JP2013007014A - スルホン酸ナトリウム基を有するポリマー微粒子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】スルホン酸ナトリウム基が多量に導入された狭い粒子径分布を有するナノメートルレベルのポリマー微粒子であって、水に溶解することなく、かつプロトン伝導性に優れ、固体燃料電池における膜−電極接合体(MEA)等に好適に用いられるスルホン酸ナトリウム基を有するポリマー微粒子を効率よく製造する方法を提供する。
【解決手段】乳化剤を含む有機溶媒中に、芳香環上にスルホン酸ナトリウム基が導入された芳香族ビニル系化合物と水溶性架橋剤とを含む水溶液を分散させて、水相/油相型の系を形成し、重合開始剤の存在下に逆相乳化重合を行うことを特徴とするスルホン酸ナトリウム基を有するポリマー微粒子の製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、スルホン酸ナトリウム基を有するポリマー微粒子の製造方法に関し、さらに詳しくは、スルホン酸ナトリウム基が多量に導入されたナノメートルレベルのポリマー微粒子であって、水に溶解することなく、かつプロトン伝導性に優れ、固体燃料電池における膜−電極接合体(MEA)等に好適に用いられるスルホン酸ナトリウム基を有するポリマー微粒子の製造方法に関するものである。
スルホン酸ナトリウム基を有するポリマー粒子は古くからカチオン交換樹脂として知られ、種々の分野で幅広く用いられている。このカチオン交換樹脂の場合、ポリマー粒子の粒子径は、通常数百μm程度であり、またスルホン酸ナトリウム基の導入量はせいぜい3モル%程度であった。このカチオン交換樹脂は、一般に耐水性を高めるために、架橋性単量体であるジビニルベンゼンとスチレンスルホン酸ナトリウムを懸濁重合や乳化重合させることにより製造されている。
一方、近年地球環境にやさしく、クリーンな発電システムとして燃料電池が注目されている。燃料電池は、電解質の種類によって、リン酸型、溶融炭酸塩型、固体酸化物型、固体高分子型等に分類される。これらのうち固体高分子型燃料電池は、低温作動性、小型軽量化などの観点から、電気自動車用電源やポータブル機器電源、さらに電気と熱を同時利用する家庭用コージェネレーションシステムなどへの適用が検討されている。
固体高分子型燃料電池は、一般に次のように構成される。まず、プロトン伝導性を有する電解質膜の両側に、白金属の金属触媒を担持したカーボン粉末と高分子電解質からなるプロトン伝導性バインダーとを含む触媒層がそれぞれ形成される。各触媒層の外側には、燃料ガス及び酸化剤ガスをそれぞれ通気する多孔性材料であるガス拡散層がそれぞれ形成される。ガス拡散層としてはカーボンペーパー、カーボンクロスなどが用いられる。触媒層とガス拡散層を一体化したものはガス拡散電極と呼ばれ、また一対のガス拡散電極をそれぞれ触媒層が電解質膜と向かい合うように電解質膜に接合した構造体は膜−電極接合体(MEA;Membrane Electrode Assembly)と呼ばれている。この膜−電極接合体の両側には、導電性と気密性を備えたセパレータが配置される。電極面に燃料ガス又は酸化剤ガス(例えば空気)を供給するガス流路が膜−電極接合体とセパレータの接触部分又はセパレータ内に形成されている。一方の電極(燃料極)に水素やメタノールなどの燃料ガスを供給し、他方の電極(酸素極)に空気などの酸素を含有する酸化剤ガスを供給して発電する。
すなわち、燃料極では燃料がイオン化されてプロトンと電子が生じ、プロトンは電解質膜を通り、電子は両電極をつなぐことによって形成される外部電気回路を移動して酸素極へ送られ、酸化剤と反応することで水が生成する。このようにして、燃料の化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換して取り出すことができる。
このような固体燃料電池に用いられる膜−電極接合体において、白金属の金属触媒を担持したカーボン粉末とプロトン伝導性バインダーを含む触媒層に、プロトン伝導性に優れるスルホン酸ナトリウム基を有するポリマー微粒子をスプレーなどの方法で、該触媒層に噴霧乾燥などしてスルホン酸ナトリウム基を有するプロトン伝導性に優れるナノレベルのポリマー微粒子の層を形成することにより、プロトン伝導性の優れる膜−電極接合体とすることができる。
前記のスルホン酸ナトリウム基含有ポリマー微粒子を、前記の固体燃料電池における膜−電極接合体に用いる場合、できるだけプロトン伝導性が高く(スルホン酸ナトリウム基の導入量が多く)、かつカーボン担持白金触媒における白金粒子の粒子径は、通常1〜30nmであるので、当該スルホン酸ナトリウム基含有ポリマー微粒子としては、できるだけ前記白金粒子の粒子径に近い粒子径を有するものが要求される。
しかしながら、スルホン酸ナトリウム基の量を高めるため、スルホン酸ナトリウム基含有モノマーの量を高めて共重合すると、スチレンスルホン酸ナトリウム基が非常に水に対して溶解性が高いため、ポリマー自体の水への溶解性が上がり、スチレンスルホン酸ナトリウム基を含む乳化共重合は、極めて不安定となり、スルホン酸ナトリウム基を高い濃度で含むポリマー微粒子を得ることはできなかった。
すなわち、スルホン酸ナトリウム基含有ポリマー粒子においては、いかにしてスチレンスルホン酸ナトリウム基の量を増加するかが重要となる。
一方、乳化重合法の一つである逆相乳化重合法(W/O型乳化重合法)は、各種の分野で利用されている。この逆相乳化重合法は、水溶性モノマーの重合に適しており、該モノマーを速い重合速度で重合し、高分子量のポリマー微粒子を形成し得ることが知られている。
このような逆相乳化重合法を用いた技術として、特許文献1に、(A)アクリルアミド、(B)アクリル酸、(C)(2−メタクリロイロキシエチル)トリメチルアンモニウムクロリド及び(D)(2−アクリロイロキシエチル)トリメチルアンモニウムクロリドの共重合体からなるポリマー微粒子の油中分散エマルションを逆相乳化重合により得る技術が開示されている。
特開2000−159969号公報
前記特許文献1に記載の技術によると、逆相乳化重合により製造される共重合体の原料モノマーは、いずれも水溶性の(メタ)アクリル系化合物であって、スチレンスルホン酸ナトリウムのような水溶性の芳香族系モノマーは用いられておらず、また、得られるエマルション粒子の径は最大10μmと大きく、ナノメートルレベルではない。このエマルションは、有機汚泥脱水剤の用途に有用であるとされている。
本発明は、このような状況下になされたもので、スルホン酸ナトリウム基が多量に導入された狭い粒子径分布を有するナノメートルレベルのポリマー微粒子であって、水に溶解することなく、かつプロトン伝導性に優れ、固体燃料電池における膜−電極接合体(MEA)等に好適に用いられるスルホン酸ナトリウム基を有するポリマー微粒子を効率よく製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、水溶性モノマーとして、芳香環上にスルホン酸ナトリウム基が導入された芳香族ビニル系化合物と水溶性架橋剤とを含む水溶液、及び有機溶媒を用いて逆相乳化重合を行うことにより、前記目的に適合し得るスルホン酸ナトリウム基を有するポリマー微粒子を効率よく製造し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、乳化剤を含む有機溶媒中に、芳香環上にスルホン酸ナトリウム基が導入された芳香族ビニル系化合物と水溶性架橋剤とを含む水溶液を分散させて、水相/油相型の系を形成し、重合開始剤の存在下に逆相乳化重合を行うことを特徴とするスルホン酸ナトリウム基を有するポリマー微粒子の製造方法、を提供するものである。
本発明によれば、スルホン酸ナトリウム基が多量に導入された狭い粒子径分布を有するナノメートルレベルのポリマー微粒子であって、水に溶解することなく、かつプロトン伝導性に優れ、固体燃料電池における膜−電極接合体(MEA)等に好適に用いられるスルホン酸ナトリウム基を有するポリマー微粒子を効率よく製造することができる。
キャピラリーを用いて、ポリマー微粒子の膨潤度を測定する方法の説明図である。 実施例1の実験番号ToB−1、ToB−2及びToB−3で得られたポリマー微粒子のTEM写真である。 実施例1の実験番号ToS−1、ToS−2及びToS−3で得られたポリマー微粒子のTEM写真である。 実施例2の実験番号ChB−1及びChB−2で得られたポリマー微粒子のTEM写真である。 実施例2の実験番号ChS−1及びChS−2で得られたポリマー微粒子のTEM写真である。 実施例3で得られた各ポリマー微粒子のTEM写真である。 実施例4で得られた各ポリマー微粒子のTEM写真である。 実施例5で得られた各ポリマー微粒子のTEM写真である。
本発明のスルホン酸Na基を有する(以下、「SO3Na基含有」と称することがある。)ポリマー微粒子の製造方法は、乳化剤を含む有機溶媒中に、芳香環上にスルホン酸ナトリウム基が導入された芳香族ビニル系化合物と水溶性架橋剤とを含む水溶液を分散させて、水相/油相型の系を形成し、重合開始剤の存在下に逆相乳化重合を行うことを特徴とする。
本発明における逆相(W/O型)乳化重合法は、連続相である油相中に、水相の微粒子を均質に分散させた状態で、該水相の微粒子中に含まれている、水溶性のSO3Na基含有芳香族ビニル系化合物と水溶性架橋剤とを共重合させる方法である。
(油相)
<有機溶媒>
当該逆相乳化重合法において、連続相の油相を形成する有機溶媒としては、芳香族炭化水素系溶媒や、脂環式炭化水素系溶媒が用いられる。芳香族炭化水素系溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどが挙げられ、これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよいが、これらの中ではトルエンが好ましい。また、脂環式炭化水素系溶媒としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、テトラリン、デカリンなどが挙げられ、これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよいが、これらの中ではシクロヘキサンが好ましい。
この油相には、乳化剤である界面活性剤の他に、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)などの油溶性重合開始剤を用いる場合は、該油溶性重合開始剤も含有される。したがって、有機溶媒としてトルエンとシクロヘキサンを比べた場合、後述の実施例で示されるように前記AIBNの溶解性が高いトルエンの方が有利である。
<界面活性剤>
当該逆相重合法においては、前記油相に含有させる乳化剤として用いられる界面活性剤は、形成されたエマルションの安定化のために、その種類の選択は極めて重要である。
この界面活性剤としては、(a)ソルビタンモノオレエート単独、(b)ソルビタンモノオレエートとポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートとの組合せ、又は(c)ソルビタンモノオレエートとポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルとの組合せ等が好適である。
界面活性剤として、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートを単独で用いた場合、油相の有機溶媒がトルエン又はシクロヘキサンのいずれであっても、エマルションは不安定で、極めて短時間(0.5時間以内)で凝集が生じる。これに対し、前記の(a)、(b)及び(c)の界面活性剤を用いた場合、油相の有機溶媒がトルエン又はシクロヘキサンのいずれであっても、エマルションは長時間(一週間以上)安定である。
この界面活性剤の含有量は、油相の有機溶媒100質量部に対して、通常6〜10質量部の範囲であり、好ましくは8質量部程度である。
なお、ソルビタンモノオレエートは「スパン80」、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートは「ツイーン80」、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルは「OP−10」として市販されている。
(水相)
<SO3Na基含有芳香族ビニル系化合物>
当該逆相乳化重合において、前記の連続相である油相中に、微粒子状に分散された水相には、水溶性モノマーであるSO3Na基含有芳香族ビニル系化合物が含有される。このSO3Na基含有芳香族ビニル系化合物としては、特に制限はなく、例えばスチレンスルホン酸ナトリウム、アルキルスチレンスルホン酸ナトリウム、α−アルキルスチレンスルホン酸ナトリウム、ビニルナフタレンスルホン酸ナトリウム、α−アルキルビニルナフタレンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。なお、芳香環上に導入されるスルホン酸ナトリウム基のビニル基に対する結合位置については特に制限はない。これらの中で、得られるポリマー微粒子の性能及び入手性の観点から、スチレンスルホン酸ナトリウム及び/又はα−メチルスチレンスルホン酸ナトリウムが好ましく、特にスチレンスルホン酸ナトリウム(NaSS)が好ましい。
水相中におけるSO3Na基含有芳香族ビニル系化合物の濃度は、逆相乳化重合においては、重要な要件の一つであり、例えばSO3Na基含有芳香族ビニル系化合物がNaSSである場合、NaSSの濃度は5〜20質量%の範囲が好ましく、この範囲にあれば重合がスムーズに安定的に進行し、得られる重合体微粒子の平均粒子径DP TEMを約40nmとすることができる。
<水溶性架橋剤>
当該逆相乳化重合においては、水相中に、前記のSO3Na基含有芳香族ビニル系化合物と共に、水溶性架橋剤が必須成分として含有される。この水溶性架橋剤は、得られるSO3Na基含有ポリマー微粒子に架橋構造を導入し、耐水性を向上させるために用いられるもので、N,N’−メチレンビスアクリルアミド(BAA)が好適である。
前記SO3Na基含有ポリマー微粒子の耐水性は、水に対する膨潤度εを測定することにより、評価することができる。したがって水相中の該水溶性架橋剤の濃度や、芳香環上にスルホン酸ナトリウム基が導入された芳香族ビニル系化合物に対する水溶性架橋剤の割合は、当該逆相乳化重合においては、重要な要件の一つである。
水溶性架橋剤がBAAで、前記芳香族ビニル系化合物がNaSSである場合、BAA/NaSS質量比は5/100〜20/100の範囲にあることが好ましい。また、水相中のBAA濃度は、0.3〜1.5質量%が好ましく、この範囲において、該BAAの濃度が増加すると共に、膨潤度は減少し、例えば後述の実施例において、BAA/NaSS質量比が5/20から20/100に増加すると、膨潤度は約27%から約18%に減少することが示されている。
また、逆相乳化重合においては、水相/油相比(W/O比)は、重要な要件の1つであり、質量比で5/50〜20/50であることが好ましく、8/50〜16/50であることがより好ましい。W/O比がこの範囲にあれば、逆相乳化重合がスムーズに進行し、得られるポリマー微粒子のDP TEMを、約40〜50nmとすることができる。
なお、前記膨潤度の測定方法については、後で説明する。
<水溶性重合開始剤>
当該逆相乳化重合においては、油相中に微粒子状に分散してなる水相中に、場合により水溶性重合開始剤、好ましくは過硫酸塩を含有させることができる。
具体的には、油相の構成成分である有機溶媒として、シクロヘキサンを用いた場合、シクロヘキサンはアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)などの油溶性重合開始剤の良溶媒ではないので、油相にAIBNを含む逆相モノマーエマルションを形成させるのは容易ではない。したがって、この場合水溶性重合開始剤を水相に適量溶解させて、逆相乳化重合を行うことがある。
前記過硫酸塩としては、過硫酸アンモニウム(APS)、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなどが挙げられるが、これらの中では過硫酸アンモニウムが好適である。
(逆相乳化重合方法)
次に、本発明で実施した逆相乳化重合方法の概要を、回分式(バッチ式)プロセス及び半連続式プロセスについて説明する。
<回分式プロセス>
油相及び水相を形成する成分全てを反応容器に投入し、通常の機械的撹拌によって均質化したのち、70℃の温度にて6時間逆相乳化重合を行う。
<半連続(セミ連続)プロセス>
まず、反応容器に油相を形成する成分全てを投入したのち、機械的撹拌下に70℃まで加熱し、この温度を維持しながら、これに水相を形成する成分を含む水溶液を、1時間以内に滴下し、さらに適当な時間逆相乳化重合を行う。
(逆相乳化重合の具体的方法)
当該逆相乳化重合は、通常下記に示す手順で行うことができる。
(a)水相を形成する水溶液の調製:ビーカー中の脱イオン水を撹拌しながら、所定量のNaSS及びBAAを加えて溶解させることにより、水溶液を調製する。
(b)油相を形成する有機溶媒溶液の調製:トルエン、AIBN、所定の界面活性剤を、それぞれ所定の割合でビーカーに投入、撹拌混合することにより、有機溶媒溶液を調製する。
(c)逆相エマルションの調製:還流冷却器、機械的撹拌機及び温度計を備えた四つ口フラスコに、油相を形成する有機溶媒溶液を仕込み、撹拌下に水相を形成する水溶液を滴下して、ミルク状の逆相エマルションを調製する。
(d)逆相乳化重合:上記(3)のフラスコをウォータバスに入れ、70℃にて6時間、逆相乳化重合を行う。
(逆相乳化重合生成物の精製)
逆相乳化重合で得られた生成物の重合体は、逆相乳化重合において、逆相エマルションの安定化のために用いられた多量のノニオン系界面活性剤と水を含有しており、サンプルの特性を評価するために、精製処理した固体状サンプルが要求される。
この精製処理には、ラテックスから粗製の固体状生成物を得る工程と、ソックスレー抽出によって高純度のx−PNaSS(架橋ポリスチレンスルホン酸ナトリウム)を製造する工程の2つの工程がある。
<粗製固体状生成物を得る方法>
粗製固体状生成物を得る方法として、下記の(a)、(b)及び(c)の3種の方法を採用することができる。
(a)共沸蒸留:水とトルエンの共沸温度は85℃であるので、生成ラテックス粒子は、その中に含まれている水を、共沸蒸留によって除去することができる。共沸蒸留後、重合体ナノ粒子を含む液状物は蒸発させて、粗製固体状生成物を得る。
(b)回転式蒸発処理:逆相乳化重合により得られたラテックスに、減圧下での回転式蒸発処理を施し、直接に蒸留を行い水と有機溶媒を除去したのち、ポリマーと界面活性剤との混合物である粘稠な残渣を、オーブンにて約80℃で一晩乾燥処理することにより、粗製固体状生成物を得る。
(c)エマルション破壊:当該逆相乳化重合で得られた重合体ラテックスを穏やかに撹拌しながら、該ラテックスに、その10質量部に対して1質量部程度のメタノールを加えることにより、メタノールラテックス混合液が2層に分離される。次いでトルエンと界面活性剤が含まれている上層を分液ロトによって分離除去し、下層をオーブン中で約80℃にて一晩乾燥することにより、粗製固体状生成物を得る。
<粗製固体状生成物のソックスレー抽出>
前記のようにして得られた、ポリマーと界面活性剤との乾燥混合物を、メタノールによるソックスレー抽出処理を48時間程度施すことにより界面活性剤を除去し、さらに凍結乾燥によってx−PNaSSナノ粒子粉末が得られる。
この精製されたx−PNaSS粒子を用いてその特性を求める。該特性としては、TEMで測定される平均粒子径DP DEM、動的光散乱法により測定される粒子径DP DLSとその粒度分布PI、膨潤度ε及びポリマー微粒子中のNaSS単位の含有量などが挙げられる。
次に、前述した本発明のポリマー微粒子の製造方法で得られたSO3Na基含有ポリマー微粒子の性状について説明する。
[SO3Na基含有ポリマー微粒子の性状]
(粒子径及びその粒度分布)
本発明の方法で得られたSO3Na基含有ポリマー微粒子は、透過型電子顕微鏡(TEM)で測定される平均粒子径が、10〜500nmであることが好ましい。
TEMで測定される当該ポリマー微粒子の平均粒子径が10nm未満であると、球形の粒子形状を保つことが困難であり、不定形となりやすく、一方、500nmを超えると、十分なプロトン伝導性が発揮されない場合がある。以上の観点から、当該ポリマー微粒子の平均粒子径は、20〜300nmであることがさらに好ましく、30〜150nmであることが特に好ましい。
また、当該ポリマー微粒子の動的光散乱法で測定される粒子径は80〜500nm程度である。さらに、前記動的光散乱法で測定される粒度分布PI(poly index)は、通常0.10〜0.75の範囲にあり、単分散に近い粒子とすることができる。
(耐水性)
当該SO3Na基含有ポリマー微粒子を構成する重合体は、架橋構造を有することが必須である。この架橋構造は、架橋剤として、水溶性のN,N’−メチレンビスアクリルアミド(BAA)を、スルホン酸ナトリウム基が導入された芳香族ビニル系化合物と共重合させることにより、形成することができる。このように、重合体に架橋構造を導入することにより、得られるポリマー微粒子の耐水性を向上させる効果を奏する。
この耐水性は、下記の方法で測定した水に対する膨潤度で評価することができる。すなわち、架橋剤の量が増加すると共に水に対する膨潤度が低下する。例えばスルホン酸ナトリウム基が導入された芳香族ビニル系化合物がスチレンスルホン酸ナトリウム(以下、「NaSS」と略記する。)である場合、BAA/NaSS質量比が1/20のとき、水に対する膨潤度は約27%であるが、4/20のときは約18%に低下する。
<膨潤度の測定方法>
図1は、キャピラリーを用いてポリマー微粒子の膨潤度を測定する方法の説明図である。
図1に示すように、目盛りを有するキャピラリーを用いて、ポリマー試料の膨潤度を測定した。精製した粉体をキャピラリーに詰め、目盛りの値(L1)を読む。次いで、異なる極性を有する適当な量の溶媒(脱イオン水、メタノール、ブタノン、トルエン)をキャピラリーに加え、ポリマー試料を膨潤させる。24時間後、膨潤した試料の目盛り値(L2)を読取り、膨潤度(ε)を以下の式を用いて算出した。
ε(%)=[(L2−L1)/L1]×100
例えば、後述の実施例における架橋構造を有するポリマー微粒子のサンプルToS−1の各溶媒に対する膨潤度εは、水:20%、メタノール:12.5%、ブタノン:14.3%、トルエン:7.7%である。すなわち、溶媒の極性が低いほど、膨潤度εは低くなる。
(SO3Na基含有芳香族ビニル系化合物単位の含有量)
当該ポリマー微粒子中のSO3Na基含有芳香族ビニル系化合物単位の含有量は70質量%以上とすることができる。例えば、前記SO3Na基含有芳香族ビニル系化合物単位がNaSS単位である場合、後述の実施例におけるポリマー微粒子のサンプルcl−2におけるNaSS単位の含有量は80.47質量%である。これは、従来のNaSS単位の含有量に比べて著しく高い値であり、このような本発明のポリマー微粒子は、プロトン伝導性が高く、例えば固体燃料電池における膜−電極接合体などに好適に用いることができる。
なお、SO3Na基含有ポリマー微粒子におけるSO3Na基含有芳香族ビニル系化合物単位の含有量は、ICP発光分光分析装置[セイコーインスツルメント(株)製「VISTA−MPX ACPOES」]により、ポリマー微粒子の元素分析を行い、ポリマー微粒子中の硫黄量を測定し、この硫黄量に基づき、ポリマー微粒子中のSO3Na基含有芳香族ビニル系化合物単位の含有量を求めた値である。
本発明の製造方法で得られたスルホン酸ナトリウム基を有するポリマー微粒子は、塩酸や硫酸などの酸水溶液中に浸漬することで、容易にスルホン酸基に変化させることができ、スルホン酸基を有するポリマー微粒子として、アプリケーションに供することができる。また、スルホン酸基を有するポリマー微粒子は、水酸化ナトリウムなどのアルカリ水溶液中に浸漬することで、容易にスルホン酸ナトリウム基に変化させることができる。
次に、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
なお、各例で得られたSO3Na基含有ポリマー微粒子の性状は、下記に示す方法に従って求めた。
(1)各粒子の動的光散乱法により測定される粒子径及びその粒度分布
ダイナミック光散乱(DLS)光度計[Malvern(UK)社製「Zetasizer 3000HS」]を用い、25℃における動的光散乱法による粒子径(DP DLS)及びその粒度分布(Poly Index,PI)を求めた。
(2)平均粒子径
透過型電子顕微鏡(TEM))((株)日立製作所製「Hitach800」)写真の画像処理により、平均粒子径(DP TEM)を求めた。
(3)SO3Na基含有ポリマー微粒子のNaSS単位の含有量
ICP発光分光分析装置[セイコーインスツルメント(株)製「VISTA−MPX ACPOES」]により、ポリマー微粒子の元素分析を行い、ポリマー微粒子中の硫黄量を測定し、この硫黄量に基づき、ポリマー微粒子中のNaSS単位の含有量を求めた。
(4)ポリマー微粒子の膨潤度
明細書本文に記載の方法に従って測定した。
また、各実施例で使用した材料を下記に示す。
トルエンスルホン酸ナトリウム(NaSS)、過硫酸アンモニウム(APS)及びアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)は、使用前に水から再結晶して用いた。
ソルビタンモノオレエート(スパン80)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(ツィーン80)、ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル(OP−10)、トルエン、シクロヘキサン及び2,2’−メチレンビスアクリルアミド(BAA)は、分析的精製品を用い、水は脱イオン水を用いた。
実施例1
表1に示す仕込みで逆相乳化共重合を行い、得られたポリマー微粒子を評価し、結果を表1、図2及び図3に示した。また、膨潤性を表2に示した。
なお、図2は、実験番号ToB−1、ToB−2およびToB−3で得られたポリマー微粒子のTEM写真であり、図中、(a)は界面活性剤としてスパン80を用いたもの、(b)は界面活性剤としてスパン80とツィーン80との混合物を用いたもの、(c)は界面活性剤としてスパン80とOP−10との混合物を用いたものである。
図3は、実験番号ToS−1、ToS−2およびToS−3で得られたポリマー微粒子のTEM写真であり、図中、(a)は界面活性剤としてスパン80を、開始剤としてAIBNを用いたもの、(b)は界面活性剤としてスパン80を、開始剤としてAPSを用いたもの、(c)は界面活性剤としてスパン80とツィーン80との混合物を用い、開始剤としてAIBNを用いたものである。
トルエンを連続相(油相)に用いた逆相単量体エマルションの形成を、バッチとセミ連続法で行い、異なるタイプの界面活性剤を用いて、架橋されたスチレンスルホン酸ナトリウムのラテックス(x−PNaSSラテックス)を合成した。表1、図2及び図3から、下記のことが分かる。
バッチ法により調製したx−PNaSSラテックスのTEM写真(図2)では、界面活性剤が、ソルビタンモノオレエート(スパン80)、あるいはソルビタンモノオレエート(スパン80)とポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(ツィーン80)(実験例ToB−1およびToB−2)のときだけ、サイズ分布は良くないけれども、x−PNaSSラテックス粒子は規則的に球形となっている。また、界面活性剤として、ソルビタンモノオレエート(スパン80)とポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル(OP−10)とを用いた(実験番号ToB−3)ときには、x−PNaSS粒子は非常に不規則になり、サイズ分布もブロードになる。ソルビタンモノオレエート(スパン80)と、ソルビタンモノオレエート(スパン80)とポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(ツィーン80)との混合物が、x−PNaSSラテックス粒子を調製するためには、ソルビタンモノオレエート(スパン80)とポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル(OP−10)との混合物より安定性に優れるものであることが分かる。
セミ連続法で調製されたx−PNaSSエマルジョンのTEM写真(図3)により、比較的、良い分布のポリマーラテックスが、開始剤としてAIBN、ソルビタンモノオレエート(スパン80)を界面活性剤に用いた場合に、粒子サイズ約40nmと、非常に小さくなった。開始剤としてAPSを、あるいは、界面活性剤として、ソルビタンモノオレエート(スパン80)とポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(ツィーン80)との混合物を用いた場合には、粒子サイズは比較的大きく、DpTEMが約80nmとなり、分布も悪くなった。開始剤がAIBNであり、界面活性剤がソルビタンモノオレエート(スパン80)であるときに、平均粒子径DP TEMが40nm以下の単一のx−PNaSSラテックス粒子がセミ連続法により得られることが明らかとなった。
さらに、実験番号ToS−1で得られたポリマー微粒子を精製し、膨潤性を評価し、結果を表2に示した。
表2によると、溶媒の極性が小さいほど、膨潤性が小さいことがわかる。例えば、水に対する膨潤度εは、20%であり、この値はトルエンでは7.7%にすぎない。
実施例2
シクロへキサンを連続相(油相)に用い、表3に示す重合組成で逆相乳化重合を行い、バッチ法とセミ連続法により、異なるタイプの界面活性剤を用いて、PNaSSラテックスを合成した。得られたポリマー微粒子を評価し、結果を表3、図4及び図5に示した。
なお、図4は、実験番号ChB−1およびChB−2で得られたポリマー微粒子のTEM写真であり、図中、(a)は界面活性剤としてスパン80を用いたもの、(b)は界面活性剤としてスパン80とツィーン80との混合物を用いたものである。
図5は、実験番号ChS−1およびChS−2で得られたポリマー微粒子のTEM写真であり、図中、(a)は界面活性剤としてスパン80を用いたもの、(b)は界面活性剤としてスパン80とツィーン80との混合物を用いたものである。
シクロヘキサンは、室温で、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)の良い溶媒ではなく、油相にAIBNを含む逆相モノマーエマルションを得るのが容易ではない。したがって、過硫酸アンモニウム(APS)を開始剤として、水相中に溶解させて使用した。
表3、図4及び図5から、下記のことが分かる。
ポリマー微粒子のサイズはトルエンを連続相(油相)として用いた場合に比べ、大きいことが明らかであり、図4と図5に示すTEM写真は、シクロヘキサン中で合成されたポリマー微粒子のサイズ分布が良くないとことを示している。すなわち、シクロヘキサンはx−PNaSSラテックス粒子の合成には向いていないことがわかる。
実施例3
水相/油相(W/O)比は、逆相乳化重合において、重要な役割をもつ。重合過程に関してW/Oの影響を調べるため、水相の組成は同一のものとし、NaSSとBAAとの量を調整した水相を調製し、添加する水相の量を変化させて、逆相乳化重合を行った。得られたx−PNaSSラテックスの粒子形態とともに、粒子サイズとその分布とを調べ、結果を表4及び図6に示した。
なお、油相の組成は、
スパン80 2.7g
ツィーン80 1.3g
AIBN 0.1g
トルエン 50.0g
であり、水相の組成は、
NaSS 0.56〜1.12g、 7質量%
脱イオン水 7.4〜14.8g、 92.3質量%
BAA 0.056〜0.112g、 0.7質量%
である。
図6は、実験で得られた各ポリマー微粒子のTEM写真であり、(a)は実験番号w/o−1、(b)は実験番号w/o−2、(c)は実験番号w/o−3で、それぞれ得られたポリマー微粒子のTEM写真である。
実験結果は、W/Oが16/50を超える時、得られたx−PNaSSラテックスは安定ではなく、重合後に水相が分離されてしまう。3つの実験の全てにおいて、粒子は球形であるが、サイズの分布は広い。これは、逆相乳化重合が、W/Oが16/50以下であれば、スムーズに行え、逆相x−PNaSSのポリマー微粒子のDP TEMが、約40−50nmであることを示している(図6)。
実施例4
水相中のNaSSの濃度もまた、逆相乳化重合に重要な要件の一つである。実験は、水相/油相の比およびBAA/NaSSの比を、質量比でそれぞれ16/50および1/10にし、NaSSの量(この量に応じてBAAの量を調整)を変化させることにより逆相乳化重合を行った。得られたx−PNaSSラテックスの粒子形態とともに、粒子サイズとその分布とを調べ、結果を表5及び図7に示した。なお、図7は各種ポリマー微粒子のTEM写真であり、(a)は実験番号Na−1、(b)は実験番号Na−2、(c)は実験番号Na−3、(d)は実験番号Na−4で、それぞれ得られたポリマー微粒子のTEM写真である。
実験結果は、重合が、スムーズになされ、安定な逆相x−PNaSSラテックスが得られ、どのようなNaSS濃度でも、問題なく得られることがわかる。全てのポリマー微粒子のDP TEMは約40nmで、粒子は球形であるが、その分布は単一なものではなかった(図7)。
実施例5
架橋の程度が粒子の耐膨潤性を決定するので、本発明における逆相乳化重合物であるポリマー微粒子に架橋剤は必須のものである。架橋剤の影響を調べるために、水相/油相の比およびNaSSの濃度を、それぞれ質量比16/50および7質量%にし、架橋剤のBAAの量を変化させることにより逆相乳化重合を行った。得られたx−PNaSSのポリマー微粒子の粒子形態とともに、粒子サイズとその分布および水に対する膨潤度を調べ、結果を表6及び図8に示した。
図8は、実験で得られた各ポリマー微粒子のTEM写真であり、(a)は実験番号cl−1、(b)は実験番号cl−2、(c)は実験番号cl−3、(d)は実験番号cl−4で、それぞれ得られたポリマー微粒子のTEM写真である。
表6及び図8から明らかなように、架橋剤の量が増加するにつれて粒子サイズは増加し、BAA/NaSSの質量比が、1/20から4/20に増加したとき、粒子サイズは、35.4nmから68.9nmに増加している。得られたx−PNaSSのポリマー微粒子のサイズ分布は単一ではないが、粒子は規則的な球状である。
精製されたx−PNaSSポリマー微粒子の水中での膨潤度を測定したところ、表6に示すように、膨潤度は架橋剤の量が増加すると、減少した。例えば、BAA/NaSSが質量比で1/20から4/20に増加したとき、水の場合に、膨潤度は、26.7%から17.9%に減少した。実験番号cl−2で得られたポリマー微粒子と実験番号cl−4で得られたポリマー微粒子とを比べると、架橋剤の量が100%増加しているが、膨潤度は2.1%減少しているにすぎない。すなわち、BAA/NaSSが質量比で2/20のときが、架橋剤の量として適していることがわかる。
次いで、精製したx−PNaSSのポリマー微粒子(cl−2)の硫黄の量を、元素分析により決定し、粒子中のNaSS単位の含有量を求め、結果を表7に示した。
精製したポリマー微粒子における理論量のNaSS単位含量は84.08質量%であり、NaSS単位含量は測定値が80.47質量%であった。このことは、逆相乳化重合が、高いSO3Na基を含むx−PNaSSのポリマー微粒子を合成するための効果的な手法であることを意味する。
本発明のSO3Na基含有ポリマー微粒子の製造方法は、スルホン酸ナトリウム基が多量に導入された狭い粒子径分布を有するナノメートルレベルのポリマー微粒子であって、水に溶解することなく、かつプロトン伝導性に優れ、固体燃料電池における膜−電極接合体(MEA)等に好適に用いられるスルホン酸ナトリウム基を有するポリマー微粒子を逆相乳化重合によって効率よく製造することができる。

Claims (13)

  1. 乳化剤を含む有機溶媒中に、芳香環上にスルホン酸ナトリウム基が導入された芳香族ビニル系化合物と水溶性架橋剤とを含む水溶液を分散させて、水相/油相型の系を形成し、重合開始剤の存在下に逆相乳化重合を行うことを特徴とするスルホン酸ナトリウム基を有するポリマー微粒子の製造方法。
  2. 重合開始剤が、油溶性重合開始剤であって、有機溶媒を連続相とする油相中に存在させる請求項1に記載のスルホン酸ナトリウム基を有するポリマー微粒子の製造方法。
  3. 油溶性重合開始剤が、アゾビスイソブチロニトリルである請求項2に記載のスルホン酸ナトリウム基を有するポリマー微粒子の製造方法。
  4. 重合開始剤が水溶性重合開始剤であって、水相中に存在させる請求項1に記載のスルホン酸ナトリウム基を有するポリマー微粒子の製造方法。
  5. 水溶性重合開始剤が、過硫酸塩である請求項4に記載のスルホン酸ナトリウム基を有するポリマー微粒子の製造方法。
  6. 芳香環上にスルホン酸ナトリウム基が導入された芳香族ビニル系化合物が、スチレンスルホン酸ナトリウム及び/又はα−メチルスチレンスルホン酸ナトリウムである請求項1〜5のいずれかに記載のスルホン酸ナトリウム基を有するポリマー微粒子の製造方法。
  7. 水溶性架橋剤が、N,N’−メチレンビスアクリルアミドである請求項1〜6のいずれかに記載のスルホン酸ナトリウム基を有するポリマー微粒子の製造方法。
  8. 有機溶媒が、芳香族炭化水素系溶媒である請求項1〜7のいずれかに記載のスルホン酸ナトリウム基を有するポリマー微粒子の製造方法。
  9. 芳香族炭化水素系溶媒がトルエンである請求項8に記載のスルホン酸ナトリウム基を有するポリマー微粒子の製造方法。
  10. 乳化剤として界面活性剤を用い、該界面活性剤が、(a)ソルビタンモノオレエート、(b)ソルビタンモノオレエートとポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートとの組合せ、又は(c)ソルビタンモノオレエートとポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルとの組合せである請求項1〜9のいずれかに記載のスルホン酸ナトリウム基を有するポリマー微粒子の製造方法。
  11. 逆相乳化重合において、水相/油相質量比が、5/50〜20/50である請求項1〜10のいずれかに記載のスルホン酸ナトリウム基を有するポリマー微粒子の製造方法。
  12. 逆相乳化重合において、水相中における芳香環上にスルホン酸ナトリウム基が導入された芳香族ビニル系化合物の濃度が、5〜20質量%である請求項1〜11のいずれかに記載のスルホン酸ナトリウム基を有するポリマー微粒子の製造方法。
  13. 逆相乳化重合において、芳香環上にスルホン酸ナトリウム基が導入された芳香族ビニル系化合物に対する水溶性架橋剤の割合が、質量比で5/100〜20/100である請求項1〜12のいずれかに記載のスルホン酸ナトリウム基を有するポリマー微粒子の製造方法。
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