JP5782583B1 - ポリアミドイミド樹脂を用いた接着剤組成物 - Google Patents

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Abstract

フレキシブルプリント配線板などの用途に好適なポリアミドイミド樹脂を用いた接着剤組成物を提供する。ポリアミドイミド樹脂及びエポキシ樹脂が配合される接着剤組成物であって、(A)ポリアミドイミド樹脂85質量部〜60質量部に対して、エポキシ樹脂が15質量部〜40質量部が配合され、(B)エポキシ樹脂としてリン含有エポキシ樹脂を使用しないか、または使用したとしても、リン含有エポキシ樹脂の配合量が極めて少なく、(C)ポリアミドイミド樹脂が、特定の酸成分に由来する構成単位と、芳香環を有するジイソシアネート成分又は芳香環を有するジアミン成分に由来する構成単位からなるポリアミドイミド樹脂であり、ポリアミドイミド樹脂の全酸成分に由来する構成単位を100mol%とした場合の各酸成分に由来する構成単位が特定の割合であることを特徴とする。

Description

本発明は、ポリアミドイミド樹脂を用いた接着剤組成物に関するものであり、さらに詳しくは、絶縁性・柔軟性・難燃性・流動性に優れ、カバーレイフィルム、接着フィルム、3層銅張り積層板などに好適な接着剤組成物に関するものである。
ポリアミドイミド樹脂は、芳香族系のモノマーから重合され、高い耐熱性、耐薬品性、および耐摩耗性などの特性を示し、またN−メチル−2−ピロリドン等の高沸点アミド系の溶剤へ溶解性を示すという点があるため、成形材料や耐熱絶縁塗料等に用いられている。しかしながら、芳香族系のポリアミドイミド樹脂は、一般的に弾性率が高く硬くてもろく、また低沸点溶剤に対する溶解性が乏しいために、接着剤等の柔軟性と溶剤の易乾燥性を必要とする用途への使用は難しかった。
フレキシブルプリント配線板は、柔軟性や省スペース性が求められる電子機器部品、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどの表示装置用デバイス基板や、携帯電話、デジタルカメラ、携帯型ゲーム機などの基板中継ケーブル、操作スイッチ部基板などに広く使用されており、さらなる用途の拡大が見込まれている。
フレキシブルプリント配線板に用いられる接着剤としては、カバーレイフィルム、接着フィルム、3層銅張り積層板などのフレキシブルプリント配線板を構成する部位のなかで用いられる。これらの用途で用いられる接着剤としては、接着性、耐熱性に加えて、絶縁性・柔軟性・難燃性・流動性が求められる。
フレキシブルプリント配線板に用いられる接着剤として、従来はエポキシ系樹脂やアクリル系樹脂が使用されてきたが、近年の配線の高密度化や鉛フリー半田志向に対応するには耐熱性が不十分であり、それらに代わる耐熱性を有した接着剤として、ポリイミド系樹脂が検討されてきた。従来のポリイミド系樹脂の弾性率が高く、硬く脆くて接着性発現が難しいおよび高沸点の溶剤にしか溶解しないという欠点の解決の為に、長鎖のモノマーやオリゴマーをポリイミド系樹脂に共重合する検討がなされている。例えば、特許文献1、2には、柔軟性付与の手法として、ポリシロキサン変性ポリイミド系樹脂が提案されている。
しかしながら、ポリシロキサン変性ポリイミド系樹脂は、柔軟性付与のために非常に高価なシロキサン結合を有する出発原料を用いる必要があり、経済性に劣る。また、ポリシロキサンの共重合量の増加に伴い、樹脂の接着性が低下する懸念がある。溶剤については、可溶なものであっても高沸点のN−メチル−2−ピロリドンを用いており、乾燥が困難である。
また、特許文献3および4においては、ポリイミド系樹脂に分子両末端に反応性官能基を有するアクリロニトリルブタジエンを共重合する方法が提案されている。この方法によっても、ある程度の柔軟性付与と接着性の向上が可能であるが、この方法で十分な接着性を発現させるためには、アクリロニトリルブタジエンの共重合量を多くする必要があり、その結果として絶縁信頼性が低下する懸念がある。
フレキシブルプリント配線板の用途では、接着性、耐熱性、柔軟性、絶縁性、接着性及び低沸点溶剤溶解性の全てにおいて優れた樹脂の出現が望まれている。しかしながら、上記のように、従来の技術では、耐熱性、柔軟性、接着性、絶縁性、溶剤溶解性を同時に満足する、フレキシブルプリント配線板などの用途に用いることのできる耐熱性接着剤として好適な樹脂は得られていなかった。
特開2004−250577号公報 特開2005−179513号公報 特開2003−289594号公報 特許3931387号
本発明は、上記の従来技術の問題点を解消するためになされたものであり、その目的は、フレキシブルプリント配線板などの用途に好適なポリアミドイミド樹脂を用いた接着剤組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、特定の組成のポリアミドイミド樹脂とエポキシ樹脂とを組み合わせることにより、本発明の完成に至った。
すなわち本発明は、以下の(1)〜(10)の構成からなるものである。
(1)ポリアミドイミド樹脂及びエポキシ樹脂が配合され、かつ以下の(A)〜(C)の特徴を有する接着剤組成物:
(A)ポリアミドイミド樹脂85質量部〜60質量部に対して、エポキシ樹脂が15質量部〜40質量部が配合されていること;
(B)エポキシ樹脂としてリン含有エポキシ樹脂を使用しないか、または使用したとしても、リン含有エポキシ樹脂の配合量がポリアミドイミド樹脂100質量部に対して1質量部未満であること;
(C)ポリアミドイミド樹脂が、下記(a)〜(c)の酸成分に由来する構成単位と、芳香環を有するジイソシアネート成分又は芳香環を有するジアミン成分に由来する構成単位からなるポリアミドイミド樹脂であり、
ポリアミドイミド樹脂の全酸成分に由来する構成単位を100mol%とした場合の各酸成分に由来する構成単位の割合が、(a)1〜6mol%、(b)10〜80mol%、(c)10〜89mol%であること:
(a)カルボキシル基を両末端に有し、重量平均分子量が500〜5000であり、アクリロニトリル部位の割合が10〜50質量%範囲であるアクリロニトリル−ブタジエンゴム;
(b)炭素数が4から12である脂肪族ジカルボン酸;
(c)芳香環を有するポリカルボン酸の無水物。
(2)リン系難燃剤がさらに配合され、接着剤組成物の不揮発成分中のリン含有率が1.0〜5.0質量%であることを特徴とする(1)に記載の接着剤組成物。
(3)リン系難燃剤として、エポキシと反応する官能基を有さないリン系難燃剤と、エポキシと反応する官能基を2個以上有するリン系難燃剤が併用されていることを特徴とする(2)に記載の接着剤組成物。
(4)エポキシ樹脂の全塩素量が、接着剤組成物の不揮発成分中500ppm以下であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の接着剤組成物。
(5)ガラス転移温度が200℃以上の樹脂がさらに配合されたことを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の接着剤組成物。
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載の接着剤組成物からなる接着剤層を使用したことを特徴とするカバーレイフィルム。
(7)Bステージ状態におけるカバーレイフィルム中の残留溶剤量が1.5質量%未満であることを特徴とする(6)に記載のカバーレイフィルム。
(8)(1)〜(5)のいずれかに記載の接着剤組成物からなる接着剤層を使用したことを特徴とする接着フィルム。
(9)Bステージ状態における接着フィルム中の残留溶剤量が1.5質量%未満であることを特徴とする(8)に記載の接着フィルム。
(10)(1)〜(5)のいずれかに記載の接着剤組成物からなる接着剤層を使用したことを特徴とする3層銅張り積層板。
(11)(1)〜(5)のいずれかに記載の接着剤組成物、(6)〜(7)のいずれかに記載のカバーレイフイルム、(8)〜(9)のいずれかに記載の接着フィルム、または(10)に記載の3層銅張り積層板を使用したことを特徴とするフレキシブルプリント配線板。
本発明の接着剤組成物に用いられるポリアミドイミド樹脂は、アクリロニトリル−ブタジエンゴムと脂肪族ジカルボン酸を特定の割合で導入しているので、ポリアミドイミド樹脂が従来有している耐熱性を損なうことなく、柔軟性、絶縁性を発現することが可能である。また、特定のエポキシ樹脂と組み合わせることで、フレキシブルプリント配線板に使用される接着剤を用いた構成部品であるに極めて好適な接着剤組成物を提供することができる。
本発明の接着剤組成物に用いられるポリアミドイミド樹脂は、下記(a)〜(c)の酸成分に由来する構成単位と、芳香環を有するジイソシアネート成分又は芳香環を有するジアミン成分に由来する構成単位からなるポリアミドイミド樹脂であり、
ポリアミドイミド樹脂の全酸成分に由来する構成単位を100mol%とした場合の各酸成分に由来する構成単位の割合が、(a)1〜6mol%、(b)10〜80mol%、(c)10〜89mol%である:
(a)カルボキシル基を両末端に有し、重量平均分子量が500〜5000であり、アクリロニトリル部位の割合が10〜50質量%範囲であるアクリロニトリル−ブタジエンゴム;
(b)炭素数が4から12である脂肪族ジカルボン酸;
(c)芳香環を有するポリカルボン酸の無水物。
本発明における(a)カルボキシル基を両末端に有し、重量平均分子量が500〜5000であり、アクリロニトリル部位の割合が10〜50質量%範囲であるアクリロニトリル−ブタジエンゴムは、ポリアミドイミド樹脂に柔軟性や接着性を付与するために使用されるものであり、ポリアミドイミドの全酸成分に対して1〜6mol%導入すなわち共重合する。(a)成分は、カルボキシル基を有していることで、後述するポリアミドイミド樹脂の重合において共重合することが可能となる。分子量については、低すぎると柔軟性や接着性を付与することができず、高すぎると共重合が困難になる。また、アクリロニトリル部位が少なすぎると、相溶性が低下し共重合が困難であり、一方多すぎると絶縁性が低下する。よって、(a)成分単独でアクリロニトリルの割合は10〜50重量%であることが好ましく、またポリアミドイミド樹脂への共重合量は1〜6mol%が好ましく、さらに好ましくは1〜3mol%であり、特に好ましくは3mol%未満である。尚、本発明においては、ポリアミドイミド樹脂の重合において、全酸成分および全イソシアネート成分それぞれを100mol%として、各原料の導入割合を説明する。
(a)成分の上記条件を満足する市販のカルボキシル基を両末端に有するアクリロニトリルブタジエンゴムとしては、例えばエメラルドパフォーマンスマテリアルズ社のHypro(商標名)のCTBNシリーズなどが挙げられる。しかしながら、(a)成分を共重合するだけで柔軟性や接着性を付与するには導入量を多くする必要があり、その場合は絶縁性が低下するため、特性のバランスを取ることが困難であり、後述の(b)成分が必要となる。
本発明における(b)炭素数が4から12である脂肪族ジカルボン酸は、ポリアミドイミド樹脂に接着性や溶剤溶解性を付与するために使用されるものであり、ポリアミドイミドの全酸成分に対して10〜80mol%共重合する。(b)成分の共重合の割合が少なすぎると十分な効果を得ることができず、また多すぎるとポリアミドイミド樹脂中の芳香族成分の割合が低下することにより耐熱性が低下する。よって、(b)成分の導入量は10〜80mol%が好ましく、さらに好ましくは30〜55mol%である。ここで、(b)成分の炭素数は、カルボン酸部分の炭素も含めた数であり、よって、例えばセバシン酸の場合は10であるとする。また、この炭素数が12より大きい場合は、ポリアミドイミド樹脂中に極性の低い部分が多くなり、樹脂の溶解性や接着性が低下するといった問題が生じる。また、(b)成分のみでは分子鎖が短いために柔軟性付与が困難である。得られるポリアミドイミド樹脂の耐熱性、柔軟性、接着性、低沸点溶剤への溶解性の全てを満足するためには、(a)、(b)両成分が特定の割合で共重合されていることが必要である。
(b)成分としては、直鎖の脂肪族ジカルボン酸や分岐構造を有する脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。例えば、直鎖構造のものとしては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ヘプタン二酸、オクタン二酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカ二酸、ドデカン二酸などが、分岐構造を有するものとしては、2−メチルコハク酸など上記ジカルボン酸に炭化水素の置換基を有するものが挙げられ、これらは単独で使用してもよいし、複数を組み合わせて使用しても構わない。
本発明における(c)芳香環を有するポリカルボン酸の酸無水物は、従来よりポリアミドイミド樹脂に用いられていた原料であり、芳香環を有することから得られる樹脂に耐熱性を付与する成分である。(c)成分は、ポリアミドイミドの全酸成分に対して10〜89mol%、好ましくは30〜70mol%共重合する。(c)成分としては、例えば、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸二無水物、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、プロピレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、1,4−ブタンジオールビスアンヒドロトリメリテート、ヘキサメチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、ポリエチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、ポリプロピレングリコールビスアンヒドロトリメリテート等のアルキレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、トリメリット酸無水物、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4′−オキシジフタル酸二無水物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス[4−(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス[4−(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン二無水物等が挙げられ、これらは単独で使用してもよいし、複数を組み合わせて使用しても構わない。
本発明の酸成分として、既に説明した(a)〜(c)成分の他に、本発明の効果を損なわない程度にその他の酸成分として、脂肪族あるいは脂環族の酸無水物や、芳香族あるいは脂環族のジカルボン酸を用いることができる。例えば、前項で挙げた成分のいずれかを水添したもの、meso−ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ペンタン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサ−1−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−エチルシクロヘキサン−1−(1,2),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3′,4′−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、オキシジ安息香酸等が挙げられ、これらは単独で使用してもよいし、複数を組み合わせて使用しても構わない。これらの成分は、得られるポリアミドイミド樹脂の耐熱性およびそれを用いた接着剤組成物の難燃性の観点から、全酸成分中で20mol%以下であることが好ましい。
本発明で用いる芳香環を有するジイソシアネートとしては、例えば、ジフェニルメタン−2,4′−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、3,2′−又は3,3′−又は4,2′−又は4,3′−又は5,2′−又は5,3′−又は6,2′−又は6,3′−ジメチルジフェニルメタン−2,4′−ジイソシアネート、3,2′−又は3,3′−又は4,2′−又は4,3′−又は5,2′−又は5,3′−又は6,2′−又は6,3′−ジエチルジフェニルメタン−2,4′−ジイソシアネート、3,2′−又は3,3′−又は4,2′−又は4,3′−又は5,2′−又は5,3′−又は6,2′−又は6,3′−ジメトキシジフェニルメタン−2,4′−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−3,3′−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−3,4′−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4′−ジイソシアネート、ベンゾフェノン−4,4′−ジイソシアネート、ジフェニルスルホン−4,4′−ジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネート、トリレン−2,6−ジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、ナフタレン−2,6−ジイソシアネート、4,4′−[2,2ビス(4−フェノキシフェニル)プロパン]ジイソシアネート、3,3′または2,2′−ジメチルビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−または2,2′−ジエチルビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメトキシビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジエトキシビフェニル−4,4′−ジイソシアネート等が挙げられ、芳香環を有するジアミン成分としては、これらのジイソシアネートに対応するジアミンが挙げられ、これらは単独で使用してもよいし、複数を組み合わせて使用しても構わない。
本発明の効果を損なわない程度に、ジイソシアネート成分またはジアミン成分として脂肪族もしくは脂環族構造を用いることができる。例えば、前項で挙げた成分のいずれかを水素添加したジイソシアネートもしくはジアミンを用いることができる。また、イソホロンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートおよびそれらに対応するジアミンなども挙げられ、これらは単独で使用してもよいし、複数を組み合わせて使用しても構わない。これらの成分は、得られるポリアミドイミド樹脂の耐熱性およびそれを用いた接着剤組成物の難燃性の観点から、イソシアネート成分またはアミン成分中で20mol%以下であることが好ましい。
本発明のポリアミドイミド樹脂には、エポキシ樹脂との反応点を増やして得られる接着剤組成物の耐熱性向上を目的として官能基を3個以上有する化合物を共重合することが可能である。例えばトリメシン酸等の多官能カルボン酸、5−ヒドロキシイソフタル酸等の水酸基を有するジカルボン酸、5−アミノイソフタル酸等のアミノ基を有するジカルボン酸、グリセリン、ポリグリセリン等の水酸基を3個以上有するもの、トリス(2−アミノエチル)アミン等のアミノ基を3個以上有するものが挙げられ、これらの中で反応性、溶解性の点から5−ヒドロキシイソフタル酸等の水酸基を有するジカルボン酸、トリス(2−アミノエチル)アミン等のアミノ基を3個以上有するものが好ましく、その量は、酸成分又はアミン成分に対して20mol%以下が好ましい。20mol%を超えるとポリアミド製造時にゲル化したり、不溶物を生成したりする恐れがある。
本発明のポリアミドイミド樹脂には、本発明の効果を損なわない程度に、アクリロニトリル−ブタジエンゴムや炭素数が4〜12の脂肪族ジカルボン酸以外の可とう性や接着性付与成分として、ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ダイマー酸、ポリシロキサンなどを用いることができる。その場合、ポリアミドイミド樹脂への共重合量が多いと、耐熱性や溶解性、接着性といった本発明の効果が損なわれる恐れがあるため、これらの成分は、全酸成分もしくはイソシアネート成分に対して10mol%以下であることが好ましい。
本発明のポリアミドイミド樹脂は、酸成分とイソシアネート成分から製造する方法(イソシアネート法)、または、酸成分とアミン成分とを反応させてアミック酸を形成させた後、閉環させる方法(直接法)、または、酸無水物および酸クロライドを有する化合物とジアミンとを反応させる方法などの公知の方法で製造されることができる。工業的には、イソシアネート法が有利である。
以下、ポリアミドイミド樹脂の製造法については、代表的にイソシアネート法について述べるが、それぞれ対応するアミンや酸・酸クロライドを用いることで上記の酸クロライド法、直接法でも同様にポリアミドイミド樹脂を製造することができる。
本発明のポリアミドイミド樹脂の重合反応は、従来公知のように酸成分およびイソシアネート成分を溶剤中で60℃〜200℃に加熱しながら撹拌することによって行なうことができる。この時、酸成分/イソシアネート成分のmol比率は、90/100〜100/90の範囲であることが好ましい。なお、一般的には、ポリアミドイミド樹脂中の酸成分及びイソシアネート成分の含有量は、重合時の各々の成分の比率と同じである。また、反応を促進するために、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、ナトリウムメトキシド等のアルカリ金属類、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5−ノネン等のアミン類やジブチル錫ジラウレート等の触媒を用いることができる。これらの触媒は、少なすぎると触媒効果が得られず、多すぎると副反応が起きる可能性があるため、酸成分もしくはイソシアネート成分のそれぞれのmol数の多い方を100mol%として、0.01〜5mol%を使用することが好ましく、より好ましくは0.1〜3mol%である。
本発明のポリアミドイミド樹脂の重合に用いることのできる溶剤としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、シクロヘキサノン、シクロペンタノンなどが挙げられ、この中では、沸点の低さと重合の効率の良さから、ジメチルアセトアミドが好ましい。また、重合後は重合に用いた溶剤もしくは他の低沸点溶剤で希釈して不揮発分濃度や溶液粘度を調整することができる。
低沸点溶剤としては、トルエン、キシレン、などの芳香族系溶剤、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族系溶剤、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノンなどのケトン系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなどのエステル系溶剤などが挙げられる。
本発明のポリアミドイミド樹脂には熱硬化成分としてエポキシ樹脂が特定の割合で混合される。これにより、フレキシブルプリント配線板に好適な接着剤組成物として用いることができる。フレキシブルプリント配線板において接着剤組成物からなる接着剤が使われる部位としては、カバーレイフィルム、接着フィルム、3層銅張り積層板が挙げられる。
カバーレイフィルムは、絶縁性プラスチックフィルム/接着剤層もしくは絶縁性プラスチックフィルム/接着剤層/保護フィルムからなる。絶縁性プラスチックフィルムとは、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、アラミド、ポリカーボネート、ポリアリレート等のプラスチックからなる厚さ1〜200μmのフィルムであり、これらから選ばれる複数のフィルムを積層してもよい。保護フィルムは、接着剤の特性を損なうことなく剥離可能であれば特に制限はないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフェニレンスルフィド等のプラスチックフィルム、及びこれらをシリコーンあるいはフッ化物あるいはその他の離型剤をコーティング処理したフィルム、これらをラミネートした紙、剥離性のある樹脂を含浸あるいはコーティングした紙などが挙げられる。
接着フィルムは、接着剤組成物からなる接着剤層の少なくとも片面に保護フィルムを設けた構造であり、保護フィルム/接着剤層もしくは保護フィルム/接着剤/保護フィルムの構成である。接着剤層の中に絶縁性プラスチックフィルム層を設ける場合もある。接着フィルムは多層プリント基板に使用されることができる。
3層銅張り積層板は、接着剤組成物からなる接着剤によって絶縁性プラスチックフィルムの少なくとも片面に銅箔を貼り合わせた構成である。銅箔は、特に制限されないが、フレキシブルプリント配線板に従来用いられている圧延銅箔、電解銅箔を使用することができる。
上記のいずれの用途においても、接着剤組成物の溶液を基材となるフィルムもしくは銅箔の上に塗布、溶剤乾燥を行い、被着体と熱圧着、熱硬化処理を行い使用する。また、熱圧着時の接着剤の流動性を調整する目的で、溶剤乾燥後に加熱処理を行いポリアミドイミド樹脂とエポキシ樹脂を一部反応させることもある。また、熱圧着前の状態をBステージと呼ぶ。
上記のいずれの用途においても、熱硬化後に耐熱性、接着性、柔軟性、絶縁性が求められ、難燃性を有していることが好ましい。また、カバーレイフィルムおよび接着フィルムにおいては、Bステージ状態で巻き取り、保存、切断、打ち抜きなどの加工を行うことが一般的であり、Bステージ状態での柔軟性も必要である。一方、3層銅張り積層板においては、Bステージ状態形成後にすぐに熱圧着及び熱硬化を行うことが一般的であり、カバーレイフィルムおよび接着フィルムほどはBステージ状態での柔軟性が求められない。
本発明の接着剤組成物において、ポリアミドイミド樹脂85質量部〜60質量部に対して、エポキシ樹脂が15質量部〜40質量部であることが好ましく、さらに好ましくはポリアミドイミド樹脂80質量部〜65質量部に対して、エポキシ樹脂が20質量部〜35質量部である。エポキシ樹脂の混合割合が少なすぎると、ポリアミドイミド樹脂と反応して十分な架橋構造を形成することができず、接着剤硬化後の耐熱性や絶縁性を満足することができず、また、エポキシ樹脂が多すぎると、耐熱性に優れるポリアミドイミド樹脂の割合が低下し、エポキシ樹脂が未反応で残るため、接着剤硬化後の耐熱性が低下する。
本発明の接着剤組成物に用いられるエポキシ樹脂としては、シリコーン、ウレタン、ポリイミド、ポリアミド等で変性されていてもよく、また分子骨格内に硫黄原子、窒素原子等を含んでいてもよい。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型、またはそれらに水素添加したもの、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、ヘキサヒドロフタル酸グリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステル等のグリシジルエステル系エポキシ樹脂、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化大豆油等の線状脂肪族エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの市販品としては、例えば、三菱化学(株)製の商品名jER828、1001等のビスフェノールA型エポキシ樹脂、新日鉄住金化学(株)製の商品名ST−2004、2007等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、DIC(株)製のEXA−9726、新日鉄住金化学(株)製の商品名YDF−170、2004等のビスフェノールF型エポキシ樹脂、三菱化学(株)製の商品名jER152、154、ダウケミカル社製の商品名DEN−438、DIC(株)製の商品名HP7200、HP7200H等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂、新日鉄住金化学(株)製の商品名YDCN−700シリーズ、日本化薬(株)製の商品名EOCN−125S、103S、104S等のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、新日鉄住金化学(株)製の商品名YD−171等の可撓性エポキシ樹脂、三菱化学(株)製の商品名Epon1031S、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製の商品名アラルダイト0163、ナガセケムテック(株)製の商品名デナコールEX−611、EX−614、EX−622、EX−512、EX−521、EX−421、EX−411、EX−321等の多官能エポキシ樹脂、三菱化学(株)製の商品名エピコート604、東都化成(株)製の商品名YH−434、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製の商品名アラルダイトPT810等の複素環含有エポキシ樹脂、ダイセル化学工業(株)製の商品名セロキサイド2021、EHPE3150、UCC社製のERL4234等の脂環式エポキシ樹脂、DIC(株)製の商品名エピクロンEXA−1514等のビスフェノールS型エポキシ樹脂、日産化学工業(株)製のTEPIC等のトリグリシジルイソシアヌレート、三菱化学(株)製の商品名YX−4000等のビキシレノール型エポキシ樹脂、三菱化学(株)製の商品名YL−6056等のビスフェノール型エポキシ樹脂等が挙げられ、これらは単独で使用してもよいし、複数を組み合わせて使用しても構わない。
本発明の接着剤組成物に用いられるエポキシ樹脂としては、リン含有エポキシ樹脂を使用しないか、または使用したとしても、リン含有エポキシ樹脂の配合量がポリアミドイミド樹脂100質量部に対して1質量部未満である。リン含有エポキシ樹脂の配合量が上記割合を越えると、Bステージ状態での接着剤組成物塗膜の柔軟性が損なわれるため好ましくない。リン含有エポキシ樹脂は、反応性リン化合物を用いてリン原子を化学結合で取り込んだエポキシ樹脂であり、一分子中にエポキシ基を1個以上有するものを言う。
Bステージ状態での接着剤組成物塗膜の柔軟性があまり求められないが、高い難燃性が求められる3層銅張り積層板などの用途においては、リン系難燃剤が配合されることができる。
本発明の接着剤組成物の不揮発成分中の好ましいリン含有率は1.0〜5.0質量%であり、より好ましくは1.0〜3.0質量%である。リン含有率が少ないと良好な難燃性が得られず、逆に多いと耐熱性、接着性、電気絶縁性が低下する傾向にある。
本発明で用いられるリン系難燃剤としては、構造中にリン原子を含むものであれば特に限定されないが、耐加水分解性、耐熱性、ブリードアウトといった点から、ホスファゼン、ホスフィン酸誘導体が好ましい。これらは単独でまたは2種類以上組み合わせて用いても構わない。
ホスファゼン化合物は下記一般式(1)又は(2)で示される(式中Xは同一又は異なり、水素、水酸基、アミノ基、アルキル基、アリール機、有機基を表し、有機基としては、例えば、アルコール基、フェノキシ基、アリル基、シアノフェノキシ基、ヒドロキシフェノキシ基等が挙げられ、nは3〜25の整数である)。
これらホスファゼンの市販品としては、例えば、環状フェノキシホスファゼン(大塚化学(株)製、商品名:SPB−100、SPE−100)、環状シアノフェノキシホスファゼン((株)伏見製薬所製、商品名:FP−300)、環状ヒドロキシフェノキシホスファゼン(大塚化学(株)製、商品名:SPH−100)等が挙げられる。これらは、n=3のものが主成分であり、エポキシ基と反応する官能基を3個有するものである。また、エポキシ樹脂との反応性官能基を有さないホスファゼンは、経時でブリードアウトを生じ、過酷な使用条件下で加水分解などの影響を受けて遊離のリンを溶出し、電気絶縁性が低下する場合がある。よって、好ましくはエポキシ樹脂と反応する官能基を有する反応型ホスファゼンを選択する。具体的にはフェノール性水酸基を有する環状ヒドロキシフェノキシホスファゼン等が挙げられる。
ホスフィン酸誘導体としては、フェナントレン型のホスフィン酸誘導体が好ましく、例えば、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10ホスファフェナントレン−10−オキシド(三光(株)製、商品名:HCA)、10−ベンジル−10−ヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(三光(株)製、商品名:BCA)10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10−H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド(三光(株)製、商品名HCA−HQ)等が挙げられる。上述したホスフィン酸誘導体のうち、HCAはエポキシ樹脂との反応性を有するが、ブリードアウトを生じ、耐高温高湿性に劣る場合があるため、性能を考慮して適宜その配合量を選択する。上記のリン化合物のほかに、難燃性、半田耐熱性、ブリードアウトを損なわない範囲で必要に応じ、他のリン化合物を単独または2種以上組み合わせて用いても構わない。
リン系難燃剤としては、(i)エポキシと反応する官能基を有さないリン系難燃剤と、(ii)エポキシと反応する官能基を2個以上、特に3個有するリン系難燃剤を併用することが好ましい。(i)と(ii)のリン系難燃剤の割合は、質量比で好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。(i)のリン系難燃剤が多いと耐湿熱性に劣り、(ii)のリン系難燃剤が多いと接着性に劣る可能性がある。
(i)エポキシと反応する官能基を有さないリン系難燃剤は、熱硬化時に架橋構造に取り込まれないために熱硬化後の接着剤組成物に柔軟性を付与する役割を有する。例えば、前述の環状フェノキシホスファゼン(大塚化学(株)製、商品名:SPB−100、SPE−100)、環状シアノフェノキシホスファゼン((株)伏見製薬所製、商品名:FP−300)、10−ベンジル−10−ヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(三光(株)製、商品名:BCA)や、リン酸エステル系(大八化学製、商品名:PX−200)などがこれに該当する。(ii)エポキシと反応する官能基を2個以上有するリン系難燃剤は、熱硬化時に架橋構造に取り込まれることでブリードアウトが抑制されるとともに耐熱性を低下させない役割を有する。例えば、前述の環状ヒドロキシフェノキシホスファゼン(大塚化学(株)製、商品名:SPH−100)、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10−H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド(三光(株)製、商品名HCA−HQ)などがこれに該当する。ここで、エポキシと反応する官能基が1個のものについては、架橋構造の末端となり、ネットワークを切断してしまうために(ii)の耐熱性を低下させない効果を十分に得ることができない可能性がある。
エポキシ樹脂は、一般的にその製造過程において不純物として塩素を含む。しかしながら、環境負荷低減の観点からハロゲン量を低下することが求められており、また、塩素、特に加水分解性塩素が多いと絶縁性が低下することが知られている。従って、接着剤組成物の不揮発成分中の全塩素量は500ppm以下であることが好ましい。
本発明のカバーレイフィルムは、Bステージ状態におけるカバーレイフィルム中の残留溶剤量が1.5質量%未満であることが好ましい。また、本発明の接着フィルムは、Bステージ状態における接着フィルム中の残留溶剤量が1.5質量%未満であることが好ましい。残留溶剤は、Bステージ化工程で除去できなかった接着剤組成物で用いられていた溶剤であり、複数組み合わせて用いる場合は、より高沸点の溶剤が残留する。例えば、本発明の実施例における主たる成分はジメチルアセトアミドである。残留溶剤量が多いと絶縁性が低下するため、残留溶剤量としては、上述のようにBステージ状態で1.5質量%未満であることが好ましい。
本発明の接着剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、より高いレベルでの高温高湿下での絶縁信頼性を高めるために、高耐熱性樹脂を添加することができる。高耐熱性樹脂としては、ガラス転移温度が200℃以上の樹脂であることが好ましく、より好ましくは250℃以上の樹脂である。具体的には、特に限定されないが、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂などが挙げられる。また、高耐熱性樹脂は、溶剤に溶解することが好ましい。これらの条件を満たすものとしては、全酸成分に由来する構成単位を100mol%とした場合に芳香環を有するポリカルボン酸の無水物が90mol%以上である樹脂が好ましく、なかでもポリアミドイミド樹脂が最も好ましい。具体的な原料については、前述のとおりである。これらの高耐熱性樹脂の配合量としては、前記(a)〜(c)を満たすポリアミドイミド樹脂100質量部に対して、10〜80質量部が好ましく、さらに好ましくは20〜60質量部である。配合量が少なすぎる場合は硬化が得られにくく、また多すぎる場合はBステージ塗膜が硬くなりラミネートがしにくくなり、接着強度が発現しにくくなることがある。
本発明の接着剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、ラミネート時の接着剤組成物の流動性抑制の目的で前述のエポキシ樹脂に加えてグリシジルアミンを加えることができる。添加するグリシジルアミンの量は、接着剤組成物中のポリアミドイミドとエポキシ樹脂の合計重量に対して、0.01質量%〜5質量%が好ましく、0.05質量%〜2質量%がさらに好ましい。グリシジルアミンの添加量が多すぎるとラミネート時の接着剤組成物の流動性が少なくなりすぎ回路の埋め込み性が低下する可能性があり、添加量が少なすぎると十分な流動性抑制の効果を得ることができない可能性がある。グリシジルアミンとしては、三菱ガス化学(株)製の商品名TETRAD−X、TETRAD−C、日本化薬(株)製の商品名GAN、住友化学(株)製の商品名ELM−120等が挙げられ、これらは単独で使用してもよいし、複数を組み合わせて使用しても構わない。
本発明の接着剤組成物には、特性を損なわない範囲でエポキシ樹脂の硬化剤や硬化促進剤を加えることができる。硬化剤としては、エポキシ樹脂と反応する化合物であれば特に制限は無いが、例えば、アミン系硬化剤、フェノール性水酸基を有する化合物、カルボン酸を有する化合物、酸無水物を有する化合物などが挙げられる。硬化触媒としては、エポキシ樹脂とポリアミドイミド樹脂および上記硬化剤との反応を促進するものであれば特に制限されないが、例えば、四国化成工業(株)製、2MZ、2E4MZ、C11Z、C17Z、2PZ、1B2MZ、2MZ−CN、2E4MZ−CN、C11Z−CN、2PZ−CN、2PHZ−CN、2MZ−CNS、2E4MZ−CNS、2PZ−CNS、2MZ−AZINE、2E4MZ−AZINE、C11Z−AZINE、2MA−OK、2P4MHZ、2PHZ、2P4BHZ等のイミダゾール誘導体、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等のグアナミン類、ジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミン、m−キシレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、ジシアンジアミド、尿素、尿素誘導体、メラミン、多塩基ヒドラジド等のポリアミン類、これらの有機酸塩および/またはエポキシアダクト、三フッ化ホウ素のアミン錯体、エチルジアミノ−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−キシリル−S−トリアジン等のトリアジン誘導体類、トリメチルアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルオクチルアミン、N−ベンジルジメチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、ヘキサ(N−メチル)メラミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノフェノール)、テトラメチルグアニジン、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン)、DBN(1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5−ノネン)等の三級アミン類、これらの有機酸塩及び/又はテトラフェニルボロエート、ポリビニルフェノール、ポリビニルフェノール臭素化物、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス−2−シアノエチルホスフィン等の有機ホスフィン類、トリ−n−ブチル(2,5−ジヒドロキシフェニル)ホスホニウムブロマイド、ヘキサデシルトリブチルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボロエート等の四級ホスホニウム塩類、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、フェニルトリブチルアンモニウムクロライド等の四級アンモニウム塩類、前記ポリカルボン酸無水物、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボロエート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、2,4,6−トリフェニルチオピリリウムヘキサフルオロホスフェート、イルガキュアー261(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、オプトマ−SP−170(ADEKA(株)製)等の光カチオン重合触媒、スチレン−無水マレイン酸樹脂、フェニルイソシアネートとジメチルアミンの等モル反応物や、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の有機ポリイソシアネートとジメチルアミンの等モル反応物等が挙げられる。これらの硬化剤および硬化促進剤は、単独で用いることもできるし、又は2種類以上組み合わせて用いても構わない。
本発明の接着剤組成物には、接着性向上の目的でシランカップリング剤を加えることができ、従来公知のシランカップリング剤であれば特に限定されない。その具体例としては、アミノシラン、メルカプトシラン、ビニルシラン、エポキシシラン、メタクリルシラン、イソシアネートシラン、ケチミンシランもしくはこれらの混合物もしくは反応物、または、これらとポリイソシアネートとの反応により得られる化合物等が挙げられる。このようなシランカップリング剤としては、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルエチルジエトキシシラン、ビストリメトキシシリルプロピルアミン、ビストリエトキシシリルプロピルアミン、ビスメトキシジメトキシシリルプロピルアミン、ビスエトキシジエトキシシリルプロピルアミン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルエチルジエトキシシラン等のアミノシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルエチルジエトキシシラン等のメルカプトシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、トリス−(2−メトキシエトキシ)ビニルシラン等のビニルシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のメタクリルシラン、イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等のイソシアネートシラン、ケチミン化プロピルトリメトキシシラン、ケチミン化プロピルトリエトキシシラン等のケチミンシランが挙げられ、これらを1種単独、又は2種類以上併用して用いても構わない。これらのシランカップリング剤のうちエポキシシランは、反応性のエポキシ基を有するため、ポリアミドイミド樹脂と反応できるため、耐熱性、耐湿熱性向上の点で好ましい。シランカップリング剤の配合量は、樹脂剤組成物の不揮発分全体を100質量%とした場合、好ましくは0〜3質量%であり、より好ましくは0〜2質量%である。配合量が上記範囲を超えると耐熱性が低下する傾向にある。
本発明の接着剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、半田耐熱性を向上させる目的で有機・無機フィラーを添加することができる。有機フィラーとしては、耐熱性樹脂であるポリイミド、ポリアミドイミドなどの粉末が挙げられる。また、無機フィラーとしては、例えば、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、チタニア(TiO)、酸化タンタル(Ta)、ジルコニア(ZrO)、窒化硅素(Si)、チタン酸バリウム(BaO・TiO)、炭酸バリウム(BaCO)、チタン酸鉛(PbO・TiO)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)、酸化ガリウム(Ga)、スピネル(MgO・Al)、ムライト(3Al・2SiO)、コーディエライト(2MgO・2Al・5SiO)、タルク(3MgO・4SiO・HO)、チタン酸アルミニウム(TiO−Al)、イットリア含有ジルコニア(Y−ZrO)、硅酸バリウム(BaO・8SiO)、窒化ホウ素(BN)、炭酸カルシウム(CaCO)、硫酸カルシウム(CaSO)、酸化亜鉛(ZnO)、チタン酸マグネシウム(MgO・TiO)、硫酸バリウム(BaSO)、有機ベントナイト、クレー、マイカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどが挙げられ、この中では分散の容易さや耐熱性向上効果からシリカが好ましい。これらは単独でも二種以上を組み合わせて用いても構わない。また、これらの有機・無機フィラーの添加量は、接着剤組成物の不揮発成分に対して、1〜30質量%が好ましく、3〜15質量%がさらに好ましい。有機・無機フィラーの添加量が多すぎると接着剤塗膜が脆化し、添加量が少なすぎると十分な耐熱性向上の効果を得ることができない可能性がある。
本発明のポリアミドイミド樹脂とエポキシ樹脂とを含む接着剤組成物は、接着性に優れ、ポリイミドフィルムと銅箔とを強固に接着することができる。得られる銅ポリイミドフィルム積層体は、耐熱性に優れ、絶縁性に優れる。この理由は、アクリロニトリル−ブタジエンゴムと炭素数が4〜12の脂肪族ジカルボン酸とを特定範囲で共重合したポリアミドイミド樹脂において、脂肪族基の導入が溶剤溶解性を高めるとともに、脂肪族基の鎖長が短くも長くもなく、ポリアミドイミド中に適度に分布しているため、アクリロニトリル−ブタジエンゴムによる接着性と脂肪族ジカルボン酸の柔軟性と極性の高いアミド基の導入によって、相乗的に接着性が向上するものと考えられる。また、ポリアミドイミド樹脂とエポキシ樹脂の割合が特定の範囲内であるために、熱硬化によって適正に架橋を形成することができている点も上記特性へ寄与している。
以下、本発明の効果を実施例により実証するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の特性の評価は、以下の方法で行なった。
接着性
接着剤組成物の溶液をポリイミドフイルム(カネカ製 アピカル12.5NPI)に乾燥後の厚みが20μmとなるように塗布し、140℃で3分間熱風乾燥機で乾燥させ、Bステージ状態のサンプルを得た。このBステージサンプルの接着剤塗布面と銅箔(JX日鉱日石製 BHY 厚み18μm)の光沢面とを真空プレスラミネート機を用いて、160℃、3MPa、30秒間減圧下で熱圧着させた。その後、150℃で4時間加熱硬化させた。硬化後のサンプルを、引っ張り試験機(島津製 オートグラフAG−X plus)を用いて25℃の雰囲気下でポリイミドフイルムを90°の方向に50mm/minの速度で引き剥がし、接着強度を測定した。
接着強度が0.5N/mm以上のものを○、0.5N/mm未満のものを×とした。
難燃性
接着性の評価と同様にBステージサンプルを作製し、接着剤塗布面とポリイミドフイルム(カネカ製 アピカル12.5NPI)とを真空プレスラミネート機を用いて、160℃、3MPa、30秒間減圧下で熱圧着させた。その後、150℃で4時間加熱硬化させた。硬化後のサンプルをUL−94VTM規格に準拠して、難燃性を評価した。
VTM−0相当のものを○、VTM−0を満足しないものを×とした。
Bステージ脆化
接着剤組成物の溶液をPETフイルム(東洋紡製 E5101 厚み50μm)に乾燥後の厚みが20μmとなるように塗布し、140℃で3分間熱風乾燥機で乾燥させ、Bステージ状態のサンプルを得た。
サンプルを折り曲げ、接着剤の塗布・乾燥直後に接着剤層が割れたものを×、室温1週間後に接着剤層が割れたものを△、室温1週間後も接着剤層が割れなかったものを○とした。
絶縁信頼性
接着性の評価と同様にBステージサンプルを作製し、L/S=50/50μmのくし型パターンに真空プレスラミネート機を用いて、160℃、3MPa、30秒間減圧下で熱圧着させた。その後、150℃で4時間加熱硬化させた。温度85℃、湿度85%の環境下、200Vの電圧を250時間印加した。
250時間後の抵抗値が1×10Ω以上でありデンドライトのないものを◎、250時間後の抵抗値が1×10Ω以上1×10Ω未満でありデンドライトのないものを○、250時間後の抵抗値が1×10Ω未満もしくはデンドライトが発生しているものを×とした。
半田耐熱性
接着性の評価と同様に加熱硬化させたサンプルを作製し、20mm角に切断し、300℃の半田浴にポリイミド面を上にしてフロートさせた。
膨れや剥がれのないものを○、膨れもしくは剥がれのあったものを×とした。
ポリアミドイミド樹脂1〜9の重合
表1に示す原料の樹脂組成(mol%)で、ポリアミドイミド樹脂の重合を行った。具体的には、ポリアミドイミド樹脂1の場合は、以下のように重合を行った。
撹拌機、冷却管、窒素導入管および温度計を備えた4つ口のセパラブルフラスコに、無水トリメリット酸105.67g(0.55mol)、セバシン酸80.90g(0.40mol)、両末端がカルボン酸のアクリロニトリルブタジエンゴム175g(0.05mol)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート250.25g(1.00mol)および脱炭酸後の樹脂分の濃度が40重量%となるようジメチルアセトアミド785.7gを加え、窒素下で100℃まで昇温して2時間反応させ、さらに150℃に昇温して5時間反応させた。その後、樹脂分の濃度が30重量%となるようジメチルアセトアミド436.5gを加えて希釈し、ポリアミドイミド樹脂1の溶液を得た。また、他のポリアミドイミド樹脂2〜9においても表1に示す原料の樹脂組成で上記と同様の手順で樹脂の重合を行い、溶液を得た。
高耐熱性樹脂(ポリアミドイミド樹脂10)の重合
高耐熱樹脂として、芳香環を有する原料(無水トリメリット酸)のみから得られたポリアミドイミド樹脂10を前記ポリアミドイミド樹脂1と同様に重合した。得られたポリアミドイミド樹脂10の溶液を、銅箔に乾燥後の厚みが15μmとなるよう塗布し、100℃で5分間乾燥させた後、さらに250℃で1時間熱風乾燥を行った。その後、塩化第二鉄の溶液に浸漬して銅箔を除去し、ポリアミドイミド樹脂10のフィルムを得た。得られたポリアミドイミド樹脂10フィルムのガラス転移温度は、アイテイ計測制御社製動的粘弾性測定装置DVA−220を用いて、周波数110Hz、昇温速度4℃/minで動的粘弾性の測定を行い、その貯蔵弾性率の変曲点から求めたところ、280℃であった。
接着剤組成物の溶液の作製
表2に示す接着剤配合(固形分(質量%))に従って実施例1〜11及び比較例1〜7の接着剤組成物のジメチルアセトアミド溶液を作製し、上記の特性の評価を行った。
表2からわかるように、本発明の条件を満足する実施例1〜11の接着剤組成物は、接着性、難燃性、Bステージ脆化、絶縁信頼性、半田耐熱性の特性において優れた結果を示すのに対して、本発明の条件を満足しないポリアミドイミド樹脂を使用する比較例1〜3、ポリアミドイミド樹脂とエポキシ樹脂の配合比率が本発明の範囲外である比較例4,5、リン含有エポキシ樹脂を特定量以上使用する比較例6,7はいずれかの特性において不満足な結果であった。
本発明の接着剤組成物は、絶縁性・柔軟性・難燃性・流動性に優れ、カバーレイフィルム、接着フィルム、3層銅張り積層板などに好適であり、極めて有用である。

Claims (11)

  1. ポリアミドイミド樹脂及びエポキシ樹脂が配合され、かつ以下の(A)〜(C)の特徴を有する接着剤組成物:
    (A)ポリアミドイミド樹脂85質量部〜60質量部に対して、エポキシ樹脂が15質量部〜40質量部が配合されていること;
    (B)エポキシ樹脂としてリン含有エポキシ樹脂を使用しないか、または使用したとしても、リン含有エポキシ樹脂の配合量がポリアミドイミド樹脂100質量部に対して1質量部未満であること;
    (C)ポリアミドイミド樹脂が、下記(a)〜(c)の酸成分に由来する構成単位と、芳香環を有するジイソシアネート成分又は芳香環を有するジアミン成分に由来する構成単位からなるポリアミドイミド樹脂であり、
    ポリアミドイミド樹脂の全酸成分に由来する構成単位を100mol%とした場合の各酸成分に由来する構成単位の割合が、(a)1〜6mol%、(b)10〜80mol%、(c)10〜89mol%であること:
    (a)カルボキシル基を両末端に有し、重量平均分子量が500〜5000であり、アクリロニトリル部位の割合が10〜50質量%範囲であるアクリロニトリル−ブタジエンゴム;
    (b)炭素数が4から12である脂肪族ジカルボン酸;
    (c)芳香環を有するポリカルボン酸の無水物。
  2. リン系難燃剤がさらに配合され、接着剤組成物の不揮発成分中のリン含有率が1.0〜5.0質量%であることを特徴とする請求項1に記載の接着剤組成物。
  3. リン系難燃剤として、エポキシと反応する官能基を有さないリン系難燃剤と、エポキシと反応する官能基を2個以上有するリン系難燃剤が併用されていることを特徴とする請求項2に記載の接着剤組成物。
  4. エポキシ樹脂の全塩素量が、接着剤組成物の不揮発成分中500ppm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の接着剤組成物。
  5. ガラス転移温度が200℃以上の樹脂がさらに配合されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の接着剤組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の接着剤組成物からなる接着剤層を使用したことを特徴とするカバーレイフィルム。
  7. Bステージ状態におけるカバーレイフィルム中の残留溶剤量が1.5質量%未満であることを特徴とする請求項6に記載のカバーレイフィルム。
  8. 請求項1〜5のいずれかに記載の接着剤組成物からなる接着剤層を使用したことを特徴とする接着フィルム。
  9. Bステージ状態における接着フィルム中の残留溶剤量が1.5質量%未満であることを特徴とする請求項8に記載の接着フィルム。
  10. 請求項1〜5のいずれかに記載の接着剤組成物からなる接着剤層を使用したことを特徴とする3層銅張り積層板。
  11. 請求項1〜5のいずれかに記載の接着剤組成物、請求項6〜7のいずれかに記載のカバーレイフイルム、請求項8〜9のいずれかに記載の接着フィルム、または請求項10に記載の3層銅張り積層板を使用したことを特徴とするフレキシブルプリント配線板。
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