JP4234383B2 - 有機el素子および有機elディスプレイ - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は有機EL素子に関し、特にビニルポリマーを用いた分子分散型高分子有機EL素子と、それを用いた有機ELディスプレイに関する。
【0002】
【従来の技術】
有機ELディスプレイなどに用いられる有機EL素子は、低分子化合物を用いた真空蒸着法による有機層形成の提案(例えば、非特許文献1参照)を基にデバイスが各種試作され、現在実用化の段階を迎えつつある。
その一方、上記の低分子化合物は熱安定性が劣ることから、高分子化合物を用いた有機EL素子の開発が活発におこなわれている。高分子化合物を使用した場合、低分子化合物にはない優れた熱安定性を得られることが期待できる。また、高分子化合物は塗布による素子作製が可能となるため、蒸着法に頼らざるをえない低分子化合物に比べて製造プロセスの簡略化が可能となる。
この高分子有機EL素子は、共役高分子を用いたπ共役型と、非共役高分子中に色素を分散した分子分散型とに大別できる。
【0003】
π共役型に関する技術は、まず公開特許広報(例えば、特許文献1参照)に開示され、その後、ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)などの優れたホール注入性を有する高分子との積層により、低分子の蒸着による発光素子と遜色のない特性を有するようになった。
しかしながら、π共役型の高分子化合物はπ共役系の広がりのため、色純度の良い青色発光材料を作ることが困難である。そのため、現在実用レベルの色純度を示す材料は得られていない。また、寿命の面でも実用的なレベルには達していない。
【0004】
分子分散型の高分子化合物は、上記π共役型よりも色純度の良い青色発光材料を得る方法として期待されている。分子分散型は、上記のπ共役型の高分子化合物より早く、1983年に報告されている(例えば、非特許文献2参照)。分子分散型は、蒸着型で用いられるドーパントを、ホスト高分子に混ぜることで、色純度の良い青色発光材料を容易に得ることができる。
さらに、分子分散型の高分子化合物は、近年注目されている燐光発光ドーパントのホスト材料として利用できる可能性がある。燐光発光ドーパントとは、色素の三重項状態からの発光が可能なドーパントである。
【0005】
蛍光物質を光や電気などによって励起した場合、蛍光物質は一重項状態と三重項状態との2つのエネルギー励起状態に分かれる。一重項状態と三重項状態に分かれる割合は、おおむね1:3である。一重項の励起状態から基底状態に戻る際のエネルギー放出による発光が蛍光発光であり、従来の有機EL素子の発光はこの機構による。三重項の励起状態から基底状態に戻る際のエネルギー放出による発光を「燐光発光」という。燐光発光は、比較的長時間のエネルギー放出が得られるが、熱的に失活しやすい傾向がある。そのため、燐光発光を発光機構とした有機EL素子はいまだ実用化されていない。熱的失活を抑えることにより燐光発光を利用することはできるが、そのためには有機EL素子を少なくとも液体窒素温度付近まで冷却しなければならない。従来の有機EL素子が蛍光発光のみを用いているのはこのためであり、結果的に全発光の25%程度しか活用されていない。
【0006】
三重項状態の発光が常温において安定に得られれば、ほぼ全ての励起機構に基づく発光を活用することが可能となる。そのための燐光発光ドーパントの開発がおこなわれている。例えば、イリジウム錯体を燐光発光ドーパントに用いた有機EL素子において高い発光効率が報告されている(例えば、非特許文献3参照)。この報告の後、R、G、B各色のイリジウム錯体が開発されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平10−92576号公報
【非特許文献1】
Applied Physics Letters, vol.51, pp913 (1987)
【非特許文献2】
Polymer, vol.24, pp748, (1983)
【非特許文献3】
Applied Physics Letters, vol.75, No.1, pp4 (1999)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
分子分散型の高分子化合物を用いた有機EL素子の実用化が期待されているが、低分子化合物、あるいはπ共役型の高分子化合物を用いた素子に比べて特性面で大きな遅れをとっている。それは有機EL素子に適用できる分子分散型の高分子化合物は、合成が困難であり、十分な特性評価がおこなわれていないためである。
これまで、分子分散型の高分子化合物を用いた有機EL素子については、ポリビニルカルバゾール(PVK)を用いた研究の他、数件が報告されているのみである(例えば、非特許文献4、5、6参照)。このように分子分散型の高分子化合物について評価報告が少ないのは、その合成が困難なことによる。
色純度の優れた青色発光素子を得るためには、分子分散型の高分子化合物をホスト材料に用いることが非常に有望である。しかし、分子分散型の高分子化合物は合成が困難なため、実用的な素子材料が得られていないのが現状である。
【0009】
燐光発光を利用した有機EL素子においても、分子分散型の高分子化合物を用いることで、容易に作製できる可能性がある。しかし、燐光発光の実用化には室温における素子の寿命を実用段階まで高めねばならない。そのためには、インジウム錯体などの燐光発光ドーパントを安定に保持できる、分子分散型の高分子化合物が必要である。
現在、燐光発光が確認されているホスト材料はほとんど次の二種類である。一つは、低分子型としてカルバゾール基をもつ4,4’−N,N’−ジカルバゾールビフェニル(CBP)があるが、これは低分子型ゆえに熱的に不安定である。もう一つは、上記の分子分散型の高分子化合物であるPVKであるが、イリジウム錯体の安定保持が困難であり実用的な発光寿命は報告されていない。
【0010】
以上のように、青色発光ドーパントや燐光発光ドーパントのホスト材料として用いることができる、安定性に優れた分子分散型の高分子材料の実現が課題となっている。
そこで、本発明は優れた安定性や寿命を有する分子分散型の高分子材料を実現し、燐光発光を含めた高輝度、高効率、長寿命の有機EL素子と、それを用いた有機ELディスプレイとを提供することを目的とする。
【0011】
【非特許文献4】
Polymer Preprints, Japan, vol.45, No.3, pp446 (1996)
【非特許文献5】
Chemical Letters, pp161 (1996)
【非特許文献6】
Polymer Preprints, Japan, vol.50, No.4, pp661 (2001)
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、フェナントレン構造を有するビニルポリマーを用いた、分子分散型の有機EL素子と、それを用いた有機ELディスプレイとによって解決される。フェナントレン構造を有するビニルポリマーは、固体量子効率が高く、青色発光ドーパントのホスト材料にも、燐光発光ドーパントのホスト材料にも適した広いバンドギャップを有するためである。
具体的には、式(1)で表されるフェナントレン構造から誘導される基をもつビニルモノマーの重合体であるビニルポリマーを含む有機層を有する有機EL素子によって、上記の課題は達成される。
【0013】
【化3】
Figure 0004234383
【0014】
但し、式(1)中のX1〜X10は置換基であって、水素、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、複素環基、アミノ基、ハロゲン原子、シアノ基のうちの少なくとも1つ以上を含んでいる。また、これらのうちの2つ以上が結合して環を形成していてもよい。
【0015】
本発明のビニルモノマーは、式(2)で表されるフェナントレン構造から誘導される基をもつビニルモノマーであることが好ましい。
【0016】
【化4】
Figure 0004234383
【0017】
但し、式(2)中のLは、単結合、あるいはアルキレン基、アリーレン基などの2価の連結基である。連結基の結合は、単結合でも、置換基を有する結合でもよい。
【0018】
式(2)中のX11〜X19は置換基であって、水素、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、複素環基、アミノ基、シアノ基、ハロゲン原子のうちの少なくとも1つ以上を含んでいる。また、これらのうちの2つ以上が結合して環を形成していてもよい。
【0019】
式(2)で表されるビニルモノマーのLは、フェニル基またはその誘導体であることが好ましい。
【0020】
ビニルモノマーに上記のフェナントレン構造を導入することにより、ビニルモノマーの重合官能基であるビニル基に対して高い蛍光量子効率とバイポーラー特性を付加することができる。
【0021】
また、本発明の有機EL素子は、上記のビニルモノマーから選ばれる2種類以上のビニルモノマーの共重合体であるビニルポリマーを含むことができる。
あるいは、本発明の有機EL素子は、上記のビニルモノマーの少なくとも1種類以上と、上記のビニルモノマー以外のビニルモノマーの少なくとも1種類以上との、共重合体であるビニルポリマーを含むことができる。
例えば、本発明の有機EL素子に用いるビニルポリマーと、電荷輸送性モノマーとの共重合体ポリマーとを形成することにより、素子特性の微調整を図ることができる。
【0022】
本発明の有機EL素子は、有機層に上記のビニルモノマーから得られたビニルポリマーを含有する発光層を含んでいることが望ましい。上記の発光層の形成には、さらにドーパントを添加することが望ましい。
上記のビニルモノマーを重合したビニルポリマーには、色素ドーパントの添加が容易である。このビニルポリマーを有機EL素子における有機層の発光層とすることにより、高効率で寿命の長い有機EL素子を得ることができる。特に本発明のビニルポリマーは広いバンドギャップを有する為、青色発光ドーパント、あるいは燐光発光ドーパントのホスト材料として優れている。
【0023】
本発明のビニルポリマーは、広いバンドギャップ、大きな仕事関数を有している。そのため、発光層との積層構造を形成することにより、キャリアブロック層として用いることもできる。
有機EL素子におけるキャリアブロック層は、有機層の内部にキャリアを閉じ込める層をいう。特に、本発明のキャリアブロック層を陰極との界面に形成することにより、優れたホールブロック層とすることができる。
【0024】
陽極方向から供給されるホールは、有機層中で電子と再結合して発光する。この時、ホールの一部が有機層中で再結合せずに、そのまま陰極へ通過する場合がある。これらのホールは発光に寄与しないため、発光効率を低下させる原因となる。ホールブロック層を陰極との界面に形成することにより、ホールを有機層に閉じ込め、電子との再結合と発光を促すことができる。特に、本発明のビニルポリマーは、バンドギャップが広く、仕事関数が大きいため、ホールブロック層として非常に効果的である。
【0025】
本発明の有機EL素子は、その複数個を二次元配列したパネルと、電圧供給または電流供給をおこなう電力供給機構と、スイッチング機構とを組み合わせた有機ELディスプレイにおいて、画素となる有機EL素子に用いることができる。本発明の有機EL素子は、熱特性に優れ、長寿命であるため、耐久性に優れた有機ELディスプレイを得ることができる。特に、本発明の有機EL素子は高効率の青色発光や燐光発光が可能なことから、輝度や色表示機能に優れた有機ELディスプレイを得ることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を好ましい実施の形態により説明する。
【0027】
1.有機層材料の詳細
本発明の有機EL素子は、ホール注入電極である陽極と、電子注入電極である陰極と、これらの電極間に化5に示すフェナントレン構造から誘導される基をもつビニルモノマーから得られたビニルポリマーとを含む有機層を有することが好ましい。
【0028】
【化5】
Figure 0004234383
【0029】
式(1)においてX1〜X10で表される置換基は、例えば、水素、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、複素環基、ハロゲン原子、シアノ基、アミノ基などのうちの少なくとも1つを用いることができる。通常は、アルキル基、アルコキシ基、アリール基が好ましく、特に、水素、アルキル基、アリール基であることが好ましい。
【0030】
式(1)においてX1〜X10で表される置換基がアルキル基の場合、アルキル基は直鎖状構造であっても、分岐を有する構造であってもよい。また、アルキル基は無置換のものが好ましいが、置換基を有していてもよく、総炭素数は1〜10が好ましい。例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチルなどを用いることができる。
【0031】
式(1)においてX1〜X10で表される置換基がアルコキシ基の場合、アルコキシ基のアルキル部分が、上記のアルキル基と同じものであることが好ましい。例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシなどを用いることができる。
【0032】
式(1)においてX1〜X10で表される置換基がアリール基の場合、アリール基は無置換であっても、置換基を有していてもよく、置換基の総炭素数は6〜20が好ましく、例えば、フェニル、(o−、m−、p−)トリル、ビフェニリルなどを用いることができる。
【0033】
式(1)においてX1〜X10で表される置換基がアリールオキシ基の場合、アリールオキシ基のアリール部分は、上記のアリール基と同じであることが好ましい。例えば、フェノキシ、(o−、m−、p−)トリルオキシなどを用いることができる。
【0034】
式(1)においてX1〜X10で表される置換基が複素環基の場合、複素環基として5員または6員の複素環基を用いることができる。複素環基は縮合環を有していてもよく、また置換基を有していてもよい。また、複素環基は、芳香族性を有するものであっても、有しないものであってもよい。例えば、ピロリル、ピリジル、キノリル、チエニル、フリルなどを用いることができる。
【0035】
式(1)においてX1〜X10で表される置換基がハロゲン原子の場合、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子から適宜選択することができる。
【0036】
式(1)においてX1〜X10で表される置換基がアミノ基の場合、アミノ基は無置換であっても、置換基を有していてもよい。この置換基は、上記のアルキル基やアリール基を有するものであってもよい。アルキル基やアリール基を有する置換基は、総炭素数0〜20のものが好ましい。例えば、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、フェニルアミノ、ジメチルアミノ、ジフェニルアミノなどを用いることができる。
【0037】
特に、本発明の有機EL素子は、化6に示すフェナントレン構造から誘導される基をもつビニルモノマーから得られたビニルポリマーを含む有機層を有することが好ましい。
【0038】
【化6】
Figure 0004234383
【0039】
式(2)におけるLは、単結合、またはアルキレン基、アリーレン基などの2価の連結基である。このとき、アルキレン基、アリーレン基は、無置換であっても、置換基を有していてもよい。
【0040】
式(2)におけるX11〜X19は置換基であり、化5におけるX1〜X10の置換基と同じものを用いることができる。すなわちX11〜X19の置換基は、例えば、水素、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、複素環基、ハロゲン原子、アミノ基を用いることができる。特にアルキル基、アルコキシ基、アリール基であることが好ましく、中でも、水素、アルキル基、アリール基であることが好ましい。
【0041】
式(1)や式(2)に示すフェナントレン構造から誘導されるビニルモノマーは、必要なビニルポリマーを得るための構造を、任意に選択することができる。特に、下記の化7〜化24に示すビニルモノマー構造を選択することが好ましい。
【0042】
【化7】
Figure 0004234383
【0043】
【化8】
Figure 0004234383
【0044】
【化9】
Figure 0004234383
【0045】
【化10】
Figure 0004234383
【0046】
【化11】
Figure 0004234383
【0047】
【化12】
Figure 0004234383
【0048】
【化13】
Figure 0004234383
【0049】
【化14】
Figure 0004234383
【0050】
【化15】
Figure 0004234383
【0051】
【化16】
Figure 0004234383
【0052】
【化17】
Figure 0004234383
【0053】
【化18】
Figure 0004234383
【0054】
【化19】
Figure 0004234383
【0055】
【化20】
Figure 0004234383
【0056】
【化21】
Figure 0004234383
【0057】
【化22】
Figure 0004234383
【0058】
【化23】
Figure 0004234383
【0059】
【化24】
Figure 0004234383
【0060】
本発明の有機EL素子に用いるビニルポリマーは、例えば、上記の化7〜化24のうちのいずれかを含むビニルモノマーを重合させて得ることができる。このビニルポリマーは、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよい。コポリマーは、上記の化7〜化24のビニルモノマーのうちから、異なる複数のモノマーを選択して重合したものであってもよい。あるいは、上記の化7〜化24のうちのビニルモノマーと、化7〜化24に示す以外の構造のビニルモノマーとを重合したものであってもよい。
【0061】
上記の化7〜化24以外の構造のビニルモノマーは、必要なポリマーの特性に応じて選択すればよい。例えば、電荷輸送層として使用できるビニルポリマーを作製する場合は、本発明のビニルポリマーに、ホール輸送性や電子輸送性を有するモノマーを適当な割合で添加することができる。
ポリマーの電子輸送性を高める場合は、例えば、化25に示す2−ビニルピリジンや、化26に示す4−ビニルピリジンや、化27に示す1−ビニルイミダゾールなどから、適宜選択して添加することができる。
【0062】
【化25】
Figure 0004234383
【0063】
【化26】
Figure 0004234383
【0064】
【化27】
Figure 0004234383
【0065】
また、ホール輸送性を高める場合は、例えば、化28に示すN−ビニルカルバゾールや、化29に示す(4−ビニルフェニル)−ジフェニルアミンなどを、適宜添加することができる。
【0066】
【化28】
Figure 0004234383
【0067】
【化29】
Figure 0004234383
【0068】
上記の電荷輸送性モノマーの割合には特に限定はないが、モノマー全体に対し1〜50mol%、好ましくは1〜30mol%が望ましい。上記の割合であれば、本発明のビニルモノマーがもつ、高い蛍光量子収率などの優れた特性を活かすことができる。本発明の有機EL素子に用いるビニルモノマーは、基本的にバイポーラー特性をもつが、電荷輸送性モノマーと上記の割合で共重合することにより、ホールと電子の注入バランスを1:1に限りなく近づけることが可能となる。そのため、素子特性の微調整が可能となり、長寿命化を図ることができる。
【0069】
本発明のビニルモノマーは、鈴木カップリング法を用いることにより、ビニル基に影響を与えることなく合成が可能で、容易に種々のモノマーを合成することができる。
【0070】
本発明の有機EL素子に用いるビニルポリマーは、上記のビニルモノマーを単体で用いた場合も、必要に応じて他のビニルモノマーと混合して用いた場合も、どちらも公知の重合方法によって容易に合成することができる。重合方法は、ラジカル重合法、カチオン重合法、アニオン重合法などから適宜選択することができる。重合反応後のビニルポリマーの分子量は、重量平均分子量として1万〜10万程度となる。
【0071】
上記の電荷輸送性モノマーを本発明のモノマーと組み合わせる方法の他、本発明のビニルポリマーに各種ドーパントを適宜添加することによっても、ポリマーの特性を調整することができる。例えば、本発明のビニルポリマーへのドーパント添加により青色発光層や燐光発光層を形成する方法は、従来の蒸着法による発光層やπ共役型よりも、高効率で安定な青色発光層や燐光発光層が容易に得られるため、非常に好ましい。したがって、本発明のビニルポリマーは、有機EL素子の発光層のホスト材料として好適に用いることができる。
【0072】
2.有機EL素子
本発明のビニルポリマーを溶媒に溶解し、塗布法により有機EL素子の有機層を容易に形成できる。そのため、従来の蒸着法に比べて簡便な設備により、分子分散型の有機EL素子の発光層を、容易に作製することができる。
以下、有機EL素子の好ましい実施の形態を説明する。
【0073】
図1に、本発明の有機EL素子の一実施形態における断面図を示す。有機EL素子は、例えば、基板1/陽極2/有機層3/陰極4が順次積層された構成として実施できる。積層構成は、本発明の実施の形態、例えば、ディスプレイの仕様や作製プロセスによって、陽極と陰極を逆にするなどの最適な構成を選択することができる。
【0074】
有機層3は、上記のビニルポリマーを有する発光材料を含むことが好ましい。ここで発光材料とは、発光のためのドーパントを添加したビニルポリマーをいう。有機層3は、発光材料のみから形成してもよいし、発光材料と発光材料以外の材料とを混合して形成してもよい。また、発光材料と発光材料以外の材料との積層構造を形成してもよい。発光材料以外の材料とは、例えば、ホール輸送性や電子輸送性である低分子化合物や高分子化合物を用いることができる。例えば、ホール輸送性や電子輸送性を有する無機材料を用いてもよい。
【0075】
陽極2は主にホール注入電極を含むことが好ましく、陰極4は主に電子注入電極を含むことが好ましい。これら電極材料は、公知の無機材料や有機材料から適宜選択することができる。陽極2と有機層3の間には、絶縁層6が設けられていることが好ましい。このとき、陽極2の発光領域以外の部分を絶縁層6によって覆うことによって、発光面積を制御して色のにじみを抑えることができる。
【0076】
以下、本発明の一実施形態を、基板1/陽極2/有機層3/陰極4が順次積層された構成であり、有機層3がビニルポリマーに青色発光ドーパント、あるいは、燐光発光ドーパントを添加した発光層である場合について詳細に説明する。
【0077】
(基板材料)
本発明の有機EL素子の基板1は、例えば、非晶質基板や、結晶基板や、金属基板などを用いることができる。非晶質基板は、例えば、ガラス、石英などを用いることができる。結晶基板は、例えば、Si、GaAs、ZnSe、ZnS、GaP、InPなどを用いることができる。金属基板は、例えば、Mo、Al、Pt、Ir、Au、Pd、SUSなどを用いることができる。これらの基板は、結晶質や非晶質のセラミック、金属、あるいは有機物の薄膜などを形成して用いてもよい。
【0078】
基板1を光取出し側とする場合は、基板1に光透過性が必要である。この場合は、例えば、石英やガラスなどのような透明基板を用いるのが好ましい。特に、ガラスは安価であり非常に好ましい。ガラスには、発色光の調整のために、例えば、色フィルター膜や蛍光性物質を含む色変換膜、あるいは誘電体反射膜などを設けてもよい。
【0079】
(陽極:ホール注入電極)
本実施形態では、基板1に陽極2を形成する。陽極2は、有機EL素子においてホール注入電極として機能するため、有機層3へホールを効率よく注入できる材料が好ましい。また、有機層3が無機ホール注入輸送層や有機ホール注入輸送層などを有する多層構造の場合は、それら輸送層へホールを効率よく注入できる材料が好ましい。これらを鑑み、陽極2の材料は、仕事関数が4.5eV〜5.5eVであることが好ましい。
【0080】
一般的に有機EL素子では基板1側を光取出し側とすることが多い。その場合、基板1上に設けられた陽極2には高い光透過性が求められる。陽極2の光透過率は、有機EL素子の発光波長帯域である400〜700nm、特にRGB各色の波長における透過率が50%以上であること、好ましくは80%以上であること、さらに好ましくは90%以上であることが望ましい。透過率が低いと発光層3の発光が減衰されて画像表示に必要な輝度が得られない。
【0081】
光透過率の高い陽極2の材料として、各種酸化物透明導電膜を選択して用いることができる。酸化物透明導電膜は、例えば、酸化インジウム(In23)、酸化スズ(SnO2 )および酸化亜鉛(ZnO)、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)などが好ましい。特にITOは面内の比抵抗が均一な薄膜が容易に得られるため非常に好ましい。ITO中のIn23 に対するSnO2 の混合比は1〜20重量%が好ましく、さらには5〜12重量%が好ましい。また、IZOを用いる場合はIZO中のIn23 に対するZnOの混合比は12〜32重量%が好ましい。これら酸化物透明導電膜は、単体の薄膜として用いることができるが、酸化物透明導電物のいずれか1種類を主組成とする混合物薄膜を成膜して用いてもよい。
【0082】
酸化物透明導電膜の組成は化学量論組成から多少偏倚していてもよい。例えば、ITOは通常In23とSnO2 とを化学量論組成で含有するが、本実施形態の場合はO量が多少偏倚していてもよい。InOx・SnOyにおいてxは1.0〜2.0、yは0.8〜1.2の範囲とすることができる。
酸化物透明導電膜に、例えば、酸化シリコン(SiO2 )などの透明な誘電体を添加することによって、仕事関数を調整することができる。例えば、ITOを陽極に用いる場合はITOに対して0.5〜10mol%程度のSiO2 を添加することによりITOの仕事関数を増大させ、上記の好ましい仕事関数の範囲とすることができる。
【0083】
陽極2の膜厚は、上述の光透過率を考慮して決定することが好ましい。本実施形態の酸化物透明導電膜の場合は、膜厚が50〜500nm、特に50〜300nmの範囲であることが好ましい。膜厚が500nmを超えると光透過率が低下すると共に、基板1からの剥離が発生する場合がある。膜厚が50nm未満の場合は充分な光透過性は得られるが、有機層3へのホール注入効率が低下すると共に、膜強度が低下してしまう。なお、陰極4側を光取出し側とした場合は、上記のホール注入電極の光学的条件および膜厚条件を、陰極4において満足する必要がある。
【0084】
(絶縁層)
陽極2の形成後、絶縁層6を形成するのが好ましい。絶縁層6の材料は一般的な絶縁膜材料、例えば、SiO2やAl23などから適宜選択して用いることができる。絶縁層6の膜厚は1〜7μm程度が好ましい。絶縁層6の発光領域に相当する部分には、フォトリソグラフィとエッチングの手法により開口部を設けるのが好ましい。この開口部により上部の有機層3と陽極2の電気伝導を確保する。
【0085】
(有機層)
有機層3は、上記に説明したフェナントレン構造を含むビニルポリマーに、発光用のドーパントなどを必要に応じて加えた発光層を中心として構成されるのが好ましい。本実施形態では、有機層3の発光層は青色発光素子層および燐光発光素子層を想定し、本発明のフェナントレン構造を含むビニルポリマーに青色発光ドーパントもしくは燐光発光ドーパントを添加したビニルポリマーとした。
【0086】
本実施形態においてビニルポリマーに添加する発光用ドーパントは、燐光発光ドーパントとして、例えば、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(Ir(ppy))に代表されるイリジウム錯体、ポルフィリン環を持つ白金錯体である2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H23H−ポルフィリン白金(PtOEP)などを用いることができる。また、青色発光ドーパントとして、例えば、テトラフェニルブタジエンおよびその誘導体、スチリルアミン誘導体、フルオランテン誘導体などを用いることができる。発光用ドーパントの割合は、重合前のビニルモノマーに対して1〜15重量%程度が好ましい。
【0087】
有機層3は、発光層材料と電荷輸送性の高分子化合物とを組み合わせて形成することができる。そのような高分子化合物は、例えば、電子輸送性材料やホール輸送性材料などを用いることができる。
【0088】
発光層材料と電荷輸送性の高分子化合物との組み合わせは、例えば、発光層に電荷輸送性材料を添加して有機層3を形成する方法がある。発光層に添加する電荷輸送性の高分子化合物は、例えば、ホール輸送性材料として、PVK、およびその混合物などを用いることができる。
また、発光層と電荷輸送性材料との多層構造によって、有機層3を形成することもできる。例えば、ホール輸送材料層/発光層/電子輸送材料層のような積層構造とすることができる。このような積層構造の場合は、陽極2すなわちホール注入電極とホール輸送材料層が、陰極4すなわち電子注入電極と電子輸送材料層が、それぞれ接する構成であることが好ましい。
発光層と多層構造を形成するホール輸送性材料は、例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/ポリスチレンスルホン酸(Pani/PSS)のいずれか、またはこれらの混合物を用いることができる。また、電子輸送性材料としては、例えば、ポリキノキサリンやポリキノリンなどを単独で、または混合物で用いることができる。
【0089】
上記に例示した電荷輸送性の高分子材料は、有機EL素子の電子注入層や電子輸送層として、あるいは、ホール注入層やホール輸送層として広く用いられている。これらの多くは重量平均分子量Mwで5000以上、通常5000〜300万程度の分子量を有する。
【0090】
発光層と組み合わせる電荷輸送性材料は、上記の高分子材料の他に低分子材料を用いることもできる。低分子材料は、上記の高分子材料と同様に発光層へ添加することができる。あるいは、低分子材料と発光層との積層構造を形成することもできる。低分子材料は、電子輸送性材料として、ホール輸送性材料として、目的に応じた適当な選択をおこなうことが好ましい。
ホール輸送性材料として用いる低分子材料は、例えば、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体などから適宜選択することができる。
また、電子輸送性材料として用いる低分子材料は、例えば、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタンおよびその誘導体、ベンゾキノンおよびその誘導体、ナフトキノンおよびその誘導体、アントラキノンおよびその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタンおよびその誘導体、フルオレンおよびその誘導体、ジフェニルジシアノエチレンおよびその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリンおよびその誘導体、フェナントロリンおよびその誘導体、およびこれらの化合物を配位子とした金属錯体などから適宜選択することができる。なお、こうした低分子材料とその使用形態については、例えば、特開昭63−70257号公報、特開昭63−175860号公報、特開平2−135359号公報、特開平2−135361号公報、特開平2−209988号公報、特開平3−37992号公報、特開平3−152184号公報などに開示の技術を用いることができる。
【0091】
(キャリアブロック層としての使用)
本実施形態のビニルポリマーを含む有機層をその他の発光層などと積層することで、キャリアブロック層として用いることができる。キャリアブロック層の材料は、大きな仕事関数と、広いバンドギャップとを有する材料が好ましい。本発明のビニルポリマーは、通常の有機材料の仕事関数(5.2〜5.9eV程度)に比べて、特に大きな仕事関数(例えば、化7の化合物のポリマーで6.2eV)を有している。また、本発明のビニルポリマーのバンドギャップは3.2eV以上という、通常の有機材料のバンドギャップ(2.0〜3.0eV程度)に比べて大きな値を有している。そのため、キャリアブロック層として好適に用いることができる。
【0092】
本実施形態のビニルポリマーは、ホール、電子のいずれに対するキャリアブロック層としても用いることができるが、特にホールブロック層として好ましく用いることができる。通常はポリマー単体で用いられるが、キャリアブロック能力の調整のため、有機層のところで述べた化合物などを添加してもよい。また、発光性ドーパントを添加してキャリアブロック層兼発光層とすることで、積層した発光層と合わせて2層からの発光を得ることもできる。
【0093】
(有機層の塗布形成)
有機層3は、本発明のビニルポリマーを溶解し、適当な塗布法を用いて形成することができる。
有機層3の塗布において用いられる溶媒は、本発明のビニルポリマーが溶解し、塗布に際して障害が生じないものであれば特に限定されない。例えば、アルコール系、炭化水素系、ケトン系、エーテル系などの、一般に溶媒として多用されている有機溶剤から適宜選択して用いることができる。例えば、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどが好ましい。高分子材料は、その構造や分子量にもよるが、これらの溶媒に対して0.1重量%以上溶解させることができる。
有機層3の塗布法は、一般的な有機溶剤や塗料の塗布方法を用いることができる。例えば、スピンコート法、スプレーコート法、ディップコート法、インクジェット法、印刷法などの塗布法から適宜選択することができる。
【0094】
有機層を塗布法により形成した後、溶媒を除去するため、減圧下あるいは不活性ガス雰囲気において、30〜200℃、好ましくは60〜100℃の温度で加熱乾燥することが好ましい。
乾燥後の有機層3の厚さは特に限定されない。形成方法によっても異なるが、通常5〜500nm程度、特に10〜300nmとすることが好ましい。発光層に対してホールあるいは電子の注入層や輸送層を設けて有機層3を構成する場合、注入層の厚さは0.1nm以上、輸送層の厚さは1nm以上が好ましい。注入層あるいは輸送層の厚さの上限は、通常、注入層で50nm程度、輸送層で500nm程度である。注入層あるいは輸送層の厚さをこの範囲とすることにより、好ましい電荷の移動度あるいは発光層への電荷注入能力を得ることができる。
【0095】
(陰極)
有機層3に接して設けられる陰極4は電子注入電極として機能する。この電子注入電極は、無機電子注入層と補助電極の積層体として形成することができる。
また、有機金属錯体の塗布膜と補助電極の積層体として形成することもできる。あるいは、金属塩の塗布膜と補助電極の積層体として形成することもできる。有機金属錯体や金属塩の塗布膜を用いる場合は、スピンコート法などにより容易に電子注入層を形成することができる。
【0096】
(陰極:無機電子注入層)
電子注入電極の無機電子注入層は、有機材料への電子注入が容易となるように低仕事関数の材料を選択することが好ましい。例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属あるいはアルカリハロゲン化物を用いることができる。
【0097】
アルカリ金属は、例えば、Li、Na、K、Csなどを用いることができる。アルカリ土類金属は、例えば、Ca、Sr、Baなどを用いることができる。その他にも、例えば、Mg、La、Ce、Sn、Zn、Zrなどのような、アルカリ金属やアルカリ土類金属と特性が近い金属を用いることもできる。上記の金属の中でも、Caは特に低仕事関数であるため非常に好ましい。無機電子注入層の膜厚は有機層3へ充分に電子を注入できる厚さであればよい。0.1〜100nmが好ましく、さらに1.0〜50nmがより好ましい。
【0098】
無機電子注入層にアルカリハロゲン化物を用いる場合、材料は適宜選択できるが、例えば、LiFやCsIなどが好ましい。アルカリハロゲン化物の膜厚は有機層3へ充分に電子を注入できるよう薄いほうが好ましく、10nm以下が好ましい。さらに1nm以下がより好ましい。
【0099】
以上の無機層は、いずれも補助電極との積層体として用いることが好ましい。補助電極は低仕事関数である必要も高い電子注入性を有する必要もないため、一般的な金属を用いることができるが、導電率が高く取り扱いの容易な金属が好ましい。例えば、Al、Ag、In、Ti、Cu、Au、Mo、W、Pt、PdおよびNiなどの金属を、1種または2種以上もしくはこれらの合金を選択して用いることができる。特に、Al、Agが好ましい。
【0100】
(陰極:有機金属錯体の塗布膜による電子注入層)
電子注入層は、有機金属錯体の塗布層を用いて形成することもできる。有機金属錯体の塗布層は、例えば、スピンコート法などの塗布法により容易に電子注入層を形成できるため好ましい。
【0101】
有機金属錯体は、例えば、β―ジケトナト錯体、キノリノール錯体などを用いることができる。有機金属錯体の金属は低仕事関数の金属であれば特に限定されず、例えば、アルカリ金属やアルカリ土類金属を用いることができる。アルカリ金属は、例えば、Li、Na、K、Csなどを用いることができる。また、アルカリ土類金属は、例えば、Ca、Sr、Baなどを用いることができる。その他にもアルカリ金属やアルカリ土類金属に特性の近い金属、例えば、Mg、La、Ce、Sn、Zn、Zrなどを適宜選択して用いることもできる。
【0102】
これらの有機金属錯体は、該出の電子輸送性のポリマー材料と混合して塗布することもできる。その場合、電気特性や有機層3との密着性を向上させることができるため非常に好ましい。
有機金属錯体の塗布層の乾燥後膜厚は、有機層3へ充分に電子注入をおこなえるよう薄い方が好ましく、一般には10nm以下が、さらには1nm以下が好ましい。
【0103】
塗布および乾燥後の有機金属錯体層上には、さらに補助電極を設けることが好ましい。補助電極を設けることによって、有機層3への電子注入効率を確保することができる。また、有機層3あるいは有機金属錯体層への、水分あるいは有機溶媒の侵入を防止することができる。
補助電極の材料は、有機金属錯体の材料との密着性や、目的とする電子注入電極の特性などに応じて、最適な材料を適宜選択することができる。例えば、Alなどの低抵抗の金属を用いれば高い電子注入効率を確保することができる。あるいは、TiNなどの金属化合物を用いれば高い封止性が得られる。
【0104】
電子注入層と補助電極を合わせた厚さ、すなわち電子注入電極である陰極4全体の厚さには特に制限はない。陰極4全体の厚さは電子を有機層3に供給するために充分な厚さであればよく、通常は陰極4全体の厚さが50〜500nm程度であればよい。有機金属錯体の層に対して補助電極が薄すぎると上記の効果が得られず、また、補助電極の段差被覆性が低くなり端子電極との接続が十分ではなくなる。一方、補助電極が厚すぎると補助電極の応力が大きくなるためダークスポットの成長速度が速くなってしまう。
【0105】
(陰極:金属塩の塗布膜による電子注入層)
電子注入層を金属塩の塗布層を用いて形成する方法も、スピンコート法などの塗布法により容易に電子注入層を形成できるため好ましい。この金属塩は有機金属塩および無機金属塩のどちらを用いることもできる。例えば、Ag、Al、Au、Be、Bi、Co、Cu、Fe、Ga、Hg、Ir、Mo、Mn、Nb、Ni、Os、Pb、Pd、Pt、Re、Ru、Sb、Sn、Ti、ZrおよびWなどの金属を含む有機金属塩または無機金属塩を用いることができる。金属塩の形態には特に制限はないが、例えば、置換または非置換の脂肪族カルボン酸塩、二価カルボン酸塩、芳香族カルボン酸塩、アルコラート、フェノラート、ハロゲン化物、およびジアルキルアミドなどを用いることができる。
【0106】
脂肪族カルボン酸塩の脂肪族カルボン酸は、飽和脂肪族カルボン酸と、不飽和脂肪族カルボン酸との、いずれも用いることができる。脂肪族カルボン酸は炭素数1〜24のものが好ましい。飽和脂肪族カルボン酸の残基は、例えば、酢酸、プロピオン酸、オクチル酸、イソオクチル酸、デカン酸、ラウリン酸などが挙げられ、不飽和脂肪族カルボン酸残基としてはオレイン酸、リシノレイン酸、リシノール酸などを用いることができる。
【0107】
二価カルボン酸塩の二価カルボン酸は、例えば、クエン酸、りんご酸、シュウ酸などから適宜選択して用いることができる。
【0108】
芳香族カルボン酸塩は、例えば、安息香酸、o−tert−ブチル安息香酸、m−tert−ブチル安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、サリチル酸、m−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸などの安息香酸類の塩を用いることができる。特にサリチル酸塩が好ましい。
【0109】
アルコラートは、アルコールの金属塩である。アルコラートを生成するのに好適なアルコールとして、例えば、エタノール、n−プロピルアルコール、n−ブチルアルコールなどの一級アルコール、およびイソプロピルアルコール、イソブチルアルコールなどの二級アルコール、tert.−ブチルアルコールなどの三級アルコールから、適宜選択して用いることができる。
【0110】
フェノラートはフェノール類の金属塩である。フェノール類は、フェノール、ナフトールおよび4−フェニルフェノールなどをいう。フェノール類としては、例えば、1価のフェノール(置換基数0〜5、置換基としてC1〜C8の直鎖もしくは分岐アルキル基など)、2価のフェノール(置換基数0〜4、置換基としてC1〜C8の直鎖もしくは分岐アルキル基など)などから適宜選択して用いることができる。
【0111】
ハロゲン化物は、例えば、塩素、フッ素、臭素、ヨウ素などのハロゲン元素との塩を用いることができる。
【0112】
なお、これらの有機金属錯体および金属塩は、該出の電子輸送性のポリマー材料と混合して塗布することもできる。その場合、電気特性や有機層3との密着性を向上させることができるため好ましい。
【0113】
乾燥後の金属塩塗布層の膜厚は、有機層3へ充分に電子注入をおこなえるよう薄いほうが好ましい。一般には10nm以下が、さらには1nm以下であることが好ましい。
金属塩の塗布層の上には補助電極を設けることが好ましい。補助電極を設けることによって、有機層3への電子注入効率を確保し、有機層3あるいは電子注入層への水分あるいは有機溶媒の侵入を防止できる。補助電極の材料は、金属塩との密着性や、目的とする電子注入電極の特性に応じて、最適な材料を適宜選択することができる。例えば、Alなどの低抵抗金属やTiNなどの金属化合物を用いることができる。
【0114】
電子注入層と補助電極を合わせた厚さ、すなわち電子注入電極である陰極4全体の厚さには特に制限はない。陰極4全体の厚さは電子を有機層3に供給するために充分な厚さであればよく、通常は陰極4全体の厚さが50〜500nm程度であればよい。補助電極が薄すぎると上記の効果が得られず、また、補助電極の段差被覆性が低くなり端子電極との接続が十分ではなくなる。一方、補助電極が厚すぎると、補助電極の応力が大きくなりダークスポットの成長速度が速くなってしまう。
【0115】
(封止処理)
積層工程が終了した素子を封止板などにより封止することで有機層3や電極の劣化を防ぐことができる。封止は、接着性樹脂を用いて素子に封止板を接着しておこなうことができる。このとき、スペーサー7を介して接着することにより封止板5と積層体との接触を防止することができる。
封止板5と素子およびスペーサー7との間隙には封止ガスを充填するのが好ましい。この封止ガスは不活性ガスであることが好ましく、例えば、Ar、He、N2 などが好ましい。封止ガスの水分含有量は100ppm 以下、より好ましくは10ppm 以下、特に1ppm 以下が好ましい。封止ガス中の水分含有量に下限値はないが、0.1ppm 程度であれば素子の有機層3や各電極の劣化防止効果が高く非常に好ましい。
【0116】
3.有機ELディスプレイ
本発明の有機EL素子を平面上に複数個配置することにより、高輝度で長寿命の有機ELディスプレイを得ることができる。本発明の有機ELディスプレイの好ましい実施形態は、想定しているディスプレイ製品に必要な輝度、寿命、消費電力、コストなどを勘案して決定することができる。本発明の有機EL素子は、例えば、ポリシリコンTFTなどを用いたアクティブ駆動のフルカラーディスプレイに用いることができる。あるいは、いわゆるパッシブ駆動のディスプレイに用いることもできる。
【0117】
フルカラーディスプレイのためには、どのような駆動方法を用いるにせよ、何らかの方法で赤、緑、青(RGB)の三原色の発光素子を形成する必要がある。本発明の有機EL素子は、公知のフルカラー表示方法、例えば、RGB三色並置方式や、白色発光方式や、色変換方式など、いずれにも用いることができる。
【0118】
RGB三色並置方式は、RGB三色の発光素子をそれぞれ発光させる方法である。また、白色発光方式は、液晶表示装置などに用いられる三色カラーフィルターによって白色発光の一部波長をカットし、フルカラー表示する方式である。色変換方式は、三色の蛍光色素を高エネルギー線の可視光発光によって励起する方式である。色変換方式の場合、励起光エネルギー線に有機ELの青色発光を用い、それぞれ緑色と赤色の蛍光面を励起して、赤色光、緑色光を得る場合が多い。青色が緑色あるいは赤色に変わるため色変換方式と呼ばれている。白色発光方式あるいは色変換方式の場合、三色の発光素子を用意する必要はなく、発光素子形成が簡素化され、大面積化にも容易に対応できる。
【0119】
本発明の有機EL素子は、発光層に添加する色素ドーパントを適宜選択することによって、上記の表示方法の全てに用いることができる。例えば、本発明の有機EL素子は、高効率で高輝度の青色発光素子が容易に得られるため、色変換方式の励起光源として非常に好ましく用いることができる。また、本発明の高分子材料は燐光発光ドーパントのホスト材料として好ましいため、例えば、燐光発光によるRGB三色並置方式の有機ELディスプレイにも非常に好ましく用いることができる。ここでは、本発明の好ましい一実施形態として、パッシブ駆動型であり、励起光源に青色発光素子を用いる色変換方式の有機ELディスプレイについて説明する。図2のブロック図に、本発明の有機ELディスプレイの好ましい実施形態の一つを示す。
【0120】
本実施形態のようにパッシブ駆動型の有機ELディスプレイを形成する場合、ストライプ状の陽極2と陰極4を発光素子上で直交するように形成するのが好ましい。この場合、陽極2にはホール輸送層を、陰極4には電子輸送層を設けることができる。
【0121】
本実施形態における基板1は、例えば、ガラスや石英、樹脂などの透明ないし半透明材料が好ましい。基板には、例えば、蛍光変換フィルター膜を用いて発光色をコントロールすることが好ましい。
【0122】
蛍光変換フィルター膜は、EL発光の光を吸収し、蛍光変換膜中の蛍光体から光を放出させて発光色の色変換をおこなう膜であり、一般にバインダー、蛍光材料、光吸収材料などを含む。これらは、フォトリソグラフィや印刷などにより微細なパターニングができるようなものが好ましい。また、ITOの成膜工程でダメージを受けない材料が好ましい。
【0123】
蛍光材料は、蛍光量子収率が高い物質であり、レーザー色素などのように発光素子の発光波長領域で光吸収が強い物質が好ましい。例えば、ローダミン系化合物、ペリレン系化合物、シアニン系化合物、サブフタロなどを含むフタロシアニン系化合物や、ナフタロイミド系化合物、縮合環炭化水素系化合物、縮合複素環系化合物、スチリル系化合物、クマリン系化合物などを用いることができる。バインダーは、蛍光を消光しない材料であれば適宜選択して用いることができる。光吸収材料は、蛍光材料の光吸収が足りない場合に用いることが好ましく、蛍光材料の蛍光を消光しない材料を選ぶことが好ましい。
【0124】
また、有機EL素子の材料や蛍光変換フィルター膜が吸収するような短波長の外光をカットするカラーフィルターを選択して蛍光変換フィルター膜と組み合わせると、素子の耐光性や表示コントラストを向上させることができる。蛍光変換フィルター膜は、陽極2と陰極4の交点にあたる位置の基板1表面に、赤色フィルター層13aと、緑色フィルター層13bとを形成するのが好ましい。青色発光領域13cの部分には蛍光変換フィルター膜は形成されない。赤色フィルター層13a、緑色フィルター層13b、青色発光領域13cの3つの電極交点がディスプレイの一画素に相当する。この構成はフォトリソグラフィの手法で蛍光変換フィルター膜をパターニングして形成することができる。
【0125】
蛍光変換フィルター膜のパターン形成後、陽極2をストライプ状に形成する。陽極2の材質と構成は、有機EL素子の実施形態の構成をそのまま用いることができる。ストライプ状の陽極2は、例えば、ITO膜を必要に応じてホール注入層やホール輸送層などと組み合わせて成膜した後、フォトリソグラフィの手法によりパターニング、エッチング処理して形成することができる。
【0126】
陽極2を形成した後、絶縁層6を成膜するのが好ましい。絶縁層6は、例えば、SiOやAlなどを成膜した後、発光領域となる13a〜13cの部分にフォトリソグラフィの手法により開口部を設けるのが好ましい。
【0127】
陽極2と絶縁層6を設けた基板1上に有機層3を設ける。このとき、スピンコート法によって有機層3を形成するのが好ましい。有機層3は、有機EL素子の好ましい実施形態において説明した材料および構成を用いることができる。有機層3は、例えば、フォトリソグラフィの手法などを用いてパターニングすることができる。
【0128】
有機層3の形成が完了した後に、陰極4を形成する。陰極4は有機EL素子の好ましい実施形態において説明した材料および構成を用いることができる。本実施形態のようにパッシブ駆動の有機ELディスプレイの場合、陰極4は陽極2に対し垂直に交差するストライプ状とするのが好ましい。このとき、陽極2と陰極4は図2のように、各発光素子上で直交するように形成するのが好ましい。
【0129】
この後、スペーサー7を設けることが好ましい。スペーサー7は、上記の有機EL素子の好ましい実施形態において説明した構成を用いることができる。スペーサー形成後、有機EL素子の好ましい実施形態とほぼ同様の方法で素子を封止するのが好ましい。
【0130】
ディスプレイ上の有機EL素子の駆動は、直流駆動、パルス駆動、交流駆動などの駆動方法を適宜用いることができる。印加電圧は通常2〜30V程度が好ましい。陽極2には電力供給機構8が接続される。電力供給機構8は陽極2に接続され、電流あるいは電圧を、直流、交流あるいはパルスとして素子に供給するのが好ましい。スイッチング機構10は陰極4に接続され有機EL素子9の点滅信号を供給するのが好ましい。電力供給機構8とスイッチング機構10は制御論理回路12によって制御されるのが好ましい。電力供給機構8とスイッチング機構10、および制御論理回路12は、有機ELディスプレイの表示をコントロールする駆動系11として統合することができる。
【0131】
以上説明した本発明の実施形態による有機EL素子は、従来にない高輝度で高寿命の青色発光素子を作製可能であるため、長寿命で優れた表示機能を有する有機ELディスプレイを得ることができる。また、本発明の有機EL素子は、有機ELディスプレイの他にも、例えば、メモリ読み出しや書き込みに利用される光ピックアップ、光通信の伝送路中における中継装置、フォトカプラなど、種々の光応用デバイスに用いることができる。
【0132】
【実施例】
以下、本発明を実施例と比較例によって具体的に説明する。実施例および比較例中で用いた化合物の構造は、それぞれ化30〜化41に示す。なお、構造式中のn、mは重合度である。
【0133】
(実施例1)
9−ブロモフェナントレン5.1g(20mmol)と、4−ビニルフェニルボロン酸3.3g(22mmol)と、テトラキストリフェニルフォスフィノパラジウム(Pd(pph)0.6gとを、窒素雰囲気中でトルエン40mlとエタノール10mlとの混合溶媒に溶解してモノマー溶液を得た。化30に9−ブロモフェナントレンの構造式を、化31に4−ビニルフェニルボロン酸の構造式を、それぞれ示す。
【0134】
【化30】
Figure 0004234383
【0135】
【化31】
Figure 0004234383
【0136】
得られた溶液に2Mの炭酸ナトリウム水溶液20mlを加え、90℃にて24時間反応させた。生成物をエーテルで抽出後、カラムクロマトグラフィーにより精製し、白色の固体である9−(4−ビニルフェニル)−フェナントレン3.6gを得た。化32に9−(4−ビニルフェニル)−フェナントレンの構造式を示す。
【0137】
【化32】
Figure 0004234383
【0138】
得られた固体は、核磁気共鳴法(NMR法)、赤外線吸収分析法(IR法)、マススペクトル分析法を用いて、化32に示す9−(4−ビニルフェニル)−フェナントレンの構造であることを確認した。また、9−(4−ビニルフェニル)−フェナントレンの収率は64%であった。
【0139】
次に、上記の9−(4−ビニルフェニル)−フェナントレンを2gと、ラジカル重合開始剤であるベンゾイルパーオキサイド(BPO)を20mgとを、15mlのテトラヒドロフラン(THF)に溶解した。得られた溶液を、窒素雰囲気において70℃で48時間保持し、重合反応させた。反応終了後、良溶媒にTHF、貧溶媒にメタノールを用いて再沈殿を3回おこなった。次に、貧溶媒を酢酸エチルに代えて上記と同様に再沈殿を3回おこない、1.81gのポリマーを得た。得られたポリマーの重量平均分子量は52000であった。
【0140】
得られたポリマーをトルエンに2.0wt%溶解し、ポリマー溶液を得た。さらに、ポリマー中のモノマーユニットに対して3wt%の割合で、青色発光ドーパントであるテトラフェニルブタジエンを添加し、発光層塗布溶液を得た。化33にテトラフェニルブタジエンの構造式を示す。
【0141】
【化33】
Figure 0004234383
【0142】
得られた発光層塗布溶液を用い、以下の手順で有機EL素子を作製した。
ITO基板上に、スピンコート法によりポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)を50nm成膜した。80℃にて1時間真空乾燥した後、上記の発光層塗布溶液を塗布し、発光層100nmを形成した。化34に、PEDOT/PSSの構造式を示す。
【0143】
【化34】
Figure 0004234383
【0144】
同様に80℃にて1時間真空乾燥した後、LiFを0.6nm、Alを250nm真空蒸着して陰極とし、封止をして有機EL素子を作製した。このデバイスからはテトラフェニルブタジエンに起因する青色発光が確認され、10mA/cm2の定電流駆動時に1.7cd/Aの電流効率が得られた。10mA/cm2における輝度半減寿命試験の結果、210時間の寿命が得られた。
【0145】
(実施例2)
ドーパントを燐光発光ドーパントであるイリジウムフェニルピリジン錯体(Ir(ppy))とし、ポリマー中のモノマーユニットに対して1wt%の割合で添加した。それ以外は実施例1と同様の手順で有機EL素子を作製した。化35にIr(ppy)の構造式を示す。
【0146】
【化35】
Figure 0004234383
【0147】
このデバイスからはIr(ppy)に起因する緑色発光が確認され、10mA/cm2の定電流駆動時に20cd/Aの電流効率が得られた。10mA/cm2における輝度半減寿命試験の結果、80時間の寿命が得られた。
【0148】
(実施例3)
9−ブロモフェナントレンを、9−ビフェニル−2−イル−10−ブロモフェナントレンとした以外は、実施例1と同様の条件でモノマーの合成をおこない、9−ビフェニル−2−イル−10−(4−ビニルフェニル)−フェナントレンを得た。化36に9−ビフェニル−2−イル−10−ブロモフェナントレンの構造式を、化37に9−ビフェニル−2−イル−10−(4−ビニルフェニル)−フェナントレンの構造式を、それぞれ示す。
【0149】
【化36】
Figure 0004234383
【0150】
【化37】
Figure 0004234383
【0151】
NMR法、IR法、マススペクトル分析法によるモノマー構造の確認後、モノマーを重合してポリマーを得た。得られたポリマーの重量平均分子量は38000であった。
【0152】
次いで実施例1と同様に有機EL素子を作製した。得られた有機EL素子からはテトラフェニルブタジエンに起因する青色発光が確認され、10mA/cm2の定電流駆動時に2.0cd/Aの電流効率が得られた。10mA/cm2における輝度半減寿命試験の結果、280時間の寿命が得られた。
【0153】
(実施例4)
ドーパントを、1wt%のIr(ppy)にした以外は、実施例3と同様にして有機EL素子を作製して評価した。このデバイスからはIr(ppy)に起因する緑色発光が確認され、10mA/cm2の定電流駆動時に21cd/Aの電流効率が得られた。10mA/cm2における輝度半減寿命試験の結果、110時間の寿命が得られた。
【0154】
(実施例5)
実施例3における9−ビフェニル−2−イル−10−(4−ビニルフェニル)−フェナントレンと、ジフェニル−(4−ビニルフェニル)−アミンとを、70:30(モル比)の割合で混合し、実施例1と同様にラジカル重合反応をおこなって共重合体を得た。化38にジフェニル−(4−ビニルフェニル)−アミンの構造式を示す。得られた共重合体の分子量は、重量平均分子量にして44000であった。
【0155】
【化38】
Figure 0004234383
【0156】
次いで、実施例2と同様にIr(ppy)を用いて有機EL素子を作製した。有機EL素子からは、Ir(ppy)に起因する緑色発光が確認され、10mA/cm2の定電流駆動時に17cd/Aの電流効率が得られた。10mA/cm2における輝度半減寿命試験の結果、150時間の寿命が得られた。
【0157】
(実施例6)
実施例1と同様に50nmのPEDOT/PSS膜を作製した。また、青色の蛍光を発するπ共役高分子であるCN−PPP(重量平均分子量10000)を1.5wt%の濃度でキシレンに溶解して、CN−PPPキシレン溶液を得た。化39にCN−PPPの構造式を示す。
【0158】
【化39】
Figure 0004234383
【0159】
上記のPEDOT/PSS膜表面に、上記のCN−PPPキシレン溶液を塗布して、100nm膜厚の発光層を形成し、80℃にて1時間真空乾燥した。
【0160】
実施例1で用いたポリマーを、CN−PPPを溶かさない溶媒である2−エトキシエタノールに0、3wt%溶解し、CN−PPP発光層表面に塗布した後に80℃にて1時間真空乾燥し、5nm膜厚のホールブロック層を作製した。ホールブロック層表面にLiFを0.6nm、Alを250nm真空蒸着して陰極とし、封止をして有機EL素子を得た。
【0161】
この有機EL素子からは、CN−PPPからの青色発光が確認され、10mA/cm2の定電流駆動時に0.5cd/Aの電流効率が得られた。また、10mA/cm2における輝度半減寿命試験の結果、90時間の寿命が得られた。
【0162】
(比較例1)
ポリマーをポリビニルカルバゾール(PVK:重量平均分子量100000)とした以外は実施例1と同様に有機EL素子を作製した。化40にPVKの構造式を示す。
【0163】
【化40】
Figure 0004234383
【0164】
この素子からはテトラフェニルブタジエンに起因する青色発光が確認され、10mA/cm2の定電流駆動時の電流効率は1.6cd/Aが得られた。しかしながら10mA/cm2での輝度半減寿命は4時間であった。
【0165】
(比較例2)
ポリマーをPVK(重量平均分子量100000)とした以外は実施例2と同様に有機EL素子を作製した。この素子からはIr(ppy)に起因する緑色発光が確認され、10mA/cm2の定電流駆動時に18cd/Aの電流効率が得られた。しかしながら10mA/cm2での輝度半減寿命はわずか15分であった。
【0166】
(比較例3)
実施例6と同様の手順で、膜厚50nmのPEDOT/PSSと、膜厚100nmのCN−PPPとの発光層を積層した。本比較例では、真空乾燥後にホールブロック層を積層せず、直接CN−PPP層表面にCaを6nm、Alを250nm真空蒸着して陰極を形成した。CaはCN−PPPに対し良好な電子注入性を有する。陰極形成後、封止をして有機EL素子を作製した。得られた有機EL素子からは、10mA/cm2の定電流駆動では発光が確認されなかった。この結果からホールブロック層の形成が有機EL素子の特性向上に効果的であることが判った。
【0167】
(比較例4)
テトラフェニルブタジエンをCN−PPPの固形分に対して2wt%の割合で添加した以外は、比較例3と同様に有機EL素子を作製した。得られた有機EL素子からはテトラフェニルブタジエンに起因する青色発光が確認されたが、10mA/cm2の定電流駆動時の電流効率は0.1cd/A未満であった。
【0168】
(比較例5)
テトラフェニルブタジエンの代わりに3wt%のIr(ppy)をドーパントに用いた以外は比較例4と同様に有機EL素子を作製した。得られた有機EL素子からは10mA/cm2の電流値では発光が確認できなかった。さらに電圧を上げていくと、Ir(ppy)に起因する緑色発光ではなく、CN−PPP自体に起因する青色発光が確認された。この結果から、CN−PPPは燐光発光用のホスト材料としては不適合であることが確認できた。
【0169】
(比較例6)
有機EL素子の有機層を、分子分散型の高分子材料ではなく低分子量のフェニルフェナントレン塗布膜とした以外は、実施例1と同様に有機EL素子を作製した。フェニルフェナントレンの構造式を化41に示す。
【0170】
【化41】
Figure 0004234383
【0171】
フェニルフェナントレンの塗布膜は結晶化が激しく平滑な膜が得られなかったが、そのまま有機EL素子を作製して評価を試みた。本比較例の有機EL素子の評価においては、10mA/cm2の定電流駆動でテトラフェニルブタジエンに起因する青色発光が確認された。しかしながら、発光開始直後に絶縁破壊が生じ、電流効率などの特性評価はできなかった。この結果から、分子分散型の高分子材料がドーパントのホスト材料として有効であることが確認された。
【0172】
(実施例7)
本実施例では、実施例1における有機EL素子を用いて有機ELディスプレイを作製した。
基板1として75mm方形のガラス基板を用いた。ガラス基板には、顔料分散型のカラーフィルター塗布工程を施し、赤色および緑色のカラーフィルター層を形成した。カラーフィルター層は、1.5〜2.0μm程度のフィルター膜厚となるように塗布し、紫外線を用いたフォトリソグラフィの手法によりパターニングした。赤色および緑色フィルター層は、1.0mm×2.7mmの略長方形とした。青色光を透過する部分にはフィルターは設けなかった。
【0173】
カラーフィルター形成後のガラス基板には、透明電極を形成する。本実施例ではITO膜を陽極2として用いた。ITO膜を成膜する前に、下地にオーバーコート層を塗布し、220℃で1時間のキュアをおこなった。オーバーコート層の膜厚は7〜8μmとした。オーバーコート層を形成した基板に、ストライプ状のITO膜を形成した。ITO膜は、スパッタリング法を用い、フォトリソグラフィとエッチングの手法によって、ストライプ幅2.5mmおよびストライプギャップ1.0mmにて形成した。これらは、赤色、緑色のカラーフィルター部分と、青色発光を想定した部分とを被覆するよう形成した。ITO膜とカラーフィルターの位置関係は、図2に示すとおりである。
ITO膜の形成後、絶縁層6であるSiOを成膜して、赤色、緑色および青色の発光素子に相当する部分の必要な面積をパターニングして開孔した。
【0174】
次に、スペーサー7を形成した。ITO膜と絶縁層6が形成された基板1上に、ガラススペーサーを混ぜた接着剤を適量塗布し、乾燥させて封止版が発光素子と接触しない程度の高さのスペーサー7を得た。
実施例1の工程で得られた発光層塗布溶液を用い、以下の手順で、ホール輸送層と発光層からなる有機層3を作製した。
【0175】
スペーサー7を形成した基板1上に、スピンコート法によりポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)を50nm成膜して、ホール輸送層を形成した。80℃にて1時間真空乾燥した後、実施例1の工程で得られた発光層塗布溶液を塗布し、発光層100nmを形成した。発光層の形成後、再度80℃にて1時間真空乾燥をおこなった。
【0176】
長さ72mmで幅2.5mmのストライプ形状の穴が1.0mm間隔で形成された、ステンレス製のメタルマスクを、ストライプ穴がガラス基板上のITO膜のストライプと、三色の各発光素子上で直交するように設置した。メタルマスクを設置した状態で基板ホルダーに固定し、真空蒸着装置の中に装填した。初期真空度2×10−6Paまで排気した後、1〜3.2×10−4Paのプロセス圧力でLiFを0.6nm、Alを250nm蒸着し、赤色発光素子と直交する陰極4a、緑色発光素子と直交する陰極4b、青色発光素子と直交する陰極4cを形成した。陰極4a〜4cを形成した後、封止をおこなった。
【0177】
以上のように、ストライプ状の陽極2と陰極4a〜4cの交点を複数個有し、それらの各交点に有機層3が形成されて、有機EL素子9が二次元的に配置された有機ELディスプレイのパネル部材を得た。
【0178】
得られたパネル部材の青色発光する1画素に相当する有機EL素子9を選び、電力供給機構6を陽極2に、スイッチング機構8を陰極4cに、それぞれ接続して発光試験をおこなった。選択した1画素の有機EL素子9からは、テトラフェニルブタジエンに起因する青色発光が得られ、10mA/cmの定電流駆動時に2.0cd/Aの電流効率が得られた。10mA/cmにて輝度半減寿命試験をおこなったところ315時間の寿命が得られた。
【0179】
得られたパネルに対し、図2のブロック図に示す駆動系11として、電力供給機構8とスイッチング機構10、および制御論理回路12を接続し、有機ELディスプレイを作製した。電流供給機構8は、1本の陽極2に対して1系統接続し、スイッチング機構10は、陰極4a〜4cに対して各1系統接続した。電流供給機構6とスイッチング機構10とは、駆動系11として統括した。駆動系11を含む有機ELディスプレイ全体を、制御論理回路12を用いて制御した。
【0180】
制御論理回路12により、10mA/cmの定電流駆動をおこなったところ、青色発光素子部において、本実施例の上記の評価と同様のテトラフェニルブタジエンに起因する青色発光が得られ、1.4cd/Aの電流効率が得られた。また、カラー表示駆動をおこなったところ、鮮明な画像を確認することができた。
【0181】
以上、本発明の実施例について説明してきたが、本発明はこれらに限定されることなく、請求項の範囲内において各種の変形が可能であることは、当業者にとって自明である。
【0182】
【発明の効果】
本発明によれば、広いバンドギャップを有し、固体量子効率が高く安定な構造であるフェナントレン構造を有するビニルポリマーを用いることにより、燐光発光も含めた高効率で長寿命の有機EL素子を得ることができる。また、他のビニルモノマーと共重合体を作ることにより、注入バランスに優れた有機EL素子の作製が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機EL素子の内部構造を示す断面図である。
【図2】本発明の有機ELディスプレイを示すブロック図である。
【符号の説明】
1 基板
2 陽極
3 有機層
4 陰極
4a 赤色発光部陰極
4b 緑色発光部陰極
4c 青色発光部陰極
5 封止板
6 絶縁層
7 スペーサー
8 電力供給機構
9 有機EL素子
10 スイッチング機構
11 駆動系
12 制御論理回路
13a 赤色フィルター層
13b 緑色フィルター層
13c 青色発光領域

Claims (10)

  1. (2)で表されるフェナントレン構造から誘導された基をもつビニルモノマーの重合体であるビニルポリマーを含む有機層を有することを特徴とする有機EL素子。
    Figure 0004234383
    但し、式(2)中のLは、フェニレン基またはフェニレン基の誘導体である。また、X 11 〜X 19 は置換基であって、水素、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、複素環基、アミノ基、シアノ基、ハロゲン原子のうちの1つ以上を含み、これらのうちの2以上が結合して環を形成していてもよい。
  2. 請求項1に記載のビニルモノマーのうちの2種類以上のビニルモノマーの共重合体であるビニルポリマーを含む有機層を有することを特徴とする有機EL素子。
  3. 請求項1に記載のビニルモノマーのうちの1種類以上のビニルモノマーと、
    請求項1に記載のビニルモノマー以外の1種類以上のビニルモノマーとの共重合体であるビニルポリマーを含む有機層を有することを特徴とする有機EL素子。
  4. 前記ビニルポリマーを含む有機層の1種類以上は、
    有機EL素子における発光層であることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の有機EL素子。
  5. 前記発光層は、
    1種類以上の発光性ドーパントを含むことを特徴とする請求項に記載の有機EL素子。
  6. 前記発光性ドーパントは、
    1種類以上の青色発光ドーパントを含むことを特徴とする請求項に記載の有機EL素子。
  7. 前記発光性ドーパントは、
    1種類以上の燐光発光ドーパントを含むことを特徴とする請求項5に記載の有機EL素子。
  8. 請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載のビニルポリマーを含むキャリアブロック層を、一つ以上有することを特徴とする請求項1〜7のうちのいずれか1項に記載の有機EL素子。
  9. 前記キャリアブロック層は、
    有機層の発光層に接する陰極側に設けられていることを特徴とする請求項1〜8のうちのいずれか1項に記載の有機EL素子。
  10. 複数の有機EL素子が二次元配列されたパネルと、
    電圧供給または電流供給をおこなう電力供給機構と、
    スイッチング機構とを含み、
    前記有機EL素子が、請求項1〜9のうちのいずれか1項に記載の有機EL素子であることを特徴とする有機ELディスプレイ。
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