JP2005125212A - 排ガス処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 窒素酸化物と金属水銀とを含む排ガスを長期にわたり効率よく処理することができ、大容量の排ガス処理にも適用可能な新たな排ガス処理方法を提供する。
【解決手段】 本発明にかかる排ガス処理方法は、窒素酸化物と金属水銀とを含む排ガスを処理するにあたり、脱硝触媒を用いて窒素酸化物を処理したのち、ハロゲン化合物の存在下で水銀ハロゲン化触媒を用いて金属水銀をハロゲン化水銀に変換するようにするとともに、前記脱硝触媒としては水銀圧入法により測定される全細孔容積が0.20〜0.80cm/gである触媒を用い、かつ、前記脱硝触媒の触媒温度は300℃よりも高い温度とし、前記水銀ハロゲン化触媒の触媒温度は300℃以下とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、窒素酸化物とともに水銀をも含む排ガスを効率よく処理することができる、排ガス処理方法に関する。
従来、排ガス中の窒素酸化物(NOx)を処理する方法として、アンモニアまたは尿素などの還元剤を用いて排ガス中の窒素酸化物を脱硝触媒上で接触還元し、無害な窒素と水とに分解する選択的触媒還元法(いわゆるSCR法)が知られており、これを採用した排ガス処理システムが実用化されている。
しかし、排ガス中には、窒素酸化物(NOx)とともに、有害物質である水銀が、金属水銀(Hg)もしくは塩化水銀(HgCl)のようなハロゲン化水銀として含まれていることがある。このように窒素酸化物とともに水銀(金属水銀やハロゲン化水銀)をも含む排ガスを前述したSCR法で処理すると、経時的に脱硝触媒に水銀が蓄積してしまい、蓄積した水銀が触媒毒として作用して脱硝触媒の劣化を促進することとなり、高い排ガス処理効果を長期にわたり持続することができない、といった問題を生じる。
また、水銀は、ハロゲン化水銀として存在する場合には、水に容易に吸収されるために捕捉・除去することは比較的容易であるが、金属水銀として存在する場合には、水にほとんど吸収されないため除去が困難である。このため、窒素酸化物とともに水銀をも含む排ガスを従来の前記SCR法による排ガス処理システムで処理した場合、金属水銀が蒸気として大気中に排出される恐れもあった。
これまで、排ガス中から水銀(金属水銀を含む)を除去する技術としては、例えば、活性炭吸着法や次亜塩素酸ソーダ吸収法が知られている(例えば、特許文献1、2など参照)。詳しくは、活性炭吸着法としては、例えば、排ガス中に活性炭粉末を吹き込んでバグフィルターで回収する方法が実用化されており、一方、次亜塩素酸ソーダ吸収法としては、例えば、排ガス処理システムにおける冷却塔の冷却水、脱硫吸収塔の吸収液、湿式電気集じん機の供給水や循環水等に、次亜塩素酸ソーダを直接添加する方法が実用化されている。
しかしながら、前記活性炭吸着法は、水銀を吸着させた活性炭を再生して繰り返し使用することができないので、活性炭に多大なコストがかかるものであり、しかも使用済み活性炭の処分も問題となる。一方、前記次亜塩素酸ソーダ吸収法は、排ガス処理システムの主要機器に次亜塩素酸ソーダを加えるものであるので、装置内の腐食が懸念されると同時に、次亜塩素酸ソーダに多大なコストがかかるものであり、しかも該次亜塩素酸ソーダによる2次公害の恐れがあり、生じた排水の処分も問題となる。そのため、活性炭吸着法および次亜塩素酸ソーダ吸収法はいずれも、ゴミ焼却排ガス等の少量の排ガス処理においてのみ実用化されているものであり、発電所排ガス等の大容量ガスの処理には適用し難いものであった。
したがって、水銀(金属水銀を含む)除去のために活性炭や次亜塩素酸ソーダを用いることなく大容量の排ガス処理にも適用することができ、窒素酸化物とともに金属水銀をも効率よく処理することができる新たな方法が求められている。
特開平5−31323号公報 特公昭47−46270号公報
そこで、本発明が解決しようとする課題は、窒素酸化物と金属水銀とを含む排ガスを長期にわたり効率よく処理することができ、大容量の排ガス処理にも適用可能な新たな排ガス処理方法を提供することにある。
本発明者は上記課題を解決するべく、鋭意検討を行った結果、下記(1)式
Hg+2HCl+1/2O⇔HgCl+HO (1)
に示す平衡反応において、HCl存在下、触媒を用いることにより平衡が右へ移動することに着目し、まず、脱硝触媒を用いて窒素酸化物を処理したのち、ハロゲン化合物の存在下で水銀ハロゲン化触媒を用いて前記(1)式の平衡反応を右へ移動させて金属水銀を捕捉・除去が容易なハロゲン化水銀に変換すれば、窒素酸化物と水銀とをともに処理できることを見出した。さらに、窒素酸化物とともに金属水銀をも含む排ガスに対してまず窒素酸化物の処理を行なう場合に懸念される水銀の蓄積による脱硝触媒の性能低下を回避するには、特定の全細孔容積をもつ脱硝触媒を用いればよいこと、窒素酸化物の処理と金属水銀のハロゲン化とを効率よく行なうためには、各触媒の触媒温度を特定範囲に設定すればよいこと、を見出した。そして、これらの知見に基づき本発明を完成した。
すなわち、本発明にかかる排ガス処理方法は、窒素酸化物と金属水銀とを含む排ガスを処理するにあたり、脱硝触媒を用いて窒素酸化物を処理したのち、ハロゲン化合物の存在下で水銀ハロゲン化触媒を用いて金属水銀をハロゲン化水銀に変換するようにするとともに、前記脱硝触媒としては水銀圧入法により測定される全細孔容積が0.20〜0.80cm/gである触媒を用い、かつ、前記脱硝触媒の触媒温度は300℃より高い温度とし、前記水銀ハロゲン化触媒の触媒温度は300℃以下とする。
本発明の新たな排ガス処理方法によれば、窒素酸化物と金属水銀とを含む排ガスを長期にわたり効率よく処理することができる。しかも、本発明の排ガス処理方法は、水銀除去のために活性炭や次亜塩素酸ソーダを用いる必要がないので、大容量の排ガス処理にも適用することができる。
以下、本発明にかかる排ガス処理方法について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。
本発明の排ガス処理方法は、窒素酸化物と金属水銀とを含有する排ガスに対して、まず、脱硝触媒を用いて窒素酸化物の処理(以下「脱硝処理」と称することもある。)を施し、その後、ハロゲン化合物の存在下で水銀ハロゲン化触媒を用いて金属水銀をハロゲン化水銀に変換する処理(以下「水銀ハロゲン化処理」と称することもある。)を施すものである。以下、各処理について、詳しく説明する。
脱硝処理においては、脱硝触媒を用いて排ガス中の窒素酸化物を処理する。具体的には、前記脱硝処理は、脱硝触媒をアンモニアや尿素などの還元剤の存在下、排ガスと接触させ、排ガス中の窒素酸化物を還元して無害化すればよい。なお、前記脱硝処理は、脱硝のため通常の排ガスシステムに設けられている脱硝装置で行なえばよい。
前記脱硝触媒としては、特に制限はなく、従来公知の脱硝触媒を用いることができるが、水銀に対する耐性が高いという点では、バナジウム(V)および/またはチタン(Ti)を含有する触媒が好ましい。以下、バナジウム(V)および/またはチタン(Ti)を含有する触媒の特に好ましい態様について詳しく説明する。
前記脱硝触媒は、バナジウム(V)および/またはチタン(Ti)のほかに、ケイ素(Si)、ジルコニウム(Zr)、アルミニウム(Al)、タングステン(W)およびモリブデン(Mo)からなる群より選ばれる1種以上の遷移金属をも含有することが好ましい。これら遷移金属は、独立した金属酸化物として含有されていてもよいが、チタンとの複合酸化物を形成して含有されていることがより好ましい。すなわち、前記脱硝触媒は、ケイ素、ジルコニウム、アルミニウム、タングステンおよびモリブデンからなる群より選ばれる1種または2種とチタンとの二元系または三元系複合酸化物を含有するものであることがより好ましいのである。具体的には、例えば、Ti−Si、Ti−Zr、Ti−Al、Ti−W、Ti−Mo等の二元系複合酸化物;Ti−Si−Mo、Ti−Si−W、Ti−Si−Zr、Ti−Si−Al、Ti−Zr−Al、Ti−Zr−Mo、Ti−Zr−W、Ti−Al−Mo、Ti−W−Mo等の三元系複合酸化物;等が、安定な構造を維持でき水銀に対する高い耐性を発揮しうる点で好ましい。これらの中でも、Ti−Siの二元系複合酸化物や、Ti−Si−Mo、Ti−Si−W、Ti−Si−Zr、Ti−Si−Alのような三元系複合酸化物など、ケイ素(Si)を必須とする遷移金属とチタン(Ti)との二元系または三元系複合酸化物が、脱硝活性がより高いことから、より好ましい。なお、ここで、複合酸化物とは、X線回折パターンにおいてTiO以外の物質に帰属される明らかな固有のピークを示さず、TiOについてはアナターゼ型酸化チタンに帰属される固有のピークを示さないか、もしくは示してもアナターゼ型酸化チタンの回折ピークよりもブロードな回折ピークを示すものを言う。
前記脱硝触媒がチタン系複合酸化物を含有するものである場合、該チタン系複合酸化物における各元素の組成は、特に制限されるものではないが、例えば、チタン系複合酸化物に占めるチタン(Ti)以外の元素(Si、Zr、Al、W、Moなど)の含有量が、各元素の酸化物換算重量比で、それぞれ、0.5〜30重量%であることが好ましく、1〜30重量%であることがより好ましく、1〜25重量%であることがさらに好ましい。
前記脱硝触媒がチタン系複合酸化物を含有するものである場合、該チタン系複合酸化物の調製方法としては、特に制限はなく、例えば、沈殿法(共沈法)、沈着法、混練法などの従来公知の方法を採用することができる。例えば、Ti−Siであれば、コロイド状シリカなどのケイ素化合物をアンモニア水溶液に分散させて水溶液(A)を得、この水溶液(A)に攪拌下でチタン化合物の水溶液を徐々に滴下し、得られたスラリーを濾過、洗浄し、さらに乾燥した後、300〜600℃の高温で焼成することにより、得ることができる。また、例えば、Ti−Si−Mo、Ti−Si−Zr、Ti−Si−Al、Ti−Si−Wであれば、前記水溶液(A)に、さらにMo、Zr、Al、Wなどの塩の水溶液を加え、得られた水溶液に攪拌下でチタン化合物の水溶液を徐々に滴下し、得られたスラリーを濾過、洗浄し、さらに乾燥した後、300〜600℃の高温で焼成することにより、得ることができる。
前記脱硝触媒がチタン系複合酸化物を含有するものである場合、前記チタン系複合酸化物を調製する際に用いる各元素の供給源は、特に制限されない。例えば、チタン(Ti)源としては、無機および有機のいずれの化合物も使用可能であり、例えば、四塩化チタン、硫酸チタンなどの無機チタン化合物または蓚酸チタン、テトライソプロピルチタネートなどの有機チタン化合物を用いることができる。ケイ素(Si)源としては、コロイド状シリカ、水ガラス、微粒子ケイ素、四塩化ケイ素、シリカゲルなどの無機ケイ素化合物およびテトラエチルシリケートなどの有機ケイ素化合物から適宜選択して使用することができる。ジルコニウム(Zr)源としては、例えば、塩化ジルコニウム、硫酸ジルコニウムなどの無機系ジルコニウム化合物や、シュウ酸ジウコニウムなどの有機系ジルコニウム化合物から適宜選択して使用することができる。アルミニウム(Al)源としては、例えば、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの無機系アルミニウム化合物や、酢酸アルミニウムなどの有機系アルミニウム化合物から適宜選択して使用することができる。タングステン(W)源としては、例えば、酸化タングステン、パラタングステン酸アンモニウム、メタタングステン酸アンモニウム、タングステン酸などから適宜選択して使用することができる。モリブデン(Mo)源としては、無機および有機のいずれの化合物でもよく、例えば、モリブデンを含む酸化物、水酸化物、アンモニウム塩、ハロゲン化物などから適宜用いることができ、具体的には、パラモリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸等が挙げられる。
さらに、前記脱硝触媒は、前記チタン系複合酸化物に、活性種としてバナジウム(V)を添加した触媒であることが好ましい。また、特に、前記チタン系複合酸化物が前記Ti−Si二元系複合酸化物である場合、活性種としてバナジウム(V)とともに、タングステン(W)、モリブデン(Mo)のうちの少なくとも1種(以下「W・Mo」と略す)を添加した触媒であることが、脱硝活性がより高い点で好ましい。
前記脱硝触媒が前記チタン系複合酸化物に前記活性種(V、W、Mo)を添加したものである場合(前記チタン系複合酸化物にVを添加したものである場合、もしくは前記Ti−Si二元系複合酸化物にVとW・Moとを添加したものである場合)、これらVもしくはVとW・Moの含有量は、特に限定されないが、例えば、脱硝触媒の全重量に対し、各元素(V、W、Mo)の酸化物換算重量比で0.1〜25重量%であることが好ましく、1〜20重量%であることがより好ましい。
前記脱硝触媒が前記チタン系複合酸化物に前記活性種(V、W、Mo)を添加したものである場合、前記チタン系複合酸化物にVもしくはVとW・Moを添加する方法としては、特に限定されず、例えば、前記チタン系複合酸化物の粉末に、添加しようとする活性種源(バナジウム源、タングステン源、モリブデン源のうちの1種以上)を含む水溶液を、一般にこの種の成形を行う際に用いられる有機または無機の成形助剤とともに加え、混合、混錬しつつ加熱して水分を蒸発させ、押出し可能なペースト状とし、これを押出し成形機でハニカム状等に成形した後、乾燥し空気中にて高温(好ましくは200〜600℃)で焼成する方法等が挙げられる。また、別の方法として、前記チタン系複合酸化物の粉末を予め球状、円柱状のペレット、格子状のハニカムなどの形に成形し、焼成した後、添加しようとする活性種源(バナジウム源、タングステン源、モリブデン源のうちの1種以上)を含む水溶液を含浸させる方法も採用することができる。また、前記チタン系複合酸化物の粉末を、添加しようとする活性種の酸化物(バナジウム酸化物、タングステン酸化物、モリブデン酸化物のうちの1種以上)の粉体と直接混練する方法で調製することもできる。
前記脱硝触媒が前記チタン系複合酸化物に前記活性種(V、W、Mo)を添加したものである場合、前記V、W、Moの各供給源は、特に制限されない。例えば、バナジウム源(V)としては、バナジウム酸化物のほか、焼成によってバナジウム酸化物を生成するものであれば、無機および有機のいずれの化合物も用いることができ、具体的には、バナジウムを含む水酸化物、アンモニウム塩、蓚酸塩、ハロゲン化物、硫酸塩などを用いることができる。タングステン(W)源としては、例えば、酸化タングステン、パラタングステン酸アンモニウム、メタタングステン酸アンモニウム、タングステン酸などから適宜選択して用いることができる。モリブデン源(Mo)としては、焼成によりモリブデン酸化物を生成するものであれば、無機および有機のいずれの化合物でもよく、例えば、モリブデンを含む酸化物、水酸化物、アンモニウム塩、ハロゲン化物などから適宜用いることができ、具体的には、パラモリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸等が挙げられる。
前記脱硝触媒の形状は、特に限定されるものではなく、ハニカム状、板状、網状、円柱状、円筒状など所望の形状に成形して使用することができる。
前記脱硝触媒は、水銀圧入法により測定される全細孔容積が0.20〜0.80cm/gであることが重要である。前記脱硝触媒の全細孔容積が前記範囲であることにより、水銀(金属水銀やハロゲン化水銀)をも含む排ガスを脱硝処理に供しても、脱硝触媒に触媒毒となる水銀が蓄積することを抑制することができ、長期にわたって良好な脱硝性能を維持することができるのである。前記脱硝触媒の水銀圧入法により測定される全細孔容積は、好ましくは0.25〜0.75cm/g、より好ましくは0.30〜0.60cm/gであるのがよい。
前記脱硝触媒のBET比表面積は、特に制限されないが、20〜300m/gであることが好ましく、より好ましくは30〜250m/gである。
前記脱硝処理における処理温度、すなわち前記脱硝触媒の触媒温度は、300℃よりも高い温度、すなわち300℃を超える温度とすることが重要である。これにより、高い脱硝効率を得ることができるのである。前記脱硝触媒の触媒温度は、好ましくは310〜550℃、より好ましくは310〜500℃、さらに好ましくは330〜500℃とするのがよい。
前記脱硝処理における排ガスの空間速度は、特に制限されないが、100〜100000Hr−1が好ましく、より好ましくは200〜50000Hr−1である。
前記水銀ハロゲン化処理は、詳しくは、排ガス中の金属水銀をハロゲン化合物の存在下でハロゲン化水銀に変化させる反応(以下「水銀ハロゲン化反応」と称することもある。)を行なう処理である。前記ハロゲン化合物としては、HCl、HBr等が挙げられ、前記水銀ハロゲン化反応において、金属水銀は、ハロゲン化合物がHClである場合には塩化水銀に、ハロゲン化合物がHBrである場合は臭化水銀に、変換されることになる。例えば、塩化水銀への変換反応は、具体的には、前記(1)式に示される平衡反応を右へ移動させるものである。なお、水銀ハロゲン化処理は、水銀ハロゲン化触媒を備えた水銀ハロゲン化装置に排ガスを通すことによって行なう。
前記水銀ハロゲン化反応において、前記ハロゲン化合物の量は、化学量論量以上、すなわち排ガス中の金属水銀1モルに対して2モル以上とすることが好ましい。なお、通常、排ガス中にはガス状ハロゲン化合物が存在していることが多く、処理に供する排ガスが前記範囲の量のガス状ハロゲン化合物を含む場合には、水銀ハロゲン化処理は、水銀ハロゲン化触媒を備えた水銀ハロゲン化装置に排ガスを通すことによって行なうことができる。一方、処理に供する排ガスがガス状ハロゲン化合物を含まない場合もしくは含む場合であってもその量が前記範囲に満たない場合には、水銀ハロゲン化処理は、水銀ハロゲン化触媒を備えた水銀ハロゲン化装置にハロゲン化合物をガス状もしくは液状で供給した状態で排ガスを通すことによって行なうようにすればよい。
前記水銀ハロゲン化触媒としては、TiO、SiO、ZrO、Al、WO、MoO、チタン系複合酸化物、ゼオライトからなる群より選ばれる1種以上(以下「金属酸化物類A」と称する)に、Pt、Ru、Rh、Pd、Ir、V、W、Mo、Ni、Co、Fe、Cr、Cu、Mnのうちの少なくとも1種からなる活性種を添加した触媒が好ましく挙げられる。
前記水銀ハロゲン化触媒は、前記金属酸化物類Aとして、チタン系複合酸化物を用いた触媒であることが、安定な構造を維持でき、水銀に対する高い耐性を発揮しうる点で好ましい。前記チタン系複合酸化物としては、ケイ素、ジルコニウム、アルミニウム、タングステンおよびモリブデンからなる群より選ばれる1種または2種とチタンとの二元系または三元系複合酸化物が好ましく、具体的には、例えば、Ti−Si、Ti−Zr、Ti−Al、Ti−W、Ti−Mo等の二元系複合酸化物;Ti−Si−Mo、Ti−Si−W、Ti−Si−Zr、Ti−Si−Al、Ti−Zr−Al、Ti−Zr−Mo、Ti−Zr−W、Ti−Al−Mo、Ti−W−Mo等の三元系複合酸化物;等が挙げられる。これらの中でも、Ti−Moの二元系複合酸化物や、Ti−Si−Mo、Ti−Zr−Mo、、Ti−Al−Mo、Ti−W−Moのような三元系複合酸化物など、モリブデン(Mo)を必須とする遷移金属とチタン(Ti)との二元系または三元系複合酸化物が、水銀ハロゲン化活性がより高いことから、より好ましい。なお、ここで、複合酸化物とは、X線回折パターンにおいてTiO以外の物質に帰属される明らかな固有のピークを示さず、TiOについてはアナターゼ型酸化チタンに帰属される固有のピークを示さないか、もしくは示してもアナターゼ型酸化チタンの回折ピークよりもブロードな回折ピークを示すものを言う。
前記水銀ハロゲン化触媒における前記金属酸化物類Aがチタン系複合酸化物である場合、該チタン系複合酸化物における各元素の組成は、特に制限されるものではないが、例えば、チタン系複合酸化物に占めるチタン(Ti)以外の元素(Si、Zr、Al、W、Moなど)の含有量が、各元素の酸化物換算重量比で、それぞれ、0.5〜30重量%であることが好ましく、1〜30重量%であることがより好ましく、1〜25重量%であることがさらに好ましい。
前記水銀ハロゲン化触媒における前記金属酸化物類Aがチタン系複合酸化物である場合、前記チタン系複合酸化物の調製方法としては、特に制限はなく、例えば、沈殿法(共沈法)、沈着法、混練法などの従来公知の方法を採用することができる。例えば、Ti−Moであれば、パラモリブデン酸アンモニウムやモリブデン酸等のモリブデン化合物をアンモニア水溶液に分散させて水溶液(B)を得、この水溶液(B)に攪拌下でチタン化合物の水溶液を徐々に滴下し、得られたスラリーを濾過、洗浄し、さらに乾燥した後、300〜600℃の高温で焼成することにより、得ることができる。また、例えば、Ti−Si−Mo、Ti−Zr−Mo、Ti−Al−Mo、Ti−W−Moであれば、前記水溶液(B)に、さらにSi、Zr、Al、Wなどの塩の水溶液を加え、得られた水溶液に攪拌下でチタン化合物の水溶液を徐々に滴下し、得られたスラリーを濾過、洗浄し、さらに乾燥した後、300〜600℃の高温で焼成することにより、得ることができる。
前記水銀ハロゲン化触媒における前記金属酸化物類Aがチタン系複合酸化物である場合、前記チタン系複合酸化物を調製する際に用いる各元素の供給源は、特に制限されない。例えば、チタン(Ti)源としては、無機および有機のいずれの化合物も使用可能であり、例えば、四塩化チタン、硫酸チタンなどの無機チタン化合物または蓚酸チタン、テトライソプロピルチタネートなどの有機チタン化合物を用いることができる。ケイ素(Si)源としては、コロイド状シリカ、水ガラス、微粒子ケイ素、四塩化ケイ素、シリカゲルなどの無機ケイ素化合物およびテトラエチルシリケートなどの有機ケイ素化合物から適宜選択して使用することができる。ジルコニウム(Zr)源としては、例えば、塩化ジルコニウム、硫酸ジルコニウムなどの無機系ジルコニウム化合物や、シュウ酸ジウコニウムなどの有機系ジルコニウム化合物から適宜選択して使用することができる。アルミニウム(Al)源としては、例えば、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの無機系アルミニウム化合物や、酢酸アルミニウムなどの有機系アルミニウム化合物から適宜選択して使用することができる。タングステン(W)源としては、例えば、酸化タングステン、パラタングステン酸アンモニウム、メタタングステン酸アンモニウム、タングステン酸などから適宜選択して使用することができる。モリブデン(Mo)源としては、無機および有機のいずれの化合物でもよく、例えば、モリブデンを含む酸化物、水酸化物、アンモニウム塩、ハロゲン化物などから適宜用いることができ、具体的には、パラモリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸等が挙げられる。
また、前記水銀ハロゲン化触媒は、前記活性種の中でも、バナジウム(V)を添加した触媒であることが、水銀に対する耐性が高い点で、特に好ましい。
前記水銀ハロゲン化触媒における前記バナジウム(V)の含有量は、特に限定されないが、例えば、水銀ハロゲン化触媒の全重量に対し、酸化物換算重量比で、0.1〜25重量%であることが好ましく、1〜20重量%であることがより好ましい。
前記水銀ハロゲン化触媒が前記金属酸化物類Aにバナジウム(V)を添加したものである場合、バナジウム(V)を添加する方法としては、特に限定されず、例えば、前記金属酸化物類Aの粉末に、バナジウム源を含む水溶液を、一般にこの種の成形を行う際に用いられる有機または無機の成形助剤とともに加え、混合、混錬しつつ加熱して水分を蒸発させ、押出し可能なペースト状とし、これを押出し成形機でハニカム状等に成形した後、乾燥し空気中にて高温(好ましくは200〜600℃)で焼成する方法等が挙げられる。また、別の方法として、前記金属酸化物類Aの粉末を予め球状、円柱状のペレット、格子状のハニカムなどの形に成形し、焼成した後、バナジウム源を含む水溶液を含浸させる方法も採用することができる。また、前記金属酸化物類Aの粉末を、バナジウム酸化物の粉体と直接混練する方法で調製することもできる。
前記水銀ハロゲン化触媒が前記金属酸化物類Aにバナジウム(V)を添加したものである場合、バナジウム源としては、特に制限されないが、例えば、バナジウム酸化物のほか、焼成によってバナジウム酸化物を生成するものであれば、無機および有機のいずれの化合物も用いることができ、具体的には、バナジウムを含む水酸化物、アンモニウム塩、蓚酸塩、ハロゲン化物、硫酸塩などを用いることができる。
前記水銀ハロゲン化触媒の形状は、特に限定されるものではなく、ハニカム状、板状、網状、円柱状、円筒状など所望の形状に成形して使用することができる。
前記水銀ハロゲン化触媒の全細孔容積は、特に制限されないが、水銀圧入法により測定される全細孔容積が、0.20〜0.80cm/gであることが好ましく、より好ましくは0.25〜0.80cm/g、さらに好ましくは0.25〜0.70cm/gであるのがよい。水銀ハロゲン化触媒の水銀圧入法により測定される全細孔容積が0.20cm/g未満であると、触媒内部へのガスの拡散が不充分になり、金属水銀をハロゲン化水銀に変換する反応が効率よく進行させることができず、その結果、水銀の除去効率が低下することになる。一方、水銀ハロゲン化触媒の全細孔容積が0.80cm/gを超えると、触媒の機械的強度が低下して僅かな衝撃で形状がくずれやすく、触媒としての使用に耐えないこととなる。
前記水銀ハロゲン化触媒のBET比表面積は、特に制限されないが、20〜400m/gであることが好ましく、より好ましくは30〜350m/gである。
前記水銀ハロゲン化処理における処理温度、すなわち前記水銀ハロゲン化触媒の触媒温度は、300℃以下とすることが重要である。これにより、水銀ハロゲン化反応を効率よく進行させることができるのである。前記水銀ハロゲン化触媒の触媒温度は、好ましくは60〜300℃とすることが好ましく、より好ましくは100〜300℃、さらに好ましくは100〜280℃とするのがよい。
前記水銀ハロゲン化処理における排ガスの空間速度は、特に制限されないが、100〜90000Hr−1が好ましく、より好ましくは200〜50000Hr−1である。100Hr−1未満では、処理装置が大きくなりすぎるため非効率となり、一方、90000Hr−1を超えると、ハロゲン化水銀への変換反応の効率が低下する。
本発明の排ガス処理方法においては、前記水銀ハロゲン化処理で生じたハロゲン化水銀を吸収液で捕捉することによって除去するようにすることが好ましい。ハロゲン化水銀は、吸収液中に溶解させることが容易であり、吸収液に溶解させることで非ガス中から除去することができる。前記吸収液としては、例えば、水、アルカリ水溶液(具体的には、炭酸カルシウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液など)等を用いればよい。
本発明の排ガス処理方法においては、吸収液に吸収された水銀(ハロゲン化水銀)を回収し、回収した水銀を資源として再利用することが好ましい。具体的には、例えば、ハロゲン化水銀を吸収させたのちの吸収液を加熱して水銀蒸気を発生させ、これを急冷することにより、水銀を回収することができる。
本発明の排ガス処理方法において、処理に供する排ガスは、少なくとも窒素酸化物および金属水銀を含むものであるが、勿論、例えばハロゲン化水銀など、窒素酸化物および金属水銀以外の成分(化合物)を含むものであってもよい。
本発明の排ガス処理方法においては、処理に供する排ガス中の水銀(金属水銀およびハロゲン化水銀)濃度は100mg/mN以下であることが好ましく、50mg/mN以下であることがより好ましく、40mg/mN以下であることがさらに好ましい。なお、一般に、排ガス中に存在する除去対象物の濃度が低すぎると、除去効果が充分に認められないことがあるが、本発明の排ガス処理方法においては、10μg/mN以下のような極めて低い水銀(金属水銀およびハロゲン化水銀)濃度であっても、充分に除去効果を発揮することができる。
以下に、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
〔製造例1−1−脱硝触媒(1)の製造〕
まず、Ti−Si複合酸化物を次のように調製した。シリカゾル(「スノーテックス−30」日産化学社製、SiO換算30wt%含有)10kg、工業用アンモニア水(25wt%NH含有)104kg、および水73リットルを混合し、均一溶液を調製した。この溶液に、硫酸チタニルの硫酸溶液(テイカ社製:TiOとして70g/リットル、HSOとして287g/リットル含有)243リットルを撹拌しながら徐々に滴下した。得られたスラリーを20時間静置したのち、濾過し、水で充分洗浄した後、続いて150℃で1時間乾燥した。さらに、空気雰囲気下、550℃で5時間焼成し、Ti−Si複合酸化物粉体を得た。該Ti−Si複合酸化物粉体の組成は、酸化物換算重量比で、チタン酸化物:ケイ素酸化物=85:15であった。
次いで、上記Ti−Si複合酸化物にバナジウムとタングステンを次のようにして添加した。8リットルの水に、メタバナジン酸アンモニウム1.29kg、パラタングステン酸アンモニウム1.12kg、シュウ酸1.67kg、およびモノエタノールアミン0.85kgを混合して溶解させ、均一なバナジウムおよびタングステン含有溶液を調製した。上記で得られたTi−Si複合酸化物粉体18kgをニーダーに投入後、有機バインダー(デンプン1.5kg)を含む成形助材とともに上記バナジウムおよびタングステン含有溶液全量を加え、よく攪拌した。さらに適量の水を加えつつブレンダーでよく混合した後、連続ニーダーで充分混練りし、ハニカム状に押し出し成形した。得られた成形物を60℃で乾燥後、450℃で5時間焼成して、脱硝触媒(1)を得た。
得られた脱硝触媒(1)の組成は、酸化物換算重量比で、Ti−Si複合酸化物:バナジウム酸化物:タングステン酸化物=90:5:5(酸化物換算重量比で、チタン酸化物:ケイ素酸化物:バナジウム酸化物:タングステン酸化物=76.5:13.5:5:5)であり、水銀圧入法により測定した全細孔容積は0.45cm/gであった。
なお、脱硝触媒(1)のX線回折パターンを図1に示す。図1において、TiO以外の物質に帰属される明らかな固有のピークは認められず、かつ、アナターゼ型酸化チタンに帰属されるブロードなピークが認められることから、脱硝触媒(1)は複合酸化物であることが確認できた。参考として、TiOのX線回折パターンを図7に示す(なお、以下の製造例でも該図7を参考とする)。
〔製造例1−2−脱硝触媒(2)の製造〕
製造例1−1と同様にしてTi−Si複合酸化物を得たのち、パラタングステン酸アンモニウム1.12kgの代わりにパラモリブデン酸アンモニウム1.23kgを用いたこと以外は製造例1−1と同様にして、Ti−Si複合酸化物にバナジウムとモリブデンを添加した脱硝触媒(2)を得た。
得られた脱硝触媒(2)の組成は、酸化物換算重量比で、Ti−Si複合酸化物:バナジウム酸化物:モリブデン酸化物=90:5:5(酸化物換算重量比で、チタン酸化物:ケイ素酸化物:バナジウム酸化物:モリブデン酸化物=76.5:13.5:5:5)であり、水銀圧入法により測定した全細孔容積は0.44cm/gであった。
なお、脱硝触媒(2)のX線回折パターンを図2に示す。図2において、TiO以外の物質に帰属される明らかな固有のピークは認められず、かつ、アナターゼ型酸化チタンに帰属されるブロードなピークが認められることから、脱硝触媒(2)は複合酸化物であることが確認できた。
〔製造例1−3−脱硝触媒(3)の製造〕
市販のチタン酸化物粉体にバナジウムとタングステンを次のようにして添加した。8リットルの水に、メタバナジン酸アンモニウム1.29kg、パラタングステン酸アンモニウム1.12kg、シュウ酸1.67kg、およびモノエタノールアミン0.85kgを混合して溶解させ、均一なバナジウムおよびタングステン含有溶液を調製した。市販のチタン酸化物粉体(「DT−51」ミレニアム社製)18kgをニーダーに投入後、有機バインダー(デンプン1.5kg)を含む成形助材とともに上記バナジウムおよびタングステン含有溶液全量を加え、よく攪拌した。さらに適量の水を加えつつブレンダーでよく混合した後、連続ニーダーで充分混練りし、ハニカム状に押し出し成形した。得られた成形物を60℃で乾燥後、450℃で5時間焼成して、脱硝触媒(3)を得た。
得られた脱硝触媒(3)の組成は、酸化物換算重量比で、チタン酸化物:バナジウム酸化物:タングステン酸化物=90:5:5)であり、水銀圧入法により測定した全細孔容積は0.13cm/gであった。
なお、脱硝触媒(3)のX線回折パターンを図3に示す。図3において、TiO以外の物質に帰属される明らかな固有のピークは認められず、かつ、アナターゼ型酸化チタンに帰属されるブロードなピークが認められることから、脱硝触媒(3)は複合酸化物であることが確認できた。
〔製造例2−1−水銀ハロゲン化触媒(1)の製造〕
まず、Ti−W複合酸化物を次のように調製した。工業用アンモニア水(25wt%NH含有)190kgおよび水140リットルの混合溶液に、メタタングステン酸アンモニウム水溶液(日本無機化学工業(株)製:WOとして50wt%含有)20kgを加えてよく攪拌し、均一溶液を調製した。この溶液に、硫酸チタニルの硫酸溶液(テイカ社製:TiOとして70g/リットル、HSOとして287g/リットル含有)571リットルを攪拌しながら徐々に滴下し、沈殿を生成させた後、適量のアンモニア水を加えてpHを4に調整した。この共沈スラリーを約40時間静置したのち、濾過し、水で充分洗浄した後、150℃で1時間乾燥させた。さらに、空気雰囲気下、500℃で5時間焼成し、Ti−W複合酸化物粉体を得た。該Ti−W複合酸化物粉体の組成は、酸化物換算重量比で、チタン酸化物:タングステン酸化物=80:20であった。
次いで、上記Ti−W複合酸化物にバナジウムを次のようにして添加した。8リットルの水に、メタバナジン酸アンモニウム1.29kg、シュウ酸1.67kg、およびモノエタノールアミン0.4kgを混合して溶解させ、均一なバナジウム含有溶液を調製した。上記で得られたTi−W複合酸化物粉体19kgをニーダーに投入後、有機バインダー(デンプン1.5kg)を含む成形助材とともに上記バナジウム含有溶液全量を加え、よく攪拌した。さらに適量の水を加えつつブレンダーでよく混合した後、連続ニーダーで充分混練りし、ハニカム状に押し出し成形した。得られた成形物を60℃で乾燥後、450℃で5時間焼成して、水銀ハロゲン化触媒(1)を得た。
得られた水銀ハロゲン化触媒(1)の組成は、酸化物換算重量比で、Ti−W複合酸化物:バナジウム酸化物=95:5(酸化物換算重量比で、チタン酸化物:タングステン酸化物:バナジウム酸化物=76:19:5)であった。
なお、水銀ハロゲン化触媒(1)のX線回折パターンを図4に示す。図4において、TiO以外の物質に帰属される明らかな固有のピークは認められず、かつ、アナターゼ型酸化チタンに帰属されるブロードなピークが認められることから、水銀ハロゲン化触媒(1)は複合酸化物であることが確認できた。
〔製造例2−2−水銀ハロゲン化触媒(2)の製造〕
まず、Ti−Si−Mo複合酸化物を次のように調製した。シリカゾル(「スノーテックス−30」日産化学社製、SiO換算30wt%含有)3.3kg、工業用アンモニア水(25wt%NH含有)103kg、および水58リットルの混合溶液に、モリブデン酸3.4kgを加えてよく攪拌し、均一溶液を調製した。この溶液に、硫酸チタニルの硫酸溶液(テイカ社製:TiOとして70g/リットル、HSOとして287g/リットル含有)228リットルを攪拌しながら徐々に滴下し、沈殿を生成させた後、適量のアンモニア水を加えてpHを4に調整した。この共沈スラリーを約40時間静置したのち、濾過し、水で充分洗浄した後、100℃で1時間乾燥させた。さらに、空気雰囲気下、500℃で5時間焼成し、Ti−Si−Mo複合酸化物粉体を得た。該Ti−Si−Mo複合酸化物粉体の組成は、酸化物換算重量比で、チタン酸化物:ケイ素酸化物:モリブデン酸化物=80:5:15であった。
次いで、上記Ti−Si−Mo複合酸化物にバナジウムを次のようにして添加した。8リットルの水に、メタバナジン酸アンモニウム1.29kg、シュウ酸1.67kg、およびモノエタノールアミン0.4kgを混合して溶解させ、均一なバナジウム含有溶液を調製した。上記で得られたTi−Si−Mo複合酸化物粉体19kgをニーダーに投入後、有機バインダー(デンプン1.5kg)を含む成形助材とともに上記バナジウム含有溶液全量を加え、よく攪拌した。さらに適量の水を加えつつブレンダーでよく混合した後、連続ニーダーで充分混練りし、ハニカム状に押し出し成形した。得られた成形物を60℃で乾燥後、450℃で5時間焼成して、水銀ハロゲン化触媒(2)を得た。
得られた水銀ハロゲン化触媒(2)の組成は、酸化物換算重量比で、Ti−Si−Mo複合酸化物:バナジウム酸化物=95:5(酸化物換算重量比で、チタン酸化物:ケイ素酸化物:モリブデン酸化物:バナジウム酸化物=76:4.8:14.2:5)であった。
なお、水銀ハロゲン化触媒(2)のX線回折パターンを図5に示す。図5において、TiO以外の物質に帰属される明らかな固有のピークは認められず、かつ、アナターゼ型酸化チタンに帰属されるブロードなピークが認められることから、水銀ハロゲン化触媒(2)は複合酸化物であることが確認できた。
〔製造例2−3−水銀ハロゲン化触媒(3)の製造〕
まず、Ti−Si複合酸化物を次のように調製した。シリカゾル(「スノーテックス−30」日産化学社製、SiO換算30wt%含有)6.7kg、工業用アンモニア水(25wt%NH含有)110kg、および水70リットルを混合し、均一溶液を調製した。この溶液に、硫酸チタニルの硫酸溶液(テイカ社製:TiOとして70g/リットル、HSOとして287g/リットル含有)257リットルを撹拌しながら徐々に滴下した。得られたスラリーを20時間静置したのち、濾過し、水で充分洗浄した後、続いて100℃で1時間乾燥した。さらに、空気雰囲気下、500℃で5時間焼成し、Ti−Si複合酸化物粉体を得た。該Ti−Si複合酸化物粉体の組成は、酸化物換算重量比で、チタン酸化物:ケイ素酸化物=90:10であった。
次いで、上記Ti−Si複合酸化物にバナジウムを次のようにして添加した。8リットルの水に、メタバナジン酸アンモニウム1.29kg、シュウ酸1.67kg、およびモノエタノールアミン0.4kgを混合して溶解させ、均一なバナジウム含有溶液を調製した。上記で得られたTi−Si複合酸化物粉体19kgをニーダーに投入後、有機バインダー(デンプン1.5kg)を含む成形助材とともに上記バナジウム含有溶液全量を加え、よく攪拌した。さらに適量の水を加えつつブレンダーでよく混合した後、連続ニーダーで充分混練りし、ハニカム状に押し出し成形した。得られた成形物を60℃で乾燥後、500℃で5時間焼成して、水銀ハロゲン化触媒(3)を得た。
得られた水銀ハロゲン化触媒(3)の組成は、酸化物換算重量比で、Ti−Si複合酸化物:バナジウム酸化物=95:5(酸化物換算重量比で、チタン酸化物:ケイ素酸化物:バナジウム酸化物=85.5:9.5:5)であった。
なお、水銀ハロゲン化触媒(3)のX線回折パターンを図6に示す。図6において、TiO以外の物質に帰属される明らかな固有のピークは認められず、かつ、アナターゼ型酸化チタンに帰属されるブロードなピークが認められることから、水銀ハロゲン化触媒(3)は複合酸化物であることが確認できた。
〔実施例1〜2〕
図8に示す排ガス処理システムにて、表1に示す水銀ハロゲン化触媒および脱硝触媒をそれぞれ表1に示す触媒温度で用い、下記ガス組成の模擬排ガスを処理した。なお、処理に際しては、水銀ハロゲン化装置における空間速度は3000Hr−1とし、脱硝装置における空間速度は19000Hr−1とした。
[ガス組成]
NOx:100ppm
NH:100ppm
HCl:5ppm
Hg:30μg/mN(内、金属水銀(Hg)は18μg/mN)
:9%
O:10%
詳しくは、まず、排ガス容器1に入れた模擬排ガスを、脱硝装置2に導き、該装置にて窒素酸化物を処理した。このとき、脱硝装置2中の脱硝触媒の温度は、温度制御装置3aによって制御した。次いで、模擬排ガスを脱硝装置2から水銀ハロゲン化触媒を備えた水銀ハロゲン化装置4に導き、該装置にて金属水銀をハロゲン化水銀に変換させた。このとき、水銀ハロゲン化装置4中の水銀ハロゲン化触媒の温度は、温度制御装置3bによって制御した。次いで、水銀ハロゲン化装置4を通った模擬排ガスを、吸収瓶5中の吸収液(3%炭酸カルシウム水溶液)6の中に導き、模擬排ガス中のハロゲン化水銀を吸収液に吸収させた。その後、模擬排ガスを吸収瓶5から回収瓶7に導き、回収した。
そして、処理を開始して10時間後および500時間後に、排ガス容器1と脱硝装置2の間に設けたガスサンプリング口8aから採取した処理前のガスaと、吸収瓶5と回収瓶7の間に設けたガスサンプリング口8bから採取した処理前のガスbとについて、それぞれに含まれるNOx濃度およびHg濃度(HgおよびHgCl)を測定し、下記式に従って脱硝率および水銀除去率を求めた。結果を表1に示す。
<脱硝率>
脱硝率(%)={(ガスaのNOx濃度)−(ガスbのNOx濃度)}÷(ガスaのNOx濃度)×100
<水銀除去率>
水銀除去率(%)={(ガスaのHg濃度)−(ガスbのHg濃度)}÷(ガスaのHg濃度)×100
〔比較例1〜3〕
実施例1〜2と同様の排ガス処理システムにて、表1に示す水銀ハロゲン化触媒および脱硝触媒をそれぞれ表1に示す触媒温度で用い、実施例1〜2と同様の模擬排ガスを処理した。なお、処理に際し、水銀ハロゲン化装置における空間速度および脱硝装置における空間速度は実施例1〜2と同様とした。そして、実施例1〜2と同様に脱硝率および水銀除去率を求めた。結果を表1に示す。
Figure 2005125212
本発明にかかる排ガス処理方法は、例えば、ボイラ、焼却炉、ガスタービン、ディーゼルエンジンおよび各種工業プロセスから排出される各種排ガスの処理に適用することができる。
脱硝触媒(1)のX線回折パターンである。 脱硝触媒(2)のX線回折パターンである。 脱硝触媒(3)のX線回折パターンである。 水銀ハロゲン化触媒(1)のX線回折パターンである。 水銀ハロゲン化触媒(2)のX線回折パターンである。 水銀ハロゲン化触媒(3)のX線回折パターンである。 TiOのX線回折パターンである。 実施例において用いた排ガス処理システムの模式図である。
符号の説明
1 排ガス容器
2 脱硝装置
3 温度制御装置
4 水銀ハロゲン化装置
5 吸収瓶
6 吸収液
7 回収瓶
8 ガスサンプリング口

Claims (2)

  1. 窒素酸化物と金属水銀とを含む排ガスを処理するにあたり、脱硝触媒を用いて窒素酸化物を処理したのち、ハロゲン化合物の存在下で水銀ハロゲン化触媒を用いて金属水銀をハロゲン化水銀に変換するようにするとともに、前記脱硝触媒としては水銀圧入法により測定される全細孔容積が0.20〜0.80cm/gである触媒を用い、かつ、前記脱硝触媒の触媒温度は300℃よりも高い温度とし、前記水銀ハロゲン化触媒の触媒温度は300℃以下とする、排ガス処理方法。
  2. 前記ハロゲン化水銀は吸収液で捕捉することによって排ガスから除去する、請求項1に記載の排ガス処理方法。
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