JP6130980B1 - ポリアミドイミド樹脂を用いた接着剤組成物 - Google Patents

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Abstract

フレキシブルプリント配線板に用いられる両面銅張り積層板においてポリイミドフィルムと銅箔を貼り合わせるために好適な接着剤組成物を提供する。ポリアミドイミド樹脂、エポキシ樹脂及びリン系難燃剤が配合される接着剤組成物であって、(A)ポリアミドイミド樹脂60〜85質量部に対して、エポキシ樹脂が15〜40質量部配合され;(B)ポリアミドイミド樹脂のガラス転移温度が250℃以上であり;(C)ポリアミドイミド樹脂の酸価が50〜150mgKOH/gであり;(D)エポキシ樹脂の性状が25℃において液状であり;(E)ポリアミドイミド樹脂とエポキシ樹脂の合計100質量部に対して、リン系難燃剤が15〜60質量部配合され;(F)リン系難燃剤中の50質量%以上が、フェナントレン型のホスフィン酸誘導体である。

Description

本発明は、ポリアミドイミド樹脂を用いた接着剤組成物に関するものであり、さらに詳しくは、低温加工性、接着性、耐熱性、難燃性、電気絶縁性に優れ、ポリイミドフィルムの両面に銅箔を接着した両面銅張り積層板に使用するために好適な接着剤組成物に関するものである。
フレキシブルプリント配線板は、柔軟性や省スペース性が求められる電子機器部品、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどの表示装置用デバイス基板や、携帯電話、デジタルカメラ、携帯型ゲーム機などの基板中継ケーブル、操作スイッチ基板などに広く使用されており、さらなる用途の拡大が見込まれている。
フレキシブルプリント配線板は、近年の電子機器部品の軽薄短小化に伴い、配線の高密度化が進んでおり、回路層が1層の片面フレキシブルプリント配線板から、回路層が2層の両面フレキシブルプリント配線板、さらに回路層が3層以上の多層フレキシブルプリント配線板の需要拡大が見込まれている。
例えば、両面フレキシブルプリント配線板および多層フレキシブルプリント配線板には、図1に示すように、絶縁フィルム(ポリイミドフィルム)の両面に接着剤を介して回路層となる銅箔を貼り合わせた両面銅張り積層板、そしてそれにさらに接着剤を介して片面銅張り積層板を積層したものが存在する。
両面銅張り積層板においてポリイミドフィルムと銅箔を貼り合わせるために使用する接着剤は、基材に塗工・乾燥した後にもう一方の基材と貼り合せるため、接着フィルム単独で取り扱う必要がなく、接着フィルム化に必要な柔軟性は高いレベルで求められない。また、回路層の段差を埋め込む必要がなく、一般的に接着剤の乾燥後膜厚は10μm以下となるため、低反り性は高いレベルで求められない。また、両面銅張り積層板は、フレキシブルプリント配線板の製造工程において最初に作られるベース材料であり、度重なる加熱圧着工程やリフロー工程に耐える必要があり、耐熱性、電気絶縁性が高いレベルで求められる。そのため、両面銅張り積層板に使用する接着剤は、層間接着材に比べ、より高い耐熱性、電気絶縁性が求められる代わり、柔軟性、低反り性はある程度許容される。
一方、層間接着材に好適な接着剤として、ゴム成分を共重合したポリアミドイミド樹脂を用いた接着剤組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この接着剤組成物は、柔軟性、低反り性、低温加工性、接着性、難燃性に優れた特徴を有する。
しかしながら、特許文献1の接着剤組成物は、ゴム成分に含まれるニトリル基やイオン性不純物により、両面銅張り積層板に使用するには耐熱性、電気絶縁性が不十分であった。
また、銅張り積層板に好適な接着剤として、特定の熱可塑性ポリイミド樹脂を含有する接着層が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この接着層は、接着性、耐熱性、難燃性、電気絶縁性に優れた特徴を有する。
しかしながら、この接着層に使用する熱可塑性ポリイミド樹脂は、接着性を発現させるために、300℃以上の高温で融着させる必要があり、低温加工性に問題があった。300℃以上の高温で銅箔を加工すると、酸化による外観不良やたわみによる位置ズレ等の品位低下が起こり易い。
上記のように、従来提案されている技術では、低温加工性、接着性、耐熱性、難燃性、電気絶縁性を同時に高いレベルで満足する両面銅張り積層板に好適な接着剤を得ることは困難であった。
特許5782583号公報 特許5480490号公報
本発明は、上記の従来技術の問題点を解消するためになされたものであり、その目的は、フレキシブルプリント配線板に用いられる両面銅張り積層板においてポリイミドフィルムと銅箔を貼り合わせるために好適な接着剤組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、特定のポリアミドイミド樹脂、25℃で液状のエポキシ樹脂、および可塑効果に優れる特定のリン系難燃剤を特定の割合で配合した接着剤組成物を用いることにより、両面銅張り積層板に使用する接着剤として好適な特性を持つことができることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(9)の構成からなるものである。
(1)ポリアミドイミド樹脂、エポキシ樹脂及びリン系難燃剤が配合され、かつ以下の(A)〜(F)の特徴を有する接着剤組成物:
(A)ポリアミドイミド樹脂60〜85質量部に対して、エポキシ樹脂が15〜40質量部配合されていること;
(B)ポリアミドイミド樹脂のガラス転移温度が250℃以上であること;
(C)ポリアミドイミド樹脂の酸価が50〜150mgKOH/gであること;
(D)エポキシ樹脂の性状が25℃において液状であること;
(E)ポリアミドイミド樹脂とエポキシ樹脂の合計100質量部に対して、リン系難燃剤が15〜60質量部配合されていること;及び
(F)リン系難燃剤中の50質量%以上が、フェナントレン型のホスフィン酸誘導体であること。
(2)前記ポリアミドイミド樹脂が、酸成分としてトリメリット酸無水物を含有することを特徴とする(1)に記載の接着剤組成物。
(3)銅箔とポリイミドフィルムを貼り合せるために使用されることを特徴とする(1)または(2)に記載の接着剤組成物。
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載の接着剤組成物からなる接着剤層を使用したことを特徴とする接着剤層付き銅箔。
(5)Bステージ状態における前記接着剤層付き銅箔の接着剤層中の残留溶剤量が5.0〜16.0質量%であることを特徴とする(4)に記載の接着剤層付き銅箔。
(6)150℃以下のラミネート温度で貼り合せ可能であることを特徴とする(4)または(5)に記載の接着剤層付き銅箔。
(7)ポリイミドフィルムの両面にそれぞれ銅箔を接着した両面銅張り積層板であって、(4)〜(6)のいずれかに記載の接着剤層付き銅箔を使用したことを特徴とする両面銅張り積層板。
(8)(7)に記載の両面銅張り積層板を使用したことを特徴とするフレキシブルプリント配線板。
本発明の接着剤組成物に用いられるポリアミドイミド樹脂は、ガラス転移温度が高く、耐熱性、難燃性、電気絶縁性に優れる。また、本発明の接着剤組成物に用いられるポリアミドイミド樹脂は、高い酸価を有しているので、エポキシ樹脂を多く配合しても、エポキシ基が過剰になり性能を損ねることがない。さらに、本ポリアミドイミド樹脂を、25℃で液状のエポキシ樹脂および可塑効果に優れる特定のリン系難燃剤と組み合わせることで、耐熱性、難燃性、電気絶縁性に加えて、さらに低温加工性、接着性に優れた接着剤組成物を提供することができ、この接着剤組成物は、両面銅張り積層板のポリイミドフィルムと銅箔の150℃以下での貼り合わせに極めて好適である。
図1は、多層フレキシブルプリント配線板の一例の概略的な構成を示したものである。図中、接着剤層(*)は、本発明の接着剤組成物が好適に使用される部分である。
本発明の接着剤組成物に用いられるポリアミドイミド樹脂は、以下の(a)〜(b)の特徴を有する。
(a)ポリアミドイミド樹脂のガラス転移温度が250℃以上、好ましくは255℃以上、更に好ましくは260℃以上であること;及び
(b)ポリアミドイミド樹脂の酸価が50〜150mgKOH/g、好ましくは50〜130mgKOH/g、更に好ましくは60〜120mgKOH/gであること。
本発明のポリアミドイミド樹脂の上記のガラス転移温度は、使用用途で求められる耐熱性の観点から選択されている。また、本発明のポリアミドイミド樹脂の上記酸価は、通常より高い数値範囲であり、エポキシ樹脂を多く配合しても耐熱性、絶縁性に優れるように選択されている。
本発明のポリアミドイミド樹脂で用いる酸成分としては、芳香族を有するポリカルボン酸の無水物が好ましい。芳香族を有するポリカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸無水物(TMA)、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート(TMEG)、プロピレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、1,4−ブタンジオールビスアンヒドロトリメリテート、ヘキサメチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、ポリエチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、ポリプロピレングリコールビスアンヒドロトリメリテート等のアルキレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホン酸テトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス[4−(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス[4−(2,3−又は3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン二無水物等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、複数を組み合わせて使用しても構わない。また、芳香族を有するポリカルボン酸は、全酸成分中で80mol%以上であることが好ましく、90mol%以上であることがより好ましく、100mol%であっても差し支えない。
本発明の効果を損なわない程度に、その他の酸成分として、脂肪族あるいは脂環族の酸無水物や、芳香族、脂肪族あるいは脂環族のジカルボン酸を用いることができる。例えば、前項で挙げた成分のいずれかを水添したもの、meso−ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ペンタン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサ−1−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−エチルシクロヘキサン−1−(1,2),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3′,4′−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、オキシジ安息香酸等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、複数を組み合わせて使用しても構わない。これらの成分は、得られるポリアミドイミド樹脂の耐熱性および難燃性の観点から、全酸成分中で20mol%以下であることが好ましい。
本発明のポリアミドイミド樹脂で用いるジイソシアネート成分又はジアミン成分としては、芳香族を有するジイソシアネート又はジアミンが好ましい。芳香族を有するジイソシアネートとしては、例えば、ジフェニルメタン−2,4′−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、3,2′−又は3,3′−又は4,2′−又は4,3′−又は5,2′−又は5,3′−又は6,2′−又は6,3′−ジメチルジフェニルメタン−2,4′−ジイソシアネート、3,2′−又は3,3′−又は4,2′−又は4,3′−又は5,2′−又は5,3′−又は6,2′−又は6,3′−ジエチルジフェニルメタン−2,4′−ジイソシアネート、3,2′−又は3,3′−又は4,2′−又は4,3′−又は5,2′−又は5,3′−又は6,2′−又は6,3′−ジメトキシジフェニルメタン−2,4′−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−3,3′−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−3,4′−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4′−ジイソシアネート、ベンゾフェノン−4,4′−ジイソシアネート、ジフェニルスルホン−4,4′−ジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネート、トリレン−2,6−ジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、ナフタレン−2,6−ジイソシアネート、4,4′−[2,2ビス(4−フェノキシフェニル)プロパン]ジイソシアネート、3,3′または2,2′−ジメチルビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−または2,2′−ジエチルビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメトキシビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジエトキシビフェニル−4,4′−ジイソシアネート等が挙げられる。芳香環を有するジアミンとしては、これらのジイソシアネートに対応するジアミンが挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、複数を組み合わせて使用しても構わない。
また、芳香族を有するジイソシアネートは全ジイソシアネート中で80mol%以上であることが好ましく、90mol%以上であることが好ましく、100mol%であっても差し支えない。また、芳香族を有するジアミンは、全ジアミン中で80mol%以上であることが好ましく、90mol%以上であることがより好ましく、100mol%であっても差し支えない。
本発明の効果を損なわない程度に、その他のジイソシアネート成分またはジアミン成分として、脂肪族もしくは脂環族構造を用いることができる。例えば、前項で挙げた成分のいずれかを水素添加したジイソシアネートもしくはジアミンを用いることができる。また、イソホロンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートおよびそれらに対応するジアミンなども挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、複数を組み合わせて使用しても構わない。これらの成分は、得られるポリアミドイミド樹脂の耐熱性および難燃性の観点から、ジイソシアネート成分またはジアミン成分中で20mol%以下であることが好ましい。
本発明のポリアミドイミド樹脂には、本発明の効果を損なわない程度に、エポキシ樹脂との反応点を増やして得られる接着剤組成物の耐熱性向上を目的として、官能基を3個以上有する化合物を共重合することが可能である。例えば、トリメシン酸等の多官能カルボン酸、5−ヒドロキシイソフタル酸等の水酸基を有するジカルボン酸、5−アミノイソフタル酸等のアミノ基を有するジカルボン酸、グリセリン、ポリグリセリン等の水酸基を3個以上有するもの、トリス(2−アミノエチル)アミン等のアミノ基を3個以上有するものが挙げられる。これらの中で耐熱性の観点から、トリメシン酸等の多官能カルボン酸が好ましく、その量は、全酸成分中で10mol%以下であることが好ましい。10mol%を超えると、重合中にゲル化したり、不溶物を生成したりする恐れがある。
本発明のポリアミドイミド樹脂には、本発明の効果を損なわない程度に、可とう性や接着性付与成分として、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、脂肪族ジカルボン酸、ダイマー酸、ポリブタジエン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリシロキサン等を共重合することが可能である。その場合、ポリアミドイミド樹脂への共重合量が多いと、接着性、耐熱性、難燃性、絶縁性といった本発明の効果が損なわれる恐れがあるため、これらの成分は、全酸成分に対して10mol%以下であることが好ましい。
本発明のポリアミドイミド樹脂は、酸成分とイソシアネート成分から製造する方法(イソシアネート法)、または、酸成分とアミン成分とを反応させてアミック酸を形成させた後、閉環させる方法(直接法)、または、酸無水物および酸クロライドを有する化合物とジアミンとを反応させる方法などの公知の方法で製造されることができる。工業的には、イソシアネート法が有利である。
以下、ポリアミドイミド樹脂の製造法については、代表的にイソシアネート法について述べるが、それぞれ対応するアミンや酸・酸クロライドを用いることで上記の酸クロライド法、直接法でも同様にポリアミドイミド樹脂を製造することができる。
本発明のポリアミドイミド樹脂の重合反応は、従来公知のように酸成分およびイソシアネート成分を溶剤中で60℃〜200℃に加熱しながら撹拌することによって行なうことができる。この時、酸成分/イソシアネート成分のmol比率は、85/100〜100/100の範囲であることが好ましい。なお、一般的には、ポリアミドイミド樹脂中の酸成分及びイソシアネート成分の含有量は、重合時の各々の成分の比率と同じである。また、反応を促進するために、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、ナトリウムメトキシド等のアルカリ金属類、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5−ノネン等のアミン類やジブチル錫ジラウレート等の触媒を用いることができる。これらの触媒は、少なすぎると触媒効果が得られず、多すぎると副反応が起きる可能性があるため、酸成分もしくはイソシアネート成分のそれぞれのmol数の多い方を100mol%として、0.01〜5mol%を使用することが好ましく、より好ましくは0.1〜3mol%である。
本発明のポリアミドイミド樹脂の重合に用いることのできる溶剤としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、シクロヘキサノン、シクロペンタノンなどが挙げられ、この中では、溶解性と重合の効率の良さから、N−メチル−2−ピロリドンが好ましい。また、重合後は重合に用いた溶剤もしくは他の低沸点溶剤で希釈して不揮発分濃度や溶液粘度を調整することができる。
低沸点溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族系溶剤、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等のケトン系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル系溶剤等が挙げられる。
本発明のポリアミドイミド樹脂には熱硬化成分としてエポキシ樹脂、難燃剤成分としてリン系難燃剤が特定の割合で混合される。これにより、フレキシブルプリント配線板に好適な接着剤組成物として用いることができる。フレキシブルプリント配線板において接着剤組成物からなる接着剤が使われる部位としては、図1に示すように、カバーレイフィルム、接着フィルム(層間接着材)、銅張り積層板が挙げられるが、本発明の接着剤組成物は、特に両面銅張り積層板において銅箔とポリイミドフィルムを貼り合わせるために好適に使用することができる。
カバーレイフィルムは、絶縁性プラスチックフィルム/接着剤層もしくは絶縁性プラスチックフィルム/接着剤層/保護フィルムからなる。絶縁性プラスチックフィルムとは、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、アラミド、ポリカーボネート、ポリアリレート等のプラスチックからなる厚さ1〜200μmのフィルムであり、これらから選ばれる複数のフィルムを積層してもよい。保護フィルムは、接着剤の特性を損なうことなく剥離可能であれば特に制限はないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフェニレンスルフィド等のプラスチックフィルム、及びこれらをシリコーンあるいはフッ化物あるいはその他の離型剤をコーティング処理したフィルム、これらをラミネートした紙、剥離性のある樹脂を含浸あるいはコーティングした紙などが挙げられる。
接着フィルムは、接着剤組成物からなる接着剤層の少なくとも片面に保護フィルムを設けた構造であり、保護フィルム/接着剤層もしくは保護フィルム/接着剤/保護フィルムの構成である。接着剤層の中に絶縁性プラスチックフィルム層を設ける場合もある。接着フィルムは多層プリント基板に使用されることができる。
銅張り積層板は、接着剤組成物からなる接着剤によって絶縁性フィルム(ポリイミドフィルム)の少なくとも片面に銅箔を貼り合わせた構成である。銅箔は、特に制限されないが、フレキシブルプリント配線板に従来用いられている圧延銅箔、電解銅箔を使用することができる。本発明の接着剤組成物は、この銅張り積層板において銅箔とポリイミドフィルムを貼り合わせるために使用するのに極めて好適である。
上記のいずれかの用途においても、接着剤組成物の溶液を基材となるフィルムもしくは銅箔の上に塗布、溶剤乾燥を行い、被着体と熱圧着、熱硬化処理を行い使用する。また、熱圧着時の接着剤の流動性を調整する目的で、溶剤乾燥後に加熱処理を行い、ポリアミドイミド樹脂および反応型リン系難燃剤とエポキシ樹脂を一部反応させることもある。また、熱圧着前の状態をBステージと呼ぶ。
上記のいずれかの用途においても、熱硬化後に接着性、耐熱性、絶縁性が求められ、さらに難燃性を有していることが好ましい。また、カバーレイフィルムおよび接着フィルムにおいては、Bステージ状態で巻き取り、保存、切断、打ち抜きなどの加工を行うことが一般的であり、Bステージ状態での柔軟性も必要である。一方、銅張り積層板においては、Bステージ状態形成後にすぐに熱圧着及び熱硬化を行うことが一般的であり、カバーレイフィルムおよび接着フィルムほどはBステージ状態での柔軟性が求められない。また、銅張り積層板の接着層は、15μm以下の薄膜であることが一般的であり、カバーレイフィルムおよび接着フィルムほどはBステージ状態での低反りが求められない。
本発明の接着剤組成物は、柔軟性、低反りはやや劣るものの、低温加工性、接着性、耐熱性、難燃性、電気絶縁性を同時に高いレベルで満足するため、特に両面銅張り積層板において銅箔とポリイミドフィルムを貼り合わせるために好適に使用することができる。
本発明の接着剤組成物は、柔軟性、低反りはやや劣るため、カバーレイおよび接着フィルムに好適に使用することはできない。
本発明の接着剤組成物において、ポリアミドイミド樹脂60質量部〜85質量部に対して、エポキシ樹脂が15質量部〜40質量部であることが好ましく、より好ましくはポリアミドイミド樹脂62質量部〜85質量部に対して、エポキシ樹脂が15質量部〜38質量部であり、さらに好ましくはポリアミドイミド樹脂65質量部〜85質量部に対して、エポキシ樹脂が15質量部〜35質量部である。エポキシ樹脂の配合量が少なすぎると、ポリアミドイミド樹脂と反応して十分な架橋構造を形成することができず、接着剤硬化後の耐熱性や絶縁性を満足することができないことに加え、ポリアミドイミド樹脂が十分な可塑効果を得られず、低温加工性を満足することができない。また、エポキシ樹脂の配合量が多すぎると、耐熱性に優れるポリアミドイミド樹脂の割合が低下し、エポキシ樹脂が未反応で残るため、接着剤硬化後の耐熱性が低下する。
本発明の接着剤組成物に用いられるエポキシ樹脂としては、低温加工性の観点から25℃で液状のエポキシ樹脂が使用される。25℃で液状のエポキシ樹脂は変性されていてもよく、また分子骨格内に硫黄原子、窒素原子、リン原子等を含んでいてもよい。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型、またはそれらに水素添加したもの、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂、エポキシ変性アクリロニトリルブタジエンゴム、エポキシ変性ポリブタジエン、脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの市販品としては、例えば、三菱化学(株)製の商品名jER825、jER827、jER828、YL980、DIC(株)製の商品名エピクロン840、840−S、850、850−S、EXA−850CRP、850−LC、新日鉄住金化学(株)製の商品名YD−115、YD−127、YD−128、YD−8125、YD−825GS、YD−825GHS等のビスフェノールA型液状エポキシ樹脂、三菱化学(株)製の商品名jER806、jER806H、jER807、YL983U、DIC(株)製の商品名エピクロン830、830−S、835、EXA−830CRP、EXA−830LVP、EXA−835LV、新日鉄住金化学(株)製の商品名YDF−170、YDF−8170C、YDF−870GS等のビスフェノールF型液状エポキシ樹脂、三菱化学(株)製の商品名YX8000、YX8034、新日鉄住金化学(株)製の商品名ST−3000等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱化学(株)製の商品名jER152、DIC(株)製の商品名エピクロンN−730A等のフェノールノボラック型液状エポキシ、ダイセル化学工業(株)製の商品名セロキサイド2021P、2081等の脂環式エポキシ樹脂、DIC(株)製の商品名エピクロンHP−4032D等のナフタレン型液状エポキシ、DIC(株)製の商品名エピクロンTSR−960、TSR−601等のNBR変性エポキシ、三菱化学(株)製の商品名jER871、jER872、新日鉄住金化学(株)製の商品名エポトートYD−172等のダイマー酸変性エポキシ、日本曹達(株)製の商品名JP−100、JP−200等のブタジエン変性エポキシ、日産化学工業(株)製のTEPIC等のトリグリシジルイソシアヌレート、ナガセケムテックス(株)製の商品名デナコールEX−1000シリーズ、デナコールLシリーズ、デナコールDLCシリーズ、デナレックスシリーズ、EX991等が挙げられ、これらは単独で使用してもよいし、複数を組み合わせて使用しても構わない。
本発明の効果を損なわない程度に、前述の25℃で液状のエポキシ樹脂に加え、25℃で半固形および固体のエポキシ樹脂を30質量%以下の量で併用することができる。但し、使用したエポキシ樹脂の性状が全体として25℃で液状であることが必要である。25℃で半固形および固体のエポキシ樹脂は変性されていてもよく、また分子骨格内に硫黄原子、窒素原子、リン原子等を含んでいてもよい。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型、またはそれらに水素添加したもの、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの市販品としては、例えば、三菱化学(株)製の商品名jER1001、jER1004、jER1007、jER1010、新日鉄住金化学(株)製の商品名エポトートYD−134、YD−011、YD−014、YD−017、DIC(株)製の商品名エピクロン860、1050、1055、2050、3050、4050、7050等のビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱化学(株)製の商品名jER4004P、jER4005P、jER4007P、jER4010P、新日鉄住金化学(株)製の商品名エポトートYDF−2001、YDF−2004等のビスフェノールF型エポキシ樹脂、新日鉄住金化学(株)製の商品名ST−4000D等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱化学(株)製の商品名jER154、DIC(株)製の商品名エピクロンN−740、N−770、N−775、ダウケミカル社製の商品名DEN−438等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂、DIC(株)製の商品名エピクロンN−660、N−665、N−670、N−673、N−680、N−690、N−695、新日鉄住金化学(株)製の商品名エポトートYDCN−700−7、YDCN−700−10等のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、DIC(株)製の商品名エピクロンHP−4700、HP−4710、HP−4770、HP−5000、HP−6000等のナフタレン型エポキシ樹脂、DIC(株)製の商品名エピクロンHP−7200L、HP−7200、HP−7200H、HP−7200HH、HP−7200HHH等のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ダイセル化学工業(株)製の商品名EHPE3150等の脂環式エポキシ樹脂、三菱化学(株)製の商品名YX4000、YX4000H等のビフェニル型エポキシ樹脂、DIC(株)製のEXA−9726等のリン含エポキシ樹脂等が挙げられ、これらは単独で使用してもよいし、複数を組み合わせて使用しても構わない。
本発明の接着剤組成物において、ポリアミドイミド樹脂とエポキシ樹脂の合計100質量部に対して、リン系難燃剤が15質量部〜60質量部であることが好ましく、より好ましくはポリアミドイミド樹脂とエポキシ樹脂の合計100質量部に対して、リン系難燃剤が15質量部〜55質量部であり、更に好ましくはポリアミドイミド樹脂とエポキシ樹脂の合計100質量部に対して、リン系難燃剤が15質量部〜50質量部である。リン系難燃剤の混合量が少なすぎると、良好な難燃性が得られないことに加え、ポリアミドイミド樹脂が十分な可塑効果を得られず、低温加工性を満足することができない。また、リン系難燃剤の配合量が多すぎると、接着性、耐熱性、絶縁性が低下する傾向にある。
本発明に用いられるリン系難燃剤としては、構造中にリン原子を含むものであれば特に限定されないが、耐加水分解性、耐熱性、ブリードアウトの観点から、そしてポリアミドイミド樹脂に対する相溶性、可塑効果の観点から、フェナントレン型のホスフィン酸誘導体を50質量%以上使用する。ホスフィン酸誘導体は単独で使用してもよいし、複数を組み合わせて使用しても構わない。
フェナントレン型のホスフィン酸誘導体としては、例えば、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10ホスファフェナントレン−10−オキシド(三光(株)製、商品名:HCA)、10−ベンジル−10−ヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(三光(株)製、商品名:BCA)10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10−H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド(三光(株)製、商品名HCA−HQ)等が挙げられる。これらのホスフィン酸誘導体は、構造式で表わすと構造中に以下の構造[I]を有する非反応性のリン系難燃剤である。
構造内に構造[I]を有するホスフィン酸誘導体の好適な例としては、以下のものが挙げられる。
上記のホスフィン酸誘導体のほかに、難燃性、半田耐熱性、ブリードアウトを損なわない範囲で50質量%未満で必要に応じ、他のリン化合物を単独または複数を組み合わせて用いても構わない。
エポキシ樹脂は、一般的にその製造過程において不純物として塩素を含む。しかしながら、環境負荷低減の観点からハロゲン量を低下することが求められており、また、塩素、特に加水分解性塩素が多いと絶縁性が低下することが知られている。従って、接着剤組成物の不揮発成分中の全塩素量は500ppm以下であることが好ましい。
本発明の接着剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、塗工安定性を高めるために、前述の有機溶剤に加えて、表面張力33dyn/cm以下の有機溶剤を加えることができる。例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族系溶剤、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等のケトン系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル系溶剤、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のアセテート系溶剤等が挙げられ、これらは単独で使用してもよいし、複数を組み合わせて使用しても構わない。
本発明の接着剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、塗工安定性を高めるために、表面調整剤を加えることができる。接着性の観点から、表面調整剤は沸点150℃以下のものが好ましく、より好ましくは沸点120℃以下のものである。具体的には、特に限定されないが、日信化学工業(株)製サーフィノール104E、104H、104A、104PA、104S、420、440、465、485、SE、SE−F、オルフィンEXP.4001、EXP.4123、EXP.4200、EXP.4300等が挙げられ、これらは単独で使用してもよいし、複数を組み合わせて使用しても構わない。これらの表面調整剤の配合量としては、ポリアミドイミド樹脂100質量部に対して、0.01〜0.5質量部であり、より好ましくは0.05〜0.3質量部である。表面調整剤の配合量が少ないと塗工安定性が得られにくく、配合量が多いと接着性が発現しにくくなる恐れがある。
本発明の接着剤組成物からなる接着剤層付き銅箔は、Bステージ状態における接着剤層中の残留溶剤量が5.0〜16.0質量%であることが好ましく、より好ましくは5.0〜13.0質量%であり、更に好ましくは8.0〜13.0質量%である。残留溶剤量が少ないと、低温加工性が低下する恐れがある。残留溶剤量が多いと、電気絶縁性が低下する恐れがある。
なお、接着剤層中の残留溶剤量の測定は、以下の方法で行なう。接着剤組成物の溶液を銅箔(JX日鉱日石製BHY 厚み18μm)の非光沢面に乾燥後の厚みが5μmとなるように塗布し、110℃3分間熱風乾燥機で乾燥させ、Bステージ状態のサンプルを得る。このBステージサンプルの接着剤塗布面とポリイミドフイルム(東レデュポン製カプトン100EN)とを真空プレスラミネート機を用いて、130℃、3MPa、30秒間減圧下で熱圧着させる。その後、ポリイミドフィルムを剥離し、接着剤層付き銅箔を得る。この接着剤層付き銅箔を、熱量計測定装置(TAインスツルメント製TGA Q500)を用いて、窒素雰囲気下で室温から300℃まで20℃/minの速度で昇温し、接着剤層付き銅箔の接着剤層中の残留溶剤量を測定する。
接着剤層中の残留溶剤量は、以下のように100℃を基準とした250℃での質量減少率(銅箔質量は含まない)より算出する。
接着剤層中の残留溶剤量(%)=(250℃での接着剤層付き銅箔の質量−銅箔質量)/(100℃での接着剤層付き銅箔の質量−銅箔質量)×100
本発明の接着剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、硬化を促進するために、前述のエポキシ樹脂に加えて、グリシジルアミンを加えることができる。グリシジルアミンの添加量は、接着剤組成物中のポリアミドイミドとエポキシ樹脂の合計重量に対して、0.01質量%〜5質量%が好ましく、0.05質量%〜2質量%がさらに好ましい。グリシジルアミンの配合量が少ないと、硬化を促進する効果が得ることができない恐れがある。配合量が多いと、エポキシ基の硬化を促進する効果が大きく、ポリアミドイミド樹脂の反応性官能基とエポキシ基の反応が十分に進まず、耐熱性や接着性が低下する恐れがある。グリシジルアミンとしては、三菱ガス化学(株)製の商品名TETRAD−X、TETRAD−C、日本化薬(株)製の商品名GAN、住友化学(株)製の商品名ELM−120等が挙げられ、これらは単独で使用してもよいし、複数を組み合わせて使用しても構わない。
本発明の接着剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、エポキシ樹脂の硬化剤や硬化促進剤を加えることができる。硬化剤としては、エポキシ樹脂と反応する化合物であれば特に制限は無いが、例えば、アミン系硬化剤、フェノール性水酸基を有する化合物、カルボン酸を有する化合物、酸無水物を有する化合物などが挙げられる。硬化触媒としては、エポキシ樹脂とポリアミドイミド樹脂および上記硬化剤との反応を促進するものであれば特に制限されないが、例えば、四国化成工業(株)製、2MZ、2E4MZ、C11Z、C17Z、2PZ、1B2MZ、2MZ−CN、2E4MZ−CN、C11Z−CN、2PZ−CN、2PHZ−CN、2MZ−CNS、2E4MZ−CNS、2PZ−CNS、2MZ−AZINE、2E4MZ−AZINE、C11ZAZINE、2MA−OK、2P4MHZ、2PHZ、2P4BHZ等のイミダゾール誘導体、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等のグアナミン類、ジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミン、m−キシレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、ジシアンジアミド、尿素、尿素誘導体、メラミン、多塩基ヒドラジド等のポリアミン類、これらの有機酸塩および/またはエポキシアダクト、三フッ化ホウ素のアミン錯体、エチルジアミノ−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−キシリル−S−トリアジン等のトリアジン誘導体類、トリメチルアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルオクチルアミン、N−ベンジルジメチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、ヘキサ(N−メチル)メラミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノフェノール)、テトラメチルグアニジン、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン)、DBN(1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5−ノネン)等の三級アミン類、これらの有機酸塩及び/又はテトラフェニルボロエート、ポリビニルフェノール、ポリビニルフェノール臭素化物、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス−2−シアノエチルホスフィン等の有機ホスフィン類、トリ−n−ブチル(2,5−ジヒドロキシフェニル)ホスホニウムブロマイド、ヘキサデシルトリブチルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボロエート等の四級ホスホニウム塩類、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、フェニルトリブチルアンモニウムクロライド等の四級アンモニウム塩類、前記ポリカルボン酸無水物、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボロエート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、2,4,6−トリフェニルチオピリリウムヘキサフルオロホスフェート、イルガキュアー261(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、オプトマ−SP−170(ADEKA(株)製)等の光カチオン重合触媒、スチレン−無水マレイン酸樹脂、フェニルイソシアネートとジメチルアミンの等モル反応物や、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の有機ポリイソシアネートとジメチルアミンの等モル反応物等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、複数を組み合わせて使用しても構わない。
本発明の接着剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、接着性を向上させる目的でシランカップリング剤を加えることができる。シランカップリング剤は、従来公知のものであれば特に限定されない。その具体例としては、アミノシラン、メルカプトシラン、ビニルシラン、エポキシシラン、メタクリルシラン、イソシアネートシラン、ケチミンシランもしくはこれらの混合物もしくは反応物、または、これらとポリイソシアネートとの反応により得られる化合物等が挙げられる。このようなシランカップリング剤としては、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルエチルジエトキシシラン、ビストリメトキシシリルプロピルアミン、ビストリエトキシシリルプロピルアミン、ビスメトキシジメトキシシリルプロピルアミン、ビスエトキシジエトキシシリルプロピルアミン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルエチルジエトキシシラン等のアミノシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルエチルジエトキシシラン等のメルカプトシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、トリス−(2−メトキシエトキシ)ビニルシラン等のビニルシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のメタクリルシラン、イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等のイソシアネートシラン、ケチミン化プロピルトリメトキシシラン、ケチミン化プロピルトリエトキシシラン等のケチミンシランが挙げられ、これらは単独で使用してもよいし、複数を組み合わせて使用しても構わない。これらのシランカップリング剤のうちエポキシシランは、反応性のエポキシ基を有するため、ポリアミドイミド樹脂と反応できるため、耐熱性、耐湿熱性向上の点で好ましい。また、シランカップリング剤の添加量は、樹脂剤組成物の不揮発分に対して、好ましくは0〜3質量%であり、より好ましくは0〜2質量%である。配合量が多いと耐熱性が低下する恐れがある。
本発明の接着剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、半田耐熱性を向上させる目的で有機・無機フィラーを加えることができる。有機フィラーとしては、耐熱性樹脂であるポリイミド、ポリアミドイミドなどの粉末が挙げられる。また、無機フィラーとしては、例えば、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、チタニア(TiO)、酸化タンタル(Ta)、ジルコニア(ZrO)、窒化硅素(Si)、チタン酸バリウム(BaO・TiO)、炭酸バリウム(BaCO)、チタン酸鉛(PbO・TiO)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)、酸化ガリウム(Ga)、スピネル(MgO・Al)、ムライト(3Al・2SiO)、コーディエライト(2MgO・2Al・5SiO)、タルク(3MgO・4SiO・HO)、チタン酸アルミニウム(TiO−Al)、イットリア含有ジルコニア(Y−ZrO)、硅酸バリウム(BaO・8SiO)、窒化ホウ素(BN)、炭酸カルシウム(CaCO)、硫酸カルシウム(CaSO)、酸化亜鉛(ZnO)、チタン酸マグネシウム(MgO・TiO)、硫酸バリウム(BaSO)、有機ベントナイト、クレー、マイカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどが挙げられ、この中では分散の容易さや耐熱性向上効果からシリカが好ましい。これらは単独で使用してもよいし、複数を組み合わせて使用しても構わない。また、これらの有機・無機フィラーの添加量は、接着剤組成物の不揮発成分に対して、好ましくは1〜30質量%であり、より好ましくは3〜15質量%である。配合量が多すぎると接着剤塗膜が脆化し、配合量が少なすぎると十分な耐熱性向上の効果を得ることができない恐れがある。
本発明のポリアミドイミド樹脂とエポキシ樹脂とを含む接着剤組成物は、低温加工性、接着性に優れ、150℃以下の温度でポリイミドフィルムと銅箔とを強固に接着することができる。得られる銅張り積層板は、耐熱性、難燃性、電気絶縁性、寸法安定性に優れる。この理由は、常温で液状のエポキシ樹脂により低温加工性、接着性が付与され、剛直でガラス転移温度の高いポリアミドイミド樹脂により耐熱性、難燃性、電気絶縁性、寸法安定性が付与されるためである。また、ポリアミドイミド樹脂とエポキシ樹脂の割合が特定の範囲内であるために、熱硬化により強固な架橋体を形成することも上記特性へ寄与している。
以下、本発明の効果を実施例により実証するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の特性の評価は、以下の方法で行なった。
対数粘度
固形化したポリアミドイミド樹脂を、ポリマー濃度が0.5g/dlとなるようにN−メチル−2−ピロリドンに溶解した。得られた溶液の溶液粘度及び溶媒粘度を30℃で、ウベローデ型粘度管により測定して、下記の式に従って対数粘度を計算した。
対数粘度(dl/g)=[ln(V1/V2)]/V3
上記式中、V1は、ウベローデ型粘度管により測定した溶液粘度を示し、V2は、ウベローデ型粘度管により測定した溶媒粘度を示す。V1及びV2は、ポリマー溶液及び溶媒(N−メチル−2−ピロリドン)が粘度管のキャピラリーを通過する時間から求めた。また、V3は、ポリマー濃度(g/dl)である。
酸価
固形化したポリアミドイミド樹脂0.1gを、20mlのN−メチル−2−ピロリドンに溶解し、チモールフタレインを指示薬にしてKOHで滴定し、樹脂10g当たりのカルボキシル基当量を測定して酸価とした。
ガラス転移温度
ポリアミドイミド樹脂溶液を銅箔の光沢面に塗布し、140℃3分間熱風乾燥機で乾燥させた後、250℃30分間窒素雰囲気下で乾燥させることにより、樹脂付き銅箔を得た。その後、銅箔をエッチングすることにより、厚み20μmのポリアミドイミド樹脂フィルムを作成した。このようにして作成したポリアミドイミド樹脂フィルムのガラス転移点を、TMA(熱機械分析装置)針進入法により荷重5g、昇温速度10℃/分の条件で測定した。
低温加工性
接着剤組成物の溶液を銅箔(JX日鉱日石製BHY 厚み18μm)の非光沢面に乾燥後の厚みが5μmとなるように塗布し、110℃3分間熱風乾燥機で乾燥させ、Bステージ状態のサンプルを得た。このBステージサンプルの接着剤塗布面とポリイミドフイルム(東レデュポン製カプトン100EN)とを真空プレスラミネート機を用いて、130℃、3MPa、30秒間減圧下で熱圧着させた。熱圧着後のサンプルにおいて、浮きや剥がれ等の貼り合せ不良のないものを○、浮きもしくは剥がれ等の貼り合せ不良のあったものを×とした。
接着性
接着剤組成物の溶液を銅箔(JX日鉱日石製BHY 厚み18μm)の非光沢面に乾燥後の厚みが5μmとなるように塗布し、110℃3分間熱風乾燥機で乾燥させ、Bステージ状態のサンプルを得た。このBステージサンプルの接着剤塗布面とポリイミドフイルム(東レデュポン製カプトン100EN)とを真空プレスラミネート機を用いて、130℃、3MPa、30秒間減圧下で熱圧着させた。その後、200℃で3時間加熱硬化させた。硬化後のサンプルを、引っ張り試験機(島津製オートグラフAG−X plus)を用いて25℃の雰囲気下で銅箔を180°の方向に50mm/minの速度で引き剥がし、接着強度を測定した。接着強度が0.7N/mm以上のものを○、0.7N/mm未満のものを×とした。
半田耐熱性
接着性の評価と同様に加熱硬化させたサンプルを作製し、20mm角に切断し、300℃の半田浴にポリイミド面を上にしてフロートさせた。膨れや剥がれのないものを○、膨れもしくは剥がれのあったものを×とした。
難燃性
接着剤組成物の溶液をポリイミドフイルム(カネカ製アピカル12.5NPI)に乾燥後の厚みが20μmとなるように塗布し、140℃3分間熱風乾燥機で乾燥させ、Bステージ状態のサンプルを得た。このBステージサンプルの接着剤塗布面とポリイミドフイルム(カネカ製アピカル12.5NPI)とを真空プレスラミネート機を用いて、130℃、3MPa、30秒間減圧下で熱圧着させた。その後、200℃で3時間加熱硬化させた。硬化後のサンプルをUL−94VTM規格に準拠して、難燃性を評価した。VTM−0相当のものを○、VTM−0を満足しないものを×とした。
HAST試験
接着剤組成物の溶液をポリイミドフイルム(カネカ製アピカル12.5NPI)に乾燥後の厚みが20μmとなるように塗布し、140℃3分間熱風乾燥機で乾燥させ、Bステージ状態のサンプルを得た。このBステージサンプルの接着剤塗布面とL/S=50/50μmのくし型パターンに真空プレスラミネート機を用いて、160℃、3MPa、30秒間減圧下で熱圧着させた。その後、200℃で3時間加熱硬化させた。温度121℃、湿度100%の環境下、100Vの電圧を250時間印加した。250時間後の抵抗値が1×10Ω以上でありデンドライトのないものを◎、250時間後の抵抗値が1×10Ω以上1×10Ω未満でありデンドライトのないものを○、250時間後の抵抗値が1×10Ω未満もしくはデンドライトが発生しているものを×とした。
ポリアミドイミド樹脂1〜8の重合
表1に示す原料の樹脂組成(mol%)で、ポリアミドイミド樹脂の重合を行った。具体的には、以下のように重合を行った。
ポリアミドイミド樹脂1〜4の重合
撹拌機、冷却管、窒素導入管および温度計を備えた4つ口のセパラブルフラスコに、無水トリメリット酸192.13g(1.00mol)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート217.73g(0.87mol)および脱炭酸後の樹脂分の濃度が40重量%となるようN−メチル−2−ピロリドン482.78gを加え、窒素下で100℃まで昇温して2時間反応させ、さらに150℃に昇温して5時間反応させた。その後、樹脂分の濃度が35重量%となるようN−メチル−2−ピロリドン114.95gを加えて希釈し、ポリアミドイミド樹脂1の溶液を得た。また、他のポリアミドイミド樹脂2〜4においても表1に示す原料の樹脂組成で上記と同様の手順で樹脂の重合を行い、溶液を得た。
ポリアミドイミド樹脂5の重合
撹拌機、冷却管、窒素導入管および温度計を備えた4つ口のセパラブルフラスコに、無水トリメリット酸192.13g(1.00mol)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート237.75g(0.95mol)および脱炭酸後の樹脂分の濃度が35重量%となるようN−メチル−2−ピロリドン634.91gを加え、窒素下で100℃まで昇温して2時間反応させ、さらに150℃に昇温して5時間反応させた。その後、樹脂分の濃度が30重量%となるようN−メチル−2−ピロリドン162.89gを加えて希釈し、ポリアミドイミド樹脂5の溶液を得た。
ポリアミドイミド樹脂6の重合
撹拌機、冷却管、窒素導入管および温度計を備えた4つ口のセパラブルフラスコに、無水トリメリット酸192.13g(1.00mol)、o−トリジンジイソシアネート211.42g(0.80mol)、トリレンジイソシアネート34.83g(0.20mol)、および脱炭酸後の樹脂分の濃度が35重量%となるようN−メチル−2−ピロリドン650.72gを加え、窒素下で100℃まで昇温して2時間反応させ、さらに150℃に昇温して5時間反応させた。その後、樹脂分の濃度が20重量%となるようN−メチル−2−ピロリドン750.83gを加えて希釈し、ポリアミドイミド樹脂6の溶液を得た。
ポリアミドイミド樹脂7,8の重合
撹拌機、冷却管、窒素導入管および温度計を備えた4つ口のセパラブルフラスコに、無水トリメリット酸180.60g(0.94mol)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート225.23g(0.90mol)、両末端カルボキシル基変性アクリロニトリルブタジエンゴム(分子量3500)210.00g(0.06mol)および脱炭酸後の樹脂分の濃度が40重量%となるようN,N−ジメチルアセトアミド804.95gを加え、窒素下で100℃まで昇温して2時間反応させ、さらに150℃に昇温して5時間反応させた。その後、樹脂分の濃度が30重量%となるようN,N−ジメチルアセトアミド447.20gを加えて希釈し、ポリアミドイミド樹脂7の溶液を得た。また、他のポリアミドイミド樹脂8においても表1に示す原料の樹脂組成で上記と同様の手順で樹脂の重合を行い、溶液を得た。
接着剤組成物の溶液の作製
表2に示す接着剤配合(固形分(質量%))に従って実施例1〜11及び比較例1〜9の接着剤組成物のN−メチル−2−ピロリドン溶液及びN,N−ジメチルアセトアミド溶液を作製し、上記の特性の評価を行った。
表2からわかるように、本発明の条件を満足する実施例1〜11の接着剤組成物は、低温加工性、接着性、半田耐熱性、難燃性、HASTの特性において優れた結果を示すのに対して、本発明の条件を満足しないポリアミドイミド樹脂を使用する比較例1〜3、ポリアミドイミド樹脂に対するエポキシ樹脂の配合比率が本発明の範囲外である比較例4,5、ポリアミドイミド樹脂とエポキシ樹脂の合計に対するリン系難燃剤の配合比率が本発明の範囲外である比較例6,7、25℃で固形のエポキシ樹脂を特定量以上使用する比較例8、反応型リン系難燃剤を特定量以上使用する比較例9はいずれかの特性において不満足な結果であった。
本発明の接着剤組成物は、低温加工性、接着性、耐熱性、難燃性、電気絶縁性に優れるため、フレキシブルプリント配線板の銅張り積層板において銅箔とポリイミドフィルムを接着するために特に好適であり、極めて有用である。

Claims (8)

  1. ポリアミドイミド樹脂、エポキシ樹脂及びリン系難燃剤が配合され、かつ以下の(A)〜(F)の特徴を有する接着剤組成物:
    (A)ポリアミドイミド樹脂60〜85質量部に対して、エポキシ樹脂が15〜40質量部配合されていること;
    (B)ポリアミドイミド樹脂のガラス転移温度が250℃以上であること;
    (C)ポリアミドイミド樹脂の酸価が50〜150mgKOH/gであること;
    (D)エポキシ樹脂の性状が25℃において液状であること;
    (E)ポリアミドイミド樹脂とエポキシ樹脂の合計100質量部に対して、リン系難燃剤が15〜60質量部配合されていること;及び
    (F)リン系難燃剤中の50質量%以上が、フェナントレン型のホスフィン酸誘導体であること。
  2. 前記ポリアミドイミド樹脂が、酸成分としてトリメリット酸無水物を含有することを特徴とする請求項1に記載の接着剤組成物。
  3. 銅箔とポリイミドフィルムを貼り合せるために使用されることを特徴とする請求項1または2に記載の接着剤組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の接着剤組成物からなる接着剤層を使用したことを特徴とする接着剤層付き銅箔。
  5. Bステージ状態における前記接着剤層付き銅箔の接着剤層中の残留溶剤量が5.0〜16.0質量%であることを特徴とする請求項4に記載の接着剤層付き銅箔。
  6. 150℃以下のラミネート温度で貼り合せ可能であることを特徴とする請求項4または5に記載の接着剤層付き銅箔。
  7. ポリイミドフィルムの両面にそれぞれ銅箔を接着した両面銅張り積層板であって、請求項4〜6のいずれかに記載の接着剤層付き銅箔を使用したことを特徴とする両面銅張り積層板。
  8. 請求項7に記載の両面銅張り積層板を使用したことを特徴とするフレキシブルプリント配線板。
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