JP2005096212A - インクジェット記録ヘッド及びインクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録ヘッド及びインクジェット記録装置 Download PDF

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Abstract

【課題】繰り返し使用でも高撥インク性が保持される高撥インク性で膜の強度や耐磨耗性に優れ、しかも、印刷されて得られる画像の品質にも優れたインクジェット記録ヘッドを提供すること。
【解決手段】記録用の液体を吐出する吐出口を有し、少なくとも該吐出口周辺部に撥インク処理がなされたインクジェット記録ヘッドにおいて、記録ヘッドの撥インク処理部が、含フッ素重合体成分及び/又は特定のシロキサン構造を有する含シロキサン重合体成分を含有するブロック[A]とポリエステル重合体成分から構成されるブロック[B]とから成るAB型、ABA型若しくはクシ型のブロック共重合体を少なくとも1種含有する硬化膜形成用組成物により形成された硬化膜からなることを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録ヘッド、及び、それを用いたインクジェット記録装置に関し、特にヘッドのインク吐出部周辺が撥インク処理され、撥水性及び耐摩耗性に優れ、得られる画像の印字品質に優れた記録ヘッドに関する。
ノズル孔のインク滴吐出口からインク滴を吐出させ記録紙に画像を形成するインクジェット記録ヘッドを用いたプリンタが実用化されており、静粛さと高密度印字を特徴としている。このようなインクジェット記録ヘッドによって得られる画像の印字品質は、画像を構成する、記録紙上のインク滴からなるドットの位置精度に大きく依存する。このドット位置精度は、インクジェット記録ヘッドのノズル孔のインク滴吐出口から吐出されるインク滴の飛翔方向が一定であるか否かによって左右される。
このインク滴の飛翔方向を一定に保つには、インク滴吐出時にノズル孔のインク滴吐出口周縁部が均一で安定した表面状態であること、具体的にはノズル孔のインク滴吐出口周縁部の一部がインクによって濡れている、或は紙粉等の異物が付着している等の状況が発現しないノズル孔のインク滴吐出口周縁部の表面状態を実現することが重要である。
通常は液体であるインク滴を、吐出口から小滴として吐出して、紙等の被記録材に付着させて記録や画像の形成を行うインクジェット記録へッドでは、記録特性をより高度なものとするために、より小さな液滴、より高い駆動周波数、より多数のノズルへと性能アップが続けられている。従って、ノズル孔のインク滴吐出口周縁部を常に同じ表面状態に維持するための表面改質処理がますます重要になってきている。
ノズル孔のインク滴吐出口周縁部の表面状態を均一で安定した状態にする手段として従来の技術では、以下の二つの方法が提案されている。すなわち、第一には、ノズル孔及びノズル孔のインク滴吐出口周縁部を含めたノズルプレート表面に撥インク処理を施す方法が、第二には、撥インク処理が施されたノズル孔のインク滴吐出口周縁部にインクが付着した場合、または紙粉等の異物が付着した場合、ノズル孔及びノズル孔のインク滴吐出口周縁部を含むノズルプレート表面をゴムブレード等からなるクリーニング部材によって掻き取る(ワイピング操作)方法が提案されている。
撥インク処理として、含フッ素樹脂、シロキサン樹脂、含フッ素シランカップリング剤等撥水材料を用いた種々の方法が提案されている。例えば、フッ素系樹脂の微粒子を含有したメッキ膜を設ける方法、フッ素系樹脂の微粒子を含有した樹脂膜を設ける方法、シリコーン系材料から形成される膜を設ける方法、フッ素系樹脂の硬化膜を設ける方法、あるいはフルオロアルキル基を有するシラン化合物からなる膜を設ける方法等が開示されている。
特に、高い撥水・撥油性であり、かつ膜耐久性に有利な撥水・撥油系樹脂硬化膜として、例えばフッ素系樹脂と熱硬化性エポキシ樹脂の硬化膜(特許文献1及び2)、活性水素原子を含む反応性基含有のパーフルオロオレフィン樹脂とイソシアナート硬化剤とから形成される硬化膜(特許文献3)、自己架橋性基含有の含フッ素樹脂とアクリレート系樹脂から得られる硬化膜(特許文献4)、フッ素又はシロキサンの撥水・撥油性成分含有のブロックと、架橋性基を含有する非撥水・撥油性のブロックとから構成されるブロック共重合体の硬化膜(特許文献5)等が提案されている。
特開平11−138821号公報 特開11−235826号公報等 特許第3382416号明細書 特開平9−221620号公報 特開2001−233972号公報
一方、近年、インクの紙への定着性、耐水性等を向上するために、濡れ性を向上したインクが開発、使用される傾向があるため、従来の撥インク処理では充分な撥インク性が発揮されない場合が多い。高精度・高画質化を図る上で問題となっており、吐出口周縁の撥インク性の向上が望まれている。
また、インクジェット記録の高速化が進展し、従来のインクジェット記録ヘッドのワイピングによる繰り返しのクリーニング耐久性とともに、記録紙の高速搬送時の紙とインクジェット記録ヘッド部との擦れに対するより一層の耐久性も強く望まれている。
しかし、従来提案されている技術では、未だこれらの要求を十分に満足していないのが現状である。
本発明の目的は、繰り返しの使用に対しても高い撥インク性が保持され、膜の強度が高く、かつ耐磨耗性に優れ、しかも、印刷されて得られる画像の品質にも優れたインクジェット記録ヘッドを提供することである。
また、本発明の他の目的は、繰り返しの使用に対しても高い撥インク性が保持され、膜の強度が高く、かつ耐磨耗性に優れたインクジェット記録ヘッドを搭載して画像品位を向上したインクジェット記録装置を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解消すべく鋭意検討した結果、含フッ素重合体成分やシロキサン構造を有する重合体成分とポリエステル重合体成分とを組み合わせることで、上記目的を達成しうることを知見し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記内容により、前記目的を達成したものである。
(1) 記録用の液体を吐出する吐出口を有し、少なくとも該吐出口周辺部に撥インク処理がなされたインクジェット記録ヘッドにおいて、記録ヘッドの撥インク処理部が、含フッ素重合体成分及び/又は下記化1の一般式(SI)もしくは一般式(SII)で示されるシロキサン構造群から選ばれる少なくとも1つの基を含有する含シロキサン重合体成分を含有するブロック[A]と、ポリエステル重合体成分から構成されるブロック[B]とから成るAB型、ABA型若しくはクシ型のブロック共重合体を少なくとも1種含有する硬化膜形成用組成物により形成された硬化膜からなることを特徴とするインクジェト記録ヘッド。
Figure 2005096212
式中、R11〜R15は、各々同じでも異なってもよく、脂肪族基又は芳香族基を表わす。
(2)上記ブロック共重合体が、上記ブロックAの重合体成分の側鎖置換基または主鎖の末端に架橋反応に関与し得る反応性基を含有し、上記硬化膜形成用組成物が、該ブロック共重合体、並びに、硬化剤及び硬化促進剤のうちの少なくとも一種を含有し、上記硬化膜が、該硬化膜形成用組成物を塗設、硬化させることにより形成されていることを特徴とする(1)記載のインクジェト記録ヘッド。
(3)上記含フッ素重合体成分が、下記化2の一般式(FI)で表される重合単位、下記化3の一般式(FII)で表される重合単位及び下記化4の一般式(FIII)で表される重合単位から選ばれる少なくとも1種の重合単位を含むことを特徴とする(1)又は(2)に記載のインクジェト記録ヘッド。
Figure 2005096212
式中、R0はフッ素原子、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基又は−ORf 1基を表わす。ここでRf 1基は、炭素数1〜30の含フッ素の脂肪族基を表わす。
Figure 2005096212
式中、R1、R2は、各々同じでも異なってもよく、フッ素原子又は−Cv2v+1基を表す。ここでvは1〜4の整数、aは0又は1、bは2〜5の整数、cは0又は1を表す。
Figure 2005096212
式中、R3、R4は、各々フッ素原子又は−CF3基を表す。aは、上記一般式(FII)と同じものを表す。dは0又は1、kは0又は1〜5の整数、lは0又は1〜4の整数、mは0又は1を表わす。ここで(k+l+m)は1〜6の範囲の整数である。
(4)上記ポリエステル重合体成分から構成されるブロック[B]が、脂環式炭化水素環および芳香族環から選ばれる環構造の少なくともいずれかを構成成分として含有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
(5)上記反応性基が、ラジカル重合性基、カチオン重合性基及び加水分解性基置換のシリル基から選ばれる1種以上の官能基であることを特徴とする(2)記載のインクジェット記録ヘッド。
(6)上記クシ型ブロック共重合体が、ポリエステル重合体成分の重合体主鎖の片末端にのみラジカル重合性基を結合して成る一官能性マクロモノマーとラジカル重合性単量体との共重合体であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
(7)上記硬化膜形成用組成物が、平均粒子径が100nm以下の無機粒子を含有することを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
(8)上記硬化膜形成用組成物が塗布される面の表面形状が、JIS B0601−1994に基づく表面凹凸の算術平均粗さ(Ra)が0.5μm以下、算術平均粗さ(Ra)と十点平均粗さ(Rz)との比(Ra/Rz)が0.1以上、最大高さ(Ry)が0.5μm以下、且つ表面凹凸平均間隔(Sm)が0.005〜1μmとなる範囲であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
(9)上記撥インク処理部が、上記硬化膜とインクジェット記録ヘッドの基体との間に中間層を設けてなることを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
(10)上記の撥インク処理部が、静電界印加して飽和帯電量とした後、該帯電量が1/2となるのに要する時間が60秒以内であることを特徴とする(1)〜(9)のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
(11)インクジェット記録ヘッドを搭載したインクジェット記録装置において、前記インクジェット記録ヘッドが(1)〜(10)のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッドであることを特徴とするインクジェット記録装置。
本発明のインクジェット記録ヘッドは、硬化膜が、極めて高い撥水・撥油性を発現し、且つ膜強度が良好で硬度が高く硬化収縮が少なく、記録用インクに長期間さらされても性能を保持できる。特に、用いるブロック共重合体が硬化性のものである場合、硬化膜は、塗布性が良好で硬化膜表面の高撥水・高撥油性にムラが無く、耐久性に優れたものが得られる。このことは、該ブロック共重合体自身が有機溶媒への溶解性が良好であり且つ極めて高い撥水・撥油性を示す事から、均一な塗膜が形成可能となり、被膜において含フッ素重合体成分及び/又は含シロキサン重合体成分のブロック部分が膜表面に高濃度で偏在化すること、膜の表面部分に近いバルク部ほど膜自身が高撥水・高撥油性化すること、及びポリエステルブロックのミクロ相分離構造形成による優れた耐脆性および強靭性を効果的に発現して発現すると思われる。更には、含フッ素重合体成分を用い、その重合体主鎖がパーフルオロ脂肪族炭化水素構造からなる場合には、より一層、撥水・撥油性が向上する。このことは、高分子被膜中の重合体主鎖のパーフルオロアルケニル構造が空気との界面になる最表面に高密度で配向し、単位面積当たりのフッ素原子の密度が増加し表面自由エネルギーの低下をもたらすことが大きな要因と思われる。
また、平均粒径100nm以下の無機粒子を含有する場合には、膜の強度がより一層高められる。
更には、硬化膜形成用組成物が塗設される基体表面が特定の凹凸形状を有する場合には、塗布液が均一に塗布でき、密着性が極めて良好となり、且つ、硬化膜自身の膜強度が十分なものとなる。これは、凝集力が低い本発明のブロック共重合体を主成分とする高分子被膜が基体表面とのアンカリングが均一発現したことによると推定される。
本発明のインクジェット記録ヘッドは、繰り返しの使用に対しても高い撥インク性が保持され、膜の強度が高く、かつ耐磨耗性に優れ、しかも、印刷されて得られる画像の品質にも優れたものである。
また、本発明のインクジェット記録装置は、繰り返しの使用に対しても高撥インク性が保持され、膜の強度が高く、かつ耐磨耗性に優れたものである。
以下、本発明のインクジェット記録ヘッドについて更に詳細に説明する。
まず、本発明のインクジェット記録ヘッドに用いられる硬化膜形成用組成物について説明する。
<硬化膜形成用組成物>
まず、硬化膜形成用組成物に必須成分として用いられるブロック共重合体について説明する。
[ブロック共重合体]
本発明において用いられるブロック共重合体は、含フッ素重合体成分及び/又は含シロキサン重合体成分を重合体成分として構成されるブロック[A](以下「ブロックA」と称する)とポリエステル重合体成分から構成されるブロック[B](以下「ブロックB」と称する)とから成るブロック共重合体である。
このブロック共重合体は、AB型、ABA型又はクシ型構造である。下記化5にその模式図を示す。
Figure 2005096212
上記ブロック共重合体の質量平均分子量は5×103〜5×105であることが好ましく、より好ましくは8×103〜1×105であり、特に好ましくは1×104〜8×104である。ブロックAの質量平均分子量は1×103〜1×105であることが好ましく、より好ましくは6×103〜6×104である。ブロックBの質量平均分子量は1×103〜1×105であることが好ましく、より好ましくは2×103〜4×104である。
ブロックAとブロックBの構成比(質量比)は、ブロックA/ブロックB=95/5〜5/95であることが好ましく、より好ましくはブロックA/ブロックB=90/10〜20/80であり、特に好ましくはブロックA/ブロックB=80/20〜30/70である。
特に、クシ型のブロック共重合体の場合には、後述するポリエステル重合体成分の各重合体主鎖の片末端にのみラジカル重合性基を結合して成る一官能性マクロモノマーとブロックAを構成する単量体との共重合性の観点から、ブロックAとブロックBの構成比は、ブロックA/ブロックB=95/5〜20/80であることが好ましく、より好ましくはブロックA/ブロックB=90/10〜40/60である。
上記ブロック共重合体の硬化膜形成用組成物における全固形成分中の割合は20〜100質量%、好ましくは30〜99.5質量%、より好ましくは40〜95質量%、さらに好ましくは50〜90質量%である。

次に上記ブロック共重合体の必須の構成単位であるブロックA及びブロックBについて説明する。
[ブロックA]
ブロックAは、含フッ素重合体成分及び/又は特定の含シロキサン重合体成分を含有する。
ブロックAにおけるこれらの重合体成分の割合は、40〜100質量%であることが好ましく、60〜95質量%であることがさらに好ましい。
含フッ素重合体成分と含シロキサン重合体成分の両方を含有する場合の、ブロックAにおける含フッ素重合体成分と含シロキサン重合体成分の構成比(質量比)は、含フッ素重合体成分/含シロキサン重合体成分=5/95〜95/5であることが好ましく、10/90〜90/10であることがより好ましく、30/70〜90/10であることが特に好ましい。
以下、まず、含フッ素重合体成分から説明する。
[含フッ素重合体成分]
含フッ素重合体成分におけるフッ素の含有率は、該含フッ素重合体成分の全元素中、30%(数量)以上が好ましく、より好ましくは35%以上である。
具体的には、下記化6の式(F0)で示される側鎖に炭素数4以上のパーフルオロ炭化水素基を置換する、ビニル重合体成分、パーフルオロビニルエーテル成分[−(CF2−CF2O)−、−(CF(CF3)−CF2O)−等]、重合体主鎖を構成するメチレン基が、パーフルオロメチレン基で構成される重合体成分等が挙げられる。
Figure 2005096212
式中、Xは−COO(CH2)2−、又は−O−を表わす。Rf 2は炭素数4〜12のパーフルオロ脂肪族基を表わす。a1、a2は同じでも異なってもよく、水素原子、フッ素原子、−Cn2n+1(nは1〜4の整数)、−CF3を表わす。
含フッ素重合体成分の好ましい態様として、下記化7〜9の一般式(FI)、(FII)および(FIII)で示される重合体成分が挙げられる。
Figure 2005096212
式中、R0はフッ素原子、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基又は−ORf 1基を表わす。ここでRf 1基は、炭素数1〜30の含フッ素の脂肪族基を表わす。
0がパーフルオロアルキル基の場合、それに相当する単量体の重合反応性の観点から、パーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基がより好ましい。
f 1は炭素数1〜22の含フッ素脂肪族基が好ましく、炭素数1〜12の含フッ素脂肪族基がさらに好ましい。具体的には、例えば炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基、−CH2F、−CHF2、−CH2CF3、−(CH2)225、−CH2CF2CF2CFH2、−CH2(CF2)4H、−CH2(CF2)8CF3、−CH2CH2(CF2)4H等)であっても、分岐構造(例えばCH(CF32、CH2CF(CF3)2、CH(CH3)CF2CF3、CH(CH3)(CF2)5CF2H等)を有していても良く、また脂環式構造(好ましくは5員環または6員環、例えばパーフルオロシクロヘキシル基、パーフルオロシクロペンチル基またはこれらで置換されたアルキル基等)を有していても良く、あるいは含フッ素脂肪族エーテル結合基(例えば−CH2OCH2CF2CF3、−CH2CH2OCH248H、−CH2CH2OCH2CH2817、−CH2CH2OCF2CF2OCF2CF2H、−CF2CH2OCH2CF3、−(CF2)2(CH2)2OCH(CF3)3等)であってもよい。
Figure 2005096212
1、R2は、各々同じでも異なってもよく、フッ素原子又は−Cv2v+1基を表す。ここでvは1〜4の整数、aは0又は1、bは2〜5の整数、cは0又は1を表す。aおよび/またはcが0の場合、各々単結合を表す。
Figure 2005096212
3、R4は、各々フッ素原子又は−CF3基を表す。aは、上記一般式(FII)と同じものを表す。dは0又は1、kは0又は1〜5の整数、lは0又は1〜4の整数、mは0又は1を表わす。d、k、lおよび/またはmが0の場合、各々単結合を表す。ここで(k+l+m)は1〜6の範囲の整数である。
一般式(FII)[(f−1)〜(f−8)]及び(FIII)[(f−9)〜(f−16)]で示される含フッ素重合体成分の具体例を下記化10に例示する。
Figure 2005096212
<含シロキサン重合体成分>
本発明において用いられる上記含シロキサン重合体成分は、下記化11の一般式(SI)または一般式(SII)で示されるシロキサン構造群から選ばれる少なくとも1つの基を有する重合体成分である。
Figure 2005096212
式中、R11〜R15は、各々同じでも異なってもよく、脂肪族基又は芳香族基を表わす。
具体的には下記化12の一般式(SIIa)及び(SIIb)で表される構造が挙げられる。
Figure 2005096212
ここで式(SIIa)及び(SIIb)における下記化13の構造部分(一般式(I))は、同一の内容を表わす。
Figure 2005096212
一般式(I)におけるX1は、−O−、−OCO−、−COO−、−CONH−、又は下記化14の基を表す。ここでqは1〜12の整数を表す。これらの基はさらに置換基を有していてもよい。
Figure 2005096212
1は、−X1−とシロキサン構造を含有する繰り返し単位とを連結する2価の連結基又は直接結合を表す。具体的には、下記化15に示す構造の基、2価の脂環式基(脂環式構造の炭化水素環としては、例えばシクロヘプタン環、シクロヘキサン環、シクロオクタン環、ビシクロペンタン環、トリシクロヘキサン環、ビシクロオクタン環、ビシクロノナン環、トリシクロデカン環、等)、2価のアリール環基(アリール環としては、例えばベンゼン環、ナフタレン環、等)で示される基等の原子団の任意の組合せで構成される。
Figure 2005096212
上記において、r1、r2は同じでも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子(フッ素原子、ハロゲン原子、臭素原子、ヨウ素原子)又は炭素数1〜6の置換されてもよいアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、トリフロロメチル基、メトキシエチル基、シアノエチル基、クロロエチル基等)を表し、r3は、水素原子又は炭素数1〜12の置換されてもよい炭化水素基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ベンジル基、フェネチル基、フェニル基、クロロフェニル基、メトキシフェニル基、アセチルフェニル基、トリフロロフェニル基等)を表し、r4、r5は、同じでも異なってもよく、炭素数1〜12の置換されてもよい炭化水素基(具体的には上記r3と同一の内容を表す)を表す。
一般式(I)中[−X1−L1−]で表される結合基は、水素原子を除く原子数の総和が1〜20個であることが好ましく、更には4〜8個が好ましい。この範囲において、硬化反応が速やかに進行するとともに、形成された膜の強度も充分に保持される。
11、a12及びa13は各々同じでも異なってもよく、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜6の置換されてもよいアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、プロポキシカルボニルメチル基 等)を表す。
一般式(I)中、[−X1−L1−]を除く下記化16の構造部分(一般式(II))で表される基としては、好ましくは、以下の基が挙げられる。
Figure 2005096212
まず、上記一般式(SIIa)に示す重合体成分におけるシロキサン構造、すなわち下記化17の一般式(SIIa)’で示される構造について説明する。
Figure 2005096212
式中、R11及びR12は、同じでも異なってもよく、好ましくは各々置換されてもよい炭素数1〜12の脂肪族基又は置換されてもよい炭素数6〜14のアリール基を表す。
脂肪族基は、炭素数1〜12の直鎖もしくは分岐状のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等)、炭素数2〜12の直鎖もしくは分岐状のアルケニル基(例えば、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、デセニル基、ドデセニル基等)、炭素数3〜12の直鎖もしくは分岐状のアルキニル基(例えばプロピニイル基、ブテニイル基、シクロヘキシニイル基、オクチニイル基等)、炭素数7〜12のアラルキル基(例えばベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、2−ナフチルエチル基等)、炭素数5〜12の脂環式基(例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、トリシクロデシル基、ビシクロオクチル基、トリシクロドデシル基等)等が挙げられる。
アリール基は、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基等が挙げられる。これらの脂肪族基及びアリール基は、置換基を有していてもよく、水素原子を除く1価の非金属原子構成の残基であれば限定されるものではない。置換基として、フッ素原子、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等)が好ましい。
11、R12としては、メチル基、エチル基、シクロヘキシル基、トリフロロメチル基、2,2,2−トリフロロエチル基、ベンジル基、フェニル基特にが好ましい。
pは10〜500の整数を表し、好ましくは50〜300であり、特に好ましくは100〜250の場合である。また、p個の−Si(R11)(R12)−O−はR11および/またはR12が異なるものが混合していてもよい。
13、R14及びR15はそれぞれ同じでも異なっても良く、1価の有機基を表す。好ましくは炭素数1〜10のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、オクチル基等)、炭素数1〜10のアルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基等)、炭素数6から20のアリール基(例えばフェニル基、ナフチル基等)を表し、特に好ましくは炭素数1〜5のアルキル基である。これらの基は更に置換基を有していてもよい。
式(SIIa)における[−X1−L1−(SIIa)’]の具体例を下記化18〜21に例示する。しかし、本発明の内容はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005096212
Figure 2005096212
Figure 2005096212
Figure 2005096212
一般式(SIIb)で表される構造について説明する。この構造は、一般式(I)に下記化22の一般式(SIIb)”で表されるシロキサン構造を側鎖の置換基として含有するエチレン性重合体(下記化23の一般式(SIIb)’)部の主鎖の末端が結合して成ることを特徴とする。このエチレン性重合体部は、質量平均分子量1×103〜2×104の分子量が好ましい。より好ましくは3×103〜1.5×104である。
Figure 2005096212
Figure 2005096212
一般式(SIIb)および(SIIb)’において、a21、a22は水素原子、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、炭素数1〜4のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基)又は−CH2COOR30基(R30は炭素数1〜4のアルキル基を表わす)を表わす。好ましくは水素原子又はメチル基を表わす。
2は、−COO−、−OCO−、−CONH−、−O−、−(CH2)l−COO−(lは1又は2の整数)又は下記化24の基を表わす。
Figure 2005096212
式中、L2は式(SIIa)中のL1と同一の内容を表わす。
11、R12、R13、R14、R15は、式(SIIa)と同一の内容を表わす。
21及びR22は同じでも異なってもよく、R11〜R15と同一の内容又は−OSi(R13)(R14)(R15)を表わす。
sは0又は1〜8の整数を表わし、tは0又は1を表わす。
下記化25に一般式(SIIb)’の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005096212
ブロックAの各重合体成分は、従来公知の含フッ素成分/含シロキサン成分のラジカル重合性不飽和結合含有の化合物を用いて従来公知のラジカル重合反応により容易に合成することができる。
又、一般式(FII)において、c=0の場合の、パーフルオロシクロアルカン構造を含有する共重合体は、相当するパーフルオロシクロアルケン化合物と他の共重合性単量体とのラジカル重合反応により得ることができる。
具体的には、例えば特開2001−272504号公報等に記載の重合の条件を用いることができる。
又一方、一般式(FII)においてc=1の場合、及び一般式(FIII)で表示される含フッ素重合体成分を含有する共重合体は、重合成分に相当する非共役パーフルオロジエン化合物のラジカル環化重合反応により合成される。
この際、ラジカル重合反応で共重合性の単量体を導入して、重合反応することで共重合体が得られる。
具体的には、Zhen-Yu Yaug.ら,J.Am.Chem.Soc.116(No9),4135−4136(1994)、特開平1−131215号公報、特開2001−206864号公報、特開2001−302725号公報等に記載の方法が挙げられる。
[ブロックAに含まれるその他の共重合成分]
上記ブロックAにおいては、前記含フッ素重合体成分及び前記含シロキサン重合体が上述の重合体成分を構成する単量体と共重合可能な他の重合性単量体を共重合させたものでもよい。
このような他の重合性単量体としては、例えば下記化26の一般式(A−1)で示される繰り返し単位が挙げられる。
Figure 2005096212
一般式(A−1)中、b1、b2及びb3は、各々同じでも異なってもよく、水素原子、フッ素原子、アルキル基(例えばメチル基,エチル基、プロピル基、ブチル基等)を表わす。
好ましいb1、b2及びb3としては、CF2=CF−、CF2=CH−、CFH=CF−、CH2=CF−、CH2=CH−、CH(CH3)=CH−、CH2=C(CH3)−等が挙げられる。
1は−(CH2)dCOO−、−(CH2) dOCO−、−O−、−SO2−、−CONHCOO−、−CONHCONH−、−CON(K1)−、−SO2N(K1)−、フェニレン基又は[−C(b3)−]と−Rとを直接結合させる単結合を表わす(ここで、K1は水素原子又は炭素数1〜12の脂肪族基を示し、dは0又は1〜4の整数を示す。)。
1は、好ましくは、水素原子または炭素数1〜8の置換されていてもよい脂肪族基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−シアノエチル基、2−ヒドロキシエチル基、ベンジル基、クロロベンジル基、メチルベンジル基、メトキシベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、ジメチルベンジル基、フロロベンジル基、2−メトキシエチル基、3−メトキシプロヒル基等)である。
1としては、−O−、フェニレン基、直接結合が好ましい。
Rは、炭素数1〜22の置換されてもよい直鎖状もしくは分岐状の脂肪族基、置換されてもよい炭素数6〜12の芳香族基を表わす。
好ましいRとしては、置換されてもよい炭素数1〜18の直鎖状又は分岐状アルキル基〔例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、2−フロロエチル基、トリフロロメチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、2−メトキシエチル基、3−ブロモプロピル基、2−メチルカルボニルエチル基、2,3−ジメトキシプロピル基、フッ化アルキル基{例えば−(CH2hi2i+1基(但しhは1〜6の整数、iは1〜12の整数を表す)基、−(CH2h−(CF2j−R36基(但しjは0又は1〜12の整数、R36基は炭素数1〜12のアルキル基、−CF2H、−CFH2を表す)、−CH(CF32、−CF2Cl、−CFCl2、−CFClH、−CF(CF3)OCi2i+1、−OCi2i+1、−C(CF32OCi2i+1等}等〕、炭素数4〜18の置換されてもよいアルケニル基(例えば、2−メチル−1−プロペニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、3−メチル−2−ペンテニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、4−メチル−2−ヘキセニル基、デセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、リノレニル基等)、炭素数7〜12の置換されてもよいアラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、2−ナフチルエチル基、クロロベンジル基、フロロベンジル基、パーフルオロベンジル基、メチルベンジル基、エチルベンジル基、メトキシベンジル基、ジメチルベンジル基、ジメトキシベンジル基等)、炭素数5〜8の置換されてもよい脂環式基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−シクロペンチルエチル基、パーフロロヘキシル基、テトラフロオロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、メトキシシクロヘキシル基等)、炭素数6〜12の置換されてもよい芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、オクチルフェニル基、メトキシフェニル基、フロロフェニル基、クロロフェニル基、ジフロロフェニル基、パーフルオロフェニル基、シアノフェニル基、アセチルフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、アセトアミドフェニル基等)が挙げられる。
Rが脂肪族基の場合に、脂肪族基に置換してよい他の置換基の具体例として、−OR'基、−OCOR'基、−COOR'基が挙げられる。ここでR'はフッ素原子含有の炭素数1〜12の脂肪族基を表わす。具体的には、前記一般式(FI)中のRf1のフッ素含有脂肪族基と同様のものが挙げられる。
一般式(A−1)で表わされる繰り返し単位は、本発明のブロック共重合体の効果を増大または低下させない範囲でのその種類、配合割合が決定される。
ブロックAに含まれるその他の共重合成分は硬度、基体への密着性、溶剤への溶解性、透明性等種々の観点から適宜選択することができる。
上記ブロックAにおけるその他の共重合成分の割合は40質量%以下、好ましくは30質量%以下である。
[ブロックB]
次に、ブロックBを構成するポリエステル重合体成分について述べる。
ブロックBはポリエステル重合体成分のみで構成される。
ブロックBにおける、ポリエステル重合体成分は、ジオールとジカルボン酸との重縮合反応又はヒドロキシカルボン酸の自己縮重合反応によって形成されるポリエステル重合体鎖を含有することが好ましい。
例えば、ポリエステル重合体成分としては、下記化27の一般式(V)又は(VI)で表される重合体成分を挙げることができる。
Figure 2005096212
一般式(V)又は一般式(VI)中、E1及びE2は、互いに同じでも異なってもよく、各々2価の脂肪族基、2価の芳香族基又はこれら残基の組み合わせにより構成された有機残基を表す〔各々の2価の有機残基の結合中に、−C(k2)(k3)−、−O−、−S−、−N(k4)−、−SO2−、−COO−、−OCO−、−NHCOO−、−NHCONH−、−CON(k4)−、−SO2N(k4)−及び−Si(k5)(k6)−(k2、k3及びk4はそれぞれ水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基を表し、k5及びk6はそれぞれ炭素数1〜12の炭化水素基を表す)から選ばれた少なくとも1つの結合基を介在させてもよい〕。
3は2価の脂肪族基を表す。
2価の脂肪族基としては、炭素数2〜12のアルキレン基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基、炭素数3〜30のシクロアルカン環基、炭素数6〜30のシクロアルケン環基、2価の芳香族基としては、炭素数6〜14のアリール基、複素原子(例えば、酸素原子、イオウ原子、窒素原子)を少なくとも1つ含有する5員〜6員の環数の複素環基又は縮環構造を形成してもよい複素環基が挙げられる。
好ましくは、E1及びE2の少なくともいずれか一方が、2価の炭素数3〜30個の脂環式炭化水素環を含有する。具体的には、炭素数5以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ、ペンタシクロ構造等を挙げることができる。特に炭素数6〜25が好ましい。
脂環式炭化水素環の構造例を、下記化28及び29に挙げる。なお、下記構造例において、共役しない位置に二重結合を含有してもよい。
Figure 2005096212
Figure 2005096212
また、これらの脂環式炭化水素基は少なくとも1種の置換基を有していてもよく、その導入し得る置換基としては、水素原子を除く一価の非金属原子団が用いられる。
該非金属原子団の具体的な例としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、炭化水素基、−OR41、−SR41、−COR41、−COOR41、−OCOR41、−SO241、−NHCONHR41、−N(R42)COR41、−N(R42)SO241、−N(R43)(R44)、−CON(R43)(R44)、−SO2N(R43)(R44)、−P(=O)(R45)(R46)、−OP(=O)(R45)(R46)、−Si(R47)(R48)(R49)等が挙げられる。
具体的には、上記の炭化水素基は、脂肪族基、アリール基又は複素環基を表す。脂肪族基としては、炭素数1〜22の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ナノデシル基、エイコサニル基、ヘネイコサニル基、ドコサニル基等)、炭素数2〜22の直鎖状若しくは分岐状のアルケニル基(例えば、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、エイコセニル基、ドコセニル基、ブタジエニル基、ペンタジエニル基、ヘキサジエニル基、オクタジエニル基等)、炭素数2〜22の直鎖状若しくは分岐状のアルキニル基(例えば、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ヘキシニル基、オクタニル基、デカニル基、ドデカニル基等)、及び炭素数5〜22の脂環式炭化水素基(脂環式炭化水素基としては、単環式、多環式、架橋環式の脂肪族環状炭化水素基が挙げられ、その具体例としては、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタン、シクロヘプテン、シクロへプタジエン、シクロオクタン、シクロオクテン、シクロオクタジエン、シクロオクタトリエン、シクロソナン、シクロソネン、シクロデカン、シクロデセン、シクロデカンジエン、シクロデカトリエン、シクロウンデカン、シクロドデカン、ビシクロヘプタン、ビシクロヘキサン、ビシクロヘキセン、トリシクロヘキセン、ノルカラン、ノルピナン、ノルボルナン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、トリシクロヘプタン、トリシクロヘプテン、デカリン、アダマンタン等の環構造炭化水素等)が挙げられる。
これらの中で、炭素数1〜18の直鎖状、炭素原子数3〜18の分岐状、並びに炭素原子数5〜16の環状の脂肪族基がより好ましい。
アリール基としては、炭素数6〜18のアリール基(アリール環としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、ジヒドロナフタレン、インデン、フルオレン、アセナフチレン、アセナフテン、ビフェニレン等)が挙げられる。
複素環基としては、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子のいずれかを少なくとも1個含有する単環式又は多環式の環構造を有する複素環基(複素環基としては、例えば、フラニル基、テトラヒドロフラニル基、ピラニル基、ピロイル基、クロメニル基、フェノキサチイニル基、インダゾイル基、ピラゾイル基、ピリジイル基、ピラジニル基、ピリミデイニル基、インドイル基、イソインドイル基、キノニイル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、チエニル基、ベンゾチエニル基等)等が挙げられる。
該置換基としてのアルケニル基、アルキニル基、脂環式炭化水素基、アリール基、複素環基は、更に置換基を有していてもよく、その置換基としては、前記の脂環式炭化水素基に導入し得る置換基として例示したものと同様のものが挙げられる。
前記R41は、炭素数1〜22の脂肪族基、炭素数6〜18のアリール基、又は複素環基を表す。R41における脂肪族基は前記Rで表される脂肪族基と同義である。R41におけるアリール基としては、上述のアリール基と同様のものが挙げられる。かかるアリール基は、更に置換基を有していてもよく、その置換基としては、前記Rで表される脂肪族基に導入し得る置換基として例示したものと同様のものが挙げられる。R41における複素環基としては、上述の複素環基と同様のものが挙げられる。
42は、水素原子又はR41基と同様のものを表す。
前記R43及びR44は、各々独立に、水素原子、又はR41と同様のものを表し、更に、R43とR44とは互いに結合して、N原子を含有する5員又は6員の環を形成してもよい。
前記R45及びR46は、各々独立に、−OH、炭素数1〜22の脂肪族基、炭素数6〜14のアリール基、又は−OR41を表す。R45及びR46における脂肪族基は前記Rで表される脂肪族基と同義である。R45及びR46におけるアリール基としては、前記Rで表される脂肪族基に導入し得る置換基として例示したアリール基と同様のものが挙げられる。かかるアリール基は更に置換基を有していてもよく、その置換基としては、前記Rで表される脂肪族基に導入し得る置換基として例示したものと同様のものが挙げられる。但し、かかる極性置換基において、R45及びR46の双方が−OHで表されることはない。
前記R47、R48及びR49は、各々独立に、炭素数1〜22の炭化水素基又は−OR50を表し、これらの置換基の内少なくとも1つは炭化水素基を表す。炭化水素基は前記Rで示される脂肪族基及びアリール基と同様のものを表し、−OR50は前記−OR41と同様の内容を表す。
上記式(V)で表されるポリエステル重合体成分において、E1及びE2の少なくともいずれか一方が、脂環式炭化水素基を含有する好ましい態様において、ポリエステル重合体成分中、脂環式炭化水素基の含有量は5〜100モル%が好ましく、より好ましくは20〜100モル%、特に好ましくは50〜100モル%である。
式(VI)で表されるポリエステル重合体成分において、E3は2価の脂肪族基を表し、具体的には、炭素数2〜12のアルキレン基、炭素数3〜12のアルキニル基を表す。
1、E2及びE3の具体的な例としては、各々下記化30及び31に示す有機残基が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005096212
Figure 2005096212
ポリエステル重合体成分の合成法は、従来公知の重縮合反応によって合成され、具体的には、滝山栄一郎「ポリエステル樹脂ハンドブック」日刊工業新聞社(1986年刊)、高分子学会編「重縮合と重付加」共立出版(1980年刊)、I.Goodman「Encyclopedia of Polymer Science and Engineering Vol.12」p1. John Wiley & Sons(1985年刊)等に記載の方法に従って合成することができる。
ブロックBは、更に他の共重合成分を含有してもよい。具体的には、[ブロックAに含まれるその他の共重合成分]に記載したと同様のものが挙げられる。これらの共重合成分の導入量は全重合体成分中、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、5〜10質量%の範囲であることが特に好ましい。硬度、基体への密着性、溶剤への溶解性、透明性など種々の観点から適宜選択することができる。
<架橋反応に関与しうる反応性基>
本発明のブロック共重合体は、ブロックAに、架橋反応に関与し得る反応性基を、側鎖置換基として又は主鎖末端に、少なくとも1つ以上含有するのが好ましい。
側鎖置換基として導入するには、該反応性基は、重合体成分(以下、この重合体成分を「成分H」という)としてブロックAに導入される。成分Hは、架橋反応に関与し得る反応性基を置換基中に含有し、ブロックAと共重合可能な一官能性単量体に相当する繰り返し単位である。この成分Hを導入することにより、側鎖置換基として上記反応性基が導入される。具体的には、例えば下記化32の一般式(HI)で示される構造が挙げられる。
Figure 2005096212
式(HI)中、a11、a12、a13、X1及びL1は、上記一般式(I)と同一の内容を表わす。式(HI)中、下記化33の一般式(HI)’で表される構造の好ましい態様も、前記の一般式(I)の具体的態様と同様のものが挙げられる。
Figure 2005096212
Yは、少なくとも1つの架橋反応に関与し得る反応性基を表す。
架橋反応に関与し得る反応性基(Y)としては例えば、活性水素原子を有する基(たとえば水酸基、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基、メルカプト基、β−ケトエステル基、ヒドロシリル基、シラノール基等)、カチオン重合可能な基(エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリル基、ビニルオキシ基等)、酸無水物、ラジカル重合可能な不飽和2重結合を有する基(アクリロイル基、メタクリロイル基等)、加水分解性シリル基(例えばアルコキシシリル基、アシルオキシシリル基等)、求核剤によって置換され得る基(活性ハロゲン原子、スルホン酸エステル等)、イソシアナート基(保護されており、加熱によりイソシアナート基を発生するブロックイソシアナート基でも良い)等が挙げられる。
これらの反応性基は、単量体段階から導入してもよいし、高分子反応により導入してもよい。高分子反応は、従来公知の化学結合しうる官能性基同志の組合せを適宜に選択して行なうことができる。例えば岩倉義男、栗田恵編「反応性高分子」(株)講談社刊、(1977年)等に記載されている方法が挙げられる。
上記の架橋反応性基の中で、好ましくは水酸基、エポキシ基、ビニルオキシ基、(メタ)アクリロイル基または加水分解性シリル基が挙げられる。
上記成分Hを含有する場合の含有量は、全重合体成分中1〜30質量%の範囲であることが好ましく、5〜25質量%の範囲であることがより好ましく、5〜20質量%の範囲であることが特に好ましい。この範囲において、硬化膜の強度が充分になり、膜形成後の表面の防汚性が高くなり、好ましい。
上記成分Hを下記化34〜37に具体的に例示する。但し、本発明は、これらに限定されるものではない。
Figure 2005096212
Figure 2005096212
Figure 2005096212
Figure 2005096212
また、主鎖末端への上記反応性基の導入は、下記[ブロック共重合体の製造]中に記載する。
上記ブロック共重合体の具体例としては、後述する実施例に記載したPI−1,PI−2,PI−3(AB型)、PII−1,PII−2(ABA型),PIII−1,PIII−2,PIII−3,PIII−4,PIII−5,PIII−6,PIII−7,PIII−8(クシ型)等が挙げられる。
[ブロック共重合体の製造]
上記ブロック共重合体において、AB型及びABA型ブロック共重合体は、ブロックBを構成するポリエステル重合体成分に相当する重合体の各主鎖の末端にラジカル重合性基を結合してなるマクロモノマーを高分子開始剤とし、これとブロックAを構成するラジカル重合性単量体とをラジカル重合反応することで製造することができる。
即ち、ポリエステル重合体成分の各重合体主鎖の片末端のみにラジカル重合性基を結合して成るマクロモノマーを高分子開始剤としたときには、AB型ブロック共重合体が得られる。又、ポリエステル重合体成分の各重合体主鎖の両末端にラジカル重合性基を結合して成るマクロモノマーを高分子開始剤としたときには、ABA型ブロック共重合体が得られる。
ポリエステル重合体成分の重合体主鎖の末端に結合するラジカル重合性基としてはペルオキシド基又はアゾビス基の熱重合性基、ジチオカーバメイト基又はザンテート基の光重合性基等が挙げられる。
熱重合性基をポリエステル重合体成分の各主鎖の末端に結合した高分子開始剤は、例えばP.S.Anand etal,Makromol.Chem.183,1685(1982),上田明等、高分子論文集 33(No.3)、131(1976)、森屋泰夫等 強化プラスチック 29(No.3)107等に記載の内容と同様にして製造することが出来る。
ジチオカーバメイト基又はザンテート基から選ばれる光重合性基をポリエステル重合体成分の各重合体主鎖の末端に結合した高分子開始剤を用いて光ラジカル重合する方法は高分子開始剤のブロック重合反応が完全に進行することが好ましい。
ジチオカーバメイト基又はザンテート基から選ばれる光重合性基をポリエステル重合体成分の各重合体主鎖の末端に結合した高分子開始剤の具体的態様としては、下記化38の式(Q−I)〜(Q−IV)で表される構造が好ましく挙げられる。
Figure 2005096212
上記式(Q−I)〜(Q−IV)中、[ ]内は繰り返し単位を表す。
3は、ラジカル発生基TとD3とを連結する2価連結基を表す。
4は、ラジカル発生基TとD4とを連結する2価連結基を表す。
3は−CH2−又は−CO−を表す。D4は−O−又は−NH−を表す。R1は−OH、−OR5又は−N(R6) (R7)を表す(但し、R5は炭素数1〜12の炭化水素基を表す。R6及びR7は水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基を表す)。
2は水素原子、炭素数1〜12の炭化水素基、−COR8又は−CONHR9を表す(R8及びR9はそれぞれ炭素数1〜12の炭化水素基を表す)。
一般式(Q−I)及び(Q−IV)中、Tはジチオカーバメイト基又はザンテート基を表す。具体的には、Tとしては下記化39に示すものが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005096212
これらの基が光の照射によりラジカルを発生するラジカル発生基の一例である。ここで挙げた高分子開始剤は光重合開始剤すなわち光重合高分子開始剤であり、ラジカル開始剤機能、連鎖移動機能及び停止反応機能を有し、光リビングラジカル重合反応を起こす(例えば、大津隆行、高分子、37、248(1988)に記載の内容が挙げられる)。光照射によって光重合高分子開始剤における、−[C(=S)−S−C]−結合の−S−と−C−との間にブロックAのラジカル重合性モノマーが挿入され、これらの繰り返しで重合反応が進行し、ブロックBとブロックAとからなるABブロック共重合体が生成する。
前記式中、R51、R52及びR53は、各々同じでも異なってもよく、水素原子、脂肪族基、アリール基、または複素環基を表す。また、R51とR52とは、窒素原子を含む環を形成する残基を表す。ここでR51とR52が、ともに水素原子を表すことはない。
54、R55及びR56は、脂肪族基、アリール基または複素環基を表す。
51〜R53;R54〜R56が脂肪族基、アリール基または複素環基を表す場合、各有機基は、前記式(I)中のRと同一の内容のものが挙げられる。
また、これらの各有機残基は、置換基を有してもよく、置換される置換基としては、前記のRで置換される置換基と同一の内容のものが挙げられる。
51とR52の総炭素数は18以下が好ましく、12以下がより好ましい。
3及びL4は、TとD3またはD4とを連結する2価連結基を表し、単結合または総原子数1〜22個の連結基(ここでいう総原子数には、炭素原子、窒素原子またはケイ素原子に結合する水素原子を除く)を表す。好ましくは単結合または総原子数1〜18の連結基を表す。
3及びL4における連結基としては炭素原子−炭素原子結合(一重結合または二重結合)、炭素原子−ヘテロ原子結合(ヘテロ原子としては例えば、酸素原子、イオウ原子、窒素原子、ケイ素原子等)、ヘテロ原子−ヘテロ原子結合等から構成される原子団の任意の組合せで構成される。例えば、原子団としては下記化40に示すものが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005096212
式中、z1、z2は同じでも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子(フッ素原子、ハロゲン原子、臭素原子、ヨウ素原子)又は炭素数1〜6の置換されてもよいアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、トリフロロメチル基、メトキシエチル基、シアノエチル基、クロロエチル基等)を表し、z3は、水素原子又は炭素数1〜12の置換されてもよい炭化水素基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ベンジル基、フェネチル基、フェニル基、クロロフェニル基、メトキシフェニル基、アセチルフェニル基、トリフロロフェニル基等)を表し、z4、z5は、同じでも異なってもよく、炭素数1〜12の置換されてもよい炭化水素基(具体的には前記z3で示した炭化水素基と同一の内容を表わす)を表わす。
3及びL4で表される連結基としては、さらに2価の脂環式基(脂環式構造の炭化水素環としては、例えばシクロへプタン環、シクロヘキサン環、シクロオクタン環、ビシクロペンタン環、トリシクロヘキサン環、ビシクロオクタン環、ビシクロノナン環、トリシクロデカン環、等)、2価のアリール環基(アリール環としては、例えばベンゼン環、ナフタレン環等)で示される基等の原子団の任意の組合せで構成されるものをも含む。
連結基L3及びL4の具体例を下記化41に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005096212
ABA型ブロック共重合体は前記のように、ポリエステルの各重合体主鎖の両末端にラジカル重合性基を結合して成るマクロモノマーを高分子開始剤とすることにより得られる。好ましい態様は末端のラジカル重合性基として光重合性基を結合した光重合高分子開始剤とラジカル重合性単量体との光ラジカル重合反応によって製造される。
具体的には前記一般式(Q−I)〜(Q−IV)におけるR1、R2がさらに下記化42の式(S−I)又は式(S−II)で表される基を結合して成るものが挙げられる。
Figure 2005096212
上記において、L5、L6、D5、D6は、各々L3、L4、D3、D4と同一の内容を表す。
このような高分子重合開始剤の具体例としては、後述する実施例で記載した高分子重合開始剤Q−1〜Q−5などが挙げられる。
光重合高分子開始剤の合成法を次に述べる。
ポリエステル重合体成分の各重合体主鎖の末端のヒドロキシル基に官能基(T)を導入する方法は、従来公知の低分子化合物におけるアルコール類からエステル化する反応あるいはアルコール類からウレタン化する反応を用いる事で合成することができる。即ち、分子内にジチオカーバメイト基又はザンテート基を含有するカルボン酸類、カルボン酸エステル類、カルボン酸ハライド類又はカルボン酸無水物類との反応でエステル化し、本発明における光重合高分子開始剤を合成する方法、あるいは、分子内にジチオカーバメイト基又はザンテート基を含有するモノイソシアナート類との反応でウレタン化し合成する方法等によって達せられる。具体的には、日本化学会編「新実験化学講座14、有機化合物の合成と反応〔II〕」、第5章、丸善(株)、(1977年刊)、「同、有機化合物の合成と反応〔III〕」、第1652頁、丸善(株)、(1978年刊)等に詳細に記載された方法を用いて合成することができる。
前記一般式(Q−I)〜(Q−IV)で示されるジチオカーバメイト基又はザンテート基から選ばれる光重合性基をポリエステル重合体成分の各重合体主鎖の末端に結合した高分子開始剤、すなわち光重合高分子開始剤は、上記の様にしてポリエステル重合体成分の各重合体主鎖の末端のカルボキシル基に官能基(T)を導入する方法により合成することができる。その導入方法としては、従来公知の低分子化合物におけるカルボン酸類からエステル化する反応あるいはカルボン酸類から酸アミド化する反応を用いる事で合成することができる。即ち、分子内にジチオカーバメイト基又はザンテート基を含有し且つカルボキシル基と化学反応する官能基としては、例えば、−OH基、ハロゲン体(塩化物、臭化物、ヨウ化物)、−NH2、−COOR31(R31は、メチル基、トリフロロメチル基、2,2,2−トリフロロエチル基等)、及び下記化42に示す基等を含有する化合物とポリエステル重合体成分に相当する重合体を高分子反応する事で該光重合高分子開始剤が合成される。
Figure 2005096212
光ラジカル重合反応は光Inifertor反応として知られており、例えばT.Otsu and M.Yoshida, Polym.Bull.7,197(1982)大津隆行、高分子、37、248(1988)などに記載の内容と同様にして合成される。
次に、クシ型のブロック共重合体及びその製造法について述べる。
上記のクシ型のブロック共重合体は、クシの部分がブロックBの重合成分から構成される。ラジカル重合性単量体と、本発明のポリエステル重合体成分の各重合体主鎖の片末端にのみラジカル重合性基を結合してなる一官能性マクロモノマーとをラジカル重合して得られる共重合体であるのが好ましい。
上記一官能性マクロモノマーとしては、ジチオカーバメイト基又はザンテート基から選ばれる光重合性基をポリエステル重合体成分の各重合体主鎖の末端に結合した高分子開始剤の一般式(Q−I)〜(Q−IV)におけるTが、CH(d1)=C(d2)−V3−で表されるものが好ましい。ここでd1、d2及びV3は前記一般式(A−1)のb1、b3、U1とそれぞれ同一の内容を表す。
ポリエステル重合体成分の各重合体主鎖の片末端のヒドロキシル基のみにラジカル重合性基を導入する方法は、従来公知の低分子化合物におけるアルコール類からエステル化する反応、又はアルコール類からウレタン化する反応を用いる事で合成することができる。即ち、分子内に重合性二重結合基を含有するカルボン酸類、カルボン酸エステル類、カルボン酸ハライド類又はカルボン酸無水物類との反応でエステル化し、マクロモノマーを合成する方法あるいは、分子内に重合性二重結合基を含有するモノイソシアナート類との反応でウレタン化し、マクロモノマーを合成する方法によって達せられる。具体的には、日本化学会編「新実験化学講座14、有機化合物の合成と反応〔II〕」、第5章、丸善(株)、(1977年刊)、「同、有機化合物の合成と反応〔III〕」、第1652頁、丸善(株)、(1978年刊)等に詳細に記載された方法を用いて合成することができる。
ジチオカーバメイト基又はザンテート基から選ばれる光重合性基をポリエステル重合体成分の各重合体主鎖の末端に結合した高分子開始剤の一般式(Q−I)〜(Q−IV)におけるTがCH(d1)=C(d2)−V3−で表される構造をもつマクロモノマーは、前記の様にしてポリエステル重合体成分の各重合体主鎖の片末端のカルボキシル基のみに重合性二重結合基を導入する方法により合成することができる。その導入方法としては、従来公知の低分子化合物におけるカルボン酸類からエステル化する反応、又はカルボン酸類から酸アミド化する反応を用いる事で合成することができる。即ち、分子内に重合性二重結合基を含有し且つカルボキシル基と化学反応する官能基としては、例えば、−OH基、ハロゲン体(塩化物、臭化物、ヨウ化物)、−NH2、−COOR31(R31は、メチル基、トリフロロメチル基、2,2,2−トリフロロエチル基等)とともに下記で示す基等を含有する化合物とポリエステルオリゴマーを高分子反応する事で該マクロモノマーが合成される。
本発明のブロック共重合体は、該重合体の重合体の主鎖の末端に架橋性基を結合する態様も好ましい。架橋性基としては、前記の一般式(HI)で示される重合成分のYと同様の内容のものが挙げられる。重合体主鎖の末端に結合する形態は特に限定されないが、例えば以下の一般式(Z)で表されるものが挙げられる。
一般式(Z)・・・・・ Y−L5−〔 B 〕−
式中、Yは一般式(HI)と同一の定義であり、L5は前記のL3と同一の内容を表す。[B]は本発明のブロック共重合体成分を表す。
これらの架橋性基の導入の方法は、従来公知の方法で行うことが出来る。例えば、(i)特定の極性基(例えば、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、ハロゲン原子、エポキシ基、酸ハライド基等)を含有する連鎖移動剤の混合物を重合開始剤(例えば、アゾビス系化合物、過酸化物等)により重合する方法あるいは、(ii)連鎖移動剤及び重合開始剤のいずれにも、該極性基を含有した化合物を用いる方法、更には、(iii)前記2つの方法において、連鎖移動剤あるいは重合開始剤を用いて重合反応後、更に高分子反応で、これらの官能基と反応させることで架橋性反応性基を導入する方法等が挙げられる。特に、架橋性反応性基がラジカル重合性二重結合基の場合は、これらの方法によりポリマーに導入することが好ましい。具体的には、P.Dreyfuss & R.P.Quirk,「Encycl. Polym. Sci. Eng.」,1987年,7,551、中條善樹,山下雄也,「染料と薬品」,1985年,30,232、上田明,永井進,「科学と工業」,1986年,60,57等の総説及びそれに引用の文献等に記載の方法によって製造することができる。
AB型又はABA型ブロック共重合体に供されるポリエステル重合体成分は質量平均分子量2×103〜5×104、好ましくは3×103から4×104、より好ましくは3×103から3×104である。
クシ型ブロック共重合体に供されるポリエステル重合体成分は質量平均分子量2000〜20000であることが好ましい。より好ましくは3000〜15000である。この範囲においてラジカル重合反応性と得られた重合体の膜特性が良好となる。
[溶媒]
上記硬化膜形成用組成物は、通常液状で用いられるため、上記ブロック共重合体を溶解する溶媒を用いるのが好ましい。
上記溶媒としては、例えば、アルコール類、ケトン類、エステル類アミド類、エーテル類、エーテルエステル類、炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類等が挙げられる。具体的には、アルコール(例、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノアセテート等)、ケトン(例、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、乳酸エチル、等)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチルクロロホルム等)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン等)、エーテル(例、ジオキサン、テトラハイドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル等)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール、エチルセルソルブ、メチルカルビノール等)が挙げられる。単独での2種以上を混合して使用してもよい。
上記硬化膜形成用組成物を液状で用いる場合、固形分は、0.5〜50重量%とするのが好ましく、1〜30重量%とするのが更に好ましい。
[硬化剤及び硬化促進剤]
本発明において用いられる硬化膜形成用組成物には、硬化剤及び硬化促進剤のうちの少なくとも一種が併用される。これらは、前記ブロック共重合体中の架橋反応性基の硬化反応に応じて、従来公知のものを適宜選択して使用することができる。
例えば、山下晋三、金子東助編「架橋剤ハンドブック」大成社刊(1981年)高分子学会編「高分子データハンドブック 基礎編」培風舘(1986年)等に記載されている化合物を用いることができる。
例えば、有機シラン系化合物、ポリイソシアナート系化合物、ポリオール系化合物、ポリアミン系化合物、酸無水化合物類、ポリエポキシ基含有化合物及びエポキシ樹脂(例えば堀内弘編著「新エポキシ樹脂」昭晃堂(1985年刊)、橋本邦之編著「エポキシ樹脂」日刊工業新聞社(1969年刊)等に記載された化合物類)、メラミン樹脂(例えば、三輪一郎、松永英夫編著「ユリア・メラミン樹脂」日刊工業新聞社(1969年刊)、等に記載された化合物類)、ポリ(メタ)アクリレート系化合物(例えば、大河原信、三枝武夫、東村敏延編「オリゴマー」講談社(1976年)、大森英三「機能性アクリル系樹脂」テクノシステム(1985年刊)等に記載された化合物類が挙げられる。
例えば架橋反応性基が加水分解性シリル基の場合には、ゾルゲル反応の触媒として公知の酸、塩基触媒または金属キレート化合物を硬化促進剤として用いることができる。
酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、または酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、トリフロロメチルスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸等のブレンステッド酸、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクテート、トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム、テトラブトキシチタネート等のルイス酸が挙げられる。
塩基としては、アンモニア、トリエチルアミン、ピリジン、テトラメチルエチレンジアミン等の無機・有機の化合物が挙げられる。
金属キレート化合物としては、活性メチレン化合物(例えば、ジケトン類、β−ケトエステル類等)とAl、Ti、Zr等の金属原子とのキレート化合物等が挙げられる。例えば特開平11−106704号明細書中の段落番号[0044]〜[0046]中に記載の化合物等が挙げられる。
好ましくは、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム等が挙げられる。
これら硬化促進剤の使用量は化合物の種類、架橋反応性基の違いによってまちまちであるが、一般的には硬化膜形成用組成物全固形分に対して0.1〜15質量%程度が好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%程度である。
また、硬化膜形成用組成物の保存安定性の観点から、光の作用によって酸又は塩基等の硬化促進剤を発生する化合物を使用しても良い。これらの化合物を使用する場合には、活性エネルギー線の照射によって皮膜の硬化が可能になる。
光の作用により酸を発生する化合物としては、例えば有機エレクトロニクス材料研究会(ぶんしん出版)編「イメージング用有機材料」p187〜198、特開平10−282644号等に種々の例が記載されておりこれら公知の化合物を使用することができる。具体的には、RSO3-(Rはアルキル基、アリール基を表す)、AsF6-、SbF6-、PF6-、BF4-等をカウンターイオンとするジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩等の各種オニウム塩、トリハロメチル基が置換したオキサジアゾール誘導体やS−トリアジン誘導体等の有機ハロゲン化物、有機酸のo−ニトロベンジルエステル、ベンゾインエステル、イミノエステル、ジスルホン化合物等が挙げられ、好ましくは、オニウム塩類、特に好ましくはスルホニウム塩、ヨードニウム塩類である。光の作用で塩基を発生する化合物も公知のものを使用することができ、具体的にはニトロベンジルカルバメート類、ジニトロベンジルカルバメート類等を挙げることができる。
本発明では特に光の作用により、上記記載の酸を発生する化合物を用いることが好ましい。これらの光の作用により、酸あるいは塩基を発生する化合物と併用して増感色素も好ましく用いることができる。本発明の光の作用によって硬化反応を促進する化合物の添加量としては、硬化膜形成用組成物中の全固形分に対して0.1〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%である。
さらに硬化を促進する他の硬化促進剤として、脱水剤を使用しても良い。脱水剤としては、例えば、カルボン酸オルトエステル(オルト蟻酸メチル、オルト蟻酸エチル、オルト酢酸メチル等)、酸無水物(無水酢酸等)等を挙げることができる。
また、硬化剤として有機金属化合物を用いることが好ましい。例えば、Si、Al、Ti、Zr等の有機金属化合物が挙げられる。
具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、CF3CH2CH2Si(OCH3)3、CF3(CF2)5CH2CH2Si(OCH3)3、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−トリメトキシシリルプロピルイソシアネート、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、テトラブトキシチタン、トリプロポキシアルミネート、等が挙げられるが、これらに限定されない。
更に好ましくは、一般式(R61)Si(OR71)3、一般式(R61)(R62)Si(OR71)2で示されるオルガノシランにおいて、R61及びR62のうちの少なくともいずれかの置換基がフッ素原子を含有する化合物が挙げられる。
ここで、R61は、炭素数1〜10の有機基であり、例えばCF3CH2−、(CF)2CH−、CF2=CF−、CF3CH2CH2CH2−、C25CH2CH2CH2−、C37CH2CH2CH2−、C25CH2CH2−、CF3OCH2CH2CH2−、C25OCH2CH2CH2−、C37OCH2CH2CH2−、(CF3)2CHOCH2CH2CH2−、C49CH2OCH2CH2CH2−、3−(パーフルオロシクロヘキシルオキシ)プロピル、H(CF2)4CH2OCH2CH2CH2−、H(CF2)4CH2CH2CH2−等が挙げられる。
オルガノシラン中、R71は、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜4のアシル基であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、アセチル基などが挙げられる。又、(R62)は、炭素数1〜10の有機基であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基等のアルキル基、そのほかγ−クロロプロピル基、ビニル基、γ−グリシドキシプロピル基、γ−メタクリルオキシプロピル基、γ−メルカプトプロピル基、フェニル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基等の有機基、又はR61と同一の内容のフッ素原子含有の有機基等が挙げられる。
硬化剤としての上記シラン化合物は、ブロック共重合体100質量部当たり、0.5〜300質量部程度の添加量が好ましく、特に、ブロック共重合体100質量部当たり、5.0〜100質量部程度の添加量とすることが好ましい。
一方、上記反応性基が水酸基、アミノ基、メルカプト基等の活性水素を有する基である場合に用いる硬化剤としては、例えばポリイソシアネート系、アミノプラスト、多塩基酸またはその無水物などを挙げることができる。
ポリイソシアネート系としては、m−キシリレンジイソシアネート、トルエン−2,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどのポリイソシアネート化合物、メチルシリルトリイソシアネートなどのシリルイソシアネート化合物、およびこれらイソシアネート化合物の部分縮合物、多量体や、多価アルコール、低分子量ポリエステル皮膜などとの付加物、イソシアネート基をフェノールなどのブロック化剤でブロックしたブロックポリイソシアネート化合物などが挙げられる。
アミノプラストとしては、メラミン皮膜、グアナミン皮膜、尿素皮膜などが採用される。中でもメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの低級アルコールの1種または2種以上により少なくとも部分的にエーテル化されたメチロールメラミン(例えばヘキサメチルエーテル化メチロールメラミン、ヘキサブチルエーテル化メチロールメラミン、メチルブチル混合エーテル化メチロールメラミン、メチルエーテル化メチロールメラミン、ブチルエーテル化メチロールメラミン等)、又はこれらの縮合物などが挙げられる。
多塩基酸またはその無水物としては、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、フタル酸、無水フタル酸などの芳香族多価カルボン酸またはその無水物やマレイン酸、無水マレイン酸、コハク酸、無水コハク酸などの脂肪族多価カルボン酸またはその無水物などが例示される。
一方、架橋反応性基がエポキシ基、オキセタニル基の場合は、活性水素を有する反応性基(例えば水酸基、カルボキシル基、アミノ基)あるいは環状酸無水物含有基との化学反応により硬化させることができる。
この際、上記の両反応性基がブロック共重合体中の共重合体成分として含有される、あるいは各々の反応性基を少なくとも1種含有するブロック共重合体を併用するのいずれでもよい。
この場合に、前記したと同様の酸、塩基、光及び/又は熱により酸あるいは塩基を発生する化合物を硬化促進剤として用いる。
他の好ましい態様として、エポキシ基あるいはオキセタニル基と反応可能な上記の活性水素を有する反応性基又は環状酸無水物含有基を分子中に2ケ以上含有する多官能化合物からなる硬化剤が挙げられる。
また、カチオン重合可能な基(カチオン重合性基:活性エネルギー線感受性カチオン重合開始剤の存在下に活性エネルギー線を照射したときに重合反応および/または架橋反応を生ずる反応性基)の場合は、カチオン重合性基の代表例としては、エポキシ基、オキセタン基、環状アセタール基、環状ラクトン基、環状チオエーテル基、スピロオルソエステル基、ビニルエーテル基などを挙げることができる。本発明ではこれらカチオン重合性基含有化合物のうちの1種を用いてもまたは2種以上を用いてもよい。
カチオン重合性化合物の具体例としては、
(1)エポキシ基含有の化合物:脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、芳香族エポキシ樹脂等、
(2)トリメチレンオキシド、3,3−ジメチルオキセタン、3,3−ジクロロメチルオキセタン、3−メチル,3−フェノキシメチルオキセタン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼンなどのオキセタン化合物、テトラヒドロフラン、2,3−ジメチルテトラヒドロフランのようなオキソラン化合物、トリオキサン、1,3−ジオキソラン、1,3,6−トリオキサン
シクロオクタンのような環状エーテルまたは環状アセタール化合物、
(3)β−プロピオラクトン、ε−カプロラクトン等の環状ラクトン化合物、
(4)エチレンスルフィド、チオエピクロロヒドリン等のチイラン化合物、
(5)1,3−プロピンスルフィド、3,3−ジメチルチエタンのようなチエタン化合物、
(6)ビニルオキシ基含有のビニルエーテル化合物、
(7)エポキシ化合物とラクトンとの反応によって得られるスピロオルソエステル化合物、
(8)ビシクロオルソエステル化合物
などを挙げることができる。
上記した中でも、本発明では、カチオン重合性有機化合物として、エポキシ基、ビニルオキシ基含有の化合物(以下、それぞれエポキシ化合物、ビニルオキシ化合物とも称する)が好ましく用いられ、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するポリエポキシ化合物、1分子中に2個以上のビニルオキシ基を有するポリビニルオキシ化合物、1分子中に少なくともエポキシ基とビニルオキシ基を各々一個以上有する化合物、がより好ましく用いられる。特に、カチオン重合性有機化合物として、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する脂環式ポリエポキシ化合物を含有し且つ該脂環式ポリエポキシ化合物の含有量がエポキシ化合物の全質量に基づいて30質量%以上、より好ましくは50質量%以上であるエポキシ化合物(エポキシ化合物の混合物)を用いると、カチオン重合速度、厚膜硬化性、解像度、紫外線透過性などが一層良好になり、しかも硬化膜形成用組成物の粘度が低くなって製膜が円滑に行われるようになる。
上記した脂環族エポキシ樹脂としては、少なくとも1個の脂環族環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル、或いは不飽和脂環族環(例えば、シクロヘキセン、シクロペンテン、ジシクロオクテン、トリシクロデセン等)含有化合物を過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化して得られるシクロヘキセンオキサイドまたはシクロペンテンオキサイド含有化合物などを挙げることができる。
また、上記した脂肪族エポキシ樹脂としては、例えば、脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル、グリシジルアクリレートやグリシジルメタクリレートのホモポリマー、コポリマーなどを挙げることができる。さらに、前記のエポキシ化合物以外にも、例えば、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル、高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ポリブタジエンなどを挙げることができる。信越シリコーン社製のK−62−722や東芝シリコーン社製のUV9300等のエポキシシリコーン、Journal of Polymer Science: PartA: Polymer Chemistry, Vol.28, 497(1990)に記載されているシリコーン含有エポキシ化合物のような多官能エポキシ化合物を挙げることができる。
また、上記した芳香族エポキシ樹脂としては、例えば少なくとも1個の芳香核を有する1価または多価フェノール或いはそのアルキレンオキサイド付加体のモノまたはポリグリシジルエーテルを挙げることができる。
具体例として、例えば特開平11−242101号明細書中の段落番号[0084]〜[0086]記載の化合物等が挙げられる。
これらのエポキシドのうち、速硬化性を考慮すると、芳香族エポキシドおよび脂環式エポキシドが好ましく、特に脂環式エポキシドが好ましい。本発明では、上記エポキシドの1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
オキセタニル基を含有する化合物としては、分子中に含有されるオキセタニル基の数は1〜10、好ましくは1〜4である。これらの化合物は、エポキシ基含有化合物と併用することが好ましい。具体的には、例えば特開2000−239309号明細書中の段落番号[0024]〜[0025]に記載の化合物、J.V. CRIVELLO etal、J.M.S.-PUREAPPL. CHEM.、A30、pp.173〜187(1993)に記載のシリコン含有のオキセタン化合物等が挙げられる。
ビシクロオルソエステル化合物としては、例えば特表2000−506908号公報等記載の化合物、1−フェニル−4−エチル−2,6,7−トリオキサビシクロ〔2,2,2〕オクタン、1−エチル−4−ヒドロキシメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ〔2,2,2〕オクタン等の化合物を挙げることができる。
スピロオルソカーボネート化合物としては、1,5,7,11−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、3,9−ジベンジル−1,5,7,11−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、1,4,6−トリオキサスピロ〔4,4〕ノナン、2−メチル−1,4,6−トリオキサスピロ〔4,4〕ノナン、1,4,6−トリオキサスピロ〔4,5〕デカン等の化合物を挙げることができる。
ビニルオキシ化合物としては、2−メタクリロイルオキシエチルビニルエーテル、2−アクリロイルオキシエチルビニルエーテル等のアルケニルビニルエーテル化合物、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドン等のカチオン重合性窒素含有化合物、ブタンジオールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4−ベンゼンジメタノールジビニルエーテル、ハイドロキノンジビニルエーテル、サゾルシノールジビニルエーテル等の多官能ビニル化合物、Journal of Polymer Science:Part A: Polymer Chemistry, Vol.32, 2895(1994)に記戦されているプロペニル化合物、Journal of Polymer Science: Part A; Polymer Chemistry, Vol.33, 2493(1995)に記載されているアルコキシアレン化合物、Journa1 of Polymer Science: Part A: Polymer Chemistry,Vol.34, 1015(1996)に記載されているビニル化合物、Journal of Polymer Science: Part A:Polymer Chemistry, Vol. 34, 2051(1996)に記載されているイソプロペニル化合物等を挙げることができる。具体例として、特開2002−29162号公報明細書中の段落番号[0022]〜[0029]記載の化合物等が挙げられる。
これらのビニルオキシ化合物のうち、硬化性、密着性、表面硬度を考慮すると、ジ又はトリビニルエーテル化合物が好ましい。本発明では、上記ビニルエーテル化合物の1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
これらの硬化剤を添加する場合、上記ブロック共重合体100質量部当り、0.5〜300質量部程度の添加量が好ましく、特に、ブロック共重合体100質量部当り、5.0〜100質量部程度の添加量が好ましい。また、これらのカチオン重合性反応性基からなる硬化系は、酸もしくは光酸発生化合物を硬化促進剤として用いる。
光カチオン重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、或いは、マイクロレジスト等に使用されている公知の酸発生剤等、公知の化合物及びそれらの混合物等が挙げられるまた、酸発生剤として、例えば、有機ハロゲン化化合物、ジスルホン化合物が挙げられる。有機ハロゲン化合物、ジスルホン化合物のこれらの具体例は、前記ラジカルを発生する化合物の記載と同様のものが挙げられる。
オニウム化合物としては、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、イミニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、アルソニウム塩、セレノニウム塩等が挙げられ、例えば特開2002−29162号明細書の段落番号〔0058〕〜〔0059〕に記載の化合物等が挙げられる。
本発明において、特に好適に用いられる酸発生剤としては、オニウム塩が挙げられ、中でも、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、イミニウム塩が、光重合開始の光感度、化合物の素材安定性等の点から好ましい。本発明において、好適に用いることのできるオニウム塩の具体例としては、例えば、特開平9−268205号公報の段落番号〔0035〕に記載のアミル化されたスルホニウム塩、特開2000−71366号明細書の段落番号〔0010〕〜〔0011〕に記載のジアリールヨードニウム塩又はトリアリールスルホニウム塩、特開2001−288205号公報の段落番号〔0017〕に記載のチオ安息香酸S−フェニルエステルのスルホニウム塩、特開2001−133696号公報の段落番号〔0030〕〜〔0033〕に記載のオニウム塩等が挙げられる。
酸発生剤の他の例としては、特開2002−29162号公報の段落番号〔0059〕〜〔0062〕に記載の有機金属/有機ハロゲン化物、o−ニトロベンジル型保護基を有する光酸発生剤、光分解してスルホン酸を発生する化合物(イミノスルフォネート等)等の化合物が挙げられる。
一方、上記反応性基がラジカル重合可能な不飽和2重結合(アクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基等)を有する場合には、硬化剤としてラジカル重合性化合物を、そして硬化促進剤として光及び/又は熱でラジカルを発生する化合物を用いることが好ましい。ラジカル重合性化合物は、重合性基を2個〜10個含有する多官能性化合物が好ましく、更には2〜6個の多官能化合物が好ましい。すなわち、上記反応性基であるラジカル重合性基と良好に共重合性する重合性基を有する重合性化合物を硬化剤として適宜選択して組合せることが好ましい。
用いることができる重合性化合物の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基や、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能もしくは多官能イソシアネート類、エポキシ類との付加反応物、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアナート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類およびチオール類との付加反応物、さらに、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類およびチオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン等に置き換えた化合物群を使用する事も可能である。
不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステルとしては、脂肪族多価アルコール化合物として、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヘキサンジオール、シクロヘキシルジオール、シクロヘキサンジメタノール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ジグリセロール、ソルビトール等を用い、不飽和カルボン酸(クロン酸、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸等)とモノ置換、あるいはポリ置換してなる重合性化合物が挙げられる。
その他のエステルの例として、例えばビニルメタクリレート、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、特公昭46−27926、特公昭51−47334、特開昭57−196231記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240、特開昭59−5241、特開平2−226149記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドとのモノマーの具体例としては、メチレンビス−(メタ)アクリルアミド、1,4−テトラメチレンビス(メタ)アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス(メタ)アクリルアミド、ジエチレントリアミントリス(メタ)アクリルアミド、キシリレンビス(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726記載のシクロヘキシレン構造を有するものを挙げることができる。
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有する水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417、特公昭62−39418号記載のエチレンオキサイド系骨格を有する。
さらに、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有するラジカル重合性化合物類を用いても良い。
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号、各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。さらに日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
更には、フッ素原子含有の単官能もしくは多官能の化合物も好ましく、例えば特開2000−275403号明細書中の段落番号[0059]〜[0066]記載の化合物等が挙げられる。
本発明において好適に用いられるラジカルを発生する化合物は、光及び/又は熱照射によりラジカルを発生し、重合性の不飽和基を有する化合物の重合を、開始、促進させる化合物を指す。
公知の重合開始剤や結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物などを、適宜、選択して用いることとができる。また、ラジカルを発生する化合物は、単独又は2種以上を併用して用いることができる。
ラジカルを発生する化合物としては、例えば、従来公知の有機過酸化化合物、アゾ系重合開始剤等の熱ラジカル重合開始剤、アミン化合物(特公昭44−20189号公報記載)、有機ハロゲン化化合物、カルボニル化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ酸化合物、ジスルホン化合物等の光ラジカル重合開始剤が挙げられる。
上記有機ハロゲン化化合物としては、具体的には、若林 等、「Bull Chem.Soc Japan」42、2924(1969)、米国特許第3,905,815号明細書、特開昭63−298339号、M.P.Hutt"Jurnal of Heterocyclic Chemistry"1(No3),(1970)」等に記載の化合物が挙げられ、特に、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物:S−トリアジン化合物が挙げられる。
より好適には、少なくとも一つのモノ、ジ、又はトリハロゲン置換メチル基がs−トリアジン環に結合したs−トリアジン誘導体が挙げられる。
他の有機ハロゲン化合物の例として、特開平5−27830号公報中の段落番号〔0039〕〜〔0048〕記載のケトン類、スルフィド類、スルホン類、窒素原子含有の複素環類等が挙げられる。
上記カルボニル化合物としては、例えば、「最新 UV硬化技術」60〜62ページ((株)技術情報協会刊、1991年)、特開平8−134404号明細書の段落番号〔0015〕〜〔0016〕、同11−217518号明細書の段落番号〔0029〕〜〔0031〕に記載の化合物等が挙げられ、アセトフェノン系、ヒドロキシアセトフェノン系、ベンゾフェノン系、チオキサン系、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸エステル誘導体、ベンジルジメチルケタール、アシルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
上記有機過酸化化合物としては、例えば、特開2001−139663号明細書の段落番号〔0019〕に記載の化合物等が挙げられる。
上記メタロセン化合物としては、特開平2−4705号公報、特開平5−83588号公報記載の種々のチタノセン化合物、特開平1−304453号公報、特開平1−152109号公報記載の鉄−アレーン錯体等が挙げられる。
上記ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、例えば、特公平6−29285号、米国特許第3,479,185号、同第4,311,783号、同第4,622,286号等の各公報記載の種々の化合物等が挙げられる。
上記有機ホウ酸塩化合物としては、例えば、特許第2764769号、特開2002−116539号等の各公報、及び、Kunz,Martin"Rad Tech'98.Proceeding April 19−22,1998,Chicago"等に記載される有機ホウ酸塩記載される化合物があげられる。例えば、前記特開2002−116539号明細書の段落番号〔0022〕〜〔0027〕記載の化合物が挙げられる。
他の有機ホウ素化合物として、特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−306527号公報、特開平7−292014号公報等の有機ホウ素遷移金属配位錯体等が具体例として挙げられる。
上記スルホン化合物としては、特開平5−239015号に記載の化合物等、上記ジスルホン化合物としては、特開昭61−166544号明細書に記載の一般式(II)及び一般式(III)で示される化合物等が挙げられる。
これらのラジカル発生化合物は、一種のみを添加しても、二種以上を併用してもよい。添加量としては、ラジカル重合性モノマーの全量に対し0.1〜30質量%、好ましくは0.5〜25質量%、特に好ましくは1〜20質量%で添加することができる。この範囲において、硬化膜形成用組成物の経時安定性が問題なく高い重合性となる。
これらの光ラジカル重合開始剤と併用して増感色素も好ましく用いることができる。
これらの熱または光の作用によってラジカル重合を開始する化合物を硬化剤として用いる場合の添加量としては、炭素−炭素二重結合の重合が開始する量であれば良いが、一般的には硬化膜形成用組成物中の全固形分に対して0.1〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%である。
これらの硬化剤を添加する場合も他の硬化剤と同様に、上記部ブロック共重合体100質量部当り、0.5〜300質量部程度の添加量が好ましく、特に、ブロック共重合体100質量部当り、5.0〜100質量部程度の添加量が好ましい。
また、上記硬化剤としては、上記のラジカル重合性基及びカチオン重合性基を各々少なくとも1種少なくとも分子内に含有する化合物を用いることも好ましい。例えば、特開平8−277320号明細書中の段落番号〔0031〕〜〔0052〕記載の化合物、特開2000−191737号明細書中の段落番号〔0015〕記載の化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記したラジカル重合性化合物とカチオン重合性化合物とを、ラジカル重合性化合物:カチオン重合性化合物の質量比で、90:10〜20:80の割合で含有していることが好ましく、80:20〜30:70の割合で含有していることがより好ましい。
硬化剤として、上記ラジカル重合性化合物及び上記カチオン重合性化合物を用いる場合、それらの合計質量100質量部に対して、硬化促進剤として、ラジカル重合開始剤を0.5〜10質量部及びカチオン重合開始剤を1〜10質量部の割合で用いることが好ましい。より好ましくは、ラジカル重合開始剤を1〜5質量部、及びカチオン重合開始剤を2〜6質量部である。
また、紫外線照射により重合反応を行なう場合には、従来公知の紫外線分光増感剤、化学増感剤を硬化促進剤として併用してもよい。例えばミヒラーズケトン、アミノ酸(グリシンなど)、有機アミン(ブチルアミン、ジブチルアミンなど)等が挙げられる。
また、近赤外線照射により重合反応を行なう場合には、硬化促進剤として近赤外線分光増感剤を併用することが好ましい。併用する近赤外線分光増感剤は、700nm以上の波長域の少なくとも一部に吸収帯を有する光吸収物質であればよく、分子吸光係数が10000以上の値を有する化合物が好ましい。更には、750〜1400nmの領域に吸収を有し、且つ分子吸光係数が20000以上の値が好ましい。また、420nm〜700nmの可視光波長域に吸収の谷があり、光学的に透明であることがより好ましい。近赤外線分光増感剤は、近赤外線吸収顔料及び近赤外線吸収染料として知られる種々の顔料及び染料を用いることができる。その中でも、従来公知の近赤外線吸収剤を用いることが好ましい。
市販の染料および文献(例えば、「化学工業」1986年5月号P.45〜51の「近赤外吸収色素」、「90年代機能性色素の開発と市場動向」第2章2.3項(1990)シーエムシー)、「特殊機能色素」(池森・柱谷編集、1986年、(株)シーエムシー発行)、J.FABIAN、Chem.Rev.、92、pp1197〜1226(1992)、日本感光色素研究所が1995年に発行したカタログ、Exciton Inc.が1989年に発行したレーザー色素カタログ)あるいは特許に記載されている公知の染料が利用できる。
<微粒子>
本発明においては、撥インク処理部を構成する硬化膜の強度を高めるために、硬化膜厚みよりも小さな平均粒子径の無機粒子或は有機粒子を含有することが好ましい。特に、モース硬度が2以上の無機粒子が好ましい。粒子の大きさは、好ましくは0.003〜5μm、更に好ましくは0.005〜1μmであり、特に好ましくは100nm以下であり、もっとも好ましくは0.05〜0.1μmである。要するに、本発明においては、上記硬化膜形成用組成物が平均粒子径が100nm以下の無機粒子を含有するのが好ましい。
これらの微粒子の添加量は、硬化膜形成用組成物全固形分中1〜90質量%であることが好ましく、3〜80質量%であることがより好ましく、5〜60質量%であることがさらに好ましい。これらの範囲において、硬化膜の強度、硬度、耐擦れ性等の膜の機械的な強度が向上する。
又、平均粒子径が5〜100nmの超微粒子と平均粒子径が0.15〜5μmの微粒子とを併用する態様も好ましい。より好ましくは、平均粒子径が5〜80nmの超微粒子と粒子径が0.15〜3μmの微粒子を併用する。
超微粒子と微粒子とを併用する場合には、両者の合計量中、超微粒子の使用量を0.05〜85質量%とするのが好ましく、1〜75質量%がより好ましく、3〜65質量%が更に好ましい。これにより、硬化膜の強度が向上し、且つ硬化膜の表面形状として好ましい凹凸状態に制御することが出来る。
上記無機粒子の形状は、特に限定されないが米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状、不定形状が好ましい。該無機粒子は単独で用いてもよいが、2種類以上を併用して用いることもできる。
上記無機粒子としては、金属粒子(鉄、銅、ニッケル、ステンレス、錫、金、銀等)、金属窒化物(窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等)、金属酸化物(Mg、Ca、Si、Al、Ti、Zr、V、Nb、La、In、Ce、La、Ta、Y、Zn、Sb、B、Sn、Fe、W、Ir、Cr、Mo、Sr、Pt等の酸化物)、複合金属酸化物(前記記載金属等の複合酸化物)、金属炭酸塩(Ca、Ba、Mg等の炭酸塩)、金属硫化物(硫化亜鉛等)、金属硫酸塩(Ba、Ca、Sr等の硫酸塩)、金属ハロゲン化物(フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム等)、金属炭化物(炭化タングステン、炭化モリブデン、炭化ケイ素等)、炭素同素体(グラファイト、ダイヤモンド等)等を挙げることができる。
これらの中でも、インク液への耐久性等から金属窒化物、金属酸化物、複合金属酸化物が好ましい。さらに好ましくは金属酸化物、複合金属酸化物であり、そのなかで好ましいものとして酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミ、酸化ジルコを挙げることができる。
一般に無機粒子はバインダーポリマーとの親和性が悪いため単に両者を混合するだけでは界面が破壊しやすく、膜として割れやすく、膜の強度や耐傷性を改善することは困難である。そこで、無機粒子とバインダーポリマーとの親和性を改良するため、無機粒子表面を有機セグメントを含む表面修飾剤で処理することができる。表面修飾剤は、一方で無機粒子と結合を形成し、他方でバインダーポリマーと高い親和性を有することが好ましい。表面処理に用いる有機化合物としては、従来公知の金属酸化物や無機顔料等の無機フィラー類の表面改質剤を用いることができる。例えば、「顔料分散安定化と表面処理技術・評価」第一章(技術情報協会、2001年刊行)等に記載されている。
具体的には、該無機粒子表面と親和性を有する極性基を有する有機化合物、カップリング化合物があげられる。無機粒子表面と親和性を有する極性基としては、カルボキシ基、ホスホノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、環状酸無水物基、アミノ基等があげられ、分子中に少なくとも1種を含有する化合物が好ましい。例えば、長鎖脂肪族カルボン酸(例えばステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸等)、ポリオール化合物(例えばペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ECH変性グリセロールトリアクリレート等)、ホスホノ基含有化合物(例えばEO(エチレンオキサイド)変性リン酸トリアクリレート等)、アルカノールアミン(エチレンジアミンEO付加体(5モル)等)が挙げられる。
カップリング化合物としては、従来公知の有機金属化合物が挙げられ、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤、ジルコネートカップリング剤等が含まれる。具体的には、例えば特開2002−9908号公報同2001−310423号公報明細書中の段落番号「0011」〜「0015」記載の化合物等が挙げられる。
これらの表面処理には、2種類以上を併用することもできる。
上記有機粒子としては、例えば、高級脂肪酸金属塩(ステアリン酸亜鉛塩等)、(メタ)アクリレート樹脂、(メタ)アクリルアミド樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリシロキサン、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロースアセテート、ポリカーボネート、ナイロン樹脂、SBRやNBRなどの架橋ゴム微粒子等の樹脂微粒子等があり、またこれら複合体からなる微粒子が好ましい。2官能以上の重合基を有する単量体との共重合による内部架橋の有機架橋粒子も好ましく用いられる。
上記有機架橋粒子は軟質なゴム微粒子から硬質微粒子まで任意に選択できる。例えば、前記した硬度の高い無機架橋微粒子は、硬化樹脂層に対する添加量を上げていくと硬化収縮量や硬度は向上するが、もろく割れやすくなる場合がある。このような場合、硬度を任意に調節した有機架橋粒子を同時に添加することで割れにくくすることができ好ましい。また、硬度の高いコアと硬度の低いシェルまたは硬度の低いコアと硬度の高いシェルのようなコア−シェル粒子とすることもできる。また硬化樹脂層又は塗布溶媒中での分散安定性を確保する目的で親疎水性を変えたコア−シェル粒子とすることも好ましい。また、コアに無機架橋粒子からなる微粒子を用いた有機−無機複合微粒子とすることもできる。これら架橋微粒子をコア−シェル粒子とする場合、コア部とシェル部の両方が架橋されていてもよいし、いずれか一方が架橋されていてもよい。
[導電性微粒子]
上記硬化膜形成用組成物は、さらに導電性超微粒子を含有することが好ましい。これにより、特に含フッ素重合体成分を用いた場合に該含フッ素重合体成分に起因する膜の表面の帯電されやすさが抑制されて、ヘッド部分がインク液に接触していない場合の紙粉等の塵付着が抑制される。
導電性超微粒子としては、例えば、(株)東レリサーチセンンター調査部門編集「透明導電膜の現状と展望」第3章〜第4章((株)東レリサーチセンンター、1997年刊行)、技術情報協会編集「導電性フィラーの開発と応用」(技術情報協会、1997年刊行)等に記載の無機化合物が挙げられる。具体的には、ITO,ATO,Sb23,SbO2,In23,SnO2、導電性ZnO、AZO(ALをドープした酸化亜鉛)、五酸化アンチモン亜鉛等の導電性金属酸化物微粒子、窒化チタン、窒化ジルコニウム、窒化ハフニウム等の導電性窒化物、金、銀、銅等の金属粒子が挙げられる。好ましくは、ITO、ATO等の導電性酸化物粒子が挙げられる。
上記導電性超微粒子の平均粒子径は、0.001〜5μmであるのが好ましく、 0.005〜1μmであるのが更に好ましい。
(分散媒体)
本発明において、無機粒子の湿式分散に供する分散媒体は、水、有機溶媒から適宜選択して用いることができ、沸点が50℃以上の液体であることが好ましく、沸点が60℃〜180℃の範囲の有機溶媒であることがより好ましい。
分散媒体は、無機粒子及び分散剤を含む全分散用組成物の固形分が0.5〜50質量%となる割合で用いることが好ましい。更には、1〜30質量%が好ましい。この範囲において、分散が容易に進行し、得られる分散物は作業性良好な粘度の範囲となる。
分散媒体としては、アルコール類、ケトン類、エステル類アミド類、エーテル類、エーテルエステル類、炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類等が挙げられる。具体的には、アルコール(例、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノアセテート等)、ケトン(例、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、乳酸エチル、等)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチルクロロホルム等)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン等)、エーテル(例、ジオキサン、テトラハイドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル等)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール、エチルセルソルブ、メチルカルビノール等)が挙げられる。単独での2種以上を混合して使用してもよい。好ましい分散媒体は、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ブタノールが挙げられる。また、ケトン溶媒(例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)を主にした塗布溶媒系も好ましく用いられ、ケトン系溶媒の含有量がコーティング組成物に含まれる全溶媒の10質量%以上であることが好ましい。好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上である。
(無機粒子の超微粒子化)
上記無機粒子は、湿式分散方法による分散物とすることにより、該組成物の液の安定性が向上し、硬化膜形成用組成物から形成された硬化膜は、無機粒子が硬化膜のマトリックス中で超微粒子状態で均一に分散されて存在し、膜の強度が均一に向上できる。硬化膜のマトリックス中で存在する無機粒子の大きさは、平均粒径100nm以下とするのが好ましく、10〜100nmがより好ましい。特に10〜80nmが最も好ましい。
更には、硬化膜中には500nm以上の平均粒子径の大粒子が含まれないことが好ましく、300nm以上の平均粒子径の大粒子が含まれないことが特に好ましい。これらにより、分散粒子の粒度分布の単分散性が向上し、その結果、上記のような膜の強度が良化する。又硬化膜表面が上記した特定の凹凸形状を形成できる。
無機物粒子を上記の範囲の粗大粒子を含まない超微粒子の大きさに分散するには、前記の分散媒体と共に、平均粒径0.8mm未満のメディアを用いた湿式分散方法で分散するのが好ましい。
湿式分散機としては、サンドグラインダーミル(例、ピン付きビーズミル)、ダイノミル、高速インペラーミル、ペッブルミル、ローラーミル、アトライター、コロイドミル等の従来公知のものが挙げられる。特に本発明の酸化物微粒子を超微粒子に分散するには、サンドグラインダーミル、ダイノミル、及び高速インペラーミルが好ましい。
上記分散機と共に用いるメディアとしては、好ましくはその平均粒径が0.8mm未満であり、これにより無機粒子の平均粒子径が100nm以下となり、かつ粒子径を揃えることができる。メディアの平均粒径は、より好ましくは0.5mm以下であり、更に好ましくは0.05〜0.3mmである。
上記メディアとしては、ビーズが好ましい。具体的には、ジルコニアビーズ、ガラスビーズ、セラミックビーズ、スチールビーズ等が挙げられ、分散中におけるビーズの破壊等を生じ難い等の耐久性と超微粒子化の上から0.05〜0.2mmのジルコニアビーズが特に好ましい。
分散工程での分散温度は20〜60℃が好ましく、より好ましくは25〜45℃である。この範囲の温度で超微粒子に分散すると分散粒子の再凝集、沈殿等が生じない。これは、無機化合物粒子への分散剤の吸着が適切に行われ、常温下での分散剤の粒子からの脱着等による分散安定不良とならないためと考えられる。
このような範囲においてのみ、膜の強度、塗布面との密着性等に優れた硬化膜を形成できる。
また、上記湿式分散の工程の前に、予備分散処理を実施してもよい。予備分散処理に用いる分散機の例には、ボールミル、三本ロールミル、ニーダーおよびエクストルーダーが含まれる。
更には、分散物中の分散粒子がその平均粒径、および粒子径の単分散性が上記した範囲を満足する上で、分散物中の粗大凝集物を除去するためにビーズとの分離処理において精密濾過されるように濾材を配置することも好ましい。精密濾過するための濾材は濾過粒子サイズ25μm以下が好ましい。精密濾過するための濾材のタイプは上記性能を有していれば特に限定されないが例えばフィラメント型、フェルト型、メッシュ型が挙げられる。分散物を精密濾過するための濾材の材質は上記性能を有しており、且つ塗布液に悪影響を及ばさなければ特に限定はされないが例えばステンレス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン等が挙げられる。
(硬化膜形成用組成物の他の成分)
本発明の硬化膜は、更に用途・目的によって適宜他の化合物を添加することが出来る。例えば、前記の成分(硬化剤、硬化促進剤、無機粒子など)以外に、樹脂、界面活性剤、帯電防止剤、カップリング剤、増粘剤、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤等を添加することもできる。
[撥インク処理部の形成]
本発明のインクジェット記録ヘッドは、インクジェット記録ヘッドの基体に上記硬化膜形成用組成物を塗布し、硬化させるなどして硬化膜を形成し、撥インク処理部を設けてなるものである。
具体的には、図1に示すように、ヘッドにおけるノズルプレート1は、ノズル孔2の周辺部(周縁)に硬化膜が形成されて撥インク処理部3が形成されている。
以下、撥インク処理部の形成方法について説明すると、該撥インク処理部は、後述する基体に直接、又は、他の層を介して上述硬化膜形成用組成物からなる塗布液を塗布して構築することが好ましい。
上記塗布液は、ブロック共重合体を含むマトリックスバインダー溶液、必要に応じて用いる上記硬化剤及び上記硬化促進剤、上記微粒子(特に上記無機粒子)、並びに添加剤を塗布用分散媒に各々所定の濃度に混合・希釈して調整される。
塗布に用いる塗布液は、塗布前に濾過することが好ましい。濾過のフィルターは、塗布液中の成分が除去されない範囲でできるだけ孔径の小さいものを使うことが好ましい。濾過には絶対濾過精度が0.1〜100μmのフィルタが用いられ、さらには絶対濾過精度が0.1〜25μmであるフィルタを用いることが好ましく用いられる。フィルタの厚さは、0.1〜10mmが好ましく、更には0.2〜2mmが好ましい。その場合、ろ過圧力は15kgf/cm2 以下、より好ましくは10kgf/cm2 以下、更には2kgf/cm2 以下で濾過することが好ましい。
ろ過フィルター部材は、塗布液に影響を及ぼさなければ特に限定されない。具体的には、前記した無機化合物の湿式分散物のろ過部材と同様のものが挙げられる。
又、濾過した塗布液を、塗布直前に超音波分散して、脱泡、分散物の分散保持を補助することも好ましい。
本発明の發インク処理部(硬化膜)の厚みは、特に限定はされないが、0.01〜100μmが好ましく、0.1〜10μmがさらに好ましく、0.5〜5μmが特に好ましい。
硬化膜形成用組成物の塗布は、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法やエクストルージョンコート法等の公知の薄膜形成方法で塗布し、乾燥、光及び/又は熱照射することにより作製することができる。好ましくは、光照射による硬化が、迅速硬化から有利である。更には、光硬化処理の後半で加熱処理することも好ましい。
光照射の光源は、紫外線光域或いは近赤外線光のものであればいずれでもよく、紫外線光の光源として、超高圧、高圧、中圧、低圧の各水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、メタルハライド灯、キセノン灯、太陽光等が挙げられる。波長350〜420nmの入手可能な各種レーザー光源をマルチビーム化して照射してもよい。また、近赤外光光源としてはハロゲンランプ、キセノンランプ、高圧ナトリウムランプが挙げられ、波長750〜1400nmの入手可能な各種レーザー光源をマルチビーム化して照射してもよい。
近赤外光光源を用いる場合、紫外線光源と組み合わせて用いる、或は硬化膜塗設側と反対の基体面側より光照射しても良い。塗膜層内の深さ方向での膜硬化が表面近傍と遅滞無く進行し均一な硬化状態の硬化膜が得られる
ラジカル重合の場合は、空気又は不活性気体中で行なうことができるが、ラジカル重合性モノマーの重合の誘導期を短くするか、又は重合率を十分に高める等のために、できるだけ酸素濃度を少なくした雰囲気とすることが好ましい。光重合の場合の照射する紫外線の照射強度は、0.1〜100mW/cm2程度が好ましく、塗布膜表面上での光照射量は100〜1000mJ/cm2が好ましい。また、光照射工程での塗布膜の温度分布は、均一なほど好ましく、±3℃以内が好ましく、更には±1.5℃以内に制御されることが好ましい。この範囲において、塗布膜の面内及び層内深さ方向での重合反応が均一に進行するので好ましい。
[インクジェット記録ヘッドの基体]
本発明において用いるインクジェット記録ヘッドの基体は、従来公知の微小液滴を噴射する液体吐出ヘッドであれば何れでもよい。例えば、Pond Stephen F.「Inkjet Technology and ProductDevelopmentStrategies」(TorreyPines、2000年刊)、甘利武司監修「インクジェットプリンター技術と材料」((株)シーエムシー、1998年刊)、(「インクジェット記録とプリンター記録方式とプリントヘッドの開発」((株)シーエムシー、2000年刊)等に記載の各種記録方式のヘッドが挙げられる。具体的には、帯電制御型、加圧振動型等のコンティニアス方式、電気−機械変換方式(ピエゾ型等)、電気−熱変換方式(バブルジェット型)、静電吸引方式、超音波方式等のオンデマンド方式が挙げられる。
上記撥インク処理部は、上記のような各種記録ヘッドのインク吐出部周辺に処理されることが好ましい。例えば、特に図示しないが、インクを吐出する吐出口とこの吐出口に連通するインク路とを有するインクジェット記録ヘッドと、前記インク路にインクを供給するためのインク供給部材とを有する記録ヘッドユニットと、前記インク供給部材によって前記インク路に供給されるインクを貯留するためのインクタンク部とを備えたインクジェット記録ヘッドにおいて、例えば、図1に示すような吐出部(ノズル)形成部材のノズル孔先端の周辺部が撥インク処理されることが好ましい。然し、記録方式やヘッドの構造等により、これに限定されるものではない。
撥インク処理は、ノズルプレートにノズルを穿孔する前でも後でも何れでもよい。
ノズルプレートに穿孔されるノズル径は、インク液滴が吐出する先端の大きさが、直径15〜100μmが好ましく、より好ましくは20〜60μmである。
これらのノズルの穿孔方法としては、例えばプレス加工、電鋳加工、エキシマレーザー加工、フォトファブリケーション方法等が挙げられる。
又、ノズル穿孔後に撥インク処理加工を行う場合には、孔内部をレジストで塞ぎ、処理した後レジストを取り除く方法、ノズルに気体流を流しながら処理する方法等が好ましく行われる。又、撥液性被膜のインク吐出孔内部への入り込み位置及び入り込み量を精密に制御する方法としてのマスキング方法も好ましい。
又、ノズルプレートをヘッド部に撥インク処理後に接着する場合は、該プレートの裏面を撥液処理しない
本発明に供されるノズルプレートは、従来公知の基体が用いられる。例えば、金属、セラミックス、シリコン、ガラス、プラスチック等で形成される。例えば、チタン、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、スズ、金等の単一もしくはニッケルーリン合金、スズ−銅−リン合金(リン青銅)、銅−亜鉛合金、ステンレス鋼40 等の合金や、熱硬化、耐溶剤性、耐薬品性、耐熱性のある有機樹脂材料(例えば、熱硬化性ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレン、ポリカーボネート、ポリサルフォン、ABS 樹脂(アクリルニトリル・ブタジエン・スチレン供重合)、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアセタール、サルファイド等)各種の感光性樹脂で形成された材料等が挙げられる。
また、これらの材料を積層に貼り合わせて用いることも出来る。例えば、有機樹脂材料と、金属やセラミックス等の高剛性の無機材料とを接合することでノズルプレート全体の剛性を高めることができる。すなわち、有機樹脂材料のヤング率は100〜300Kg/mm2程度であり、金属の8000〜15000Kg/mm2、セラミックスの10000〜20000Kg/mm2に比較すると、はるかに小さいため、有機樹脂材料だけではインクジェットの駆動圧力に対して追随して変形することがあり、圧力損失が生じてインク滴速度Vjが低下するが、樹脂材料の下に高剛性材料を薄膜接着剤(接着層)で張り合わせることで全体剛性を向上させる。
プレートの厚みは、加工強度、加工に要するエネルギー負荷、ヘッドとしての軽量性等から30〜50μm程度が好ましい。
本発明の撥インク処理部の硬化膜が形成される基体の面は、凹凸を形成していることが好ましい。
撥インク処理部の硬化膜とのアンカー効果により該硬化膜との密着性が保持され、該硬化膜の強度が向上される。
撥インク処理部の硬化膜が形成される基体の面の表面形状は、JISB0601−1994に基づく表面凹凸の算術平均粗さ(Ra)が0.5μm以下、十点平均粗さ(Rz)との比(Ra/Rz)が0.1以上、最大高さ(Ry)0.5μm以下、且つ表面凹凸平均間隔(Sm)が0.005〜1μmとなる範囲であることが好ましい。より好ましくは、Raが0.01〜0.3μm以下、十点平均粗さ(Rz)との比(Ra/Rz)が0.15以上、最大高さ(Ry)μm以下、且つ表面凹凸平均間隔(Sm)が0.001〜0.5μmである。
この範囲において、撥インク処理部の硬化膜の均一な塗布性と密着性を良好に保持することが出来、好ましい。
さらに又、基体に直接撥インク処理部の硬化膜を形成する代わりに、後記する中間層を介する場合にも、撥インク処理部の硬化膜が形成される中間層の表面に凹凸形状を付与した後に該硬化膜形成用組成物を塗設することが好ましい。好ましい表面凹凸状態は、上記したと同様の範囲である。
<中間層>
本発明においては、上記のノズルプレート(基体)と硬化膜との間に少なくとも1層の中間層を設けてもよい。該中間層は、密着性、ハードコート性、プライマー性、導電性等の機能を持たせることが好ましい。
中間層としては、密着性を持つことが好ましく、無機層、有機層、無機−有機ハイブリッド層の何れでもよく、密着性の観点から基体と撥インク処理部の組み合わせで適宜に選択される。中間層は、ハードコート性(鉛筆硬度が2以上、好ましくは3以上となる層)を併せ持つことが好ましい。更に、導電性が付与されることも好ましい。
有機層、或は無機−有機ハイブリッド層から成る場合に、中間層は、光及び/又は熱の硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、多官能モノマーや多官能オリゴマー或いは加水分解性官能基含有の有機金属化合物を含む塗布組成物を透明支持体上に塗布し、架橋反応、又は、重合反応させることにより形成することができる。
硬化性官能基としては、光重合性官能基が好ましく、又加水分解性官能基含有の有機金属化合物は有機アルコキシシリル化合物が好ましい。更に前記の撥インク処理部の硬化膜形成用組成物の微粒子を適宜併用することでハードコート性が向上する。更に、前記の導電性微粒子を含有することで導電性が付与できる。
中間層が、本発明の撥インク処理部の直下の層の場合には、該層の表面は、凹凸を形成していることが好ましい。
撥インク処理部の硬化膜とのアンカー効果により該硬化膜との密着性が保持され、撥インク硬化膜の強度が向上される。
中間層の好ましい表面形状は、前記した撥インク処理部の硬化膜が形成される基体の面の表面形状の値と同様の範囲である。
[凹凸形状付与の方法]
上記のような微細な凹凸形状を、撥インク処理部の硬化膜が形成される、基体または中間層の面に形成する方法は、従来公知の基体表面の形状を改質する、中間層自身が形成されたときに表面状態が微細な凹凸状となる中間層とする、或はこれらを組み合わせる方法を用いることが出来る。
基体表面の形状改質方法としては、例えば、ドライエッチング方法、基体が有機層の場合には更にエンボス版或は貼型用シートから凹凸をフィルム表面に転写するエンボス加工方法等が挙げられる。
ドライエッチング方法としては、例えば、水町浩、鳥羽山 満、監修「表面処理技術ハンドブック−接着・塗装から電子材料まで−」第2編第3節((株)エヌ・ティー・エス、2000年刊行)、田附重夫等編、「高分子のビーム加工−光・プラズマ・放射線の利用−」((株)シーエムーシー、1986年刊行)、上條栄治監修、「プラズマ・イオンビーム応用とナノテクノロジー」第1章〜第4章((株)シーエムーシー、2002年刊行)等に記載のグロー放電エッチング、フレームプラズマエッチング、コロナ放電エッチング、電子線エネルギー照射エッチング等が挙げられる。
又、エンボス加工方法としては、平板版プレス、連続ベルト版プレス、ロール版プレスのいずれも採用できる。この内、帯状物の連続加工として連続ベルト版プレスとロール版プレスが、さらにプレス圧やプレス温度の自由度の観点でロール版プレスが最も好ましい。
表面凹凸となる中間層としては、例えば、加水分解性基含有の有機金属化合物の加水分解から得られるゾル−ゲル反応物を塗布し、加熱或はプラズマ照射にして得られる金属酸化物膜、光及び/又は熱硬化性化合物と微粒子を含む組成物と塗設して得られる硬化膜等が挙げられる。
<撥インク処理部の特性>
(表面の形状)
撥インク処理部の表面、すなわちノズル孔の吐出口がある面の形状が、表面凹凸の算術平均粗さ(Ra)が1μm以下、最大高さ(Ry)が3μm以下、且つ表面凹凸平均間隔(Sm)が15μm以下となる範囲であることが好ましい。更には、(Ra)が0.01〜0.5μm、最大高さ(Ry)2μm以下、且つ表面凹凸平均間隔(Sm)が0.02〜10μm以下となる範囲であることが好ましい。
このような表面状態とすることで、ゴムや布等からなるワイパを用いてノズル開口面を拭くワイピングに対して、撥インク処理部の撥インク性が充分に保持される。
(帯電防止性)
撥インク処理部の表面に帯電圧を与えその減衰を測定したとき、帯電量が初期の1/2となるのに要する時間(以下、帯電圧半減期と記す)が60秒以下であることが好ましい。特に、帯電圧半減期が30秒以下である場合は効果が高く望ましい。帯電圧半減期を60秒以下とすることにより、該撥インク処理部を設けた後の帯電防止性の効果が充分となり、ワイピング操作等での塵埃の付着防止効果が減少し好ましい。
帯電圧半減期を測定する具体的な方法を以下に記す。まず物品の表面の帯電圧を静電位計でモニターしながら、直流コロナ放電によって表面を帯電させる。放電と共に帯電圧が上昇しある電位で飽和するのでこの電位を飽和電圧とし、放電を止め、その瞬間から帯電圧が飽和電圧の1/2となるまでの時間を測定する。
[インクジェット記録装置]
上記硬化膜形成用組成物は微小液滴を噴射するインクジェット記録ヘッドの撥インク処理部に供することが出来る。このような撥インク処理部を有するインクジェット記録ヘッドは、インクジェット記録方式のいずれの記録ヘッドにも用いることが出来る。具体的には、前記した記録ヘッドの項に記載の刊行物等に記載の内容が挙げられる。
更には、本発明は、インクジェット記録装置以外の小さいノズルを通して微小液滴を射出する適宜の装置であって、ノズルプレート上に撥液特性を必要とする適宜の機器に適用し得、該液としては塗料(ワニス)、溶媒、医薬流体等が挙げられる。
以下に本発明の具体的な実施例を記述するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<高分子開始剤(Q)の合成例>
高分子開始剤(Q)の合成例1:高分子開始剤(Q−1)
1,6−ヘキサンジオール26.4g、トリシクロ〔5.2.1.02,6〕デカン−8,9−ジカルボン酸38g、ジブチルスズオキサイド0.01g及びメシチレン150gの混合物をDean-Stark環流装置を付したフラスコ中で攪拌しながら環流下に8時間加熱した。トルエン溶媒とともに共沸で留去された水の量は約3.5gであった。室温に冷却後、メタノール800ml中に再沈し、液状物をデカント後補集し、減圧下に乾燥した。
得られた反応生成物を、ジメチルホルムアミドに溶解し、0.1mol/lナトリウムメチラートメタノール溶液で電位差滴定する方法によりヒドロキシル基及びカルボキシル基を測定したところ、各々300μmol/gとなった。
上記反応生成物の固形物50g、下記ジチオカーバメイト化合物12g、及びテトラヒドロフラン200gの混合物を室温で攪拌下に溶解した。ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)10.2g、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン0.2g及びテトラヒドロフラン50gの混合溶液を、攪拌下に上記混合物に1時間で滴定した。更にそのまま4時間攪拌した。
DCC溶液を滴下するにつれ、不溶の結晶が析出した。反応混合物中に3%ギ酸水溶液3gを加えて、室温で2時間攪拌した。反応混合物をセライトを用いた吸引濾過で濾別し、濾液をメタノール500mlに再沈し、固形物を濾集した。これをテトラヒドロフラン100mlに溶解した後、メタノール500リットル中に再度再沈し、固形物を補集後、減圧乾燥した。得られた生成物の収量は42gで、質量平均分子量Mwは2×104であった(Mwはゲルパーミエーションクロマトグラフィー法のポリスチレン換算値)。分析した結果、下記化44に示す高分子開始剤(Q−1)であることが判った。得られた高分子開始剤(Q−1)を、上記と同様の電位差滴定方法でヒドロキシル基量を測定したところ、3μmol/gで、反応率は99%であった。
Figure 2005096212
高分子開始剤(Q)の合成例2:高分子開始剤(Q−2)
ビスフェノールAエトキシレート (Aldrich社製)80.8g、無水コハク酸1.0g、p−トルエンスルホン酸1水和物1.6g及びトルエン200gの混合物を、Dean-Stark環流装置を付したフラスコ中で攪拌しながら環流下に6時間加熱した。
冷却後、メタノール1リットル中に再沈し、沈降物を補集・減圧乾燥して、収量88gの反応生成物を得た。この反応物をトルエンに溶解し、0.1mol/l水酸化カリウムとメタノール溶液で中和滴定する方法によりカルボキシル基含量を測定し、250μmol/gとなった。
次に上記反応生成物50g、下記ザンテート化合物13g、及びトルエン150gの混合溶液とt−ブチルハイドロキノン0.3gを混合した後、DCC10.3g、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン0.1g及び塩化メチレン30gの混合溶液を攪拌下に上記混合物に1時間で滴下した。更に、そのまま、4時間攪拌した。
反応混合物を200メッシュのナイロン布を通して、不溶物を濾別した。濾液をメタノール800ml中に再沈し、粉末を濾集した。これを塩化メチレン100gに溶解し、再度メタノール500ml中に再沈した。粉末を濾集し、減圧下に乾燥し、Mw1.2×104の下記化45に示す高分子開始剤(Q−2)を35g得た。この高分子開始剤を前記の中和滴定法により滴定して残存するカルボキシル基含量を測定した所、0.5μmol/gとなり、反応率は99.8%であった。
Figure 2005096212
高分子開始剤(Q)の合成例3:高分子開始剤(Q−3)
高分子開始剤(Q−1)50g、下記化46のジチオカーバメイト化合物10.5g、塩化メチレン150gの混合溶液に、DCC6g、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン0.1g及び塩化メチレン10gの混合溶液を温度20〜25℃で攪拌下に30分間で滴下し、そのまま更に4時間攪拌した。この反応混合物にギ酸5gを加えて1時間攪拌した後、析出した不溶物を濾別した。濾液をメタノール1リットル中に再沈し、溶媒をデカンテーションで取り除き沈殿物を補集し減圧乾燥し下記化46に示す高分子開始剤Q−3を得た。得られた高分子開始剤は、収量28gでMwは2×104であった。
Figure 2005096212
高分子開始剤(Q)の合成例4:高分子開始剤(Q−4)
1,3−シクロヘキサンジカルボン酸43.0g、1,4−シクロヘキサンメタンジオール36.1g及びジブチルスズオキサイド0.005gの混合物を窒素雰囲気に温度140℃に加熱した。減圧度2.67kPaで1時間攪拌後、温度160℃で減圧度0.67kPaで3時間攪拌した。
次にこの反応混合物に、1,4−シクロメタンジオール5gを加えて、上記と同様に温度160℃で減圧度0.67kPaで2時間攪拌した。
放冷後、トルエン180gを加えて溶解した後、メタノール1リットル中に再沈し、沈降物を補集・減圧乾燥して、収量72gを得た。
上記反応生成物50g、下記化47のジチオカーバメイト化合物20gを用いて、前記の高分子開始剤(Q)の合成例1と同様のDCCを用いる方法で合成を行い、下記化47に示す高分子開始剤(Q−4)を得た。収量45gで、Mw3×104であった。
Figure 2005096212
マクロモノマー(M)の合成例1:マクロモノマー(M−1)
1,4−シクロヘキサンメタンジオール72.1g、無水コハク酸50g、p−トルエンスルホン酸1水和物0.7g及びキシレン200gの混合物を、前記高分子開始剤(Q)合成例2と同様にして反応させて反応混合物を得た。
次に、アクリル酸8.6g及びトルエン75gの混合溶液とt−ブチルハイドロキノン0.5gを上記反応混合物に加えた後、更に攪拌しながら環流下に4時間反応した。室温に冷却後、メタノール1リットル中に再沈し、析出した固形物を濾取し、減圧乾燥し、下記化48に示すマクロモノマー(M−1)を得た。収量は67gで、得られたマクロモノマー(M−1)の重量平均分子量は8×103であった。
Figure 2005096212
マクロモノマー(M)の合成例2:マクロモノマー(M−2)
下記化49に示す構造のジオール化合物64.5g、無水グルタル酸28.6g、p−トルエンスルホン酸0.4g及びメシチレン220gの混合物を、上記高分子開始剤(Q)合成例2と同様にして反応させした。
室温に冷却後、メタノール1リットル中に再沈し、沈殿物を濾集し減圧乾燥して固形物を得た。得られた固形物50gを用いて、前記高分子開始剤(Q)の合成例1に記載のDCCを用いる方法で、下記化49に示す構造の重合性モノマーを用いて反応を行い、下記化49に示すマクロモノマー(M−2)40gを得た。Mwは7×103であった。
Figure 2005096212
<AB型ブロック共重合体(PI)の合成例>
ブロック共重合体(PI)の合成例1:AB型ブロック共重合体(PI−1)
2−パーフルオロオクチルエチルメタクリレート31.9g、グリシジルメタクリレート5.6g、高分子開始剤(Q−1)12.5g及びテトラヒドロフラン50gの混合物を窒素気流下に温度50℃に加温し均一溶液とした。この溶液に400Wの高圧水銀灯で10cmの距離から、ガラスフィルターを通して、8時間光照射重合して重合物を得た。
得られた重合物をメタノール800ml中に再沈し、沈殿物を捕集し乾燥して収量42gで、下記化50に示すブロック共重合体(PI−1)を得た。Mwは5×104であった。
Figure 2005096212
[ ]及び( )外の添え字数値は各成分の質量比を表す。
ブロック共重合体(PI)の合成例2:AB型ブロック共重合体(PI−2)
400rpmで作動する攪拌機を備えた2リットル AISI 316 オートクレーブの側壁に石英の丸窓を挿入し、該石英の丸窓に合わせてHanau(商標登録)TQ−150 UVランプを配置した。このランプは高圧水銀灯であって、240〜600nmの光を発し、波長240〜330nmの光では13.2Wのエネルギーを有する。
この装置に、下記化51に示す構造の単量体10.5g、高分子開始剤(Q−2)30g及びテトラヒドロフラン100gを仕込み、系内を脱気して窒素ガスで置換した。さらにヘキサフルオロプロパン60gをオートクレーブ中に導入して45℃まで昇温した。10時間反応を続けた後、加熱を止め放冷した。室温まで内温が下がった時点で、オートクレーブを開放して反応液を取り出した。これをメタノール1.0リットル中に再沈させ、沈殿物を捕集し、乾燥して収量83gで下記化51に示すブロック共重合体(PI−2)を得た。そのMwは6×104であった。
Figure 2005096212
ブロック共重合体(PI)の合成例3:AB型ブロック共重合体(PI−3)
ヘキサフルオロプロパン55g、下記化52に示す構造の単量体6g、下記構造の高分子開始剤(Q−5)40gの混合物を用いて、ブロック共重合体(PI)の合成例1と同様にして重合反応を行い重合体を得た。収量は86gでMwは4×104であった。
この重合体50g及びアクリル酸4.1gをクロロホルム120gに溶解し、これに温度25℃で攪拌下にDCC16.1g、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン0.1g及びメチレンクロライド37gの混合溶液を加えて、3時間攪拌し、更に温度35℃で2時間攪拌した。
次に、30%ギ酸水溶液10gを加えて1時間攪拌した後、生成した不溶物を濾別した。濾液をメタノール1リットル中に再沈して、沈殿物を捕集し減圧乾燥して、下記化52に示すブロック共重合体(PI−3)を得た。収量43gでMwは3.5×104であった。
Figure 2005096212
<ABA型のブロック共重合体(PII)の合成例>
ブロック共重合体(PII)の合成例1:ABA型ブロック共重合体(PII−1)
2−パーフルオロドデシルエチルメタクリレート24g、下記化53に示す構造の単量体6g、高分子開始剤(Q−4)20g及びテトラヒドロフラン50gの混合物を用いて、合成例(PI−1)と同様にして下記化53に示すブロック共重合体(PII−1)を得た。収量43gでMwは4×104であった。
Figure 2005096212
ブロック共重合体(PII)の合成例2:ABA型ブロック共重合体(PII−2)
パーフルオロプロパン27g、下記構造の単量体3g、高分子開始剤(Q−3)20g及びテトラヒドロフラン50gの混合物を用いて、合成例(PI−2)と同様にして下記化54に示すブロック共重合体(PII−2)を得た。収量41gでMwは4.5×104であった。
Figure 2005096212
<クシ型のブロック共重合体(PIII)の合成例>
ブロック共重合体(PIII)の合成例1:クシ型ブロック共重合体(PIII−1)
2−パーフルオロオクチルエチルメタクリレート60g、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート15g、マクロモノマー(M−1)25g、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン1.0g及びトルエン200gの混合物を、窒素気流下に攪拌しながら温度70℃に加温した。これに、2,2−アゾビスイソブチロニトリル(略称AIBN)0.5gを加えて5時間反応し、更に、AIBN 1.0gを加えて、温度80℃に加温して4時間反応した。室温に冷却後、メタノール1.0リットル中に再沈して、沈殿物を捕集し乾燥し、下記化55に示すブロック共重合体(PIII−1)を得た。収量85gでMwは3.0×104であった。
Figure 2005096212
ブロック共重合体(PIII)の合成例2:クシ型ブロック共重合体(PIII−2)
内容量500mlのステンレス製攪拌機付きオートクレーブに、下記化56に示す構造の単量体5g、マクロモノマー(M−2)15g、開始剤A.I.B.N. 1.0g及びメチルエチルケトン93gを仕込み、系内を脱気して窒素ガスで置換した。
更に、パーフルオロジアリルエーテル30gをオートクレーブ中に導入して70℃まで加温した。このまま4時間反応後、A.I.B.N. 0.5gをテトラヒドロフラン5mlに溶解した液を窒素ガス圧を利用して添加した。
更に6時間反応を続けた後、加熱を止め放冷した。室温まで内温が下がった時点で、オートクレーブを開放して反応液を取り出し、メタノール800ml中に再沈した。沈殿物を捕集し、乾燥して収量44gで下記化56に示すブロック共重合体(PIII−2)を得た。重合体のMwは6×104であった。
Figure 2005096212
ブロック共重合体(PIII)の合成例3:クシ型ブロック共重合体(PIII−3)
パーフルオロアリルビニルエーテル65g、下記化57の構造の単量体15g、下記構造のマクロモノマー(M−3)20g及びメチルエチルケトン230gを用いて、合成例(PIII−2)と同様にして、重合反応を行なった。次に、この反応混合物を温度60℃に設定し、テトラブトキシチタネート0.03gを加えて攪拌した。
2−メタクリロイルオキシエチルイソシアナート9.7g、2,5−t−ブチルハイドロキノン0.01g及びトルエン25gの混合溶媒を上記反応混合物に5分間で滴下し、そのまま4時間攪拌した。
室温に冷却後、メタノール1リットル中に再沈し沈殿物を捕集し、減圧乾燥して下記化57に示すブロック共重合体を得た。収量87gでMw5×104であった。
Figure 2005096212
ブロック共重合体(PIII)の合成例4〜8:クシ型ブロック共重合体(PIII−4)〜(PIII−8)
クシ型ブロック共重合体の合成例(PIII)の合成方法と同様にして、下記表1に示す各重合体を合成した。各重合体の収率は80〜85質量%であり、MWは4〜6×104の範囲であった。
Figure 2005096212
(実施例1及び比較例1〜2)
<硬化膜形成用組成物からなる塗布液(HL−1)>
ブロック共重合体(PII−2)5.4質量部、エポキシ系硬化剤DEX314(ナガセ化成工業(株)製)1.1質量部(固形分量として)、パラトルエンスルホン酸0.35質量部及びメチルエチルケトン38.8質量部の混合物を攪拌して撥インク性層用塗布液(HL−1)を調製した。
<撥インク処理部が形成されたノズルプレートの作成>
ノズルプレートとして厚さ125μmのポリイミドシート(宇部興産(株)製)を用い、図1に示す構造のインクジェット記録ヘッドを作成した。詳細には、予めノズルプレート1のノズル孔部分をプレートの裏面側からポジレジストで保護したノズルプレート1の表面に、撥インク性層用塗布液(HL−1)をバーコーターを用いて硬化後の膜厚が1μmとなるように塗布した。塗布後に1分間風乾し、その後、120℃で30分間加熱し、その後室温まで放冷して撥インク性層を形成した。その後、レジストを除去して撥インク処理部が形成されたインクジェット記録ヘッドを構成するノズルプレート(HP−1)を作製した。
[比較例1]
実施例1で用いた塗布液(HL−1)の代わりに、下記内容の比較用塗布液(HL−R1)を用いた他は、実施例1と同様にして、ノズルプレート(HP−R1)を作製した。
<比較用撥インク性層用塗布液(HL−R1)の調製>
下記化58に示す構造のパーフルオロオレフィン共重合体(FPR)3.2質量部、前記ブロック共重合体(PII)の合成例2で用いたポリエステル高分子開始剤の前駆体となるポリエステル(下記化58に示すPER)2.2質量部、エポキシ系硬化剤DEX314を1.1質量部(固形分量として)、パラトルエンスルホン酸0.35質量部、フロリナートFC−75を35質量部及びテトラヒドロフラン5質量部の混合物を超音波分散機で攪拌して、含フッ素ポリマーとポリエステルとの混合物である撥インク処理部形成用の塗布液(HL−R1)を調製した。
Figure 2005096212
[比較例2]
実施例1において、撥インク性層用塗布液(HL−1)の代わりに、下記内容の比較用塗布液(HL−R2)を用いた他は、実施例1と同様にして、ノズルプレート(HP−R2)を作製した。
<撥インク性層用塗布液(HL−R2)の調製>
上記の比較用パーフルオロオレフィン共重合体(FPR)5.4質量部、エポキシ系硬化剤DEX314を1.1質量部(固形分量として)、パラトルエンスルホン酸0.35質量部、フロリナートFC−75を35質量部及びテトラヒドロフラン5質量部の混合物を超音波分散機で攪拌して、含フッ素ポリマーとポリエステルとの混合物である撥インク処理部形成用の塗布液(HL−R2)を調製した。
<硬化膜の評価>
得られた各硬化膜(実施例1及び比較例1〜3)について、下記性能評価を実施した。その結果を表2に示す。
(1)塗布面状
撥インク性層表面を目視で観察し、塗布スジ、ムラ等の塗布面状の程度を以下の基準で評価した。
○:塗布スジ、ムラが認められない。
△:僅かにスジ或はムラが見られる。
×:塗布スジ、ムラが著しい。
(2)(密着性)
硬化処理フィルムおよび硬化処理ガラス試料の硬化樹脂層表面にカッターによって1mm×1mmのクロスハッチ(升目)を100個入れ、温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間放置した後、その上にセロテープ(登録商標;ニチバン(株)製)を貼り付け、該セロテープを剥がしたときに硬化被膜がフィルム基材から剥がれた升目の数を計測し、以下の基準で評価した。
◎:100升において剥がれが全く認められなかったもの
○:100升において剥がれが認められたものが2升以内のもの
△:100升において剥がれが認められたものが10〜3升のもの
×:100升において剥がれが認められたものが10升をこえたもの
(3)耐磨耗性
膜表面をスチールウール#0000を用いて、200gの荷重下で10回擦った後に、傷のつくレベルを確認した。判定は次の基準に従った。
◎:全くつかない
○:僅かに細かい傷が散見する
△:細かい傷がつく
×:傷が著しい
(4)水滴滑溶性
撥インク性膜を蒸留水中に浸し、超高速洗浄機中で1分間洗浄した後、風乾し、25℃、65%RHの環境下で、傾斜摩擦計HEIDON 47L−388(新東科学(株)製)を用いて、サンプル表面に10μlの蒸留水の水滴を滴下し、水滴の転がる角度を測定した。以下の基準で評価した。
◎:水滴の転がる角度が10度未満。
○:水滴の転がる角度が10度以上乃至30度未満
△:水滴の転がる角度が30度以上乃至50度未満
×:水滴の転がる角度が50度以上
(5)撥インク性
下記組成のインクに50℃の雰囲気下で3日間の浸漬を行い撥インク性を調査した。浸漬前と殆ど変化がないものをA、撥インク性が劣化したものをBとした。
インク組成:純水/グリセリン/ブラック(水溶性黒色染料)/N−メチルピロリドン (70/15/3/12)質量部
○:ノズル表面にインク滴が殆ど無い
△:ノズル表面に小さいインク滴が見られる。
×:ノズルの吐出口近傍に大きなインク滴がある
(6)耐久性
撥インク処理したノズルプレートの撥インク性膜表面を下記の条件でワイピング操作(クリーニング操作)を行った後に、ノズルプレートを実際のインクジェットヘッドに搭載して画像を記録紙上に印字し、ワイピング操作を行わなかった初期段階のノズルプレートの印字資料との差異の有無を下記の基準で評価した。
・ワイピング操作
ノズルプレートの撥インク膜表面を、厚さ1mmのポリエレタンゴムからなるワイパーで、ワイピング速度100mm/sec.、ノズル面へのワイパーの食い込み量0.6mmの条件でインクを濡らした状態で1万回ワイピング操作をした。
・印字品質
○:ドット抜け及び着弾位置ズレが無く、印字品質良好
△:ドット抜け及び着弾位置ズレはあるが、文字の判別可能
×:著しくドット抜け及び着弾位置ズレを生じ、文字の判別も不可能
Figure 2005096212
表2に示す結果から明らかなように、撥インク処理部が設けられた本発明のインクジェット記録ヘッド(HP−1)は、撥インク性膜の塗布性が良好で膜表面の面状は均一で良好であった。膜の密着性、耐磨耗性も実用上充分な性能を示した。更に、微小水滴の滑落角度は、わずか10度の傾斜角度で滑り落ちた。この事は、液滴の撥水性が極めて良好なことを示している。又、撥インク性の耐久性も良好であった。更に、インクジェット記録装置での耐久性を実際の印字品位で評価した所、耐久試験前の印字品質を充分に保持した。
一方、本発明のブロック共重合体(PII−2)を構成する含フッ素重合体部に相当する含フッ素ポリマー(FPR)とポリエステル部に相当するポリエステル重合体(PER)とをブレンドして硬膜した比較例1(HP−R1)は、膜の面状が良くなく且つ膜の強度が低く、耐久性試験の結果も不良となった。含フッ素ポリマー(FPR)自身の有機溶媒への溶解性が不良で特定のフッ素系溶媒系の塗布液を用いたが塗布面状が悪化した。また、ポリマー(FPR)を硬膜した比較例2(HP−R2)も、比較例1と同様に膜の密着性、水滴滑落性が不足し、耐久性印字が低下した。 以上のことから、実施例1のみが均一な薄膜を容易に形成でき且つ得られた撥インク処理ノズルプレートのインクジェット記録装置として撥インク性及びワイピングへの耐久性に優れた性能を示したことが判る。この結果は、プレート材質をポリサルフォンシート、ステンレスシートに代えて用いても全く同等であった。
(実施例2)
<撥インク部形成用の塗布液(HL−2)>
上記ブロック共重合体(PI−3)75質量部、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)25質量部に、下記内容の無機微粒子分散物100質量部、メチルエチルケトン33質量部、シクロヘキサノン517質量部、重合開始剤イルガキュア907(日本チバガイギー(株)製)3.0質量部、及び光増感剤カヤキュアーDETX(日本化薬(株)製)2.1質量部を添加して攪拌した。攪拌終了後、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して硬化膜形成用の塗布液を(HL−2)を得た。
(無機微粒子分散物)
酸化ジルコニウム粒子100質量部に、下記化59に示す分散剤20質量部、およびシクロヘキサノン360質量部を添加して、粒径0.2mmのジルコニアビーズを用いてダイノミルにより分散した。200メッシュのナイロン布でビーズをろ別して微粒子分散液を調製した。得られた分散物の分散粒子径は、走査型電子顕微鏡で測定した所、単分散性良好な平均粒径55nmの粒子であった。
又、分散物の粒度分布を測定した(レーザー解析・散乱粒子径分布測定装置LA−920、堀場製作所製)結果、粒径300nm以上の粒子は0%であった。
Figure 2005096212
<撥インク処理プレート(HP−2)の作成>
実施例1で用いた塗布液(HL−1)の代わりに塗布液(HL−2)を用いた以外は実施例1と同様にしてバーコーターを用いて硬化後の膜厚が1μmとなるように塗布した。100℃で乾燥した後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量500mJ/cm2の紫外線を照射した。更に温度100℃で20分間加熱したのちに放冷して、厚さ2μmの撥インク性層を形成した。その後、レジストを除去して撥インク処理部が設けられたインクジェット記録ヘッドを構成するノズルプレート(HP−2)を作製した。
<撥インク性膜の評価>
得られたノズルプレート(HP−2)について実施例1と同様にして評価した。その結果を表3に示す。
(実施例3)
<中間層(ハードコート層)>
(ハードコート層分散液の調整)
トリメチロールプロパントリアクリレート 75質量部及びポリグリシジルメタクリレート(質量平均分子量:1.5×104)のメチルエチルケトン53.2質量%溶液47質量部を、メチルエチルケトン226質量部及びシクロヘキサノン265質量部の混合溶液に溶解した後、攪拌しながら、シリカ微粒子のメチルエチルケトン分散液(MEK−ST、固形分濃度30質量%、日産化学(株)製)133質量部、イルガキュア3.8質量部、及びジ(t−ブチルフェニル)ヨウドニウム・ヘキサフルオロフォスフェイト2.5質量部を加えて10分間攪拌した。この混合物を孔径1μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して、ハードコート層形成用組成物を調整した。
(ハードコート層塗設プレート)
実施例1で用いたと同様のノズルプレート上に、上記のハードコート層形成用塗布液をグラビアコーターを用いて塗布した。100℃で乾燥した後、更に120℃で乾燥した。次に酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量600mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ8μmのハードコート層(中間層)を形成した。
(表面形状の評価)
ハードコート層の表面の形状をJISB0601−1994に基づいて、表面凹凸の算術平均粗さ(Ra)、十点平均粗さ(Rz)、最大高さ(Ry)、及び表面凹凸の平均間隔(Sm)を原子間力顕微鏡(AFM)により測定した。但し、Ra、Rz及びRyは測定長4μm、Smの測定長は20μmとした。表面凹凸の均一性は、(Ra/Rz)の比により算出した。
得られた表面の形状は以下の通りであった。
Ra:0.008μm、Ra/Rz比:0.33、Ry:0.015、Sm:0.01μm
<撥インク処理ノズルプレート(HP−3)の作成>
次に、形成したハードコート層の上に、実施例2と同様にして厚さ2μmの硬化膜を形成して撥インク性層を塗設して、撥インク処理部が設けられたインクジェット記録ヘッドを構成するノズルプレート(HP−3)を作成した。
<撥インク処理部が形成されたノズルプレート(HP−3)の評価>
上記ノズルプレート(HP−3)について実施例1と同様にして評価した。その結果を表3に示す。
Figure 2005096212
*印字品質の耐久性試験は、実施例1記載の評価方法において、ワイピング1万回の回数を1.5万回として評価した。
表3に示す結果から明らかなように、実施例2及び3ともに硬化膜形成後の面状は均一で良好であり、撥インク性はその指標となる水滴滑落性も極めて良好であり、記録装置に実装しての撥インク性も良好であった。実施例2は耐磨耗性が向上し、実施例3は密着性及び耐磨耗性が更に向上し良好であった。更に、実施例2及び3ともに、耐久試験での印字品質がワイピング回数が1.5万回後でも初期段階と変わらずに良好な性能を示した。
(実施例4〜12)
実施例2で用いた塗布液(HL−2)中のブロック共重合体、多官能性アクリレート:DPHA、重合開始剤イルガキュア907、光増感剤カヤキュアーDETXの代わりに、それぞれ表4記載の各化合物を用いた他は実施例2と同様にして撥インク処理部が形成されたインクジェット記録ヘッドを構成するノズルプレートを作製した。
Figure 2005096212
得られた各プレートについて、実施例2と同様にして各性能を評価した。その結果、実施例4〜12の各プレートは、いずれも実施例2と同等以上の性能を示し良好であった。
実施例13
(中間層としての導電性ハードコート層形成用の分散液の調整)
多官能性アクリレートモノマーDPHA、125質量部、ウレタンアクリレートオリゴマーUV−6300B(日本合成化学工業(株)製)125質量部、イルガキュア907、7.5質量部およびカヤキュアーDETX、)5.0質量部を、メチルエチルケトン192質量部及びシクロヘキサノン128質量部の混合溶液に溶解した。これに、導電性の五酸化アンチモン亜鉛微粒子分散物「セルナックス CX−Z200M改2」(日産化学社製、30質量%のメタノール分散液)417質量部を攪拌下に投入し更に混合物を攪拌した後、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して導電性ハードコート層の塗布液を調製した。
(導電性ハードコート層塗設プレート)
実施例1で用いたと同様のノズルプレート上に、上記のハードコート層用塗布液をグラビアコーターを用いて塗布した。100℃で乾燥した後、120℃で乾燥した。次に酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度500mW/cm2、照射量600mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ5μmのハードコート層(中間層)を形成した。得られたハードコート層表面の形状は以下の通りであった。
Ra:0.013μm、Ra/Rz比:0.20、Ry:0.045、Sm:0.077μm
<撥インク処理部が形成されたノズルプレート(HP−13)の作成>
次に、得られたハードコート層上に、下記の撥インク性層用塗布液(HL−13)を実施例2と同様にして厚さ1.2μmの硬化膜を形成し、撥インク処理部が形成されたインクジェット記録ヘッドを構成するノズルプレートを作製した。
(撥インク性層用塗布液(HL−13))
ブロック共重合体(PIII−6)70質量部、下記化60に示す構造の硬化性化合物30質量部に、メチル基変性コロイダルシリカ MEK−ST(日産化学(株)製)2.2質量部(固形分量として)、メチルエチルケトン15.0質量部、シクロヘキサノン220.0質量部、重合開始剤イルガキュア907(日本チバガイギー(株)製)8質量部を添加して攪拌した。孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して撥インク部形成用の塗布液(HL−13)を調製した。
得られた塗布液(HL-13)を用いて実施例1と同様にして硬化膜の形成を行い、撥インク処理部が設けられたインクジェット記録ヘッドを構成するノズルプレート(HP−13)を得た。
Figure 2005096212
<撥インク処理ノズルプレート(HP−13)の評価>
実施例1と同様にして特性を評価した結果、実施例2と同等以上の良好な性能を示した。
さらに、「帯電防止性」及び「ゴミ付着防止性(防塵性)」を評価した。
「帯電防止性」は、静電界下に電界を印加し飽和電位に達したのちに帯電を止め、その瞬間から帯電圧が飽和電位の半分になるまでの時間を調べたところ、25秒であった。
ここで、帯電性の挙動は、試料を25℃/65%RHの環境下に2時間放置したのち、同環境でスタティックオネストメーターTYPE−H0110型(シシド静電気社製)により測定した。
又、プレート表面の「ゴミ付着防止性(防塵性)」を下記の方法で調べた所、疑似ゴミの落下の程度は○レベルであった。
ここで、「ゴミ付着防止性(防塵性)」は、測定フイルムを硝子板に貼り、除電した後、東レ(株)のトレシーを用いて往復5回擦り、その後微細な発泡スチロールの粉を擬似ゴミとし、フイルム全体にかけた後フイルムを立て、疑似ゴミの落下の様子を観察し、下記の4段階評価を行った。
◎:擬似ゴミがほとんど全て落下する。
○:擬似ゴミが80%以上落下する。
△:擬似ゴミが50%以上落下する。
×:擬似ゴミが50%以上フイルム表面に残存している。
いずれの評価方法においても帯電防止性は良好であり、実際の記録装置内での塵埃や紙粉の付着を軽減できる。
実施例14
実施例1で用いたノズルプレート基体のポリイミドシートの片面を、プラズマ処理して下記の表面凹凸を形成した。
Ra:0.003μm、Ra/Rz比:0.41、Ry:0.011μm
Sm:0.012μm
得られたプレートを用いた以外は、実施例1と同様にして撥インク処理されたノズルプレートを得た。得られたプレートについて実施例1と同様にして性能を評価したところ、実施例1とほぼ同様に良好な結果が得られた。
図1は、実施例で作成した本発明のインクジェット記録ヘッドの要部を示す拡大断面図である。
符号の説明
1 ノズルプレート
2 ノズル孔
3 撥インク部

Claims (11)

  1. 記録用の液体を吐出する吐出口を有し、少なくとも該吐出口周辺部に撥インク処理がなされたインクジェット記録ヘッドにおいて、記録ヘッドの撥インク処理部が、含フッ素重合体成分及び/又は下記化1の一般式(SI)もしくは一般式(SII)で示されるシロキサン構造群から選ばれる少なくとも1つの基を含有する含シロキサン重合体成分を含有するブロック[A]と、ポリエステル重合体成分から構成されるブロック[B]とから成るAB型、ABA型若しくはクシ型のブロック共重合体を少なくとも1種含有する硬化膜形成用組成物により形成された硬化膜からなることを特徴とするインクジェト記録ヘッド。
    Figure 2005096212
    式中、R11〜R15は、各々同じでも異なってもよく、脂肪族基又は芳香族基を表わす。
  2. 上記ブロック共重合体が、上記ブロックAの重合体成分の側鎖置換基または主鎖の末端に架橋反応に関与し得る反応性基を含有し、上記硬化膜形成用組成物が、該ブロック共重合体、並びに、硬化剤及び硬化促進剤のうちの少なくとも一種を含有し、上記硬化膜が、該硬化膜形成用組成物を塗設、硬化させることにより形成されていることを特徴とする請求項1記載のインクジェト記録ヘッド。
  3. 上記含フッ素重合体成分が、下記化2の一般式(FI)で表される重合単位、下記化3の一般式(FII)で表される重合単位及び下記化4の一般式(FIII)で表される重合単位から選ばれる少なくとも1種の重合単位を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェト記録ヘッド。
    Figure 2005096212
    式中、R0はフッ素原子、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基又は−ORf 1基を表わす。ここでRf 1基は、炭素数1〜30の含フッ素の脂肪族基を表わす。
    Figure 2005096212
    式中、R1、R2は、各々同じでも異なってもよく、フッ素原子又は−Cv2v+1基を表す。
    ここでvは1〜4の整数、aは0又は1、bは2〜5の整数、cは0又は1を表す。
    Figure 2005096212
    式中、R3、R4は、各々フッ素原子又は−CF3基を表す。
    aは、上記一般式(FII)と同じものを表す。
    dは0又は1、kは0又は1〜5の整数、lは0又は1〜4の整数、mは0又は1を表わす。
    ここで(k+l+m)は1〜6の範囲の整数である。
  4. 上記ポリエステル重合体成分から構成されるブロック[B]が、脂環式炭化水素環及び芳香族環から選ばれる環構造の少なくともいずれかを構成成分として含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
  5. 上記反応性基が、ラジカル重合性基、カチオン重合性基及び加水分解性基置換のシリル基から選ばれる1種以上の官能基であることを特徴とする請求項2記載のインクジェット記録ヘッド。
  6. 上記クシ型ブロック共重合体が、ポリエステル重合体成分の重合体主鎖の片末端にのみラジカル重合性基を結合して成る一官能性マクロモノマーとラジカル重合性単量体との共重合体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
  7. 上記硬化膜形成用組成物が、平均粒子径が100nm以下の無機粒子を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
  8. 上記硬化膜形成用組成物を塗布する面の表面形状が、JIS B0601−1994に基づく表面凹凸の算術平均粗さ(Ra)が0.5μm以下、算術平均粗さ(Ra)と十点平均粗さ(Rz)との比(Ra/Rz)が0.1以上、最大高さ(Ry)が0.5μm以下、且つ表面凹凸平均間隔(Sm)が0.005〜1μmとなる範囲であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
  9. 上記撥インク処理部が、上記硬化膜とインクジェット記録ヘッドの基体との間に中間層を設けてなることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
  10. 上記の撥インク処理部が、静電界印加して飽和帯電量とした後、該帯電量が1/2となるのに要する時間が60秒以内であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
  11. インクジェット記録ヘッドを搭載したインクジェット記録装置において、前記インクジェット記録ヘッドが請求項1〜11のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッドであることを特徴とするインクジェット記録装置。
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