JP2005126097A - 耐食性、密着性に優れる樹脂被覆アルミニウム合金缶蓋 - Google Patents

耐食性、密着性に優れる樹脂被覆アルミニウム合金缶蓋 Download PDF

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Abstract

【課題】密着性及び耐食性を有する樹脂被覆アルミニウム合金缶蓋を提供する。
【解決手段】アルミニウム合金缶蓋において、該アルミニウム合金板の少なくとも片側表面に、ジルコニウム化合物及び/又はチタン化合物をジルコニウム及び/又はチタン原子換算で4〜30mg/m含有し、有機ホスホン酸化合物を、前記ジルコニウム化合物及び/又はチタン化合物のジルコニウム及び/又はチタン原子換算での質量に対して、リン原子換算で0.05〜0.3の割合で含有し、タンニンを、前記ジルコニウム化合物及び/又はチタン化合物のジルコニウム及び/又はチタン原子換算での質量に対して、炭素原子換算で0.5〜3の割合で含有する有機及び無機の複合表面処理層を有し、さらにその上に有機樹脂被覆層を有する耐食性、密着性に優れる樹脂被覆アルミニウム合金缶蓋。
【選択図】 図1

Description

本発明は、アルミニウム合金板の少なくとも片側表面にノンクロム有機及び無機複合被膜層を有し、その上に有機樹脂層を有してなる、耐食性、密着性に優れる樹脂被覆アルミニウム合金缶蓋に関する。
飲料缶等に用いられる缶蓋には、アルミニウム板又はアルミニウム合金板が使用される。蓋材としてアルミニウムは加工性や風味保持性に優れているが、鋼材に比して耐食性で劣るという問題がある。
一方、アルミニウム板の表面処理としては、リン酸クロメート系表面処理剤が使用されてきた。このリン酸クロメート系表面処理剤により形成される化成皮膜は、皮膜単独の耐食性に優れており、また、各種樹脂系塗料を塗装した後の耐食性、密着性に優れているため、建材向け、家電向け、フィン材向け、カーエバポレーター向け、飲料缶材向け等アルミニウム材の広範囲な用途において使用されている。
しかし、近年、環境保護の観点から、リン酸クロメート系表面処理剤と同等の高い耐食性、密着性を付与することができるノンクロム系表面処理剤が求められている。
ノンクロム表面処理剤としては、例えば、飲料缶ボディ向けとして、ジルコニウム又はチタニウム化合物とリン酸化合物とを併用した系が用いられている。しかしながら、これらの系により形成される化成皮膜は、リン酸クロメート系表面処理剤により形成される皮膜と比べて、塗装後の耐食性、密着性が劣るため、広範囲な用途に使用できるものではなかった。
特公昭56−33468号公報には、ジルコニウム及び/又はチタン、フォスフェート並びにフッ化物を含有するアルミニウム用表面処理剤が開示されている。しかしながら、この技術では、塗料との高い密着性及び塗装材としての防食性が不充分であった。
特公昭63−30218号公報には、水溶性チタン及び/又はジルコニウム化合物と、タンニン及び/又は水溶性若しくは水分散性高分子からなるノンクロム系表面処理剤が開示されている。しかしながら、このようなノンクロム系表面処理剤は、塗装材としての防食性が不充分であった。
特公昭56−33468号公報 特公昭63−30218号公報
本発明は、上記現状に鑑み、アルミニウム合金板にリン酸クロム酸被膜を付与し、更にその上を有機樹脂層で被覆した場合と同等の密着性及び耐食性を有するアルミニウム合金缶蓋を提供することを目的とするものである。
請求項1の耐食性、密着性に優れるアルミニウム合金缶蓋は、
アルミニウム合金板の少なくとも片側表面に、ジルコニウム化合物及び/又はチタン化合物をジルコニウム及び/又はチタン原子換算で4〜30mg/m含有し、
有機ホスホン酸化合物を、前記ジルコニウム化合物及び/又はチタン化合物のジルコニウム及び/又はチタン原子換算での質量に対して、リン原子換算で0.05〜0.3の割合で含有し、
タンニンを、前記ジルコニウム化合物及び/又はチタン化合物のジルコニウム及び/又はチタン原子換算での質量に対して、炭素原子換算で0.5〜3の割合で含有する有機−無機複合表面処理層を有し、さらにその上に有機樹脂被覆層を有することを特徴とする。
請求項2の樹脂被覆アルミニウム合金缶蓋は、請求項1において、
アルミニウム合金板が、重量%で、Mg:0.2〜5.5%、Si:0.05〜1%、Fe:0.05〜1%、Cu:0.01〜0.35%、Mn:0.01〜2%、Cr:0.01〜0.4%、を含有するアルミニウム合金であることを特徴とする。
請求項3の樹脂被覆アルミニウム合金缶蓋は、請求項1又は2において、
有機−無機複合表面処理層の上に形成させる有機樹脂被覆層が熱可塑性樹脂であることを特徴とする。
請求項4の樹脂被覆アルミニウム合金缶蓋は、請求項3において、
熱可塑性樹脂がポリエステル系樹脂であることを特徴とする。
請求項5の樹脂被覆アルミニウム合金缶蓋は、請求項3又は4において、
熱可塑性樹脂が、エポキシフェノール樹脂系接着プライマー層を介して、前記有機−無機複合表面処理層の上に形成されていることを特徴とする。
請求項6の樹脂被覆アルミニウム合金缶蓋は、請求項1又は2において、
有機−無機複合表面処理層の上に形成させる有機樹脂被覆層が塗膜であることを特徴とする。
本発明のアルミニウム合金缶蓋は、
アルミニウム合金板の少なくとも片側表面に、ジルコニウム化合物及び/又はチタン化合物をジルコニウム及び/又はチタン原子換算で4〜30mg/m含有し、
有機ホスホン酸化合物を、前記ジルコニウム化合物及び/又はチタン化合物のジルコニウム及び/又はチタン原子換算での質量に対して、リン原子換算で0.05〜0.3の割合で含有し、
タンニンを、前記ジルコニウム化合物及び/又はチタン化合物のジルコニウム及び/又はチタン原子換算での質量に対して、炭素原子換算で0.5〜3の割合で含有する有機−無機複合表面処理層を有し、さらにその上に有機樹脂被覆層を有した構成であるので、
アルミニウム合金板にリン酸クロム酸被膜を付与し、更にその上を有機樹脂層で被覆した場合と同等の密着性及び耐食性を有する。
以下、本発明のアルミニウム合金缶蓋について詳細に説明する。
(蓋の構造)
図1は本発明のアルミニウム合金缶蓋の平面図であり、図2は、図1におけるA−A断面の拡大図である。
本発明のアルミニウム合金缶蓋(イージーオープン缶蓋 )4は、図1及び図2に示すように、中央パネル部5、強化環状溝6及び最外周の巻締部からなり、中央パネル部5には、スコア7で囲まれた開口予定部8があり、また開封用タブ9がリベット10を介して固着されている。
開封用タブ9は、把持用リング11と、押込用先端12と、リベット固定用舌片13と、を備えており、押込用先端12が開口予定部8と重なるように取付けられている。
強化環状溝6は、内壁部14、ラジアス部15及び外壁部(チャックウォール)16とからなり、この外壁部16は、シーミングパネル部17及びカール部18に接続されている。
シーミングパネル部17及びカール部18の裏側は、溝19となっており、この溝19には、密封用ゴム組成物(図示せず)がライニングされ、缶胴フランジ(図示せず)との間に二重巻締による密封が行われることになる。
また、本発明のアルミニウム合金缶蓋4は、アルミニウム合金板の少なくとも片側表面に、ジルコニウム化合物及び/又はチタン化合物と、有機ホスホン酸化合物と、タンニンとを含む有機−無機複合表面処理被膜を形成し、更にその上に有機樹脂層を被覆させてなることに特徴がある。
(アルミニウム合金板の構成)
前記アルミニウム合金板は、重量%で、Mg:0.2〜5.5%、Si:0.05〜1%、Fe:0.05〜1%、Cu:0.01〜0.35%、Mn:0.01〜2%、Cr:0.01〜0.4%、を含有するアルミニウム合金であることを特徴とする。
合金組成を前記のごとく限定したのは次の理由による。
Mgは強度を向上させるために添加するものである。その含有量を重量%で、0.2〜5.5%と限定したのは、0.2重量%未満では所望の強度が得られず、5.5重量%を超えると圧延の際に耳割れが大きくなるためである。
Si及びFeは成形性を改善するために添加するものである。その含有量をSi:0.05〜1%、Fe:0.05〜1%と限定したのは、何れも不可避的に混入され、0.05重量%未満に規制するのは通常処理では困難であり、一方、1%を超えると巨大晶出物をつくりやすくなり、成形性を劣化するためである。
Cuは強度を向上するために添加するものである。その含有量を0.01〜0.35%と限定したのは、添加しなければ強度に乏しく、上限を超えると鋳造時に割れが発生するようになるためである。
Mn、Crは強度と耐熱性を向上し、更に限界絞り比を向上させるとともに、結晶粒を微細化するために添加するものである。その含有量を、Mn:0.01〜2%、Cr:0.01〜0.4%と限定したのは、いずれも下限未満では上記効果が少なく、上限を超えると限界絞り比が減少し、製蓋工程で割れが発生するようになるためである。
本発明では、一般に厚みが0.15〜0.40mm、好ましくは0.20〜0.30mmの厚みのアルミニウム合金板が使用可能である。
0.15mm未満では、蓋成形が困難で、かつ所望の蓋強度が得られず 、一方0.40mmを超えると、経済性が悪くなるためである。
上記アルミニウム合金板としては、例えば、アルミニウム合金5182材、アルミニウム合金5021材、アルミニウム合金5022材、アルミニウム合金5052材、アルミニウム合金3004材、アルミニウム合金3005材、アルミニウム合金3104材、アルミニウム合金1100材等が好適に用いられる。
上記有機−無機複合表面処理被膜に用いられるジルコニウム化合物としては、ジルコニウムを含有する化合物であれば特に限定されないが、当該pHでの安定性が良好で、皮膜形成性に優れることから、フッ素を含有している水溶性ジルコニウム化合物が好ましい。
上記フッ素を含有している水溶性ジルコニウム化合物としては特に限定されず、例えば、HZrF、(NHZrF、KZrF、NaZrF、LiZrF等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記チタン化合物としては、チタンを含有する化合物であれば特に限定されないが、当該pHでの安定性が良好で、皮膜形成性に優れることから、フッ素を含有している水溶性チタン化合物が好ましい。
上記フッ素を含有している水溶性チタン化合物としては特に限定されず、例えば、HTiF、(NHTiF、KTiF、NaTiF等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記ジルコニウム化合物及び/又は上記チタン化合物の含有量は、上記表面処理皮膜中において、ジルコニウム及び/又はチタン原子換算で、下限が4mg/m、上限が30mg/mである。4mg/m未満であると、処理皮膜の密着性、耐食性が低下するおそれがある。30mg/mを超えると、処理皮膜の密着性が低下するおそれがあり、また、性能向上は認められず、コスト高となるおそれもある。
上記下限は、7mg/mであることが好ましく、上記上限は、25mg/mであることが好ましい。なお、上記ジルコニウム化合物及び/又は上記チタン化合物の含有量とは、上記有機−無機複合表面処理被膜中に含まれるジルコニウムとチタンとの合計の含有量である。
上記有機−無機複合表面処理被膜は、有機ホスホン酸化合物を含有するものである。
上記有機ホスホン酸化合物は、ホスホン基(−PO)を化合物中に有する有機化合物を意味するものであるが、化合物中の炭素原子にホスホン基(−PO)が結合した化合物であることが好ましい。
上記有機ホスホン酸化合物のなかでも、化合物中の炭素原子にホスホン基(−PO)が結合した化合物としては特に限定されず、例えば、下記式(a)で表されるアミノトリ(メチレンホスホン酸)、下記式(b)で表される1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、下記式(c)で表される2−ホスホブタノン1,2,4−トリカルボン酸等を挙げることができる。
Figure 2005126097
上記有機ホスホン酸化合物としてはまた、下記式(d)で表されるエチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、下記式(e)で表されるジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)等も挙げることができる。
Figure 2005126097
上記有機ホスホン酸化合物のなかでも、皮膜析出性、皮膜形成後の耐食性、皮膜密着性に優れることから、上記式(a)で表されるアミノトリ(メチレンホスホン酸)、上記式(b)で表される1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、上記式(c)で表される2−ホスホブタノン1,2,4−トリカルボン酸が好ましい。
上記有機ホスホン酸化合物は、水溶性であることが好ましい。水溶性の化合物である場合には、有機溶媒を用いる必要がなくなり、環境に対する負荷を軽減することができる。
上記有機ホスホン酸化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、ホスホン基に含まれる水素原子をアルカリ金属又はアンモニウム等で置換した有機ホスホン酸化合物塩を有機−無機複合表面処理被膜に含有させることは、形成される皮膜の耐食性が低下することから好ましくない。
上記有機ホスホン酸化合物の含有量は、上記有機−無機複合表面処理被膜中で、上記ジルコニウム化合物及び/又は上記チタン化合物のジルコニウム及び/又はチタン原子換算での質量に対して、リン原子換算で、下限0.05、上限0.3の割合で含有するものであることが好ましい。0.05未満であると、処理皮膜の密着性が低下するおそれがあり、0.3を超えても、過剰に存在することになるだけで密着性を向上させる効果は見られず、コスト高となるおそれがある。上記下限は、0.1であることがより好ましく、上記上限は、0.15であることがより好ましい。
本発明の有機−無機複合表面処理被膜は、タンニンを含有するものである。
上記タンニンは、タンニン酸ともいい、広く植物界に分布する多数のフェノール性ヒドロキシル基を有する複雑な構造の芳香族化合物の総称である。上記タンニンは、加水分解性タンニンでも縮合型タンニンでもよい。
上記タンニンとしては、ハマメリタンニン、カキタンニン、チヤタンニン、五倍子タンニン、没食子タンニン、ミロバランタンニン、ジビジビタンニン、アルガロビラタンニン、バロニアタンニン、カテキンタンニン等を挙げることができる。また、上記タンニンは、植物中に存在するタンニンを加水分解等の方法によって分解したタンニン分解物であってもよい。
上記タンニンとしては、市販のもの、例えば「タンニン酸エキスA」、「Bタンニン酸」、「Nタンニン酸」、「工用タンニン酸」、「精製タンニン酸」、「Hiタンニン酸」、「Fタンニン酸」、「局タンニン酸」(いずれも大日本製薬社製)、「タンニン酸=AL」(富士化学工業製)等を使用することもできる。上記タンニンは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記タンニンは、数平均分子量が200以上であることが好ましい。上記タンニンとしてタンニン分解生成物を使用する場合、分解が進行しすぎて分子量が200未満の低分子量化合物である場合には、タンニンとしての性質を有さないため、皮膜形成後の皮膜密着性が向上しないおそれがある。
上記タンニンの含有量は、上記有機−無機複合表面処理被膜中において、上記ジルコニウム化合物及び/又は上記チタン化合物のジルコニウム及び/又はチタン原子換算での質量に対して、炭素原子換算で、下限0.5、上限3の割合で含有するものであることが好ましい。0.5未満であると、処理皮膜の密着性が低下するおそれがあり、3を超えると、処理皮膜の密着性、耐食性が低下するおそれがある。上記下限は、1.0であることがより好ましく、上記上限は、1.5であることがより好ましい。
上記有機−無機複合表面処理被膜中の上記ジルコニウム化合物及び/又は上記チタン化合物(1)のジルコニウム及びチタン量、有機ホスホン酸化合物(2)のリン量は、蛍光X線分析装置により測定することができ、上記タンニン(3)の量は、形態別炭素/水分析装置によって測定される有機炭素量により測定することができる。
(処理液)
上記有機−無機複合表面処理被膜は、有機−無機複合表面処理液を、アルミニウム合金板に皮膜処理することにより得られる。
上記処理液は、上記ジルコニウム化合物及び/又は上記チタン化合物(1)、有機ホスホン酸化合物(2)、及び上記タンニン(3)を溶媒に溶解させることにより作製する。
上記処理液において、上記ジルコニウム化合物及び/又は上記チタン化合物(1)の含有量は、ジルコニウム及び/又はチタンの量として質量基準で、下限が40ppm、上限が1000ppmである。40ppm未満であると、短時間処理で充分なジルコニウム又はチタン皮膜量が得られず、密着性、耐食性が低下するおそれがある。1000ppmを超えると、塗装後の塗膜密着性が低下するおそれがあり、また、性能向上、処理時間の短縮は認められず、コスト高となるおそれもある。上記下限は、100ppmであることが好ましく、上記上限は、300ppmであることが好ましい。なお、上記水溶性ジルコニウム化合物及び/又は上記水溶性チタン化合物の含有量とは、ノンクロム金属表面処理剤中に含まれるジルコニウムとチタンとの合計の含有量である。
上記処理液において、上記有機ホスホン酸化合物(2)の含有量は、上記ノンクロム金属表面処理剤中で、質量基準で下限20ppm、上限500ppmである。20ppm未満であると、形成される皮膜中に適切なリン皮膜量が得られず、塗装後の塗膜密着性が低下するおそれがあり、500ppmを超えても、過剰に存在することになるだけで密着性、耐食性を向上させる効果は見られず、コスト高となるおそれがある。上記下限は、50ppmであることが好ましく、上記上限は、200ppmであることが好ましい。
上記タンニン(3)の含有量は、上記ノンクロム金属表面処理剤中において、質量基準で下限200ppm、上限5000ppmである。200ppm未満であると、形成される皮膜中に、適切な炭素皮膜量が得られず、塗装後の耐食性、塗膜密着性が低下するおそれがある。5000ppmを超えても、耐食性、塗膜密着性等の性能が向上、処理時間の短縮は認められず、コスト高となるおそれがある。上記下限は、500ppmであることが好ましく、上記上限は、2000ppmであることが好ましい。
上記処理液のpHは、下限1.6、上限4.0の範囲内である。pHが1.6未満の場合は、金属表面のエッチングが促進され過ぎるため、皮膜外観が不良となり、また、得られる皮膜の耐食性も悪化する。pHが4.0を超えると、化成反応が満足に進行せず、化成皮膜が形成されにくくなる。上記下限は、1.8であることが好ましく、2.2であることがより好ましい。上記上限は、3.4であることが好ましく、2.8であることがより好ましい。
上記有機−無機複合表面処理液には、上記成分の他に必要に応じて、更に、エッチング助剤、キレート剤、pH調整剤を使用することができる。
上記エッチング助剤としては、例えば、フッ化水素酸、フッ化水素酸塩、フッ化硼酸等を挙げることができる。なお、フッ素イオンの供給源として、上記水溶性ジルコニウム化合物、上記チタン化合物として挙げたジルコニウム又はチタンの錯体を用いる場合には、生成するフッ素イオンの量が不充分であるので、上記フッ素化合物を併用することが好ましい。
上記キレート剤としては、例えば、クエン酸、酒石酸、グルコン酸等、アルミニウムと錯体を形成する酸及びそれらの金属塩等を挙げることができる。
上記pH調整剤としては、例えば、硝酸、過塩素酸、硫酸、硝酸ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、アンモニア等の表面処理に悪影響を与えない酸又は塩基を挙げることができる。
上記有機−無機複合表面処理被膜は、前記処理液でアルミニウム合金板を処理することにより得られる。この処理皮膜を施すことにより、上記アルミニウム合金板に優れた塗装後の耐食性、塗膜密着性を付与することができる。
上記アルミニウム合金板を処理する方法としては、上記アルミニウム合金板を上記処理液に接触させる方法であれば特に限定されず、スプレー法、浸漬法等の通常の方法を挙げることができる。なかでも、スプレー法で行うことが好ましい。
上記アルミニウム合金板の処理は、下限30℃、上限80℃の温度範囲で行うことが好ましい。30℃未満であると、反応速度が低下し、皮膜の析出性が悪くなるため、充分な皮膜量を得るために処理時間を延長する必要が生じ、生産性を低下させる。80℃を超えると、エネルギーのロスが大きくなる可能性がある。上記下限は、50℃であることがより好ましい。上記上限は、70℃であることがより好ましい。
上記アルミニウム合金板の処理は、スプレー法で処理する場合は、処理時間が下限1秒、上限20秒の範囲内であることが好ましい。1秒未満であると、形成される皮膜量が充分でなく、耐食性や密着性が低下するおそれがあり、20秒を超えると、皮膜形成時のエッチングが過度に進行し、密着性、耐食性が低下するおそれがある。また、より好ましくは上記下限は3秒であり、上記上限は8秒である。
上記アルミニウム合金板の処理の後、必要に応じて水洗処理を行うことができる。
上記水洗処理は、皮膜外観等に悪影響を及ぼさないようにするために、1回又はそれ以上行われるものである。この場合、最終の水洗は、純水で行われることが適当である。この水洗処理においては、スプレー水洗又は浸漬水洗のどちらでもよく、これらの方法を組み合わせて水洗することもできる。
上記アルミニウム合金板の処理により得られる皮膜は、水洗後に乾燥させることが好ましい。上記皮膜を乾燥する方法としては加熱乾燥が好ましく、例えば、オーブン乾燥及び/又は熱空気の強制的循環による加熱乾燥を挙げることができる。これらの加熱乾燥は、通常、40〜120℃で6秒〜60秒間行われる。
上記アルミニウム合金板の処理が行われる前には、上記アルミニウム合金板を酸で洗浄する工程が行われることが好ましい。更に酸で洗浄する工程の前に上記アルミニウム合金板をアルカリで洗浄する工程が行われることが好ましい。最も好ましい態様は、アルカリ洗浄→水洗→酸洗浄→水洗→ノンクロム金属表面処理→水洗→乾燥の各工程を順次行う方法である。
上記アルカリ洗浄処理としては特に限定されず、例えば、従来アルミニウムやアルミニウム合金等の金属のアルカリ洗浄処理に用いられてきた処理を行うことができる。上記アルカリ洗浄処理において、通常、アルカリ洗浄はアルカリ性クリーナーを用いて行われる。また、上記酸洗浄は酸性クリーナーを用いて行われる。
上記アルカリ性クリーナーとしては特に限定されず、通常のアルカリ洗浄に用いられるものを用いることができ、例えば、日本ペイント社製「サーフクリーナー360」等を挙げることができる。上記酸性クリーナーとしては特に限定されず、例えば、硫酸、硝酸、塩酸等の無機酸;日本ペイント社製「サーフクリーナーST160」等を挙げることができる。
上記酸洗浄及びアルカリ洗浄処理は、通常、スプレー法で行われる。上記酸洗浄又はアルカリ洗浄処理を行った後は、基材表面に残存する酸洗浄剤又はアルカリ洗浄剤を除去するために、水洗処理を行う。
上記有機−無機複合表面処理層において、皮膜量は、処理液の各成分の組成、処理温度、処理時間を適宜設定することによって所望の皮膜量を得ることができる。
(有機樹脂被覆層の形成)
上記有機−無機複合表面処理層の上には、有機樹脂被覆層を形成させる。前記有機樹脂被覆層は、熱可塑性樹脂又は塗膜であることが好ましい。
上記熱可塑性樹脂としては、ポリエステル系樹脂が挙げられる。熱可塑性ポリエステル系樹脂としては特に限定されず、例えば、エチレンテレフタレート単位、エチレンナフタレート単位、エチレンイソフタレート単位、ブチレンテレフタレート単位、1,4シクロへキサンジメタノールテレフタレート単位等の構成単位からなる熱可塑性ポリエステル系樹脂を挙げることができる。2以上の上記構成単位を有する共重合熱可塑性ポリエステル系樹脂であってもよい。これらのうちでも、エチレンテレフタレート単位からなるポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンイソフタレート共重合樹脂、ポリエチレンテレフタレート/ポリブチレンテレフタレート共重合樹脂、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンナフタレート共重合樹等が好適である。
上記熱可塑性ポリエステル樹脂は、フィルムを形成した後金属にラミネートするものであっても、加熱溶融した上記熱可塑性ポリエステル樹脂を押出し成形機の押出し幅の狭いスリットによってフィルム状に押出し、直接金属板上にラミネートするダイレクトラミネーションによるものであってもよい。上記フィルムを形成した後でラミネートする場合、上記フィルムとしては特に限定されず、例えば、未延伸フィルムであっても一軸延伸フィルムであっても二軸延伸フィルムであってもよい。
また、上記熱可塑性樹脂は、エポキシフェノール樹脂系接着プライマー層を介して、有機−無機複合表面処理層の上に形成しているものであっても良い。
上記熱可塑性樹脂は、エポキシフェノール樹脂系接着プライマー層を介して、有機−無機複合表面処理層の上に形成しているものであっても良い。接着プライマーは、金属素材とフィルムとの両方に優れた接着性を示すものである。エポキシフェノール樹脂系の接着プライマーとしては、特にフェノール樹脂とエポキシ樹脂を50:50乃至1:99の重量比、特に40:60乃至5:95の重量比で含有する塗料であることが、密着性と耐腐食性との両方に優れていることから好ましい。上記接着プライマー層は一般に0.01乃至10μmの厚みに設けるのがよい。接着プライマー層は予めアルミニウム合金板上に設けても良く、あるいは上記ポリエステルフィルム上に設けても良い。
また、前記塗膜としては、熱硬化性樹脂塗料、例えば、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、フラン−ホルムアルデヒド樹脂、キシレン−ホルムアルデヒド樹脂、ケトン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、トリアリルシアヌレート樹脂、熱硬化型アクリル樹脂、シリコーン樹脂、油性樹脂、或いは熱可塑性樹脂塗料、例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体部分ケン化物、塩化ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−マレイン酸−酢酸ビニル共重合体、アクリル重合体、飽和ポリエステル樹脂等を挙げることができる。これらの樹脂塗料は単独でも2種以上の組合せでも使用される。これらの内でも、エポキシアクリル系塗料、エポキシフェノール系塗料、エポキシユリア系塗料、ビニルオルガノゾル系塗料等が好適である。
上記塗膜は、ローラコート、ブレードコート、スプレーコート等の手段により有機−無機複合表面処理層の上に被覆される。
さらに、被覆された塗膜は、熱風炉、赤外線加熱炉等で焼き付けられ、アルミニウム合金缶蓋用素材とされる。
上記塗膜の一例と、乾燥条件、乾燥後の塗膜重量を表1に示す。
Figure 2005126097
(蓋の成形)
本発明のアルミニウム合金缶蓋の成形は、前述したアルミニウム合金缶蓋用素材を使用して、プレス成形法などの公知の成形法で行うことができる。
先ず、被覆アルミニウム板乃至コイルを所定の形状及び寸法に打抜き、次いで、或いは同時にプレス型で蓋に成形する。一般に、ステイ・オン・タブタイプのイージーオープン蓋や、フルオープンタイプのイージーオープン蓋に適用される。
以下に本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。また実施例中、「部」は特に断りのない限り「質量部」を意味する。
(ノンクロム金属表面処理剤の調製)
(実施例1)
イオン交換水9993部を攪拌装置付きべッセルに仕込んだ。常温にて攪拌しながら、日本軽金属社製「フッ化ジルコニウム水素酸」(Zrとして17.6%含有)2.3部を徐々に添加した。更に、攪拌しながら、森田化学工業社製「1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸」0.7部を徐々に添加した。次いで、攪拌しながら、大日本製薬社製「タンニン酸エキスA」(不揮発分50%)4部を徐々に添加した。続いて、攪拌しながら、処理剤に対し、フリーフッ素濃度が12ppmとなるようにフッ化水素酸を配合した後、アンモニアを添加し、処理剤のpHを2.6に調整した。10分攪拌を継続し、フッ化ジルコニウム水素酸をジルコニウムとして40ppm、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸をリンとして20ppm、タンニン200ppm含有する微褐色の水溶液を得た。
(実施例2〜12、比較例1〜4)
表2及び表3に記載した配合比で実施例1と同様の方法によって、実施例2〜12及び比較例1〜4の金属表面処理剤を調製した。
(実施例13)
イオン交換水9989.1部を攪拌装置付きベッセルに仕込んだ。常温にて攪拌しながら、森田化学工業社製「フッ化チタン水素酸」(Tiとして29.3%含有)1.5部を徐々に添加した。更に、攪拌しながら、森田化学工業社製「1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸」1.4部を徐々に添加した。次いで、攪拌しながら、大日本製薬社製「タンニン酸エキスA」(不揮発分50%)8部を徐々に添加した。続いて、攪拌しながら、処理剤に対し、フリーフッ素濃度が12ppmとなるようにフッ化水素酸を配合した後、アンモニアを添加し、処理剤のpHを2.6に調整した。10分攪拌を継続し、フッ化チタン水素酸をチタンとして45ppm、1一ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸をリンとして40ppm、タンニン400ppmを含有する微褐色の水溶液を得た。
(実施例14〜21、比較例5〜8)
表2及び表3に記載した配合比で実施例13と同様の方法によって、実施例14〜21及び比較例5〜8のノンクロム金属表面処理剤を調製した。
(実施例22)
イオン交換水9987.9部を攪拌装置付きべッセルに仕込んだ。常温にて攪拌しながら、フッ化ジルコニウム水素酸1.7部、続いてフッ化チタン水素酸1.0部を徐々に添加した。更に、攪拌しながら、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸1.4部を徐々に添加した。次いで、攪拌しながら、大日本製薬社製「タンニン酸エキスA」(不揮発分50%)8部を徐々に添加した。続いて、攪拌しながら、処理剤に対し、フリーフッ素濃度が12ppmとなるようにフッ化水素酸を配合した後、アンモニアを添加し、処理剤のpHを2.6に調整した。10分攪拌を継続し、フッ化ジルコニウム水素酸をジルコニウムとして30ppm、フッ化チタン水素酸をチタンとして30ppm、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸をリンとして40ppm、タンニン400ppmを含有する微褐色の水溶液を得た。
(実施例23〜25)
表2に記載した配合比で実施例22と同様の方法によって、実施例23〜25のノンクロム金属表面処理剤を調製した。
(実施例26〜28、比較例9〜10)
実施例4で作成した水溶液(フッ化ジルコニウム水素酸をジルコニウムとして200ppm、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸をリンとして120ppm、タンニンを1400ppm含有)のpHを、硝酸、又はアンモニアを用いて、1.4〜5の範囲で調整し、実施例26〜28のノンクロム金属表面処理剤を得た。(実施例26:pH=1.6、実施例27:pH=3.0、実施例28:pH=4.0)同様の方法によって比較例9、10のノンクロム金属表面処理剤を得た。(比較例9:pH=1.4、比較例10:pH=5.0)。
(有機−無機複合表面処理層の形成)
アルミニウム合金板材を、日本ペイント社製「サーフクリーナー360」の1%希釈液を用いて脱脂し(65℃×3秒間処理)、水洗し、続いて硫酸1%希釈液を用いて洗浄した後(50℃×3秒間処理)、水洗し、得られたアルミニウム合金板に、スプレー装置によって、58℃にて5秒間上記実施例及び比較例のノンクロム金属表面処理剤による処理を行い、素材温度80℃にて30秒間乾燥させ、有機−無機複合表面処理層を形成させた表面処理金属板を得た。
(比較例11〜13)
処理剤として、日本ぺイント社製「アルサーフ4130」(比較例11:リン酸ジルコニウム系処理剤)、日本ペイント社製「アルサーフ402」(比較例12:ジルコニウム系処理剤(リン酸化合物含有せず))、日本ペイント社製「アルサーフ401/45」(比較例13:リン酸クロメート処理剤)を使用した他は、いずれも、上述の洗浄工程、スプレー処理と同条件にて化成皮膜を形成させた表面処理金属板を得た。
(皮膜量測定)
実施例及び比較例によって得られた乾燥皮膜のジルコニウム、チタン、リン、クロムの質量を、島津製作所社製 蛍光X線分析装置「XRF−1700」を用いて測定した。乾燥化成皮膜のタンニンの質量は、米国LECO社製 形態別炭素/水分分析装置「RC412」を用いてタンニン由来の炭素原子質量を測定した。なお、タンニン由来の炭素原子質量は、以下の方法により判定した。
[タンニン由来の炭素原子質量の測定方法]
(1)水溶性ジルコニウム化合物及び/又は水溶性チタン化合物、並びに、有機ホスホン酸化合物のみからなる皮膜を作成し、有機ホスホン酸化合物由来の炭素質量とリン質量とを測定し、有機ホスホン酸化合物由来の炭素質量とリンとの質量比を算出し、一次式を作成した。
(2)次に、水溶性ジルコニウム化合物及び/又は水溶性チタン化合物、有機ホスホン酸化合物、並びに、タンニンからなる皮膜を作成し、炭素質量、リン質量を測定した。
(3)前記(1)で得られた一次式から、前記(2)で得られたリン質量をもとに有機ホスホン酸化合物由来の炭素質量を算出した。
(4)前記(2)で得られた炭素質量(実測値)と前記(3)で得られたリン質量(計算値)との差から、タンニン由来の炭素質量を求めた。
上記測定によって得られたジルコニウム化合物中のジルコニウムの質量をZrとして、チタン化合物中のチタンの質量をTiとして、有機ホスホン酸化合物に由来するリンの質量をPとして、タンニンに由来する炭素原子の質量をCとして、それぞれ表2、表3に示した。また、Zr・Ti対Pの比率及びZr・Ti対Cの比率もあわせて示した。
Figure 2005126097
Figure 2005126097
(有機樹脂層の形成(熱可塑性樹脂(ポリエステル系)))
得られた有機−無機複合表面処理層を形成させた表面処理金属板に、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンイソフタレート共重合樹脂、ポリエチレンテレフタレート/ポリブチレンテレフタレート共重合樹脂、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンナフタレート共重合樹フィルムを、ラミネートロール温度150℃、通板速度150m/分で熱ラミネートし直ちに水冷することにより、熱可塑性有機樹脂層を被覆したアルミニウム合金缶蓋用素材を得た。
また、得られた有機−無機複合表面処理層を形成させた表面処理金属板に、エポキシアクリル系塗料、エポキシフェノール系塗料、エポキシユリア系塗料、ビニルオルガノゾル系塗料をローラコーターを用いて塗装し、表1に示した条件にて熱風炉で焼き付けることにより、塗膜を被覆したアルミニウム合金缶蓋用素材を得た。
(缶蓋の作製)
作製した樹脂被覆アルミニウム合金缶蓋用素材を、上記樹脂被覆面が少なくとも蓋の内面側に存在する方向で直径68.7mmに打ち抜き、次いで蓋の外面側にパーシャル開口型のスコア加工(幅22mm、スコア残厚110μm、スコア幅20μm)、リベット加工並びに開封用タブの取り付けを行い、SOT蓋の作製を行った。
(評価方法)
下記評価を行い、結果を表4、表5に示した。
1.皮膜外観
上記により得た樹脂被覆アルミニウム合金缶蓋の表面を目視で評価した。
表4、表5において、はじき、ムラ、著しい変色等の異常の無い、良好な外観が得られたものを「O」で表し、異常があったものはその状態を表記した。
2.フェザリング評価(密着性)
上記により得た熱可塑性樹脂被覆アルミニウム合金缶蓋について、レトルト殺菌処理(130℃で50分間)を実施した後、実際に缶蓋を開口し、開口部分のフェザリングの発生を評価した。
また、上記により得た塗膜被覆アルミニウム合金缶蓋について、煮沸処理(30分間)を実施した後、実際に缶蓋を開口し、開口部分のフェザリングの発生を評価した。
各n=50枚実施し、評価結果は、
○:平均フェザリング長さ0.5mm未満
△:平均フェザリング長さ0.5mm以上、1.0mm未満
×:平均フェザリング長さ1.0mm以上
で示し、表4、5にまとめた。製品としての使用可能範囲は○及び△で示した製品である。
3.開口性評価
上記により得た熱可塑性樹脂被覆アルミニウム合金缶蓋について、レトルト殺菌処理(130℃で50分間)を実施した後、開口性評価を実施した。
また、上記により得た塗膜被覆アルミニウム合金缶蓋について、煮沸処理(30分間)を実施した後、開口性評価を実施した。
評価結果は、タブ折れなどによる開口不良数/開口数で示し、表4、表5にまとめた。
4.パック試験
一般食缶用溶接缶胴に、内容物コーンスープを充填し常法に従い、上記により得た熱可塑性樹脂被覆アルミニウム合金缶蓋を巻締め、130℃−90分間殺菌処理した。倒立で55℃−2カ月貯蔵後開缶機で巻締部を切断し、蓋を缶胴から離した後、該内面の腐食状態を顕微鏡で観察し評価した。
スチール製絞りしごき缶胴に、内容物コカコーラ(商標)を充填し常法に従い、上記により得た塗膜被覆アルミニウム合金缶蓋を巻締めた。倒立で37℃−3カ月貯蔵後開缶機で巻締部を切断し、蓋を缶胴から離した後、該内面の腐食状態を顕微鏡で観察し評価した。
n=50で実施した。評価結果を、表4、表5にまとめた。
Figure 2005126097
Figure 2005126097
上記のように、実施例により得られたアルミニウム合金缶蓋は、密着性、開口性、耐食性、共に優れるものであった。
本発明においては、アルミニウム合金板表面に、ジルコニウム化合物及び/又はチタン化合物と、有機ホスホン酸化合物と、タンニンとを含む有機−無機複合表面処理被膜を形成しその上を有機樹脂層で被覆することにより、アルミニウム合金板にリン酸クロム酸被膜を付与し、更にその上を有機樹脂層で被覆した場合と同等の密着性及び耐食性を有するアルミニウム合金缶蓋を得ることができる。
本発明の実施形態び係る樹脂被覆アルミニウム合金缶蓋の一例の上面図である。 図1の樹脂被覆アルミニウム合金缶蓋の線A−Aにおける拡大断面図である。
符号の説明
4: イージーオープン缶蓋
5: 中央パネル部
6: 強化環状溝
7: スコア
8: 開口予定部
9: 開封用タブ
10: リベット

Claims (6)

  1. アルミニウム合金板からなる缶蓋において、該アルミニウム合金板の少なくとも片側表面に、ジルコニウム化合物及び/又はチタン化合物をジルコニウム及び/又はチタン原子換算で4〜30mg/m含有し、
    有機ホスホン酸化合物を、前記ジルコニウム化合物及び/又はチタン化合物のジルコニウム及び/又はチタン原子換算での質量に対して、リン原子換算で0.05〜0.3の割合で含有し、
    タンニンを、前記ジルコニウム化合物及び/又はチタン化合物のジルコニウム及び/又はチタン原子換算での質量に対して、炭素原子換算で0.5〜3の割合で含有する有機−無機複合表面処理層を有し、
    さらにその上に有機樹脂被覆層を有する耐食性、密着性に優れる樹脂被覆アルミニウム合金缶蓋。
  2. 前記アルミニウム合金板が、重量%で、Mg:0.2〜5.5%、Si:0.05〜1%、Fe:0.05〜1%、Cu:0.01〜0.35%、Mn:0.01〜2%、Cr:0.01〜0.4%、を含有するアルミニウム合金であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂被覆アルミニウム合金缶蓋。
  3. 前記有機−無機複合表面処理層の上に形成させる有機樹脂被覆層が熱可塑性樹脂である請求項1又は2に記載の樹脂被覆アルミニウム合金缶蓋。
  4. 前記熱可塑性樹脂がポリエステル系樹脂である請求項3に記載の樹脂被覆アルミニウム合金缶蓋。
  5. 前記熱可塑性樹脂が、エポキシフェノール樹脂系接着プライマー層を介して、前記有機−無機複合表面処理層の上に形成されている請求項3又は4に記載の樹脂被覆アルミニウム合金缶蓋。
  6. 前記有機−無機複合表面処理層の上に形成させる有機樹脂被覆層が塗膜である請求項1又は2に記載の樹脂被覆アルミニウム合金缶蓋。
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