JP2005126474A - 高吸収性樹脂の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 平均粒径が大きく、且つ樹脂固定性が改良された顆粒状の吸収性樹脂、特に吸血性能に優れた顆粒状の高吸収性樹脂を逆相懸濁重合法により安定に製造する方法を提供する。
【課題手段】非イオン系界面活性剤及びアニオン性界面活性剤の存在下にラジカル重合開始剤を用いて、必要に応じて親水性オリゴマーを存在させて、疎水性有機溶媒中でエチレン性不飽和結合を有する水溶性単量体を油中水滴型の逆相懸濁重合をさせ、高吸収性樹脂を製造する方法に関する。
【選択図】 なし


Description

本発明は、逆相懸濁重合法による吸収性を有する高吸収性樹脂の製造方法に関するものである。さらに詳しくは平均粒径が大きく、かつ吸液速度、特に体液の吸液速度が大きく、紙おむつや生理用品などの吸収性物品の原料として有用な高吸収性樹脂を逆相懸濁重合法により製造する方法に関するものである。
従来、吸収性(主に吸水性)樹脂の製造方法としては、水溶性単量体をそのままバルク重合させて含水したゲル状の重合体とし、次いでこの重合体を粉砕した後に脱水・乾燥する方法と、水溶性単量体を含む水溶液を疎水性有機溶媒中で逆相懸濁重合させる方法とが主に用いられている。
このうち前者のバルク重合法では、重合後に行う粉砕及び脱水・乾燥は手間のかかる工程を必要とする為、粉砕工程を必要とせず、又脱水・乾燥の容易な後者の逆相懸濁重合法が好ましいと考えられている。
この逆相懸濁重合法では、疎水性有機溶媒として、水と共沸混合物を形成するものを用いることにより、生成した重合体粒子に含まれている水を、疎水性有機溶媒との共沸蒸留により容易に除去することができる。
しかし、逆相懸濁重合法により製造した吸水性樹脂は、取り扱い時に舞い上がりを生じるおそれのある微粒子状になり易い問題点がある。
この点の改良法として、油溶性セルロースエステル又はセルロースエーテルを分散剤として用いることが提案されている。さらには、HLBが13以上の界面活性剤を分散剤として用いること(例えば特許文献1参照)、炭素数が12〜24の直鎖アルキル基を有するモノアルキルリン酸エステルを分散剤として用いること(例えば特許文献2参照)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩を分散剤として用いること(例えば特許文献3参照)、更に脂肪族アルコールエチレンオキサイド付加物から得られるリン酸エステルやアルキルフェノールエチレンオキサイド付加物から得られるリン酸エステルを分散剤として用いること(特許文献4及び特許文献5参照)が提案されている。
しかし、これらの方法では、平均粒径の大きな重合体粒子を製造することはできるが、生成した重合体粒子が装置器壁に付着し易かったり、安定した重合を行える条件範囲が狭いなどの問題がある。
一方、吸収性樹脂の主要用途である紙オムツや生理用品などの吸収性物品では、従来、使用される吸収性樹脂の形状が、球状のものが多かったために、それがパルプ等の基材に固定されにくく、吸収性能が変化したりし易い問題がある。
国際公開第95/07938号パンフレット 特開昭61−209201号公報 特開平6−93008号公報 特開平11−5808号公報 特開2001−31704号公報
従って、本発明の課題は、平均粒径が大きく、且つ樹脂固定性が改良された顆粒状の吸収性樹脂、特に吸血性能に優れた高吸収性樹脂を逆相懸濁重合法により安定に製造する方法を提供しようとするものである。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、エチレン性不飽和結合を有する水溶性単量体の重合を、非イオン系界面活性剤とアニオン性界面活性剤を併用し、行うことにより、上記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、界面活性剤の存在下にラジカル重合開始剤を用いて、疎水性有機溶媒中でエチレン性不飽和結合を有する水溶性単量体を油中水滴型の逆相懸濁重合をさせ、高吸収性樹脂を製造する方法において、前記界面活性剤として非イオン系界面活性剤とアニオン性界面活性剤を併用することを特徴とする高吸収性樹脂の製造方法を提供するものである。
本発明は、界面活性剤として非イオン系界面活性剤とアニオン性界面活性剤とを併用することにより、平均粒径が大きく、且つ樹脂固定性が改良され、特に吸血性能に優れた顆粒状の高吸収性樹脂を逆相懸濁重合法により安定に製造することができるものである。
以下本発明を具体的かつ詳細に説明する。
本発明に用いるエチレン性不飽和結合を有する水溶性単量体(以下水溶性不飽和単量体という)としては、吸水性樹脂を与えることが知られている水溶性不飽和単量体であれば、いずれも用いることができる。
かかる水溶性不飽和単量体としては、例えば(a)イオン性単量体、具体的には(メタ)アクリル酸及びそのアルカリ金属塩やアンモニウム塩、アクリルアミド−2−エチルスルホン酸及びそのアルカリ金属塩等、(b)非イオン性単量体、具体的には(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等、(c)アミノ基含有単量体やその4級化物、具体的にはジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中で好ましいものは、(メタ)アクリル酸及びそのアルカリ金属塩やアンモニウム塩、(メタ)アクリルアミドである。
これらの水溶性不飽和単量体を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、ルビジウム塩等が用いられるが、得られる吸収性樹脂の性能、工業的入手の容易さ、安全性等の面からナトリウム塩またはカリウム塩が好ましい。
これらの水溶性不飽和単量体は、水溶液中の単量体濃度が通常20重量%以上、好ましくは25%重量以上〜飽和濃度となるように用いられる。
又、前記のイオン性単量体、例えば(メタ)アクリル酸、アクリルアミド−2−エチルスルホン酸等は、その少なくとも一部がアルカリ金属水酸化物や水酸化アンモニウム等で中和された形、即ち塩の形で使用するのが好ましい。中和の程度は通常20〜100モル%、好ましくは30〜100モル%である。
これらの水溶性不飽和単量体、特にアクリル酸系単量体は、架橋剤を併用しなくても重合時にある程度の自己架橋が生じて吸収性樹脂を与えるが、吸液諸性能のバランスを取るには、前記の水溶性不飽和単量体に架橋剤を併用することが好ましい。
架橋剤としては、2個以上のエチレン性不飽和結合を有する単量体や、前記の水溶性不飽和単量体の有する官能基と反応する官能基を2個以上有する化合物が挙げられる。
2個以上のエチレン性不飽和結合を有する単量体としては、(a)ポリオールのジ又はトリ(メタ)アクリル酸エステル類、例えばポリオールがエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリグリセリン等であるもの、(b)前記(a)において、不飽和酸が(メタ)アクリル酸以外のもの、例えばマレイン酸、フマール酸等であるもの、(c)ビスアクリルアミド類、例えばN,N'−メチレンビスアクリルアミド等、(d)ポリエポキシドと(メタ)アクリル酸を反応させて得られるジ又はトリ(メタ)アクリル酸エステル類、(e)ポリイソシアネートと(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルを反応させて得られるジ(メタ)アクリル酸カルバミルエステル類、例えばポリイソシアネートがトリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等であるもの、(f)多価アリル化合物、例えばアリル化デンプン、アリル化セルロース、ジアリルフタレート、テトラアリロキシエタン、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ジエチレングリコールジアリルエーテル、トリアリルトリメリテート等が挙げられる。
これらの中でも、本発明では、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、N,N'−メチレンビス(メタ)アクリルアミド等が好ましい。
水溶性不飽和単量体の官能基と反応する官能基を2個以上有する化合物としては、例えばジグリシジルエーテル化合物、ハロエポキシ化合物、イソシアネート化合物等が挙げられる。これらの中では、特にジグリシジルエーテル化合物が好ましい。
ジグリシジルエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ポリグリセリンジグリシジルエーテル等が挙げられる。この中でもエチレングリコールジグリシジルエーテルが好ましい。ハロエポキシ化合物としてはエピクロロヒドリン、β−メチルエピクロロヒドリン等が、イソシアネート化合物としては2,4−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
これらの架橋剤の使用量は、水溶性不飽和単量体に対して通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下である。
本発明における高吸収性樹脂は界面活性剤の存在下に、ラジカル重合開始剤を用いて、疎水性有機溶媒中でエチレン性不飽和結合を有する水溶性単量体を油中水滴型の逆相懸濁重合をさせ、高吸収性樹脂を製造する方法において、前記界面活性剤として非イオン系界面活性剤とアニオン性界面活性剤を併用することを特徴とする。かかる非イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー等が挙げられる。
これらの非イオン性界面活性剤としては、具体的には下記の化合物等を挙げることができる。すなわち上記ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(EO;6モル付加体)、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート(EO;20モル付加体)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート(EO;6モル付加体)、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート(EO;20モル付加体)等が挙げられる。
前記ソルビタン脂肪酸エステルとしては、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリオレート等が挙げられる。
前記ショ糖脂肪酸エステルとしては、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル、ショ糖ラウリル酸エステル、等が挙げられる。
前記ポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステルとしては、ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレート(EO;30モル付加体、40モル付加体)等が挙げられる。
前記ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステルとしては、ポリオキシエチレングリセリンモノステアレート(EO;20モル付加体)、ポリオキシエチレングリセリンモノオレート(EO;30モル付加体等が挙げられる。
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、モノステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、モノカプリル酸グリセリル等が挙げられる。
前記ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(EO;2〜7モル付加体)、ポリオキシエチレンセチルエーテル(EO;6モル付加体、7モル付加体)、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(EO;6モル付加体)、ポリオキシエチレンアルキル(C12〜C14混合)エーテル(EO;3、5,7モル付加体)等が挙げられる。
前記ポリオキシアルキレン脂肪酸エステルとしては、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル等が挙げられる。また、上記のポリオキシアルキレン基を有する化合物における、アルキレン基としては、上述した具体例に示したようにエチレン基が好ましいが、エチレン基及びプロピレン基の両方を有する化合物を用いることもできる。これらの非イオン性界面活性剤は、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
本発明に使用する非イオン性界面活性剤としては、前記に挙げた界面活性剤のうち、アニオン性界面活性剤との併用により、微粉末状の粒子の形成が極めて少なく、かつ1000μm以上の粒子形成も少ない点で、HLBが13未満の界面活性剤が好ましい。これらの非イオン性界面活性剤は、単独で又は2種以上を併用して用いることができるが、混合使用する場合には、使用する全ての非イオン性界面活性剤が13未満である必要はなく、混合物として13未満の範囲にあれば好ましく用いることができる。
ここで、HLBとは親水性、疎水性の強さのバランスをいい、乳化試験による方法や乳化剤の分析値を用いた計算法により求めることができる。本発明の非イオン性界面活性剤のHLBは、グリフィンの式による計算法によって算出された数値に基づくものである。
グリフィンの式は、次のとおりである。
1)エチレンオキサイド系非イオン性界面活性剤のHLB
HLB=E/5 (E=ポリオキシエチレン部分の重量分率)
2)多価アルコール系非イオン性界面活性剤のHLB
HLB=20(1−S/A) (S=多価アルコールエステルのケン化価、A=脂肪酸の中和価(酸価))
非イオン性界面活性剤は、疎水性有機溶媒及び/または水溶性不飽和単量体水溶液に、0.01〜5重量%含有させるのが好ましい。かかる範囲の含有量であれば、所望の分散効果が得られ、生成した重合体粒子を乾燥させる時に凝集を起こすことを防ぐことができる。
本発明の高吸収性樹脂を得るためには、界面活性剤として、前記非イオン性界面活性剤にアニオン性界面活性剤を併用することが必要である。
かかるアニオン性界面活性剤としては、一般的に市販されているアニオン性界面活性剤を使用することが可能である。
かかるアニオン性界面活性剤としては、例えば石けん、N-アシルアミノ酸塩、POEアルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩−ホルマリン重縮合物、スルホコハク酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルスルホン酸塩、硫酸化油、POEアルキルエーテルスルホン酸塩、アルキルアミド硫酸塩、アルキルリン酸塩、POEアルキルエーテルリン酸エステル又はその塩、POEアルキルアリルエーテルリン酸エステル又はその塩等が挙げられる。
これらのうち、一般式(1)で表されるスルホン酸塩系界面活性剤であることが好ましい。
Figure 2005126474

一般式(1)中、Mは水素原子、アルカリ金属、第4級アンモニウム塩又は第4級アミン塩を示すものである。これらのうちMは、工業的な入手の面から、アルカリ金属であるものが好ましい。R'は炭素原子数が8〜30のフェニル基で置換されてもよいアルキル基又はアルケニル基、あるいはアルキル基で置換されてもよいアリール基を示すが、工業的な入手のし易さの点で、炭素原子数が8〜23のアルキル基又はアルケニル基、あるいはモノアルキルフェニル基であることが好ましい。
R'としては、例えばジイソプロピルナフチル基、ジイソブチルナフチル基、ジスチレン化フェニル基、ドデシルフェニル基、ノニルフェニル基、オクチルフェニル基、オクタデシル基、オクタデセニル基、ヘキサデシル基、ヘキサデセニル基、テトラデシル基、テトラデセニル基、ラウリル基、ドデセニル基、デシル基、デセニル基、オクチル基及びオクテニル基等が好ましいものとして挙げられる。
一般式(1)で表されるスルホン酸塩系界面活性剤としては、例えばジイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジイソブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジスチレン化フェニルスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸リチウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム、ノニルフェニルスルホン酸ナトリウム、オクチルフェニルスルホン酸ナトリウム、オクタデセンスルホン酸ナトリウム、ヘキサデセンスルホン酸ナチリウム、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、ドデセンスルホン酸ナトリウム、デセンスルホン酸ナトリウム、オクテンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
これらのうち、工業的入手の容易さから、ジイソブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタデセンスルホン酸ナトリウム、ヘキサデセンスルホン酸ナチリウム、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、ドデセンスルホン酸ナトリウム、デセンスルホン酸ナトリウム、オクテンスルホン酸ナトリウム等が好ましい。これらのアニオン性界面活性剤は、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
本発明は、かかるアニオン性界面活性剤を、疎水性有機溶媒及び/または水溶性不飽和単量体水溶液中において、非イオン性界面活性剤と併用し用いるものである。この場合非イオン性界面活性剤を疎水性有機溶媒中に、前記アニオン性界面活性剤をエチレン性不飽和結合を有する水溶性単量体水溶液中において用いることが、重合体粒子の形状をより複雑に制御することができることから好ましい。
アニオン性界面活性剤の使用量は、重合体粒子の形状を制御する目的で任意に使用することができるが、非イオン性界面活性剤の濃度(X)と、アニオン性界面活性剤の濃度(Y)との比(X/Y)が式(Z)を満足するように添加するのが好ましい。
0<X/Y≦10 (Z)
水溶性不飽和単量体の水溶液中のアニオン性界面活性剤の量が上記範囲であれば、得られる重合体粒子の平均粒子径を100〜1000μmに制御することができ、吸血特性を向上することが可能になる。
重合体粒子の表面構造をより複雑に制御する目的で、水溶性不飽和単量体を主体として含む水溶液中に、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸又はそのソーダ塩、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子化合物を少量添加してもよい。
前記逆相懸濁重合に際しては、ラジカル重合開始剤を用いることが好ましい。かかるラジカル重合開始剤としては、公知の水溶性ラジカル重合開始剤を用いることができる。そのいくつかを例示すると、(a)過酸化水素、(b)過硫酸塩、例えば過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム及び過硫酸アンモニウム等、(c)アゾ系開始剤、例えば2,2'−アゾビスー(2−アミノジプロパン)2塩酸塩、2,2'−アゾビス−(N,N'−ジメチレンイソブチルアミジン)2塩酸塩、2,2'−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}等が挙げられる。これらの水溶性ラジカル開始剤は、単独でも混合してでも使用することができる。又、過酸化水素、過硫酸塩は、例えば亜硫酸塩、L−アスコルビン酸等の還元性物質やアミン塩等を組み合わせてレドックス系の開始剤としても使用できる。これらのラジカル重合開始剤は、水溶性不飽和単量体に対して、0.001〜5重量%、特に0.01〜1重量%の範囲で用いるのが好ましい。
逆相懸濁重合の反応媒体である疎水性有機溶媒としては、基本的に水に溶け難く、重合に不活性であればいかなるものも使用できる。そのいくつかを例示すると、(a)脂肪族炭化水素、例えばn−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等、(b)脂環族炭化水素、例えばシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等、(c)芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。疎水性有機溶媒は水より低沸点で且つ水と共沸混合物を形成するものが好ましい。通常は、n−ヘキサン、n−ヘプタン又はシクロヘキサン等が用いられる。
疎水性有機溶媒は、水溶性不飽和単量体水溶液に対して、通常0.5〜10重量倍となるように用いられるが、0.8〜3重量倍用いるのが好ましい。疎水性有機溶媒の比率が小さすぎると、界面活性剤が存在していても重合体粒子が凝集し易くなり、所望の粒径の吸収性樹脂を得るのが困難になる。逆に、この比率が大きすぎると生産性が低下する。
本発明で得られる重合体粒子は、水溶性不飽和単量体を主成分として重合することにより得られる重合体粒子であって、さらに構成成分として親水性のオリゴマーを用いることが好ましい。親水性のオリゴマーを用いることにより、水や尿に対する吸収性の他、その他体液、特に血液に対する吸収性を高めることが可能になる。
かかる親水性のオリゴマーとしては、ノニオン系、アニオン系、カチオン系の化学合成による親水性オリゴマーであっても、天然物由来による親水性オリゴマーであっても良い。
かかる親水性オリゴマーの分子量としては、重量平均分子量で500〜100,000であることが好ましく、1000〜50,000であることがより好ましい。重量平均分子量がかかる範囲であれば、体液、特に血液に対する吸収性を高めることが可能になる。
かかる親水性オリゴマーとしては、化学合成によるものとして、ポリエチレングリコール、ポリジオキソラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリビニルエーテルといったノニオン系オリゴマー、ポリアクリル酸、ポリ(イソブチレンーマレイン酸)、ポリビニルホスホン酸といったアニオン系オリゴマー、ポリエチレンイミン、ポリビニルピリジンといったカチオン系のオリゴマーを例示することができる。また、天然物由来によるものとしてノニオン系のデンプン、アニオン系のアルギン酸、カチオン系のキトサン等を例示することができる。また化学合成、天然物由来いずれも存在するポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリリジンといったポリアミノ酸を例示することができる。
本発明に使用する親水性オリゴマーは、イオン性基を有するオリゴマーの場合その塩を含むものである。塩としては、上記親水性オリゴマーのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等が挙げられる。アルカリ金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、ルビジウム塩等が挙げられ、アルカリ土類金属塩としては、カルシウム塩、マグネシウム塩等が挙げられる。
これら親水性オリゴマーは、分子中に少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する親水性マクロマーであることが好ましい。親水性マクロマーとして吸水性樹脂の表面近傍にグラフトすることにより体液、特に血液に対する吸収性をさらに高めることが可能になる。
また前記親水性オリゴマーは、ポリ酸性アミノ酸であることが特に好ましい。かかるポリ酸性アミノ酸としては、ポリアスパラギン酸及びポリグルタミン酸が挙げられる。これらの化合物は線状構造を有するものであっても、分岐状構造を有するものであっても構わない。更に、ポリ酸性アミノ酸の基本骨格中に、アミド結合、及びグルタミン酸、アスパラギン酸以外のアミノ酸単位を含んでいてもよい。グルタミン酸、アスパラギン酸以外のアミノ酸単位としては、例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、アスパラギン、グルタミン、リジン、オルニチン、システイン、シスチン、メチオニン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アルギニン等の脂肪族α−アミノ酸、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン等の芳香族α−アミノ酸、これらα−アミノ酸の側鎖官能基が置換されたもの、β−アラニン、γ−アミノ酪酸等のアミノカルボン酸、グリシル−グリシン、アスパルチル−フェニルアラニン等のジペプチド(二量体)、グルタチオン等のトリペプチド(三量体)等のアミノ酸の単位が挙げられる。
これらのアミノ酸は光学活性体(L体、D体)でも、ラセミ体でもよい。また、これらのアミノ酸単位は、グルタミン酸、アスパラギン酸と結合しランダム共重合体として存在していても、ブロック共重合体として存在していてもよい。
本発明に使用するポリ酸性アミノ酸は、その塩を含むものである。ポリ酸性アミノ酸の塩としては、上記ポリ酸性アミノ酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等が挙げられる。アルカリ金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、ルビジウム塩等が挙げられ、アルカリ土類金属塩としては、カルシウム塩、マグネシウム塩等が挙げられる。
また前記親水性マクロマーとしては、エチレン性不飽和結合を有するポリ酸性アミノ酸であることが好ましい。かかるポリ酸性アミノ酸を添加した場合、尿や血液の繰り返しの吸収性に優れる。
本発明に使用するエチレン性不飽和結合を有するポリ酸性アミノ酸としては、特に制限されるものではないが、例えば末端基としてマレイミド末端基を有するポリこはく酸イミドの加水分解物(イ)、及びポリ酸性アミノ酸と、分子内にエチレン性不飽和二重結合及びポリ酸性アミノ酸と反応性を有する官能基を有する化合物とを反応させて得られる化合物(ロ)等が挙げられる。
かかるマレイミド末端基を有するポリこはく酸イミドは、例えば、無水マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸等とアンモニアを加熱反応させ、マレイミドもしくはマレアミド酸を経ることにより得ることができる。
マレイミド末端基を有するポリこはく酸イミドの加水分解物(イ)は、上記で得られたポリこはく酸イミドを、通常アルカリ水溶液を加えて、加水分解反応することにより得られる。このときの反応温度は、好ましくは0〜100℃、より好ましくは20〜95℃の範囲である。
かかるアルカリ水溶液に使用するアルカリ化合物としては、アルカリ金属化合物、及び/又はアルカリ土類金属化合物が挙げられる。アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物としては、上記のうち、水酸化物または炭酸塩が代表的なものとして挙げられ、具体的には、LiOH、NaOH、KOH、Mg(OH)、Ca(OH)、LiCO、NaCO、KCO、MgCO、CaCO等が挙げられる。一般的には、水酸化ナトリウム、もしくは水酸化カリウムが用いられ、これらの化合物の0.1〜40重量%水溶液を用いることが好ましい。アルカリ化合物の使用量は、イミド環基1つに対して、0.4〜1.0モルを用いることが好ましい。
また、マレイミド末端基を有するポリこはく酸イミドの加水分解物(イ)は、pHを調整する目的で塩酸、硫酸、燐酸等のプロトン酸により中和を行ってもよい。
また前記ポリ酸性アミノ酸と、分子内にエチレン性不飽和結合及びポリ酸性アミノ酸と反応性を有する官能基を有する化合物とを反応させて得られる化合物(ロ)に使用するポリ酸性アミノ酸としては、前記のポリ酸性アミノ酸を使用することができる。
また前記の分子内にエチレン性不飽和結合及びポリ酸性アミノ酸と反応性を有する官能基を有する化合物は、特に制限されないが、本発明の目的を達成するためには、例えば下記一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2005126474

[但し、一般式(2)中、R1はアミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、カルボジイミド基、オキサゾリン基、イミノ基、イソシアネート基からなる群より選ばれる少なくとも1種類の基を示し、Qは炭素原子数が1〜10のアルキレン基を示し、Rは水素原子又は炭素原子数が1〜4のアルキル基を示す。]
前記一般式(2)で表される化合物としては、具体的には、例えばグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、2−メタクロイルオキシエチルイソシアネート、2−イソシアネートメチルアクリレート等が挙げられる。
次に、本発明の高吸収性樹脂の製造方法を具体的に説明する。
すなわち、本発明は、疎水性有機溶媒中で、水溶性不飽和単量体を、界面活性剤の存在下にラジカル重合開始剤及び必要により架橋剤を用いて、油中水滴型の逆相懸濁重合をさせるに際して、非イオン系界面活性剤とアニオン性界面活性剤を併用することにより高吸収性樹脂を製造するものである。
前記水溶性不飽和単量体、界面活性剤、ラジカル重合開始剤及び架橋剤の添加順序、添加態様、重合操作は本発明の目的に反さない限り任意である。
本発明の吸収性樹脂の製造方法としては、例えば1)疎水性有機溶媒に、ラジカル重合開始剤及び架橋剤を含む水溶性不飽和単量体の水溶液を供給し、分散させ、重合させる方法;
2) ラジカル重合開始剤及び架橋剤を含む水溶性不飽和単量体の水溶液に疎水性有機溶媒を供給し、得られる分散液を重合させる方法;
3) 疎水性有機溶媒と、ラジカル重合開始剤及び架橋剤を含む水溶性不飽和単量体の水溶液を同時に混合し得られる分散液を重合させる方法。
等の方法が挙げられる。
これらの方法のうち、安定な分散液が得られやすく、また操作性の点で、疎水性有機溶媒に水溶性不飽和単量体の水溶液を供給し、油中に水滴を分散させる1)の方法が好ましい。
水溶性不飽和単量体水溶液の供給は、その全部を疎水性有機溶媒中に供給しても、または逐次供給してもよいが、生成粒子の粒径制御が容易な点から逐次供給することが好ましい。
逐次供給の具体的な方法としては、水溶性不飽和単量体を主体とする水溶液の一部、通常は1〜25重量%を先ず疎水性有機溶媒中に供給して重合を開始させ、この化合物の重合がある程度進行してから残りの水溶性不飽和単量体を主体とする水溶液を逐次供給しつつ重合を行わせるものである。また上記の方法以外の方法として、予め重合条件下に維持した疎水性有機溶媒中に最初から水溶性不飽和単量体を主体とする水溶液を逐次供給しながら、同時に重合を進行させるようにしてもよい。
これらの方法を実施するに際し、水溶性不飽和単量体を主体とする水溶液として、水溶性不飽和単量体を主体とする水溶液と疎水性有機溶媒の一部との混合物を用い、この混合物を残りの疎水性有機溶媒中に供給するようにしてもよい。
水溶性不飽和単量体を主体とする水溶液の供給は、通常は全重合時間の20%以上の時間、好ましくは40%以上の時間に亘って行う。
水溶性不飽和単量体を主体とする水溶液の供給は、通常、定速度で行うが、所望ならば途中で供給速度を変化させてもよく、更に途中で供給を一時的に中断することもできる。
この方法は、本発明の吸収性樹脂を製造するための好ましい態様の一つである。
重合温度は、ラジカル重合開始剤にもよるが、通常は40〜150℃で行われる。高温に過ぎると自己架橋が進行し生成する高吸収性樹脂の吸液能が低下する。逆に低温に過ぎると重合に長時間を要するばかりでなく、突発的な重合を引き起して塊状物を生成する恐れがある。好適な重合温度は60〜90℃である。この場合、特に不活性溶媒の還流条件下で重合を行うのが好ましい。
逆相懸濁重合における撹拌条件のうち、撹拌回転数は、用いる撹拌翼の種類、重合反応槽のスケールによってその絶対値は異なってくるので一義的には示すことが出来ないが、攪拌速度が高吸収性樹脂の平均粒子径に影響すること、及び本発明の目的を達成するためには、その平均粒子径が100μm〜1000μmの範囲であることが好ましいことから、通常100〜1000rpmの範囲の撹拌回転数であることが好ましく、200〜1000rpmの範囲であることがより好ましい。この範囲の撹拌回転数で、撹拌翼の種類、攪拌動力を適宜選択することにより、平均粒子径100μm〜1000μmの表面の凹凸の著しい一次粒子が融着した構造を有する高吸収性樹脂を得ることができる。
前記の逆相懸濁重合法により、含水ゲル、過剰の界面活性剤及び疎水性有機溶媒からなるスラリー状の混合物が生成される。このスラリー状混合物は、公知の方法、例えば直接脱水或いは疎水性有機溶媒との共沸脱水を経て、乾燥、篩等を経る方法により、ゲル状の高吸収性樹脂を得ることができる。
本発明で得られる吸収性樹脂に、表面架橋剤を用いて、その粒子の表面近傍を架橋反応させることにより、尿や血液等に対する浸透圧を一層高めることができる。
かかる表面架橋剤としては、吸収性樹脂の表面近傍の官能基と反応可能な2個以上の官能基を有する化合物が挙げられる。また吸収用物品等に使用した場合、粒子の表面に残存するため、人体に対して安全性の高いものが好ましい。
そのような化合物としては、例えば、ポリアミンやポリグリシジルエーテル等の2個以上のカルボキシル基(カルボキシレート基)と反応し得る反応性基を有する化合物、及びγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランといったシランカプリング剤、シラノール縮合触媒であるジブチル錫ジラウリレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクトエート等、グリシジルメタクリレート等の反応性基を有するエチレン性不飽和化合物が挙げられ、これらを1種または2種以上用いることができる。
前記の吸収性樹脂の表面架橋は、逆相懸濁重合後に膨潤したビーズ状の粒子から、共沸脱水又は加熱等の適当な方法により直接脱水することにより、所定の含水率まで乾燥せしめた粉末状の樹脂と表面架橋剤とを混合することにより行うことができる。この時、吸収性樹脂と表面架橋剤とを均一に混合させるために、水及び親水性溶媒を使用することが好ましい。
更に、樹脂の表面濡れ性向上の為に、これらの水及び親水性溶媒中にHLBの高い非イオン性界面活性剤又はアニオン性界面活性剤を少量添加してもよい。水及び親水性溶媒は、樹脂100重量部に対して、水を50重量部以下で、親水性溶媒を60重量部以下混合して用いてもよい。
上記親水性溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、およびイソブタノールのような低級アルコール類、アセトン、およびメチルエチルケトンのようなケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、およびジエチルエーテルのようなエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミドおよびN,N−ジエチルホルムアミドのようなアミド類およびジメチルスルホキシドのようなスルホキシド類等が挙げられる。
吸収性樹脂と表面架橋剤との混合方法は、特に制限されず、例えば公知の混合装置を用いて行うことができる。
公知の混合装置としては、例えば円筒型混合機、二重壁円錐型混合機、高速攪拌型混合機、V字型混合機、リボン型混合機、スクリュー型混合機、流動型炉ロータリーデスク型混合機、気流型混合機、双腕型ニーダー、内部混合機、粉砕型ニーダー、回転式混合機、スクリュー型押出機等の混合装置等を挙げることができる。これらの混合装置で混合するには、樹脂を攪拌しながら表面架橋剤を添加することが好ましく、さらに表面架橋剤を噴霧しながら添加することがより好ましい。
表面架橋の際の加熱時間は、加熱温度により適宜選択されるが、熱劣化を起こさずに吸収性能の高い吸収性重合体粒子を得るためには、60℃〜300℃の温度で、5分から100時間以下であることが好ましい。
加熱装置としては、特に限定はしないが、通常乾燥機又は加熱炉を用いることができる。具体的には、例えば、溝型混合乾燥機、ロータリー乾燥機、ディスク乾燥機、流動層乾燥機、気流型乾燥機、赤外線乾燥機、減圧乾燥機等が挙げられる。
本発明で得られる高吸収性樹脂は樹脂固定性が改良されているため、構成体基材であるパルプ等にしっかりと固定され、使用中吸収性能の変化が少ない紙オムツや生理用品等の吸収性物品を作成することができる。
特に、血液吸収性物品は、例えば、生理用ナプキン、タンポン、医療用血液吸収シート、ドリップ吸収剤、創傷保護材、創傷治癒材、手術用廃液処理剤等の血液吸収特性が要求される物品が挙げられる。又、血液と同様にタンパク質を含む水、例えば、牛乳、母乳、おりもの等に対しても優れた吸収特性を示す他、従来の吸水性材料と同様の尿、海水、セメント水、土壌水、肥料含有水、雨水、排水等に対しても優れた吸収特性を有するため、その適用分野は広範囲である。
以下、本発明を実施例と比較例により、一層、具体的に説明する。以下において、%は、特にことわりのない限り、全て重量基準であるものとする。尚、材料の諸性質は以下に概略を示した方法で測定した。尚、実施例1〜3及び比較例1、比較例2の仕込組成を表−1にまとめた。
[血液吸引量の測定方法]
内径95mmのシャーレ中の馬脱繊血(株式会社日本生物材料センターより入手)20mlに浸した15枚重ねのトイレットペーパー(55mm×75mm)上に、後記実施例で得られた重合体粒子約1gを加え、5分間吸液させた後、膨潤ゲルを採取してその重量を測定した。吸液後の膨潤ゲルの重量を、吸液前の重合体粒子の重量で除して、血液吸引量(g/g)を算出した。
[平均粒子径の測定方法]
後記実施例で得られた重合体粒子を、目開き16メッシュ(1000μm)、30メッシュ(500μm)、100メッシュ(150μm)、140メッシュ(106μm)、235メッシュ(63μm)のふるい(JIS−Z8801)、受け皿の順に組み合わせ、最上の篩に重合体粒子を約20g入れ、充分振とうさせた。各ふるいに残った重合体粒子の重量を秤量し、全重量を100%として、重量分率より粒径分布を求め、重量基準の50%粒子径を平均粒子径とした。
《参考例1》ポリこはく酸イミドの製造例
攪拌装置、温度計、還流装置、窒素ガス吹き込み装置を装着した1Lの4ツ口フラスコに、無水マレイン酸96g、イオン交換水50gを加えた。次いで55℃に加温し無水マレイン酸を溶解させた後、一旦冷却して無水マレイン酸のスラリーを得た。再び系内を加温し、55℃になったところで、28%アンモニア水60.8gを添加した。その後、系内の温度を80℃に昇温した。3時間反応させた後、得られた水溶液を乾燥し反応中間体を得た。2Lのナスフラスコに反応中間体100gおよび85%燐酸10gを仕込み、エバポレーターを用い、オイルバス浴温中で、200℃で減圧の下、4時間反応させた。得られた生成物を水およびメタノールで数回洗浄した。得られたポリこはく酸イミドをGPCで測定した結果、重量平均分子量は3000であった。
《実施例1》
攪拌装置、温度計、還流装置、窒素ガス吹き込み装置を装着した500mlの4ツ口フラスコに、水酸化ナトリウム20.6gを溶解させた水溶液75gを加えた後、参考例1で得られたポリこはく酸イミドの粉末50gを添加することによりポリこはく酸イミドの水溶液を得た。次いで、温度を90℃に昇温した後、グリシジルメタクリレート5.0gを加え、1時間反応を行うことにより、メタクリロイル基を導入したポリアスパラギン酸を含有する水溶液を得た。
500mlの三角フラスコにアクリル酸30gを加え、外部より冷却しつつ水酸化リチウム・1水和物8.74gを溶解した水酸化リチウム水溶液81.5gを滴下してアクリル酸の50モル%を中和した。この液に、ラテムルPS(アルカンスルホン酸ナトリウム 花王株式会社製)1.89gを添加し溶解した。更に、この液にN,N’−メチレンビスアクリルアミド23.4mg、過硫酸アンモニウム0.05gを加えて溶解した。
これとは別に、攪拌装置、温度計、還流装置、窒素ガス吹き込み装置を装着した500mlの4ツ口フラスコに、シクロヘキサン164gを加え、これにレオドールTW−O106V(ポリオキシエチレンソルビトールモノオレート(EO;6モル付加体)(HLB=10.0)花王株式会社製)0.41gを添加して500rpmで撹拌しながら分散させた。次に、フラスコを窒素置換した後、75℃に昇温し、前記で調製したアクリル酸水溶液を60分間で滴下した。滴下後、先に得られたメタクリロイル基を導入したポリアスパラギン酸水溶液7.8gを一括添加した。次いで70〜75℃で3時間保持した後、シクロヘキサンとの共沸によって生成した樹脂の含水率が10%になるまで脱水を行った。尚、攪拌は500rpmの回転数で一定して行った。反応終了後、デカンテーションでシクロヘキサン相を分離し、続いて得られた含水重合体粒子から減圧乾燥により水を除去し、重合体粉末を得た。
500mlフラスコに得られた重合体粒子30gを秤量し、そこへアセトン1.2g、イオン交換水2.1g、グリシジルメタクリレート0.09g、過硫酸アンモニウム0.09gからなる混合溶液と、親水性シリカ(日本アエロジル株式会社製、200CF)0.3gを均一散布した。含水重合体粒子を108℃で1時間減圧乾燥することにより重合体粒子の表面架橋を行った。得られた吸収性重合体粒子の電子顕微鏡観察を行ったところ、図1に示すように表面の凸凹が極めて著しい5〜10μ前後の一次粒子が融着した構造を有していた。また前記の平均粒子径の測定方法に従って測定した平均粒子径は表−1のとおりであった。
前記の重合体粒子の特性評価結果を、表1−1に示す。実施例1で得られた重合体粒子は、表−1に示すように血液吸収力に優れ、血液に対して親和性を有することが判る。
《実施例2》
レオドールTW−O106VをレオドールTW−S106(ポリオキシエチレンソルビトールモノステアレート(EO;6モル付加体)(HLB=9.6)花王株式会社製)0.41gに変更した以外は実施例1と同様の操作により重合体粒子を得た。得られた吸収性重合体粒子の電子顕微鏡観察を行ったところ、表面の凸凹が極めて著しい5〜50μ前後の一次粒子が融着した構造を有していた。また前記の平均粒子径の測定方法に従って測定した平均粒子径は表−1のとおりであった。
前記の重合体粒子の特性評価結果を、表1−1に示す。実施例2で得られた重合体粒子は、表−1に示すように血液吸収力に優れ、血液に対して親和性を有することが判る。
《実施例3》
レオドールTW−O106VをアデカノールNK−4(ポリオキシエチレングリセリンエステル)(HLB=6.6)旭電化株式会社製)0.41gに変更した以外は実施例1と同様の操作により重合体粒子を得た。得られた重合体粒子の電子顕微鏡観察を行ったところ、表面の凸凹が極めて著しい5〜50μ前後の一次粒子が融着した構造を有していた。また前記の平均粒子径の測定方法に従って測定した平均粒子径は表−1のとおりであった。
前記の重合体粒子の特性評価結果を、表1−1に示す。実施例2で得られた重合体粒子は、表−1に示すように血液吸収力に優れ、血液に対して親和性を有することが判る。前記の重合体粒子からなる吸収性材料の特性評価結果を、表−1に示す。
実施例3で得られた重合体粒子は、表−1に示すように血液吸収力に優れ、血液に対して親和性を有することが判る。
《比較例1》
500Lのデスカップにアクリル酸150gを加え、外部より冷却しつつ水酸化ナトリウム33.3gを溶解した水酸化ナトリウム水溶液341.5gを滴下してアクリル酸の50モル%を中和した。次いで、N,N’−メチレンビスアクリルアミド468mg、過硫酸アンモニウム620mg添加溶解させた。攪拌装置、温度計、還流装置、窒素ガス吹き込み装置を装着した2Lの4ツ口フラスコに、シクロヘキサン820gを加え、これにレオドールスーパーSP−S10(ソルビタンモノステアレート、花王株式会社製)3.75gを添加して350rpmで撹拌しながら分散させた後、4ツ口フラスコを氷水内で10℃まで冷却した。次に、フラスコ内を窒素置換した後、調製したアクリル酸水溶液を添加混合した。この時、4ツ口フラスコ内の温度は14℃であった。添加後フラスコを60℃のウオーターバス中で加熱することにより昇温したところ、25℃に達した時点でフラスコ内が白濁し、その後トルクが上昇した。さらに昇温を続けたところ安定な分散液が得られた。65〜75℃で3時間保持した後、シクロヘキサンとの共沸によって生成した樹脂の含水率が10%になるまで脱水を行った。尚、攪拌は350rpmの回転数で一定して行った。反応終了後、デカンテーションでシクロヘキサン相を分離し、続いて得られた含水重合体粒子から減圧乾燥により水を除去し、重合体粉末を得た。得られた吸収性樹脂の電子顕微鏡観察を行ったところ、球状の構造を有していた。
前記吸収性樹脂からなる吸収性材料の特性評価結果を表−1に示す。
Figure 2005126474
本発明の高吸収性樹脂の電子顕微鏡写真である。

Claims (8)

  1. 界面活性剤の存在下に、ラジカル重合開始剤を用いて、疎水性有機溶媒中でエチレン性不飽和結合を有する水溶性単量体を油中水滴型の逆相懸濁重合をさせ、高吸収性樹脂を製造する方法において、前記界面活性剤として非イオン系界面活性剤とアニオン性界面活性剤を併用することを特徴とする高吸収性樹脂の製造方法。
  2. 前記非イオン性界面活性剤が、HLBが13未満の非イオン性界面活性剤である請求項1記載の高吸収性樹脂の製造方法。
  3. 前記アニオン性界面活性剤が、下記一般式(1)で表されるスルホン酸塩系界面活性剤である請求項1又は2記載の高吸収性樹脂の製造方法。
    Figure 2005126474
    〔式中、Mは水素原子、アルカリ金属、第4級アンモニウム塩又は第4級アミン塩を示す。R′は炭素原子数が8〜30のフェニル基で置換されてもよいアルキル基若しくはアルケニル基、又はアルキル基で置換されてもよいアリール基を示す。〕
  4. 前記非イオン性界面活性剤を分散させた疎水性有機溶媒中に、前記アニオン性界面活性剤及びエチレン性不飽和結合を有する水溶性単量体を含有する水溶液を逐次供給する請求項1〜3記載の高吸収性樹脂の製造方法。
  5. 前記アニオン性界面活性剤が、前記一般式(1)で表される化合物である請求項4記載の吸収性樹脂の製造方法。
  6. 逆相懸濁重合時に親水性のオリゴマーを存在させる請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸収性樹脂の製造方法。
  7. 前記親水性のオリゴマーが、親水性のマクロモノマーである請求項6記載の吸収性樹脂の製造方法。
  8. 親水性のマクロモノマーが、エチレン性不飽和結合を有するポリ酸性アミノ酸である請求項7記載の吸収性樹脂の製造方法。



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