JP2010116443A - 接着フィルムならびにフレキシブル金属張積層板 - Google Patents

接着フィルムならびにフレキシブル金属張積層板 Download PDF

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Abstract

【課題】密着性、吸湿半田耐性が優れる接着フィルムおよびそれを用いて得られたフレキシブル金属張積層板を提供する。
【解決手段】耐熱性ポリイミドフィルムの少なくとも片面に、熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を含有する溶液を塗布・乾燥し、その後該ポリアミド酸をイミド化することによって接着層を設けた接着フィルムであって、(i)耐熱性ポリイミドフィルムがコロナ処理もしくはプラズマ処理を施されており、(ii)耐熱性ポリイミドフィルムにポリアミド酸を含有する溶液を塗布・乾燥する工程において、塗布した後の初期乾燥温度を100℃以上にし、(iii)前記塗布・乾燥工程における最終的な乾燥温度を「ポリアミド酸を含有する溶液に使用されている溶剤の沸点−30」℃以上とし、(iv)結晶性を有する熱可塑性ポリイミドが接着層に含有されて製造される接着フィルム、並びに当該接着フィルムに金属箔を貼り合わせて得られるフレキシブル金属張積層板。
【選択図】なし

Description

本発明は、接着フィルムならびに該接着フィルムに金属箔を貼り合わせて得られ、安定した金属箔引き剥がし強度を発現し、吸湿半田耐性に優れる、フレキシブル金属張積層板に関する。
近年、電子機器の高性能化、高機能化、小型化が急速に進んでおり、これに伴って電子機器に用いられる電子部品に対しても小型化、軽量化の要請が高まっている。上記要請を受け、半導体素子パッケージ方法やそれらを実装する配線板にも、より高密度、高機能、かつ高性能なものが求められるようになっている。
フレキシブルプリント配線板(以下、FPCともいう)は、一般に、柔軟性を有する薄い絶縁性フィルムを基板(ベースフィルム)とし、この基板の表面に、各種接着材料を介して金属箔が加熱・圧着することにより貼りあわされた金属張積層板に回路パターンを形成し、その表面にカバー層を施した構成を有している。かかる絶縁性フィルム、接着層、および金属箔の三層からなるフレキシブルプリント配線板(三層FPC)では、従来から、絶縁性フィルムとしてポリイミドフィルム等が広く用いられている。この理由は、ポリイミドが優れた耐熱性、電気特性などを有しているためである。また、接着層としては、エポキシ樹脂系、アクリル樹脂系等の熱硬化性接着剤が一般的に用いられている。
しかしながら、上述のような高密度、高機能、かつ高性能なFPCを得るためには、その材料として用いられる上記の絶縁接着剤や絶縁性フィルムについても高性能化を図り、それらを用いることが必要となっている。具体的には、上記接着層等は高い耐熱性および機械強度を有し、さらに加工性、接着性、低吸湿性、電気特性、寸法安定性にも優れることが求められている。
これに対し、従来、接着層として用いられていたエポキシ樹脂やアクリル樹脂といった熱硬化性樹脂は、比較的低温での接着が可能であるため低温加工性に優れ、さらに経済性の観点からも優れるものの、例えば、耐熱性等に代表されるその他の特性については不十分であるのが現状である。
上記問題を解決するために、接着層にもポリイミド材料を用いた二層FPCが提案されている(例えば、特許文献1参照)。なお、この接着層にポリイミド材料を用いる方法で得られるFPCは厳密には三層であるともいえるが、2つのポリイミド層を一体と見なして二層FPCとするものである。この二層FPCは、エポキシ樹脂やアクリル樹脂を接着層に使用した三層FPCに比べて耐熱性、電気特性、寸法安定性に優れており、今後の要求特性に応えることができる材料として注目されている。
一方、ポリイミド材料を用いる場合の欠点としては、ポリイミドの性質に基づく吸水率の高さが挙げられる。これは、二層FPCにおいても当てはまる問題である。FPCの吸水率が高い場合、半田を用いた部品実装時に悪影響を及ぼす場合がある。具体的には、大気中から材料内に取り込まれた水分が、部品実装時の加熱によって急激に系外に放出されることにより、結果としてFPCに膨れや白化が生じ、FPCにおける各材料間の接着性や電気特性に問題が生じる場合がある。このような吸湿半田耐性に係る問題を回避するため、例えば、実装工程前にFPCを予備乾燥して水分を除去する対策を講じることもできる。しかしながら、工程数が増えてしまうため、生産性の面で問題がある。
上記課題を解決するために、本発明者らは接着層に使用する熱可塑性ポリイミドに結晶性を持たせることにより、吸湿半田耐性を向上できることを見出した。しかし、結晶性を有する熱可塑性ポリイミドを使用すると、新たな課題が発生した。二層FPC用接着フィルムの製造方法の一つとして、耐熱性ポリイミドフィルムに熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を含有する溶液を塗布、乾燥した後に該ポリアミド酸をイミド化する方法があげられるが、結晶性を有する熱可塑性ポリイミドを用いると耐熱性ポリイミドフィルムと接着層との密着性が十分に確保できない場合がある。
密着性向上のためにプラズマ処理やコロナ処理を施すことにより、上記課題を改善できるが、品質のばらつきも含めると十分とは言えない。
特開平2−180682号公報
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、その目的は、結晶性を有する熱可塑性ポリイミドを接着層に用いた場合でも、ベースとなる耐熱性ポリイミドフィルムとの密着性が十分に確保され、吸湿半田耐性にも優れる接着フィルム、およびそれを用いて得られたフレキシブル金属張積層板を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題に鑑み鋭意検討した結果、耐熱性ポリイミドフィルムに熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を含有する溶液を塗布、乾燥する際の乾燥温度を適正範囲に制御することにより、得られる接着フィルムの接着層とベースフィルム層の密着性を向上できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、耐熱性ポリイミドフィルムの少なくとも片面に、熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を含有する溶液を塗布・乾燥し、その後該ポリアミド酸をイミド化することによって接着層を設けた接着フィルムであって、(i)耐熱性ポリイミドフィルムがコロナ処理もしくはプラズマ処理を施されている、(ii)耐熱性ポリイミドフィルムにポリアミド酸を含有する溶液を塗布・乾燥する工程において、塗布した後の初期乾燥温度を100℃以上にする、(iii)前記塗布・乾燥工程における最終的な乾燥温度を「ポリアミド酸を含有する溶液に使用されている溶剤の沸点−30」℃以上とする、(iv)結晶性を有する熱可塑性ポリイミドが接着層に含有される、を全て満たして製造されることを特徴とする接着フィルムに関する。
好ましい実施態様は、熱可塑性ポリイミドの融点が350〜450℃の範囲にあることを特徴とする、前記の接着フィルムに関する。
好ましい実施態様は、結晶性を有する熱可塑性ポリイミドが、接着層に含有される熱可塑性ポリイミドを基準として85〜100重量%の範囲で含有されることを特徴とする、前記いずれかの接着フィルムに関する。
好ましい実施態様は、結晶性を有する熱可塑性ポリイミドが、ジアミン成分として1,4-ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,4−ジアミノベンゼンから選ばれる単位、酸二無水物成分としてピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物から選ばれる単位の組み合わせにより構成されるポリアミド酸をイミド化して得られることを特徴とする、前記いずれかの接着フィルムに関する。
本発明は、前記いずれかの接着フィルムに金属箔を貼り合わせて得られ、40℃、90%R.H.の加湿条件下で96時間吸湿させた後、300℃の半田浴に10秒間浸漬しても、膨れ、白化等の外観異常が生じないことを特徴とするフレキシブル金属張積層板に関する。
好ましい実施態様は、接着層に含有される結晶性熱可塑性ポリイミドの融点をT(℃)とした場合、接着フィルムと金属箔の貼り合わせを(T−40)℃〜T℃の範囲のいずれの温度で実施しても、金属箔引き剥がし強度が90度方向剥離で10N/cm以上であることを特徴とする、前記のフレキシブル金属張積層板に関する。
本発明により得られる接着フィルムおよびそれに金属箔を貼り合わせて製造されるフレキシブル金属張積層板は、接着性と吸湿半田耐性に優れる。
本発明の実施の形態について、以下に説明する。
<耐熱性ポリイミドフィルム>
本発明に係る接着フィルムにおいて用いられる前記「耐熱性ポリイミドフィルム」は、非熱可塑性ポリイミドを90重量%以上含有して形成されていればよく、非熱可塑性ポリイミドの分子構造、厚みは特に限定されない。耐熱性ポリイミドフィルムの形成に用いられる非熱可塑性ポリイミドは、一般にポリアミド酸を前駆体として用いて製造されるものであるが、前記非熱可塑性ポリイミドは、完全にイミド化していてもよいし、イミド化されていない前駆体すなわちポリアミド酸を一部に含んでいてもよい。ここで、非熱可塑性ポリイミドとは、一般に加熱しても軟化、接着性を示さないポリイミドをいう。本発明では、フィルムの状態で450℃、2分間加熱を行い、シワが入ったり伸びたりせず、形状を保持しているポリイミド、若しくは実質的にガラス転移温度を有しないポリイミドをいう。なお、ガラス転移温度は動的粘弾性測定装置(DMA)により測定した貯蔵弾性率の変曲点の値により求めることができる。また、「実質的にガラス転移温度を有しない」とは、ガラス転移状態になる前に熱分解が開始するものをいう。
前記耐熱性ポリイミドフィルムの厚みは、用途に応じて適宜選択されうるが、一般に二層FPCでは絶縁層厚み(耐熱性ポリイミドフィルムと接着層を足し合わせた厚み)が1ミル(25μm)、ハーフミル(12.5μm)のものが好ましく用いられているため、前記耐熱性ポリイミドフィルムの厚みは7〜18μmの範囲であることが好ましい。
本発明に係る接着フィルムにおいて使用することのできる耐熱性ポリイミドフィルムについては特に限定されず、例えば、市販されている公知のポリイミドフィルムを使用することが可能である。市販されているポリイミドフィルムの例としては、例えば、「アピカル」(カネカ製)、「カプトン」(デュポン、東レ・デュポン製)、「ユーピレックス」(宇部興産製)などが挙げられる。もちろん、従来公知の原料あるいは製法等を用いて適宜作製した耐熱性ポリイミドフィルムを用いても構わない。例えば、通常、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとを、実質的等モル量、有機溶媒中に溶解させて、制御された温度条件下で、上記芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとの重合が完了するまで攪拌することによって前駆体であるポリアミド酸のワニスを製造し、当該ポリアミド酸のワニスを用いて耐熱性ポリイミドフィルムを得ることができる。
本発明に係る接着フィルムにおいて使用することのできる耐熱性ポリイミドフィルムは、密着性向上の観点から、(i)コロナ処理もしくはプラズマ処理が施されたものである。コロナ処理、プラズマ処理は公知の技術であり、ポリイミドフィルムへの処理についても数多くの知見があるため、処理条件については適宜適用すれば良い。
<接着フィルムの接着層>
本発明に係る接着フィルムは、耐熱性ポリイミドフィルムの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を設けることにより構成されるものであるが、(iv)当該接着層に含有される熱可塑性ポリイミドの少なくとも一部もしくは全部が結晶性を有する熱可塑性ポリイミドであることに特徴を有する。
なお、本発明において「結晶性を有する」とは、示差走査熱量計(DSC:Differential Scanning Calorimetry)測定において、固体状態から融解状態に移行することによる明確な吸熱ピーク(このピーク温度を融点とする)を示すことを言う。これに対し、非晶性の熱可塑性ポリイミドは、融点を持たないので明確な吸熱ピークを示さず、ガラス転移温度付近で若干の吸熱が確認されるのみである点で相違する。
非晶性の熱可塑性ポリイミドは、一般にガラス転移温度付近で急激に貯蔵弾性率が低下し、軟化する挙動を示す。従って、接着フィルムの接着層に含有される熱可塑性ポリイミドとして非晶性の熱可塑性ポリイミドのみを使用している場合には、これにより、接着フィルム中の水分が接着層を介して急激に系外に放出されてしまい、結果として接着フィルムやフレキシブル金属張積層板における白化や膨れの原因となりうる。これを防ぐためには、熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度を、例えば半田を用いたFPCへの部品実装工程における温度付近まで上げる必要があるが、その一方で、フレキシブル金属張積層板を製造する際に接着フィルムと金属箔とを貼り合わせる温度では、接着性を発現するために接着層は十分に軟化している必要がある。生産性良く接着フィルムと金属箔を貼り合せるためには、接着フィルムの接着層に用いる熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度よりも80〜150℃程度高い温度で貼り合わせる必要がある。このように、吸湿半田耐性の改良と接着フィルムを用いた金属張積層板の製造における加工性は相反するものであるため、これらを両立させるためには熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度の制御は厳密に行う必要があるが、近年、吸湿半田耐性の要求温度が高くなるにしたがい、吸湿半田耐性と加工性とが両立された接着フィルムおよびフレキシブル金属張積層板を得ることは益々困難となる傾向があった。
一方、結晶性の熱可塑性ポリイミドは、ガラス転移温度付近における貯蔵弾性率の低下度合いは非晶性の熱可塑性ポリイミドほど大きくなく、一般にガラス転移温度よりは高温の融点付近で急激に貯蔵弾性率が低下する傾向がある。そのため、吸湿半田耐性と加工性の両立については、接着層に非晶性の熱可塑性ポリイミドを用いた場合と比較して容易となりうるのである。従来、結晶性の熱可塑性ポリイミドは、溶融押出し成形、射出成形等の成形体用途では利用されていたものの、本発明のように技術分野の異なる電子材料用途ではほとんど利用されてなく、吸湿半田耐性と熱可塑性ポリイミドの結晶性との相関に着目した技術は今までに知られていない。
本発明に係る接着フィルムは、FPCとした際に、優れた吸湿半田耐性を発現することができるものである。そのため、接着層に含有される結晶性の熱可塑性ポリイミドの融点は、ある程度以上であることが好ましい。具体的には、当該融点は350〜450℃の範囲にあることが好ましく、370〜420℃の範囲内にあることがより好ましい。融点が上記範囲よりも低い場合、接着層が軟化し始める温度も低くなってしまうため、吸湿半田耐性の改良が十分でない場合がある。逆に融点が上記範囲よりも高い場合、金属箔と接着フィルムを貼り合わせる温度で接着層が十分に軟化せず、接着フィルムに対する金属箔の接着強度が低下してしまう場合がある。
本発明の接着フィルムにおける接着層に含有される結晶性の熱可塑性ポリイミドは、その前駆体であるポリアミド酸をイミド化することにより得ることができる。前記ポリアミド酸の作製方法としては特に限定されず、従来公知の方法を用いることが可能である。一般的な例としては、有機溶剤中でジアミン成分と酸二無水物成分を混合し、重合反応によりポリアミド酸の有機溶剤溶液を得る方法を挙げることができる。ここで使用されるジアミン成分と酸二無水物成分の構造を適切に選定することにより、それらを重合して得たポリアミド酸をイミド化して得られる熱可塑性ポリイミドに結晶性を付与することが可能となる。しかし、上述した通り、一般的にポリイミドはジアミン成分と酸二無水物成分の重合反応により得られるため、特定のジアミン成分または酸二無水物成分のどちらか一方を用いれば必ず結晶性のポリイミドが得られるわけではなく、結晶性の発現は、特定のジアミン成分と酸二無水物成分の組み合わせに大きく依存する。
上記組み合わせの観点があることを踏まえた上で、本発明において接着層に含有される結晶性の熱可塑性ポリイミドの原料として使用され得るジアミン成分および酸二無水物成分の例を挙げると、ジアミン成分としては、1,4-ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル等のエーテル系ジアミン、1,4−ジアミノベンゼン等のフェニレン系ジアミンなどが結晶性を発現しやすい傾向にあることから好ましい。一方、酸二無水物成分としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物などが結晶性を発現しやすい傾向にあることから好ましい。もちろん、本発明の熱可塑性ポリイミドの原料として使用するジアミン成分と酸二無水物成分はこれらに限定されるわけではなく、ジアミン成分と酸二無水物成分との特定の組み合わせの結果として得られる熱可塑性ポリイミドが結晶性を発現するものであれば、他の構造の原料を用いても構わない。
本発明において、結晶性の熱可塑性ポリイミドを得るための原料として特に好ましいジアミン成分と酸二無水物成分との組み合わせは、例えば、1,4-ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンと3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の組み合わせを例示できる。
本発明において、前記熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸の重合に使用する有機溶媒、重合温度、重合濃度などに関する諸条件についても特に限定されず、従来公知の条件で製造することが可能である。
本発明において、接着層に含有される熱可塑性ポリイミドは、少なくとも一部もしくは全部が結晶性熱可塑性ポリイミドであることに特徴を有する。中でも、当該熱可塑性ポリイミド量を基準として、吸湿半田耐性と加工性の観点から、結晶性熱可塑性ポリイミドが85重量%〜100重量%の範囲で含まれることが好ましく、更には90重量%〜100重量%の範囲で含まれることがより好ましい。
本発明に係る接着フィルムの接着層は、熱可塑性ポリイミド以外に、必要に応じて、例えば、線膨張係数や滑り性制御の目的でフィラー等の有機物/無機物粒子を含有してもよい。この場合のフィラーの添加量は、例えば、接着層に対して0.001〜10重量%の範囲が好ましく例示されうる。
<接着フィルムの製造>
本発明に係る接着フィルムは、耐熱性ポリイミドフィルムの少なくとも片面に、熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を含有する溶液を塗布、乾燥した後に該ポリアミド酸をイミド化することによって得られるものである。ここで、ポリアミド酸を含有する溶液を耐熱性ポリイミドフィルムに塗布した後の乾燥工程における乾燥温度を、(ii)初期乾燥温度を100℃以上にする、(iii)最終的な乾燥温度を「ポリアミド酸溶液に使用されている溶剤の沸点−30」℃以上とする、ことが得られる接着フィルムにおける耐熱性ポリイミドフィルム(ベースフィルムともいう)と接着層との密着性を向上させるために必要である。
例えば、非結晶性の熱可塑性ポリイミドを接着層に用いる場合、上記のような乾燥条件を採用してもしなくても、得られる接着フィルムにおけるベースフィルムと接着層との密着性は変わるものではない。しかしながら、前記の如く接着層に結晶性の熱可塑性ポリイミドを用いる場合は、ベースフィルムと接着層との密着性に、ポリアミド酸の乾燥条件が大きく作用することを本発明者らは見出した。耐熱性ポリイミドフィルムに熱可塑性ポリイミド前駆体のポリアミド酸溶液を塗布、乾燥した後に加熱してイミド化するという製造方法は公知のものである。しかし、従来の技術は接着層に非結晶性の熱可塑性ポリイミドを用いたものであり、上述したようにベースフィルムと接着層との密着性に、耐熱性ポリイミドフィルムにポリアミド酸溶液を塗布・乾燥する工程における乾燥条件が影響するものではない。接着フィルムにおける接着層として結晶性の熱可塑性ポリイミドを使用する場合に、その前駆体であるポリアミド酸を含有する溶液の乾燥条件が、得られる接着フィルムの前記密着性に大きく作用することは、本願により初めて見出されたものである。
なお、なぜ結晶性の熱可塑性ポリイミドを用いた場合だけその前駆体であるポリアミド酸を含有する溶液の乾燥温度が前記密着性に大きく影響するのかは定かではない。しかしながら、結晶性と非結晶性の熱可塑性ポリイミドにおいて、その前駆体であるポリアミド酸の分子鎖の挙動が異なり、それが前記密着性に影響し、更には得られる接着フィルムの接着性に影響しているのではないかと考えられる。
前記の(ii)耐熱性ポリイミドフィルムにポリアミド酸を含有する溶液を塗布・乾燥する工程における初期乾燥温度は、好ましくは105℃以上、更には110℃以上であることがより好ましい。初期乾燥温度の上限値は、「ポリアミド酸溶液に使用されている溶剤の沸点−30」℃とすることが好ましい。初期乾燥温度が上記範囲よりも低い場合、密着性向上の効果を十分に発現しない場合がある。一方、初期乾燥温度が上記の上限値を上回る場合、乾燥工程初期に溶剤が急激に蒸発するため発泡が発生し、得られる接着フィルムの外観が悪化する場合がある。
一方、前記の(iii)前記塗布・乾燥工程における最終的な乾燥温度は、好ましくは「ポリアミド酸溶液に使用されている溶剤の沸点−20」℃以上、更には「ポリアミド酸溶液に使用されている溶剤の沸点−10」℃以上がより好ましい。最終的な乾燥温度の上限値は、ポリアミド酸溶液に使用されている溶剤の沸点+20」℃以下とすることが好ましい。最終的な乾燥温度が上記範囲よりも低い場合、密着性向上の効果を十分に発現しない場合がある。一方、最終的な乾燥温度が上記の上限値を上回る場合、接着層のイミド化が部分的に進行する箇所が生じ始めるため、この後の加熱イミド化工程を経て最終的に得られる接着フィルムの特性が不均一になる場合がある。なお、ポリアミド酸溶液に使用されている溶剤が複数である場合は、沸点が高い方の溶剤に合わせて乾燥温度を調整するものとする。
ポリアミド酸を含有する溶液を耐熱性ポリイミドフィルムに塗布・乾燥する工程、加熱によりイミド化する工程については特に特殊な装置を使用する必要は無く、従来公知のものを使用することができる。
また、本発明に係る接着フィルムにおける接着層の厚みは限定されるものではない。接着フィルム全体の厚みや、接着対象である金属箔の表面粗度等を考慮して適宜選択されうるが、1〜10μmの範囲が好ましく、1.5〜6μmの範囲がより好ましい。上記範囲より接着層を厚くしても、接着強度が比例して向上するわけではなく、逆に、接着フィルム全体としての線膨張係数を制御するのが困難になるといった不具合が生じる場合がある。上記範囲より接着層を薄くすると、金属箔表面の凹凸に接着層が十分にかみ込まず、接着不良を生じる場合がある。
<フレキシブル金属張積層板>
本発明に係るフレキシブル金属張積層板は、例えば、上記接着フィルムに金属箔を貼り合わせることにより得られる。使用する金属箔としては特に限定されるものではないが、電子機器・電気機器用途に本発明のフレキシブル金属張積層板を用いる場合には、例えば、銅若しくは銅合金、ステンレス鋼若しくはその合金、ニッケル若しくはニッケル合金(42合金も含む)、アルミニウム若しくはアルミニウム合金からなる金属箔を挙げることができる。一般的なフレキシブル金属張積層板では、圧延銅箔、電解銅箔といった銅箔が多用されるが、本発明においても好ましく用いることができる。なお、これらの金属箔の表面には、防錆層や耐熱層あるいは接着層が塗布されていてもよい。
本発明において、上記金属箔の厚みについては特に限定されるものではなく、その用途に応じて、十分な機能が発揮できる厚みであればよい。
前記接着フィルムと金属箔の貼り合わせ方法としては特に限定されず、例えば、一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置或いはダブルベルトプレス(DBP)による連続処理を用いることができる。中でも、装置構成が単純であり保守コストの面で有利であるという点から、一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置を用いることが好ましい。ここでいう「一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置」とは、材料を加熱加圧するための金属ロールを有している装置であればよく、その具体的な装置構成は特に限定されるものではない。
本発明に係るフレキシブル金属張積層板は、例えば、40℃、90%R.H.の加湿条件下で96時間吸湿させた後、300℃の半田浴に10秒間浸漬しても、膨れ、白化等の外観異常が生じない性能を発現することができる。
更には、接着層に含有される結晶性の熱可塑性ポリイミドの融点をT(℃)とした場合、接着フィルムと金属箔の貼り合わせを(T−40)℃〜T℃の範囲のいずれの温度で実施しても、金属箔引き剥がし強度が90度方向剥離で10N/cm以上であることが好ましい。結晶性の熱可塑性ポリイミドを接着層に使用した場合、非結晶性の熱可塑性ポリイミドを使用した場合に比べて金属箔貼り合わせに必要とされる温度は高くなってしまう傾向がある。しかしながら、接着フィルム作製時の乾燥温度を適正に制御した場合、ベースフィルムと接着層の密着性が十分に確保されるだけでなく、貼り合わせに必要とされる温度も幾分低くすることも可能となる。
本発明に係るフレキシブル金属張積層板は、接着性と吸湿半田耐性の両物性が両立されており、鉛フリー半田に対応したFPCもしくは多層FPC用途として用いることができる。もちろん、本発明の用途はこれに限定されるものではなく、金属箔を含む積層体であれば、種々の用途に利用できることはいうまでもない。
以下、実施例および比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例および比較例における接着層で使用される熱可塑性ポリイミドの融点(Tm)、ガラス転移温度(Tg)、ならびにフレキシブル金属張積層板の吸湿半田耐性、金属箔の引き剥し強度は、次のようにして測定または評価した。
〔熱可塑性ポリイミドの融点〕
合成例で得られた熱可塑性ポリイミド前駆体溶液を、18μm圧延銅箔(BHY−22B−T、日鉱金属製)のシャイン面に、最終厚みが20μmとなるように流延し、130℃で3分間、200℃で2分間、250℃で2分間、300℃で2分間、350℃で1分間乾燥を行った。乾燥後、エッチングにより銅箔を除去し、50℃で30分間乾燥させて熱可塑性ポリイミドの単層シートを得た。
得られた熱可塑性ポリイミドの単層シートを用いて、セイコーインスツルメンツ社製 DSC220により、アルミをリファレンスとして使用し、昇温速度10℃/分、降温速度40℃/分にて、0℃から450℃の範囲で測定し、昇温工程での吸熱チャートのピークを融点とした。
〔熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度〕
融点測定と同様にして測定を行い、昇温工程での吸熱チャートの変曲点をガラス転移温度とした。
〔フレキシブル金属張積層板の吸湿半田耐性〕
実施例ならびに比較例で得られた両面フレキシブル金属張積層板について、上下面の銅箔層が1cm×1.5cmのサイズで重なるように、エッチング処理で余分な銅箔層を除去してサンプルを二つ作製した。得られたサンプルを40℃、90%R.H.の加湿条件下で、96時間放置し、吸湿処理を行った。吸湿処理後、サンプルを250℃、270℃、300℃の半田浴に10秒間浸漬させた。半田浸漬後のサンプルについて、それぞれ片側の銅箔層をエッチングにより除去し、銅箔が重なっていた部分の外観に変化が無い場合は○(良)、接着フィルム層の白化、膨れ、銅箔層の剥離のいずれかが確認された場合は×(悪)とした。
〔フレキシブル金属張積層板の金属箔引き剥がし強度〕
JIS C6471の「6.5 引きはがし強さ」に従って、サンプルを作製し、5mm幅の金属箔部分を、90度の剥離角度、50mm/分の条件で剥離し、その荷重を測定した。測定後のサンプルの剥離界面の確認を行い、接着層とベースフィルムの界面で剥離している場合をA/PI、接着層と銅箔の界面で剥離している場合をC/Aとした。
(合成例1;熱可塑性ポリイミド前駆体の合成)
容量2000mlのガラス製フラスコにN,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFともいう。沸点153℃)を637.0g、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、BPDAともいう。)を68.2g加え、窒素雰囲気下で撹拌しながら、1,4-ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(以下、TPE−Qともいう)を20.3g、1,3-ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(以下、TPE−Rともいう)を45.4g添加し、25℃で1時間撹拌した。2.0gのTPE−Rを27.0gのDMFに溶解させた溶液を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加、撹拌を行った。粘度が1200poiseに達したところで添加、撹拌をやめ、ポリアミド酸溶液を得た。得られたポリアミド酸溶液を用いて熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度ならびに融点測定サンプルを作製し測定を行ったところ、230℃にガラス転移点、400℃に融点を有することが確認され、結晶性を有することが分かった。
(合成例2;熱可塑性ポリイミド前駆体の合成)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを632.4g、BPDAを56.8g加え、窒素雰囲気下で撹拌しながら、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン(以下、BAPPともいう)を76.8g添加し、25℃で1時間撹拌した。2.4gのBAPPを31.6gのDMFに溶解させた溶液を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加、撹拌を行った。粘度が1200poiseに達したところで添加、撹拌をやめ、ポリアミド酸溶液を得た。得られたポリアミド酸溶液を用いて熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度ならびに融点測定サンプルを作製し測定を行ったところ、240℃にガラス転移点を示したが融点吸熱ピークは確認されず、結晶性を有さないことが分かった。
(実施例1)
合成例1で得られたポリアミド酸溶液を固形分濃度8.0重量%になるまでN,N−ジメチルアセトアミド(以下、DMAcともいう。沸点165℃)で希釈した。プラズマ処理した17μm厚の耐熱性ポリイミドフィルム(アピカル17FPP,カネカ製)のロールからフィルムを繰り出しながら、上記ポリアミド酸溶液をダイコーターにて最終片面厚みが4μmとなるように連続的に塗工を行った。塗工を行ったフィルムはダイコーターと併設して設置された乾燥炉に通し、初期乾燥温度:110℃で20秒、145℃で20秒、最終乾燥温度:150℃で40秒乾燥を行った。乾燥後のフィルムは再度ロール状に巻取り、反対面にも同様にしてポリアミド酸溶液を塗布、乾燥を行った。両面にポリイミド酸溶液を塗工、乾燥を行ったフィルムロールからフィルムを繰り出し、炉内温度420℃に設定した加熱炉の中を連続的に通してイミド化を行い、接着フィルムを得た。
得られた接着フィルムの両面に12μmの電解銅箔(F2−WS;古河サーキットフォイル製)、さらにその両側に保護材料(アピカル125NPI;カネカ製)を配して、熱ロールラミネート機を用いて、ラミネート温度340℃と380℃、ラミネート圧力196N/cm(20kgf/cm)、ラミネート速度1.5m/分の条件で連続的に熱ラミネートを行い、本発明にかかるフレキシブル金属張積層板を作製した。
(実施例2)
合成例1で得られたポリアミド酸溶液を固形分濃度6.0重量%になるまで1,3−ジオキソラン(沸点74℃)とDMFの1:1混合溶媒で希釈した。プラズマ処理した17μm厚の耐熱性ポリイミドフィルム(アピカル17FPP,カネカ製)のロールからフィルムを繰り出しながら、上記ポリアミド酸溶液をグラビアコーターにて最終片面厚みが4μmとなるように連続的に塗工を行った。塗工を行ったフィルムはコーターと併設して設置された乾燥炉に通し、初期乾燥温度:110℃で20秒、130℃で20秒、最終乾燥温度:150℃で20秒間乾燥を行った。乾燥後のフィルムは再度ロール状に巻取り、反対面にも同様にしてポリアミド酸溶液を塗布、乾燥を行った。両面にポリイミド酸溶液を塗工、乾燥を行ったフィルムロールからフィルムを繰り出し、炉内温度420℃に設定した加熱炉の中を連続的に通してイミド化を行い、接着フィルムを得た。得られた接着フィルムを用いて実施例1と同様の操作を行い、接着フィルムならびにフレキシブル金属張積層板を得た。
(実施例3)
合成例1で得られたポリアミド酸溶液を固形分濃度8.5重量%になるまで1,3−ジオキソランとDMFの1:1混合溶媒で希釈した。プラズマ処理した17μm厚の耐熱性ポリイミドフィルム(アピカル17FPP,カネカ製)を30cm×40cmのサイズにカットし、コンマコーターを用いて最終片面厚みが4μmとなるように連続的に塗工を行った。塗工後のフィルムは初期および最終乾燥温度:130℃のオーブンで60秒間乾燥を行った。反対面にも同様にしてポリアミド酸溶液を塗布、乾燥を行った。両面にポリイミド酸溶液を塗工、乾燥を行ったフィルムを420℃のオーブンで20秒間加熱してイミド化処理を行い、接着フィルムを得た。得られた接着フィルムを用いて実施例1と同様の操作を行い、接着フィルムならびにフレキシブル金属張積層板を得た。
(比較例1)
耐熱性ポリイミドフィルムとしてコロナ処理もしくはプラズマ処理を施していないポリイミドフィルム(アピカル17FP,カネカ製)を使用し、ダイコーターで塗工後の乾燥を初期乾燥温度:80℃で40秒、120℃で20秒、最終乾燥温度:150℃で40秒間実施する以外は実施例1と同様の操作を行い、接着フィルムならびにフレキシブル金属張積層板を得た。
(比較例2)
ダイコーターで塗工後の乾燥を初期乾燥温度:80℃で40秒、120℃で20秒、最終乾燥温度:150℃で40秒間実施する以外は実施例1と同様の操作を行い、接着フィルムならびにフレキシブル金属張積層板を得た。
(比較例3)
グラビアコーターで塗工後の乾燥を初期乾燥温度:80℃で20秒、100℃で20秒、最終乾燥温度:130℃で20秒間を実施する以外は実施例2と同様の操作を行い、接着フィルムならびにフレキシブル金属張積層板を得た。
(比較例4)
コンマコーターで塗工後の乾燥を初期乾燥温度:80℃で30秒、最終乾燥温度:130℃で30秒間実施する以外は実施例3と同様の操作を行い、接着フィルムならびにフレキシブル金属張積層板を得た。
(比較例5)
合成例1で得られたポリアミド酸溶液の代わりに、合成例2で得られたポリアミド酸溶液を使用し、耐熱性ポリイミドフィルムとしてコロナ処理もしくはプラズマ処理を施していないポリイミドフィルム(アピカル17FP,カネカ製)を使用する以外は、実施例1と同様の操作を行い、接着フィルムならびにフレキシブル金属張積層板を得た。
(比較例6)
合成例1で得られたポリアミド酸溶液の代わりに、合成例2で得られたポリアミド酸溶液を使用する以外は、実施例1と同様の操作を行い、接着フィルムならびにフレキシブル金属張積層板を得た。
接着フィルムの接着層に使用した熱可塑性ポリイミドの融点(Tm)およびガラス転移温度(Tg)、各実施例、比較例で得られたフレキシブル金属張積層板の特性を評価した結果を表1に示す。
Figure 2010116443
比較例1〜4に示すように、ポリアミド酸溶液塗布後の初期乾燥温度が特定値より低い場合、吸湿半田耐性は問題ないものの金属箔引き剥がし強度(接着層とベースフィルムとの密着性)が低く、特に接着フィルムと金属箔との貼り合わせ温度が低い場合はそれが顕著となる傾向が分かる。これに対し、ポリアミド酸溶液塗布後の初期乾燥温度を100℃以上にした実施例では、たとえ接着フィルムと金属箔との貼り合わせ温度が低い場合でも十分な金属箔引き剥がし強度を示した。なお、剥離界面は、実施例と比較例とで変化は無くA/PIであり、乾燥条件を適正化することによってベースフィルムと接着層との密着性が向上したことが理解できる。
一方、非結晶性の熱可塑性ポリイミドを用いた比較例5〜6は、乾燥条件の影響を受けず密着性は同等であり、乾燥条件が結晶性の熱可塑性ポリイミドを用いた場合のみ影響することを示している。

Claims (6)

  1. 耐熱性ポリイミドフィルムの少なくとも片面に、熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を含有する溶液を塗布・乾燥し、その後該ポリアミド酸をイミド化することによって接着層を設けた接着フィルムであって、下記(i)〜(iv)を全て満たして製造されることを特徴とする接着フィルム。
    (i)耐熱性ポリイミドフィルムがコロナ処理もしくはプラズマ処理を施されている。
    (ii)耐熱性ポリイミドフィルムにポリアミド酸を含有する溶液を塗布・乾燥する工程において、塗布した後の初期乾燥温度を100℃以上にする。
    (iii)前記塗布・乾燥工程における最終的な乾燥温度を「ポリアミド酸を含有する溶液に使用されている溶剤の沸点−30」℃以上とする。
    (iv)結晶性を有する熱可塑性ポリイミドが接着層に含有される。
  2. 熱可塑性ポリイミドの融点が350〜450℃の範囲にあることを特徴とする、請求項1記載の接着フィルム。
  3. 結晶性を有する熱可塑性ポリイミドが、接着層に含有される熱可塑性ポリイミドを基準として85〜100重量%の範囲で含有されることを特徴とする、請求項1または2に記載の接着フィルム。
  4. 結晶性を有する熱可塑性ポリイミドが、ジアミン成分として1,4-ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,4−ジアミノベンゼンから選ばれる単位、酸二無水物成分としてピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物から選ばれる単位の組み合わせにより構成されるポリアミド酸をイミド化して得られることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の接着フィルム。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の接着フィルムに金属箔を貼り合わせて得られ、40℃、90%R.H.の加湿条件下で96時間吸湿させた後、300℃の半田浴に10秒間浸漬しても、膨れ、白化等の外観異常が生じないことを特徴とするフレキシブル金属張積層板。
  6. 接着層に含有される結晶性熱可塑性ポリイミドの融点をT(℃)とした場合、接着フィルムと金属箔の貼り合わせを(T−40)℃〜T℃の範囲のいずれの温度で実施しても、金属箔引き剥がし強度が90度方向剥離で10N/cm以上であることを特徴とする、請求項5記載のフレキシブル金属張積層板。
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