JP2005093546A - 配線基板およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 微細かつ均一な厚みを有し、かつ高い接着強度を有する薄膜配線導体層が絶縁基板表面に形成され、高強度の配線基板を提供する。
【解決手段】 絶縁基板と、その表面に形成された薄膜配線導体層とを具備してなる配線基板において、前記絶縁基板は、構成元素として少なくともSi、Al、Mg、Ba、希土類元素RE及びOを含有し、結晶相としてフォルステライト結晶相およびガーナイト結晶相から選択される少なくとも1種と、セルジアン結晶相とを含有し、且つ0.3%以下の開気孔率を有する焼結体から形成されており、該セルジアン結晶相の少なくとも一部がアスペクト比3以上の異方性結晶であると共に、前記薄膜配線導体層は、Cu、Ag、Au及びAlの群から選ばれる少なくとも1種の導体を含有していることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、絶縁基板の表面に薄膜配線導体層が形成された配線基板に関し、特に、低抵抗導体である銀、銅、金と同時焼成が可能で、かつ高強度特性を有する絶縁基板を具備する配線基板およびその製造方法に関するものである。
各種の電子機器等に使用されている配線基板は、例えば、アルミナ質セラミックス等によって形成された絶縁基板と、この絶縁基板の表面および/または表面に同時焼成されたメタライズ配線層とを有している。また、絶縁基板表面に低抵抗で微細なパターンの配線が可能な薄膜配線導体層を形成する方法としては、例えば前記絶縁基板表面を研磨して平滑にした後、その表面に、蒸着法等の薄膜形成法により、Ti、Cr、W、Cuなどの金属からなる薄膜配線導体層とポリイミド等の有機高分子材料からなる絶縁膜を積層する方法が採用されている。
また、上記の配線基板を構成するアルミナ質セラミック製の絶縁基板は、その焼成温度が約1600℃と高温であるため、絶縁基板内部に形成されるメタライズ配線層としては、W、Mo等の高融点金属が用いられる。低融点のAg,Cu,Au等を用いると、焼成時に配線パターンが崩れてしまうからである。
ところで、アルミナ質セラミックスは、その誘電率が高く、このため、アルミナ質セラミック製絶縁基板を具備する配線基板は、信号遅延時間が長く、高速に信号を伝播させることができないという欠点がある。さらに、メタライズ配線層を構成する高融点金属は、その電気抵抗が高いので、同様に高速に信号を伝播させることが出来ない。
そこで、誘電率が低くかつ焼成温度が1000℃以下の低温焼成可能なガラスセラミックスを絶縁基板とし、導体として電気抵抗の低いCu、Ag、Au等を用いることが提案されている。例えば、本出願人は、リチウム珪酸系等のガラスとSiO系のフィラーとの混合物を含むグリーンシート表面にCuの導体配線層を形成して1000℃以下で焼成して配線基板を作製することを提案した(特許文献1参照)。
特開平10−212136号公報
しかしながら、特許文献1のように、絶縁基板を上記リチウム珪酸系等のガラスとSiO系のフィラーとを含むガラスセラミックスで構成した場合では、絶縁基板中に多量のボイドが存在し、基板表面の平滑性が損なわれてしまい、この結果、表面に形成する薄膜配線導体層の位置精度が低下し、微細配線化が困難となり、また、均一な厚みの薄膜配線導体層の形成も困難となり、さらには薄膜配線導体層の接着強度が低下するという問題を生じていた。
また、上記のガラスセラミック製絶縁基板は、熱伝導率が2W/mK以下と低く、また、抗折強度も約200MPa程度と従来のアルミナ等に比較して熱的、機械的特性において大きく劣るものであった。
さらには、ボイドにより絶縁基板表面の平滑性が損なわれる結果、高周波信号が主に通過する薄膜配線導体層界面の凹凸が大きくなり、高周波帯での配線抵抗が増加することから、導体損失が増大して高周波信号の伝送特性が悪くなるという問題もあった。
従って、本発明の目的は、微細かつ均一な厚みを有し、かつ高い接着強度を有する薄膜配線導体層が絶縁基板表面に形成され、高強度で、さらには高熱伝導率の配線基板およびその製造方法を提供することにある。
本発明によれば、絶縁基板と、その表面に形成された薄膜配線導体層とを具備してなる配線基板において、
前記絶縁基板は、構成元素として少なくともSi、Al、Mg、Ba、希土類元素RE及びOを含有し、結晶相としてフォルステライト結晶相およびガーナイト結晶相から選択される少なくとも1種と、セルジアン結晶相とを含有し、且つ0.3%以下の開気孔率を有する焼結体から形成されており、該セルジアン結晶相の少なくとも一部がアスペクト比3以上の異方性結晶であると共に、
前記薄膜配線導体層は、Cu、Ag、Au及びAlの群から選ばれる少なくとも1種の導体を含有していることを特徴とする配線基板が提供される。
本発明の配線基板の好ましい態様は、以下の通りである。
(1)前記絶縁基板を形成する焼結体は、前記各構成元素を、酸化物換算での組成が、少なくともSiO:5〜36質量%、Al:11〜65質量%、MgO:2〜22質量%、BaO:5〜36質量%、RE:0.5〜18質量%、ZnO:0〜17質量%となる割合で含有している。
(2)前記焼結体は、B、CaO、SrO、ZrO、SnO及びTiOからなる群から選ばれる少なくとも一種を、その合量で18質量%以下の量で含有している。
(3)前記希土類元素REがY(イットリウム)であり、かつ前記希土類元素酸化物REがYである。
(4)前記セルジアン結晶相が、六方晶を含有している。
(5)前記焼結体が、結晶相として、さらに、アルミナ、エンスタタイト、ムライト、ジルコニア、窒化アルミニウム、及び窒化珪素の群から選ばれる少なくとも一種を含有している。
(6)前記絶縁基板が、熱伝導率が2W/mK以上で抗折強度が250MPa以上の焼結体からなる。
(7)前記薄膜配線導体層は、前記絶縁基板の表面粗さが0.1μm以下の研磨面上に形成されており、該研磨面に存在する気孔の面積率が10%以下である。
(8)前記薄膜配線導体層は、前記絶縁基板の表面粗さ(Ra)が1.0μm以下の焼肌面上に形成されている。
(9)前記焼結体中のアルカリ金属酸化物(AO)およびPbOの含有量が、それぞれ、0.1質量%以下である。
(10)前記絶縁基板は複数の絶縁層から形成されており、該絶縁層間に、Cu、Ag、Au、Pd及びPtの群から選ばれる少なくとも1種を含有する内部配線層が形成されている。
本発明によれば、また、
700〜1000℃の熱処理において揮発せずに残留する成分を、酸化物換算で、少なくともSiO:5〜36質量%、Al:11〜65質量%、MgO:2〜22質量%、BaO:5〜36質量%、希土類元素酸化物RE:0.5〜18質量%、及びZnO:0〜17質量%の割合で含有する混合粉末と、有機バインダーおよび溶媒とを混合してスラリーを作製する工程;
前記スラリーをシート状に成形してグリーンシートを作製する工程;
前記グリーンシートを、脱バインダーした後、700〜1000℃の温度で焼成することにより、開気孔率が0.3%以下の焼結体からなる絶縁基板を作製する工程;
前記絶縁基板の表面に、薄膜形成法によって、Cu、Ag、Au及びAlの群から選ばれる少なくとも1種の導体を含有する薄膜配線導体層を形成する工程;
からなることを特徴とする配線基板の製造方法が提供される。
本発明の製造方法において、好ましい態様は以下の通りである。
(1)前記混合粉末は、CaO、SrO、ZrO、SnO及びTiOからなる群から選ばれる少なくとも一種を、その合量で18質量%以下の量で含有している。
(2)前記混合粉末は、少なくともSiO、Al、MgO、BaO及びREを含む珪酸系ガラス粉末を40〜90質量%、アルミナ、フォルステライト、エンスタタイト、ムライト、ジルコニア、窒化アルミニウム、及び窒化珪素の群から選ばれる少なくとも一種のセラミック粉末10〜60質量%とからなる。
(3)前記珪酸系ガラス粉末は、少なくともSiO:10〜40質量%、Al:1〜30質量%、MgO:6〜25質量%、BaO:10〜40質量%、RE:2〜20質量%及びZnO:0〜19質量%を含有し、さらにB、CaO、SrO、ZrO、SnO及びTiOの群から選ばれる少なくとも一種を、その合量で20質量%以下含有している。
(4)焼成により、前記珪酸系ガラスから、フォルステライト結晶相及びガーナイト結晶相から選択される少なくとも1種と、セルジアン結晶相とが析出する。
(5)前記グリーンシート表面にCu、Ag、Au、Pd、Ptの群から選ばれる少なくとも一種を含有する導体配線層を形成し、グリーンシート同士を積層した後に焼成を行うことにより、内部配線層を形成する。
本発明によって提供される配線基板においては、少なくともSi、Al、Zn、B、Ba、希土類元素RE及びOを構成元素として含有し且つ結晶相としてフォルステライト結晶相(2MgO・SiO)及び/またはガーナイト結晶相(ZnAl)と、少なくとも一部がアスペクト比3以上の異方性結晶のセルジアン結晶相(BaAlSi)とを含有する焼結体により絶縁基板が形成されているため、その抗折強度が250MPa以上に高められ、さらには熱伝導率も高められ、熱的性質も改善される。
また、上記焼結体の開気孔率が0.3%以下であるため、ボイドの少ない絶縁基板表面に微細で低抵抗の薄膜配線導体層を形成することができ、高周波帯での配線抵抗の増大を回避し、導体損失の増大による高周波信号の伝送特性の悪化も抑制でき、さらには、薄膜配線導体層と絶縁基板との接着強度も高めることができる。
以下、本発明を、添付図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の配線基板を用いた望ましい応用例の一つである半導体素子収納用パッケージの断面構造を、これに実装される半導体素子と共に示す図であり、図2は、図1のパッケージの外部回路基板への実装構造を示す概略断面図である。
図1において、全体としてAで示すパッケージは、絶縁基板Xと、その表面に形成された多層配線層Yとから成る。
多層配線層Yは、薄膜配線導体層1と絶縁膜2との積層構造からなるものであり、薄膜配線導体層1と絶縁膜2とが交互に積層された構造を有している。即ち、薄膜配線導体層1は、絶縁基板Xの表面に形成された下層1a、絶縁膜2の膜間に形成されている中間層1b、上部の絶縁膜2の表面に形成されている表面層1cとを含み、下層1a、中間層1b及び表面層1cは、互いに導体層により電気的に接続されている。半導体素子4の電極端子5は、この多層配線層Yの最表面の薄膜配線導体層1cに実装(1次実装)接続されている。
また、絶縁基板Xは、複数の絶縁層3が積層された構造を有しており、絶縁層3の層間には、内部配線層6が形成されている。内部配線層6は、通常、Cu、Ag及びAuの群から選ばれる少なくとも1種の低抵抗金属を主成分として含有するものである。即ち、絶縁基板Xを多層化し、内部配線層6を形成することにより、配線の高密度化が可能となり、また内部配線層をCu、Ag、Auといった低抵抗金属にて形成することにより、高速な信号を低損失で伝送することができる。
また、パッケージAの裏面(即ち絶縁基板Xの裏面)には、メタライズパッド7が形成されており、このメタライズパッド7は、絶縁層3を貫通して延びているビアホール導体8を介して、内部配線層6及び多層配線層Yの下層の薄膜配線導体層1aに電気的に接続されている。また、メタライズパッド7には、図2にも示されているように、外部回路基板Bへ電気的に接続するための接続端子9が設けられており、この接続端子9により、外部回路基板B表面の配線導体10と電気的に接続されることによってパッケージAは外部回路基板Bに実装される。従って、このような実装構造において、パッケージAの表面に搭載された半導体素子4は、多層配線層Y(表面層、中間層及び下層の薄膜配線導体層1c、1b、1a)やビアホール導体8を介して電気的に接続されることとなる。
なお、通常、上記の電極端子5や接続端子9は、半田などのロウ材によって形成されることが望ましく、パッケージAが図1のようなBGA型パッケージの場合には、接続端子9は半田ボールによって形成される。
また、外部回路基板Bとしては、例えば、少なくとも有機樹脂を含む絶縁材料(具体的には、ガラス−エポキシ系複合材料)からなり、一般に、0〜150℃における線熱膨張係数が13〜20×10−6/℃の絶縁性のプリント基板等が用いられ、このプリント基板の表面に形成されている配線層10は、Cu、Au、Al、Ni、Pb−Snなどの金属導体からなっている。
本発明において、絶縁基板Xを形成している各絶縁層3は、構成元素として、少なくともSi、Al、Mg、Ba、RE(希土類元素)及びOを含有する焼結体からなっており、この焼結体は、結晶相として、フォルステライト結晶相(2MgO・SiO)及び/またはガーナイト結晶相(ZnAl)と、セルジアン結晶相(BaAlSi)とを含有し、セルジアン結晶相は、少なくとも一部がアスペクト比3以上の異方性結晶(例えば針状晶または板状晶)として存在している。
即ち、アスペクト比3以上の異方性結晶であるセルジアン結晶相は、著しい抗折強度向上効果を示し、フォルステライト結晶相やガーナイト結晶相も抗折強度の向上に寄与する。さらに、構成元素中、Si、Al、Mg、Ba及びOは、上記の各結晶相の形成に必要な元素であるが、希土類元素REは、例えば上記各結晶相を析出した後の残留ガラス中に酸化物(RE)の形で存在して、焼結体中の残留ガラス相のヤング率を向上させることにより、焼結体の抗折強度を高める作用を示す。
従って、本発明によれば、絶縁基板Xの抗折強度を、250MPa以上に高めることができる。例えば焼結体中に上記セルジアン結晶相やフォルステライト結晶相またはガーナイト結晶相が含有していない場合には、抗折強度を250MPa以上に高めることができなくなってしまうし、希土類元素成分を含有していない場合にも、抗折強度が低下してしまう。
本発明において、上記のセルジアン結晶相は、六方晶を含有していることが好ましい。六方晶のセルジアン結晶は、アスペクト比の高い異方性結晶として成長することができるため、抗折強度を高める上で有利となるからである。
また、希土類元素REとしては、特に限定されるものではないが、残留ガラス相のヤング率向上に特に効果的であるという点で、イットリウム(Y)が好ましく、Yとして焼結体中に存在していることが好ましい。
また、絶縁層3を形成する上記焼結体は、開気孔率が0.3%以下、特に0.25%以下、最適には0.2%以下である。即ち、このようなボイドの少ない緻密な焼結体により絶縁層3を形成することにより、絶縁基板Xの表面を平滑にすることができ、その表面に微細で低抵抗の薄膜配線導体層1を形成することができ、高周波帯での配線抵抗の増大を回避し、導体損失の増大による高周波信号の伝送特性の悪化も抑制され、また、薄膜配線導体層1と絶縁基板Xとの接着強度も高めることができる。
例えば、配線幅75μm以下、特に50μm以下、配線間の間隔が75μm以下、特に50μm以下の微細な薄膜配線導体層1(特に下層の薄膜配線導体層1a)を均一な厚みで精度よく形成できる。絶縁基板Xの開気孔率が上記範囲を越えると、薄膜配線導体層1の位置精度が低下して、微細配線の形成が困難となるばかりか、絶縁基板Xの表面に形成される薄膜配線導体層1(下層a)の厚みや配線幅のばらつきが大きくなり、配線層内を伝送する信号のインピーダンス特性が悪化し、最悪の場合オープンやショート不良の原因となる。
本発明では、絶縁層3を形成する焼結体は、上述したセルジアン結晶やフォルステライト結晶相、ガーナイト結晶相に加えて他の結晶相を含有していることもでき、例えば、アルミナ(Al)、スピネル(MgAl型複合酸化物)、ムライト(3Al・2SiO)、エンスタタイト(MgSiO)、アノーサイト(CaAlSi)、スラウソナイト(SrAlSi)、ジルコニア(ZrO)、窒化アルミニウム及び窒化珪素なる群から選ばれる少なくとも一種を含有することが好ましく、このような他の結晶を含有することにより、各種の特性を向上させることができる。
即ち、他の結晶相として上記で例示されたものは、抗折強度の向上に寄与するものであり、中でもアルミナは、抗折強度向上効果が極めて大きい。
また、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化珪素は、熱伝導率を向上させる効果を有している。
さらに、アルミナは、ガラス粉末との濡れ性が特に高く、焼結体の開気孔率を低下させ、後述する研磨面に存在する気孔の面積率を小さくさせる上で効果的である。
ムライト、エンスタタイト、アノーサイト及びスラウソナイトは、焼結体の誘電率を低下させる効果があり、前述したフォルステライトも誘電率を低下させる効果を有している。
また、アルミナ、ZrOは、焼結体の耐薬品性を向上させる効果を有し、特にアルミナの効果が大きい。このような耐薬品性向上効果は、後述する薄膜配線導体層1の形成に使用する薬液による劣化を有効に回避できるという点で、有効である。
絶縁層3を形成する焼結体中には、本発明の目的を損なわない範囲において、上述した種々の結晶相以外の金属酸化物結晶相が含有していても差し支えない。このような金属酸化物結晶相としては、SiO、CaMgSi、SrMgSi、BaMgSi、ZnO、ZnSiO、ZnAlSi18等が挙げられ、用途に合わせて適宜含有させればよい。
本発明においては、ボイドの少ない緻密な焼結体を得ると同時に、セルジアン結晶相、フォルステライト結晶相及びその他の結晶相を、焼結体中に効果的に存在せしめ、高い抗折強度を確保し、さらには熱伝導率を向上させるという点で、焼結体の酸化物換算での組成比は、
SiO:5〜36質量%、特に8〜31質量%、
Al:11〜65質量%、特に13〜32質量%、
MgO:2〜22質量%、特に3〜18質量%、
BaO:5〜36質量%、特に8〜36質量%、
RE(特にY):0.5〜18質量%、特に1.5〜13質量%、
ZnO:0〜17質量%、特に0〜12質量%
の範囲で含有していることが好ましい。
また、必要によりB、CaO、SrO、ZrO、SnO及びTiOの群から選ばれる少なくとも一種をその合量で18質量%以下、特に13質量%以下の量で含有していることが望ましい。これら任意成分のうち、Bは、ガラスの軟化点を低下させる性質を有しており、焼結体を製造するための原料粉末中に存在させることにより、原料粉末中のセラミック粉末の添加量を増大させ、焼結体の熱伝導率や抗折強度の調整するための成分である。また、任意成分であるCaO、SrOは、Bと同様にガラスの軟化点挙動を制御する性質を有していると同時に、セルジアン結晶と同様に異方性結晶として析出させることが可能なアノーサイト結晶相やスラウソナイト結晶相の構成成分として存在し、或いは他の結晶相をガラス中から析出させるための成分であり、抗折強度の向上や誘電率の制御に寄与するものである。また、任意成分であるZrO、SnO及びTiOは、ガラスの結晶化剤として働き、結晶化度の向上により、抗折強度や熱伝導率の制御に寄与する成分である。
かくして上述した焼結体からなる絶縁基板X(絶縁層3)は、抗折強度が250MPa以上、特に270MPa以上、最適には300MPa以上と極めて高強度であり、しかも、熱伝導率も2W/mK以上、特に2.5W/mK以上、最適には3W/mK以上と、極めて高い。また、その誘電率は、従来のアルミナ質セラミックの誘電率よりも低く、9以下に調整されていることが好適である。
さらに、環境への影響、耐薬品性、耐水性、薄膜配線導体層との接着強度の向上等の点で、上記焼結体中のアルカリ金属酸化物(AO)およびPbOの含有量が、それぞれ、0.1質量%以下、特に0.01質量%以下に抑制されていることが望ましい。
また、本発明においては、絶縁基板X(絶縁層3)の開気孔だけでなく閉気孔も低減することが可能であり、例えば、焼成後に絶縁基板X表面の研磨加工を行うことにより、研磨面の表面粗さRa(JIS B0601)を0.1μm以下、特に0.07μm以下、最適には0.05μm以下とし、研磨面に存在する気孔の面積率を10%以下、特に8%以下、最適には5%以下とすることが好ましく、このような研磨面上に薄膜配線導体層1(下層1a)を形成することにより、該層1の微細化、低抵抗化、接着強度の向上などを一層効果的に実現することができる。
一方、絶縁基板X表面の研磨工程を省いて生産性を高め(即ち、研磨を行わず、焼肌面上に直接薄膜配線導体層1を形成する)、工程を簡略化するためには、絶縁基板Xの焼肌面での表面粗さ(Ra)が1.0μm以下、特に0.7μm以下であることが望ましい。
本発明において、多層配線層Yにおける薄膜配線導体層1は、信号伝播速度の高速化の観点から、Cu、Ag、Au、Alの群から選ばれる少なくとも1種の低抵抗金属を含む低抵抗導体層であることが必要であるが、それ以外の導体成分としてTi、W、Mo、Cr、Ni、Ta、Snの群から選ばれる少なくとも1種の金属層が、上記の低抵抗導体層に積層された構造からなることが望ましい。
特に、薄膜配線導体層1のうち、絶縁基板Xの表面に直接形成される下層1aは、絶縁基板Xとの接着強度を高めるために0.1〜3μm、特に0.3〜1.5μmの厚みのWもしくはMoを含有する金属層を介して、Cu等からなる低抵抗導体層が絶縁基板X表面に形成された構造となっていることが好ましい。かかる金属層は、Wおよび/またはMoを50重量%以上、特に70重量%以上含有することが望ましく、特にTiとの合金層からなることが望ましい。また、絶縁基板X表面との接着強度をさらに高めるためには、絶縁基板Xの表面に、厚さが0.05〜0.5μmのTi層を設け、このTi層上に、上記W,Mo含有の金属層を介して、Cu等の低抵抗導体層が1〜10μmの厚みで形成され、全体厚みが1.5〜15μmの範囲となっていることが望ましい。また、絶縁膜2との密着性を高める上で、絶縁膜と接触する表面にCr層を形成することもできる。
さらに薄膜配線導体層1のうち、中間層1b及び表面層1cは、Cu等の低抵抗導体層が1〜10μmの厚みを有し、この低抵抗導体層に上記の金属層が積層された構造を有するが、特に、低抵抗導体層と絶縁膜2との間にCr層を介在させることによって絶縁膜との接着力を高めることができる。このような中間層1b及び表面層1cの全厚みは1.5〜15μmが適当である。
尚、多層配線層Yにおける絶縁膜2としては、ポリイミド系、エポキシ系の有機高分子材料などが用いることができるが、とりわけ、誘電率が低く、誘電損失が低い点でポリイミド系有機高分子材料を用いることが望ましい。なお、この絶縁膜2の厚みは、それぞれ、5〜100μm、特に10〜50μmであることが望ましい。
(配線基板の製造方法)
上述したパッケージAなどに使用される本発明の配線基板は、以下の工程(A)〜(D)により製造される。
工程(A):
まず、700〜1000℃の熱処理において揮発せず残留する成分を、酸化物換算での組成比が前述した絶縁層3の焼結体の組成と合致するように各種酸化物粉末等の混合粉末を調製する。即ち、この混合粉末は、酸化物換算で、
SiO:5〜36質量%、特に8〜31質量%、
Al:11〜65質量%、特に13〜32質量%、
MgO:2〜22質量%、特に3〜18質量%、
BaO:5〜36質量%、特に8〜36質量%、
RE(特にY):0.5〜18質量%、特に1.5〜13質量%、
ZnO:0〜17質量%、特に0〜12質量%
の組成を有しており、さらにセルジアン結晶相以外に含有させる結晶相の種類や目的とする物性制御などに応じてB、CaO、SrO、ZrO、SnO及びTiOの群から選ばれる少なくとも一種をその合量で20質量%以下、特に13質量%以下の量で含有していることが望ましい。この混合粉末と有機バインダーおよび溶媒とを混合してスラリー、即ちシート成形用スラリーを作製する。
上記混合粉末は、上記のような組成を有している限り、特に制限されるものではないが、構成成分として、少なくともSiO、Al、MgO、BaO及びREを含む珪酸系ガラス粉末40〜90質量%、特に50〜80質量%と、アルミナ、フォルステライト、エンスタタイト、ムライト、ジルコニア、窒化アルミニウム及び窒化珪素からなる群より選択された少なくとも1種のセラミック粉末10〜60質量%、特に20〜50質量%とを混合して、上記のような組成に調整されたものであることが望ましい。即ち、ガラス粉末とセラミック粉末との混合粉末を使用することにより、ガラスの軟化流動によりフィラーの最配列が効率よく行われ、より低温で、より短時間での焼成により、気孔の少ない緻密な燒結体を得ることができる。なお、焼結を均一に行うために、上記珪酸系ガラス粉末およびセラミック粉末の体積基準での平均粒径(D50)は、0.5〜10μm、特に0.8〜7μm、さらには1〜5μmの範囲内であることが好ましい。
例えば、珪酸系ガラス粉末の量が上記範囲よりも少量であると、1000℃以下の低温で焼結体を緻密化することができなくなり、逆に上記範囲よりも多量に使用すると、焼成時に焼結体がガラスの流動により原形を保てなくなる。
また、上記珪酸系ガラス粉末中には、SiO、Al、MgO、BaO及びREを構成成分として含有するが、これら構成成分のうち、SiOは、ガラス形成酸化物であり、この成分がないとガラスとならず、また、SiO、Al、MgO及びBaOは、セルジアン結晶相、フォルステライト結晶をガラスから析出させるために必要な成分である。さらに、RE(特にY)は、焼成後に上記結晶相を析出した後の残留ガラス中に存在させることにより、残留ガラス相のヤング率を向上させる性質を有しており、焼結体の抗折強度を向上させるために効果的な成分である。
したがって、混合粉末の調製に用いる上記珪酸系ガラス粉末は、その組成として、各構成成分を、
SiO:10〜40重量%、特に15〜35質量%、
Al:1〜30質量%、特に3〜25質量%、
MgO:3〜25質量%、特に5〜20質量%、
BaO:10〜40重量%、特に15〜37質量%、
RE(特にY):1〜20質量%、特に3〜15質量%、
ZnO:0〜17質量%、特に0〜13質量%、
を満足するように含有し(ZnOは、ガーナイト析出のための成分)、さらに任意成分として、B、CaO、SrO、ZrO、SnO、TiOの群から選ばれる少なくとも一種を、前述した焼結体組成を満足するように、例えば、その合量で20質量%以下、特に15質量%以下の範囲で含有することが望ましい。即ち、緻密な焼結体を得るために最適な軟化特性を得ると同時に、セルジアン結晶相やフォルステライト結晶相等を効果的に析出せしめるためには、珪酸系ガラス粉末の各成分の含有量が上記のような範囲内にあることが効果的である。珪酸ガラス粉末の組成が、上記範囲から逸脱すると、1000℃以下の焼成温度にて、望ましい磁器特性を有する焼結体を得ることが困難となるおそれがある。
また、既に述べたように、上記ガラス中の任意成分のうち、Bは、ガラスの軟化点を低下させ、混合粉末中に存在させることにより、セラミック粉末の添加量を増大させ、焼結体の熱伝導率や抗折強度の調整するための成分である。一方、CaO、SrOは、ガラスの軟化点挙動を制御すると同時に、異方性結晶として析出させ得るアノーサイト結晶相やスラウソナイト結晶相の構成成分として存在し、さらに、他の結晶相をガラス中から析出させる性質を有しているため、抗折強度の向上や誘電率の制御に有用である。ZrO、SnO及びTiOは、ガラスの結晶化剤として働き、結晶化度の向上により、抗折強度や熱伝導率の制御に寄与する。
一方、上記珪酸系ガラス粉末と混合するセラミック粉末は、焼結体の抗折強度を向上させる効果を有しており、既に述べたように、セラミック粉末のうち、アルミナは、抗折強度向上効果が最も大きく、さらに熱伝導率向上効果も有しているばかりか、ガラス粉末との濡れ性にも非常に優れており、焼結体の開気孔率や研磨面での気孔の面積率の低下のためにも有用である。また、セラミック粉末中、窒化アルミニウムや窒化珪素は、熱伝導率を向上させる効果もある。
上記のセラミック粉末は、これを多量に使用すると、1000℃以下の低温で焼結体を緻密化することが困難となり、また、少量であると、焼成時におけるガラスの流動により、焼結体が原形を保てなくなる。従って、このセラミック粉末は、10〜60質量%、特に20〜50質量%の量で使用される。
また、本発明においては、セルジアン結晶を粉末として使用して焼結体中に含有させることもできるが、より緻密な焼結体が得られ易く、且つ高いアスペクト比のセルジアン結晶が得られ易くなるという点で、セルジアン結晶は、前記の珪酸系ガラスから析出させることが好適である。即ち、珪酸系ガラスからセルジアン結晶を析出させるほうが、開気孔率及び研磨面での気孔面積率を低くし、且つ抗折強度をより高くする上で有利である。また、より緻密な焼結体を得るという点で、フォルステライト結晶相及びガーナイト結晶相から選択される少なくとも1種を、前記ガラス中から析出させることが望ましい。
また、珪酸系ガラス粉末の使用量が確保される限り、上記以外のセラミック粉末、例えばSiO、SrMgSi、BaMgSi、CaZrO、CaMgSi、ZnO、ZrO、ZnSiOなどを、用途に応じて前記混合粉末中に添加して使用することもできる。
上記の混合粉末を、それ自体公知の有機バインダー(例えばポリビニルアルコールなど)および溶媒(例えばイソプロピルアルコールなど)と混合して適度な粘度の成形用のスラリーが調製される。
工程(B):
次いで、上記のスラリーをシート状に成形してグリーンシートを作製する。グリーンシートへの成形は、例えば、金型プレス、冷間静水圧プレス、射出成形、押出し成形、ドクターブレード法、カレンダーロール法、圧延法等により、行うことができ、目的とする絶縁基板X(絶縁層3)に合わせたシート形状に成形される。特にグリーンシートの作製には、ドクターブレード法が好適である。
工程(C):
上記のグリーンシートを、絶縁基板Xを構成する絶縁層3の数に合わせて積層圧着し、脱バインダーに引き続いて、700〜1000℃にて焼成を行う。
脱バインダーに先立っては、上記グリーンシートに、ビアホール導体8を形成するための貫通穴をパンチングやレーザー加工法などにより形成し、その貫通穴内に、Cu、Ag、Auの群から選ばれる少なくとも一種以上を主成分として含有する導体ペーストを充填する。また、この導体ペーストをスクリーン印刷法やグラビア印刷法等によって、メタライズパッド7のパターンを形成する。また、絶縁基板Xの内部に位置する絶縁層3に相当するグリーンシートについては、その表面に、上記導体ペーストを用いて、上記と同様にして、内部配線層6に対応するパターンを形成しておく。
なお、メタライズパッド7や内部配線層6に対応する導体パターンの作製は、上記印刷法に限定されるものではなく、金属箔のエッチング等により形成された配線パターンを表面に備えた転写フィルムを前記グリーンシート表面に転写することによって形成することもできる。
脱バインダーは、成形のために配合したバインダー成分を除去するものであり、導体材料としてAg、Auが使用されている場合には、大気雰囲気中で500℃前後に加熱することにより行われ、導体材料としてCuが使用されている場合には、酸化を避けるため、水蒸気を含有する窒素雰囲気中で700℃前後に加熱することにより行われる。
脱バインダーに引き続いて行われる焼成は、酸化性雰囲気または非酸化性雰囲気中で700〜1000℃の温度で、0.2時間〜10時間、特に0.5〜5時間焼成を行うことにより、開気孔率が0.3%以下、特に0.2%以下で、後述する研磨面での気孔面積率が10%以下、特に8%以下、最適には5%以下の緻密な焼結体からなる絶縁基板Xが得られる。また、その焼肌面の表面粗さ(Ra)は、1.0μm以下、特に0.7μm以下となる。例えば、焼成温度が700℃より低い温度で焼成が行われたり、焼成時間が0.2時間より短いと、焼結体を緻密化することができず、開気孔率が0.3%を超えてしまうおそれがあり、逆に焼成温度が1000℃を越えるか、焼成時間が10時間より長いと、焼結体中のボイドが再度多くなってしまう。
なお、導体材料としてCuが使用されている場合には、酸化を防止するため、窒素、窒素/水蒸気混合、窒素/水素混合雰囲気などの非酸化性雰囲気中で焼成が行われる。
工程(D):
上記で得られた絶縁基板Xの表面に、薄膜形成法により、薄膜配線導体層1を備えた多層配線層Yを形成する。
尚、この薄膜形成法を利用した多層配線層Yに先立っては、必要により、この層を形成すべき絶縁基板Xの表面を研磨し、その表面粗さ(Ra)を0.1μm以下、特に0.07μm以下、最も好適には0.05μm以下とし、その研磨面に存在する気孔の面積率を10%以下、特に8%以下、最適には5%以下とし、その平滑性を高めておくのがよい。ただし、この研磨工程を省略し、絶縁基板Xの焼肌面に多層配線層Yを直接形成することも可能である。
薄膜形成法を利用した多層配線層Yの形成は、以下のようにして行われる。
(1)絶縁基板Xの上面の全面に、スパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法等の薄膜形成法を利用して、薄膜配線導体層1cを形成する。
例えば、蒸着源を適宜代え、絶縁基板Xの表面に、厚さが0.05〜0.5μmのTi膜を形成し、その上に、Wおよび/またはMoを含有し、厚みが0.1〜3μmの金属膜(例えばW−Ti膜、Mo−Ti膜)を形成し、さらにその上に、1〜10μmの厚みのCu,Ag,Au或いはAl膜を形成し、全体厚みが1.5〜15μmの積層金属膜を形成する。この積層金属膜上には、さらに、Cr膜を形成してもよい。
次いで、上記の積層金属膜上に、感光性フォトレジストを一面に塗布する。そして周知のフォトリソグラフィー技術によりエッチングマスクを作成し、積層金属膜の一部を酸性エッチング液、あるいは反応ガス(CCl、BCl)を用いた反応性イオンドライエッチングにより、不要部を除去して所定パターンの薄膜配線導体層1a(下層)を得、エッチングマスクを剥離により除去する。
(2)次に、薄膜配線導体層1aの上に、ポリイミド系などの有機高分子絶縁材料からなる絶縁膜2を形成する。例えば、有機高分子材料のポリマー溶液を配線基板X上面にスピンコーティング法などによって均一に塗布し、有機高分子材料が硬化する温度に加熱する。
(3)次に、上述の様な周知のフォトリソグラフィー技術を用いて上下の薄膜配線導体層を接続するための接続用スルーホールを形成する。
以上の(1)(2)(3)の工程を繰り返し実施することによって、所定の複数層の薄膜配線導体層1b、1c(中間層、表面層)および絶縁膜2を形成することができ、これによって本発明の配線基板を備えたパッケージAを作製することができる。尚、薄膜配線導体層1b、1cに際しては、金属源を適宜代えて、先に述べた積層構成の配線導体層とすればよい。
なお、このパッケージAには、適宜外部回路基板Bと電気的に接続するための接続端子9を取り付け、また、シリコンなどの半導体素子4を、上面の薄膜配線導体層1c(表面層)に、半導体素子4の電極端子が接続されるように位置合わせし、周知のフリップチップ接続法により半田などによって実装される。
以下のようにして評価用の多層配線基板を作製した。
まず、表1に示した組成のガラス粉末A〜E(平均粒径は2μm)を準備した。
Figure 2005093546
上記ガラス粉末に対して、表2に示すセラミック粉末を混合し、メタクリル酸系の有機バインダー及び溶媒としてトルエンを加えてスラリーを調製し、このスラリーを用いてドクターブレード法によって成形体を作製し、この成形体を大気中、500℃、2時間の熱処理により脱バインダー処理した後、大気雰囲気中で表1の条件で焼成して絶縁基板用の焼結体を作製した。得られた焼結体について、以下のようにして物性等の測定を行い、結果を表2に示した。
(開気孔率)
アルキメデス法により開気孔率を測定した。
(熱伝導率)
焼結体をφ10mm、厚さ1.5mmに加工し、レーザフラッシュ法により、熱伝導率を測定した。
(抗折強度)
焼結体を3mm×4mm×50mmに加工し、JIS R1601に準拠してオートグラフを用いて3点曲げ強度を測定した。
(表面粗さ及び気孔の面積率)
焼結体の焼き肌表面の表面粗さRa(JIS B0601)を表面粗さ計を用いて測定した。
さらに、焼結体を研磨し、#2000番の砥石を用いて仕上げた研磨面に関して、表面粗さRaを表面粗さ計を用いて上記と同様に測定し、また、研磨面のボイド率(気孔面積率)を金属顕微鏡写真からルーゼックス解析を行うことにより求めた。
(結晶相の同定)
焼結体中における結晶相をX線回折測定から同定し、ピーク強度の大きい順に表2に示した。
さらに焼結体を鏡面研磨し、走査型電子顕微鏡を用いて組織の写真を撮影し、針状晶であるセルジアン結晶相(BaAlSi)のアスペクト比を最大のものについて算出し、結果を表2に示した。
また、表2における各混合粉末を用いて、ドクターブレード法により厚み300μmのグリーンシートを作製し、このシートにビアホールを形成し、銅を主成分とするメタライズペーストをスクリーン印刷法に充填し、さらにメタライズパッドのパターンをスクリーン印刷で塗布した。
そして、メタライズペーストが塗布、充填されたグリーンシートをスルーホールの位置合わせを行いながら6枚積層し圧着した。この積層体を、大気中、500℃、2時間の条件で熱処理して脱バインダーを行った後、表2と同じ条件で焼成して配線基板を作製した。
また、上記配線基板の絶縁基板表面に、真空蒸着法によって、Ti層を0.2μmの厚さで形成した後、TiWからなる金属層を厚み10μmで形成した後、Cu層を3μmの厚みで形成した。なお、TiWの合金層中のW含有量は90重量%である。
その後、この薄膜金属層に感光性フォトレジストを一面に塗布し、フォトリソグラフィー技術によりエッチングマスクを作成し、薄膜層の一部を酸性エッチング液により不要部の薄膜を除去して、大きさが1×1mmの評価用パッドを形成した。
そして、このパッドに対して、Cuからなるピンを半田付けして、−40℃と125℃の各温度に制御した恒温槽に配線基板を15分/15分の保持を1サイクルとして100サイクルの熱サイクルを施した後に、このピンを垂直に引き上げ、半田もしくは薄膜金属層が離れた時の強度を薄膜金属層の接着強度として評価し、その結果を表2に示した。なお、接着強度は22.5MPa以上を合格とした。
Figure 2005093546
表2の結果から明らかなように、本発明に基づき、絶縁基板が、少なくともSi、Al、Mg、B、希土類元素RE及びOを構成元素として含有する焼結体からなり、該焼結体が、結晶相として少なくともセルジアン(BaAlSi)結晶相と、フォルステライト(2MgO・SiO)結晶相及びガーナイト(ZnAl)結晶相から選択される少なくとも1種の結晶相とを含有し、かつセルジアン結晶相の少なくとも一部がアスペクト比3以上の異方性結晶である場合については、開気孔率が0.3%以下、熱伝導率が2W/mK以上、抗折強度が250MPa以上、誘電率が9以下、表面粗さ(Ra)が1.0μm以下を示す良好な絶縁基板が得られ、その結果、熱サイクル後においても、薄膜配線層の接着強度が22.5MPa以上と高い接着強度が得られた。
それに対して、ガラス粉末の量が90重量%よりも多い試料No.21では、焼結体が原形を保つことができず評価可能な試料を得ることができなかった。
また、ガラス粉末の量が40重量%よりも少ない試料No.4では、緻密な焼結体を得ることができなかった。
試料No.24〜27は、セルジアン結晶相を含まない場合であるが、いずれの試料も開気孔率が0.3%より大きく、熱伝導率が2W/mKより低く、かつ抗折強度が250MPaよりも低く、さらに表面粗さ(Ra)が1.0μm以上であり、接着強度も22.5MPaよりも低いものとなった。
さらに、ガラス粉末としてZnOやBaOを含まないガラスD、Eを用いた試料No.25〜30では、いずれも開気孔率が0.3%よりも大きく、熱伝導率が2W/mKより低く、かつ抗折強度が250MPaよりも低いものであった。
本発明の配線基板からなる半導体素子収納用パッケージの断面構造を、これに実装される半導体素子と共に示す図である。 図1のパッケージの外部回路基板への実装構造を示す概略断面図である。
符号の説明
A・・パッケージ
B・・外部回路基板
X 絶縁基板
Y 多層配線層
1a,1b,1c;薄膜配線導体層
2;絶縁膜
3;絶縁層
4;半導体素子
5;電極端子
6;内部配線層
7;メタライズパッド
8;ビアホール導体
9;接続端子

Claims (17)

  1. 絶縁基板と、その表面に形成された薄膜配線導体層とを具備してなる配線基板において、
    前記絶縁基板は、構成元素として少なくともSi、Al、Mg、Ba、希土類元素RE及びOを含有し、結晶相としてフォルステライト結晶相およびガーナイト結晶相から選択される少なくとも1種と、セルジアン結晶相とを含有し、且つ0.3%以下の開気孔率を有する焼結体から形成されており、該セルジアン結晶相の少なくとも一部がアスペクト比3以上の異方性結晶であると共に、
    前記薄膜配線導体層は、Cu、Ag、Au及びAlの群から選ばれる少なくとも1種の導体を含有していることを特徴とする配線基板。
  2. 前記絶縁基板を形成する焼結体は、前記各構成元素を、酸化物換算での組成が、少なくともSiO:5〜36質量%、Al:11〜65質量%、MgO:2〜22質量%、BaO:5〜36質量%、RE:0.5〜18質量%、ZnO:0〜17質量%となる割合で含有している請求項1に記載の配線基板。
  3. 前記焼結体は、B、CaO、SrO、ZrO、SnO及びTiOからなる群から選ばれる少なくとも一種を、その合量で18質量%以下の量で含有している請求項2に記載の配線基板。
  4. 前記希土類元素REがY(イットリウム)であり、かつ前記希土類元素酸化物REがYである請求項2または3に記載の配線基板。
  5. 前記セルジアン結晶相が、六方晶を含有している請求項1乃至4のいずれかに記載の配線基板。
  6. 前記焼結体が、結晶相として、さらに、アルミナ、エンスタタイト、ムライト、ジルコニア、窒化アルミニウム、及び窒化珪素の群から選ばれる少なくとも一種を含有している請求項1乃至5のいずれかに記載の配線基板。
  7. 前記絶縁基板が、熱伝導率が2W/mK以上で抗折強度が250MPa以上の焼結体からなる請求項1乃至6のいずれかに記載の配線基板。
  8. 前記薄膜配線導体層は、前記絶縁基板の表面粗さが0.1μm以下の研磨面上に形成されており、該研磨面に存在する気孔の面積率が10%以下である請求項1乃至7のいずれかに記載の配線基板。
  9. 前記薄膜配線導体層は、前記絶縁基板の表面粗さ(Ra)が1.0μm以下の焼肌面上に形成されている請求項1乃至7のいずれかに記載の配線基板。
  10. 前記焼結体中のアルカリ金属酸化物(AO)およびPbOの含有量が、それぞれ、0.1質量%以下である請求項1乃至9のいずれかに記載の配線基板。
  11. 前記絶縁基板は複数の絶縁層から形成されており、該絶縁層間に、Cu、Ag、Au、Pd及びPtの群から選ばれる少なくとも1種を含有する内部配線層が形成されている請求項1乃至10のいずれかに記載の配線基板。
  12. 700〜1000℃の熱処理において揮発せずに残留する成分を、酸化物換算で、少なくともSiO:5〜36質量%、Al:11〜65質量%、MgO:2〜22質量%、BaO:5〜36質量%、希土類元素酸化物RE:0.5〜18質量%、及びZnO:0〜17質量%の割合で含有する混合粉末と、有機バインダーおよび溶媒とを混合してスラリーを作製する工程;
    前記スラリーをシート状に成形してグリーンシートを作製する工程;
    前記グリーンシートを、脱バインダーした後、700〜1000℃の温度で焼成することにより、開気孔率が0.3%以下の焼結体からなる絶縁基板を作製する工程;
    前記絶縁基板の表面に、薄膜形成法によって、Cu、Ag、Au及びAlの群から選ばれる少なくとも1種の導体を含有する薄膜配線導体層を形成する工程;
    からなることを特徴とする配線基板の製造方法。
  13. 前記混合粉末は、CaO、SrO、ZrO、SnO及びTiOからなる群から選ばれる少なくとも一種を、その合量で18質量%以下の量で含有している請求項12に記載の配線基板の製造方法。
  14. 前記混合粉末は、少なくともSiO、Al、MgO、BaO及びREを含む珪酸系ガラス粉末を40〜90質量%、アルミナ、フォルステライト、エンスタタイト、ムライト、ジルコニア、窒化アルミニウム、及び窒化珪素の群から選ばれる少なくとも一種のセラミック粉末10〜60質量%とからなる請求項12または13に記載の配線基板の製造方法。
  15. 前記珪酸系ガラス粉末は、少なくともSiO:10〜40質量%、Al:1〜30質量%、MgO:6〜25質量%、BaO:10〜40質量%、RE:2〜20質量%、及びZnO:0〜19質量%を含有し、さらにB、CaO、SrO、ZrO、SnO及びTiOの群から選ばれる少なくとも一種を、その合量で20質量%以下含有している請求項13に記載の配線基板の製造方法。
  16. 焼成により、前記珪酸系ガラスから、フォルステライト結晶相及びガーナイト結晶相から選択される少なくとも1種と、セルジアン結晶相とが析出する請求項12乃至請求項15のいずれかに記載の配線基板の製造方法。
  17. 前記グリーンシート表面にCu、Ag、Au、Pd、Ptの群から選ばれる少なくとも一種を含有する導体配線層を形成し、グリーンシート同士を積層した後に焼成を行うことにより、内部配線層を形成する請求項12乃至請求項16のいずれかに記載の配線基板の製造方法。
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