JP2005146025A - 接着フィルム及びそれから得られるフレキシブル金属張積層板 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、吸湿半田耐熱性に優れたフレキシブル金属張積層板が得られる接着フィルム、及びそれに金属箔を貼り合わせて得られるフレキシブル金属張積層板を提供することにある。
【解決手段】 ポリイミドフィルムの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミドとシアナート樹脂を含有する接着層を設けた接着フィルムであって、該熱可塑性ポリイミドがシアナートと反応可能なフェノール性水酸基を有しており、かつ接着層のガラス転移温度が
235℃以上、300℃以下であることを特徴とする、接着フィルム。
【選択図】 なし
【解決手段】 ポリイミドフィルムの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミドとシアナート樹脂を含有する接着層を設けた接着フィルムであって、該熱可塑性ポリイミドがシアナートと反応可能なフェノール性水酸基を有しており、かつ接着層のガラス転移温度が
235℃以上、300℃以下であることを特徴とする、接着フィルム。
【選択図】 なし
Description
本発明は、ポリイミドフィルムの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミドを含有する接着層を設けた接着フィルム及びこれに金属箔を貼り合わせて得られるフレキシブル金属張積層板に関する。
近年、電子機器の高性能化、高機能化、小型化が急速に進んでおり、これに伴って電子機器に用いられる電子部品に対しても小型化、軽量化の要請が高まっている。上記要請を受け、半導体素子パッケージ方法やそれらを実装する配線板にも、より高密度、高機能、かつ高性能なものが求められるようになっている。
フレキシブル金属張積層板(以下、FPCともいう)に関しては、細線加工、多層形成等が行われるようになり、FPCに直接部品を搭載する部品実装用FPC、両面に回路を形成した両面FPC、複数のFPCを積層して層間を配線でつないだ多層FPCなどが出現してきた。一般にFPCは柔軟で薄いベースフィルム上に回路パターンを形成し、その表面にカバー層を施した構成をしており、上述のようなFPCを得るためにはその材料として用いられる絶縁接着剤や絶縁有機フィルムの高性能化が必要となっている。具体的には、高い耐熱性、機械強度を有し、加工性、接着性、低吸湿性、電気特性、寸法安定性に優れることが求められている。これに対し、現在用いられているエポキシ樹脂やアクリル樹脂は、低温加工性や作業性は優れるものの、その他の特性については不十分であるのが現状である。
上記問題を解決するために、接着層にもポリイミド材料を用いた二層FPCが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この二層FPCは、エポキシ樹脂やアクリル樹脂を使用した三層FPCに比べて耐熱性、電気特性、寸法安定性に優れており、今後の要求特性に応えることができる材料として注目されている。
一方、ポリイミド材料の欠点としては、吸水率の高さが挙げられる。これは、二層FPCにおいても当てはまる問題である。吸水率が高い場合、部品の半田実装時に悪影響を及ぼすことがある。具体的には、大気中から材料内に取り込まれた水分が、加熱によって急激に系外に放出されることにより、FPCに膨れや白化が生じ、接着性や電気特性に問題が生じる場合がある。この問題を回避するため、半田工程前にFPCを予備乾燥して水分を除去する対策を講じることもできるが、工程数が増えてしまうため、生産性の面で問題がある。
上記課題を解決するために、接着層に用いる熱可塑性ポリイミドの特性を制御した接着フィルムが提案されている(例えば、特許文献2もしくは特許文献3参照)。具体的には、熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度を上げることで、接着層の耐熱性を向上させ、吸水率を下げることにより、フィルムに取り込まれる水分量を減らしている。
これらの方法により、ポリイミド材料の欠点であった吸湿半田耐性は改善される。しかしながら、近年の環境に対する意識の高まりにより、半導体実装時に鉛フリー半田が採用される例が増えてきている。鉛フリー半田は現在使用されている共晶半田よりも融点が40℃程度高いため、半田工程で材料にかかる温度は必然的に上昇する。そのため、材料に要求される吸湿半田耐性もより厳しくなっている。
特開平2−180682号公報
特開2000−129228号公報
特開2001−260272号公報
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、吸湿半田耐性に優れたフレキシブル金属張積層板が得られる接着フィルム、及びそれに金属箔を貼り合わせて得られるフレキシブル金属張積層板を提供することにある。
本発明の効果である優れた吸湿半田耐性を実現するためには、従来法の延長として接着層の耐熱性を上げたり、吸水量を減らすだけでは限界がある。なぜなら、耐熱性を上げる、即ちガラス転移温度を上げると接着性を発現する温度も必然的に高くなり、材料としての加工性が低下してしまう。また、ポリイミドはもともと3%前後という高い吸水率を有しているため、構造を適宜選択して吸水率を下げるとしても、一般的な低吸水性ポリマー、例えばポリフェニレンスルフォン(PPS,吸水率0.02%)のレベルまで下げることは困難である。更に、ガラス転移温度や吸水率の制御を続けていくとポリイミドの分子設計の自由度が低下し、他物性とのバランスを取ることが困難となる。ガラス転移温度や吸水率に加えて、その他の向上手段を採用する必要がある。
本発明者らは、上記の課題に鑑み鋭意検討した結果、フェノール性水酸基を導入した熱可塑性ポリイミドと、シアナート樹脂とを接着層に含有させることにより、シアナートを介して熱可塑性ポリイミドが架橋し、吸湿半田耐性を向上できることを独自に見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち本発明の第1は、ポリイミドフィルムの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミドとシアナート樹脂を含有する接着層を設けた接着フィルムであって、該熱可塑性ポリイミドがシアナートと反応可能なフェノール性水酸基を有しており、かつ接着層のガラス転移温度が235℃以上、300℃以下であることを特徴とする、接着フィルムに関する。
好ましい実施態様は、150℃×30分で乾燥させた後のフィルム重量をW1、乾燥後に20℃の純水に24時間浸漬した後のフィルム重量をW2とした場合、下記(式1):
(W2−W1)/W1×100 (式1)
で表される吸水率が1.3%以下であることを特徴とする、前記の接着フィルムに関する。
(W2−W1)/W1×100 (式1)
で表される吸水率が1.3%以下であることを特徴とする、前記の接着フィルムに関する。
更に好ましい実施態様は、接着層に含有される熱可塑性ポリイミドが、下記一般式(1):
(式中、Xは−(CH2)k−、もしくは芳香環を含む二価の有機基を示す。kは1以上10以下の整数である。)
で示されるエステル酸二無水物を全酸二無水物成分の5モル%以上使用して得られることを特徴とする、上記何れかに記載の接着フィルムに関する。
で示されるエステル酸二無水物を全酸二無水物成分の5モル%以上使用して得られることを特徴とする、上記何れかに記載の接着フィルムに関する。
更に好ましい実施態様は、接着層に含有される熱可塑性ポリイミドとシアナート樹脂の比が、重量比で97:3〜90:10の範囲にあることを特徴とする、上記いずれかに記載の接着フィルムに関する。
本発明の第2は、上記何れかに記載の接着フィルムに金属箔を貼り合わせることにより得られるフレキシブル金属張積層板に関する。
好ましい実施態様は、接着層中の熱可塑性ポリイミドが、シアナートを介して架橋されていることを特徴とする、前記のフレキシブル金属張積層板に関する。
更に好ましい実施態様は、一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置を用いて接着フィルムに金属箔を貼り合わせて得られることを特徴とする、前記のフレキシブル金属張積層板に関する。
本発明から得られる接着フィルム及びそれを用いて得られるフレキシブル金属張積層板は、吸湿半田耐性が向上している。具体的には、85℃、85%R.H.の加湿条件下で96時間吸湿させた後、280℃の半田浴に10秒間浸漬した場合の、膨れ、白化等の外観異常の発生を抑制できる。従って、鉛フリー半田を使用した製造ラインにも好適に用いることが可能である。
本発明の実施の形態について、以下に説明する。
本発明に係る接着フィルムは、ポリイミドフィルムの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミド及びシアナート樹脂を含有する接着層を設けて成ることを特徴とする。ポリイミドフィルムとしては、特に制限はなく、公知の各種ポリイミドフィルムを用いることができる。中でも、耐熱性のみならず電気特性等の物性にも優れている点から、アピカル(鐘淵化学工業社製)、カプトン(東レ・デュポン社製)、ユーピレックス(宇部興産社製)等に例示されるポリイミドフィルムが好ましく用いられ得る。この中でも、低吸水、低吸湿膨張率を示し、弾性率等とのバランスも取れているアピカルHP(鐘淵化学工業社製)が特に好ましく用いられ得る。
本発明に係る接着フィルムの接着層に含有される熱可塑性ポリイミドとしては、例えば、熱可塑性ポリイミド、熱可塑性ポリアミドイミド、熱可塑性ポリエーテルイミド、熱可塑性ポリエステルイミド等を好適に用いることができる。
いずれの熱可塑性ポリイミドを用いるとしても、ポリイミドの分子構造中にシアナートと反応可能なフェノール性水酸基を有し、かつ接着層のガラス転移温度(以下、Tgということがある)が235℃以上、300℃以下となるように制御することが必要である。さらに上記接着層のTgは240℃以上、280℃以下であることがより好ましい。熱可塑性ポリイミドにフェノール性水酸基を導入してシアナートと架橋させ、かつ接着層のTgを235℃以上、300℃以下の範囲となるように制御することで接着層の耐熱性が向上し、さらに接着層の架橋によって、半田工程時に水分が接着層内を動き回ることも抑制することができるため、吸湿半田耐性を向上することができる。
接着層のTgが235℃を下回る場合、接着層の耐熱性が劣り、半田実装時の熱により接着層が熱分解を起こす可能性がある。逆に300℃を上回る場合、金属箔と貼り合わせるのに必要な温度が高くなり過ぎ、加工性に問題が生じる可能性がある。
熱可塑性ポリイミドへのフェノール性水酸基の導入は、フェノール性水酸基を有するジアミンを原料の一部として使用することにより、容易に行うことが可能である。フェノール性水酸基を有するジアミンとしては、例えば、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス〔3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル〕プロパン、2,2’−ビス〔3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル〕-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパンが挙げられる。これらフェノール性水酸基を有するジアミンは、全ジアミン成分に対して3モル%以上、20モル%以下の範囲で使用することが好ましく、5モル%以上、15モル%以下の範囲で使用することがより好ましい。該ジアミンの割合が3モル%を下回る場合、熱可塑性ポリイミドの架橋点が少ないために架橋が十分に行われず、本発明の効果である十分な吸湿半田耐性が得られない可能性がある。逆に20モル%を上回る場合、熱可塑性ポリイミドの架橋点が多すぎるために接着層が剛直化し、フレキシブル金属張積層板の特徴である柔軟性が低下したり、接着層が金属箔と十分にかみ込まず、接着性が不足する可能性がある。
本発明に係る接着フィルムの接着層に含有されるシアナートとしては、例えば、ビスフェノールAジシアナート、テトラメチルジフェニルメタンジシアナート、ビスフェノールEジシアナート(いずれも旭チバ社製)を挙げることが出来る。使用するシアナートの構造は特に限定されないが、ある程度硬化反応が進んでトリアジン環が形成されたオリゴマーの状態で使用することが好ましく、全シアナート基の20〜40モル%がトリアジン環を形成した状態で使用することがより好ましい。全シアナート基の反応率が20モル%を下回る場合、シアナート成分自体の硬化反応と、熱可塑性ポリイミド成分との架橋反応に要する加熱時間が長くなるため、フレキシブル金属張積層板の製造工程中に上記反応が終了せず、十分な吸湿半田耐性を発現しない可能性がある。逆に反応率が40モル%を上回る場合、未反応のシアナート基が減っているため、熱可塑性ポリイミド分子鎖が十分に架橋されず、十分な吸湿半田耐性を発現しない可能性がある。
また、熱可塑性ポリイミドとシアナートの混合割合は、重量比で97:3〜90:10の範囲に制御することが好ましい。シアナートの割合が上記比で3より少ない場合、熱可塑性ポリイミド分子鎖が十分に架橋されず、十分な吸湿半田耐性を発現しない可能性がある。逆にシアナートの割合が上記比で10より多い場合、接着層の柔軟性が低下し、得られるフレキシブル金属張積層板の耐屈曲性が低下する可能性がある。
フェノール性水酸基と反応性を有する汎用の熱硬化性樹脂としては、シアナートの他にエポキシを挙げることが出来る。しかしながら、エポキシは硬化反応時に水酸基が生成するため、接着層中に極性基が多量に含まれる結果となり、誘電特性に悪影響を及ぼす。従って、シアナートの代わりにエポキシを使用することは好ましくない。
本発明に係る接着フィルムの吸水率は、1.3%以下であることが好ましい。ここでいう吸水率は、150℃×30分で乾燥させた後のフィルム重量をW1、乾燥後に20℃の純水に24時間浸漬した後のフィルム重量をW2とした場合、下記(式1):
(W2−W1)/W1×100 (式1)
で求められる値のことをいう。吸水率が1.3%よりも高い場合、接着フィルムに取り込まれる水分量が多くなるため、前記接着層のTgや熱可塑性ポリイミドの架橋を制御することにより向上させた吸湿半田耐性の効果に悪影響を及ぼす場合がある。
(W2−W1)/W1×100 (式1)
で求められる値のことをいう。吸水率が1.3%よりも高い場合、接着フィルムに取り込まれる水分量が多くなるため、前記接着層のTgや熱可塑性ポリイミドの架橋を制御することにより向上させた吸湿半田耐性の効果に悪影響を及ぼす場合がある。
接着フィルムの吸水率を低下させる手段としては、コアフィルムとなるポリイミドフィルムに吸水率の低いものを使用する方法、接着層に用いられる熱可塑性ポリイミドに吸水率の低いものを使用する方法、またはこれらを併用する方法が挙げられる。
接着層の吸水率を上記範囲に設定するためには、接着層に含有される熱可塑性ポリイミドの酸二無水物成分として、一般式(1):
(式中、Xは−(CH2)k−、もしくは芳香環を含む二価の有機基を示す。kは1以上10以下の整数である。)
で示されるエステル酸二無水物を全酸二無水物成分の5モル%以上使用することが好ましい。含有量が5モル%を下回る場合、接着層の吸水率が十分に低くならない可能性がある。
で示されるエステル酸二無水物を全酸二無水物成分の5モル%以上使用することが好ましい。含有量が5モル%を下回る場合、接着層の吸水率が十分に低くならない可能性がある。
また、上記エステル酸二無水物はTgを低下させ、接着性を向上させる効果もある。Tgを上げると接着層の耐熱性が向上し、半田耐性が向上するが、それに伴い接着性は低下する傾向にある。上記エステル酸二無水物を使用することにより、接着性の低下を抑制することが可能となる。但し、エステル酸二無水物の割合が多くなりすぎると、半田耐性の効果を発現しない範囲までTgが低下する可能性がある。そのため、エステル酸二無水物の使用量は、多くとも全酸二無水物の40モル%以下に留めることが好ましい。
本発明に係る接着フィルムの製造方法としては、コアフィルムとなるポリイミドフィルムに接着層を形成する方法、又は接着層をシート状に成形し、これを上記コアフィルムに貼り合わせる方法等が好適に例示され得る。このうち、前者の方法を採る場合、接着層に含有される熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を完全にイミド化してしまうと、有機溶媒への溶解性が低下する場合があることから、シアナートとの混合ならびにコアフィルム上に上記接着層を設けることが困難となることがある。従って、上記観点から、熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸とシアナートを含有する溶液を調製して、これをコアフィルムに塗布し、次いでイミド化する手順を採った方がより好ましい。ポリアミド酸とシアナートの混合方法としては、ポリアミド酸にシアナート樹脂を添加し、溶解させる方法、シアナート樹脂をポリアミド酸の重合に用いた溶媒に溶解し、このシアナート溶液をポリアミド酸に添加する方法が挙げられるが、短時間で均一に混合できるという点から、後者の方法を採った方が好ましい。
本発明に用いられる熱可塑性ポリイミドの前駆体となるポリアミド酸は、従来公知の原料や反応条件等を用いて得ることができる(例えば、後述する実施例参照)。この時のイミド化の方法としては、熱キュア法若しくはケミカルキュア法のどちらも用いることができる。熱キュア法は、脱水閉環剤等を作用させずに加熱だけでイミド化反応を進行させる方法であり、ケミカルキュア法は、ポリアミド酸溶液に、化学的転化剤及び/又は触媒とを作用させてイミド化を促進する方法である。
ここで、化学転化剤とは、ポリアミド酸に対する脱水閉環剤を意味し、例えば、脂肪族酸無水物、芳香族酸無水物、N,N’− ジアルキルカルボジイミド、ハロゲン化低級脂肪族、ハロゲン化低級脂肪酸無水物、アリールホスホン酸ジハロゲン化物、チオニルハロゲン化物、またはそれら2種以上の混合物が挙げられる。中でも入手の容易性、コストの点から、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水ラク酸等の脂肪族酸無水物、またはそれら2種以上の混合物を好ましく用いることができる。
また、触媒とはポリアミド酸に対する脱水閉環作用を促進する効果を有する成分を意味し、例えば、脂肪族第三級アミン、芳香族第三級アミン、複素環式第三級アミン等が用いられる。中でも触媒としての反応性の点から、複素環式第三級アミンから選択されるものが特に好ましく用いられる。具体的にはキノリン、イソキノリン、β−ピコリン、ピリジン等が好ましく用いられる。
なお、ケミカルキュア法は接着層を熱劣化させずに化学的転化剤等を除去する加熱条件を設定しなくてはならない場合があるという点から、熱キュア法によりイミド化する方がより好ましい。また、前記ポリアミド酸溶液には、用途に応じて、例えば、フィラーのような他の材料を含んでもよい。また接着フィルム各層の厚み構成については、用途に応じた総厚みになるように適宜調整すれば良い。また、必要に応じて、接着層を設ける前にコロナ処理、プラズマ処理、カップリング処理等の各種表面処理をコアフィルム表面に施しても良い。
本発明に係るフレキシブル金属張積層板は、上記接着フィルムに金属箔を貼り合わせることにより得られる。使用する金属箔としては特に限定されるものではないが、電子機器・電気機器用途に本発明のフレキシブル金属張積層板を用いる場合には、例えば、銅若しくは銅合金、ステンレス鋼若しくはその合金、ニッケル若しくはニッケル合金(42合金も含む)、アルミニウム若しくはアルミニウム合金からなる箔を挙げることができる。一般的なフレキシブル金属張積層板では、圧延銅箔、電解銅箔といった銅箔が多用されるが、本発明においても好ましく用いることができる。なお、これらの金属箔の表面には、防錆層や耐熱層あるいは接着層が塗布されていてもよい。
本発明において、上記金属箔の厚みについては特に限定されるものではなく、その用途に応じて、十分な機能が発揮できる厚みであればよい。接着フィルムと金属箔の貼り合わせ方法としては、例えば、一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置或いはダブルベルトプレス(DBP)による連続処理を用いることができる。中でも、装置構成が単純であり保守コストの面で有利であるという点から、一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置を用いることが好ましい。ここでいう「一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置」とは、材料を加熱加圧するための金属ロールを有している装置であればよく、その具体的な装置構成は特に限定されるものではない。
上記熱ラミネートを実施する手段の具体的な構成は特に限定されるものではないが、得られる積層板の外観を良好なものとするために、加圧面と金属箔との間に保護材料を配置することが好ましい。保護材料としては、熱ラミネート工程の加熱温度に耐えうるものであれば特に限定されず、非熱可塑性ポリイミドフィルム等の耐熱性プラスチック、銅箔、アルミニウム箔、SUS箔等の金属箔等を好適に用いることができる。中でも、耐熱性、リサイクル性等のバランスが優れる点から、非熱可塑性ポリイミドフィルムがより好ましく用いられる。
上記熱ラミネート手段における被積層材料の加熱方式は特に限定されるものではなく、例えば、熱循環方式、熱風加熱方式、誘導加熱方式等、所定の温度で加熱し得る従来公知の方式を採用した加熱手段を用いることができる。同様に、上記熱ラミネート手段における被積層材料の加圧方式も特に限定されるものではなく、例えば、油圧方式、空気圧方式、ギャップ間圧力方式等、所定の圧力を加えることができる従来公知の方式を採用した加圧手段を用いることができる。
上記熱ラミネート工程における加熱温度、すなわちラミネート温度は、接着フィルムのガラス転移温度(Tg)+50℃以上の温度であることが好ましく、接着フィルムのTg+100℃以上がより好ましい。Tg+50℃以上の温度であれば、接着フィルムと金属箔とを良好に熱ラミネートすることができる。またTg+100℃以上であれば、ラミネート速度を上昇させてその生産性をより向上させることができる。
上記熱ラミネート工程におけるラミネート速度は、0.5m/分以上であることが好ましく、1.0m/分以上であることがより好ましい。0.5m/分以上であれば十分な熱ラミネートが可能になり、1.0m/分以上であれば生産性をより一層向上することができる。
上記熱ラミネート工程における圧力、すなわちラミネート圧力は、高ければ高いほどラミネート温度を低く、かつラミネート速度を速くすることができる利点があるが、一般にラミネート圧力が高すぎると得られる積層板の寸法変化が悪化する傾向がある。また、逆にラミネート圧力が低すぎると得られる積層板の金属箔の接着強度が低くなる。そのためラミネート圧力は、49〜490N/cm(5〜50kgf/cm)の範囲内であることが好ましく、98〜294N/cm(10〜30kgf/cm)の範囲内であることがより好ましい。この範囲内であれば、ラミネート温度、ラミネート速度およびラミネート圧力の三条件を良好なものにすることができ、生産性をより一層向上することができる。
本発明にかかるフレキシブル金属張積層板を得るためには、連続的に被積層材料を加熱しながら圧着する熱ラミネート装置を用いることが好ましいが、この熱ラミネート装置では、熱ラミネート手段の前段に、被積層材料を繰り出す被積層材料繰出手段を設けてもよいし、熱ラミネート手段の後段に、被積層材料を巻き取る被積層材料巻取手段を設けてもよい。これらの手段を設けることで、上記熱ラミネート装置の生産性をより一層向上させることができる。上記被積層材料繰出手段および被積層材料巻取手段の具体的な構成は特に限定されるものではなく、例えば、接着フィルムや金属箔、あるいは得られる積層板を巻き取ることのできる公知のロール状巻取機等を挙げることができる。
さらに、保護材料を巻き取ったり繰り出したりする保護材料巻取手段や保護材料繰出手段を設けると、より好ましい。これら保護材料巻取手段・保護材料繰出手段を備えていれば、熱ラミネート工程で、一度使用された保護材料を巻き取って繰り出し側に再度設置することで、保護材料を再使用することができる。また、保護材料を巻き取る際に、保護材料の両端部を揃えるために、端部位置検出手段および巻取位置修正手段を設けてもよい。これによって、精度よく保護材料の端部を揃えて巻き取ることができるので、再使用の効率を高めることができる。なお、これら保護材料巻取手段、保護材料繰出手段、端部位置検出手段および巻取位置修正手段の具体的な構成は特に限定されるものではなく、従来公知の各種装置を用いることができる。
本発明に係るフレキシブル金属張積層板においては、85℃、85%R.H.の加湿条件下で96時間吸湿させた後、280℃の半田浴に10秒間浸漬しても、膨れ、白化等の外観異常が生じないことが非常に好ましい。
本発明に係るフレキシブル金属張積層板は、前述したように、吸湿半田耐熱性に優れ、鉛フリー半田に対応したフレキシブル配線板として用いることができる。もちろん、本発明の用途はこれに限定されるものではなく、金属箔を含む積層体であれば、種々の用途に利用できることはいうまでもない。
以下、実施例および比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例および比較例における接着層のガラス転移温度(Tg)、接着フィルムの吸水率、ならびにフレキシブル金属張積層板の半田耐性、金属箔の引き剥し強度は、次のようにして測定または評価した。
〔ガラス転移温度〕
ガラス転移温度は、セイコーインスツルメンツ社製 DMS200により、昇温速度3℃/分にて、室温から400℃までの温度範囲で測定し、貯蔵弾性率(E’)と損失弾性率(E’’)とから下記(式2):
tanδ=(E’’)/(E’) (式2)
により導き出される損失正接(tanδ)のピークをガラス転移温度とした。
ガラス転移温度は、セイコーインスツルメンツ社製 DMS200により、昇温速度3℃/分にて、室温から400℃までの温度範囲で測定し、貯蔵弾性率(E’)と損失弾性率(E’’)とから下記(式2):
tanδ=(E’’)/(E’) (式2)
により導き出される損失正接(tanδ)のピークをガラス転移温度とした。
〔吸水率〕
20cm角にカットした接着フィルムを150℃×30分で乾燥させた後の重量をW1、乾燥後に20℃の純水に24時間浸漬した後の接着フィルム重量をW2として、次式により寸法変化率を求めた。
吸水率(%)={(W2−W1)/W1}×100
20cm角にカットした接着フィルムを150℃×30分で乾燥させた後の重量をW1、乾燥後に20℃の純水に24時間浸漬した後の接着フィルム重量をW2として、次式により寸法変化率を求めた。
吸水率(%)={(W2−W1)/W1}×100
〔フレキシブル金属張積層板の半田耐性〕
JIS C6471に従ってサンプルを作製した後、常態(20℃、60%RH、24時間調整後)と吸湿(85℃、85%RH、96時間調整後)の2条件で調製したサンプルの半田耐性を測定し、外観上の白化現象と剥離現象の異常の有無を判定した。なお、常態半田は300℃で1分間、吸湿半田は280℃で10秒間、半田浴に浸漬させた。評価については、半田浴への浸漬前後でサンプルの外観に変化が無い場合は○、サンプルからの金属箔層の剥離、接着フィルムの白化、サンプルの膨れのいずれかが確認された場合は×とした。
JIS C6471に従ってサンプルを作製した後、常態(20℃、60%RH、24時間調整後)と吸湿(85℃、85%RH、96時間調整後)の2条件で調製したサンプルの半田耐性を測定し、外観上の白化現象と剥離現象の異常の有無を判定した。なお、常態半田は300℃で1分間、吸湿半田は280℃で10秒間、半田浴に浸漬させた。評価については、半田浴への浸漬前後でサンプルの外観に変化が無い場合は○、サンプルからの金属箔層の剥離、接着フィルムの白化、サンプルの膨れのいずれかが確認された場合は×とした。
〔金属箔の引き剥がし強度〕
JIS C6471の「6.5 引きはがし強さ」に従って、サンプルを作製し、5mm幅の金属箔部分を、180度の剥離角度、50mm/分の条件で剥離し、その荷重を測定した。
JIS C6471の「6.5 引きはがし強さ」に従って、サンプルを作製し、5mm幅の金属箔部分を、180度の剥離角度、50mm/分の条件で剥離し、その荷重を測定した。
(合成例1;熱可塑性ポリイミド前駆体の合成)
容量2000mlのガラス製フラスコにN,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFともいう)を780g、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン(以下、BAPPともいう。)を106.9g、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル(以下、HABともいう)を6.3g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、BPDAともいう。)を80.9g徐々に添加した。続いて、3,3’,4,4’−エチレングリコールジベンゾエートテトラカルボン酸二無水物(以下、TMEGともいう。)を3.9g添加し、氷浴下で30分間撹拌した。2.0gのTMEGを20gのDMFに溶解させた溶液を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加、撹拌を行った。粘度が3000poiseに達したところで添加、撹拌をやめ、ポリアミド酸溶液を得た。
容量2000mlのガラス製フラスコにN,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFともいう)を780g、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン(以下、BAPPともいう。)を106.9g、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル(以下、HABともいう)を6.3g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、BPDAともいう。)を80.9g徐々に添加した。続いて、3,3’,4,4’−エチレングリコールジベンゾエートテトラカルボン酸二無水物(以下、TMEGともいう。)を3.9g添加し、氷浴下で30分間撹拌した。2.0gのTMEGを20gのDMFに溶解させた溶液を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加、撹拌を行った。粘度が3000poiseに達したところで添加、撹拌をやめ、ポリアミド酸溶液を得た。
(合成例2;熱可塑性ポリイミド前駆体の合成)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを780g、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン(以下、BAPSともいう。)を108.6g、HABを6.0g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BPDAを73.9g徐々に添加した。続いて、TMEGを9.5g添加し、氷浴下で30分間撹拌した。2.0gのTMEGを20gのDMFに溶解させた溶液を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加、撹拌を行った。粘度が3000poiseに達したところで添加、撹拌をやめ、ポリアミド酸溶液を得た。
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを780g、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン(以下、BAPSともいう。)を108.6g、HABを6.0g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BPDAを73.9g徐々に添加した。続いて、TMEGを9.5g添加し、氷浴下で30分間撹拌した。2.0gのTMEGを20gのDMFに溶解させた溶液を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加、撹拌を行った。粘度が3000poiseに達したところで添加、撹拌をやめ、ポリアミド酸溶液を得た。
(合成例3;熱可塑性ポリイミド前駆体の合成)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを780g、BAPPを107.5g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(以下、BTDAともいう。)を54.9g徐々に添加した。続いて、TMEGを34.6g添加し、氷浴下で30分間撹拌した。3.0gのTMEGを20gのDMFに溶解させた溶液を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加、撹拌を行った。粘度が3000poiseに達したところで添加、撹拌をやめ、ポリアミド酸溶液を得た。
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを780g、BAPPを107.5g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(以下、BTDAともいう。)を54.9g徐々に添加した。続いて、TMEGを34.6g添加し、氷浴下で30分間撹拌した。3.0gのTMEGを20gのDMFに溶解させた溶液を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加、撹拌を行った。粘度が3000poiseに達したところで添加、撹拌をやめ、ポリアミド酸溶液を得た。
(合成例4;熱可塑性ポリイミド前駆体の合成)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを780g、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン(以下、BAPPともいう。)を115.6g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BPDAを78.7g徐々に添加した。続いて、TMEGを3.8g添加し、氷浴下で30分間撹拌した。2.0gのTMEGを20gのDMFに溶解させた溶液を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加、撹拌を行った。粘度が3000poiseに達したところで添加、撹拌をやめ、ポリアミド酸溶液を得た。
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを780g、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン(以下、BAPPともいう。)を115.6g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BPDAを78.7g徐々に添加した。続いて、TMEGを3.8g添加し、氷浴下で30分間撹拌した。2.0gのTMEGを20gのDMFに溶解させた溶液を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加、撹拌を行った。粘度が3000poiseに達したところで添加、撹拌をやめ、ポリアミド酸溶液を得た。
(合成例5;熱可塑性ポリイミド前駆体の合成)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを780g、BAPPを101.9g、HABを5.7g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BTDAを54.8g徐々に添加した。続いて、TMEGを35.6g添加し、氷浴下で30分間撹拌した。2.0gのTMEGを20gのDMFに溶解させた溶液を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加、撹拌を行った。粘度が3000poiseに達したところで添加、撹拌をやめ、ポリアミド酸溶液を得た。
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを780g、BAPPを101.9g、HABを5.7g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、BTDAを54.8g徐々に添加した。続いて、TMEGを35.6g添加し、氷浴下で30分間撹拌した。2.0gのTMEGを20gのDMFに溶解させた溶液を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加、撹拌を行った。粘度が3000poiseに達したところで添加、撹拌をやめ、ポリアミド酸溶液を得た。
(合成例6;熱可塑性ポリイミドの合成)
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを780g、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル(以下、TFMBともいう。)を76.4g、HABを5.7g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、2,2’-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン酸二無水物(以下、6FDAともいう。)を115.8g徐々に添加し、氷浴下で30分間撹拌した。2.0gの6FDAを20gのDMFに溶解させた溶液を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加、撹拌を行った。粘度が3000poiseに達したところで添加、撹拌をやめ、ポリアミド酸溶液を得た。
容量2000mlのガラス製フラスコにDMFを780g、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル(以下、TFMBともいう。)を76.4g、HABを5.7g加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら、2,2’-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン酸二無水物(以下、6FDAともいう。)を115.8g徐々に添加し、氷浴下で30分間撹拌した。2.0gの6FDAを20gのDMFに溶解させた溶液を別途調製し、これを上記反応溶液に、粘度に注意しながら徐々に添加、撹拌を行った。粘度が3000poiseに達したところで添加、撹拌をやめ、ポリアミド酸溶液を得た。
(実施例1)
ビスフェノールAジシアナート30%プレポリマー(商品名;B−30,旭チバ社製)20gを80gのDMFに添加し、撹拌を行って溶解させた。得られたジシアナート溶液5gを合成例1で得られたポリアミド酸溶液95gに添加し、撹拌して均一に混合した。
ビスフェノールAジシアナート30%プレポリマー(商品名;B−30,旭チバ社製)20gを80gのDMFに添加し、撹拌を行って溶解させた。得られたジシアナート溶液5gを合成例1で得られたポリアミド酸溶液95gに添加し、撹拌して均一に混合した。
得られた混合溶液を25μmPETフィルム(セラピールHP,東洋メタライジング社製)上に最終厚みが20μmとなるように流延し、120℃で5分間乾燥を行った。乾燥後の自己支持性フィルムをPETから剥離した後、金属製のピン枠に固定し、150℃で5分間、200℃で5分間、250℃で5分間、370℃で5分間乾燥を行い、単層シートを得た。
また、上記混合溶液を固形分濃度10重量%になるまでDMFで希釈した後、18μm厚のポリイミドフィルム(アピカルHP,鐘淵化学工業社製)の両面に、接着層の最終片面厚みが4μmとなるようにポリアミド酸を塗布した後、120℃で4分間加熱を行った。続いて420℃で20秒間加熱してイミド化を行い、接着フィルムを得た。
得られた接着フィルムの両面に18μmの圧延銅箔(BHY−22B−T;ジャパンエナジー製)、さらにその両側に保護材料(アピカル125NPI;鐘淵化学工業株式会社製)を配して、熱ロールラミネート機を用いて、ラミネート温度380℃、ラミネート圧力196N/cm(20kgf/cm)、ラミネート速度1.5m/分の条件で連続的に熱ラミネートを行い、本発明にかかるフレキシブル金属張積層板を作製した。
(実施例2)
ビスフェノールAジシアネート30%プレポリマーの代わりに、テトラメチルジフェニルメタンジシアナート30%プレポリマー(商品名;M−30,旭チバ社製)を使用する以外は、実施例1と同様の操作を行い、単層シート、接着フィルム、フレキシブル金属張積層板を得た。
ビスフェノールAジシアネート30%プレポリマーの代わりに、テトラメチルジフェニルメタンジシアナート30%プレポリマー(商品名;M−30,旭チバ社製)を使用する以外は、実施例1と同様の操作を行い、単層シート、接着フィルム、フレキシブル金属張積層板を得た。
(実施例3)
合成例1で得られたポリアミド酸溶液の代わりに、合成例2で得られたポリアミド酸溶液を使用し、最終乾燥温度を350℃とする以外は実施例1と同様の操作を行い、単層シートを得た。
合成例1で得られたポリアミド酸溶液の代わりに、合成例2で得られたポリアミド酸溶液を使用し、最終乾燥温度を350℃とする以外は実施例1と同様の操作を行い、単層シートを得た。
また、上記単層シートの作製に使用した混合溶液を用いて、最終乾燥温度を390℃とする以外は実施例1と同様の操作を行い、、接着フィルムを得た。
得られた接着フィルムを用いて、ラミネート温度を360℃にする以外は実施例1と同様の操作を行い、本発明にかかるフレキシブル金属張積層板を作製した。
(比較例1)
合成例3で得られたポリアミド酸溶液を25μmPETフィルム(セラピールHP,東洋メタライジング社製)上に最終厚みが20μmとなるように流延し、120℃で5分間乾燥を行った。乾燥後の自己支持性フィルムをPETから剥離した後、金属製のピン枠に固定し、150℃で5分間、200℃で5分間、250℃で5分間、300℃で5分間乾燥を行い、単層シートを得た。
合成例3で得られたポリアミド酸溶液を25μmPETフィルム(セラピールHP,東洋メタライジング社製)上に最終厚みが20μmとなるように流延し、120℃で5分間乾燥を行った。乾燥後の自己支持性フィルムをPETから剥離した後、金属製のピン枠に固定し、150℃で5分間、200℃で5分間、250℃で5分間、300℃で5分間乾燥を行い、単層シートを得た。
また、上記ポリアミド酸溶液を固形分濃度10重量%になるまでDMFで希釈した後、18μm厚のポリイミドフィルム(アピカルHP,鐘淵化学工業社製)の両面に、熱可塑性ポリイミド層(接着層)の最終片面厚みが4μmとなるようにポリアミド酸を塗布した後、120℃で4分間加熱を行った。続いて330℃で20秒間加熱してイミド化を行い、接着フィルムを得た。
得られた接着フィルムの両面に18μmの圧延銅箔(BHY−22B−T;ジャパンエナジー製)、さらにその両側に保護材料(アピカル125NPI;鐘淵化学工業株式会社製)を配して、熱ロールラミネート機を用いて、ラミネート温度360℃、ラミネート圧力196N/cm(20kgf/cm)、ラミネート速度1.5m/分の条件で連続的に熱ラミネートを行い、フレキシブル金属張積層板を作製した。
(比較例2)
合成例3で得られたポリアミド酸溶液の代わりに、合成例4で得られたポリアミド酸溶液を使用し、最終乾燥温度を350℃とする以外は比較例1と同様の操作を行い、単層シートを得た。
合成例3で得られたポリアミド酸溶液の代わりに、合成例4で得られたポリアミド酸溶液を使用し、最終乾燥温度を350℃とする以外は比較例1と同様の操作を行い、単層シートを得た。
また、上記ポリアミド酸溶液を用いて最終乾燥温度を390℃とする以外は比較例1と同様の操作を行い、接着フィルムを得た。
得られた接着フィルムを用いて比較例1と同様の操作を行い、フレキシブル金属張積層板を作製した。
(比較例3)
合成例3で得られたポリアミド酸溶液の代わりに、合成例1で得られたポリアミド酸溶液を使用し、最終乾燥温度を370℃とする以外は比較例1と同様の操作を行い、単層シートを得た。
合成例3で得られたポリアミド酸溶液の代わりに、合成例1で得られたポリアミド酸溶液を使用し、最終乾燥温度を370℃とする以外は比較例1と同様の操作を行い、単層シートを得た。
また、上記ポリアミド酸溶液を用いて最終乾燥温度を420℃とする以外は比較例1と同様の操作を行い、接着フィルムを得た。
得られた接着フィルムを用いて、ラミネート温度を380℃にする以外は比較例1と同様の操作を行い、フレキシブル金属張積層板を作製した。
(比較例4)
合成例1で得られたポリアミド酸溶液の代わりに、合成例5で得られたポリアミド酸溶液を使用し、最終乾燥温度を300℃とする以外は実施例1と同様の操作を行い、単層シートを得た。
合成例1で得られたポリアミド酸溶液の代わりに、合成例5で得られたポリアミド酸溶液を使用し、最終乾燥温度を300℃とする以外は実施例1と同様の操作を行い、単層シートを得た。
また、上記単層シートの作製に使用した混合溶液を用いて、最終乾燥温度を330℃とする以外は実施例1と同様の操作を行い、接着フィルムを得た。
得られた接着フィルムを用いて、ラミネート温度を360℃にする以外は実施例1と同様の操作を行い、フレキシブル金属張積層板を作製した。
(比較例5)
合成例1で得られたポリアミド酸溶液の代わりに、合成例6で得られたポリアミド酸溶液を使用し、最終乾燥温度を400℃とする以外は実施例1と同様の操作を行い、単層シートを得た。
合成例1で得られたポリアミド酸溶液の代わりに、合成例6で得られたポリアミド酸溶液を使用し、最終乾燥温度を400℃とする以外は実施例1と同様の操作を行い、単層シートを得た。
また、上記単層シートの作製に使用した混合溶液を用いて、最終乾燥温度を450℃とする以外は実施例1と同様の操作を行い、接着フィルムを得た。
得られた接着フィルムを用いて、ラミネート温度を400℃にする以外は実施例1と同様の操作を行い、フレキシブル金属張積層板を作製した。
各実施例、比較例で使用した単層シートならびに接着フィルム、フレキシブル金属張積層板の特性を評価した結果を表1に示す。
比較例1及び2に示すように、シアナートが添加されていない場合は、半田耐熱性に劣る結果となった。また、比較例3に示すように、熱可塑性ポリイミド成分がフェノール性水酸基を有していても、シアナートが添加されていなければ架橋が起こらず、半田耐熱性に劣る結果となった。一方、比較例4及び5に示すように、接着層のガラス転移温度が235〜300℃の範囲から外れている場合、シアナートを添加して架橋を形成させても、半田耐熱性に劣る、もしくは接着強度とのバランスが取れない結果となった。
これに対し、接着層のガラス転移温度が所定範囲内となっており、かつシアナートによって熱可塑性ポリイミドが架橋されている実施例1〜3では常態および吸湿において共に良好な半田耐性が確認され、接着性の低下も見られなかった。
Claims (7)
- ポリイミドフィルムの少なくとも片面に熱可塑性ポリイミドとシアナート樹脂を含有する接着層を設けた接着フィルムであって、該熱可塑性ポリイミドがシアナートと反応可能なフェノール性水酸基を有しており、かつ接着層のガラス転移温度が235℃以上、300℃以下であることを特徴とする、接着フィルム。
- 150℃×30分で乾燥させた後のフィルム重量をW1、乾燥後に20℃の純水に24時間浸漬した後のフィルム重量をW2とした場合、下記(式1):
(W2−W1)/W1×100 (式1)
で表される吸水率が1.3%以下であることを特徴とする、請求項1記載の接着フィルム。 - 接着層に含有される熱可塑性ポリイミドとシアナート樹脂の比が、重量比で97:3〜90:10の範囲にあることを特徴とする、請求項1乃至3に記載の接着フィルム。
- 請求項1乃至4に記載の接着フィルムに金属箔を貼り合わせることにより得られるフレキシブル金属張積層板。
- 接着層中の熱可塑性ポリイミドが、シアナートを介して架橋されていることを特徴とする、請求項5記載のフレキシブル金属張積層板。
- 一対以上の金属ロールを有する熱ロールラミネート装置を用いて接着フィルムに金属箔を貼り合わせて得られることを特徴とする、請求項6に記載のフレキシブル金属張積層板。
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