JP2005144870A - 三次元造形体の製造方法および製造装置 - Google Patents

三次元造形体の製造方法および製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高精度且つ高強度の三次元造形体の製造方法および製造装置を提供する。
【解決手段】造形粉体に樹脂結合剤が含まれていることから、液滴吹付け工程において樹脂結合剤を含まない溶媒のみを吹き付けるだけで所定の平面形状で造形粉体が結合させられるため、その溶媒を吹き付けるためのノズル径を十分に細くして、寸法および形状精度を飛躍的に高めつつ、高強度の三次元造形体を得ることができる。また、加圧工程において造形粉体層が表面から加圧されることから、パターン領域内で造形粉体の充填密度が高められるため、一層高強度の三次元造形体が得られる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、粉体層を積層して粉体相互および粉体層相互に接合する三次元造形体の製造方法および製造装置に関する。
造形用の粉体(以下、造形粉体という)により構成された複数の造形粉体層を成形型内に順次に積層形成し、その積層過程において、それらの複数の造形粉体層の各々の表面に所定の平面形状で所定のパターニング用の液体(以下、パターニング液体という)を吹き付けることによりそれら複数の造形粉体層の各々を構成する造形粉体を相互に所定の平面形状で結合させると共にそれら造形粉体層を相互に結合して積層体を成形し、その積層体から相互に結合させられていない余剰の造形粉体を除去して製造される三次元造形体が知られている(例えば特許文献1乃至3等を参照)。このようなインク・ジェット法と称される三次元造形方法によれば、粉体を用いることから適用可能な材料が例えば金属、有機化合物、無機化合物等広範に亘り、また、パターニング液体を吹き付けた平面形状に従って各層の寸法および形状が決定されるため形状精度を高めることが比較的容易な利点がある。そのため、例えば、成形型を予め製造する必要がないので、短時間且つ低コストで少量生産可能な方法として各種の造形モデル、成形型、生産治工具、航空機および衛星搭載用部品、測定器用部品、人工歯および人工骨等種々の分野で広く用いられている。
図1乃至図5は、上記の三次元造形体の製造方法の実施状態の一例を説明するための模式図であり、図1は造形粉体層の形成工程を、図2はパターニング液体の吹付け工程を、図3はその吹付けパターンの一例を、図4は造形粉体層の形成およびパターニング液体の吹付けを繰り返すことにより造形粉体層の積層体が形成された段階を、図5は積層体から余剰の造形粉体を除去して得られた三次元造形体をそれぞれ示している。図1において、平坦なテーブル10上には造形粉体12が蓄えられた貯留タンク14が配置されている。貯留タンク14は例えば下端部に粉体吐出ノズル16を備えたものであって、バルブ18を開くと、例えば造形粉体12がその自重により(またはこれに加えて振動を与えることにより)或いは貯留タンク14の上方から供給された圧縮空気等の加圧等により、ノズル16先端からテーブル10に向かって造形粉体12が供給される。貯留タンク14は、例えば造形粉体12をテーブル10に供給しつつ水平方向に相対移動させられ、テーブル10上の全面に造形粉体12が供給されるようになっている。供給された造形粉体12は、例えばスキージで均されることにより、その表面がテーブル10上面と平行且つ平坦にされる。
次いで、図2に示されるように、液体噴射装置20からテーブル10上の造形粉体層22に向かって、造形粉体12の結合剤を含むパターニング液体24を層毎に予め定められた例えば図3に示すような平面形状で吹き付ける。これにより、その平面形状の吹付け範囲s内で造形粉体12が相互に結合させられる。このとき、貯留タンク14はテーブル10上から退避させられている。また、液体噴射装置20は、例えばインク・ジェット・プリンタに備えられている印字ヘッドと同様に構成されたものであって、テーブル10に平行な水平面内において互いに交叉する2方向、例えば互いに交叉するX方向およびY方向に相対移動させられつつ、液体を連続的に或いは液滴を断続的に吹き付けるようになっており、二次元的なパターニングが行われる。上記パターニング液体24は、例えば、樹脂を水系や有機系等の溶剤に溶解したものである。
上記のようにしてパターニングされた一層の造形粉体層22を形成した後、必要に応じて乾燥等の加熱処理を施してパターニング液体24中の液分を除去し、更に、その上に造形粉体層22の形成および層毎に定められた平面形状のパターニング液体24の吹付けを繰り返す。このとき、テーブル10は一層を形成する毎に予め定められた大きさだけ側壁部26に対して鉛直方向下方(図における下方向)に相対移動させられる。これにより、図4に示されるように所望の平面形状で各造形粉体層22の造形粉体12が相互に結合させられ且つその造形粉体12の結合させられた領域においてそれら複数の造形粉体層22が相互に結合させられた積層体28が形成される。上記のテーブル10と側壁部26との一回の相対移動距離が一層の厚さ寸法を決定するので、積層方向における平面形状の変化の程度と要求される輪郭の滑らかさ等に応じてその一回の相対移動距離が定められる。
このようにして積層を終えた後、テーブル10上から積層体28を降ろし、結合させられていない余剰の造形粉体12すなわち各層22のうちパターニング液体24が吹き付けられなかった部分の造形粉体12を除去することにより、図5に示されるような三次元造形体30が得られる。余剰の造形粉体12は、テーブル10から積層体28を降ろすだけで殆ど除去されるが、付着しているものがあればブラスト処理等で除去すればよい。また、三次元造形体30は、必要に応じて充填材が含浸させられることにより補強され、或いは、表面粗さを向上させるための仕上げ加工が施される。また、造形粉体12がセラミック粉体である場合等には、所期の構成成分を生成させ、緻密化させ、或いは不要成分を除去するための焼成処理が必要に応じて施される。
特許第2729110号公報 特開平8−192468号公報 特開2001−334580号公報
ところで、上記の三次元造形方法において、三次元造形体30の寸法精度や形状精度を高めようとする場合には、一層の厚さ寸法を可及的に薄くすると共に、パターニング液体24を可及的に高い精度で吹付けることが必要である。前者は積層方向すなわち鉛直方向における精度に関与し、後者はこれに垂直な方向すなわち水平方向における精度に関与する。パターニング液体24の吹付け精度は、液体噴射装置20とテーブル10との相対位置精度や、吹き付けられた液体の造形粉体層22上における浸透径等によって決定され、高精度を得るためには液体噴射装置20のノズル径を可及的に小さくすることが望まれる。パターニング液体24は樹脂等の結合剤が含まれることにより一定の粘性を与えられているが、ノズル径が小さくなるほどノズル詰りが発生し易いので、高精度を得るためにはその粘度を低くする必要がある。
一方、造形粉体12相互の結合力を高め延いては三次元造形体30の機械的強度を高めるためには、可及的に分子量が大きい樹脂を用いると共に、パターニング液体24中の樹脂濃度を高めることが望ましい。しかしながら、樹脂の分子量を高め或いは樹脂濃度を高めると、パターニング液体24の粘度が高くなるのでノズル詰りが生じ易くなる。そのため、従来のインク・ジェット法では、三次元造形体の精度と強度とを両立させるのが極めて困難であった。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであって、その目的は、高精度且つ高強度の三次元造形体の製造方法および製造装置を提供することにある。
斯かる目的を達成するため、第1発明の三次元造形体の製造方法の要旨とするところは、所定の造形粉体でそれぞれ所定厚さ寸法に形成された複数の造形粉体層が積層され且つそれら複数の造形粉体層の各々においてその造形粉体が所定の平面形状で相互に結合させられた積層体を成形する成形工程と、その積層体から相互に結合させられていない余剰の造形粉体を除去する除去工程とを含む三次元造形体の製造方法であって、前記成形工程は、(a)所定の樹脂結合剤を含む造形粉体で所定の成形型内に前記造形粉体層を形成する第1工程と、(b)前記所定の樹脂結合剤の粘着性を発揮させる所定のパターニング液体を前記造形粉体層の表面に所定の平面形状で吹き付ける第2工程と、(c)前記樹脂結合剤によって前記造形粉体を相互に結合させる第3工程とを含み、これら第1工程乃至第3工程が順次に所定回数繰り返されることにある。
また、第2発明の三次元造形体の製造方法の要旨とするところは、所定の造形粉体でそれぞれ所定厚さ寸法に形成された複数の造形粉体層が積層され且つそれら複数の造形粉体層の各々においてその造形粉体が所定の平面形状で相互に結合させられた積層体を成形する成形工程と、その積層体から相互に結合させられていない余剰の造形粉体を除去する除去工程とを含む三次元造形体の製造方法であって、前記成形工程は、(a)前記所定の造形粉体で所定の成形型内に前記造形粉体層を形成する第1工程と、(b)所定のパターニング液体を前記造形粉体層の表面に所定の平面形状で吹き付けることによりそのパターニング液体で粘着性を発揮させられた樹脂結合剤をその造形粉体層内に所定の平面形状で発生させる第2工程と、(c)前記樹脂結合剤によって前記造形粉体を相互に結合させる第3工程と、(d)前記造形粉体層をその表面から加圧する加圧工程とを含み、これら第1工程乃至第3工程が順次に所定回数繰り返され且つその繰り返しの所定回ではその第3工程の実施中または実施後に前記加圧工程を実施することにある。
また、第3発明の三次元造形体の製造装置の要旨とするところは、複数の造形粉体層を成形型内に順次に積層形成し、それら複数の造形粉体層の各々の表面に所定の平面形状で所定のパターニング液体を吹き付けることによりそれら複数の造形粉体層の各々を構成する造形粉体を樹脂結合剤で相互に所定の平面形状を以て結合させると共にそれら造形粉体層を相互に結合して積層体を成形し、その積層体から相互に結合させられていない余剰の造形粉体を除去することにより三次元造形体を製造するための装置であって、(a)前記成形型内に形成された造形粉体層をその上面から加圧するための加圧装置を含むことにある。
前記第1発明によれば、造形粉体に含まれる樹脂結合剤は、パターニング液体が吹き付けられると粘着性を発揮するものであることから、成形工程の第1工程において形成された造形粉体層に、第2工程において所定の平面形状でパターニング液体を吹き付けると、その所定の平面形状の範囲では樹脂結合剤の粘着性が発揮させられるので、第3工程において樹脂結合剤によって造形粉体が相互に結合させられる。そのため、造形粉体は自身に含まれる樹脂結合剤で相互に結合させられることから、その樹脂結合剤として結合力の高い高分子量のものを用いることにより、パターニング液体に粘性の高い高分子量の樹脂結合剤を添加しなくとも、造形粉体相互の結合力を高め延いては三次元造形体の機械的強度を高めることができる。したがって、パターニング液体の粘度を低く留めてこれを吹き付ける平面形状の寸法および形状精度を高めることができるので、高精度且つ高強度の三次元造形体を製造することができる。
なお、パターニング液体を吹き付けられることにより粘着性を発揮する前記樹脂結合剤は、例えば、そのパターニング液体で溶解されまたは膨潤させられるものである。このような樹脂結合剤としては、例えば、メチルセルロース、アクリル樹脂、澱粉、蛋白質等の水溶性樹脂、エチルセルロース、メタクリル酸エステル、ブチラール樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等の有機溶剤系樹脂等が挙げられる。
また、この第1発明においては、造形粉体は自身に含まれる樹脂結合剤によって結合させられるため、これだけで必要な機械的強度を確保できるのであれば、パターニング液体には樹脂結合剤が含まれていなくとも差し支えない。しかしながら、パターニング液体には、所望の寸法および形状精度を確保し得る粘度に留まる範囲で樹脂結合剤を添加し得るので、必要に応じて樹脂結合剤を添加することにより、三次元造形体の機械的強度を一層高めることが可能である。このように、パターニング液体に樹脂結合剤を添加する場合にも、その粘度を極めて低く保ちながら従来よりも造形粉体相互の結合力を高めることが可能である。
また、前記第2発明によれば、造形粉体層を形成する第1工程乃至造形粉体を相互に結合させる第3工程が順次に繰り返される成形工程において、その繰り返しの所定回ではその第3工程の実施中または実施後に造形粉体層がその表面から加圧されることから、粘着性を発揮させられた樹脂結合剤が造形粉体相互間に押し込まれると共に造形粉体が変形させられ或いは再配列させられて充填密度が向上するので、その相互間に介在させられる樹脂結合剤による結合力が高められると共に三次元造形体の密度が高められる。そのため、パターニング液体のみに樹脂結合剤が含まれる場合にも、その樹脂結合剤として結合力の高い高分子量のものを用いることなく、造形粉体相互の結合力を高め延いては三次元造形体の機械的強度を高めることができる。したがって、パターニング液体の粘度を低く留めてこれを吹き付ける平面形状の寸法および形状精度を高めることができるので、高精度且つ高強度の三次元造形体を製造することができる。
なお、上記第2発明における「実施後」とは、第1工程乃至第3工程の繰り返しの所定回において、その第3工程が終了し、且つ次の繰り返しの第1工程が開始される前を言うものである。加圧工程は、樹脂結合剤が粘着性を有し且つ造形粉体の再配列が可能な期間内に実施されれば足りるので、各層毎に実施すると最も高い効果が得られるが、必ずしも各層毎に実施されなくともその効果を享受できる。造形粉体が相互に結合させられる第3工程の実施後に加圧工程を実施する場合には、例えば、造形粉体内或いは粉体相互間に可塑剤や低軟化点の樹脂が含まれていればよい。
上記結合力の向上は、樹脂結合剤相互の圧着や、造形粉体相互間に樹脂結合剤が圧入されることによる接触面積の増加等に基づくものである。このような加圧による効果は、造形粉体に樹脂結合剤が含まれていない場合や、含まれていてもその量が少なかったり乾燥により樹脂結合剤が硬くなっている場合等に特に顕著に得られる。
また、この第2発明においては、樹脂結合剤は、パターニング液体が吹き付けられることによって造形粉体層内で粘着性を発揮させられるのであれば、適宜の形態で用いられる。例えば、パターニング液体中に添加されることにより溶解或いは膨潤させられた状態で造形粉体層に向かって吹き付けられても良く、或いは、前記第1発明のように、造形粉体内に含まれていて吹き付けられたパターニング液体で溶解或いは膨潤させられることにより粘着性を発揮させられてもよい。造形粉体内に含まれている場合には、加圧力を高くするとパターニング液体を吹き付けていない部分も造形粉体が相互に結合させられる可能性が高くなるため、吹き付けた部分だけが結合させられるように加圧力を設定すればよい。また、加圧力は、造形粉体層のうちパターニング液体が吹き付けられていない非パターン領域で造形粉体が相互に結合させられることの無いように、その変形が小さく好適には変形が無い値に設定される。そのため、好適には、加圧工程には等方的な静水圧を利用した加圧方法、例えば乾式ラバー・プレスと称されるもの等が利用される。
因みに、成形型内に造形粉体を供給して形成された造形粉体層は、その造形粉体相互間の空隙が大きいことから、滴下されたパターニング液体がその大きな空隙内で広がり且つその乾燥収縮に伴って造形粉体が相互に僅かに接近させられるに留まる。そのため、このような造形粉体層が積層されることにより製造される三次元造形体は、密度が低く且つ機械的強度も低いものとなっていた。しかも、セラミック材料のように焼成処理を伴う材料では、その際の収縮が大きいことから寸法精度および形状精度が低くなる問題もあった。これらを改善しようとしても、例えば、球形の造形粉体を用いて得られる粉体充填密度は40(容量%)以下に留まり、造形後に微粉体の泥漿を含浸させても、その微粉体が充填されるのは造形体の表面のみであって、密度や強度の改善効果は殆ど得られないのである。
また、前記第3発明によれば、成型型内に造形粉体層を順次に積層形成し且つ各々にパターニング液体を吹き付けることにより造形粉体を樹脂結合剤で相互に結合して三次元造形体を製造するために用いられる製造装置に、その造形粉体層を上面から加圧するための加圧装置が備えられていることから、成形工程の所定の時点で加圧を施す前記第2発明の製造方法を好適に実施することができる利点がある。
ここで、前記第1発明および第2発明において、好適には、前記第2工程は、前記造形粉体よりも小さい所定粒径以下の添加粉体を含む前記所定のパターニング液体を吹き付けるものである。このようにすれば、相対的に大径の造形粉体相互間に相対的に小径の添加粉体が侵入することにより、三次元造形体の密度が高められ、その機械的強度が高められる。上記添加粉体の粒径は、例えば造形粉体の1/4以下、例えば300(nm)以下とすることが充填密度を高める上で好ましい。また、パターニング液体の粘度が高くなると吹付け装置のノズル詰りを引き起こし易いので、上記添加粉体は、パターニング液体の粘度が高くなり過ぎないように、例えば添加しない場合の2倍程度の粘度に留まるように添加されることが望ましい。そのため、添加粉体の形状は球形であることが好ましく、添加量は、粒径が300(nm)以下であれば3(容量%)以下、300(nm)を越える場合には5(容量%)以下が好ましい。また、凝集粉体は譬え100(nm)以下の粒径であってもパターニング液体の吹付け装置のノズル詰りを引き起こし易いので、単分散すなわち凝集していない粉体が好ましい。但し、凝集粉体であっても、5(容量%)以下の範囲であれば添加することができる。
また、好適には、前記パターニング液体は、前記造形粉体の成分またはその焼結助剤となる添加成分を含むものであり、前記三次元造形体の製造方法は、前記除去工程の後に、前記三次元造形体に加熱処理を施して焼結させる焼結工程を含むものである。このようにすれば、造形粉体がセラミック粉体である場合のような焼成工程を含む三次元造形体を製造するに際して、添加成分によって造形粉体の焼結が促進されるので、収縮を抑制しつつ焼結体の密度が高められ延いては三次元造形体の機械的強度が高められる。このような添加成分は、例えば、金属化合物、各種金属の塩化物、水酸化塩やアンモニウム塩等の無機塩類、或いは、各種金属の錯体やアルコレートといった有機化合物の形態で添加され、焼成後に、各種金属、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物等を形成する。造形粉体相互間の樹脂結合剤は焼成過程で焼失させられるが、これらの添加成分は三次元造形体内に残留させられるため、その焼結性向上効果と相俟って、添加成分が含まれない場合に比較して密度が高められるのである。
すなわち、吹き付けられるパターニング液体は、樹脂に溶解可能な金属塩と樹脂或いは金属と化合した樹脂を含むものであれば、造形粉体が好適に接合させられ、造形粉体に含まれる樹脂の溶媒、膨潤剤、可塑剤等を含むものであれば、造形粉体中の樹脂の粘着力が好適に発揮される。なお、上記のような添加成分は、パターニング液とは別に造形粉体層の全面に或いはパターニング液と同様な平面形状でその造形粉体層に吹き付けられても良い。パターニング液とは別に吹き付けられる場合には、造形粉体の結合に寄与する樹脂成分や前記樹脂結合剤の粘着性を発揮させる溶媒、膨潤剤や可塑剤等が含まれているか、樹脂結合剤による造形粉体相互の結合を阻害しない成分のみから成ることが好ましい。後者の場合には、造形粉体層の全面に吹き付けても差し支えない。パターニング液と同様な平面形状で吹き付けられる場合には、添加成分を含む液体に造形粉体を結合するための成分或いは前記樹脂結合剤の粘着力を発揮させる成分が含まれていると、三次元造形体の強度が一層高められる。
好適には、上記添加成分は、前記添加粉体に含まれるものである。このようにすれば、微粉の添加粉体が造形粉体相互間に入り込むことから、焼成前の三次元造形体の密度が高められると共に、焼成収縮も抑制されるので、寸法・形状精度の一層優れた三次元造形体が得られる。
なお、三次元造形体の焼結後の寸法精度を可及的に高めるためには、上記の添加成分が金属含有量の多いものであることが望ましい。添加成分の金属含有量が多いと焼成過程において樹脂が燃え抜けた後の残留量が多くなるため、焼結前の密度が高くなって収縮量が小さくなる。この結果、焼成収縮による歪みが減少することから、寸法精度が高められるのである。また、この添加成分によってもパターニング液体の粘度が高められるので、ノズル詰りを防止するためには、パターニング液体の粘度を可及的に低く保つものを選ぶことが好ましい。
また、前記積層体を構成する複数の造形粉体層の各々の平面形状および厚さ寸法は、製造しようとする三次元造形体の形状や要求される寸法精度等に応じて、層毎に定められ、他の層、例えば直前に形成した層と同一であっても異なっていても良い。
また、前記所定のパターニング液体は、例えば、造形粉体層の表面に向かって略垂直に液滴を吐出しつつ、その造形粉体層の上面に平行な平面内で少なくとも互いに交叉する2方向に沿ってその造形粉体層に対して相対移動させられる複数の噴射ノズルから吐出されるものである。複数の噴射ノズルは適宜の平面形状で配列して設けられるが、例えば、その相対移動の一方向またはそれに交叉する方向に沿って一直線上に配列され、或いは全体としてその一方向に沿うようにジグザグに配列され、或いは互いに交叉する2方向に沿ってそれぞれ複数列に配列される。また、上記2方向の一方では一定の向きに相対移動させられ、他方では往復して相対移動させられる場合には、その往復移動方向に沿って配列すると、所定の平面形状で吹き付けるための制御が容易である。
なお、前記第1発明および前記第2発明における前記第3工程は、前記パターニング液体および前記樹脂結合剤の種類に応じた所定の作用で前記造形粉体を相互に結合させるものである。この結合機構としては、三次元造形体に要求される機械的強度を確保できるものが適宜選択されるが、例えば、パターニング液体を構成する溶剤蒸発による樹脂結合剤の固化、加熱されたパターニング液体の冷却固化、樹脂結合剤の加熱重合硬化、樹脂結合剤が2液型樹脂である場合等の混合反応硬化、吹き付けられたパターニング液体等により形成される雰囲気と樹脂結合剤との接触反応重合硬化、紫外線やX線等のエネルギー線照射による重合硬化、およびこれらの組合せ等が好適に用いられる。
また、好適には、前記造形粉体は、前記樹脂結合剤から成り、或いはその樹脂結合剤を含む他の材料から成るものである。すなわち、本発明は、造形粉体が樹脂結合剤である場合にも適用される。
また、好適には、前記造形粉体は、単一粒子で構成されたものであってもよく、複数の粒子が凝集或いは結合させられた複合粒子であってもよい。造形粉体が樹脂結合剤を含む態様では、単一粒子であればその表面をその樹脂結合剤で被覆して個々の造形粉体粒子が構成され、複合粒子であればその全体の表面がその樹脂結合剤で被覆され或いはその樹脂結合剤が粒子相互間に充填される。
なお、造形粉体が複合粒子で構成される場合において成形工程で造形粉体層が加圧される場合には、その複合粒子内における再配列も生じるため、三次元造形体の密度が一層向上させられる利点がある。
また、前記加圧工程は、造形粉体層をその上面から加圧できる種々の方法で実施され得るが、例えば、機械的プレスおよび静水圧プレス等が好適である。
また、前記第3発明において、好適には、前記加圧装置は、前記造形粉体層を加圧するに際してその造形粉体層の上面全体を覆うように加圧面との間に介在させられ且つ加圧時のその上面の変形に倣って変形させられる所定厚さ寸法の弾性体膜を備えたものである。すなわち、第2発明の更に好適な態様では、前記加圧工程は、上記所定厚さ寸法の弾性体膜を介して前記造形粉体層を加圧するものである。このようにすれば、パターニング液体が吹き付けられることにより他の部分に比較して押し縮められ易くなっている部分が、加圧時に被加圧面(すなわち造形粉体層の上面)から受ける反力に応じて変形させられる弾性体膜を介して押し縮められるので、そのパターニング液体が吹き付けられた部分の密度が好適に高められる利点がある。上記弾性体膜の厚さ寸法は、このような加圧収縮の差に応じて容易に変形させられるように定められる。なお、弾性体と造形粉体層の上面との間には、その弾性体膜の離型性を確保するための膜が適当な表面処理技術等を用いて設けられることが好ましい。
また、好適には、前記加圧装置は、前記加圧面に前記弾性体膜が固着されたものである。弾性体膜は加圧面と独立して設けられていても良いが、このようにすれば、加圧に際して弾性体膜を造形粉体層の上に被せる処置が無用となる。なお、加圧面への固着状態は、弾性体膜が加圧面全体に密着させられるものに限られず、例えば周縁部において固着されることにより内周部では加圧面に接して或いは僅かに離隔した状態に設けられてもよい。
また、前記加圧工程における加圧力は、造形粉体の種類や樹脂結合剤の種類等に応じて異なるものであるが、パターニング液体が吹き付けられた造形粉体相互の結合力が十分に高められる一方で、パターニング液体が吹き付けられていない造形粉体が結合しないように、適宜実験的に定められる。
また、前記加圧工程は、一層好適には、振動或いは加熱を伴うものである。このようにすれば、造形粉体密度を一層高めることができる。
また、好適には、前記成形工程における前記第1工程は、繰り返しの各回においてその表面が平坦になるように前記造形粉体層を形成するものである。パターニング液体が吹き付けられることにより粒子相互の結合力が高められた部分が他の部分に比較して表面が凹むことになるが、このようにすれば、積層の各回毎に常に造形粉体層の表面が平坦にされるため、積層の繰り返しによって段差が形成され且つ拡大されることによる寸法・形状精度の低下は特に生じない。却って、表面が凹まされた部分に供給される造形粉体量が他の部分に比較して多くなることから、三次元造形体の密度が一層高められる利点がある。なお、造形粉体層は、例えば、成形型内に造形粉体を充填しスキージで表面を掻き均すことで平坦化される。
また、好適には、前記三次元造形体の製造方法は、前記除去工程の後に、その三次元造形体を柔軟な膜で被覆して静水圧で加圧する静水圧加圧工程を含むものである。このようにすれば、加圧工程における加圧力が不要な部分の造形粉体を結合させないような低い値に制限される場合にも、極めて高密度の三次元造形体が得られる利点がある。上記柔軟な膜は、加圧力に応じて容易に変形し且つ後に容易に除去し得るものであれば良く、例えば、樹脂を溶解した液に三次元造形体を浸漬し、或いはそのような溶液をスプレー等によって吹き付け、溶剤成分を揮発或いは蒸発させること等によって形成できる。この膜は、静水圧加圧工程の後に剥離する等によって除去すれば良いが、造形体に加熱処理が施される場合等には、そのときに焼失させることもできる。
また、好適には、前記造形粉体は、平均粒径が5(μm)以上、好適には100(μm)以下のものである。粒径は三次元造形体に要求される表面粗さに応じて適宜定めればよいが、5(μm)未満では流動性が著しく低下するので、高密度の造形体を得ることが困難になる。造形粉体粒径は、また、吹き付けられたパターニング液体の拡散径との関係でも定められ、その拡散径と同程度の粒径が好ましい。例えば、拡散径は20(μm)程度が制御可能な下限値であるから、この前後の10〜40(μm)程度の範囲内が特に好ましい。
また、造形粉体は球形が好ましい。球形に近い造形粉体ほど、高い流動性および充填性を有するので、均一で密度の高い造形粉体層が形成され、三次元造形体の強度および精度が一層高められる。
また、造形粉体は、適宜の方法で用意されるが、例えば、0.2〜5(μm)程度の粒径の微粒子を溶剤に溶解し、樹脂等から成る各種の結合剤と混合してスプレードライにより造粒すれば、球形の造形粉体が容易に得られる。この場合、造粒のために機能する結合剤は、前記の第3工程において造形粉体を相互に結合するための樹脂結合剤としても機能する。なお、造粒された粉体が用いられる場合には、非パターン領域で造形粉体が相互に結合させられることの無いように、前記の加圧力はその強度よりも小さい値に設定される。
また、本発明は、種々の材料、例えば金属、有機物、セラミックス等、或いはこれらの複合体から成る造形粉体に適用される。セラミックスとしては、アルミナ、ジルコニア、ムライト、窒化珪素、窒化アルミニウム、炭化珪素、シリカ、コーディエライト等が挙げられ、金属としては、ステンレス鋼、アルミニウム、銅、チタン、白金、金、銀が挙げられる。
また、本発明は、種々の造形に利用されるが、例えば、試作品や見本の造形モデル、プレス、打ち抜き、射出用等の各種成形型、抄紙型、製造ラインで用いられるが汎用品では無い治工具、航空機、衛星搭載、測定器用の部品、鋳込み製造等に用いられる中子、人工歯、人工骨等が用途の一例として挙げられる。これらを製造するための材料は、用途に応じて適宜のものが選択されるが、例えば、各種成形型においては、一般に、金属、超硬合金、セラミックス等が用いられ、抄紙型においては、金属或いはプラスチックが用いられ、人工歯や人工骨においては、アルミナ、ジルコニア、アパタイト、カーボン、ガラス等のセラミックスや、チタン、ステンレス鋼等の金属、金、白金、パラジウム等の貴金属や合金等が一般的に用いられる。
また、好適には、前記複数の造形粉体層の各々は、例えば、50(μm)程度の厚さ寸法で形成される。
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図6は、本発明の三次元造形体の製造方法の一例を表す工程図である。この三次元造形方法は、後述する加圧工程P4が追加されると共に用いられる造形粉体12およびパターニング液体24が相違する他は、前記図1および図2に示される三次元造形装置32を用いて従来と同様に実施される。
粉体供給工程P1においては、前記の貯留タンク14に蓄えられた造形粉体12がテーブル10上に予め定められた例えば50(μm)程度の厚さ寸法に供給される(図1参照)。この造形粉体12は、例えば、アルミナ等から成るものであって、例えば、0.2〜5(μm)の範囲内の微粒子を、例えば水等の溶剤に溶解したアクリル樹脂等の樹脂結合剤と混合し、例えばスプレー・ドライにより10〜40(μm)程度の粒径に造粒したものである。すなわち、本実施例においては、樹脂結合剤を含む略球形を成した造形粉体12が用いられる。
次いで、平坦化工程P2においては、三次元造形装置32のテーブル10上に供給された造形粉体12を、図示しないスキージ等を用いて側壁部26の上端面と面一に均す。
次いで、液滴吹付け工程P3では、前記の図2に示されるように、貯留タンク14を退避させ、テーブル10と側壁部(ダイ)26との間に形成されたキャビティ内に形成されている造形粉体層22に向かって、液体噴射装置20からパターニング液体24を例えば図3に示されるような予め定められた平面形状で吹き付ける。このパターニング液体24は、前記の造形粉体12に含まれる樹脂結合剤を溶解させ或いは膨潤させることにより粘着性を発揮させるものであって、水溶性の樹脂結合剤が用いられる場合には例えば水等によって構成され、有機溶剤系樹脂が用いられる場合には例えばトルエン、ターピネオール、ブチルセロソルブ等の有機溶剤等によって構成される。液体噴射装置20のノズル径は例えば100(μm)程度と極めて小径とされているが、このような低粘度の液体が用いられることから、ノズル詰りは何ら生じない。
次いで、加圧工程P4においては、液体噴射装置20を退避させて加圧処理を行う。この工程では、例えば、図7に示されるように造形粉体層22の表面34の全面を覆ってこれよりも大面積のゴムシート36を載せ、その上からパンチ38で加圧する。ゴムシート36は、例えばNBR、シリコーンゴム、ウレタンゴム等から成るものであって、1〜10(mm)程度の厚さ寸法を備え、且つ、その表面が容易に弾性変形させられる(例えば弾性的に押し縮められ得る)ような低い弾性率を有するものである。なお、この加圧工程P4は必須では無く、加圧しなくとも十分に高密度の三次元造形体30が得られる場合には、行われない。
図8(a)〜(d)は、この加圧過程を詳細に説明する図である。この図において、(a)は造形粉体層22が加圧される直前の段階を表している。図において斜線を施した範囲が、前記の液滴吹付け工程P3においてパターニング液体24を吹き付けられた範囲(パターン領域s)である。なお、図示の加圧直前の時点では、ゴムシート36が造形粉体層22上に接しており、パンチ38の加圧面40がゴムシート36から僅かに離隔させられている。但し、ゴムシート36は、その全面或いは周縁部が加圧面40に固着されていてもよい。
続く(b)は加圧中の状態を、(c)は加圧終了後の状態をそれぞれ示している。(b)に示す加圧状態では、パンチ38が予め定められた加圧力を以てゴムシート36を介して造形粉体層22を加圧しており、その加圧力に応じた量だけその造形粉体層22が略弾性的に圧縮させられている。予め定められた時間だけ加圧力を印加した後、パンチ38を上昇させると、圧縮されていた造形粉体層22は弾性回復により厚み方向に膨張させられる。このとき、造形粉体層22のうちパターン領域sは、造形粉体12に含まれる樹脂結合剤が溶解され或いは膨潤させられているので、造形粉体層22内で造形粉体12が移動し易い状態にあり、加圧力によって不可逆的に押し縮められる。そのため、パンチ38が上昇させられることによって加圧力が除去されると、パターン領域sよりもそれ以外の部分の弾性回復量が相対的に大きいので、(c)に示すように、そのパターン領域sが周囲に比較して相対的に凹んだ状態になる。
なお、(b)に示す加圧状態においては、パンチ38と造形粉体層22との間に配置されたゴムシート36がその造形粉体層22から受ける反力によって弾性的に押し縮められている。上記のように造形粉体12が移動し易いパターン領域s内ではその反力が周囲に比較して小さくなるため、ゴムシート36の圧縮量は、反力の小さいそのパターン領域sにおいて、他の部分よりも小さくなる傾向にある。そのため、(b)に示す加圧状態においても、パターン領域sは他の部分よりも押し縮められ易いので、厳密に言えば、加圧中のゴムシート36の下面および造形粉体層22の表面は完全な平坦面では無く、パターン領域sが僅かに凹み、ゴムシート36のそれに対応する部分が僅かに下に凸に膨らんだ状態になる。この凹みの大きさは、加圧力や反力の大きさ、ゴムシート36の弾性率等によって決定されるのであり、凹みが比較的大きくなるような条件下では、加圧中においても(c)に示されるような加圧終了後の状態と略同様な圧縮状態になる場合もあり得る。
なお、造形粉体層22は、前記の図7に示されるようにテーブル10、側壁部26、およびゴムシート36によって密閉された状態にあるので、加圧された造形粉体層22は横方向に広がることなく好適に圧縮される。また、加圧力は、例えば、加圧終了後にパターン領域s以外の部分が弾性回復によって適当な厚さ寸法まで(または略元の厚さ寸法まで)膨張させられ、或いは、加圧中にも殆ど圧縮されないように、実験的に定められる。加圧力は、例えば50(MPa)程度である。
上記の加圧力を設定するに際しては、例えば、以下のように実験を行う。すなわち、(i)先ず、十分に弱い加圧力で造形粉体層22を加圧し、(ii)非パターン部(s以外の部分)の接合状態を確かめる。ここで、造形粉体12が十分な流動性を有しており、相互に接合されていないことが確かめられたら、(iii)加圧力を高めて、再び造形粉体層22を加圧する。(iv)この操作を非パターン部の造形粉体12の流動性が失われるまで繰り返す。このようにして、流動性が失われる加圧力が判明すれば、それがその実験条件における加圧力の上限値である。実験条件は、造形粉体12およびパターニング液体24の構成、加圧工程P4の温度および湿度、加圧速度、離型剤の種類等の要因がある。実際に三次元造形体30を製造するに際しては、ここで明らかになった上限値よりも幾分か小さい値を加圧力に設定することにより、非パターン部が接合させられることを確実に防止しつつ、パターン部sの密度および結合強度を十分に高める。
図6に戻って、乾燥工程P5においては、加圧された造形粉体層22を室温で放置することにより、或いは、テーブル10上に配置したまま60(℃)程度の所定の乾燥温度に加熱することにより、パターニング液体24の液分を除去して樹脂結合剤の結合力を高め、パターン領域s内の造形粉体12を相互に結合させる。なお、これら加圧工程P4および乾燥工程P5は、この順序に限られず、造形粉体12やパターニング液体24の種類等に応じて反対の順序とされ、或いは同時に実施される。
上記の粉体供給工程P1乃至乾燥工程P5は、所望の三次元造形体30を得るために予め設定された回数だけ繰り返して実施される。この繰り返しの過程において、テーブル10が例えば50(μm)程度の予め定められた所定高さだけ下降させられることにより、乾燥処理を施された造形粉体層22の上に、前記の図8(d)に示されるように造形粉体12がその下降高さに等しい厚さ寸法で新たに供給される。供給された造形粉体12は、平坦化工程P2において、側壁部26の上面と面一に均されるが、上記の加圧工程P4において凹んだ部分には他の部分よりも多量の造形粉体12が供給されることになる。そのため、加圧によりパターン領域sが凹まされても、横方向の変形が抑制されていることから形状精度が低下することは無く、その一方、他の部分に比較して多量に供給された造形粉体12によって部分的に密度が高められる。
なお、上記の各工程の繰り返しにおいて、加圧工程P4が毎回実施されても良いが、予め定められたタイミングで繰り返しの特定の回(例えば1回おき)等だけに実施されてもよい。
上記のようにして所定の厚さ寸法の積層体28が形成された後、余剰粉体除去工程P6では、テーブル10上から積層体28を降ろす。このとき、非パターン部の造形粉体12は結合させられていないので、テーブル10上から降ろすだけで殆どが除去され、図5に示されるように三次元造形体30のみが残ることとなる。三次元造形体30の表面に付着している余剰粉体は、例えばブラスト処理等によって除去すればよい。この後、充填材含浸工程P7では、造形体30の密度が不十分な場合に例えば造形粉体12と同材料で構成された微粉体を分散させた泥漿中に造形体30を浸してその泥漿を含浸させる。また、表面粗さが不十分であれば、表面仕上げ工程P8において研磨等の表面仕上げ加工が施される。また、造形粉体12がセラミックス材料等で構成される場合には、必要に応じて加熱処理工程P9が実施され、その焼成温度で加熱処理が施される。
上述したように、本実施例によれば、造形粉体12に樹脂結合剤が含まれていることから、液滴吹付け工程P3において樹脂結合剤を含まない溶媒のみを吹き付けるだけで所定の平面形状sで造形粉体12が結合させられるため、その溶媒を吹き付けるためのノズル径を十分に細くして、寸法および形状精度を飛躍的に高めつつ、高強度の三次元造形体30を得ることができる。
また、加圧工程P4において造形粉体層22が表面から加圧されることから、パターン領域s内で造形粉体12の充填密度が高められるため、一層高強度の三次元造形体30が得られる利点がある。しかも、この加圧に際して造形粉体層22の表面34と加圧面40との間には薄いゴムシート36が介在させられることから、加圧により押し縮められ易いパターン領域sが好適にそのゴムシート36に押圧されるので、一層高い充填密度が得られることになる。
以上、本発明を図面を参照して詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施でき、その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。
三次元造形体を製造するための造形粉体層の形成工程の一例を説明する模式図である。 三次元造形体を製造するためのパターニング液体の吹き付け工程の一例を説明するための模式図である。 図2における吹付けパターンの一例を示す平面図である。 図1、図2の工程が繰り返されることによりそれぞれ所定の平面形状で造形粉体が結合された複数の造形粉体層が積層された状態を示す図である。 積層体から結合していない造形粉体を除去して得られた三次元造形体を示す図である。 本発明の一実施例の三次元造形体の製造方法を説明する工程図である。 図6における加圧工程の実施状態を示す図である。 (a)〜(d)はパターン部分の加圧による変化を説明する図である。
符号の説明
10:テーブル、12:造形粉体、14:貯留タンク、20:液体噴射装置、22:造形粉体層、24:パターニング液体、30:三次元造形体、32:三次元造形装置、36:ゴムシート、38:パンチ

Claims (6)

  1. 所定の造形粉体でそれぞれ所定厚さ寸法に形成された複数の造形粉体層が積層され且つそれら複数の造形粉体層の各々においてその造形粉体が所定の平面形状で相互に結合させられた積層体を成形する成形工程と、その積層体から相互に結合させられていない余剰の造形粉体を除去する除去工程とを含む三次元造形体の製造方法であって、前記成形工程は、
    所定の樹脂結合剤を含む造形粉体で所定の成形型内に前記造形粉体層を形成する第1工程と、
    前記所定の樹脂結合剤の粘着性を発揮させる所定のパターニング液体を前記造形粉体層の表面に所定の平面形状で吹き付ける第2工程と、
    前記樹脂結合剤によって前記造形粉体を相互に結合させる第3工程と
    を含み、これら第1工程乃至第3工程が順次に所定回数繰り返されることを特徴とする三次元造形体の製造方法。
  2. 所定の造形粉体でそれぞれ所定厚さ寸法に形成された複数の造形粉体層が積層され且つそれら複数の造形粉体層の各々においてその造形粉体が所定の平面形状で相互に結合させられた積層体を成形する成形工程と、その積層体から相互に結合させられていない余剰の造形粉体を除去する除去工程とを含む三次元造形体の製造方法であって、前記成形工程は、
    前記所定の造形粉体で所定の成形型内に前記造形粉体層を形成する第1工程と、
    所定のパターニング液体を前記造形粉体層の表面に所定の平面形状で吹き付けることによりそのパターニング液体で粘着性を発揮させられた樹脂結合剤をその造形粉体層内に所定の平面形状で発生させる第2工程と、
    前記樹脂結合剤によって前記造形粉体を相互に結合させる第3工程と、
    前記造形粉体層をその表面から加圧する加圧工程と
    を含み、これら第1工程乃至第3工程が順次に所定回数繰り返され且つその繰り返しの所定回ではその第3工程の実施中または実施後に前記加圧工程を実施することを特徴とする三次元造形体の製造方法。
  3. 前記第2工程は、前記造形粉体よりも小さい所定粒径以下の添加粉体を含む前記所定のパターニング液体を吹き付けるものである請求項1または請求項2の三次元造形体の製造方法。
  4. 前記パターニング液体は、前記造形粉体の成分またはその焼結助剤となる添加成分を含むものであり、
    前記除去工程の後に、前記三次元造形体に加熱処理を施して焼結させる焼結工程を含むものである請求項2または請求項3の三次元造形体の製造方法。
  5. 複数の造形粉体層を成形型内に順次に積層形成し、それら複数の造形粉体層の各々の表面に所定の平面形状で所定のパターニング液体を吹き付けることによりそれら複数の造形粉体層の各々を構成する造形粉体を樹脂結合剤で相互に所定の平面形状を以て結合させると共にそれら造形粉体層を相互に結合して積層体を成形し、その積層体から相互に結合させられていない余剰の造形粉体を除去することにより三次元造形体を製造するための装置であって、
    前記成形型内に形成された造形粉体層をその上面から加圧するための加圧装置を含むことを特徴とする三次元造形体製造装置。
  6. 前記加圧装置は、前記造形粉体層を加圧するに際してその造形粉体層の上面全体を覆うように加圧面との間に介在させられ且つ加圧時のその上面の変形に倣って変形させられる所定厚さ寸法の弾性体膜を備えたものである請求項5の三次元造形体製造装置。
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