JP2005125083A - 歩行器 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高さ調節及び折り畳み可能で、上枠部材の外形を小さくすることができると共に収納性に優れた歩行器を提供する。
【解決手段】 車輪2に支持されたリング状の下枠部材3と、幼児を受け入れる開口部42が設けられている上枠部材4と、下枠部材3と上枠部材4とに両端部がそれぞれ回転自在に連結された主フレーム51と、主フレーム51の上部に一端側が回転自在に連結され、他端側が上枠部材4に対してスライド自在に連結された上側補助フレーム53と、主フレーム51の下部に一端側が回転自在に連結され、他端側が下枠部材3に対してスライド自在に連結された下側補助フレーム55と、上側補助フレーム53の一端側と下側補助フレーム55の一端側とを連結してこれらを連動させる連動部材52と、上側補助フレーム53の角度変更又は下側補助フレーム55の角度変更を固定できる固定機構6とを有する歩行器1とする。自立機能を与えるため、下枠部材3の後端部に自立補助部材9を設ける。
【選択図】 図3
【解決手段】 車輪2に支持されたリング状の下枠部材3と、幼児を受け入れる開口部42が設けられている上枠部材4と、下枠部材3と上枠部材4とに両端部がそれぞれ回転自在に連結された主フレーム51と、主フレーム51の上部に一端側が回転自在に連結され、他端側が上枠部材4に対してスライド自在に連結された上側補助フレーム53と、主フレーム51の下部に一端側が回転自在に連結され、他端側が下枠部材3に対してスライド自在に連結された下側補助フレーム55と、上側補助フレーム53の一端側と下側補助フレーム55の一端側とを連結してこれらを連動させる連動部材52と、上側補助フレーム53の角度変更又は下側補助フレーム55の角度変更を固定できる固定機構6とを有する歩行器1とする。自立機能を与えるため、下枠部材3の後端部に自立補助部材9を設ける。
【選択図】 図3
Description
本発明は、幼児用の歩行器に関する。
幼児の成長過程において、歩行の練習等のために、従来より歩行器が用いられている。このような歩行器では、幼児の成長過程に合わせて高さ調節が可能であることが要望される。
図6に従来の歩行器の一例を示す。図6に示す歩行器100は、転動自在な車輪111に支持されたリング状の下枠部材112と、下枠部材112の内側に収まり、幼児を受け入れる開口部が設けられて幼児が座る座席部113が設けられた上枠部材114とをX形のフレーム115で連結した構造を有する。このX形フレーム115の交差するフレームの交差角度を変え、変えた位置でスライドロック機構116によって交差角度が固定されることによって使用時の高さ調節が可能である。折り畳むときには、スライドロック機構116を解除すると、上枠部材114が使用位置から自重で降下し、上枠部材114が下枠部材112内に折り畳まれるようになっている。
しかしながら、X形フレーム115は、フレームが相互に交差する箇所がフレームの中心にあり、上枠部材114を支持する上端縁前後方向の距離と、下枠部材112で支持される前後方向の下端縁間の距離はほぼ等しい。そのため、上枠部材114の前後方向の長さは、X形フレーム115が折り畳まれるときのX形フレーム115の折り畳まれた前後の上端縁の両方を回転可能に保持する必要があることから、必然的に下枠部材112に近い外形になってしまう。そのため、X形フレーム115を用いた歩行器100は、上枠部材114の前後方向の外形が必要以上に大きくなり、設計上の自由度が限定されてしまうという問題がある。
また、上枠部材114が大きくなると、上枠部材114と下枠部材112との大きさの差が少なくなり、折り畳んだときに上枠部材114が下枠部材112の中に完全に収納することができず、折り畳み時の容積が大きくなり、収納性がそれほどよくないという問題がある。また、折り畳み時に、上枠部材114が下枠部材112の上に降下することになるため、その間に指などを挟むことを防止するための特別な構造が必要になり、コスト高を招くおそれがある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、高さ調節及び折り畳み可能で、上枠部材の外形を小さくすることができると共に収納性の良好な歩行器を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1記載の歩行器は、車輪に支持されたリング状の下枠部材と、幼児を受け入れる開口部が設けられている上枠部材と、前記下枠部材と前記上枠部材とに両端部がそれぞれ回転自在に連結された主フレームと、前記主フレームの上部に一端側が回転自在に連結され、他端側が前記上枠部材に対してスライド自在に連結された上側補助フレームと、前記主フレームの下部に一端側が回転自在に連結され、他端側が前記下枠部材に対してスライド自在に連結された下側補助フレームと、前記上側補助フレームの前記一端側と前記下側補助フレームの前記一端側とを連結して前記上側補助フレームの前記主フレームに対する交差角度と前記下側補助フレームの前記主フレームに対する交差角度とを連動させる連動部材と、前記上側補助フレームの前記交差角度又は前記下側補助フレームの前記交差角度を固定できる固定機構とを有する。
この歩行器は、主フレームと上側補助フレームと上枠部材とが三角形のリンクを構成し、これにより上枠部材が支持され、主フレームと下側補助フレームと下枠部材とが三角形のリンクを構成し、これにより主フレームが下側補助フレームを介して下枠部材によって支持されている。
歩行器の高さ調節は、上側補助フレームの上枠部材に対するスライド位置を変更することによって、上側補助フレームの主フレームに対する交差角度を変更させ、この交差角度の変更が連動部材によって下側補助フレームの主フレームに対する交差角度を連動して変更させ、この連動による交差角度の変更が、下枠部材に対する下側補助フレームのスライド位置の変更を生じさせることによって主フレームの傾斜角度を変更させるため、高さ調節が可能である。折り畳むときも同様に機能する。また、上側補助フレームの主フレームに対する交差角度又は下側補助フレームの主フレームに対する交差角度を固定機構で固定することによって、上枠部材の高さを維持することが可能である。
上側補助フレームと下側補助フレームの主フレームに対する取付位置が主フレームの中心よりそれぞれ主フレームの端部側へ寄っているため、主フレームの上枠部材に対する取付位置と上側補助フレームの上枠部材に対する取付位置の間の距離は、X形フレームの上端縁間の距離よりかなり短くなる。そのため、上枠部材の外形をX形フレームの場合よりも小さくすることができる。そのため、本発明の歩行器は、X形フレームの場合よりも収納性に優れる。
請求項2記載の歩行器は、請求項1記載の歩行器において、前記連動部材が、前記上側補助フレームの前記一端側の回転中心と同軸で前記上側補助フレームに固定された第2歯車と、前記下側補助フレームの前記一端側の回転中心と同軸で前記下側補助フレームに固定された第3歯車と、前記第2歯車と第3歯車とを連動させる第1歯車で構成されている。
この歩行器は、主フレームに対する上側補助フレームの交差角度が変更されると、上側補助フレームに固定されている第2歯車が回転し、第1歯車を介して第3歯車を同じ方向へ同じ回転量で回転させることができる。これによって、上側補助フレームの交差角度に対応して下側補助フレームが交差角度が連動部材によって連動され、高さ調節が可能となっている。
請求項3記載の歩行器は、請求項1又は2記載の歩行器において、前記連動部材が中空の前記主フレームの中に内蔵されている。
歯車等を備える連動部材が主フレームの中に内蔵されていることによって、安全性が高められている。
歯車等を備える連動部材が主フレームの中に内蔵されていることによって、安全性が高められている。
請求項4記載の歩行器は、請求項1記載の歩行器において、前記固定機構が、前記下枠部材の下面に設けられている複数個の歯を設けたラック部材と、前記上側補助フレームの他端側に対して回転自在に取り付けられ、かつ前記上枠部材の下面にスライド自在に取り付けられ、前記歯と噛み合うつめを有するつめ部材とを有する。
ラック部材の複数個の歯の適宜な歯を選択してつめ部材のつめを噛み合わせることによって、上側補助フレームの主フレームに対する交差角度を任意に選択して固定することができ、これによって上枠部材の高さを調節してその高さを維持することが可能である。
請求項5記載の歩行器は、請求項4記載の歩行器において、前記つめ部材の前記つめを下方へ強制的に押し下げて前記歯との噛み合いを解除できる操作部材を有する。
この歩行器はこのような操作部材を有することにより、簡単に歯とつめの噛み合いを解除できるため、高さ調節の操作性に優れる。
請求項6記載の歩行器は、請求項1〜5いずれかに記載の歩行器において、前記上枠部材の外周部に前記下枠部材の外周縁と協働して自立機能を与える自立補助部材を設けた。
本発明の歩行器は、上枠部材の高さを低くしていくと、主フレームの下枠部材に対する連結位置を中心として上枠部材が漸次前後方向に移動し、上枠部材の前後方向の端縁は下枠部材の前後方向の端縁に近接する。そのため、上枠部材を下枠部材の上に折り畳んだ状態で上枠部材の外周部に下枠部材の外周縁とほぼ面一になるような自立支援部材を設けることにより、折り畳んだ状態で立てると、床面に対して自立支援部材と下枠部材の端縁とが協働して自立可能とすることができ、収納に便利にすることができる。
本発明の歩行器は、高さ調節及び折り畳み可能であると共に、上枠部材の外形を小さくすることができる。また、収納に便利な自立機能を付与することができる。
以下、本発明の歩行器の実施の形態について図面を参照しながら説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の歩行器の一実施形態の外観を示すもので、高さ調節を最も高い位置に設定した状態を示し、(a)は上面図、(b)は側面図である。また、図2は、本発明の歩行器の一実施形態のフレーム部材の概略構造を示す上面図であり、図3は同じ歩行器のフレーム部材の概略構造を示す側面図である。図4(a)は、図1〜図3に示した歩行器の高さ調節中の状態を示す概略構成を示す側面図、図4(b)は歩行器を折り畳んだ状態を示す概略構成を示す側面図である。図5(a)は、本発明の歩行器の一実施形態の後部を示す斜視図であり、図5(b)は本発明の歩行器の一実施形態を自立させた状態を示す斜視図である。本明細書では、図1〜図4の左側を前方側、右側を後方側とし、この前後方向と直交する方向を左右方向とする。
この歩行器1は、左右方向の中心を通る前後方向の図示しない中心線を中心としたほぼ左右対称形である。そのため、符号は一方側へのみ付する場合がある。歩行器1は、複数個の車輪(キャスタ)2によって支持されたリング状の下枠部材3と、下枠部材3に収まり、幼児を受け入れる開口部が設けられている上枠部材4と、これらの上枠部材3と下枠部材4とを連結して上枠部材4を支持すると共に、上枠部材4の高さ調節を可能とするフレーム部材5と、フレーム部材5を固定して調節した高さを維持する固定機構6(図2、図3参照)とを有する。
下枠部材3は、樹脂製で、全体の外形は上枠部材4を内側に収容可能な丸みを帯びた矩形状のリング状となっており、枠の部分の上面の形状は丸みを帯びた山形である。下枠部材3の下面には複数個の車輪2が取り付けられている。車輪2は垂直方向の回転軸を中心として回転軸からずれた水平方向の車軸に対して樹脂車が回転自在になっており、転動自在になっている。車輪2に下枠部材3が支持されていることにより、下枠部材3は床面を自由な方向へ移動できるようになっている。下枠部材3の前後方向に伸びる枠体部分のそれぞれのほぼ中央部の内側には、その壁面を貫通した前後方向に伸びるスライド孔31が設けられている。
上枠部材4は、合成樹脂製の角を丸めた矩形板状であり、前部側にテーブル41が形成され、後部側に乳幼児を受け入れる開口部42が設けられ、この開口部42に幼児が座る座席部7が装着されている。座席部7は背もたれ部71と開口部42から垂下している乳幼児の脚を出す穴を有するおむつ状部材72とを備える。前部のテーブル41には、幼児が遊べる各種のおもちゃを組み込んだおもちゃボード8が着脱自在に装着できるようになっている。
フレーム部材5は、一対の主フレーム51を有する。主フレーム51は、中空の矩形板状であり、それぞれ一端側が下枠部材3の前端部の左右に設けられた切り欠きに納められ、下枠部材3の切り欠きの壁面に固定されている回転軸511で前後方向と平行に回転自在に連結されている。一対の主フレーム51の他端側は、それぞれ上枠部材4の後端部の左右の外面に固定されている回転軸512で前後方向と平行に回転自在に連結されている。
主フレーム51の中空部には、図3に示すように、連動部材52として、主フレーム51の両端の回転軸511,512のほぼ中間に位置する第1歯車521が回転軸522で回転可能に内蔵されている。この第1歯車521の両側には、第1歯車521と噛み合う第2歯車523が第1歯車521の上部に、第1歯車521と噛み合う第3歯車524が第1歯車521の下部にそれぞれ回転軸525、526を中心としてそれぞれ主フレーム51に内蔵されている。第2歯車523と第3歯車524は同一の歯車となっている。
フレーム部材5を構成する一対の上側補助フレーム53は、細長い棒状であり、その長さは主フレーム51の半分よりやや短い。上側補助フレーム53の一端側は、図2に示すように中空の主フレーム51を貫通して内側へ突出している第2歯車523の回転軸525と一体に固定して連結され、更に、回転軸525は第2歯車523と一体に結合されている。その結果、上側補助フレーム53の一端側は、主フレーム51の上部に対して回転軸525で回転可能に連結され、上側補助フレーム53の回転が上側補助フレーム53に直結された第2歯車523を回転するようになっている。一対の上側補助フレーム53の他端側相互は、上枠部材4の下面で連結アーム54で連結されている。
一方、フレーム部材5を構成する一対の下側補助フレーム55は、細長い棒状であり、その長さは主フレームの半分よりやや短い。下側補助フレーム55の一端側は、図2に示すように中空の主フレーム51を貫通して外方へ突出している第3歯車524の回転軸526と一体に固定されて連結され、更に、回転軸526は第3歯車524と一体に結合されている。その結果、下側補助フレーム55の一端側は、主フレーム51の下部に対して回転軸526で回転可能に連結され、下側補助フレーム55の回転が下側補助フレーム55に直結された第3歯車524を回転するようになっている。
一対の下側補助フレーム55の他端側は、下枠部材3の内側のスライド孔31と対向し、それぞれ軸棒551の一端側を支持している。その軸棒551はスライド孔31を通り、軸棒551の他端側にはスライド孔31の幅よりも径が大きい抜け止め用の頭552が固定されている。そのため、スライド孔31を通っている軸棒551の一端側の下側補助フレーム55と軸棒551の他端側の抜け止め用の頭552とがスライド孔31を挟んでおり、軸棒551はスライド孔31から外れることなくスライド孔31を移動自在になっている。従って、下側補助フレーム55の他端側は、下枠部材3のスライド孔31に対してスライド自在に連結されている。
固定機構6は、主としてラック部材61,つめ部材62、操作部材63及びロック部材64とで構成されている。ラック部材61は、図2では細い破線で示され、一対の矩形平板状で、左右方向の中央部の左右に分かれて前後方向に沿って上枠部材4の下面に取り付けられている。ラック部材61それぞれは、前後方向に沿って中央部が上枠部材4の下面との間に空隙が生じるように左右方向の両端部が上側に屈曲され、上枠部材4の下面にそれぞれの両端部が取り付けられている。ラック部材61それぞれには、垂直壁とその垂直壁の上端から後部側へ繋がる傾斜壁を備える歯611が前後方向に複数個並べられた歯列が設けられている。ラック部材61の左右方向中央よりやや外方に前後方向に沿って細いスライド孔612がラック部材61を貫通して設けられている。
つめ部材62は、左右方向に長い平板状で、上側補助フレーム53の他端側同士を接続している連結アーム54に対して回転可能に覆う円管状部621と一体に上枠部材4の左右方向の中心に左右対称形に設けられている。つめ部材62の前方側は湾曲し、端縁に沿って枠状リブ622が下方に向かって突出している。つめ部材62の左右方向の両側のラック部材61のスライド孔612の上に対応する位置で、左右方向の内側が下方に屈曲されてつめ部材62の下面との間に前後方向に沿った内側に空隙が生じる板状のスライド用部材65が、ラック部材61と上枠部材4の下面との間の間隙に挿入された図示しない補助板につめ部材62を貫通しスライド孔612を通るボルト651で連結されている。スライド用部材65とつめ部材62とがボルト651で固定され、つめ部材62と補助板とが上下からラック部材61を挟んでボルト651で相互に固定されているため、つめ部材62は、ラック部材61の下面をスライド孔612を介して前後方向にスライド自在になっている。つめ部材62は円管状部621と一体になっているため、連結アーム54、即ち上側補助フレーム53の他端側は、円管状部621に対して回転自在になっており、つめ部材62と共に上枠部材4下面をスライド自在になっている。
つめ部材62には、前端が垂直壁となっていてラック部材61の歯611と噛み合うつめ623が、ラック部材61の歯612の列に沿って前後方向に伸びる板バネ部材624の前端に一体に設けられ、その板バネ部材624の後端は円管状部621に一体に結合している。板バネ部材624は常時はつめ623と歯611とが噛み合うようにつめ623を上側に付勢している。また、板バネ部材624は左右方向に伸びる金属製の丸棒625を支持している。
操作部材63は、図2ではドットで塗りつぶされて表示されている。左右方向にやや長い矩形状の箱状の部材であり、つめ部材62の下面の中に収まる大きさで、上面の開口端がつめ部材62の下面と接している。操作部材63の前端部には指先を挿入できる凹部が設けられて取っ手631が構成されている。操作部材63の左右方向の両端縁が板状に形成され、スライド用部材65の屈曲されてつめ部材62との間に前後方向に沿った空隙の間に板状の両端縁が挿入されている。そのため、操作部材63は、左右両端がスライド用部材65に案内されてつめ部材62の下面にスライド自在に装着されている。操作部材63は、後端がつめ部材62の円管状部621の部分に突き当たる位置と取っ手部631の前端がつめ部材62の前端縁の枠状リブ622に突き当たる範囲で前後方向にスライド自在になっている。操作部材63の左右方向の両側には、つめ部材62の丸棒625の両端側を支持するように前後方向に沿って平行に伸びる一対の操作リブ632,633と一対の操作リブ634,635がそれぞれ突出して設けられている。これらの操作リブ632,633,634,635には、下方に行くに従って後退する壁面を有する直角三角形状の操作孔636がそれぞれ穿設され、この操作孔636を通って操作リブ632,633,634,635の外方へつめ部材62の丸棒625の両端縁が突出している。つめ部材62のつめ623がラック部材61の歯611と噛み合っているときには、操作部材63は後退しており、図3に示すように、操作孔636の上端部からつめ部材62の丸棒625の両端縁が突出している。この状態から操作部材63を前方にスライドさせると、操作孔636の下方に行くに従って後退する壁面が前進し、丸棒625の両端を下側へ押し下げる力が加わり、丸棒625は下方へ強制的に押し下げられる。これにより、丸棒625を支持している板バネ部材624の前端側が下方に湾曲し、歯611と噛み合っていたつめ623が下方へ移動することにより、歯611とつめ623の噛み合いが解除されるようになっている。つめ部材62のスライド位置を選定して操作部材63を後退させると、つめ623が板バネ部材624の付勢力で上昇し、歯611との噛み合いが行われる。
ロック部材64は、安全装置として機能するもので、操作部材63の中央下面から下方へ突出しているレバー641の回転軸が操作部材63の底壁を貫通して操作部材63の内部に挿入されている板状のロック板642の中央に結合され、レバー641の回転に応じてロック板642が回転するようになっている。操作部材63が最も後退している位置で取っ手部631の後側の垂直方向の壁の内面にごく近接して左右方向に伸びるロック用リブ626がつめ部材62の底面から突出して設けられている。ロック板642が前後方向と平行な位置に回転したときに、ロック板642は操作部材63の後端壁の内面とロック用リブ626の後面にロック板642の両端が接触する程度の長さを有している。レバー641を回転させてロック板642を前後方向と平行に回転させると、ロック板642が操作部材63の後端の内面とロック用リブ626との間に介在し、操作部材63の前進を防止して、つめ623と歯611の噛み合いを維持することができる。レバー641を回転させてロック板642を左右方向と平行に位置させると、ロック板642とロック用リブ626との間に距離が生じるため、操作部材63を前進させ、丸棒625を強制的に降下させることにより、つめ623を降下させてつめ623と歯611の噛み合いを解除することができる。
また、本発明の歩行器1の上枠部材4の外周部の後端中央部には、プレート状の自立補助部材9が上枠部材4の後端から突出して垂直方向に沿って取り付けられている。この自立補助部材9は、図4(b)に示すように上枠部材4を下枠部材3の上に折り畳んだ状態で自立補助部材9の後面と下枠部材3の外周縁の後端とがほぼ面一になり、下枠部材3の外周縁と協働して床面に対して本発明の歩行器1を自立させる機能を有する。そのため、本実施形態の歩行器1では、下枠部材3の後端は湾曲が少なく、自立補助部材9と協働して自立機能を与えることができるようになっている。
本発明の歩行器1においては、上枠部材4と下枠部材3とを連結している主フレーム51の一端側が下枠部材3の前端側に連結されているため、上枠部材4を折り畳む際に上枠部材4が後側へ漸次後退しながら降下する。最終的に上枠部材4が下枠部材3に折り畳まれた状態で上枠部材4の後端縁と下枠部材3の後端縁とは近接することになり、上枠部材4の後端部に自立補助部材9を取り付けることにより、上枠部材4を下枠部材3の上に折り畳んだ状態で自立補助部材9の後面と下枠部材3の後端縁とをほぼ面一にすることが可能である。
このような歩行器1の高さ調節の動作について、主として図2及び図3を参照して説明する。上枠部材4は自重で降下するような力を主フレーム51に与えている。そのため、上側補助フレーム53の他端側、即ち、連結アーム54は、常時は上枠部材4の下面を前進するようにスライドし、主フレーム51は下枠部材3に対する傾斜角度が小さくなるような力が与えられ、下側補助フレーム55が主フレーム51を支えるようになっている。図1、図2に示すような上枠部材4を最も高い位置に設定したときには、つめ部材62のつめ623はラック部材61の最も後側の歯611と噛み合って、連結アーム54の前進を停止させている。この状態では、主フレーム51に対する上側補助フレーム53の交差角度αは固定され、上側補助フレーム53の一端側に固定されている第2歯車523が固定され、固定された第2歯車523が、第1歯車521を介して第3歯車524を固定する結果、下側補助フレーム55の主フレーム51に対する交差角度βも固定され、下側補助フレーム55の他端側のスライド孔31における軸棒551の位置も固定され、フレーム部材5全体が固定されている。このとき、上枠部材4は主フレーム51の上部、上側補助フレーム53と共に固定された三角形のリンクを構成し、上枠部材4は主フレーム51と上側補助フレーム53によって支持されている。主フレーム51は、下側補助フレーム55によって下枠部材3に対する傾斜角度が固定されて支持されている。
上枠部材4の高さを変更するときは、ロック部材64のレバー641を90°回してロック板642を左右方向と平行に配置し、ロックを解除する。操作部材63の取っ手631に指をかけて操作部材63を前方へ引き寄せてスライドさせる。操作部材63と共に操作孔636が前進して丸棒625を押し下げることにより、板バネ部材624を押し下げ、つめ623と歯611との噛み合いを解除する。これにより、つめ部材62はラック部材61の下面をスライド自在となり、操作部材63の取っ手631を保持したままつめ部材62を前後方向へスライドさせて移動させ、適宜な高さとなる位置のラック部材61の歯611を選択し、取っ手631を後側へ後退するように操作すると、つめ623が板バネ部材624の付勢力で上昇し、つめ623が歯611と噛み合う。そして、ロック部材64のレバー641を90°回転させてロック板642を前後方向と平行に配置して操作部材63の動きをロックし、つめ623と歯611の噛み合いを安全に維持するようにできる。
つめ部材62を例えば前方にスライドさせると、上側補助フレーム53の主フレーム51に対する交差角度αが大きくなり、第2歯車523が図面では反時計方向へ回転し、これに伴って第1歯車521が時計方向へ回転し、第3歯車524は第1歯車521の回転に伴って反時計方向へ第2歯車523と同じ角度で回転し、下側補助フレーム55が回転軸526を中心として上側補助フレーム53の主フレーム61に対する傾斜角度αと同じ傾斜角度βとなるように回転し、下側補助フレーム55の他端側の軸棒551がスライド孔31を後方側へスライドし、主フレーム51の水平方向に対する傾斜角度が小さくなって上枠部材4の高さが減少する。
このように、本発明の歩行器1においては、上側補助フレーム53と上枠部材4と主フレーム51とで構成される三角形のリンクにおける上側補助フレーム53の主フレーム51に対する交差角度αの変更は、そのまま下側補助フレーム55と主フレーム51と下枠部材3とで構成される三角形のリンクにおける下側補助フレーム55の主フレーム51に対する交差角度βへ連動し、上側補助フレーム53と下側補助フレーム55とは歯車列で構成される連動部材52を介して連動している。
本発明の歩行器1を折り畳むときは、ロック部材64のロックを解除した後、操作部材63の取っ手631に指をかけて操作部材63を前方にスライドさせてつめ623と歯611の噛み合いを解除する。その後、つめ部材62のつめ623をラック部材61より前方側へスライドさせ、つめ部材62のつめ623がラック部材61の歯611と噛み合わない位置に配置する。これにより、上枠部材4の自重でつめ部材62は上枠部材4の下面を最前端側へスライドする。つめ部材62の前端側へのスライドで上側補助フレーム53の交差角度αが大きくなり、交差角度αと連動する下側補助フレーム55の交差角度βも大きくなり、下側補助フレーム55の他端側の軸棒551がスライド孔31を後側へスライドし、主フレーム51は下枠部材3の上に下降し、図4(b)に示すように、例えば上枠部材4の後端部が下枠部材3の上に載置されて上枠部材4の下降が停止し、折り畳み状態となる。
図5(a)の折り畳み状態における歩行器1の後端部の斜視図に示すように、上枠部材4の後端縁が下枠部材3の後端縁よりわずかに前方にあり、上枠部材4の後端中央部に取り付けられているプレート状の自立補助部材9の後面と下枠部材3の後端縁とがほぼ面一になっている。そのため、図5(b)に示すように、歩行器1を折り畳んだ状態で後端側を下にして歩行器1を床面に立てると、自立補助部材9と下枠部材3の後端縁とが床面に接して自立させることができる。このような自立させることによって、横にして収納する場合と比較して遙かに少ない面積の中に収納可能となり、狭い隙間にも収納可能であり、収納性が極めて良好となる。
本発明の歩行器1は、主フレーム51に対して相互に連動する上側補助フレーム53と下側補助フレーム55とを設けたことにより、従来のX形フレームと同様の機能を有するが、X形フレームの双方のフレームはほぼ中心で交差するのに対し、上側補助フレーム53は主フレーム51の中心より少し上で交差し、下側補助フレーム55は主フレーム51の中心より少し下で交差する。そのため、X形フレームと同じ交差角度である場合でも、上側補助フレーム53はX形フレームよりも上に、下側補助フレーム55はX形フレームよりも下に位置する。その結果、上側補助フレーム53の上枠部材4に対する取付位置である連結アーム54は、X形フレームの場合よりも後方に位置することになる。しかも、上側補助フレーム53はX形フレームの交点より上の部分の長さよりやや短く、下側補助フレーム55はX形フレームの交点より下の部分の長さよりやや短い。上側補助フレーム53の上枠部材4に対する取付位置がX形フレームより後方に位置し、上側補助フレーム53の長さがX形フレームの半分よりも短いことから、上側補助フレーム53の取付位置のスライド量もX形フレームより短くなる。そのため、主フレーム51の上枠部材4に対する取付位置512と上側補助フレーム53の上枠部材4に対する取付位置54の間の距離は、X形フレームの上端縁間の距離よりかなり短くなる。従って、上枠部材4のフレーム部材5を保持しなければならない長さは、従来のX形フレームより短くて済み、上枠部材4の前後方向の長さを短くすることが可能である。上枠部材4の前後方向の長さを短くすることができるため、上枠部材4の設計の自由度が上がり、意匠的に優れた歩行器とすることが可能である。また、折り畳んだときに上枠部材4を下枠部材3の中に、図4(b)に示すように、上枠部材4の前端側を下枠部材4の中に収納させることができるようになり、より収納性が向上する。更に、折り畳む際に、指などを降下する上枠部材4と下枠部材3との間に挟んで、ケガをする可能性も低くなり、安全性が向上する。
上記説明では、連動部材として、3個の歯車列を用いた例を示したが、上側補助フレームと下側補助フレームとを連動させればよく、その他の機構でもよい。また、固定機構は、ラック部材の歯とつめ部材のつめの係合で行う機構であったが、上側補助フレームの角度変更又は下側補助フレームの角度変更を固定できるものであれば制限はない。
また、自立補助部材9としてプレート状のものを例示したが、下枠部材3の後端縁と協働して歩行器の自立を補助できれば形状に制限はなく、例えば、スペアタイヤ(タイヤキャリアー、タイヤカバー類)ウィング、バンパー(エアロパーツ)、後部ライト類(ウィンカー、バックライト、ブレーキランプ等)、折りたたみルーフ(フード)、トランク(トランクボックス)、マフラー(排気口)、サスペンション、はしご(ラダーキャリア)、キャリア類(スキー、ボード等)、ワイパー、リアカメラ、エンブレム、アンテナ等の自動車の後側にある部材の形状を模倣したものでも良く、あるいは、これらと全く別の形状でも良い。
本発明の歩行器は、幼児の成長過程において、歩行の練習等のために利用可能である。
1: 歩行器
2: 車輪
3: 下枠部材
31: スライド孔
4: 上枠部材
42: 開口部
5: フレーム部材
51: 主フレーム
52: 連動部材
521: 第1歯車
523: 第2歯車
524: 第3歯車
53: 上側補助フレーム
54: 連結アーム
55: 下側補助フレーム
551: 軸棒
6: 固定機構
61: ラック部材
611: 歯
62: つめ部材
623: つめ
624: 板バネ部材
625: 丸棒
626: ロック用リブ
63: 操作部材
631: 取っ手
636: 操作孔
64: ロック部材
641: レバー
642: ロック板
7: 座席部
9: 自立補助部材
2: 車輪
3: 下枠部材
31: スライド孔
4: 上枠部材
42: 開口部
5: フレーム部材
51: 主フレーム
52: 連動部材
521: 第1歯車
523: 第2歯車
524: 第3歯車
53: 上側補助フレーム
54: 連結アーム
55: 下側補助フレーム
551: 軸棒
6: 固定機構
61: ラック部材
611: 歯
62: つめ部材
623: つめ
624: 板バネ部材
625: 丸棒
626: ロック用リブ
63: 操作部材
631: 取っ手
636: 操作孔
64: ロック部材
641: レバー
642: ロック板
7: 座席部
9: 自立補助部材
Claims (6)
- 車輪に支持されたリング状の下枠部材と、幼児を受け入れる開口部が設けられている上枠部材と、前記下枠部材と前記上枠部材とに両端部がそれぞれ回転自在に連結された主フレームと、前記主フレームの上部に一端側が回転自在に連結され、他端側が前記上枠部材に対してスライド自在に連結された上側補助フレームと、前記主フレームの下部に一端側が回転自在に連結され、他端側が前記下枠部材に対してスライド自在に連結された下側補助フレームと、前記上側補助フレームの前記一端側と前記下側補助フレームの前記一端側とを連結して前記上側補助フレームの前記主フレームに対する交差角度と前記下側補助フレームの前記主フレームに対する交差角度とを連動させる連動部材と、前記上側補助フレームの前記交差角度又は前記下側補助フレームの前記交差角度を固定できる固定機構とを有することを特徴とする歩行器。
- 請求項1記載の歩行器において、
前記連動部材が、前記上側補助フレームの前記一端側の回転中心と同軸で前記上側補助フレームに固定された第2歯車と、前記下側補助フレームの前記一端側の回転中心と同軸で前記下側補助フレームに固定された第3歯車と、前記第2歯車と第3歯車とを連動させる第1歯車で構成されていることを特徴とする歩行器。 - 請求項1又は2記載の歩行器において、
前記連動部材が中空の前記主フレームの中に内蔵されていることを特徴とする歩行器。 - 請求項1記載の歩行器において、
前記固定機構が、前記下枠部材の下面に設けられている複数個の歯を設けたラック部材と、前記上側補助フレームの他端側に対して回転自在に取り付けられ、かつ前記上枠部材の下面にスライド自在に取り付けられ、前記歯と噛み合うつめを有するつめ部材とを有することを特徴とする歩行器。 - 請求項4記載の歩行器において、
前記つめ部材の前記つめを下方へ強制的に押し下げて前記歯との噛み合いを解除できる操作部材を有することを特徴とする歩行器。 - 請求項1〜5いずれかに記載の歩行器において、
前記上枠部材の外周部に前記下枠部材の外周縁と協働して自立機能を与える自立補助部材を設けたことを特徴とする歩行器。
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