JP4554329B2 - 有機電子デバイス、及び有機電子デバイスの製造方法 - Google Patents

有機電子デバイス、及び有機電子デバイスの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、有機電子デバイス、及びその製造方法に関するものであり,特に有機エレクトロルミネッセンス素子のような有機発光デバイス、有機トランジスタ、有機太陽電池等の有機電子デバイス、及びその製造方法に関するものである。
有機電子デバイスは、有機エレクトロルミネセンス素子(以下、有機EL素子という。)有機発光デバイス、有機トランジスタ、有機太陽電池等、広範な基本素子及び用途への展開が期待されている。
有機EL素子は、発光層に到達した電子と正孔とが再結合する際に生じる発光を利用した電荷注入型の自発光デバイスである。こうした有機EL素子は、1987年にT.W.Tangらにより蛍光性金属キレート錯体とジアミン系分子とからなる薄膜を積層した素子が低い駆動電圧で高輝度な発光を示すことが実証されて以来、その開発が活発に行われている。
有機EL素子の素子構造は、陰極/有機層/陽極から基本的に構成され、その有機層としては、発光層と正孔注入層とからなる2層構造、または、電子輸送層と発光層と正孔輸送層とからなる3層構造が一般的である。有機EL素子においては、発光中心となる発光材料に電荷(正孔、電子)を効率的かつ速やかに供給することが必要であり、そのため、電荷輸送材料を発光層中に含有させたり、陽極と発光層との間に正孔輸送層を設けたり、陰極と発光層との間に電子輸送層を設けることが行われている。
こうした有機EL素子では、高い発光効率を得るために、電極から有機層に電荷(正孔、電子)を効率的に注入することが必要であるが、陽極や陰極と発光層等の有機層とはエネルギー障壁が大きく、電荷を容易に注入できない。そのため、従来は、陰極と有機層との間に正孔あるいは電子注入層を設けたり、陽極あるいは陰極の仕事関数を最適化することで電極と有機層とのエネルギー障壁を小さくしている。
具体的には、例えば陰極に仕事関数の小さいMgやLiを比較的安定なAgやAlと合金化して電極として用いることが行われていた。しかしながらこの場合、仕事関数の小さいMgやLiが酸化しやすく不安定なため、電極の酸化等による素子劣化が起こる上、配線材料としての機能を考慮しなければならないので、合金電極では電極材料選択において制限を受ける。
そこで、陰極には仕事関数が小さいものを用いなくても低駆動電圧を実現するために、陰極と発光層の間に電子注入層を設けて、その電子注入層にアルカリ金属やアルカリ土類金属を用いることが検討されている。例えば特許文献1には、電子注入層にLiF,LiO等の無機化合物であるアルカリ金属化合物を含むことを開示している。しかしながら無機化合物であるアルカリ金属化合物は、絶縁性のため膜厚を非常に薄くする必要があり、蒸着による成膜条件が難しく、繰り返し使用しても安定した性能を発揮する素子を得ることは困難であった。
また、例えば特許文献2には、電子注入層がアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の有機塩又は有機金属錯体からなることが開示されており、特許文献3にはアルカリ金属を含む有機金属化合物からなる電子注入層を有することが開示されており、特許文献4には、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含有する金属カルボン酸を含む第二カソードを有することが開示されている。また、特許文献5には、陰極電極に接する有機層がアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、希土類金属イオンの少なくとも1種を含有する有機金属錯体化合物により構成され、且つ、陰極電極が該錯体化合物中に含有される金属イオンを真空中において金属に還元しうる金属からなることが開示されている。更に、特許文献6には、陰極電極の界面にドナー(電子供与性)ドーパントとして機能する金属でドーピングした有機化合物層を有することにより、電子注入におけるエネルギー障壁を低下させて低駆動電圧を実現することが開示されている。しかしながら、これらはいずれも真空蒸着により成膜される必要があり、製造工程に時間を要する。
有機EL素子の他にも、ある程度のキャリア移動度を有する有機材料を用いた有機電子デバイスの代表例として、有機太陽電池が挙げられる。
有機太陽電池は、言わば、有機EL素子と逆の機構を利用するものである。すなわち、最も基本的な構成は有機EL素子と同様であり、二層構造の有機薄膜を電極で挟んだ構造である(非特許文献1参照)。光をその有機薄膜に吸収させることによって生じる光電流を利用し、起電力を得ることができる。このとき流れる電流は、光によって生じたキャリアが有機材料のキャリア移動度を利用して流れるものと考えてよい。有機材料と電極との電荷注入障壁が低減すれば、より効率的に起電力を得ることができる。
また、有機電子デバイスの他の代表例である有機トランジスタは、π共役系の有機高分子や有機低分子からなる有機半導体材料をチャネル領域に使用した薄膜トランジスタである。一般的な有機トランジスタは、基板、ゲート電極、ゲート絶縁層、ソース・ドレイン電極、及び有機半導体層の構成からなる。有機トランジスタにおいては、ゲート電極に印加する電圧(ゲート電圧)を変化させることで、ゲート絶縁膜と有機半導体膜の界面の電荷量を制御し、ソース電極及びドレイン電極間の電流値を変化させてスイッチングを行なう。
しかし、この有機トランジスタで使われる有機半導体材料を用いた場合には、ソース電極またはドレイン電極との電荷注入障壁が大きく、素子駆動に問題があった。また、有機半導体層とソース電極またはドレイン電極との電荷注入障壁を低減すれば、有機トランジスタのオン電流値が向上し、かつ素子特性が安定化することが期待される。
一方で、発光性や電荷輸送性等を有する高分子有機化合物を溶剤に溶解又は分散させて基材に塗布する湿式成膜法(スピンコーティング法、印刷法、インクジェット法等)によって上記発光層や電荷輸送層等を形成した有機EL素子等の有機電子デバイスが提案されている。溶媒を用いて基材に塗布する湿式成膜法は、真空蒸着法に比べて大掛かりな蒸着装置が不要で、作製プロセス工程の簡便化が期待でき、材料の利用効率も高く、コストが安価で、基材の大面積化が可能というメリットがある。また、例えば有機EL素子におけるRGB等、材料を並列に塗りわけることも容易に行えるというメリットがある。
特開平09−17574号公報 特開2000−91078号公報 特開2000−243569号公報 特開2003−303691号公報 特開平11−233262号公報 特開平10−270171号公報 "App.Phys.Lett.", (1986), Vol.48, Number 2, p.183-185 "App.Phys.Lett.", (2003), Vol.83, Number 23, p.4695-4697 「第50回応用物理学関係連合講演会予稿集」、2003年、p.1404 "Synthetic Metals",(1997),vol.85,p.1229-1232
上記特許文献5には、一般にアルカリ金属、アルカリ土類金属は、高融点金属のAl等に比べ、高い飽和蒸気圧を示し、酸化、還元反応の起こるような反応温度において、高融点金属である、Al、Si、Zr等でその化合物を還元できることが知られ、アルカリ金属やアルカリ土類金属を有する有機金属錯体を電子注入層に用いた場合、アルカリ金属やアルカリ土類金属を含む層の上からAlなどの熱還元性材料を陰極電極として真空蒸着し、これら熱還元性材料がアルカリ金属やアルカリ土類金属を有する有機金属錯体中に含有される金属イオンを真空中において金属に還元しないと良好な特性が得られないという問題を開示している。アルカリ金属やアルカリ土類金属を有する安息香酸、酢酸などのカルボン酸塩は、蒸着により成膜されると、熱により分解されアルカリ金属やアルカリ土類金属単体として蒸着されていることも報告されている(非特許文献3)。
また、塗布型電子注入層として非特許文献2による材料が提案されているが、その文献においては電子注入層上には陰極として熱還元性を有するAlが使用され、真空蒸着成膜を用いている。この文献における塗布型電子注入層上に、熱還元性が低く仕事関数の大きな金属を使用した陰極では、特性が出ないという問題が生じる。
上記特許文献2〜5及び非特許文献2に開示されているアルカリ金属やアルカリ土類金属を有する有機塩、有機金属錯体は、いずれもアルカリ金属やアルカリ土類金属に酸素が直接結合した有機塩や有機金属錯体であるからか、これらアルカリ金属やアルカリ土類金属を含む有機塩や有機金属錯体の上からAlなどの熱還元性材料を陰極電極として真空蒸着し、これら熱還元性材料がアルカリ金属やアルカリ土類金属を有する有機金属錯体中に含有される金属イオンを真空中において金属に還元しないと、素子として良好な特性が得られないという問題がある。これは、アルカリ金属やアルカリ土類金属に酸素が直接結合した有機塩や有機金属錯体を用いた場合には、酸素上に局在化した電子が中性の有機材料に対して放出され難く、これら有機塩や有機金属錯体がそのまま有機材料と接触していても、中性の有機材料との間で電荷移動が行われ難いため電荷注入効果が低く、アルカリ金属やアルカリ土類金属に還元されることによって中性の有機材料との間で電荷移動が行われ易くなるからと考えられる。このため、従来技術においては、電子注入層の形成法及び/又は隣接する電極の材料や形成法に制約があり、蒸着法を用いない湿式成膜法でアルカリ金属やアルカリ土類金属を含む層及び電極を形成することはできなかった。
以上,有機EL素子について説明したが,有機EL素子以外の有機発光デバイスであるライトエミッティングエレクトロケミカルセル(LECs)やエレクトロケミルミネッセンス(ECL)(例えば、非特許文献4)においても同様に、更には有機トランジスタや有機太陽電池等の有機電子デバイスにおいても同様に、電極と有機層との電荷注入障壁が低下して高電荷注入効率であることは重要であり、また、湿式成膜法で簡便に効率よく生産可能なことも重要である。
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたもので、本発明の主目的は、電極と有機層との電荷注入障壁が低下して高い電荷注入特性を有し、電荷注入機能を有する層を湿式成膜法により形成可能な有機電子デバイス、及びその製造方法を提供することにある。
本発明に係る有機電子デバイスの第一の態様は、基板上に、対向する2つ以上の電極と、そのうちの2つの電極間に配置された少なくとも1層の有機層とを有する有機電子デバイスであって、少なくとも1つの電極と電荷注入輸送材料を含有する有機層との間に、還元性部位又はプロトン受容性部位を有する反応性有機化合物含有する層を有し、前記反応性有機化合物が、金属シクロペンタジエン化合物、並びに、Li、Na,K,Rb又はCsのアルカリ金属、或いは、Mg,Ca、Sr,又はBaのアルカリ土類金属を含む金属アミドよりなる群から選択される1種以上であることを特徴とする。
また、本発明に係る有機電子デバイスの第二の態様は、基板上に、対向する2つ以上の電極と、そのうちの2つの電極間に配置された少なくとも1層の有機層とを有する有機電子デバイスであって、少なくとも1つの電極及び/又は電極に隣接し電荷注入輸送材料を含有する有機層に、還元性部位又はプロトン受容性部位を有する反応性有機化合物含有し、前記反応性有機化合物が、金属シクロペンタジエン化合物、並びに、Li、Na,K,Rb又はCsのアルカリ金属、或いは、Mg,Ca、Sr,又はBaのアルカリ土類金属を含む金属アミドよりなる群から選択される1種以上であることを特徴とする。
なお、本発明において、反応性有機化合物の反応性とは、上記電荷注入輸送材料との反応性をいう。従って、本発明における反応生成物は、反応性有機化合物と電荷注入輸送材料との反応により得られた反応生成物をいう。
本発明に係る有機電子デバイスは、第一の態様においては少なくとも1つの電極と電荷注入輸送材料を含有する有機層との間に還元性部位又はプロトン受容性部位を有する反応性有機化合物含有する層を有し、第二の態様においては少なくとも1つの電極及び/又は電極に隣接し電荷注入輸送材料を含有する有機層に還元性部位又はプロトン受容性部位を有する反応性有機化合物含有しているため、中性であった電荷注入輸送材料が反応性有機化合物との反応により、ラジカルアニオンやラジカルカチオンを生成して電荷密度が増大するため、電極と有機層との電荷注入障壁が低下し、効率良く電荷を注入することができるようになる。
前記電荷注入輸送材料は、電子注入輸送材料であることが、電子の授受を行う電極と有機層の間の電子注入の点から好ましい。
前記反応性有機化合物は、還元性部位又はプロトン受容性部位を有することが、中性の電荷注入輸送材料を還元するか又は電荷注入輸送材料からプロトンを受容して、その結果中性の電荷注入輸送材料がラジカルアニオン状態、すなわちキャリアとなり得ることにより、電極からの注入障壁が低下し、電子注入特性が向上する点から好ましい。
前記反応性有機化合物の還元性部位又はプロトン受容性部位の電荷は、前記反応性有機化合物の反応生成物として中性になっていても良い。
前記反応性有機化合物の還元性部位又はプロトン受容性部位の電子親和力が、前記電荷注入輸送材料の電子親和力よりも小さいことは、前記反応性有機化合物の還元性部位が前記電荷注入輸送材料に電子を供与、又は、前記電荷注入輸送材料から前記反応性有機化合物のプロトン受容性部位がプロトンを受容しやすく、ラジカルアニオン状態の分子を形成しやすくなり、電子注入特性が向上する点から好ましい。
前記本発明に係る有機電子デバイスの一態様として、発光材料を含有する有機発光デバイスであっても良い。
また、前記有機発光デバイスは、対向する陽極電極と陰極電極との間に、少なくとも1層の発光層を含む発光ユニットを複数個有し、当該発光ユニットが電荷発生層によって仕切られている有機発光デバイスであって、当該電荷発生層及び/又は電荷発生層に隣接し電荷注入輸送材料を含有する有機層に、前記反応性有機化合物含有していることを特徴とする有機発光デバイスであっても良い。この場合、発光ユニットを複数個直列に積層することにより、高輝度、高発光効率(電流効率)、長寿命が得られるという特徴を有することが可能になる。
一方、本発明に係る有機電子デバイスの製造方法の第一の態様は、基板上に、対向する2つ以上の電極と、そのうちの2つの電極間に配置された少なくとも1層の有機層とを有する有機電子デバイスの製造方法において、還元性部位又はプロトン受容性部位を有する反応性有機化合物を含有する層を、少なくとも1つの電極と電荷注入輸送材料を含有する有機層との間に形成する工程を有し、前記反応性有機化合物が、金属シクロペンタジエン化合物、並びに、Li、Na,K,Rb又はCsのアルカリ金属、或いは、Mg,Ca、Sr,又はBaのアルカリ土類金属を含む金属アミドよりなる群から選択される1種以上であることを特徴とする。
また、本発明に係る有機電子デバイスの製造方法の第二の態様は、基板上に、対向する2つ以上の電極と、そのうちの2つの電極間に配置された少なくとも1層の有機層とを有する有機電子デバイスの製造方法において、還元性部位又はプロトン受容性部位を有する反応性有機化合物を含有する層を、少なくとも1つの電極及び/又は電極に隣接し電荷注入輸送材料を含有する有機層として形成する工程を有し、前記反応性有機化合物が、金属シクロペンタジエン化合物、並びに、Li、Na,K,Rb又はCsのアルカリ金属、或いは、Mg,Ca、Sr,又はBaのアルカリ土類金属を含む金属アミドよりなる群から選択される1種以上であることを特徴とする。
前記反応性有機化合物を含有する層を、湿式成膜法により形成することは、真空装置が不要で、作製プロセスを簡便化でき、材料の利用効率も高く、コストが安価で、基材の大面積化が可能な点から好ましい。
前記有機電子デバイスが、対向する陽極電極と陰極電極との間に、少なくとも1層の発光層を含む発光ユニットを複数個有し、当該発光ユニットが電荷発生層によって仕切られている有機発光デバイスであって、当該電荷発生層及び/又は電荷発生層に隣接する有機層として、前記反応性有機化合物を含有する層を形成する工程を有することは、電荷注入特性の向上が可能な点から好ましい。
本発明に係る有機電子デバイスは、電極と有機層との電荷注入障壁が低下して高い電荷注入特性を有し、電荷注入機能を有する層を湿式成膜法により形成可能である。
本発明においては、電荷注入輸送層だけでなく、他の有機層や電極など全ての層を、湿式成膜法を用いて形成可能なため、真空蒸着法に比べて大掛かりな蒸着装置が不要で、作製プロセスの簡便化が期待でき、材料の利用効率も高く、コストが安価で、基材の大面積化が可能で、更に、例えば有機EL素子におけるRGBの発光層等、数層を細かく並列に塗りわけることも容易に行えるというメリットを有しながら、且つ、電荷注入効率が良好なため素子特性が良好な有機電子デバイスが得られる。
中でも、有機発光デバイスの場合、従来の有機発光デバイスでは達成困難であった陰極までの形成をウエットプロセスにより簡便に効率よく生産可能で、なお且つ、陰極において仕事関数が大きな金属を用いても良好な有機発光特性を実現し得る。本発明においては、隣接する電極の材料や形成法に制約がなく、具体的に例えば湿式成膜法により形成された上記反応性有機化合物が含まれる有機層の上に熱還元性を有しない仕事関数の大きな金属を使用した電極を形成しても、或いは、電極をコーティングで形成しても、有機層へ電荷注入を効率良く行うことができ、良好な素子特性が得られる。更に、本発明は、電荷注入材料の上に熱還元性を有する電極材料を蒸着する必要がないことから、陰極から有機EL素子を形成する場合における電子注入輸送層形成に好適に用いることができ、陰極を透明電極として陰極側から光を取り出すトップエミッション(上面発光)素子にも好適に応用できる。
本発明に係る有機電子デバイスの製造方法は、反応性有機化合物を含有する層を少なくとも1つの電極と電荷注入輸送材料を含有する有機層との間に形成する工程か、又は、反応性有機化合物を含有する層を少なくとも1つの電極及び/又は電極に隣接し電荷注入輸送材料を含有する有機層として形成する工程を有することにより、湿式成膜法で層を形成する工程のみを用いて、電荷注入機能を向上させることが可能である。
本発明に係る有機電子デバイスの第一の態様は、基板上に、対向する2つ以上の電極と、そのうちの2つの電極間に配置された少なくとも1層の有機層とを有する有機電子デバイスであって、少なくとも1つの電極と電荷注入輸送材料を含有する有機層との間に、反応性有機化合物及び/又はその反応生成物を含有する層を有することを特徴とする。上記反応性有機化合物及び/又はその反応生成物を含有する層は、少なくとも1つの電極及び電荷注入輸送材料を含有する有機層に隣接して、少なくとも1つの電極と電荷注入輸送材料を含有する有機層との間に形成されることが好ましい。
また、本発明に係る有機電子デバイスの第二の態様は、基板上に、対向する2つ以上の電極と、そのうちの2つの電極間に配置された少なくとも1層の有機層とを有する有機電子デバイスであって、少なくとも1つの電極及び/又は電極に隣接し電荷注入輸送材料を含有する有機層に、反応性有機化合物及び/又はその反応生成物を含有していることを特徴とする。
本発明において、電荷注入輸送材料とは、電極からの電子及び/又は正孔注入を安定化したり、電極から注入された電子及び/又は正孔を輸送することが可能な材料である。電界印加時に電極からの電子及び/又は正孔注入を安定化する機能を有する電子及び/又は正孔注入性、及び、電極から注入された電子を電界の力で輸送する機能を有する電子及び/又は正孔輸送性のいずれか一方を有する場合であってもよく、電子及び/又は正孔注入性及び電子及び/又は正孔輸送性の両方の機能を有していても良い。本発明における電荷注入輸送材料には、電子及び正孔輸送性を有する、いわゆる発光材料も含まれる。
また上述のように、本発明において反応性有機化合物の反応性とは、上記電荷注入輸送材料との反応性をいう。従って、本発明における反応生成物は、反応性有機化合物と電荷注入輸送材料との反応により得られた反応生成物をいう。
本発明に係る有機電子デバイスは、第一の態様においては少なくとも1つの電極と電荷注入輸送材料を含有する有機層との間に反応性有機化合物及び/又はその反応生成物を含有する層を有し、第二の態様においては少なくとも1つの電極及び/又は電極に隣接し電荷注入輸送材料を含有する有機層に反応性有機化合物及び/又はその反応生成物を含有しているため、中性であった電荷注入輸送材料が反応性有機化合物との反応により、ラジカルアニオンやラジカルカチオンを生成して電荷密度が増大するため、電極と有機層との電荷注入障壁が低下し、効率良く電荷を注入することができるようになる。
また、本発明に係る有機電子デバイスは、上記反応性有機化合物を含有させる時に蒸着法を用いなくても良好な電荷注入機能を果たすことができることから、湿式成膜法により上記反応性有機化合物を含有させることが可能である。更に、隣接する電極の材料や形成法に制約がない。
上記第一の態様の有機電子デバイスにおいて、反応性有機化合物及び/又はその反応生成物を含有する層は、少なくとも1つの電極と電荷注入輸送材料を含有する有機層との間に、下記の例示のように電極及び/又は電荷注入輸送材料を含有する有機層に全面隣接するように形成されていても良いし、電荷注入輸送材料を含有する有機層上に島状に形成されて、電極と電荷注入輸送材料を含有する有機層との間に形成されていても良い。また、上記反応生成物は、上記反応性有機化合物と当該反応性有機化合物と接触する電荷注入輸送材料との反応により得られたものであるから、少なくとも1つの電極と電荷注入輸送材料を含有する有機層との間に含まれるのみならず、電荷注入輸送材料を含有する有機層中にも含まれ得る。
上記第二の態様の有機電子デバイスにおいて、反応性有機化合物及び/又はその反応生成物を含有している態様としては、電極に隣接し電荷注入輸送材料を含有する有機層に分散させて含有していても良いし、有機層に接触させた電極に分散させて有機層中へ駆動中に拡散させるような態様であっても良い。更に、電極と電極に隣接し電荷注入輸送材料を含有する有機層の両方に分散させて含有していても良い。
<反応性有機化合物、及び反応生成物>
以下、まず、本発明に用いられる反応性有機化合物、及び反応生成物について説明する。
電極からの電子の注入障壁を低下することを目的とする場合には、反応性有機化合物は、還元性部位又はプロトン受容性部位を有することが好ましい。反応性有機化合物が還元性部位又はプロトン受容性部位を有する場合には、反応性有機化合物と電荷注入輸送材料が反応して、中性であった電荷注入輸送材料がラジカルアニオンを生成することが可能で、電荷注入輸送材料の電荷密度が増大するため、効率良く電子を注入する有機電子デバイスを製造することができる。従来のように隣接する電極層形成時の熱還元性材料や電子注入材料自身の蒸着等によりアルカリ金属等が還元されて単体にならなくても、中性であった電荷注入輸送材料との間で電荷移動が行われ易いため、蒸着法を用いることなく、良好な電子注入機能を有する有機電子デバイスを製造することが可能である。
一方、電極からの正孔の注入障壁を低下することを目的とする場合には、反応性有機化合物は、酸化性部位又はプロトン供与性部位を有することが好ましい。反応性有機化合物が酸化性部位又はプロトン供与性部位を有する場合には、反応性有機化合物と電荷注入輸送材料が反応して、中性であった電荷注入輸送材料がラジカルカチオンを生成することが可能で、電荷注入輸送材料の電荷密度が増大するため、効率良く正孔を注入する有機電子デバイスを製造することができる。
前記反応性有機化合物の還元性部位又はプロトン受容性部位や、酸化性部位又はプロトン供与性部位は、通常負電荷や正電荷を有するが、電荷注入輸送材料との反応により、電荷が中性になっていることが好ましい。この場合、中性であった電荷注入輸送材料の電荷密度が増大し、電荷注入効率が向上する。
更に、前記反応性有機化合物が反応して、前記反応生成物として、前記反応性有機化合物の一部が電荷移動錯体を形成することが好ましい。中でも、前記反応生成物は、前記反応性有機化合物の一部が前記電荷注入輸送材料と電荷移動錯体を形成してなることが好ましい。前記反応性有機化合物の一部が電荷移動錯体を形成している場合には、前記電荷注入輸送材料に新たなエネルギー準位が形成され、電極からの注入障壁を低下させることにより、電荷注入特性が向上するからである。
電荷移動錯体としては、例えば、前記反応性有機化合物の還元性部位又はプロトン受容性部位や酸化性部位又はプロトン供与性部位が、中性であった電荷注入輸送材料と反応し、前記反応性有機化合物の還元性部位又はプロトン受容性部位や酸化性部位又はプロトン供与性部位は電荷が中性となり、電荷注入輸送材料はラジカルアニオン又はラジカルカチオンとなって、前記反応性有機化合物の還元性部位又はプロトン受容性部位や酸化性部位又はプロトン供与性部位とは異なる前記反応性有機化合物の一部が、前記電荷注入輸送材料のラジカルアニオン又はラジカルカチオンと電荷移動錯体を形成しているものが挙げられる。
なお、本発明において前記反応性有機化合物の一部と前記電荷注入輸送材料の間で電荷移動錯体が形成されていることは、吸光分光測定装置(例えば、SHIMAZU製 UV−3100PC)によって測定される吸収スペクトルにおいて、前記反応性有機化合物や前記電荷注入輸送材料とは異なる新たな吸収ピークが長波長側に生じることにより確認できる。
また、電荷移動錯体が形成されていることは、蛍光分光測定装置(例えば、HITACHI製 F−4500)によって測定される蛍光スペクトルにおいて、前記電荷注入輸送材料の発光ピークの蛍光強度、波長に比べて、発光ピークの蛍光強度の低下、または発光ピークのシフトが観察されることにより確認できる。これらの電荷移動錯体形成の確認方法は、前記電荷注入輸送材料と前記反応性有機化合物の組み合わせの選定の目安とすることも可能である。
i)電子注入に適した反応性有機化合物
電極からの電子の注入障壁を低下することを目的とする場合には、反応性有機化合物は、還元性部位又はプロトン受容性部位を有することが好ましいが、更に、前記反応性有機化合物の還元性部位又はプロトン受容性部位の電子親和力が、前記電荷注入輸送材料の電子親和力よりも小さいことが好ましい。この場合、前記反応性有機化合物の還元性部位が前記電荷注入輸送材料に電子を供与しやすいか、又は、前記電荷注入輸送材料から前記反応性有機化合物のプロトン受容性部位がプロトンを受容しやすく、ラジカルアニオン状態の生成、すなわち電荷が生成しやすくなることで、電子注入特性が向上するからである。
更に、前記反応性有機化合物の還元性部位又はプロトン受容性部位の電子親和力は、前記電荷注入輸送材料の電子親和力の値の1.0eVの範囲内であっても良い。すなわち、電荷注入輸送材料の電子親和力の値から反応性有機化合物の還元性部位又はプロトン受容性部位の電子親和力を引いた値が±1.0eV以下であっても良い。
前記反応性有機化合物の還元性部位又はプロトン受容性部位の電子親和力は、前記電荷注入輸送材料への電子供与(ラジカルアニオンの生成)の点から、3.5eV以下であることが好ましく、更に3.0eV以下であることが好ましい。
反応性有機化合物は、還元性部位又はプロトン受容性部位を有すれば好適に用いられ、特に限定されないが、還元性部位又はプロトン受容性部位を有する有機塩や有機金属錯体を好適に用いることができる。有機塩や有機金属錯体の場合には、有機塩及び/又は有機金属錯体が解離してイオンが電極界面に分極するか、又は、有機塩及び/又は有機金属錯体として電極界面に介在することにより電気二重層が形成され、注入障壁が低下することにより効率良く電子を注入することが可能である。
還元性部位又はプロトン受容性部位は、電荷注入輸送材料を還元するか又は電荷注入輸送材料からプロトンを受容し得る部位であれば特に限定されないが、例えば、負電荷を帯び得る部分(X)とその他の部分(R)からなる(X−R)と記載することができる。負電荷を帯び得る部分(X)は、反応性有機化合物の還元性部位又はプロトン受容性部位とは異なる一部(通常、正電荷を帯び得る部分)と、直接イオン結合又は配位結合し得る原子又はπ電子が非局在化した芳香族性の原子団である。
還元性部位又はプロトン受容性部位の負電荷を帯び得る部分(X)を構成する原子としては、前記電荷注入輸送材料を還元し得る性質を有しやすくなる点から、他の原子と結合し得る数が2より大きい原子であることが好ましく、13族、14族、15族、及び酸素以外の16族の非金属元素が挙げられ、具体的には例えば、B、C、N、Si、P、S、Se、Teを挙げることができる。
また、還元性部位又はプロトン受容性部位の負電荷を帯び得る部分(X)を構成するπ電子が非局在化した芳香族性の原子団としては、前記電荷注入輸送材料を還元し得る性質を有しやすくなる点から、炭化水素環状化合物、含窒素環状化合物、含イオウ環状化合物、含セレン環状化合物、含テルル環状化合物、及びこれらの縮合多環化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物が挙げられる。負電荷を帯び得る部分(X)を構成するπ電子が非局在化した芳香族性の原子団としては、具体的には例えば、シクロペンタジエン、シクロへプタトリウム、フェナントロリン、フェナントリジン、ナフタレン、ビピリジル、フェニルピリジン、キノリン、ピリジン、ピロール、チオフェン、セレノフェン、シクロオクタテトラエン等が挙げられる。
負電荷を帯び得る部分(X)が、原子又は芳香族性の原子団で構成される場合には、後述する電子供与性を有する置換基等とより多く結合可能になるため、負電荷を帯び得る部分(X)の電子密度が増大して、中性の電荷注入輸送材料に還元性部位が電子を供与しやすくなるか、又は、中性の電荷注入輸送材料からプロトン受容性部位がプロトンを受容しやすくなり、電子注入機能に優れると推定される。
従って、前記反応性有機化合物の還元性部位又はプロトン受容性部位は、ホウ素化合物、ケイ素化合物、窒素化合物、リン化合物、イオウ化合物、セレン化合物、テルル化合物、炭化水素環状化合物、含窒素環状化合物、含イオウ環状化合物、含セレン環状化合物、含テルル環状化合物、及びこれらの縮合多環化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物を有することが、電荷注入特性の点から好ましい。
中でも特に、前記反応性有機化合物の還元性部位又はプロトン受容性部位は、窒素化合物、シクロペンタジエン化合物、フェナントロリン化合物、フェナントリジン化合物であることが好ましい。
前記還元性部位又はプロトン受容性部位のうち、負電荷を帯び得る部分(X)に結合しているその他の部分(R)については、特に限定されないが、その他の部分(R)に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、水酸基よりなる群から選択される少なくとも1種の電子供与性基を有していることが好ましい。電子供与性基を有する場合には、負電荷を帯び得る部分(X)の電子密度が増大し、前記還元性部位又はプロトン受容性部位が前記電荷注入輸送材料を還元し易くなって、電子注入特性が向上するからである。中でも特に、負電荷を帯び得る部分(X)に上記電子供与性基が直接結合していることが好ましい。
なお、上記アルキル基やアリール基には、アルコキシ基や水酸基等、更に置換基が結合したものも含まれる。アルキル基としては、鎖状、分枝鎖状のアルキル基が挙げられ、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。また、アルキル基の水素原子がアリール基で置換された、アリール化アルキル基もアルキル基に含まれる。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、トリル基、ビフェニル基、トリフェニル基などが挙げられる。また、アリール基の水素原子がアルキル基で置換された、アルキル化アリール基もアリール基に含まれる。アルコキシ基としては、鎖状、分枝鎖状のアルコキシ基が挙げられ、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブチトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基などが挙げられる。
また、前記還元性部位又はプロトン受容性部位のうち、負電荷を帯び得る部分(X)に結合しているその他の部分(R)は、低分子であっても、高分子であっても良い。低分子の場合としては、その他の部分(R)が上記電子供与性基からなる場合、上記電子供与性基を有する低分子材料からなる場合が挙げられる。その他の部分(R)が高分子の場合としては、高分子の主鎖、側鎖、又は枝鎖に負電荷を帯び得る部分(X)が結合している態様が挙げられる。なお、上記高分子には所謂樹状多分岐分子材料(デンドリマー)のような中分子も含まれ、上記枝鎖とは、樹状多分岐分子材料(デンドリマー)における3次元的にコア分子を取り巻く分岐鎖をいう。
また、前記還元性部位又はプロトン受容性部位は、上記その他の部分(R)に電荷注入輸送材料が含まれるような、すなわち、反応性有機化合物の還元性部位又はプロトン受容性部位と電荷注入輸送材料が結合している構造を有していても良い。
一方、電子注入に適した反応性有機化合物のうち、還元性部位又はプロトン受容性部位とは異なる一部は、正電荷を帯び得る部分であることが好ましい。この場合、正電荷を帯びうる部分と、還元された電荷注入輸送材料との間で電荷移動錯体を形成することが可能になる。安定して電荷移動錯体を形成し、且つ電子注入機能の点から、反応性有機化合物は、還元性部位又はプロトン受容性部位とは異なる一部として、金属元素を含有することが好ましく、中でも、1価、2価、又は3価の陽イオンとなり得る金属元素を含むことが好ましい。
電子注入に適した反応性有機化合物は、電荷移動錯体形成の点から、仕事関数が小さい金属を含むことが好ましく、仕事関数が4.2eV以下の金属、更に3.5eV以下の金属を含むことが好ましい。
一方、取り扱い易さの点からは、電子注入に適した反応性有機化合物は、遷移金属のような仕事関数が大きい金属を含んでも良い。仕事関数の小さい反応性有機化合物は水分との反応性が高いため不活性ガス中で扱う必要があるが、遷移金属のような仕事関数が大きな金属は大気中で安定に取り扱えるからである。
従って、電子注入に適した反応性有機化合物は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素及び遷移金属よりなる群から選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。
アルカリ金属としては、Li、Na、K、Rb、Cs等が挙げられ、アルカリ土類金属としては、Mg、Ca、Sr、Ba等が挙げられる。また、希土類元素としては、Sc、Y、ランタノイド元素が挙げられる。遷移金属としては、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn等が挙げられる。
以上より、電子注入に適した反応性有機化合物は、上記の中でも、金属アミド化合物、金属シクロペンタジエン化合物、シクロペンタジエン化合物、フェナントロリン化合物、フェナントリジン化合物、ナフタレン化合物、ビピリジル化合物、フェニルピリジン化合物、キノリン化合物、ピリジン化合物よりなる群から選択される少なくとも一種であることが、電子注入機能に優れる点から好ましい。
金属アミド化合物は、アンモニアやアミンの1水素原子を金属原子で置換した化合物である。金属アミド化合物の場合、還元性部位又はプロトン受容性部位は、N(窒素)が上記負電荷を帯び得る部分(X)に該当する窒素化合物である。
金属アミド化合物であれば如何なる誘導体であっても良く、窒素(X)に結合しているその他の部分(R)は上述のようなものをいずれも用いることができる。その他の部分(R)が有する好適な電子供与性基としては、水素原子、アルキル基、アリール基等が挙げられる。中でも有機溶媒に溶解可能になり、且つ、有機塩の安定化や電子注入機能も優れる点からアルキル基、アリール基が好ましい。好ましい金属アミド化合物としては、特に、アルキル基、アリール基が窒素に2つ置換されているものが挙げられる。なお、アルキル基やアリール基にアルコキシ基や水酸基等の電子供与性基が更に結合したものであっても良い。また、窒素に直接、又はアルキル基、アリール基等の置換基を介して、上述のような高分子が窒素に結合したものであっても良い。
金属アミド化合物は、中でも、金属がアルカリ金属、アルカリ土類金属、又は希土類元素金属を含むアミド化合物であることが、電子注入機能(電荷移動錯体形成)の点から好ましい。
金属アミド化合物としては、具体的には例えば、リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムジブチルアミド等のようなリチウムジアルキルアミド、カリウムジメチルアミド、カリウムジエチルアミド、カリウムジイソプロピルアミド等のようなカリウムジアルキルアミド、ナトリウムジメチルアミド、ナトリウムジエチルアミド、ナトリウムジイソプロピルアミド等のようなナトリウムジアルキルアミド、ルビジウムジアルキルアミド、セシウムジアルキルアミドなどを挙げることができる。
また、金属シクロペンタジエン化合物は、金属とシクロペンタジエンを含有する化合物である。金属シクロペンタジエン化合物の場合、還元性部位又はプロトン受容性部位は、シクロペンタジエンが上記負電荷を帯び得る部分(X)に該当する環状炭化水素化合物である。金属シクロペンタジエン化合物には、金属を少なくとも2つ以上のシクロペンタジエンで挟んだサンドイッチ型化合物も含まれる。サンドイッチ型化合物の金属については特に限定されず、上記サンドイッチ型化合物としては、例えば、ビス(シクロペンタジエニル)コバルト、ビス(シクロペンタジエニル)バナジウム、ビス(シクロペンタジエニル)マグネシウム、ビス(シクロペンタジエニル)バリウム、ビス(シクロペンタジエニル)カルシウム、ビス(シクロペンタジエニル)ハフニウム、ビス(シクロペンタジエニル)クロム、ビス(シクロペンタジニルジエニル)鉄等が挙げられる。
上記負電荷を帯び得る部分(X)であるシクロペンタジエンに結合する(R)は、水素原子でも良く、シクロペンタジエンも好適に用いることができるが、水素原子以外のRがシクロペンタジエンに結合した化合物も、還元性部位又はプロトン受容性部位として良好に用いることができる。水素原子以外のRとしてはアルキル基が好適に用いられ、シクロペンタジエンに結合するアルキル基の数は電子供与性の点から多い方が好ましい。具体的に還元性部位又はプロトン受容性部位としては、テトラメチルシクロペンタジエン、テトラエチルシクロペンタジエン、イソプロピルペンタジエン、tert−ブチルシクロペンタジエン等が好ましい化合物として挙げられる。
金属シクロペンタジエン化合物は、中でも、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又は希土類元素金属、遷移金属を含む金属シクロペンタジエン化合物であることが、電子注入機能の点から好ましい。
金属シクロペンタジエン化合物のうち、電子注入機能に優れるものとして、例えば、テトラメチルシクロペンタジエニルリチウム、tertブチルシクロペンタジエニルリチウム等のようなシクロペンタジエニルリチウム誘導体、テトラメチルシクロペンタジエニルナトリウム、イソプロピルシクロペンタジエニルナトリウム等のようなシクロペンタジエニルナトリウム誘導体、テトラメチルシクロペンタジエニルカリウム等のようなシクロペンタジエニルカリウム誘導体、ビス(シクロペンタジエニル)バリウム誘導体、トリス(シクロペンタジエニル)エルビウム誘導体、トリス(シクロペンタジエニル)セリウム誘導体、トリス(シクロペンタジエニル)イットリウム誘導体、トリス(シクロペンタジエニル)ガドリニウム、トリス(シクロペンタジエニル)ユウロピウム誘導体、トリス(シクロペンタジエニル)サマリウム誘導体などを挙げることができる。
以上、金属シクロペンタジエン化合物について説明したが、シクロへプタトリウム、フェナントロリン、フェナントリジン、ナフタレン、ビピリジル、フェニルピリジン、キノリン、ピリジン、ピロール、チオフェン、セレノフェン、シクロオクタテトラエンのような環状化合物は、シクロペンタジエンと同様に金属の配位子となるため、例えば(ナフタレン)カルシウム誘導体、(フェナントロリン)イットリウム誘導体、(フェナントロリン)ユウロピウム誘導体、(フェナントロリン)サマリウム誘導体、(フェナントリジン)カルシウム誘導体、(フェナントリジン)イットリウム誘導体など、シクロペンタジエンの代わりに上記環状化合物を配位子に用いた同様の有機金属化合物は、電子注入に適した反応性有機化合物として好適に用いられる。
ii)正孔注入に適した反応性有機化合物
電極からの正孔の注入障壁を低下することを目的とする場合には、反応性有機化合物は、酸化性部位又はプロトン供与性部位を有することが好ましい。更に、前記反応性有機化合物の酸化性部位又はプロトン供与性部位の電子親和力は、前記電荷注入輸送材料のイオン化ポテンシャルの値の1.0eVの範囲内が好ましい。すなわち、電荷注入輸送材料のイオン化ポテンシャルの値から反応性有機化合物の酸化性部位又はプロトン供与性部位の電子親和力を引いた値が±1.0eV以下であることが好ましい。この場合、前記反応性有機化合物の酸化性部位が前記電荷注入輸送材料から電子を受容しやすいか、又は、前記電荷注入輸送材料に前記反応性有機化合物のプロトン供与性部位がプロトンを供与しやすく、電荷移動錯体の形成により正孔注入特性が向上するからである。
前記反応性有機化合物の酸化性部位又はプロトン供与性部位の電子親和力は、電子の授受、電荷移動錯体形成の点から、4.5eV以上であることが好ましく、更に5.0eV以上であることが好ましい。
正孔注入に適した反応性有機化合物は、上述のような電子注入に適した反応性有機化合物と同様の考え方を適用できる。
反応性有機化合物は、酸化性部位又はプロトン供与性部位を有すれば好適に用いられ、特に限定されないが、酸化性部位又はプロトン供与性部位を有する有機塩や有機金属錯体を好適に用いることができる。
酸化性部位又はプロトン供与性部位は、電荷注入輸送材料を酸化するか又は電荷注入輸送材料へプロトンを供与し得る部位であれば特に限定されないが、例えば、正電荷を帯び得る部分(Y)とその他の部分(R’)からなる(Y−R’)と記載することができる。正電荷を帯び得る部分(Y)は、反応性有機化合物の酸化性部位又はプロトン供与性部位とは異なる一部(通常、負電荷を帯び得る部分)と、直接イオン結合又は配位結合し得る原子又はπ電子が非局在化した芳香族性の原子団である。
正電荷を帯び得る部分(Y)を構成する原子としては、前記電荷注入輸送材料を酸化し得る性質を有しやすくなる点から、13族、14族、15族、及び酸素以外の16族の非金属元素が挙げられ、具体的には例えば、B、C、N、Si、P、S、Se、Teを挙げることができる。同様に、正電荷を帯び得る部分(Y)を構成するπ電子が非局在化した芳香族性の原子団としては、炭化水素環状化合物、含窒素環状化合物、含イオウ環状化合物、含セレン環状化合物、含テルル環状化合物、及びこれらの縮合多環化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物が挙げられる。
正電荷を帯び得る部分(Y)に結合しているその他の部分(R’)については、特に限定されないが、その他の部分(R’)に、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、及び17族元素を含む置換基からなる群から選択される少なくとも1種の電子受容性基を有していることが好ましい。
なお、正電荷を帯び得る部分(Y)に結合しているその他の部分(R’)は、低分子であっても、高分子であっても良く、上述の(R)と同様の考え方を適用できる。
一方、正孔注入に適した反応性有機化合物のうち、酸化性部位又はプロトン供与性部位とは異なる一部は、負電荷を帯び得る部分であることが好ましい。この場合、負電荷を帯びうる部分と、酸化された電荷注入輸送材料との間で電荷移動錯体を形成することが可能になる。安定して電荷移動錯体を形成し、且つ正孔注入機能の点から、反応性有機化合物は、酸化性部位又はプロトン供与性部位とは異なる一部として、ハロゲン及びハロゲン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。
ハロゲンとしては、F、Cl、Br、I等が挙げられ、ハロゲン化合物としては、BF 、PF 、AsF 、AsCl 、SbF 等が挙げられる。
正孔注入に適した反応性有機化合物は、例えば、トリフェニルアンモニウム、トリスブロモフェニルアンモニウム、トリスクロロフェニルアンモニウム、トリスフルオロフェニルアンモニウム等のアリールアミン誘導体とBF 、PF 、AsF 、AsCl 、SbF等の組み合わせからなる有機塩が挙げられる。
以上のような本発明に用いられる反応性有機化合物は、上述のような構造を有するため、溶媒に可溶なものが多く、その場合湿式成膜法を用いて層を形成可能である。
I.有機発光デバイス
次に、下記において、本発明に係る有機電子デバイスのうち、発光材料を含有することを特徴とする有機発光デバイスの説明をする。有機発光デバイスの具体的な一例として有機EL素子を挙げて詳細な説明をするが、本発明における有機発光デバイスは有機EL素子に限られず、有機EL素子以外の有機発光デバイスであるライトエミッティングエレクトロケミカルセル(LECs)やエレクトロケミルミネッセンス(ECL)にも適用できるものである。
本発明に係る第一の態様の有機発光デバイスは、基板上に、対向する2つの電極と、2つの電極間に少なくとも1層の発光層を含む有機層とを有する有機発光デバイスであって、少なくとも1つの電極と電荷注入輸送材料を含有する有機層との間に、反応性有機化合物及び/又はその反応生成物を含有する層を有することを特徴とする。
また、本発明に係る第二の態様の有機発光デバイスは、基板上に、対向する2つの電極と、2つの電極間に少なくとも1層の発光層を含む有機層とを有する有機発光デバイスであって、少なくとも1つの電極及び/又は電極に隣接し電荷注入輸送材料を含有する有機層に、反応性有機化合物及び/又はその反応生成物を含有していることを特徴とする。
図1〜3は、本発明に係る有機EL素子の層構成の例を示す断面模式図である。
本発明の有機EL素子の一実施形態は、図1に示すように、基板1上に形成された陽極電極2と陰極電極6との間に、有機層である正孔注入輸送層3、発光層4、電子注入輸送層5がこの順に設けられたものである。
また、本発明の有機EL素子の他の一実施形態は、図2に示すように、基板1上に形成された陽極電極2と陰極電極6との間に、有機層である発光層4が設けられたものである。
更に、有機EL素子の他の一実施形態は、図3に示すように、基板1上に形成された陰極電極6と陽極電極2との間に、有機層である電子注入輸送層5、発光層4、正孔注入輸送層3がこの順に設けられたものである。
本発明に係る有機発光デバイスにおいて、第一の態様である、少なくとも1つの電極と電荷注入輸送材料を含有する有機層との間に、反応性有機化合物及び/又はその反応生成物を含有する層を有する場合としては、典型的には、図1、3のような層構成をとる場合において、電極と発光層の間に、正孔注入輸送層3及び/又は電子注入輸送層5として反応性有機化合物を含有し、その結果、正孔注入輸送層3及び/又は電子注入輸送層5や、正孔注入輸送層3及び/又は電子注入輸送層5と発光層4の界面、更には正孔注入輸送層3及び/又は電子注入輸送層5と陰極電極6の界面に、反応生成物を含有する場合が挙げられる。
また、本発明に係る有機発光デバイスにおいて、第二の態様である、少なくとも1つの電極及び/又は電極に隣接し電荷注入輸送材料を含有する有機層に、反応性有機化合物及び/又はその反応生成物を含有する場合としては、まず、図1、2、3のような層構成をとる場合において、陽極電極2及び/又は陰極電極6に反応性有機化合物を含有し、その結果、電極と正孔注入輸送層3及び/又は電子注入輸送層5や発光層4の界面や、電極と隣接する正孔注入輸送層3及び/又は電子注入輸送層5や発光層4に、反応性有機化合物や反応生成物を含有する場合が挙げられる。
更に、第二の態様としては、図2のような層構成をとる場合において、発光層4に反応性有機化合物を含有し、その結果、発光層4と電極の界面に反応生成物を含有する場合が挙げられる。
また、第二の態様としては、図1、3のような層構成をとる場合において、正孔注入輸送層3及び/又は電子注入輸送層5として、電荷注入輸送材料に反応性有機化合物を含有させて形成し、その結果、電極と正孔注入輸送層3及び/又は電子注入輸送層5の界面や、正孔注入輸送層3及び/又は電子注入輸送層5と発光層4の界面に、反応生成物を含有する場合が挙げられる。なおこの場合は、第一の態様にも該当する。
これらの態様の中でも、電極の界面に電荷移動錯体のような反応生成物が形成される形態が、電荷注入機能の点から好ましい。
なお、上記構成は本発明に係る有機EL素子の例示であって、これらに限定されるものではない。
以下、有機EL素子の各構成について説明する。
1.有機層
本発明に係る有機EL素子における有機層は、後述する陽極電極2と陰極電極6の間に形成されるものである。
本発明の有機EL素子を構成する有機層は、少なくとも発光層4を含む1層又は複数層から構成される。発光層以外に上記有機層内に形成される層としては、電子注入輸送層5、正孔注入輸送層3のような電荷注入輸送層が挙げられる。
(1)発光層
有機層である発光層4は、電子と正孔の再結合の場を提供して発光する機能を有する層である。発光材料としては、一般的に用いられている材料であれば特に限定されず、例えば、色素系発光材料、金属錯体系発光材料、高分子系発光材料等を挙げることができる。発光材料は上述のように、本発明における電荷注入輸送材料として用いることができる。発光層には、更に本発明の反応性有機化合物及び/又はその反応生成物が含まれていても良い。
発光層に、更に反応性有機化合物が含まれる場合、少なくとも一種以上の発光材料に反応性有機化合物が分散されてなるものの他、主鎖、側鎖、又は枝鎖などに反応性有機化合物を付加した発光材料を含有するものであっても良い。
色素系発光材料としては、例えば、シクロペンタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、シロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、トリフマニルアミン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマー等を挙げることができる。
金属錯体系発光材料としては、例えば、アルミキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾール亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、ユーロピウム錯体等、中心金属に、Al、Zn、Be等、又はTb、Eu、Dy等の希土類金属を有し、配位子にオキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造等を有する金属錯体等を挙げることができる。
高分子系発光材料としては、例えば、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリフルオレノン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリキノキサリン誘導体、及びそれらの共重合体等を挙げることができる。
発光層中には、発光効率の向上、発光波長を変化させる等の目的でドーピング剤等の添加剤を添加するようにしてもよい。ドーピング剤としては、例えば、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、スチリル色素、テトラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾン、キノキサリン誘導体、カルバゾール誘導体、フルオレン誘導体等を挙げることができる。また、ドーパントとして、例えば次に掲げる構造式をもつ有機化合物を使用してもよい。例えば、Ir(ppy)、(ppy)Ir(acac)、Ir(BQ)、(BQ)Ir(acac)、Ir(THP)、(THP)Ir(acac)、Ir(BO)、(BO)(acac)、Ir(BT)、(BT)Ir(acac)、Ir(BTP)、(BTP)Ir(acac)、PtOEP等の重金属イオンを中心に有し、燐光を示す有機金属錯体が使用可能である。中でも、Ir(ppy)は、低分子キャリア輸送材料や有機発光層の構成成分として有効な化合物である。
本発明において、発光材料としては蛍光発光する低分子化合物または高分子化合物や、燐光発光する低分子化合物または高分子化合物のいずれをも用いることができる。湿式成膜法により発光層を形成する場合、蛍光発光する高分子化合物または蛍光発光する低分子化合物を含む高分子化合物や、燐光発光する高分子化合物または燐光発光する低分子化合物を含む高分子化合物を好適に用いることができる。
上記発光層の膜厚は、電子と正孔の再結合の場を提供して発光する機能を発現することができる厚さであれば特に限定されず、例えば1nm〜200nm程度とすることができる。
また、本発明の有機EL素子の実施態様においては、異なる色を発光する発光層を組み合わせることが可能であり、フルカラーおよびマルチカラーのディスプレイを作成する際には、パターニングを必要とする。
上記発光層の形成方法としては、高精細なパターニングが可能な方法であれば特に限定されず、湿式成膜法または蒸着法のようなドライプロセスにより形成することができる。湿式成膜法としては、材料の溶融液、溶液または混合液を使用するスピンコーティング法、キャスティング法、ディッピング法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、グラビアコート法、フレキソ印刷法、スプレーコート法、ダイコート法等の塗布方法、印刷やインクジェットなどのパターニングによる方法が挙げられ、中でもスピンコーティング法、インクジェット法を用いることが好ましい。本発明においては湿式成膜法のメリットを享受するために湿式成膜法を用いて発光層を形成することが好ましい。
(2)電子注入輸送層
電子注入輸送層5は、陰極電極6からの電子の注入を安定化するか、注入された電子を発光層4内に安定的に輸送することが可能である層である。電界印加時に陰極電極6からの電子の注入を安定化する機能を有する電子注入層、及び、陰極電極6から注入された電子を電界の力で発光層4内に輸送する機能を有する電子輸送層のいずれか一方を有する場合であってもよく、電子注入層及び電子輸送層の両方の機能を有していても良い。電子注入輸送層は、1層からなっても良いし、複数層からなっても良い。電子注入輸送層5は、例えば、図1や図3に示すように、発光層4と陰極6の間に形成される。
本発明において、図1や図3のような電子注入輸送層5を有する層構成の実施形態をとる場合には、当該電子注入輸送層5には、少なくとも前記反応性有機化合物が含まれることが、電子注入機能に優れ、発光特性が向上する点から好ましい。しかしながら、本発明において正孔注入輸送側のみに前記反応性有機化合物が用いられる場合には、当該電子注入輸送層5は、従来より用いられている電子注入輸送材料を用いて形成される。
前記反応性有機化合物が含まれる場合の電子注入輸送層5は、前記反応性有機化合物のみを用いて形成された層であっても良いが、別の電子注入輸送材料に前記反応性有機化合物が分散されてなるものであっても良いし、或いは、別の電子注入輸送材料の主鎖、側鎖、又は枝鎖などに前記反応性有機化合物を付加したものを含有していても良い。更には、前記反応性有機化合物を単独で用いて形成された層と別の電子注入輸送材料からなる層が積層された形態であっても良い。
また、電子注入輸送層5において、前記反応性有機化合物は、2種以上含有されていても良い。電子注入輸送層5に前記反応性有機化合物が2種以上含有される場合、当該2種以上の前記反応性有機化合物が各々別の層に含まれた積層体として形成されても良いし、又は当該2種以上の前記反応性有機化合物の混合層として形成されても良い。
なお、前記2種以上の反応性有機化合物の積層体として形成される場合、電子注入輸送層5においては、2種以上の前記反応性有機化合物に含まれる金属を、陰極電極6の仕事関数と発光層4のLUMOの間の仕事関数を持つ金属の中から各々仕事関数やLUMOの値が重ならないように適宜選択し、2種以上の金属を、陰極6側から有機層である発光層4に向かって該金属の仕事関数等の値が小さくなるように、各々別の層に固定されて積層するような層構成をとるように配置し、異なる仕事関数等を持つ金属でエネルギー準位が階段状になるように、陰極6と発光層4の間の大きなエネルギーギャップを補完することが好ましい。
電子注入輸送材料としては、陰極から注入された電子を安定に発光層内へ輸送することができる材料であれば特に限定されず用いることができるが、本発明においては、中でも湿式成膜法を用いることができる材料を選択することが好ましい。特に有機電子注入輸送層を形成する材料としては、例えば、オキサジアゾール類、アルミニウムキノリノール錯体、フェナントロリン類など、一般的に安定なラジカルアニオン状態を形成しやすい物質が挙げられる。具体的には、1,3,4−オキサジアゾール誘導体、1,2,4−トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、その他、BCP(バソキュプロン)あるいはBpehn(バソフェナントロリン)などが挙げられる。
本発明における電子注入輸送層5は、前記反応性有機化合物が含まれる場合、前記反応性有機化合物を単独で用いて形成する場合においても、前記反応性有機化合物を別の電子注入輸送材料に分散させるか電子注入輸送材料に付加して形成する場合においても、湿式成膜法により形成されることが好ましい。湿式成膜法は、上記発光層において記載したのと同様の方法を用いることができる。
前記反応性有機化合物及び/又は前記別の電子注入輸送材料を溶解・分散させて溶液にするのに用いる溶剤としては、下層の有機層を溶解させない溶剤であれば特に制限はない。下層の有機層が芳香族系溶剤で成膜された場合は、当該電荷注入輸送層はアルコール系溶剤を用いることができ、下層の有機層が水、アルコール系溶剤で成膜された場合は、当該電荷注入輸送層は芳香族系溶剤を用いて形成することが好ましい。
なお、陰極電極6に前記反応性有機化合物が含有される場合には、電子注入輸送層5は、少なくとも電荷注入輸送材料が含有されていれば良く、この場合、電子注入輸送層5は、上記別の電子注入輸送材料を用いて形成された電子注入輸送層であっても良い。
なお、電子注入輸送層5の膜厚は、電子注入効率の点から、0.1nm〜100nmであることが好ましく、特に0.1nm〜50nmであることが好ましい。
特に、電子注入輸送層5が、前記反応性有機化合物からなる層の場合、0.1nm〜30nmであることが好ましく、更に0.1nm〜10nmであることが好ましい。
また、電子注入輸送層5が、前記反応性有機化合物を別の電子注入輸送材料に分散させてなるか、前記反応性有機化合物が付加した別の電子注入輸送材料を含有する層であるか、或いは、前記反応性有機化合物からなる層と別の電子注入輸送材料を含有する層の積層体である場合、0.1nm〜300nmであることが好ましく、更に0.1nm〜100nmであることが好ましい。
(3)正孔注入輸送層
正孔注入輸送層3は、陽極電極2からの正孔の注入を安定化するか、注入された正孔を発光層4内に安定的に輸送することが可能である層である。電界印加時に陽極電極2からの正孔の注入を安定化する機能を有する正孔注入層、及び、陽極電極2から注入された正孔を電界の力で発光層4内に輸送する機能を有する正孔輸送層のいずれか一方を有する場合であってもよく、正孔注入層及び正孔輸送層の両方の機能を有していても良い。正孔注入輸送層は、1層からなっても良いし、複数層からなっても良い。正孔注入輸送層3は、例えば、図1や図3に示すように、発光層4と陽極電極2の間に形成される。
本発明において、図1や図3のような正孔注入輸送層3を有する層構成の実施形態をとる場合には、当該正孔注入輸送層3には、少なくとも前記反応性有機化合物が含まれることが、正孔注入機能に優れ、発光特性が向上する点から好ましい。しかしながら、本発明において電子注入輸送側のみに前記反応性有機化合物が用いられる場合には、当該正孔注入輸送層3は、従来より用いられている正孔注入輸送材料を用いて形成される。
正孔注入輸送層3に前記反応性有機化合物が含まれる態様としては、上記電子注入輸送層5に前記反応性有機化合物が含まれる態様と同様である。
前記反応性有機化合物とは別の正孔注入輸送材料としては、陽極から注入された正孔を安定に発光層内へ輸送することができる材料であれば特に限定はされない。例えば、上記発光層の発光材料に例示した化合物の他、フェニルアミン系、スターバースト型アミン系、フタロシアニン系、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化アルミニウムなどの酸化物、アモルファスカーボン、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレンなどの誘導体等を挙げることができる。具体的には、ビス(N−(1−ナフチル−N−フェニル)ベンジジン(α−NPD)、4,4,4−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(MTDATA)、ポリ3,4エチレンジオキシチオフェン−ポリスチレンスルホン酸(PEDOT−PSS)、ポリビニルカルバゾール(PVCz)等を用いることができる。
上記正孔注入輸送層の形成方法としても、本発明においては、湿式成膜法のメリットを享受するために湿式成膜法を用いることが好ましい。
なお、正孔注入輸送層3の膜厚は、正孔注入効率の点から、0.1nm〜200nmであることが好ましく、特に0.1nm〜 100nmであることが好ましい。
特に、正孔注入輸送層3が、前記反応性有機化合物からなる層の場合、0.1nm〜30nmであることが好ましく、更に0.1nm〜10nmであることが好ましい。
また、正孔注入輸送層3が、前記反応性有機化合物を別の正孔注入輸送材料に分散させてなるか、前記反応性有機化合物が付加した別の正孔注入輸送材料を含有する層であるか、或いは、前記反応性有機化合物からなる層と別の正孔注入輸送材料を含有する層の積層体である場合、0.1nm〜300nmであることが好ましく、更に0.1nm〜100nmであることが好ましい。
2.電極
(1)陰極電極
陰極電極6は、発光層4に電子を注入するよう作用する。陰極電極6は、発光層4で発光した光を陰極側から取り出す場合には、陰極電極6を透明な材料で形成する必要がある。本発明においては、前記反応性有機化合物が用いられるため、陰極電極6にアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素を用いなくても、良好な電子注入効果を有し、陰極電極の材料や製造方法が制限されないという特徴を有する。
なお、陰極電極6には、上述のように、前記反応性有機化合物が含まれていても良い。
本発明において、陰極電極6は、通常有機EL素子の電極を形成するのに用いられる金属又は金属酸化物、更には仕事関数が4.2eV以上の安定な金属を用いて真空蒸着法により形成されても良いが、湿式成膜法により好適に形成することが可能である。前記反応性有機化合物を用いることにより、熱還元性を有する材料を用いて真空蒸着法により陰極電極6を形成しなくても、優れた電子注入効率を得ることができるからである。陰極電極6を湿式成膜法により形成する場合には、真空蒸着法に比べて大掛かりな蒸着装置が不要で、作製プロセスの簡便化が期待でき、材料の利用効率も高く、コストが安価で、基材の大面積化が可能になり、好ましい。
湿式成膜法により形成する場合の電極材料は、湿式成膜法を用いることが可能であれば特に制限はなく、金属微粒子、金属酸化物微粒子、低融点金属及び低融点金属を含む合金、導電性高分子などをあげることができる。
金属微粒子、金属酸化物微粒子は、金属微粒子、金属酸化物微粒子を溶剤または、溶剤とバインダーに分散させてグラビア印刷、スクリーン印刷を用いて、湿式成膜法により電極を形成することができる。金属微粒子、金属酸化物微粒子は、微粒子であれば特に制限はないが、電極として用いるため酸化しにくい金属が好ましい。ここで、微粒子とは、粒径が10μm以下のものをいい、1μm以下のものが更に好ましい。更にナノ粒子である100nm以下のナノ粒子が好ましい。金属微粒子の粒径は小さいほど有機層との接触面積、有機層との接合性が向上するからである。しかし、逆に粒径が極めて小さすぎると有機層内部にまでナノ粒子が拡散してリーク電流を生じるため、また、金属粒子径が大きすぎると有機層との接触面積が小さく良好な電荷注入が行えなくなる可能性があるため、好ましくは粒径5nm〜1μm程度である。
金属微粒子、金属酸化物微粒子は、異種の粒径をもつ粒子を混合、および積層してもよい。例えば有機層界面の粒径を小さいものにし、その上に粒径の大きな粒子を積層してもよい。また粒径の異なる粒子を混合する場合には、粒子同士の接触、および有機層との接触面積が向上するため好ましい。
金属微粒子、金属酸化物微粒子は、1種以上の金属からなり仕事関数4.2eV以上の金属を少なくとも含有していることが好ましい。4.2eV以上を用いることにより電極としての酸化に対する耐久性が向上し、電極の安定性が高くなり、素子劣化が起こり難くなるからである。仕事関数が4.2eV以上の金属としては、Ag、Al、Au、Be、Bi、Co、Cr、Cu、Fe、Ga、Ir、Mo、Nb、Ni、Os、Pb、Pd、Pt、Sb、Sn、Ti、V、Wなどが挙げられる。
また、金属酸化物微粒子としては、ITO微粒子、IZO微粒子、チタニア等を挙げることができる。更に、金属微粒子、金属酸化物微粒子としては、合金微粒子、金属微粒子や金属酸化物微粒子を金属でコーティングした微粒子を用いても良い。また、複数の金属微粒子や金属酸化物微粒子を混合、積層して電極を形成してもよい。
金属微粒子、金属酸化物微粒子を分散させる溶剤としては、特に制限は無いが、下層の有機層を溶解させない溶剤が好ましく、水、エタノール、イソプロパノール、ベンゼン、トルエンなど、またこれらの混合溶剤を挙げることができる。
また、金属微粒子、金属酸化物微粒子を分散させるバインダーとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、後述の導電性高分子、絶縁性高分子(ポリスチレン、PMMA)などが挙げられる。
前記陰極電極6が、ビスマス、ガリウム、スズ、鉛、銀、及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属を含む溶融金属又は溶融合金からなる場合には、湿式成膜法により形成することが可能であり好ましい。ビスマス、ガリウム、スズ、鉛、銀、及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属またはそれら金属を含む合金は、低融点を有するため、低温で溶融させ、有機層上にコーティングして電極層を緻密に形成できるからである。金属の融点は有機層が劣化および変性しない温度であれば特に制限はないが、150度以下の融点を有する材料を用いて電極を形成するのが好ましい。またこれらの溶融金属を用いることにより、電極が鏡面になり、その鏡面電極に有機層中で発生した光が反射されるため発光効率が向上する。合金の融点は、2種以上の金属の比率を任意に変えて変化・調整することができる。具体的な合金に用いる金属としては仕事関数が4.2eV以上の金属であれば特に制限はなくビスマス、ガリウム、スズ、鉛、銀、及びインジウムの他にZn、Niなどを含む合金が挙げられる。
また、前記陰極電極6が、ビスマス、ガリウム、スズ、鉛、銀、及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属を含むバインダーからなる場合には、湿式成膜法により形成することが可能であり好ましい。この場合は、バインダーにビスマス、ガリウム、スズ、鉛、銀、及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属を微粒子またはペーストの形態で分散させる。上記バインダーとしては、後述の導電性高分子であることが好ましい。
また、陰極電極6は、ビスマス、ガリウム、スズ、鉛、銀、及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属を含む溶融金属又は溶融合金と前記金属微粒子の混合または積層構造にしてもよい。さらに、陰極電極6は、ビスマス、ガリウム、スズ、鉛、銀、及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属を含む高分子材料と前記金属微粒子の混合または積層構造にしてもよい。
一方、導電性高分子は、例えば、ポリアルキルチオフェン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリピロール誘導体、ポリアニリン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリシラン誘導体などを挙げることができる。導電性高分子は適宜溶剤に溶解分散させて、湿式成膜法により電極を形成することができる。
このような陰極電極6の膜厚は、材質にもよるが、50nm〜50μmの範囲内にあることが好ましい。陰極電極6の膜厚が50nm未満であると、導電性が不十分となり電極として機能が発揮されない場合がある。
(2)陽極電極
基板1側から光を取り出す場合には陽極電極2を透明な材料で形成する必要がある。基板1の発光層側に設けられている陽極電極2は、発光層4に正孔を注入するよう作用する。
なお、上述のように、陽極電極2には、前記反応性有機化合物が含まれていても良い。
本発明の有機EL素子を構成する陽極電極2は、導電性材料からなるものであれば特に限定されず、例えば、Au、Ta、W、Pt、Ni、Pd、Cr、Cu、Mo等の金属、またはこれらの酸化物や合金等、或いは、これら金属材料の積層構造を挙げることができる。さらに、In−Sn−O、In−Zn−O、Zn−O、Zn−O−Al、Zn−Sn−O等の導電性無機酸化物、α−Si、α−SiC等を用いることができる。更に、前述の陰極に好適に用いられるような、湿式成膜法を用いて形成可能な溶融金属や金属微粒子、導電性高分子を用いることもできる。
陽極電極2は、有機層に正孔を供給する役割を有するので、仕事関数の大きい導電性材料を用いるのが好ましい。特に、仕事関数が4.2eV以上の金属の少なくとも1種、またはこれらの金属の合金、または導電性無機酸化物からなる群に含まれる物質の少なくとも1種により陽極電極2が形成されることが好ましい。更に、陽極電極に用いられる金属は、仕事関数が4.5eV未満であると酸化し易くなるので、仕事関数は4.5eV以上が好ましい。
このような陽極電極2の膜厚は、材質にもよるが、40〜500nmの範囲内にあることが好ましい。陽極2の厚みが40nm未満であると、抵抗が高くなる場合があり、また、500nmを超えると、パターン形成された陽極2の端部に存在する段差により、上に積層された層(正孔注入輸送層3、発光層4、電子注入輸送5、陰極電極6)に切れや断線が発生したり、陽極電極2と陰極電極6との短絡が生じたりする可能性があるからである。
陽極電極2は、前述の陰極に好適に用いられるような、湿式成膜法を用いて形成可能な溶融金属や金属微粒子、導電性高分子を用いる場合には、湿式成膜法を用いて形成することができる。それ以外の金属等を用いる場合には、陽極電極2は、スパッタリング法、真空加熱蒸着法、EB蒸着法、イオンプレーティング法等のドライプロセスを用いて形成することができる。
以上のように、本発明の有機発光デバイスの電極を形成することができるが、これらの中でも、前記陽極電極と陰極電極の少なくとも一方が湿式成膜法によって成膜されていることが、上記湿式成膜法のメリットを享受できる点から好ましい。更に好ましくは陰極電極が、湿式成膜法によって成膜されていることが、真空装置を必要とせず、製造プロセスの点から好ましい。
一方、前記陽極電極と陰極電極の両方が、仕事関数4.2eV以上の金属を少なくとも含有していることが、電極の安定性が高くなり、電極の酸化等による素子劣化が起こり難くなる点から好ましい。
また、前記陽極電極と陰極電極の両方が、ビスマス、ガリウム、スズ、鉛、銀、及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属を少なくとも含むことが、電極の安定性が高くなり、電極の酸化等による素子劣化が起こり難く、光を取り出さない側の電極について湿式成膜法を用いて形成可能な点から好ましい。
3.基板
発光層の両側に配置される基板1は、本発明の有機EL素子の支持体になるものであり、例えばフレキシブルな材質であっても、硬質な材質であってもよい。発光層4で発光した光が基板1側を透過して取り出される場合においては、少なくともその基板1が透明な材質である必要があるが、光が陰極側を透過して取り出される場合においては、少なくともその陰極側の基板(図示せず)が透明な材質である必要がある。
具体的に用いることができる材料としては、例えば、ガラス、石英、シリコンウェハ、TFT(薄膜トランジスタ)が形成されたガラス、高分子基材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン等を挙げることができる。
この中でも、石英、ガラス、シリコンウェハ、またはスーパーエンジニアリングプラスチックであるポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトンが好ましい。これらは200℃以上の耐熱性を有しており、アクティブ駆動表示装置のTFTの製造工程でのプロセスを考慮すると、製造段階での基材温度を高くすることができるからである。但し、高分子材料を用いる場合には、基材1から発生するガスによる有機層の劣化を防止するために、基材1の少なくとも陽極電極2形成面にはシリコン酸化物やシリコン窒化物等からなるガスバリア層を設けることが望ましい。
このような基材1の厚さは、材料、有機発光デバイスの使用状況等を考慮して設定することができ、例えば、0.005〜5mm程度とすることができる。
なお、図1〜3には、本発明に係る有機EL素子の一例として発光層の他に正孔注入輸送層及び電子注入輸送層を有する場合を挙げたが、その他、いかなる層構成を有していてもよい。本発明に係る有機EL素子は、例えばキャリアブロック層のような、正孔或いは電子が突き抜けることを防止し、更に励起子の拡散を防止して発光層内に励起子を閉じ込めることにより再結合効率を高めるための層など、その他の機能層等を更に設けても良い。具体的に例えば、電子注入輸送層と発光層の間に、正孔ブロック層や励起子拡散層を設けても良い。これら任意の層に用いられる材料は特に限定されず、一般的に各層を形成するために用いられる材料を用いることができる。
以上、本発明に係る有機発光デバイスの中でも、少なくとも1層の発光層を含む発光ユニットを1つ有する実施態様の有機発光デバイスを具体的に説明したが、本発明に係る有機発光デバイスとしては、前記有機層に2層以上の発光層を有し、2層以上の発光層が同時に発光するように、発光ユニットを2つ以上直列に積層するような直列積層型有機発光デバイスとすることもできる。このような直列積層型有機発光デバイスの場合には、全ての層を真空蒸着法により形成するとプロセス上の負担が非常に大きいことから、本発明により、層形成工程の少なくとも一部を湿式成膜法に代えることにより、プロセスの効率が飛躍的に向上する。したがって、本発明の好適な実施態様としては、直列積層型有機EL素子も挙げられる。
すなわち、本発明に係る有機発光デバイスの他の実施態様は、前記対向する陽極電極と陰極電極の間に、少なくとも1層の発光層を含む発光ユニットを複数個有する有機発光デバイスであって、当該発光ユニットが電荷発生層によって仕切られている有機発光デバイスであって、当該電荷発生層及び/又は電荷発生層に隣接し電荷注入輸送材料を含有する有機層に、反応性有機化合物及び/又はその反応生成物を含有していることを特徴とするものである。
電荷発生層及び/又は電荷発生層に隣接し電荷注入輸送材料を含有する有機層に、前記反応性有機化合物を含有している場合には、上述と同様に、電荷発生層から各ユニットへの正孔及び電子の注入の障壁が低下し、素子特性が向上する。
有機発光デバイスは電流密度に応じて輝度が向上し、電流密度に応じて素子寿命が短くなる関係にあるため、従来の発光ユニットを1つ有する単層素子と本実施態様のような発光ユニットを複数個有する直列積層型有機発光デバイスからなる有機EL素子とを比較した場合、複数の発光層を持つ直列積層型有機発光デバイスの方が、従来の単層素子の1/nという低い電流密度で必要な輝度を得ることができる。そして、必要な一定の輝度を得るために必要な電流密度が1/nなので、直列積層型有機発光デバイスの素子寿命は、従来の単層素子に比べて長くなる。しかし、n個の素子を直列にしているので駆動電圧はn倍になる。更に、複数の発光層を持つ直列積層型有機発光デバイスにおいては、異なる特性、発光色を有する発光ユニットを積層することもできる。このように、直列積層型有機発光デバイスは、高輝度、長寿命なデバイスを達成できるため、パソコンのバックライトや照明器具用途にも応用できるのが特徴である。
上記のような直列積層型有機EL素子は、当該電荷発生層及び/又は電荷発生層に隣接する有機層として、反応性有機化合物を含有する層を形成する工程を有する本発明に係る製造方法を用いて形成することが好ましい。
以下、本発明に係る有機発光デバイスのうち、直列積層型有機EL素子について説明をする。
図4は、本発明に係る有機発光デバイスの一実施態様である直列積層型有機EL素子を示す略示断面図である。基板1上には、順に、陽極電極2、発光ユニット10−1、電荷発生層11−1、発光ユニット10−2、電荷発生層11−2、・・・・・・、電荷発生層11−(n−1)、発光ユニット10−nと繰り返され、最後に陰極電極6が積層されている。
本発明において、発光ユニットとは、上述の有機EL素子を構成する要素のうち、陽極と陰極とを除いた構成要素をいう。従って、本発明に係る直列積層型有機EL素子においても、各発光ユニットは、上述の発光ユニットを1つ有する有機EL素子と同様の材料を用いて、同様に形成することができる。出来る限り湿式成膜法により形成可能な材料を用いて、湿式成膜法により形成することが、上記湿式成膜法におけるメリットを享受できる点から好ましい。
また、本発明において電荷発生層11は、電圧印加時において素子の陰極方向に正孔を注入し、陽極方向に電子を注入する役割を果たす層をいう。電荷発生層においても、湿式成膜法により形成することが、上記湿式成膜法におけるメリットを享受できる点から好ましい。
電荷発生層11は、上記役割を果たせば特に限定されないが、本発明において電荷発生層11は、前記反応性有機化合物を含有する態様と、含有しない態様をとることができる。
電荷発生層に前記反応性有機化合物を含有する場合、前記反応性有機化合物を単独で用いて形成することも可能である。この場合、上記電子注入輸送層の場合と同様に、2種以上の反応性有機化合物の積層体や2種以上の反応性有機化合物の混合層であっても良い。また、前記反応性有機化合物を下記のような電荷発生層を形成する材料に分散させたり、付加したりする等して混合して形成することもできる。
電荷発生層を形成する材料としては、特に限定されないが、例えば、上記陰極電極に例示したような1種以上の金属微粒子及び/又は金属酸化物微粒子のような導電性材料、或いは、1.0×102Ω・cm以上、好ましくは1.0×105Ω・cm以上の比抵抗を有する電気絶縁性材料が挙げられる。1.0×102Ω・cm以上、好ましくは1.0×105Ω・cm以上の比抵抗を有する電気絶縁性材料である場合には、電極とのクロストークを防止するうえで好ましい。1.0×102Ω・cm以上、好ましくは1.0×105Ω・cm以上の比抵抗を有する電気絶縁性材料としては、例えば、特開2003−272860号公報に開示されている酸化還元反応による電荷移動錯体が形成しうるアリールアミン化合物と金属酸化物や金属ハロゲン化物との積層体や混合体などが挙げられる。
本発明において電荷発生層11は、1種以上の金属微粒子及び/又は金属酸化物微粒子からなる層と前記反応性有機化合物が含まれる層との積層体を有するか、或いは、1種以上の金属微粒子及び/又は金属酸化物微粒子と前記反応性有機化合物が含まれる混合層を有することが、電荷発生層上に設ける発光ユニットを形成する際に、電荷発生層下に存在する発光ユニットを保護する点から好ましい。
また、本発明において、電荷発生層11に前記反応性有機化合物が含まれない場合には、電荷発生層11は上記電荷発生層を形成する材料のみを用いて形成され、前記反応性有機化合物は、好ましくは電荷発生層に隣接し電荷注入輸送材料を含有する有機層に含まれる。電荷発生層に隣接する有機層は、典型的には発光ユニットにおける電子注入輸送層、発光層、正孔注入輸送層等であるから、この場合には、前記反応性有機化合物は、上記1ユニットの有機EL素子で説明したのと同様に各層に含まれればよい。なお、直列積層型有機EL素子において、電荷発生層及び/又は電荷発生層に隣接する有機層に前記反応性有機化合物が含まれない場合であっても、例えば電極に前記反応性有機化合物が含まれれば、本発明に係る有機発光デバイスに該当する。
以上説明してきたように、本発明の有機発光デバイスは、前記反応性有機化合物を用いることにより、従来の電子注入材料に用いられる有機塩及び/又は有機金属錯体のように、電子注入輸送層や発光層上に熱還元性を有する電極材料を蒸着する必要がないことから、陰極電極材料が制限されない。
このため、本発明の有機発光デバイスは、基板上の下部電極を陽極電極とし、上部電極を陰極電極とした構成において、陰極電極を透明電極とすることが可能である。
また、本発明の有機発光デバイスは、基板上に陰極から有機EL素子を形成する場合でも、優れた電子注入輸送機能を実現可能である。従って、本発明の有機発光デバイスは、前記陰極電極が基板上の下部電極であり、前記陽極電極が上部電極である有機発光デバイスとしても好適に応用できる。なおここで、下部電極は最初に形成される電極であり、上部電極は最後に形成される電極をいい、例えば図1において、下部電極は陽極2で上部電極は陰極6であり、図3において、下部電極は陰極6で上部電極は陽極2である。
また、本発明の有機発光デバイスは、前記陽極電極と陰極電極の少なくとも一方が透明電極からなり、光を上部から取り出すトップエミッション(上面発光)構造である素子としても好適に応用できる。
更に、本発明の有機発光デバイスは、前記陽極電極と陰極電極の両方が透明電極からなる、両面発光素子としても好適に応用できる。
本発明の有機発光デバイスは、前記反応性有機化合物を用いることにより、電子注入輸送機能を有する層を湿式成膜法により形成可能であり、更に、陰極材料や陰極の製法が制限されないため陰極電極も湿式成膜法により形成可能である。従って、前記発光ユニットの全てと前記陽極電極と陰極電極のうち上部電極が大気圧下で作製されていても良く、この場合には、大掛かりな蒸着装置が全く不要で、作製プロセスを簡便化でき、材料の利用効率も高く、コストが安価で、基材の大面積化が可能な点から好ましい。
II.有機トランジスタ
次に、本発明の有機電子デバイスの他の例である有機トランジスタについて説明する。
図5〜8は、本発明に係る有機トランジスタの一例を示す概略断面図である。
本発明に係る有機トランジスタ20の第一の実施態様としては、図5及び図7に示すように、基板21上に、対向するゲート電極22とソース電極25とドレイン電極26と、そのうちのゲート電極22とソース電極25及びドレイン電極26間に配置された有機半導体層24と、絶縁層23を有し、ソース電極25と有機半導体層24の間、及びドレイン電極26と有機半導体層24の間に、それぞれ電荷注入層27が形成されているものが挙げられる。
また、本発明に係る有機トランジスタ20の第二の実施態様としては、図6及び図8に示すように、基板21上に、対向するゲート電極22とソース電極25とドレイン電極26と、そのうちのゲート電極22とソース電極25及びドレイン電極26間に配置された有機半導体層24と、絶縁層23を有しているものが挙げられる。
本発明に係る有機トランジスタにおいて、第一の態様である、少なくとも1つの電極と電荷注入輸送材料を含有する有機層との間に、反応性有機化合物及び/又はその反応生成物を含有する層を有する場合としては、典型的には、図5及び図7のような層構成をとる場合において、電荷注入層27の少なくとも一方に反応性有機化合物を含有し、その結果、電荷注入層27の少なくとも一方や、電荷注入層27の少なくとも一方と有機半導体層24の界面、更には電荷注入層27の少なくとも一方と電極の界面に、反応生成物を含有する場合が挙げられる。
また、本発明に係る有機トランジスタにおいて、第二の態様である、少なくとも1つの電極及び/又は電極に隣接し電荷注入輸送材料を含有する有機層に、反応性有機化合物及び/又はその反応生成物を含有する場合としては、まず、図5、図6、図7及び図8のような層構成をとる場合において、ソース電極25及び/又はドレイン電極26に反応性有機化合物を含有し、その結果、電極と電荷注入層27や有機半導体層24の界面や、電極と隣接する電荷注入層27や有機半導体層24に、反応性有機化合物や反応生成物を含有する場合が挙げられる。
更に、第二の態様としては、図6及び図8のような層構成をとる場合において、有機半導体層24に反応性有機化合物を含有し、その結果、有機半導体層24と電極の界面に反応生成物を含有する場合が挙げられる。
また、第二の態様としては、図5及び図7のような層構成をとる場合において、電荷注入層27として、電荷注入輸送材料に反応性有機化合物を含有させて形成し、その結果、電極と電荷注入層27の界面や、電荷注入層27と有機半導体層24の界面に、反応生成物を含有する場合が挙げられる。なおこの場合は、第一の態様にも該当する。
本発明の有機トランジスタは、前記反応性有機化合物を含有することにより、ソース電極25及びドレイン電極26と有機半導体層24との電荷注入障壁が低減されることにより、酸化等されにくいHOMOの値が大きい(例えば6eV程度)有機半導体材料を、素子駆動に問題なく用いることが可能になる。また、有機半導体層とソース電極またはドレイン電極との電荷注入障壁を低減されることにより、有機トランジスタのオン電流値が向上し、かつ有機半導体層が酸化されにくいため、素子特性が安定化する。
1.電荷注入層
電荷注入層27は、有機半導体層24がp型半導体の場合には正孔注入層として機能するように、n型半導体の場合には電子注入層として機能するように、形成される材料を選択する必要がある。正孔注入層とする場合には、上述の有機EL素子の正孔注入輸送層と同様に層を形成することが好ましく、電子注入層とする場合には、上述の有機EL素子の電子注入輸送層と同様に層を形成することが好ましい。
2.有機半導体層
有機層である有機半導体層のキャリア移動度は10−6cm/Vs以上であることが、特に有機トランジスタに対しては10−3cm/Vs以上であることが、トランジスタ特性の点から好ましい。
有機半導体層を形成する材料としては、ドナー性あるいはアクセプター性の、低分子あるいは高分子の有機半導体材料が使用できる。
ドナー性を有する有機半導体材料としてはアセン分子材料、金属フタロシアニン、チオフェンオリゴマー、レジオレギュラ・ポリ(3−アルキルチオフェン)などが、アクセプター性の有機半導体材料としてはフラーレン、ヘキサデカフルオロ銅フタロシアニンなどを挙げることができる。また、特開2004−6754号公報記載の有機半導体材料も好適に用いることができる。
また、有機半導体層は、湿式コーティングまたはドライプロセスにより形成することが可能である。
3.基板、電極、及び絶縁層
基板、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極と、絶縁層については、特に限定されず、例えば以下のような材料を用いて形成することができる。
(1)基板
基板21は、本発明の有機デバイスの支持体になるものであり、例えばフレキシブルな材質であっても、硬質な材質であってもよい。具体的には、上記有機EL素子の基板と同様のもの用いることができる。
(2)電極
ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極としては、導電性材料であれば特に限定されない。具体的には、上述の有機EL素子における電極と同様の金属又は金属酸化物を用いることができるが、特に、白金、金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、ITOおよび炭素が好ましい。
(3)絶縁層
ゲート電極を絶縁する絶縁層には種々の絶縁材料を用いることができ、無機酸化物でも有機化合物でも用いることが出来るが、特に、比誘電率の高い無機酸化物が好ましい。無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウムなどが挙げられる。それらのうち好ましいのは、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンである。窒化ケイ素、窒化アルミニウムなどの無機窒化物も好適に用いることができる。
絶縁層に用いられる有機化合物としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、光ラジカル重合系、光カチオン重合系の光硬化性樹脂、あるいはアクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂、およびシアノエチルプルラン、ポリマー体、エラストマー体を含むホスファゼン化合物等が挙げられる。
なお、図5〜8には、本発明に係る有機トランジスタの一例として、絶縁層、有機半導体層の他に正孔注入層及び電子注入層を有する場合を挙げたが、その他、いかなる層構成を有していてもよい。本発明に係る有機トランジスタは、例えば層間絶縁層のような、ゲート絶縁層上にドレイン電極及びソース電極を形成する際にゲート電極の表面汚染を防ぐための層など、その他の機能層等を更に設けても良い。これら任意の層に用いられる材料は特に限定されず、一般的に各層を形成するために用いられる材料を用いることができる。
III.有機太陽電池
図9及び図10は、本発明に係る有機太陽電池の一例を示す概略断面図である。
本発明の有機太陽電池の一実施形態は、図9に示すように、基板31上に形成された第一電極32と第二電極37との間に、有機層である正孔注入層33、正孔輸送層34、電子輸送層35、電子注入層36がこの順に設けられたものである。
また、本発明の有機太陽電池の他の一実施形態は、図10に示すように、基板31上に形成された第一電極32と第二電極37との間に、有機層である正孔輸送層34、電子輸送層35がこの順に設けられたものである。
本発明に係る有機太陽電池において、第一の態様である、少なくとも1つの電極と電荷注入輸送材料を含有する有機層との間に、反応性有機化合物及び/又はその反応生成物を含有する層を有する場合としては、図9のような層構成をとる場合において、典型的には、正孔注入層33及び/又は電子注入層36に反応性有機化合物を含有し、その結果、正孔注入層33及び/又は電子注入層36や、正孔注入層33及び/又は電子注入層36と正孔輸送層34及び/又は電子輸送層35の界面、更には正孔注入層33及び/又は電子注入層36の少なくとも一方と電極の界面に、反応生成物を含有する場合が挙げられる。
また、本発明に係る有機太陽電池において、第二の態様である、少なくとも1つの電極及び/又は電極に隣接し電荷注入輸送材料を含有する有機層に、反応性有機化合物及び/又はその反応生成物を含有する場合としては、まず、図9及び図10のような層構成をとる場合において、第一電極32及び/又は第二電極37に反応性有機化合物を含有し、その結果、電極と正孔注入層33及び/又は電子注入層36や正孔輸送層34及び/又は電子輸送層35の界面や、電極と隣接する正孔注入層33及び/又は電子注入層36や正孔輸送層34及び/又は電子輸送層35に、反応性有機化合物や反応生成物を含有する場合が挙げられる。
更に、第二の態様としては、図10のような層構成をとる場合において、正孔輸送層34及び/又は電子輸送層35に反応性有機化合物を含有し、その結果、正孔輸送層34及び/又は電子輸送層35と電極の界面に反応生成物を含有する場合が挙げられる。
また、第二の態様としては、図9のような層構成をとる場合において、正孔注入層33及び/又は電子注入層36として、電荷注入輸送材料に前記反応性有機化合物を含有させて形成し、その結果、電極と正孔注入層33及び/又は電子注入層36の界面や、正孔注入層33及び/又は電子注入層36と正孔輸送層34及び/又は電子輸送層35の界面に、反応生成物を含有する場合が挙げられる。なおこの場合は、第一の態様にも該当する。
本発明の有機太陽電池は、前記反応性有機化合物を含有することにより、電極と有機層との電荷注入障壁が低減される。その結果、本発明の有機太陽電池は、内部電荷を効率良く取り出せるようになり、効率的に起電力を得ることができる。
基板31、第一電極32、第二電極37、有機層である正孔輸送層34、電子輸送層35については、特に限定されず、例えば以下のような材料を用いて形成することができる。
1.基板
基板31は、本発明の有機電子デバイスの支持体になるものであり、例えばフレキシブルな材質であっても、硬質な材質であってもよい。具体的には、上記有機EL素子の基板と同様のものを用いることができる。
2.電極
第一電極32としては、導電性材料であれば特に限定されない。具体的には、上述の有機EL素子における陽極電極と同様の導電性材料を用いることができる。光の照射方向、第2電極を形成する材料の仕事関数等を考慮して適宜選択することが好ましい。基板を受光面とした場合には、第1電極を透明電極とすることが好ましく、この場合、一般的に透明電極として使用されているものを用いることができる。具体的には、In−Zn−O(IZO)、In−Sn−O(ITO)、ZnO−Al、Zn−Sn−O等を挙げることができる。
また、第二電極37としても導電性材料であれば特に限定されない。具体的には、上述の有機EL素子における陰極電極と同様の導電性材料を用いることができる。基板を受光面とした場合には、上記第1電極が透明電極となり、このような場合には、第2電極層は透明でなくてもよい。第1電極を仕事関数が高い電極を用いた場合、従来、第2電極は、仕事関数が低い材料を用いられてきたが、本発明においては、電荷注入効率が高いため、仕事関数が高い金属を用いて電極を形成可能である。なお、第2電極は、単層からなる場合であってもよく、また、異なる仕事関数の材料を用い、積層されてなる場合であってもよい。
3.正孔輸送層及び電子輸送層
また、正孔輸送層34を形成する材料としては、電子供与体としての機能を有するものであれば特に限定はされない。具体的には、ポリフェニレンおよびその誘導体、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリシランおよびその誘導体、ポリアルキルチオフェンおよびその誘導体、ポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体、有機金属ポリマー等を挙げることができる。
一方、電子輸送層35を形成する材料としては、電子受容体としての機能を有するものであれば特に限定はされない。具体的には、CN−ポリ(フェニレン−ビニレン)、MEH−CN−ポリ(フェニレン−ビニレン)、−CN基または−CF基含有ポリマー、それらの−CF置換ポリマー、ポリ(フルオレン)誘導体、C60などのフラーレン誘導体、カーボンナノチューブ、ペリレン誘導体、多環キノン、キナクリドン等の材料を挙げることができる。
4.正孔注入層及び電子注入層
正孔注入層33及び/又は電子注入層36として、電荷注入輸送材料に前記反応性有機化合物を含有させて形成する場合の電荷注入輸送材料としては、正孔注入層33を形成する場合には、前記正孔輸送層34を形成する材料を用いることができ、電子注入層36を形成する場合には、前記電子輸送層35を形成する材料を用いることができる。
なお、図9、図10には、本発明に係る有機太陽電池の一例として、正孔輸送層及び電子輸送層の他に正孔注入層及び電子注入層を有する場合を挙げたが、その他、いかなる層構成を有していてもよい。上記例の場合には、有機太陽電池の電荷分離に寄与し、生じた電子及び正孔を各々反対方向の電極に向かって輸送させる機能を有する光電変換層は、正孔輸送層及び電子輸送層が担っているが、上記光電変換層としては、電子供与体として機能する正孔輸送層または電子受容体として機能する電子輸送層の少なくとも一方を有する場合や、電子供与体及び電子受容体の両方の機能を有する電子正孔輸送層からなる場合等が挙げられる。
<有機電子デバイスの製造方法>
次に本発明に係る有機電子デバイスの製造方法について説明する。
本発明に係る有機電子デバイスの製造方法の第一の態様は、基板上に、対向する2つ以上の電極と、そのうちの2つの電極間に配置された少なくとも1層の有機層とを有する有機電子デバイスの製造方法において、反応性有機化合物を含有する層を、少なくとも1つの電極と電荷注入輸送材料を含有する有機層との間に形成する工程を有することを特徴とする。
また、本発明に係る有機電子デバイスの製造方法の第二の態様は、基板上に、対向する2つ以上の電極と、そのうちの2つの電極間に配置された少なくとも1層の有機層とを有する有機電子デバイスの製造方法において、反応性有機化合物を含有する層を、少なくとも1つの電極及び/又は電極に隣接し電荷注入輸送材料を含有する有機層として形成する工程を有することを特徴とする。
本発明に係る有機電子デバイスの製造方法は、反応性有機化合物を含有する層を少なくとも1つの電極と電荷注入輸送材料を含有する有機層との間に形成する工程か、又は、反応性有機化合物を含有する層を少なくとも1つの電極及び/又は電極に隣接し電荷注入輸送材料を含有する有機層として形成する工程を有することにより、電荷注入機能を向上させることが可能である。すなわち、本発明に係る有機電子デバイスの製造方法においては、中性であった電荷注入輸送材料が反応性有機化合物と反応して、電荷密度が増大し得るため、効率良く電荷を注入可能な有機電子デバイスを製造することができる。中性の電荷注入輸送材料との間で電荷移動が行われ易いため、従来のように電荷注入層やこれらと隣接する電極層形成時の材料や形成方法が制限されず、蒸着法を用いることなく、良好な電荷注入機能を有する有機電子デバイスを製造することが可能である。
従って、本発明に係る有機電子デバイスの製造方法において、前記反応性有機化合物を含有する層を湿式成膜法により形成することが可能であり、好ましい。湿式成膜法を用いる場合には、大掛かりな蒸着装置が全く不要で、作製プロセスを簡便化でき、材料の利用効率も高く、コストが安価で、基材の大面積化が可能となる。
湿式成膜法としては、材料の溶融液、溶液または混合液を使用するスピンコーティング法、キャスティング法、ディッピング法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、グラビアコート法、フレキソ印刷法、スプレーコート法等の塗布方法、印刷やインクジェットなどのパターニングによる方法が挙げられる。中でもスピンコーティング法、インクジェット法を用いることが、製造プロセスの点から好ましい。
本発明に係る有機電子デバイスの製造方法においては、更に、前記反応性有機化合物と電荷注入輸送材料が反応生成物を形成する工程を有することが好ましい。
前記反応性有機化合物と電荷注入輸送材料が反応生成物を形成する工程には、反応性有機化合物層を含有する層を形成後に加熱工程を有しても良い。加熱工程は、上記反応生成物の形成を促進させる点から有することが好ましい。なお、この場合の反応性有機化合物層を含有する層を形成後とは、直後であっても、直後でなくても良い。直後でなくても良い具体例としては、例えば、少なくとも前記反応性有機化合物が含まれる発光層を形成した後に、更に陰極電極を形成し、それらの後に加熱工程を有する場合などをいう。
加熱工程においては、80〜250℃に加熱することが好ましく、更に80〜100℃に加熱することが、溶剤除去や、ガラス転移温度以上(但し分解温度以下)の加熱による膜質の安定性などの点から好ましい。また、加熱手段としては、例えば、赤外線ヒーター、ホットプレート、クリーンオーブン、真空オーブンなどを用いることができる。
上記第一の態様の有機電子デバイスは、上記本発明に係る第一の態様の有機電子デバイスの製造方法を用いて製造されることが好ましく、特に、前記反応性有機化合物と電荷注入輸送材料が反応生成物を形成する工程を更に有する第一の態様の有機電子デバイスの製造方法を用いて製造されることが好ましい。
上記第二の態様の有機電子デバイスは、上記本発明に係る第二の態様の有機電子デバイスの製造方法を用いて製造されることが好ましく、特に、前記反応性有機化合物と電荷注入輸送材料が反応生成物を形成する工程を更に有する第二の態様の有機電子デバイスの製造方法を用いて製造されることが好ましい。
本発明に係る有機電子デバイスの製造方法における他の工程については、特に制限されない。
次に、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例の記載に限定されるものではない。
(実施例1)
(陽極の形成)
基材として、縦横40mm×40mm、厚み0.7mmの透明ガラス基板(NHテクノグラス(株)製 無アルカリガラスNA35)を準備し、この透明ガラス基板を定法にしたがって洗浄した後、酸化インジウム亜鉛化合物(IZO)の薄膜(厚み130nm)をスパッタリング法により形成した。上記のIZO薄膜形成では、スパッタガスとしてArとO2 の混合ガス(体積比Ar:O2 =100:1)を使用し、圧力0.1Pa、DC出力150Wとした。
次いで、上記の陽極上に感光性レジスト(東京応化工業(株)製OFPR−800)を塗布し、マスク露光、現像(東京応化工業(株)製NMD3(現像液)を使用)、エッチングを行って、陽極をパターン形成した。
(正孔注入輸送層の形成)
次に、陽極および絶縁層を備えた透明ガラス基板を洗浄し、UVオゾン処理を施した後、大気中にて、陽極を覆うように透明ガラス基板上に下記構造式で示されるポリエチレンジオキシチオフェン−ポリスチレンスルホネート(PEDOT−PSS)をスピンコート法により塗布し、乾燥して、正孔注入輸送層(厚み80nm)を形成した。
Figure 0004554329
(但し、nは10,000〜500,000である。)
(発光層の形成)
低酸素(酸素濃度1ppm以下)、低湿度(水蒸気濃度1ppm以下)状態のグローブボックス中にて、上記正孔注入輸送層上に下記構造式(2)で示されるポリ(9,9ジオクチルフルオレン−co−ベンゾチアゾール)(F8BT)およびポリ(9,9ジオクチルフルオレン)(PF8)からなるポリマー(5BTF8)を合成し、スピンコート法により塗布し、乾燥して、発光層(厚み80nm)を形成した。上記のポリマー(5BTF8)は、F8BTおよびPF8を重量比5:95としてブレンドした発光材料である。
Figure 0004554329
(但し、nは100,000〜1,000,000である。)
(電子注入輸送層)
更に、上記の発光層上にリチウムジイソプロピルアミドからなる層を3nmの厚みでスピンコート法により形成して、電子注入輸送層とした。
(陰極の形成)
電子注入輸送層上に、陰極としてAuを150nmの厚みで蒸着して陰極を形成した。蒸着条件は、真空度5×10−5Pa、成膜速度2〜3Å/秒とした。
その後、低酸素(酸素濃度1ppm以下)、低湿度(水蒸気濃度1ppm以下)状態のグローブボックス中にて無アルカリガラスで封止を行った。
以上により、幅2mmのライン状にパターニングされた陽極と、この陽極に直交するように幅2mmのライン状で形成された電子注入輸送層、陰極を備え、4ヶ所の発光エリア(面積4mm2 )を有する有機EL素子を作製した。
(結果)
この有機EL素子に電圧6Vを印加した時の電流密度は約110mA/cm2が得られた。また、陽極側から観測した輝度は約12000cd/mであった。この結果から、リチウムジイソプロピルアミドからなる電子注入輸送層を塗布により形成し、陰極として仕事関数の大きな金属を用いても良好な素子特性が得られることが明らかになった。
(比較例1)
電子注入輸送層を形成しないで、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。この有機EL素子に電圧13Vを印加した時の電流密度は約50mA/cm2が得られた。また、陽極側から観測した輝度は約3cd/mであった。この結果から、リチウムジイソプロピルアミドからなる電子注入輸送層が無いことにより、陰極から発光層への電子注入障壁が大きく、電流―電圧特性が低下することが明らかにされた。
(実施例2)
実施例1と同様にして電子注入輸送層まで形成した。その後ガリウム:インジウム:スズ(重量比50:25:25)からなる金属を用いて陰極を形成した。この合金は加熱処理により溶融化させてコーティングし、所定の陰極パターンに形成した。
この有機EL素子に電圧6Vを印加した時の電流密度は約100mA/cm2が得られた。また、陽極側から観測した輝度は約10000cd/mであった。この結果から、リチウムジイソプロピルアミドからなる電子注入輸送層を塗布により形成し、その後、陰極をコーティングにより形成しても良好な素子特性が得られることが明らかになった。
(実施例3)
リチウムテトラメチルシクロペンタジエンからなる電子注入輸送層を形成した他は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。この有機EL素子に電圧6Vを印加した時の電流密度は約50mA/cm2が得られた。また、陽極側から観測した輝度は約5000cd/mであった。この結果から、リチウムテトラメチルシクロペンタジエンからなる電子注入輸送層を塗布により形成し、陰極として仕事関数の大きな金属を用いても良好な素子特性が得られることが明らかになった。
(実施例4)
電子注入輸送層として、高分子化合物であるポリビニルアルコールにリチウムジイソプロピルアミドを混合(重量比1:1)して層を形成した他は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。この有機EL素子に電圧6Vを印加した時の電流密度は約70mA/cm2が得られた。また、陽極側から観測した輝度は約7000cd/mであった。この結果から、リチウムジイソプロピルアミドを含む電子注入輸送層を塗布により形成し、陰極として仕事関数の大きな金属を用いても良好な素子特性が得られることが明らかになった。
(実施例5)
実施例1と同様にリチウムジイソプロピルアミドからなる電子注入輸送層までを形成した。その後、スクリーン印刷によりAgペースト(藤倉化成ドータイト、無機EL用)を厚み3μm形成した。
この有機EL素子に電圧6Vを印加した時の電流密度は約10mA/cm2が得られた。また、陽極側から観測した輝度は約100cd/mであった。この結果から、リチウムジイソプロピルアミドからなる電子注入輸送層を塗布により形成し、陰極として仕事関数の大きな金属を塗布して用いても良好な素子特性が得られることが明らかになった。
(比較例2)
前記リチウムジイソプロピルアミドからなる電子注入輸送層を形成せず、発光層上に、実施例5と同様にAgペーストで陰極を形成して有機EL素子を作製した。この有機EL素子に電圧20Vを印加した時の電流密度は約10mA/cm2が得られた。また、陽極側から観測した輝度は約20cd/mであった。この結果から、リチウムジイソプロピルアミドからなる電子注入輸送層が無いことにより、陰極から発光層への電子注入障壁が大きく、電流―電圧特性が低下することが明らかにされた。
(比較例3)
電子注入輸送層として、リチウムエトキシド(CHCHOLi)を用いて実施例1と同様に有機EL素子を作製した。この有機EL素子に電圧6Vを印加した時の電流密度は約13mA/cm2が得られた。また、陽極側から観測した輝度は約85cd/mであった。この結果から、電子注入輸送層においてアルカリ金属に酸素が直接結合した注入材料では、陰極から発光層への電子注入障壁が大きく、電流―電圧特性が低下することが明らかにされた。
(実施例6)
(正孔注入輸送層の形成)
陽極透明電極として、シート抵抗15Ω/□のITO(インジウム‐スズ酸化物、旭硝子社製)が形成されているITOガラス基板を用い、陽極上にポリエチレンジオキシチオフェン−ポリスチレンスルホネート(PEDOT−PSS)を塗布により形成、乾燥して、正孔注入輸送層(厚み80nm)を形成した。
(発光層の形成)
上記正孔注入輸送層上にポリ(9,9ジオクチルフルオレン−co−ベンゾチアゾール)(F8BT)およびポリ(9,9ジオクチルフルオレン)(PF8)からなるポリマー(5BTF8)を合成し、塗布により形成、乾燥して、発光層(厚み80nm)を形成した。上記のポリマー(5BTF8)は、F8BTおよびPF8を重量比5:95としてブレンドした発光材料である。
(電子注入輸送層の形成;反応性有機化合物を含有する層)
更に、上記の発光層上にペンタメチルシクロペンタジエニルリチウムを塗布により3nmの厚みで形成して本発明に係る反応性有機化合物からなる電子注入輸送層を形成した。
(陰極の形成)
電子注入輸送層上に、陰極としてAgを100nmの厚みで蒸着して陰極を形成した。蒸着条件は、真空度5×10−5Pa、成膜速度2〜3Å/秒とした。
その後、低酸素(酸素濃度1ppm以下)、低湿度(水蒸気濃度1ppm以下)状態のグローブボックス中にてガラスで封止を行った。
以上により、幅2mmのライン状にパターニングされた陽極と、この陽極に直交するように幅2mmのライン状で形成された陰極を備え、4ヶ所の発光エリア(面積4mm2 )を有する有機EL素子を作製した。
この有機EL素子に電圧6Vを印加した時の電流密度は約100mA/cm2が得られた。また、陽極側から観測した輝度は約10000cd/mであった。この結果から、前記反応性有機化合物からなる電子注入輸送層を形成すると、陰極に仕事関数が大きく熱還元性も有しない金属を用いて作製しても、良好な電子注入特性が得られることが明らかになった。
(実施例7)
トリス(ブチルシクロペンタジエニル)イットリウムを塗布により3nmの厚みで形成して本発明に係る反応性有機化合物からなる電子注入輸送層を形成した以外は、実施例6と同様に有機EL素子を作製した。
この有機EL素子に電圧6Vを印加した時の電流密度は約100mA/cm2が得られた。また、陽極側から観測した輝度は約9000cd/mであった。この結果から、前記反応性有機化合物からなる電子注入輸送層を形成すると、陰極に仕事関数が大きく熱還元性も有しない金属を用いて作製しても、良好な電子注入特性が得られることが明らかになった。
(実施例8)
ビス(シクロペンタジエニル)マグネシウムを塗布により3nmの厚みで形成して本発明に係る反応性有機化合物からなる電子注入輸送層を形成した以外は、実施例6と同様に有機EL素子を作製した。
この有機EL素子に電圧6Vを印加した時の電流密度は約80mA/cm2が得られた。また、陽極側から観測した輝度は約7000cd/mであった。この結果から、前記反応性有機化合物からなる電子注入輸送層を形成すると、陰極に仕事関数が大きく熱還元性も有しない金属を用いて作製しても、良好な電子注入特性が得られることが明らかになった。
(実施例9)
ビス(シクロペンタジエニル)ストロンチウムを塗布により3nmの厚みで形成して本発明に係る反応性有機化合物からなる電子注入輸送層を形成した以外は、実施例6と同様に有機EL素子を作製した。
この有機EL素子に電圧6Vを印加した時の電流密度は約90mA/cm2が得られた。また、陽極側から観測した輝度は約9000cd/mであった。この結果から、前記反応性有機化合物からなる電子注入輸送層を形成すると、陰極に仕事関数が大きく熱還元性も有しない金属を用いて作製しても、良好な電子注入特性が得られることが明らかになった。
(実施例10)
トリス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ユーロピウムを塗布により3nmの厚みで形成して本発明に係る反応性有機化合物からなる電子注入輸送層を形成した以外は、実施例6と同様に有機EL素子を作製した。
この有機EL素子に電圧6Vを印加した時の電流密度は約100mA/cm2が得られた。また、陽極側から観測した輝度は約9000cd/mであった。この結果から、前記反応性有機化合物からなる電子注入輸送層を形成すると、陰極に仕事関数が大きく熱還元性も有しない金属を用いて作製しても、良好な電子注入特性が得られることが明らかになった。
(実施例11)
トリス(テトラメチルシクロペンタジエニル)コバルトを塗布により3nmの厚みで形成して本発明に係る反応性有機化合物からなる電子注入輸送層を形成した以外は、実施例6と同様に有機EL素子を作製した。
この有機EL素子に電圧6Vを印加した時の電流密度は約80mA/cm2が得られた。また、陽極側から観測した輝度は約7000cd/mであった。この結果から、前記反応性有機化合物からなる電子注入輸送層を形成すると、陰極に仕事関数が大きく熱還元性も有しない金属を用いて作製しても、良好な電子注入特性が得られることが明らかになった。
(比較例4)
前記反応性有機化合物からなる電子注入輸送層を形成しないで、実施例6と同様にして有機EL素子を作製した。この有機EL素子に電圧10Vを印加した時の電流密度は約50mA/cm2が得られた。また、陽極側から観測した輝度は約1000cd/mであった。この結果から、前記反応性有機化合物からなる電子注入輸送層が無いことにより、陰極から発光層への電子注入障壁が大きく、電流―電圧特性が低下することが明らかにされた。
(実施例12)
実施例6と同様にして電子注入輸送層まで形成した。その後ガリウム:インジウム:スズ(重量比50:25:25)からなる金属を用いて陰極を形成した。この合金は加熱処理により溶融化させてコーティングし、所定の陰極パターンに形成した。
この有機EL素子に電圧6Vを印加した時の電流密度は約70mA/cm2が得られた。また、陽極側から観測した輝度は約5000cd/mであった。この結果から、前記反応性有機化合物からなる電子注入輸送層を湿式成膜法により形成し、その後、陰極を湿式成膜法により形成しても良好な素子特性が得られることが明らかになった。
(実施例13)
実施例6と同様にして発光層まで形成した。Agペースト中にトリス(ブチルシクロペンタジエニル)イットリウムを重量比(Ag:反応性有機化合物)で97:3となるように分散させ、発光層上にコーティングにより陰極を形成した。
この有機EL素子に電圧6Vを印加した時の電流密度は約50mA/cm2が得られた。また、陽極側から観測した輝度は約4000cd/mであった。この結果から、前記反応性有機化合物を含む陰極を湿式成膜法により形成しても良好な素子特性が得られることが明らかになった。
(実施例14)
実施例6と同様にして発光層まで形成した。その後ITO微粒子ペースト中にトリス(ブチルシクロペンタジエニル)イットリウムを分散させ、発光層上にコーティングにより反応性有機化合物を含む電荷発生層を形成した。その後再び、正孔注入輸送層(PEDOT−PSS)を80nmと発光層(5BTF8)を80nm形成した。電子注入輸送層としてトリス(ブチルシクロペンタジエニル)イットリウムを3nm形成し、その後、陰極電極としてガリウム:インジウム:スズ(重量比50:25:25)からなる合金を用いてコーティングによりパターン化された陰極を形成した。
この有機EL素子に電圧15Vを印加した時の電流密度は約80mA/cm2が得られた。また、陽極側から観測した輝度は約16000cd/mであった。この結果から、複数の発光ユニット有する有機EL素子において、良好な電荷注入特性が得られることが明らかになった。
本発明の有機EL素子の一例を示す断面図である。 本発明の有機EL素子の他の一例を示す断面図である。 本発明の有機EL素子の他の一例を示す断面図である。 本発明の有機EL素子の他の一例を示す断面図である。 本発明の有機トランジスタの一例を示す断面図である。 本発明の有機トランジスタの他の一例を示す断面図である。 本発明の有機トランジスタの他の一例を示す断面図である。 本発明の有機トランジスタの他の一例を示す断面図である。 本発明の有機太陽電池の一例を示す断面図である。 本発明の有機太陽電池の他の一例を示す断面図である。
1…基板
2…陽極電極
3…正孔注入輸送層
4…発光層
5…電子注入輸送層
6…陰極電極
20…有機トランジスタ
21…基板
22…ゲート電極
23…絶縁層
24…有機半導体層
25…ソース電極
26…ドレイン電極
27…電荷注入層
31…基板
32…第一電極
33…正孔注入層
34…正孔輸送層
35…電子輸送層
36…電子注入層
37…第二電極

Claims (13)

  1. 基板上に、対向する2つ以上の電極と、そのうちの2つの電極間に配置された少なくとも1層の有機層とを有する有機電子デバイスであって、少なくとも1つの電極と電荷注入輸送材料を含有する有機層との間に、還元性部位又はプロトン受容性部位を有する反応性有機化合物含有する層を有し、前記反応性有機化合物が、金属シクロペンタジエン化合物、並びに、Li、Na,K,Rb又はCsのアルカリ金属、或いは、Mg,Ca、Sr,又はBaのアルカリ土類金属を含む金属アミドよりなる群から選択される1種以上であることを特徴とする、有機電子デバイス。
  2. 基板上に、対向する2つ以上の電極と、そのうちの2つの電極間に配置された少なくとも1層の有機層とを有する有機電子デバイスであって、少なくとも1つの電極及び/又は電極に隣接し電荷注入輸送材料を含有する有機層に、還元性部位又はプロトン受容性部位を有する反応性有機化合物含有し、前記反応性有機化合物が、金属シクロペンタジエン化合物、並びに、Li、Na,K,Rb又はCsのアルカリ金属、或いは、Mg,Ca、Sr,又はBaのアルカリ土類金属を含む金属アミドよりなる群から選択される1種以上であることを特徴とする、有機電子デバイス。
  3. 前記電荷注入輸送材料が電子注入輸送材料であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の有機電子デバイス。
  4. 前記反応性有機化合物の還元性部位又はプロトン受容性部位の電荷が中性になっていることを特徴とする、請求項1乃至のいずれかに記載の有機電子デバイス。
  5. 前記反応性有機化合物の還元性部位又はプロトン受容性部位の電子親和力が、電荷注入輸送材料の電子親和力よりも小さいことを特徴とする、請求項1乃至のいずれかに記載の有機電子デバイス。
  6. 前記少なくとも1つの電極が、金属微粒子、金属酸化物微粒子、150℃以下の融点を有する低融点金属及び150℃以下の融点を有する低融点金属を含む合金よりなる群から選択される1種以上の材料からなる湿式成膜からなることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の有機電子デバイス。
  7. 請求項1乃至のいずれかに記載の前記有機電子デバイスが発光材料を含有することを特徴とする、有機発光デバイス。
  8. 対向する陽極電極と陰極電極との間に、少なくとも1層の発光層を含む発光ユニットを複数個有し、当該発光ユニットが電荷発生層によって仕切られている有機発光デバイスであって、当該電荷発生層及び/又は電荷発生層に隣接し電荷注入輸送材料を含有する有機層に、前記反応性有機化合物含有していることを特徴とする請求項7に記載の有機発光デバイス。
  9. 基板上に、対向する2つ以上の電極と、そのうちの2つの電極間に配置された少なくとも1層の有機層とを有する有機電子デバイスの製造方法において、還元性部位又はプロトン受容性部位を有する反応性有機化合物を含有する層を、少なくとも1つの電極と電荷注入輸送材料を含有する有機層との間に形成する工程を有し、前記反応性有機化合物が、金属シクロペンタジエン化合物、並びに、Li、Na,K,Rb又はCsのアルカリ金属、或いは、Mg,Ca、Sr,又はBaのアルカリ土類金属を含む金属アミドよりなる群から選択される1種以上であることを特徴とする、有機電子デバイスの製造方法。
  10. 基板上に、対向する2つ以上の電極と、そのうちの2つの電極間に配置された少なくとも1層の有機層とを有する有機電子デバイスの製造方法において、還元性部位又はプロトン受容性部位を有する反応性有機化合物を含有する層を、少なくとも1つの電極及び/又は電極に隣接し電荷注入輸送材料を含有する有機層として形成する工程を有し、前記反応性有機化合物が、金属シクロペンタジエン化合物、並びに、Li、Na,K,Rb又はCsのアルカリ金属、或いは、Mg,Ca、Sr,又はBaのアルカリ土類金属を含む金属アミドよりなる群から選択される1種以上であることを特徴とする、有機電子デバイスの製造方法。
  11. 前記反応性有機化合物を含有する層を、湿式成膜法により形成することを特徴とする、請求項又は10に記載の有機電子デバイスの製造方法。
  12. 前記少なくとも1つの電極を、金属微粒子、金属酸化物微粒子、150℃以下の融点を有する低融点金属及び150℃以下の融点を有する低融点金属を含む合金よりなる群から選択される1種以上の材料を用いて、湿式成膜法により形成することを特徴とする、請求項9乃至11のいずれかに記載の有機電子デバイスの製造方法。
  13. 前記有機電子デバイスが、対向する陽極電極と陰極電極との間に、少なくとも1層の発光層を含む発光ユニットを複数個有し、当該発光ユニットが電荷発生層によって仕切られている有機発光デバイスであって、当該電荷発生層及び/又は電荷発生層に隣接する有機層として、反応性有機化合物を含有する層を形成する工程を有することを特徴とする、請求項乃至12のいずれかに記載の有機電子デバイスの製造方法。
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