JP2005093134A - 有機el素子及び有機elディスプレイ - Google Patents

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Abstract

【課題】 耐熱性、寿命及び発光効率の全てを高水準で達成可能な有機EL素子及び有機ELディスプレイの提供。
【解決手段】 有機EL素子9の互いに対向して配置された2つの電極2、4間に、発光性化合物から誘導される炭素数10以上の芳香族基及び1個の重合性官能基を有する第1モノマーと発光性化合物から誘導される炭素数10以上の芳香族基及び2個以上の重合性官能基を有する第2モノマーとのコポリマーを含有する有機層3を設ける。
【選択図】 図1

Description

本発明は有機EL(エレクトロルミネッセンス、電界発光)素子及び有機ELディスプレイに関する。
有機ELディスプレイなどに用いられる有機EL素子の分野では、真空蒸着法により低分子化合物を用いて有機層を形成する技術(例えば非特許文献1参照)に基づいて各種デバイスが試作され、現在実用化の段階を迎えつつある。
その一方で、有機層の構成材料としてポリマー材料を用いた有機EL素子の開発が進められている。このような有機EL素子は、一般的には、π共役系ポリマーを用いたπ共役型のもの(例えば、特許文献1参照)と、非共役系ポリマー中に色素を分散した分子分散型のもの(例えば、非特許文献2、3参照)とに大別される。このうち、非共役型の有機EL素子は、所定のドーパントをホストポリマーに混ぜることにより、目的の色を高い色純度で得ることができるという利点を有している。
特開平10−92576号公報 Applied Physics Letters, vol.51, pp913 (1987) Polymer, vol.24, pp748 (1983) Applied Physics Letters, vol.75, No.1, pp4 (1999)
しかしながら、従来の分子分散型の有機EL素子に用いられるポリマー材料はキャリア輸送性や安定性が必ずしも十分とは言えないため、従来の分子分散型EL素子は発光効率、耐熱性及び寿命の点で改善の余地がある。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、耐熱性、寿命及び発光効率の全てを高水準で達成可能な有機EL素子及び有機ELディスプレイを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の有機EL素子は、互いに対向して配置された2つの電極と、該電極間に配置され、発光性化合物から誘導される炭素数10以上の芳香族基及び1個の重合性官能基を有する第1モノマーと発光性化合物から誘導される炭素数10以上の芳香族基及び2個以上の重合性官能基を有する第2モノマーとのコポリマーを含有する有機層と、を備えることを特徴とする。
本発明においては、第1モノマー及び第2モノマーに由来する上記特定の芳香族基がコポリマー分子中に安定的に且つ十分な分散均一性をもって保持されるため、高水準の発光特性及びキャリア輸送性を達成することができる。また、当該コポリマーは第1モノマー及び第2モノマーにより形成された架橋構造を有し得るため、機械的強度、耐熱性等の特性にも優れる。従って、かかるコポリマーを有機層に含有せしめることで、耐熱性、寿命及び発光効率の全てを達成可能な有機EL素子が実現される。
本発明にかかるコポリマーは、好ましくは、第1モノマー及び第2モノマーにより形成される架橋構造を有する。かかる架橋構造を有するコポリマーを有機層に含有せしめることで、有機層の機械的強度、耐熱性、発光性ドーパントの分散均一性及び安定性の全てを高水準で達成することができる。
なお、本発明にかかるコポリマーが架橋構造を有する場合に発光効率が向上する理由は必ずしも明確でないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、本発明にかかるコポリマーにおいては、第1モノマー及び第2モノマーにより架橋構造が形成されることで、上記芳香族基が発光特性やキャリア輸送性の点で有効な立体配置をとるものと考えられる。さらに、かかる架橋構造中の架橋点がコポリマーの不連続点(キャリアトラップとなりやすい点)となり、この不連続点がホールと電子との再結合中心となりやすいものと考えられる。そして、この再結合中心が発光効率の向上に寄与しているものと考えられる。
また、第1モノマー及び第2モノマーはそれぞれビニル基を有するモノマーであることが好ましい。第1モノマー及び第2モノマーとしてそれぞれビニル基を有するモノマーを用いることによって、耐熱性、寿命及び発光効率に優れた有機EL素子を有効に実現することができる。
また、第2モノマーは、下記式(1)又は(2)で示される構造を有するモノマーであることが好ましい。
Figure 2005093134
[式(1)中、nは1〜3の整数を表し、ベンゼン環及びアントラセン環を構成する炭素原子それぞれは置換又は未置換のいずれであってもよく、2個以上の重合性官能基はベンゼン環及びアントラセン環を構成する炭素原子又は該炭素原子に結合した置換基の構成原子に結合する。]
Figure 2005093134
[式(2)中、フルオランテン環を構成する炭素原子それぞれは置換又は未置換のいずれであってもよく、2個以上の重合性官能基はフルオランテン環を構成する炭素原子又は該炭素原子に結合した置換基の構成原子に結合する。]
また、本発明の有機ELディスプレイは、互いに対向して配置された2つの電極、及び該電極間に配置され、発光性化合物から誘導される炭素数10以上の芳香族基及び1個の重合性官能基を有する第1モノマーと発光性化合物から誘導される炭素数10以上の芳香族基及び2個以上の重合性官能基を有する第2モノマーとのコポリマーを含有する有機層を含んで構成される複数の有機EL素子が配列された表示部と、2つの電極それぞれに電気的に接続されており該電極に電圧又は電流を供給する電力供給部と、有機EL素子のそれぞれを点灯又は消灯するスイッチング部と、を備えることを特徴とする。
このように、表示部において上記本発明の有機EL素子を配列し、さらに電力供給部及びスイッチング部により当該表示部を駆動することによって、輝度や色表示機能に優れ、さらには、耐熱性が高く長寿命の有機ELディスプレイが実現可能となる。
本発明によれば、耐熱性、寿命及び発光効率の全てを高水準で達成可能な有機EL素子及び有機ELディスプレイが実現可能となる。
以下、場合により図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
先ず、本発明の有機EL素子において、有機層に含まれるコポリマー(以下、場合により「本発明にかかるコポリマー」という)について説明する。
本発明にかかるコポリマーを構成する第1モノマーは、発光性化合物から誘導される炭素数10以上の芳香族基(以下、場合により単に「芳香族基」という)及び1個の重合性官能基を有するモノマーである。芳香族基は窒素原子、酸素原子等を含んでいてもよい。好ましい芳香族基の具体例としては、ナフタレン環、アントラセン環、ナフタセン環、ピレン環、ペリレン環、フルオレン環、フルオランテン環、フェナントレン環、カルバゾール環、キノリン環、キノキサリン環、フェナントロリン環、並びにこれらの2種類以上が組み合わせられた構造を有する芳香族基が挙げられる。
また、第1モノマーが有する重合性官能基としては、ビニル基、エポキシ基等のように1種類で重合可能なものでもよく、エステル結合、エーテル結合等を形成可能な2種類の官能基であってもよい。2種類の官能基の反応としては、水酸基とカルボン酸基との脱水反応、水酸基とエステル基とのエステル交換反応、水酸基とハロゲン基との脱酸反応等が挙げられる。
第1モノマーとしては、コポリマーの分子設計の自由度を大きくし、有機層に所望の特性を容易に且つ確実に付与できる点から、非π共役系ポリマーを形成し得るモノマーであって1個の重合性官能基(好ましくはビニル基)を有するモノマーが好ましく、耐熱性、寿命及び発光効率の全てを高水準で達成可能な点から、下記一般式(3)で表される化合物が特に好ましい。
Figure 2005093134
式中、Lは2価の基を表し、X、X、X、X及びXは同一でも異なっていてもよく、それぞれアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、複素環基、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基又はアミノ基を表し、これらの置換基は互いに結合して環を形成していてもよい。また、a、b、cは及びdはそれぞれ0〜4の整数を表し、eは0〜5の整数を表し、nは0又は1を表し、pは0又は1を表し、qは1〜3の整数を表す。
Lで表される2価の基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基などのアルキレン基、フェニレン基などのアリーレン基が挙げられる。これらの2価の基は置換基を有していてもよく、また、未置換であってもよい。また、nは0又は1を表し、mが0の場合はベンゼン環を構成する炭素原子にビニル基が直接結合した構造となる。
〜Xがアルキル基である場合、アルキル基は直鎖状又は分岐状のいずれであってもよい。また、アルキル基は未置換のものが好ましいが、置換基を有していてもよい。アルキル基の炭素数は1〜30が好ましい。好ましいアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基などが挙げられる。
〜Xがアルコキシ基である場合、アルコキシ基を構成するアルキル基は直鎖状又は分岐鎖状であってもよい。また、アルコキシ基は未置換のものが好ましいが、置換基を有していてもよい。アルコキシ基の炭素数は1〜30が好ましい。好ましいアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基などが挙げられる。
〜Xがアリール基である場合、アリール基は置換又は未置換のいずれであってもよいが、アリール基の総炭素数は6〜20が好ましい。好ましいアリール基としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、ビフェニリル基、ナフチル基などが挙げられる。
〜Xがアリールオキシ基である場合、アリールオキシ基を構成するアリール基は置換又は未置換のいずれであってもよいが、アリールオキシ基の総炭素数は6〜20が好ましい。好ましいアリールオキシ基としては、フェノキシ基、o−トリルオキシ基、m−トリルオキシ基、p−トリルオキシ基などが挙げられる。
〜Xが複素環基である場合、複素環基は5員環基又は6員環基であることが好ましい。複素環基は縮合環を有していてもよく、また、置換基を有していてもよい。また、複素環基は芳香族性を有していても芳香族性を有していなくてもよい。好ましい複素環基としては、ピロリル基、ピリジル基、キノリル基、チエニル基、フリル基などが挙げられる。
〜Xがハロゲン原子である場合、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などが挙げられる。
〜Xがアミノ基である場合、アミノ基は置換又は未置換のいずれであってもよく、例えば上述のアルキル基やアリール基を有するものであってもよい。アミノ基の総炭素数は0〜20が好ましい。好ましいアミノ基としては、狭義のアミノ基(−NH)、メチルアミノ基、エチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基などが挙げられる。
一般式(3)で表される化合物の中でも、下記一般式(4)又は(5)で表される化合物を用いることがより好ましい。
Figure 2005093134
Figure 2005093134
一般式(4)、(5)中、Rはアルキル基、アルコキシ基又はアリール基を示す。また、式中のeは置換基Rの数を表し、1〜5の整数である。Rの置換位置は特に制限されないが、p−位にRが結合した化合物を用いることが好ましい。
Rで表されるアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜30、より好ましくは1〜20、さらに好ましくは炭素数1〜12である。Rで表されるアルキル基は直鎖状、分岐状のいずれであってもよい。Rで表されるアルキル基の好ましい例としては、n−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、エチルヘキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、イソデシル基、n−ウンデシル基、イソウンデシル基、n−ドデシル基、イソドデシル基などが挙げられる。
また、Rで表されるアルコキシ基の炭素数は、好ましくは1〜30、より好ましくは1〜20、さらに好ましくは1〜12である。Rで表されるアルコキシ基は直鎖状、分岐鎖状のいずれであってもよい。Rで表されるアルコキシ基の好ましい例としては、ブチロキシ基、ヘキシロキシ基、エチルヘキシロキシ基、オクチロキシ基、ドデシロキシ基、ヘキサデシロキシ基、アイコロキシ基などが挙げられる。
また、Rで表されるアリール基の総炭素数は、好ましくは6〜30、より好ましくは6〜20である。アリール基は置換又は未置換のいずれであってもよい。Rで表されるアリール基の好ましい例としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、ビフェニリル基、ナフチル基などが挙げられる。
一般式(4)で表されるモノマーとしては、例えば、下記式(6)で表される10’−ビフェニル−2−イル−10−(4−ビニルフェニル)−[9,9’]ビアントラセニル、下記式(7)で表される10−(4−ドデシルフェニル)−10’−(4−ビニルフェニル)−[9,9’]ビアントラセニル等が挙げられる。また、(5)で表されるモノマーとしては、例えば、下記式(8)で表される9−ビフェニル−2−イル−10−(4−ビニルフェニル)−アントラセン、下記式(9)で表される9−(4−オクチルフェニル)−10−(4−ビニルフェニル)−アントラセン、下記式(10)で表される9−(2,4−ヘキサデシロキシフェニル)−10−(4−ビニルフェニル)−アントラセン等が挙げられる。
Figure 2005093134
Figure 2005093134
Figure 2005093134
Figure 2005093134
Figure 2005093134
本発明にかかるコポリマーを構成する第2モノマーは、発光性化合物から誘導される炭素数10以上の芳香族基及び2個以上の重合性官能基を有するモノマーである。第2モノマーが有する芳香族基は窒素原子、酸素原子等を含んでいてもよい。好ましい芳香族基の具体例としては、ナフタレン環、アントラセン環、ナフタセン環、ピレン環、ペリレン環、フルオレン環、フルオランテン環、フェナントレン環、カルバゾール環、キノリン環、キノキサリン環、フェナントロリン環、並びにこれらの2種類以上が組み合わせられた構造を有する芳香族基が挙げられる。なお、第1モノマー又は第2モノマーの少なくとも一方が上記芳香族基を有していれば他方は当該芳香族基を有さなくてもよいが、第1モノマー及び第2モノマーとしてそれぞれ上記芳香族基を有するモノマーを用いることによって、本発明にかかるコポリマーのキャリア輸送性をさらに高めることができる。
また、第2モノマーが有する重合性官能基としては、ビニル基、エポキシ基等のように1種類で重合可能なものでもよく、エステル結合、エーテル結合等を形成可能な2種類の官能基であってもよい。2種類の官能基の反応としては、水酸基とカルボン酸基との脱水反応、水酸基とエステル基とのエステル交換反応、水酸基とハロゲン基との脱酸反応等が挙げられる。耐熱性、寿命及び発光効率の全てをさらに高める点からは、第2モノマーの重合性官能基の個数は2〜4であることが好ましい。
第2モノマーとしては、コポリマーの分子設計の自由度を大きくし、有機層に所望の特性を容易に且つ確実に付与できる点から、非π共役系ポリマーを形成し得るモノマーであって1個の重合性官能基(好ましくはビニル基)及び上述の芳香族基を有するモノマーが好ましく、耐熱性、寿命及び発光効率の全てを高水準で達成可能な点から、2個以上の重合性官能基(好ましくはビニル基)及び下記式(1)又は(2)で表される構造を有するモノマーが特に好ましい。
Figure 2005093134
Figure 2005093134
式(1)中、nは1〜3の整数を表す。一般式(1)中のベンゼン環及びアントラセン環を構成する炭素原子それぞれは置換又は未置換のいずれであってもよい。置換基としては、一般式(3)中のX〜Xの説明において例示されたアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、複素環基、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基、アミノ基などが挙げられる。これらの置換基は互いに結合して環を形成していてもよい。
式(1)で表される構造を有する第2モノマーにおいて、2個以上の重合性官能基はベンゼン環及びアントラセン環を構成する炭素原子に直接結合してもよく、また、ベンゼン環及びアントラセン環を構成する炭素原子に置換基が結合している場合には、当該置換基の構成原子に重合性官能基が結合していてもよい。
同様に、式(2)中、フルオランテン環を構成する炭素原子それぞれは置換又は未置換のいずれであってもよい。2個以上の重合性官能基はフルオランテン環を構成する炭素原子又は該炭素原子に結合した置換基に結合する。
一般式(1)で表される構造を有する第2モノマーとしては、例えば下記式(11)で表される10,10−ビス(4−ビニルフェニル)−[9,9’]ビアントラセニル、下記式(12)で表される9,10−ビス(4−ビニルフェニル)−アントラセン、下記式(13)で表される9,9’,10,10’−テトラキス(4−ビニルフェニル)−[2,2’]ビアントラセニル、さらには下記式(14)〜(16)で表されるアントラセン誘導体が挙げられる。
Figure 2005093134
Figure 2005093134
Figure 2005093134
Figure 2005093134
Figure 2005093134
Figure 2005093134
また、式(2)で表される構造を有する第2モノマーとしては、例えば下記式(17)で表される[4−(7,12−ジフェニルベンゾ[k]フルオランテン−3−イル)−フェニル]−ビス(4−ビニルフェニル)−アミン、下記式(18)で表される[4−(12−フェニルベンゾ[k]フルオランテン−7−イル)−フェニル]−ビス(4−ビニルフェニル)−アミン、下記式(19)で表されるフルオランテン誘導体が挙げられる。
Figure 2005093134
Figure 2005093134
Figure 2005093134
上述の第1モノマー及び第2モノマーの組み合わせは特に制限されないが、式(6)又は(8)で表される第1モノマーと、式(17)又は(18)で表される第2モノマーとの組み合わせが好ましく、式(6)で表される第1モノマーと式(17)で表される第2モノマーとの組み合わせ、式(8)で表される第1モノマーと式(17)で表される第2モノマーとの組み合わせ、並びに式(8)で表される第1モノマーと式(17)で表される第2モノマーとの組み合わせが特に好ましい。
第1モノマーと第2モノマーとの共重合方法としては、重合性官能基の種類及び組み合わせに応じて、ラジカル重合法、カチオン重合法、アニオン重合法などから適宜選択することができる。第1モノマーと第2モノマーとの重合比(モル比)は、好ましくは1:1〜1000:1、より好ましくは10:1〜100:1である。また、得られるコポリマーの分子量は特に制限されないが、素子特性(耐熱性、寿命及び発光効率)と製造時の溶解性とをバランスよく両立できる点から、重量平均分子量が10,000〜200,000の範囲内であることが好ましい。
本発明にかかるコポリマーは、好ましくは、第1モノマー及び第2モノマーにより形成される架橋構造を有する。かかる架橋構造を有するコポリマーを有機層に含有せしめることで、有機層の機械的強度、耐熱性、発光性ドーパントの分散均一性及び安定性の全てを高水準で達成することができる。
上記説明では、第1モノマーと第2モノマーとの共重合により得られるコポリマーが非π共役ポリマーである場合について詳述したが、架橋による高効率化、高寿命化はπ共役系ポリマーにも適用可能である。π共役系ポリマーとしては、具体的には、ポリパラフェニレンビニル構造、ポリパラフェニレン構造、ポリアミン構造、ポリチオフェン構造、ポリフルオレン構造などを有するポリマーが挙げられる。
次に、本発明の有機EL素子及びその製造方法について説明する。
図1は本発明の有機EL素子の好適な一実施形態を示す模式断面図である。図1に示した有機EL素子9において、基板1上には陽極層2(第1の電極層)及び絶縁体層6がこの順で積層されており、絶縁体層6の発光領域に対応する部分には陽極層2が露出するように開口部が設けられている。そして、この露出した陽極層2上に、有機層3、陰極層4(第2の電極層)がこの順で積層され、基板1/陽極層2/有機層3/陰極層4の積層構造が形成されている。有機層3には、本発明にかかるコポリマーが含まれている。また、有機EL素子9の陰極層2側の面は、非発光領域の絶縁体層上に設けられたスペーサー7を介して、封止板5により封止されている。
(基板)
基板1としては、ガラス、石英などの非晶質基板、Si、GaAs、ZnSe、ZnS、GaP、InPなどの結晶基板、Mo、Al、Pt、Ir、Au、Pd、SUSなどの金属基板などを用いることができる。また、結晶質又は非晶質のセラミック、金属、有機物などの薄膜を所定基板上に形成したものを用いてもよい。
基板1の側を光取出し側とする場合には、基板1としてガラスや石英などの透明基板を用いることが好ましく、特に、安価なガラスの透明基板を用いることが好ましい。透明基板には、発色光の調整のために、色フィルター膜や蛍光物質を含む色変換膜、あるいは誘電体反射膜などを設けてもよい。
(陽極層)
陽極層2は、有機層3へのホール注入電極として機能する。そのため、陽極層2の材料としては、有機層にホールを効率よく注入できる材料が好ましく、より具体的には、仕事関数が4.5〜5.5eVである材料が好ましい。
また、基板1の側を光取出し側とする場合、有機EL素子の発光波長領域である波長400〜700nmにおける透過率、特にRGB各色の波長における透過率は、50%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。陽極層2の透過率が50%未満であると、は有機層3からの発光が減衰されて画像表示に必要な輝度が得られにくくなる。
光透過率の高い陽極層2は、各種類酸化物で構成される透明導電膜を用いて構成することができる。かかる材料としては、酸化インジウム(In)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)などが好ましく、中でも、ITOは、面内の比抵抗が均一な薄膜が容易に得られる点で特に好ましい。ITO中のInに対するSnOの比は、1〜20重量%が好ましく、5〜12重量%がより好ましい。また、IZO中のInに対するZnOの比は12〜32重量%が好ましい。上記材料は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、陽極層2を構成する酸化物の組成は化学量論組成から多少偏倚していてもよい。例えば、ITOは、通常、InとSnOとを化学量論組成で含有するが、ITOの組成をInO・SnOで表すとき、xは1.0〜2.0の範囲内、yは0.8〜1.2の範囲内であればよい。
また、陽極層2に酸化シリコン(SiO)などの透明な誘電体を添加することにより、陽極層2の仕事関数を調整することができる。例えば、ITOに対して0.5〜10mol%程度のSiOを添加することによりITOの仕事関数を増大させ、陽極層2の仕事関数を上述の好ましい範囲内とすることができる。
陽極層2の膜厚は、上述の光透過率を考慮して決定することが好ましい。例えば酸化物透明導電膜を用いる場合、その膜厚は、好ましくは50〜500nm、より好ましくは50〜300nmであることが好ましい。陽極層2の膜厚が500nmを超えると、光透過率が不十分となると共に、基板1からの陽極層2の剥離が発生する場合がある。また、膜厚の減少に伴い光透過性は向上するが、膜厚が50nm未満の場合、有機層3へのホール注入効率が低下すると共に膜の強度が低下してしまう。
なお、図1には基板1上に陽極層2を配置し、有機層3を介して基板1から遠い側に陰極層4を配置した有機EL素子の例を示したが、陽極層2及び陰極層4の位置は逆であってもよい。基板1上に陰極層4を配置した場合、陰極層4側を光取出し側とすることができるが、この場合には、陰極層4が上述の光学的条件及び膜厚条件を満たすことが好ましい。
(絶縁体層)
本発明の有機EL素子においては、図1に示したように、陽極層2上の非発光領域には絶縁体層6を設けることが好ましい。かかる絶縁層6を設けることで、発光面積を制御して色のにじみを抑制することができる。絶縁層6の材料としては、一般的な絶縁膜材料、例えばSiOやAlなどを適宜選択して用いることができる。絶縁体層6の膜厚は1〜7μm程度が好ましい。絶縁体層6の発光領域に対応する部分には、フォトリソグラフィ及びエッチングの手法により、陽極層2が露出するように開口部が設けられ、この露出した陽極層2上に有機層3、陰極層4(第2の電極層)がこの順で積層される。これにより、陽極層2と有機層3との電気伝導が確保される。
(有機層)
有機層3は、上述の通り、本発明にかかるコポリマーを含有する発光層である。本発明にかかるコポリマーにおいては、第1モノマー及び第2モノマーに由来する芳香族基がコポリマー分子中に安定的に且つ十分な分散均一性をもって保持されるため、高水準の発光特性及びキャリア輸送性を達成することができる。また、当該コポリマーは第1モノマー及び第2モノマーにより形成された架橋構造を有し得るため、機械的強度、耐熱性等の特性にも優れる。従って、かかるコポリマーを有機層3に含有せしめることで、耐熱性、寿命及び発光効率の全てを達成することができる。
発光層である有機層3からの発光色は、第1モノマー及び第2モノマーが有する芳香族基を適宜選定することにより調整することができる。例えば、第1モノマーとして9−ビフェニル−2−イル−10−(4−ビニルフェニル)アントラセンを、第2モノマーとして[4−(7,12−ジフェニルベンゾ[k]フルオランテン−3−イル)−フェニル]−ビス(4−ビニルフェニル)−アミンをそれぞれ用いた場合、有機層3からの発光色は青緑色となる。
有機層3は、本発明にかかるコポリマーに加えて、ホール輸送性材料、電子輸送性材料などの他のキャリア輸送性材料をさらに含有してもよい。
ホール輸送性材料としては、低分子材料、高分子材料のいずれも使用可能である。ホール輸送性低分子材料としては、例えば、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体などが挙げられる。また、ホール輸送性高分子材料としては、ポリビニルカルバゾール、ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸共重合体(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/ポリスチレンスルホン酸共重合体(Pani/PSS)などが挙げられる。これらのホール輸送性材料は、1種類を単独で用いてもよく、また、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
また、電子輸送性材料としては、低分子材料、高分子材料のいずれも使用可能である。電子輸送性低分子材料としては、例えば、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタン及びその誘導体、フルオレン及びその誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、フェナントロリン及びその誘導体、並びにこれらの化合物を配意しとする金属錯体などが挙げられる。また、電子輸送性高分子材料としては、ポリキノキサリン、ポリキノリンなどが挙げられる。これらの電子輸送性材料は、1種類を単独で用いてもよく、また、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、低分子材料とその使用形態については、例えば、特開昭63−70257号公報、特開昭63−175860号公報、特開平2−135359号公報、特開平3−37992号公報、特開平3−152184号公報などに開示の技術を用いることができる。
有機層3の形成は、塗布法により好適に行うことができる。かかる塗布の際には、発光用ドーパント、本発明にかかるコポリマー、あるいはさらに必要に応じて用いられる他のキャリア輸送性材料を、所定の溶媒に加えた塗布液が用いられる。塗布液の溶媒としては、本発明にかかるコポリマーが溶解し、塗布の際に障害が生じないものであれば特に限定されない。例えば、アルコール系、炭化水素系、ケトン系、エーテル系などの有機溶媒を用いることができる。中でも、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどが好ましい。本発明にかかるコポリマーの溶媒への溶解量は、ビニルポリマーの構造や分子量等に応じて適宜選定されるが、好ましくは0.1重量%以上である。
上記塗布液を、絶縁体層6の陽極層2が露出した開口部を覆うように塗布し、加熱により塗布液から溶媒を除去することで、有機層3が形成される。塗布液の塗布方法としては、特に制限されないが、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、ディップコート法、インクジェット法、印刷法などが適用可能である。
また、塗布液から溶媒を除去するに際し、本発明にかかるコポリマーのガラス転移温度以上の加熱温度で加熱することにより、非常に高水準の残留溶媒低減効果及び密着性向上効果を得ることができる。上述の加熱は減圧下又は不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
有機層3の膜厚は特に制限されず、また、形成方法によっても異なるが、好ましくは5〜500nm、より好ましくは10〜300nmである。
なお、図1には、有機層3が本発明にかかるコポリマーを含有する発光層のみからなる単層構造の有機EL素子の例を示したが、有機層は、本発明にかかるコポリマー及び発光用ドーパントを含有する層を有するものであれば、発光層、キャリア輸送層、キャリアブロック層などの層が複数積層された多層構造であってもよい。
例えば、発光層と陽極層との間にホール輸送層を、発光層と陰極層との間に電子輸送層を、それぞれ配置してもよい。この場合、ホール輸送層及び電子輸送層それぞれに本発明にかかるコポリマーを含有せしめることで、有機層に注入されるホール及び電子の輸送性が高められ、発光効率をさらに向上させることができる。さらに、有機EL素子の耐熱性及び寿命も高められる。
(陰極層)
陰極層4は有機層3に電子を注入する層として機能する。陰極層4の具体的態様としては、無機電子注入層、有機金属錯体の塗布膜からなる電子注入層、金属塩の塗布膜からなる電子注入層などが挙げられる。また、これらの電子注入層に補助電極層が積層した積層体を陰極層4としてもよい。かかる積層体の場合、無機電子注入層、有機金属錯体の塗布膜、金属塩の塗布膜が有機層3に近い側に配置され、補助電極層は有機層3から遠い側に配置される。
無機電子注入層を形成する場合には、有機層3への電子注入が容易となるように、仕事関数が低い無機材料を選択することが好ましい。かかる無機材料としては、Li、Na、K、Csなどのアルカリ金属、Mg、Ca、Sr、Baなどのアルカリ土類金属、LiF、CsIなどのアルカリハロゲン化物などが挙げられる。また、La、Ce、Sn、Zn、Zrなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属と特性が近い金属を用いることができる。これらの中でも、Caは仕事関数が非常に低いため特に好ましい。
無機電子注入層の膜厚は、有機層3への電子注入が可能であれば特に制限されないが、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を用いる場合は、好ましくは0.1〜100nm、より好ましくは1.0〜50nmである。また、アルカリハロゲン化物を用いる場合の膜厚は、有機層3への電子注入能力の点からできるだけ薄い方が好ましく、具体的には、10nm以下が好ましく、1nm以下がより好ましい。
また、有機金属錯体の塗布膜からなる電子注入層は、例えば、有機金属錯体を所定溶媒に加えた塗布液を、スピンコート法などの塗布法により有機層3上に塗布し、塗布液から溶媒を除去することで形成可能である。かかる有機金属錯体としては、β−ジケトナト錯体、キノリノール錯体などが使用可能である。有機金属錯体が有する金属は、仕事関数が低いものであれば特に制限されないが、例えば、Li、Na、K、Csなどのアルカリ金属、Mg、Ca、Sr、Baなどのアルカリ土類金属、さらには、La、Ce、Sn、Zn、Zrなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属と特性が近い金属が挙げられる。また、有機金属錯体の塗布膜に電子輸送性高分子材料等をさらに含有せしめることで、電子注入層の電気特性や有機層3に対する密着性をさらに向上させることができる。有機金属錯体の塗布膜からなる電子注入層の膜厚は、有機層3への電子注入能力の点から、できるだけ薄い方が好ましく、具体的には、10nm以下が好ましく、1nm以下がより好ましい。
有機金属錯体の塗布膜からなる電子注入層と保護電極層との合計の膜厚、すなわち陰極層4全体の膜厚は、有機層3への電子注入が可能であれば特に制限されないが、陰極層4全体の膜厚は好ましくは50〜500nmである。なお、電子注入層に対する保護電極層の膜厚が薄すぎると上述の効果が十分に得られなくなり、また、補助電極の膜厚が厚すぎると補助電極層による応力が増大してダークスポットの成長速度が大きくなる傾向にある。
また、金属塩の塗布膜からなる電子注入層は、金属塩を所定溶媒に加えた塗布液を、スピンコート法などの塗布法により有機層3上に塗布し、塗布液から溶媒を除去することにより形成可能である。かかる金属塩に含まれる金属としては、Ag、Al、Au、Be、Bi、Co、Cu、Fe、Ga、Hg、Ir、Mo、Mn、Nb、Ni、Os、Pb、Pd、Pt、Re、Ru、Sb、Sn、Ti、Zrなどが挙げられる。
また、当該金属塩は有機金属塩、無機金属塩のいずれであってもよい。有機金属塩としては、置換又は未置換の脂肪族カルボン酸塩、二価カルボン酸塩、芳香族カルボン酸塩、アルコラート、フェノラート、ジアルキルアミドなどが挙げられる。また、無機金属塩としてはハロゲン化物などが挙げられる。
脂肪族カルボン酸塩の脂肪族カルボン酸は、飽和脂肪族カルボン酸、不飽和脂肪族カルボン酸のいずれであってもよい。飽和脂肪族カルボン酸塩としては、酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、イソオクタン酸、デカン酸、ラウリン酸などの金属塩が挙げられる。また、不飽和脂肪族カルボン酸塩としては、オレイン酸、リシノレイン酸、リノール酸などの金属塩が挙げられる。
二価カルボン酸塩としては、例えば、クエン酸、リンゴ酸、シュウ酸など二価カルボン酸の金属塩が挙げられる。
芳香族カルボン酸塩としては、安息香酸、o−tert−ブチル安息香酸、m−tert−ブチル安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、サリチル酸、m−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸などの金属塩が挙げられ、中でもサリチル酸の金属塩が好ましい。
アルコラートはアルコールの金属塩である。アルコラートを構成するアルコール成分としては、例えば、エタノール、n−プロピルアルコール、n−ブチルアルコールなどの一級アルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコールなどの二級アルコール、tert−ブチルアルコールなどの三級アルコールなどが挙げられる。
フェノラートはフェノール類の金属塩である。フェノラートを構成するフェノール成分が有する水酸基の個数は特に制限されないが、好ましくは1〜2個である。また、かかるフェノール成分は水酸基の他に置換基(好ましくは炭素数1〜8の直鎖又は分岐アルキル基)を有していてもよい。本発明では、フェノール、ナフトール、4−フェニルフェノールなどが好ましく用いられる。
また、無機金属塩であるハロゲン化物としては、例えば、塩素、フッ素、臭素、ヨウ素などの金属塩が挙げられる。
これらの電子注入層上には補助電極層を設けることが好ましい。これにより、有機層3への電子注入効率を向上させることができ、また、有機層3や電子注入層への水分又は有機溶媒の侵入を防止することができる。補助電極層の材料としては、仕事関数及び電荷注入能力に関する制限がないため、一般的な金属を用いることができるが、導電率が高く取り扱いが容易な金属を用いることが好ましい。また、特に電子注入層が有機材料を含む場合には、有機材料の種類や密着性などに応じて適宜選択することが好ましい。補助電極層に用いられる材料としては、具体的には、Al、Ag、In、Ti、Cu、Au、Mo、W、Pt、Pd、Niなどが挙げられるが、中でもAl及びAgなどの低抵抗の金属を用いると電子注入効率をさらに高めることができる。また、TiNなどの金属化合物を用いることにより一層高い封止性を得ることができる。これらの材料は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせてもよい。また、2種類以上の金属を用いる場合は合金として用いてもよい。
(スペーサー及び封止板)
図1に示したように、有機EL素子9の陰極層4側を封止板5により封止することで、有機層3、さらには陽極層2及び陰極層4の劣化を防止することができる。この際、絶縁層6上の非発光領域にスペーサー7を配置し、スペーサー7と封止板5とを接着することにより、有機EL素子9の陰極層4側表面と封止板5との接触を防止することができる。スペーサー7は、有機材料、無機材料(金属材料を含む)のいずれであってもよい。また、フォトレジストや感光性ポリイミドなどの感光性材料を用い、フォトリソグラフィなどの手法によりスペーサー7を形成することもできる。さらには、接着剤とガラススペーサーなどの絶縁体とを混合し、その混合物をスペーサー7の形成領域に塗布してもよい。
有機EL素子9の陰極層4側表面と封止板5及びスペーサー7とにより形成される空間には封止ガスを封入することが好ましい。かかる封止ガスとしては、Ar、Heなどの不活性ガスを用いることが好ましい。封止ガスの水分含有量は、好ましくは100ppm以下、より好ましくは10ppm以下、さらに好ましくは1ppm以下である。なお、封止ガスの水分含有量の下限値については特に制限されないが、0.1ppm程度であれば、有機層3、陽極層2、陰極層4などの劣化防止効果が高く非常に好ましい。
上記実施形態によれば、本発明にかかるコポリマー及び発光用ドーパントを有機層3に含有せしめることで、発光効率、耐熱性、寿命などの素子特性が高水準で達成された有機EL素子が実現可能となる。かかる有機EL素子は、有機ELディスプレイ、さらにはメモリ読み出しや書き込みに利用される光ピックアップ、光通信の伝送路に設けられる中継装置、フォトカプラなどの様々な光応用デバイスの分野で非常に有用である。
次に、本発明の有機ELディスプレイについて説明する。
図2は、本発明の有機ELディスプレイの好適な一実施形態を示すブロック図である。図2に示した有機ELディスプレイはパッシブ駆動方式のものであり、青色発光素子を励起光源とする色変換方式の有機ELディスプレイである。なお、色変換方式とは、三色の蛍光元素を高エネルギー線の可視光発光により励起する方法である。色変換方式の場合、有機EL素子の有機層において青色発光を生じさせ、その青色発光を励起光エネルギー線として緑色及び赤色の蛍光面を励起して緑色光及び赤色光を得ることが多い。青色が緑色及び赤色に変換されるため色変換方式と呼ばれる。青色発光は、例えば上記式(18)で表されるフルオランテン誘導体を用いることで得ることができる。
図2中、表示部14は、基板1、基板1の一側に形成された陽極層2(第1の電極層)、陽極層2上に形成された有機層3、及び有機層3上に形成された陰極層4(第2の電極層)で構成される複数の有機EL素子9が二次元配列されたものである。ここで、有機EL素子9のそれぞれにおいては、3個の発光領域(例えば13a、13b、13c)に対応して、本発明にかかるコポリマーを含有する3個の有機層3(発光層)が形成されている。なお、3個の発光領域のうち、1個は青色発光領域であり、残りの2つは緑色発光領域及び赤色発光領域である。
基板1の材料としては、例えば、ガラス、石英、樹脂などの透明又は半透明の材料が好ましい。
基板1上には、上述のように、1個の有機EL素子に形成される3個の発光領域のうちの2つに対応する領域に蛍光変換フィルター膜が設けられ、当該蛍光変換フィルター膜により発光色のコントロールが行われて緑色発光領域及び赤色発光領域となる。蛍光変換フィルター膜が設けられない発光領域は青色発光領域である。
蛍光変換フィルター膜は、有機層3での電界発光による光を吸収し、膜中の蛍光体から吸収光と異なる色の光を放出することで発光色の色変換を行うものであり、一般的には蛍光体、光吸収体及びバインダーを含んで構成される。蛍光変換フィルター膜の形成は、フォトリソグラフィや印刷などの手法を利用したパターニングにより行うことができる。この場合、蛍光変換フィルター膜の材料は、微細なパターニングを形成可能なものが好ましく、また、上層(陽極層2など)の形成工程でダメージを受けにくいものが好ましい。
蛍光変換フィルター膜に含まれる蛍光体としては、蛍光量子収率が高いものが好ましく、また、レーザー色素のように発光素子の発光波長領域での光吸収性が高いものが好ましい。かかる蛍光体としては、例えば、ローダミン系化合物、ペリレン系化合物、シアニン系化合物、サブフタロなどを含むフタロシアニン系化合鬱、ナフタロイミド系化合物、縮合環炭化水素系化合物、縮合複素環系化合物、スチリル系化合物、クマリン系化合物などが挙げられる。なお、蛍光体自体の光吸収性が不十分である場合には光吸収体を併用することが好ましく、かかる光吸収体としては蛍光を消光しないものが好ましい。
バインダーは、蛍光を消光しないものであれば特に制限されず、公知のバインダーの中から適宜選択して用いることができる。
また、有機EL素子9の構成材料や蛍光変換フィルター膜が吸収し得る短波長の外光をカットするカラーフィルターを蛍光変換フィルター膜と組み合わせると、素子の耐光性や表示コントラストがさらに向上するので好ましい。
また、表示部14においては、2個の陽極層2が、それぞれ有機EL素子9の3個の発光領域13a〜13cを通るように、基板1上及び蛍光変換フィルター膜上に相互に並列に形成されている。ここで、陽極層2は、発光領域13a〜13cを完全に覆わずに、発光領域13a〜13cそれぞれの一部が露出するように配置されている。また、陽極層2は複数(図2では2個)の有機EL素子の共通電極であり、各陽極層2の一端には後述する電力供給部8が電気的に接続されている。このようなストライプ状の陽極層2は、例えば、蛍光変換フィルター膜がパターニングされた基板1上にITO膜を成膜した後、パターニング及びエッチング処理を行うことにより形成可能である。
なお、詳細は図示していないが、陽極層2を形成した後、その上にSiO層やAl層などの絶縁体層を設けることが好ましい。そして、発光領域に対応する絶縁体層の領域をエッチング等により開口し、この開口部に有機層3を形成することが好ましい。
また、表示部14においては、本発明にかかるコポリマー及び青色発光用ドーパントを含有する有機層3が、有機EL素子9の各発光領域に対応して、陽極層2を跨いで発光領域を覆うように形成されている。かかる有機層3はスピンコート法などの塗布法により好適に形成することができる。また、塗布液を加熱することにより、残留溶媒を低減して有機層3と陽極層2及び陰極層4それぞれとの高い密着性を達成することができる。
また、表示部14においては、6個の陰極層4が、有機EL素子9の発光領域に対応して有機層3上を通るように形成されている。陰極層4それぞれは複数(図2では2個)の有機EL素子の共通電極であり、各陰極層4の一端には後述するスイッチング部10が電気的に接続されている。
本実施形態のようにパッシブ駆動方式の有機ELディスプレイの場合には、図2に示したようにストライプ状の陽極層2とストライプ状の陰極層4とを互いに直交するように配置することが好ましい。このとき、各発光領域における陽極層2と陰極層4との交点がディスプレイの一画素に相当する。
表示部14の非発光領域には、有機EL素子9毎にスペーサー7が設けられている。このスペーサー7に封止板(図示せず)を接着することで、陰極層4側の面が封止される。
図2に示した有機ELディスプレイにおいては、表示部14における表示をコントロールする駆動部11が、陽極層2及び陰極層4に電流又は電圧を供給する電力供給部8、有機EL素子9に点滅の制御信号を送るスイッチング部10及びこれらの制御論理回路12を含んで構成されている。電力供給部8は陽極層2に、スイッチング部10は陰極層4にそれぞれ電気的に接続されており、また、電力供給部8とスイッチング部10とは制御論理回路12を介して電気的に接続されている。表示部14における有機EL素子9の駆動方式は特に制限されず、例えば、直流駆動、パルス駆動、交流駆動などが適用可能である。駆動の際には、直流、パルス又は交流の電流又は電圧を供給することが好ましく、印加電圧としては2〜30V程度が好ましい。
上記実施形態によれば、本発明にかかるコポリマー及び青色発光ドーパントを有機層3に含有せしめることで、発光領域において色純度の高い青色発光を得ることができ、またその特性を長期にわたって安定的に維持することができる。この青色発光は、青色発光領域においてはそのまま基板1側から取り出される。また、緑色発光領域及び赤色発光領域においては、それぞれ青色発光を励起光エネルギー線として蛍光変換フィルター膜中の緑色及び赤色に対応する蛍光体を励起することによって、緑色光及び赤色光が基板1側から取り出される。従って本実施形態により、輝度や色表示機能に優れ、さらには、耐熱性が高く長寿命の有機ELディスプレイが実現可能となる。
なお、本発明の有機ELディスプレイは上記実施形態に限定されるものではなく、想定されるディスプレイ製品に必要な輝度、寿命、消費電力、コストなどを勘案して決定することができる。例えば、図2にはいわゆるパッシブ駆動方式の有機ELディスプレイを示したが、本発明の有機ELディスプレイは、ポリシリコンTFTなどを用いたアクティブ駆動方式のフルカラーディスプレイであってもよい。
また、本発明の有機ELディスプレイをフルカラーディスプレイとする場合、赤、緑、青(RGB)の三原色の発光素子を形成することによりフルカラー表示が実現されるが、フルカラー表示方式は、上記実施形態で示した色変換方式の他、RGB三色並置方式、白色発光方式などのいずれであってもよい。RGB三色並置方式は、RGB三色の発光素子をそれぞれ発光させる表示方式である。また、白色発光方式は、液晶表示装置などに用いられる三色カラーフィルターにより、白色発光の波長の一部をカットしてフルカラー表示する方式である。白色発光方式及び色変換方式の場合、三色の発光素子を用意する必要はなく、発光素子の形成を簡素化でき、大面積化にも容易に対応できる。
本発明の有機ELディスプレイにおいては、有機EL素子の発光層に添加する発光用ドーパントを適宜選択することにより、上記のいずれのカラー表示方式であっても適用することができる。例えば、有機EL素子の有機層に青色発光用ドーパントを含有せしめて発光層とすることで、色変換方式を好ましく適用することができる。また、有機EL素子の発光層に燐光発光用ドーパントを含有せしめることで、燐光発光によるRGB三色並置方式を好ましく適用することができる。
以下、実施例及び比較例に基づき本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
先ず、下記反応式(A)に示す反応経路に従って、第1モノマーとしての9−ビフェニル−2−イル−10−(4−ビニルフェニル)−アントラセンを合成した。具体的には、トルエンとエーテルとの1:1混合溶媒に2−ブロモビフェニルを溶解し、この溶液に窒素雰囲気下でn−ブチルリチウムを滴下し、室温で1時間撹拌した。この反応液を−20℃に冷却した後、アントロンを加え、20時間後に純水をさらに加えて反応を停止した。反応後の反応液から溶媒を除去し、残留物をTHFに再溶解した後、塩酸を添加して還流することにより脱水を行い、9−ビフェニル−2−イル−アントラセンを得た。得られた9−ビフェニル−2−イル−アントラセンをDMFに溶解し、N−ブロモコハク酸イミド(NBS)を添加して50℃で20時間の臭素化反応を行った。得られた臭素化物をカラムクロマトグラフィーにより精製した後、トルエンとエタノールと2M炭酸ナトリウム溶液の混合溶媒(混合比4:1:2)に溶解し、4−ビニルフェニルボロン酸及び触媒としてのテトラキストリフェニルホスフィンパラジウムを添加し、90℃で24時間反応を行い9−ビフェニル−2−イル−10−(4−ビニルフェニル)−アントラセンを得た。得られた9−ビフェニル−2−イル−10−(4−ビニルフェニル)−アントラセンをカラムクロマトグラフィーにより精製し、後述する重合反応に供した。
また、下記反応式(B)に示す反応経路に従って、第2モノマーとしての[4−(7,12−ジフェニル−ベンゾ[k]フルオランテン−3−イル)−ビス−(4−ビニルフェニル)−アミンを合成した。具体的には、5−ブロモアセナフテンと2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノン(DDQ)とをトルエン中で24時間還流し、5−ブロモアセナフチレンを得た。次いで、5−ブロモアセナフチレンと1,3−ジフェニルイソベンゾフランとをトルエン中で24時間還流した後に、その反応物を酢酸に溶解し、臭化水素を追加してさらに還流して3−ブロモ−7,12−ジフェニル−ベンゾ[k]フルオランテンを得た。得られた3−ブロモ−7,12−ジフェニル−ベンゾ[k]フルオランテンをTHFに溶解し、−70℃でn−ブチルリチウムを滴下して1時間撹拌した後、トリエトキシホウ酸を添加してホウ酸化を行った。得られたホウ酸化物をトルエンとエタノールと2M炭酸ナトリウム溶液との混合溶媒(混合比4:1:2)に溶解し、(4−ブロモフェニル)−ジフェニルアミンと触媒としてのテトラキストリフェニルホスフィンパラジウムを添加し、90℃で24時間反応を行い[4−(7,12−ジフェニル−ベンゾ[k]フルオランテン−3−イル)−フェニル]−ジフェニルアミンを得た。得られた[4−(7,12−ジフェニル−ベンゾ[k]フルオランテン−3−イル)−フェニル]−ジフェニルアミンをDMFに溶解し、NBSを加えて50℃で20時間反応を行いビス(4−ブロモフェニル)−[4−(7,12−ジフェニル−ベンゾ[k]フルオランテン−3−イル)−フェニル]−アミンを得た。得られたビス(4−ブロモフェニル)−[4−(7,12−ジフェニル−ベンゾ[k]フルオランテン−3−イル)−フェニル]−アミンをトルエンとエタノールと2M炭酸ナトリウム溶液との混合溶媒(混合比4:1:2)に溶解し、ビニルボロン酸ジブチルエステル及び触媒としてのテトラキストリフェニルホスフィンパラジウムを添加し、90℃で24時間反応を行い[4−(7,12−ジフェニル−ベンゾ[k]フルオランテン−3−イル)−ビス−(4−ビニルフェニル)−アミンを得た。得られた[4−(7,12−ジフェニル−ベンゾ[k]フルオランテン−3−イル)−ビス−(4−ビニルフェニル)−アミンをカラムクロマトグラフィーにより精製し、後述する重合反応に供した。
Figure 2005093134
Figure 2005093134
次に、9−ビフェニル−2−イル−10−(4−ビニルフェニル)−アントラセンと[4−(7,12−ジフェニル−ベンゾ[k]フルオランテン−3−イル)−ビス−(4−ビニルフェニル)−アミンとを10:1(モル比)で混合した。その混合物2gと、ラジカル重合開始剤としてのベンゾイルパーオキサイド(BPO)20mgとをテトラヒドロフラン15mlに溶解し、窒素下、70℃で48時間重合反応を行った。反応終了後、好溶媒としてTHFを、貧溶媒としてメタノールをそれぞれ用いて再沈殿を3回行い、さらに貧溶媒を酢酸エチルに変えて同様に再沈殿を3回行い淡黄色のコポリマーを得た。
得られたコポリマーの重量平均分子量(Mw)は15,000、数平均分子量(Mn)は11,000であった。上記モノマーの使用量及びコポリマーの平均分子量から、得られたコポリマーにおいては、第1モノマー及び第2モノマーの合計のユニット数が一分子当たり約30であり、一分子内に2箇所乃至3箇所の架橋点が存在することが示唆された。また、ドーピング濃度は10wt%であると考えられる。
次に、得られたコポリマーの2重量%トルエン溶液を調製した。この溶液を発光層用塗布液として、以下の手順に従い有機EL素子を作製した。
先ず、陽極層としてのITO膜が形成された基板上に、スピンコート法によりポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)を含む塗布液を塗布し、窒素雰囲気下で200℃にて5分間乾燥して膜厚500Åのホール輸送層を形成した。次に、ホール輸送層上に、上記の発光層形成用塗布液を塗布し、窒素雰囲気下で180℃にて1時間乾燥して膜厚1000Åの発光層を形成した。さらに、この発光層上に、電子注入層としての層LiF(膜厚6Å)、及び補助電極としてのAl層(膜厚2500Å)をこの順で真空蒸着して陰極層を形成し、陰極層側の面を封止して目的の有機EL素子を得た。
得られた有機EL素子においては、[4−(7,12−ジフェニル−ベンゾ[k]フルオランテン−3−イル)−ビス−(4−ビニルフェニル)−アミン構造に由来する青緑色発光が得られた。発光源の特定はELスペクトル及び蛍光スペクトルに基づいて行った。有機EL素子の電流効率は10mA/cmの定電流駆動時に3.3cd/Aであった。さらに、10mA/cmの定電流駆動により寿命試験を行ったところ、輝度が半減するまでの寿命(輝度半減寿命、以下同様)は400時間であった。
[実施例2]
第2モノマーとして、[4−(7,12−ジフェニル−ベンゾ[k]フルオランテン−3−イル)−ビス−(4−ビニルフェニル)−アミンの代わりに9,10−ビス(4−ビニルフェニル)−アントラセンを用いたこと以外は実施例1と同様にして、コポリマーの合成を行った。次に、得られたコポリマーを用いたこと以外は実施例1と同様にして、有機EL素子を作製した。
得られた有機EL素子においては、9,10−ビス(4−ビニルフェニル)−アントラセン構造に由来する青色発光が得られた。有機EL素子の電流効率は10mA/cmの定電流駆動時に1.2cd/Aであった。さらに、10mA/cmの定電流駆動により寿命試験を行ったところ、輝度半減寿命は280時間であった。
[実施例3]
第2モノマーとして、[4−(7,12−ジフェニル−ベンゾ[k]フルオランテン−3−イル)−ビス−(4−ビニルフェニル)−アミンの代わりに9,10−ビス(4−ビニルフェニル)−アントラセンを用いたこと以外は実施例1と同様にして、コポリマーの合成を行った。次に、得られたコポリマーの2重量%トルエン溶液を調製した。さらに、テトラフェニルブタジエンを、溶液中のコポリマーに対して3重量%となるように溶液に添加し、発光層用塗布液を得た。この塗布液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、有機EL素子を作製した。
得られた有機EL素子においては、テトラフェニルブタジエンに由来する青色発光が得られた。有機EL素子の電流効率は10mA/cmの定電流駆動時に1.8cd/Aであった。さらに、10mA/cmの定電流駆動により寿命試験を行ったところ、輝度半減寿命は350時間であった。
[比較例1]
第1モノマーである9−ビフェニル−2−イル−10−(4−ビニルフェニル)−アントラセンのみを用いて実施例1と同様の重合反応を行い、架橋構造を有しないホモポリマーを合成した。
次に、得られたホモポリマーの2重量%トルエン溶液を調製した。さらに、テトラフェニルブタジエンを、溶液中のコポリマーに対して3重量%となるように溶液に添加し、発光層用塗布液を得た。この塗布液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、有機EL素子を作製した。
得られた有機EL素子においては、テトラフェニルブタジエンに由来する青色発光が得られた。有機EL素子の電流効率は10mA/cmの定電流駆動時に1.5cd/Aであった。さらに、10mA/cmの定電流駆動により寿命試験を行ったところ、輝度半減寿命は110時間であった。
[比較例2]
発光層用塗布液にテトラフェニルブタジエンを添加しなかったこと以外は比較例1と同様にして、有機EL素子を作製した。
得られた有機EL素子においては、9−ビフェニル−2−イル−10−(4−ビニルフェニル)−アントラセン構造に由来する青色発光が得られた。有機EL素子の電流効率は10mA/cmの定電流駆動時に1.2cd/Aであった。さらに、10mA/cmの定電流駆動により寿命試験を行ったところ、輝度半減寿命は100時間であった。
[比較例3]
第2モノマーとして、[4−(7,12−ジフェニル−ベンゾ[k]フルオランテン−3−イル)−ビス−(4−ビニルフェニル)−アミンの代わりに1,4−ジビニルベンゼンを用いたこと以外は実施例1と同様にして、コポリマーの合成を行った。次に、得られたコポリマーを用いたこと以外は実施例1と同様にして、発光層用塗布液を調製し、有機EL素子を作製した。
得られた有機EL素子においては、9−ビフェニル−2−イル−10−(4−ビニルフェニル)アントラセン構造に由来する青色発光が得られた。有機EL素子の電流効率は10mA/cmの定電流駆動時に1.2cd/Aであった。さらに、10mA/cmの定電流駆動により寿命試験を行ったところ、輝度半減寿命は170時間であった。
[比較例4]
9−ビフェニル−2−イル−10−(4−ビニルフェニル)−アントラセンと、[4−(7,12−ジフェニル−ベンゾ[k]フルオランテン−3−イル)−(4−フェニル)−(4−ビニルフェニル)−アミンとを10:1で混合した。その混合物2gと、ラジカル重合開始剤としてのベンゾイルパーオキサイド(BPO)20mgとをテトラヒドロフラン15mlに溶解し、窒素下、70℃で48時間重合反応を行った。反応終了後、好溶媒としてTHFを、貧溶媒としてメタノールをそれぞれ用いて再沈殿を3回行い、さらに貧溶媒を酢酸エチルに変えて同様に再沈殿を3回行い淡黄色直鎖状のコポリマーを得た。
次に、得られたコポリマーを用いたこと以外は実施例1と同様にして、発光層用塗布液を調製し、有機EL素子を作製した。
得られた有機EL素子においては、ドーパントに由来する青緑色発光が得られた。有機EL素子の電流効率は10mA/cmの定電流駆動時に2.1cd/Aであった。さらに、10mA/cmの定電流駆動により寿命試験を行ったところ、輝度半減寿命は200時間であった。
本発明の有機EL素子の好適な一実施形態を示す模式断面図である。 本発明の有機ELディスプレイの好適な一実施形態を示すブロック図である。
符号の説明
1…基板、2…陽極層(第1の電極層)、3…有機層、4…陰極層(第2の電極層)、5…封止板、6…絶縁体層、7…スペーサー、8…電力供給部、9…有機EL素子、10…スイッチング部、11…駆動部、12…制御論理回路、13…発光領域、14…表示部。

Claims (5)

  1. 互いに対向して配置された2つの電極と、
    該電極間に配置され、発光性化合物から誘導される炭素数10以上の芳香族基及び1個の重合性官能基を有する第1モノマーと発光性化合物から誘導される炭素数10以上の芳香族基及び2個以上の重合性官能基を有する第2モノマーとのコポリマーを含有する有機層と、
    を備えることを特徴とする有機EL素子。
  2. 前記コポリマーが、前記第1モノマー及び前記第2モノマーにより形成される架橋構造を有することを特徴とする、請求項1に記載の有機EL素子。
  3. 前記第1モノマー及び前記第2モノマーがそれぞれビニル基を有するモノマーであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の有機EL素子。
  4. 前記第2モノマーが下記式(1)又は(2)で示される構造を有するモノマーであることを特徴とする、請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の有機EL素子。
    Figure 2005093134
    [式(1)中、nは1〜3の整数を表し、ベンゼン環及びアントラセン環を構成する炭素原子それぞれは置換又は未置換のいずれであってもよく、2個以上の重合性官能基はベンゼン環及びアントラセン環を構成する炭素原子又は該炭素原子に結合した置換基の構成原子に結合する。]
    Figure 2005093134
    [式(2)中、フルオランテン環を構成する炭素原子それぞれは置換又は未置換のいずれであってもよく、2個以上の重合性官能基はフルオランテン環を構成する炭素原子又は該炭素原子に結合した置換基の構成原子に結合する。]
  5. 互いに対向して配置された2つの電極、並びに該電極間に配置され、発光性化合物から誘導される炭素数10以上の芳香族基及び1個の重合性官能基を有する第1モノマーと発光性化合物から誘導される炭素数10以上の芳香族基及び2個以上の重合性官能基を有する第2モノマーとのコポリマーを含有する有機層を含んで構成される複数の有機EL素子が配列された表示部と、
    前記2つの電極それぞれに電気的に接続されており該電極に電圧又は電流を供給する電力供給部と、
    前記有機EL素子のそれぞれを点灯又は消灯するスイッチング部と、
    を備えることを特徴とする有機ELディスプレイ。
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