JP2005126694A - 高速延伸製膜用エチレン系重合体組成物、および多孔質フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高速延伸製膜が可能なエチレン系重合体組成物を提供する。
【解決手段】分岐型低密度ポリエチレンを3〜20質量%含有し、連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線から求めた温度範囲の溶出成分において、溶出温度95℃以上120℃未満の溶出成分(A成分)が10質量%〜20質量%、溶出温度85℃以上95℃未満の溶出成分(B成分)が20質量%〜40質量%、溶出温度70℃以上85℃未満の溶出成分(C成分)が25質量%〜45質量%、溶出温度70℃未満の溶出成分(D成分)が15質量%〜30質量%であって、かつA成分、B成分、C成分、D成分の合計が100質量%であるエチレン系重合体を35〜60質量%、無機充填材を65〜40質量%含有することを特徴とする高速延伸製膜用エチレン系重合体組成物を提供する。
【選択図】なし
【解決手段】分岐型低密度ポリエチレンを3〜20質量%含有し、連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線から求めた温度範囲の溶出成分において、溶出温度95℃以上120℃未満の溶出成分(A成分)が10質量%〜20質量%、溶出温度85℃以上95℃未満の溶出成分(B成分)が20質量%〜40質量%、溶出温度70℃以上85℃未満の溶出成分(C成分)が25質量%〜45質量%、溶出温度70℃未満の溶出成分(D成分)が15質量%〜30質量%であって、かつA成分、B成分、C成分、D成分の合計が100質量%であるエチレン系重合体を35〜60質量%、無機充填材を65〜40質量%含有することを特徴とする高速延伸製膜用エチレン系重合体組成物を提供する。
【選択図】なし
Description
本発明は、エチレン系重合体と無機充填材とを含んでなる高速延伸製膜用エチレン系重合体組成物、および該エチレン系重合体組成物を使用した多孔質フィルムの製造方法に関する。
従来から、ポリオレフィン樹脂及び無機充填材を含むフィルムを一軸方向または二軸方向に延伸し、フィルムに空隙及び連通孔を発生させて多孔質フィルムを製造する方法が多数提案されている。そして、この多孔質フィルムは、衛生材料、医療用材料、建築用材料、電池用セパレーター等の多種用途に使用されている。
ところが、上記多孔質フィルムの生産性を向上させるために、製膜時のライン速度を上昇させると、流れ方向に厚みムラが生じる、いわゆるドローレゾナンス現象が発生しやすくなり、高速延伸製膜性という点で問題があった。
このような問題を改良する方法として、一般的な線状低密度ポリエチレン単独、または一般的な線状低密度ポリエチレンと分岐型低密度ポリエチレンとの混合物であるポリオレフィン系樹脂と無機充填材からなる組成物に、第3成分として脂肪酸ジアルカノールアミドと脂肪族二塩基酸とのジエステルを添加してなる多孔質フィルムの製造方法(例えば、特許文献1)が提案されている。
しかしながら、上記方法は、脂肪酸ジアルカノールアミドと脂肪族二塩基酸とのジエステルを添加することにより上記問題を改良した第3成分の添加による解決方法であって、樹脂の組成によって高速延伸製膜性を改善したものではなかった。
従って、本発明の目的は、樹脂の組成によって高速延伸製膜性に優れるものであって、かつ得られる多孔質フィルムが優れた通気性、破断強度、柔軟性、伸度等のフィルム物性を有することができる高速延伸製膜用エチレン系重合体組成物を提供すること、および該エチレン系重合体組成物を使用した多孔質フィルムの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、樹脂の組成によって上記課題を解決するために鋭意研究を続けてきた。その結果、分岐型低密度ポリエチレンを含む特定の結晶性分布を有するエチレン系重合体と無機充填材を含有するエチレン系重合体樹脂組成物が、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、分岐型低密度ポリエチレンを3〜20質量%含有し、連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線から求めた温度範囲の溶出成分において、溶出温度95℃以上120℃未満の溶出成分(A成分)が10質量%〜20質量%、溶出温度85℃以上95℃未満の溶出成分(B成分)が20質量%〜40質量%、溶出温度70℃以上85℃未満の溶出成分(C成分)が25質量%〜45質量%、溶出温度70℃未満の溶出成分(D成分)が15質量%〜30質量%であって、かつA成分、B成分、C成分、D成分の合計が100質量%であるエチレン系重合体を35〜60質量%、無機充填材を65〜40質量%含有することを特徴とする高速延伸製膜用エチレン系重合体組成物である。
また、本発明は、該高速延伸製膜用エチレン系重合体組成物をTダイが装着された押出成形機より押出し、50m/分〜150m/分の引取速度で回転している引取チルロールよって冷却固化させてフィルムまたはシートとした後、該フィルムまたはシートを少なくとも1軸方向に1.1倍〜5倍延伸する多孔質フィルムの製造方法である。
本発明の高速延伸製膜用エチレン系重合体組成物は、高速で製膜した場合においてもドローレゾナンス現象を起さず安定して製膜できるため、多孔質フィルムの生産性を向上することができる。ちなみに、本発明の高速延伸製膜用エチレン系重合体組成物は、引取速度が50m/分以上で回転する引取チルロールによってフィルムまたはシートとしても、ドローレゾナンス現象を起こさず安定に製膜できるため、該フィルムまたはシートを延伸して得られる多孔質フィルムには厚みムラが生じない。
また、延伸して得られた多孔質フィルムは、厚みムラがないため外観に優れ、また、風合い(柔軟性)も良く、強度、伸度も優れ、高い透湿性と高い液不透過性を有している。そのため、使い捨て紙おむつ、生理用品等の衛生用材料や、手術着、温湿布用基材等の医療用材料として極めて有用な資材として用いることができ、さらには、建築用材料、雨天用衣料、電池用セパレーター等の資材としても好適に使用できる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明において、高速延伸製膜用エチレン系重合体組成物は、分岐型低密度ポリエチレンを含んでなるエチレン系重合体と無機充填材とを含有するものである。
本発明において、上記分岐型低密度ポリエチレンは、エチレン系重合体中に3〜20質量%含有される。エチレン系重合体中に含まれる分岐型低密度ポリエチレンが3質量%未満の場合は、得られる高速延伸製膜用エチレン系重合体組成物において、高速延伸製膜性が低下する。つまり、ドローレゾナンスが発生しやすくなり、高速での製膜ができなくなるため好ましくない。また、分岐型低密度ポリエチレンが20質量%を超える場合には、より高速で製膜する場合において、引取チルロールとTダイ間でフィルムまたはシートが破断しやすくなるため好ましくなく、また、高速延伸製膜ができたとしても、得られる多孔質フィルムの通気性、破断強度等の物性が低下するため好ましくない。高速延伸製膜性と得られる多孔質フィルムの物性を考慮すると、エチレン系重合体中に含まれる分岐型低密度ポリエチレンは、好ましくは3〜15質量%、更に好ましくは、3〜10質量%である。尚、上記分岐型低密度ポリエチレンの密度は、特に制限されるものではなく、0.910〜0.930g/cm3のものを使用することができ、これら分岐型低密度ポリエチレンは上記範囲の含有量を満足すれば、1種類又は複数の密度のものを混合して使用することが可能である。
また、エチレン系重合体中の分岐型低密度ポリエチレンの含有量は、下記の連続昇温溶出分別法(以下、TREFと略す場合もある)で分析することにより確認できる。即ち、分岐型低密度ポリエチレンは、TREFで分析することにより、通常、50〜80℃の温度範囲に単一のピークを有するため、先ず、このピーク温度のものを分取して、13C−NMRにより分岐型低密度ポリエチレンであることを確認する。その後、TREFの溶出温度と溶出量の関係から、分岐型低密度ポリエチレンの量を確認することができる。尚、エチレン系重合体と無機充填材とを含んでなる高速延伸製膜用エチレン系重合体組成物、または該エチレン系重合体組成物からなる多孔質フィルムから、分岐型低密度ポリエチレンの含有量を確認するには、該エチレン系重合体組成物、または多孔質フィルムから塩酸等により無機充填材を取り除いた後、上記方法に従ってTREFで分析することにより確認できる。
本発明において、分岐型低密度ポリエチレンを含むエチレン系重合体は、温度上昇溶離分別法により測定した結晶性分布が特定の割合であることを特徴とする。
本発明において、上記温度上昇溶離分別法(TREF)とは、ポリオレフィンを異なる温度で溶剤に溶解させ、各溶解温度におけるポリオレフィンの溶出量(濃度)を測定して、そのポリオレフィンの結晶性分布を評価する方法である。即ち、硅藻土、シリカビーズ等の不活性担体を充填剤として用い、そのカラム内に試料のポリオレフィンをオルトジクロルベンゼンよりなる溶剤に溶解した任意の濃度の試料溶液を注入し、カラムの温度を降下させて試料を充填剤表面に付着させた後、該カラム内にオルトジクロルベンゼンよりなる溶剤を通過させながらカラムの温度を上昇させていき、各温度で溶出してくるポリオレフィンの濃度を検出し、ポリオレフィンの溶出量(質量%)とその時のカラム内温度(℃)との値より、ポリオレフィンの結晶性分布を測定する方法である。溶出温度は溶出成分がより結晶化しやすくなるにつれて高くなるので、溶出温度とポリマーの溶出量(質量%)との関係を求めることにより、ポリマーの結晶性の分布を知ることができる。
上記方法において、カラムの温度の降下速度は、試料のポリオレフィンに含まれる結晶性部分の所定温度における結晶化に必要な速度に、また、カラムの温度の上昇速度は、各温度における試料の溶解が完了し得る速度に調整されることが必要であり、かかるカラムの温度の降下速度および上昇速度は予め実験によって決定すればよい。カラムの温度の降下速度は、5℃/分以下の範囲で、また、カラムの温度の上昇速度は、40℃/分以下の範囲で決定される。ここで、70℃未満の溶出成分とは、上記方法において、低温側から70℃に至る昇温過程での全溶出成分である。
本発明において、分岐型低密度ポリエチレンを含むエチレン系重合体は、上記のTREFによって測定した値が、溶出温度95℃以上120℃未満の溶出成分(A成分)が10質量%〜20質量%、溶出温度85℃以上95℃未満の溶出成分(B成分)が20質量%〜40質量%、溶出温度70℃以上85℃未満の溶出成分(C成分)が25質量%〜45質量%、溶出温度70℃未満の溶出成分(D成分)が15質量%〜30質量%であって、かつA成分、B成分、C成分、D成分の合計が100質量%である。
尚、A成分、B成分、C成分、D成分の割合を、エチレン系重合体と無機充填材とを含んでなる高速延伸製膜用エチレン系重合体組成物、または該エチレン系重合体組成物よりなる多孔質フィルムから確認するには、該エチレン系重合体組成物、または多孔質フィルムから塩酸等により無機充填材を取り除いた後、TREFで分析することにより確認できる。
本発明において、分岐型低密度ポリエチレンを含むエチレン系重合体が上記要件を満足することにより、高速延伸製膜性が可能であって、優れた物性を有する多孔質フィルムを得ることが可能となる。
本発明において、分岐型低密度ポリエチレンを含むエチレン系重合体は、TREFによって測定した溶出温度95℃以上120℃未満の溶出成分(A成分)が10質量%〜20質量%である。A成分が20質量%を超えると、得られる多孔質フィルムの柔軟性が低下してしまうため好ましくない。また、A成分が10質量%未満の場合には、得られる多孔質フィルムの破断強度が低下してしまうため好ましくない。
本発明において、分岐型低密度ポリエチレンを含むエチレン系重合体は、TREFによって測定した溶出温度85℃以上95℃未満の溶出成分(B成分)が20質量%〜40質量%である。B成分が40質量%を超える場合には、得られる多孔質フィルムの柔軟性が低下するため好ましくない。また、B成分が20質量%未満の場合には、得られる多孔質フィルムの破断強度が低下するため好ましくなく、高速延伸製膜性も低下する傾向にあるため好ましくない。B成分が上記範囲にあることにより、第3成分の添加剤を添加しなくとも、より高速延伸製膜性に優れ、且つ、柔軟性、破断強度等のバランスに優れる多孔質フィルムを得ることができる。高速延伸製膜性と多孔質フィルムの柔軟性、破断強度等を考慮すると、B成分は、25〜35質量%であることがより好ましい。
本発明において、分岐型低密度ポリエチレンを含むエチレン系重合体は、TREFによって測定した溶出温度70℃以上85℃未満の溶出成分(C成分)が25質量%〜45質量%である。C成分が45質量%を超える場合には、多孔質フィルムの伸度、通気性が低下する傾向にあるため好ましくない。また、C成分が25質量%未満の場合には、高速延伸製膜性が低下するため好ましくない。高速延伸製膜性と多孔質フィルムの伸度、通気性を勘案すると、C成分は、30質量%〜40質量%であることがより好ましい。
本発明において、分岐型低密度ポリエチレンを含むエチレン系重合体は、TREFによって測定した溶出温度70℃未満の溶出成分(D成分)が15質量%〜30質量%である。D成分が、30質量%を超える場合には、多孔質フィルムの破断強度が低下するため好ましくない。また、D成分が15質量%未満の場合には、多孔質フィルムの柔軟性、伸度が低下するため好ましくない。多孔質フィルムの破断強度、柔軟性、伸度を勘案すると、D成分は、20質量%〜30質量%であることがより好ましい。
本発明の高速延伸製膜用エチレン系重合体組成物は、分岐型低密度ポリエチレンを含むエチレン系重合体が上記要件を全て満足することにより、第3成分を添加しなくとも、優れた高速延伸製膜性を示すことができ、且つ、優れた物性を有する多孔質フィルムとすることができる。分岐型低密度ポリエチレンを含まずにエチレン系重合体が上記TREFの溶出成分を満足する場合等は、高速延伸製膜用エチレン系重合体組成物を得ることができない。
本発明において、分岐型低密度ポリエチレンを含むエチレン系重合体は、TREFの溶出成分が上記要件を満足するものであれば特に制限されるものでなく、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、分岐型低密度ポリエチレン等を所定の割合で混合することにより得ることもできるし、各々の成分をメタロセン触媒によって重合して調整し、分岐型低密度ポリエチレンを3〜20質量%の割合で混合することにより製造することもできる。中でも、高速延伸製膜用エチレン系重合体組成物が、優れた高速延伸製膜性を発揮し、かつ得られる多孔質フィルムの物性が良好なものとなるためには、下記の線状低密度ポリエチレンと分岐型低密度ポリエチレンとの混合物からなるエチレン系重合体が好ましい。
即ち、線状低密度ポリエチレンと分岐型ポリエチレンの組み合わせを具体的に例示すると、TREFの溶出温度95℃以上120℃未満の溶出成分(A成分)が10〜20質量%、溶出温度85℃以上95℃未満の溶出成分(B成分)が10〜20質量%、溶出温度70℃以上85℃未満の溶出成分(C成分)が30〜45質量%、溶出温度70℃未満の溶出成分(D成分)が30〜40質量%である比較的密度の低い線状低密度ポリエチレンと、A成分が15〜25質量%、B成分が45〜60質量%、C成分が15〜25質量%、D成分が1〜10質量%である比較的密度の高い線状低密度ポリエチレンと、A成分が0質量%、B成分が0〜5質量%、C成分が35〜90質量%、D成分が10〜60質量%の分岐型低密度ポリエチレンとを本発明の要件を満足するように混合することが好ましい。
上記2種類の線状低密度ポリエチレンと、上記分岐型低密度ポリエチレンとを組み合わせることにより、高速延伸製膜性に優れた高速延伸製膜用エチレン系重合体組成物を容易に得ることができ、かつ通気性、強度、伸度等のフィルム物性に優れた多孔質フィルムを製膜することができる。中でも、上記比較的密度の高い線状低密度ポリエチレンを使用することにより、高速延伸製膜性により優れ、特に多孔質フィルムを薄膜化する場合に有利となり、更に、フィルム物性のバランスに優れた多孔質フィルムを製膜することが可能となる。従来の一般的な線状低密度ポリエチレンと分岐型低密度ポリエチレンとからなる樹脂の組み合わせでは、上記比較的密度の高い線状低密度ポリエチレンを使用していないため、高速での製膜が困難であった。
また、上記線状低密度ポリエチレン、分岐型低密度ポリエチレンのメルトインデックスは特に制限されるものではなく、後記の無機充填材との混合物であるエチレン系重合体組成物の高速延伸製膜性や、得られるフィルムの物性を勘案して適宜決定すればよい。
本発明において、無機充填材は、特に制限されるものではなく、例えば、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン、シリカ、タルク等があげられ、中でも炭酸カルシウムが特に好ましい。無機充填材の平均粒子径は、5μm以下のものが好ましく、さらに好ましくは3μm以下のものが好ましい。エチレン系重合体組成物の高速延伸製膜性、得られるフィルムの通気性、物性等を勘案すると、無機充填材の平均粒径は、0.5〜2.5μmのものが特に好ましい。無機充填材の平均粒子径が2.5μm以下であることにより、延伸後のフィルムに発現する最大細孔径が大きくなりすぎず、孔の緻密性も良好となる傾向にあるため好ましい。一方、無機充填材の平均粒子径が0.5μm以上であることにより、無機充填材の分散が良くなる傾向にあるため、フィルムの製膜性が良好となり、また、延伸ムラも生じにくくなり、厚みのバラツキが少ない多孔質フィルムを得ることができる。
本発明において、無機充填材は、その分散を良くするために、エチレン系重合体と混合する前に予め表面処理を行なうことが好ましい。例えば、無機充填材に高級脂肪酸またはそれらの金属塩等を表面処理したものを使用することができる。
本発明の高速延伸製膜用エチレン系重合体組成物において、エチレン系重合体と無機充填材の配合割合は、エチレン系重合体が35質量%〜60質量%、無機充填材が65質量%〜40質量%である。エチレン系重合体35質量%未満であって、無機充填材が65質量%を越える場合には、高速延伸製膜用エチレン系重合体組成物をシート状に成形する際に成形不良を生じたり、延伸性が低下する傾向にあるため好ましくない。一方、エチレン系重合体が60質量%を越え、無機充填材が40質量%未満の場合には、フィルム延伸時に多孔化が十分にできなくなり、フィルムの通気性が低下する傾向にあるため好ましくない。フィルムの高速延伸製膜性、フィルムの通気性を勘案すると、エチレン系重合体と無機充填材の配合割合は、エチレン系重合体40〜55質量%、無機充填材60〜55質量%である。
本発明で用いるエチレン系重合体と無機充填材を混合した高速延伸製膜用エチレン系重合体組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、上記成分以外の成分、例えば、酸化防止剤、耐候剤、顔料、可塑剤、帯電防止剤等の添加剤、均一な延伸性を得るためにシリコンオイルやワックス等を配合してもよい。更に、より高速延伸製膜性を優れたものとするために、高速延伸製膜性を改善できる公知の添加剤を配合することもできる。
本発明において、エチレン系重合体と無機充填材を混合して高速延伸製膜用エチレン系重合体組成物を製造する方法は、特に限定されず公知の方法を採用すればよい。例えば、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー等で上記した各成分を予備混合した後、高混練タイプの二軸押出機等で溶融混練後、ペレット化する方法が挙げられる。また、予め線状低密度ポリエチレン、分岐型低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等の樹脂に無機充填材を高濃度に含んだ、いわゆる無機充填材のマスターバッチを使用することもできる。この場合、製膜時に該マスターバッチと線状低密度ポリエチレン、低密度分岐ポリエチレン、高密度ポリエチレン等を本発明の要件を満足するような割合で混合してやればよい。
本発明において、上記無機充填材のマスターバッチは、製膜時に線状低密度ポリエチレン、分岐型低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等と混合することにより、本発明の要件を満足する高速延伸製膜用エチレン系重合体組成物とすることができるものであれば、特に制限されるものではなく、通常市販されているものが使用できる。尚、市販されているマスターバッチを使用する場合には、マスターバッチから塩酸等を用いて無機充填材を取り除き、得られた樹脂のTREFを測定して、予め該樹脂の結晶性分布を確認してから使用すればよい。上記方法にて、予め樹脂の結晶分布を確認した市販の無機充填材のマスターバッチに、線状低密度ポリエチレン、分岐型低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等を所定の割合で混合することにより、本発明の要件を満足する高速延伸製膜用エチレン系重合体組成物とすることができる。
本発明において、エチレン系重合体と無機充填材の混合物である高速延伸製膜用エチレン系重合体組成物のメルトインデックスは、特に制限されるものでないが、メルトインデックスが1.5〜5.5g/10分であることが好ましい。高速延伸製膜用エチレン系重合体組成物のメルトインデックスが上記範囲にあることにより、高速延伸製膜性が向上し、フィルムの物性を良好に維持することが可能となる。高速延伸製膜性とフィルムの物性を勘案すると、高速延伸製膜用エチレン系重合体のメルトインデックスは、更に好ましくは2.0〜5.0g/10分である。
また、高速延伸製膜用エチレン系重合体組成物のメルトインデックスを上記範囲にする方法は、組み合わせる高密度ポリエチレン、分岐型低密度ポリエチレン、および線状低密度ポリエチレンのメルトインデックスを適宜調整する方法、見かけの流動性を高めるためフッ素系樹脂、脂肪酸金属塩、脂肪酸ビスアミド、ワックス等の滑剤を高速延伸製膜用エチレン系重合体組成物に混合する方法を採用することができる。
本発明において、高速延伸製膜用エチレン系重合体組成物を多孔質フィルムに製膜する方法は、Tダイより押出された該高速延伸製膜用エチレン系重合体組成物を、引取チルロールにおいて冷却固化させてフィルムまたはシートを得た後、該フィルムまたはシートを少なくとも一軸方向に延伸すればよい。
尚、本発明にいう高速延伸製膜性とは、上記方法により多孔質フィルムを製膜する際に、引取チルロールの引取速度を50m/分以上とした場合でも、ドローレゾナンスが発生せず、製膜できる状態をいう。
本発明において、上記高速延伸製膜用エチレン系重合体組成物をTダイより押出す際のTダイの温度は、エチレン系重合体の融点以上、好ましくは融点+20℃以上、分解温度未満である。
本発明において、上記高速延伸製膜用エチレン系重合体組成物は、Tダイより押出され、50m/分〜150m/分の引取速度で回転している引取チルロールよって冷却固化されてフィルムまたはシートとなる。上記引取チルロールの引取速度は、より多孔質フィルムの生産性を高めるためには60m/分以上が好ましい。また、上記引取チルロールの引取速度の上限は、工業的な生産を考えると150m/分以下、好ましくは、120m/分以下である。
本発明において、上記引取チルロールにおいて冷却固化されたフィルムまたはシートを延伸する延伸倍率は、フィルムまたはシートを破断させずに良好に多孔化することを勘案すると、面積倍率で1.1〜5倍が好ましい。面積倍率が1.1倍以上であることにより、均一に延伸することができるため、多孔化しやすくなり、得られる多孔質フィルムの通気性が良好となるため好ましい。一方、面積倍率が5倍以下であることにより、製膜中にフィルムの破断を防止することができ、多孔質フィルムの製膜性が向上するため好ましい。得られる多孔質フィルムの通気性と製膜性を勘案すると、少なくとも一軸方向に1.3〜3.5倍、より好ましくは、1.5〜3.5倍延伸することが好適である。
本発明において、上記フィルムまたはシートを延伸する方法は、特に制限なく公知の延伸方法が採用される。たとえば、ロールによる一軸延伸、一軸多段延伸、一軸延伸後テンター延伸機、または同時二軸延伸が挙げられるが、これらの中で、本発明で要件する要件を容易に達成することを勘案すると、ロール一軸延伸が孔径制御ならびに透湿度を制御する点から好ましい。
本発明において、上記フィルムまたはシートを延伸する条件は、特に制限されるものではないが、高速延伸製膜性を維持するためには、一軸延伸温度が20℃〜70℃で実施するのが好ましく、特に好適な一軸延伸温度は、30℃〜60℃である。一軸延伸温度が20℃以上であることにより、延伸負荷が低減され、均一に延伸できる傾向にあるため好ましい。一方、一軸延伸温度が70℃以下であることにより、無機充填材とエチレン系重合体との界面剥離が十分に行なわれ、通気性の優れた多孔質フィルムを得ることができる傾向にあるため好ましい。
本発明において、エチレン系重合体と無機充填材の混合物である高速延伸製膜用エチレン系重合体組成物よりなる多孔質フィルムの厚みは、特に制限されるものでないが、10μm〜50μmで実施するのが好ましく、特に好適な厚みは、15μm〜35μmである。
本発明において、エチレン系重合体と無機充填材の混合物である高速延伸製膜用エチレン系重合体組成物よりなる多孔質フィルムの厚みは、特に制限されるものでないが、10μm〜50μmで実施するのが好ましく、特に好適な厚みは、15μm〜35μmである。
本発明において、上記高速延伸製膜用エチレン系重合体組成物を上記製造方法により製膜して得られる多孔質フィルムの物性は、製膜条件、延伸条件、無機充填材の種類、粒径、配合割合等により自由に変化させることができるが、該多孔質フィルムの厚みが上記範囲にある場合には、下記範囲のフィルム物性のものが、優れた通気性、強度、伸度、並びに柔軟性を有するため、様々な用途で使用されるため好ましい。
即ち、本発明において、上記高速延伸製膜用エチレン系重合体を上記製造方法により製膜して得られる多孔質フィルムの透湿度は、1000〜8000g/m2・24hrであることが好ましい。該多孔質フィルムの透湿度が上記範囲にあることにより、通気性を必要とする用途においてその機能を十分に発揮し、かつ破断強度、伸度等の物性が優れたフィルムとなる。得られる多孔質フィルムの通気性と破断強度、伸度等を勘案すると、該多孔質フィルムの透湿度は、好ましくは1500〜5000g/m2・24hr、更に好ましくは、2000〜4500g/m2・24hrである。
また、該多孔質フィルムのフィルム流れ方向(MD)の引張弾性率、破断強度及び破断伸度は、引張弾性率が500N/mm2〜800N/mm2、破断強度が5.0N/25mm〜15.0N/25mm、破断伸度が150%〜400%であることが好ましい。該多孔質フィルムの引張弾性率、破断強度および破断伸度が上記範囲にあることにより、通気性を必要とする用途においてその機能を十分に発揮し、かつ柔軟性、強度、伸度等の物性が優れたフィルムとすることができる。
また、該多孔質フィルムのフィルム流れ方向(MD)の引張弾性率、破断強度及び破断伸度は、引張弾性率が500N/mm2〜800N/mm2、破断強度が5.0N/25mm〜15.0N/25mm、破断伸度が150%〜400%であることが好ましい。該多孔質フィルムの引張弾性率、破断強度および破断伸度が上記範囲にあることにより、通気性を必要とする用途においてその機能を十分に発揮し、かつ柔軟性、強度、伸度等の物性が優れたフィルムとすることができる。
以下、本発明についてさらに具体的に説明するために実施例を示す。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
また、実施例及び比較例に示した物性測定値は、以下に示す方法によって測定したものである。
TREF(温度上昇溶離分別)法による結晶性分布測定
ユニフローズ社製MPC−1100装置により、結晶性を次の条件で測定した。
TREF(温度上昇溶離分別)法による結晶性分布測定
ユニフローズ社製MPC−1100装置により、結晶性を次の条件で測定した。
溶媒 : オルトジクロロベンゼン
流速 : 1.0ml/分
降温速度: 5.0℃/時間 (130℃ → 0℃)
昇温速度: 20℃/時間
検出機 : 赤外検出器
測定波数: 3.41μm
TREFカラム:4.6mmφ×150mm 担体:クロモソルブP
試料濃度: 0.4g/ml
注入量 : 300μl
この場合、カラム内に試量溶液を130℃で導入した後、5℃/時間の速度で0℃まで徐冷して試料ポリマーを充填剤表面に吸着させた後、カラム温度を上記条件で昇温することにより、各温度で溶出してきたポリマー濃度を赤外検出器で測定した。
2)透湿度(g/m2・24hr)
フィルムから直径40mmの円部を任意に5箇所サンプリングし、それぞれの円部について、温度40℃、湿度60%の条件下で、JIS Z0208法に準拠して水分蒸発量を測定し、その平均値を求めた。
3)厚み(μm)
JIS K6734法に準拠して、厚み測定機を用いて測定した。
4)メルトインデックス(g/10分)
テクノセブン製メルトインデクサーを用いて、JIS K7210法に準拠して190℃のメルトインデックスを測定した。
5)高速延伸製膜性の評価方法
Tダイ成形機を用いて以下の条件で多孔質フィルムを製造して評価を行った。Tダイダイス幅850mm、リップクリアランス1.2mm、Tダイ温度230℃、延伸前予熱50℃、延伸温度50℃、延伸倍率2.0倍とした。押出シートの冷却は、ニップロールにて20℃で冷却した。製膜の際、最終フィルム厚みが20μmになるように押出量を調整し、フィルムの流れ方向の厚み変動が±5μm以上変動するドローレゾナンスが発生する時の引取チルロールの速度が50m/分未満の場合を×、50m/分以上の場合を○として高速延伸製膜性を評価した。
6)フィルムの物性 破断強度、伸度、引張弾性率
島津製作所製オートグラフAG500NI装置を用いて、JIS P8113法に準拠してフィルムの流れ方向の引張弾性率、破断強度及び破断伸度を測定した。
流速 : 1.0ml/分
降温速度: 5.0℃/時間 (130℃ → 0℃)
昇温速度: 20℃/時間
検出機 : 赤外検出器
測定波数: 3.41μm
TREFカラム:4.6mmφ×150mm 担体:クロモソルブP
試料濃度: 0.4g/ml
注入量 : 300μl
この場合、カラム内に試量溶液を130℃で導入した後、5℃/時間の速度で0℃まで徐冷して試料ポリマーを充填剤表面に吸着させた後、カラム温度を上記条件で昇温することにより、各温度で溶出してきたポリマー濃度を赤外検出器で測定した。
2)透湿度(g/m2・24hr)
フィルムから直径40mmの円部を任意に5箇所サンプリングし、それぞれの円部について、温度40℃、湿度60%の条件下で、JIS Z0208法に準拠して水分蒸発量を測定し、その平均値を求めた。
3)厚み(μm)
JIS K6734法に準拠して、厚み測定機を用いて測定した。
4)メルトインデックス(g/10分)
テクノセブン製メルトインデクサーを用いて、JIS K7210法に準拠して190℃のメルトインデックスを測定した。
5)高速延伸製膜性の評価方法
Tダイ成形機を用いて以下の条件で多孔質フィルムを製造して評価を行った。Tダイダイス幅850mm、リップクリアランス1.2mm、Tダイ温度230℃、延伸前予熱50℃、延伸温度50℃、延伸倍率2.0倍とした。押出シートの冷却は、ニップロールにて20℃で冷却した。製膜の際、最終フィルム厚みが20μmになるように押出量を調整し、フィルムの流れ方向の厚み変動が±5μm以上変動するドローレゾナンスが発生する時の引取チルロールの速度が50m/分未満の場合を×、50m/分以上の場合を○として高速延伸製膜性を評価した。
6)フィルムの物性 破断強度、伸度、引張弾性率
島津製作所製オートグラフAG500NI装置を用いて、JIS P8113法に準拠してフィルムの流れ方向の引張弾性率、破断強度及び破断伸度を測定した。
実施例1
表1に示す線状低密度ポリエチレン1(LLDPE1、ダウケミカル製、商品名2047G)を30質量%、線状低密度ポリエチレン2(LLDPE2、ダウケミカル製、商品名2036P)を15質量%、分岐型低密度ポリエチレン4(LDPE4、三井化学製、商品名ミラソン16P)を5質量%及び平均粒径が2.0μmの炭酸カルシウム50質量%ならびに分散剤としてステアリン酸亜鉛を上記エチレン系重合体と炭酸カルシウムの合計100重量部に対して2重量部をスーパーミキサーで混合した後、二軸混練押出機を用いて220℃で均一に混練しペレット状に加工した。このペレットをTダイ成形機を用いて上記5)高速延伸製膜性の評価方法の条件に従い製膜し、多孔質フィルムを得た。得られた多孔質フィルムの諸特性を表2に示す。尚、実施例1の組成物は、引取チルロールの引取速度を60m/分にした場合においても、得られた孔質フィルムの厚みの変動は起こらなかった。
表1に示す線状低密度ポリエチレン1(LLDPE1、ダウケミカル製、商品名2047G)を30質量%、線状低密度ポリエチレン2(LLDPE2、ダウケミカル製、商品名2036P)を15質量%、分岐型低密度ポリエチレン4(LDPE4、三井化学製、商品名ミラソン16P)を5質量%及び平均粒径が2.0μmの炭酸カルシウム50質量%ならびに分散剤としてステアリン酸亜鉛を上記エチレン系重合体と炭酸カルシウムの合計100重量部に対して2重量部をスーパーミキサーで混合した後、二軸混練押出機を用いて220℃で均一に混練しペレット状に加工した。このペレットをTダイ成形機を用いて上記5)高速延伸製膜性の評価方法の条件に従い製膜し、多孔質フィルムを得た。得られた多孔質フィルムの諸特性を表2に示す。尚、実施例1の組成物は、引取チルロールの引取速度を60m/分にした場合においても、得られた孔質フィルムの厚みの変動は起こらなかった。
実施例2
実施例1において、配合比率を、LLDPE1を20質量%、LLDPE2を15質量%、LDPE4を5質量%及び平均粒径が2.0μmの炭酸カルシウムを60質量%に変更した以外は実施例1と同じ条件で製膜し、多孔質フィルムを得た。得られた多孔質フィルムの諸特性を表2に示す。尚、実施例2の組成物は、引取チルロールの引取速度を60m/分にした場合においても、得られた多孔質フィルムの厚みの変動は起こらなかった。
実施例1において、配合比率を、LLDPE1を20質量%、LLDPE2を15質量%、LDPE4を5質量%及び平均粒径が2.0μmの炭酸カルシウムを60質量%に変更した以外は実施例1と同じ条件で製膜し、多孔質フィルムを得た。得られた多孔質フィルムの諸特性を表2に示す。尚、実施例2の組成物は、引取チルロールの引取速度を60m/分にした場合においても、得られた多孔質フィルムの厚みの変動は起こらなかった。
実施例3
LLDPE2を25質量%、表1に示す線状低密度ポリエチレン3(LLDPE3、ダウケミカル製、2035G)を20質量%、LDPE4を5質量%とし、分散剤を使用しなかったこと以外は、実施例1と同じ条件で製膜し、多孔質フィルムを得た。得られた多孔質フィルムの諸特性を表2に示す。尚、実施例3の組成物は、引取チルロールの引取速度を60m/分にした場合においても、得られた多孔質フィルムの厚みの変動は起こらなかった。
LLDPE2を25質量%、表1に示す線状低密度ポリエチレン3(LLDPE3、ダウケミカル製、2035G)を20質量%、LDPE4を5質量%とし、分散剤を使用しなかったこと以外は、実施例1と同じ条件で製膜し、多孔質フィルムを得た。得られた多孔質フィルムの諸特性を表2に示す。尚、実施例3の組成物は、引取チルロールの引取速度を60m/分にした場合においても、得られた多孔質フィルムの厚みの変動は起こらなかった。
実施例4
実施例1において、延伸倍率を2.5倍とした以外は、実施例1と同じ条件で製膜し、多孔質フィルムを得た。得られた多孔質フィルムの諸特性を表2に示す。高速延伸製膜性の結果は、実施例1と同様の結果であった。
実施例1において、延伸倍率を2.5倍とした以外は、実施例1と同じ条件で製膜し、多孔質フィルムを得た。得られた多孔質フィルムの諸特性を表2に示す。高速延伸製膜性の結果は、実施例1と同様の結果であった。
実施例5
実施例1において、延伸倍率を1.5倍とした以外は、実施例1と同じ条件で製膜し、多孔質フィルムを得た。得られた多孔質フィルムの諸特性を表2に示す。高速延伸製膜性の結果は、実施例1と同様の結果であった。
実施例6
実施例1において、LLDPE1を25質量%、LLDPE2を20質量%、LDPE4を5質量%に変更した以外は実施例1と同じ条件で成形し、多孔質フィルムを得た。得られた多孔質フィルムの諸特性を表2に示す。尚、実施例6の組成物は、引取チルロールの引取速度を60m/分にした場合においても、得られた多孔質フィルムの厚みの変動は起こらなかった。
実施例1において、延伸倍率を1.5倍とした以外は、実施例1と同じ条件で製膜し、多孔質フィルムを得た。得られた多孔質フィルムの諸特性を表2に示す。高速延伸製膜性の結果は、実施例1と同様の結果であった。
実施例6
実施例1において、LLDPE1を25質量%、LLDPE2を20質量%、LDPE4を5質量%に変更した以外は実施例1と同じ条件で成形し、多孔質フィルムを得た。得られた多孔質フィルムの諸特性を表2に示す。尚、実施例6の組成物は、引取チルロールの引取速度を60m/分にした場合においても、得られた多孔質フィルムの厚みの変動は起こらなかった。
比較例1
実施例1において、LLDPE1を45質量%、LDPE4を5質量%とした以外は、実施例1と同じ条件で成形したが、引取速度50m/分で多孔質フィルムの厚みの変動が±5μmを超え、±10μm程度となり、ドローレゾナンスが発生した。
実施例1において、LLDPE1を45質量%、LDPE4を5質量%とした以外は、実施例1と同じ条件で成形したが、引取速度50m/分で多孔質フィルムの厚みの変動が±5μmを超え、±10μm程度となり、ドローレゾナンスが発生した。
比較例2
実施例1において、LLDPE2を35質量%、LDPE4を15質量%とした以外は、実施例1と同じ条件で製膜し、多孔質フィルムを得た。得られた多孔質フィルムの諸特性を表3に示す。尚、比較例2の組成物は、引取チルロールの引取速度を60m/分にした場合には、Tダイと引取チルロールの間でシートが破断し、製膜ができなかった。
実施例1において、LLDPE2を35質量%、LDPE4を15質量%とした以外は、実施例1と同じ条件で製膜し、多孔質フィルムを得た。得られた多孔質フィルムの諸特性を表3に示す。尚、比較例2の組成物は、引取チルロールの引取速度を60m/分にした場合には、Tダイと引取チルロールの間でシートが破断し、製膜ができなかった。
比較例3
実施例1に示す樹脂組成において、表1のLLDPE1を25質量%、LLDPE2を25質量%とした以外は、実施例1と同じ条件で成形したが、引取速度30m/分で多孔質フィルムの厚みの変動が±5μmを超え、±10μm程度となり、ドローレゾナンスが発生した。
実施例1に示す樹脂組成において、表1のLLDPE1を25質量%、LLDPE2を25質量%とした以外は、実施例1と同じ条件で成形したが、引取速度30m/分で多孔質フィルムの厚みの変動が±5μmを超え、±10μm程度となり、ドローレゾナンスが発生した。
Claims (2)
- 分岐型低密度ポリエチレンを3〜20質量%含有し、連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線から求めた温度範囲の溶出成分において、溶出温度95℃以上120℃未満の溶出成分(A成分)が10質量%〜20質量%、溶出温度85℃以上95℃未満の溶出成分(B成分)が20質量%〜40質量%、溶出温度70℃以上85℃未満の溶出成分(C成分)が25質量%〜45質量%、溶出温度70℃未満の溶出成分(D成分)が15質量%〜30質量%であって、かつA成分、B成分、C成分、D成分の合計が100質量%であるエチレン系重合体を35〜60質量%、無機充填材を65〜40質量%含有することを特徴とする高速延伸製膜用エチレン系重合体組成物。
- 請求項1記載の高速延伸製膜用エチレン系重合体組成物をTダイが装着された押出成形機より押出し、50m/分〜150m/分の引取速度で回転している引取チルロールによって冷却固化させてフィルムまたはシートとした後、該フィルムまたはシートを少なくとも1軸方向に1.1〜5倍延伸することを特徴とする多孔質フィルムの製造方法。
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