JP3461053B2 - ポリエステル樹脂水分散体の製造方法 - Google Patents
ポリエステル樹脂水分散体の製造方法Info
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Description
散体の製造方法に関する。さらに詳細には、本発明は、
特定の基を有する、水分散性のポリエステル樹脂に、水
を添加しながら、転相点を経過するまで、混練機により
混練せしめ、さらに、水で希釈せしめることから成る、
とりわけ、保存安定性が良好であり、しかも、とりわ
け、耐水性などに優れた皮膜を形成し得る、極めて実用
性の高い、ポリエステル樹脂水分散体の製造方法に関す
る。
のうちでも、有機溶剤を使用するという方法としては、
(1) 水分散性ポリエステル樹脂を有機溶剤に溶解せ
しめ攪拌下水を添加せしめることによって、ポリエステ
ル樹脂の水性分散体を得るという方法、 (2) 有機溶
剤と水との混合物に、水分散性のポリエステル樹脂を溶
解・分散せしめるという方法が知られており、こうした
方法として、たとえば、沸点が60〜200℃で、か
つ、20℃で、1リットルの水に対する溶解度が20g
以上なる有機溶剤を使用した製造方法(特公昭61−5
8092号公報)が知られている。
旦、有機溶剤を含有するポリエステル樹脂水性分散体を
製造したのちに、該水性分散体より、常圧ないしは減圧
下に、此の有機溶剤を溜去せしめることによって、実質
的に溶剤を含有しない形の、ポリエステル樹脂の水分散
体を製造せしめるという方法(特公昭64−10547
公報)もまた、知られている。
て、ポリエステル樹脂の水分散体を得るという方法とし
ては、それぞれ、 (4) 水分散性ポリエステル樹脂の
粉砕物などを、水あるいは熱水中で、攪拌し溶解・分散
化せしめるという方法であるとか、あるいは (5) 水
分散性のポリエステル樹脂を加熱溶融し、水と混合せし
めるという方法などが知られている。
リエステル樹脂の水性分散体を製造するという方法にあ
っては、製造工程で以て、引火性の有機溶剤を使用しな
ければならず、作業環境を含めた形の安全性に問題があ
るというばかりでなく、得られるポリエステル樹脂水性
分散体その自体が、引火性で、かつ、可燃性のものとな
り、また、該ポリエステル樹脂水性分散体の使用時にお
いては、こうした有機溶剤の揮散を伴うことになるとい
う処から、環境汚染にも繋がるなどの欠点を有してい
た。
テル樹脂水性分散体を製造したのち、該性水分散体よ
り、有機溶剤を溜去せしめるという方法にあっては、有
機溶剤の溜去時における、皮張りや、凝集物の生成など
のために、生産性が低くなり易いし、加えて、低沸点・
高引火性の有機溶剤のみに、その使用が限定されるなど
の欠点を有していた。
などを、水あるいは熱水中で攪拌し溶解・分散せしめる
という方法にあっては、水分散性ポリエステル樹脂を粉
砕物あるいはペレットなどの粒状物として用意するとい
う必要があり、結晶性の水分散性ポリエステル樹脂また
は非晶性の水分散性ポリエステル樹脂のうち、硬く、し
かも、融着性の無いもののみに、適用が限られる処とな
るという欠点を有していた。
を、0℃以下に冷却したのちに、粉砕処理せしめること
によって水分散体を得るという方法(特公平3−325
74公報)が提案されてはいるけれども、粉砕物が再融
着し易く、したがって、直ちに、水分散化しなければな
らないなどといった類の欠点もあって、未だに、問題の
解決には到っていない、というのが実状である。
エステル樹脂の水分散体は、安定性が不充分であって、
30%以上の高固形分を持った水分散体を得ることは、
頗る、困難であるというばかりでなく、低固形分であっ
ても、高度なる安定性を確保するためには、水分散性ポ
リエステル樹脂への、親水性基の導入量を多くするとい
う必要があり、ひいては、耐水性などに劣るなどの欠点
を有していた。
溶融して、水と混合せしめるという方法としては、溶融
状態のアルキッド樹脂に水を投入せしめてアルキッド樹
脂の水分散体を得るという方法に関する発明(特開昭5
7−162722公報)が提案されてはいるけれども、
耐水性などに優れる、高分子量の水分散性ポリエステル
樹脂は、此の発明に記載されている温度条件下では、溶
融粘度が高く、したがって、流動性の観点より、適用が
困難であるなどの欠点を有しているし、また、充分なる
流動性が得られるというような高温では、エステル結合
の加水分解が生ずるなどの欠点を有していた。
上述したような従来型技術における種々の欠点を解消す
るべく、はたまた、上述したような発明が解決しようと
する課題に照準を合わせて、鋭意、検討を重ねた結果、
一般式
原子を表わすものとする。)
ステル樹脂に、水を添加せしめつつ、転相点を経過する
まで、混練機により混練せしめ、さらに、水で以て希釈
せしめることによって、微粒子化された、しかも、とり
わけ、耐水性などに優れた皮膜を形成し得る、極めて実
用性の高いポリエステル樹脂水分散体が、全く、溶剤な
どを使用することなしに、高濃度で以て得られるという
ことを見出すに及んで、本発明を完成させるに到った。
た一般式−SO3 Mで示される基を有する、水分散性の
ポリエステル樹脂に、水を添加しつつ、転相点を経過す
るまで、混練機により混練せしめ、さらに、水で以て希
釈化せしめることから成る、ポリエステル水分散体の斬
新なる製造方法を提供しようとするものである。
掲の一般式〔I〕で示される基を有する、水分散性のポ
リエステル樹脂としては、従来において公知のものが、
いずれも使用することが出来る。このようなポリエステ
ル樹脂を得る方法としては、たとえば、次に示すような
ものが挙げられる。
れる基を有し、少なくとも2つのエステル形成可能なる
官能基をも有する化合物と、ポリカルボン酸と、ポリオ
ールとを反応せしめるという方法であるとか、あるいは
入された不飽和基や芳香族メタ置換体などを有する残基
をスルホン化せしめるという方法、などである。
ル樹脂は、上述したうちのいずれの方法で以て合成され
てもよいけれども、これらのうちでも、特に、(2)な
る方法は、ポリエステルをスルホン化せしめる工程で以
て、溶剤溶液と為すことが必要であるし、また、再沈澱
法などによる精製も必要であるというために、有機溶剤
を大量に使用するという欠点を有する。
〔I〕で示される基を有し、少なくとも2つのエステル
形成可能なる官能基をも有する化合物として特に代表的
なもののみを例示するにとどめれば、次に示すようなも
のなどである。
などの不飽和ポリオールをスルホン化せしめることによ
って得られるスルホン化ポリオール、
和脂肪族ポリカルボン酸ジエステルスルホン化せしめる
ことによって得られるスルホン化脂肪族ポリカルボン酸
ジエステル、
たはテレフタル酸などのような、各種の芳香族ポリカル
ボン酸をスルホン化せしめることによって得られるスル
ホン化芳香族ポリカルボン酸。
は入手が容易であるし、併せて、化合物それ自体の、な
らびに此等の化合物を含むポリエステル樹脂の熱分解安
定性ならびに化学的安定性が高いという面で以て、他の
二者よりも有利である。
定の基を有し、少なくとも2つのエステル形成可能なる
官能基を有する化合物が、3つ以上のエステル形成可能
なる官能基を有していては、此の特定の基を増減しよう
とすると、ポリマーの分岐度(分枝度)が変化し、ひい
ては、ポリエステル樹脂の設計が煩雑になるというばか
りではなく、遂には、ゲル化の虞もある。
たように、本発明の方法に従って得られる、水分散性の
ポリエステル樹脂は、前掲した一般式〔I〕で示される
基が芳香核に結合している、特定の芳香族ジカルボン酸
を含めた形のポリカルボン酸成分と、ポリオール成分と
から構成されるというものであることが望ましい。
れるポリエステル樹脂水分散体が、まず、保存安定性に
も優れるというものであるし、しかも、当該ポリエステ
ル樹脂から形成される皮膜の、とりわけ、耐水性などが
良好であるというためには、当該水分散性ポリエステル
樹脂それ自体が、前掲した一般式〔I〕で示される基
を、0.2〜0.6ミリ当量/グラム(ミリ当量/g)
なる範囲内で以て含んでいるということが望ましい。
ミリ当量/g未満なる濃度の場合には、どうしても、水
分散体粒子が粗大化してしまって、安定なる水分散体が
得られない虞があるということであるし、一方、0.6
ミリ当量/gを超えて余りに多くなる場合には、どうし
ても、ポリエステル樹脂が水溶化してしまって、非常に
粘度の高い液体となる虞があるということでもあるし、
しかも、得られる皮膜のとりわけ、耐水性などが低いも
のとなり易いということである。
段と良好なものであるというためには、当該水分散性ポ
リエステル樹脂としては、芳香族ジカルボン酸の40モ
ル%(mol%)以上を含むポリカルボン酸成分と、ポ
リオール成分とから構成されるようなポリエステル樹脂
であるということが望ましい。
ある場合には、どうしても、耐水性などが低くなり易い
ということである。
のポリエステル樹脂は、前掲した一般式〔I〕で示され
る基が芳香核に結合しているという形の、特定の芳香族
ジカルボン酸が組み込まれたものであって、斯かる特定
の基が0.2〜0.6ミリ当量/gという範囲内で以て
導入されており、しかも、上記した特定のジカルボン酸
を、必須の成分として含んだ形の芳香族ジカルボン酸
が、40mol%以上、含まれるというポリカルボン酸
成分と、ポリオール成分とから構成されるようなもので
あるということが望ましい。
れる、前述した水分散性ポリエステル樹脂の数平均分子
量としては、大約5,000〜大約30,000なる範
囲内であるということが望ましい。
リチウム(LiBr)を10ミリモル/リットルなる濃
度で以て含有する、ジメチルホルムアミドを移動相とす
るゲル・パーミェーション・クロマトグラフィー(GP
C)によって測定されるという形のものを指称する。
子量が5,000未満である場合には、どうしても、得
られる皮膜の耐水性などが低くなり易いという場合が多
いし、一方、此の分子量が30,000を超えて余りに
大きくなる場合には、どうしても、水分散体粒子が粗大
化してしまって、ひいては、安定なる水分散体が得られ
ないという虞がある。
特に望ましいものとしては、次に示すような方法で以て
合成し調製されるようなものであるけれども、勿論なが
ら、次例に示されるもののみに、決して、限定されると
いうものではない。
な、特定の基が芳香核に結合している形の、特定の芳香
族ジカルボン酸として特に代表的なもののみを例示する
にとどめれば、4−スルホイソフタル酸、5−スルホイ
ソフタル酸、スルホテレフタル酸、4−スルホナフタレ
ン−2,7−ジカルボン酸およびこれらの金属塩などで
あり、さらには、これらの縮合可能なるジカルボン酸誘
導体もまた、使用することができる。
するにとどめれば、Li、Na、K、Mg、Ca、Cu
またはFeの如き、各種の金属の塩類などであり、それ
らのうちでも特に好ましいものとしては、5−ソデウム
・スルホイソフタル酸あるいは5−ソデウム・スルホイ
ソフタル酸ジメチルなどである。
香核に結合している芳香族ジカルボン酸以外の芳香族ジ
カルボン酸として特に代表的なもののみを例示するにと
どめれば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトないし
はオルソ(o)−フタル酸または2,6−ナフタレンジ
カルボン酸などであり、さらには、これらの縮合可能な
るジカルボン酸誘導体もまた、使用することができる。
酸の使用量を40mol%以上とし、その残余である、
60mol%未満のポリカルボン酸成分として特に代表
的なもののみを例示するにとどめれば、蓚酸、マロン
酸、ジメチルマロン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン
酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメ
チルグルタル酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル
酸、マレイン酸またはイタコン酸の如き、各種の脂肪族
ジカルボン酸;
ン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−
シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサン
ジカルボン酸、テトラヒドロ−o−フタル酸、ヘキサヒ
ドロ−o−フタル酸、テトラクロロ−o−フタル酸、ヘ
ット酸または「ハイミック酸」[日立化成化学工業
(株)製品;此の「ハイミック酸」は、同上社の登録商
標である。]の如き、各種の脂環族ジカルボン酸などを
はじめ、さらには、これらの縮合可能なる、種々の誘導
体もまた、使用することができる。
で、10mol%以下の量であれば、p−ヒドロキシ安
息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸また
はサリチル酸の如き、各種のヒドロキシ安息香酸類をは
じめ、さらには、トリメリット酸またはピロメリット酸
などのような、3官能以上の種々のポリカルボン酸;あ
るいはこれらの縮合可能なる、種々の誘導体をもまた、
使用することができる。
代表的なもののみを例示するにとどめれば、エチレング
リコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコ
ール、1,4−ブチレングリコールもしくはネオペンチ
ルグリコールなどをはじめ、
7−ジメチル−4,7−オクタンジオール、2−エチル
−1,3−ヘキサンジオール、2−エチル−2−ブチル
−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル
−1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペ
ンタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピ
レングリコールもしくはポリテトラメチレングリコール
の如き、各種の脂肪族ジオール;
は1,4−シクロヘキサンジメタノールの如き、各種の
脂環族ジオール;あるいは1,4−ジヒドロキシエトキ
シベンゼンまたはビスフェノールAのエチレンオキシド
ないしはプロピレンオキシド付加物の如き、各種の含芳
香核ジオールなどであり、これらの1種あるいは2種以
上を併用することができる。
当該ポリエステル樹脂の全ポリオール成分中に、10m
ol%以上の量で以て、含まれるように使用するなら
ば、より望ましいものとなる。
ポリオール成分の10mol%以下という量で以てなら
ば、グリセリン、トリメチロールプロパンまたはペンタ
エリトリットなどのような、3官能以上の種々のポリオ
ールをも、使用することができる。
分とポリオール成分とを用いて、常法により、反応せし
めることによって、前掲した一般式〔I〕で以て示され
る、特定の基を有する、水分散性のポリエステル樹脂を
得ることができる。
で、触媒の存在下ないしは不存在下に、前述したよう
な、それぞれのポリカルボン酸成分とポリオール成分と
を、好ましくは、180〜300℃程度の温度に加熱し
て、エステル化反応ないしはエステル交換反応せしめ、
次いで、減圧下に、重縮合せしめることによって、目的
とする水分散性ポリエステル樹脂が調製される。
表的なもののみを例示するにとどめれば、酸化アンチモ
ン、酸化バリウム、酢酸亜鉛、酢酸マンガン、酢酸コバ
ルト、琥珀酸亜鉛、ほう酸亜鉛、蟻酸カドミウム、一酸
化鉛、珪酸カルシウム、ジブチル錫ジオキシド、テトラ
イソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、マ
グネシウムメトキシドまたはナトリウムメトキシドなど
であり、上述した重縮合は、好ましくは、0.1〜10
mmなる水銀柱の減圧下で以て行われる。
はグリコールなどのような、いわゆる低分子化合物の脱
離を伴うというものであり、それがために、原料の仕込
み重量よりも、生成するポリエステル樹脂の重量の方が
小さくなるというのが、一般的である。
原子を表わすものとする。)
0.6ミリ当量/gなる範囲内で以て含む形の水分散性
ポリエステル樹脂を得るというためには、反応前後の重
量変化を考慮して、各成分の使用量が、適宜、決定され
なければならない。
れる、前記した混練機としては、とりわけ、ブレード形
混練機であって、しかも、高粘性用混練機または中速・
横軸混練機あるいは中速・縦型混練機として分類される
ような形のものの使用が望ましく、そうした形の混練機
として特に代表的なもののみを例示するにとどめること
にするならば、
ーマルプロセッサ、スパイラルミキサ、プラネタリーミ
キサ、「トリミックス・ミキサ」[(株)井上製作所製
のトリプルアーム・プラネタリーミキサ;商標権登録
中]、クッキングミキサ、ポニーミキサ、クラッチャ、
ウェイストミキサ、ギロミキサまたはアイリッヒミキサ
の如き、各種の回分式混練機などをはじめ、さらには、
オーガ、ヘリカルロータ、ミックスマスタまたはスクリ
ューミキサの如き、各種の連続式混練機などである。
加熱ジャケットを有するようなものであることが望まし
い。上掲したような、種々の混練機のうちでも、回分式
のものは、水が存在する混練室を密閉して、内容物を1
00℃以上に加熱できるという処から、より一層好まし
く、斯かる回分式の混練機としてとして特に代表的なも
ののみを例示するにとどめれば、ニーダ、スパイラルミ
キサ、プラネタリミキサまたはトリプルアーム・プラネ
タリーミキサなどであり、特に好適なものであると言い
得よう。
水分散性ポリエステルの形態としては、それぞれ、塊状
物、シート、ペレットあるいは粉砕物などであり、これ
らの形態のものは、いずれもが使用できる。
リエステル樹脂を、反応容器内で以て放冷せしめて得ら
れる、固体のものを指称する。
易い大きさのものであればよいが、使用する混練機のス
ケールならびにその仕込み口の大きさに合わせて、適
宜、設定する必要がある。取り出しに使用する容器とし
ては、ポリテトラフルオロエチレン樹脂などで以てライ
ニングされたようなものの使用が望ましい。
の厚さが10cm以下であるもの、あるいはクーリング
ベルトなどを使用して得た、厚さが10cm以下の、板
状の固体を指称する。
い易いような大きさのものであればよいけれども、使用
すべき混練機のスケール、ならびに仕込み口の大きさな
どに合わせて、適宜、設定する必要がある。
ステル樹脂を、細孔から押し出して冷却せしめ、長さが
1〜20mm程度に切断せしめた、円柱型の固体を指称
するものである。
るいはシートとして取り出した、水分散性のポリエステ
ル樹脂を、粉砕機を用いて粉砕せしめたもの、好ましく
は、20mmスクリーンを通過するサイズのものを指称
する。
樹脂水分散体を調製するに際して用いられる、水分散性
のポリエステル樹脂は、使用する原料の組み合わせや分
子量などによって、様々なる特性を有するもので有り得
る。
形態は、その際の混練時あるいは投入時において使用す
る、此の水分散性ポリエステル樹脂の特性に合わせて、
適宜、選択すればよい。
するに当たって使用する水分散性ポリエステル樹脂が、
それ自体、非晶性であって、かつ、ガラス転移点が30
℃以下であるときには、従来型の諸方法に比して、特に
好ましい特徴を持つというものである。
ガラス転移点が30℃以下であるものは、室温で、ブロ
ッキングすることがあり、たとえ、一次的に冷凍をし
て、粉砕化ないしはペレット化したとしても、保管ある
いは移送のあいだに、再融着するという虞がある。
々なる形態の水分散性ポリエステル樹脂を水分散化し得
るものであるので、粉砕化などが困難なる、ガラス転移
点が30℃以下の水分散性ポリエステル樹脂は、塊状物
あるいはシートの形態で、上述したような、いわゆる回
分式の混練機を使用するという、本発明の方法で以て、
ポリエステル樹脂水分散体を製造することができる。
ものではなく、ガラス転移点が30℃を超えるような、
水分散性のポリエステル樹脂の場合であっても、使用す
る混練機を適切に選ぶことによって、塊状物あるいはシ
ートから、直接、水分散体を製造することができる。
ル樹脂に、水を添加しつつ、転相点を経過するまで混練
せしめるということを特徴としているものではあるが、
ここにおいて、上記転相点とは、該樹脂と水とが混合さ
れたときに、連続相が、樹脂と水との均質なる混合物で
あって、不連続相が存在しないか、樹脂の水溶液あるい
は水である状態(A)から、連続相が、樹脂の水溶液あ
るいは水であって、不連続相が樹脂と水との均質なる混
合物あるいは樹脂である状態(B)に移行する時点を指
称するというものである。
で以て観察される。状態(A)においては、透明であっ
て、かつ、ニュートニアンに近い粘性挙動を示し、これ
が、状態(B)に移行すると、乳白色ないし半透明であ
って、かつ、チキソトロッピックなる粘性挙動を示すと
いうようになる。
過するまでは、混練機の内容物は、約60〜約140℃
なる範囲内の温度に保持されているということが望まし
い。約60℃未満である場合には、どうしても、安定な
るポリエステル樹脂水分散体が得られ難くなるし、一
方、約140℃を超えて余りに高くなる場合には、どう
しても、混練中において、エステル結合の加水分解が生
ずる虞があるということである。
此の混練工程を行うに際しては、回分式の混練機を用
い、混練室を密閉して、水を圧入せしめるか、あるいは
水蒸気として投入せしめればよい、ということである。
えることによって、所望の濃度にまで希釈化せしめれば
よいということであり、こうすることによって、何らの
有機溶剤をも使用することなしに、水のみを媒体とした
形で以て、目的とするポリエステル樹脂の水分散体が得
られるということである。その際の当該工程は、混練機
で以て、そのまま行うこともできるし、他の適当なる攪
拌装置ないしは混合装置に移送して行うこともできる。
ステル樹脂を用いた場合には、転相点は、水の投入量
が、樹脂の重量と等量よりも少ないうちに観察され、固
形分濃度が50重量%以上で以て、状態(B)に移行す
るというものである。
が5〜50%という、所望の濃度に希釈化せしめること
により、とりわけ、保存安定性にも優れるし、しかも、
とりわけ、耐水性などにも優れるという、極めて実用性
の高い皮膜を形成する、目的とするポリエステル樹脂水
分散体が得られる。
ステル樹脂の水分散体を製造するに当たっては、乳化剤
および/または中和剤を使用することができる。その際
の乳化剤は、水分散体が形成する皮膜の耐水性などを低
下させるという虞があるので、それらの使用量として
は、水分散性ポリエステル樹脂の5重量%以下であると
いうことが望ましい。
記の乳化剤として特に代表的なもののみを例示するにと
どめれば、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキル硫酸
またはアルキルアリルポリエーテル硫酸のカリウム塩な
いしはナトリウム塩、あるいはアンモニウム塩などのよ
うな、種々のアニオン性乳化剤;あるいはポリオキシエ
チレンアルキルエーテルまたはポリオキシエチレンアル
キルアリルエーテルなどのような、種々のノニオン性乳
化剤などである。
のpHが7前後になるような量で以て用いるのが望まし
く、このような量となるように、その使用量を、適宜、
調整せしめるということが望ましい。
エステル樹脂水分散体は、酸性を示すというのが一般的
であるので、当該中和剤としては、アルカリ性の有機化
合物ないしは無機化合物を使用することが望ましい。
表的なるもののみを例示するにとどめれば、アンモニア
をはじめ、トリエチルアミン、ジエタノールアミン、ト
リエタノールアミン、ジメチルエタノールアミンまたは
N−メチルモルホリンの如き、各種の有機アミン類;あ
るいはNaOH、KOHまたはCa(OH)2 の如き、
アルカリ金属ないしはアルカリ土類金属の各種の水酸化
物などである。
水と樹脂とを混練する前に、水で希釈する前あるいは希
釈したのちの、いずれかの段階で以て加えてもよいこと
は、勿論である。これらのものの使用は、さらなる微粒
子化にとって、あるいは保存安定性の改善化にとって、
大いに、効果があるということである。
れるポリエステル樹脂水分散体は、主として、接着剤、
塗料、インキ、コーティング剤用などのバインダーとし
て、あるいは処理剤などとして、それぞれ、繊維加工、
紙加工、フィルム加工あるいは印刷などのような、種々
の分野において利用し適用することができる。
体の単独で以て使用可能であるし、あるいは必要によ
り、さらに、他の樹脂との併用で以ても使用可能である
し、さらには、架橋剤との併用で以てもまた、使用可能
である。すなわち、斯かる架橋剤との組み合わせによ
り、とりわけ、得られる皮膜などの硬さ、耐熱性、耐水
性ならびに耐久性などが向上化するということである。
ののみを例示するにとどめれば、アクリルエマルショ
ン、合成ゴムラッテクス、水性アクリル樹脂、水性ウレ
タン樹脂または水性フェノール樹脂などであるし、ある
いは他の方法で以て、つまり、本発明の方法以外の他の
方法で以て得られた水性ポリエステル樹脂などである
が、これらのうちの1種類または2種類以上を、それぞ
れの使用目的ならびに加工方法によって、適宜、選択し
てよいことは、勿論である。
るもののみを例示するにとどめれば、アミノプラスト、
エポキシ化合物またはポリイソシアネート化合物などで
あり、あるいは此のポリイソシアネート化合物中のイソ
シアネート基を、一次的に保護した形のポリイソシアネ
ート化合物などであり、
るが、これらのうちの1種類または2種類以上を、それ
ぞれの使用目的ならびに加工方法によって、適宜、選択
してよいことは、勿論である。さらにまた、必要に応じ
て、無機質フィラーなどを加えた形で以て、使用するこ
ともできることは、勿論である。
例により、一層、具体的に詳述することにするが、本発
明は、決して、これらの例のみに限定されるというもの
ではない。以下において、部および%は、特に断りの無
い限り、すべて重量基準であるものとする。
は、次のような要領で以て行ったものである。
有する、ジメチルホルムアミドを移動相とする、GPC
を用いて測定することにより求めた。
めた。
80キロ・パスカル(kPa)なる圧力で以て、ポリエ
ステル樹脂を押し出した際に、40℃から、毎分10℃
なる速度で以て昇温したときに、樹脂の流動が、始め
て、観察されるという温度を測定することによって求め
た。
始点の場合と同様の条件下で以て流動する樹脂の粘度を
測定することによって求めた。
り求めた。
された平均粒径(流体力学的相当径)を採用した。
(μmm)なるポリエチレンテレフタレート・フィルム
上に、膜厚が10μmmとなるように塗布し、90℃な
る温度に、2分間のあいだ乾燥したのちに、140℃な
る温度で、1分間のあいだ加熱した。
を、25℃のイオン交換水中に、24時間のあいだ浸漬
したのちの、白色化の程度ならびに塗工膜の付着の様子
などを観察することにより評価判定した。
膜が、フィルム上に完全に残っている。 4 : 極く薄く白色化しているけれども、塗工膜は完
全に残っている。 3 : 薄く白色化し、あるいは部分的に白色化してい
るけれども、塗工膜は完全に残っている。 2 : 塗工膜が全体に白色化しているか、あるいは部
分的な“浮き”ないしは溶出が認められる。 1 : 塗工膜が全体に白色化し、指で擦ると簡単に剥
がれるか、あるいは塗工膜の半分以上が浮いているか、
それとも、溶出して失われているかである。
週間のあいだ保存したのちの、外観の変化の状態や沈降
などの有無・程度を目視により観察して評価判定した。
し、しかも、沈降なども全く認められなかった。 4 : 外観が変化している(つまり、色目の変化など
が認められる)けれども、沈降などは認められなかっ
た。 3 : 少量の沈降物の発生が認められた。 2 : 外観の変化と同時に、沈降物の発生も認められ
た。 1 : 大量の沈降物の発生、あるいは凝集物発生が認
めれた。
ングリコールの451部、テレフタル酸ジメチルの99
1部、イソフタル酸ジメチルの594部および5−ソデ
ウム・スルホイソフタル酸ジメチルの101部と、酢酸
亜鉛の0.5部とを仕込んで、140℃から220℃ま
で、150分間を要して昇温する間に、440部の留出
液をトラップした。
トの0.5部を仕込んで、220〜280℃なる温度
で、かつ、水銀柱が10〜0.5mmなる減圧下におい
て、重縮合反応を行った。その結果、数平均分子量が1
6,700で、かつ、流動開始温度が145℃なる目的
ポリエステル樹脂が得られた。以下、これをポリエステ
ル樹脂(1)と略記する。
うに変更した以外は、合成例1と同様にして、ポリエス
テル樹脂(2)〜(11)を得た。それらの分析組成、
数平均分子量、流動開始温度、ならびに100℃におけ
る溶融粘度を、まとめて、同表に示す。
した、前述の合成例1〜11で以て得られた、それぞれ
のポリエステル樹脂についての分析組成、ならびに諸特
性値を、まとめて、第1表に示す。
は、いずれも、「モル%」を意味するものとする。
コール」の略記 「DEG」…………………「ジエチレングリコール」の
略記
フタル酸」の略記
基量」なる記述は、「−SO3 M基含有量」の略記であ
り、該“−SO3 M基含有量”の単位は、いずれも、
「ミリ当量/g」である。
「mol%」である。
の単位は、共に、「℃」である。
ポリエステル樹脂の呼称は、合成例1で得られたもの
を、「ポリエステル樹脂(1)」と指称し、その余のも
のも、合成例2〜11で以て得られたものを、同順で、
「ポリエステル樹脂(2)」〜「ポリエステル樹脂(1
1)」として指称している。
いるものであるが、それらの単位は、いずれも、「パス
カル・秒(Pa・s)」である。
ロ)」と表示しているものは、いずれも、痕跡程度の存
在が認められたものであるということを意味している。
ル」の略記
付しているものは、いずれも、測定限界以下の粘度であ
るということを意味している。
下、これを10mmスクリーン通過に粉砕した、ともい
う。)ポリエステル樹脂(1)の1,400部と、水の
345部とを、二つのシグマ形ブレードをオーバーラッ
プ状に有している雰囲気加圧型ニーダ(回分式のブレー
ド型ニーダ)を用い、回転数が50rpmであり、加熱
ジャケット温度が140℃であり、かつ、混練時間が3
0分間なる条件下で以て混練したのち、さらに、此の混
練を続けながら、内部圧力がゼロ(0)kgf/cm2
(ゲージ圧)となるまで冷却した。
も、高粘度の液状物であって、混練状態もまた、良好で
あった。
して、水の583部を、60分間をかけて、少しづつ投
入した。内容物は半透明であって、チキソトロッピック
な粘性を示す、濃厚なる分散液状物であり、混練状態は
不良であった。
0rpmとして、水の1167部を、数回に分けて投入
し、さらに、30分間のあいだ混合せしめることによっ
て、乳白色の水分散体を得た。
43重量%であり、粘度は80,000ミリ・パスカル
・秒(mPa・s)であり、かつ、平均粒子径は260
ナノメーター(nm)であった。
分濃度が、それぞれ、35および20重量%となるよう
に希釈化したものの粘度は、1,200mPa・sおよ
び40mPa・sであった。
であった。さらには、此の水分散体を、40℃に1週間
のあいだ保存した処、容器の底部に、僅かな白色の沈降
物が生じていた。
(2)の1,400部と水の345部とを、プラネタリ
ー・ミキサを使用し、公転を40rpmとし、自転を8
1rpmとし、しかも、加熱ジャケット温度を140℃
として、30分間のあいだ混練したのちも、さらに、此
の混練を続けながら、内部圧力が0kgf/cm2 (ゲ
ージ圧)となるまで冷却した。ここに得られた内容物
は、透明であって、高粘度の液状を呈するものであり、
混練状態は良好であった。
て、水の583部を、60分間をかけて、少しづつ投入
した。その際の内容物は、僅かに曇のある液状であり、
混練状態は良好であった。
pm、自転を162rpmとして、水の1167部を、
数回に分けて投入し、さらに、30分間のあいだ混合し
て、半透明の水分散体を得た。ここに得られた水分散体
の固形分濃度は42重量%であり、その粘度は、B型粘
度計の測定限界以上であったし、平均粒子径は30nm
であった。
分濃度が35および20重量%となるように希釈化した
ものの粘度は、それぞれ、25,000mPa・sおよ
び1,050mPa・sであった。此の水分散体の皮膜
の耐水性は不良であったけれども、此の水分散体を、4
0℃の温度に、1週間のあいだ保存した処、その後も、
外観の変化は認められなかった。
(3)の1,400部を用いるように変更した以外は、
実施例1と同様にして行って、水分散体を製造しようと
試みたが、全く、水分散化しなかった。
(4)の1,400部を用いるように変更した以外は、
実施例1と同様にして水分散化を行った。ここに得られ
た水分散体は、透明感のある乳白色をした、固形分濃度
が42重量%のものであり、その粘度は、B型粘度計の
測定限界以上であったし、平均粒子径は140nmであ
った。
分濃度を、35および20重量%に希釈化したものの粘
度は、それぞれ、5,200mPa・sおよび23mP
a・sであった。此の水分散体の皮膜の耐水性は良好で
あったし、此の水分散体を、40℃で以て、1週間のあ
いだ保存した処、その後も、外観の変化は認められなか
った。
有する、1,400部のポリエステル樹脂(5)の板状
物を用いるように変更した以外は、実施例1と同様にし
て水分散化を行った。
その固形分濃度は44重量%であったし、粘度は25,
000mPa・sであり、そして、平均粒子径は320
nmであった。
分濃度を35重量%および20重量%に希釈したものの
粘度は、それぞれ、800mPa・sおよび20mPa
・sであった。此の水分散体の皮膜の耐水性は良好であ
り、此の水分散体を、40℃に1週間のあいだ保存した
処、その後も、外観の変化は認められなかった。
有する、1,400部のポリエステル樹脂(6)の1,
400部を用いるように変更した以外は、実施例2と同
様にして、水分散化を行った。
であり、その固形分濃度は42重量%であって、その粘
度は、B型粘度計の測定限界以上であったし、平均粒子
径は160nmであった。
分濃度が35重量%および20重量%に希釈したものの
粘度は、それぞれ、1,700mPa・sおよび120
mPa・sであった。此の水分散体の皮膜の耐水性は良
好であり、此の水分散体を、40℃に、1週間のあいだ
保存した処、その後も、外観の変化は認められなかっ
た。
有する、1,400部のポリエステル樹脂(7)を用い
るように変更した以外は、実施例2と同様にして水分散
化を行った。かくして得られた水分散体は、透明感のあ
る乳白色のものであり、固形分濃度は42重量%であっ
て、その粘度は、B型粘度計の測定限界以上であった
し、平均粒子径は100nmであった。
分濃度を35重量%および20重量%に希釈したものの
粘度は、それぞれ、1,030mPa・sおよび100
mPa・sであった。
るものではあったけれども、此の水分散体を、40℃に
1週間のあいだ保存した処、その後も、外観の変化は認
められなかった。
有する、1,400部のポリエステル樹脂(8)を用い
るように変更した以外は、実施例1と同様にして、水分
散化を行った。
であって、固形分濃度は43重量%であり、その粘度
は、B型粘度計の測定限界以上であったし、平均粒子径
は150nmであった。
分濃度を35重量%および20重量%に希釈したものの
粘度は、それぞれ、2,000mPa・sおよび85m
Pa・sであった。此の水分散体の皮膜の耐水性は、多
少、劣るものであった。
のあいだ保存した処、その外観が、乳白色から白色に変
化してたけれども、沈降物は、全く、認められなかっ
た。
有する、1,600部のポリエステル樹脂(9)を用い
るように変更した以外は、実施例1と同様にして、水分
散化を行った。かくして得られた水分散体は乳白色のも
のであって、固形分濃度は43重量%であり、その粘度
は、B型粘度計の測定限界以上であったし、平均粒子径
は160nmであった。
分濃度を35重量%および20重量%に希釈したものの
粘度は、それぞれ、3,400mPa・sおよび210
mPa・sであった。
ったものであったし、此の水分散体を、40℃に、1週
間のあいだ保存した処、その外観は、白色に変化してし
まって、底部に、半透明のゾル状の沈降物が生じてい
た。此の沈降物は、容器を激しく振った処で以て消失を
した。
(10)の1,400部を用いるように変更した以外
は、実施例2と同様にして、水分散化を行った。かくし
て得られた水分散体は乳白色を呈するものであって、固
形分濃度は42重量%であり、その粘度は、B型粘度計
の測定限界以上であったし、平均粒子径は180nmで
あった。
分濃度を35重量%および20重量%に希釈したものの
粘度は、それぞれ、1,500mPa・sおよび45m
Pa・sであった。此の水分散体の皮膜の耐水性は良好
であったあったし、此の水分散体を、40℃に1週間の
あいだ保存した処、その後も、外観の変化は認められな
かった。
有する、1,400部のポリエステル樹脂(11)を用
いるように変更した以外は、実施例2と同様にして、水
分散化を行った。かくして得られた水分散体は半透明の
ものであって、固形分濃度は41重量%であり、その粘
度は、B型粘度計の測定限界以上であったし、平均粒子
径は160nmであった。
分濃度を35重量%および20重量%に希釈したものの
粘度は、それぞれ、70,000mPa・sおよび1,
600mPa・sであった。此の水分散体の皮膜の耐水
性は非常に劣ったものであったという以外は、此の水分
散体を、40℃に、1週間のあいだ保存した処、外観は
白色に変化していたけれども、沈降物は生じていなかっ
た。
(4)の1,400部と水の2,100部とを、5リッ
トルの容器中で、90℃に加熱して、直径が30mmな
るタービン型攪拌翼を用いて、500rpmで以て、1
20分間のあいだ攪拌を続けた。
は、白色のガム状物が、容器壁に、大量に堆積してい
て、水分散体中にも、白色の沈降物存在していた。20
0メッシュの濾布で以て、これらを除いて得られた水分
散体の固形分濃度は15重量%であり、かつ、平均粒子
径は135nmであった。
皮膜の耐水性の評価判定を行った処では、良好なる水分
散体であった。加えて、此の水分散体の保存安定性もま
た、良好であった。
(4)の1,400部を、5リットルの容器中で、直径
が30mmなるタービン型攪拌翼を用いて、500rp
mで以て、2,100部の熱湯が攪拌されている中へ、
5分間かけて、注ぎ込んだ。その後も、90℃以上に保
持しながら、120分間のあいだ攪拌を続行せしめた。
は、 白色のガム状物ならびに透明なる樹脂そのもの
が、容器壁に堆積していたし、水分散体中にもまた、白
色の沈降物が存在していた。
去せしめることによって得られた水分散体の固形分濃度
は13重量%であり、かつ、平均粒子径は225nmで
あった。皮膜の耐水性は劣ったものであったし、加え
て、40℃で1週間保存した水分散体にしても、沈降物
を生じていた。
有する、1,400部のポリエステル樹脂(6)と、水
の2,100部とを、5リットルの容器中で、90℃に
加熱して、直径が30mmなるタービン型攪拌翼を用い
て、500rpmで以て、120分間のあいだ攪拌を続
けた。
着して、大部分が溶けずに残った。水分散体の固形分濃
度は8重量%であり、かつ、平均粒子径は120nmで
あった。ただし、皮膜の耐水性ならびに水分散体の安定
性は、共に、良好であった。
の1,400部を、5リットルの容器中に、直径が30
mmなるタービン型攪拌翼を用いて、500rpmで以
て攪拌しつつ、90℃の温水を、60分間をかけて、少
しづつ、注ぎ込んで、さらに、90℃以上に保ちなが
ら、30分間のあいだ攪拌を続けた。
分濃度は43重量%であり、粘度は20,000mPa
・sであり、平均粒子径は180nmであった。此の水
分散体を、さらに、水で以て、固形分濃度を35重量%
および20重量%に希釈したものの粘度は、それぞれ、
2,500mPa・sおよび160mPa・sであっ
た。
常に劣ったものであったし、此の水分散体を、40℃
に、1週間のあいだ保存した処でも、白色の沈降物が生
じていた。
得られた、それぞれのポリエステル樹脂水分散体につい
ての、それぞれ、水分散体特性、保存安定性ならびに皮
膜の耐水性試験の評価判定を行った。それらの結果を、
まとめて、第2表に示す。
び“粘度(20%)”は、それぞれ、固形分濃度(不揮
発分濃度)が35重量%および20重量%の場合におけ
る粘度を意味しているものであり、これらの両粘度の単
位は、共に、「ミリ・パスカル・秒(mmPa・s)」
である。
も良好であるし、しかも、とりわけ、耐水性などに優れ
た皮膜を形成するという、極めて実用性の高いポリエス
テル樹脂の水分散体を、有機溶剤などを、一切、使用す
ることなしに、容易に製造することができる。
して、少ない親水基量で以て微粒子化が可能であるとい
う処から、得られる水分散体は、保存安定性が良好であ
り、しかも、とりわけ、耐水性などに優れた皮膜を形成
するというものである。加えて、こうした斬新なる製造
方法の特性上、固形分濃度の高い水分散体を得ることも
また、可能であるということである。
定性の良好なる水性分散体を得ることが困難であった、
高分子量で、しかも、高粘度のポリエステル樹脂それ自
体を、あるいは該ポリエステル樹脂の溶剤溶液としなけ
れば、その取り扱いが困難であった、高分子量で、しか
も、粘着性を有するポリエステル樹脂の水分散体を製造
することができる。
Claims (6)
- 【請求項1】 一般式 −SO3 M 〔I〕 (ただし、式中のMは水素原子または金属原子を表わす
ものとする。)で示される基を有する、水分散性のポリ
エステル樹脂に、水を添加しつつ、転相点を経過するま
で、混練機により混練せしめ、さらに、水で希釈せしめ
ることを特徴とする、ポリエステル樹脂水分散体の製造
方法。 - 【請求項2】 前記した水分散性のポリエステル樹脂
が、一般式 −SO3 M 〔I〕 (ただし、式中のMは水素原子または金属原子を表わす
ものとする。)で示される基が芳香核に結合している芳
香族ジカルボン酸を含み、該ジカルボン酸を含める芳香
族ジカルボン酸の40モル%以上を、必須の成分とする
ポリカルボン酸成分と、ポリオール成分とから構成され
るものであって、しかも、上記したSO3 Mなる基が、
0.2〜0.6ミリ当量/グラムなる範囲内で以て導入
されているものであり、かつ、希釈後の固形分濃度が5
〜50重量%なる範囲内のものである、請求項1記載の
製造方法。 - 【請求項3】 前記した水分散性のポリエステル樹脂
が、5,000〜30,000なる範囲内の分子量を有
するものである、請求項1または2記載の製造方法。 - 【請求項4】 前記した水分散性のポリエステル樹脂が
30℃以下のガラス転移点を有するものである、請求項
1〜3のいずれかに記載の製造方法。 - 【請求項5】 前記した混練機が、ブレード形混練機で
あって、しかも、高粘性用混練機あるいは中速・横軸混
練機、中速・縦型混練機である、請求項1〜4のいずれ
かに記載の製造方法。 - 【請求項6】 前記した混練機が、ブレード型混練機で
あり、しかも、高粘性用混練機あるいは中速・横軸混練
機、中速・縦型混練機のうちの回分式のものである、請
求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5572195A JP3461053B2 (ja) | 1995-03-15 | 1995-03-15 | ポリエステル樹脂水分散体の製造方法 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08253570A JPH08253570A (ja) | 1996-10-01 |
JP3461053B2 true JP3461053B2 (ja) | 2003-10-27 |
Family
ID=13006738
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP5572195A Expired - Lifetime JP3461053B2 (ja) | 1995-03-15 | 1995-03-15 | ポリエステル樹脂水分散体の製造方法 |
Country Status (1)
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Families Citing this family (2)
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---|---|---|---|---|
JP5263187B2 (ja) * | 2010-01-29 | 2013-08-14 | 東洋紡株式会社 | ポリエステル樹脂水分散体の製造方法 |
CN111378102B (zh) * | 2020-04-22 | 2022-06-10 | 江门市制漆厂有限公司 | 一种耐水解的水性聚酯树脂及其制备方法和应用 |
-
1995
- 1995-03-15 JP JP5572195A patent/JP3461053B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
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JPH08253570A (ja) | 1996-10-01 |
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