<1. 第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態の基板処理装置Aの平面図である。また、図2は基板処理装置Aの液処理部の正面図であり、図3は熱処理部の正面図であり、図4は基板載置部の周辺構成を示す図である。なお、図1から図4にはそれらの方向関係を明確にするためZ軸方向を鉛直方向とし、XY平面を水平面とするXYZ直交座標系を付している。
本実施の形態の基板処理装置Aは、半導体ウェハ等の基板に反射防止膜やフォトレジスト膜を塗布形成するとともに、パターン露光後の基板に現像処理を行う装置である。なお、本発明に係る基板処理装置Aの処理対象となる基板は半導体ウェハに限定されるものではなく、液晶表示器用のガラス基板等であってもよい。また、本発明に係る基板処理装置Aの処理内容は塗布膜形成や現像処理に限定されるものではなく、エッチング処理や洗浄処理であってもよい。
本実施の形態の基板処理装置Aは、インデクサブロック1、バークブロック2、レジスト塗布ブロック3、現像処理ブロック4、インターフェイスブロック5および検査ブロックIB(本発明における検査装置に相当する)の6つの処理ブロックを並設して構成されている。インターフェイスブロック5には本基板処理装置Aとは別体の外部装置である露光装置(ステッパ)が接続配置されている。
インデクサブロック1は、複数のキャリアC(本実施の形態では4個)を並べて載置する載置台11と、各キャリアCから未処理の基板Wを取り出すとともに、各キャリアCに処理済みの基板Wを収納する基板移載機構12とを備えている。基板移載機構12は、載置台11に沿って(Y方向に沿って)水平移動可能な可動台12aを備えており、この可動台12aに基板Wを水平姿勢で保持する保持アーム12bが搭載されている。保持アーム12bは、可動台12a上を昇降(Z方向)移動、水平面内の旋回移動、および旋回半径方向に進退移動可能に構成されている。これにより、基板移載機構12は、保持アーム12bを各キャリアCにアクセスさせて未処理の基板Wの取り出しおよび処理済みの基板Wの収納を行うことができる。なお、キャリアCの形態としては、基板Wを密閉空間に収納するFOUP(front opening unified pod)の他に、SMIF(Standard Mechanical Inter Face)ポッドや収納基板Wを外気に曝すOC(open cassette)であってもよい。
インデクサブロック1に隣接してバークブロック2が設けられている。インデクサブロック1とバークブロック2との間には、雰囲気遮断用の隔壁13が設けられている。この隔壁13にインデクサブロック1とバークブロック2との間で基板Wの受け渡しを行うために基板Wを載置する2つの基板載置部PASS1,PASS2が上下に積層して設けられている。
上側の基板載置部PASS1は、インデクサブロック1からバークブロック2へ基板Wを搬送するために使用される。基板載置部PASS1は3本の支持ピンを備えており、インデクサブロック1の基板移載機構12はキャリアCから取り出した未処理の基板Wを基板載置部PASS1の3本の支持ピン上に載置する。そして、基板載置部PASS1に載置された基板Wを後述するバークブロック2の搬送ロボットTR1が受け取る。一方、下側の基板載置部PASS2は、バークブロック2からインデクサブロック1へ基板Wを搬送するために使用される。基板載置部PASS2も3本の支持ピンを備えており、バークブロック2の搬送ロボットTR1は処理済みの基板Wを基板載置部PASS2の3本の支持ピン上に載置する。そして、基板載置部PASS2に載置された基板Wを基板移載機構12が受け取ってキャリアCに収納する。なお、後述する基板載置部PASS3〜PASS12の構成も基板載置部PASS1,PASS2と同じである。
基板載置部PASS1,PASS2は、隔壁13の一部に部分的に貫通して設けられている。また、基板載置部PASS1,PASS2には、基板Wの有無を検出する光学式のセンサ(図示省略)が設けられており、各センサの検出信号に基づいて基板移載機構12やバークブロック2の搬送ロボットTR1が、基板載置部PASS1,PASS2に対して基板Wを受け渡しできる状態にあるか否かを判断する。
次に、バークブロック2について説明する。バークブロック2は、露光時に発生する定在波やハレーションを減少させるために、フォトレジスト膜の下地に反射防止膜を塗布形成するための処理ブロックである。バークブロック2は、基板Wの表面に反射防止膜を塗布形成するための下地塗布処理部BRCと、反射防止膜の塗布形成に付随する熱処理を行う2つの熱処理タワー21,21と、下地塗布処理部BRCおよび熱処理タワー21,21に対して基板Wの受け渡しを行う搬送ロボットTR1とを備える。
バークブロック2においては、搬送ロボットTR1を挟んで下地塗布処理部BRCと熱処理タワー21,21とが対向して配置されている。具体的には、下地塗布処理部BRCが装置正面側に、2つの熱処理タワー21,21が装置背面側に、それぞれ位置している。また、熱処理タワー21,21の正面側には図示しない熱隔壁を設けている。下地塗布処理部BRCと熱処理タワー21,21とを隔てて配置するとともに熱隔壁を設けることにより、熱処理タワー21,21から下地塗布処理部BRCに熱的影響を与えることを回避しているのである。
下地塗布処理部BRCは、図2に示すように、同様の構成を備えた3つの塗布処理ユニットBRC1,BRC2,BRC3を下から順に積層配置して構成されている。なお、3つの塗布処理ユニットBRC1,BRC2,BRC3を特に区別しない場合はこれらを総称して下地塗布処理部BRCとする。各塗布処理ユニットBRC1,BRC2,BRC3は、基板Wを略水平姿勢で吸着保持して略水平面内にて回転させるスピンチャック22、このスピンチャック22上に保持された基板W上に反射防止膜用の塗布液を吐出する塗布ノズル23、スピンチャック22を回転駆動させるスピンモータ(図示省略)およびスピンチャック22上に保持された基板Wの周囲を囲繞するカップ(図示省略)等を備えている。
図3に示すように、インデクサブロック1に近い側の熱処理タワー21には、基板Wを所定の温度にまで加熱する6個のホットプレートHP1〜HP6と、加熱された基板Wを冷却して所定の温度にまで降温するとともに基板Wを当該所定の温度に維持するクールプレートCP1〜CP3とが設けられている。この熱処理タワー21には、下から順にクールプレートCP1〜CP3、ホットプレートHP1〜HP6が積層配置されている。一方、インデクサブロック1から遠い側の熱処理タワー21には、レジスト膜と基板Wとの密着性を向上させるためにHMDS(ヘキサメチルジシラザン)の蒸気雰囲気で基板Wを熱処理する3個の密着強化処理部AHL1〜AHL3が下から順に積層配置されている。なお、図3において「×」印で示した箇所には配管配線部や、予備の空きスペースが割り当てられている。
このように塗布処理ユニットBRC1〜BRC3や熱処理ユニット(ホットプレートHP1〜HP6、クールプレートCP1〜CP3、密着強化処理部AHL1〜AHL3)を多段に積層配置することにより、基板処理装置Aの占有スペースを小さくしてフットプリントを削減することができる。また、2つの熱処理タワー21,21を並設することによって、熱処理ユニットのメンテナンスが容易になるとともに、熱処理ユニットに必要なダクト配管や給電設備をあまり高い位置にまで引き延ばす必要がなくなるという利点がある。
図5は、搬送ロボットTR1が周囲に配置された処理ユニットに基板Wを搬送する様子を示す図である。図6は搬送ロボットTR1の正面図である。搬送ロボットTR1は、基板Wを略水平姿勢で保持する2個の保持アーム6a,6bを上下に近接させて備えている。保持アーム6a,6bは、先端部が平面視で「C」字形状になっており、この「C」字形状のアームの内側から内方に突き出た複数本のピン7で基板Wの周縁を下方から支持するようになっている。
搬送ロボットTR1の基台8は装置基台(装置フレーム)に対して固定設置されている。この基台8上に、ガイド軸9cが立設されるとともに、螺軸9aが回転可能に立設支持されている。また、基台8には螺軸9aを回転駆動するモータ9bが固定設置されている。そして、螺軸9aには昇降台10aが螺合されるとともに、昇降台10aはガイド軸9cに対して摺動自在とされている。このような構成により、モータ9bが螺軸9aを回転駆動することにより、昇降台10aがガイド軸9cに案内されて鉛直方向(Z方向)に昇降移動するようになっている。
また、昇降台10a上にアーム基台10bが鉛直方向に沿った軸心周りに旋回可能に搭載されている。昇降台10aには、アーム基台10bを旋回駆動するモータ10cが内蔵されている。そして、このアーム基台10b上に上述した2個の保持アーム6a,6bが上下に配設されている。各保持アーム6a,6bは、アーム基台10bに装備されたスライド駆動機構(図示省略)によって、それぞれ独立して水平方向(アーム基台10bの旋回半径方向)に進退移動可能に構成されている。
このような構成によって、図5に示すように、搬送ロボットTR1は2個の保持アーム6a,6bをそれぞれ個別に基板載置部PASS1,PASS2、熱処理タワー21に設けられた熱処理ユニット、下地塗布処理部BRCに設けられた塗布処理ユニットおよび後述する基板載置部PASS3,PASS4に対してアクセスさせて、それらとの間で基板Wの授受を行うことができる。
次に、レジスト塗布ブロック3について説明する。バークブロック2と検査ブロックIBとの間に挟み込まれるようにしてレジスト塗布ブロック3が設けられている。このレジスト塗布ブロック3とバークブロック2との間にも、雰囲気遮断用の隔壁25が設けられている。この隔壁25にバークブロック2とレジスト塗布ブロック3との間で基板Wの受け渡しを行うために基板Wを載置する2つの基板載置部PASS3,PASS4が上下に積層して設けられている。基板載置部PASS3,PASS4は、上述した基板載置部PASS1,PASS2と同様の構成を備えている。
上側の基板載置部PASS3は、バークブロック2からレジスト塗布ブロック3へ基板Wを搬送するために使用される。すなわち、バークブロック2の搬送ロボットTR1が基板載置部PASS3に載置した基板Wをレジスト塗布ブロック3の搬送ロボットTR2が受け取る。一方、下側の基板載置部PASS4は、レジスト塗布ブロック3からバークブロック2へ基板Wを搬送するために使用される。すなわち、レジスト塗布ブロック3の搬送ロボットTR2が基板載置部PASS4に載置した基板Wをバークブロック2の搬送ロボットTR1が受け取る。
基板載置部PASS3,PASS4は、隔壁25の一部に部分的に貫通して設けられている。また、基板載置部PASS3,PASS4には、基板Wの有無を検出する光学式のセンサ(図示省略)が設けられており、各センサの検出信号に基づいて搬送ロボットTR1,TR2が基板載置部PASS3,PASS4に対して基板Wを受け渡しできる状態にあるか否かを判断する。さらに、基板載置部PASS3,PASS4の下側には、基板Wを大まかに冷却するための水冷式の2つのクールプレートWCPが隔壁25を貫通して上下に設けられている。
レジスト塗布ブロック3は、バークブロック2にて反射防止膜が塗布形成された基板W上にフォトレジスト膜を塗布形成するための処理ブロックである。なお、本実施の形態では、フォトレジストとして化学増幅型レジストを用いている。レジスト塗布ブロック3は、下地塗布された反射防止膜の上にフォトレジスト膜を塗布形成するレジスト塗布処理部SCと、レジスト塗布処理に付随する熱処理を行う2つの熱処理タワー31,31と、レジスト塗布処理部SCおよび熱処理タワー31,31に対して基板Wの受け渡しを行う搬送ロボットTR2とを備える。
レジスト塗布ブロック3においては、搬送ロボットTR2を挟んでレジスト塗布処理部SCと熱処理タワー31,31とが対向して配置されている。具体的には、レジスト塗布処理部SCが装置正面側に、2つの熱処理タワー31,31が装置背面側に、それぞれ位置している。また、熱処理タワー31,31の正面側には図示しない熱隔壁を設けている。レジスト塗布処理部SCと熱処理タワー31,31とを隔てて配置するとともに熱隔壁を設けることにより、熱処理タワー31,31からレジスト塗布処理部SCに熱的影響を与えることを回避しているのである。
レジスト塗布処理部SCは、図2に示すように、同様の構成を備えた3つの塗布処理ユニットSC1,SC2,SC3を下から順に積層配置して構成されている。なお、3つの塗布処理ユニットSC1,SC2,SC3を特に区別しない場合はこれらを総称してレジスト塗布処理部SCとする。各塗布処理ユニットSC1,SC2,SC3は、基板Wを略水平姿勢で吸着保持して略水平面内にて回転させるスピンチャック32、このスピンチャック32上に保持された基板W上にフォトレジストを吐出する塗布ノズル33、スピンチャック32を回転駆動させるスピンモータ(図示省略)およびスピンチャック32上に保持された基板Wの周囲を囲繞するカップ(図示省略)等を備えている。
図3に示すように、インデクサブロック1に近い側の熱処理タワー31には、基板Wを所定の温度にまで加熱する6個の加熱部PHP1〜PHP6が下から順に積層配置されている。一方、インデクサブロック1から遠い側の熱処理タワー31には、加熱された基板Wを冷却して所定の温度にまで降温するとともに基板Wを当該所定の温度に維持するクールプレートCP4〜CP9が下から順に積層配置されている。
各加熱部PHP1〜PHP6は、基板Wを載置して加熱処理を行う通常のホットプレートの他に、そのホットプレートと隔てられた上方位置に基板Wを載置しておく基板仮置部と、該ホットプレートと基板仮置部との間で基板Wを搬送するローカル搬送機構34(図1参照)とを備えた熱処理ユニットである。ローカル搬送機構34は、昇降移動および進退移動が可能に構成されるとともに、冷却水を循環させることによって搬送過程の基板Wを冷却する機構を備えている。
ローカル搬送機構34は、上記ホットプレートおよび基板仮置部を挟んで搬送ロボットTR2とは反対側、すなわち装置背面側に設置されている。そして、基板仮置部は搬送ロボットTR2側およびローカル搬送機構34側の双方に対して開口している一方、ホットプレートはローカル搬送機構34側のみ開口し、搬送ロボットTR2側には閉塞している。従って、基板仮置部に対しては搬送ロボットTR2およびローカル搬送機構34の双方がアクセスできるが、ホットプレートに対してはローカル搬送機構34のみがアクセス可能である。
このような構成を備える各加熱部PHP1〜PHP6に基板Wを搬入するときには、まず搬送ロボットTR2が基板仮置部に基板Wを載置する。そして、ローカル搬送機構34が基板仮置部から基板Wを受け取ってホットプレートまで搬送し、該基板Wに加熱処理が施される。ホットプレートでの加熱処理が終了した基板Wは、ローカル搬送機構34によって取り出されて基板仮置部まで搬送される。このときに、ローカル搬送機構34が備える冷却機能によって基板Wが冷却される。その後、基板仮置部まで搬送された熱処理後の基板Wが搬送ロボットTR2によって取り出される。
このように、加熱部PHP1〜PHP6においては、搬送ロボットTR2が常温の基板仮置部に対して基板Wの受け渡しを行うだけで、ホットプレートに対する基板Wの受け渡しを行わないため、搬送ロボットTR2の温度上昇を抑制することができる。また、ホットプレートはローカル搬送機構34側のみ開口しているため、ホットプレートから漏出した熱雰囲気によって搬送ロボットTR2やレジスト塗布処理部SCが悪影響を受けることが防止される。なお、クールプレートCP4〜CP9に対しては搬送ロボットTR2が直接基板Wの受け渡しを行う。
搬送ロボットTR2の構成は、搬送ロボットTR1と全く同じである。よって、搬送ロボットTR2は2個の保持アームをそれぞれ個別に基板載置部PASS3,PASS4、熱処理タワー31に設けられた熱処理ユニット、レジスト塗布処理部SCに設けられた塗布処理ユニットおよび後述する基板載置部PASS5,PASS6に対してアクセスさせて、それらとの間で基板Wの授受を行うことができる。
次に、検査ブロックIBについて説明する。基板処理装置Aには、レジスト塗布ブロック3と現像処理ブロック4との間に挟み込まれるようにして検査ブロックIBが設けられている。レジスト塗布ブロック3と検査ブロックIBとの間にも、雰囲気遮断用の隔壁35が設けられている。この隔壁35にレジスト塗布ブロック3と検査ブロックIBとの間で基板Wの受け渡しを行うために基板Wを載置する2つの基板載置部PASS5,PASS6が上下に積層して設けられている。基板載置部PASS5,PASS6は、上述した基板載置部PASS1,PASS2と同様の構成を備えている。
上側の基板載置部PASS5は、レジスト塗布ブロック3から検査ブロックIBへ基板Wを搬送するために使用される。すなわち、レジスト塗布ブロック3の搬送ロボットTR2が基板載置部PASS5に載置した基板Wを検査ブロックIBの搬送ロボットTR5が受け取る。一方、下側の基板載置部PASS6は、検査ブロックIBからレジスト塗布ブロック3へ基板Wを搬送するために使用される。すなわち、検査ブロックIBの搬送ロボットTR5が基板載置部PASS6に載置した基板Wをレジスト塗布ブロック3の搬送ロボットTR2が受け取る。
基板載置部PASS5,PASS6は、隔壁35の一部に部分的に貫通して設けられている。また、基板載置部PASS5,PASS6には、基板Wの有無を検出する光学式のセンサ(図示省略)が設けられており、各センサの検出信号に基づいて搬送ロボットTR2,TR5が基板載置部PASS5,PASS6に対して基板Wを受け渡しできる状態にあるか否かを判断する。さらに、基板載置部PASS5,PASS6の下側には、基板Wを大まかに冷却するための水冷式の2つのクールプレートWCPが隔壁35を貫通して上下に設けられている。
検査ブロックIBは、一連のフォトリソグラフィー処理が完了した基板Wまたはその処理途中の基板Wの検査を行うための処理ブロックである。検査ブロックIBは、基板Wに対して所定の測定を行う測定装置として、膜厚測定ユニット80と、線幅測定ユニット85、およびマクロ欠陥検査ユニット90を備え、さらに検査用バッファ95およびそれらに対して基板Wの受け渡しを行う搬送ロボットTR5を備える。なお、搬送ロボットTR5は、上述した搬送ロボットTR1,TR2と全く同じ構成を有する。また、本実施の形態においては、マクロ欠陥検査ユニット90のように、基板Wに対して所定の測定を行うだけでなく、当該装置による測定結果に基づいて、何らかの検査・検出を行う装置も測定ユニットに含める。
図2に示すように、膜厚測定ユニット80は検査ブロックIBの装置正面側下段に配置されている。膜厚測定ユニット80は、膜厚測定器81を備えており、基板W上に塗布されたレジストの膜厚を光学的に測定する。線幅測定ユニット85は、検査ブロックIBの装置正面側上段に配置されている。線幅測定ユニット85は、線幅測定器86を備えており、現像処理後の基板W上に形成されたパターンの線幅を光学的に測定する。
一方、図3に示すように、マクロ欠陥検査ユニット90は検査ブロックIBの装置背面側下段に配置されている。マクロ欠陥検査ユニット90は、マクロ欠陥検査器91を備えており、基板W上に現出した欠陥についてその大きさを測定し、比較的大きな欠陥、例えばパーティクルの付着やレジストの塗布ムラを光学的に検出する。また、マクロ欠陥検査ユニット90の上方、すなわち検査ブロックIBの装置背面側上段には検査用バッファ95が2列に配置されている。検査用バッファ95は、複数枚の基板Wを多段に収納できる収納棚によって構成されている。検査用バッファ95は、膜厚測定ユニット80、線幅測定ユニット85、マクロ欠陥検査ユニット90のいずれかにて基板Wの検査が行われているときに、そのユニットにて検査を行うべき後続の基板Wを一時的に収納保管しておくものである。
なお、膜厚測定ユニット80、線幅測定ユニット85、マクロ欠陥検査ユニット90の配置位置は上記の例に限定されるものではなく、それらを相互に入れ替えた配置であってもよい。
搬送ロボットTR5の構成は、搬送ロボットTR1と全く同じである。よって、搬送ロボットTR5は2個の保持アームをそれぞれ個別に基板載置部PASS5,PASS6、膜厚測定ユニット80、線幅測定ユニット85、マクロ欠陥検査ユニット90、検査用バッファ95および後述する基板載置部PASS7,PASS8に対してアクセスさせて、それらとの間で基板Wの授受を行うことができる。すなわち、搬送ロボットTR5は、検査ブロックIBにおいて、基板Wを搬送する機能を備えている。
次に、現像処理ブロック4について説明する。検査ブロックIBとインターフェイスブロック5との間に挟み込まれるようにして現像処理ブロック4が設けられている。検査ブロックIBと現像処理ブロック4との間にも、雰囲気遮断用の隔壁45が設けられている。この隔壁45に検査ブロックIBと現像処理ブロック4との間で基板Wの受け渡しを行うために基板Wを載置する2つの基板載置部PASS7,PASS8が上下に積層して設けられている。基板載置部PASS7,PASS8は、上述した基板載置部PASS1,PASS2と同様の構成を備えている。
上側の基板載置部PASS7は、検査ブロックIBから現像処理ブロック4へ基板Wを搬送するために使用される。すなわち、検査ブロックIBの搬送ロボットTR5が基板載置部PASS7に載置した基板Wを現像処理ブロック4の搬送ロボットTR3が受け取る。一方、下側の基板載置部PASS8は、現像処理ブロック4から検査ブロックIBへ基板Wを搬送するために使用される。すなわち、現像処理ブロック4の搬送ロボットTR3が基板載置部PASS8に載置した基板Wを検査ブロックIBの搬送ロボットTR5が受け取る。
基板載置部PASS7,PASS8は、隔壁45の一部に部分的に貫通して設けられている。また、基板載置部PASS7,PASS8には、基板Wの有無を検出する光学式のセンサ(図示省略)が設けられており、各センサの検出信号に基づいて搬送ロボットTR5,TR3が基板載置部PASS7,PASS8に対して基板Wを受け渡しできる状態にあるか否かを判断する。さらに、基板載置部PASS7,PASS8の下側には、基板Wを大まかに冷却するための水冷式の2つのクールプレートWCPが隔壁45を貫通して上下に設けられている。
現像処理ブロック4は、露光された基板Wに対して現像処理を行うための処理ブロックである。現像処理ブロック4は、パターンが露光された基板Wに対して現像液を供給して現像処理を行う現像処理部SDと、現像処理に付随する熱処理を行う2つの熱処理タワー41,42と、現像処理部SDおよび熱処理タワー41,42に対して基板Wの受け渡しを行う搬送ロボットTR3とを備える。なお、搬送ロボットTR3は、上述した搬送ロボットTR1と全く同じ構成を有する。
現像処理部SDは、図2に示すように、同様の構成を備えた5つの現像処理ユニットSD1,SD2,SD3,SD4,SD5を下から順に積層配置して構成されている。なお、5つの現像処理ユニットSD1〜SD5を特に区別しない場合はこれらを総称して現像処理部SDとする。各現像処理ユニットSD1〜SD5は、基板Wを略水平姿勢で吸着保持して略水平面内にて回転させるスピンチャック43、このスピンチャック43上に保持された基板W上に現像液を供給するノズル44、スピンチャック43を回転駆動させるスピンモータ(図示省略)およびスピンチャック43上に保持された基板Wの周囲を囲繞するカップ(図示省略)等を備えている。
図3に示すように、インデクサブロック1に近い側の熱処理タワー41には、基板Wを所定の温度にまで加熱する5個のホットプレートHP7〜HP11と、加熱された基板Wを冷却して所定の温度にまで降温するとともに基板Wを当該所定の温度に維持するクールプレートCP10〜CP12とが設けられている。この熱処理タワー41には、下から順にクールプレートCP10〜CP12、ホットプレートHP7〜HP11が積層配置されている。一方、インデクサブロック1から遠い側の熱処理タワー42には、6個の加熱部PHP7〜PHP12とクールプレートCP13とが積層配置されている。各加熱部PHP7〜PHP12は、上述した加熱部PHP1〜PHP6と同様に、基板仮置部およびローカル搬送機構を備えた熱処理ユニットである。但し、各加熱部PHP7〜PHP12の基板仮置部はインターフェイスブロック5の搬送ロボットTR4の側には開口しているが、現像処理ブロック4の搬送ロボットTR3の側には閉塞している。つまり、加熱部PHP7〜PHP12に対してはインターフェイスブロック5の搬送ロボットTR4はアクセス可能であるが、現像処理ブロック4の搬送ロボットTR3はアクセス不可である。なお、熱処理タワー41に組み込まれた熱処理ユニットに対しては現像処理ブロック4の搬送ロボットTR3がアクセスする。
また、熱処理タワー42には、現像処理ブロック4と、これに隣接するインターフェイスブロック5との間で基板Wの受け渡しを行うための2つの基板載置部PASS9,PASS10が上下に近接して組み込まれている。上側の基板載置部PASS9は、現像処理ブロック4からインターフェイスブロック5へ基板Wを搬送するために使用される。すなわち、現像処理ブロック4の搬送ロボットTR3が基板載置部PASS9に載置した基板Wをインターフェイスブロック5の搬送ロボットTR4が受け取る。一方、下側の基板載置部PASS10は、インターフェイスブロック5から現像処理ブロック4へ基板Wを搬送するために使用される。すなわち、インターフェイスブロック5の搬送ロボットTR4が基板載置部PASS10に載置した基板Wを現像処理ブロック4の搬送ロボットTR3が受け取る。なお、基板載置部PASS9,PASS10は、現像処理ブロック4の搬送ロボットTR3およびインターフェイスブロック5の搬送ロボットTR4の両側に対して開口している。
次に、インターフェイスブロック5について説明する。インターフェイスブロック5は、現像処理ブロック4に隣接して設けられ、本基板処理装置Aとは別体の外部装置である露光装置に対して基板Wの受け渡しを行うブロックである。本実施の形態のインターフェイスブロック5には、露光装置との間で基板Wの受け渡しを行うための搬送機構55の他に、フォトレジスト膜が形成された基板Wの周縁部を露光する2つのエッジ露光部EEWと、現像処理ブロック4内に配設された加熱部PHP7〜PHP12およびエッジ露光部EEWに対して基板Wを受け渡しする搬送ロボットTR4とを備えている。
エッジ露光部EEWは、図2に示すように、基板Wを略水平姿勢で吸着保持して略水平面内にて回転させるスピンチャック56や、このスピンチャック56に保持された基板Wの周縁に光を照射して露光する光照射器57などを備えている。2つのエッジ露光部EEWは、インターフェイスブロック5の中央部に上下に積層配置されている。このエッジ露光部EEWと現像処理ブロック4の熱処理タワー42とに隣接して配置されている搬送ロボットTR4は上述した搬送ロボットTR1と同様の構成を備えている。
また、図2に示すように、2つのエッジ露光部EEWの下側には基板戻し用のリターンバッファRBFが設けられ、さらにその下側には2つの基板載置部PASS11,PASS12が上下に積層して設けられている。リターンバッファRBFは、何らかの障害によって現像処理ブロック4が基板Wの現像処理を行うことができない場合に、現像処理ブロック4の加熱部PHP7〜PHP12で露光後の加熱処理を行った後に、その基板Wを一時的に収納保管しておくものである。このリターンバッファRBFは、複数枚の基板Wを多段に収納できる収納棚によって構成されている。また、上側の基板載置部PASS11は搬送ロボットTR4から搬送機構55に基板Wを渡すために使用するものであり、下側の基板載置部PASS12は搬送機構55から搬送ロボットTR4に基板Wを渡すために使用するものである。なお、リターンバッファRBFに対しては搬送ロボットTR4がアクセスを行う。
搬送機構55は、図2に示すように、Y方向に水平移動可能な可動台55aを備え、この可動台55a上に基板Wを保持する保持アーム55bを搭載している。保持アーム55bは、可動台55aに対して昇降移動、旋回動作および旋回半径方向への進退移動が可能に構成されている。このような構成によって、搬送機構55は、露光装置との間で基板Wの受け渡しを行うとともに、基板載置部PASS11,PASS12に対する基板Wの受け渡しと、基板送り用のセンドバッファSBFに対する基板Wの収納および取り出しを行う。センドバッファSBFは、露光装置が基板Wの受け入れをできないときに、露光処理前の基板Wを一時的に収納保管するもので、複数枚の基板Wを多段に収納できる収納棚によって構成されている。
以上のインデクサブロック1、バークブロック2、レジスト塗布ブロック3、現像処理ブロック4、インターフェイスブロック5および検査ブロックIBには常に清浄空気がダウンフローとして供給されており、各ブロック内でパーティクルの巻き上がりや気流によるプロセスへの悪影響を回避している。また、各ブロック内は装置の外部環境に対して若干陽圧に保たれ、外部環境からのパーティクルや汚染物質の進入などを防いでいる。
また、上述したインデクサブロック1、バークブロック2、レジスト塗布ブロック3、現像処理ブロック4、インターフェイスブロック5および検査ブロックIBは、本実施の形態の基板処理装置Aを機構的に分割した単位である。各ブロックは、各々個別のブロック用フレーム(枠体)に組み付けられ、各ブロック用フレームを連結して基板処理装置Aが構成されている。
一方、本実施の形態では、基板搬送に係る搬送制御単位を機械的に分割したブロックとは別に構成している。本明細書では、このような基板搬送に係る搬送制御単位を「セル」と称する。1つのセルは、基板に所定の処理を行う複数の処理部とそれら複数の処理部に対して基板の搬送を行う搬送ロボットとを含んで構成されている。そして、上述した各基板載置部が、セル内に基板Wを受け入れるための入口基板載置部またはセルから基板Wを払い出すための出口基板載置部として機能する。そして、セル間の基板Wの受け渡しも基板載置部を介して行われる。なお、本明細書では熱処理ユニット、塗布・現像処理ユニット、エッジ露光部の他に単に基板Wを載置するだけの基板載置部等も搬送対象部という意味において「処理部」に含め、また、基板移載機構12や搬送機構55も基板搬送を行うため搬送ロボットに含める。
本実施の形態の基板処理装置Aには、インデクサセル、バークセル、レジスト塗布セル、検査セル、現像処理セル、露光後ベークセルおよびインターフェイスセルの7つのセルが含まれている。インデクサセルは、載置台11と基板移載機構12とを含み、結果的に機械的に分割した単位であるインデクサブロック1と同じ構成となっている。また、バークセルは、下地塗布処理部BRCと2つの熱処理タワー21,21と搬送ロボットTR1とを含む。このバークセルも、結果として機械的に分割した単位であるバークブロック2と同じ構成になっている。また、レジスト塗布セルは、レジスト塗布処理部SCと2つの熱処理タワー31,31と搬送ロボットTR2とを含む。このレジスト塗布セルも、結果として機械的に分割した単位であるレジスト塗布ブロック3と同じ構成になっている。さらに、検査セルは、膜厚測定ユニット80と、線幅測定ユニット85とマクロ欠陥検査ユニット90と検査用バッファ95と搬送ロボットTR5とを含む。この検査セルも、結果として機械的に分割した単位である検査ブロックIBと同じ構成になっている。
一方、現像処理セルは、現像処理部SDと熱処理タワー41と搬送ロボットTR3とを含む。上述したように、搬送ロボットTR3は熱処理タワー42の加熱部PHP7〜PHP12に対してアクセスすることができず、現像処理セルに熱処理タワー42は含まれない。この点において、現像処理セルは機械的に分割した単位である現像処理ブロック4と異なる。
また、露光後ベークセルは、現像処理ブロック4に位置する熱処理タワー42と、インターフェイスブロック5に位置するエッジ露光部EEWと搬送ロボットTR4とを含む。すなわち、露光後ベークセルは、機械的に分割した単位である現像処理ブロック4とインターフェイスブロック5とにまたがるものである。このように露光後加熱処理を行う加熱部PHP7〜PHP12と搬送ロボットTR4とを含んで1つのセルを構成しているので、露光後の基板Wを速やかに加熱部PHP7〜PHP12に搬入して熱処理を行うことができる。このような構成は、パターンの露光を行った後なるべく速やかに加熱処理を行う必要のある化学増幅型レジストを使用した場合に好適である。
なお、熱処理タワー42に含まれる基板載置部PASS9,PASS10は現像処理セルの搬送ロボットTR3と露光後ベークセルの搬送ロボットTR4との間の基板Wの受け渡しのために介在する。
インターフェイスセルは、外部装置である露光装置に対して基板Wの受け渡しを行う搬送機構55を含んで構成されている。このインターフェイスセルは、搬送ロボットTR4やエッジ露光部EEWを含まない点で、機械的に分割した単位であるインターフェイスブロック5とは異なる構成となっている。なお、エッジ露光部EEWの下方に設けられた基板載置部PASS11,PASS12は露光後ベークセルの搬送ロボットTR4とインターフェイスセルの搬送機構55との間の基板Wの受け渡しのために介在する。
次に、本実施の形態の基板処理装置Aの制御機構について説明する。図7は、制御機構の概略を示すブロック図である。同図に示すように、本実施の形態の基板処理装置Aは、メインコントローラMC、セルコントローラCC、ユニットコントローラの3階層からなる制御階層を備えている。メインコントローラMC、セルコントローラCC、ユニットコントローラのハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。すなわち、各コントローラは、各種演算処理を行うCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAMおよび制御用アプリケーションやデータなどを記憶しておく磁気ディスク等を備えている。
第1階層のメインコントローラMCは、基板処理装置A全体に1つ設けられており、装置全体の管理、メインパネルMPの管理およびセルコントローラCCの管理を主に担当する。メインパネルMPは、メインコントローラMCのディスプレイとして機能するものである。また、メインコントローラMCに対してはキーボードKBからオペレータが種々のコマンドを基板処理装置Aに対して入力することができる。例えば、本実施の形態における基板処理装置Aでは、オペレータがキーボードKBを操作することにより、メインコントローラMCに対して検査指定情報(後述)が入力される。このようにして入力された検査指定情報は、メインコントローラMCから検査セルのセルコントローラCCに伝達される。なお、メインパネルMPをタッチパネルにて構成し、メインパネルMPからメインコントローラMCに入力作業を行うようにしてもよい。また、メインコントローラMCには磁気ディスク99が備えられており、この磁気ディスク99に後述する処理履歴データ(履歴情報)が格納される。
また、メインコントローラMCは、処理履歴データに含まれる検査ブロックIBによる検査結果に応じて、各ブロックの処理ユニットの異常を検出する。例えば、所定の割合以上に処理不良が検出された処理ユニットを異常と判定する。さらに、異常を検出した処理ユニットを管轄するセルコントローラCCに対して検出結果を通知する。
第2階層のセルコントローラCCは、7つのセル(インデクサセル、バークセル、レジスト塗布セル、検査セル、現像処理セル、露光後ベークセルおよびインターフェイスセル)のそれぞれに対して個別に設けられている。各セルコントローラCCは、対応するセル内の基板搬送管理およびユニット管理を主に担当する。
具体的には、各セルのセルコントローラCCは、所定の基板載置部に基板Wを置いたという情報を、隣のセルのセルコントローラCCに送り、その基板Wを受け取ったセルのセルコントローラCCは、当該基板載置部から基板Wを受け取ったという情報を元のセルのセルコントローラCCに返すという情報の送受信を行う。このような情報の送受信はメインコントローラMCを介して行われ、各セルにおける処理に利用される。例えば、検査セルのセルコントローラCCは、隣接するセルのセルコントローラCCから、「基板Wを置いた」という情報を受け取った回数をカウントすることによって、検査ブロックIBに搬送された基板Wの枚数をカウントし、検査ブロックIBに搬送された順番で当該基板Wに処理番号を割り当てる。
また、本実施の形態における基板処理装置Aでは、基板Wの処理履歴データについても、各セルのセルコントローラCCがメインコントローラMCを介してやり取りする。処理履歴データとは、ある基板Wについての処理の履歴を処理部や搬送ロボットごとに集積したデータである。具体的には、例えばバークセルの搬送ロボットコントローラTCが搬送ロボットTR1の搬送時間(ある処理部から基板Wを受け取って次の処理部に搬入するまでの時間)を計測して取得する。また、例えばレジスト塗布セルのスピンコントローラがレジスト塗布処理部SCの処理時間を計測して取得する。レジスト塗布処理部SCの処理時間としては、基板Wが処理部に搬入されてから搬出されるまでのプロセス処理時間と、レジスト塗布処理部SCにおける各処理ステップごとに要したステップ処理時間との双方が計測されて取得される。処理ステップとは各処理部内で行われる処理における一つの処理工程であり、例えばレジスト塗布処理部SCの場合、フォトレジストを吐出する工程、基板Wを回転させて吐出されたフォトレジストを拡布する工程、回転数を下げてレジスト膜厚を安定させる工程等がそれぞれ処理ステップとなる。
また、例えばレジスト塗布セルのスピンコントローラは、レジスト塗布処理部SCにおけるスピンモータの回転数、環境温度、環境湿度、フォトレジストの流量、排気圧、風量等の各項目を処理ステップごとに処理履歴データとして取得する。また、例えば露光後ベークセルのユニットコントローラは、エッジ露光部EEWにおける露光量、照度、円周移動速度等の各項目を処理ステップごとに処理履歴データとして取得する。さらに、例えばレジスト塗布セルのベークコントローラは、加熱部PHP1〜PHP6におけるプレート温度、冷却時間、圧力等の各項目を処理ステップごとに処理履歴データとして取得する。また、各セルにおいて、当該基板Wを処理した処理ユニットを識別する識別番号なども処理履歴データとして取得される。
このようにして取得された搬送時間、処理時間、プレート温度、スピンモータの回転数、液の流量等の項目からなる処理履歴データは、搬送ロボットコントローラTCおよびユニットコントローラからセルコントローラCCを介してメインコントローラMCに送信される。処理履歴データを受け取ったメインコントローラMCは、処理に供された各基板Wについて各処理部および搬送ロボットごとに区分けして磁気ディスク99に格納する。また、処理履歴データは、必要に応じて各セルのセルコントローラCCに送信される。なお、本実施の形態における基板処理装置Aでは、検査ブロックIBにおける検査結果も処理履歴データとしてメインコントローラMCに送信される。
各セルコントローラCCはセル内に基板Wが搬入された旨の情報および当該基板Wの搬送先を示す情報を搬送ロボットコントローラTCに与え、該搬送ロボットコントローラTCが搬送ロボットを制御してセル内で基板Wを所定の手順(フローレシピ)に従って循環搬送させる。ここで本実施の形態における基板処理装置Aの各セルコントローラCCは、メインコントローラMCから検出結果(異常が検出された処理ユニットに関する検出結果)を受け取った場合は、当該検出結果に応じて基板Wの搬送先を決定する。すなわち、異常が検出された処理ユニットを基板Wの搬送先から除外する。したがって、搬送ロボットコントローラTCが搬送ロボットを制御する場合において、異常が検出された処理ユニットに、以後基板Wが搬送されることはない。なお、搬送ロボットコントローラTCは、セルコントローラCC上で所定のアプリケーションが動作することによって実現される制御部である。
本実施の形態おける基板処理装置Aでは、検査セル(検査ブロックIB)のセルコントローラCCが、基板Wの処理履歴データと検査指定情報とに基づいて、検査ブロックIBに搬送された各基板Wについて、測定ユニットによる測定が必要か否かを判定する。そして、その判定結果を搬送ロボットコントローラTCに伝達する。また、各測定ユニットによる測定結果に応じて、当該基板Wが不良基板であるか否かの検査を行う。
第3階層のユニットコントローラとしては、例えばスピンコントローラ、ベークコントローラ、および測定ユニットコントローラが設けられている。スピンコントローラは、セルコントローラCCの指示に従ってセル内に配置されたスピンユニット(塗布処理ユニットおよび現像処理ユニット)を直接制御するものである。具体的には、スピンコントローラは、例えばスピンユニットのスピンモータを制御して基板Wの回転数を調整する。
また、ベークコントローラは、セルコントローラCCの指示に従ってセル内に配置された熱処理ユニット(ホットプレート、クールプレート、加熱部等)を直接制御するものである。具体的には、ベークコントローラは、例えばホットプレートに内蔵されたヒータを制御してプレート温度等を調整する。
また、測定ユニットコントローラは、測定ユニット(膜厚測定ユニット80、線幅測定ユニット85、マクロ欠陥検査ユニット90)を直接制御するものである。具体的には、搬送ロボットTR5によって測定ユニットに搬送された基板に対して、それぞれの検査を実行させる。また、セルコントローラCCからの問い合わせに対して、処理中の測定ユニットに関する情報を提供する。さらに、各測定ユニットによる基板Wの検査結果をセルコントローラCCに伝達する。
このように本実施の形態では、3階層の制御階層とすることによって各コントローラの制御負荷を軽減している。また、各セルコントローラCCは、隣接するセル内での搬送スケジュールを考慮することなく、それぞれのセル内だけの基板搬送スケジュールを管理しているため、各セルコントローラCCの搬送制御の負担が軽くなる。その結果、基板処理装置Aのスループットを向上させることができるのである。
次に、本実施の形態の基板処理装置Aの動作について説明する。図8は、基板処理装置Aの動作の概略を示す流れ図である。電源が投入されると基板処理装置Aは、まず所定の初期設定を行う(ステップS11)。この初期設定には、オペレータが基板処理装置Aに対して各種指示を入力する操作も含まれる。
ここで、本実施の形態における基板処理装置Aでは、処理されるすべての基板Wについて検査を実行するのではなく、以下に用意された3つの指定ルールに従って抜き取り検査が行われる。
1)識別番号指定
検査したい基板Wの識別コード(ウェハID)を指定する。この指定ルールでは、検査対象となる基板Wが基板処理装置Aにおける処理の開始以前に確定される。従来の装置において採用されている指定ルールであって、検査予定の基板Wが検査前にロストするとその分だけ検査する基板Wの枚数が減少する。なお、本実施の形態における基板処理装置Aでは、キャリアCの段数を指定することによって検査したい基板Wの識別コードを指定するが、もちろん直接識別番号を入力してもよい。
2)間欠枚数指定
処理基板Wを検査する間隔を枚数で指定する。検査ブロックIBに入ってくる基板Wについて、何枚おきに検査するかを指定する指定ルールである。この指定ルールでは、基板処理装置Aにおいて処理が開始される以前には、どの基板Wが検査されるか確定していない。検査ブロックIBの上流工程においてロストした基板Wは、検査ブロックIBのセルコントローラCCにはカウントされない。したがって、処理ユニットにおける所定の処理が終了して検査ブロックIBに無事搬送された基板Wの数に対して、検査する基板Wの割合は減少しない。なお、指定する間隔枚数を1とすれば、すべての基板Wを検査することとなる。
3)処理ユニット指定
処理ユニットを指定する。具体的には、特定の処理ユニットを識別する識別番号を指定する。指定された処理ユニットによって処理された基板Wが検査対象となる指定ルールであって、基板処理装置Aにおいて、処理が開始される以前には、どの基板Wが検査されるか確定していない。
初期設定においてオペレータは、キーボードKBを操作して、前述の3つの指定ルールのうちから1つを指定する。この操作に基づいて、メインコントローラMCが、オペレータによって指定された指定ルールを選択して、選択された指定ルールにおける指定項目とともに、検査指定情報を生成する。生成された検査指定情報は、検査セルのセルコントローラCCに送信され、当該セルコントローラCCによって指定ルールが設定される。
なお、本実施の形態における基板処理装置Aでは、上記3つの指定ルールをオペレータが選択することにより、メインコントローラMCが指定ルールを設定するが、指定ルールはこれに限られるものではない。また、基板処理装置Aでは、基板Wに対して後述するように3種類の検査が行われるが、それらについて個別に指定ルールを設定できるようにしてもよい。
初期設定が終了し、各セルのセルコントローラCCから準備完了の信号を受信すると、メインコントローラMCは基板処理装置Aにおける基板処理を開始する(ステップS12)。なお、図8においては、図示の都合上、一枚の基板Wについて処理が終了した時点で次の基板Wが存在するか否かを判定し、基板Wが一枚ずつ順次処理されるように示しているが、実際には、複数の基板Wが同時に並列的に処理される。
まず、インデクサセル(インデクサブロック1)の基板移載機構12が所定のキャリアCから未処理の基板Wを取り出し、上側の基板載置部PASS1に載置する。基板載置部PASS1に未処理の基板Wが載置されると、バークセルの搬送ロボットTR1が保持アーム6a,6bのうちの一方を使用してその基板Wを受け取る。そして、搬送ロボットTR1は受け取った未処理の基板Wを塗布処理ユニットBRC1〜BRC3のいずれかに搬送し、反射防止膜用の塗布液が回転塗布される。
塗布処理が終了した後、基板Wは搬送ロボットTR1によってホットプレートHP1〜HP6のいずれかに搬送される。ホットプレートにて基板Wが加熱されることによって、塗布液が乾燥されて基板W上に下地の反射防止膜が形成される。その後、搬送ロボットTR1によってホットプレートから取り出された基板Wは再びクールプレートCP1〜CP3のいずれかに搬送されて冷却される。なお、このときにクールプレートWCPによって基板Wを冷却するようにしてもよい。冷却後の基板Wは搬送ロボットTR1によって基板載置部PASS3に載置される。
なお、反射防止膜を形成せずに基板Wの表面に直接レジスト膜を形成する処理フローの場合、搬送ロボットTR1は、基板載置部PASS1から受け取った基板Wを塗布処理ユニットBRC1〜BRC3に搬送するのではなく、密着強化処理部AHL1〜AHL3のいずれかに搬送する。そして、密着強化処理の終了した基板Wは搬送ロボットTR1によって取り出され、クールプレートCP1〜CP3のいずれかに搬送されて冷却され、基板載置部PASS3に載置される。
また、反射防止膜を形成する前に脱水処理を行う処理フローの場合、搬送ロボットTR1は、基板載置部PASS1から受け取った基板Wを、まず密着強化処理部AHL1〜AHL3のいずれかに搬送する。この場合、密着強化処理部AHL1〜AHL3は、HMDSの蒸気雰囲気を供給することなく基板Wを加熱する(すなわち、密着強化処理部AHL1〜AHL3をデハイドベークとして利用する)。搬送ロボットTR1は、密着強化処理部AHL1〜AHL3によって加熱された処理された基板Wを、塗布処理ユニットBRC1〜BRC3のいずれかに搬送する。これにより、基板Wに反射防止膜用の塗布液が回転塗布される。
反射防止膜が形成された基板Wが基板載置部PASS3に載置されると、レジスト塗布セルの搬送ロボットTR2がその基板Wを受け取って塗布処理ユニットSC1〜SC3のいずれかに搬送する。塗布処理ユニットSC1〜SC3では、基板Wにフォトレジストが回転塗布される。なお、レジスト塗布処理には精密な基板温調が要求されるため、基板Wを塗布処理ユニットSC1〜SC3に搬送する直前にクールプレートCP4〜CP9のいずれかに搬送するようにしてもよい。
レジスト塗布処理が終了した後、基板Wは搬送ロボットTR2によって加熱部PHP1〜PHP6のいずれかに搬送される。加熱部PHP1〜PHP6にて基板Wが加熱処理されることにより、フォトレジスト中の溶媒成分が除去されて基板W上にレジスト膜が形成される。その後、搬送ロボットTR2によって加熱部PHP1〜PHP6から取り出された基板WはクールプレートCP4〜CP9のいずれかに搬送されて冷却される。冷却後の基板Wは搬送ロボットTR2によって基板載置部PASS5に載置される。
レジスト膜が形成された基板Wが基板載置部PASS5に載置されると、検査セルにおける検査処理が開始される。図9は、検査ブロックIBの検査処理の動作を示す流れ図である。
前述のように、基板載置部PASS5に基板Wが載置されると、まず、検査セルのセルコントローラCCはメインコントローラMCを介して基板Wの処理履歴データを取得する(ステップS21)。また、このときセルコントローラCCは、当該基板Wに処理番号(検査ブロックIBに搬送された順番を示す番号)を割り当てる。この割り当てられた処理番号は、検査セルのセルコントローラCCによって当該基板Wの処理履歴データに関連づけされる。
次に、検査セルのセルコントローラCCは、処理履歴データに応じて、初期設定において設定された指定ルールに従って、当該基板Wについて膜厚測定ユニット80による検査の要否を判定する(ステップS22)。ステップS22では、まずセルコントローラCCは、ステップS11の初期設定で設定した指定ルール(検査指定情報)を参照する。
設定した指定ルールが「識別番号指定」である場合には、基板載置部PASS5に載置されている基板Wの識別コードを処理履歴データから取得して、検査指定情報に予め指定されている識別コードと比較しつつ、一致する識別コードが存在するか否かを判定する。一致する識別コードが存在する場合には、当該基板Wについて膜厚測定ユニット80による検査が必要であると判定する(ステップS22においてYesと判定する)。一方、一致する識別コードが存在しない場合には、当該基板Wに対して検査を行う必要がないと判定する(ステップS22においてNoと判定する)。
このように、指定ルールとして「識別番号指定」が用意されていることにより、これを選択することによって、本実施の形態における基板処理装置Aは、検査する基板Wを従来の装置と同様の手法によって指定することができる。
設定した指定ルールが「間欠枚数指定」である場合には、基板載置部PASS5に載置されている基板Wの処理番号を処理履歴データから取得して、所定枚数ごとの検査を行う処理番号に該当しているか否かを判定する。例えば、所定枚数として3枚ごとに検査を行うと指定されている場合、基板Wの処理番号が1,4,7,・・・,3n+1(nは0以上の整数)であるか否かが判定される。そして、基板Wの処理番号が検査を行う処理番号に該当している場合には、当該基板Wについて膜厚測定ユニット80による検査を行う必要があると判定する(ステップS22においてYesと判定する)。一方、検査を行う処理番号に該当しない場合には、当該基板Wに対して検査を行う必要がないと判定する(ステップS22においてNoと判定する)。
このように、指定ルールとして「間欠枚数指定」が用意されており、これを選択することによって、基板処理装置Aは、基板Wが検査ブロックIBに搬送されるまで検査する基板Wを特定することなく処理を行うことができる。したがって、本実施の形態における基板処理装置Aでは、処理の途中で基板Wがロストした場合であっても、検査対象となる基板Wが失われることはなく、処理された基板Wに対して所定の割合で検査することができる。
設定した指定ルールが「処理ユニット指定」である場合には、基板載置部PASS5に載置されている基板Wを処理した処理ユニットの識別番号を処理履歴データから取得して、予め指定されている処理ユニットの識別番号と比較し、それらが一致するか否かを判定する。一致する識別番号が存在する場合には、当該基板Wについて膜厚測定ユニット80による検査が必要であると判定する(ステップS22においてYesと判定する)。一方、一致する識別番号が存在しない場合には検査を行う必要がないと判定する(ステップS22においてNoと判定する)。
このように、指定ルールとして「処理ユニット指定」が用意されており、これを選択することによって、基板処理装置Aは、特定の処理ユニットについて処理状態を確認することができる。
検査セルのセルコントローラCCが、基板Wに対して検査を行う必要がないと判定した場合(ステップS22においてNo)、その判定結果に基づいて、搬送ロボットコントローラTCが搬送ロボットTR5を制御する。すなわち、搬送ロボットTR5は、ステップS25の処理をスキップすることにより、基板Wを膜厚測定ユニット80に搬送することなく、基板載置部PASS7に載置し、基板Wを検査ブロックIBから搬出する(ステップS28)。
このように、本実施の形態における基板処理装置Aでは、検査を行う必要がない基板Wについては、測定ユニット(膜厚測定ユニット80)に搬送することなく、検査ブロックIBから搬出する。したがって、従来の装置のように検査の要否に関わらず測定ユニットに基板を搬送する場合に比べて、搬送工程を単純化することができるとともに、基板Wに対する処理時間を短縮することができる。すなわち、スループットを向上させることができる。
ステップS22において、検査セルのセルコントローラCCが、基板Wに対して検査を行う必要があると判定した場合、まず、セルコントローラCCが測定ユニットコントローラに問い合わせることにより、膜厚測定ユニット80が他の基板Wの処理中であるか否かを判定する(ステップS23)。その判定結果に基づいて、搬送ロボットコントローラTCが搬送ロボットTR5を制御する。すなわち、膜厚測定ユニット80が他の基板を処理している場合には、基板Wを検査用バッファ95に搬送するとともに(ステップS24)、膜厚測定ユニット80における処理が終了するまで待機させる。
一方、膜厚測定ユニット80が処理中でない場合(基板Wを検査用バッファ95で待機させている間に処理が終了した場合を含む)は、当該基板Wを測定ユニット(膜厚測定ユニット80)に搬送する(ステップS25)。膜厚測定ユニット80は、基板W上に塗布されたレジストの膜厚を測定する(ステップS26)。
測定が終了すると、セルコントローラCCは測定ユニットコントローラから膜厚測定の測定結果を受け取り、当該測定結果に応じて所定の膜厚が得られているか否かの検査を行う。さらに、セルコントローラCCは、検査結果をメインコントローラMCに送信する(ステップS27)。膜厚検査が終了した基板Wは搬送ロボットTR5によって膜厚測定ユニット80から取り出され、基板載置部PASS7に載置される。
基板載置部PASS7に基板Wが載置されると、現像処理セルの搬送ロボットTR3がその基板Wを受け取って搬出し(ステップS28)、そのまま基板載置部PASS9に載置する。
基板載置部PASS9に載置された基板Wは露光後ベークセルの搬送ロボットTR4によって受け取られ、エッジ露光部EEWに搬入される。エッジ露光部EEWにおいては、基板Wの周縁部の露光処理が行われる。エッジ露光処理が終了した基板Wは搬送ロボットTR4によって基板載置部PASS11に載置される。そして、基板載置部PASS11に載置された基板Wはインターフェイスセルの搬送機構55によって受け取られ、装置外の露光装置に搬入され、パターン露光処理に供される。
パターン露光処理が終了した基板Wは再びインターフェイスセルに戻され、搬送機構55によって基板載置部PASS12に載置される。露光後の基板Wが基板載置部PASS12に載置されると、露光後ベークセルの搬送ロボットTR4がその基板Wを受け取って加熱部PHP7〜PHP12のいずれかに搬送する。加熱部PHP7〜PHP12では、露光時の光化学反応によって生じた生成物をレジスト膜内に均一に拡散させるための加熱処理(Post Exposure Bake)が行われる。露光後加熱処理が終了した基板Wは搬送ロボットTR4によって取り出され、クールプレートCP13に搬送されて冷却される。冷却後の基板Wは搬送ロボットTR4によって基板載置部PASS10に載置される。
基板載置部PASS10に基板Wが載置されると、現像処理セルの搬送ロボットTR3がその基板Wを受け取って現像処理ユニットSD1〜SD5のいずれかに搬送する。現像処理ユニットSD1〜SD5では、基板Wに現像液を供給して現像処理を進行させる。やがて現像処理が終了した後、基板Wは搬送ロボットTR3によってホットプレートHP7〜HP11のいずれかに搬送されて加熱され、さらにその後クールプレートCP10〜CP12のいずれかに搬送されて冷却される。冷却後の基板Wは搬送ロボットTR3によって基板載置部PASS8に載置される。
現像処理後の基板Wが基板載置部PASS8に載置されると、検査セルのセルコントローラCCが前述した処理フロー(図9)に従って搬送ロボットコントローラTCおよび測定ユニットコントローラを制御する。すなわち、処理履歴データを取得し(ステップS21)、基板Wに処理番号を割り当てて、基板Wに対して後述の検査を行うか否かを指定ルールに応じて判定する(ステップS22)。そして、検査を行わない基板WについてはステップS23ないしS27の処理がスキップされ、検査セルの搬送ロボットTR5によって基板載置部PASS6に搬送される(ステップS28)。
一方、基板載置部PASS8に載置された基板Wが検査(線幅検査およびマクロ欠陥検査)の対象となる基板Wであった場合(ステップS22においてYes)、さらに線幅測定ユニット85が他の基板Wに対する処理中か否かを判定する(ステップS23)。線幅測定ユニット85が処理中の場合は、検査セルの搬送ロボットTR5がその基板Wを受け取って検査用バッファ95に搬送する(ステップS24)。一方、線幅測定ユニット85が処理中でない場合は、線幅測定ユニット85に搬送する(ステップS25)。
線幅測定ユニット85は、現像処理後の基板W上に形成されたパターンの線幅を測定することによって所定範囲の線幅のパターン形成がなされているか否かを測定する(ステップS26)。線幅検査が終了した基板Wは搬送ロボットTR5によって線幅測定ユニット85から取り出され、マクロ欠陥検査ユニット90に搬送される。マクロ欠陥検査ユニット90は、基板W上に現出した比較的大きな欠陥(マクロ欠陥)の有無を検査する。マクロ欠陥検査が終了した基板Wは搬送ロボットTR5によってマクロ欠陥検査ユニット90から取り出され、基板載置部PASS6に載置される。さらに、線幅測定ユニット85およびマクロ欠陥検査ユニット90による検査結果が測定ユニットコントローラから競るコントローラCCを介してメインコントローラMCに送信される(ステップS27)。
基板載置部PASS6に載置された基板Wは、レジスト塗布セルの搬送ロボットTR2によって搬出され(ステップS28)、そのまま基板載置部PASS4に載置される。このようにして検査ブロックIBにおける検査処理が終了する。
このように、本実施の形態における基板処理装置Aは、処理に供される基板Wを膜厚測定ユニット80、線幅測定ユニット85、マクロ欠陥検査ユニット90に搬送することによって、三種類の検査を行う。三種類の検査のうち膜厚検査はレジスト膜形成後の基板Wに対して行うものであり、線幅検査およびマクロ欠陥検査は現像処理後の基板Wに対して行うものである。基板処理装置Aでは、これら各種検査を行う検査ブロックIBをレジスト塗布ブロック3と現像処理ブロック4との間に配置している。したがって、インデクサブロック1からインターフェイスブロック5へと向かう露光処理前の基板Wについて、搬送方向に逆行することなく膜厚検査を実行することができる。またインターフェイスブロック5からインデクサブロック1へと向かう露光処理後の基板Wについても、搬送方向に逆行することなく線幅検査およびマクロ欠陥検査を行うことができる。
そして、本実施の形態では、膜厚測定ユニット80、線幅測定ユニット85、およびマクロ欠陥検査ユニット90による検査結果を、測定ユニットコントローラがセルコントローラCCを介してメインコントローラMCにその基板Wの識別コードとともに報告する(図9:ステップS27)。
さらに、基板載置部PASS4に載置された基板Wは、バークセルの搬送ロボットTR1によってそのまま基板載置部PASS2に載置される。基板載置部PASS2に載置された処理済みの基板Wはインデクサセルの基板移載機構12によって所定のキャリアCに収納される。このようにしてステップS12に示す基板処理(一連のフォトリソグラフィー処理)が完了する。
図8に戻って、ステップS12が終了すると、メインコントローラMCは、検査処理において検査セルのセルコントローラCCが送信した検査結果を取得し(ステップS13)、取得した検査結果をメインパネルMPに表示する。これにより、オペレータは基板Wに対する処理が正常に行われているか否かを判断することができる。
また、ステップS11の初期設定において設定された指定ルールが、「処理ユニット指定」の場合には、検査結果が異常であると判定された基板Wが所定数以上存在するか否かを判定することにより、特定された処理ユニットが正常に動作しているか否かを判定する(ステップS14)。このようにして、基板処理装置Aでは、特定の処理ユニットが処理した基板Wを検査することにより、メインコントローラMCが処理ユニットについての異常を検出する。そして、特定された処理ユニットが正常に動作していない場合には、その処理ユニットを管轄するセルコントローラCCに対して、検出結果を送信する。そして、検出結果を受け取ったセルコントローラCCは、当該処理ユニットを搬送ロボットの搬送先から除外することにより、当該処理ユニットを使用禁止にする(ステップS15)。これにより、メインコントローラMCにより動作が異常であると判定された処理ユニットには、以後基板Wが搬送されることがないため、さらに不良基板が発生することを抑制することができる。
次に、基板処理装置AのメインコントローラMCは、キャリアCに処理すべき基板Wが存在する場合はこれらの処理を繰り返し(ステップS16)、キャリアCに処理すべき他の基板Wが存在しなくなると(すべての基板Wについて処理を終了すると)処理を終了する。
以上のように、本実施の形態における基板処理装置Aでは、検査セルのセルコントローラCCが、処理履歴データと指定ルールとに応じて、搬送ロボットTR5が搬送する基板Wについて、検査の要否を判定することにより、個々の基板Wに対する処理履歴に応じて基板Wを検査することができる。
搬送ロボットTRは、検査セルのセルコントローラCCにより測定不要と判定された基板Wについては、測定装置(膜厚測定ユニット80、線幅測定ユニット85およびマクロ欠陥検査ユニット90)に搬送することなく、検査ブロックIB外に搬送することにより、検査不要な基板Wについては測定装置を素通りさせるため、処理速度を向上させることができる。
また、検査セルのセルコントローラCCは、指定ルールとして「間欠枚数指定」が設定されている場合には、検査ブロックIBに搬送された基板Wに処理番号を割り付け、当該基板Wの処理番号に応じて、所定枚数毎に検査を行うことにより、検査ブロックIBに至る処理途中で基板Wがロストした場合であっても所定の割合で検査を行うことができる。
また、検査セルのセルコントローラCCは、指定ルールとして、「処理ユニット指定」が設定されている場合には、複数の処理ユニットのうちの特定の処理ユニットによって処理された基板についてのみ検査を行うことにより、特定の処理ユニットの処理状態を確認することができる。
また、メインコントローラMCが特定の処理ユニットの処理状態に応じて、当該処理ユニットの異常を検出し、その結果に応じて、当該処理ユニットを管轄するセルコントローラCCが、搬送ロボットの搬送先から当該処理ユニットを除外することにより、さらに不良基板が発生することを抑制することができる。
<2.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記の例に限定されるものではない。例えば、上記実施の形態においてはメインコントローラMCが、検査ブロックIBの検査結果に応じて、動作不良の処理ユニットを検出するとしていたが、このような検出処理を各ユニットコントローラやセルコントローラCCが行うようにしてもよい。
また、膜厚測定ユニット80および線幅測定ユニット85は、基板Wに対する所定の測定のみを行い、測定結果に応じて検査する機能はセルコントローラCCが行うと説明したが、測定ユニットが測定結果と基準となるデータとを比較することによって、膜厚および線幅について検査する機能を有していてもよい。
また、上記実施形態においては現像処理が終了した基板Wに対して行う検査を線幅測定ユニット85による線幅検査およびマクロ欠陥検査ユニット90によるマクロ欠陥検査としていたが、これらに限定されるものではなく、現像処理後の基板上に形成されたパターンのずれを測定する重ね合わせ測定としてもよい。この場合、例えば膜厚測定ユニット80に代えてパターンのずれを測定する重ね合わせ測定ユニットを検査ブロックIBに搭載するようにすればよい。
また、上記実施形態においては、検査ユニットコントローラによって検査ユニットを直接制御するようにしていたが、検査ユニットコントローラは検査ユニットを直接制御するのではなく専らセルコントローラCCと検査ユニットとの間のインターフェイスの役割(例えば、検査ユニットに基板Wを受け渡すときのインターロック、検査ユニットにおける検査レシピの指示、検査ユニットからの検査データの受信等)を担うものであってもよい。この場合、各検査ユニットに個別にコントローラを設けるとともに、そのコントローラとセルコントローラCCとの間に検査ユニットコントローラが設けられることとなる。なお、この場合、検査ユニットコントローラをセルコントローラCC上で所定のアプリケーションが動作することによって実現するものとしてもよい。