JP2005118037A - 農業用フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】 遮光性、遮熱性、防曇流滴性、長期間に亘る防曇流滴性の持続性等に優れ、花卉等の園芸栽培を行うための農業用ハウス用としても好適な農業用フィルムを提供する。
【解決手段】 A層は、密度0.90〜0.93g/cm3 、MFR0.3〜5.0g/10分(190℃)のLDPEを主成分とし、B層は、酢酸ビニル含有量5〜25重量%、MFR0.5〜4.0g/10分(190℃)のEVA100重量部、白色顔料1〜20重量部およびアルミニウム顔料1〜10重量部を含有する樹脂組成物から形成され、C層は、酢酸ビニル含有量3〜10重量%、MFR0.5〜4.0g/10分(190℃)のEVA100重量部および白色顔料5〜30重量部を含有する樹脂組成物から形成され、かつ、A層、B層、C層がこの順に積層されてなる。
【選択図】 なし
【解決手段】 A層は、密度0.90〜0.93g/cm3 、MFR0.3〜5.0g/10分(190℃)のLDPEを主成分とし、B層は、酢酸ビニル含有量5〜25重量%、MFR0.5〜4.0g/10分(190℃)のEVA100重量部、白色顔料1〜20重量部およびアルミニウム顔料1〜10重量部を含有する樹脂組成物から形成され、C層は、酢酸ビニル含有量3〜10重量%、MFR0.5〜4.0g/10分(190℃)のEVA100重量部および白色顔料5〜30重量部を含有する樹脂組成物から形成され、かつ、A層、B層、C層がこの順に積層されてなる。
【選択図】 なし
Description
本発明は、農業用ハウスや農業用トンネルなどの農業用施設や、家畜の飼育や肥料等の保管に使用される小屋等に被覆展張される農業用フィルムに関する。さらに詳しくは、遮光性、遮熱性、防曇流滴性、防曇流滴性の持続性等に優れる農業用フィルムに関する。
従来より、農業用パイプハウスや農業用トンネルなどの農業用施設に使用される農業用フィルムとして、例えば、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対し、各特定量のソルビタン−グリセリン系縮合脂肪酸エステル系界面活性剤、ジグリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤およびグリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤の3種の界面活性剤(防曇流滴剤)を添加した樹脂組成物が製膜されてなる農業用ポリオレフィン系樹脂フィルムが開示されている。(特許文献1)
特開平3−59046号公報
また、同じく農業用フィルムとして、例えば、ポリオレフィン系樹脂フィルムなどの熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に、特定の重量比でコロイド状アルミナとシリカとを含有する混合コロイド溶液およびアニオン性界面活性剤からなる溶液を塗布、乾燥してなる防曇性被膜を有する農業用フィルムが開示されている。(特許文献2)
特開平7−53747号公報
上記農業用途の中でも、花卉等の園芸栽培においては、農業用ハウス外部からの光線や熱線をある程度遮断し、農業用ハウス内部でナトリウムランプ等を点灯して、その光や熱により花卉等の開花時期を調整することが行われている。従って、このような用途に用いられる農業フィルムとしては、外部からの光や熱の影響を受けにくくするために遮光性や遮熱性が必要であり、さらに、農業用ハウス内部に、均一に光や熱をいきわたらせるために内面反射性も必要である。
ところが、上記両特許文献に開示されている農業用フィルムは、いずれも農業用フィルム自身が透明であるため、光線や熱線の遮断機能が乏しく、農業用ハウス内部に光線や熱線が透過しすぎるために園芸栽培用途には適さないという問題点があった。
また、家畜の飼育や肥料等の保管に使用される小屋に用いられる場合には、上記農業用フィルムは、いずれも光線や熱線の透過が多いために、家畜に対しても厳しい生活環境になってしまうという問題点や、肥料等に関しても長期間の保管ができないという問題点があった。
また、農業ハウス等に隣接する作業小屋に展張する場合にも、上記農業用フィルムは、いずれも作業小屋内部に熱がこもりやすく、日差しも強くなるため、作業小屋内部で農作業をする従事者に対しても与える負担が大きくなるという問題点があった。
さらに近年は、農業従事者の高齢化や後継者不足あるいは経済的な理由等から、長期間に亘って展張できる、いわゆる長期展張型農業用フィルムが望まれている。ところが、上記農業用フィルムのような界面活性剤(防曇流滴剤)を練りこんだ農業用フィルムでは、短期間のうちに防曇流滴剤が農業用フィルム外にブリードアウトしてしまうため、防曇流滴性能の持続性が不足するという問題点もあった。
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、遮光性、遮熱性、防曇流滴性、長期間に亘る防曇流滴性の持続性等に優れ、花卉等の園芸栽培を行うための農業用ハウスにも好適に用いられる農業用フィルムを提供することにある。
請求項1の発明は、密度が0.90〜0.93g/cm3 、メルトマスフローレイトが0.3〜5.0g/10分(190℃)である低密度ポリエチレン樹脂を主成分とするA層、酢酸ビニル含有量が5〜25重量%、メルトマスフローレイトが0.5〜4.0g/10分(190℃)であるエチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部、白色顔料1〜20重量部、アルミニウム顔料1〜10重量部が含有されてなる樹脂組成物からなるB層、酢酸ビニル含有量が3〜10重量%、メルトマスフローレイトが0.5〜4.0g/10分(190℃)であるエチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部、白色顔料5〜30重量部が含有されてなる樹脂組成物からなるC層がこの順に積層されてなる農業用フィルムである。
請求項2の発明では、A層が、低密度ポリエチレン樹脂100重量部に、白色顔料5〜30重量部が添加されてなる樹脂組成物からなることを特徴とする請求項1記載の農業用フィルムである。
請求項3の発明は、C層の表面に、コロイダルシリカ及び/又はコロイダルアルミナを主成分とする防曇流滴層が形成されていることを特徴とする請求項1記載の農業用フィルムである。
本発明の農業用フィルムを構成するA層は、密度が0.90〜0.93g/cm3 であり、メルトマスフローレイト(MFR)が0.3〜5.0g/10分(190℃)である低密度ポリエチレン樹脂(以下、「LDPE」と記す)を主成分としてなる樹脂組成物から形成されることが必要であり、LDPEの中でも、エチレン−α−オレフィン共重合体、即ち、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(以下、「LLDPE」と記す)を主成分としてなる樹脂組成物から形成されることが好ましい。なお、上記A層は、上記LDPEのみから形成されても良い。
上記LDPEは、密度が0.90〜0.93g/cm3であることが必要であり、好ましくは0.91〜0.92g/cm3である。なお、本発明で言う密度とは、JIS K 7112「プラスチック−非発泡プラスチックの密度及び比重の測定方法」に準拠して測定された密度を意味する。
上記LDPEの密度が0.90g/cm3未満であると、A層ひいては農業用フィルムの機械的強度が不十分となって、展張作業に適さなくなるとともに、非使用時に畳んで保管する際にブロッキング(融着)現象が発生する。一方、LDPEの上記密度が0.93g/cm3を超えると、A層ひいては農業用フィルムの透明性が低下して、農業用フィルムとしての使用に不都合が生じる。
また、上記LDPEは、メルトマスフローレイト(MFR)が0.3〜5.0g/10分(190℃)であることが必要であり、好ましくは0.8〜3.0g/10分(190℃)である。なお、本発明で言うMFRとは、JIS K 7210「プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」に準拠して、温度190℃、荷重21.18Nの条件で測定されたMFRを意味する。
上記LDPEのMFRが0.3g/10分(190℃)未満であると、A層ひいては農業用フィルムの製膜性(生産性)が阻害される。一方、LDPEの上記MFRが5.0g/10分(190℃)を超えると、A層ひいては農業用フィルムの機械的強度が不十分となる。なお、本発明の農業用フィルムの製造方法(製膜方法)として共押出法を用いる場合には、後述するB層を形成するために用いるエチレン−酢酸ビニル共重合体のMFRおよび後述するC層を形成するために用いるエチレン−酢酸ビニル共重合体のMFRとA層を形成するために用いる上記LDPEのMFRとを可能な範囲で接近させておくことが好ましい。
上記A層用の樹脂組成物は、後述するB層に用いられる白色顔料を含有することが好ましく、それにより遮熱性が向上する。白色顔料の含有量は、低密度ポリエチレン樹脂100重量部に対し5〜30重量部であることが好ましい。
本発明の農業用フィルムを構成するB層は、酢酸ビニル含有量が5〜25重量%であり、MFRが0.5〜4.0g/10分(190℃)であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、「EVA」と記す)100重量部に対し、白色顔料1〜20重量部およびアルミニウム顔料1〜10重量部が含有されてなる樹脂組成物から形成されることが必要である。
上記B層用の樹脂組成物に用いられるEVAは、酢酸ビニル含有量が5〜25重量%であることが必要である。上記EVAの酢酸ビニル含有量が5重量%未満であると、B層ひいては農業用フィルムの柔軟性が不十分となる。一方、上記B層用のEVAの酢酸ビニル含有量が25重量%を超えると、B層ひいては農業用フィルムの機械的強度が不十分となる。
また、上記B層用の樹脂組成物に用いられるEVAは、MFRが0.5〜4.0g/10分(190℃)であることが必要であり、好ましくは0.8〜2.0g/10分(190℃)である。
上記B層用のEVAのMFRが0.5g/10分(190℃)未満であると、B層ひいては農業用フィルムの製膜性(生産性)が阻害される。一方、上記B層用のEVAのMFRが4.0g/10分(190℃)を超えると、B層ひいては農業用フィルムの機械的強度が不十分となる。
上記B層用の樹脂組成物に用いられる白色顔料としては、特に限定されるものではなく、例えば、ルチル型酸化チタン、アナターゼ型酸化チタンなどの酸化チタン、酸化亜鉛(亜鉛華)、硫化亜鉛、鉛白、モリブデンホワイト、リトポン等が挙げられ、中でも、遮光性に優れることから、酸化チタンが好適に用いられ、とりわけ、遮光性により優れることから、ルチル型酸化チタンがより好適に用いられる。これらの白色顔料は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
上記白色顔料は、特に限定されるものではないが、平均粒子径が100〜300nmであることが好ましく、より好ましくは150〜200nmである。白色顔料の平均粒子径が100nm未満であると、白色顔料が凝集しやすくなって、前記酢酸ビニル含有量が5〜25重量%であり、EVA中に均一に分散させることが困難となったり、ハンドリング性が低下することがある。一方、白色顔料の平均粒子径が300nmを超えると、B層ひいては農業用フィルムの機械的強度が低下することがある。
上記B層用の樹脂組成物においては、上記B層用のEVA100重量部に対し、上記白色顔料1〜20重量部が含有されていることが必要である。上記B層用のEVA100重量部に対する上記白色顔料の含有量が1重量部未満であると、B層ひいては農業用フィルムの遮光性が十分に向上しない。一方、上記B層用のEVA100重量部に対する上記白色顔料の含有量が20重量部を超えると、B層ひいては農業用フィルムの遮光性はもはや向上しないにもかかわらず、経済的に不利となる。
上記B層用の樹脂組成物に用いられるアルミニウム顔料としては、特に限定されず、通常、塗料用、ペースト用、プラスチックへの充填用等に用いられる粒子状又は鱗片状のアルミニウム粉末が用いられ、遮光性、遮熱性等から、鱗片状のアルミニウム粉末が好適に用いられる。これらのアルミニウム顔料は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
上記B層用の樹脂組成物においては、上記B層用のEVA100重量部に対し、上記アルミニウム顔料1〜10重量部が含有されていることが必要である。上記B層用のEVA100重量部に対する上記アルミニウム顔料の含有量が1重量部未満であると、B層ひいては農業用フィルムの遮光性が十分に向上しない。一方、上記B層用のEVA100重量部に対する上記アルミニウム顔料の含有量が10重量部を超えると、B層ひいては農業用フィルムの遮光性はもはや向上しないので経済的に不利となる。
尚、本発明においては、上記アルミニウム顔料はA層には添加しないことが好ましい。A層にアルミニウムが含有されていると色抜けを起こしやすくなることがある。
本発明の農業用フィルムを構成するC層は、酢酸ビニル含有量が3〜10重量%であり、MFRが0.5〜4.0g/10分(190℃)であるEVA100重量部に対し、白色顔料5〜30重量部が含有されてなる樹脂組成物から形成されることが必要である。
上記C層用の樹脂組成物に用いられるEVAは、酢酸ビニル含有量が3〜10重量%であることが必要である。上記C層用のEVAの酢酸ビニル含有量が3重量%未満であると、上記C層ひいては農業用フィルムの柔軟性が不十分となる。一方、上記C層用のEVAの酢酸ビニル含有量が10重量%を超えると、C層ひいては農業用フィルムの機械的強度が不十分となる。
また、上記C層用の樹脂組成物に用いられるEVAは、MFRが0.5〜4.0g/10分(190℃)であることが必要であり、好ましくは0.8〜2.0g/10分(190℃)である。
上記C層用のEVAのMFRが0.5g/10分(190℃)未満であると、C層ひいては農業用フィルムの製膜性(生産性)が阻害される。一方、上記C層用のEVAのMFRが4.0g/10分(190℃)を超えると、C層ひいては農業用フィルムの機械的強度が不十分となる。
上記C層用の樹脂組成物に用いられる白色顔料としては、特に限定されるものではないが、例えば、ルチル型酸化チタン、アナターゼ型酸化チタンなどの酸化チタン、酸化亜鉛(亜鉛華)、硫化亜鉛、鉛白、モリブデンホワイト、リトポン等が挙げられ、中でも、遮光性に優れることから、酸化チタンが好適に用いられ、とりわけ、遮光性により優れることから、ルチル型酸化チタンがより好適に用いられる。これらの白色顔料は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
上記白色顔料は、特に限定されるものではないが、平均粒子径が100〜300nmであることが好ましく、より好ましくは150〜200nmである。白色顔料の平均粒子径が100nm未満であると、白色顔料が凝集しやすくなって、C層用のEVA中に均一に分散させることが困難となったり、ハンドリング性が低下することがある。一方、白色顔料の平均粒子径が300nmを超えると、C層ひいては農業用フィルムの機械的強度が低下することがある。
上記C層用の樹脂組成物においては、C層用のEVA100重量部に対し、上記白色顔料5〜30重量部が含有されていることが必要である。上記C層用のEVA100重量部に対する上記白色顔料の含有量が5重量部未満であると、C層ひいては農業用フィルムの遮光性が十分に向上しない。一方、上記C層用のEVA100重量部に対する上記白色顔料の含有量が30重量部を超えると、C層ひいては農業用フィルムの遮光性はもはや向上しないので、経済的に不利となる。
本発明の農業用フィルムを構成するA層、B層およびC層には、本発明の課題達成を阻害しない範囲で必要に応じて、例えば、熱安定剤、酸化防止剤(老化防止剤)、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、前記白色顔料およびアルミニウム顔料以外の顔料等の各種添加剤の1種類もしくは2種類以上が含有されていても良い。なお、前記A層用の樹脂組成物には、必要に応じて、前記白色顔料が含有されていても良い。
上記熱安定剤としては、特に限定されるものではなく、従来公知の任意の熱安定剤が用いられて良く、例えば、カルボン酸の金属塩、フェノール系抗酸化剤、有機亜燐酸エステルなどのキレーター等が挙げられる。これらの熱安定剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
上記酸化防止剤としては、特に限定されるものではなく、従来公知の任意の酸化防止剤が用いられて良く、通常は、上記熱安定剤としての効果を兼ね備えるものが多く、例えば、カルボン酸の金属塩、フェノール系抗酸化剤、有機亜燐酸エステルなどのキレーター等が挙げられる。これらの酸化防止剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
上記光安定剤としては、特に限定されるものではなく、従来公知の任意の光安定剤が用いられて良く、例えば、ヒンダードアミン系化合物等が挙げられる。これらの光安定剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
上記ヒンダードアミン系化合物としては、特に限定されるものではなく、例えば、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ポリ{[6−〔(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ〕−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]}等が挙げられる。これらのヒンダードアミン系化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
上記紫外線吸収剤としては特に限定されるものではなく、従来公知の任意の紫外線吸収剤が用いられて良く、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系紫外線吸収剤、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチル酸エステル系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤等が挙げられる。
これらの紫外線吸収剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
これらの紫外線吸収剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
上記滑剤としては、特に限定されるものではなく、従来公知の任意の滑剤が用いられて良く、例えば、ステアリン酸アマイド等の飽和脂肪酸アマイド、エルカ酸アマイド、オレイン酸アマイド等の不飽和脂肪酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイドなどのビスアマイド等が挙げられる。これらの滑剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
本発明の農業用フィルムは、特に限定されるものではないが、全体の厚みが70〜200μmであることが好ましく、より好ましくは100〜160μmである。
農業用フィルムの全体の厚みが70μm未満であると、農業用フィルムの機械的強度が不十分となって、強風等の機械的な力によって容易に破断したり、農業用フィルムの絶対的な耐候性が不十分となって、劣化の進行による機械的強度の低下が著しくなることがある。一方、農業用フィルムの全体の厚みが200μmを超えると、農業用フィルムの単位面積当たりの重量が過大となって、展張作業が困難となったり、農業用フィルムの単位面積当たりのコストが増大して、経済的に不利となることがある。
本発明の農業用フィルムの製造方法(製膜方法)としては、特に限定されるものではなく、従来公知の任意のフィルム製造方法が用いられて良く、例えば、多層インフレーション法、多層Tダイ押出法、多層押出ラミネート法、多層カレンダー法等が挙げられる。この際、各層のメルトマスフロー(MFR)は、先述したように可能な範囲で近接させておくことが好ましく、MFRを近接させることにより成形が容易になる。
本発明の農業用フィルムは、前記C層の表面に、水系媒体中にコロイダルシリカおよび/またはコロイダルアルミナが含有されてなる防曇流滴剤を塗布し、乾燥してなる防曇流滴層が形成されていることが好ましい。
上記防曇流滴剤に用いられる水系媒体は、特に限定されるものではなく、例えば、水単独であっても良いし、アルコールやアセトンなどの水溶性有機溶媒との混合物であっても良い。水系媒体中における上記水溶性有機溶媒の含有量は、50重量%以下であることが好ましい。水系媒体中における水溶性有機溶媒の含有量が50重量%を超えると、防曇流滴剤の塗布性が低下したり、水系媒体を乾燥する際に引火しやすくなることがある。
上記防曇流滴剤に用いられるコロイダルシリカは、通常は水などに分散された分散液として使用される。上記コロイダルシリカの形状は、特に限定されるものではなく任意の形状であって良いが、中でも、粒子状のコロイダルシリカや、粒子状のコロイダルシリカが連なったもの等が好適に用いられる。これらのコロイダルシリカは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
また、上記防曇流滴剤に用いられるコロイダルアルミナは、通常は水などに分散された分散液として使用される。上記コロイダルアルミナの形状としては、特に限定されるものではないが、例えば、粒子状、板状、針状、繊維状、羽毛状等が挙げられる。
これらのコロイダルアルミナは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
これらのコロイダルアルミナは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
上記コロイダルシリカおよび/またはコロイダルアルミナは、農業用フィルムに要求される初期防曇流滴性、防曇流滴性の持続性、透明性等に対応して適宜選択することが好ましい。また、上記コロイダルシリカおよびコロイダルアルミナは、それぞれ単独で用いられても良いし、両者が併用されても良い。
上記防曇流滴剤には、本発明の課題達成を阻害しない範囲で必要に応じて、例えば、親水性樹脂や疎水性樹脂などのバインダー樹脂、粘度調整剤、樹脂エマルジョン、ゴムラテックス、消泡剤などの各種添加剤の1種類もしくは2種類以上が含有されていても良い。
上記防曇流滴剤の調製方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の任意の調製方法で良く、例えば、必須成分である上記水系媒体、コロイダルシリカおよび/またはコロイダルアルミナの各所定量と必要に応じて含有させる上記各種添加剤の1種類もしくは2種類以上の各所定量とを混合し、例えばホモジナイザーなどの攪拌装置を用いて均一に攪拌混合する方法等が挙げられる。
本発明の農業用フィルムを構成するC層の表面に、上記防曇流滴剤を塗布する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の任意の塗布方法で良く、例えば、グラビアコーター等によるロールコート法、バーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、フローコート(カーテンコート)法、刷毛塗り法等が挙げられる。
上記防曇流滴剤の塗布に先立って、農業用フィルムのC層の表面には、塗布性を向上させたり、防曇流滴層の接着性を向上させるために、表面処理が施されていても良い。上記表面処理としては、特に限定されるものではないが、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、火炎処理、化成処理、プライマー処理等が挙げられる。
農業用フィルムのC層の表面に塗布された防曇流滴剤の乾燥方法は、特に限定されるものではなく、例えば、自然乾燥であっても良いし、強制乾燥であっても良いが、乾燥効率に優れることから、強制乾燥することが好ましい。上記強制乾燥の方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、熱風乾燥、赤外線乾燥、遠赤外線乾燥などの加熱乾燥等が好ましい。
本発明の農業用フィルムは、使用に際して、前記A層が農業用ハウスの最外面側となるように展張される。このように展張することにより、本発明の農業用フィルムは、優れた遮光性、優れた遮熱性、優れた防曇流滴性、長期間に亘る防曇流滴性の優れた持続性等を発現する。
本発明の農業用フィルムは、A層、B層およびC層がこの順に積層されてなり、上記A層は、密度が0.90〜0.93g/cm3 であり、MFRが0.3〜5.0g/10分(190℃)であるLDPE(好ましくはLLDPE)を主成分としてなり、上記B層は、酢酸ビニル含有量が5〜25重量%であり、MFRが0.5〜4.0g/10分(190℃)であるEVA100重量部に対し、白色顔料(好ましくは酸化チタン)1〜20重量部およびアルミニウム顔料1〜10重量部が含有されてなる樹脂組成物から形成され、上記C層は、酢酸ビニル含有量が3〜10重量%であり、MFRが0.5〜4.0g/10分(190℃)であるEVA100重量部に対し、白色顔料(好ましくは酸化チタン)5〜30重量部が含有されてなる樹脂組成物から形成され、かつ、上記A層が農業用ハウスの最外面側となるように展張されるので、遮光性、遮熱性、防曇流滴性、防曇流滴性の持続性に優れるものであり、花卉等の園芸栽培を行うための農業用ハウスにも好適に用いられる。
また、本発明の農業用フィルムは、C層の表面に、水系媒体中にコロイダルシリカおよび/またはコロイダルアルミナが含有されてなる防曇流滴剤を塗布し、乾燥してなる防曇流滴層を形成することにより、上記防曇流滴性および長期間に亘る防曇流滴性の持続性がより優れたものとなる。
本発明をさらに詳しく説明するため以下に実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1〜実施例4)
LLDPE{密度:0.92g/cm3 、MFR:2.1g/10分(190℃)}80重量部およびLDPE{密度:0.92g/cm3 、MFR:2.1g/10分(190℃)}20重量部からなるA層用の樹脂組成物を調製した。また、EVA{酢酸ビニル含有量:10重量%、MFR:1.0g/10分(190℃)}100重量部に対し、表1に示す含有量となるように、白色顔料として酸化チタンマスターバッチ(商品名「PEX6800」、LDPE40重量%および酸化チタン60重量%含有、東京インキ社製)およびアルミニウム顔料としてアルミニウム顔料マスターバッチ(商品名「PEX899283」、LDPE60重量%およびアルミニウム顔料40重量%含有、東京インキ社製)を添加し、均一に混合して、B層用の樹脂組成物を調製した。さらに、EVA{酢酸ビニル含有量:5重量%、MFR:1.0g/10分(190℃)}100重量部に対し、表1に示す含有量となるように、白色顔料として酸化チタンマスターバッチ「PEX6800」を添加し、均一に混合して、C層用の樹脂組成物を調製した。
LLDPE{密度:0.92g/cm3 、MFR:2.1g/10分(190℃)}80重量部およびLDPE{密度:0.92g/cm3 、MFR:2.1g/10分(190℃)}20重量部からなるA層用の樹脂組成物を調製した。また、EVA{酢酸ビニル含有量:10重量%、MFR:1.0g/10分(190℃)}100重量部に対し、表1に示す含有量となるように、白色顔料として酸化チタンマスターバッチ(商品名「PEX6800」、LDPE40重量%および酸化チタン60重量%含有、東京インキ社製)およびアルミニウム顔料としてアルミニウム顔料マスターバッチ(商品名「PEX899283」、LDPE60重量%およびアルミニウム顔料40重量%含有、東京インキ社製)を添加し、均一に混合して、B層用の樹脂組成物を調製した。さらに、EVA{酢酸ビニル含有量:5重量%、MFR:1.0g/10分(190℃)}100重量部に対し、表1に示す含有量となるように、白色顔料として酸化チタンマスターバッチ「PEX6800」を添加し、均一に混合して、C層用の樹脂組成物を調製した。
上記で得られた樹脂組成物を各々別の押出機に投入して溶融混練した後、A層、B層およびC層がこの順に積層されるように、かつ、各層の厚み比がA層:B層:C層=1:7:2となるように、インフレーション法で3層共押出しを行って、全体の厚みが150μmの農業用フィルムを作製した。
次いで、上記で得られた農業用フィルムのC層の表面に、水100重量部に対し、コロイダルシリカ(商品名「ST−PSM」、日産化学工業社製)5重量部、コロイダルアルミナ(商品名「アルミナゾル100」、日産化学工業社製)1重量部およびポリエチレンオキサイド(住友精化社製)2重量部が添加されてなる防曇流滴剤を、乾燥後の塗布量が10g/m2 となるようにグラビアコーターで塗布し、熱風で乾燥して、防曇流滴層を形成し、農業用フィルムを作製した。
(実施例5)および(実施例6)
LLDPE{密度:0.92g/cm3 、MFR:2.1g/10分(190℃)}80重量部およびLDPE{密度:0.92g/cm3 、MFR:2.1g/10分(190℃)}20重量部からなるポリエチレン樹脂100重量部に対し、表1に示す含有量となるように、ジグリセリンステアレート系防曇流滴剤(商品名「S71−D」、理研ビタミン社製)を添加し、均一に混合して、A層用の樹脂組成物を調製した。また、EVA{酢酸ビニル含有量:10重量%、MFR:1.0g/10分(190℃)}100重量部に対し、表1に示す含有量となるように、白色顔料として酸化チタンマスターバッチ「PEX6800」、アルミニウム顔料としてアルミニウム顔料マスターバッチ「PEX899283」およびジグリセリンステアレート系防曇流滴剤「S71−D」を添加し、均一に混合して、B層用の樹脂組成物を調製した。さらに、EVA{酢酸ビニル含有量:5重量%、MFR:1.0g/10分(190℃)}100重量部に対し、表1に示す含有量となるように、白色顔料として酸化チタンマスターバッチ「PEX6800」およびジグリセリンステアレート系防曇流滴剤「S71−D」を添加し、均一に混合して、C層用の樹脂組成物を調製した。
LLDPE{密度:0.92g/cm3 、MFR:2.1g/10分(190℃)}80重量部およびLDPE{密度:0.92g/cm3 、MFR:2.1g/10分(190℃)}20重量部からなるポリエチレン樹脂100重量部に対し、表1に示す含有量となるように、ジグリセリンステアレート系防曇流滴剤(商品名「S71−D」、理研ビタミン社製)を添加し、均一に混合して、A層用の樹脂組成物を調製した。また、EVA{酢酸ビニル含有量:10重量%、MFR:1.0g/10分(190℃)}100重量部に対し、表1に示す含有量となるように、白色顔料として酸化チタンマスターバッチ「PEX6800」、アルミニウム顔料としてアルミニウム顔料マスターバッチ「PEX899283」およびジグリセリンステアレート系防曇流滴剤「S71−D」を添加し、均一に混合して、B層用の樹脂組成物を調製した。さらに、EVA{酢酸ビニル含有量:5重量%、MFR:1.0g/10分(190℃)}100重量部に対し、表1に示す含有量となるように、白色顔料として酸化チタンマスターバッチ「PEX6800」およびジグリセリンステアレート系防曇流滴剤「S71−D」を添加し、均一に混合して、C層用の樹脂組成物を調製した。
上記で得られた樹脂組成物を各々別の押出機に投入して溶融混練した後、A層、B層およびC層がこの順に積層されるように、かつ、各層の厚み比がA層:B層:C層=1:7:2となるように、インフレーション法で3層共押出しを行って、全体の厚みが150μmの農業用フィルムを作製した。
(比較例1〜比較例3)
LLDPE{密度:0.92g/cm3 、MFR:2.1g/10分(190℃)}80重量部およびLDPE{密度:0.92g/cm3 、MFR:2.1g/10分(190℃)}20重量部からなるポリエチレン樹脂100重量部を混合して、A層用の樹脂組成物を調製した。また、EVA{酢酸ビニル含有量:10重量%、MFR:1.0g/10分(190℃)}100重量部に対し、表1に示す含有量となるように、白色顔料として酸化チタンマスターバッチ「PEX6800」およびアルミニウム顔料としてアルミニウム顔料マスターバッチ「PEX899283」を添加し、均一に混合して、B層用の樹脂組成物を調製した。さらに、EVA{酢酸ビニル含有量:5重量%、MFR:1.0g/10分(190℃)}100重量部に対し、表1に示す含有量となるように、白色顔料として酸化チタンマスターバッチ「PEX6800」を添加し、均一に混合して、C層用の樹脂組成物を調製した。
LLDPE{密度:0.92g/cm3 、MFR:2.1g/10分(190℃)}80重量部およびLDPE{密度:0.92g/cm3 、MFR:2.1g/10分(190℃)}20重量部からなるポリエチレン樹脂100重量部を混合して、A層用の樹脂組成物を調製した。また、EVA{酢酸ビニル含有量:10重量%、MFR:1.0g/10分(190℃)}100重量部に対し、表1に示す含有量となるように、白色顔料として酸化チタンマスターバッチ「PEX6800」およびアルミニウム顔料としてアルミニウム顔料マスターバッチ「PEX899283」を添加し、均一に混合して、B層用の樹脂組成物を調製した。さらに、EVA{酢酸ビニル含有量:5重量%、MFR:1.0g/10分(190℃)}100重量部に対し、表1に示す含有量となるように、白色顔料として酸化チタンマスターバッチ「PEX6800」を添加し、均一に混合して、C層用の樹脂組成物を調製した。
上記で得られた樹脂組成物を各々別の押出機に投入して溶融混練した後、A層、B層およびC層がこの順に積層されるように、かつ、各層の厚み比がA層:B層:C層=1:7:2となるように、インフレーション法で3層共押出しを行って、全体の厚みが150μmの農業用フィルムの基材フィルムを作製した。
(実施例7〜12および比較例4〜6)
LLDPE(MFR=2.1g/10分、密度0.92g/cm3)80重量部およびLDPE(MFR=2.1g/10分、密度0.92g/cm3)20重量部、および表2に示した所定量の含有量になるように酸化チタン顔料マスターバッチ〔東京インキ社製(商品名PEX6800:LDPE40%、酸化チタン60%含有)〕、防曇剤〔理研ビタミン社製:商品名S71−D(ジグリセリンステアテート系)〕、アルミニウム顔料マスターバッチを混合してA層用の樹脂組成物を調整した。
LLDPE(MFR=2.1g/10分、密度0.92g/cm3)80重量部およびLDPE(MFR=2.1g/10分、密度0.92g/cm3)20重量部、および表2に示した所定量の含有量になるように酸化チタン顔料マスターバッチ〔東京インキ社製(商品名PEX6800:LDPE40%、酸化チタン60%含有)〕、防曇剤〔理研ビタミン社製:商品名S71−D(ジグリセリンステアテート系)〕、アルミニウム顔料マスターバッチを混合してA層用の樹脂組成物を調整した。
EVA(酢酸ビニル含有量10重量%、MFR=1.0g/10分、密度0.93g/cm3)100重量部および表2に示した所定量の含有量になるように酸化チタン顔料マスターバッチ、アルミニウム顔料マスターバッチおよび防曇剤を混合してB層用の樹脂組成物を調整した。
EVA(酢酸ビニル含有量5重量%、MFR=1.0g/10分、密度0.93g/cm3)100重量部および表2に示した所定量の含有量になるように酸化チタン顔料マスターバッチおよび防曇剤を混合してC層用の樹脂組成物を調整した。
尚、上記MFRは、JIS K−7210に準拠して温度190℃、荷重21.18Nで測定された値である。
得られたそれぞれの樹脂組成物を、各々別の押出機に投入して溶融混練し、該順に積層されるように、かつA層:B層:C層の厚さ比が、1:5:1になるようにインフレーション法で3層を共押出し、厚さ100μmの農業用フィルムを得た。
(防曇流滴層を有する農業用フィルムの製造)
実施例7〜10では、実施例1で用いた防曇流滴剤を、C層側表面に、乾燥後の塗布量が10g/m2になるように防曇流滴剤をグラビアコーターで塗布し、熱風で乾燥させて防曇流滴層を形成して農業用フィルムを得た。
実施例7〜10では、実施例1で用いた防曇流滴剤を、C層側表面に、乾燥後の塗布量が10g/m2になるように防曇流滴剤をグラビアコーターで塗布し、熱風で乾燥させて防曇流滴層を形成して農業用フィルムを得た。
実施例1〜12及び比較例1〜6で得られた農業用フィルムについて1.遮光性、2.遮熱性、3.C層の白色性、4.防曇流滴性、5.耐色抜け性を以下の方法で評価した。その結果を表1、2、に示した。
1.遮光性
ヘーズ測定機(日本電色工業社製)を用いて、農業用フィルムの全光線透過率を測定し、遮光率を求めて、下記判定基準により遮光性を評価した。
〔判定基準〕
○:遮光率が99.9%以上であった。
△:遮光率が99.0%以上かつ99.9%未満であった。
×:遮光率が99.0%未満であった。
ヘーズ測定機(日本電色工業社製)を用いて、農業用フィルムの全光線透過率を測定し、遮光率を求めて、下記判定基準により遮光性を評価した。
〔判定基準〕
○:遮光率が99.9%以上であった。
△:遮光率が99.0%以上かつ99.9%未満であった。
×:遮光率が99.0%未満であった。
2.遮熱性
農業用フィルムを縦1m×横1m×高さ1mでフレームの幅が2cmのアルミ製の小型ハウスの全面に展張りした(ハウスI)。また、農業用フィルムのB層から酸化チタン(白色顔料)およびアルミニウム顔料を抜き、C層から酸化チタン(白色顔料)を抜いた3層透明フィルムを別途作製し、この3層透明フィルムを上記と同様の小型ハウスの全面に展張りした(ハウスII)。次いで、上記ハウスIおよびハウスIIを日当たりと風通しの良い屋外に放置し、晴天の日を選んで、放置60分後のハウスIおよびハウスIIの内部の温度を測定した。この測定を10日間行い、10日間のうち、ハウスIとハウスIIの内部の温度差が5℃以上であった日数を求め、下記判定基準により遮熱性を評価した。なお、ハウスIの内部の温度は常にハウスIIの内部の温度よりも低かった。
〔判定基準〕
○:ハウスIとハウスIIの内部の温度差が5℃以上の日数が7日以上であった。
△:ハウスIとハウスIIの内部の温度差が5℃以上の日数が3日以上かつ7日未満であった。
×:ハウスIとハウスIIの内部の温度差が5℃以上の日数が3日未満であった。
農業用フィルムを縦1m×横1m×高さ1mでフレームの幅が2cmのアルミ製の小型ハウスの全面に展張りした(ハウスI)。また、農業用フィルムのB層から酸化チタン(白色顔料)およびアルミニウム顔料を抜き、C層から酸化チタン(白色顔料)を抜いた3層透明フィルムを別途作製し、この3層透明フィルムを上記と同様の小型ハウスの全面に展張りした(ハウスII)。次いで、上記ハウスIおよびハウスIIを日当たりと風通しの良い屋外に放置し、晴天の日を選んで、放置60分後のハウスIおよびハウスIIの内部の温度を測定した。この測定を10日間行い、10日間のうち、ハウスIとハウスIIの内部の温度差が5℃以上であった日数を求め、下記判定基準により遮熱性を評価した。なお、ハウスIの内部の温度は常にハウスIIの内部の温度よりも低かった。
〔判定基準〕
○:ハウスIとハウスIIの内部の温度差が5℃以上の日数が7日以上であった。
△:ハウスIとハウスIIの内部の温度差が5℃以上の日数が3日以上かつ7日未満であった。
×:ハウスIとハウスIIの内部の温度差が5℃以上の日数が3日未満であった。
3.C層の白色性
農業用フィルムのC層の白色の程度を目視で観察し、下記判定基準によりC層の白色性を評価した。
〔判定基準〕
○:綺麗な白色であった。
△:やや灰色っぽく見えたものの、概ね白色であった。
×:灰色っぽくなっており、白色性が失われていた。
農業用フィルムのC層の白色の程度を目視で観察し、下記判定基準によりC層の白色性を評価した。
〔判定基準〕
○:綺麗な白色であった。
△:やや灰色っぽく見えたものの、概ね白色であった。
×:灰色っぽくなっており、白色性が失われていた。
4.防曇流滴性
縦50cm×横70cm×深さ30cmの水槽に水温23℃の水を6L入れ、農業用フィルムをC層が水槽内側となるように水槽上部全面に展張りした。その後、外気温を15℃、水槽内の水温を23℃に保持して60分間放置した。放置60分後、農業用フィルムを水槽から剥離して、C層を自然乾燥した後、再度上記と同様にして水槽上部全面に展張りし、60分間放置した。この操作を5回および50回繰り返し、5回目および50回目に展張りした後、展張りした農業用フィルムの表面を目視で観察し、下記判定基準により防曇流滴性の持続性を評価した。
〔判定基準〕
○:農業用フィルムの表面に付着した水分は直ちに水膜になり、水滴は形成されなかった。
×:農業用フィルムの表面に付着した水分で水滴が形成され、60分間水滴の状態のままであった。
縦50cm×横70cm×深さ30cmの水槽に水温23℃の水を6L入れ、農業用フィルムをC層が水槽内側となるように水槽上部全面に展張りした。その後、外気温を15℃、水槽内の水温を23℃に保持して60分間放置した。放置60分後、農業用フィルムを水槽から剥離して、C層を自然乾燥した後、再度上記と同様にして水槽上部全面に展張りし、60分間放置した。この操作を5回および50回繰り返し、5回目および50回目に展張りした後、展張りした農業用フィルムの表面を目視で観察し、下記判定基準により防曇流滴性の持続性を評価した。
〔判定基準〕
○:農業用フィルムの表面に付着した水分は直ちに水膜になり、水滴は形成されなかった。
×:農業用フィルムの表面に付着した水分で水滴が形成され、60分間水滴の状態のままであった。
5.耐色抜け性
5cm×5cmに裁断した農業用フィルムを殺虫剤(DDPV)の300倍水溶液(常温)中に1ケ月間浸漬し、水洗、乾燥した後、農業用フィルムの外観を目視で観察して、浸漬前の農業用フィルムの外観と比較し、下記判定基準により耐色抜け性を評価した。
〔判定基準〕
○:浸漬前後の外観に変化は全くもしくは殆ど認められなかった。
△:浸漬後の外観に若干の色抜けが認められた。
×:浸漬後の外観に著しい色抜けが認められた。
5cm×5cmに裁断した農業用フィルムを殺虫剤(DDPV)の300倍水溶液(常温)中に1ケ月間浸漬し、水洗、乾燥した後、農業用フィルムの外観を目視で観察して、浸漬前の農業用フィルムの外観と比較し、下記判定基準により耐色抜け性を評価した。
〔判定基準〕
○:浸漬前後の外観に変化は全くもしくは殆ど認められなかった。
△:浸漬後の外観に若干の色抜けが認められた。
×:浸漬後の外観に著しい色抜けが認められた。
表1から明らかなように、本発明による実施例1〜実施例4の農業用フィルムは、いずれも遮光性、遮熱性、C層の白色性、防曇流滴性の持続性および耐色抜け性の全てについて良好もしくは優れた性能を発現した。また、A層、B層およびC層に防曇流滴剤を含有させ、C層の表面に防曇流滴層を形成しなかった実施例5および実施例6の農業用フィルムは、ともに防曇流滴性の持続性が展張り5回目までは優れていたが、展張り50回目では悪くなっていた。
これに対し、表2から明らかなように、B層中におけるアルミニウム顔料の含有量がEVA100重量部に対し1重量部未満(0.3重量部)であった比較例1の農業用フィルムは、遮光性が悪かった。また、B層中におけるアルミニウム顔料の含有量がEVA100重量部に対し10重量部を超えていた(15重量部)比較例2の農業用フィルムは、遮熱性およびC層の白色性が悪かった。さらに、C層中における酸化チタン(白色顔料)の含有量がEVA100重量部に対し5重量部未満(3重量部)であった比較例3の農業用フィルムは、C層の白色性が悪かった。
また、実施例7は、全項目に亘り良好な評価結果を示した。実施例8ではB層のアルミニウム顔料の配合部数を減量したところ、遮光性がやや低下したが、概ね良好であった。実施例9および10ではB層アルミニウム顔料の配合部数を増量あるいはC層酸化チタンの配合部数を減量したところ、C層の白色性がやや低下したが、概ね良好であった。実施例11および12では、A、B、C層に防曇剤を配し、防曇流滴層を無くしたところ、防曇流滴性の持続性は低下したものの、その他の性能では良好な結果になった。
比較例4ではB層のアルミニウム顔料の配合部数を極端に減量したところ、遮光性が不十分になった。比較例5および6ではB層アルミニウム顔料の配合部数を極端に増量あるいはC層酸化チタンの配合部数を極端に減量したところ、C層の白色性が極端に低下し、灰色が目立つようになった。
以上述べたように、本発明の農業用フィルムは、優れた遮光性、優れた遮熱性、優れた防曇流滴性、長期間に亘る防曇流滴性の優れた持続性等を兼備するので、通常の農業用ハウスや農業用トンネルには勿論のこと、花卉等の園芸栽培を行うための農業用ハウスにも長期間に亘り好適に用いられる。光線や熱線の透過が少なく、なお且つ、長期間に亘り防曇流滴性が持続し、フィルム強度、耐候性も良好なことから、電照栽培や遮光栽培、更には家畜・肥料等を飼育・保管する小屋、ハウスに隣接する作業小屋に被覆されるフィルムとして長期間使用することができる。
Claims (3)
- 密度が0.90〜0.93g/cm3、メルトマスフローレイトが0.3〜5.0g/10分(190℃)である低密度ポリエチレン樹脂を主成分とするA層、酢酸ビニル含有量が5〜25重量%、メルトマスフローレイトが0.5〜4.0g/10分(190℃)であるエチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部、白色顔料1〜20重量部、アルミニウム顔料1〜10重量部が含有されてなる樹脂組成物からなるB層、酢酸ビニル含有量が3〜10重量%、メルトマスフローレイトが0.5〜4.0g/10分(190℃)であるエチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部、白色顔料5〜30重量部が含有されてなる樹脂組成物からなるC層がこの順に積層されてなる農業用フィルム。
- A層は、低密度ポリエチレン樹脂100重量部に、白色顔料5〜30重量部が添加されてなる樹脂組成物からなることを特徴とする請求項1記載の農業用フィルム。
- C層の表面に、コロイダルシリカ及び/又はコロイダルアルミナを主成分とする防曇流滴層が形成されていることを特徴とする請求項1記載の農業用フィルム。
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