JP2005126416A - アルキル及び/又はシクロアルキル置換環式ニトリルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】環式アルデヒドと、アンモニアおよび酸素を、V、MoおよびFeから選ばれる一種以上の金属の酸化物を含有する触媒の存在下に、気相状態で接触させる際に、前記アンモニアを、前記環式アルデヒドのホルミル基に対する当量比(アンモニア/ホルミル基)で1〜20となる量接触させ、かつ前記酸素を、前記環式アルデヒドのホルミル基に対する当量比((O2×2)/ホルミル基)で0.4〜50.0となる量接触させて、前記ホルミル基を選択的にシアノ基にアンモ酸化する。
【選択図】 無
Description
即ち本発明は、骨格を形成する環に直接結合したアルキル基および/またはシクロアルキル基と該環に直接結合したホルミル基を有する環式アルデヒドと、アンモニアおよび酸素を、触媒の存在下に、気相状態で接触させ、前記ホルミル基を選択的にシアノ基にアンモ酸化する工程を含むアルキル及び/又はシクロアルキル置換環式ニトリルの製造方法であって、前記触媒は、V、MoおよびFeから選ばれる一種以上の金属の酸化物を含有し;前記アンモニアを、前記環式アルデヒドのホルミル基に対する当量比(アンモニア/ホルミル基)で1〜20となる量接触させ;前記酸素を、前記環式アルデヒドのホルミル基に対する当量比((O2×2)/ホルミル基)で0.4〜50.0となる量接触させることを特徴とするアルキル及び/又はシクロアルキル置換環式ニトリルの製造方法に関するものである。
触媒は担体なしでも使用できるが、シリカ、アルミナ、シリカアルミナ、チタニア、シリカチタニア、ジルコニア、炭化珪素などの担体に担持して使用しても良い。特にシリカに担持した触媒が好適に使用される。担体を使用する場合の担体の使用量は、触媒全重量に対して20〜95重量%、好ましくは40〜95重量%の範囲である。
例えば、バナジウム酸化物、クロム酸化物、ホウ素酸化物、アルカリ金属酸化物およびヘテロポリ酸からなる触媒(特開平11−246506号公報参照)は、本発明を実施するに際して優れた反応成績をもたらし、また、長時間の反応で活性が低下した触媒は、酸素存在下において焼成することによって容易に再生可能であり、この際、触媒層に蓄積した高沸点化合物が分解除去されるので、増大した触媒層の差圧を解消できる。
五酸化バナジウム(V2O5)229gに水500mLを加え、80〜90℃に加熱し、よく撹拌しながらシュウ酸477gを加え溶解した。またシュウ酸963gに水400mLを加え、50〜60℃に加熱し、これに無水クロム酸(CrO3)252gを水200mLに加えた溶液を、よく撹拌しながら加え溶解した。こうして得られたシュウ酸バナジルの溶液にシュウ酸クロムの溶液を50〜60℃にて混合し、バナジウム−クロム溶液を得た。この溶液にリンモリブデン酸(H3[PMo12O40]・20H2O)41.1gを水100mLに溶解して加え、更に、酢酸カリウム(CH3COOK)4.0gを水100mlに溶解して加えた。次いで20重量%水性シリカゾル(Na2Oを0.02重量%含有)2500gを加えた。このスラリー溶液にホウ酸(H3BO3)78gを加えてよく混合し液量が約3800gになるまで加熱、濃縮した。この触媒溶液を入口温度250℃、出口温度130℃に保ちながら噴霧乾燥した。噴霧乾燥した触媒は130℃の乾燥器で12時間乾燥後、400℃で0.5時間仮焼成し、その後、550℃で8時間空気気流下で焼成した。この触媒のアルカリ金属の含有量は0.21重量%であり、原子比はV:Cr:B:Mo:P:Na:Kが1:1:0.5:0.086:0.007:0.009:0.020の割合で含有され、その触媒濃度は50重量%である。
参考例で得た触媒40mL(42g)を内径23mmφの反応管に充填し、触媒充填部を反応温度である320℃まで加熱した。次いで、p−トルアルデヒドを25重量%含むベンゼン溶液と窒素を、反応温度と同じ温度まで加熱された蒸発管に通じて蒸発気化および混合して、触媒層下部より供給し、同時に触媒層下部より5mm上方の位置に反応温度と同じ温度まで加熱されたアンモニアおよび空気を供給し、流動接触反応させた。この際、触媒層に供給され混合ガスの組成はp−トルアルデヒド1.0体積%、ベンゼン4.8体積%、アンモニア3.0体積%、酸素0.56体積%および窒素90.6体積%であり、WHSVは0.027h−1、また、SVは528h−1であった。反応開始から2.0時間後に、反応管上部から流出する反応生成ガスを分析した結果、p−トルアルデヒドの転化率は99.1モル%、p−トルニトリルの収率は93.4モル%、選択率は94.3モル%であった。また、副生物であるテレフタロニトリルの収率は4.1モル%であった。
アンモニアの供給量を増量した以外は実施例1と同様に反応を実施した。この際、触媒層に供給された混合ガスの組成はp−トルアルデヒド0.99体積%、ベンゼン4.6体積%、アンモニア14.1体積%、酸素0.49体積%および窒素79.8体積%であり、WHSVは0.030h−1、また、SVは600h−1であった。反応開始から5.8時間後に、反応管上部から流出する反応生成ガスを分析した結果、p−トルアルデヒドの転化率は99.7モル%、p−トルニトリルの収率は97.2モル%、選択率は97.5モル%であった。また、副生物であるテレフタロニトリルの収率は0.97モル%であった。
p−トルアルデヒドを4−エチルベンズアルデヒドに代えた以外は実施例1と同様に反応を実施した。この際、触媒層に供給された混合ガスの組成は4−エチルベンズアルデヒド1.1体積%、ベンゼン5.4体積%、アンモニア2.8体積%、酸素0.56体積%および窒素90.2体積%であり、WHSVは0.032h−1、また、SVは531h−1であった。反応開始から3.1時間後に、反応管上部から流出する反応生成ガスを分析した結果、4−エチルベンズアルデヒドの転化率は96.5モル%、4−エチルベンゾニトリルの収率は88.0モル%、選択率は91.2モル%であった。
アンモニアの供給量を増量した以外は実施例3と同様に反応を実施した。この際、触媒層に供給された混合ガスの組成は4−エチルベンズアルデヒド1.0体積%、ベンゼン4.8体積%、アンモニア14.2体積%、酸素0.49体積%および窒素79.5体積%であり、WHSVは0.034h−1、また、SVは602h−1であった。反応開始から5.0時間後に、反応管上部から流出する反応生成ガスを分析した結果、4−エチルベンズアルデヒドの転化率は99.1モル%、4−エチルベンゾニトリルの収率は94.8モル%、選択率は95.7モル%であった。
p−トルアルデヒドを4−イソプロピルベンズアルデヒドに代えた以外は実施例1と同様に反応を実施した。この際、触媒層に供給された混合ガスの組成は4−イソプロピルベンズアルデヒド1.0体積%、ベンゼン5.9体積%、アンモニア3.3体積%、酸素0.55体積%および窒素89.1体積%であり、WHSVは0.035h−1、また、SVは537h−1であった。反応開始から0.9時間後に、反応管上部から流出する反応生成ガスを分析した結果、4−イソプロピルベンズアルデヒドの転化率は97.9モル%、4−イソプロピルベンゾニトリルの収率は87.2モル%、選択率は89.0モル%であった。
アンモニアの供給量を増量した以外は実施例5と同様に反応を実施した。この際、触媒層に供給された混合ガスの組成は4−イソプロピルベンズアルデヒド0.98体積%、ベンゼン5.2体積%、アンモニア13.9体積%、酸素0.49体積%および窒素79.4体積%であり、WHSVは0.037h−1、また、SVは603h−1であった。反応開始から5.0時間後に、反応管上部から流出する反応生成ガスを分析した結果、4−イソプロピルベンズアルデヒドの転化率は99.4モル%、4−イソプロピルベンゾニトリルの収率は94.2モル%、選択率は94.8モル%であった。
p−トルアルデヒドを3,4−ジメチルベンズアルデヒドに代えた以外は実施例1と同様に反応を実施した。この際、触媒層に供給された混合ガスの組成は3,4−ジメチルベンズアルデヒド0.99体積%、ベンゼン5.2体積%、アンモニア2.8体積%、酸素0.56体積%および窒素90.3体積%であり、WHSVは0.030h−1、また、SVは530h−1であった。反応開始から1.0時間後に、反応管上部から流出する反応生成ガスを分析した結果、3,4−ジメチルベンズアルデヒドの転化率は98.8モル%、3,4−ジメチルベンゾニトリルの収率は94.4モル%、選択率は95.6モル%であった。
アンモニアの供給量を増量した以外は実施例7と同様に反応を実施した。この際、触媒層に供給された混合ガスの組成は3,4−ジメチルベンズアルデヒド1.0体積%、ベンゼン5.0体積%、アンモニア14.1体積%、酸素0.49体積%および窒素79.4体積%であり、WHSVは0.035h−1、また、SVは603h−1であった。反応開始から3.0時間後に、反応管上部から流出する反応生成ガスを分析した結果、3,4−ジメチルベンズアルデヒドの転化率は99.7モル%、3,4−ジメチルベンゾニトリルの収率は96.9モル%、選択率は97.2モル%であった。
実施例1において、反応開始から6.8時間後に、反応管上部から流出する反応生成ガスを分析した結果、p−トルアルデヒドの転化率は95.0モル%、p−トルニトリルの収率は90.5モル%まで低下した。反応開始から7.5時間後に、p−トルアルデヒドのベンゼン溶液およびアンモニアの供給を停止した後、触媒充填部を400℃まで加熱し、空気と窒素の混合ガス気流下、12時間かけて触媒を焼成した。この際、触媒層に供給された空気と窒素の混合ガスの組成は、酸素16.2体積%、窒素83.8体積%であり、SVは268h−1であった。その後、触媒焼成前と同じ条件で反応を実施し、反応開始から2.0時間後に、反応管上部から流出する反応生成ガスを分析した結果、p−トルアルデヒドの転化率は99.2モル%、p−トルニトリルの収率は94.0モル%、選択率は94.8モル%であった。
参考例で得た触媒40mL(42g)を内径23mmφの反応管に充填し、触媒充填部を反応温度である320℃まで加熱した。次いで、p−トルアルデヒドを25重量%含むベンゼン溶液、アンモニア、空気および窒素を、反応温度と同じ温度まで加熱された蒸発管に通じて触媒層に供給する前に蒸発気化および混合して、この混合ガスを触媒層下部より供給し、流動接触反応させた。この際、触媒層に供給された混合ガスの組成はp−トルアルデヒド1.0体積%、ベンゼン4.8体積%、アンモニア3.0体積%、酸素0.56体積%および窒素90.6体積%であり、WHSVは0.027h−1、また、SVは528h−1であった。反応開始から4.5時間後に、反応管上部から流出する反応生成ガスを分析した結果、p−トルアルデヒドの転化率は99.97モル%、p−トルニトリルの収率は78.3モル%、選択率は78.3モル%であった。また、副生物であるテレフタロニトリルの収率は1.6モル%であった。
参考例で得た触媒40mL(42g)を内径23mmφの反応管に充填し、触媒充填部を反応温度である320℃まで加熱した。次いで、p−トルアルデヒドを25重量%含むベンゼン溶液と窒素を、反応温度と同じ温度まで加熱された蒸発管に通じて蒸発気化および混合して、触媒層下部より供給し、同時に触媒層下部より5mm上方の位置に反応温度と同じ温度まで加熱されたアンモニアおよび空気を供給し、流動接触反応させた。この際、触媒層に供給された混合ガスの組成はp−トルアルデヒド0.76体積%、ベンゼン3.6体積%、アンモニア2.3体積%、酸素6.0体積%および窒素87.0体積%であり、WHSVは0.028h−1、また、SVは724h−1であった。反応開始から1.8時間後に、反応管上部から流出する反応生成ガスを分析した結果、p−トルアルデヒドの転化率は99.4モル%、p−トルニトリルの収率は65.5モル%、選択率は65.9モル%であった。また、副生物であるテレフタロニトリルの収率は30.9モル%であった。
Claims (10)
- 骨格を形成する環に直接結合したアルキル基および/またはシクロアルキル基と該環に直接結合したホルミル基を有する環式アルデヒドと、アンモニアおよび酸素を、触媒の存在下に、気相状態で接触させ、前記ホルミル基を選択的にシアノ基にアンモ酸化する工程を含むアルキル及び/又はシクロアルキル置換環式ニトリルの製造方法であって、前記触媒は、V、MoおよびFeから選ばれる一種以上の金属の酸化物を含有し;前記アンモニアを、前記環式アルデヒドのホルミル基に対する当量比(アンモニア/ホルミル基)で1〜20となる量接触させ;前記酸素を、前記環式アルデヒドのホルミル基に対する当量比((O2×2)/ホルミル基)で0.4〜50.0となる量接触させることを特徴とするアルキル及び/又はシクロアルキル置換環式ニトリルの製造方法。
- 前記アルキル及び/又はシクロアルキル置換環式ニトリル中のアルキル基および/またはシクロアルキル基の残存率が、前記環式アルデヒド中のアルキル基および/またはシクロアルキル基の90モル%以上である請求項1に記載の製造方法。
- 環式アルデヒドと、アンモニアおよび酸素とを別々に反応装置に供給し、触媒の存在下でアンモニアおよび酸素を環式アルデヒドに接触させることを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
- 前記触媒が、Mg、Ca、Ba、La、Ti、Zr、Cr、W、Mn、Co、Ni、B、Al、Ge、Sn、Pb、P、SbおよびBiよりなる群から選ばれる一種以上の元素の酸化物をさらに含有するものである請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
- 前記触媒が、アルカリ金属をさらに含有するものである請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
- 酸素源として空気を用いる請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
- 反応で活性が低下した触媒を、酸素存在下に焼成し、活性を回復させて再使用する請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
- 焼成温度が300〜700℃である請求項7に記載の製造方法。
- 焼成時の酸素濃度が1〜21体積%である請求項7又は8に記載の製造方法。
- 焼成時の酸素源として空気を用いる請求項7〜9のいずれかに記載の製造方法。
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