JP4377188B2 - 重合性樹脂組成物、インクジェット記録ヘッド及びその製造方法 - Google Patents

重合性樹脂組成物、インクジェット記録ヘッド及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、インクジェット記録ヘッド、及び、それを用いたインクジェット記録装置及びその製造方法、含フッ素重合性ポリマー、撥水性樹脂膜形成用の重合性樹脂組成物に関し、特にヘッドのインク吐出部周辺が撥インク処理され、撥水性及び耐摩耗性に優れ、得られる画像の印字品質に優れた記録ヘッドに関する。
記録ヘッドの吐出口からインク(記録液)を吐出することにより記録を行うインクジェット記録装置が、静粛さと高速記録などの点で優れた記録装置として知られている。記録ヘッドによって得られる画像の印字品質は、記録紙上のインク滴からなるドットの位置精度に大きく依存する。このドット位置精度は、記録ヘッドの吐出口から吐出されるインク滴の飛翔方向によって左右される。飛翔方向を一定に保つには、インク滴吐出時における吐出口周縁部が均一で安定した状態にすること、具体的には、吐出口周縁部を含む記録ヘッド表面に撥水(撥インク)処理を施すことが有用である。更には、撥水処理が施された吐出口周縁部にインクや紙などの異物が付着した場合にブレード等のクリーニング部材で掻き取り操作を行う。この時、撥水処理がインクあるいはその中に含まれる化学成分に対しての耐久性と擦り操作などの摩擦に対する耐久性が求められる。
撥水処理方法として、フルオロアルキルアルコキシシラン等で記録ヘッド吐出口周縁部を処理して撥水性にする例(例えば、特許文献1参照)があるが、処理を完全にするには高温150℃以上で長時間加熱するか、高pHの溶液の中で加熱するなど、吐出口を形成する材料を破壊する恐れのある処理が必要であり、しかも未だ拭き取り操作などの摩擦に対する耐久性が不十分である。
また、他の撥水処理方法として、フッ素化合物を重合硬化皮膜中に固定化するべく、反応性基を有するフッ素化合物とエポキシ樹脂を併用することで、クリーニング操作後でも高い撥水性を得ること(例えば、特許文献2参照)が提案されている。しかし、フッ素化合物がエポキシ樹脂に溶けにくいため、均一な処理が困難な場合が多く、溶解性を上げるためにフッ素化合物のフルオロアルキル鎖長を短くすると、表面へのフルオロアルキル鎖の移行性が悪くなって撥水性が劣ったり、架橋膜中への存在量が増えるため、また或いは、膜の架橋密度が低下して膜の強度が低下し、耐久性が悪くなったりする。
また、フッ素含有の樹脂とブロックイソシアネートを含んでなる処理剤で処理する例(例えば、特許文献3参照)があり、高い擦過性が報告されているが、ブロックイソシアネートの反応性が乏しいために、高温(160℃)で長時間の加熱処理が必要であることから、前記と同様にヘッドの構成材料を破壊する等の問題点を有し、架橋密度を上げることが困難であり、優れた性能の皮膜を再現良く製造するのが困難であった。
また、フッ素含有の高分子鎖を備えた高分子の膜であり、フッ素含有の高分子鎖が物理的集合体を形成したもので撥水性を持たせた例(例えば、特許文献4参照)があり、高い撥水性が報告されている。しかし、架橋を施すためには、エポキシ基や水酸基などの反応性基の含有量を増加させる必要があり、こうすると必然的に硬化膜も親水化するため、強度と撥水性能を両立するのが困難であった。
一方、含フッ素ブロック共重合体で活性エネルギー線硬化する樹脂が提案されている(例えば、特許文献5参照)が、従来提案されている共重合体は、水をはじく特性には優れるものの、溶剤や界面活性剤を含み表面張力が低く且つアルカリ性のインクジェット用のインクに対しては、長期にわたって撥水(インク)性と高い擦過性を保持するには限界があった。
要するに、従来提案されている技術では、未だ要求されているほどに耐摩擦性と撥水性(撥インク性)とを両立させたインクジェット記録ヘッドは提案されていないのが現状であり、撥水性に優れ、しかも長期間の耐摩擦性にも優れた、印字品質の高いインクジェット記録ヘッドの開発が要望されている。
特開昭56−895669号公報 特開平7−148930号公報 特登3382416号公報 特開2001−233972号公報 特登3021746号公報
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、吐出口面に簡単に、120℃以下の温度で形成可能な撥水性樹脂膜形成用の重合性樹脂組成物、及び、撥水性、耐磨耗性に優れ、印字品質の高いインクジェット記録ヘッド及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、架橋反応性基の数をある程度多くしても、反応性基間の距離が長くフレキシビリティーのある分子構造とすれば、撥水性を損なうことなく架橋性を向上させることができることを知見し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記内容により、前記目的を達成したものである。
(1) 記録用の液体を吐出する吐出口を有し、少なくとも該吐出口周辺部に撥インク処理がなされたインクジェット記録ヘッドにおいて、記録ヘッドの撥インク処理部が、含フッ素重合性ポリマーを少なくとも含有する重合性樹脂組成物の架橋体を含んでなり、該含フッ素重合性ポリマーがフッ素を含有する構造単位とラジカル重合性基を含有する構造単位とを含むポリマーであり、フッ素を含有する構造単位が下記一般式1a〜1dのいずれかで表される構造単位であることを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
Figure 0004377188
(一般式1a中、Rf 0 は、フッ素原子、炭素数1から8のパーフルオロアルキル基または、-ORf 1 基を表す。ここで、Rf 1 は構成される炭素数が1から30までの含フッ素脂肪族基を表す。一般式1b中、R 0 は、水素原子またはフッ素原子、メチル基、シアノ基を表し、L1は−(共有結合)、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−CONR 50 −、−OCO−、−OCONR 51 −、−NR 52 CO−、−NR 53 COO−、−NR 54 CONR 55 −、−SO−、−SO 2 −、−SO 2 NR 56 −、−NR 57 SO 2 −、−SiR 58 59 −、−PR 60 −、−PO(OR 61 )O−、−OPO(OR 62 )−、−PO(OR 63 )NR 64 −、−NR 65 PO(OR 66 )−、−NR 67 PO(NR 68 69 )NR 70 −、−NR 71 −を表し、R 50 からR 71 はHまたは、置換または無置換のアルキル基を表す。Rf 2 はCH結合の水素原子の1部または全部をフッ素で置換した炭化水素基を表す。一般式1c中、R 1 、R 2 は、各々同じでも異なってもよく、フッ素原子又は−C v 2v+1 基を表す。ここでvは1〜4の整数、aは0又は1、bは2〜5の整数、cは0又は1を表す。一般式1d中、R 3 、R 4 は、各々フッ素原子又は−CF 3 基を表す。aは、上記一般式1cと同じである。dは0又は1、kは0又は1〜5の整数、lは0又は1〜4の整数、mは0又は1を表わす。ここで(k+l+m)は1〜6の範囲の整数である。
(2)前記重合性樹脂組成物の架橋体が、ラジカル重合を含む架橋反応により形成されていることを特徴とする(1)記載のインクジェット記録ヘッド。
(3) 前記含フッ素重合性ポリマーにおいて、前記ラジカル重合性基を含有する構造単位が下記化2の一般式2で表される構造単位であることを特徴とする(1)または(2)記載のインクジェット記録ヘッド。
Figure 0004377188
(一般式2中、R10、R11、R12はおのおの独立して、水素原子、塩素原子、フッ素原子を表し、L3は炭素数1〜20の連結基を表し、L2、L4はそれぞれ独立して、一般式1b記載のL1と同義であり、pは0または1であり、Xは水素原子またはフッ素原子、メチル基、シアノ基を表す。)
(4)前記含フッ素重合性ポリマーが、フッ素を含有する構造単位を有する高分子鎖である第1セグメントとラジカル重合性基を含有する構造単位を有する高分子鎖である第2セグメントとを含有するポリマーであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
(5) 前記含フッ素重合性ポリマーが前記第1セグメントと前記第2セグメントとを含有する直線状あるいは分岐状ポリマーであることを特徴とする(4)記載のインクジェット記録ヘッド。
(6) 前記撥インク処理部における重合性樹脂組成物が塗布される面の撥インク処理前の表面形状が、JISB0601−1994に基づく表面凹凸の算術平均粗さ(Ra)が0.5μm以下、該算術平均粗さ(Ra)と十点平均粗さ(Rz)との比(Ra/Rz)が0.1以上、最大高さ(Ry)が0.5μm以下、且つ表面凹凸平均間隔(Sm)が0.005〜1μm以下となる範囲であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド
(7) インクジェットヘッドを搭載したインクジェット記録装置において、前記インクジェットヘッドが(1)〜()のいずれかに記載のインクジェットヘッドであることを特徴とするインクジェット記録装置。
) フッ素を含有する構造単位を有する高分子鎖である第1セグメントとラジカル重合性基を含有する構造単位を有する高分子鎖である第2セグメントとを含有し、該フッ素を含有する構造単位が下記化3の一般式3a〜3dで表されることを特徴とする含フッ素重合性ポリマー。
Figure 0004377188
(一般式3a中、Rf0は、フッ素原子、炭素数1から8のパーフルオロアルキル基または、-ORf1基を表す。ここで、Rf1は構成される炭素数が1から30までの含フッ素脂肪族基を表す。一般式3b中、R0は、水素原子またはフッ素原子、メチル基、シアノ基を表し、L1は−(共有結合)、−O−、−S−、−CO−、−CONR50−、−OCO−、−OCONR51−、−NR52CO−、−NR53COO−、−NR54CONR55−、−SO−、−SO2−、−SO2NR56−、−NR57SO2−、−SiR5859−、−PR60−、−PO(OR61)O−、−OPO(OR62)−、−PO(OR63)NR64−、−NR65PO(OR66)−、−NR67PO(NR6869)NR70−、−NR71−を表し、R50からR71はHまたは、置換または無置換のアルキル基を表す。Rf2はCH結合の水素原子の1部または全部をフッ素で置換した炭化水素基を表す。一般式3c中、R1、R2は、各々同じでも異なってもよく、フッ素原子又は−Cv2v+1基を表す。ここでvは1〜4の整数、aは0又は1、bは2〜5の整数、cは0又は1を表す。一般式3d中、R3、R4は、各々フッ素原子又は−CF3基を表す。aは、上記一般式1cと同じである。dは0又は1、kは0又は1〜5の整数、lは0又は1〜4の整数、mは0又は1を表わす。ここで(k+l+m)は1〜6の範囲の整数である。
) 含フッ素重合性ポリマーが直線状あるいは分岐状ポリマーであることを特徴とする()記載の含フッ素重合性ポリマー。
10) 含フッ素重合性ポリマーが直線状ポリマーであることを特徴とする()記載の含フッ素重合性ポリマー。
11) 含フッ素重合性ポリマーと貯蔵安定剤とを含む重合性樹脂組成物であり、前記含フッ素重合性ポリマーがフッ素を含有する構造単位を有する高分子鎖である第1セグメントとラジカル重合性基を含有する構造単位を有する高分子鎖である第2セグメントとを含有するポリマーであり、フッ素を含有する構造単位が一般式1a〜1dのいずれかで表される構造単位であることを特徴とする重合性樹脂組成物。
12) 前記含フッ素重合性ポリマーが直線状あるいは分岐状ポリマーであることを特徴とする(11)記載の重合性樹脂組成物。
13) 前記含フッ素重合性ポリマーが直線状ポリマーであることを特徴とする(10)記載の重合性樹脂組成物。
14) 記録用の液体を吐出する吐出口を有し、少なくとも該吐出口周辺部に撥インク処理がなされたインクジェット記録ヘッドの製造方法において、記録ヘッドの撥インク処理部に、溶剤およびフッ素を含有する構造単位とラジカル重合性基を含有する構造単位を含む含フッ素重合性ポリマーを、少なくとも含有する重合性樹脂組成物を塗布する工程、溶媒を蒸発させて形成した膜に活性化エネルギー線又は熱を加えて重合性樹脂組成物の架橋体を形成させる工程を有し、含フッ素重合性ポリマーのフッ素を含有する構造単位が一般式1a〜1dのいずれかで表される構造単位であることを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方法。
本発明のインクジェット記録ヘッドは、撥水性、耐磨耗性に優れ、印字品質の高いものである。特に、用いる含フッ素ポリマーを本発明の含フッ素ポリマーとした場合には、耐摩耗性が長期に亘って保持される。
また、本発明の撥水性樹脂膜形成用の重合性樹脂組成物は、インクジェット記録ヘッドの吐出口面に、簡単に、120℃以下の温度で樹脂膜を形成可能なものである。
以下、本発明のインクジェット記録ヘッドについて説明する。
なお、本発明は、上記(1)〜(14)に記載の発明であるが、本明細書には、参考のためにその他の事項も記載する。
まず、本発明のインクジェット記録ヘッドに用いられる含フッ素重合性ポリマー、及び重合性樹脂組成物について説明する。
尚、本明細書において、化学式中の( )[ ]は繰り返し単位を表し、( )[ ]の添え字は質量組成比を表す。
[含フッ素重合性ポリマー]
本発明のインクジェット記録ヘッドに用いられる含フッ素重合性ポリマーは、フッ素を含有する構造単位とラジカル重合性基を含有する構造単位とを含有するポリマーである。フッ素は撥インク特性に必須の成分であり、ラジカル重合性基は含フッ素重合性ポリマーの分子内あるいは、含フッ素重合性ポリマー分子間、必要に応じて添加される重合性基含有素材と共有結合による架橋反応を施すことで、撥水性樹脂膜の強度を高め、下層である処理前のヘッドの構成材料表面との密着を維持するために必須の成分である。
本発明において用いられる含フッ素重合性ポリマーは、撥インク特性を増加させ、かつ、架橋反応後の撥水性樹脂膜の耐久性を増加させる観点から、以下の(I)(II)のどちらかのポリマーであることが好ましい。
(I)フッ素を含有する構造単位とラジカル重合性基を含有する構造単位、必要に応じてその他の構造単位が無秩序に配列したポリマー(以下、本発明の含フッ素重合性ポリマー(I)とも称する。)
(II)フッ素を含有する構造単位とラジカル重合性基を含有する構造単位を分離させた構造、すなわち、フッ素を含有する構造単位を有する高分子鎖である第1セグメントとラジカル重合性基を含有する構造単位を有する高分子鎖である第2セグメントとを含有し、フッ素を含有する構造単位が上記化学式1の一般式1a〜1dのいずれかであるポリマー(以下、本発明の含フッ素重合性ポリマー(II)とも称する。)
さらに、本発明の含フッ素重合性ポリマー(II)において、フッ素を含有する構造単位が上記化学式3の一般式3a〜3dのいずれかであるポリマーであるのが好ましい。ここで、一般式1a〜1dと一般式3a〜3dとは、一般式3bのL1が−COO−を含まない以外は、同じであるので以下の説明においては一般式3a〜3dの説明は割愛する。
また、本発明の含フッ素重合性ポリマー(II)において、該第1セグメントと該第2セグメントとを少なくとも1つづつ含有する直線状あるいは分岐状の構造が更に好ましく、該第1セグメントと該第2セグメントとを少なくとも1つづつ含有する直線状の構造、該第1セグメントを枝部分に有する分岐状の構造がより好ましく、該第1セグメントと該第2セグメントを少なくとも1つづつ含有する直線状の構造が特に好ましい。
含フッ素重合性ポリマーに含有される、フッ素を含有する構造単位は、1種のみでも、複数種が含まれてもよい。
フッ素を含有する構造単位としては、主鎖を形成する原子が炭素のみであっても酸素などの炭素以外の原子を含んでいても良い。含フッ素重合性ポリマー中の、フッ素含率は20〜60質量%となるように含フッ素ビニルモノマーを導入することが好ましく、より好ましくは25〜55質量%の場合であり、特に好ましくは30〜50質量%の場合である。フッ素含率を上述の範囲とすることにより十分な撥水性と架橋性を両立させることができる。
フッ素を含有する構造単位の好ましい形態としては、下記化4に示す一般式1a〜1dに示す構造単位が挙げられる。
Figure 0004377188
一般式1a中、Rf0は、フッ素原子、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基または、-ORf1基を表す。Rf0がパーフルオロアルキル基の場合には、相当するモノマーの重合反応性の観点から、炭素原子数1〜4のパーフルオロアルキル基、具体的には、パーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基がより好ましい。Rf1は炭素数1〜22の含フッ素脂肪族基を表わし、炭素数1〜12の含フッ素脂肪族基が好ましい。具体的には、例えば炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基、−CH2F、−CHF2、−CH2CF3、−(CH2)225、−CH2CF2CF2CFH2、−CH2(CF2)4H、−CH2(CF2)8CF3、−CH2CH2(CF2)4H等)であっても、分岐構造(例えばCH(CF32、CH2CF(CF3)2、CH(CH3)CF2CF3、CH(CH3)(CF2)5CF2H等)を有していても良く、また脂環式構造(好ましくは5員環または6員環、例えばパーフルオロシクロヘキシル基、パーフルオロシクロペンチル基またはこれらで置換されたアルキル基等)を有していても良く、あるいは含フッ素脂肪族エーテル結合基(例えば−CH2OCH2CF2CF3、−CH2CH2OCH248H、−CH2CH2OCH2CH2817、−CH2CH2OCF2CF2OCF2CF2H、−CF2CH2OCH2CF3、−(CF2)2(CH2)2OCH(CF3)3等)であってもよい。
また、一般式1b中、R0は、水素原子またはフッ素原子、メチル基、シアノ基を表し、水素原子、メチル基が好ましい。
L1は、−(共有結合、すなわちCとRf2とが直接結合した状態を示す)、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−CONR50−、−OCO−、−OCONR51−、−NR52CO−、−NR53COO−、−NR54CONR55−、−SO−、−SO2−、−SO2NR56−、−NR57SO2−、−SiR5859−、−PR60−、−PO(OR61)O−、−OPO(OR62)−、−PO(OR63)NR64−、−NR65PO(OR66)−、−NR67PO(NR6869)NR70−、−NR71−を表す。中でも、−O−、−S−、−CO−、−CONR50−、−OCO−、−OCONR51−、−NR52CO−、−NR53COO−、−NR54CONR55−、−SO−、−SO2−、−SO2NR56−、−NR57SO2−、−SiR5859−、−PR60−、−PO(OR61)O−、−OPO(OR62)−、−PO(OR63)NR64−、−NR65PO(OR66)−、−NR67PO(NR6869)NR70−、−NR71−が好ましく、−O−、−S−、−CO−、−OCO−、−OCONR51−、−NR52CO−、−NR53COO−、−NR54CONR55−、−SO−、−SO2−がより好ましく、−O−、−OCO−、−OCONR51−、−NR52CO−、−NR53COO−がより好ましく、−O−が特に好ましい。ここで、R50からR71はHまたは、置換または無置換のアルキル基を表し、Hまたは、炭素数1から6の置換または無置換のアルキル基が好ましく、Hまたは、炭素数1から3の無置換のアルキル基が特に好ましい。
Rf2はCH結合の1部または全部をフッ素で置換した炭化水素基を表し、直鎖であっても分岐構造を有していてもよく、環構造を有していてもよく、O、N、Sから選ばれるヘテロ原子を連結基内に有していてもよく、水酸基やアルコキシ基などの置換基を有していても良い。炭素原子数1から20のパーフルオロアルキル基、1H,1H−炭素原子数2から18のパーフルオロアルコキシ基、1H,1H,2H,2H−炭素原子数3から18のパーフルオロアルコキシ基が好ましく、炭素原子数3から20のパーフルオロアルキル基、1H,1H−炭素原子数3から18のパーフルオロアルコキシ基、1H,1H,2H,2H−炭素原子数4から18のパーフルオロアルコキシ基がより好ましく、1H,1H−炭素原子数6から18のパーフルオロアルコキシ基、1H,1H,2H,2H−炭素原子数6から18のパーフルオロアルコキシ基が更に好ましく、1H,1H,2H,2H−炭素原子数6から18のパーフルオロアルコキシ基が特に好ましい。
一般式1c中、R1、R2は、各々同じでも異なってもよく、フッ素原子又は−Cv2v+1基を表す。ここでvは1〜4の整数、aは0又は1、bは2〜5の整数、cは0又は1を表す。aおよび/またはcが0の場合、各々単結合を表す。
また、一般式1d中、R3、R4は、各々フッ素原子又は−CF3基を表す。aは、上記一般式1cと同じである。dは0又は1、kは0又は1〜5の整数、lは0又は1〜4の整数、mは0又は1を表わす。d、k、lおよび/またはmが0の場合、各々単結合を表す。ここで(k+l+m)は1〜6の範囲の整数である。
一般式1aで表される構造単位を形成するモノマーの具体例としては、フルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等)、完全または部分フッ素化モノあるいはジビニルエーテル類、フルオロ置換環状エーテル類(例えばヘキサフルオロエポキシプロパン、3−パーフルオロヘキシル−1,2−エポキシプロパン、3−(1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルオキシ) −1,2−エポキシプロパン等)等が挙げられる。
一般式1bで表される構造単位を形成するモノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(商品名、大阪有機化学製)やM−2020(商品名、ダイキン製)等)、完全または部分フッ素化モノあるいはジビニルエーテル類、等が挙げられる。
一般式1cで表される構造単位の好ましい例としては、下記化5に示す(f-1)〜(f-8)等が挙げられ、一般式1dで表される構造単位の好ましい例としては、下記化5に示す(f-9)〜(f-16)等が挙げられる。
Figure 0004377188
主鎖を形成する原子が炭素以外の原子を含む場合の、フッ素を含有する構造単位を含む主鎖の例として、例えば、以下の具体例のように、複数の構造単位がそれぞれ酸素原子で連結されているような構造が挙げられる。
Figure 0004377188
ラジカル重合性基は、紫外線、熱または電子線等のエネルギー付与や活性ラジカルの付加によって固体化する重合性の二重結合を有する化合物である。ラジカル重合性基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、ビニル基(ビニルエステル類やビニルエーテル、スチレン誘導体など)、内部二重結合性基(マレイン酸など)が挙げられ、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基が好ましく、重合反応性が高いことから、アクリロイル基、メタクリロイル基が更に好ましく、アクリロイル基が特に好ましい。
ラジカル重合性基を含有する構造単位の組成比を高めれば皮膜強度は向上するが、下層との密着力が弱くなる傾向がある。そのため含フッ素ビニルモノマー重合単位の種類によっても異なるが、一般にラジカル重合性基を含有する構造単位は含フッ素重合性ポリマー中の10〜70モル%を占めることが好ましく、20〜60モル%を占めることがより好ましく、30〜60モル%を占めることが特に好ましい。
ラジカル重合性基を含有する構造単位の好ましい形態としては、下記化7の一般式2で表される構造単位が挙げられる。
Figure 0004377188
一般式2中、R10、R11はおのおの独立して、水素原子、塩素原子、フッ素原子を表し、水素原子、フッ素原子が好ましく、水素原子が特に好ましい。
12は、水素原子、塩素原子、フッ素原子、置換基を有していても良いアルキル基、カルボキシル基を表し、水素原子、フッ素原子が好ましく、水素原子が特に好ましい。
L3は炭素数1〜20の連結基を表し、直鎖であっても分岐構造を有していてもよく、環構造を有していてもよく、O、N、Sから選ばれるヘテロ原子を連結基内に有していても良く、水酸基やアルコキシ基などの置換基を有していても良い。炭素数2〜8のアルキレン基、環状構造を内部に含むアルキレン基、フェニレン基、アルキレン鎖内部に連結基としてO、Nを有するアルキレン基、水酸基やアルコキシ基などの置換基を有するアルキレン基が好ましく、炭素数2〜4のアルキレン基、炭素原子数が6〜10の環状構造を内部に含むアルキレン基、フェニレン基、構成する炭素原子数が3〜10のアルキレン鎖内部に連結基としてO、Nを有するアルキレン基、構成する炭素原子数が3〜10の水酸基やアルコキシ基などの置換基を有するアルキレン基がさらに好ましく、炭素数2〜4のアルキレン基、構成する炭素原子数が3〜10のアルキレン鎖内部に連結基としてO、Nを有するアルキレン基、構成する炭素原子数が3〜10の水酸基やアルコキシ基などの置換基を有するアルキレン基が特に好ましい。
L2、L4はそれぞれ独立して、一般式1の1b記載のL1と同義である。pは0または1であり、Xは水素原子またはフッ素原子、メチル基、シアノ基を表し、適度な硬化反応性の観点から、水素原子またはメチル基が好ましく、水素原子が特に好ましい。
一般式2で示される構造単位の具体例を下記化8〜10に例示する。
Figure 0004377188
Figure 0004377188
Figure 0004377188
ラジカル重合性基を含有する構造単位は、側鎖にラジカル重合性基を有するモノマーの重合により製造することも可能であるが、重合反応中に側鎖のラジカル重合性基が反応してしまうと不溶のゲルになりやすいことから、側鎖にラジカル基を有さない共重合体を予め製造した後に、重合性基を導入して形成するのが好ましい。
ラジカル重合性基の導入法として、(メタ)アクリロイル基を例に説明する。導入法は特に限定されるものではないが、例えば、(1)水酸基、アミノ基等の求核基を有するポリマーを合成した後に、(メタ)アクリル酸クロリド、(メタ)アクリル酸無水物、(メタ)アクリル酸とメタンスルホン酸の混合酸無水物等を作用させる方法、(2)上記求核基を有するポリマーに、硫酸等の触媒存在下、(メタ)アクリル酸を作用させる方法、(3)上記求核基を有するポリマーにメタクリロイルオキシプロピルイソシアネート等のイソシアネート基と(メタ)アクリロイル基を併せ持つ化合物を作用させる方法、(4)エポキシ基を有するポリマーを合成した後に(メタ)アクリル酸を作用させる方法、(5)カルボキシル基を有するポリマーにグリシジルメタクリレート等のエポキシ基と(メタ)アクリロイル基を併せ持つ化合物を作用させる方法、(6)3-クロロプロピオン酸エステル部位を有するビニルモノマーを重合させた後で脱塩化水素を行う方法などが挙げられる。
これらの中で本発明では特に水酸基を含有するポリマーに対して(1)または(2),(3)の手法によってラジカル重合性基を導入する方法、グリシジル基を含有するポリマーに対して(4)の手法によってラジカル重合性基を導入する方法、及び(5)の手法によってラジカル重合性基を導入する方法が好ましく、水酸基を含有するポリマーに対して(1)または(3)の手法によって(メタ)アクリロイル基を導入する方法、グリシジル基を含有するポリマーに対して(4)の手法によって(メタ)アクリロイル基を導入する方法、及び(5)の手法によって(メタ)アクリロイル基を導入する方法がより好ましい。
前記含フッ素重合性ポリマーは前記フッ素を含有する構造単位および前記ラジカル重合性基を含有する構造単位以外に、基材への密着性、ポリマーのTg(皮膜硬度に寄与する)、防塵・防汚性等種々の観点から適宜、その他の構造単位(他のセグメントを構成する構造単位や、セグメントの連結部位となる構造単位)などを含んでも良い。
前記その他の構造単位を構成するモノマーは特に限定はなく前記フッ素を含有する構造単位および前記ラジカル重合性基を含有する構造単位を構成するモノマーと共重合しうるものであれば、如何なるものも使用でき、官能基を含まなくても含んでいても良い。
また、前記含フッ素重合性ポリマーが本発明の含フッ素重合性ポリマー(II)の場合(前記第1セグメントと前記第2セグメントに分離できる構造の場合)には、第1セグメントには前記フッ素を含有する構造単位の他に、ラジカル重合性基を含有しないその他の構造単位(以後、「構造単位A」という)を含んでも良い。構造単位Aはラジカル重合性基以外の官能基を含まなくても含んでいても良いが、撥水性を妨げない点から、親水性の官能基(例えば、水酸基、カルボキシル基など)を有さないものが好ましい。
更に、第2セグメントには前記ラジカル重合性基を含有する構造単位の他に、ラジカル重合性基を含有しないその他の構造単位(以後、「構造単位B」という)を含んでも良い。構造単位Bは前記ラジカル重合性基を含有する構造単位の原料モノマーあるいはラジカル重合性基を導入する前の構造単位の原料モノマーと共重合するものであれば如何なるものも使用できる。構造単位Bはラジカル重合性基以外の官能基を含まなくても含んでいても良いが、基材への密着性、あるいは、硬化反応性の添加剤と反応しうるような官能基を含むものが好ましい。
前記その他の構造単位を構成するモノマーの例のうち、官能基のないものとして、オレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、ポリジメチルシロキサンをエステル部位に有するアクリレートなど)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸アリル、ポリジメチルシロキサンをエステル部位に有するメタクリレート等)、スチレン誘導体(スチレン、p−メトキシスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、アクリルアミド類(N,N-ジメチルアクリルアミド、N−tertブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類(N,N‐ジメチルメタクリルアミド)、アクリロニトリル等を挙げることができ、オレフィン類、アクリル酸エステル類(エステル基が炭素数4以上のアクリレート、ポリジメチルシロキサンをエステル部位に有するアクリレートなど)、メタクリル酸エステル類(エステル基が炭素数4以上のメタクリレート、ポリジメチルシロキサンをエステル部位に有するメタクリレート等)、スチレン誘導体、ビニルエーテル類が特に好ましい。
官能基を含むものとして、エポキシ基含有ビニルモノマー(アクリル酸グリシジル、1,2−エポキシシクロヘキシル基を含有するメタクリレート、グリシジルビニルエーテル等)、水酸基含有ビニルモノマー(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、2,3−ジヒドロキシプロピルアクリレート、N−ヒドロキシアクリルアミド、p−ヒドロキシメチルスチレン、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル等)、シランカップリング基含有ビニルモノマー(3−トリメトキシシリルプロピルアクリレート、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレート等)、アミノ基含有ビニルモノマー(3-ジメチルアミノプロピルアクリレート、3-アミノプロピルアクリルアミド等)、カルボキシル基含有ビニルモノマー(アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等)等を挙げることができる。
前記その他の構造単位を構成するモノマーは目的に応じて複数を組み合わせてもよく、該その他の構造単位を用いる場合、該その他の構造単位合計で含フッ素重合性ポリマー中の65モル%以下の範囲で導入されていることが好ましく、40モル%以下の範囲であることがより好ましく、30モル%以下の範囲であることが特に好ましい。
上記含フッ素重合性ポリマー(本発明の含フッ素重合性ポリマーも同じ)の数平均分子量は、1500〜500,000であるのが好ましく、重合度は10〜1,000であるのが好ましい。より好ましくは、平均分子量は、1500〜200,000であり、重合度は10〜500である。とりわけ、平均分子量は、1500〜100,000であることが好ましく、重合度は10〜200であることが好ましい。
本発明の含フッ素重合性ポリマー(I)の具体例を下記化11〜17に示す。前記のとおり、本発明の含フッ素重合性ポリマー(I)は、それぞれ第1セグメントと第2セグメントとに分けられない構造のポリマーである。続けて、本発明の含フッ素重合性ポリマー(II)の具体例を化18〜化21に示す。前記のとおり、本発明の含フッ素重合性ポリマー(II)は、それぞれ上述した第1セグメントと第2セグメントとに分けられるポリマーである。
Figure 0004377188
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本発明に用いられる含フッ素重合性ポリマー(本発明の含フッ素重合性ポリマー(I)(II)を含む)の合成は、種々の重合方法、例えば溶液重合、沈澱重合、懸濁重合、沈殿重合、塊状重合、乳化重合によって水酸基含有重合体等の前駆体を合成した後、前記高分子反応によって(メタ)アクリロイル基等を導入することにより行うことができる。重合反応は回分式、半連続式、連続式等の公知の操作で行うことができる。
重合の開始方法はラジカル開始剤を用いる方法、光または放射線を照射する方法等がある。これらの重合方法、重合の開始方法は、例えば鶴田禎二「高分子合成方法」改定版(日刊工業新聞社刊、1971)や大津隆行、木下雅悦共著「高分子合成の実験法」化学同人、昭和47年刊、124〜154頁に記載されている。
上記重合方法のうち、特にラジカル開始剤を用いた溶液重合法が好ましい。溶液重合法で用いられる溶剤は、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールのような種々の有機溶剤の単独あるいは2種以上の混合物でも良いし、水との混合溶媒としても良い。
重合温度は生成するポリマーの分子量、開始剤の種類などと関連して設定する必要があり、0℃以下から100℃以上まで可能であるが、50〜100℃の範囲で重合を行うことが好ましい。
反応圧力は、適宜選定可能であるが、通常は、1〜100kg/cm2、特に、1〜30kg/cm2程度が望ましい。反応時間は、5〜30時間程度である。得られたポリマーは再沈殿などの精製を行っても良い。
次に重合性樹脂組成物について説明する。
[重合性樹脂組成物]
本発明のインクジェット記録ヘッドに用いられる重合性樹脂組成物は、前述の本発明の含フッ素重合性ポリマー等の含フッ素重合性ポリマーを少なくとも含有する樹脂組成物であり、フッ素とラジカル重合性基とを含有する前記含フッ素重合性ポリマー、及び該ポリマーを溶解あるいは乳化、分散させる溶剤を含有する組成物であり、更に必要に応じて適宜選択したその他の成分を含有してなる。
−溶剤−
重合性樹脂組成物に含まれる溶剤としては、含フッ素重合性ポリマーが沈殿を生じることなく、均一に溶解または分散されるものであれば特に制限はなく2種類以上の溶剤を併用することもできる。
本発明においては安全性の高いものを用いることが好ましい。安全性が高い溶剤とは、管理濃度(作業環境評価基準で示される指標)が高い溶剤であり、管理濃度100ppm以上のものが好ましく、200ppm以上のものが更に好ましい。更に、適度な時間で皮膜を形成させるために、室温から150℃の加熱により、揮発するものが好ましい。好ましい例としては、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、エーテル類(テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、2−ブタノール、エチレングリコール、等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、水などを挙げることができる。
−その他の成分−
本発明の樹脂膜形成用の重合性樹脂組成物は、通常、液の形態をとり前記含フッ素重合性ポリマーを必須の構成成分とし、必要に応じて各種添加剤および重合開始剤を適当な溶剤に溶解して作製される。この際固形分の濃度は、用途に応じて適宜選択されるが一般的には0.01〜60質量%程度であり、好ましくは0.5〜50質量%、特に好ましくは1%〜20質量%程度である。
以下、用いられるその他の成分について説明する。
1)重合開始剤および増感剤
重合開始剤としては熱の作用によりラジカルを発生するもの、あるいは光の作用によりラジカルを発生するもののいずれの形態も可能である。
光重合開始剤としては、光により発生したラジカルや他の活性種が前記モノマー中の重合性二重結合と反応するものであれば特に制限はないが、アセトフェノン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンジル誘導体、ベンゾイン誘導体、ベンゾインエーテル誘導体、ベンジルジアルキルケタール誘導体、チオキサントン誘導体、アシルフォスフィンオキサイド誘導体、金属錯体、p−ジアルキルアミノ安息香酸、アゾ化合物、パーオキシド化合物等が一般的に知られ、アセトフェノン誘導体、ベンジル誘導体、ベンゾインエーテル誘導体、ベンジルジアルキルケタール誘導体、チオキサントン誘導体、アシルフォスフィンオキサイド誘導体が好ましく、アセトフェノン誘導体、ベンゾインエーテル誘導体、ベンジルジアルキルケタール誘導体、アシルフォスフィンオキサイド誘導体が特に好ましい。
具体的には、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ベンゾフェノン、p,p′−ジクロロベンゾフェノン、p,p′−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−プロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,2−ジメチルプロピオイル ジフェニルフォスフィンオキサイド、2−メチル−2−エチルヘキサノイル ジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6−ジメチルベンゾイル ジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイル ジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、2,3,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,3,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメトキシベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリクロロベンゾイル ジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル ナフチルフォスフォネート、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フィニル)チタニウム、p−ジメチルアミノ安息香酸、p−ジエチルアミノ安息香酸、アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、ベンゾインパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド等が挙げられる。
さらに光重合開始剤の例としては、加藤清視著「紫外線硬化システム」(株式会社総合技術センター発行:平成元年)の第65〜148頁に記載されている光重合開始剤などを挙げることができる。
これらの光重合開始剤は1種あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、増感剤と併用しても良い。
増感剤は、単独では光照射によって活性化しないが、光重合開始剤と一緒に使用した場合に光重合開始剤単独で用いた場合よりも効果があるもので、一般にアミン類が用いられる。アミン類の添加により硬化速度が速くなるのは、第一に水素引き抜き作用により光重合開始剤に水素を供給するためであり、第二に生成ラジカルが大気中の酸素分子と結合して反応性が悪くなるのに対して、アミンが組成中に溶け込んでいる酸素を捕獲する作用があるためである。
増感剤としては、アミン化合物(脂肪族アミン、芳香族基を含むアミン、ピペリジン、エポキシ樹脂とアミンの反応生成物、トリエタノールアミントリアクリレートなど)、尿素化合物(アリルチオ尿素、o−トリルチオ尿素など)、イオウ化合物(ナトリウムジエチルジチオホスフェート、芳香族スルフィン酸の可溶性塩など)、ニトリル系化合物(N,N−ジエチル−p−アミノベンゾニトリルなど)、リン化合物(トリ−n−ブチルホスフィン、ナトリウムジエチルジチオホスファイドなど)、窒素化合物(ミヒラーケトン、N−ニトリソヒドロキシルアミン誘導体、オキサゾリジン化合物、テトラヒドロ−1,3−オキサジン化合物、ホルムアルデヒドまたはアセトアルデヒドとジアミンの縮合物など)、塩素化合物(四塩化炭素、ヘキサクロロエタンなど)等が挙げられる。
増感剤は必ず用いる必要がある成分ではないが、用いる場合使用量は、通常全固形分中10質量%以下であり、0.1〜10質量%が好ましく、0.2〜5質量%が特に好ましい。光開始剤と増感剤の選定や組み合わせ、及び配合比に関しては使用する紫外線硬化モノマー、使用装置によって適宜選定すればよい。
重合開始剤の添加量としては、炭素-炭素二重結合の重合を開始できる量であれば良いが、一般的には樹脂膜形成用の重合性樹脂組成物全固形分に対して0.1〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%であり、特に好ましくは2〜5質量%の場合である。
2)貯蔵安定剤
貯蔵安定剤は保存中の好ましくない重合を抑制するもので、本発明の重合性樹脂組成物に含有することが好ましい。該貯蔵安定剤としては、前記溶媒に溶解し組成物中に溶解した状態で存在するものを用いる。例としては、4級アンモニウム塩、ヒドロキシアミン類、環状アミド類、ニトリル類、置換尿素類、複素環化合物、有機酸、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノエーテル類、有機ホスフィン類、銅化合物などが挙げられ、具体的にはベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ジエチルヒドロキシルアミン、ベンゾチアゾール、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、クエン酸、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ハイドロキノンモノブチルエーテル、ナフテン酸銅などが挙げられる。
使用量は用いる重合開始剤の活性やビニル重合性基の重合性、貯蔵安定剤の種類に基づいて適宜調整するのが好ましいが、一般的には全固形分中0.005〜1質量%が好ましく、0.01〜0.5質量%が更に好ましく、0.01〜0.2質量%が特に好ましい。0.005質量%以上とすることにより保存安定性が向上し、1質量%以下とすることにより皮膜形成後の重合反応(硬化)がスムーズに起こる。
3)添加剤
基材との界面密着性等の観点から、多官能(メタ)アクリレート化合物、反応性基(エポキシ基、オキセタン基、環状アセタール基、環状ラクトン基、環状チオエーテル基、スピロオルソエステル基、ビニルエーテル基、イソシアネート基など)を2つ以上有する化合物、反応性シランカップリング剤、アミノプラスト、多塩基酸またはその無水物等の硬化剤、あるいはシリカ等の無機微粒子、導電性微粒子(ITO、ATO、Sb23、SbO2、In23、SnO2、導電性ZnO、AZO(ALをドープした酸化亜鉛)、五酸化アンチモン亜鉛等の導電性金属酸化物微粒子、窒化チタン、窒化ジルコニウム、窒化ハフニウム等の導電性窒化物、金、銀、銅等の金属粒子など)を添加することもできる。これらを添加する場合には樹脂膜形成用の重合性樹脂組成物中の全固形分に対して30質量%以下の範囲であることが好ましく、20質量%以下の範囲であることがより好ましく、10質量%以下の範囲であることが特に好ましい。
添加剤としてラジカル重合性基以外の反応性基を含有する化合物を用いる場合や前記含フッ素重合性ポリマーにラジカル重合性以外の反応性基を含む場合にはラジカルを発生する重合開始剤だけではなくカチオン重合開始剤や架橋反応の促進剤を併用することが好ましい。
また、防汚性、耐水性等の特性をさらに強化させる目的で、公知のシリコーン系あるいはフッ素系の防汚剤、滑り剤等を適宜添加することもできる。これらの添加剤を添加する場合には樹脂膜形成用の重合性樹脂組成物全固形分の20質量%以下の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは10質量%以下の範囲で添加される場合であり、特に好ましくは5質量%以下の場合である。
上述のように、本発明のインクジェット記録ヘッドには上述の重合性樹脂組成物がすべて用いられるが、本発明の重合性樹脂組成物は、上述の本発明の含フッ素重合性ポリマーに、さらに前記貯蔵安定剤を含有することが好ましい。
(樹脂膜形成方法)
上述の重合性樹脂組成物を用いて樹脂膜を形成するには、ノズルプレート表面に塗布やディップコートなどにより、樹脂膜形成用の重合性樹脂組成物の膜を形成し、活性エネルギー線あるいは熱によって架橋反応を行う。用いるノズルプレートの材質は、金属、セラミックス、シリコン、ガラス、プラスチック等従来公知のものが使用できる。
活性エネルギー線としてはα線、γ線、X線、紫外線、可視光線、電子線などを使用することができる。これらのうち、紫外線、可視光線を用いることがコスト及び安全性の点から好ましく、紫外線を用いることが更に好ましい。
紫外線や可視光線を照射する光源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯、キセノンランプ、ケミカルランプなどが使用できる。
通常ラジカルによるビニル重合性基の重合反応は、酸素により阻害されるが、本発明の樹脂膜形成用の重合性樹脂組成物はビニル重合性基を側鎖に導入して、重合性基の運動性を保持している点と適度な含有率のために重合性に優れるので、常温の空気下での重合反応性でも十分な硬化が可能である。しかしながら、重合反応処理時に、酸素濃度を下げたり、加熱したりする条件で実施することも可能である。
加熱を行う場合には30〜200℃程度の温度範囲が好ましく、より好ましくは30〜150℃であり、更に好ましくは30〜120℃であり、特に好ましくは30〜100℃の場合である。加熱時間は30秒〜100時間の範囲が好ましく、より好ましくは1分〜1時間であり、特に好ましくは2分〜15分である。
本発明のインクジェット記録ヘッドは、記録用の液体を吐出する吐出口を有するインクジェット記録ヘッドであって、少なくとも吐出口周辺部に撥インク処理されて形成された記録ヘッドの撥インク処理部を有し、該撥インク処理部が含フッ素重合性ポリマーを少なくとも含有する重合性樹脂組成物の架橋体を含んでなり、該含フッ素重合性ポリマーがフッ素を含有する構造単位とラジカル重合性基を含有する構造単位とを含むポリマーであることを特徴とする。すなわち、該撥インク処理部が、上述の重合性樹脂組成物を架橋させてなる架橋体を含んでなるものである。ここで、重合性樹脂組成物を架橋させてなる架橋体とは、重合性樹脂組成物を塗工した後乾燥させて溶剤を蒸発させて形成した樹脂膜に活性エネルギー線や熱等を加えて、重合性樹脂組成物中の重合性ポリマーを重合させることにより架橋構造を形成させてなる架橋体を意味する。
<撥インク処理部の形成>
上記撥インク処理部は、後述する基体に直接、又は、他の層を介して上記重合性樹脂組成物の塗布液を塗布して構築することが好ましい。
該塗布液は、ブロック共重合体を含むマトリックスバインダー用液、特定の無機化合物の超微粒子分散物、必要に応じて用いる添加剤を塗布用分散媒に各々所定の濃度に混合・希釈して調整される。
該塗布液は、塗布前に濾過することが好ましい。濾過のフィルターは、塗布液中の成分が除去されない範囲でできるだけ孔径の小さいものを使うことが好ましい。濾過には絶対濾過精度が0.1〜100μmのフィルタが用いられ、さらには絶対濾過精度が0.1〜25μmであるフィルタを用いることが好ましく用いられる。フィルタの厚さは、0.1〜10mmが好ましく、更には0.2〜2mmが好ましい。その場合、濾過圧力は15kgf/cm2 以下、より好ましくは10kgf/cm2 以下、更には2kgf/cm2 以下で濾過することが好ましい。
濾過フィルター部材は、塗布液に影響を及ぼさなければ特に限定されない。具体的には、前記した無機化合物の湿式分散物の濾過部材と同様のものが挙げられる。
又、濾過した塗布液を、塗布直前に超音波分散して、脱泡、分散物の分散保持を補助することも好ましい。
本発明において、樹脂膜は、後述する基体上に上記重合性樹脂組成物をディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法やエクストルージョンコート法等の公知の薄膜形成方法で塗布し、乾燥、光及び/又は熱照射することにより作製することができる。好ましくは、光照射による硬化が、迅速硬化から有利である。更には、光硬化処理の後半で加熱処理することも好ましい。
光照射の光源は、紫外線光域或いは近赤外線光のものであればいずれでもよく、紫外線光の光源として、超高圧、高圧、中圧、低圧の各水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、メタルハライド灯、キセノン灯、太陽光等が挙げられる。波長350〜420nmの入手可能な各種レーザー光源をマルチビーム化して照射してもよい。また、近赤外光光源としてはハロゲンランプ、キセノンランプ、高圧ナトリウムランプが挙げられ、波長750〜1400nmの入手可能な各種レーザー光源をマルチビーム化して照射してもよい。
近赤外光光源を用いる場合、紫外線光源と組み合わせて用いる、或は樹脂膜塗設側と反対の基体面側より光照射しても良い。塗膜層内の深さ方向での膜硬化が表面近傍と遅滞無く進行し均一な硬化状態の樹脂膜が得られる。
ラジカル重合の場合は、空気又は不活性気体中で行なうことができるが、ラジカル重合性モノマーの重合の誘導期を短くするか、又は重合率を十分に高める等のために、できるだけ酸素濃度を少なくした雰囲気とすることが好ましい。光重合の場合の照射する紫外線の照射強度は、0.1〜500mW/cm2程度が好ましく、塗布膜表面上での光照射量は100〜1000mJ/cm2が好ましい。また、光照射工程での塗布膜の温度分布は、均一なほど好ましく、±3℃以内が好ましく、更には±1.5℃以内に制御されることが好ましい。この範囲において、塗布膜の面内及び層内深さ方向での重合反応が均一に進行するので好ましい。
本発明の發インク処理部(樹脂膜)の厚みは、特に限定されないが、0.01〜100μmが好ましく、0.1〜10μmがさらに好ましく、0.5〜5μmが特に好ましい。
<インクジェット記録ヘッドの撥インク処理部>
本発明のインクジェット記録ヘッドは、従来公知の微小液滴を噴射する液体吐出ヘッドであれば何れでもよい。例えば、Pond Stephen F.「Inkjet Technology and ProductDevelopmentStrategies」(TorreyPines、2000年刊)、甘利武司監修「インクジェットプリンター技術と材料」((株)シーエムシー、1998年刊)、(「インクジェット記録とプリンター記録方式とプリントヘッドの開発」((株)シーエムシー、2000年刊)等に記載の各種記録方式のヘッドが挙げられる。具体的には、帯電制御型、加圧振動型等のコンティニアス方式、電気−機械変換方式(ピエゾ型等)、電気−熱変換方式(バブルジェット型)、静電吸引方式、超音波方式等のオンデマンド方式が挙げられる。
上記撥インク処理部が形成される周辺部は、上記のような各種記録ヘッドの、少なくともインク滴吐出口周縁とすることが好ましい。例えば、インクを吐出する吐出口とこの吐出口に連通するインク路とを有するインクジェット記録ヘッドと、前記インク路にインクを供給するためのインク供給部材とを有する記録ヘッドユニットと、前記インク供給部材によって前記インク路に供給されるインクを貯留するためのインクタンク部とを備えたインクジェット記録ヘッドにおいて、例えば、吐出部(ノズル)形成部材のノズル孔先端の周縁部を撥インク処理部とするのが好ましい。然し、記録方式やヘッドの構造等により、これに限定されるものではない。
[撥インク処理部の形成方法]
撥インク処理の実施は、ノズルプレートにノズルを穿孔する前及び後の何れの時に行ってもよい。
ノズルプレートに穿孔されるノズル径は、インク滴吐出口の大きさが、直径15〜100μmが好ましく、より好ましくは20〜60μmである。
これらのノズルの穿孔方法としては、例えばプレス加工、電鋳加工、エキシマレーザー加工、フォトファブリケーション方法等が挙げられる。
又、ノズル穿孔後に撥インク処理を行う場合には、ノズル孔内部をレジストで塞ぎ、処理した後レジストを取り除く方法、ノズルに気体流を流しながら処理する方法等が好ましく行われる。又、撥インク処理用の重合性樹脂組成物がインク滴吐出口からノズル孔内部へ入り込む位置及び入り込む量を精密に制御する方法として、マスキング方法も好ましい。
又、撥インク処理後にノズルプレートをヘッド部に接着する場合は、該プレートの裏面を撥インク処理しないことが好ましい。
本発明に供されるノズルプレートは、従来公知の基体が用いられる。例えば、金属、セラミックス、シリコン、ガラス、プラスチック等で形成される。例えば、チタン、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、スズ、金等の単一もしくはニッケルーリン合金、スズ−銅−リン合金(リン青銅)、銅−亜鉛合金、ステンレス鋼40 等の合金、や、熱硬化、耐溶剤性、耐薬品性、耐熱性のある有機樹脂材料(例えば、熱硬化性ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレン、ポリカーボネート、ポリサルフォン、ABS 樹脂(アクリルニトリル・ブタジエン・スチレン供重合)、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアセタール、サルファイド等)各種の感光性樹脂で形成された材料等が挙げられる。
又、これらの材料を積層に貼り合わせて用いることも出来る。例えば、有機樹脂材料と、金属やセラミックス等の高剛性の無機材料とを接合することでノズルプレート全体の剛性を高めることができる。すなわち、有機樹脂材料のヤング率は100〜300Kg/mm2程度であり、金属の8000〜15000Kg/mm2、セラミックスの10000〜20000Kg/mm2に比較すると、はるかに小さいため、有機樹脂材料だけではインクジェットの駆動圧力に対して追随して変形することがあり、圧力損失が生じてインク滴速度Vjが低下するが、樹脂材料の下に高剛性材料を薄膜接着剤(接着層)で張り合わせることで全体剛性を向上させる。
プレートの厚みは、加工強度、加工に要するエネルギー負荷、ヘッドとしての軽量性等から30〜50μm程度が好ましい。
本発明の撥インク処理部の樹脂膜が形成される基体の面は、凹凸を形成していることが好ましい。
撥インク処理部の樹脂膜とのアンカー効果により該樹脂膜との密着性が保持され、該樹脂膜の強度が向上される。
撥インク処理部の樹脂膜が形成される基体の面の表面形状は、JISB0601−1994に基づく表面凹凸の算術平均粗さ(Ra)が0.5μm以下、十点平均粗さ(Rz)との比(Ra/Rz)が0.1以上、最大高さ(Ry)0.5μm以下、且つ表面凹凸平均間隔(Sm)が0.005〜1μmとなる範囲であることが好ましい。より好ましくは、Raが0.01〜0.3μm以下、十点平均粗さ(Rz)との比(Ra/Rz)が0.15以上、最大高さ(Ry)μm以下、且つ表面凹凸平均間隔(Sm)が0.001〜0.5μmである。
この範囲において、撥インク処理部の樹脂膜の均一な塗布性と密着性を良好に保持することが出来、好ましい。
さらに又、基体に直接撥インク処理部の樹脂膜を形成する代わりに、後記する中間層を介する場合にも、撥インク処理部の樹脂膜が形成される中間層の表面に凹凸形状を付与した後に該重合性樹脂組成物を塗設することが好ましい。好ましい表面凹凸状態は、上記したと同様の範囲である。
<中間層>
撥インク処理部には、上記のノズルプレート(基体)と撥インク処理により形成された樹脂膜との間に少なくとも1層の中間層を設けてもよい。該中間層は、密着性、ハードコート性、プライマー性、導電性等の機能を持たせることが好ましい。
中間層としては、密着性を持つことが好ましく、無機層、有機層、無機−有機ハイブリッド層の何れでもよく、密着性の観点から基体と撥インク処理部の組み合わせで適宜に選択される。中間層は、ハードコート性(鉛筆硬度が2以上、好ましくは3以上となる層)を併せ持つことが好ましい。更に、導電性が付与されることも好ましい。
有機層、或は無機−有機ハイブリッド層から成る場合に、中間層は、光及び/又は熱の硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、多官能モノマーや多官能オリゴマー或いは加水分解性官能基含有の有機金属化合物を含む塗布組成物を透明支持体上に塗布し、架橋反応、又は、重合反応させることにより形成することができる。
硬化性官能基としては、光重合性官能基が好ましく、又加水分解性官能基含有の有機金属化合物は有機アルコキシシリル化合物が好ましい。更に前記の撥インク処理部の重合性樹脂組成物の微粒子を適宜併用することでハードコート性が向上する。更に、前記の導電性微粒子を含有することで導電性が付与できる。
中間層が、本発明の撥インク処理部の直下の層の場合には、該層の表面は、凹凸を形成していることが好ましい。
撥インク処理部の樹脂膜とのアンカー効果により該樹脂膜との密着性が保持され、撥インク樹脂膜の強度が向上される。
中間層の好ましい表面形状は、前記した撥インク処理部の樹脂膜が形成される基体の面の表面形状の値と同様の範囲である。
[凹凸形状付与の方法]
上記のような微細な凹凸形状を、撥インク処理部の樹脂膜が形成される、基体または中間層の面に形成する方法は、従来公知の基体表面の形状を改質する、中間層自身が形成されたときに表面状態が微細な凹凸状となる中間層とする、或はこれらを組み合わせる方法を用いることが出来る。
基体表面の形状改質方法としては、例えば、ドライエッチング方法、基体が有機層の場合には更にエンボス版或は貼型用シートから凹凸をフィルム表面に転写するエンボス加工方法等が挙げられる。
ドライエッチング方法としては、例えば、水町浩、鳥羽山 満、監修「表面処理技術ハンドブック−接着・塗装から電子材料まで−」第2編第3節((株)エヌ・ティー・エス、2000年刊行)、田附重夫等編、「高分子のビーム加工−光・プラズマ・放射線の利用−」((株)シーエムーシー、1986年刊行)、上條栄治監修、「プラズマ・イオンビーム応用とナノテクノロジー」第1章〜第4章((株)シーエムーシー、2002年刊行)等に記載のグロー放電エッチング、フレームプラズマエッチング、コロナ放電エッチング、電子線エネルギー照射エッチング等が挙げられる。
又、エンボス加工方法としては、平板版プレス、連続ベルト版プレス、ロール版プレスのいずれも採用できる。この内、帯状物の連続加工として連続ベルト版プレスとロール版プレスが、さらにプレス圧やプレス温度の自由度の観点でロール版プレスが最も好ましい。
表面凹凸となる中間層としては、例えば、加水分解性基含有の有機金属化合物の加水分解から得られるゾル−ゲル反応物を塗布し、加熱或はプラズマ照射にして得られる金属酸化物膜、光及び/又は熱硬化性化合物と微粒子を含む組成物と塗設して得られる硬化膜等が挙げられる。
<撥インク処理部の特性>
(表面の形状)
撥インク処理部の表面、すなわちノズル孔の吐出口がある面の形状が、表面凹凸の算術平均粗さ(Ra)が1μm以下、最大高さ(Ry)が3μm以下、且つ表面凹凸平均間隔(Sm)が15μm以下となる範囲であることが好ましい。更には、(Ra)が0.01〜0.5μm、最大高さ(Ry)2μm以下、且つ表面凹凸平均間隔(Sm)が0.02〜10μm以下となる範囲であることが好ましい。
このような表面状態とすることで、ゴムや布等からなるワイパを用いてノズル開口面を拭くワイピングに対して、撥インク処理部の撥インク性が充分に保持される。
(帯電防止性)
撥インク処理部の表面に帯電圧を与えその減衰を測定したとき、帯電量が初期の1/2となるのに要する時間(以下、帯電圧半減期と記す)が60秒以下であることが好ましい。
特に、帯電圧半減期が30秒以下である場合は効果が高く望ましい。帯電圧半減期が60秒を越える場合は、該撥インク処理部を設けた後の帯電防止性の効果が充分でなく、ワイピング操作等での塵埃の付着防止効果が減少し好ましくない。
帯電圧半減期を測定する具体的な方法を以下に記す。まず物品の表面の帯電圧を静電位計でモニターしながら、直流コロナ放電によって表面を帯電させる。放電と共に帯電圧が上昇しある電位で飽和するのでこの電位を飽和電圧とし、放電を止め、その瞬間から帯電圧が飽和電圧の1/2となるまでの時間を測定する。
<インクジェット記録装置>
上記重合性樹脂組成物は微小液滴を噴射するインクジェット記録ヘッドの撥インク処理部の形成に供することが出来る。このような撥インク処理部を有するインクジェット記録ヘッドは、インクジェット記録方式のいずれの記録ヘッドにも用いることが出来る。具体的には、前記した記録ヘッドの項に記載の刊行物等に記載の内容が挙げられる。
更には、本発明は、インクジェット記録装置以外の小さいノズルを通して微小液滴を射出する適宜の装置であって、ノズルプレート上に撥液特性を必要とする適宜の機器に適用し得る。これらの該液としては塗料(ワニス)、溶媒、医薬流体等が挙げられる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下において「%」は、特に断りがない限り、「質量%」を表す。
(実施例)
<含フッ素重合性ポリマー(P−1)の合成>
内容量100mlのステンレス製撹拌機付オートクレーブに酢酸エチル40ml、ヒドロキシエチルビニルエーテル14.7gおよび過酸化ジラウロイル0.55gを仕込み、系内を脱気して窒素ガスで置換した。さらにヘキサフルオロプロピレン(HFP)25gをオートクレーブ中に導入して65℃まで昇温した。オートクレーブ内の温度が65℃に達した時点の圧力は5.4kg/cm2であった。該温度を保持し8時間反応を続け、圧力が3.2kg/cm2に達した時点で加熱をやめ放冷した。室温まで内温が下がった時点で未反応のモノマーを追い出し、オートクレーブを開放して反応液を取り出した。得られた反応液を大過剰のヘキサンに投入し、デカンテーションにより溶剤を除去することにより沈殿したポリマーを取り出した。さらにこのポリマーを少量の酢酸エチルに溶解してヘキサンから2回再沈殿を行うことによって残存モノマーを完全に除去した。乾燥後ヘキサフルオロプロピレンとヒドロキシエチルビニルエーテルのモル比1:1の下記含フッ素重合性ポリマー(a−1)の28gを得た。次に該ポリマーの20gをN,N-ジメチルアセトアミド100mlに溶解、氷冷下アクリル酸クロライド11.4gを滴下した後、室温で10時間攪拌した。反応液に酢酸エチルを加え水洗、有機層を抽出後濃縮し、得られたポリマーをヘキサンで再沈殿させることにより含フッ素重合性ポリマー(P−1)を19g得た。得られたポリマーの数平均分子量は3.1万であった。
Figure 0004377188
<含フッ素重合性ポリマー(P−13)の合成>
含フッ素重合性ポリマー(P−1)の合成例で記載したヘキサフルオロプロピレンとヒドロキシプロピルビニルエーテルの共重合体(a-1)15.5g、メタクリロイルオキシプロピルイソシアネート12.1gおよびジブチルチンジラウレート25mgをメチルイソブチルケトン28gに溶解し、50℃で4時間加熱攪拌した。反応液を大過剰のヘキサンに投入することにより沈殿したポリマーを取り出した。さらにこのポリマーを少量の酢酸エチルに溶解してヘキサンから2回再沈殿を行うことによって残存モノマーを完全に除去により含フッ素重合性ポリマー(P−13)を19g得た。得られたポリマーの数平均分子量は3.2万であった。
<含フッ素重合性ポリマー(P−15)の合成>
内容量100mlのステンレス製撹拌機付オートクレーブに酢酸エチル30ml、グリシジルビニルエーテル11.5gおよび過酸化ジラウロイル0.42gを仕込み、系内を脱気して窒素ガスで置換した。さらにヘキサフルオロプロピレン(HFP)21gをオートクレーブ中に導入して65℃まで昇温した。オートクレーブ内の温度が65℃に達した時点の圧力は6.2kg/cm2であった。該温度を保持し8時間反応を続け、圧力が3.6kg/cm2に達した時点で加熱をやめ放冷した。室温まで内温が下がった時点で未反応のモノマーを追い出し、オートクレーブを開放して反応液を取り出した。反応液を大過剰のヘキサンに投入し、デカンテーションにより溶剤を除去することにより沈殿したポリマーを取り出した。さらにこのポリマーを少量の酢酸エチルに溶解してヘキサンから2回再沈殿を行うことによって残存モノマーを完全に除去した。乾燥後ヘキサフルオロプロピレンとグリシジルビニルエーテルの共重合体を21g得た。次に該ポリマー15g、アクリル酸10.6g、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド0.13gおよびイルガノックス1010(商品名;チバガイギー社製重合禁止剤)84mgをメチルイソブチルケトン30gに溶解し、100℃で5時間加熱した。反応液を大過剰のヘキサンに投入することにより沈殿したポリマーを取り出した。さらにこのポリマーを少量の酢酸エチルに溶解してヘキサンから2回再沈殿を行うことによって残存モノマーを完全に除去することにより含フッ素重合性ポリマー(P−15)を20g得た。得られたポリマーの数平均分子量は2.8万であった。
<含フッ素重合性ポリマー(P−34)の合成>
1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルアクリレート23.0g、ヒドロキシエチルアクリレート5.2g、メチルエチルケトン10gからなる混合液を調整した。
次に、イソプロピルアルコール5g、トリフルオロメチルベンゼン20g、メチルエチルケトン10g、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.1gをフラスコに仕込み、窒素シール下に攪拌しながら、80℃まで昇温させた後、上記の混合液を2時間かけて滴下し、滴下終了後、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)を0.05g加え、更に同温度で2時間反応させた。反応液を大過剰のヘキサンに投入し、デカンテーションにより溶剤を除去することにより沈殿したポリマーを取り出した。
該ポリマーをトリフルオロメチルベンゼン40ml、N,N-ジメチルアセトアミド40mlに溶解、氷冷下アクリル酸クロライド3.9gを滴下した後、室温で10時間攪拌した。反応液に酢酸エチルを加え水洗、有機層を抽出後濃縮し、得られたポリマーをヘキサンで再沈殿させることにより含フッ素重合性ポリマー(P−34)を27g得た。得られたポリマーの数平均分子量は3.2万であった。
<含フッ素重合性ポリマー(P−60)の合成>
ヒドロキシエチルアクリレート20g、エタノール5g、テトラヒドロフラン10g、1−フェニルエチル ジチオベンゾエート0.89g、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1gをフラスコに仕込み、アルゴンシール下に攪拌しながら、60℃で10時間反応し、更に2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを0.05g加え、更に同温度で15時間反応させた。反応液を大過剰のアセトニトリルに投入し、デカンテーションにより溶剤を除去することにより沈殿したポリマーを取り出し、真空乾燥した。
該ポリマー2.8g、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルアクリレート46.6g、エタノール3g、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.02gをフラスコに仕込み、アルゴンシール下に攪拌しながら、60℃で20時間反応し、更に2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを0.02g加え、更に同温度で30時間反応させた。反応液を大過剰のヘキサンに投入し、デカンテーションにより溶剤を除去することにより沈殿したポリマーを取り出した。得られたポリマーをトリフルオロメチルベンゼン20ml、N,N-ジメチルアセトアミド5mlに溶解、氷冷下アクリル酸クロライド10gを滴下した後、室温で10時間攪拌した。反応液に酢酸エチルを加え水洗、有機層を抽出後濃縮し、得られたポリマーをヘキサンで再沈殿させることにより含フッ素重合性ポリマー(P−60)を23g得た。得られたポリマーの数平均分子量は3.2万であり、構造単位はNMRから算出した。
(樹脂膜形成用の重合性樹脂組成物の調製)
下記表1に示す各成分を混合し、メチルエチルケトンに溶解した後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、樹脂膜形成用の重合性樹脂組成物を調製した。
なお、上述の合成例を示したポリマー以外のポリマーは、それぞれ上述の合成例に示す合成方法に準じて、反応させる化合物をそれぞれ所定の化合物とすることにより得た。
Figure 0004377188
IRG907:イルガキュア907(商品名:チバガイギー(株)製) 光ラジカル重合開始剤
IRG1870:イルガキュア1870(商品名:チバガイギー(株)製)光ラジカル重合開始剤
DETX:カヤキュア−DETX(商品名:日本化薬(株)製) 光増感剤
EDA:N-エチルジエタノールアミン 重合促進剤
MHQ:ハイドロキノンモノメチルエーテル 貯蔵安定剤
U:ウレア 膜物性制御剤
D110N:タケネートD110N(商品名:武田薬品工業(株)製、多官能イソシアネート化合物) 膜物性制御剤
TGE:トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル 膜物性制御剤
PET4A:ペンタエリスリトールテトラアクリレート(多官能アクリレート化合物) 膜物性制御剤
PAA:アクリル酸-ブチルアクリレートコポリマー(共重合モル比20:80、分子量6000) 膜物性制御剤
a-2は、下記化23に示す化合物である。
Figure 0004377188
a−3:ポリ(1H,1H−パーフルオクチルアクリレート)構造を有するマクロモノマー/グリシジルメタクリレート 共重合体(60/30質量比)
(実施例及び比較例)
図1に示すように、得られた樹脂組成物を、ノズル孔が配置されたノズルプレート表面上に塗工し、本発明品については下記のように硬化処理を行い、また比較品については塗工し、乾燥させて、それぞれ撥インク処理されて撥インク部の形成されたインクジェット記録ヘッドを得た。更に詳しくは、得られたヘッドにおけるノズルプレート1は、ノズル孔2の周辺部(周縁)に撥水性樹脂膜が形成されて撥インク部3が形成されている。撥インク部3は、本発明品においては、予めノズルプレート1のノズル孔2部分をプレートの裏面側からポジレジストで保護し、ノズルプレート1の表面に、前記重合性樹脂組成物を乾燥後の膜厚が1μmになるよう塗布し、メタルハライドランプにより紫外線を300mJ/cm2 照射し、表2に示すような加熱処理を行って樹脂膜を作成した後、レジストを除去して得た。本実施例は、予めノズル孔を作成した後に撥水性樹脂膜を設置したが、ノズル孔のないノズルプレートに撥水性樹脂膜を設置した後に、ノズル孔を設けても良い。
Figure 0004377188
製作したノズルプレートを用いた本発明品のインクジェット記録ヘッドは、全ノズルからインク滴が安定して吐出することを確認した。更に、以下のような耐久試験を行った。
・密着性:密着性の評価として、ノズルプレートの表面をウレタンゴムでウエットワイピングし、キズ、ハガレの観察を実施した。キズ、ハガレがないものをA、少しキズがあるがハガレがないものをB、ハガレがあるものをCとした。
・撥インク性:インクに50℃の雰囲気下で3日間の浸漬を行い、撥インク性を調査した。浸漬前と殆ど変化がないものをA、撥インク性が劣化したものをBとした。
その結果を表2に示す。
表2に示す結果から明らかなように、上述の含フッ素重合性ポリマーを用いてなる本発明のインクジェット記録ヘッドは、加熱処理なしあるいは100℃以下の穏やかな熱処理で、吐出適性と密着性、撥インク性に優れた撥水性樹脂膜を形成でき、重合性基を有しないポリマーで撥インク処理してなる比較例のインクジェット記録ヘッドよりも耐久性に優れることが判る。
(実施例2)
前記の図1に示すノズルプレート1の表面に、予めエポキシ樹脂で中間層を設けた後に、重合性組成物P−32を塗布し、90℃20分の加熱処理を行って撥水性樹脂膜を形成した。前記実施例1と同様にして評価を行ったところ、吐出適性に優れ、密着性、撥インク性ともにAと優れていた。
(実施例3)
前記実施例1のNo.14とNo.17とを用いて、下記のアルカリインク耐性の評価を行った。その結果、フッ素を含有する構造単位にエステル基が含まれるNo.14は若干撥インク性が劣化したのに対し、エステル基を有しないNo.17はほとんど劣化しなかった。このようにエステル基を有しない含フッ素重合性ポリマーを用いた方が、長期間高い耐摩擦性を保持することが判った。
・アルカリインク耐性:銅フタロシアニンスルホン酸 4g、ジエチレングリコール 9g、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル 5g、グリセリン 5g、オルフィンE1010(商品名、エアープロダクツ株式会社製)2g、水75gの混合液に、pH=10となるように1規定水酸化ナトリウム溶液を加えたインクにプレートを浸漬し、80℃で4時間加熱した後にプレートを取り出してウレタンゴムで10往復ウェットワイピングする作業を10回繰り返した。作業終了後、浸漬前と撥インク性に違いが生じるか否かを確認した。
図1は、実施例で作成した本発明のインクジェット記録ヘッドの要部を示す拡大断面図である。
符号の説明
1 ノズルプレート
2 ノズル孔
3 撥インク部

Claims (14)

  1. 記録用の液体を吐出する吐出口を有し、少なくとも該吐出口周辺部に撥インク処理がなされたインクジェット記録ヘッドにおいて、記録ヘッドの撥インク処理部が、含フッ素重合性ポリマーを少なくとも含有する重合性樹脂組成物の架橋体を含んでなり、該含フッ素重合性ポリマーがフッ素を含有する構造単位とラジカル重合性基を含有する構造単位とを含むポリマーであり、フッ素を含有する構造単位が下記一般式1a〜1dのいずれかで表される構造単位であることを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
    Figure 0004377188
    (一般式1a中、Rf 0 は、フッ素原子、炭素数1から8のパーフルオロアルキル基または、-ORf 1 基を表す。ここで、Rf 1 は構成される炭素数が1から30までの含フッ素脂肪族基を表す。一般式1b中、R 0 は、水素原子またはフッ素原子、メチル基、シアノ基を表し、L1は−(共有結合)、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−CONR 50 −、−OCO−、−OCONR 51 −、−NR 52 CO−、−NR 53 COO−、−NR 54 CONR 55 −、−SO−、−SO 2 −、−SO 2 NR 56 −、−NR 57 SO 2 −、−SiR 58 59 −、−PR 60 −、−PO(OR 61 )O−、−OPO(OR 62 )−、−PO(OR 63 )NR 64 −、−NR 65 PO(OR 66 )−、−NR 67 PO(NR 68 69 )NR 70 −、−NR 71 −を表し、R 50 からR 71 はHまたは、置換または無置換のアルキル基を表す。Rf 2 はCH結合の水素原子の1部または全部をフッ素で置換した炭化水素基を表す。一般式1c中、R 1 、R 2 は、各々同じでも異なってもよく、フッ素原子又は−C v 2v+1 基を表す。ここでvは1〜4の整数、aは0又は1、bは2〜5の整数、cは0又は1を表す。一般式1d中、R 3 、R 4 は、各々フッ素原子又は−CF 3 基を表す。aは、上記一般式1cと同じである。dは0又は1、kは0又は1〜5の整数、lは0又は1〜4の整数、mは0又は1を表わす。ここで(k+l+m)は1〜6の範囲の整数である。
  2. 前記重合性樹脂組成物の架橋体が、ラジカル重合を含む架橋反応により形成されていることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録ヘッド。
  3. 前記含フッ素重合性ポリマーにおいて、前記ラジカル重合性基を含有する構造単位が下記化2の一般式2で表される構造単位であることを特徴とする請求項1または2記載のインクジェット記録ヘッド
    Figure 0004377188
    (一般式2中、R10、R11、R12はおのおの独立して、水素原子、塩素原子、フッ素原子を表し、L3は炭素数1〜20の連結基を表し、L2、L4はそれぞれ独立して、一般式1b記載のL1と同義であり、pは0または1であり、Xは水素原子またはフッ素原子、メチル基、シアノ基を表す。)
  4. 前記含フッ素重合性ポリマーが、フッ素を含有する構造単位を有する高分子鎖である第1セグメントとラジカル重合性基を含有する構造単位を有する高分子鎖である第2セグメントとを含有するポリマーであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
  5. 前記含フッ素重合性ポリマーが前記第1セグメントと前記第2セグメントとを含有する直線状あるいは分岐状ポリマーであることを特徴とする請求項4記載のインクジェット記録ヘッド。
  6. 前記撥インク処理部における重合性樹脂組成物が塗布される面の撥インク処理前の表面形状が、JISB0601−1994に基づく表面凹凸の算術平均粗さ(Ra)が0.5μm以下、該算術平均粗さ(Ra)と十点平均粗さ(Rz)との比(Ra/Rz)が0.1以上、最大高さ(Ry)が0.5μm以下、且つ表面凹凸平均間隔(Sm)が0.005〜1μm以下となる範囲であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド
  7. インクジェット記録ヘッドを搭載したインクジェット記録装置において、該インクジェット記録ヘッドが請求項1〜のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッドであることを特徴とするインクジェット記録装置。
  8. フッ素を含有する構造単位を有する高分子鎖である第1セグメントとラジカル重合性基を含有する構造単位を有する高分子鎖である第2セグメントとを含有し、該フッ素を含有する構造単位が下記化3の一般式3a〜3dで表されることを特徴とする含フッ素重合性ポリマー。
    Figure 0004377188
    (一般式3a中、Rf0は、フッ素原子、炭素数1から8のパーフルオロアルキル基または、-ORf1基を表す。ここで、Rf1は構成される炭素数が1から30までの含フッ素脂肪族基を表す。一般式3b中、R0は、水素原子またはフッ素原子、メチル基、シアノ基を表し、L1は−(共有結合)、−O−、−S−、−CO−、−CONR50−、−OCO−、−OCONR51−、−NR52CO−、−NR53COO−、−NR54CONR55−、−SO−、−SO2−、−SO2NR56−、−NR57SO2−、−SiR5859−、−PR60−、−PO(OR61)O−、−OPO(OR62)−、−PO(OR63)NR64−、−NR65PO(OR66)−、−NR67PO(NR6869)NR70−、−NR71−を表し、R50からR71はHまたは、置換または無置換のアルキル基を表す。Rf2はCH結合の水素原子の1部または全部をフッ素で置換した炭化水素基を表す。一般式3c中、R1、R2は、各々同じでも異なってもよく、フッ素原子又は−Cv2v+1基を表す。ここでvは1〜4の整数、aは0又は1、bは2〜5の整数、cは0又は1を表す。一般式3d中、R3、R4は、各々フッ素原子又は−CF3基を表す。aは、上記一般式1cと同じである。dは0又は1、kは0又は1〜5の整数、lは0又は1〜4の整数、mは0又は1を表わす。ここで(k+l+m)は1〜6の範囲の整数である。
  9. 含フッ素重合性ポリマーが直線状あるいは分岐状ポリマーであることを特徴とする請求項記載の含フッ素重合性ポリマー。
  10. 含フッ素重合性ポリマーが直線状ポリマーであることを特徴とする請求項記載の含フッ素重合性ポリマー。
  11. 含フッ素重合性ポリマーと貯蔵安定剤とを含む重合性樹脂組成物であり、前記含フッ素重合性ポリマーがフッ素を含有する構造単位を有する高分子鎖である第1セグメントとラジカル重合性基を含有する構造単位を有する高分子鎖である第2セグメントとを含有するポリマーであり、フッ素を含有する構造単位が下記一般式1a〜1dのいずれかで表される構造単位であることを特徴とする重合性樹脂組成物。
    Figure 0004377188
    (一般式1a中、Rf 0 は、フッ素原子、炭素数1から8のパーフルオロアルキル基または、-ORf 1 基を表す。ここで、Rf 1 は構成される炭素数が1から30までの含フッ素脂肪族基を表す。一般式1b中、R 0 は、水素原子またはフッ素原子、メチル基、シアノ基を表し、L1は−(共有結合)、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−CONR 50 −、−OCO−、−OCONR 51 −、−NR 52 CO−、−NR 53 COO−、−NR 54 CONR 55 −、−SO−、−SO 2 −、−SO 2 NR 56 −、−NR 57 SO 2 −、−SiR 58 59 −、−PR 60 −、−PO(OR 61 )O−、−OPO(OR 62 )−、−PO(OR 63 )NR 64 −、−NR 65 PO(OR 66 )−、−NR 67 PO(NR 68 69 )NR 70 −、−NR 71 −を表し、R 50 からR 71 はHまたは、置換または無置換のアルキル基を表す。Rf 2 はCH結合の水素原子の1部または全部をフッ素で置換した炭化水素基を表す。一般式1c中、R 1 、R 2 は、各々同じでも異なってもよく、フッ素原子又は−C v 2v+1 基を表す。ここでvは1〜4の整数、aは0又は1、bは2〜5の整数、cは0又は1を表す。一般式1d中、R 3 、R 4 は、各々フッ素原子又は−CF 3 基を表す。aは、上記一般式1cと同じである。dは0又は1、kは0又は1〜5の整数、lは0又は1〜4の整数、mは0又は1を表わす。ここで(k+l+m)は1〜6の範囲の整数である。
  12. 前記含フッ素重合性ポリマーが直線状あるいは分岐状ポリマーであることを特徴とする請求項11記載の重合性樹脂組成物。
  13. 前記含フッ素重合性ポリマーが直線状ポリマーであることを特徴とする請求項11記載の重合性樹脂組成物。
  14. 記録用の液体を吐出する吐出口を有し、少なくとも該吐出口周辺部に撥インク処理がなされたインクジェット記録ヘッドの製造方法において、記録ヘッドの撥インク処理部に、溶剤およびフッ素を含有する構造単位とラジカル重合性基を含有する構造単位を含む含フッ素重合性ポリマーを、少なくとも含有する重合性樹脂組成物を塗布する工程、溶媒を蒸発させて形成した膜に活性化エネルギー線又は熱を加えて重合性樹脂組成物の架橋体を形成させる工程を有し、含フッ素重合性ポリマーのフッ素を含有する構造単位が下記一般式1a〜1dのいずれかで表される構造単位であることを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方法。
    Figure 0004377188
    (一般式1a中、Rf 0 は、フッ素原子、炭素数1から8のパーフルオロアルキル基または、-ORf 1 基を表す。ここで、Rf 1 は構成される炭素数が1から30までの含フッ素脂肪族基を表す。一般式1b中、R 0 は、水素原子またはフッ素原子、メチル基、シアノ基を表し、L1は−(共有結合)、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−CONR 50 −、−OCO−、−OCONR 51 −、−NR 52 CO−、−NR 53 COO−、−NR 54 CONR 55 −、−SO−、−SO 2 −、−SO 2 NR 56 −、−NR 57 SO 2 −、−SiR 58 59 −、−PR 60 −、−PO(OR 61 )O−、−OPO(OR 62 )−、−PO(OR 63 )NR 64 −、−NR 65 PO(OR 66 )−、−NR 67 PO(NR 68 69 )NR 70 −、−NR 71 −を表し、R 50 からR 71 はHまたは、置換または無置換のアルキル基を表す。Rf 2 はCH結合の水素原子の1部または全部をフッ素で置換した炭化水素基を表す。一般式1c中、R 1 、R 2 は、各々同じでも異なってもよく、フッ素原子又は−C v 2v+1 基を表す。ここでvは1〜4の整数、aは0又は1、bは2〜5の整数、cは0又は1を表す。一般式1d中、R 3 、R 4 は、各々フッ素原子又は−CF 3 基を表す。aは、上記一般式1cと同じである。dは0又は1、kは0又は1〜5の整数、lは0又は1〜4の整数、mは0又は1を表わす。ここで(k+l+m)は1〜6の範囲の整数である。
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