JP2002289774A - 多層構造半導体装置 - Google Patents

多層構造半導体装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 素子の実効面積が小さく、動作時のオン抵抗
が小さく、高耐圧で大電流動作が可能なMIS型電界効
果トランジスタを提供する。 【解決手段】 半導体多層膜表面にゲート電極、ソース
電極およびドレイン電極が形成されてなる電界効果トラ
ンジスタの1個または複数個が平面的に並列配置された
基本ユニットに対して、前記多層膜の厚さ方向に1個ま
たは複数個の電界効果トランジスタが積層され、かつ、
各電界効果トランジスタの前記ゲート電極、ソース電
極、およびドレイン電極同士がそれぞれ接続された構
造。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多層構造半導体装
置に関し、さらに詳しくは、複数の電界効果トランジス
タを複数個集積した構造を有し、実効面積が小さく、し
かも動作時のオン抵抗が小さく、かつ、大電流動作が可
能な多層構造半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、化合物半導体のMIS(金属−絶
縁膜−半導体)構造を有する電界効果トランジスタ(F
ET)の開発が急速に進められている。このMIS構造
のFETは、従来、半導体層としてSi,SiC、絶縁
層としてSiO2が用いられていた。すなわち、p型S
i基板上に、ソース、ドレイン電極を形成する部分の半
導体層にn型不純物を拡散させて反転層を形成する。続
いて、半導体表面全体を酸化させてSiO2膜を形成す
る。次にフォトリソグラフィー法などの集積回路プロセ
ス技術を用いてパターニングを行い、ゲート電極を形成
する部分の酸化膜のみを残して、ソース、ドレイン電極
を形成する部分の酸化膜は除去する。しかるのちソー
ス、ドレイン、ゲート電極を形成する。
【0003】このような構造のFETにおいては、動作
時のオン抵抗を下げるために、ゲート幅を長くする必要
があり、例えば、ゲート長が0.15μmに対して2mくら
い必要であり、ゲート電極を櫛歯状に形成したとして
も、かなりの面積を要することは避けがたい。一方、G
aN,AlGaN,InGaAlNなどの窒化物系のワ
イドギャップ半導体を用いて、上述したSi,SiCよ
りも動作時のオン抵抗がいっそう小さくなるFETの開
発も試みられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の窒化物系半導体
は、従来FETに使用されているGaAs,Siなどの
半導体に比べ動作時のオン抵抗が1桁以上小さく、高耐
圧で、高温動作、ならびに大電流動作が可能であること
が理論的に明らかになった。しかし、これらの半導体を
用いてFETを作製する場合、一般的に、電気絶縁性の
基板、例えばサファイア基板上に結晶成長させるため、
FETの立ち上がりの電圧を小さくするためにはゲート
長を充分長くしなければならず非常に大きな面積を必要
とした。
【0005】一方、半導体素子の上面にソース・ドレイ
ン電極およびゲート電極を形成したプレーナ型の素子構
造にあっては、大面積のエピタキシャルウェハが必要と
なり、デバイスサイズに限界がある。しかもチャネルの
厚みを大きくし、その低抵抗化を図るには、例えば大規
模集積回路の製造プロセスにおける二重拡散等の技術を
用いてチャネルのキャリア濃度を高める必要があるの
で、その製造が非常に困難化する等の不具合がある。即
ち、大電流動作可能なMIS-FETを、GaNやAlGa
N等のワイドギャップな化合物半導体を用いて如何にし
て製作するかと言う点で種々の課題が残されている。
【0006】本発明はこのような事情を考慮してなされ
たもので、その目的は、理論的に動作時のオン抵抗の小
さいワイドギャップなGaN系の化合物半導体を有効に
活かして、高耐圧で大電流動作可能なMIS型構造を有
する電界効果トランジスタを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに本発明によれば、半導体多層膜表面にゲート電極、
ソース電極およびドレイン電極が形成されてなる電界効
果トランジスタの1個または複数個が平面的に並列配置
された基本ユニットに対して、前記多層膜の厚さ方向に
1個または複数個の電界効果トランジスタが積層され、
かつ、各電界効果トランジスタの前記ゲート電極、ソー
ス電極、およびドレイン電極同士がそれぞれ接続されて
いる多層構造半導体装置が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の一
実施形態に係るGaN半導体を用いたMIS構造を有す
るFETの多層構造半導体装置について説明する。図1
は、本発明の多層構造半導体装置の単位素子となるMI
S−FETの構造の一例を示す概念的断面図である。こ
のFETの製造工程は次のようなものである。すなわ
ち、ガスソース分子線エピタキシャル成長法用いてすべ
ての層の結晶成長を行う。この結晶成長には成長室とパ
ターニング室を有する超高真空装置を使用する。
【0009】そして、まず成長室内で半絶縁性のサファ
イア基板1上に、ラジカル化した窒素(3×10-6Tor
r)とGa(5×10-7Torr)およびSi(5×10-9T
orr)を用いて、成長温度640℃で厚さ50nmのn
−GaNバッファー層2を形成し、さらにこのバッファ
ー層2の上に、Ga(1×10-6Torr)とアンモニア
(5×10-5Torr)を用い、成長温度850℃で厚さ1
000なnmのアンドープのi−GaN層3を形成し
た。
【0010】続いて、Ga(1×10-6Torr)およびア
ンモニア(5×10-5Torr)、ならびに、ドーパントと
してSi(5×10-10Torr)を用い、成長温度850
℃でキャリア濃度1×1017cm-3で厚さ200nmの
n−GaN層4を形成した。さらにその上に、Ga(1
×10-6Torr)とアンモニア(5×10-5Torr)、なら
びに、ドーパントとしてSi(1×10-8Torr)を用い
て、成長温度850℃でキャリア濃度1×1019cm-3
で厚さ100nmのn+−GaNコンタクト層5を形成
した。
【0011】上記の層構造を作製後、n+−GaNコン
タクト層5の表面全面に保護膜としてのSiO2膜6を
熱化学堆積法により厚さ200nmとなるように堆積さ
せた。続いて、フォトリソグラフィー法とドライエッチ
ング法により、パターニングを行ってソース、ドレイ
ン、およびゲート領域に相当する領域のSiO2膜6を
除去し、ソース、ドレイン領域の開口に、p型ドーパン
トとしてジシクロペンタジエニルMgを用いてコンタク
ト層5にソース、およびドレイン領域7,9となる反転
層を形成した。しかるのち、ゲート領域上に絶縁ゲート
膜となるSiO2膜9を1000Å堆積させた。
【0012】さらに、電極を形成するために、フォトレ
ジストを用いてパターニングを行った。すなわち、ゲー
ト領域をマスクし、ソース、ドレイン領域の上に、ソー
ス電極Sおよびドレイン電極DとなるAl,Ti,Au
を順次蒸着し、ゲート領域にはPt、Auをこの順に蒸
着してゲート電極Gを形成した。このようにして作製し
たFETを所定のサイズに切断して、図2に示すような
平面視配置のFET−aを得た。
【0013】一方、FET−aと同様にして作製され、
ソース、ドレインおよびゲートの各電極S,DおよびG
が、図3に示す平面視配置となっているFET−bを用
意した。なお、図3では、基板の裏面から見たS,D,
Gの各電極の配置を示している。続いて、本発明の多層
構造半導体装置の作製方法について説明する。
【0014】一例として、基本ユニットとして上記のよ
うにして1個のFETすなわちFET−aと使用し、こ
の基本ユニットに1個のFETすなわちFET−bを重
ね合わせた場合について述べる。なお、図中半導体の積
層構造は省略した。まず、FET−a,bを各電極同士
が対向するように重ねる。すなわち、図2(a)、図3
(a)に示したFET−aの上にFET−bを、それぞ
れの電極S,D,Gが接触するようにそのまま重ね、図
4に示すような積層体とする。そして、FET−aの
S,Dの各電極とFET−bのS,Dの各電極の重なり
合った領域をそれぞれ接続する。各FET−a,bの
S,Dは、一方の面積が他方の面積より大きくなるよう
に形成されているため、図4のように重ね合わせた場
合、FET−aのS、およびFET−bのDの一部領域
がそれぞれ積層体から露出することになる。したがっ
て、この各領域を引き出し電極として利用することがで
きる。
【0015】この各電極間の接着には、比較的低温で溶
融する金属または合金を使用することが好ましい。具体
的には融点が600℃以下のもの、例えば、ハンダ、A
u−Sn、Alなどをあげることができる。電極間の接
続にAu−Snを使用する場合、Au−Snが溶融する
まですなわち400℃まで昇温して両者を接着すればよ
い。
【0016】なお、この積層体において、FET−aお
よびFET−bの各Gは重ね合わせられないので、別途
手段により両者を接続する。このような2個MIS−F
ETユニットからなる2層構造半導体装置を用いてソー
ス・ドレイン電圧を測定したところ、10Aで飽和する
特性が得られた。また、FETの耐圧は100Vを超え
た。さらに、オン抵抗は10mΩcm−2と充分低いも
のであることが確認された。
【0017】なお、上記の実施形態においては、ガスソ
ース分子線エピタキシャル成長法(MBE)を用いてG
aN系の半導体層を順次結晶成長させたが、有機金属気
相化学堆積法(MOCVD)を用いてGaN系の半導体
層を結晶成長させることも可能である。そしてGaN膜
の形成には、そのGa源としてトリエチルガリウムやト
リメチルガリウム等の有機金属ガスを用い、また窒素源
としてジメチルヒドラジンが用いられる。但し、窒素源
としてモノメチルヒドラジンやアンモニア等を用いるこ
とも勿論可能である。またn型のドーパントとしてはモ
ノシランが、p型のドーパントとしてジシクロペンタジ
エニルMg等の有機系のMgが用いられる。
【0018】さらに、上記の実施形態ではn層にGaN
を用いたが、これに限定されるものではなく、Siなど
をドープしたInGaN,InGaAlN,InGa
N,InGaNAs,InGaNPなどを用いることも
できる。また、p層として、MgをドープしたInGa
N,InGaAlN,InGaNAs,InGaNPな
どを用いることもできる。
【0019】また、上記の実施形態では、基板として絶
縁性基板を使用したが、導電性の基板例えばSiC,S
i,GaAs,GaPなどを用いてGaNのFET構造
にすることもできる。導電性基板を用いると、基板の下
面にも電極を形成することができるので、ドレイン電極
を下面に設けた構成、いわゆる縦型FET構造とするこ
とが可能である。このような縦型FET構造とすると、
ゲート部の面積を大きくとることができ、オン抵抗の低
減に有効である。
【0020】このような縦型FET構造とした場合、ゲ
ート部の実効的な面積をさらに増大するために、ゲート
部を選択的にn+−GaN層までエッチングして溝を形
成し、その上にAlN,SiO2,SiNなどのゲート
絶縁膜を選択的に形成する。このような構造とすること
により、さらに大電流制御が可能となるという利点があ
る。また、FET構造としては、上記した実施態様に限
定されるものではなく、それ以外に、MESFET,H
EMT,MISFETなど全ての構造にも適用すること
ができる。
【0021】図5〜図7は、本発明の多層構造半導体装
置の他の実施形態を示したもので、図5は同一形状の2
個のFET−c,dを中表に重ねたものである。図6は
同じく同一形状の8個のFET−e〜FET−lを使用
し、4個のFETすなわちFETe〜FET−hを平面
的に配置して基本ユニットを作製し、この基本ユニット
に4個の平面は位置されたFETすなわちFET−i〜
FET−lを同様に中表に重ねたものである。図7は同
一形状の5個のFET−m〜FET−qを使用し、図6
に示したものと同様に4個のFETすなわちFET−m
〜FET−pを平面的に配置して基本ユニットを作製
し、この基本ユニットの上に1個のFET−qを積層し
たものである。
【0022】図5,6に示した積層体のように、上下の
FETの端面が面一をなす積層体の場合は、S,Dおよ
びGの各電極を、それぞれFETの端部まで引き出すこ
とにより、積層体を構成するすべてのFETを互いに接
続することが可能となる。さらに、本発明の多層構造半
導体装置においては、上記の各実施形態すなわち2層構
造に限定されるものではなく、3層、4層など多段に積
層した構造体とすることが可能である。
【0023】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、M
IS−FETを上下に積層し、ソース、ドレインおよび
ゲート電極をそれぞれ接続することにより、実効的なF
ET面積を縮小することが可能であり、しかも、オン抵
抗を低減して大電流スイッチング動作が可能となる。し
たがって、工業上極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多層構造半導体装置の構成単位素子で
あるMIS−FETの層構造の一例を示す断面図であ
る。
【図2】図1のFET−aの各電極の配置を示す図であ
る。
【図3】他のFET−bの各電極の配置を示す図であ
る。
【図4】FET−aとFET−bとを積層した際の各電
極の配置を示す図である。
【図5】本発明の他の実施形態である多層構造半導体装
置の斜視図である。
【図6】本発明の他の実施形態である多層構造半導体装
置の斜視図である。
【図7】本発明の他の実施形態である多層構造半導体装
置の斜視図である。
【符号の説明】
1 基板 2 n−GaNバッファ層 3 i−GaN層 4 n−GaN層 5 n+−GaNコンタクト層 6 SiO2保護膜 7,8 p−GaN層(ソース、ドレイン領域) 9 SiO2絶縁ゲート膜 S ソース電極 D ドレイン電極 G ゲート電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 21/338 H01L 29/78 618B 29/812 29/80 B 29/778 H (72)発明者 竹原 洋斉 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古 河電気工業株式会社内 Fターム(参考) 5F102 GA01 GB01 GC01 GD01 GJ02 GJ03 GJ04 GJ05 GJ10 GK04 GL04 GQ01 GT02 GT03 GV07 HC01 HC24 5F110 AA04 AA07 BB11 CC02 DD04 EE01 EE02 EE14 EE43 FF02 GG04 GG12 GG25 GG32 GG34 GG42 GG44 HJ01 HK01 HK02 HK03 HK04 HK22 HK32 NN02 NN23 NN77 QQ16 5F140 AA29 AC23 AC36 BA01 BA02 BA06 BA07 BA17 BD06 BF05 BF11 BF15 BJ05 BJ11 BJ15 BJ26 CA01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体多層膜表面にゲート電極、ソース
    電極およびドレイン電極が形成されてなる電界効果トラ
    ンジスタの1個または複数個が平面的に並列配置された
    基本ユニットに対して、前記多層膜の厚さ方向に1個ま
    たは複数個の電界効果トランジスタが積層され、かつ、
    各電界効果トランジスタの前記ゲート電極、ソース電
    極、およびドレイン電極同士がそれぞれ接続されている
    多層構造半導体装置。
  2. 【請求項2】 前記各電極が形成されている半導体層
    が、GaN系半導体よりなる請求項1に記載の多層構造
    半導体装置。
  3. 【請求項3】 前記電界効果トランジスタの基板が、半
    絶縁性基板である請求項1または2に記載の多層構造半
    導体装置。
  4. 【請求項4】 前記電界効果トランジスタの基板が、導
    電性基板である請求項1または2に記載の多層構造半導
    体装置。
  5. 【請求項5】 前記ゲート、ソースおよびドレインの各
    電極が600℃以下で溶融する金属または合金を介し
    て、それぞれ対応するゲート、ソースおよびドレインの
    各電極に接続されている請求項1〜5のいずれかに記載
    の多層構造半導体装置。
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