JP2005133140A - 溶銑の脱燐処理方法 - Google Patents

溶銑の脱燐処理方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005133140A
JP2005133140A JP2003369869A JP2003369869A JP2005133140A JP 2005133140 A JP2005133140 A JP 2005133140A JP 2003369869 A JP2003369869 A JP 2003369869A JP 2003369869 A JP2003369869 A JP 2003369869A JP 2005133140 A JP2005133140 A JP 2005133140A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hot metal
dephosphorization
carbon source
oxygen gas
molten iron
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2003369869A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4423927B2 (ja
Inventor
Akitoshi Matsui
章敏 松井
Eiju Matsuno
英寿 松野
Takeshi Murai
剛 村井
Yoshiteru Kikuchi
良輝 菊地
Hiroshi Shimizu
宏 清水
Ryohei Takehama
良平 竹濱
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Priority to JP2003369869A priority Critical patent/JP4423927B2/ja
Publication of JP2005133140A publication Critical patent/JP2005133140A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4423927B2 publication Critical patent/JP4423927B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】 溶銑を脱燐処理するに際し、脱燐反応を阻害することなく且つ脱燐処理能力を低下させることなく、溶銑の脱炭を抑制することの可能な脱燐処理方法を提供する。
【解決手段】 転炉型の精錬容器2に収容された溶銑15の浴面に向けて酸素ガスを吹き付けると共に、溶銑浴面の酸素ガスの吹き付け面に向けてCaOを主体とする脱燐用媒溶剤17を吹き付けて溶銑を脱燐処理する際に、前記精錬容器の上方から当該精錬容器内に炭素源21を上置き添加する。その際に、前記炭素源を、連続的に上置き添加すること、及び、前記炭素源の精錬容器内への添加開始時期を、脱燐処理に要する処理時間の1/2を経過する時点までとすることが好ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、CaOを主体とする脱燐用媒溶剤を溶銑の浴面に吹き付けて行う溶銑の脱燐処理方法であって、溶銑の脱炭を抑制することが可能な溶銑の脱燐処理方法に関するものである。
近年、溶銑段階で予め脱燐処理(「予備脱燐処理」ともいう)を実施し、溶銑中の燐を或る程度除去した後、この溶銑を転炉に装入して転炉で脱炭精錬を実施する製鋼方法が発展してきた。この場合、溶銑の脱燐処理は、トーピードカーや溶銑鍋などの溶銑保持容器或いは転炉などの精錬容器を用い、CaO系の脱燐用媒溶剤と酸素ガス及び固体の酸化鉄などの酸素源とを溶銑に添加して、溶銑中の燐を酸素源によって酸化し、生成した燐酸化物をCaO系の脱燐用媒溶剤などからなるスラグ中に取り込み、溶銑中の燐を除去するという方法で行われている。
このように、溶銑の脱燐処理では溶銑を酸素源によって酸化精錬するので、溶銑中の炭素が酸化されて減少する所謂脱炭反応が、脱燐反応と併行して起こる。溶銑中の炭素の酸化熱は、例えば、後工程の転炉精錬の熱源として鉄スクラップやMn鉱石の溶解に利用されており、従って、溶銑の脱燐処理における脱炭反応の進行は、次工程以降における熱不足をもたらすことになる。
この熱不足を補償する手段として、脱燐処理中に溶銑中にコークス等の炭素源を添加し、溶銑中の炭素を補う或いは炭素源の燃焼熱を溶銑に着熱させる方法が多数提案されている。例えば、特許文献1には、脱燐処理中に溶銑に炭素源を吹き込み、溶銑中の炭素量を飽和濃度以上とすることによって共存するスラグ中に炭素を析出させ、このスラグ中に酸素源を吹き込んで析出した炭素を燃焼させ、熱的余裕度を向上させる脱燐処理方法が提案されている。しかしながら、この方法では、スラグ中に析出する炭素源をスラグ中に吹き込む酸素源によって燃焼しており、そのため、析出した炭素源を十分に燃焼できない場合には、スラグ中に炭素源が残留して、スラグ中のFeOがこの炭素源によって還元され、スラグの酸素ポテンシャルが低下し、脱燐反応を阻害する恐れがある。
又、特許文献2には、上底吹きの転炉型の精錬容器に装入した溶銑に脱燐用媒溶剤としてCaOを添加しつつ、酸素ガスを上吹きして脱燐処理する際に、炭素源を転炉型精錬容器の上方から添加すると共に、添加した炭素源と当量分の酸素ガスを吹き込み、炭素源の燃焼熱によってCaOの滓化を促進させた脱燐処理方法が提案されている。しかしながら、この方法では、炭素源の添加量に比例して酸素ガスの添加量が増加するため、大量の炭素源を有効に活用しようとする場合には、酸素ガスの吹き込み時間が長くなり、脱燐設備の処理能力が低下する。更に、脱燐用造滓剤のCaOと炭素源とを、精錬容器の上方から投入して添加するため、脱燐反応の場所と加炭反応の場所とが同じ場所になるため、添加した炭素源によって脱燐反応が阻害される恐れがある。
特開平9−20912号公報 特開2002−69522号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、溶銑を脱燐処理するに際し、脱燐反応を阻害することなく且つ脱燐処理能力を低下させることなく、溶銑の脱炭を抑制することの可能な脱燐処理方法を提供することである。
本発明者等は、上記課題を解決すべく、転炉型精錬容器を用い、上吹きランスから酸素ガスを溶銑湯面に吹き付け、CaO系の脱燐用造滓剤を使用して、種々の条件下で溶銑の脱燐試験を実施した。以下に、試験結果を説明する。
酸素ガスなどの気体酸素源又はミルスケールや鉄鉱石などの固体酸素源を用いて脱燐処理する際の脱燐反応は、下記の(1)式にしたがって進行する。
Figure 2005133140
この脱燐処理において、酸素ガスなどの気体酸素源又は酸化鉄などの固体酸素源を酸素源として供給する理由は、(1)式の左辺第2項のFeOをスラグ中に生成させるためであるが、酸素ガス又は酸化鉄などの酸素源を供給するので、下記の(2)式に示す脱炭反応も進行し、脱燐処理後の溶銑中の炭素濃度が低下する。
Figure 2005133140
そこで、熱余裕の補償手段として、溶銑へ炭素源を添加することにより、溶銑中の炭素濃度を増加させることを検討した。しかし、炭素源の添加方法が適切でない場合には、下記の(3)式に示す反応により、添加した炭素源が脱燐反応に必要なFeOを還元し、脱燐反応が阻害される恐れがある。つまり、(1)式の脱燐反応を進行させつつ、(3)式の還元反応が進行しないような効率的な加炭方法を採用する必要がある。
Figure 2005133140
本発明者等は、これに対処するために、精錬容器内の脱燐反応の場所と加炭反応の場所とを分離させることを検討した。その結果、以下の事象が判明した。
即ち、上吹きランスから吹き付けて供給する酸素ガスの溶銑湯面での衝突位置(「火点」と呼ぶ)でFeOを潤沢に生成させてP25 を形成させ、この火点に向けて粉体状のCaO系の脱燐用媒溶剤を吹き付けて添加すれば、P25 が潤沢に形成される場所にCaO系の脱燐用媒溶剤が直接供給されるため、(1)式に示す脱燐反応は効率良く進行することになる。つまり、粉体状のCaO系の脱燐用媒溶剤を火点に吹き付けて添加することで、火点を脱燐反応の主たる場所とすることができる。
一方、炭素源は、基本的には火点以外に供給する必要があるが、炭素源を転炉型精錬容器の上方から容器内に上置き投入することにより、投入された炭素源は落下する際に精錬容器の中心位置に直立する上吹きランスと衝突して分散し、炭素源の落下位置は精錬容器内に分散される。この場合、火点に落下する炭素源も発生するものの、精錬容器内の水平断面における火点の占める面積率は少なく、ほとんどの炭素源は火点とは異なる位置に落下し、その位置で加炭反応が進行するため、炭素源の添加による火点での脱燐反応への影響を極めて少なくすることができる。
つまり、粉体状のCaO系の脱燐用媒溶剤を火点に添加し、且つ、炭素源を上置き添加することにより、加炭反応の主たる場所は火点以外の場所となり、脱燐反応の場所と加炭反応の場所とが分離されるため、脱燐反応を効率的に進行させることができる。更に、火点以外に落下した炭素源は酸素ガスによってほとんど燃焼することなく溶銑中に溶解するので、炭素源を燃焼させるための酸素ガスは必要とせず、供給する酸素ガス量を炭素源の添加量に応じて増加する必要がない。そのため、脱燐処理時間を延長させる必要もなく、脱燐処理能力を低下させることがない。
又、試験を繰り返すうちに、炭素源を溶銑中に迅速に溶解させることができる、及び、迅速に溶解させることによって酸素ガスと反応する炭素源を少なくすることができる、更に、炭素源を転炉型の精錬容器内に比較的均一に分散させて添加することができるなどから、炭素源の添加総量が同一であっても、炭素源を連続的に上置き投入することが好ましいことが分かった。但し、「連続的に投入する」とは、連続して添加する場合のみならず、2分間程度以下の短い時間間隔で炭素源を断続的に投入する場合も含むものとする。
更に、炭素源の投入開始時期が炭素源の加炭歩留まりに影響を及ぼすことも判明した。炭素源が溶銑中に溶解するには、或る程度の時間が必要であるため、脱燐処理の末期に添加しても炭素源は溶銑中に溶け切らず、スラグ中に残留するため、脱燐処理の前半までに、炭素源の投入を開始することが好ましいことが分かった。
尚、脱燐反応を促進させる1つの手段として、従来、蛍石などの弗素源を滓化促進剤としてCaO系の脱燐用媒溶剤に加えて使用することが一般的に行われていたが、粉体状のCaO系脱燐用媒溶剤を火点に向けて吹き付けて脱燐処理すると、CaO系脱燐用媒溶剤の滓化が促進され、蛍石などの弗素源を使用しなくても、従来と同等の脱燐処理が可能であることも確認できた。この場合、滓化が促進されることにより、脱燐用造滓剤の使用原単位も大幅に低減することが分かった。尚、本発明における酸素ガスとは、工業的に純酸素ガスと呼ばれるもので、体積%で数%程度の窒素ガスなどを含有するガスも本発明における酸素ガスに含まれる。
本発明は、上記試験結果に基づいてなされたものであり、第1の発明に係る溶銑の脱燐処理方法は、転炉型の精錬容器に収容された溶銑の浴面に向けて酸素ガスを吹き付けると共に、溶銑浴面の酸素ガスの吹き付け面に向けてCaOを主体とする脱燐用媒溶剤を吹き付けて溶銑を脱燐処理する際に、前記精錬容器の上方から当該精錬容器内に炭素源を上置き添加することを特徴とするものである。
第2の発明に係る溶銑の脱燐処理方法は、第1の発明において、前記炭素源を、連続的に上置き添加することを特徴とするものである。
第3の発明に係る溶銑の脱燐方法は、第1又は第2の発明において、前記炭素源の精錬容器内への添加開始時期を、脱燐処理に要する処理時間の1/2を経過する時点までとすることを特徴とするものである。
本発明によれば、CaOを主体とする脱燐用媒溶剤を火点に吹き付けつつ、炭素源を上置き添加して精錬容器内に分散添加するので、精錬容器内の脱燐反応の場所と加炭反応の場所とが分離され、脱燐反応を阻害することなく且つ脱燐処理能力を低下させることなく、溶銑を効率良く加炭すること、換言すれば、溶銑の脱炭を抑制することができる。その結果、従来に比較して格段に溶銑の熱余裕を高めることができ、次工程の転炉脱炭精錬では、溶銑の配合比率を低くしたり、マンガン鉱石の添加量を多くすることが可能となり、省資源、省エネルギーが達成されるのみならず、転炉脱炭操業の安定化が達成され、工業上有益な効果がもたらされる。
以下、添付図面を参照して本発明を具体的に説明する。図1は、本発明に係る溶銑の脱燐処理方法を実施する際に用いる転炉型精錬設備の概略断面図である。
図1に示すように、本発明による溶銑の脱燐処理方法で用いる転炉型精錬設備1は、その外殻を鉄皮4で構成され、鉄皮4の内側に耐火物5が施行された炉本体2と、この炉本体2内に挿入され、上下方向に移動可能な鋼製の上吹きランス3とを備えている。炉本体2の上部には、収容した溶銑15を精錬後に出湯するための出湯口6が設けられ、又、炉本体2の炉底には、撹拌用ガス18を吹き込むための底吹き羽口7が設けられている。この底吹き羽口7はガス導入管8と接続されている。上吹きランス3には、酸素ガス配管9が接続されており、酸素ガス配管9を介して任意の流量で上吹きランス3から炉本体2内に酸素ガスが供給されるようになっている。
炉本体2の上方には、コークス、石炭、黒鉛、木炭、チャーなどの炭素源21を炉本体2内に投入するための、即ち、炭素源21を炉本体2内の溶銑15及びスラグ16の上に上置き添加するための炭素源添加装置20が設置されている。炭素源添加装置20としては、例えば、ホッパー、シュート、秤量機、切り出し装置などからなる慣用の原料供給装置を使用することができる。
上吹きランス3は、造滓剤移送配管19を介して、脱燐用造滓剤17を収容するディスペンサー11と接続されており、一方、ディスペンサー11には、酸素ガス配管9から分岐した酸素ガス配管9A、並びに、窒素ガス配管10が接続されている。即ち、ディスペンサー11内に供給された酸素ガス及び窒素ガスは、ディスペンサー11内の脱燐用造滓剤17の搬送用ガスとして機能し、造滓剤移送配管19を経由して上吹きランス3の先端から、炉本体2内の溶銑浴面の酸素ガスの吹き付け面に向けて、脱燐用造滓剤17を吹き付けて供給(「投射」ともいう)することができるようになっている。酸素ガス配管9,9Aには、それぞれ流量調整弁12,13が設けられ、又、窒素ガス配管10には、流量調整弁14が設けられており、酸素ガスを上吹きランス3から任意の流量で吹き込みながら、酸素ガス又は窒素ガスを、ディスペンサー11を経由して任意の流量で搬送用ガスとして吹き込むことができるようになっている。この場合、窒素ガスに代えて、Arガスや炭酸ガスなど種々の気体を搬送用ガスとして利用することができる。
上吹きランス3は、外側から順に外管、中管、内管、最内管の同心円状の4種の鋼管(図示せず)即ち四重管で構成されており、酸素ガス又は窒素ガスを搬送用ガスとする脱燐用造滓剤17が最内管の内部を通り、酸素ガスが内管と最内管との間隙を通り、外管と中間との間隙及び中管と内管との間隙は、冷却水の給排水流路となっている。尚、本発明に係る脱燐処理方法を実施する場合、上吹きランス3は脱燐用造滓剤17の供給流路を兼ねる必要はなく、上吹きランス3とは別に脱燐用造滓剤17の供給用ランスを設置してもよい。この場合には、上吹きランス3は四重管とする必要はなく、通常の三重管のランスを複数個配置すればよい。但し、炉本体2の上方部における設備配置が煩雑になるので、これを防止するためには、上吹きランス3が脱燐用造滓剤17の供給流路を兼ねることが好ましい。
このような構成の転炉型精錬設備1を用い、溶銑15に対して以下に示すようにして本発明に係る脱燐処理を実施する。
先ず、炉本体2内に溶銑15を装入する。用いる溶銑15としてはどのような組成であっても処理することができ、脱燐処理の前に脱硫処理や脱珪処理が施されていてもよい。脱珪処理とは、溶銑15に酸素ガス或いはミルスケールなどの酸化鉄を添加し、主として溶銑15中の珪素を除去する処理である。因みに、脱燐処理前の溶銑15の主な化学成分は、炭素:3.8〜5.0mass%、珪素:0.4mass%以下、硫黄:0.05mass%以下、燐:0.08〜0.3mass%程度である。但し、脱燐処理時に炉本体2内で生成されるスラグ16の量が多くなると脱燐効率が低下するので、炉本体2内のスラグ量を少なくして脱燐効率を高めるために、予め脱珪処理により、溶銑15中の珪素濃度を0.1mass%以下まで低減しておくことが好ましい。又、溶銑温度は1250〜1350℃の範囲であれば問題なく脱燐処理することができる。
次いで、底吹き羽口7から窒素ガスなどの非酸化性ガス又はArガスなどの希ガスを撹拌用ガス18として溶銑15中に吹き込みながら、上吹きランス3から溶銑15の浴面に向けて酸素ガスを吹き付けて供給すると共に、CaOを主体とする脱燐用造滓剤17を、上吹きランス3を介して溶銑浴面の酸素ガスの吹き付け面、即ち火点に向けて吹き付けて供給し、溶銑15の脱燐処理を開始する。
この場合、CaOを主体とする脱燐用造滓剤17としては、生石灰粉を使用することができる。生石灰粉にアルミナ粉や蛍石などを滓化促進剤として加えてもよいが、本発明においては、脱燐用造滓剤17を溶銑浴面の火点に吹き付けて添加するので、生石灰粉単体であっても十分に滓化するので、アルミナ粉や蛍石などの滓化促進剤は用いなくても十分に脱燐処理することができる。特に、スラグ16からの弗素の溶出量を抑えて環境を保護する観点から、蛍石などの弗素含有物質は脱燐用造滓剤17として使用しないことが好ましい。但し、弗素が不純物成分として不可避的に混入した物質については使用しても構わない。
底吹き羽口7から吹き込まれた攪拌ガス18によって溶銑15は攪拌され、浴面に吹き付けられた脱燐用造滓剤17は火点にて溶融し、スラグ16を形成し、溶銑15の脱燐反応が進行する。
この脱燐処理中、炭素源添加装置20から炉本体2内に炭素源21を投入する。炭素源21の投入開始時期は、炭素源21が溶銑15中に溶解するための時間が必要であることから、脱燐処理の末期では好ましくなく、脱燐処理に費やす処理時間、即ち上吹きランス3から酸素ガスを供給している時間の内の少なくとも1/2を経過する前までに、炭素源21の投入を開始することが好ましい。そして、投入開始したならば、所定量の炭素源21を添加し終えるまで、連続的に投入することが好ましい。但し、前述したように、「連続的に投入する」とは、連続して添加する場合のみならず、2分間程度以下の短い時間間隔で炭素源21を投入する場合も含むものとする。炭素源21の添加量は、脱燐処理前の溶銑中の炭素濃度に応じて調整するが、最大でも溶銑トン当たり10kg程度で十分である。溶銑15における炭素の飽和濃度以上には加炭しないので、過剰に添加しても歩留まりの悪化を招くだけである。
脱燐処理時の酸素源が気体の酸素ガスのみでは溶銑温度が上昇し過ぎて脱燐反応が阻害される場合もあるので、必要に応じて固体酸素源としてミルスケールや鉄鉱石などの酸化鉄を添加してもよい。酸素ガスの添加量と固体酸素源の添加量との比は、溶銑15中の珪素濃度、燐濃度、炭素濃度などに応じて適宜変更することができる。又、脱燐用造滓剤17の投入量は、溶銑15中の珪素濃度及び燐濃度に応じて変更することとするが、スラグ16の塩基度(CaO/SiO2 )が2以上の範囲であるならば、最大でも溶銑トン当たり40kg程度であれば十分である。又、ランス高さは特に限定する必要はなく、スラグ16の生成量などを勘案して設定すればよい。
以上説明したように、本発明に係る溶銑の脱燐処理方法では、溶銑浴面の酸素ガスの吹き付け面に向けてCaOを主体とする脱燐用媒溶剤17を吹き付けて溶銑15を脱燐処理する際に、炭素源21を炉本体2内に上置き添加して炉本体2内に分散添加するので、脱燐反応の場所と加炭反応の場所とが分離されて、脱燐反応を阻害することなく且つ脱燐処理能力を低下させることなく、溶銑15を効率良く加炭することができる。その結果、溶銑15の熱余裕を高めることができ、次工程の転炉脱炭精錬では、溶銑の配合比率を低くしたり、マンガン鉱石の添加量を多くすることが可能となり、省資源、省エネルギーが達成されるのみならず、転炉脱炭操業の安定化が達成される。又、蛍石などの弗素含有物質を脱燐用造滓剤17として使用しない場合には、脱燐処理で生成したスラグ16を再利用する際に、スラグ16からの弗素の溶出を考慮する必要がなく、スラグ16の再利用を促進させることができる。
高炉から出銑された溶銑を、溶銑鍋内で脱珪処理し、次いで、機械式攪拌装置を用いて脱硫処理した後、図1に示す容量が300トンの転炉型精錬設備に装入して本発明の脱燐処理を実施(本発明例)した。
脱燐処理は、上吹きランスから酸素ガスを溶銑浴面に吹き付けると同時に、脱燐用造滓剤として生石灰粉のみを用い、窒素ガスを搬送用ガスとし、上吹きランスを介して溶銑湯面の火点に向けて生石灰粉を吹き付けて実施した。脱燐処理中、炭素源を炉本体の上方に設置したホッパーから連続的に炉本体内に上置き添加した。又、底吹き羽口から窒素ガスを0.07〜0.12Nm3 /min・tの供給量で吹き込み、溶銑を攪拌した。処理前後の溶銑温度は1280〜1350℃の範囲に調整した。
又、比較のために、脱燐用造滓剤としての生石灰を上吹きランスを介して添加せず、炉本体の上方に設置したホッパーから炉本体内に上置き添加し、且つ炭素源を添加しない脱燐処理も実施(比較例)した。比較例におけるその他の操業条件は、本発明例に準じた。本発明例1〜7及び比較例1〜8における操業条件及び操業結果を表1に示す。尚、表1の脱燐CaO原単位は、全CaO原単位から2CaO・SiO2 の生成に必要なCaO分を減じたものであり、脱燐酸素原単位は、全酸素原単位からSiO2 の生成に必要な酸素分を減じたものである。又、脱燐処理時間は、上吹きランスから酸素ガスを供給している期間であり、添加開始時間は、上吹きランスから酸素ガスの供給を開始した後の経過時間で表している。
Figure 2005133140
本発明例及び比較例における脱炭量と脱燐量との相関を図2に示す。図2に示すように、本発明例1〜7は、比較例1〜8と比較して、脱燐量はほぼ同等であり、且つ脱炭量が少なくなることが分かった。又、脱燐処理時間及び酸素ガス原単位は、炭素源を添加していない比較例と比べてもほぼ同等であり、炭素源の添加による酸素供給量の増加及び処理時間延長の必要が全くないことが分かった。
このように、本発明例では、脱燐反応の場所と加炭反応の場所とが分離されるので、脱燐反応を阻害することなく、効率良く溶銑の加炭を行うことができ、更に、粉体状の生石灰を火点に直接投射することで、従来の塊状生石灰を上置き添加する方法よりも少ない生石灰原単位で、効率的に脱燐処理を行えることが確認できた。
図3は、本発明例において、炭素源の歩留まりに及ぼす炭素源の添加開始時期の影響を調査するために、炭素源の添加開始時間を脱燐処理時間で除算した値と炭素源の歩留まりとの関係を示す図である。図3からも明らかなように、炭素源の添加開始時期が脱燐処理時間の1/2よりも後半の場合には、炭素源の歩留まりが著しく低下することが分かった。これは、炭素源が溶銑中に溶解するには、或る程度の時間が必要であるため、脱燐処理の末期に添加しても炭素源は溶銑中に溶け切らず、スラグ中に残留するだけで、歩留まりが低下したためである。即ち、脱燐処理の前半までに、炭素源の投入を開始することが好ましいことが確認できた。
本発明に係る溶銑の脱燐処理方法を実施する際に用いる転炉型精錬設備の概略断面図である。 本発明例及び比較例における脱炭量と脱燐量との相関を示す図である。 本発明例において、炭素源の添加開始時間を脱燐処理時間で除算した値と炭素源の歩留まりとの関係を示す図である。
符号の説明
1 転炉型精錬設備
2 炉本体
3 上吹きランス
4 鉄皮
5 耐火物
6 出湯口
7 底吹き羽口
8 ガス導入管
9 酸素ガス配管
10 窒素ガス配管
11 ディスペンサー
12 流量調整弁
13 流量調整弁
14 流量調整弁
15 溶銑
16 スラグ
17 脱燐用造滓剤
18 撹拌用ガス
19 造滓剤移送配管
20 炭素源添加装置
21 炭素源

Claims (3)

  1. 転炉型の精錬容器に収容された溶銑の浴面に向けて酸素ガスを吹き付けると共に、溶銑浴面の酸素ガスの吹き付け面に向けてCaOを主体とする脱燐用媒溶剤を吹き付けて溶銑を脱燐処理する際に、前記精錬容器の上方から当該精錬容器内に炭素源を上置き添加することを特徴とする、溶銑の脱燐処理方法。
  2. 前記炭素源を、連続的に上置き添加することを特徴とする、請求項1に記載の溶銑の脱燐方法。
  3. 前記炭素源の精錬容器内への添加開始時期を、脱燐処理に要する処理時間の1/2を経過する時点までとすることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の溶銑の脱燐処理方法。
JP2003369869A 2003-10-30 2003-10-30 溶銑の脱燐処理方法 Expired - Fee Related JP4423927B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003369869A JP4423927B2 (ja) 2003-10-30 2003-10-30 溶銑の脱燐処理方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003369869A JP4423927B2 (ja) 2003-10-30 2003-10-30 溶銑の脱燐処理方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005133140A true JP2005133140A (ja) 2005-05-26
JP4423927B2 JP4423927B2 (ja) 2010-03-03

Family

ID=34647046

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003369869A Expired - Fee Related JP4423927B2 (ja) 2003-10-30 2003-10-30 溶銑の脱燐処理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4423927B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013072111A (ja) * 2011-09-28 2013-04-22 Jfe Steel Corp 溶銑の脱燐処理方法
WO2015011910A1 (ja) * 2013-07-25 2015-01-29 Jfeスチール株式会社 溶銑の脱燐処理方法

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013072111A (ja) * 2011-09-28 2013-04-22 Jfe Steel Corp 溶銑の脱燐処理方法
WO2015011910A1 (ja) * 2013-07-25 2015-01-29 Jfeスチール株式会社 溶銑の脱燐処理方法
CN105408501A (zh) * 2013-07-25 2016-03-16 杰富意钢铁株式会社 铁水的脱磷处理方法
JP6011728B2 (ja) * 2013-07-25 2016-10-19 Jfeスチール株式会社 溶銑の脱燐処理方法
TWI568856B (zh) * 2013-07-25 2017-02-01 杰富意鋼鐵股份有限公司 熔鐵的脫磷處理方法
JPWO2015011910A1 (ja) * 2013-07-25 2017-03-02 Jfeスチール株式会社 溶銑の脱燐処理方法
CN105408501B (zh) * 2013-07-25 2017-06-20 杰富意钢铁株式会社 铁水的脱磷处理方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4423927B2 (ja) 2010-03-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5954551B2 (ja) 転炉製鋼法
JP5408369B2 (ja) 溶銑の予備処理方法
JP6164151B2 (ja) 転炉型精錬炉による溶鉄の精錬方法
JP6011728B2 (ja) 溶銑の脱燐処理方法
JP5408379B2 (ja) 溶銑の予備処理方法
JP5870584B2 (ja) 溶銑の脱燐処理方法
JP4487812B2 (ja) 低燐溶銑の製造方法
JP5999157B2 (ja) 転炉での溶銑の精錬方法
JP4894325B2 (ja) 溶銑の脱燐処理方法
JP2006249569A (ja) 低燐溶銑の製造方法
JP4423927B2 (ja) 溶銑の脱燐処理方法
JP2015042780A (ja) 転炉における溶銑の脱燐処理方法
JP2018188730A (ja) 転炉製鋼方法
JP5272378B2 (ja) 溶銑の脱燐処理方法
JP4513340B2 (ja) 溶銑の脱燐処理方法
JP3912176B2 (ja) 低燐溶銑の製造方法
JP2004083989A (ja) 低燐溶銑の製造方法
JP2005068533A (ja) 溶銑の脱燐方法
JP3832386B2 (ja) 低燐溶銑の製造方法
JP4305127B2 (ja) 溶銑の脱燐処理方法
JP2007009237A (ja) 低燐溶銑の製造方法
WO2018123666A1 (ja) 溶銑の脱燐方法及び精錬剤
JP2005048238A (ja) 溶銑の脱燐方法
JP2006124840A (ja) 低燐溶銑の製造方法
JP2004143544A (ja) 溶銑の脱硫方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060824

RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20060921

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090323

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090414

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090611

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20091117

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20091130

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 4423927

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121218

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121218

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131218

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees