JP2005047977A - 吸収性樹脂の製造方法 - Google Patents

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Katsuhiko Nishitomi
克彦 西冨
Hisakazu Tanaka
寿計 田中
Shigeki Ideguchi
茂樹 井手口
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Abstract

【課題】釜付着量が少なく、平均粒径が大きく、且つ樹脂固定性が改良され、特に吸血性能に優れた顆粒状の吸収性樹脂を、逆相懸濁重合法により安定に製造する方法を提供する。
【解決手段】分子中にプロピレンオキサイド単位及びエチレンオキサイド単位を有する硫酸エステル系界面活性剤を含有する疎水性有機溶媒に、エチレン性不飽和結合を有する水溶性単量体を含有する水溶液を逐次供給して油中水滴型の逆相懸濁重合をさせることにより吸収性樹脂を得る。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、逆相懸濁重合による吸収性樹脂の製造方法に関するものである。本発明方法で得られる吸収性樹脂は、平均粒径が大きく、且つ吸液速度が大きいので、紙おむつや生理用品などの吸収性材料として用いるのに好適である。
【0002】
【従来の技術】
従来、吸収性(主に吸水性)樹脂の製造方法としては、水溶性単量体をそのままバルク重合させて含水したゲル状の重合体とし、次いでこれを粉砕した後に脱水・乾燥する方法と、水溶性単量体を含む水溶液を疎水性有機溶媒中で逆相懸濁重合させる方法とが主に用いられている。このうち前者のバルク重合法では、重合後に行う粉砕及び脱水・乾燥は手間のかかる工程の為、粉砕工程を必要とせず、又脱水・乾燥の容易な後者の逆相懸濁重合法が好ましいと考えられている。この方法では、疎水性有機溶媒として水と共沸混合物を形成するものを用いることにより、生成した重合体粒子に含まれている水を、疎水性有機溶媒との共沸蒸留により容易に除去することができる。
【0003】
しかし、逆相懸濁重合法により製造した吸水性樹脂は、取り扱い時に舞い上がりを生じるおそれのある微粒子状の樹脂粒子になり易い問題点がある。
一方、吸収性樹脂の主要用途である紙オムツや生理用品などの吸収性物品では、従来、使用される吸収性樹脂の形状が、球状のものが多かった為に、それがパルプ等の基材に固定されにくく、吸収性能が変化したりし易い問題がある。
これらの点の改良法として、油溶性セルロースエステル又はセルロースエーテルを分散剤として適用することが提案されている。又、炭素数12〜24の直鎖アルキル基を有するモノアルキルリン酸エステルを分散剤として用いること(例えば特許文献1参照)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩を分散剤として用いること(例えば特許文献2参照)、更に脂肪族アルコールエチレンオキサイド付加物から得られるリン酸エステルやアルキルフェノールエチレンオキサイド付加物から得られるリン酸エステルを分散剤として用いること(特許文献3及び特許文献4参照)が提案されている。
【0004】
しかし、これらの方法では、平均粒径の大きな樹脂粒子を製造することはできるが、生成した樹脂粒子が装置器壁に付着し易かったり、安定した重合を行える条件範囲が狭いなどの問題がある。
【0005】
【特許文献1】
特開昭61−209201号公報
【特許文献2】
特開平6−93008号公報
【特許文献3】
特開平11−5808号公報
【特許文献4】
特開2001−31704号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の課題は、釜付着量が少なく、平均粒径が大きく、且つ樹脂固定性が改良された顆粒状の吸収性樹脂を、逆相懸濁重合法により安定に製造する方法を提供しようとするものであり、特に吸血性能に優れた吸収性樹脂を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、水溶性エチレン性不飽和単量体の重合を、特定の陰イオン性界面活性剤の存在下に行うことにより、上記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、一般式(1)
【化2】
Figure 2005047977
(式中、Mは水素原子、アルカリ金属、第4級アンモニウム塩又は第4級アミン塩を示し、mは1〜60の整数であり、nは1〜30の整数である。)
で表される陰イオン性界面活性剤の存在下に、疎水性有機溶媒にエチレン性不飽和結合を有する水溶性単量体を含有する水溶液を逐次供給して油中水滴型の逆相懸濁重合をさせることを特徴とする吸収性樹脂の製造方法を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の吸収性樹脂の製造方法を詳細に説明する。
本発明に用いるエチレン性不飽和結合を有する水溶性単量体(以下水溶性不飽和単量体という)としては、吸水性樹脂を与えることが知られている水溶性不飽和単量体であれば、いずれも原料として用いることができる。
かかる水溶性不飽和単量体としては、例えば(a)イオン性単量体、具体的には(メタ)アクリル酸及びそのアルカリ金属塩やアンモニウム塩、アクリルアミド−2−エチルスルホン酸及びそのアルカリ金属塩等、(b)非イオン性単量体、具体的には(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等、(c)アミノ基含有単量体やその4級化物、具体的にはジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単量体を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
【0010】
これらの中で好ましいものは、(メタ)アクリル酸及びそのアルカリ金属塩やアンモニウム塩、(メタ)アクリルアミドである。(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、ルビジウム塩等が用いられるが、得られる吸収性樹脂の性能、工業的入手の容易さ、安全性等の面からナトリウム塩またはカリウム塩が好ましい。
【0011】
これらの水溶性不飽和単量体は、水溶液中の単量体濃度が通常20重量%以上、好ましくは25%重量以上〜飽和濃度となるように用いられる。又、前記のイオン性単量体、例えば(メタ)アクリル酸、アクリルアミド−2−エチルスルホン酸等は、その少なくとも一部がアルカリ金属水酸化物や水酸化アンモニウム等で中和された形、即ち塩の形で使用するのが好ましい。中和の程度は通常20〜100モル%、好ましくは30〜100モル%である。
【0012】
これらの水溶性不飽和単量体、特にアクリル酸系単量体は、架橋剤を併用しなくても重合時にある程度の自己架橋が生じて吸収性樹脂を与えるが、吸液諸性能のバランスを取るには、前記の水溶性不飽和単量体に架橋剤を併用することが好ましい。架橋剤としては、2個以上のエチレン性不飽和結合を有する単量体や、前記のエチレン性不飽和単量体の有する官能基と反応する官能基を2個以上有する化合物が挙げられる。
【0013】
2個以上のエチレン性不飽和結合を有する単量体としては、(a)ポリオールのジ又はトリ(メタ)アクリル酸エステル類、例えばポリオールがエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリグリセリン等であるもの、(b)前記(a)において、不飽和酸が(メタ)アクリル酸以外のもの、例えばマレイン酸、フマール酸等であるもの、(c)ビスアクリルアミド類、例えばN,N’−メチレンビスアクリルアミド等、(d)ポリエポキシドと(メタ)アクリル酸を反応させて得られるジ又はトリ(メタ)アクリル酸エステル類、(e)ポリイソシアネートと(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルを反応させて得られるジ(メタ)アクリル酸カルバミルエステル類、例えばポリイソシアネートがトリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等であるもの、(f)多価アリル化合物、例えばアリル化デンプン、アリル化セルロース、ジアリルフタレート、テトラアリロキシエタン、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ジエチレングリコールジアリルエーテル、トリアリルトリメリテート等が挙げられる。
これらの中でも、本発明では、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド等が好ましい。
【0014】
水溶性不飽和単量体の官能基と反応する官能基を2個以上有する化合物としては、例えばジグリシジルエーテル化合物、ハロエポキシ化合物、イソシアネート化合物等が挙げられる。これらの中では、特にジグリシジルエーテル化合物が好ましい。
ジグリシジルエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ポリグリセリンジグリシジルエーテル等が挙げられる。この中でもエチレングリコールジグリシジルエーテルが好ましい。
ハロエポキシ化合物としてはエピクロロヒドリン、β−メチルエピクロロヒドリン等が、イソシアネート化合物としては2,4−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
これらの架橋剤の使用量は、水溶性不飽和単量体に対して通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下である。
【0015】
本発明に使用する陰イオン性界面活性剤は、一般式(1)で表される陰イオン性界面活性剤である。
【化3】
Figure 2005047977
一般式(1)中、Mは水素原子、アルカリ金属、第4級アンモニウム塩又は第4級アミン塩を示すが、溶解性の面から第4級アンモニウム塩又は第4級アミン塩が好ましい。又、mは1〜60の整数であり、20〜40であるのが好ましい。 更に、nは1〜30の整数を示すが、2〜20であるのが好ましい。
上記陰イオン性界面活性剤は、疎水性有機溶媒中に加えても、単量体水溶液中に加えてもよいが、比較的低い曇点(50℃以下)を有する為、疎水性有機溶媒中に含有させるのが好ましい。
【0016】
この場合、単量体水溶液中には、ポリマー粒子の分散安定性を向上させる為に一般式(2)
R−SOM (2)
で表される陰イオン性界面活性剤を含有させるのが好ましい。
【0017】
一般式(2)中、Mは水素原子、アルカリ金属、第4級アンモニウム塩又は第4級アミン塩を示すが、工業的な入手の面からアルカリ金属が好ましい。Rは炭素原子数が8〜30のフェニル基で置換されてもよいアルキル基又はアルケニル基、あるいはアルキル基で置換されてもよいアリール基を示すが、工業的な入手し易さの点で炭素原子数が8〜23のアルキル基又はアルケニル基、あるいはモノアルキルフェニル基であることが好ましい。
【0018】
Rの例としては、ジイソプロピルナフチル基、ジイソブチルナフチル基、ジスチレン化フェニル基、ドデシルフェニル基、ノニルフェニル基、オクチルフェニル基、オクタデシル基、オクタデセニル基、ヘキサデシル基、ヘキサデセニル基、テトラデシル基、テトラデセニル基、ラウリル基、ドデセニル基、デシル基、デセニル基、オクチル基及びオクテニル基等が好ましいものとして挙げられる。
【0019】
一般式(1)で表される陰イオン性界面活性剤は、陰イオン性部分に、エチレンオキサイド付加物及びプロピレンオキサイド付加物を有するエーテル化合物であるが、エチレンオキサイド単位のみと比べてプロピレンオキサイド単位は親油性が高い為に、疎水性有機溶媒に対する溶解性が向上しており、一般式(2)で表される陰イオン性界面活性剤の親油性基との相互作用により、本発明の逆相懸濁重合時のポリマー粒子の分散安定性に寄与しているものと推測される。
【0020】
一般式(1)で表される陰イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシプロピレン・ポリオキシエチレングリコール硫酸エステル、ポリオキシプロピレン・ポリオキシエチレングリコール硫酸エステルリチウム塩、ポリオキシプロピレン・ポリオキシエチレングリコール硫酸エステルナトリウム塩、ポリオキシプロピレン・ポリオキシエチレングリコール硫酸エステルカリウム塩、ポリオキシプロピレン・ポリオキシエチレングリコール硫酸エステルアンモニウム塩、ポリオキシプロピレン・ポリオキシエチレングリコール硫酸エステルモノエタノールアミン塩等が挙げられる。
これらのうち、ポリオキシプロピレン・ポリオキシエチレングリコール硫酸エステルアンモニウム塩又はポリオキシプロピレン・ポリオキシエチレングリコール硫酸エステルモノエタノールアミン塩が好ましく、工業的な入手の容易さからは、プロピレンオキサイド付加モル数が35、30又は21で、エチレンオキサイド付加モル数が12、5又は3のものを好ましく用いることができる。
【0021】
また一般式(2)で表される陰イオン性界面活性剤としては、例えばジイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジイソブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジスチレン化フェニルスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸リチウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム、ノニルフェニルスルホン酸ナトリウム、オクチルフェニルスルホン酸ナトリウム、オクタデセンスルホン酸ナトリウム、ヘキサデセンスルホン酸ナトリウム、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、ドデセンスルホン酸ナトリウム、デセンスルホン酸ナトリウム、オクテンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
これらのうち、工業的入手の容易さから、ジイソブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタデセンスルホン酸ナトリウム、ヘキサデセンスルホン酸ナチリウム、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、ドデセンスルホン酸ナトリウム、デセンスルホン酸ナトリウム、オクテンスルホン酸ナトリウム等が好ましく、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
【0022】
本発明においては、一般式(1)で表される陰イオン性界面活性剤を、更に一般式(2)で表される陰イオン性界面活性剤を、疎水性有機溶媒及び単量体水溶液中に含ませることにより、特に蛋白質や血球成分、組織分解物等を含む血液に対する吸収特性が改善され、ハジキ等が抑制された吸収性樹脂が得られる。
【0023】
本発明の特定の陰イオン性界面活性剤は、疎水性有機媒体中及び単量体水溶液中に、それぞれ0.01〜5重量%含有させるが、前者中では0.05〜2重量%、後者中では0.1〜3重量%含有させるのが好ましい。かかる範囲の含有量であれば、所望の分散効果が得られ、生成した樹脂粒子を乾燥させる時に凝集を起こすことを防ぐことができる。
【0024】
水溶性不飽和単量体を主体とする水溶液中の陰イオン性界面活性剤は、必要に応じ、得られる吸水性樹脂粒子の表面構造をより複雑に制御する目的で、さらに別の陰イオン性界面活性剤、及び/又は非イオン性界面活性剤を併用することもできる。
【0025】
かかる陰イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムの様なポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルリン酸エステルの様なポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ジアルキルスルホこはく酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステルの様なポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルリン酸エステルの様なポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルリン酸エステル等が挙げられる。
【0026】
また非イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオクタデシルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0027】
更に、水溶性不飽和単量体を主体として含む水溶液中に、吸収性樹脂粒子の表面構造をより複雑に制御する目的で、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸又はそのソーダ塩、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子化合物を少量添加してもよい。
【0028】
前記逆相懸濁重合に際しては、ラジカル重合開始剤を用いることが好ましく、かかるラジカル重合開始剤としては、常用の水溶性ラジカル重合開始剤を用いることができる。そのいくつかを例示すると、(a)過酸化水素、(b)過硫酸塩、例えば過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム及び過硫酸アンモニウム等、(c)アゾ系開始剤、例えば2,2’−アゾビスー(2−アミノジプロパン)2塩酸塩、2,2’−アゾビス−(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)2塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}等が挙げられる。これらの水溶性ラジカル開始剤は、単独でも混合してでも使用することができる。又、過酸化水素、過硫酸塩は、例えば亜硫酸塩、L−アスコルビン酸等の還元性物質やアミン塩等を組み合わせてレドックス系の開始剤としても使用できる。これらの重合開始剤は、水溶性エチレン性不飽和単量体に対して、0.001〜5重量%、特に0.01〜1重量%の範囲で用いるのが適当である。
【0029】
逆相懸濁重合の反応媒体である疎水性有機溶媒としては、基本的に水に溶け難く、重合に不活性であればいかなるものも使用できる。そのいくつかを例示すると、(a)脂肪族炭化水素、例えばn−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等、(b)脂環族炭化水素、例えばシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等、(c)芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。疎水性有機溶媒は水より低沸点で且つ水と共沸混合物を形成するものが好ましい。通常は、n−ヘキサン、n−ヘプタン又はシクロヘキサン等が用いられる。
【0030】
疎水性有機溶媒は、水溶性不飽和単量体水溶液に対して、通常0.5〜10重量倍となるように用いられるが、0.8〜3重量倍用いるのが好ましい。疎水性有機溶媒の比率が小さすぎると、界面活性剤が存在していても樹脂粒子が凝集し易くなり、所望の粒径の吸収性樹脂を得るのが困難になる。逆に、この比率が大きすぎると生産性が低下する。
【0031】
本発明の油中水滴型の逆相懸濁重合時には、分子中に少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を含有するポリ酸性アミノ酸を、水溶性不飽和単量体に併用することが好ましい。さらにエチレン性不飽和結合を含有しないポリ酸性アミノ酸を共存させることができる。
かかるポリ酸性アミノ酸の吸収性樹脂への導入により、更に吸血性能を向上させることが可能である。
【0032】
分子中に少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を含有するポリ酸性アミノ酸としては、特に制限されるものではないが、例えば末端基としてマレイミド末端基を有するポリこはく酸イミドの加水分解物(a)、及びポリ酸性アミノ酸と、分子内にエチレン性不飽和結合及びポリ酸性アミノ酸と反応可能な官能基を有する化合物とを反応させて得られる化合物(b)等が挙げられる。
【0033】
かかるマレイミド末端基を有するポリこはく酸イミドは、例えば、無水マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸等とアンモニアを加熱反応させ、マレイミドもしくはマレアミド酸を経ることにより得ることができる。
マレイミド末端基を有するポリこはく酸イミドの加水分解物(a)は、上記で得られたポリこはく酸イミドを、通常アルカリ水溶液を加えて、加水分解することにより得られる。この時の反応温度は、好ましくは0〜100℃、より好ましくは20〜95℃の範囲である。
【0034】
かかるアルカリ水溶液に使用するアルカリ化合物としては、アルカリ金属化合物、及び/又はアルカリ土類金属化合物が挙げられる。アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物としては、水酸化物又は炭酸塩が代表的なものとして挙げられ、例えばLiOH、NaOH、KOH、Mg(OH)、Ca(OH)、LiCO、NaCO、KCO、MgCO、CaCO等が挙げられるが、通常は、NaOHもしくはKOHが用いられ、それらの化合物の0.1〜40%水溶液を用いることが好ましい。又、アルカリ化合物の使用量は、イミド環基1つに対して、0.4〜1.0モルを用いることが好ましい。
【0035】
またマレイミド末端基を有するポリこはく酸イミドの加水分解物(a)は、pHを調整する目的で、塩酸、硫酸、燐酸等のプロトン酸により中和を行ってもよい。
【0036】
他方、ポリ酸性アミノ酸と、分子内にエチレン性不飽和結合及びポリ酸性アミノ酸と反応可能な官能基を有する化合物とを反応させて得られる化合物(b)の製造方法を具体的に説明する。
ポリ酸性アミノ酸としては、ポリアスパラギン酸及びポリグルタミン酸で代表されるが、これらの化合物は直鎖状構造であっても分岐状構造であってもよい。
更に、ポリ酸性アミノ酸の基本骨格中に、アミド結合、及びグルタミン酸、アスパラギン酸以外のアミノ酸単位を含んでもよい。
【0037】
本発明に使用するポリ酸性アミノ酸は、ポリ酸性アミノ酸及びその塩を意味する。ポリ酸性アミノ酸の塩としては、上記ポリ酸性アミノ酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等が挙げられる。アルカリ金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、ルビジウム塩等が挙げられ、アルカリ土類金属塩としては、カルシウム塩、マグネシウム塩等が挙げられる。
【0038】
分子内にエチレン性不飽和結合及びポリ酸性アミノ酸と反応可能な官能基を有する化合物(b)は、特に制限されないが、本発明においては、例えば下記一般式(3)で表される化合物であることが好ましい。
【0039】
R1−Q−0−CO−(R2)C=CH (3)
式中、R1はアミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、カルボジイミド基、オキサゾリン基、イミノ基、イソシアネート基からなる群より選ばれる少なくとも1種類の基を示すものである。またQは炭素原子数が1〜10のアルキレン基を示し、R2は水素原子又は炭素原子数が1〜4のアルキル基を示すものである。
【0040】
前記一般式(3)で表される化合物としては、例えばグリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、2−メタクロイルオキシエチルイソシアネート、2−イソシアネートメチルアクリレート等が挙げられる。
【0041】
ポリ酸性アミノ酸と、分子内にエチレン性不飽和結合及びポリ酸性アミノ酸と反応可能な官能基を有する化合物とを反応させて得られる化合物(b)の製造方法としては、特に制限されるものではなく、エチレン性不飽和結合が重合等の変化を起こさないように保護された条件下で、ポリ酸性アミノ酸と反応可能な官能基をポリ酸性アミノ酸と反応できるものであれば、いかなる製造方法を用いてもよい。
【0042】
更に、前記エチレン性不飽和結合を含有しないポリ酸性アミノ酸としては、前記したポリアスパラギン酸及びポリグルタミン酸又はその誘導体等が適用可能であり、例えばエチレン性不飽和結合を含有しない末端基を有するポリこはく酸イミドの加水分解物等が挙げられる。
【0043】
分子中に少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を含有するポリ酸性アミノ酸、又はさらにエチレン性不飽和結合を含有しないポリ酸性アミノ酸を、本発明の油中水滴型の逆相懸濁重合時に疎水性有機溶媒中に適用する方法としては、特に制限されるものではないが、(1)予め加水分解した分子内に少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を含有するポリ酸性アミノ酸、又はエチレン性不飽和結合を含有しないポリ酸性アミノ酸の水溶液を水溶性不飽和単量体の水溶液と予め混合した後に、添加する方法;(2)水溶性不飽和単量体の水溶液と同時に、添加する方法;(3)水溶性不飽和単量体の水溶液を添加した後、添加する方法等が挙げられる。
【0044】
これらのいずれの方法でもよいが、系の安定性がより保持できる点で、(3)の方法が好ましい。水溶性不飽和単量体の水溶液を添加した後、分子内に少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を含有するポリ酸性アミノ酸、又はエチレン性不飽和結合を含有しないポリ酸性アミノ酸の水溶液を添加する場合は、この水溶液をそのまま添加するか、又はこれらの分子内に少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を含有するポリ酸性アミノ酸、又はエチレン性不飽和結合を含有しないポリ酸性アミノ酸の水溶液に界面活性剤を溶解させた不活性溶媒を加え、攪拌分散させた後、添加する。樹脂粒子同士が凝集を起こすこともなく、重合安定性が良好になることから、後者の添加方法がより好ましい。この時分子内に少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を含有するポリ酸性アミノ酸、又はエチレン性不飽和結合を含有しないポリ酸性アミノ酸の水溶液に溶解させる界面活性剤は、特に制限されず、前記の逆相懸濁重合法に使用する特定の陰イオン性界面活性剤の1種又は2種以上を混合してもよいし、別の陰イオン性界面活性剤を用いることもできる。
【0045】
次に、本発明の吸収性樹脂粒子の好ましい製造方法を具体的に説明する。
すなわち、前記一般式(1)で表される陰イオン性界面活性剤を含む疎水性有機溶媒中に、前記一般式(2)で表される陰イオン性界面活性剤及び水溶性不飽和単量体を含む水溶液と、ラジカル重合開始剤、好ましくはさらに分子内に少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有するポリ酸性アミノ酸、又はエチレン性不飽和結合を含有しないポリ酸性アミノ酸とを供給して、油中水滴型逆相懸濁重合させて得た重合体粒子に、表面架橋処理を施すことにより、高吸水性樹脂粒子を製造する方法である。
【0046】
本発明に適用する油中水滴型逆相懸濁重合は、前記一般式(1)で表される陰イオン性界面活性剤を含む疎水性有機溶媒中に、前記一般式(2)で表される陰イオン性界面活性剤を含んだ水溶性不飽和単量体を主体とする水溶液を供給して、油中に水溶液を液滴状に分散させて重合させることにより行うものである。
【0047】
上記重合反応は水溶性不飽和単量体を主体とする水溶液を、予め重合条件下に維持した疎水性有機媒体中に、分割して逐次供給するものである。
水溶性不飽和単量体を主体とする水溶液の全量を供給してから重合反応を開始する方法では、樹脂固定性が改良された顆粒状の吸収性樹脂粒子を製造し得る操作範囲が狭くなるだけでなく、重合による発熱の除去が困難となる。
【0048】
分割して逐次供給する具体的な方法は、水溶性不飽和単量体を主体とする水溶液の一部、通常は1〜25重量%を先ず疎水性有機溶媒中に供給して重合を開始させ、この化合物の重合がある程度進行してから残りの水溶性不飽和単量体を主体とする水溶液を逐次供給しつつ重合を行わせるものである。
【0049】
また上記の方法以外の方法として、予め重合条件下に維持した疎水性有機溶媒中に最初から水溶性不飽和単量体を主体とする水溶液を逐次供給しながら、同時に重合を進行させるようにしてもよい。
【0050】
これらの方法を実施するに際し、水溶性不飽和単量体を主体とする水溶液として、水溶性不飽和単量体を主体とする水溶液と疎水性有機溶媒の一部との混合物を用い、この混合物を残りの疎水性有機溶媒中に供給するようにしてもよい。
水溶性不飽和単量体を主体とする水溶液の供給は、通常は全重合時間の20%以上の時間、好ましくは40%以上の時間に亘って行う。
【0051】
水溶性不飽和単量体を主体とする水溶液の供給は、通常、定速度で行うが、所望ならば途中で供給速度を変化させてもよく、更に途中で供給を一時的に中断することもできる。この方法は、本発明の吸収性樹脂粒子を製造するための好ましい態様の一つである。
【0052】
重合温度は、ラジカル重合開始剤にもよるが、通常は40〜150℃で行われる。高温に過ぎると自己架橋が進行し生成する樹脂粒子の吸液能が低下する。逆に低温に過ぎると重合に長時間を要するばかりでなく、突発的な重合を引き起して塊状物を生成する恐れがある。好適な重合温度は60〜90℃である。この場合、特に不活性溶媒の還流条件下で重合を行うのが好ましい。
【0053】
逆相懸濁重合における撹拌条件のうち、撹拌回転数は、用いる撹拌翼の種類、重合反応槽のスケールによってその絶対値は異なってくるので一義的には示すことが出来ないが、攪拌速度が重合体粒子の平均粒子径に影響すること、及び本発明の目的を達成するためには、その平均粒子径が100μm〜1000μmの範囲であることが好ましいことから、通常100〜1000rpmの範囲の撹拌回転数であることが好ましく、200〜1000rpmの範囲であることがより好ましい。この範囲の撹拌回転数で、撹拌翼の種類、攪拌動力を適宜選択することにより、一次粒子が融着した構造を有する吸収性樹脂粒子を得ることができる。
【0054】
上記の逆相懸濁重合法により、含水ゲル、過剰の界面活性剤及び疎水性有機溶媒からなるスラリー状の混合物が生成される。このスラリー状混合物は、公知の方法、例えば直接脱水或いは疎水性有機溶媒との共沸脱水を経て、乾燥、篩等を経る方法により、ゲル状の吸収性樹脂粒子を得ることができる。
【0055】
本発明に使用する吸収性樹脂粒子は、上記で得られる吸収性樹脂粒子に、表面架橋剤を用いて、その粒子の表面近傍を架橋反応させることにより、尿や血液等に対する浸透圧を一層高めることができる。
【0056】
かかる表面架橋剤としては、吸収性樹脂粒子の表面近傍の官能基と反応可能な2個以上の官能基を有する化合物が挙げられる。また吸収用物品等に使用した場合、粒子の表面に残存するため、人体に対して安全性の高いものが好ましい。
【0057】
そのような化合物としては、例えば、ポリアミンやポリグリシジルエーテル等の2個以上のカルボキシル基(カルボキシレート基)と反応し得る反応性基を有する化合物、及びγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランといったシランカプリング剤、シラノール縮合触媒であるジブチル錫ジラウリレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクトエート等、グリシジルメタクリレート等の反応性基を有するエチレン性不飽和化合物が挙げられ、これらを1種または2種以上用いることができる。
【0058】
上記の吸収性樹脂粒子の表面架橋は、逆相懸濁重合後に膨潤したビーズ状の粒子から、共沸脱水又は加熱等の適当な方法により直接脱水することにより、所定の含水率まで乾燥せしめた粉末状の樹脂と表面架橋剤とを混合することにより行うことができる。この時、樹脂と表面架橋剤とを均一に混合させるために、水及び親水性溶媒を使用することが好ましい。更に、樹脂の表面濡れ性向上の為に、これらの溶媒中にHLBの高い非イオン性界面活性剤又は陰イオン性界面活性剤を少量添加してもよい。水及び親水性溶媒は、樹脂100重量部に対して、水を50重量部以下で、親水性溶媒を60重量部以下混合して用いてもよい。
【0059】
上記親水性溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、およびイソブタノールのような低級アルコール類、アセトン、およびメチルエチルケトンのようなケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、およびジエチルエーテルのようなエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミドおよびN,N−ジエチルホルムアミドのようなアミド類およびジメチルスルホキシドのようなスルホキシド類等が挙げられる。
【0060】
樹脂と表面架橋剤との混合方法は、特に制限されず、例えば公知の混合装置を用いることができる。
公知の混合装置としては、例えば円筒型混合機、二重壁円錐型混合機、高速攪拌型混合機、V字型混合機、リボン型混合機、スクリュー型混合機、流動型炉ロータリーデスク型混合機、気流型混合機、双腕型ニーダー、内部混合機、粉砕型ニーダー、回転式混合機、スクリュー型押出機等の混合装置等を挙げることができる。これらの混合装置で混合するには、樹脂を攪拌しながら表面架橋剤を添加することが好ましく、さらに表面架橋剤を噴霧しながら添加することがより好ましい。
【0061】
表面架橋の際の加熱時間は、加熱温度により適宜選択されるが、熱劣化を起こさずに吸収性能の高い吸収性樹脂粒子を得るためには、60℃〜300℃の温度で、5分から100時間以下であることが好ましい。
【0062】
加熱装置としては、特に限定はしないが、通常、乾燥機又は加熱炉を用いることができる。具体的には、例えば、溝型混合乾燥機、ロータリー乾燥機、ディスク乾燥機、流動層乾燥機、気流型乾燥機、赤外線乾燥機、減圧乾燥機等が挙げられる。
【0063】
本発明で得られる樹脂固定性が改良された吸収性樹脂を用いることにより、構成体基材であるパルプ等にしっかりと固定され、使用中における吸収性能の変化が少ない紙オムツや生理用品等の吸収性物品を作成することができる。
【0064】
特に、血液吸収性物品は、例えば、生理用ナプキン、タンポン、医療用血液吸収シート、ドリップ吸収剤、創傷保護材、創傷治癒材、手術用廃液処理剤等の血液吸収特性が要求される物品が挙げられる。又、血液と同様にタンパク質を含む水、例えば、牛乳、母乳、おりもの等に対しても優れた吸収特性を示す他、従来の吸水性材料と同様の尿、海水、セメント水、土壌水、肥料含有水、雨水、排水等に対しても優れた吸収特性を有するため、その適用分野は広範囲である。
【0065】
【実施例】
以下、本発明を実施例と比較例により、一層、具体的に説明する。以下において、%は、特にことわりのない限り、全て重量基準である。尚、樹脂の諸性質は以下に概略を示した方法で測定した。
【0066】
[平均粒子径の測定方法]
後記実施例で得られた吸収性樹脂粒子を、目開き16メッシュ(1000μm)、30メッシュ(500μm)、100メッシュ(150μm)、140メッシュ(106μm)、235メッシュ(63μm)のふるい(JIS−Z8801)、受け皿の順に組み合わせ、最上のふるいに約20g入れ、充分振とうさせた。各ふるいに残った樹脂粒子の重量を秤量し、全重量を100%として、重量分率より粒径分布を求め、重量基準の50%粒子径を平均粒子径とした。
【0067】
[血液吸引量の測定方法]
内径95mmのシャーレ中の馬脱繊血(株式会社日本生物材料センターより入手)20mlに浸した15枚重ねのトイレットペーパー(55mm×75mm)上に、後記実施例で得られた吸収性樹脂粒子約1gを加え、5分間吸液させた後、樹脂の膨潤ゲルを採取してその重量を測定した。吸液後の膨潤ゲルの重量を、吸液前の樹脂粒子の重量で除して、血液吸引量(g/g)を算出した。
【0068】
[血液吸収速度、及び血液に対する親和性の測定方法]
内径70mmのシャーレ中に、後記実施例で得られた吸収性樹脂粒子約0.5gを均一に散布し、次いで、馬脱繊血2.5mlを加えた時、血液が樹脂粒子中に吸収されるまでの時間を血液吸収速度とした。又、この時の樹脂粒子と血液の親和性を目視で観察し、血液が殆ど樹脂粒子全体に浸透する場合を「親和性あり」、血液を散布した際に、血液が樹脂を押しのけたり、上部に乗ったまま殆ど浸透しない場合を「親和性なし」と判定した。
【0069】
《参考例1》ポリこはく酸イミドの製造例
攪拌装置、温度計、還流装置、窒素ガス吹き込み装置を装着した1Lの4つ口フラスコに、無水マレイン酸96g、イオン交換水50gを加えた。その後、55℃に加温して無水マレイン酸を溶解させた後、一旦冷却して無水マレイン酸のスラリーを得た。再度系内を加温し、55℃になったところで、28%アンモニア水60.8gを添加した。その後、系内の温度を80℃に加温した。そして3時間反応させた後、得られた水溶液を乾燥して反応中間体を得た。
次に、2Lのナスフラスコにこの反応中間体100g及び85%リン酸10gを仕込み、エバポレーターを用い、オイルバス浴温200℃、減圧下に4時間反応させた。得られた生成物を水及びメタノールで数回洗浄した。得られたポリこはく酸イミドをGPCで測定した結果、重量平均分子量は3000であった。
【0070】
《参考例2》ポリこはく酸イミドへのメタクリロイル基の導入例
攪拌装置、温度計、還流装置、窒素ガス吹き込み装置を装着した500mlの4つ口フラスコに、水酸化ナトリウム20.6gを溶解させた水溶液75gを加えた後、参考例1で得たポリこはく酸イミドの粉末50gを添加することにより、ポリこはく酸イミドの水溶液を得た。次いで、温度を90℃に昇温後、グリシジルメタクリレート5.0gを加え、反応を1時間行うことにより、メタクリロイル基を導入したポリこはく酸イミドの加水分解物を含有する水溶液を得た。
【0071】
《実施例1》
500mlの三角フラスコにアクリル酸30gを加え、外部より冷却しつつ水酸化ナトリウム8.33gを溶解した水酸化ナトリウム水溶液77.3gを滴下してアクリル酸の50モル%を中和した。この液に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの20%水溶液5.25gを添加し溶解した。更に、この液にN,N’−メチレンビスアクリルアミド0.047g、過硫酸アンモニウム0.1gを加えて溶解した。
【0072】
これとは別に、攪拌装置、温度計、還流装置、窒素ガス吹き込み装置を装着した500mlの4つ口フラスコに、シクロヘキサン164gを加え、これにハイテノールLF−710(ポリオキシプロピレンポリオキシエチレングリコール硫酸エステルアンモニウム塩、平均プロピレンオキサイド付加モル数:35、平均エチレンオキサイド付加モル数:5、第一工業製薬株式会社製)0.41gを添加して500rpmで撹拌しながら分散させた。次に、フラスコを窒素置換した後、75℃に昇温し、上記で調製したアクリル酸水溶液を60分間で滴下した。滴下後、参考例2で得られたメタクリロイル基を導入したポリアスパラギン酸水溶液7.8gを一括添加した。次いで70〜75℃で3時間保持した後、シクロヘキサンとの共沸によって生成した樹脂の含水率が10%になるまで脱水を行った。尚、攪拌は500rpmの回転数で一定して行った。反応終了後、デカンテーションでシクロヘキサン相を分離し、続いて得られた含水樹脂粒子から減圧乾燥により水を除去し、重合体粉末を得た。フラスコ内壁及び攪拌翼に付着した樹脂量は約1.9gであった。
【0073】
500mlフラスコに得られた重合体粒子30gを秤量し、そこへアセトン1.2g、イオン交換水2.1g、グリシジルメタクリレート0.09g、過硫酸アンモニウム0.09gからなる混合溶液と、親水性シリカ(日本アエロジル株式会社製、200CF)0.3gを均一散布してよく混合した。得られた含水樹脂粒子を金属バットに広げて、108℃で1時間減圧乾燥することにより樹脂粒子の表面架橋を行った。得られた吸収性樹脂の顕微鏡観察を行ったところ、球状の1次粒子が融着した顆粒状粒子であった。本発明の吸収性樹脂の特性評価結果を表1に示した。実施例1で得た吸収性樹脂は、平均粒子径が大きく、血液吸引能力(吸引量、吸収速度)に優れ、血液に対して親和性を有することが判る。
【0074】
《実施例2》
N,N’−メチレンビスアクリルアミド量を0.141gに増加させた以外は実施例1と同様の操作により吸収性樹脂粒子を得た。逆相懸濁重合終了後のフラスコ内壁及び攪拌翼に付着した樹脂量は約1.4gであった。得られた吸収性樹脂粒子の顕微鏡観察を行ったところ、一次粒子が融着した構造を有していた。本発明の吸収性樹脂の特性評価結果を表−1に示した。実施例2で得た吸収性樹脂は、平均粒子径が大きく、血液吸引能力に優れ、血液に対して親和性を有することが判る。
【0075】
《実施例3》
アクリル酸の水酸化ナトリウム中和水溶液に、ヘキサデセンスルホン酸ナトリウム/テトラデセンスルホン酸ナトリウム(等モル混合物)の40%水溶液2.63gを加えた以外は、実施例1と同様の操作により吸収性樹脂を得た。逆相懸濁重合終了後のフラスコ内壁及び攪拌翼に付着した樹脂量は約2.3gであった。得られた吸収性樹脂粒子の顕微鏡観察を行ったところ、一次粒子が融着した構造を有していた。本発明の吸収性樹脂の特性評価結果を表−1に示した。実施例3で得た吸収性樹脂は、平均粒子径が大きく、血液吸引能力に優れ、血液に対して親和性を有することが判る。
【0076】
《実施例4》
参考例2で得られたメタクリロイル基を導入したポリアスパラギン酸水溶液の代わりに、メタクリロイル基を導入する以前のポリこはく酸イミドの粉末を溶解させただけのポリアスパラギン酸の水溶液7.8gを一括添加した以外は、実施例1と同様の操作により吸収性樹脂を得た。逆相懸濁重合終了後のフラスコ内壁及び攪拌翼に付着した樹脂量は約1.7gであった。得られた吸収性樹脂粒子の顕微鏡観察を行ったところ、一次粒子が融着した構造を有していた。本発明の吸収性樹脂の特性評価結果を表−1に示した。実施例4で得た吸収性樹脂は、平均粒子径が大きく、血液吸引能力に優れ、血液に対して親和性を有することが判る。
【0077】
《比較例1》
500mlの三角フラスコにアクリル酸30gを加え、外部より冷却しつつ水酸化ナトリウム8.33gを溶解した水酸化ナトリウム水溶液77.3gを滴下してアクリル酸の50モル%を中和した。この液にN,N’−メチレンビスアクリルアミド0.047gを添加し、更に過硫酸アンモニウム0.1gを加えて溶解した。
【0078】
これとは別に、攪拌装置、温度計、還流装置、窒素ガス吹き込み装置を装着した500mlの4つ口フラスコに、シクロヘキサン164gを加え、エマール20C(ポリオキシエチレンドデシルエーテル硫酸エステルナトリウム塩25%水溶液、花王製) 1.64gを添加して500rpmの回転数で撹拌しながら分散させた。次に、フラスコを窒素置換した後、75℃に昇温し、上記で調製したアクリル酸水溶液を60分間で滴下した。
【0079】
次いで70〜75℃で3時間保持した後、シクロヘキサンとの共沸によって生成した樹脂粒子の含水率が10%になるまで脱水を行った。尚、攪拌は500rpmの回転数で一定のまま行った。反応終了後、デカンテーションでシクロヘキサン相を分離し、続いて含水樹脂粒子有から減圧乾燥により水を除去し、重合体粉末を得た。フラスコ内壁及び攪拌翼に付着した樹脂量は約3.4gであった。
【0080】
500mlフラスコに得られた重合体粒子30gを秤量し、実施例1と同様の操作により表面架橋処理を行った。得られた吸水性樹脂粒子の顕微鏡観察を行ったところ一次粒子が融着した顆粒状構造を有していたが、表−1に示すように、平均粒子径は大きいものの、優れた血液吸収能力を得ることは出来なかった。
【0081】
《比較例2》
500mlの三角フラスコ中で、水中に、プライサーフA210G(ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルリン酸エステル、オキシエチレン基の平均重合度約7、第一工業製薬株式会社製)1.05gを添加し溶解した以外は、全く比較例1と同様にして、50モル%中和のアクリル酸水溶液を調整した。
【0082】
これとは別に、攪拌装置、温度計、還流装置、窒素ガス吹き込み装置を装着した500mlの4つ口フラスコに、シクロヘキサン164gを加え、これにHLBが4.7のソルビタンモノステアレート0.41gを添加して500rpmで撹拌しながら分散させた。次に、フラスコを窒素置換した後、75℃に昇温し、上記で調整したアクリル酸水溶液を60分間で滴下した。
次いで70〜75℃で3時間保持した後、シクロヘキサンとの共沸によって生成した樹脂粒子の含水率が10%になるまで脱水を行った。尚、攪拌は500rpmの回転数で一定のまま行った。反応終了後、デカンテーションでシクロヘキサン相を分離し、続いて含水樹脂粒子有から減圧乾燥により水を除去し、重合体粉末を得た。フラスコ内壁及び攪拌翼に付着した樹脂量は約2.8gであった。
【0083】
500mlフラスコに得られた重合体粒子30gを秤量し、実施例1と同様の操作により表面架橋処理を行った。得られた吸水性樹脂粒子の顕微鏡観察を行ったところ一次粒子が融着した顆粒状構造を有していたが、表−1に示すように、平均粒子径は大きいものの、優れた血液吸収能力を得ることは出来なかった。
【0084】
【表1】
Figure 2005047977
【発明の効果】
本発明の吸収性樹脂の製造方法により、釜付着量が少なく、平均粒子径が大きく、且つ樹脂固定性が改良された顆粒状の吸収性樹脂が安定に得られる。かかる吸収性樹脂は、血液の吸収特性に優れているだけではなく、タンパク質を含む水等の吸収性にも優れるので、生理用ナプキン、タンポン、医療用血液吸収性シート、ドリップ吸収剤等の血液、血液吸収特性等が要求される種々の用途に応用できる。

Claims (4)

  1. 一般式(1)
    Figure 2005047977
    (式中、Mは水素原子、アルカリ金属、第4級アンモニウム塩又は第4級アミン塩を示し、mは1〜60の整数であり、nは1〜30の整数である。)
    で表される陰イオン性界面活性剤の存在下に、疎水性有機溶媒にエチレン性不飽和結合を有する水溶性単量体を含有する水溶液を逐次供給して油中水滴型の逆相懸濁重合をさせることを特徴とする吸収性樹脂の製造方法。
  2. 前記一般式(1)で表される陰イオン性界面活性剤が、疎水性有機溶媒中に存在する請求項1記載の吸収性樹脂の製造方法。
  3. 前記エチレン性不飽和結合を有する水溶性単量体を含有する水溶液が、一般式(2)
    R−SOM (2)
    (式中、Rは炭素数8〜30のフェニル基で置換されていてもよいアルキル基又はアルケニル基、或いはアルキル基で置換されていてもよいアリール基を示し、Mは水素原子、アルカリ金属、第4級アンモニウム塩又は第4級アミン塩を示す。)
    で表される陰イオン性界面活性剤を含む請求項1又は2記載の吸収性樹脂の製造方法。
  4. 前記エチレン性不飽和結合を有する水溶性単量体を含有する水溶液が、分子内に少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有するか又は有しないポリ酸性アミノ酸を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性樹脂の製造方法。
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