JP2005126619A - ポリエステル樹脂水分散体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 保存安定性に優れ、その塗膜の外観の優れたポリエステル樹脂水分散体を提供する、またその水分散体を安価に効率良く製造する。
【解決手段】 ポリエステル樹脂の重合終了後、重合釜に水、もしくは水および有機溶剤を直接投入して、攪拌・分散するポリエステル樹脂水分散体の製造方法に関する。ポリエステル樹脂の重合終了後、重合釜に有機溶剤を直接投入して攪拌・溶解した後、水を加え、しかる後に必要に応じて有機溶剤の一部、または全部を留去するポリエステル樹脂水分散体の製造方法に関する。
【選択図】 なし

Description

本発明はポリエステル樹脂水分散体の製造方法に関する。さらに詳細には比較的固形分濃度が高く、また樹脂粒子径の比較的細かい、保存安定性に優れたポリエステル樹脂水分散体を安価に製造するための製造方法に関する。
ポリエステル樹脂水分散体は、ポリエステル樹脂を水、もしくは水および有機溶剤に溶解または分散させることにより製造される。一般にはあらかじめ重合しておいた固形のポリエステル樹脂の入った分散釜に水、もしくは有機溶剤(ここでいう有機溶剤とは、例えばブチルセロソルブ、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコールなどの極性有機溶剤である。)、もしくは水および有機溶剤を投入し、昇温・攪拌下で必要に応じて水を追加投入し、その後さらに必要に応じて有機溶剤を除去するなどして水分散化し、目的とする水分散体が製造されてきた(例えば特許文献1、2参照)。実験室で製造するのであればこの方法でも十分であるが、これを工業化しようとすると、いくつかの問題点がある。
一般にポリエステル樹脂はエステル交換(エステル化反応)終了後、高真空下で加熱・攪拌して製造される。所定の重合度に達した際に、反応系を窒素等の不活性ガスで常圧に戻し、さらに不活性ガスを送り続けて、反応系を加圧状態にして底バルブを開放してポリエステル樹脂を排出する。排出されたポリエステル樹脂は通常水で冷却し、固化してから、切断され梱包される。この方法では、ガラス転移温度の低いポリエステル樹脂や分子量(還元粘度)の低いポリエステル樹脂ではブロッキング現象が生じるため、梱包時にポリエチレン製の離形フィルムで樹脂同士の接触を防ぐ等の処置が必要となる。しかしながら、このフィルムは樹脂を有機溶剤や水に溶解・分散するときは不必要となるため、再度フィルムを剥がすのに多大な労力と時間を必要であり、これがしばしば問題となる。また一般的にポリエステル樹脂は疎水性であるため、樹脂を水分散する際は何らかの溶媒に溶解する、もしくは加温などすることにより、樹脂を可塑化状態にした後、相転移させ、水分散する方法が採られるが、一旦ポリエステル樹脂を冷却、固化させた後に再度これらの作業を行うことは作業能率が悪く、工業レベルの生産にはあまり適していない。
また、別の問題としては、重縮合により得られたポリエステル樹脂を溶融状態で取り出す場合、高温のまま重合釜から排出されるため、樹脂が空気中の酸素と反応し、樹脂の酸化劣化が一部進行する。このことにより、樹脂の酸価が増加するため、この樹脂を水分散して得られるポリエステル樹脂水分散体のpHが酸性側にふれ、結果として水分散体の保存安定性を低減させることが挙げられる。また、添加剤等を配合した樹脂系の場合では、前述の問題に加えて、樹脂中の添加剤が高温状態で酸素と接触することにより、樹脂外観が着色することが多々ある。そのため用途によっては、その樹脂の水分散体を塗膜にした際の外観が損なわれるといった問題も生じうる。
その他にも、一旦完全に冷却、固化した固形状の樹脂を一度に大量に分散釜に投入するため、分散が不十分で粒径の粗い水分散体が生じやすくなり、これが凝集・沈降などすることにより、得られた水分散体の保存安定性に悪影響を及ぼすなどの問題点があった。
特開2001−288403号公報(〔0042〕) 特開平8−253570号公報(〔0058〕、〔0059〕)
本発明の課題は、保存安定性に優れ、その塗膜の外観の優れたポリエステル樹脂水分散体を提供することであり、また、その水分散体を安価に効率良く製造することにある。
本発明者らは上記のような課題に直面し、鋭意検討した結果、工業的レベルでも安価に効率よくポリエステル樹脂水分散体を製造することができる方法を見出した。すなわち本発明は以下のポリエステル樹脂水分散体の製造方法である。
(1)ポリエステル樹脂の重合終了後、重合釜に水、もしくは水および有機溶剤を直接投入して、攪拌・分散するポリエステル樹脂水分散体の製造方法。
(2)ポリエステル樹脂の重合終了後、重合釜に有機溶剤を直接投入して攪拌・溶解した後、水を加え、しかる後に必要に応じて有機溶剤の一部、または全部を留去するポリエステル樹脂水分散体の製造方法。
(3)ポリエステル樹脂の重合終了後、重合釜に水および有機溶剤を直接投入して、攪拌・溶解または分散させた後、水を加え、しかる後に必要に応じて有機溶剤の一部、または全部を留去するポリエステル樹脂水分散体の製造方法。
(4)ポリエステル樹脂の重合終了後、重合釜に水および有機溶剤を直接投入して、攪拌・溶解または分散させた後、有機溶剤の一部、または全部を留去するポリエステル樹脂水分散体の製造方法。
(5)重合釜とは別の分散釜に水、もしくは水および有機溶剤を入れておき、ポリエステル樹脂の重合終了後、溶融状態にあるポリエステル樹脂を分散釜に投入して、攪拌・分散するポリエステル樹脂水分散体の製造方法。
(6)重合釜とは別の分散釜に有機溶剤を入れておき、ポリエステル樹脂の重合終了後、溶融状態にあるポリエステル樹脂を分散釜に投入して、攪拌・溶解させた後、水を加え、しかる後に必要に応じて有機溶剤の一部、または全部を留去するポリエステル樹脂水分散体の製造方法。
(7)重合釜とは別の分散釜に水および有機溶剤を入れておき、ポリエステル樹脂の重合終了後、溶融状態にあるポリエステル樹脂を分散釜に投入して、攪拌・溶解または分散させた後、水を加え、しかる後に必要に応じて有機溶剤の一部、または全部を留去するポリエステル樹脂水分散体の製造方法。
(8)重合釜とは別の分散釜に水および有機溶剤を入れておき、ポリエステル樹脂の重合終了後、溶融状態にあるポリエステル樹脂を分散釜に投入して、攪拌・溶解または分散させた後、有機溶剤の一部、または全部を留去するポリエステル樹脂水分散体の製造方法。
(9)ポリエステル樹脂の重合終了後、溶融状態にあるポリエステル樹脂を混練機に投入して、混練機のいずれかの部分から水、もしくは水および有機溶剤を投入し、混練・分散するポリエステル樹脂水分散体の製造方法。
(10)水、もしくは水および有機溶剤の温度が35℃未満に調整してある(1)〜(9)のいずれかに記載のポリエステル樹脂水分散体の製造方法。
(11)ポリエステル樹脂のガラス転移温度が−100〜80℃である(1)〜(10)のいずれかに記載のポリエステル樹脂水分散体の製造方法。
(12)ポリエステル樹脂の還元粘度が0.02〜1.80dl/gである(1)〜(11)のいずれかに記載のポリエステル樹脂水分散体の製造方法。
本発明の製造方法を用いることにより、系中で樹脂粒子が安定に分散しており、保存安定性に優れたポリエステル樹脂水分散体が非常に効率良く製造できる。
本発明の第一の態様は、ポリエステル樹脂の重合終了後、重合釜に水、もしくは水および有機溶剤を直接投入して、攪拌・分散するポリエステル樹脂水分散体の製造方法である。詳細に説明すると、ポリエステル樹脂の重合終了後、不活性ガスで重合釜を常圧に戻し、重合釜の上部より、所定の水や有機溶剤を投入することにより、樹脂を一旦釜の外部へ取り出さずともポリエステル樹脂の水分散体が得られるものである。その際、1〜60rpmの速度で攪拌を行いながら水や有機溶剤を投入することが出来るが、1〜30rpmの低速で攪拌を行いながら水や有機溶剤を投入することが好ましい。樹脂表面が急冷されて固化して、攪拌を始める際にトルクが上昇し、攪拌モーターが損傷したり、攪拌翼が損傷したりすることを防ぐことが出来るからである。
本発明の第二の態様は、重合釜とは別の分散釜に水、もしくは水および有機溶剤を入れておき、ポリエステル樹脂の重合終了後、溶融状態にあるポリエステル樹脂を分散釜に投入して、攪拌・分散するポリエステル樹脂水分散体の製造方法である。詳細に説明すると、重合釜と移送管で連結された別の分散釜を用意し、予め分散釜の方へ水や有機溶剤を投入しておく。なおこの時、分散釜内の圧力は常圧に保っておく。重合釜のポリエステル樹脂が所定の分子量に到達したら、不活性ガスで重合釜を常圧に戻す。次いでさらに不活性ガスを重合釜に投入し加圧状態にした後、移送管のバルブを開け、重合釜内と溶解釜内の圧力差を利用して溶融状態のポリエステル樹脂を溶解釜へ移すことができる。また移送管のライン上にギアポンプ等の送液装置を設置しておき、粘度の高い樹脂を定量的に移送できるようにしておくことも可能である。さらに移送を行う際には、溶解釜の攪拌翼を1〜60rpmの速度、できれば1〜30rpmの低速で回転しておくことが好ましい。
本発明の第一の態様、第二の態様共に、ポリエステル樹脂を有機溶剤で溶解、あるいは水および有機溶剤で分散または溶解した後に、必要に応じて水を投入して相転移をさせて、しかる後に有機溶剤の一部、または全部を留去することでポリエステル樹脂水分散体とすることができる。この際、有機溶剤を留去する方法は特に限定されないが、例えば常圧または減圧状態で蒸留する方法が簡便で好ましい。有機溶剤の全部を留去すれば完全水系の水分散体が作製できるが、分散体の安定性を考慮し、分散体全量を100質量%としたときに、有機溶剤を0.005〜30質量%残存させることも好ましい。
本発明の第三の態様は、ポリエステル樹脂の重合終了後、溶融状態にあるポリエステル樹脂を混練機に投入して、混練・溶解するポリエステル樹脂水分散体の製造方法である。ここでいう混練機とは、ニーダーや二軸押出機、一軸押出機のようにスクリューを用いて混練する装置である。好ましくは二軸押出機である。詳細に説明すると、重合釜と移送管で連結された別の押出混練機を用意し、予め混練機に水や有機溶剤を投入できる準備として、水や有機溶剤の定量供給用のタンクとポンプを押出混練機へ繋ぎこんでおく。重合釜のポリエステル樹脂が所定の分子量に到達したら、不活性ガスで重合釜を常圧に戻す。次いでさらに不活性ガスを重合釜に投入し一定の加圧状態にした後、移送管のバルブを開けて溶融状態のポリエステル樹脂を押出混練機へ移す。また移送管のライン上に、ギアポンプ等定量フィード可能な送液装置を設置して、樹脂を定量的に押出混練機へ投入することも好ましい。所定の回転数で回転する押出混練機に、水や有機溶剤のフィード用タンクから、溶媒注入用ポンプ及び注入弁、逆止弁を通して押出混練機のシリンダー内へ投入し、ポリエステル樹脂を混練・分散して、所定の濃度の水分散体を得る。ポリエステル樹脂を混練・分散する為の温度調整とスクリュー回転数は、加水分解等のポリエステル樹脂の劣化を最小限に抑える為に両者ともできるだけ低いことが望ましいが、使用するポリエステル樹脂の溶融粘度特性を考慮して最適な設定値が決定される。特にシリンダーの温度調整はポリエステルの分解を避けるため、270℃以下とすることが好ましい。
本発明で使用する押出混練機は、その混練性能より、二軸押出機が好ましい。その中で、同方向回転型・異方向回転型のいずれでも構わないが、好ましくは混練能力の高い同方向型である。例えば東芝機械製・同方向回転二軸押出機「TEMシリーズ」や株式会社日本製鋼所製「TEXシリーズ」等が挙げられる。スクリューエレメントの形状と組合せは特に限定されないが、混練能力をできるだけ高く、滞留時間を長くとれるように、二軸押出機のL/D(全てのバレル長さの合計の長さを、シリンダー内筒の内径で除したもの)と必要とする生産能力に合わせて、最適なエレメントの組合せが選ばれる。
本発明の第一の態様では投入する前の水や有機溶剤の温度、第二の態様では分散釜に投入した後、溶融状態のポリエステル樹脂を投入する前の水や有機溶剤の温度、第三の態様では有機溶剤タンク内の水や有機溶剤の温度は35℃未満に調整しておくことが好ましい。夏場の重合釜の周辺は気温が45℃以上になることも珍しくなく、そのような状態で保管されている水や有機溶剤は当然同様の温度、もしくはそれ以上の温度になっていることがしばしば考えられる。そのため、温度を調整しておく必要がある。もし温度調節がなされない場合、重合直後のポリエステル樹脂は高温の状態にあるため、分散時に系の温度が必要以上に上昇してしまい、樹脂の熱劣化等が生じるなどの問題が起こりうる。なおここで、溶媒の温度の下限は特に限定されないが、水を使用する以上、0℃以上が現実的である。
本発明に用いるポリエステル樹脂のガラス転移温度は−100〜80℃であることが望ましい。好ましい下限は−50℃、さらに好ましくは−20℃である。一方上限は40℃以下が好ましく、25℃以下がさらに好ましい。ガラス転移温度が−100℃未満のポリエステル樹脂の場合、水分散体を作ることが出来ても、その後に水分散体を乾燥することにより塗膜等を作成した場合、その塗膜のブロッキングが激しく用途によっては使用しづらいことがしばしばある。また80℃を超える場合、粒子径の細かい、分散安定性の高いエマルションが得られないことがある。特にガラス転移温度が25℃以下の室温では激しくブロッキングが生じるポリエステル樹脂を分散する際には本発明の製造方法は有効である。
本発明に用いるポリエステル樹脂の還元粘度は0.02〜1.80dl/gであることが好ましい。好ましい下限は0.05dl/g、より好ましくは0.10dl/gである。好ましい上限は1.0dl/g、より好ましくは0.60dl/gである。還元粘度が0.02dl/g未満であると、ある程度の水分散が出来ても、分子鎖中に親水性基を持たない分子が経時的に凝集、沈降するなどの問題を生じる。一方、1.80dl/gを超える場合、樹脂中の分子鎖間の凝集力が強く、樹脂中の親水性基が水界面に移動し、水と接触するのを妨げるため、水分散が十分に達成しない可能性がある。特に還元粘度が0.10〜0.60dl/gの場合、本発明の効果が最大限に発揮される。例えば還元粘度0.60dl/g以下のように還元粘度の低い樹脂はブロッキングが激しく起こるために固形での取り扱いが困難であるためである。
本発明により得られるポリエステル樹脂の水分散体の平均粒子径は400nm以下であることが好ましい。400nmを超えると、樹脂の凝集、沈降などが起こりやすいなど、分散安定性が低下する可能性があるためである。さらに安定性を考慮すると、上記平均粒子径は150nm以下であることがより好ましく、100nm以下であることがさらに好ましい。また、上記平均粒子径は5nm以上であることが好ましく、20nm以上であることがさらに好ましい。これは平均粒子径が5nm未満となる場合では、樹脂中のスルホン酸アルカリ金属塩等極性基の親水性基濃度を高くする必要があるため、高温保存下では、樹脂の加水分解が進行し、分散安定性が低下する恐れがあるためである。
本発明により得られるポリエステル樹脂の水分散体は、その水分散体中に占める樹脂の濃度、つまり固形分濃度が10wt%以上であり、50wt%以下であることが好ましい。固形分濃度10wt%以下では生産効率が低く、また50wt%を超えると、長期保存時に樹脂の凝集、沈降が生じやすいため、水分散体としての安定性が低下する恐れがある。上記固形分濃度は40wt%以下であることがより好ましく、35wt%以下であることがさらに好ましい。また上記固形分濃度は15wt%以上であることがより好ましく、20wt%以上であることがさらに好ましい。
本発明に用いるポリエステルとしては上記の範囲内であれば、様々な原料を使用することができる。
ポリエステル樹脂のジカルボン酸成分としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、テルペン−マレイン酸付加体などの不飽和ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、1,2−シクロヘキセンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、(無水)トリメリト酸、(無水)ピロメリト酸、メチルシクロへキセントリカルボン酸等の3価以上のカルボン酸等が挙げられ、これらの中から1種または2種以上を選択し使用できる。
本発明に用いるポリエステル樹脂に使用されるポリアルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1−メチル−1,8−オクタンジオール、3−メチル−1,6−ヘキサンジオール、4−メチル−1,7−ヘプタンジオール、4−メチル−1,8−オクタンジオール、4−プロピル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール等の脂肪族グリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のエーテルグリコール類、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカングリコール類、水素添加ビスフェノール類等の脂環族ポリアルコール等、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール等の3価以上のポリアルコール等が挙げることができ、これらの中から1種、又はそれ以上を選び使用できる。
本発明のポリエステル樹脂水分散体に用いられるポリエステル樹脂は、樹脂中に親水性のある極性基を導入することが好ましい。極性基としては、スルホン酸金属塩基、カルボキシル基、エーテル基、リン酸基等が挙げられるが、スルホン酸金属塩、カルボキシル基、エーテル基が特に好ましく、これらは単独又は併用して使用できる。
スルホン酸塩基を分子内に導入する場合は、例えば5−Naスルホイソフタル酸、5−アンモニウムスルホイソフタル酸、4−Naスルホイソフタル酸、4−メチルアンモニウムスルホイソフタル酸、2−Naスルホテレフタル酸、5−Kスルホイソフタル酸、4−Kスルホイソフタル酸、2−Kスルホイソフタル酸、Naスルホコハク酸等のスルホン酸アルカリ金属塩系またはスルホン酸アミン塩系化合物、スルホン酸Na塩含有ビスフェノールA−アルキレンオキサイド付加物、スルホン酸K塩基含有ハイドロキノンアルキレンオキサイド付加物等を共重合することが出来る。
エーテル基を分子内に導入する場合は、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコールエチレンオキサイド付加物、ネオペンチルグリコールプロピレンオキサイド付加物等、エーテル結合含有グリコールを用いることができる。
カルボキシル基を導入する方法は、ポリエステル樹脂を重合した後に常圧、窒素雰囲気下、無水トリメリット酸、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水コハク酸、無水1,8−ナフタル酸、無水1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサン−1,2,3,4−テトラカルボン酸−3,4−無水物、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、ナフタレン1,8:4,5−テトラカルボン酸二無水物などから1種または2種以上を選択し、後付加して酸価を付与する方法やポリエステルを高分子量化する前のオリゴマー状態のものにこれらの酸無水物を投入し、次いで減圧下の重縮合により高分子量化することで、ポリエステルに酸価を導入する方法などがある。この場合、目標とする酸価が得られやすいとして前者の方法が好ましい。
カルボキシル基を導入したポリエステル樹脂の水分散体を作成する場合、分散した微粒子の安定化のために、当該粒子表面のカルボキシル基などの極性基を部分的に、あるいは全面的に塩基性物質でもって中和することが好ましい。
ここで、中和に使用できる塩基性物質としては、アンモニアやトリエチルアミンなどに代表されるアミン類、あるいは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどに代表される無機塩基類の使用が可能である。そのため揮発性の問題や、逆に塗膜にした際の塗膜中への残存の問題などを考慮して、用途に応じて選択すると良い。
揮発性アミン類として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、アンモニア、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノ−n−プロピルアミン、ジメチルn−プロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンまたはトリエタノールアミンをはじめ、N−メチルエタノールアミン、N−アミノエチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミンまたはN,N−ジメチルプロパノールアミン等の各種のアミン類などである。特に好ましいのは、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミンまたはN,N−ジメチルプロパノールアミンなどである。また、これらの有機塩基性化合物から選ばれる2種以上の併用を、決して妨げるものではない。
本発明に用いる有機溶剤としては、例えば、n−ブタノール、イソプロピルアルコール、ジアセトンアルコール、2−エチルヘキサノール、メチルエチルケトン、アセトニトリル、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、n−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−オキソラン、メチルソロソルブ、エチルソロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプチルエーテルなどの両親媒性溶媒を必要に応じて用いても良い。
このうちイソプロピルアルコール、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ブチルカルビトールが特に好ましい。またこれらの有機溶剤は、溶媒に水以外のものを用いない、完全水系のポリエステル樹脂水分散体を製造するときは、水分散体を有機溶剤の沸点以上に加熱し、有機溶剤を揮発、脱有機溶剤する必要がある。そうでない場合はこれらの有機溶剤はポリエステル樹脂水分散体中に含有していても良い。
本発明により得られる水分散体は、各種増粘剤を使用することにより、作業性に適した粘性、粘度に調整することができる。増粘剤添加による系の安定性から、メチルセルロース、ポリアルキレングリコール誘導体のノニオン性のもの、ポリアクリル酸塩、アルギン酸塩等のアニオン性のものが好ましい。
本発明により得られる水分散体は、各種表面張力調整剤を使用することにより、塗布性をさらに向上させることができる。添加量は水分散体の安定性等の面から、樹脂に対して好ましくは1wt%以下、さらに好ましくは0.5wt%の添加を制限することが好ましい。
本発明により得られる水分散体は、その製造時、または得られた水分散体中に酸化チタン、シリカなどの公知の無機顔料、各種染料、表面平滑剤、消泡剤、酸化防止剤、分散剤、潤滑剤等の公知の添加剤を配合しても良い。
本発明により得られる水分散体は、その用途に応じて、各種紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤を添加することができる。紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、トリアジン系等各種有機系のもの、酸化亜鉛等無機系のもののいずれも使用可能である。また酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、フェノチアジン、ニッケル化合物等一般的にポリマー用のもの、各種が使用可能である。光安定剤もポリマー用のもの各種が使用可能であるが、特にヒンダードアミン系のものが有効である。
以下本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。なお、ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂水分散体の物性値測定は以下の方法により実施した。
ポリエステル樹脂の組成
ポリエステル樹脂を重クロロホルム溶媒中でヴァリアン社製、核磁気共鳴分析計(NMR)ジェミニ−200を用いて、1H−NMR分析を行い、その積分比より決定した。なお、ポリエステル樹脂は重縮合反応終了後、窒素雰囲気下で真空を破壊し、減圧後、得られた溶融状態のポリエステル樹脂を反応釜から少量取り出し、冷却したものを測定に供した。
ポリエステル樹脂のガラス転移温度
上述のようにして得たポリエステル樹脂サンプル5mgをアルミニウム製サンプルパンに入れて密封し、セイコーインスツルメンツ社製、示差走査熱量分析計(DSC)DSC−220を用いて、200℃まで、昇温速度20℃/分にて測定し、ガラス転移温度以下のベースラインの延長線と遷移部分での最大傾斜を示す接線との交点の温度で求めた。
ポリエステル樹脂の還元粘度
ポリエステル樹脂0.10gをフェノール/テトラクロロエタン(質量比6/4)の混合溶媒25cm3に溶かし、ウベローデ粘度管を用いて30℃で測定した。
ポリエステル樹脂水分散体の平均粒子径
樹脂固形分濃度をイオン交換水で0.1質量%に調製したポリエステル樹脂水分散体を、堀場製作所社製、動的光散乱式粒径測定装置LB−500によって20℃で測定した。
ポリエステル樹脂水分散体の固形分濃度
ポリエステル樹脂水分散体を約1g秤量瓶に量りとり、200℃で60分乾燥することにより溶剤・水を完全に取り除いた。その残渣の質量を測定することにより、水分散体の固形分濃度を測定した。
[実施例1]
ポリエステルの製造例
攪拌機、温度計、還流用冷却器を装備した反応釜内に、イソフタル酸159質量部、5−Naスルホイソフタル酸ジメチル12質量部、エチレングリコール37質量部、トリエチレングリコール135質量部、触媒としてn−テトラブチルチタネート0.1質量部、重合安定剤として酢酸ナトリウム0.3質量部、酸化防止剤としてイルガノックス1330 2質量部を仕込み、170〜230℃で2時間エステル交換反応を行った。エステル交換反応終了後、反応系を230℃から270℃まで昇温する一方、系内をゆっくりと減圧にしてゆき、60分かけて270℃で5Torrとした。そしてさらに1Torr以下で30分間重縮合反応を行った。重縮合反応終了後、窒素を用いて系を真空から常圧に戻し、溶融状態のポリエステル(A)を得た。
ポリエステル(A)は、NMR分析の結果、ジカルボン酸成分はイソフタル酸96モル%、5−Naスルホイソフタル酸4モル%、ジオール成分はエチレングリコール20モル%、トリエチレングリコール80モル%で、ガラス転移温度は−1℃、還元粘度0.60dl/gであった。評価結果を表1に示す。
水分散体の製造例
水47質量部、およびイソプロピルアルコール18質量部を入れた、撹拌機、温度計、還流用冷却器を装備し、内温を30℃に保った分散釜内に、重縮合反応終了直後で溶融状態のポリエステル(A)35重量部を投入し、系の温度を約75℃に保ちながら撹拌を行い水分散した後、冷却することにより水分散体(A)を得た。評価結果を表2に示す。
[実施例2]
ポリエステル樹脂の製造例
表1に示す原料を用いて、実施例1と同様な装置および方法で重縮合反応を行い、溶融状態のポリエステル樹脂(B)を得た。ポリエステル(B)は、NMR分析の結果、ジカルボン酸成分はイソフタル酸93モル%、5−Naスルホイソフタル酸7モル%、ジオール成分はジエチレングリコール100モル%で、ガラス転移温度は20℃、還元粘度0.63dl/gであった。評価結果を表1に示す。
水分散体の実施例
水75質量部を入れた、撹拌機、温度計、還流用冷却器を装備し、内温30℃に保った分散釜内に、重縮合反応終了直後で溶融状態のポリエステル(B)25質量部を投入し、系の温度を約80℃に保ちながら撹拌を行い水分散した後、室温付近まで冷却し、200メッシュの濾布で濾過しながらとり出すことにより水分散体(B)を得た。評価結果を表2に示す。
[実施例3]
ポリエステル樹脂の製造例
表1に示す原料を用いて、実施例1と同様な装置および方法で重縮合反応を行い、溶融状態のポリエステル樹脂(C)を得た。ポリエステル(C)は、NMR分析の結果、ジカルボン酸成分はテレフタル酸50モル%、イソフタル酸46モル%、トリメリット酸1モル%、5−Naスルホイソフタル酸3モル%、ジオール成分はジエチレングリコール30モル%、ヘキサンジオール70モル%で、ガラス転移温度は4℃、還元粘度0.37dl/gであった。評価結果を表1に示す。
水分散体の実施例
水40質量部、イソプロピルアルコール30質量部を入れた、撹拌機、温度計、還流用冷却器を装備し、内温30℃に保った分散釜内に、重縮合反応終了直後で溶融状態のポリエステル(C)30質量部を投入し、系の温度を約75℃に保ちながら撹拌を行い、樹脂を完全に溶解した。その後、撹拌を続けながら水を40重量部加えてから、系の温度を90℃まで加熱することによりイソプロピルアルコールを完全に除去した。その後、冷却することにより水分散体(C)を得た。評価結果を表2に示す。
[実施例4]
ポリエステル樹脂の製造例
表1に示す原料を用いて、実施例1と同様な装置および方法で重縮合反応を行い、溶融状態のポリエステル樹脂(D)を得た。ポリエステル(D)は、NMR分析の結果、ジカルボン酸成分はテレフタル酸49モル%、イソフタル酸48.5モル%、5−Naスルホイソフタル酸2.5モル%、ジオール成分はエチレングリコール50モル%、ネオペンチルグリコール50モル%で、ガラス転移温度は67℃、還元粘度0.53dl/gであった。評価結果を表1に示す。
水分散体の実施例
重縮合反応終了後のポリエステル(D)25質量部の入った撹拌機、温度計、還流用冷却器を装備した反応缶を系内の温度が200℃になるまで窒素雰囲気下で撹拌しながら冷却した。所定の温度に到達後、撹拌を続けながらブチロセルソルブ15質量部を投入し、系内の温度が80℃になるように調節しながら樹脂を溶解した。樹脂の溶解を確認後、撹拌しながら水を55質量部、少量ずつ加えていくことにより水分散を行った。その後冷却することにより水分散体(D)を得た。評価結果を表2に示す。
[実施例5]
ポリエステル樹脂の製造例
表1に示す原料を用いて、実施例1と同様な装置および方法で重縮合反応を行い、溶融状態のポリエステル樹脂(E)を得た。ポリエステル(E)は、NMR分析の結果、ジカルボン酸成分はテレフタル酸30モル%、イソフタル酸70モル%、ジオール成分はブタンジオール50モル%、ネオペンチルグリコール50モル%であり、さらに無水トリメット酸4モル%を分子鎖末端に付加することにより樹脂酸価を増した。得られた樹脂のガラス転移温度は39℃、還元粘度0.35dl/gであった。評価結果を表1に示す。
水分散体の実施例
重縮合反応終了後のポリエステル(E)33質量部の入った撹拌機、温度計、還流用冷却器を装備した反応缶を窒素雰囲気下で系内の温度が130℃になるまで撹拌しながら冷却した。所定の温度に到達後、撹拌を続けながらメチルエチルケトン60質量部を投入し、系内の温度が60℃になるように調節しながら樹脂を溶解した。樹脂の溶解を確認後、ジメチルエタノールアミン1.1質量部を添加し、樹脂中のカルボン酸部を中和した。その後撹拌しながら水を77質量部、少量ずつ加えていくことにより水分散した後、100℃まで昇温することにより系中の有機溶剤を完全に留去し、完全水系の水分散体にした。その後冷却することにより水分散体(E)を得た。評価結果を表2に示す。
[実施例6]
ポリエステル樹脂の製造例
表1に示す原料を用いて、実施例1と同様な装置および方法で重縮合反応を行い、溶融状態のポリエステル樹脂(F)を得た。ポリエステル(F)は、NMR分析の結果、ジカルボン酸成分はイソフタル酸97モル%、5−Naスルホイソフタル酸3モル%、ジオール成分はトリエチレングリコール80モル%、エチレングリコール20モル%であり、さらに無水トリメット酸1モル%を分子鎖末端に付加することにより樹脂酸価を増した。得られた樹脂のガラス転移温度は2℃、還元粘度0.65dl/gであった。評価結果を表1に示す。
水分散体の実施例
重縮合反応終了後のポリエステル(F)35質量部の入った撹拌機、温度計、還流用冷却器を装備した反応缶を系内の温度が200℃になるまで撹拌しながら冷却した。所定の温度に到達後、撹拌を続けながら水47質量部、イソプロピルアルコール18質量部を投入し、系内の温度が75℃になるように調節しながら樹脂を水分散した。樹脂が均一に分散したことを確認後、撹拌しながら水を30質量部加えた。その後系内を40℃まで冷却してから、系内の圧力を10Torrまでゆっくり減圧し、減圧状態で30分撹拌することにより系中の有機溶剤を完全に留去し、完全水系の水分散体にした。その後室温まで冷却することにより水分散体(F)を得た。評価結果を表2に示す。
[実施例7]
ポリエステルの製造例
攪拌機、温度計、還流用冷却器を装備した反応釜内に、テレフタル酸55質量部、イソフタル酸55質量部、フマル酸35質量部、5−Naスルホイソフタル酸ジメチル12質量部、エチレングリコール31質量部、ジエチレングリコール53質量部、触媒としてn−テトラブチルチタネート0.1質量部、重合安定剤として酢酸ナトリウム0.3質量部、ラジカル補足剤としてフェノチアジン0.1質量部を仕込み、170〜220℃で2時間エステル交換反応を行った。エステル交換反応終了後、反応系を220℃から230℃まで昇温する一方、系内をゆっくりと減圧にしてゆき、60分かけて230℃で5Torrとした。そしてさらに1Torr以下で60分間重縮合反応を行った。重縮合反応終了後、窒素を用いて系を真空から常圧に戻し、溶融状態のポリエステル(G)を得た。
ポリエステル(G)は、NMR分析の結果、ジカルボン酸成分はテレフタル酸33モル%、イソフタル酸33モル%、フマル酸30モル%、5−Naスルホイソフタル酸4モル%、ジオール成分はエチレングリコール50モル%、ジエチレングリコール50モル%で、ガラス転移温度は30℃、還元粘度0.30dl/gであった。評価結果を表1に示す。
水分散体の製造例
水55質量部、およびイソプロピルアルコール15質量部を入れた、撹拌機、温度計、還流用冷却器を装備し、内温を30℃に保った分散釜内に、重縮合反応終了直後で溶融状態のポリエステル(G)30重量部を投入し、系の温度を約80℃に保ちながら撹拌を行い水分散した後、冷却することにより水分散体(G)を得た。評価結果を表2に示す。
[比較例1]
ポリエステルの製造例
実施例1と同様の原料を用いて、実施例1と同様な装置および方法で重縮合反応を行い、ポリエステル樹脂を作成した。その後、溶融状態のポリエステル樹脂を反応釜から取り出し、室温で冷却することにより、固体状態のポリエステル樹脂(H)を得た。評価結果を表1に示す。
水分散体の製造例
撹拌機、温度計、還流用冷却器を装備した分散釜内に、固体状態のポリエステル樹脂(H)35質量部、水47質量部、イソプロピルアルコール18質量部を一括に投入し、系の温度を約75℃に保ちながら撹拌を行い水分散した。その後、冷却することにより水分散体(H)を得た。評価結果を表2に示す。
[比較例2]
ポリエステル樹脂の製造例
実施例2と同様の原料を用いて、実施例2と同様な装置および方法で重縮合反応を行い、ポリエステル樹脂を作成した。その後、溶融状態のポリエステル樹脂を反応釜から取り出し、室温で冷却することにより、固体状態のポリエステル樹脂(I)を得た。評価結果を表1に示す。
水分散体の製造例
撹拌機、温度計、還流用冷却器を装備した分散釜内に、固体状態のポリエステル樹脂(I)25質量部、水75質量部を一括に投入し、系の温度を約80℃に保ちながら撹拌を行い水分散した。その後、冷却することにより水分散体(I)を得た。評価結果を表2に示す。
[比較例3]
ポリエステル樹脂の製造例
実施例3と同様の原料を用いて、実施例3と同様な装置および方法で重縮合反応を行い、ポリエステル樹脂を作成した。その後、溶融状態のポリエステル樹脂を反応釜から取り出し、室温で冷却することにより、固体状態のポリエステル樹脂(J)を得た。評価結果を表1に示す。
水分散体の製造例
撹拌機、温度計、還流用冷却器を装備した分散釜内に、固体状態のポリエステル樹脂(J)30重量部、水40質量部、およびイソプロピルアルコール30質量部を一括に投入し、系の温度を約75℃に保ちながら撹拌を行い、樹脂を完全に溶解した。その後、撹拌を続けながら水を40重量部加えてから、系の温度を90℃まで加熱することによりイソプロピルアルコールを完全に除去した。その後、冷却することにより水分散体(J)を得た。評価結果を表2に示す。
[比較例4]
ポリエステル樹脂の製造例
実施例7と同様の原料を用いて、実施例7と同様な装置および方法で重縮合反応を行い、ポリエステル樹脂を作成した。その後、溶融状態のポリエステル樹脂を反応釜から取り出し、室温で冷却することにより、固体状態のポリエステル樹脂(K)を得た。評価結果を表1に示す。
水分散体の製造例
撹拌機、温度計、還流用冷却器を装備した分散釜内に、固体状態のポリエステル樹脂(K)30重量部、水55質量部、およびブチルセロソルブ15質量部を一括に投入し、系の温度を約80℃に保ちながら撹拌を行い水分散した。その後、冷却することにより水分散体(K)を得た。評価結果を表2に示す。
なお、比較例1、2、3および4はいずれも重縮合反応により得られたポリエステルを反応釜から一度取り出し、大気中で冷却することにより、完全に固体となった後、改めて水/有機溶剤中に溶解/分散させる手法を採っているため、本発明の範囲外である。
(ポリエステル樹脂の水分散化に要する時間の比較)
実施例1、2、3、4、5、6、7および比較例1,2,3、4のポリエステル樹脂水分散体を製造するのに要する時間、および得られる水分散体の特性を表2に示す。本発明の製造方法を用いることにより、従来の方法よりも非常に短い時間で、品質を低下させること無く、ポリエステル樹脂水分散体を安定に製造することが可能である。
(ポリエステル樹脂塗膜の透明性)
実施例7および比較例4のポリエステル樹脂水分散体をポリエステルフィルム(東洋紡績(製)、厚み50μm)のコロナ面に5g/m2(乾燥後の重量)塗布した後、120℃×30分送風乾燥機で乾燥し、ポリエステル樹脂の塗膜を得た。得られた塗膜の外観を目視で確認した。結果を表2に示す。本発明の製造方法を用いることにより、例えば従来の方法では着色する樹脂系であっても、外観の良好な塗膜を得ることが可能である。
Figure 2005126619
Figure 2005126619
Figure 2005126619
以上のように本発明の製造方法を用いることにより、系中で樹脂粒子が安定に分散しており、保存安定性に優れたポリエステル樹脂水分散体が非常に効率良く製造できる。

Claims (12)

  1. ポリエステル樹脂の重合終了後、重合釜に水、もしくは水および有機溶剤を直接投入して、攪拌・分散するポリエステル樹脂水分散体の製造方法。
  2. ポリエステル樹脂の重合終了後、重合釜に有機溶剤を直接投入して攪拌・溶解した後、水を加え、しかる後に必要に応じて有機溶剤の一部、または全部を留去するポリエステル樹脂水分散体の製造方法。
  3. ポリエステル樹脂の重合終了後、重合釜に水および有機溶剤を直接投入して、攪拌・溶解または分散させた後、水を加え、しかる後に必要に応じて有機溶剤の一部、または全部を留去するポリエステル樹脂水分散体の製造方法。
  4. ポリエステル樹脂の重合終了後、重合釜に水および有機溶剤を直接投入して、攪拌・溶解または分散させた後、有機溶剤の一部、または全部を留去するポリエステル樹脂水分散体の製造方法。
  5. 重合釜とは別の分散釜に水、もしくは水および有機溶剤を入れておき、ポリエステル樹脂の重合終了後、溶融状態にあるポリエステル樹脂を分散釜に投入して、攪拌・分散するポリエステル樹脂水分散体の製造方法。
  6. 重合釜とは別の分散釜に有機溶剤を入れておき、ポリエステル樹脂の重合終了後、溶融状態にあるポリエステル樹脂を分散釜に投入して、攪拌・溶解させた後、水を加え、しかる後に必要に応じて有機溶剤の一部、または全部を留去するポリエステル樹脂水分散体の製造方法。
  7. 重合釜とは別の分散釜に水および有機溶剤を入れておき、ポリエステル樹脂の重合終了後、溶融状態にあるポリエステル樹脂を分散釜に投入して、攪拌・溶解または分散させた後、水を加え、しかる後に必要に応じて有機溶剤の一部、または全部を留去するポリエステル樹脂水分散体の製造方法。
  8. 重合釜とは別の分散釜に水および有機溶剤を入れておき、ポリエステル樹脂の重合終了後、溶融状態にあるポリエステル樹脂を分散釜に投入して、攪拌・溶解または分散させた後、有機溶剤の一部、または全部を留去するポリエステル樹脂水分散体の製造方法。
  9. ポリエステル樹脂の重合終了後、溶融状態にあるポリエステル樹脂を混練機に投入して、混練機のいずれかの部分から水、もしくは水および有機溶剤を投入し、混練・分散するポリエステル樹脂水分散体の製造方法。
  10. 水、もしくは水および有機溶剤の温度が35℃未満に調整してある請求項1〜9のいずれかに記載のポリエステル樹脂水分散体の製造方法。
  11. ポリエステル樹脂のガラス転移温度が−100〜80℃である請求項1〜10のいずれかに記載のポリエステル樹脂水分散体の製造方法。
  12. ポリエステル樹脂の還元粘度が0.02〜1.80dl/gである請求項1〜11のいずれかに記載のポリエステル樹脂水分散体の製造方法。
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