JP2005125724A - 積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属箔や金属回路面に積層し、接着性、半田耐熱性、銅マイグレーション抑制性などに優れ、且つ保存安定性に優れたプリント配線板用に有用な熱硬化性樹脂積層体を提供することである。
【解決手段】数平均分子量が5、000〜100,000、カルボキシル基1個当たりの分子量が1,500〜10,000であるポリエステル系重合体(a)、分子中に2個以上のエポキシ基を含むエポキシ樹脂(b)、エポキシ樹脂硬化促進剤(c)、場合により更に無機充填剤(d)を含有する硬化性樹脂組成物層がポリイミドフィルム、銅箔などに積層されている積層体および該積層体の樹脂組成物が硬化されて金属や金属回路面に積層されている積層体である。

Description

本発明はプリント配線板特にフレキシブルプリント配線板やビルドアップ法多層プリント配線板を製造するための有効な部材としての積層体に関するものである。
ポリエステルフィルムやポリイミドフィルムと銅箔の積層体がフレキシブルプリント配線基板として用いられている他、フレキシブルプリント配線板の回路面に積層されるカバーレイフィルムはポリエステルフィルムやポリイミドフィルムと熱可塑性のある樹脂層の積層体が用いられている。さらに近年、プリント配線板において高密度化が要請されて多層化の傾向にあり、あらかじめ形成した両面プリント配線板の回路面に、熱可塑性のある樹脂層が積層された銅箔を、該樹脂層を介して回路上に貼り付け、新たに積層された銅箔をエッチング加工して新たな回路を形成するビルドアップ法が多層配線板の作成法として注目を集めているが、この場合熱可塑性のある樹脂層が銅箔に積層されたものを用いている。
いずれの例もポリエステルフィルムやポリイミドフィルム、銅箔などの耐熱薄葉材に積層された熱可塑性のある樹脂層を金属箔や金属回路上に貼り合わせる必要があり、貼り合わせた後は半田耐熱性が要求される。ここに使用される樹脂層には薄葉材や金属箔、金属回路面への接着性は勿論、電気絶縁性、半田耐熱性、可撓性、回路への湿気の侵入とそれに伴う錆の防止、さらには銅イオンのマイグレーションの抑制、難燃性などが要求される。
一方回路面への貼り合わせの際、回路間を埋めることが出来るに充分な樹脂の流動性を有すると同時に設計上樹脂が覆ってはならないランド部まで樹脂が流れ出すことは許されない。
以上の様にプリント配線板に用いることが出来る、耐熱薄葉材と樹脂の積層体において、その樹脂層に対しては半田耐熱性と熱可塑性、あるいは半田耐熱性と可撓性、熱流動性と非流動性、など両立が難しい要求があり、熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂の単独使用では全要求特性を満足することが出来ないのが実状である。この結果、樹脂層には熱可塑性の樹脂(ポリアクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリビニルブチラール、ポリエステル、ポリアミド、アクリル樹脂など)を熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂、フェノール樹脂、イソシアネート樹脂など)で架橋させる様な樹脂組成物が提案されている。
参考文献1
特開2001−77515
参考文献2
特表2001−513115
参考文献3
特開2003−165898
しかしながら近年プリント配線板は、より高密度配線が要求され、益々細い回路幅、狭い回路間距離となり、銅のマイグレーションが問題となって来た。また、樹脂層が積層されたカバーレイ用のフィルムや多層用の樹脂層付き銅箔の樹脂層に対しては狭い回路間を埋め尽くすことが出来る流動性、高い電気絶縁性、耐熱性が要求され、同時に長期の保存安定性(シェルフライフ)が要求されている。これらの要求特性をすべて満足することは困難な状況にある。
上記の現状に鑑み、本発明は、高密度回路面を被覆し、優れた銅マイグレーション抑制性や半田耐熱性を有し、且つ長期の保存安定性(可使時間:シェルフライフが長い)を有する硬化性および硬化した樹脂組成物積層体を提供しようとするものである。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、次の手段を見出すに至った。即ち、分子中に2個以上のカルボキシル基を含み、数平均分子量が5,000〜100,000、且つカルボキシル基1個当たりの分子量が1,500〜10,000であるポリエステル系重合体(a)、分子中に2個以上のエポキシ基を含むエポキシ樹脂(b)、エポキシ樹脂硬化促進剤(c)を含有し、5℃において5ヶ月以上の期間熱可塑性を保持し得る硬化性樹脂組成物がポリイミド系フィルム、又はポリエステル系フィルム又は金属箔の少なくとも片面に積層されていることを特徴とする積層体、および該積層体の硬化性樹脂組成物が硬化されて、金属箔(金属の回路を含む)上に積層されている積層体および特に該積層体において(a)、(b)、(c)に加え必須成分として無機充填剤(d)を含有することを特徴とする上記積層体により上述の課題を解決するものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、熱可塑性樹脂成分としてポリエステル系重合体を特定したのは銅マイグレーション抑制性が、他の樹脂に比し優れていることを見出したことによる。
本発明に用いるポリエステル系重合体とはポリエステル、またはその60重量%、好ましくは80重量%以上がポリエステル成分であるポリエステル・ポリエーテル、ポリエステル・ポリアミド、ポリエステル・ポリイミド、ポリエステル・ポリウレタンなどであり、ポリエステル・ポリウレタンが好ましい。ポリエステル成分は通常ブロック的に他重合成分と結合していることが好ましい。
ポリエステル成分の構成要素のグリコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、などのC1〜C10のアルキレングリコール、アルキレンエーテルグリコール、ビスフェノールA(またはF、またはS)のエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド付加物などを挙げることが出来る。好ましくはエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノールなどである。
ポリエステル成分の構成要素の二塩基酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,5−(あるいは2,6−)ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,2’−ジフェニルジカルボン酸などの芳香族二塩基酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸、などの脂肪族二塩基酸を挙げることが出来る。好ましくはテレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸である。
本発明のポリエステル成分は二塩基酸成分の30モル%以上が芳香族二塩基酸であることが好ましく、30モル%未満では耐薬品性、耐水性、耐熱性が劣る。
本発明のポリエステル系重合体のうち、ポリエステル単独重合体は通常の溶融重合法により一旦ポリエステルジオールを製造後、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸などの多官能塩基酸無水物と反応させることによって製造できる。
本発明のポリエステル・ポリエーテルはポリエステル製造時にグリコール成分の一部としてポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールなどのポリエーテルグリコールを用い、上記ポリエステル単独重合体と同様に製造できる。
本発明のポリエステル・ポリアミドはポリエステル重合中の任意の過程でε−カプロラクタムなどの環状ラクタムを添加し、溶融重合法で製造できる。カルボキシル基の導入はポリエステル単独重合体の場合と同様である。
本発明のポリエステル・ポリイミドはあらかじめポリエステルジオールを製造後、重合の最後に無水ピロメリット酸,ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物の様な四塩基酸二無水物を添加し、末端に酸無水物基を導入したポリエステルを作り,次いで通常の溶液重合法または溶融重合法で1,4−ジアミノジフェニルメタンや1,4−ジアミノジフェニルエーテルなどのジアミンまたは1,4−ジフェニルメタンジイソシアネート,2,4−トリレンジイソシアネート、2,5−ナフタレンジイソシアネートなどの二官能イソシアネート化合物を反応させて製造できる。
本発明のポリエステル・ポリウレタンは、あらかじめ製造したポリエステルジオールと低分子ジオールおよびジイソシアネートを溶液中で反応させて得られる。低分子ジオールの一成分としてジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸などのカルボキシル基含有ジオールを用いることによって分子中に2個以上のカルボキシル基を含有するポリエステル・ポリウレタンを製造できる。ジイソシアネート成分としては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、メタ−(または/およびパラ−)フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、2,6−ナフタレンジイソシアネート,4,4’−ジイソシアネートジフェニルエーテル、イソホロンジイソシアネートなどを挙げることが出来る。
本発明のポリエステル系重合体(a)は、分子中に2個以上のカルボキシル基を含み、数平均分子量が5,000〜100,000、且つカルボキシル基1個当たりの分子量が1,500〜10,000である。分子中に2個以上のカルボキシル基が存在しないとエポキシ樹脂との硬化物の網目が完全に形成されないため、耐熱性や耐薬品性などが劣り、不適当である。
ポリエステル系重合体(a)の数平均分子量が5,000に満たないと、エポキシ樹脂(b)との硬化物の架橋密度が上がり、可撓性が劣ると共にエポキシ樹脂との反応性が上がり、保存性が悪くなり(可使時間:シェルフライフが短くなり)不適当である。一方、数平均分子量が100,000を越えると、熱圧着時の溶融粘度が上がり、狭い回路間に樹脂を埋め込むことが困難になる。以上の理由により、本発明のポリエステル系重合体の数平均分子量は5,000〜100,000の範囲にある。
本発明のポリエステル系重合体(a)は分子中に2個以上のカルボキシル基を含み、且つカルボキシル基1個当たりの分子量が1,500〜10,000である。この値が1,500未満の場合、エポキシ樹脂(b)との硬化物の架橋密度が上がり可撓性が劣ると共にエポキシ樹脂との反応が上がり、熱可塑性が保持できる期間即ち保存性が悪くなり(シェルフライフが短くなり)不適当である。この値が10,000を越えると、エポキシ樹脂との硬化物の耐熱性が劣り半田耐熱性が不充分となる。以上の理由により、本発明のポリエステル系重合体のカルボキシル基1個当たりの分子量は1,500〜10,000の範囲にある。
本発明の2個以上のエポキシ基を含むエポキシ樹脂(b)とは、具体的にはビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン環含有エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ダイマー酸グリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、エポキシ化ポリブタジエンなどを挙げることが出来る。
エポキシ樹脂の配合量はポリエステル系重合体中のカルボキシル基とエポキシ樹脂中のエポキシ基の当量比が、1:0.5〜1:5、好ましくは1:1〜1:3の範囲で用いる。この当量比が1:0.5未満では耐熱性が劣り、1:5超では可撓性の低い硬化物となる。
本発明においてはポリエステル系重合体とエポキシ基樹脂の反応を促進するためにエポキシ樹脂硬化促進剤(c)を用いる。エポキシ樹脂硬化促進剤(c)としては、具体的にはイミダゾール化合物、ホスフィン化合物、シクロアミジン化合物、ウレア化合物、三級アミン類などを挙げることが出来る。
本発明のエポキシ樹脂硬化促進剤(c)の配合量は、ポリエステル系重合体に対して0.1〜5.0重量%、好ましくは0.5〜2重量%である。0.1重量%未満では硬化物の耐熱性が劣り、5重量%を越えると低温でも反応速度が上がり、保存性が悪くなる(シェルフライフが短くなる)。
本発明の硬化性樹脂組成物層中に、無機充填剤(d)を含有することは好ましい態様である。無機充填剤としては、具体的にはタルク、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、などを挙げることが出来る。これらは単独あるいは二種以上を混合して使用することが出来る。無機充填剤(d)は本発明の硬化性樹脂組成物を回路面に熱圧着する際の流動性を制御し、また難燃性、力学的性質、耐熱性などの改善に効果がある。
無機充填剤(d)の配合量は、硬化性樹脂組成物の2重量%〜50重量%、好ましくは10〜30重量%である。2重量%未満では上記の効果が発現し難く、50重量%を越えると可撓性が低下し、また流動性が損なわれる。
本発明の硬化性樹脂組成物層は回路面への熱圧着時には熱可塑性を保持しており、樹脂組成物は熱圧着により回路間の狭い空隙に入り込む流動性を示す。この熱圧着工程あるいはその後のポストキュアにより、樹脂組成物は完全に硬化し、半田耐熱性、接着性、銅マイグレーション抑制性、屈曲性、などのプリント配線板に要求される特性を発揮する。
本発明の硬化性樹脂組成物積層体は、ポリエステル系フィルムまたはポリイミド系フィルムまたは金属箔などの耐熱薄葉材料の少なくとも片面にコーティングし、加熱乾燥工程で溶媒を除去することによって製造される。ポリエステル系フィルムとしては具体的にはポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリアリレートフィルムなどを挙げることが出来る。ポリイミド系フィルムとしては具体的にはカプトン、アピカル、ユーピレックスなどの商品を挙げることが出来る。金属箔としては具体的には銅箔、アルミニウム箔、ステンレススチール箔などである。これら薄葉材料の厚さは通常12μm〜50μmである。
本積層体が製造された後、フィルムカバーレイなどとして回路面に重ねて加熱圧着が可能な期間である可使時間(シェルフライフ)即ち熱可塑性を保持し得る期間は、5℃において5ヶ月以上である。熱硬化性樹脂組成物において、5℃で5ヶ月以上の可使時間(シェルフライフ)を維持出来るのは樹脂組成物の材料および処方に負うところが大きいが、加熱乾燥工程の熱履歴(温度×時間)にも関わる。この点からコーティング後の乾燥は50℃〜150℃、好ましくは50℃〜120℃で、1分間〜10分間、好ましくは1分間〜5分間の加熱乾燥が好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物積層体の硬化性樹脂組成物層を金属箔(または金属回路面)に重ね合わせ、加熱・圧着・硬化する条件は、100℃〜220℃、好ましくは150℃〜200℃で、1kg/cm2〜100kg/cm2、好ましくは10kg/cm2〜50kg/cm2である。加熱圧着時間は5秒間〜1時間、好ましくは10秒間〜30分間である。圧着後さらにポストキュア(後硬化)を行って充分硬化させるのは好ましい態様である。ポストキュアの条件は100℃〜200℃、好ましくは120℃〜150℃で10分間〜8時間、好ましくは15分間〜2時間である。
本発明の積層体に用いる硬化性樹脂組成物には、ポリエステル系重合体(a)、エポキシ樹脂(b)、エポキシ樹脂硬化促進剤(c)、無機充填剤(d)の他に酸無水物などのエポキシ樹脂硬化剤や有機または/および無機のリン化合物などの難燃剤、シランカップリング剤、チタネート、リン酸基を含む化合物などの金属に対する接着改良剤、滑剤、酸化防止剤なども添加することが出来る。
また本発明の硬化性樹脂組成物積層体の硬化性樹脂組成物層の上に離型性のフィルムまたは紙を積層することも通常行なわれる態様である。
本発明の硬化性樹脂組成物積層体は保存安定性に優れ、金属箔や金属回路面に熱圧着積層すれば、接着性、半田耐熱性、金属マイグレーション抑制性などプリント配線板に必要な特性を満足することが出来る。
以下、本発明を実施例により説明するが本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。以下の実施例に共通の評価法、測定法を先に説明する。
(1)ポリエステル系重合体の数平均分子量はテトラヒドロフランを溶媒として、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した(ポリスチレン標準試料換算)。
(2)カルボキシル基1個当たりの分子量は、ポリエステル系重合体のクロロホルム溶液を水酸化カリウムのエタノール溶液で滴定してカルボキシル基数を求め、先に測定した数平均分子量÷カルボキシル基数で計算した。
(3)カバーレイフィルム付プリント配線板の作成
東洋紡績株式会社製のポリイミド系樹脂銅張板(銅箔上にポリイミド系樹脂フィルムを直接形成したもの)を用い、エッチング法で櫛型回路(但し導体ピッチ0.2mm)を形成し、酸処理後、回路面に各カバーレイフィルム(製造後5℃で3ヶ月間保存したもの)を重ね、160℃,30kg/cm2で30分間加熱圧着した。
(4)半田耐熱性:(3)で作成した試料を、40℃、90%RHで24時間調湿し直ちに260℃の噴流式半田浴に30秒間浮かべ、膨れ、剥がれなどを観察した。
(5)剥離強度:(3)で作製した試料を用い、カバーレイフィルムと銅回路面の間の引き剥し強度を5cm/分、180度剥離法で測定した。
(6)銅マイグレーション:(3)で作製したプリント配線板(但し、導体ピッチ0.2mm)を85 ℃、85%RHで500時間、100V電圧を印加した前(0時間)、後(500時間)の絶縁抵抗値および線間絶縁破壊電圧値を比較した。銅マイグレーションが進行すると絶縁抵抗値、線間絶縁破壊電圧値とも低下する。
以下の実施例において単に部とあるのは重量部を示す。
ポリエステルの合成:1リットルの攪拌機つきオートクレーブにテレフタル酸99.6gr、イソフタル酸99.6gr、エチレングリコール156.2grネオペンチルグリコール174.7gr三酸化アンチモン0.17grを仕込み、210℃〜220℃に加熱し、生成する水を溜去した後、温度を240℃まで上げ、過剰のグリコール成分を溜去した。さらに温度を徐々に270℃に上げると共に減圧(0.1mmHg)にし、同条件で2時間重縮合を行ない、ポリエステルジオールを合成した。系を窒素で常圧に戻し、窒素雰囲気下で無水ピロメリット酸14.3grを添加し、同温度で5分間攪拌、反応させた。得られたポリエステルの数平均分子量は20,000、カルボキシル基1個当たりの分子量は5,000であった。
硬化性樹脂組成物溶液の調整:上記で合成したポリエステル58部をトルエン108部、メチルエチルケトン27部に溶解した溶液Aを調整した。B液として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製エピコート872)8部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製エピコート834)13部、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製エピコート154)21部、エポキシ樹脂硬化促進剤(四国化成社製キュアゾールC11ZA)0.4部、同キュアゾール2PHZ−CN 0.6部、水酸化アルミニウム(昭和電工社製ハイジライトH−42M)30部、トルエン60部に溶解・分散後、さらに3本ロールで水酸化アルミニウムを充分分散させた。上記A液とB液を均一に混合して硬化性樹脂組成物溶液Cを調整した。
ポリイミドフィルム/硬化性樹脂組成物積層体(CLフィル厶)の製造:東レ デュポン社製カプトン100Hの片面マット加工品のマット面に上記の硬化性樹脂組成物溶液Cをコンマコーターで塗工し、60℃、100℃、120℃の乾燥ゾーンを約1分間通過させた後、塗工面にポリエチレン製の離型フィル厶をラミネートした。硬化性樹脂組成物層の厚さは35μmであった。評価結果を表1に示す。
比較例1
実施例1のポリエステル58部の代わりにニトリルブタジエンゴム(NBR)日本ゼオン社製NIPOL−1001PA 29部、末端カルボキシル基を有するニトリルブタジエンゴム 日本ゼオン社製NIPOL−1072JP 29部を用い、実施例1と同様に硬化性樹脂組成物溶液、ポリイミドフィルム/硬化性樹脂組成物積層体を製造し評価した。結果を表1に示す。
ポリエステル・ポリウレタン(PES−UR1)の合成例:実施例1と同様にしてテレフタル酸/イソフタル酸//エチレングリコール/ネオペンチルグリコール=50/50//50/50(モル比)、数平均分子量11,000のポリエステルジオールを合成した。温度計、攪拌機、冷却管を付けた300mlの反応容器に、上記ポリエステルジオール100部およびトルエン70部を仕込み、溶解後、110℃に加熱しトルエン/水を共沸溜去することによって反応系を脱水した。60℃まで冷却後、2,2−ジメチロールブタン酸 9部およびメチルエチルケトン50部を加え、2,2−ジメチロールブタン酸が溶解後、ヘキサメチレンジイソシアネート8部と反応触媒としてジメチル錫ジラウレート 0.4部を加え、80℃で3時間反応させた後、トルエン/メチルエチルケトン=1/1溶液を加え固形分濃度を40%に調整した。得られたポリエステル・ポリウレタンの数平均分子量は15,000、カルボキシル基1個当たりの分子量は1,920であった。
硬化性樹脂組成物溶液の調整:上記で得たポリエステル・ポリウレタン(PES−UR1)45部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製エピコート872)6部、同エピコート5051 24部フェノールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬社製ブレンS)25部、エポキシ樹脂硬化促進剤(四国化成社製キュアゾールC11Z−A)0.4部、同キュアゾール2PHZ−CN 0.6部、水酸化アルミニウム(昭和電工社製ハイジライトH−42M)30部を用い、実施例1と同様に硬化性樹脂組成物溶液を調整した。
本硬化性樹脂組成物溶液を用い、実施例1と同様にポリイミドフィルム/硬化性樹脂組成物積層体およびそれをカバーレイとして用いたフレキシブルプリント配線板を製造し評価した。結果を表1に記す。
ポリエステル・ポリウレタン(PES−UR2)の合成例:実施例2と同様にしてテレフタル酸/イソフタル酸/セバチン酸//エチレングリコール/ネオペンチルグリコール=40/40/20//50/50(モル比)、数平均分子量12.000のポリエステルジオールを用い、実施例2のヘキサメチレンジイソシアネート8部の代わりにジフェニルメタンジイソシアネート8部を用いた以外実施例2と全く同様にして、ポリエステル・ポリウレタン(PES−UR2)を製造した。このものの数平均分子量は17,000、カルボキシル基1個当たりの分子量は1,850であった。
上記ポリエステル・ポリウレタン(PES−UR2)を用い、実施例2と同様に硬化性樹脂組成物、同ポリイミドフィルム積層体、フレキシブルプリント配線板を製造し評価した。結果を表1に記す。
比較例2
実施例2のポリエステルジオールを用い、実施例2のポリエステル・ポリウレタンの合成例における2,2−ジメチロールブタン酸9部の代わりに、ネオペンチルグリコール9部を用い、数平均分子量16,000、カルボキシル基1個当たりの分子量11,100のポリエステル・ポリウレタンを合成した。本ポリエステル・ポリウレタンを用いて実施例2と同様に硬化性樹脂組成物、同ポリイミドフィルム積層体、同カバーレイ付フレキシブルプリント配線板を製造し評価した。結果を表1に記す。
比較例3
実施例2のポリエステルジオールを用い、実施例2のポリエステル・ポリウレタンの合成例における2,2−ジメチロールブタン酸9部の代わりに2,2−ジメチロールブタン酸20部、ヘキサメチレンジイソシアネート8部の代わりに19部を用い、数平均分子量14,000,カルボキシル基1個当たりの分子量900のポリエステル・ポリウレタンを合成した。本ポリエステル・ポリウレタンを用い、実施例2と同様に硬化性樹脂組成物、ドウポリイミドフィルム積層体、同カバーレイ付きフレキシブルプリント配線板を製造し、評価した。結果を表1に記す。
本発明の硬化性樹脂組成物積層体は保存安定性に優れ、金属箔や金属回路面に熱圧着積層すれば、接着性、半田耐熱性、金属マイグレーション抑制性などの優れたプリント配線板に有効に利用できる。
Figure 2005125724
比較例3の積層体は保存安定性が悪く、流動性が損なわれており、回路間を充分埋め込むことが出来なかった。

Claims (2)

  1. 分子中に2個以上のカルボキシル基を含み、数平均分子量が5,000〜100,000、且つカルボキシル基1個当たりの分子量が1,500〜10,000であるポリエステル系重合体(a)、分子中に2個以上のエポキシ基を含むエポキシ樹脂(b)、エポキシ樹脂硬化促進剤(c)を含有し、5℃において5ヶ月以上の期間、熱可塑性を保持し得る硬化性樹脂組成物がポリイミド系フィルム、又はポリエステル系フィルム又は金属箔の少なくとも片面に積層されていることを特徴とする積層体、および該積層体の硬化性樹脂組成物が硬化されて、金属箔(金属の回路を含む)上に積層されている積層体。
  2. 請求項1記載の積層体において、(a)、(b)、(c)成分に加え必須成分として、無機充填剤(d)を含有することを特徴とする請求項1の積層体。
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