JP2005129836A - 基板接合体の製造方法、基板接合体、電気光学装置、並びに電子機器 - Google Patents

基板接合体の製造方法、基板接合体、電気光学装置、並びに電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】 電子素子の実装不良が少なく、信頼性の高い基板接合体の製造方法を提供する。
【解決手段】 接合材25bを介して配線22上に電子素子24を配置し、局部的なビーム照射により接合材25bを加熱し、電子素子24と配線22とを接合する。
【選択図】 図6

Description

本発明は、基板接合体の製造方法、基板接合体、電気光学装置、並びに電子機器に関し、特に、電子素子の転写に用いられる接合材の配置技術に関する。
一般に、液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス(以下、ELと称する。)装置等の半導体応用装置においては、変形や落下による壊れ防止、低コスト化等の理由等により下地基板にプラスチック基板を使用することが望ましい場合がある。
しかし、パネル型の表示装置に使用される薄膜トランジスタ(以下、TFTと称する)は、高温プロセスの製造工程によって製造されるので、当該高温プロセスによる製造方法を用いてプラスチック基板上にTFTを形成したり、有機EL素子等の回路素子を形成したりすると、基板の熱変形や回路素子の破壊、素子寿命の低下を招いてしまい、結果として所望の半導体応用装置を製造するのが難しい。
そこで、近年では、高温プロセスを含む従来の半導体製造技術を用いてTFT等の電子素子(電子デバイス)を耐熱性の基礎基板上に製造した後に、当該基板から電子素子が形成されている素子形成膜(層)を剥離し、これを接合材を介してプラスチック基板等の配線基板に貼り付けることにより、プラスチック基板や有機EL素子等の回路素子等を高温プロセスに曝すのを回避する転写技術が提案されている。これらの転写技術は、例えば特許文献1〜特許文献3に詳細に説明されている。
特開平10−125929号公報 特開平10−125930号公報 特開平10−125931号公報
ところで、上記した技術において、基礎基板上の電子素子を配線基板に貼り付ける工程では、一般的な電子素子の実装方法に用いられる手法と同様に、配線基板の全体を加熱して接合材を溶融あるいは熱硬化させ、配線基板上の配線と基礎基板上の電子素子とを接合している。
ところが、基板全体を接合材の溶融温度(あるいは熱硬化温度)に加熱すると、反りなどの基板の熱変形が生じる場合がある。特に、プラスチック基板ではこうした熱変形が生じやすい。電子素子の接合時に基板が熱変形すると、電子素子の実装不良が生じ、その配線基板を用いた装置の品質低下を招くおそれがある。特に、上述した転写技術では、基板同士の間で電子素子の転写を行うことから、基板の熱変形が生じると、基板間隔が場所によって変化するなどにより、実装不良が生じやすい。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、配線と電子素子とを接合する際の基板の熱変形を抑制することが可能な電子素子の実装方法並びに配線基板を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、電子素子の実装不良が少なく、信頼性の高い基板接合体及びその製造方法、並びに電気光学装置を提供することにある。
上記の目的を達成するために本発明は、以下の構成を採用している。
本発明の基板接合体の製造方法は、第1基板上に形成された電子素子を第2基板上に形成された配線上に転写配置する工程を有する基板接合体の製造方法であって、前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせ、接合材を介して前記配線上に前記電子素子を配置する工程と、局部的なビーム照射により前記接合材を加熱し、前記電子素子と前記配線とを接合する工程とを有することを特徴としている。
ここで、前記ビームの照射領域は、例えば、前記接合材の配置領域と同程度以下の大きさにするとよい。
本発明の基板接合体の製造方法によれば、局部的なビーム照射によって接合材を加熱するので、第1基板あるいは第2基板内において接合に必要な箇所以外への加熱が抑制される。すなわち、接合時の加熱箇所が、基板の全体ではなく、主として接合に必要な箇所に限定される。その結果、基板全体が受ける熱量の軽減化が図られ、反りなどの基板の熱変形が抑制される。そして、基板の熱変形が抑制されることにより、電子素子の転写配置が安定的に行われ、信頼性の高い基板接合体を製造することが可能となる。
上記の基板接合体の製造方法において、前記ビームが、パルスレーザ光であることにより、接合材を短時間で加熱することが可能となる。その結果、スループットの向上が図られる。
また、上記の基板接合体の製造方法において、前記電子素子と前記配線との接合箇所は、複数箇所からなり、前記ビームの照射タイミングを、前記接合箇所ごとに変えてもよい。
複数の接合箇所の間でビームの照射タイミングを変えることにより、接合箇所ごとに加熱されるタイミングがずれる。そのため、基板全体が時間あたりに受ける熱量の軽減化が図られ、反りなどの基板の熱変形がより確実に抑制される。
この場合、前記ビームの照射位置を、複数の前記接合箇所のうち、一の接合箇所から隣りの接合箇所に順に移動させてもよい。
この場合、ビームの照射位置を無駄なく移動させ、処理スピードの向上を図ることが可能となる。
あるいは、前記ビームの照射位置を、複数の前記接合箇所のうち、一の接合箇所から別の接合箇所を間に挟んだ他の接合箇所に順に移動させてもよい。
この場合、連続する2つのビームの照射位置の間隔が離れることから、基板内における加熱箇所が分散され、反りなどの基板の熱変形が抑制される。
また、上記の基板接合体の製造方法において、前記電子素子と前記配線との接合後に、前記第1基板にビームを照射して前記第1基板から前記電子素子を剥離する工程を有するとき、前記接合材の加熱と前記電子素子の剥離とを同一のビームで行ってもよい。
この場合、前記接合材の加熱用のビーム照射と電子素子の剥離用のビーム照射とを同時に行ってもよく、別のタイミングで行ってもよい。
同一のビームを用いることにより、この装置方法を実施するための装置の構成の簡素化が図られる。また、同一のビームによって接合材の加熱と電子素子の剥離とを同時に行うことにより、処理スピードの向上が図られる。
また、上記の基板接合体の製造方法において、前記電子素子と前記配線との少なくとも一方には、導電性突起部が形成されていてもよい。
導電性突起部の形成材料としては、Cu、Ni、NiAu、Au、Sn、鉛フリーはんだ等が挙げられる。
導電性突起部により、電子素子と配線との電気的な接続がより確実になされる。
ここで、接合体は、導電性であってもよく非導電性であってもよい。前記電子素子と前記配線との少なくとも一方に、上記導電性突起部が形成されていることにより、非導電性の接合材を用いても、電子素子と配線との電気的な接続をより確実に行うことができる。なお一般に、非導電性の接合材は、導電性の接合材に比べて安価である。
また、前記電子素子と前記配線との少なくとも一方に、電気接続用のろう材を配置してもよい。
ろう材としては、鉛フリーはんだ、Sn(すず)など、種々のろう材が適用可能である。
これにより、電子素子と配線とを合金接合することが可能となり、接合信頼性の向上が図られる。
本発明の基板接合体は、上記の基板接合体の製造方法によって製造されたことを特徴としている。
また、本発明の電気光学装置は、上記の基板接合体を備えることを特徴としている。
また、本発明の電子機器は、上記の電気光学装置を備えることを特徴としている。
本発明の基板接合体、電気光学装置、並びに電子機器によれば、電子素子の実装不良が抑制され、信頼性の向上が図られる。
以下、本発明の実施の形態例について図面を参照して説明する。
ここで、図1は本発明の基板接合体及び電気光学装置の概略構成を示す断面図、図2から図11は本発明の基板接合体及び電気光学装置の製造工程を説明するための説明図、図12及び図13はビーム(レーザ光)を照射する順番の一例を示す図、図14はTFTの電極を突起状に形成した例を示す図、図15は発明の電気光学装置を電子機器に適用した例を示す図である。
なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
(電気光学装置及び基板接合体)
図1に示すように、電気光学装置10は、少なくとも基板接合体11を具備した構成となっている。当該基板接合体11は、配線基板20と、有機EL基板(発光素子基板)30とを後述の貼り合わせ及び転写工程によって接合した構成となっている。
配線基板20は、多層基板21と、多層基板21に形成された所定形状の配線パターン22と、配線パターン22に接続された回路部(IC)23と、有機EL素子31を駆動させるTFT(スイッチング素子)24と、TFT24と配線パターン22とを接合するTFT接続部25と、有機EL素子31と配線パターン22とを接合する有機EL接続部26とによって構成されている。
ここで、TFT接続部25は、TFT24の端子パターンに応じて形成されるものであり、無電解メッキ処理等によって形成されたバンプ(導電性突起部)25aと、バンプ25a上に配置される接合材25bとから構成される。
有機EL基板30は、発光光が透過する透明基板32と、ITO等の透明金属からなる陽極33と、正孔注入/輸送層34と、有機EL層35と、陰極(カソード)36と、カソードセパレータ37とを含んで構成されている。
ここで、陽極33、正孔注入/輸送層34、有機EL層35、及び陰極36等により、有機EL層35に対して正孔及び電子を供給して発光させる、所謂発光機能素子(有機EL素子31)が構成される。なお、このような発光機能素子の詳細な構造は、公知技術が採用される。また、有機EL層35と陰極36との間に電子注入/輸送層を形成してもよい。
さらに、配線基板20と有機EL基板30との間には、封止ペースト38が充填されているとともに、有機EL接続部26及び陰極36間を電気的に導通させる導電性ペースト39が設けられている。
なお、本実施形態においては、発光素子基板として有機EL基板を採用した場合について説明するが、これに限定することなく、LED等の固体発光素子を有する発光素子基板を採用してもよい。
(電気光学装置及び基板接合体の製造方法)
次に、図1に示す電気光学装置10及び基板接合体11の製造方法について図2から図12を参照して説明する。
(基礎基板の製造方法)
まず、図2を参照し、TFT24を配線基板20に貼り合わせ及び転写させる前工程として、基礎基板40上にTFTを形成する工程について説明する。
なお、TFT24の製造方法は、高温プロセスを含む公知の技術が採用されるので、説明を省略し、基礎基板40と剥離層41について詳述する。
基礎基板40は、電気光学装置10の構成要素ではなく、TFT製造工程と、貼り合わせ及び転写工程にのみに用いられる部材である。具体的には、1000℃程度に耐える石英ガラス等の透光性耐熱基板が好ましい。また、石英ガラスの他、ソーダガラス、コーニング7059、日本電気ガラスOA−2等の耐熱性ガラス等が使用可能である。
この基礎基板の厚さには、大きな制限要素はないが、0.1mm〜0.5mm程度であることが好ましく、0.5mm〜1.5mm程度であることがより好ましい。基礎基板の厚さが薄すぎると強度の低下を招き、逆に厚すぎると基台の透過率が低い場合に照射光の減衰を招くからである。ただし、基台の照射光の透過率が高い場合には、前記上限値を超えてその厚みを厚くすることができる。
剥離層41は、レーザ光等の照射光により当該層内や界面において剥離(「層内剥離」又は「界面剥離」ともいう)が生じる材料からなる。即ち、一定の強度の光を照射することにより、構成物質を構成する原子又は分子における原子間又は分子間の結合力が消失し又は減少し、アブレーション(ablation)等を生じ、剥離を起こすものである。また、照射光の照射により、剥離層41に含有されていた成分が気体となって放出され分離に至る場合と、剥離層41が光を吸収して気体になり、その蒸気が放出されて分離に至る場合とがある。
剥離層41の組成としては、例えば、非晶質シリコン(a−Si)が採用され、また、当該非晶質シリコン中に水素(H)が含有されていてもよい。水素が含有されていると、光の照射により、水素が放出されることにより剥離層41に内圧が発生し、これが剥離を促進するので好ましい。この場合の水素の含有量は、2at%程度以上であることが好ましく、2〜20%at%であることが更に好ましい。水素の含有量は、成膜条件、例えば、CVD法を用いる場合には、そのガス組成、ガス圧力、ガス雰囲気、ガス流量、ガス温度、基板温度、投入するパワー等の条件を適宜設定することによって調整する。この他の剥離層材料としては、酸化ケイ素もしくはケイ酸化合物、窒化ケイ素、窒化アルミ、窒化チタン等の窒化セラミックス、有機高分子材料(光の照射によりこれらの原子間結合が切断されるもの)、金属、例えば、Al、Li、Ti、Mn、In、Sn、Y、La、Ce、Nd、Pr、GdもしくはSm、又はこれらのうち少なくとも一種を含む合金が挙げられる。
剥離層41の厚さとしては、1nm〜20μm程度であるのが好ましく、10nm〜2μm程度であるのがより好ましく、20nm〜1μm程度であるのが更に好ましい。剥離層41の厚みが薄すぎると、形成された膜厚の均一性が失われて剥離にむらが生じるからであり、剥離層41の厚みが厚すぎると、剥離に必要とされる照射光のパワー(光量)を大きくする必要があったり、また、剥離後に残された剥離層41の残渣を除去するのに時間を要したりする。
剥離層41の形成方法は、均一な厚みで剥離層41を形成可能な方法であればよく、剥離層41の組成や厚み等の諸条件に応じて適宜選択することが可能である。例えば、CVD(MOCCVD、低圧CVD、ECR−CVD含む)法、蒸着、分子線蒸着(MB)、スパッタリング法、イオンドーピング法、PVD法等の各種気相成膜法、電気メッキ、浸漬メッキ(ディッピング)、無電解メッキ法等の各種メッキ法、ラングミュア・プロジェット(LB)法、スピンコート法、スプレーコート法、ロールコート法等の塗布法、各種印刷法、転写法、インクジェット法、粉末ジェット法等に適用できる。これらのうち2種以上の方法を組み合わせてもよい。
特に剥離層41の組成が非晶質シリコン(a−Si)の場合には、CVD法、特に低圧CVDやプラズマCVDにより成膜するのが好ましい。また、剥離層41をゾル−ゲル(sol-gel)法によりセラミックを用いて成膜する場合や有機高分子材料で構成する場合には、塗布法、特にスピンコートにより成膜するのが好ましい。
(配線基板の製造方法)
次に、図2に示した基礎基板40の製造工程と並行して、図3に示す配線基板20の製造工程(配線基板の製造方法)が行われる。
まず、ガラス基板20aの表面に酸化シリコン膜(SiO2)20bをCVD(化学的気相成長)法を用いて形成する。当該酸化シリコン膜20bの膜厚は例えば200nm程度である。
次に、酸化シリコン膜20b上に配線パターン22を形成する。本例では、配線パターン22を形成する工程と、樹脂絶縁層20cを形成する工程とを繰り返すことにより、配線パターン22を複数の層に分けて形成する。
配線パターン22は、積層構造であることが好ましく、例えば、チタニウム、アルミ銅合金、及び窒化チタニウムの3層構造(Ti/Al・Cu/TiN)が採用される。この場合、各層膜の膜厚はそれぞれ20nm、300nm、100nm程度であることが好ましい。また、配線パターン22として、例えば、チタニウム、窒化チタニウム、アルミ銅合金(銅含有量2%)、及び窒化チタニウムからなる4層構造(Ti/TiN/Al・2%Cu/H−TiN)が採用される。この場合、各層膜の膜厚はそれぞれ20nm、50nm、1600nm、50nm程度であることが好ましい。また、配線パターン22として、チタニウム、窒化チタニウム、及びアルミ銅合金からなる3層構造(Ti/TiN/Al・Cu)が採用される。この場合、各層膜の膜厚はそれぞれ20nm、50nm、100nm程度であることが好ましい。
樹脂絶縁層20cとしては、例えばアクリル樹脂が用いられる。
そして、ガラス基板20a上に、酸化シリコン膜20bと、樹脂絶縁層20cと、配線パターン22とが積層されることにより、多層基板21が形成される。
また、樹脂絶縁層20cの一部を除去することにより、配線パターン22の一部が露出状態となり、当該露出部分は後の工程でメッキを形成するためのパッド20dとなる。
(バンプの形成方法)
次に、上記配線パターン22上にTFT接続用のバンプ25aを形成する。具体的には、以下に詳述する無電解メッキ処理法を用いて、配線パターン22の露出部分であるパッド20d上にバンプ25aを形成する。
まず、パッドの表面の濡れ性向上、及び残さを除去するために処理液に浸漬する。一例として、フッ酸が0.01%〜0.1%、及び硫酸が0.01%〜0.1%含有した水溶液中に1分〜5分間含浸する。あるいは0.1%〜10%の水酸化ナトリウム等のアルカリベースの水溶液に1分〜10分浸漬してもよい。
次に、水酸化ナトリウムベースでpHが9〜13のアルカリ性水溶液を20℃〜60℃に加温した中に1秒〜5分間浸漬し、表面の酸化膜を除去する。あるいは5%〜30%硝酸をベースとしたpH1〜3の酸性水溶液を20℃〜60℃に加温した中に1秒〜5分間浸漬してもよい。
次に、ZnOを含有したpH11〜13のジンケート液中に1秒〜2分間浸漬し、パッド表面をZnに置換する。その後、5%〜30%の硝酸水溶液に1秒〜60秒浸漬し、Znを剥離する。そして、再度ジンケート浴中に1秒〜2分浸漬し、緻密なZn粒子をパット表面に析出させる。その後、無電解Niメッキ浴に浸漬し、Niメッキを形成する。メッキ高さは2μm〜10μm程度析出させる。メッキ浴は次亜リン酸を還元剤とした浴であり、pH4〜5、浴温85℃〜95℃である。
このような工程においては、次亜リン酸浴を行うので、リン(P)が共析する。最後に置換Auメッキ浴中に浸漬し、Ni表面をAuにする。Auは0.05μm〜0.3μm程度に形成する。Au浴はシアンフリータイプを用い、pH6〜8、浴温50℃〜80℃で、1分〜30分間の浸漬を行う。
このようにしてパッド20d上にNi−Auバンプ(バンプ25a)を形成する。また、Ni−Auメッキバンプ上に、半田やPbフリー半田を、例えばSn−Ag−Cu系等の半田をスクリーン印刷やディッピング等で形成してバンプとしてもよい。
なお、各化学処理の間には、水洗処理を行う。水洗槽はオーバーフロー構造あるいはQDR機構を有しており、最下面からN2バブリングを行う。バブリング方法は、テフロン(登録商標)製のチューブ等に穴を開け、N2を出す方法や、焼結体等を通じてN2を出す。以上の工程により、短時間で十分効果のあるリンスを行うことができる。
このような一連の無電解メッキ処理を行うことにより、配線基板20(多層基板21)上にバンプ25aが形成され、配線基板20の製造方法が終了となる。
(TFTの転写工程)
次に、図4から図8を参照して、上記の配線基板20と基礎基板40とを貼り合わせて、TFT24を配線基板20に転写する方法について説明する。
ここで、転写工程としては公知の技術が採用されるが、本実施形態では特にSUFTLA(Surface Free Technology by Laser Ablation)(登録商標)を用いて行われる。
まず、図4に示すように、基礎基板40を反転し、また、TFT24とバンプ25aとの間に、接合材25bを配置し、基礎基板40と配線基板20とを貼り合わせる(配置工程)。
なお、接合材25bとしては、熱硬化性あるいは熱可塑性の材料が用いられる。本例では、異方性導電粒子(ACP)を含むエポキシ系熱硬化性樹脂や、ポリイミド系熱可塑性樹脂などの樹脂材料を用いる。この他、接合材25bとして、Agペースト、はんだペースト、非導電粒子(NCP)を含有する導電ペースト等も用いることが可能である。
また、接合材25bの配置方法は、印刷法、塗布法など様々な方法が適用可能である。
次に、図6に示すように、接合材25bを加熱し、TFT24とバンプ25aとを接合する(接合工程)。このとき、本例では、局所的なレーザ光LA1の照射により接合材25bを加熱する。
具体的には、照射領域を接合材25bの配置領域と同程度以下の大きさに制限したレーザ光LA1を、接合材25bが配置された部分のみに局所的に、基礎基板40の裏面側(TFT非形成面)から照射する。レーザ光としては、エキシマレーザ光、LDレーザ光、YAGレーザ光、Arレーザ光、CO2レーザ光、N2レーザ光などが挙げられる。接合材25bの硬化あるいは軟化条件に基づいて、レーザ光の波長や照射時間が適宜定められる。また、パルスレーザ光を用いることにより、接合材25bを短時間で加熱することが可能となる。レーザ光LA1の照射により、接合材25bが温度上昇し、接合材25bの熱硬化あるいは軟化を経て、TFT24(電極)とバンプ25aとが接合される。
次に、図7に示すように、接合材25bが配置された部分のみを局所的に、かつ、基礎基板40の裏面側(TFT非形成面)から、レーザ光LA2を照射する。これにより、剥離層41の原子や分子の結合が弱まり、また、剥離層41内の水素が分子化し、結晶の結合から分離され、即ち、TFT24と基礎基板40との結合力が完全になくなり、レーザ光LA2が照射された部分のTFT24を容易に取り外すことが可能となる。
次に、図8に示すように、基礎基板40と配線基板20とを引き離すことにより、基礎基板40上からTFT24が除去されるとともに、当該TFT24が配線基板20に転写される。なお、TFT24の端子は、上記のバンプ25a及び接合材25bを介して、配線パターン22に電気的に接続されている。
(有機EL基板の貼り合わせ工程)
次に、図9から図11を参照して、上記の配線基板20と有機EL基板30とを貼り合わせて、最終的に図1に示す電気光学装置10を形成する工程について説明する。
図9に示すように、有機EL基板30は、透明基板32上に、順に陽極33と、正孔注入/輸送層34と、有機EL層35と、陰極36とが形成された構造となっている。また、陰極36は、カソードセパレータ37が形成された状態で成膜されるので、陰極36は隣接する陰極と分離されている。
また、図10に示すように、配線基板20の有機EL接続部26上には導電性ペースト39が配置されている。ここで、導電性ペースト39としては、例えば、Agペースト、はんだペースト、異方性導電粒子(ACP)を含有する導電ペースト、非導電粒子(NCP)を含有する導電ペースト等が用いられる。
図11に示すように、有機EL基板30を反転し、陰極36が導電性ペースト39と接触するように、有機EL基板30と配線基板20とが貼り合わされる。更に、両基板間の空間に封止ペースト38が封入され、更に、両基板の周辺を封止剤42によって封止することにより、電気光学装置10が完成となる。
この電気光学装置10は、有機EL基板30における配線基板20側から、順に陰極36、有機EL層35、正孔注入/輸送層34、陽極33が配置された、陽極33側から発光光を取り出すトップエミッション型の有機EL装置となる。
このように、本実施形態においては、電子素子としてのTFT24と配線基板20のバンプ25aとを接合するとき、局所的なレーザ光LA1の照射によって接合材25bを加熱する。そのため、基礎基板40あるいは配線基板20内において接合に必要な箇所以外への加熱が抑制される。すなわち、接合時の加熱箇所が、基板(配線基板20あるいは基礎基板40)の全体ではなく、主として接合材25bが配置された箇所の近傍の箇所に限定される。
こうした局所的な加熱により、本実施形態では、TFT24の転写配置時に配線基板20あるいは基礎基板40が受ける熱量の軽減化が図られ、反りなどの基板の熱変形が抑制される。そして、基板の熱変形が抑制されることで、TFT24の転写配置が安定的に行われ、例えば、基礎基板40上の複数のTFT24を一度に配線基板20上に転写する場合にも、配線基板20と基礎基板40との間隙が基板全体で均一に保たれ、複数のTFT24が配線基板20上に同時かつ安定的に転写配置される。そのため、上記方法により製造された電気光学装置10は、高い信頼性を得ることが可能となる。
ここで、図6に示した接合材25bの加熱と図7に示したTFT24の剥離とを同一のレーザ光を用いて行ってもよい。この場合、同一のレーザ光の照射によって接合材25bの硬化と剥離層41の結合力の解除とがともに行われるように、接合材25bの特性、剥離層41の特性、及びレーザ光の波長の組み合わせの最適化を図る。これにより、工程や製造装置の構成の簡素化が図られ、また、処理スピードの向上が図られる。
なお、接合材25bの加熱とTFT24の剥離との間で異なるレーザ光(LA1、LA2)を用いるときに、レーザ光LA1、LA2の照射を同時に行ってもよい。この場合、レーザ光LA1とレーザ光LA2とを同一軸上で照射してもよく、互いに異なる方向から照射してもよい。
また、接合材25bの配置箇所(接合箇所)が複数箇所からなる場合、レーザ光LA1の照射タイミングを、接合箇所ごとに変えてもよい。この場合、接合箇所ごとに加熱されるタイミングがずれるため、基板(配線基板20、基礎基板40)全体が時間あたりに受ける熱量の軽減化が図られ、反りなどの基板の熱変形がより確実に抑制される。
図12及び図13は、接合材25bの配置箇所(接合箇所)が複数箇所からなる基板(配線基板20、基礎基板40)に対して、レーザ光LA1を照射する順番を示している。
図12の例では、レーザ光LA1の照射位置を、複数の接合箇所(接合材25b)のうち、一の接合箇所から隣りの接合箇所に順に移動させる。すなわち、一つの接合箇所に対するレーザ照射が終了すると、次に、その隣の接合箇所をレーザ照射する工程を繰り返す。この例では、レーザ光LA1の照射位置を無駄なく移動させることができるので、処理スピードの向上が図られる。
一方、図13の例では、レーザ光LA1の照射位置を、複数の接合箇所(接合材25b)のうち、一の接合箇所から別の接合箇所を間に挟んだ他の接合箇所に順に移動させている。すなわち、一つの接合箇所に対するレーザ照射が終了すると、次に、隣接しない接合箇所をレーザ照射する工程を繰り返す。このとき、連続する2つの照射位置は、なるべく距離を離すのが好ましい。この例では、連続する2つのレーザ光LA1の照射位置の間隔が離れることから、基板(配線基板20、基礎基板40)内における加熱箇所が分散され、反りなどの基板の熱変形がより確実に抑制される。
なお、レーザLA1の照射順序は、上述したものに限らず任意に設定可能である。
図14は、TFT24の電極24aを突起状に形成した例を示している。この場合、導電性突起部である電極24aの形成材料としては、例えば、Cu、Ni、NiAu、Au、Sn、鉛フリーはんだ等が挙げられる。なお、配線基板20側のバンプ25aには、鉛フリーはんだ、Sn(すず)などのろう材を配置しておくのが合金接続の信頼性を確保する上で好ましい。
TFT24の電極24aが他の部分よりも突出して形成されていることにより、TFT24と配線パターン22(バンプ25a)とを確実に電気接続することが可能となる。この場合、上述した複数の電極24aを含む領域全体に接合材25bを配置する場合などにおいて、非導電性の接合材25bを用いるときにも、TFT24と配線パターン22とを電気的に確実に接続できるという利点を有している。
次に、本発明の電気光学装置を電子機器に適用した例について説明する。
図15(a)は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図15(a)において、600は携帯電話本体を示し、601は上記実施形態の有機EL装置を備えた表示部を示している。
図15(b)は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図15(b)において、700は情報処理装置、701はキーボードなどの入力部、703は情報処理本体、702は上記実施形態の有機EL装置を備えた表示部を示している。
図15(c)は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図15(c)において、800は時計本体を示し、801は上記実施形態の有機EL装置を備えた表示部を示している。
図15(a)〜(c)に示す電子機器は、上記実施形態の有機EL装置を備えたものであるので、電子素子の実装不良が少なく、高品質化が図られる。
なお、本実施形態の電子機器は有機EL装置を備えるものとしたが、液晶装置、プラズマ型表示装置等、他の電気光学装置を備えた電子機器とすることもできる。
また、上記例では、電子素子としてTFTを配線基板に転写する構成としたが、本発明における電子素子としては、TFT素子以外にも、薄膜ダイオード、その他の薄膜半導体デバイス、電極(例:ITO、メサ膜のような透明電極)、太陽電池やイメージセンサ等に用いられる光電変換素子、スイッチング素子、メモリー、圧電素子等のアクチュエータ、マイクロミラー(ピエゾ薄膜セラミックス)、磁気記録媒体、光磁気記録媒体、光記録媒体等の記録媒体、磁気記録薄膜ヘッド、コイル、インダクター、薄膜高透磁材料およびそれらを組み合わせたマイクロ磁気デバイス、フィルター、反射膜、ダイクロイックミラー、偏光素子等の光学薄膜、半導体薄膜、超伝導薄膜(例:YBCO薄膜)、磁性薄膜、金属多層薄膜、金属セラミック多層薄膜、金属半導体多層薄膜、セラミック半導体多層薄膜、有機薄膜と他の物質の多層薄膜等が挙げられる。
このなかでも、特に、薄膜デバイス、マイクロ磁気デバイス、マイクロ三次元構造物の構成、アクチュエータ、マイクロミラー等に適用することの有用性が高く、好ましい。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
本発明の基板接合体及び電気光学装置の概略構成を示す断面図。 本発明の基板接合体及び電気光学装置の製造工程を説明するための説明図。 本発明の基板接合体及び電気光学装置の製造工程を説明するための説明図。 本発明の基板接合体及び電気光学装置の製造工程を説明するための説明図。 本発明の基板接合体及び電気光学装置の製造工程を説明するための説明図。 本発明の基板接合体及び電気光学装置の製造工程を説明するための説明図。 本発明の基板接合体及び電気光学装置の製造工程を説明するための説明図。 本発明の基板接合体及び電気光学装置の製造工程を説明するための説明図。 本発明の基板接合体及び電気光学装置の製造工程を説明するための説明図。 本発明の基板接合体及び電気光学装置の製造工程を説明するための説明図。 本発明の基板接合体及び電気光学装置の製造工程を説明するための説明図。 レーザ光を照射する順番の一例を示す図。 レーザ光を照射する順番の他の例を示す図。 TFTの電極を突起状に形成した例を示す図。 本発明の電気光学装置を電子機器に適用した例を示す図。
符号の説明
10…電気光学装置、11…基板接合体、20…配線基板(第2基板)、30…有機EL基板(発光素子基板)、24…TFT(電子素子、スイッチング素子)、24a…電極(導電性突起部)、25…TFT接続部、25a…バンプ(導電性突起部)、25b…接合材、31…有機EL素子(発光素子)、40…基礎基板(第1基板)41…剥離層、LA1、LA2…レーザ光(ビーム)。

Claims (12)

  1. 第1基板上に形成された電子素子を第2基板上に形成された配線上に転写配置する工程を有する基板接合体の製造方法であって、
    前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせ、接合材を介して前記配線上に前記電子素子を配置する工程と、
    局部的なビーム照射により前記接合材を加熱し、前記電子素子と前記配線とを接合する工程とを有することを特徴とする基板接合体の製造方法。
  2. 前記ビームの照射領域は、前記接合材の配置領域と同程度以下の大きさであることを特徴とする請求項1に記載の基板接合体の製造方法。
  3. 前記ビームは、パルスレーザ光であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の基板接合体の製造方法。
  4. 前記電子素子と前記配線との接合箇所は、複数箇所からなり、
    前記ビームの照射タイミングを、前記接合箇所ごとに変えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の基板接合体の製造方法。
  5. 前記ビームの照射位置を、複数の前記接合箇所のうち、一の接合箇所から隣りの接合箇所に順に移動させることを特徴とする請求項4に記載の基板接合体の製造方法。
  6. 前記ビームの照射位置を、複数の前記接合箇所のうち、一の接合箇所から、別の接合箇所を間に挟んだ他の接合箇所に順に移動させることを特徴とする請求項4に記載の基板接合体の製造方法。
  7. 前記電子素子と前記配線との接合後に、前記第1基板にビームを照射して前記第1基板から前記電子素子を剥離する工程を有し、
    前記接合材の加熱と前記電子素子の剥離とを同一のビームで行うことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の基板接合体の製造方法。
  8. 前記電子素子と前記配線との少なくとも一方には、導電性突起部が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の基板接合体の製造方法。
  9. 前記電子素子と前記配線との少なくとも一方に、電気接続用のろう材を配置する工程を有することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の基板接合体の製造方法。
  10. 請求項1から請求項7のいずれかに記載の基板接合体の製造方法によって製造されたことを特徴とする基板接合体。
  11. 請求項8に記載の基板接合体を備えることを特徴とする電気光学装置。
  12. 請求項9に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器。
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