近年、維持管理時代を迎えた水道事業において、水道配管施設の配管図面を利用して、水道配管施設の維持管理や配管調査業務などを行うことは、極めて重要になってきている。
このような中、水道配管施設の維持管理を行う場合には、この水道配管施設の詳細な配管位置情報が必要となるので、例えば、1/500縮尺の配管図面を利用している。また、配管調査業務を行う場合には、調査員が広範囲にわたって図面を持ち歩くときの利便性等を考慮して、例えば、1/2500縮尺の配管図面を利用している。なお、以下において、1/500縮尺と1/2500縮尺とでは、1/2500縮尺のほうが縮尺が小さいとし、1/500縮尺を大縮尺、1/2500縮尺を小縮尺と記す。
通常、図15に示すように、上記のような大縮尺の配管図面1や小縮尺の配管図面3は、それぞれの図面が図形データ化されたものである大縮尺配管図形データ2や小縮尺配管図形データ4から得ることができる。
一般に、大縮尺配管図形データ2および小縮尺配管図形データ4は、図形上、複数の地区に分割されており(以下、この地区を分割地区と記す)、それぞれの分割地区についての配管図形データからそれぞれの分割地区ごとの配管図面を得ることができる。なお、以下において、大縮尺配管図形データ2における一つの分割地区についての図形データを分割地区図形データ2a、小縮尺配管図形データ4における一つの分割地区についての図形データを分割地区図形データ4aと記す。
分割地区図形データのそれぞれには、それぞれの地区を識別するための分割地区番号が付与されており、これにより、それぞれの分割地区ごとに図形データの作成、管理が行われている。図中の斜線部は、上記の分割地区の一つを表しており、大縮尺配管図形データ2における分割地区Aと、小縮尺配管図形データ4における分割地区Aとは、縮尺は異なるが、同じ地区を表している。なお、12は、布設されている管の管種、布設年、管の長さ、布設場所などの管路の情報が蓄積されている、いわゆる管の属性データである。
ここで、大縮尺配管図形データ2における分割地区図形データ2aを図16に示す。図16に示す分割地区図形データ2aは、布設されている管路を表している管路図形データ5と、管路と管路とが互いに交差していることを示す伏せ越し部を表している伏せ越し部図形データ5aと、管路の屈曲点を表している屈曲点図形データ5gと、道路を表している道路図形データ6と、建物を表している建物図形データ7と、管路における弁栓を表している弁栓図形データ8、管路図形データ5どうしが図形上つながっていることを示す交点を表している交点図形データ9と、大縮尺配管図形データ2における図形に関する事項を表示する注記表示データ10a、10bと、建物図形データ7上に表示され、建物の種類を表す記号表示データ11a、11bとを有する。なお、図16および図17において、注記表示データ10a、10b並びに記号表示データ11a、11bを囲んでいる実線は、単なる枠線であり、図形上表れていなくても良い。また、上記の大縮尺配管図形データ2は、図示は省略するが、それぞれの図形データのレイヤーが互いに重ね合わせられたレイヤー構造とされている。
図15に示すように、大縮尺配管図形データ2およびその属性データ12と、小縮尺配管図形データ4およびその属性データ12とは、それぞれ個々にデータ管理がされており、例えば、分割地区Aにおいて管路が新しく布設された場合には、オペレータは、分割地区Aについての分割地区図形データ2aの図形上に、新設された管路の管路図形データを作成し、既存の分割地区Aについての分割地区図形データ2aに上書きする。また、この新設された管路についての属性データを既存の属性データ12に上書きする。さらに、分割地区Aについての分割地区図形データ4aの図形上にも新設された管路の管路図形データを作成し、既存の分割地区Aについての分割地区図形データ4aに上書きする。また、この新設された管路についての属性データを既存の属性データ12に上書きする。
上記のように、大縮尺配管図形データ2およびその属性データ12と、小縮尺配管図形データ4およびその属性データ12とのデータ管理を個々に行うことは、非常に手間がかかる。
そこで、最近では、大縮尺配管図形データ2に、この大縮尺配管図形データ2が縮小するようなデータ処理を施すことで、大縮尺配管図形データ2から小縮尺配管図形データ4を作成する方法がある。このようにすれば、大縮尺配管図形データ2に基づいて小縮尺配管図形データ4を作成することができ、作成した小縮尺配管図形データ4から小縮尺の配管図面3を得ることができる。
例えば、特許文献1および特許文献2には、それぞれ異なる方法で、大縮尺配管図形データ2から小縮尺配管図形データ4を得る方法が開示されている。
特許文献1には、大縮尺図面のデータを縮尺データに基づいて変更利用して小縮尺図面を作成する際に、小縮尺図面上に表示すべき文字情報と、表示すべきでない文字情報とを、その文字の大きさなどから判別し、表示すべきでないと判断された文字情報を、小縮尺図面上に表示しないようにする方法が記載されている。この方法によれば、得られる小縮尺図面が、見た目上、繁雑になることを防止することができる。
また、特許文献2には、大縮尺地図の第1の図形データに基づいて小縮尺地図の第2の図形データを作成する際に、あらかじめ設定している表示方式や間引き処理の方法に従って、小縮尺地図をより単純化する方法が記載されている。この方法によれば、より見やすい小縮尺地図を得ることができる。
特開平7−282231号公報
特開平4−277788号公報
しかし、上述のように、大縮尺配管図形データ2に、大縮尺配管図形データ2が縮小するようなデータ処理が施されると、例えば、図16に示す分割地区図形データ2aについて言えば、仮想線イ〜トで囲む部分のそれぞれが、図17に示す分割地区図形データ4aの仮想線イ´〜ト´で囲む部分のそれぞれのように、上記のデータ処理に伴って、図形上、繁雑かつ不明瞭になることがある。
詳細には、図16の分割地区図形データ2aにおける仮想線イで囲む部分においては、一方の交点図形データ9aと他方の交点図形データ9bとが離れているが、この分割地区図形データ2aに上記のデータ処理が施されると、図17に示す分割地区図形データ4aにおける仮想線イ´で囲む部分のように、一方の交点図形データ9aと他方の交点図形データ9bとの距離が非常に接近し、分割地区図形データ2aにおける仮想線イで囲む部分に比べて、見づらくなってしまう。
また、図16の分割地区図形データ2aにおける仮想線ロで囲む部分においては、一方の管路図形データ5dにおける屈曲点図形データ5gと他方の管路図形データ5eとが離れているが、この分割地区図形データ2aに上記のデータ処理が施されると、図17に示す分割地区図形データ4aにおける仮想線ロ´で囲む部分のように、屈曲点図形データ5gと他方の管路図形データ5eとが非常に接近してしまい、分割地区図形データ2aにおける仮想線ロで囲む部分に比べて、見づらくなってしまう。
また、図16の分割地区図形データ2aにおける仮想線ハで囲む部分においては、弁栓図形データ8と管路図形データ5とが離れているが、この分割地区図形データ2aに上記のデータ処理が施されると、図17に示す分割地区図形データ4aにおける仮想線ハ´で囲む部分のように、弁栓図形データ8の図形上の大きさは変わらないので、弁栓図形データ8と管路図形データ5とが非常に接近してしまい、分割地区図形データ2aにおける仮想線ハで囲む部分に比べて、見づらくなってしまう。
また、図16の分割地区図形データ2aにおける仮想線ニで囲む部分においては、一方の弁栓図形データ8aと他方の弁栓図形データ8bとが離れているが、この分割地区図形データ2aに上記のデータ処理が施されると、図17に示す分割地区図形データ4aにおける仮想線ニ´で囲む部分のように、弁栓図形データ8a、8bの図形上の大きさは変わらないので、一方の弁栓図形データ8aと他方の弁栓図形データ8bとが重なってしまうことがあり、分割地区図形データ2aにおける仮想線ニで囲む部分に比べて、見づらくなってしまう。
また、図16の分割地区図形データ2aにおける仮想線ホで囲む部分においては、一方の注記表示データ10aと他方の注記表示データ10bとが離れているが、この分割地区図形データ2aに上記のデータ処理が施されると、図17に示す分割地区図形データ4aにおける仮想線ホ´で囲む部分のように、注記表示データ10a、10bの図形上の大きさは変わらないので、一方の注記表示データ10aと他方の注記表示データ10bとが重なってしまうことがあり、分割地区図形データ2aにおける仮想線ホで囲む部分に比べて、見づらくなってしまう。
また、図16の分割地区図形データ2aにおける仮想線ヘで囲む部分においては、一方の記号表示データ11aと他方の記号表示データ11bとが離れているが、この分割地区図形データ2aに上記のデータ処理を施すと、図17に示す分割地区図形データ4aにおける仮想線へ´で囲む部分のように、記号表示データ11a、11bの図形上の大きさは変わらないので、一方の記号表示データ11aと他方の記号表示データ11bとが重なってしまうことがあり、分割地区図形データ2aにおける仮想線ヘで囲む部分に比べて、見づらくなってしまう。
さらに、図16の分割地区図形データ2aにおける仮想線トで囲む部分においては、一方の管路図形データ5dが、伏せ越し部図形データ5aの位置において、他方の管路図形データ5fと交差しているが、この分割地区図形データ2aにデータ処理を施すと、図17に示す分割地区図形データ4aにおける仮想線ト´で囲む部分のように、伏せ越し部図形データ5aが縮小してしまい、かつ、何らかの原因で、交差していた位置よりもずれてしまうので、一方の管路図形データ5dが伏せ越し部図形データ5aの位置において、他方の管路図形データ5fと交差しなくなり、分割地区図形データ2aにおける仮想線トで囲む部分に比べて、見づらくなってしまう。
そこで本発明はこのような問題を解決して、配管図形データに、この配管図形データを縮小させるデータ処理を施して小縮尺配管図形データを作成する際に、このデータ処理に伴って、作成される小縮尺配管図形データが見づらくなるのを防止することを目的とする。
上記課題を解決するために請求項1記載の発明は、布設管路の配管図面に関する配管図形データに、前記配管図形データを縮小させるデータ処理を施して、前記配管図面よりも縮尺の小さい小縮尺配管図面に関する小縮尺配管図形データを作成する方法において、前記配管図形データが有する複数の図形データのうちの第1の図形データと第2の図形データとの図形上の距離が、前記データ処理に伴って所定の距離よりも短くなった場合に、修正処理として、前記小縮尺配管図形データにおける第1の図形データまたは第2の図形データの少なくともいずれか一方を移動させ、前記第1の図形データと前記第2の図形データとの距離を図形上離すものである。
このようにすると、配管図形データに施したデータ処理に伴って、前記配管図形データにおける第1の図形データと第2の図形データとの図形上の距離が所定の距離よりも短くなっても、修正処理として、小縮尺配管図形データにおける第1の図形データまたは第2の図形データの少なくともいずれか一方を移動させ、前記第1の図形データと前記第2の図形データとの距離を離すので、作成される小縮尺配管図形データが見づらくなることを防止することができる。また、例えば、配管図形データに変更などが生じた場合には、配管図形データについて図形データの作成、削除等を行い、このデータ更新後の配管図形データに基づいて小縮尺配管図形データを作成し、そのデータを用いれば、小縮尺配管図形データについてあらためて図形データの作成、削除等を行うことを省くことができる。したがって、配管図形データおよび小縮尺配管図形データの一元管理を行うことができる。
請求項2記載の発明は請求項1記載の小縮尺配管図形データの作成方法において、配管図形データにおける複数の図形データのそれぞれに、それぞれの図形データから一定の範囲内で表される指定領域と、前記図形データを移動させる時の移動量である移動距離とを設定し、前記配管図形データを縮小させるデータ処理に伴って、第1の図形データにおける前記指定領域内に、第2の図形データが入り込んだときには、修正処理として、前記第1の図形データまたは前記第2の図形データの少なくともどちらか一方を、設定された移動距離だけ移動させ、前記第1の図形データにおける指定領域内から前記第2の図形データを出すものである。
このようにすると、配管図形データにおける複数の図形データのそれぞれに、指定領域と移動距離とを設定し、データ処理に伴って、第1の図形データにおける前記指定領域内に、第2の図形データが入り込んだときには、修正処理として、前記第1の図形データまたは前記第2の図形データの少なくともどちらか一方を、設定された移動距離だけ移動させ、前記第1の図形データにおける指定領域内から前記第2の図形データを出すので、前記第1の図形データと前記第2の図形データとの距離を離すことができる。これにより、作成される小縮尺配管図形データが見づらくなることを防止することができる。
請求項3記載の発明は、布設管路の配管図面に関する配管図形データに、前記配管図形データを縮小させるデータ処理を施して、前記配管図面よりも縮尺の小さい小縮尺配管図面に関する小縮尺配管図形データを作成する方法において、前記配管図形データが、前記配管図形データにおける図形に関する事項を表示する複数の表示データを有しており、前記複数の表示データのそれぞれに、前記複数の表示データのそれぞれを表示するための表示領域を設定し、前記データ処理に伴って、前記複数の表示データのうちの第1の表示データにおける前記表示領域内に、第2の表示データが入り込んだときには、修正処理として、前記第1の表示データまたは前記第2の表示データのどちらか一方を非表示にするものである。
このようにすると、配管図形データに施したデータ処理に伴って、複数の表示データのうちの第1の表示データにおける表示領域内に、第2の表示データが入り込んだときには、修正処理として、前記第1の表示データまたは前記第2の表示データのどちらか一方を非表示にするので、どちらか一方の表示データのみを表示することができる。これにより、作成される小縮尺配管図形データが見づらくなることを防止することができる。
請求項4記載の発明は、布設管路の配管図面に関する配管図形データに、前記配管図形データを縮小させるデータ処理を施して、前記配管図面よりも縮尺の小さい小縮尺配管図面に関する小縮尺配管図形データを作成する方法において、前記配管図形データが有する複数の図形データのうち、管路を表している第1の管路図形データと第2の管路図形データとが交差する箇所についての伏せ越し部の図形データが、前記データ処理に伴って所定の大きさよりも小さくなった場合に、修正処理として、所定の大きさの新たな伏せ越し部図形データを作成するものである。
このようにすると、配管図形データに施したデータ処理に伴って伏せ越し部の図形データが所定の大きさよりも小さくなった場合であっても、修正処理として、所定の大きさの新たな伏せ越し部図形データを作成するので、作成される小縮尺配管図形データが見づらくなることを防止することができる。
請求項5記載の発明は、布設管路の配管図面に関する配管図形データに、前記配管図形データを縮小させるデータ処理を施して、前記配管図面よりも縮尺の小さい小縮尺配管図面に関する小縮尺配管図形データを作成する方法において、前記配管図形データが有する複数の図形データのうち、管路を表している第1の管路図形データと第2の管路図形データとが交差する箇所についての伏せ越し部の図形データが、前記データ処理に伴って前記交差する箇所よりもずれた場合に、修正処理として、前記交差する箇所に新たな伏せ越し部図形データを作成するものである。
このようにすると、配管図形データに施したデータ処理に伴って伏せ越し部の図形データが、第1の管路図形データと第2の管路図形データとが交差する箇所よりもずれた場合であっても、修正処理として、前記交差する箇所に新たな伏せ越し部図形データを作成するので、作成される小縮尺配管図形データが見づらくなることを防止することができる。
以上のように本発明によれば、配管図形データに施したデータ処理に伴って、前記配管図形データにおける第1の図形データと第2の図形データとの図形上の距離が所定の距離よりも短くなっても、修正処理として、小縮尺配管図形データにおける第1の図形データまたは第2の図形データの少なくともいずれか一方を移動させ、前記第1の図形データと前記第2の図形データとの距離を離すので、作成される小縮尺配管図形データが見づらくなることを防止することができる。また、例えば、配管図形データに変更などが生じた場合には、配管図形データについて図形データの作成、削除等を行い、このデータ更新後の配管図形データに基づいて小縮尺配管図形データを作成し、そのデータを用いれば、小縮尺配管図形データについてあらためて図形データの作成、削除等を行うことを省くことができる。したがって、配管図形データおよび小縮尺配管図形データの一元管理を行うことができる。
また、配管図形データにおける複数の図形データのそれぞれに、指定領域と移動距離とを設定し、データ処理に伴って、第1の図形データにおける前記指定領域内に、第2の図形データが入り込んだときには、修正処理として、前記第1の図形データまたは前記第2の図形データの少なくともどちらか一方を、設定された移動距離だけ移動させ、前記第1の図形データにおける指定領域内から前記第2の図形データを出すので、前記第1の図形データと前記第2の図形データとの距離を離すことができる。これにより、作成される小縮尺配管図形データが見づらくなることを防止することができる。
また、配管図形データに施したデータ処理に伴って、複数の表示データのうちの第1の表示データにおける表示領域内に、第2の表示データが入り込んだときには、修正処理として、前記第1の表示データまたは前記第2の表示データのどちらか一方を非表示にするので、どちらか一方の表示データのみを表示することができる。これにより、作成される小縮尺配管図形データが見づらくなることを防止することができる。
また、配管図形データに施したデータ処理に伴って伏せ越し部の図形データが所定の大きさよりも小さくなった場合であっても、修正処理として、所定の大きさの新たな伏せ越し部図形データを作成するので、作成される小縮尺配管図形データが見づらくなることを防止することができる。
さらに、配管図形データに施したデータ処理に伴って伏せ越し部の図形データが、第1の管路図形データと第2の管路図形データとが交差する箇所よりもずれた場合であっても、修正処理として、前記交差する箇所に新たな伏せ越し部図形データを作成するので、作成される小縮尺配管図形データが見づらくなることを防止することができる。
本発明の実施の形態の小縮尺配管図面データの作成方法を図1〜図14を参照しながら説明する。なお、以下において、図15〜図17において使用したものと同じものには、同じ符号を付すことで、その詳細な説明を省略する。
本発明の実施の形態の小縮尺配管図形データの作成方法に用いる装置は、図示は省略するが、例えば、種々のデータを処理するコンピュータと、オペレータに対してデータの処理状況等を表示するディスプレイと、コンピュータに対して情報を入力するためのキーボードおよびマウスと、ディスプレイに表示された内容を印刷するためのプリンタとが連携して構成されている。これにより、オペレータは、キーボードおよびマウスによりコンピュータに対して情報を入力することができるとともに、このコンピュータにより種々のデータを処理しながら、ディスプレイでその状況等を随時確認することができる。また、ディスプレイに表示された内容をプリンタによって印刷することができる。
このコンピュータのメモリには、図2に示すように、あらかじめ、配管図形データとしての大縮尺配管図形データ2と、日付管理テーブル2bと、管路の属性データ12とが記憶されている。この日付管理テーブル2bは、大縮尺配管図形データ2における分割地区ごとの分割地区番号と、それぞれの分割地区図形データ2aが作成または更新された日付とを有する。なお、図2においては、小縮尺配管図形データ16およびその日付管理テーブル16bも描かれているが、初期の段階では、これらのデータは存在していない。
本発明の小縮尺配管図形データの作成方法により、配管図形データとしての大縮尺配管図形データ2から、小縮尺配管図形データ16を作成する手順としては、図1および図3(a)〜(e)に示すように、ステップ1として、オペレータが、交点図形データ9、管路図形データ5における屈曲点図形データ5g、弁栓図形データ8のそれぞれに指定領域13および移動距離を設定するとともに、注記表示データ10a(10b)および記号表示データ11a(11b)に表示領域14を設定する。なお、本実施の形態において、管路図形データ5には、指定領域および移動距離を設定しない。
ここで、指定領域13とは、それぞれの図形データから一定距離の範囲内で表される領域である。なお、図示においては、この指定領域13の輪郭を破線にて表しているが、この輪郭を示す破線は、図形上、表れていなくても良い。また、指定領域13の形状を円形状に設定しているが、これに限らず、例えば、矩形状や楕円形状であっても良い。
また、移動距離とは、後述する修正処理の一つとして、それぞれの図形データを移動させる時の移動量であり、例えば、指定領域13を図示のように円形に設定すれば、このときの移動距離は、それぞれの図形データにおける指定領域13の半径よりも少し大きい値が好適である。
さらに、表示領域14とは、表示データとしての注記表示データ10a(10b)および記号表示データ11a(11b)を表示するための領域であり、図示においては矩形状に表しているが、矩形以外の形状、例えば、円形状や楕円形状であっても良い。また、図示においては、この表示領域14の輪郭を実線にて表しているが、この輪郭を示す実線は、図形上、表れていなくても良い。
ステップ1において、図形データに対して指定領域13および移動距離を設定し、表示データに対して表示領域14を設定すると、次に、ステップ2として、大縮尺配管図形データ2に、この大縮尺配管図形データ2が縮小するようなデータ処理を施す。すなわち、大縮尺配管図形データ2におけるすべての分割地区図形データ2aに上記データ処理を施す。なお、以下においては、上記のデータ処理が施されたすべての分割地区図形データ2aのうち、例として、図16に示す分割地区図形データ2aについての説明を行う。
上記のデータ処理により、図16に示すような分割地区図形データ2aから、図17に示すような、分割地区図形データ4aが得られる。なお、ステップ1とステップ2との順序は入れ替えても良い。
そして、次に、ステップ3として、データ処理の結果から得られた分割地区図形データ4aにおいて、それぞれの図形データにおける指定領域13内に前記それぞれの図形データと接続していない他の図形データ(以下、他の図形データと記す)が存在する箇所を検索するとともに、それぞれの表示データにおける表示領域14内に他の表示データが存在する箇所を検索する。さらに、分割地区図形データ4aにおいて、伏せ越し部図形データ5aが存在する箇所を検索する。なお、指定領域13および表示領域14は、その領域内に他の図形データあるいは他の表示データが入り込んだか否かを検出することができるように設定されている。また、詳細は後述するが、伏せ越し部図形データ5aは、図10(a)に示すように、複数の屈曲点図形データ5i、5i、…を、図形上、ある一定の値よりも狭い間隔で接続することにより作成されており、伏せ越し部図形データ5aの検索は、この一定の値よりも狭い間隔で接続されている複数の屈曲点図形データ5i、5i、…を検索することで行われる。これにより、伏せ越し部図形データ5aを作成している屈曲点図形データ5i、5i、…と、それ以外の屈曲点図形データ5gとが区別されている。なお、屈曲点図形データ5i、5i、…と、屈曲点図形データ5gとを識別するために、少なくともどちらか一方に、識別データを付与しておいても良い。
そして、次に、ステップ4に進み、ステップ3において検索した結果から、それぞれの図形データにおける指定領域13内に他の図形データが存在する箇所がある場合には、ステップ5に進む。
そして、ステップ5において、ステップ3において検出された指定領域13のうちの一つに対して、この指定領域13内に存在する他の図形データは複数なのか否かを判断し、例えば、存在する他の図形データが一つの場合には、ステップ6に進む。そして、この指定領域13内に他の図形データが存在しないように、修正処理を施す。
詳細には、例えば、図4(a)の左側に示すように、一方の交点図形データ9aにおける指定領域13内に、他の図形データとしての他方の交点図形データ9bが存在する場合には、修正処理の一つとして、図4(a)の右側に示すように、一方の交点図形データ9aを、管路図形データ5の図形上に沿って、ステップ1において設定した交点図形データ9aについての移動距離だけ移動させ、この一方の交点図形データ9aにおける指定領域13内に、他方の交点図形データ9bが存在しないようにする。なお、このとき、他方の交点図形データ9bを移動させても良い。
また、例えば、図4(b)の左側に示すように、一方の管路図形データ5dの屈曲点図形データ5gにおける指定領域13内に、他方の管路図形データ5eが存在する場合には、修正処理の一つとして、図4(b)の右側に示すように、指定領域13内に他方の管路図形データ5eが存在する屈曲点図形データ5gを、他方の管路図形データ5eから遠ざかるように、ステップ1において設定した屈曲点図形データ5gについての移動距離だけ移動させ、この屈曲点図形データ5gにおける指定領域13内に、他方の管路図形データ5eが存在しないようにする。
また、例えば、図4(c)の左側に示すように、一方の管路図形データ5dにおける弁栓図形データ8の指定領域13内に、他方の管路図形データ5eが存在する場合で、特に、一方の管路図形データ5dと他方の管路図形データ5eとがほぼ平行の場合であれば、弁栓図形データ8を一方の管路図形データ5dの図形上に沿って移動させても、指定領域13内から他方の管路図形データ5eが出ないので、このような場合には、修正処理の一つとして、図4(c)の右側に示すように、管路図形データ5における、弁栓図形データ8の中央となる位置に、屈曲点図形データ5hを作成し、この屈曲点図形データ5hを、ステップ1において設定した屈曲点図形データ5gについての移動距離だけ、他の管路図形データ5eから遠ざかる方向に移動させ、弁栓図形データ8における指定領域13内に、他方の管路図形データ5eが存在しないようにする。なお、このとき、屈曲点図形データ5hを作成せずとも、弁栓図形データ8を他方の管路図形データ5eから遠ざかる方向に移動させ、移動後の弁栓図形データ8と管路図形データ5とを接続するようにしても良い。また、屈曲点図形データ5hを、屈曲点図形データ5gについての移動距離ではなく、弁栓図形データ8についての移動距離だけ動かしても良い。さらに、他方の管路図形データ5eに屈曲点図形データ5hを作成して移動させ、この他方の管路図形データ5eを指定領域13内から出すようにしても良い。
また、例えば、図4(d)の左側に示すように、管路図形データ5における一方の弁栓図形データ8aの指定領域13内に、管路図形データ5における他方の弁栓図形データ8bが存在し、かつ、他方の弁栓図形データ8bの指定領域13内に、一方の弁栓図形データ8aが存在する場合には、修正処理の一つとして、図4(d)の右側に示すように、一方の弁栓図形データ8aを、管路図形データ5の図形上に沿って左側に、他方の弁栓図形データ8bを、管路図形データ5の図形上に沿って右側に、弁栓図形データ8a、8bの移動距離の和がステップ1において設定した弁栓図形データ8についての移動距離となるように移動させ、弁栓図形データ8a、8bにおける指定領域13内に、他の図形データが存在しないようにする。
上記のような修正処理を行うと、図1に示すように、ステップ4に戻り、それぞれの図形データにおける指定領域13内に他の図形データが存在しなくなるまで上記の修正処理を行う。ここで、上述したステップ5において、ある図形データの指定領域13内に存在する他の図形データが複数である場合には、ステップ7に進む。そして、ステップ7において、この指定領域13を修正処理の対象にしないように設定し、ステップ4に戻る。これは、例えば、図5に示すように、交点図形データ9cが接続されている管路図形データ5において、交点図形データ9cの両側に、他の交点図形データ9d、9eが存在し、かつ、これらの他の交点図形データ9d、9eが、交点図形データ9cにおける指定領域13内に共に存在している場合に、図4(a)を用いて説明した修正処理の方法のように、交点図形データ9cを管路図形データ5に沿って移動させても、交点図形データ9cにおける指定領域13内に、交点図形データ9dまたは交点図形データ9eのどちらか一方が常に存在することになり、結果的に修正処理が終了しない場合が生ずる可能性があるからである。
図形データに対する修正処理を終えて、図1に示すようにステップ4に戻る。そして、このステップ4において、それぞれの図形データにおける指定領域13内に他の図形データが存在する箇所がないと判断された場合には、次に、ステップ8に進む。そして、ステップ8において、ステップ3にて行った検索結果から、それぞれの表示データにおける表示領域14内に他の表示データが存在する箇所がある場合には、ステップ9に進む。
そして、ステップ9において、ステップ3において検出された表示領域14のうちの一つに対して、この表示領域14内に存在する他の表示データは複数なのか否かを判断し、例えば、存在する他の表示データが一つの場合には、ステップ10に進む。そして、この表示領域14内に他の表示データが存在しないように、修正処理を施す。
詳細には、例えば、図6(a)の左側に示すように、一方の注記表示データ10aにおける表示領域14内に、他方の注記表示データ10bが存在する場合には、修正処理の一つとして、一方の注記表示データ10aと他方の注記表示データ10bとの文字の大きさを比較し、文字が小さいほうの注記表示データ、この場合、注記表示データ10bの表示内容を、図6(a)の右側に示すように、注記表示データ10aよりも重要度が低いとして非表示にする。このようにして、この一方の注記表示データ10aにおける表示領域14内に、他方の注記表示データ10bが表示されないようにする。なお、この注記表示データの文字の大きさは、この文字の高さによって規定されている。なお、文字の大きさが同じ場合には、単にどちらか一方を非表示にする。
また、例えば、図6(b)の左側に示すように、一方の記号表示データ11aにおける表示領域14内に、他方の記号表示データ11bが存在する場合には、修正処理の一つとして、図6(b)の右側に示すように、他方の記号表示データ11bの表示内容を非表示にする。これにより、この一方の記号表示データ11aにおける表示領域14内に、他方の記号表示データ11bの内容が表示されないようにする。なお、記号表示データ11a、11bの場合、非表示にするのはどちらでも良い。
上記のような修正処理を行うと、図1に示すように、ステップ8に戻り、それぞれの表示データにおける表示領域14内に他の表示データが存在しなくなるまで上記の修正処理を行う。ここで、上述したステップ9において、表示領域14内に存在する他の表示データが複数である場合には、ステップ11に進み、この表示領域14を修正処理の対象にしないように設定し、ステップ8に戻る。なお、このステップ9およびステップ11のデータ処理を省略し、表示領域14内の他の表示データが複数であっても、そのうちの一つの表示データを選択して表示し、他の表示データを非表示しても良い。
次に、ステップ8において、それぞれの表示データにおける表示領域14内に他の表示データが存在する箇所がないと判断された場合には、ステップ12に進む。そして、ステップ12において、ステップ3において行った検索結果から、伏せ越し部図形データ5aが存在する箇所がある場合には、ステップ13に移り、図7の左側に示すような、管路が交差する箇所からずれ、かつ、所定の大きさよりも小さくなっている伏せ越し部図形データ5aに、修正処理として、伏せ越し部図形データ5aの再作成を行い、図7の右側に示すような、所望の大きさで、かつ、前記交差する箇所からずれていない伏せ越し部図形データ5aを作成する。
詳細には、まず、上記の再作成の手順として、図8に示すように、作成しようとする伏せ越し部図形データの伏せ越し距離と、伏せ越し幅を設定する。伏せ越し距離とは、図9に示すように、管路5の配管方向Xについての伏せ越し部図形データ5aの長さであり、伏せ越し幅とは、配管方向Xに垂直なふくらみ方向Yについての伏せ越し部図形データ5aの最大長さである。なお、伏せ越し部図形データ5aが図9に示すように、管路図形データ5に対して上向きに突き出す場合には、正の伏せ越し幅とし、逆に、図示は省略するが、管路図形データ5に対して下向きに突き出す場合には、負の伏せ越し幅として、伏せ越し幅の値を設定する。なお、上記の伏せ越し距離および伏せ越し幅の設定は、ステップ1において行っても良い。
既に上述しているが、伏せ越し部図形データ5aは、図10(a)に示すように、複数の屈曲点図形データ5i、5i、…を、図形上、ある一定の値よりも狭い間隔で接続することにより作成されており、伏せ越し距離と伏せ越し幅の設定を行うと、次の手順としては、この一定の値よりも狭い間隔で接続されている屈曲点図形データ5i、5i、…を、図10(b)に示すように削除する。ただし、伏せ越し部図形データ5aの両端となる屈曲点図形データ5j、5jは、削除せずに残しておく。また、このとき、図11に示すように、複数の伏せ越し部図形データ5aどうしが重なっていたりなどして、伏せ越し部図形データ5aの削除が順調に行われない箇所が発生した場合には、オペレータは、削除しようとする箇所を、例えば、マウスを用いてポリゴン状の領域15で囲んで指定し、この領域15内の屈曲点図形データ5i、5i、…を削除することができる。
そして、次に、図10(c)に示すように、一方の管路図形データ5dと他方の管路図形データ5fとが図形上交わる箇所が、屈曲点図形データ5j、5j間の中心になるように、かつ、屈曲点図形データ5j、5j間の距離が上記において設定した伏せ越し距離になるように、屈曲点図形データ5j、5jを一方の管路図形データ5dに沿って移動させ、屈曲点図形データ5j、5j間の距離が、設定した伏せ越し距離となる区間を作成する。
そして、次に、前記区間内に複数の屈曲点図形データ5i、5i、…を、ある一定の値よりも狭い間隔で作成する。
そして、図10(d)に示すように、複数の屈曲点図形データ5i、5i、…を、前記中心に近づくに連れて伏せ越し幅の値に近づくように、かつ、前記中心に最も近い屈曲点図形データ5iが設定した伏せ越し幅の値と同じになるように、ふくらみ方向Yに向けて移動させ、すなわち、複数の屈曲点図形データ5i、5i、…で山型をなすように、前記屈曲点図形データ5i、5i、…を移動させ、一方の管路図形データ5dと他方の管路図形データ5eとが交差する箇所を中心とする所望の大きさの伏せ越し部図形データ5aを新たに作成する。
なお、図12(a)に示すように、伏せ越し部図形データ5aを作成しようとした時に、伏せ越し部図形データ5a、5aどうしが重なり合う場合には、図12(a)の仮想線にて示す部分を削除して、図12(b)に示すような伏せ越し部図形データ5a、5aを作成する。すなわち、一方の伏せ越し部図形データ5aと他方の伏せ越し部図形データ5aとが交わる点を接続し、それぞれの伏せ越し部図形データ5a、5aにおける前記交わる点以降の部分である仮想線にて示す部分を削除する。
伏せ越し部図形データ5aに対して上記のような修正処理を行うと、ステップ12に戻り、ステップ3において検索した伏せ越し部図形データ5aについて、再作成の作業が終わるまで上記の修正処理を行う。そして、伏せ越し部図形データ5aの再作成の作業が終わると、小縮尺配管図形データ16の作成作業を終了する。
なお、このとき、図2に示すように、作成した小縮尺配管図形データ16におけるそれぞれの分割地区の分割地区番号を日付管理テーブル16bに書き込むとともに、この分割地区番号に対応する分割地区図形データ16aの作成日時を日付管理テーブルに書き込む。そして、作成した小縮尺配管図形データ16と日付管理データ16bとを、コンピュータのメモリに記憶させておく。
以上のようにして作成された小縮尺配管図形データ16における一つの分割地区図形データ16aを図13に示す。図13に示す分割地区図形データ16aは、図16に示す分割地区図形データ2aに基づいて作成した図形データであり、この分割地区図形データ16aにおける仮想線イ´〜ト´で囲む部分のそれぞれは、図17に示す分割地区図形データ4aにおける仮想線イ´〜ト´で囲む部分のそれぞれに対応している。
図13に示すように、分割地区図形データ16aにおける仮想線イ´で囲む部分は、上記のステップ4〜ステップ7の修正処理により、一方の管路図形データ5bにおける交点図形データ9aと他方の管路図形データ5cにおける交点図形データ9bとが離れているため、図17に示す分割地区図形データ4aの仮想線イ´で囲む部分に比べて見やすくなっている。しかも、修正処理において、交点図形データ9aを移動させたことで、一方の管路図形データ5bと他方の管路図形データ5cとの距離も離れ、より一層見えやすくなっている。
また、分割地区図形データ16aにおける仮想線ロ´で囲む部分も、上記のステップ4〜ステップ7の修正処理により、一方の管路図形データ5dにおける屈曲点図形データデータ5gと他方の管路図形データ5eとが離れているため、図17に示す分割地区図形データ4aの仮想線ロ´で囲む部分に比べて、見やすくなっている。
また、分割地区図形データ16aにおける仮想線ハ´で囲む部分も、上記のステップ4〜ステップ7の修正処理により、一方の管路図形データ5dにおける弁栓図形データ8と、他方の管路図形データ5eとが離れているため、図17に示す分割地区図形データ4aの仮想線ハ´で囲む部分に比べて見やすくなっている。
また、分割地区図形データ16aにおける仮想線ニ´で囲む部分も、上記のステップ4〜ステップ7の修正処理により、一方の弁栓図形データ8aと、他方の弁栓図形データ8bとが離れているため、図17に示す分割地区図形データ4aの仮想線ニ´で囲む部分に比べて見やすくなっている。
また、分割地区図形データ16aにおける仮想線ホ´で囲む部分は、上記のステップ8〜ステップ11の修正処理により、例えば、注記表示データ10aの表示領域14内に表示される注記表示データ10bの表示内容が非表示にされているため、図17に示す分割地区図形データ4aの仮想線ホ´で囲む部分に比べて見やすくなっている。
また、分割地区図形データ16aにおける仮想線ヘ´で囲む部分も、上記のステップ8〜ステップ11の修正処理により、例えば、記号表示データ11aの表示領域14内に表示される記号表示データ11bの表示内容が非表示にされているため、図17に示す分割地区図形データ4aの仮想線ヘ´で囲む部分に比べて見やすくなっている。
さらに、分割地区図形データ16aにおける仮想線ト´で囲む部分は、上記のステップ12およびステップ13の修正処理により、伏せ越し部図形データ5aが、所定の位置に、所定の大きさで作成されるため、図17に示す分割地区図形データ4aの仮想線ト´で囲む部分に比べて見やすくなっている。
以上のように、大縮尺配管図形データ2の基づいて小縮尺配管図形データ16を作成する際に、上記のような修正処理を施すことで、大縮尺配管図形データ2に施すデータ処理に伴って、小縮尺配管図形データが見づらくなることを防止することができる。
なお、上記において、ステップ4〜ステップ7、ステップ8〜ステップ11、並びにステップ12およびステップ13の順番は、適宜に入れ替えても良い。
以上に示した小縮尺配管図形データの作成方法を利用して、小縮尺配管図形データ16を作成した後に、大縮尺配管図形データ2に変更があった場合に、この小縮尺配管図形データ16の内容を更新する方法を、図14を用いて説明する。なお、大縮尺配管図形データ2、大縮尺配管図形データ2についての日付管理テーブル2a、および属性データ12の内容は、オペレータにより、事前に更新されているものとする。
まず、図14に示すように、ステップAとして、コンピュータのメモリに小縮尺配管図形データ16が存在するか否かを確認するために、メモリから小縮尺配管図形データ16の読み込みを行う。
このとき、小縮尺配管図形データ16およびその日付管理テーブル16aは、上述したように、小縮尺配管図形データ16の作成作業が終了した時点でコンピュータのメモリに記憶されているので、ステップBを経て、ステップCに進む。
次に、ステップCにおいて、図2に示すようなメモリから、大縮尺配管図形データ2における日付管理テーブル2bと、小縮尺配管図形データ16における日付管理テーブル16bとを読み取り、大縮尺配管図形データ2におけるそれぞれの分割地区図形データの更新日時と、小縮尺配管図形データ16における前記それぞれの分割地区に対応する分割地区図形データの更新日時とを比較する。
そして、次に、ステップDにおいて、大縮尺配管図形データ2における分割地区の何れかのデータ更新日時が、小縮尺配管図形データ16における前記分割地区に対応する分割地区のデータ更新日時よりも新しくなっていれば、小縮尺配管図形データ16が作成された後に大縮尺配管図形データ2に変更があったものとして、ステップEに進む。なお、通常、大縮尺配管図形データ2にデータ変更が無かった場合には、大縮尺配管図形データ2におけるそれぞれの分割地区のデータ更新日時が、小縮尺配管図形データ16における分割地区のデータ更新日時よりも新しくなることはないので、この場合には、大縮尺配管図形データ2に変更がなかったとして、ステップDにおいてNOを選択し、そのまま作業を終了する。
ステップEにおいて、ステップDにてデータ更新日時が新しいと判断された大縮尺配管図形データ2の分割地区に対し、上述した小縮尺配管図形データの作成方法と同様のデータ処理を施し、この分割地区に対応する分割地区図形データ16aを作成する。
そして、次に、ステップFに進み、分割地区図形データ16aにおける日付管理テーブル16bに、ステップEにて作成した分割地区図形データ16aについてのデータ更新日時を書き込む。
そして、次に、ステップGにおいて、ステップEにて作成した分割地区図形データ16aおよびその日付管理テーブルをメモリに書き込み、作業を終了する。
なお、ステップBにおいて、小縮尺配管図形データ16がまだ作成されていない場合には、ステップHに進む。
そして、ステップHにて、上記において説明した小縮尺配管図形データの作成方法に基づいて小縮尺配管図形データ16を作成する。これにより、最新の大縮尺配管図形データ2に基づいて小縮尺配管図形データ16が作成される。そして、ステップFを経てステップGに進み、作業を終了する。
以上のように、オペレータは、分割地区単位で図形データの更新をすることができ、データ変更後の分割地区図形データ16aを、既成の小縮尺配管図形データ16における該当箇所に貼り付ければ、図形データの作成、削除といった作業を、小縮尺配管図形データ16については行う必要がない。
このようにすることで、大縮尺配管図形データ2と小縮尺配管図形データ16との図形データの管理を一元化することができ、データの更新作業を手間なく行うことができる。また、大縮尺配管図形データ2における属性データ12を小縮尺配管図形データ16についても利用すれば、属性データ12の管理を一元化することができる。
さらに、小縮尺配管図形データ16の更新作業は、大縮尺配管図形データ2および小縮尺配管図形データ16の日付管理テーブル16bに基づいて行われるため、小縮尺配管図形データ16の更新を忘れるといったミスを確実に防止することができる。