラスレンズを研磨(磨き)により成形する場合、量産が困難となり生産性が著しく低下する。このため近年、ガラスレンズの生産性を向上させるべく、ガラス素材をプレス成形することが行われている。
また、従来における他の製造方法として、上型と下型及び胴型を備え、この胴型の上下から上型と下型を挿入しつつ当該上型と下型との間にセットしたガラス素材のプレス成形を行う製造装置であって、プレスの圧力を加える手段としてコイルバネ形状に加工された形状記憶合金を用いるものがあった(特許文献2参照。)。
この場合、上述した簡素な構造の重り付き金型を用いたので、加熱室等に複数収容して同時に加熱することが極めて容易である。さらに、重りは各重り付き金型ごとに別個のものであるので、複数の金型を一括して加圧室内で加熱するだけで、各金型の上に載置された重りの重力により各金型のそれぞれにおいて正確なプレス圧が付与される。したがって、複数個の金型を同時にプレスできることとなり、ガラス成形レンズの生産性が向上する。
この場合、前記重り付き金型が極めて簡素な構造であるから、これらを一括して取り扱い処理することが容易である。しかも、各重り付き金型ごとに重りが設けられているので、上記各工程において常に正確な面圧が各金型に付与される。よって複数個の重り付き金型を一括して工程に流すことができる。そして、予熱工程、加熱成形工程及び冷却工程で複数個の重り付き金型を一括して処理するので、金型を1つずつ工程に流す場合と比較して生産性が向上する。
なお、「複数個の重り付き金型を一括して処理」とは、各工程間において複数個の重り付き金型を一括して移送し、且つ、各工程おいて一括して予熱、加熱、及び冷却を行うことをいう。
図1は、本発明の第一実施形態の製造方法に係る重り付き金型1を含むガラス成型レンズの製造装置20の概略構成を示す断面図である。
この重り付き金型1は、金型11を備えている。この金型11は、略円筒形状の部材であって上下方向に延びる貫通孔10を有する胴型2と、前記貫通孔10の上側から当該貫通孔10に挿入される上型3と、前記貫通孔10の下側から当該貫通孔10に挿入される下型4と、からなる。さらに、重り付き金型1は、金型11の上型3の上方に載置された重り5を備えている。
更に、本実施形態に係るガラス成型レンズの製造装置20は、この重り付き金型1に加えて、上述した金型11及び重り5が載置される下側プレート12と、金型11や重り5を取り囲む様に収容する略円筒形状のヒータ13と、このヒータ13の上側開口を塞ぐように設けられた上側断熱プレート14とを備えている。
なお、貫通孔10の断面形状、及び、上型挿入部3a及び下型挿入部4aの断面形状は、円形に限られず、所望のレンズ形状に合わせて適宜の断面形状とされるのはいうまでもない。
つまりこの場合、重り5等を備えた重り付き金型1a、重り付き金型1bを用いたので、簡素な金型構造により加熱炉15内に複数収容することが極めて容易である。さらに、複数の金型を一括して加圧室15内で加熱するだけで、各金型11a,11bの上に載置された重り5a,5bの重力により、各金型のそれぞれにおいて正確な面圧となる。即ち、成形物7aと成形物7bとは形状が異なり、同時にプレスされる複数個の成形物7a,7bが複数種の形状を含んでいるから、各金型11a,11bに加えるべき圧力が各金型より異なることとなる。本製造方法に用いられる重り付き金型1a,重り付き金型1bでは、各重り付き金型1a,1bごとに別個の重り5a,5bが用いられているため、それぞれの金型11a,11bに対応した質量の重り5a,5bを載せることにより各金型11a,11bに正確な面圧を与えることができる。よって、複数種の形状を含んだ金型を一括してプレスすることができ、生産性が向上する。
図4は、第三実施形態の製造方法に好適に用いられる本発明の製造装置としての量産用製造装置21の概略を示す平面図(上方からみた図)である。この量産用製造装置21は、4つのゾーンに分割されている。4つのゾーンは、取出・セットゾーン30(図4における右上部分)、予熱ゾーン31(図4における左上部分),加熱成形ゾーン32(図4における左下部分)、冷却ゾーン33(図4における右下部分)からなる。
取出・セットゾーン30は、重り付き金型1内へのガラス素材のセット及び成形されたガラス成形レンズの取り出しを行う領域である。予熱ゾーン31は、取出・セットゾーン30から移送された重り付き金型1を収容して密閉しつつ予熱する領域である。加熱成形ゾーン32は、予熱ゾーン31から移送された重り付き金型1を収容して密閉しつつ加熱成形する領域である。冷却ゾーン33は、加熱成形ゾーン32から移送された重り付き金型1を収容して密閉しつつ冷却する領域である。
図4に示すように、各ゾーン30〜33の中央には、円板状の下プレート22上に載置された複数(本実施形態では9個)の重り付き金型1が示されている(図4では、模式的に単純な円あるいは略楕円で各重り付き金型1のそれぞれを示している)。これら9個の重り付き金型1は複数種の金型11を含んでおり、例えば、プレス成形物7の径が比較的大きく重り付き金型1の径としても大きい大型重り付き金型1cや、同じく重り付き金型1の径が小さい小型重り付き金型1dなどである。これら9個の重り付き金型1が下プレート22ごと一括して各工程を移動する。
なお、移送用シャッター17(及び後述のシリンダ用シャッター18)が下りた状態で各ゾーン31,32,33の個室内が密閉されるように、各シャッター17,18とゾーン隔壁16の間、各シャッター17,18と支持プレート26〜28との間にはOリング19を設けている(図5参照)。また、各ゾーン31〜33では、個室内を不活性ガス雰囲気としたり、真空(あるいはそれに近い状態)としたりすることができるようになっている。
下プレート22の移動は、各ゾーン30〜33のそれぞれに設けられた移送用エアシリンダ23a〜23dによりなされる(図4参照)。例えば取出・セットゾーン30近傍に設けられた第一エアシリンダ23aは、取出・セットゾーン30から予熱ゾーン31の方向に向かって伸縮することができるので、下プレート22を取出・セットゾーン30から予熱ゾーン31へと押動して移送することができる。同様に、第二エアシリンダ23bは下プレート22を予熱ゾーン31から加熱成形ゾーン32へと移送でき、第三エアシリンダ23cは下プレート22を加熱成形ゾーン32から冷却ゾーン33へと移送でき、第四エアシリンダ23dは下プレート22を冷却ゾーン33から取出・セットゾーン30へと移送できる(図4に記載の矢印を参照)。よって、各エアシリンダ23a〜23dを設けることにより、4つのゾーン30〜33をローテーションできる移送手段が構成されている。
この場合、重り付き金型1が極めて簡素な構造であるから、これらを一括して取り扱い処理することが容易である。しかも、各重り付き金型1ごとに重り5が設けられているので、上記各工程において常に正確な面圧が各重り付き金型1に付与される。よって極めて精度の高いプレスが可能となり、成形品たるガラス成形レンズの形状精度が極めて高くなる。そして、これら予熱乃至冷却工程で複数個の重り付き金型1を一括して処理するので、金型を1つずつ工程に流す場合と比較して生産性が格段に向上する。
本発明の実施例を説明する。
実施例1では、前述した量産用製造装置21を用いて、複数の重り付き金型1ではなく単一の重り付き金型1を工程に流すことにより、図6に側面図を示す光通信用のコリメータレンズ38を作製した。このコリメータレンズ38は、略円柱形状の基体部38aと、この基体部38aの一端側に突出し曲面を有する凸部38bを有する。38bの表面は非球面形状とされているため、コリメータレンズ38は片面非球面形状である。本実施例1では、前述した量産用製造装置21によりコリメータレンズ38を作製した このコリメータレンズ38の長手方向長さLは2.015mmであり、基体部38aの断面直径dは1mmである。
なお、かかる非球面形状のガラス成形レンズは研磨によっては作製が困難であり、プレス成形により好適に作製可能であるため、本発明は非球面レンズの成形に適用するのが好ましい。また、本発明は重り5により極めて正確な面圧設定が可能であるから、特に面圧の誤差が形状精度に大きく影響する小型のレンズ(例えば、直径あるいは断面最大幅が2mm程度以下のレンズ)に本発明を適用するのが好ましい。
実施例2では、2種類(2個)のコリメータレンズ38の同時成形を行った。いずれもその基本形状は実施例1のコリメータレンズ38と同様である。第一のコリメータレンズであるレンズAは、前述の実施例1と同じものであり、基体部38aの直径dが1mm、長手方向長さLが約2mmである。また第二のコリメータレンズであるレンズBは、レンズAよりも大型であり、その基体部38aの直径dが1.8mm、長手方向長さLが約3mmである。レンズA用の重り付き金型1には実施例1と同じSUS304製で且つ質量200gの重り5を使用し、レンズB用の重り付き金型1には、質量が640gのタングステン合金製の重り5を載せた。その他の条件は実施例1と同様とした。その結果、両金型におけるプレス時の面圧はいずれも適正なものとなり、レンズA及びレンズBのいずれも前述のPV値が0.2μm以下となった。このように、重り5の重さを金型1ごとに適切に設定することで、複数個で且つ複数種のレンズを同時に且つ精度良く成形することができた。なお、通常この面圧は20〜30kgf/cm2程度の範囲で設定される。
上述した従来の方法では、直径など形状の異なる複数種のレンズを同時にプレスすると、それぞれの金型の面圧を均等とすることが困難、適正な面圧からずれてしまう。したがって、成形品にバリや変形不足が生じて形状精度が悪くなる。これに対して本実施例では、それぞれのレンズ用で重り5の重量を調整し、面圧を各重り付き金型1で均等且つ適正値にすることができたため、レンズA及びレンズBのいずれもバリがなく形状精度が極めて良好な非球面レンズを成形することができた。
2 胴型
3 上型
4 下型
5 重り
6 プリフォーム
7 プレス成形物(成型物)
10 貫通孔
15 加熱室
30 取出・セットゾーン
31 予熱ゾーン
32 加熱成形ゾーン
33 冷却ゾーン
Claims (5)
- 上下方向に延びる貫通孔を有する胴型と、
前記貫通孔の上側から当該貫通孔に挿入される上型と、
前記貫通孔の下側から当該貫通孔に挿入される下型と、
前記上型の上方に載置された重りと、を備えた重り付き金型を用い、
前記上型と前記下型との間にガラス素材がセットされた前記重り付き金型を加熱してガラス素材を軟化させて、前記ガラス素材を前記重りの重力によりプレス成形することを特徴とするガラス成形レンズの製造方法。 - それぞれ別個の前記重りを備えた複数個の前記重り付き金型を用いるとともに、前記ガラス素材がセットされたこれら複数個の前記重り付き金型を同時に加熱して当該ガラス素材を軟化させることにより、複数個の前記ガラス素材のプレス成形を同時に行うことを特徴とする請求項1に記載のガラス成形レンズの製造方法。
- 前記同時にプレス成形されてなる複数個の成形物は、複数種の形状のものを含んでいることを特徴とする請求項2に記載のガラス成形レンズの製造方法。
- 前記ガラス素材がセットされた複数個の前記重り付き金型を予熱する予熱工程と、
前記予熱工程により予熱された前記複数個の重り付き金型を所定温度まで加熱して前記ガラス素材を軟化させ、前記重りの重力によりプレス成形する加熱成形工程と、
前記加熱成形工程後に前記複数個の重り付き金型を冷却する冷却工程と、
を含み、
これら予熱工程、加熱成形工程および冷却工程において前記複数個の重り付き金型を一括して処理することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガラス成形レンズの製造方法。 - 請求項1に記載の重り付き金型を備えるとともに、
前記重り付き金型内へのガラス素材をセットし且つ成形されたガラス成形レンズを取り出す取出・セットゾーンと、
前記取出・セットゾーンから移送された前記重り付き金型を収容して密閉しつつ予熱する予熱ゾーンと、
前記予熱ゾーンから移送された前記重り付き金型を収容して密閉しつつ加熱成形する加熱成形ゾーンと、
前記加熱成形ゾーンから移送された前記重り付き金型を収容して密閉しつつ冷却する冷却ゾーンと、
前記各ゾーン間の前記各移送及び前記冷却ゾーンから前記取出・セットゾーンへの移送を行う移送手段と、
を備えたことを特徴とするガラス成形レンズの製造装置。
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JP2003387775A JP2005145778A (ja) | 2003-11-18 | 2003-11-18 | ガラス成形レンズの製造方法及びその製造装置 |
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Publications (1)
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008056532A (ja) * | 2006-08-31 | 2008-03-13 | Hoya Corp | モールドプレス成形装置、及び成形体の製造方法 |
KR101778232B1 (ko) * | 2016-12-29 | 2017-09-13 | 주식회사 제이앤티씨 | 성형 장치 |
-
2003
- 2003-11-18 JP JP2003387775A patent/JP2005145778A/ja active Pending
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WO2018124722A1 (ko) * | 2016-12-29 | 2018-07-05 | 주식회사 제이앤티씨 | 성형 장치 |
CN108249742A (zh) * | 2016-12-29 | 2018-07-06 | Jntc株式会社 | 成形装置 |
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