JP2018202806A - 液体吐出ヘッド及びその製造方法並びにインクジェット記録装置 - Google Patents

液体吐出ヘッド及びその製造方法並びにインクジェット記録装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2018202806A
JP2018202806A JP2017113564A JP2017113564A JP2018202806A JP 2018202806 A JP2018202806 A JP 2018202806A JP 2017113564 A JP2017113564 A JP 2017113564A JP 2017113564 A JP2017113564 A JP 2017113564A JP 2018202806 A JP2018202806 A JP 2018202806A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
discharge port
liquid
head according
group
protrusion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017113564A
Other languages
English (en)
Inventor
陽平 浜出
Yohei Hamade
陽平 浜出
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2017113564A priority Critical patent/JP2018202806A/ja
Publication of JP2018202806A publication Critical patent/JP2018202806A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】吐出口に設けられた突起部の外表面に、液体が固着しにくい液体吐出ヘッド及びその製造方法並びにインクジェット記録装置を提供する。【解決手段】液体吐出ヘッドは、液体を吐出する吐出口12を有し、吐出口12の周縁部12aから、吐出口12の中心に向かって突出する少なくとも1つの突起部5を含み、突起部5の少なくとも突起縁1を含む外表面40aに、吐出口12の周辺の外表面40よりも液体を静電的に吸着しにくい低静電吸着領域3を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、インク等の液滴を吐出可能な液体吐出ヘッド及びその製造方法並びにインクジェット記録装置に関する。
インク等の液滴を吐出可能な液体吐出ヘッドにおいて、良好な液体吐出性能を得るためには、吐出口面(外表面)の表面特性を制御することが重要である。吐出口付近に液体溜りが残留していると、液体の飛翔方向が偏向したり、吐出する液体に対して負荷がかかり、液体の吐出速度が低下したりする場合がある。これらを改善し、精度良く液体を吐出する方法として、吐出口周辺を撥液体処理する方法が挙げられる。
また、写真出力等の高精細な画像を求められる液体吐出プリンタにおいて、画像品位を低下させるサテライトは、できるだけ少なくすることが望ましい。特許文献1では、サテライトの低減方法として、吐出口の内壁から突出する少なくとも1つの突起部を形成して、尾引きの長さを短くする方法が開示されている。
特許第4818276号公報
このように吐出口形状が複雑な形状となる場合、突起部のない通常の丸穴形状の吐出口に比べて、上記のような撥液体処理をした場合でも、突起部表面に液体が溜り、固着する可能性が高くなる。
特に、インクジェット記録装置に搭載される液体吐出ヘッドでは、吐出されるインク自体が吐出口面へ静電的に付着しやすい傾向にある。例えば、インクに含まれる色材をインク中に安定的に分散させるため色材自体が電荷を有することがある。また、印刷された画像の堅牢性を高める等の種々の目的でインク中に添加される樹脂が、局所的な分極や電荷を有する場合がある。そのため、インクジェット記録装置に用いられるインクは、吐出口面形成材料の分極部分やワイプなどの摩擦による帯電部分と静電吸着を引き起こしやすく、非常に固着しやすい。
液体吐出ヘッドの吐出口面に液体が固着すると、サテライト切れの悪化や印字ヨレなどの印字不良が発生する可能性がある。
そこで本発明は、上記問題点に鑑み、吐出口に設けられた突起部の外表面に、液体が固着しにくい液体吐出ヘッド及びその製造方法並びにインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る液体吐出ヘッドは、
液体を吐出する吐出口を有し、前記吐出口は、前記吐出口の周縁部から、前記吐出口の中心に向かって突出する少なくとも1つの突起部を含む液体吐出ヘッドであって、
前記突起部の少なくとも突起縁を含む外表面に、前記吐出口の周辺の外表面よりも前記液体を静電的に吸着しにくい低静電吸着領域を備える。
また、本発明に係る液体吐出ヘッドの製造方法は、
液体を吐出する吐出口を有し、前記吐出口は、前記吐出口の周縁部から、前記吐出口の中心に向かって突出する少なくとも1つの突起部を含む、液体吐出ヘッドの製造方法において、
1)基板上に帯電防止剤を含む層を少なくとも形成する工程と、
2)前記帯電防止剤を含む層を、前記吐出口となる部分を未露光部として露光する露光工程と、
3)前記帯電防止剤を含む層を現像して吐出口を形成する工程と、
を含み、
前記露光工程において、前記吐出口の前記突起部となる部分の少なくとも突起縁を含む外表面への露光量が、前記吐出口の周辺の外表面への露光量よりも高くなるように露光する。
また、本発明に係る液体吐出ヘッドの製造方法は、
液体を吐出する吐出口を有し、前記吐出口は、前記吐出口の周縁部から、前記吐出口の中心に向かって突出する少なくとも1つの突起部を含む液体吐出ヘッドの製造方法において、
1)基板上に光分解するフッ素含有基を有する第1の化合物を含むフッ素含有層を少なくとも形成する工程と、
2)前記フッ素含有層の一部を露光して吐出口パターンを形成する第1の露光工程と、
3)前記吐出口の前記突起部となる部分の少なくとも突起縁を含む外表面を露光して、前記第1の化合物の前記フッ素含有基を分解する第2の露光工程と、
4)前記フッ素含有層を現像して吐出口を形成する工程と、
を含む。
本発明に係るインクジェット記録ヘッドは、上記の液体吐出ヘッドを有する。
また、本発明に係るインクジェット記録装置は、上記のインクジェット記録ヘッドを具備する。
また、本発明に係るインクジェット記録方法は、上記のインクジェット記録装置を用い、インクを該インクジェット記録装置から吐出し、被印字物にインクを付与する。
以上の構成によれば、吐出口に設けられた突起部の外表面に、液体が固着しにくい液体吐出ヘッド及びその製造方法並びにインクジェット記録装置を提供することができる。
本発明の実施の形態に係る吐出口形状を説明するための平面図である。 本発明の実施の形態に係る吐出口形状を説明するための平面図である。 吐出口の一実施形態を説明するための平面図である。 吐出口の一実施形態を説明するための平面図である。 吐出口の一実施形態を説明するための平面図である。 本発明の実施の形態に係る方法により形成されたインクジェット記録ヘッドの斜視図である。 (a)〜(h)は本発明の実施の形態に係るインクジェット記録ヘッドの製造方法を説明するための断面図である。 (a)〜(h)は本発明の実施の形態に係るインクジェット記録ヘッドの製造方法を説明するための断面図である。 液体の固着を説明するための吐出口の斜視図である。
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されない。なお、以下の説明では、同一の機能を有する構成には図面中に同一の番号を付し、その説明を省略する場合がある。
まず、図9を用いて、背景技術に示した突起を有する吐出口の液体の固着について説明する。図9は、図示しないインクの流路に連通する吐出口12の斜視図である。吐出口12の先端部には周縁部12aから突起部5が吐出口12の中心に向かって突出して設けられている。液体は吐出口12から矢印の方向Aに向けて吐出される。突起部5の外表面40aに溜った液体33は、突起部5の突起縁1において働くピン止め効果により、吐出口12の内部(矢印Bの方向)へは移動しにくく、吐出口12の外周方向(矢印Cの方向)への移動に限定される。背景技術の構造では、突起部5の外表面40aと吐出口の周辺の外表面(吐出口周辺面という)40では同じ静電的特性を有しており、液体の移動は任意となる。そのため、液体33が突起部5の外表面40aに残留し、固着することがある。なお、「突起縁」とは突起部の外周縁をいう。
(作用)
次に、本実施形態の作用について説明する。本実施形態の吐出口12は、図1に示すように、先端部に例えば2つの突起部5を有する。その突起部5の外表面40aにおける少なくとも突起縁1を含む領域に、吐出口周辺面40よりも帯電したインクが静電的に吸着しにくい低静電吸着領域(図1の斜線で示した部分)3を形成する。
この構成により、突起部5の外表面40aにおいて液体(以下、「インク」ともいう。)が溜っても、低静電吸着領域3では帯電したインクが静電的に吸着されず、相対的に静電吸着性の高い領域(外表面において、低静電吸着領域3以外の領域)4へ移動し、突起部5のインク溜りが減少するため、インクが固着することを抑制できる。つまり、低静電吸着領域3は、静電吸着性が高い領域4に比べて、インクの固着防止性が高い。
本発明における低静電吸着領域とは、吐出口12を通過する帯電したインク等の液体が有する電荷と反発する電荷で表面が帯電することにより、液体が静電的に吸着されにくい領域である。又は、表面が帯電防止性を有し(帯電性が低く)電荷的に中性に保たれていることにより、液体が静電的に吸着されにくい領域である。即ち、液体が正に帯電している場合、低静電吸着領域とは、表面が負に帯電した領域(又は静電吸着性の高い領域よりも多く負に帯電した領域)、又はどちらにも帯電していない領域をいう。逆に、液体が負に帯電している場合、低静電吸着領域とは、表面が正に帯電した領域(又は静電吸着性の高い領域よりも多く正に帯電した領域)、又はどちらにも帯電していない領域をいう。なお、本発明において液体が帯電している(電荷を持つ)とは、液体中の粒子又は分子が帯電しているか、又は分極するということである。低静電吸着領域は、例えば以下に説明する固着防止処理により形成される。
なお、インク誘導のために、低静電吸着領域3と静電吸着性が高い領域4との間に、インクが有する電荷もしくは局所的な分極に相当する電位の絶対値以上の電位差を設けることが好ましい。また、固着しやすいインクとは、ゼータ電位の絶対値が10mV以上のインクを指す。したがって、静電吸着を効果的に防止するには、低静電吸着領域3と静電吸着性が高い領域4との間の電位差が10mV以上であることが好ましい。
(吐出口形状と固着防止処理領域について)
次に吐出口12の形状と固着防止処理領域について説明する。
(吐出口形状)
まず、本実施形態に適用可能な吐出口形状について説明を行う。吐出口12は、吐出口12の周縁部12aから吐出口12の中心に向かって突出する少なくとも1つの突起部を有する。
具体的には、例えば図2に示すように、吐出口12に、突出高さがbの2つの突起部5が対称的に設けられる。Mは、突起がない場合の吐出口の仮想的な外縁の吐出口の最小径(突起部が2つの場合は、突起部の付け根から相対する突起部の付け根までの距離。突起部が1つの場合は、突起部の付け根から対応する周縁までの距離。)である。2つの突起部5の間の隙間(縮径部)は、吐出口12の最小径Hを形成している。この突起部5の幅aと突起部5の間の隙間で作られる縮径部は吐出口12内の他の部分に比べ、著しく流体抵抗が高い第1の領域である高流体抵抗領域6となる。そして、高流体抵抗領域6を境にその両側(図2において突起部5の上下側の位置)に第2の領域として低流体抵抗領域7が形成される。この高流体抵抗領域6と低流体抵抗領域7との流体抵抗の差が充分にあることが好ましい。したがって、突起部5は局所的に設けられていることが望ましい。低流体抵抗領域7における流体抵抗は、突起部5を設けないものに比べ、それほど高くなっていないことが望ましい。このような構造であれば、吐出口12の外縁形状は、円、楕円、四角形、星形などいずれの構成をとることも可能である。上述のように、高流体抵抗領域6と低流体抵抗領域7を構成可能な突起部であれば、突起部の形状は限定されない。具体的には、図2において、低流体抵抗領域7の縦幅Wが縮径部の横幅Hよりも長いことが好ましい。
(固着防止処理領域について)
次に、固着防止処理領域について説明する。図1及び図9において説明した通り、突起部5の外表面40aにおける突起縁1を含む領域に低静電吸着領域3が形成され、それ以外の吐出口の外表面は、相対的に静電吸着性が高い領域4となっている。突起部5の外表面40aは、突起が無い場合の吐出口12の仮想的な外縁8よりも吐出口12の中心側である。なお、インク吐出時にインクのメニスカスが安定して吐出口で張ることができるように、吐出口12の内壁12bには固着防止処理がされないようにすることが好ましい。
また、インク溜りは、低静電吸着領域3と静電吸着性が高い領域4の境界3aに達しないと静電吸着性が高い領域4側へ移動しない。そのため、低静電吸着領域3を外方向に広げ過ぎることは、突起部上にインクをより多く溜めることとなり、好ましくない。そのため、図3のように、突起が無い場合の吐出口12の仮想的な外縁8よりも吐出口12の中心側(内側)に低静電吸着領域3を設ける。この場合、吐出口周辺面40が静電吸着性が高い領域4となる。しかし、図4のように、仮想的な外縁8よりもさらに吐出口12の中心に近い領域に低静電吸着領域3を狭めて形成することが好ましい。この場合、静電吸着性が高い領域4は、仮想的な外縁8よりも突起部5の外表面40aのほうに広がっている。
2つの領域の境界3aの位置は、インクミストやインク溢れなどが印字に影響を及ぼすインク溜り量に合わせて、調整することができる。一例として、図5に示すように、突起部5の外表面40aにおいて、突起部5の突起縁1から内側の幅Lが、突起部5の幅aの50%以下である領域に低静電吸着領域3を形成することが好ましい。例えば、突起部5の幅aが3.0μmである場合、突起部5の突起縁1から内側の幅Lが0.5μmあるいはそれ以下の領域に、低静電吸着領域3を形成することができる。つまり、低静電吸着領域3は、突起部5の突起縁1を含み、その突起縁1に沿って形成されている。静電吸着性が高い領域4は、突起部5の外表面40aの中央部に形成されている。このような構成により、突起部5の外表面40aに付着したインクは、静電吸着性が高い領域4に沿って突起部5の外表面40aから吐出口周辺面40に向かって移動する。そのため、インクが突起部5の外表面40aに滞留しない。
(固着防止性の高い領域の形成方法について)
吐出口面の固着防止性を高める手法、つまり低静電吸着領域を形成する方法としては、(i)帯電防止性を持たせる(帯電性を低くする)方法と、(ii)インクと同極性の電荷を持たせる方法がある。
(実施の形態1)
まず、(i)の帯電防止性を持たせる方法について、詳細に説明する。(i)の方法により、帯電防止性を持つ吐出口面は電荷を持たないために、電荷を持つインクが付着しにくくなる。そして、帯電防止性のより低い領域(固着防止性が低い領域)へとインクが移動する。実施の形態1では、使用するインクの帯電の正負は問わない。
図6は、本発明の実施の形態1に係るインクジェット記録ヘッド50を示す模式的斜視図である。インクジェット記録ヘッド50は、インクを吐出するために利用されるエネルギーを発生するエネルギー発生素子(抵抗発熱素子や圧電素子など)9を複数備える基板10を備える。基板10は、インクを保持する流路11、および流路11と連通し、インクを吐出する吐出口12を形成する吐出口形成部材13を備える。また、基板10には、基板10を貫通しインクを流路11に供給する供給口14が設けられている。以下に、図6のA−A’断面において、本実施の形態1のインクジェット記録ヘッド50の製造方法の各工程について、図7を用いて説明する。
まず、エネルギー発生素子9が形成された基板10上に、流路11の型材となるポジ型感光性樹脂を含むポジ型感光性樹脂層(図示せず)を形成する。ポジ型感光性樹脂としては特に限定されないが、後述する光カチオン重合性樹脂層16の露光時に感光してパターニング性が低下することを防ぐため、光カチオン重合性樹脂層16の露光に使用される光に対する吸光度が低い材料が好ましい。例えば光がi線(365nm)等の紫外線の場合には、ポジ型感光性樹脂としてはDeepUV光で露光可能なポリメチルイソプロペニルケトン等を用いることができる。ポジ型感光性樹脂層の形成方法としては、例えばポジ型感光性樹脂を適宜溶媒に溶解し、スピンコート法により塗布した後、プリベークを行うことで、ポジ型感光性樹脂層を形成することができる。ポジ型感光性樹脂層の厚さは流路の高さに相当するため、インクジェット記録ヘッドの吐出設計により適宜決定されるが、例えば5〜22(μm)とすることが好ましい。
次に、ポジ型感光性樹脂層をパターニングして型材17を形成する(図7(a))。ポジ型感光性樹脂層をパターニングする方法としては、例えばポジ型感光性樹脂層に対してポジ型感光性樹脂を感光可能な活性エネルギー線を、マスクを介して照射し、パターン露光する。その後、ポジ型感光性樹脂層の露光部を溶解可能な溶媒等を用いて現像し、リンス処理を行うことで型材17を形成することができる。
次に、型材17および基板10上に、光カチオン重合性樹脂材料と光カチオン重合開始剤とを含む光カチオン重合性樹脂層16を形成する(図7(b))。光カチオン重合性樹脂材料としては、エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物等が挙げられる。これらの中でも、光カチオン重合性樹脂材料としては、高い機械的強度および下地との強い密着性を示す観点から、エポキシ化合物が好ましい。エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。市販品では、「EHPE−3150」(商品名、(株)ダイセル製)、「セロキサイド(登録商標)2021」(商品名、(株)ダイセル製)、「GT−300シリーズ」(商品名、(株)ダイセル製)、「GT−400シリーズ」(商品名、(株)ダイセル製)、「157S70」(商品名、ジャパンエポキシレジン社製)、「エピクロン(登録商標)N−865」(商品名、大日本インキ化学工業(株)製)、「SU8」(商品名、日本化薬(株)製)等が挙げられる。エポキシ化合物のエポキシ当量は2000以下が好ましく、1000以下がより好ましい。エポキシ当量が2000以下であることにより、硬化反応の際に架橋密度が低下せず、硬化物のガラス転移温度および密着性の低下を防ぐことができる。なお、エポキシ当量はJISK−7236に準じて測定した値である。
光カチオン重合開始剤としては、例えばイオン性のスルホニウム塩系やヨードニウム塩系などのオニウム塩などを使用することができる。しかしながら、カチオン重合活性の大きさの観点から、リン系のPFやアンチモン系のSbFをアニオンとして有するオニウム塩が好ましい。市販品では、「SP−170」(商品名、(株)ADEKA製)、「SP−172」(商品名、(株)ADEKA製)等が挙げられる。光カチオン重合性樹脂層16は、例えば光カチオン重合性樹脂材料と光カチオン重合開始剤を適宜溶媒に溶解した溶液を、スピンコート法にて、型材17および基板10上に塗布した後、プリベークを行うことで形成することができる。なお、溶媒を使用する場合には型材17を溶解しない溶媒を選択して使用する。光カチオン重合性樹脂層16の厚さは特に限定されないが、例えば型材17上の厚さを15〜75(μm)とすることができる。
次に、固着防止性を高めるための帯電防止層について説明する。帯電防止層としては、帯電防止剤が含まれていればよい。したがって帯電防止剤を、固着防止性を高くしたい領域の最表層に含有させることが可能であれば、光カチオン重合性樹脂層16に帯電防止剤を添加して帯電防止層(帯電性が低い層又は領域)としてもよい。あるいは光カチオン重合性樹脂層16上に新たに帯電防止層を形成しても良い。
ここで説明する実施の形態1では、固着防止性が高い領域を形成する方法として、以下で説明する帯電防止剤を用いて、未硬化の光カチオン重合性樹脂層16上に、帯電防止層18を新たに形成する方法を説明する。
まず、帯電防止剤を含む溶液を調製する。この溶液は帯電防止剤と帯電防止剤を溶解する溶媒とを含み、帯電防止剤の耐溶剤性を高める観点から、樹脂を添加することが好ましい。この際、添加樹脂としては、後述するパターニングの観点から、光カチオン重合性樹脂を用いることが好ましい。また、溶媒としては、含有する帯電防止剤の溶解性に合わせて選択することができ、特に限定されないが、後述する露光部のカチオン重合が阻害されるのを防ぐため、水以外の溶媒を用いることが好ましい。
また、一般的な帯電防止剤としては、金属塩、界面活性剤、金属含有コロイド、高分子固体電解質等が挙げられる。この中でも、金属塩、界面活性剤、金属含有コロイドが、パターンの変形や解像性の低下等のパターニング特性の低下を抑制する観点から好ましい。
金属塩型帯電防止剤は、インクなどの溶媒が接触した際に、金属塩から電荷を持った原子イオンが分離して導電するため、吐出口面の帯電を防止し、電荷を持ったインクの付着を防ぐ。そのため、導電性の観点から、アルカリ金属塩であるリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩がより好ましく、リチウム塩が最も好ましい。リチウム塩型帯電防止剤の例としては、過塩素酸リチウム塩、カルボン酸リチウム塩、スルホン酸リチウム塩、硫酸エステルリチウム塩、リン酸エステルリチウム塩などが挙げられる。カルボン酸リチウム塩としては、例えば、脂肪族モノカルボン酸リチウム塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸リチウム塩、N−アシルサルコシン酸リチウム塩、N−アシルグルタミン酸リチウム塩などが含まれる。スルホン酸リチウム塩としては、例えば、ジアルキルスルホコハク酸リチウム塩、アルカンスルホン酸リチウム塩、アルファオレフィンスルホン酸リチウム塩、直鎖型を始めとするアルキルベンゼンスルホン酸リチウム塩、アルキルナフタレンスルホン酸リチウム塩などが含まれる。硫酸エステルリチウム塩は、例えばアルキル硫酸エステルリチウム塩である。リン酸エステルリチウム塩としては、例えば、アルキルリン酸エステルリチウム塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルリチウム塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸リチウム塩などが含まれる。その他のリチウム塩系帯電防止剤の例としては、窒化リチウム塩およびリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド等のイミド系スルホン酸リチウム塩が好適に用いられる。金属塩型帯電防止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤型帯電防止剤は、界面活性剤の作用により、物体表面に空気中の水分を吸着し、導電性を持たせることにより、帯電を防止する。
界面活性剤型帯電防止剤としては特に制限されず、従来公知の陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、非イオン系界面活性剤及び両性界面活性剤などを使用できる。特に好適なものとしては、パターンの変形や解像性の低下等のパターニング特性の低下を抑制する観点から、アミド型を除く非イオン系界面活性剤が好ましい。
非イオン系界面活性剤としては、例えば、アルコール型(ポリエチレングリコールなど)、エーテル型(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなど)、エステル型(ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルなど)、グリセリン型(ポリオキシエチレングリセリドなど)が挙げられる。
金属塩型帯電防止剤及び界面活性剤型帯電防止剤は、1種を単独で用いてもよく、異種の界面活性剤2種以上を組み合わせてもよい。
金属含有コロイド型帯電防止剤は、金属が本来持つ高導電性により帯電を防止する。
金属含有コロイド型帯電防止剤としては特に制限されず、銀、金、白金などを使用できる。金属コロイド液を製造する方法としては特に限定されず、例えば、まず金属粒子を含む溶液を作製し、次いで、その溶液の洗浄を行う方法等を挙げることができる。上記金属粒子を含む溶液を作製する方法としては化学還元法による方法であれば特に限定されず、例えば、分散剤と分散媒と金属塩又は金属イオンの混合物を、何らかの方法により還元させればよい。
上記金属塩としては、例えば、硝酸銀、硫酸銀、塩化銀、酸化銀、酢酸銀、亜硝酸銀、塩素酸銀、硫化銀等の銀塩を挙げることができる。また、塩化金酸、塩化金カリウム、塩化金ナトリウム等の金塩を挙げることができる。また、塩化白金酸、塩化白金、酸化白金、塩化白金酸カリウム等の白金塩を挙げることができる。また、硝酸パラジウム、酢酸パラジウム、塩化パラジウム、酸化パラジウム、硫酸パラジウム等のパラジウム塩等を挙げることができる。これらの金属塩は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記金属塩、分散剤及び還元剤を用いて金属粒子を含む溶液を製造する方法としては、例えば、上記金属塩を純水等に溶かして金属塩溶液を調製し、その金属塩溶液を徐々に分散剤と還元剤とが溶解したエタノール溶液中に滴下する方法等を挙げることができる。上述した通り、後述する露光部のカチオン重合が阻害されるのを防ぐため、溶液中に水は含まれない方がよく、脱水することが好ましい。
複数の金属からなる混合金属コロイド液を作製する方法としては特に限定されない。例えば、銀とその他の金属とからなる混合金属コロイド液を作製する場合には、上記の方法にて、銀コロイド液とその他の金属の金属コロイド液とを別々に作製し、その後混合して混合金属コロイド液としてもよい。その後、銀イオン溶液とその他の金属イオン溶液とを混合し、その後に還元してもよい。
上述した溶液中の帯電防止剤の含有量は、0.1〜10質量%にすることが好ましく、0.5〜5質量%にすることがより好ましい。帯電防止剤の含有量を0.1質量%以上とすることにより十分な帯電防止性が発現する。また、10質量%以下とすることにより帯電防止剤の凝集を防ぐことができる。
図7に戻り、帯電防止層18を形成するには、まず帯電防止剤を適宜溶媒に溶解した溶液を、スピンコート法、スリットコート法、ロールコート法、ディップコート法および真空蒸着法等によって、光カチオン重合性樹脂層16上に塗布する。その後、プリベークを行うことで光カチオン重合性樹脂層16上に帯電防止層18を形成する。(図7(c))。なお、帯電防止剤を吐出口面付近に滞在させるために、光カチオン重合性樹脂層16が溶解するのを抑制する目的で、ベーク温度を低くすることが好ましい。具体的には、100℃以下であることが望ましい。
帯電防止層18の厚さは、50〜10000nmであることが好ましく、80〜5000nmであることがより好ましい。膜厚が50nm以上であることにより、十分な固着防止性と耐久性が得られる。また膜厚が10000nm以下であることにより、パターンの変形や解像性の低下等のパターニング特性の低下を抑制することができる。
次に露光工程を行う。本実施形態における露光工程は、2段階で行うことで相対的に帯電防止性の高い領域と低い領域を形成する。帯電防止性の高い領域(帯電性が相対的に低い領域)は高露光量で十分に硬化させ、帯電防止性の低い領域(帯電性が相対的に高い領域)は帯電防止性が高い領域よりも低露光量にして硬化条件を弱くする。これにより、後述する現像工程において、帯電防止性の低い領域の帯電防止剤が一部流出するために、それぞれの領域間の固着防止性に差を形成することができる。
第1の露光工程および第2の露光工程においては、帯電防止性の高い領域および低い領域で所望の露光量差ができればよく、特に露光工程の方法に制限は無い。ここでは、第1の露光工程において、吐出口パターンを形成するための露光をし、第2の露光工程において、帯電防止性の高い領域を追加で露光する方法について説明する。
第1の露光工程では、光カチオン重合性樹脂層16および帯電防止層18を硬化させる領域に対して、帯電防止層18の上方から第1のマスク19を用いて第1の露光光20の照射を行う(図7(d))。第1のマスク19は、突起部5を含む吐出口12の形状を有している。第1の露光光20としては、光カチオン重合開始剤から酸を発生させるための波長であればよく、例えばi線を用いることができる。本実施形態では、第1の露光光20の照射領域では、光カチオン重合性樹脂層16に存在する光カチオン重合開始剤から発生した酸が帯電防止層18に拡散する。その結果、帯電防止層18がカチオン重合性基を有する場合、光カチオン重合性樹脂層16と帯電防止層18では、カチオン重合性基の反応によりエーテル結合が生成され、密着性が確保される。なお、上述した通り、第1の露光工程では露光量を抑える必要があり、露光量は500〜3000J/mにすることが好ましい。
次に、第2の露光工程を行う。第2の露光工程は、帯電防止性を高くする領域23を形成するため、第2のマスク21を用いて追加の露光を行う(図7(e))。第2のマスク21は、帯電防止性の高い領域23が2つの突起部5の部分に形成されるようにパターンされている。例えば第2のマスク21は、帯電防止性の高い領域23が突起部5の突起縁から内側に0.5μmの幅で形成されるようにパターンされている。この際、第1の露光工程と同じ波長の第2の露光光22で照射することができる。なお、上述した通り、第2の露光工程では、帯電防止性を高くしたい領域23の光カチオン重合性樹脂層16および帯電防止層18を十分に硬化する。つまり、第1の露光と第2の露光における露光領域において、硬化度合いに差をつけることが重要である。そのため、第2の露光工程における露光量は、第1の露光工程における露光量の1/10以上であることが好ましい。
次に、光カチオン重合性樹脂層16および帯電防止層18の一括硬化を促進する目的で加熱処理を行う(図7(f))。なお、加熱処理は、第2の露光工程での露光領域23と未露光領域24において、後述の現像に対する耐性に差が現れるよう、硬化反応が完了しない温度に抑える必要がある。具体的には、加熱処理の温度は100℃以下にすることが好ましい。また、加熱処理の時間は特に限定されないが、例えば3〜5分とすることができる。
次に、光カチオン重合性樹脂層16及び帯電防止層18の第1および第2の露光工程における未露光領域43を現像により除去することで、吐出口12を形成する(図7(g))。また、この工程において第2の露光工程における未露光領域24の帯電防止層18は、一部現像液に流出し、膜減りする。この際の膜減り量としては、上述した作用を示すために、現像工程前の膜厚に対して5%以上であることが好ましい。この膜減りによって、第2の露光工程における露光領域23に比べ帯電防止性が低下する。
現像に用いる現像液としては、未露光部分43の光カチオン重合性樹脂層16および帯電防止層18を現像可能な溶液であれば特に制限されない。現像液としては、例えばMIBK(メチルイソブチルケトン)およびキシレンの混合液等を用いることができる。
次に、基板10に供給口14を形成する。その後、型材17を除去することにより流路11を形成する(図7(h))。供給口14は、基板10がシリコン基板の場合には、例えばアルカリ溶液による異方性エッチングにより形成することができる。流路11は、例えば型材17を溶解可能な溶媒に基板10を浸漬し、型材17を除去することで形成することができる。また、必要に応じて、型材17を感光可能な活性エネルギー線を用いて露光し、型材17の溶解性を高めてもよい。その後、エネルギー発生素子9を駆動させるための電気的接合を行う。さらに、インク供給のためのインク供給部材等を接続することで、インクジェット記録ヘッドを作製することができる。
上記の実施の形態1では、突起部5の一部が帯電防止性の高い領域23となる。しかしこれに限らず、突起部5の全体(仮想的な外縁まで)を帯電防止性の高い領域23として形成することも可能である。また、突起部5を除く吐出口を第1の露光工程で露光し、次いで突起部5の領域を第1の露光工程よりも大きな露光量の第2の露光工程で露光してもよい。このようにすれば、突起部全体が帯電防止性の高い領域23として形成される(図示せず)。
(実施の形態2)
次に、(ii)固着防止性を高くするためにインクと同極性の電荷を持たせる方法について、図8を参照して説明する。実施の形態2では、インクジェット記録ヘッドが負に帯電したインクを吐出する場合を説明する。
基板10上に、流路の型材17および光カチオン重合性樹脂層16を形成する工程までは、(i)の方法と同様の方法で行うことができる(図8(a)、(b))。
次に、静電反発層(静電反発性の高い層)について説明する。ここで、本実施の形態2における静電反発層とは、インク中に局在する負電荷と同極性の電荷を有する静電反発材料、具体的には負電荷を持つアニオン基を有する材料を含む樹脂層である。静電反発層の領域はアニオン基を有することで、インクが静電反発層の表面に触れた際に、負に帯電した基が生成するため、インクを反発する。即ち、吐出口の周辺の外表面の静電反発性よりも静電反発性が高い領域(固着防止性が高い領域)となる。
静電反発層としては、アニオン基を有する静電反発材料が含まれていればよい。したがってアニオン基を有する静電反発材料を最表層に含有させることが可能であれば、光カチオン重合性樹脂層16にアニオン基を有する材料を添加して静電反発層としてもよい。あるいは光カチオン重合性樹脂層16上に新たに静電反発層を形成しても良い。
実施の形態2では、アニオン基を有する材料を吐出口面の最表層に配置して固着防止性が高い領域を形成する方法を説明する。この方法は、まず表面張力の低い層を形成し、次いでその層にアニオン基を付与する方法であり、以下詳細に説明する。
まず、未硬化の光カチオン重合性樹脂層16上に、フッ素化合物からなる材料を用いて、低表面張力層(フッ素含有層)26を形成する(図8(c))。フッ素化合物が効果的な理由は、上述した吐出口面最表層にアニオン基を局在させる他に、撥水性を付与する効果もあるからである。
後述のように、(ii)の方法においても、(i)と同様に、露光工程は2段階にして行う。第1の露光工程は吐出口を形成するために行い、第2の露光工程はアニオン基を付与するために行う。アニオン基の付与は、短波長光の露光によりフッ素化合物を分解し、ヒドロキシル基を生成させることで行う。この際、フッ素含有基の減少による撥水性低下を抑制するために、フッ素化合物を含む材料は適宜選定することができる。具体的には、光分解するフッ素含有基を有する第1の化合物と光分解しないフッ素含有基を持つ第2の化合物を混合もしくは共重合している化合物であるものを選定することが好ましい。これらの処理によって、低表面張力層26の同一面内に静電反発領域(固着防止性の高い領域)と非静電反発領域(固着防止性の低い領域)を形成する。
(第1の化合物)
第1の化合物中の光分解するフッ素含有基としては、フッ素含有基と結合を有するカルボニル基を含むものが好ましい。一般に、カルボニル基は300nm以下の波長を吸収するため、例えば第1の露光工程を365nmのi線波長で実施し、第2の露光工程において、300nm以下の波長の光を照射することにより、アニオン基であるヒドロキシル基を形成することができる。フッ素含有基としては、撥水性や低表面張力の観点からパーフルオロアルキル基もしくはパーフルオロポリエーテル基であることが好ましい。本実施形態におけるフッ素含有基と結合を有するカルボニル基としては、例えば、式(1)が挙げられる。
式(1)
F−Rf−A−C(=O)−A−

(式中、Rfはパーフルオロアルキル基もしくはパーフルオロポリエーテル基である。Aは直接結合、酸素原子および窒素原子を有しても良い炭素数1〜12の脂肪族基、酸素原子を有していてもよい炭素数6〜10の芳香族基、環状脂肪族基、ウレタン、または−CH2CH(OT)CH2−基である。但し、Tは水素原子またはアセチル基CHCO−である。)
具体的には、パーフルオロアルキル基として、式(2)、
式(2)
−(CF
(式中、kは3以上の整数である。)
パーフルオロポリエーテル基として、式(3)、
式(3)
Figure 2018202806
(式中、p、q、r、sは0または1以上の整数であり、少なくとも一つは1以上の整数である。)
で表される基を含有するフッ素化合物等が挙げられる。
これらのフッ素含有基の繰り返し単位の数(k、p、q、r、s)を比較すると、一般に市販の材料では、kよりもp、q、r、sの方が大きい場合が多い。そのため、パーフルオロポリエーテル基を有する材料の方が、パーフルオロアルキル基を有する材料よりも一分子中に多くのフッ素原子を含むため、高い撥水性および低表面張力を有し、好適に用いられる。また、パーフルオロポリエーテル基部分の平均分子量については、500から20000の化合物である材料が好ましい。より好ましくは平均分子量が1000から10000である。平均分子量が500以上であれば、撥水性が低い場合や表面張力が高くなってしまうことを防止できる。また平均分子量が20000以下であれば、溶媒への溶解性を確保することができる。パーフルオロポリエーテル基部分の平均分子量は、F−NMRを用いて測定することができる。
さらに、フッ素化合物としては、高い機械的強度やインク等の溶剤に対する低溶解性が求められるため、無機反応基を有することも好ましく、汎用性の観点から、末端部に加水分解性シラン基を有する化合物も好適に用いられる。
具体的には、加水分解性シラン基を含有する化合物としては、式(4)等が挙げられる。
式(4)
Figure 2018202806
(式中、Rfはパーフルオロアルキル基もしくはパーフルオロポリエーテル基、Rは加水分解性置換基、Yは非加水分解性置換基、Dはカルボニル基を含む酸素原子および窒素原子を有する炭素数1〜12の脂肪族基、Qは炭素数1〜12の有機基である。また、nは1以上の整数、aは1から3の整数である。)
加水分解性置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、アミノ基、水素原子等が挙げられる。その中でも、汎用性の高いメトキシ基やエトキシ基などのアルコキシ基が好ましい。また、非加水分解性基としては、メチル基やエチル基などのアルキル基等が挙げられる。
パーフルオロポリエーテル基を有する加水分解性シラン化合物の好ましい具体例としては、式(5)で表される化合物等が挙げられる。
式(5)
Figure 2018202806
(式中、tは3から60の整数である。)
また、加水分解性シラン基を含有するフッ素化合物は、吐出口形成部材である光カチオン重合性樹脂層との反応性および機械強度、インク耐性の観点から選定することができる。具体的には、パーフルオロアルキル基もしくはパーフルオロポリエーテル基を有する加水分解性シラン化合物と、カチオン重合性基を有する加水分解性シラン化合物と、を含む縮合物等も好適に用いられる。カチオン重合性基を有する加水分解性シラン化合物の存在により、機械的強度、インク耐性が向上する。これは、フッ素化合物と吐出口形成部材である光カチオン重合性樹脂層との間で、カチオン重合開始剤の存在下、カチオン重合性基の反応により、エーテル結合が形成されるためである。
(第2の化合物)
光分解しないフッ素含有基を持つ第2の化合物としては、フッ素含有基と結合を有するカルボニル基を含まない化合物が好ましい。具体的には、撥水性および汎用性の観点からフッ素含有基含有加水分解性シラン化合物が挙げられる。フッ素含有基および加水分解性シラン基としては、第1の化合物と同様のものを選定することができる。
具体的には、パーフルオロアルキル基もしくはパーフルオロポリエーテル基を有する加水分解性シラン化合物が好ましく、下記式(6)から(9)で表される化合物が挙げられる。なお、第1の化合物と同様、撥水性の観点から、パーフルオロポリエーテル基を有する加水分解性シラン化合物がより好ましい。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
Figure 2018202806
式(7)〜(9)において、繰り返し単位数であるv、w、e、fは3〜30であることが好ましく、5〜20であることがより好ましい。3以上であることにより撥水性が向上し、30以下であることにより溶媒に対する溶解性が向上する。特にアルコール等の非フッ素系溶媒も含む溶液中で縮合反応を行う場合には、v、w、e、fは3〜10であることが好ましい。市販のパーフルオロポリエーテル基を有する加水分解性シラン化合物としては、ダイキン工業(株)製「オプツール(登録商標)DSX」、「オプツール(登録商標)AES」、住友スリーエム製「Novec(登録商標)1720」、ソルベイソレクシス製「フルオロリンク(登録商標)S10」(以上、商品名)などが挙げられる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
低表面張力層26は、例えばフッ素化合物を適宜溶媒に溶解した溶液を、スピンコート法、スリットコート法、ロールコート法、ディップコート法および真空蒸着法等によって形成できる。低表面張力層26の厚さは、十分な撥水性や低い表面張力を有すること、耐久性を得るために、50から10000nmであることが好ましく、80から5000nmであることがより好ましい。膜厚が50nm以上であることにより、均一な撥水性と低い表面張力、十分な耐久性が得られる。また膜厚が10000nm以下であることにより、パターンの変形や解像性の低下等のパターニング特性の低下を抑制することができる。
図8に戻り、次に、露光工程を行う。第1の露光工程では、吐出口形成領域を未露光領域として、低表面張力層26の上方から第1のマスク27を用いて第1の露光光28の照射を行う(図8(d))。第1のマスク27は、突起部5を含む吐出口12が形成されるようにパターンされている。第1の露光光28としては、光カチオン重合開始剤から酸を発生させることが可能な波長光を照射すればよく、例えばi線を用いることができる。本実施形態では、第1の露光光28の照射領域では、光カチオン重合性樹脂層16に存在する光カチオン重合開始剤から発生した酸が低表面張力層26に拡散する。その結果、低表面張力層26がカチオン重合性基を有する場合、光カチオン重合性樹脂層16と低表面張力層26では、カチオン重合性基の反応によりエーテル結合が生成され、機械的強度およびインク耐性が向上する。また、低表面張力層26が加水分解性シラン化合物を有する場合、低表面張力層26では、空気中の水分を伴った加水分解が起こり、シラノール基が生成される。さらに、酸の存在により脱水縮合反応が促進され、シロキサン結合が生成され、機械的強度が向上する。また、シラノール基と光カチオン重合性樹脂層のカチオン重合性基や水酸基との反応により、密着性が確保される。
次に、第2の露光工程を行う。第2の露光工程は、突起部5の少なくとも一部に静電反発領域を形成するように、第2のマスク29を用いて、露光光30で露光を行う(図8(e))。第2のマスク29は、固着防止性を高くする領域だけ(突起部5の一部又は全体)が露光されるようにパターンされている。この際、第1の露光工程とは異なるフッ素化合物の分解波長、例えば300nm以下の波長の露光光を照射する。これにより、フッ素化合物が分解され、アニオン基であるヒドロキシル基が形成されて、静電反発領域が形成される。この際、露光量は第1の化合物が十分に分解する露光量以上であればよく、使用する第1の化合物により適宜決定される。
次に、光カチオン重合性樹脂層16および低表面張力層26の一括硬化を促進するため加熱処理を行う(図8(f))。加熱処理を行うことで、第1の露光工程における露光部の反応が促進され、後の現像工程に対する耐性を付与することができる。加熱処理は、例えばホットプレートを用いて行うことができる。加熱処理の温度は特に限定されないが、例えば70から120℃とすることができる。また、加熱処理の時間は特に限定されないが、例えば3から5分とすることができる。
以上のように、第2の露光工程における露光領域31は、静電反発力が大きい静電反発層25となる。第2の露光工程における未露光領域32は、露光領域31に比べて静電反発力が小さい非静電反発層となる。これにより、吐出口の外表面上に相対的に固着防止性が高い領域3と低い領域4とが形成される。
次に、光カチオン重合性樹脂層16及び低表面張力層26の第1および第2の露光工程における未露光領域45を現像により除去することで、吐出口12を形成する(図8(g))。次に、基板10に供給口14を形成する。その後、型材17を除去することにより流路11を形成する(図8(h))。これらの工程は(i)の方法と同様の方法で行うことができる。
また、実施形態に係るインクジェット記録装置は、上記の液体吐出ヘッドを具備する。また、実施形態に係るインクジェット記録方法は、上記のインクジェット記録装置を用い、インクを該インクジェット記録装置から吐出し、被印字物にインクを付与する。
以下に実施例、比較例を示すが、本発明はこれらに限定されない。各種評価サンプルの作製、評価は以下に示す方法により行った
(印字評価方法)
(サテライト数の評価)
サーマル式のインクジェット記録ヘッドを作製し、液体が吐出された状態をストロボ写真にて観察し、吐出液体が分離する時間と、吐出液体の分離直後の液滴の先端から後端までの液滴長さを測定した。なお、吐出液体の分離時間については、ヒーターに電圧を印加してから液柱が液膜から分離するまでの時間とする。吐出速度は13m/sとなるようにヒーターへの電力投入時間を調整した。インクは、PGI−2300BKを使用した。サテライトの個数は、1回の吐出で観察されるサテライト数の、10回平均を示してある。
(印字ヨレの評価)
印字試験は、キヤノン製プリンタMB5330を用い、30℃、80%RHの環境下で行い、目視でドットの印字ヨレが発生する確率を比較した。このため、ブレードワイピング無しの連続印字試験と、ブレードワイピング後の印字試験を行った。。連続印字試験は、ブレードワイピング無しでA4版ベタ印字5枚を連続印字した。ブレードワイピング後の印字試験は、ブレードワイピングを15,000回、30,000回連続して行った後、それぞれアルファベットの“H”の文字を連続的にA4版で100枚印字した。それぞれの試験で、A4版中に1ケ所でもヨレが発生した場合は印字ヨレ有りと判断し、その発生確率を求めた。
(表面電位差評価)
吐出面の帯電をMODEL520(TREk社製)表面電位計で測定した。なお、(i)、(ii)の方法ともに、固着防止処理する領域は非常に微小であり、上記の測定ができない。そのため、固着防止処理した領域を広くしたサンプルを別に作製し、処理領域と非処理領域の表面電位差を測定した。
(撥水性評価)
(ii)の評価については、下記手順による撥水性評価を追加した。
接触角測定用に作製した微細パターン膜の撥水性及び耐久性の評価として、微小接触角計(製品名:DropMeasure(登録商標)、(株)マイクロジェット製)を用いた。純水に対する動的後退接触角θr、ワイパーによる擦り試験後における撥水膜の動的接触角θr、及びアルカリ浸漬試験後における撥水膜の動的接触角θrを測定した。また、ワイパーによる擦り試験では、ワイパー(材質:水素化ニトリルゴム(HNBR)、ゴム硬度:JIS−A硬度75)を用いて、ワイパーと基板との間の押付荷重0.098N(10gf)にて、2000往復擦った。
(実施例1)
図7に示す工程により、インジェットヘッドを作製した。まず、エネルギー発生素子を設けた基板上に、インク流路の型となるポジ型感光性樹脂としてポリメチルイソプロペニルケトン(商品名、「ODUR(登録商標)−1010」、東京応化工業(株)製)をスピンコート法により塗布した。その後、120℃で6分間熱処理を行うことで、厚さ14μmのポジ型感光性樹脂層を形成した。次いで、露光装置UX3000(商品名、ウシオ電機(株)製)によってインク流路のパターンを露光し、MIBK(メチルイソブチルケトン)を用いてポジ型感光性樹脂層の露光部を現像した。その後に、IPA(イソプロピルアルコール)でリンス処理を行うことで型材を形成した(図7(a))。
次に、吐出口を形成するための光カチオン重合樹脂層からなる吐出口形成部材として、表1に示す組成の光カチオン重合性樹脂溶液をスピンコート法により塗布した。その後、60℃で9分間熱処理を行うことで、型材と基板上に型材上の厚さが25μmとなる光カチオン重合性樹脂層を形成した(図7(b))。
Figure 2018202806
表1 光カチオン重合性樹脂溶液の組成

次に、帯電防止層を形成するための材料として、過塩素酸Li塩(キシダ化学社製、98%)とエポキシ樹脂EHPE−3150(ダイセル化学社製)を希釈溶剤のエタノールで濃度が表2に示す値となるように希釈して金属塩含有溶液を作製した。この溶液を未硬化の光カチオン重合性樹脂層の上にスリットコート法により塗布し、70℃で3分間熱処理を行うことで、希釈溶剤を揮発させ、光カチオン重合樹脂層の上の厚さが0.5μmとなる帯電防止層を形成した(図7(c))。
次に、第1の露光工程を行った。i線露光ステッパー(キヤノン(株)製)を用いて、吐出口形成部分が未露光部分となるように、第1のマスクを介して500J/mで露光した(図7(d))。なお、吐出口の直径は7.5μm、突起部の幅は3.0μm、突起部の先端部のR(半径)は1.5μmとした。
次いで、第2の露光工程を行った。i線露光ステッパー(キヤノン(株)製)を用いて、図5に示す固着防止性の高い領域3(突起縁1から内側に幅が0.5μmの範囲)が露光部分となるように、第2のマスクを介して3000J/mで露光した(図7(e))。
次いで、95℃で4分間熱処理を行った(図7(f))。その後、キシレン/MIBK(メチルイソブチルケトン)混合液(質量比6/4)で現像し、キシレンでリンス処理を行うことで、吐出口を形成した(図7(g))。
次に、アルカリ溶液であるTMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)を用いて基板10に対して異方性エッチングを行い、供給口を形成した。その後、基板10を乳酸メチルに浸漬することで、型材を溶解除去し、流路を形成した(図7(h))。
その後、エネルギー発生素子を駆動させるための電気的接合を行った。さらに、インク供給のためのインク供給部材等を接続し、インクジェット記録ヘッドを作製し、評価した。実施例1に係るインクジェット記録ヘッドの評価結果を表2に示す。
実施例1に係るインクジェット記録ヘッドは、表面電位測定の結果より、第2の露光工程の露光部分は低い表面電位を示し、ほぼ無帯電であることがわかった。また、印字評価より、サテライト数が少なく、印字ヨレも見られず、高い印字品位を示した
(実施例2〜8)
表2に示すように、実施例1から条件を一部変更した以外は、実施例1と同様にインクジェット記録ヘッドを作製し、評価した。実施例2〜8に係るインクジェット記録ヘッドの評価結果を表2に示す。実施例2〜8に係るインクジェット記録ヘッドは、表面電位差は50〜100mVであった。またいずれもサテライト数は1.5以下であり、印字試験による印字ヨレ発生確率はいずれも3%以下であった。
Figure 2018202806
(実施例9)
図8に示す工程により、インジェットヘッドを作製した。基板上に、流路の型材および光カチオン重合性樹脂層を形成する工程までは、実施例1と同様の方法で行った(図8(a)、(b))。
次に、低表面張力層を形成するための材料として、第1の化合物として式(5)のカルボニル基と結合するパーフルオロポリエーテル基を有する化合物を、第2の化合物として式(7)のパーフルオロポリエーテル基を有する化合物を用いた。それぞれ濃度は、第1の化合物が0.1wt%、第2の化合物が0.4wt%となるようにし、フッ素系溶媒HFE7200(住友スリーエム(株)製)で希釈し調整した。得られた溶液を未硬化の光カチオン重合性樹脂層の上にスリットコート法により塗布した。これを70℃で3分間熱処理を行って希釈溶剤を揮発させ、光カチオン重合樹脂層の上の厚さが0.5μmとなる低表面張力層を形成した(図8(c))。
次に、第1の露光工程を行った。i線露光ステッパー(キヤノン(株)製)を用いて、吐出口形成部分が未露光部分となるように、第1のマスクを介して3500J/mで露光した(図8(d))。
次いで、第2の露光工程を行った。図5に示す固着防止性の高い領域3が露光部分となるように、第2のマスクを介して、MA200compact(商品名、ズース・マイクロテック(株)製)により、270nm以下の波長(輝線波長254nm)を用いて、10000J/mで露光した(図8(e))。また、現像工程以降は、実施例1と同様の方法で行い、インクジェット記録ヘッドを作製し、評価した(図8(f)、(g)、(h))。
実施例9に係るインクジェット記録ヘッドの評価結果を表3に示す。
実施例9に係るインクジェット記録ヘッドは、撥水性の結果より、初期、ワイパー試験後、アルカリ浸漬試験後のいずれにおいても、高い撥水性を示した。また、印字評価より、サテライト数が1.1と少なく、印字ヨレも1%以下であり、高い印字品位を示した。
(実施例10、11)
表3に示すように、実施例9から条件を一部変更した以外は、実施例9と同様にインクジェット記録ヘッドを作製し、評価した。実施例10、11に係るインクジェット記録ヘッドの評価結果を表3に示す。実施例10、11に係るインクジェット記録ヘッドは、実施例9に係るインクジェット記録ヘッドと比べてやや撥水性が小さいが、十分高い値を示した。また、サテライト数は1.5以下、印字ヨレも2%以下と、いずれも良好な結果を得た。
Figure 2018202806

(比較例1〜3)
表4に示す条件に沿って、吐出口形状、処理領域、処理方法、表面処理剤、第1および第2露光工程の露光量、第1および第2露光工程の輝線波長を変更して、比較例1〜3のサンプル作製を行った。変更した条件以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録ヘッドを作製し、評価した。結果を表4に示す。比較例1、3は撥水処理のみ施し、比較例2は表面処理を何も施さなかったものである。比較例1は、吐出口に突起部を有しない形状であったため、サテライト数が3.2と多かった。比較例2、3は突起部を有していたが、無処理又は撥水処理のみであったため、サテライト数、印字評価とも悪かった。比較例1〜3はサテライト数が実施例より多く、印字試験は、比較例1は良好であったが、比較例2、3では2%から6%と印字ヨレが多かった。
Figure 2018202806

1 突起縁
3 低静電吸着領域
3a 境界
4 静電吸着性が高い領域
5 突起部
8 仮想的な外縁
9 エネルギー発生素子
10 基板
11 流路
12 吐出口
12a (吐出口の)周縁部
12b 内壁
13 吐出口形成部材
14 供給口
16 光カチオン重合性樹脂層
17 型材
18 帯電防止層
19 第1のマスク
20 第1の露光光
21 第2のマスク
22 第2の露光光
23 第2の露光工程における露光領域
24 第2の露光工程における未露光領域
25 静電反発層
26 低表面張力層(フッ素含有層)
27 第1のマスク
28 第1の露光光
29 第2のマスク
30 第2の露光光
31 第2の露光工程における露光領域
32 第2の露光工程における未露光領域
33 液体(インク)
40 吐出口周辺面(吐出口の周辺の外表面)
40a 突起部の外表面
42 第1の露光工程における未露光領域
43、45 第1及び第2の露光工程における未露光領域
50 インクジェット記録ヘッド

Claims (26)

  1. 液体を吐出する吐出口を有し、前記吐出口は、前記吐出口の周縁部から、前記吐出口の中心に向かって突出する少なくとも1つの突起部を含む液体吐出ヘッドであって、
    前記突起部の少なくとも突起縁を含む外表面に、前記吐出口の周辺の外表面よりも前記液体を静電的に吸着しにくい低静電吸着領域を備える、
    液体吐出ヘッド。
  2. 前記低静電吸着領域が、前記突起部の突起縁を含み、該突起縁から内側の幅が前記突起部の幅の50%以下の領域である、請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  3. 前記低静電吸着領域と前記吐出口の周辺の外表面との電位差が10mV以上である、請求項1又は2に記載の液体吐出ヘッド。
  4. 前記低静電吸着領域は、前記吐出口の周辺の外表面よりも帯電性が低い領域である、請求項1から3のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  5. 前記帯電性が低い領域が、前記吐出口の周辺の外表面よりも、帯電防止剤を多く含む、請求項4に記載の液体吐出ヘッド。
  6. 前記帯電防止剤が、金属塩、界面活性剤、金属コロイド、及び高分子固体電解質からなる群の中から少なくとも一つを含む、請求項5に記載の液体吐出ヘッド。
  7. 前記帯電性が低い領域が、光カチオン重合性樹脂を含む、請求項4から6のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  8. 前記低静電吸着領域が、前記液体と同極性の電荷を有する静電反発材料を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  9. 前記静電反発材料はアニオン基を有する化合物を含む、請求項8に記載の液体吐出ヘッド。
  10. 前記アニオン基はヒドロキシル基である、請求項9に記載の液体吐出ヘッド。
  11. 前記静電反発材料は、パーフルオロポリエーテル基を有する化合物を含む、請求項8から10のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  12. 請求項1から11のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドを有するインクジェット記録ヘッド。
  13. 液体を吐出する吐出口を有し、前記吐出口は、前記吐出口の周縁部から、前記吐出口の中心に向かって突出する少なくとも1つの突起部を含む、液体吐出ヘッドの製造方法において、
    1)基板上に帯電防止剤を含む層を少なくとも形成する工程と、
    2)前記帯電防止剤を含む層を、前記吐出口となる部分を未露光部として露光する露光工程と、
    3)前記帯電防止剤を含む層を現像して吐出口を形成する工程と、
    を含み、
    前記露光工程において、前記吐出口の前記突起部となる部分の少なくとも突起縁を含む外表面への露光量が、前記吐出口の周辺の外表面への露光量よりも高くなるように露光する、液体吐出ヘッドの製造方法。
  14. 前記帯電防止剤が、金属塩、界面活性剤、金属コロイド、及び高分子固体電解質からなる群の中の少なくとも一つである、請求項13に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  15. 前記帯電防止剤を含む層を形成する工程において、
    前記帯電防止剤の含有量が0.1〜10質量%の溶液を塗布することを含む、請求項13又は14に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  16. 前記露光工程は、前記帯電防止剤を含む層の一部を露光して吐出口パターンを形成する第1の露光工程と、前記吐出口パターンの前記突起部の少なくとも突起縁を含む外表面を追加で露光する第2の露光工程とを含む請求項13から15のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  17. 前記第2の露光工程における露光量が、前記第1の露光工程における露光量の1/10以上である、請求項16に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  18. 前記第2の露光工程の後に、ベーク温度が100℃以下で加熱処理する工程をさらに含む、請求項16又は17に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  19. 液体を吐出する吐出口を有し、前記吐出口は、前記吐出口の周縁部から、前記吐出口の中心に向かって突出する少なくとも1つの突起部を含む液体吐出ヘッドの製造方法において、
    1)基板上に光分解するフッ素含有基を有する第1の化合物を含むフッ素含有層を少なくとも形成する工程と、
    2)前記フッ素含有層の一部を露光して吐出口パターンを形成する第1の露光工程と、
    3)前記吐出口の前記突起部となる部分の少なくとも突起縁を含む外表面を露光して、前記第1の化合物の前記フッ素含有基を分解する第2の露光工程と、
    4)前記フッ素含有層を現像して吐出口を形成する工程と、
    を含む、液体吐出ヘッドの製造方法。
  20. 前記第1の化合物が、フッ素含有基とカルボニル基が結合した化合物である、請求項19に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  21. 前記第1の化合物におけるフッ素含有基が、パーフルオロポリエーテル基である、請求項19又は20に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  22. 前記フッ素含有層は、光分解しないフッ素含有基を有する第2の化合物をさらに含む、請求項19から21のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  23. 前記第2の化合物が、フッ素含有基と結合を有するカルボニル基を含まない化合物である、請求項22に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  24. 前記第2の化合物におけるフッ素含有基が、パーフルオロポリエーテル基である、請求項22又は23に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  25. 請求項12に記載のインクジェット記録ヘッドを具備する、インクジェット記録装置。
  26. 請求項25に記載のインクジェット記録装置を用い、インクを該インクジェット記録装置から吐出し、被印字物に該インクを付与する、インクジェット記録方法。
JP2017113564A 2017-06-08 2017-06-08 液体吐出ヘッド及びその製造方法並びにインクジェット記録装置 Pending JP2018202806A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017113564A JP2018202806A (ja) 2017-06-08 2017-06-08 液体吐出ヘッド及びその製造方法並びにインクジェット記録装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017113564A JP2018202806A (ja) 2017-06-08 2017-06-08 液体吐出ヘッド及びその製造方法並びにインクジェット記録装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018202806A true JP2018202806A (ja) 2018-12-27

Family

ID=64955991

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017113564A Pending JP2018202806A (ja) 2017-06-08 2017-06-08 液体吐出ヘッド及びその製造方法並びにインクジェット記録装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2018202806A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021171981A1 (ja) * 2020-02-28 2021-09-02 キヤノン株式会社 液体吐出ヘッド
JP2022517806A (ja) * 2019-04-29 2022-03-10 ヒューレット-パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. カバー層に中断部を備えた流体吐出デバイス

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2022517806A (ja) * 2019-04-29 2022-03-10 ヒューレット-パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. カバー層に中断部を備えた流体吐出デバイス
JP7217354B2 (ja) 2019-04-29 2023-02-02 ヒューレット-パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. カバー層に中断部を備えた流体吐出デバイス
US11745507B2 (en) 2019-04-29 2023-09-05 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Fluid ejection device with break(s) in cover layer
WO2021171981A1 (ja) * 2020-02-28 2021-09-02 キヤノン株式会社 液体吐出ヘッド
CN115210079A (zh) * 2020-02-28 2022-10-18 佳能株式会社 液体排出头
CN115210079B (zh) * 2020-02-28 2024-04-12 佳能株式会社 液体排出头

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6992117B2 (en) Epoxy resin composition, surface treatment method, liquid-jet recording head and liquid-jet recording apparatus
US20170247571A1 (en) Manufacturing method for film and manufacturing method for liquid ejection head
JP2017121787A (ja) 基材上に部分撥液領域を形成する方法
US6750290B2 (en) Epoxy resin composition, method of improving surface of substrate, ink jet recording head and ink jet recording apparatus
KR20120079171A (ko) 액체 토출 헤드의 제조 방법
JP2016150522A (ja) 液体吐出ヘッドおよびその製造方法
CN103842179B (zh) 液体喷出头的制造方法
JP2018202806A (ja) 液体吐出ヘッド及びその製造方法並びにインクジェット記録装置
US10786992B2 (en) Liquid ejection head and method for manufacturing the same
US8741549B2 (en) Method of manufacturing a liquid ejection head and liquid ejection head
JP6395503B2 (ja) インクジェット記録ヘッドおよびその製造方法
JP5539155B2 (ja) インクジェット記録ヘッドの製造方法
JP4174124B2 (ja) 含フッ素エポキシ樹脂組成物を用いた表面改質方法、インクジェット記録ヘッド、インクジェット記録装置
KR100564851B1 (ko) 에폭시 수지 조성물, 표면 처리 방법, 액체 분사 기록헤드 및 액체 분사 기록 장치
JP2018051883A (ja) 液体吐出ヘッド及びその製造方法
US10189253B2 (en) Liquid ejection head and method for producing the same
US10259224B2 (en) Liquid ejection head, method for producing the same, and printing apparatus
JPH11335440A (ja) 含フッ素エポキシ樹脂組成物及びこれを用いた表面改質方法、インクジェット記録ヘッド、インクジェット記録装置
US20180143534A1 (en) Liquid ejection head, method for producing liquid ejection head, and printing method
JP2000026575A (ja) 含フッ素エポキシ樹脂組成物及びこれを用いた表面改質方法、インクジェット記録ヘッド、インクジェット記録装置
US11384251B2 (en) Hydrophilic coating material, method of producing hydrophilic coating film, and inkjet recording head
JP2012131212A (ja) 液体吐出ヘッドの製造方法
US10618287B2 (en) Liquid ejection head, method for manufacturing the same, and recording method
JP4006346B2 (ja) エポキシ樹脂組成物、これを用いた物品の表面の選択的処理方法及びインクジェット記録ヘッド
JP2006082329A (ja) インクジェット記録ヘッドの製造方法