JP2005126647A - 防曇剤および農業用フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 初期の防曇性や透明性に優れるのみならず、長期間にわたって優れた防曇性や透明性を持続するとともに、農業用フィルムを構成する基材との密着性、耐傷つき性、貯蔵安定性等に優れ、かつ、塗布装置やハウスの鉄骨部分などの錆びの発生を促進することもない防曇剤、および、この防曇剤からなる防曇層が形成された農業用フィルムを提供する。
【解決手段】
水性媒体100重量部に対し、ネックレス状コロイダルシリカ0.1〜20重量部、特定のシラン誘導体0.01〜5重量部および界面活性剤0.01〜5重量部が含有されてなることを特徴とする防曇剤、および、pHが7〜12であることを特徴とする上記防曇剤、ならびに、熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に上記防曇剤からなる防曇層が形成されてなることを特徴とする農業用フィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、防曇剤およびこの防曇剤を用いた農業用フィルムに関する。なお、本発明で言うフィルムにはシートも包含される。
一般に、例えばパイプハウスやトンネルなどの農業用途に使用される農業用フィルムは、屋外環境下で使用されるため、その表面に水分が付着しやすく、例えば、ハウスなどに展張するとハウス内外の温度差や湿度差によって、ハウス内部のフィルム表面に曇りや水滴を生じ、太陽光線の透過性が悪くなって作物の育成を妨げたり、水滴が作物上に落下して病気が発生するという問題点がある。
上記問題点を解決するために、ハウス内部のフィルム表面に生じた結露水を流滴させ、防曇性を発現させるための様々な手法がこれまでに考案されている。例えば、非イオン系界面活性剤などの防曇剤をフィルム中に練り込み、この防曇剤をブリードアウトさせることによって、ハウス内部のフィルム表面に付着した結露水を流滴させる方法がある。
ところが、この方法では、短期間の防曇効果は得られるものの、フィルム中に練り込まれた防曇剤が完全にブリードアウトしきってしまうと全く防曇効果が無くなってしまうという問題点、つまり長期間にわたる防曇持続性(防曇性の持続性)が不十分になるという問題点がある。
また、その他の方法として、フィルム表面に防曇剤をコーティングして防曇層を形成させ、この防曇層によってフィルム表面の結露水を流滴させることにより、長期間にわたる防曇持続性を発現させる農業用フィルムが種々検討されており、例えば、熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面にコロイダルシリカとコロイダルアルミナとの混合コロイドおよびアニオン性界面活性剤を含有する防曇剤からなる防曇層を形成した農業用フィルムが開示されている。
特許第3341093号公報 特許第3365828号公報 特許第3390302号公報
しかし、これらの方法は上記問題点を十分に解決するものではなく、長期間使用した後では、フィルム表面に付着した水滴が水膜にならず、流滴不良を生じて水滴が作物上に落下することがあるという問題点がある。
また、一般的なコロイダルシリカを用いた防曇剤は酸性であるため、防曇剤を長期間にわたって貯蔵(保存)した時の安定性、つまり防曇剤の貯蔵安定性が低下するという問題点がある。
さらに、このような酸性の防曇剤を使用した場合、防曇剤を塗布するために必要な塗布装置を長時間運転させると塗布装置が錆びるという問題点や、このような酸性の防曇剤を塗布した農業用フィルムをハウスの外張りに用いると、ハウス内の環境が高温多湿であるため、ハウスの鉄骨部分の錆びの発生を促進するという問題点がある。
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、初期の防曇性や透明性に優れるのみならず、長期間にわたって優れた防曇性や透明性を持続するとともに、農業用フィルムを構成する基材との密着性、耐傷つき性、貯蔵安定性等に優れ、かつ、塗布装置やハウスの鉄骨部分などの錆びの発生を促進することもない防曇剤、および、この防曇剤からなる防曇層が形成された農業用フィルムを提供することにある。
請求項1に記載の発明(本発明)による防曇剤は、水性媒体100重量部に対し、ネックレス状コロイダルシリカ0.1〜20重量部、下記一般式(1)で表されるシラン誘導体0.01〜5重量部および界面活性剤0.01〜5重量部が含有されてなることを特徴とする。
Figure 2005126647
{式中、R1 は、置換基としてエポキシ基、エポキシ基含有基、(メタ)アクリル基および(メタ)アクリル基含有基からなる群より選択される反応性基を少なくとも1個有するアルキル基またはアリール基を示す。R2 およびR3 は、それぞれ炭素数1〜3のアルキル基を示し、R2 およびR3 は互いに同一であっても良いし、異なっていても良い。nは、1〜3の整数を示す}
請求項2に記載の発明による防曇剤は、上記請求項1に記載の防曇剤において、ネックレス状コロイダルシリカが、粒子径5〜40nmのコロイダルシリカ粒子が40〜300nmの長さに連なって結合したものであり、かつ、水性媒体中に分散させた時のpHが7〜12であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明による防曇剤は、上記請求項1または請求項2に記載の防曇剤において、界面活性剤が、非イオン性界面活性剤であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明による防曇剤は、上記請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の防曇剤において、pHが7〜12であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明(本発明)による農業用フィルムは、熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に上記請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の防曇剤からなる防曇層が形成されてなることを特徴とする。
本発明の防曇剤に用いられる水性媒体は、防曇剤の媒体となるものであり、水単独であっても良いし、例えばアルコールやアセトンなどの水溶性溶媒が水に添加されたものであっても良い。
上記水性媒体中における水溶性溶媒の含有量は、特に限定されるものではないが、50重量%以下であることが好ましい。水性媒体中における水溶性溶媒の含有量が50重量%を超えると、防曇剤を塗布した後の乾燥時に引火の危険性が発生することがある。
本発明の防曇剤に用いられるネックレス状コロイダルシリカとは、複数個のコロイダルシリカ粒子が一定の長さに連なって結合し、両端が非結合状態となされているものを言う。
上記コロイダルシリカ粒子は、粒子径が5〜40nmであることが好ましく、より好ましくは10〜20nmである。コロイダルシリカ粒子の粒子径が5nm未満であると、コロイダルシリカ粒子自体の製造が困難となることがあり、逆にコロイダルシリカ粒子の粒子径が40nmを超えると、得られる防曇剤から形成される防曇層と農業用フィルムを構成する例えば熱可塑性樹脂フィルムなどの基材との密着性が不十分となることがある。
上記ネックレス状コロイダルシリカは、長さが40〜300nmであることが好ましく、より好ましくは100〜200nmである。ネックレス状コロイダルシリカの長さが40nm未満であると、得られる防曇剤の防曇性が不十分となることがあり、逆にネックレス状コロイダルシリカの長さが300nmを超えると、ネックレス状コロイダルシリカ自体の製造が困難となることがある。
また、上記ネックレス状コロイダルシリカは、前記水性媒体中に分散させた時のpHが7〜12であることが好ましく、より好ましくは8〜11である。ネックレス状コロイダルシリカの上記pHが7未満であると、酸性のネックレス状コロイダルシリカとなって、得られる防曇剤の貯蔵安定性が不十分となることがあり、逆にネックレス状コロイダルシリカの上記pHが12を超えると、ネックレス状コロイダルシリカ自体が水性媒体中に溶解してしまうことがある。
即ち、本発明の防曇剤に用いられるネックレス状コロイダルシリカは、粒子径5〜40nmのコロイダルシリカ粒子が40〜300nmの長さに連なって結合したものであって、水性媒体中に分散させた時のpHが7〜12であるものが好ましく、より好ましくは、粒子径10〜20nmのコロイダルシリカ粒子が100〜200nmの長さに連なって結合したものであって、水性媒体中に分散させた時のpHが8〜11であるものである。
上記ネックレス状コロイダルシリカとしては、特に限定されるものではないが、例えば、コロイダルシリカ粒子を水などの水性媒体中に分散させてなるコロイダルシリカ分散液や、その市販品等が挙げられる。これらのネックレス状コロイダルシリカは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
上記コロイダルシリカ分散液の市販品としては、特に限定されるものではないが、例えば、日産化学工業社製の商品名「ST−PSS」、「ST−PSM」、「ST−PSL」などの「ST」シリーズ等が挙げられる。
本発明の防曇剤においては、前記水性媒体100重量部に対し、上記ネックレス状コロイダルシリカ0.1〜20重量部が含有されていることが必要であり、好ましくは2〜10重量部である。なお、本発明で言うネックレス状コロイダルシリカの含有量とは、ネックレス状コロイダルシリカとして上記コロイダルシリカ分散液を用いる場合、固形分換算の含有量を意味する。
水性媒体100重量部に対するネックレス状コロイダルシリカの含有量が0.1重量部未満であると、得られる防曇剤の防曇性が不十分となり、逆に水性媒体100重量部に対するネックレス状コロイダルシリカの含有量が20重量部を超えると、得られる防曇剤の造膜性や貯蔵安定性が不十分となる。
本発明の防曇剤に用いられるシラン誘導体は、下記一般式(1)で表される。
Figure 2005126647
上記一般式(1)中、R1 は、置換基としてエポキシ基、エポキシ基含有基、(メタ)アクリル基および(メタ)アクリル基含有基からなる群より選択される反応性基を少なくとも1個有するアルキル基またはアリール基を示す。また、R2 およびR3 は、それぞれ炭素数1〜3のアルキル基を示し、R2 およびR3 は互いに同一であっても良いし、異なっていても良い。さらに、nは、1〜3の整数を示す。なお、本発明で言う(メタ)アクリル基とは、アクリル基またはメタクリル基を意味する。
上記一般式(1)で表されるシラン誘導体は、前記水性媒体中に溶解もしくは分散させた時のpHが7〜12であることが好ましく、より好ましくは8〜11である。一般式(1)で表されるシラン誘導体の上記pHが7未満であると、得られる防曇剤の貯蔵安定性が不十分となることがあり、逆に一般式(1)で表されるシラン誘導体の上記pHが12を超えると、一般式(1)で表されるシラン誘導体自体の製造が困難となることがある。
上記一般式(1)で表されるシラン誘導体としては、特に限定されるものではないが、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらの一般式(1)で表されるシラン誘導体は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
本発明の防曇剤においては、前記水性媒体100重量部に対し、上記一般式(1)で表されるシラン誘導体0.01〜5重量部が含有されていることが必要であり、好ましくは0.1〜3重量部である。
水性媒体100重量部に対する一般式(1)で表されるシラン誘導体の含有量が0.01重量部未満であると、前記ネックレス状コロイダルシリカとの結合力が弱くなって、得られる防曇剤から形成される防曇層と農業用フィルムを構成する例えば熱可塑性樹脂フィルムなどの基材との密着性が不十分となったり、防曇性が不十分となり、逆に水性媒体100重量部に対する一般式(1)で表されるシラン誘導体の含有量が5重量部を超えると、得られる防曇剤の貯蔵安定性が不十分となる。
本発明の防曇剤に用いられる界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、非イオン性(ノニオン性)界面活性剤、陰イオン性(アニオン性)界面活性剤、陽イオン性(カチオン性)界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられ、なかでも、得られる防曇剤の塗布性や貯蔵安定性を向上させる効果に優れることから、非イオン性界面活性剤が好適に用いられる。これらの界面活性剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
上記非イオン性界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエーテル変性シリコーンオイルなどのシリコーン系界面活性剤;フルオロアルキル基やフルオロアルケニル基などを含有するフッ素系界面活性剤;グリセリンステアリン酸エステル、ジグリセリンステアリン酸エステル、ポリグリセリンステアリン酸エステル、ソルビトールステアリン酸エステルなどの多価アルコール飽和脂肪酸エステル;グリセリンオレイン酸エステル、ジグリセリンオレイン酸エステルなどの多価アルコール不飽和脂肪酸エステル等が挙げられ、なかでも、得られる防曇剤の塗布性や貯蔵安定性を向上させる効果により優れることから、シリコーン系界面活性剤やフッ素系界面活性剤が好適に用いられる。これらの非イオン性界面活性剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
本発明の防曇剤においては、前記水性媒体100重量部に対し、上記界面活性剤、好ましくは非イオン性界面活性剤0.01〜5重量部が含有されていることが必要であり、好ましくは0.1〜3重量部である。
水性媒体100重量部に対する界面活性剤、好ましくは非イオン性界面活性剤の含有量が0.01重量部未満であると、得られる防曇剤の塗布性が不十分となり、逆に水性媒体100重量部に対する界面活性剤、好ましくは非イオン性界面活性剤の含有量が5重量部を超えると、使用量の割にその効果は向上せず、経済的に不利となる。
即ち、本発明の防曇剤は、前記水性媒体100重量部に対し、前記ネックレス状コロイダルシリカ0.1〜20重量部、前記一般式(1)で表されるシラン誘導体0.01〜5重量部および上記界面活性剤0.01〜5重量部が含有されてなるものであることが必要であり、好ましくは、水性媒体100重量部に対し、ネックレス状コロイダルシリカ2〜10重量部、一般式(1)で表されるシラン誘導体0.1〜3重量部および界面活性剤0.1〜3重量部が含有されてなるものである。
本発明の防曇剤には、必須成分である水性媒体、ネックレス状コロイダルシリカ、一般式(1)で表されるシラン誘導体および界面活性剤に加えるに、本発明の課題達成を阻害しない範囲で必要に応じて、例えば、粘度調整剤、エマルジョン、酸化防止剤(老化防止剤)、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、消泡剤等の各種添加剤の1種類もしくは2種類以上が添加されていても良い。
本発明の防曇剤の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の任意の製造方法で良い。例えば、ホモジナイザー等の攪拌混合装置を用いて、必須成分である水性媒体、ネックレス状コロイダルシリカ、一般式(1)で表されるシラン誘導体および界面活性剤の各所定量と、必要に応じて添加される各種添加剤の1種類もしくは2種類以上の各所定量とを均一に攪拌混合することにより、所望の防曇剤を得ることができる。
こうして得られる本発明の防曇剤は、pHが7〜12であることが好ましく、より好ましくは8〜11である。防曇剤のpHが7未満であると、貯蔵安定性が不十分となることがあり、逆に防曇剤のpHが12を超えると、前記ネックレス状コロイダルシリカが防曇剤中に溶解してしまうことがある。
本発明の防曇剤は、熱可塑性樹脂フィルムやガラス板などの基材の少なくとも片面に塗布され、乾燥されることによって防曇層を形成する。特に、熱可塑性樹脂フィルムからなる基材の少なくとも片面に本発明の防曇剤からなる防曇層が形成されたものは、農業用フィルムとして好適に用いられる。
次に、本発明の農業用フィルムは、熱可塑性樹脂フィルム(基材)の少なくとも片面に上述した本発明の防曇剤からなる防曇層が形成されてなる。
本発明の農業用フィルムに用いられる熱可塑性樹脂フィルムとしては、従来より農業用フィルムの基材として用いられているもので良く、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合体、エチレン−エチレン以外のα−オレフィン系共重合体、ポリプロピレン系樹脂、プロピレン−酢酸ビニル系共重合体、プロピレン−プロピレン以外のα−オレフィン系共重合体、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等からなるフィルムが挙げられ、なかでも、ポリエチレン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合体、エチレン−エチレン以外のα−オレフィン系共重合体、ポリプロピレン系樹脂、プロピレン−酢酸ビニル系共重合体、プロピレン−プロピレン以外のα−オレフィン系共重合体などのポリオレフィン系樹脂からなるフィルムが好適に用いられ、とりわけ、エチレン−酢酸ビニル系共重合体からなるフィルムがより好適に用いられる。これらの熱可塑性樹脂フィルムは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
上記ポリエチレン系樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂等が挙げられる。これらのポリエチレン系樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
上記α−オレフィンとしては、特に限定されるものではないが、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられる。これらのα−オレフィンは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
上記熱可塑性樹脂フィルムは、単層の熱可塑性樹脂フィルムであっても良いし、2層以上が積層されてなる複層(多層)の熱可塑性樹脂フィルムであっても良いが、物性のバランスを制御しやすいことから、複層の熱可塑性樹脂フィルムであることが好ましい。
上記熱可塑性樹脂フィルムには、本発明の課題達成を阻害しない範囲で必要に応じて、例えば、無機保温剤、有機保温剤、酸化防止剤(老化防止剤)、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、防霧剤、滑剤、着色剤(顔料や染料)等の各種添加剤の1種類もしくは2種類以上が添加されていても良い。
上記無機保温剤としては、得られる農業用フィルムの保温性の向上とフィルム成形(フィルム製膜)時の押出し変動の改善との2つの機能を果たし得るものであれば良く、特に限定されるものではないが、例えば、酸化珪素、ハイドロタルサイトなどの珪酸塩類、燐酸塩類、ガラス微粉末等が挙げられる。これらの無機保温剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
上記無機保温剤の添加量は、特に限定されるものではないが、上記熱可塑性樹脂フィルムを構成する熱可塑性樹脂100重量部に対し、無機保温剤5〜100重量部であることが好ましく、より好ましくは10〜50重量部である。熱可塑性樹脂100重量部に対する無機保温剤の添加量が5重量部未満であると、無機保温剤が果たす上記機能を十分に得られなくなることがあり、逆に熱可塑性樹脂100重量部に対する無機保温剤の添加量が100重量部を超えると、得られる農業用フィルムの初期防曇性および防曇持続性が不十分となることがある。
上記酸化防止剤としては、従来公知の任意の酸化防止剤で良く、特に限定されるものではないが、例えば、カルボン酸の金属塩、フェノール系抗酸化剤、有機亜燐酸エステルなどのキレーター等が挙げられる。通常、これらの酸化防止剤は、上記熱安定剤としての機能も兼ね備えることが多い。これらの酸化防止剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
上記光安定剤としては、従来公知の任意の光安定剤で良く、特に限定されるものではないが、例えば、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ポリ{〔6−[(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル〕[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]}などのヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられる。これらの光安定剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
上記紫外線吸収剤としては、従来公知の任意の紫外線吸収剤で良く、特に限定されるものではないが、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系紫外線吸収剤、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチル酸エステル系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤等が挙げられる。これらの紫外線吸収剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
上記防霧剤としては、従来公知の任意の防霧剤で良く、特に限定されるものではないが、例えば、シリコーン系、フッ素系などの界面活性剤等が挙げられる。これらの防霧剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
上記滑剤としては、従来公知の任意の滑剤で良く、特に限定されるものではないが、例えば、ステアリン酸アマイドなどの飽和脂肪酸アマイド、エルカ酸アマイド、オレイン酸アマイドなどの不飽和脂肪酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイドなどのビスアマイド等が挙げられる。これらの滑剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
本発明の農業用フィルムの製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の任意の製造方法で良い。例えば、前記熱可塑性樹脂からなる熱可塑性樹脂フィルム(基材)を成形(製膜)した後、この熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に予め製造しておいた本発明の防曇剤を塗布し、乾燥して、防曇層を形成することにより、所望の農業用フィルムを得ることができる。
熱可塑性樹脂からなる熱可塑性樹脂フィルムを成形する方法としては、従来公知の任意のフィルム成形法で良く、特に限定されるものではないが、例えば、インフレーション法、Tダイ法、カレンダー法等が挙げられる。
熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に本発明の防曇剤を塗布する方法としては、従来公知の任意の塗布方法で良く、特に限定されるものではないが、例えば、グラビアコーターなどによるロールコート法、バーコート法、ディップコート法、カーテンコート(フローコート)法、スプレーコート法、刷毛塗り法等が挙げられる。
上記防曇剤の塗布に先立って、熱可塑性樹脂フィルムの防曇剤塗布面には、防曇剤の塗布性や密着性をより向上させるために、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、火炎処理、化成処理、プライマー(下塗り剤)処理などの表面処理(下地処理)を予め施しておいても良い。
熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に塗布された本発明の防曇剤を乾燥する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、自然乾燥であっても良いし、強制乾燥であっても良いが、乾燥効率に優れることから、強制乾燥が好ましい。上記強制乾燥の方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、熱風乾燥、赤外線乾燥、遠赤外線乾燥などの加熱乾燥等が挙げられる。
本発明の農業用フィルムは、特に限定されるものではないが、厚みが20〜300μmであることが好ましく、より好ましくは50〜200μmである。農業用フィルムの厚みが20μm未満であると、機械的強度が不十分となることがあり、逆に農業用フィルムの厚みが300μmを超えると、裁断、接合、展張作業等が困難となって、取扱い性や作業性が不十分となることがある。
本発明の防曇剤は、水性媒体100重量部に対し、ネックレス状コロイダルシリカ0.1〜20重量部、前記一般式(1)で表されるシラン誘導体0.01〜5重量部および界面活性剤0.01〜5重量部が含有されてなるので、初期の防曇性や透明性に優れるのみならず、長期間にわたって優れた防曇性や透明性を持続するとともに、農業用フィルムを構成する基材との密着性、耐傷つき性、貯蔵安定性等に優れ、かつ、塗布装置やハウスの鉄骨部分などの錆びの発生を促進することもない。
また、本発明の防曇剤は、上記ネックレス状コロイダルシリカとして粒子径5〜40nmのコロイダルシリカ粒子が40〜300nmの長さに連なって結合したものであり、かつ、水性媒体に分散させた時のpHが7〜12であるネックレス状コロイダルシリカを用いたり、および/または、上記界面活性剤として非イオン性界面活性剤を用いたり、および/または、防曇剤のpHを7〜12とすることにより、上記効果がより確実なものとなる。
本発明の農業用フィルムは、熱可塑性樹脂フィルム(基材)の少なくとも片面に上記本発明の防曇剤からなる防曇層が形成されてなるので、初期の防曇性や透明性に優れるのみならず、長期間にわたって優れた防曇性や透明性を持続するとともに、上記基材と防曇剤との密着性、耐傷つき性、貯蔵安定性等に優れるものである。
本発明をさらに詳しく説明するため以下に実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
本実施例においては以下に示す原材料を用いた。
1.コロイダルシリカ
(1)ネックレス状コロイダルシリカ−A(コロイダルシリカ粒子の粒子径:10〜15nm、長さ:100〜200nm、水性媒体中に分散させた時のpH:9〜10.5、日産化学工業社製)
(2)ネックレス状コロイダルシリカ−B(コロイダルシリカ粒子の粒子径:35〜40nm、長さ:100〜200nm、水性媒体中に分散させた時のpH:9〜10.5、日産化学工業社製)
(3)ネックレス状コロイダルシリカ−C(コロイダルシリカ粒子の粒子径:10〜15nm、長さ:100〜200nm、水性媒体中に分散させた時のpH:2〜4、日産化学工業社製)
(4)球状コロイダルシリカ(コロイダルシリカ粒子の粒子径:10〜20nm、水性媒体中に分散させた時のpH:9.5〜10、日産化学工業社製)
なお、上記コロイダルシリカは、いずれも水に分散させた分散液として用いた。従って、コロイダルシリカの添加量は固形分換算の添加量であり、分散液の水分は水性媒体(水)中に含有される。
2.シラン誘導体
(1)3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(商品名「KBE−403」、信越シリコーン社製)
(2)3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン(商品名「KBE−503」、信越シリコーン社製)
(3)ビニルトリエトキシシラン(商品名「TSL8311」、GE東芝シリコーン社製)
3.界面活性剤
(1)シリコーン系界面活性剤(ポリエーテル変性シリコーンオイル、GE東芝シリコーン社製)
(2)フッ素系界面活性剤(パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、大日本インキ化学工業社製)
4.水性媒体
・水
5.熱可塑性樹脂
(1)直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(メルトマスフローレイト:2.1g/10分、密度:0.94g/cm3
(2)低密度ポリエチレン樹脂(メルトマスフローレイト:2.1g/10分、密度:0.92g/cm3
(3)エチレン−酢酸ビニル共重合体−a(酢酸ビニル含有量:15重量%、メルトマスフローレイト:1.4g/10分、密度:0.93g/cm3
(4)エチレン−酢酸ビニル共重合体−b(酢酸ビニル含有量:5重量%、メルトマスフローレイト:1.3g/10分、密度:0.93g/cm3
なお、上記メルトマスフローレイトは、JIS K 7210「プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」に準拠して、温度:190℃、荷重:21.18Nの条件で測定された値である。
6.無機保温剤
・ハイドロタルサイト(商品名「DHT−4A」、協和化学工業社製)
(実施例1)
水性媒体として水100重量部に対し、ネックレス状コロイダルシリカとしてネックレス状コロイダルシリカ−A5重量部(固形分換算)、シラン誘導体として3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン「KBE−403」0.2重量部および界面活性剤としてシリコーン系界面活性剤0.5重量部を添加し、ホモジナイザーを用いて、均一に攪拌混合して、防曇剤を製造した。
また、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂80重量部および低密度ポリエチレン樹脂20重量部からなる熱可塑性樹脂組成物(イ)、エチレン−酢酸ビニル共重合体−a100重量部およびハイドロタルサイト「DHT−4A」2重量部からなる熱可塑性樹脂組成物(ロ)、エチレン−酢酸ビニル共重合体−b100重量部およびハイドロタルサイト「DHT−4A」3重量部からなる熱可塑性樹脂組成物(ハ)をそれぞれ調製した。次に、上記熱可塑性樹脂組成物(イ)、熱可塑性樹脂組成物(ロ)および熱可塑性樹脂組成物(ハ)をそれぞれ別の押出機に投入して加熱溶融混練した後、インフレーション法により、層厚比が(イ)層/(ロ)層/(ハ)層=1/7/2となるように3層共押出しを行い、(イ)層、(ロ)層および(ハ)層をこの順に積層して、厚み150μmの熱可塑性樹脂フィルム(基材)を成形した。
次いで、グラビアコーターを用いて、上記で得られた熱可塑性樹脂フィルムの(ハ)層側の表面に前記で得られた防曇剤を乾燥後の塗布量が10g/m2 となるように塗布し、熱風で乾燥させて防曇層を形成し、農業用フィルムを製造した。
(実施例2)〜(実施例6)
防曇剤の配合組成をそれぞれ表1に示す組成としたこと以外は実施例1の場合と同様にして、それぞれの防曇剤を製造した。次いで、上記で得られたそれぞれの防曇剤を用いたこと以外は実施例1の場合と同様にして、それぞれの農業用フィルムを製造した。
(比較例1)〜(比較例6)
防曇剤の配合組成をそれぞれ表2に示す組成としたこと以外は実施例1の場合と同様にして、それぞれの防曇剤を製造した。次いで、上記で得られたそれぞれの防曇剤を用いたこと以外は実施例1の場合と同様にして、それぞれの農業用フィルムを製造した。
実施例1〜実施例6および比較例1〜比較例6で得られた防曇剤の性能(1.貯蔵安定性、2.塗布性)、および、実施例1〜実施例6および比較例1〜比較例6で得られた農業用フィルムの性能(3.初期防曇性、4.防曇持続性、5.耐傷つき性、6.基材と防曇層との密着性、7.透明性)を以下の方法で評価した。その結果は表1(実施例1〜実施例6)および表2(比較例1〜比較例6)に示すとおりであった。なお、比較例1および比較例6の防曇剤は、ともに貯蔵安定性が悪かったので、2〜7の性能評価は行わなかった。
1.防曇剤の貯蔵安定性
十分に撹拌した防曇剤100gを無色のガラス製のサンプル瓶に入れ、室内に10日間放置した後、サンプル瓶中の防曇剤の状態を目視で観察し、下記判定基準により貯蔵安定性を評価した。
〔判定基準〕
○‥‥防曇剤はゲル状態になっていず、かつ、分離も起こっていなかった。
△‥‥防曇剤は若干分離していたが、実用上支障なかった。
×‥‥防曇剤が凝集し、ゲル状態になっていた。
2.防曇剤の塗布性
グラビアコーターを用いて、熱可塑性樹脂フィルムの(ハ)層側の表面に防曇剤を塗布し、熱風で乾燥させて防曇層を形成した時の熱可塑性樹脂フィルムの(ハ)層側の表面における防曇剤の状態を目視で観察し、下記判定基準により塗布性を評価した。
〔判定基準〕
○‥‥塗布ムラやハジキ部分が全くなく、熱可塑性樹脂フィルムの(ハ)層側の表面 に均一に塗布することができた。
×‥‥塗布ムラやハジキ部分がかなり存在し、熱可塑性樹脂フィルムの(ハ)層側の 表面に均一に塗布することができなかった。
3.農業用フィルムの初期防曇性
縦0.5m×横0.7m×深さ0.3mの水槽に水温23℃の水を6リットル入れた後、農業用フィルムを防曇層が水槽内側になるように水槽上部全面に展張りした。次いで、外気温を15℃、水槽内の水の水温を23℃に保持して60分間放置した後、農業用フィルムを剥がして防曇層を自然乾燥させ、防曇層が乾燥した後、再度上記と同様に水槽上部全面に展張りして60分間放置した。この操作を5回繰り返し、5回目に展張りした農業用フィルムの防曇層の表面を目視で60分間観察し、下記判定基準により初期防曇性を評価した。
〔判定基準〕
○‥‥農業用フィルムの防曇層の表面に付着した水分は直ちに水膜になり、水滴は形 成されなかった。
△‥‥農業用フィルムの防曇層の表面に付着した水分で水滴が形成されたが、その後 、水膜が形成された。
×‥‥農業用フィルムの防曇層の表面に付着した水分で水滴が形成され、60分間水 滴の状態のままであった。
4.農業用フィルムの防曇持続性
上記3.農業用フィルムの初期防曇性の場合と同様の操作を50回繰り返し、20回目および50回目に展張りした農業用フィルムの防曇層の表面を目視で60分間観察し、下記判定基準により防曇持続性を評価した。
〔判定基準〕
○‥‥農業用フィルムの防曇層の表面に付着した水分は直ちに水膜になり、水滴は形 成されなかった。
△‥‥農業用フィルムの防曇層の表面に付着した水分で水滴が形成されたが、その後 、水膜が形成された。
×‥‥農業用フィルムの防曇層の表面に付着した水分で水滴が形成され、60分間水 滴の状態のままであった。
5.農業用フィルムの耐傷つき性
農業用フィルムの防曇層上に商品名「キムワイプ・ワイパーS−200」(クレシア社製)で完全に被覆された1kgの重りを乗せ、防曇層上で上記重りを引張り速度500mm/分で滑らせた。この操作を3回繰り返した後、防曇層の傷つき具合を目視で観察し、下記判定基準により耐傷つき性を評価した。
〔判定基準〕
○‥‥農業用フィルムの防曇層に傷つきは全く認められなかった。
△‥‥農業用フィルムの防曇層に若干の傷つきが認められたが、水分は直ちに水膜に なり、水滴は形成されなかった。
×‥‥農業用フィルムの防曇層に多数の傷つきが認められ、その傷の部分で水滴が形 成され、停滞した。
6.農業用フィルムの基材と防曇層との密着性
製造直後の農業用フィルムおよび前記4.農業用フィルムの防曇持続性の評価において湿潤−乾燥の操作を50回繰り返した後の農業用フィルムの防曇層について、セロテープ(登録商標)による剥離試験を行い、下記判定基準により基材と防曇層との密着性を評価した。
〔判定基準〕
○‥‥農業用フィルムの基材と防曇層とは全く剥離しなかった。
△‥‥農業用フィルムの基材と防曇層とが部分的に剥離した。
×‥‥農業用フィルムの基材と防曇層とが全面的に剥離した。
7.農業用フィルムの透明性
ヘーズ測定機(東京電色社製)を用いて、製造直後の農業用フィルムおよび屋外のハウスに1ケ月間展張りした後の農業用フィルムのヘーズ値を測定した。
Figure 2005126647
Figure 2005126647
表1から明らかなように、本発明による実施例1〜実施例6の防曇剤は、いずれも貯蔵安定性および塗布性に優れていた。また、実施例1〜実施例6の防曇剤からなる防曇層を形成した実施例1〜実施例6の農業用フィルムは、いずれも初期防曇性、防曇持続性、耐傷つき性、基材と防曇層との密着性および透明性の全てについて良好もしくは優れた性能を発現した。
これに対し、表2から明らかなように、水性媒体中に分散させた時のpHが7未満(2〜4)であったネックレス状コロイダルシリカ−Cを含有させた比較例1の防曇剤および一般式(1)で表されないシラン誘導体(ビニルトリエトキシシラン)を含有させた比較例6の防曇剤は、ともに貯蔵安定性が悪かったので、塗布性および農業用フィルムとしての性能評価は行わなかった。また、水性媒体100重量部に対するシラン誘導体の添加量が5重量部を超えていた(7重量部)比較例2の防曇剤は、貯蔵安定性がやや劣っており、この防曇剤からなる防曇層を形成した比較例2の農業用フィルムは、基材と防曇層との密着性の持続性および透明性が悪かった。また、ネックレス状コロイダルシリカの代わりに、球状コロイダルシリカを含有させた比較例3の防曇剤からなる防曇層を形成した比較例3の農業用フィルムは、防曇持続性が極めて悪かった。また、水性媒体100重量部に対するシラン誘導体の添加量が0.01重量部未満(0.005重量部)であった比較例4の防曇剤からなる防曇層を形成した比較例4の農業用フィルムは、長期間にわたる防曇持続性、耐傷つき性および基材と防曇層との密着性の持続性が悪かった。さらに、一般式(1)で表されないシラン誘導体(ビニルトリエトキシシラン)を含有させた比較例5の防曇剤からなる防曇層を形成した比較例5の農業用フィルムは、長期間にわたる防曇持続性が悪かった。
以上述べたように、本発明の防曇剤は、初期の防曇性や透明性に優れるのみならず、長期間にわたって優れた防曇性や透明性を持続するとともに、農業用フィルムを構成する基材との密着性、耐傷つき性、貯蔵安定性等に優れ、かつ、塗布装置やハウスの鉄骨部分などの錆びの発生を促進することもないので、農業用フィルム向けの防曇剤として特に好適に用いられるとともに、他の用途向けの防曇剤としても好適に用いられる。
また、本発明の農業用フィルムは、少なくとも片面に上記本発明の防曇剤からなる防曇層が形成されているので、初期の防曇性や透明性に優れるのみならず、長期間にわたって優れた防曇性や透明性を持続するとともに、基材と防曇層との密着性、耐傷つき性等に優れるものであり、例えばパイプハウスやトンネルなどの農業用途向けのフィルムとして好適に用いられる。

Claims (5)

  1. 水性媒体100重量部に対し、ネックレス状コロイダルシリカ0.1〜20重量部、下記一般式(1)で表されるシラン誘導体0.01〜5重量部および界面活性剤0.01〜5重量部が含有されてなることを特徴とする防曇剤。
    Figure 2005126647
    {式中、R1 は、置換基としてエポキシ基、エポキシ基含有基、(メタ)アクリル基および(メタ)アクリル基含有基からなる群より選択される反応性基を少なくとも1個有するアルキル基またはアリール基を示す。R2 およびR3 は、それぞれ炭素数1〜3のアルキル基を示し、R2 およびR3 は互いに同一であっても良いし、異なっていても良い。nは、1〜3の整数を示す}
  2. ネックレス状コロイダルシリカが、粒子径5〜40nmのコロイダルシリカ粒子が40〜300nmの長さに連なって結合したものであり、かつ、水性媒体中に分散させた時のpHが7〜12であることを特徴とする請求項1に記載の防曇剤。
  3. 界面活性剤が、非イオン性界面活性剤であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の防曇剤。
  4. pHが7〜12であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の防曇剤。
  5. 熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の防曇剤からなる防曇層が形成されてなることを特徴とする農業用フィルム。
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