JP2005108556A - 有機el素子及び有機elディスプレイ - Google Patents
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Abstract
【課題】 耐熱性、寿命及び発光効率の全てを高水準で達成可能な分子分散型の有機EL素子及び有機ELディスプレイを提供すること。
【解決手段】 有機EL素子9の互いに対向して配置された2つの電極2、4間に、主鎖及び該主鎖に結合した複数の側鎖を有する櫛型ポリマー並びに発光性ドーパントを含有する有機層3を設ける。
【選択図】 図1
【解決手段】 有機EL素子9の互いに対向して配置された2つの電極2、4間に、主鎖及び該主鎖に結合した複数の側鎖を有する櫛型ポリマー並びに発光性ドーパントを含有する有機層3を設ける。
【選択図】 図1
Description
本発明は有機EL(エレクトロルミネッセンス、電界発光)素子及び有機ELディスプレイに関する。
有機ELディスプレイなどに用いられる有機EL素子の分野では、真空蒸着法により低分子化合物を用いて有機層を形成する技術(例えば非特許文献1参照)に基づいて各種類デバイスが試作され、現在実用化の段階を迎えつつある。
その一方で、有機層の構成材料としてポリマー材料を用いた有機EL素子の開発が進められている。このような有機EL素子は、一般的には、π共役系ポリマーを用いたπ共役型のもの(例えば、特許文献1参照)と、非共役系ポリマー中に色素を分散した分子分散型のもの(例えば、非特許文献2、3参照)とに大別される。このうち、非共役型の有機EL素子は、所定のドーパントをホストポリマーに混ぜることにより、目的の色を高い色純度で得ることができるという利点を有している。
特開平10−92576号公報
Applied Physics Letters, vol.51, pp913 (1987)
Polymer, vol.24, pp748 (1983)
Applied Physics Letters, vol.75, No.1, pp4 (1999)
しかしながら、従来の分子分散型の有機EL素子に用いられるポリマー材料はキャリア輸送性や安定性が必ずしも十分とは言えないため、従来の分子分散型EL素子は発光効率、耐熱性及び寿命の点で改善の余地がある。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、耐熱性、寿命及び発光効率の全てを高水準で達成可能な分子分散型の有機EL素子及び有機ELディスプレイを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の有機EL素子は、互いに対向して配置された2つの電極と、該電極間に配置され、主鎖及び該主鎖に結合した複数の側鎖を有する櫛型ポリマー並びに発光性ドーパントを含有する有機層と、を備えることを特徴とする。
本発明の有機EL素子によれば、櫛型ポリマーを発光性ドーパントと共に有機層に含有せしめることで、発光性ドーパントが有機層中に十分に均一に且つ安定的に保持される。また、有機層に含まれる上記櫛型ポリマーは耐熱性が高く安定性にも優れるため、高水準の発光効率を長期にわたって安定的に得ることができる。
本発明にかかる櫛型ポリマーにおいては、主鎖又は側鎖の少なくとも一方がポリビニル鎖を含むことが好ましい。かかる櫛型ポリマーを用いることによって、耐熱性、寿命及び発光効率に優れた有機EL素子を有効に実現することができる。
また、本発明の櫛型ポリマーにおいては、主鎖が発光性化合物から誘導される炭素数10以上の芳香族基及び重合性官能基を有するモノマーの重合により形成されたポリマー鎖を含み、側鎖がキャリア輸送性化合物から誘導される炭素数4以上の芳香族基及び重合性官能基を有するモノマーの重合により形成されたポリマー鎖を含むことが好ましい。このような主鎖及び側鎖を有する櫛型ポリマーを有機層に含有せしめることで、有機EL素子の発光効率をさらに高めることができる。
なお、上記の櫛型ポリマーの使用により発光効率が向上する理由は必ずしも明確ではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、発光性化合物から誘導される上記芳香族基及び重合性官能基を有するモノマーの重合により形成されたポリマー鎖を含んで主鎖を構成することにより、当該主鎖には発光ホスト材料としての機能が付与される。一方、キャリア輸送性化合物から誘導される上記芳香族基及び重合性官能基を有するモノマーの重合により形成されたポリマー鎖を含んで側鎖を構成することにより、当該側鎖にはキャリア輸送性が付与される。このような主鎖及び側鎖を有する櫛型ポリマーにおいては、主鎖と側鎖との分岐点が不連続点(キャリアトラップとなりやすい点)となり、この不連続点がホールと電子との再結合中心となりやすいものと考えられる。そして、この再結合中心が発光効率の向上に寄与しているものと考えられる。
また、本発明にかかる櫛型ポリマーは、好ましくは、下記一般式(1)で表されるモノマーと下記一般式(2)で表されるモノマーとのコポリマーである。
[式中、X1及びX2はそれぞれ重合性官能基を表し、A1及びA2はそれぞれ発光性化合物から誘導される炭素数10以上の芳香族基を表し、Bはキャリア輸送性化合物から誘導される炭素数4以上の芳香族基を表し、aは0又は1を表し、bは1以上の整数を表す。]
上記コポリマーにおける主鎖は重合性官能基X1、X2の結合により形成されるポリマー鎖であり、芳香族基A1、A2に起因する発光ホスト材料としての機能が付与されたものである。また、上記コポリマーの側鎖はポリマー鎖−(B)bを含むポリマー鎖であり、芳香族基Bに起因するキャリア輸送性が付与されたものである。従って、かかるコポリマーを有機層に含有せしめることで、有機EL素子の発光効率をさらに高めることができる。
また、本発明の櫛型ポリマーの主鎖は下記一般式(3)で表されるモノマーの重合により形成されたポリマー鎖を含むことが好ましい。これにより、櫛型ポリマーの主鎖に発光ホスト材料としての機能を高水準で付与することができる。
[式(3)中、Lは2価の基を表し、Y1、Y2、Y3、Y4及びY5は同一でも異なっていてもよく、それぞれアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、複素環基、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基又はアミノ基を表し、これらの置換基は互いに結合して環を形成していてもよく、cは0又は1を表し、d、e、f及びgはそれぞれ0〜4の整数を表し、hは0〜5の整数を表し、pは0又は1を表し、qは1〜3の整数を表す。]
また、本発明にかかる櫛型ポリマーの側鎖はピリジン環、ピリミジン環、キノリン環、キノキサリン環、フェナントロリン環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、チオフェン環及び芳香族アミノ基から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。これらの構造を側鎖に導入することによって、櫛型ポリマーの側鎖にキャリア輸送性を高水準で付与することができる。特に、側鎖に電子輸送性を付与する場合には、ピリジン環、ピリミジン環、キノリン環、キノキサリン環、フェナントロリン環、オキサゾール環及びオキサジアゾール環から選ばれる少なくとも1種の含窒素複素環を導入することが有効である。また、側鎖にホール輸送性を付与する場合には、チオフェン及び芳香族アミノ基から選ばれる少なくとも1種を導入することが有効である。なお、ここでいう芳香族アミノ基の好ましい例としては、TPD(トリフェニルジアミン)、α−NPD(ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル]ベンジジン)、m−MTDATA(4,4’,4”−トリス[3−メチルフェニル−(フェニル)−アミノ]−トリフェニル−アミン)などの芳香族アミン化合物から誘導されるものが挙げられる。
また、本発明にかかる櫛型ポリマーの側鎖の少なくとも1つは下記式(4)で表される構造を有する2価の基を介して主鎖に結合していることが好ましい。かかる構成を有する櫛型ポリマーを有機層に含有せしめることで、有機EL素子の発光効率をさらに高めることができる。
[式(4)中、フルオランテン環を構成する炭素原子それぞれは置換又は未置換のいずれであってもよく、フルオランテン環を構成する炭素原子又は該炭素原子に結合した置換基の構成原子のうち、1個は主鎖と結合し、1個は側鎖と結合する。]
また、本発明の有機ELディスプレイは、互いに対向して配置された2つの電極と、該電極間に配置され、主鎖及び該主鎖に結合した複数の側鎖を有する櫛型ポリマー及び発光性ドーパントを含有する有機層と、を含んで構成される複数の有機EL素子が配列された表示部、2つの電極それぞれに電気的に接続されており該電極に電圧又は電流を供給する電力供給部、並びに有機EL素子のそれぞれを点灯又は消灯するスイッチング部、を備えることを特徴とする。
このように、表示部において上記本発明の有機EL素子を配列し、さらに電力供給部及びスイッチング部により当該表示部を駆動することによって、輝度や色表示機能に優れ、さらには、耐熱性が高く長寿命の有機ELディスプレイが実現可能となる。
本発明によれば、耐熱性、寿命及び発光効率の全てを高水準で達成可能な分子分散型の有機EL素子及び有機ELディスプレイが実現可能となる。
以下、場合により図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
先ず、本発明の有機EL素子において、有機層に含まれる櫛型ポリマー(以下、場合により「本発明にかかる櫛型ポリマー」という)について説明する。
本発明にかかる櫛型ポリマーは、主鎖及び該主鎖に結合した複数の側鎖を有する。なお、本発明にかかる櫛型ポリマーにはいわゆるグラフトポリマーが包含されるが、主鎖及び側鎖の構成単位はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。また、側鎖同士の構成単位も同一でも異なっていてもよい。
本発明にかかる櫛型ポリマーの主鎖及び側鎖はそれぞれ重合性官能基同士の結合により形成される。重合性官能基としては、ビニル基、エポキシ基等のように1種類で重合可能なものでもよく、エステル結合、エーテル結合等を形成可能な2種類の官能基であってもよい。2種類の官能基の反応としては、水酸基とカルボン酸基との脱水反応、水酸基とエステル基とのエステル交換反応、水酸基とハロゲン基との脱酸反応等が挙げられる。主鎖又はビニル基有機EL素子の耐熱性、寿命及び発光効率の全てを高水準でバランスよく達成する点からは、主鎖又は側鎖の少なくとも一方がポリビニル鎖を含むことが好ましい。
また、本発明の櫛型ポリマーの主鎖は、発光性化合物から誘導される炭素数10以上の芳香族基及び重合性官能基を有するモノマーの重合により形成されたポリマー鎖を含むことが好ましい。これにより、櫛型ポリマーの主鎖に発光ホスト材料としての機能を付与することができる。発光性化合物から誘導される炭素数10以上の芳香族基は窒素原子、酸素原子などを含んでいてもよい。かかる芳香族基としては、ナフタレン環、アントラセン環、ナフタセン環、ピレン環、ペリレン環、フルオレン環、フルオランテン環、フェナントレン環、カルバゾール環、キノリン環、キノキサリン環、フェナントロリン環、並びにこれらの2種類以上が組み合わせられた構造を有する芳香族基が好ましい。
また、本発明にかかる櫛型ポリマーの側鎖はキャリア輸送性化合物から誘導される炭素数4以上の芳香族基及び重合性官能基を有するモノマーの重合により形成されたポリマー鎖を含むことが好ましい。これにより、櫛型ポリマーの側鎖にキャリア輸送性(電子輸送性及び/又はホール輸送性)を付与することができる。キャリア輸送性化合物から誘導される炭素数4以上の芳香族基は、窒素原子、酸素原子等を含んでいてもよい。かかる芳香族基としては、ピリジン環、ピリミジン環、キノリン環、キノキサリン環、フェナントロリン環、オキサゾール環及びオキサジアゾール環などの含窒素複素環、チオフェン環、芳香族アミノ基、並びにこれらの2種以上が組み合わせられた構造を有する構造を有する芳香族基が好ましい。
発光ホスト材料としての機能が付与された主鎖と、キャリア輸送性が付与された側鎖とを有する櫛型ポリマーは、下記式(1)で表されるモノマーと下記式(2)で表されるモノマーとの共重合により好適に得ることができる。
[式中、X1及びX2はそれぞれ重合性官能基を表し、A1及びA2はそれぞれ発光性化合物から誘導される炭素数10以上の芳香族基を表し、Bはキャリア輸送性化合物から誘導される炭素数4以上の芳香族基を表し、aは0又は1を表し、bは1以上の整数を表す。]
上記一般式(1)で表されるモノマーにおいて、X1で表される重合性官能基としては、ビニル基が好ましい。また、A1で表される芳香族基としては、ナフタレン環、アントラセン環、ナフタセン環、ピレン環、ペリレン環、フルオレン環、フルオランテン環、フェナントレン環、カルバゾール環、キノリン環、キノキサリン環、フェナントロリン環、並びにこれらの2種類以上が組み合わせられた構造を有する芳香族基が好ましい。
上記式(1)で表されるモノマーの好ましい例としては、下記一般式(3)で表されるモノマーが挙げられる。
式中、Lは2価の基を表し、Y1、Y2、Y3、Y4及びY5は同一でも異なっていてもよく、それぞれアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、複素環基、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基又はアミノ基を表し、これらの置換基は互いに結合して環を形成していてもよい。また、cは0又は1を表し、d、e、f及びgはそれぞれ0〜4の整数を表し、hは0〜5の整数を表し、pは0又は1を表し、qは1〜3の整数を表す。
Lで表される2価の基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基などのアルキレン基、フェニレン基などのアリーレン基が挙げられる。これらの2価の基は置換基を有していてもよく、また、未置換であってもよい。また、cは0又は1を表し、cが0の場合はベンゼン環を構成する炭素原子にビニル基が直接結合した構造となる。
Y1〜Y5がアルキル基である場合、アルキル基は直鎖状又は分岐状のいずれであってもよい。また、アルキル基は未置換のものが好ましいが、置換基を有していてもよい。アルキル基の炭素数は1〜30が好ましい。好ましいアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基などが挙げられる。
Y1〜Y5がアルコキシ基である場合、アルコキシ基を構成するアルキル基は直鎖状又は分岐鎖状であってもよい。また、アルコキシ基は未置換のものが好ましいが、置換基を有していてもよい。アルコキシ基の炭素数は1〜30が好ましい。好ましいアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基などが挙げられる。
Y1〜Y5がアリール基である場合、アリール基は置換又は未置換のいずれであってもよいが、アリール基の総炭素数は6〜20が好ましい。好ましいアリール基としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、ビフェニリル基などが挙げられる。
Y1〜Y5がアリールオキシ基である場合、アリールオキシ基を構成するアリール基は置換又は未置換のいずれであってもよいが、アリールオキシ基の総炭素数は6〜20が好ましい。好ましいアリールオキシ基としては、フェノキシ基、o−トリルオキシ基、m−トリルオキシ基、p−トリルオキシ基などが挙げられる。
Y1〜Y5が複素環基である場合、複素環基は5員環基又は6員環基であることが好ましい。複素環基は縮合環を有していてもよく、また、置換基を有していてもよい。また、複素環基は芳香族性を有していても芳香族性を有していなくてもよい。好ましい複素環基としては、ピロリル基、ピリジル基、キノリル基、チエニル基、フリル基などが挙げられる。
Y1〜Y5がハロゲン原子である場合、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などが挙げられる。
Y1〜Y5がアミノ基である場合、アミノ基は置換又は未置換のいずれであってもよく、例えば上述のアルキル基やアリール基を有するものであってもよい。アミノ基の総炭素数は0〜20が好ましい。好ましいアミノ基としては、狭義のアミノ基(−NH2)、メチルアミノ基、エチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基などが挙げられる。
一般式(3)で表される化合物の中でも、下記一般式(5)又は(6)で表される化合物を用いることがより好ましい。
一般式(5)、(6)中、Rはアルキル基、アルコキシ基又はアリール基を示す。また、式中のeは置換基Rの数を表し、1〜5の整数である。Rの置換位置は特に制限されないが、p−位にRが結合した化合物を用いることが好ましい。
Rで表されるアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜30、より好ましくは1〜20、さらに好ましくは炭素数1〜12である。Rで表されるアルキル基は直鎖状、分岐状のいずれであってもよい。Rで表されるアルキル基の好ましい例としては、n−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、エチルヘキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、イソデシル基、n−ウンデシル基、イソウンデシル基、n−ドデシル基、イソドデシル基などが挙げられる。
また、Rで表されるアルコキシ基の炭素数は、好ましくは1〜30、より好ましくは1〜20、さらに好ましくは1〜12である。Rで表されるアルコキシ基は直鎖状、分岐鎖状のいずれであってもよい。Rで表されるアルコキシ基の好ましい例としては、ブチロキシ基、ヘキシロキシ基、エチルヘキシロキシ基、オクチロキシ基、ドデシロキシ基、ヘキサデシロキシ基、アイコロキシ基などが挙げられる。
また、Rで表されるアリール基の総炭素数は、好ましくは6〜30、より好ましくは6〜20である。アリール基は置換又は未置換のいずれであってもよい。Rで表されるアリール基の好ましい例としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、ビフェニリル基、ナフチル基などが挙げられる。
一般式(5)で表されるモノマーとしては、例えば、下記式(7)で表される10’−ビフェニル−2−イル−10−(4−ビニルフェニル)−[9,9’]ビアントラセニル、下記式(8)で表される10−(4−ドデシルフェニル)−10’−(4−ビニルフェニル)−[9,9’]ビアントラセニル等が挙げられる。また、(6)で表されるモノマーとしては、例えば、下記式(9)で表される9−ビフェニル−2−イル−10−(4−ビニルフェニル)−アントラセン、下記式(10)で表される9−(4−オクチルフェニル)−10−(4−ビニルフェニル)−アントラセン、下記式(11)で表される9−(2,4−ヘキサデシロキシフェニル)−10−(4−ビニルフェニル)−アントラセン等が挙げられる。
また、上記一般式(2)で表されるモノマーにおいて、X2で表される重合性官能基としては、ビニル基が好ましい。また、A2で表される炭素数10以上の芳香族基としては、ナフタレン環、アントラセン環、ナフタセン環、ピレン環、ペリレン環、フルオレン環、フルオランテン環、フェナントレン環、カルバゾール環、キノリン環、キノキサリン環、フェナントロリン環、並びにこれらの2種類以上が組み合わせられた構造を有する芳香族基が好ましい。また、Bで表される炭素数4以上の芳香族基としては、ピリジン環、ピリミジン環、キノリン環、キノキサリン環、フェナントロリン環、オキサゾール環、オキサジアゾール環などの含窒素複素環、チオフェン環、芳香族アミノ基、並びにこれらの2種以上が組み合わせられた構造を有する芳香族基が好ましい。
一般式(2)中のaは0又は1である。有機EL素子の発光特性を高める点からは、aが1であることが好ましい。なお、aが0である場合、一般式(2)で表されるモノマーは重合性官能基X2とポリマー鎖−(B)bとが直接結合した構造を有する。
また、aが1である場合、芳香族基A2は下記式(4)で表される構造を有する2価の基含むことが好ましい。これにより、形成される櫛型ポリマーにおいては、キャリア輸送性を有する側鎖−(B)bが式(4)で表される2価の基を介して主鎖に結合することとなる。このような構造を有する櫛型ポリマーを有機層に含有せしめることで、有機EL素子の発光効率をさらに高めることができる。
[式(4)中、フルオランテン環を構成する炭素原子それぞれは置換又は未置換のいずれであってもよく、フルオランテン環を構成する炭素原子又は該炭素原子に結合した置換基の構成原子のうち、1個は主鎖と結合し、1個は側鎖と結合する。]
また、一般式(2)中のbは1以上の整数であり、芳香族基Bの個数を表す。芳香族基Bの個数は、櫛型ポリマーの側鎖に十分なキャリア輸送性を付与することができれば特に制限されないが、bは好ましくは1〜100、より好ましくは1〜10である。
上記一般式(2)で表される化合物の好ましい例としては、下記式(12)で表される5−{4−[10−(4−ビニルフェニル)−アントラセン−9−イル]−フェニル}−[2,2’,5’,2”,5”,2''',5''',2'''',5'''',2''''']セクシチオフェン、下記式(13)で表される6−{4−[10−(4−ビニルフェニル)−アントラセン−9−イル]−フェニル}−[2,2’,6’,2”,6”,2''',6''',2'''',6'''',2''''']セクシピリジン、下記式(14)で表されるフェニル−[4−(12−フェニル−7−[2,2’,5’,2”,5”,2''',5''',2'''',5'''',2''''']セクシチオフェン−5−イル−ベンゾ[k]フルオランテン−3−イル)−フェニル]−(4−ビニルフェニル)−アミン、並びに下記式(15)で表されるフェニル−[4−(12−フェニル−7−[2,2’,6’,2”,6”,2''',6''',2'''',6'''',2''''']セクシピリジン−5−イル−ベンゾ[k]フルオランテン−3−イル)−フェニル]−(4−ビニルフェニル)−アミンが挙げられる。また、一般式(1)で表されるモノマーの芳香族基A1にポリチオフェン鎖、ポリピリジン鎖などのキャリア輸送性を有するポリマー鎖が結合した構造を有するモノマーを用いてもよい。
一般式(1)で表されるモノマーと一般式(2)で表されるモノマーとの共重合方法としては、重合性官能基の種類及び組み合わせに応じて、ラジカル重合法、カチオン重合法、アニオン重合法などから適宜選択することができる。一般式(1)で表されるモノマーと一般式(2)で表されるモノマーとの重合比(モル比)は、好ましくは1000:1〜1:1、より好ましくは100:1〜10:1である。また、得られる櫛型ポリマーの分子量は特に制限されないが、素子特性(耐熱性、寿命及び発光効率)と製造時の溶解性とをバランスよく両立できる点から、重量平均分子量が10,000〜200,000の範囲内であることが好ましい。
上記説明では、櫛型ポリマーが非π共役ポリマーである場合について詳述したが、架橋による高効率化、高寿命化はπ共役系ポリマーにも適用可能である。π共役系ポリマーとしては、具体的には、ポリパラフェニレンビニル構造、ポリパラフェニレン構造、ポリアミン構造、ポリチオフェン構造、ポリフルオレン構造などを有するポリマーが挙げられる。
次に、本発明の有機EL素子及びその製造方法について説明する。
図1は本発明の有機EL素子の好適な一実施形態を示す模式断面図である。図1に示した有機EL素子9において、基板1上には陽極層2(第1の電極層)及び絶縁体層6がこの順で積層されており、絶縁体層6の発光領域に対応する部分には陽極層2が露出するように開口部が設けられている。そして、この露出した陽極層2上に、有機層3、陰極層4(第2の電極層)がこの順で積層され、基板1/陽極層2/有機層3/陰極層4の積層構造が形成されている。有機層3には、本発明にかかる櫛型ポリマーと、発光用ドーパントと、が含まれている。また、有機EL素子9の陰極層2側の面は、非発光領域の絶縁体層上に設けられたスペーサー7を介して、封止板5により封止されている。
(基板)
基板1としては、ガラス、石英などの非晶質基板、Si、GaAs、ZnSe、ZnS、GaP、InPなどの結晶基板、Mo、Al、Pt、Ir、Au、Pd、SUSなどの金属基板などを用いることができる。また、結晶質又は非晶質のセラミック、金属、有機物などの薄膜を所定基板上に形成したものを用いてもよい。
基板1としては、ガラス、石英などの非晶質基板、Si、GaAs、ZnSe、ZnS、GaP、InPなどの結晶基板、Mo、Al、Pt、Ir、Au、Pd、SUSなどの金属基板などを用いることができる。また、結晶質又は非晶質のセラミック、金属、有機物などの薄膜を所定基板上に形成したものを用いてもよい。
基板1の側を光取出し側とする場合には、基板1としてガラスや石英などの透明基板を用いることが好ましく、特に、安価なガラスの透明基板を用いることが好ましい。透明基板には、発色光の調整のために、色フィルター膜や蛍光物質を含む色変換膜、あるいは誘電体反射膜などを設けてもよい。
(陽極層)
陽極層2は、有機層3へのホール注入電極として機能する。そのため、陽極層2の材料としては、有機層にホールを効率よく注入できる材料が好ましく、より具体的には、仕事関数が4.5〜5.5eVである材料が好ましい。
陽極層2は、有機層3へのホール注入電極として機能する。そのため、陽極層2の材料としては、有機層にホールを効率よく注入できる材料が好ましく、より具体的には、仕事関数が4.5〜5.5eVである材料が好ましい。
また、基板1の側を光取出し側とする場合、有機EL素子の発光波長領域である波長400〜700nmにおける透過率、特にRGB各色の波長における透過率は、50%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。陽極層2の透過率が50%未満であると、は有機層3からの発光が減衰されて画像表示に必要な輝度が得られにくくなる。
光透過率の高い陽極層2は、各種類酸化物で構成される透明導電膜を用いて構成することができる。かかる材料としては、酸化インジウム(In2O3)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)などが好ましく、中でも、ITOは、面内の比抵抗が均一な薄膜が容易に得られる点で特に好ましい。ITO中のIn2O3に対するSnO2の比は、1〜20重量%が好ましく、5〜12重量%がより好ましい。また、IZO中のIn2O3に対するZnOの比は12〜32重量%が好ましい。上記材料は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、陽極層2を構成する酸化物の組成は化学量論組成から多少偏倚していてもよい。例えば、ITOは、通常、In2O3とSnO2とを化学量論組成で含有するが、ITOの組成をInOx・SnOyで表すとき、xは1.0〜2.0の範囲内、yは0.8〜1.2の範囲内であればよい。
また、陽極層2に酸化シリコン(SiO2)などの透明な誘電体を添加することにより、陽極層2の仕事関数を調整することができる。例えば、ITOに対して0.5〜10mol%程度のSiO2を添加することによりITOの仕事関数を増大させ、陽極層2の仕事関数を上述の好ましい範囲内とすることができる。
陽極層2の膜厚は、上述の光透過率を考慮して決定することが好ましい。例えば酸化物透明導電膜を用いる場合、その膜厚は、好ましくは50〜500nm、より好ましくは50〜300nmであることが好ましい。陽極層2の膜厚が500nmを超えると、光透過率が不十分となると共に、基板1からの陽極層2の剥離が発生する場合がある。また、膜厚の減少に伴い光透過性は向上するが、膜厚が50nm未満の場合、有機層3へのホール注入効率が低下すると共に膜の強度が低下してしまう。
なお、図1には基板1上に陽極層2を配置し、有機層3を介して基板1から遠い側に陰極層4を配置した有機EL素子の例を示したが、陽極層2及び陰極層4の位置は逆であってもよい。基板1上に陰極層4を配置した場合、陰極層4側を光取出し側とすることができるが、この場合には、陰極層4が上述の光学的条件及び膜厚条件を満たすことが好ましい。
(絶縁体層)
本発明の有機EL素子においては、図1に示したように、陽極層2上の非発光領域には絶縁体層6を設けることが好ましい。かかる絶縁層6を設けることで、発光面積を制御して色のにじみを抑制することができる。絶縁層6の材料としては、一般的な絶縁膜材料、例えばSiO2やAl2O3などを適宜選択して用いることができる。絶縁体層6の膜厚は1〜7μm程度が好ましい。絶縁体層6の発光領域に対応する部分には、フォトリソグラフィ及びエッチングの手法により、陽極層2が露出するように開口部が設けられ、この露出した陽極層2上に有機層3、陰極層4(第2の電極層)がこの順で積層される。これにより、陽極層2と有機層3との電気伝導が確保される。
本発明の有機EL素子においては、図1に示したように、陽極層2上の非発光領域には絶縁体層6を設けることが好ましい。かかる絶縁層6を設けることで、発光面積を制御して色のにじみを抑制することができる。絶縁層6の材料としては、一般的な絶縁膜材料、例えばSiO2やAl2O3などを適宜選択して用いることができる。絶縁体層6の膜厚は1〜7μm程度が好ましい。絶縁体層6の発光領域に対応する部分には、フォトリソグラフィ及びエッチングの手法により、陽極層2が露出するように開口部が設けられ、この露出した陽極層2上に有機層3、陰極層4(第2の電極層)がこの順で積層される。これにより、陽極層2と有機層3との電気伝導が確保される。
(有機層)
有機層3は、上述の通り、本発明にかかる櫛型ポリマーと、発光用ドーパントと、を含有する発光層である。
有機層3は、上述の通り、本発明にかかる櫛型ポリマーと、発光用ドーパントと、を含有する発光層である。
有機層3に含まれるドーパントは、目的とする発光色に応じて適宜選定可能である。例えば、燐光発光ドーパントとして、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(Ir(ppy)3)などのイリジウム錯体、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィリン白金(PtOEP)などのポルフィリン環を有する白金錯体、などを用いることができる。また、青色発光ドーパントとしては、テトラフェニルブタジエン及びその誘導体、スチリルアミン誘導体、フルオランテン誘導体などを用いることができる。発光用ドーパントの割合は、重合前のモノマーの全量に対して、好ましくは1〜15重量%である。
有機層3は、本発明にかかる櫛型ポリマーと、発光用ドーパントと、を含有するが、ホール輸送性材料、電子輸送性材料などの他のキャリア輸送性材料をさらに含有してもよい。
ホール輸送性材料としては、低分子材料、高分子材料のいずれも使用可能である。ホール輸送性低分子材料としては、例えば、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体などが挙げられる。また、ホール輸送性高分子材料としては、ポリビニルカルバゾール、ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸共重合体(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/ポリスチレンスルホン酸共重合体(Pani/PSS)などが挙げられる。これらのホール輸送性材料は、1種類を単独で用いてもよく、また、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
また、電子輸送性材料としては、低分子材料、高分子材料のいずれも使用可能である。電子輸送性低分子材料としては、例えば、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタン及びその誘導体、フルオレン及びその誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、フェナントロリン及びその誘導体、並びにこれらの化合物を配意しとする金属錯体などが挙げられる。また、電子輸送性高分子材料としては、ポリキノキサリン、ポリキノリンなどが挙げられる。これらの電子輸送性材料は、1種類を単独で用いてもよく、また、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、低分子材料とその使用形態については、例えば、特開昭63−70257号公報、特開昭63−175860号公報、特開平2−135359号公報、特開平3−37992号公報、特開平3−152184号公報などに開示の技術を用いることができる。
有機層3の形成は、塗布法により好適に行うことができる。かかる塗布の際には、発光用ドーパント、本発明にかかる櫛型ポリマー、あるいはさらに必要に応じて用いられる他のキャリア輸送性材料を、所定の溶媒に加えた塗布液が用いられる。塗布液の溶媒としては、本発明にかかる櫛型ポリマーが溶解し、塗布の際に障害が生じないものであれば特に限定されない。例えば、アルコール系、炭化水素系、ケトン系、エーテル系などの有機溶媒を用いることができる。中でも、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどが好ましい。本発明にかかる櫛型ポリマーの溶媒への溶解量は、ビニルポリマーの構造や分子量等に応じて適宜選定されるが、好ましくは0.1重量%以上である。
上記塗布液を、絶縁体層6の陽極層2が露出した開口部を覆うように塗布し、加熱により塗布液から溶媒を除去することで、有機層3が形成される。塗布液の塗布方法としては、特に制限されないが、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、ディップコート法、インクジェット法、印刷法などが適用可能である。
また、塗布液から溶媒を除去するに際し、本発明にかかる櫛型ポリマーのガラス転移温度以上の加熱温度で加熱することにより、非常に高水準の残留溶媒低減効果及び密着性向上効果を得ることができる。上述の加熱は減圧下又は不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
有機層3の膜厚は特に制限されず、また、形成方法によっても異なるが、好ましくは5〜500nm、より好ましくは10〜300nmである。
なお、図1には、有機層3が本発明にかかる櫛型ポリマー及び発光用ドーパントを含有する発光層のみからなる単層構造の有機EL素子の例を示したが、有機層は、本発明にかかる櫛型ポリマー及び発光用ドーパントを含有する層を有するものであれば、発光層、キャリア輸送層、キャリアブロック層などの層が複数積層された多層構造であってもよい。
例えば、発光層と陽極層との間にホール輸送層を、発光層と陰極層との間に電子輸送層を、それぞれ配置し、ホール輸送層及び電子輸送層それぞれに本発明にかかる櫛型ポリマーを含有せしめることができる。これにより、有機層に注入されるホール及び電子の輸送性が高められ、発光効率をさらに向上させることができる。さらに、有機EL素子の耐熱性及び寿命も高められる。
また、発光層と陽極層の間に電子ブロック層、発光層と陰極層との間にホールブロック層をそれぞれ配置し、電子ブロック層及びホールブロック層それぞれに本発明にかかる櫛型ポリマーを含有せしめることができる。これにより、いわゆる電子トラップが抑制されて発光層中でのホール密度が高められ、発光効率をさらに向上させることができる。さらに、有機EL素子の耐熱性及び寿命も高められる。
キャリアブロック層を設ける場合、本発明にかかる櫛型ポリマーを単独で用いてもよく、あるいは必要に応じて上述したホール輸送性材料や電子輸送性材料と併用してもよい。また、キャリアブロック層に発光用ドーパントを添加して発光層兼キャリアブロック層とし、これを別個に設けられた発光層と積層することで、複数の層からの発光を得ることもできる。
(陰極層)
陰極層4は有機層3に電子を注入する層として機能する。陰極層4の具体的態様としては、無機電子注入層、有機金属錯体の塗布膜からなる電子注入層、金属塩の塗布膜からなる電子注入層などが挙げられる。また、これらの電子注入層に補助電極層が積層した積層体を陰極層4としてもよい。かかる積層体の場合、無機電子注入層、有機金属錯体の塗布膜、金属塩の塗布膜が有機層3に近い側に配置され、補助電極層は有機層3から遠い側に配置される。
陰極層4は有機層3に電子を注入する層として機能する。陰極層4の具体的態様としては、無機電子注入層、有機金属錯体の塗布膜からなる電子注入層、金属塩の塗布膜からなる電子注入層などが挙げられる。また、これらの電子注入層に補助電極層が積層した積層体を陰極層4としてもよい。かかる積層体の場合、無機電子注入層、有機金属錯体の塗布膜、金属塩の塗布膜が有機層3に近い側に配置され、補助電極層は有機層3から遠い側に配置される。
無機電子注入層を形成する場合には、有機層3への電子注入が容易となるように、仕事関数が低い無機材料を選択することが好ましい。かかる無機材料としては、Li、Na、K、Csなどのアルカリ金属、Mg、Ca、Sr、Baなどのアルカリ土類金属、LiF、CsIなどのアルカリハロゲン化物などが挙げられる。また、La、Ce、Sn、Zn、Zrなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属と特性が近い金属を用いることができる。これらの中でも、Caは仕事関数が非常に低いため特に好ましい。
無機電子注入層の膜厚は、有機層3への電子注入が可能であれば特に制限されないが、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を用いる場合は、好ましくは0.1〜100nm、より好ましくは1.0〜50nmである。また、アルカリハロゲン化物を用いる場合の膜厚は、有機層3への電子注入能力の点からできるだけ薄い方が好ましく、具体的には、10nm以下が好ましく、1nm以下がより好ましい。
また、有機金属錯体の塗布膜からなる電子注入層は、例えば、有機金属錯体を所定溶媒に加えた塗布液を、スピンコート法などの塗布法により有機層3上に塗布し、塗布液から溶媒を除去することで形成可能である。かかる有機金属錯体としては、β−ジケトナト錯体、キノリノール錯体などが使用可能である。有機金属錯体が有する金属は、仕事関数が低いものであれば特に制限されないが、例えば、Li、Na、K、Csなどのアルカリ金属、Mg、Ca、Sr、Baなどのアルカリ土類金属、さらには、La、Ce、Sn、Zn、Zrなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属と特性が近い金属が挙げられる。また、有機金属錯体の塗布膜に電子輸送性高分子材料等をさらに含有せしめることで、電子注入層の電気特性や有機層3に対する密着性をさらに向上させることができる。有機金属錯体の塗布膜からなる電子注入層の膜厚は、有機層3への電子注入能力の点から、できるだけ薄い方が好ましく、具体的には、10nm以下が好ましく、1nm以下がより好ましい。
有機金属錯体の塗布膜からなる電子注入層と保護電極層との合計の膜厚、すなわち陰極層4全体の膜厚は、有機層3への電子注入が可能であれば特に制限されないが、陰極層4全体の膜厚は好ましくは50〜500nmである。なお、電子注入層に対する保護電極層の膜厚が薄すぎると上述の効果が十分に得られなくなり、また、補助電極の膜厚が厚すぎると補助電極層による応力が増大してダークスポットの成長速度が大きくなる傾向にある。
また、金属塩の塗布膜からなる電子注入層は、金属塩を所定溶媒に加えた塗布液を、スピンコート法などの塗布法により有機層3上に塗布し、塗布液から溶媒を除去することにより形成可能である。かかる金属塩に含まれる金属としては、Ag、Al、Au、Be、Bi、Co、Cu、Fe、Ga、Hg、Ir、Mo、Mn、Nb、Ni、Os、Pb、Pd、Pt、Re、Ru、Sb、Sn、Ti、Zrなどが挙げられる。
また、当該金属塩は有機金属塩、無機金属塩のいずれであってもよい。有機金属塩としては、置換又は未置換の脂肪族カルボン酸塩、二価カルボン酸塩、芳香族カルボン酸塩、アルコラート、フェノラート、ジアルキルアミドなどが挙げられる。また、無機金属塩としてはハロゲン化物などが挙げられる。
脂肪族カルボン酸塩の脂肪族カルボン酸は、飽和脂肪族カルボン酸、不飽和脂肪族カルボン酸のいずれであってもよい。飽和脂肪族カルボン酸塩としては、酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、イソオクタン酸、デカン酸、ラウリン酸などの金属塩が挙げられる。また、不飽和脂肪族カルボン酸塩としては、オレイン酸、リシノレイン酸、リノール酸などの金属塩が挙げられる。
二価カルボン酸塩としては、例えば、クエン酸、リンゴ酸、シュウ酸など二価カルボン酸の金属塩が挙げられる。
芳香族カルボン酸塩としては、安息香酸、o−tert−ブチル安息香酸、m−tert−ブチル安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、サリチル酸、m−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸などの金属塩が挙げられ、中でもサリチル酸の金属塩が好ましい。
アルコラートはアルコールの金属塩である。アルコラートを構成するアルコール成分としては、例えば、エタノール、n−プロピルアルコール、n−ブチルアルコールなどの一級アルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコールなどの二級アルコール、tert−ブチルアルコールなどの三級アルコールなどが挙げられる。
フェノラートはフェノール類の金属塩である。フェノラートを構成するフェノール成分が有する水酸基の個数は特に制限されないが、好ましくは1〜2個である。また、かかるフェノール成分は水酸基の他に置換基(好ましくは炭素数1〜8の直鎖又は分岐アルキル基)を有していてもよい。本発明では、フェノール、ナフトール、4−フェニルフェノールなどが好ましく用いられる。
また、無機金属塩であるハロゲン化物としては、例えば、塩素、フッ素、臭素、ヨウ素などの金属塩が挙げられる。
これらの電子注入層上には補助電極層を設けることが好ましい。これにより、有機層3への電子注入効率を向上させることができ、また、有機層3や電子注入層への水分又は有機溶媒の侵入を防止することができる。補助電極層の材料としては、仕事関数及び電荷注入能力に関する制限がないため、一般的な金属を用いることができるが、導電率が高く取り扱いが容易な金属を用いることが好ましい。また、特に電子注入層が有機材料を含む場合には、有機材料の種類や密着性などに応じて適宜選択することが好ましい。補助電極層に用いられる材料としては、具体的には、Al、Ag、In、Ti、Cu、Au、Mo、W、Pt、Pd、Niなどが挙げられるが、中でもAl及びAgなどの低抵抗の金属を用いると電子注入効率をさらに高めることができる。また、TiNなどの金属化合物を用いることにより一層高い封止性を得ることができる。これらの材料は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせてもよい。また、2種類以上の金属を用いる場合は合金として用いてもよい。
(スペーサー及び封止板)
図1に示したように、有機EL素子9の陰極層4側を封止板5により封止することで、有機層3、さらには陽極層2及び陰極層4の劣化を防止することができる。この際、絶縁層6上の非発光領域にスペーサー7を配置し、スペーサー7と封止板5とを接着することにより、有機EL素子9の陰極層4側表面と封止板5との接触を防止することができる。スペーサー7は、有機材料、無機材料(金属材料を含む)のいずれであってもよい。また、フォトレジストや感光性ポリイミドなどの感光性材料を用い、フォトリソグラフィなどの手法によりスペーサー7を形成することもできる。さらには、接着剤とガラススペーサーなどの絶縁体とを混合し、その混合物をスペーサー7の形成領域に塗布してもよい。
図1に示したように、有機EL素子9の陰極層4側を封止板5により封止することで、有機層3、さらには陽極層2及び陰極層4の劣化を防止することができる。この際、絶縁層6上の非発光領域にスペーサー7を配置し、スペーサー7と封止板5とを接着することにより、有機EL素子9の陰極層4側表面と封止板5との接触を防止することができる。スペーサー7は、有機材料、無機材料(金属材料を含む)のいずれであってもよい。また、フォトレジストや感光性ポリイミドなどの感光性材料を用い、フォトリソグラフィなどの手法によりスペーサー7を形成することもできる。さらには、接着剤とガラススペーサーなどの絶縁体とを混合し、その混合物をスペーサー7の形成領域に塗布してもよい。
有機EL素子9の陰極層4側表面と封止板5及びスペーサー7とにより形成される空間には封止ガスを封入することが好ましい。かかる封止ガスとしては、Ar、Heなどの不活性ガスを用いることが好ましい。封止ガスの水分含有量は、好ましくは100ppm以下、より好ましくは10ppm以下、さらに好ましくは1ppm以下である。なお、封止ガスの水分含有量の下限値については特に制限されないが、0.1ppm程度であれば、有機層3、陽極層2、陰極層4などの劣化防止効果が高く非常に好ましい。
上記実施形態によれば、本発明にかかる櫛型ポリマー及び発光用ドーパントを有機層3に含有せしめることで、発光効率、耐熱性、寿命などの素子特性が高水準で達成された有機EL素子が実現可能となる。かかる有機EL素子は、有機ELディスプレイ、さらにはメモリ読み出しや書き込みに利用される光ピックアップ、光通信の伝送路に設けられる中継装置、フォトカプラなどの様々な光応用デバイスの分野で非常に有用である。
次に、本発明の有機ELディスプレイについて説明する。
図2は、本発明の有機ELディスプレイの好適な一実施形態を示すブロック図である。図2に示した有機ELディスプレイはパッシブ駆動方式のものであり、青色発光素子を励起光源とする色変換方式の有機ELディスプレイである。なお、色変換方式とは、三色の蛍光元素を高エネルギー線の可視光発光により励起する方法である。色変換方式の場合、有機EL素子の有機層において青色発光を生じさせ、その青色発光を励起光エネルギー線として緑色及び赤色の蛍光面を励起して緑色光及び赤色光を得ることが多い。青色が緑色及び赤色に変換されるため色変換方式と呼ばれる。
図2中、表示部14は、基板1、基板1の一側に形成された陽極層2(第1の電極層)、陽極層2上に形成された有機層3、及び有機層3上に形成された陰極層4(第2の電極層)で構成される複数の有機EL素子9が二次元配列されたものである。ここで、有機EL素子9のそれぞれにおいては、3個の発光領域(例えば13a、13b、13c)に対応して、本発明にかかる櫛型ポリマー及び青色発光用ドーパントを含有する3個の有機層3(発光層)が形成されている。なお、3個の発光領域のうち、1個は青色発光領域であり、残りの2つは緑色発光領域及び赤色発光領域である。
基板1の材料としては、例えば、ガラス、石英、樹脂などの透明又は半透明の材料が好ましい。
基板1上には、上述のように、1個の有機EL素子に形成される3個の発光領域のうちの2つに対応する領域に蛍光変換フィルター膜が設けられ、当該蛍光変換フィルター膜により発光色のコントロールが行われて緑色発光領域及び赤色発光領域となる。蛍光変換フィルター膜が設けられない発光領域は青色発光領域である。
蛍光変換フィルター膜は、有機層3での電界発光による光を吸収し、膜中の蛍光体から吸収光と異なる色の光を放出することで発光色の色変換を行うものであり、一般的には蛍光体、光吸収体及びバインダーを含んで構成される。蛍光変換フィルター膜の形成は、フォトリソグラフィや印刷などの手法を利用したパターニングにより行うことができる。この場合、蛍光変換フィルター膜の材料は、微細なパターニングを形成可能なものが好ましく、また、上層(陽極層2など)の形成工程でダメージを受けにくいものが好ましい。
蛍光変換フィルター膜に含まれる蛍光体としては、蛍光量子収率が高いものが好ましく、また、レーザー色素のように発光素子の発光波長領域での光吸収性が高いものが好ましい。かかる蛍光体としては、例えば、ローダミン系化合物、ペリレン系化合物、シアニン系化合物、サブフタロなどを含むフタロシアニン系化合鬱、ナフタロイミド系化合物、縮合環炭化水素系化合物、縮合複素環系化合物、スチリル系化合物、クマリン系化合物などが挙げられる。なお、蛍光体自体の光吸収性が不十分である場合には光吸収体を併用することが好ましく、かかる光吸収体としては蛍光を消光しないものが好ましい。
バインダーは、蛍光を消光しないものであれば特に制限されず、公知のバインダーの中から適宜選択して用いることができる。
また、有機EL素子9の構成材料や蛍光変換フィルター膜が吸収し得る短波長の外光をカットするカラーフィルターを蛍光変換フィルター膜と組み合わせると、素子の耐光性や表示コントラストがさらに向上するので好ましい。
また、表示部14においては、2個の陽極層2が、それぞれ有機EL素子9の3個の発光領域13a〜13cを通るように、基板1上及び蛍光変換フィルター膜上に相互に並列に形成されている。ここで、陽極層2は、発光領域13a〜13cを完全に覆わずに、発光領域13a〜13cそれぞれの一部が露出するように配置されている。また、陽極層2は複数(図2では2個)の有機EL素子の共通電極であり、各陽極層2の一端には後述する電力供給部8が電気的に接続されている。このようなストライプ状の陽極層2は、例えば、蛍光変換フィルター膜がパターニングされた基板1上にITO膜を成膜した後、パターニング及びエッチング処理を行うことにより形成可能である。
なお、詳細は図示していないが、陽極層2を形成した後、その上にSiO2層やAl2O3層などの絶縁体層を設けることが好ましい。そして、発光領域に対応する絶縁体層の領域をエッチング等により開口し、この開口部に有機層3を形成することが好ましい。
また、表示部14においては、本発明にかかる櫛型ポリマー及び青色発光用ドーパントを含有する有機層3が、有機EL素子9の各発光領域に対応して、陽極層2を跨いで発光領域を覆うように形成されている。かかる有機層3はスピンコート法などの塗布法により好適に形成することができる。また、塗布液を加熱することにより、残留溶媒を低減して有機層3と陽極層2及び陰極層4それぞれとの高い密着性を達成することができる。
また、表示部14においては、6個の陰極層4が、有機EL素子9の発光領域に対応して有機層3上を通るように形成されている。陰極層4それぞれは複数(図2では2個)の有機EL素子の共通電極であり、各陰極層4の一端には後述するスイッチング部10が電気的に接続されている。
本実施形態のようにパッシブ駆動方式の有機ELディスプレイの場合には、図2に示したようにストライプ状の陽極層2とストライプ状の陰極層4とを互いに直交するように配置することが好ましい。このとき、各発光領域における陽極層2と陰極層4との交点がディスプレイの一画素に相当する。
表示部14の非発光領域には、有機EL素子9毎にスペーサー7が設けられている。このスペーサー7に封止板(図示せず)を接着することで、陰極層4側の面が封止される。
図2に示した有機ELディスプレイにおいては、表示部14における表示をコントロールする駆動部11が、陽極層2及び陰極層4に電流又は電圧を供給する電力供給部8、有機EL素子9に点滅の制御信号を送るスイッチング部10及びこれらの制御論理回路12を含んで構成されている。電力供給部8は陽極層2に、スイッチング部10は陰極層4にそれぞれ電気的に接続されており、また、電力供給部8とスイッチング部10とは制御論理回路12を介して電気的に接続されている。表示部14における有機EL素子9の駆動方式は特に制限されず、例えば、直流駆動、パルス駆動、交流駆動などが適用可能である。駆動の際には、直流、パルス又は交流の電流又は電圧を供給することが好ましく、印加電圧としては2〜30V程度が好ましい。
上記実施形態によれば、本発明にかかる櫛型ポリマー及び青色発光ドーパントを有機層3に含有せしめることで、発光領域において色純度の高い青色発光を得ることができ、またその特性を長期にわたって安定的に維持することができる。この青色発光は、青色発光領域においてはそのまま基板1側から取り出される。また、緑色発光領域及び赤色発光領域においては、それぞれ青色発光を励起光エネルギー線として蛍光変換フィルター膜中の緑色及び赤色に対応する蛍光体を励起することによって、緑色光及び赤色光が基板1側から取り出される。従って本実施形態により、輝度や色表示機能に優れ、さらには、耐熱性が高く長寿命の有機ELディスプレイが実現可能となる。
なお、本発明の有機ELディスプレイは上記実施形態に限定されるものではなく、想定されるディスプレイ製品に必要な輝度、寿命、消費電力、コストなどを勘案して決定することができる。例えば、図2にはいわゆるパッシブ駆動方式の有機ELディスプレイを示したが、本発明の有機ELディスプレイは、ポリシリコンTFTなどを用いたアクティブ駆動方式のフルカラーディスプレイであってもよい。
また、本発明の有機ELディスプレイをフルカラーディスプレイとする場合、赤、緑、青(RGB)の三原色の発光素子を形成することによりフルカラー表示が実現されるが、フルカラー表示方式は、上記実施形態で示した色変換方式の他、RGB三色並置方式、白色発光方式などのいずれであってもよい。RGB三色並置方式は、RGB三色の発光素子をそれぞれ発光させる表示方式である。また、白色発光方式は、液晶表示装置などに用いられる三色カラーフィルターにより、白色発光の波長の一部をカットしてフルカラー表示する方式である。白色発光方式及び色変換方式の場合、三色の発光素子を用意する必要はなく、発光素子の形成を簡素化でき、大面積化にも容易に対応できる。
本発明の有機ELディスプレイにおいては、有機EL素子の発光層に添加する発光用ドーパントを適宜選択することにより、上記のいずれのカラー表示方式であっても適用することができる。例えば、有機EL素子の有機層に青色発光用ドーパントを含有せしめて発光層とすることで、色変換方式を好ましく適用することができる。また、有機EL素子の発光層に燐光発光用ドーパントを含有せしめることで、燐光発光によるRGB三色並置方式を好ましく適用することができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
先ず、9−ビフェニル−2−イル−10−(4−ビニルフェニル)−アントラセンと、上記式(12)で表される5−{4−[10−(4−ビニルフェニル)−アントラセン−9−イル]−フェニル}−[2,2’,5’,2”,5”,2''',5''',2'''',5'''',2''''']セクシチオフェンとを10:1(モル比)の割合で混合した。この混合物2gと、ラジカル重合開始剤としてのベンゾイルパーオキサイド(BPO)20mgとをテトラヒドロフラン15mlに溶解し、窒素下、70℃で48時間重合反応を行った。反応終了後、好溶媒としてTHFを、貧溶媒としてメタノールをそれぞれ用いて再沈殿を3回行い、さらに貧溶媒を酢酸エチルに変えて同様に再沈殿を3回行い白色の櫛型ポリマーを得た。
先ず、9−ビフェニル−2−イル−10−(4−ビニルフェニル)−アントラセンと、上記式(12)で表される5−{4−[10−(4−ビニルフェニル)−アントラセン−9−イル]−フェニル}−[2,2’,5’,2”,5”,2''',5''',2'''',5'''',2''''']セクシチオフェンとを10:1(モル比)の割合で混合した。この混合物2gと、ラジカル重合開始剤としてのベンゾイルパーオキサイド(BPO)20mgとをテトラヒドロフラン15mlに溶解し、窒素下、70℃で48時間重合反応を行った。反応終了後、好溶媒としてTHFを、貧溶媒としてメタノールをそれぞれ用いて再沈殿を3回行い、さらに貧溶媒を酢酸エチルに変えて同様に再沈殿を3回行い白色の櫛型ポリマーを得た。
得られた櫛型ポリマーの重量平均分子量(Mw)は15,000、数平均分子量(Mn)は13,000であった。上記モノマーの使用量及び櫛型ポリマーの平均分子量から、得られた櫛型ポリマーにおいては、9−ビフェニル−2−イル−10−(4−ビニルフェニル)−アントラセンと、5−{4−[10−(4−ビニルフェニル)−アントラセン−9−イル]−フェニル}−[2,2’,5’,2”,5”,2''',5''',2'''',5'''',2''''']セクシチオフェンとの合計のユニット数が一分子当たり約30であり、一分子内に2箇所乃至3箇所の側鎖が存在することが示唆された。
次に、得られた櫛型ポリマーの2重量%トルエン溶液を調製した。さらに、テトラフェニルブタジエンを、溶液中の櫛型ポリマーに対して3重量%となるように溶液に添加し、発光層用塗布液を得た。この塗布液を用いて、以下の手順に従い有機EL素子を作製した。
先ず、陽極層としてのITO膜が形成された基板上に、スピンコート法によりポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)を含む塗布液を塗布し、窒素雰囲気下で200℃にて5分間乾燥して膜厚500Åのホール輸送層を形成した。次に、ホール輸送層上に、上記の発光層形成用塗布液を塗布し、窒素雰囲気下で180℃にて1時間乾燥して膜厚1000Åの発光層を形成した。さらに、この発光層上に、電子注入層としての層LiF(膜厚6Å)、及び補助電極としてのAl層(膜厚2500Å)をこの順で真空蒸着して陰極層を形成し、陰極層側の面を封止して目的の有機EL素子を得た。
得られた有機EL素子においては、テトラフェニルブタジエンに由来する青色発光が得られた。有機EL素子の電流効率は10mA/cm2の定電流駆動時に1.9cd/Aであった。さらに、10mA/cm2の定電流駆動により寿命試験を行ったところ、輝度が半減するまでの寿命(輝度半減寿命、以下同様)は140時間であった。
[実施例2]
5−{4−[10−(4−ビニルフェニル)−アントラセン−9−イル]−フェニル}−[2,2’,5’,2”,5”,2''',5''',2'''',5'''',2''''']セクシチオフェンの代わりに、上記式(13)で表される6−{4−[10−(4−ビニルフェニル)−アントラセン−9−イル]−フェニル}−[2,2’,6’,2”,6”,2''',6''',2'''',6'''',2''''']セクシピリジンを用いたこと以外は実施例1と同様にして、櫛型ポリマーの合成を行った。
5−{4−[10−(4−ビニルフェニル)−アントラセン−9−イル]−フェニル}−[2,2’,5’,2”,5”,2''',5''',2'''',5'''',2''''']セクシチオフェンの代わりに、上記式(13)で表される6−{4−[10−(4−ビニルフェニル)−アントラセン−9−イル]−フェニル}−[2,2’,6’,2”,6”,2''',6''',2'''',6'''',2''''']セクシピリジンを用いたこと以外は実施例1と同様にして、櫛型ポリマーの合成を行った。
得られた櫛型ポリマーの重量平均分子量(Mw)は15,000、数平均分子量(Mn)は11,000であった。モノマーの使用量及び櫛型ポリマーの平均分子量から、得られた櫛型ポリマーにおいては、9−ビフェニル−2−イル−10−(4−ビニルフェニル)−アントラセンと、6−{4−[10−(4−ビニルフェニル)−アントラセン−9−イル]−フェニル}−[2,2’,6’,2”,6”,2''',6''',2'''',6'''',2''''']セクシピリジンとの合計のユニット数が一分子当たり約30であり、一分子内に2箇所乃至3箇所の側鎖が存在することが示唆された。
次に、得られた櫛型ポリマーを用いたこと以外は実施例1と同様にして、発光層用塗布液を調製し、有機EL素子を作製した。
得られた有機EL素子においては、テトラフェニルブタジエンに由来する青色発光が得られた。有機EL素子の電流効率は10mA/cm2の定電流駆動時に2.3cd/Aであった。さらに、10mA/cm2の定電流駆動により寿命試験を行ったところ、輝度半減寿命は210時間であった。
[実施例3]
5−{4−[10−(4−ビニルフェニル)−アントラセン−9−イル]−フェニル}−[2,2’,5’,2”,5”,2''',5''',2'''',5'''',2''''']セクシチオフェンの代わりに、上記式(14)で表されるフェニル−[4−(12−フェニル−7−[2,2’,5’,2”,5”,2''',5''',2'''',5'''',2''''']セクシチオフェン−5−イル−ベンゾ[k]フルオランテン−3−イル)−フェニル]−(4−ビニルフェニル)−アミンを用いたこと以外は実施例1と同様にして、櫛型ポリマーの合成を行った。
5−{4−[10−(4−ビニルフェニル)−アントラセン−9−イル]−フェニル}−[2,2’,5’,2”,5”,2''',5''',2'''',5'''',2''''']セクシチオフェンの代わりに、上記式(14)で表されるフェニル−[4−(12−フェニル−7−[2,2’,5’,2”,5”,2''',5''',2'''',5'''',2''''']セクシチオフェン−5−イル−ベンゾ[k]フルオランテン−3−イル)−フェニル]−(4−ビニルフェニル)−アミンを用いたこと以外は実施例1と同様にして、櫛型ポリマーの合成を行った。
得られた櫛型ポリマーの重量平均分子量(Mw)は170,000、数平均分子量(Mn)は140,000であった。モノマーの使用量及び櫛型ポリマーの平均分子量から、得られた櫛型ポリマーにおいては、9−ビフェニル−2−イル−10−(4−ビニルフェニル)−アントラセンと、フェニル−[4−(12−フェニル−7−[2,2’,5’,2”,5”,2''',5''',2'''',5'''',2''''']セクシチオフェン−5−イル−ベンゾ[k]フルオランテン−3−イル)−フェニル]−(4−ビニルフェニル)−アミンとの合計のユニット数が一分子当たり約30であり、一分子内に2箇所乃至3箇所の側鎖が存在することが示唆された。
次に、得られた櫛型ポリマーを用いたこと以外は実施例1と同様にして、発光層用塗布液を調製し、有機EL素子を作製した。
得られた有機EL素子においては、テトラフェニルブタジエンに由来する青色発光が得られた。有機EL素子の電流効率は10mA/cm2の定電流駆動時に2.0cd/Aであった。さらに、10mA/cm2の定電流駆動により寿命試験を行ったところ、輝度半減寿命は150時間であった。
[実施例4]
5−{4−[10−(4−ビニルフェニル)−アントラセン−9−イル]−フェニル}−[2,2’,5’,2”,5”,2''',5''',2'''',5'''',2''''']セクシチオフェンの代わりに、上記式(15)で表されるフェニル−[4−(12−フェニル−7−[2,2’,6’,2”,6”,2''',6''',2'''',6'''',2''''']セクシピリジン−5−イル−ベンゾ[k]フルオランテン−3−イル)−フェニル]−(4−ビニルフェニル)−アミンを用いたこと以外は実施例1と同様にして、櫛型ポリマーの合成を行った。
5−{4−[10−(4−ビニルフェニル)−アントラセン−9−イル]−フェニル}−[2,2’,5’,2”,5”,2''',5''',2'''',5'''',2''''']セクシチオフェンの代わりに、上記式(15)で表されるフェニル−[4−(12−フェニル−7−[2,2’,6’,2”,6”,2''',6''',2'''',6'''',2''''']セクシピリジン−5−イル−ベンゾ[k]フルオランテン−3−イル)−フェニル]−(4−ビニルフェニル)−アミンを用いたこと以外は実施例1と同様にして、櫛型ポリマーの合成を行った。
得られた櫛型ポリマーの重量平均分子量(Mw)は150,000、数平均分子量(Mn)は130,000であった。モノマーの使用量及び櫛型ポリマーの平均分子量から、得られた櫛型ポリマーにおいては、9−ビフェニル−2−イル−10−(4−ビニルフェニル)−アントラセンと、フェニル−[4−(12−フェニル−7−[2,2’,6’,2”,6”,2''',6''',2'''',6'''',2''''']セクシピリジン−5−イル−ベンゾ[k]フルオランテン−3−イル)−フェニル]−(4−ビニルフェニル)−アミンとの合計のユニット数が一分子当たり30であり、一分子内に2箇所乃至3箇所の側鎖が存在することが示唆された。
次に、得られた櫛型ポリマーを用いたこと以外は実施例1と同様にして、発光層用塗布液を調製し、有機EL素子を作製した。
得られた有機EL素子においては、テトラフェニルブタジエンに由来する青色発光が得られた。有機EL素子の電流効率は10mA/cm2の定電流駆動時に2.4cd/Aであった。さらに、10mA/cm2の定電流駆動により寿命試験を行ったところ、輝度半減寿命は230時間であった。
[比較例1]
第1モノマーである9−ビフェニル−2−イル−10−(4−ビニルフェニル)−アントラセンのみを用いて実施例1と同様の重合反応を行い、直鎖状のホモポリマーを合成した。次に、得られたホモポリマーを用いたこと以外は実施例1と同様にして、発光層用塗布液を調製し、有機EL素子を作製した。
第1モノマーである9−ビフェニル−2−イル−10−(4−ビニルフェニル)−アントラセンのみを用いて実施例1と同様の重合反応を行い、直鎖状のホモポリマーを合成した。次に、得られたホモポリマーを用いたこと以外は実施例1と同様にして、発光層用塗布液を調製し、有機EL素子を作製した。
得られた有機EL素子においては、テトラフェニルブタジエンに由来する青色発光が得られた。有機EL素子の電流効率は10mA/cm2の定電流駆動時に1.5cd/Aであった。さらに、10mA/cm2の定電流駆動により寿命試験を行ったところ、輝度半減寿命は110時間であった。
1…基板、2…陽極層(第1の電極層)、3…有機層、4…陰極層(第2の電極層)、5…封止板、6…絶縁体層、7…スペーサー、8…電力供給部、9…有機EL素子、10…スイッチング部、11…駆動部、12…制御論理回路、13…発光領域、14…表示部。
Claims (8)
- 互いに対向して配置された2つの電極と、
該電極間に配置され、主鎖及び該主鎖に結合した複数の側鎖を有する櫛型ポリマー並びに発光性ドーパントを含有する有機層と、
を備えることを特徴とする有機EL素子。 - 前記主鎖又は前記側鎖の少なくとも一方がポリビニル鎖を含むことを特徴とする、請求項1に記載の有機EL素子。
- 前記主鎖が発光性化合物から誘導される炭素数10以上の芳香族基及び重合性官能基を有するモノマーの重合により形成されたポリマー鎖を含み、前記側鎖がキャリア輸送性化合物から誘導される炭素数4以上の芳香族基及び重合性官能基を有するモノマーの重合により形成されたポリマー鎖を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の有機EL素子。
- 前記側鎖がピリジン環、ピリミジン環、キノリン環、キノキサリン環、フェナントロリン環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、チオフェン環及び芳香族アミノ基から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする、請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の有機EL素子。
- 互いに対向して配置された2つの電極と、該電極間に配置され、主鎖及び該主鎖に結合した複数の側鎖を有する櫛型ポリマー及び発光性ドーパントを含有する有機層と、を含んで構成される複数の有機EL素子が配列された表示部、
前記2つの電極それぞれに電気的に接続されており該電極に電圧又は電流を供給する電力供給部、並びに
前記有機EL素子のそれぞれを点灯又は消灯するスイッチング部、
を備えることを特徴とする有機ELディスプレイ。
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