JP2005093353A - 誘導加熱ローラ装置、定着装置および画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】
加熱ローラの一部および/または全部の加熱領域を使用して被加熱体を加熱する際に、加熱ローラの軸方向の温度分布をほぼ均一にした誘導加熱ローラ装置、これを備えた定着装置および画像形成装置を提供する。
【解決手段】
誘導加熱ローラ装置は、加熱ローラHRと、複数の誘導コイルIC1、IC2を含む誘導コイル装置ICと、これに高周波電力を供給する高周波電源HFSと、加熱ローラHRの一の加熱領域Aを使用して被加熱体を加熱するときには、加熱領域Aに対向する誘導コイルIC1に投入する高周波電力の誘導コイル装置ICの全体に投入される高周波電力Wに対する高周波電力比Wa/Wを所定割合にすると同時に、残余の誘導コイルIC2に対しては残余の高周波電力Wbを振り分けることによって残余の加熱領域Bを一の加熱領域Aの温度とほぼ同等に保温するように制御する高周波電力振分手段PAMとを具備している。
【選択図】
図1
加熱ローラの一部および/または全部の加熱領域を使用して被加熱体を加熱する際に、加熱ローラの軸方向の温度分布をほぼ均一にした誘導加熱ローラ装置、これを備えた定着装置および画像形成装置を提供する。
【解決手段】
誘導加熱ローラ装置は、加熱ローラHRと、複数の誘導コイルIC1、IC2を含む誘導コイル装置ICと、これに高周波電力を供給する高周波電源HFSと、加熱ローラHRの一の加熱領域Aを使用して被加熱体を加熱するときには、加熱領域Aに対向する誘導コイルIC1に投入する高周波電力の誘導コイル装置ICの全体に投入される高周波電力Wに対する高周波電力比Wa/Wを所定割合にすると同時に、残余の誘導コイルIC2に対しては残余の高周波電力Wbを振り分けることによって残余の加熱領域Bを一の加熱領域Aの温度とほぼ同等に保温するように制御する高周波電力振分手段PAMとを具備している。
【選択図】
図1
Description
本発明は、誘導加熱ローラ装置、これを備えた定着装置および画像形成装置に関する。
トナー画像を熱定着するために、従来からハロゲン電球を熱源として用いた加熱ローラが用いられているが、効率が悪く、大電力を必要とする不具合がある。そこで、誘導加熱方式を導入してこの問題を解決しようと開発が行われている。この種の目的のための誘導加熱方式には渦電流損方式(例えば、特許文献1参照。)とトランス方式(例えば、特許文献2参照。)とが知られている。
渦電流損方式は、IHジャーなどにおいて実用化されているのと同様な動作原理である。なお、渦電流損方式において用いられている高周波の周波数は、20〜100kHz程度である。これに対して、トランス方式は、渦電流損方式より磁気的結合が強いために定常効率が高いとともに、加熱ローラ全体を加熱できるので、渦電流損方式に比較して定着装置の構造が簡単になるという利点がある。また、加えて動作周波数を100kHz以上、好適には1MHz以上の高周波にすることによって、誘導コイルのQを大きくして電力伝達効率を高くすることができる。このため、加熱の総合効率が高くなり、省電力を図ることができる。また、渦電流損方式に比較して定着装置の構造が簡単になるという利点もある。さらに、渦電流損方式の加熱ローラより熱容量をかなり小さくすることができる。したがって、トランス方式は、熱定着の高速化に甚だ好適である。
さらに、トランス方式の改良形として、誘導コイルに空芯トランス結合する回転可能に支持される中空構造からなる加熱ローラの2次側抵抗値を2次リアクタンスにほぼ等しい閉回路に形成することにより、誘導コイルから加熱ローラへの電力伝達効率が高くなり、加熱ローラを効率よく加熱できる著しい効果が得られる空芯トランス結合方式が本件出願人により特許出願されている(特許文献3参照。)。この発明により加熱ローラの誘導加熱の省電力を図るとともに、熱定着を高速化することが容易になった。
さらにまた、トナー画像が形成された被定着用紙のサイズに応じて誘導ローラの所望の加熱領域のみを加熱できるようにするために、誘導加熱ローラの軸方向に沿って複数に分割された複数の誘導コイルを配設し、かつ、特定領域に対応する誘導コイルに対して選択的に高周波電力を投入可能にすること技術が本発明者らにより開発されていて、例えば特願2002−120365号として特許出願されている。
特開2000−215974号公報
特開昭59−33787号公報
特開2002−222688号広報
ところが、加熱ローラの被定着用紙を通過させるところの加熱領域に対応する誘導コイルを選択的に付勢することにより、当該加熱領域のみを加熱するのでは、当該加熱領域の熱が隣接する非加熱領域に奪われるため、加熱領域内の温度分布が一様にならない。そればかりでなく、非加熱領域の温度が低くなりすぎるために、非加熱領域を加熱領域に切り換えた際に、所要温度まで温度上昇するのに要するいわゆるウオームアップ時間が長くなるという問題がある。これに対して、複数の誘導コイルを一様に加熱する場合には、反対に非加熱領域の温度が過昇して加熱ローラが損傷したり、加熱ローラの発煙発火につながったりする危険がある。
本発明は、加熱ローラの軸方向に複数の加熱領域を選択的に設定可能であるとともに、加熱ローラの一部および/または全部の加熱領域を使用して被加熱体を加熱する際に、加熱ローラの軸方向の温度分布をほぼ均一にした誘導加熱ローラ装置、これを備えた定着装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
請求項1の発明の誘導加熱ローラ装置は、後記誘導コイル装置に磁気結合して誘導電流により発熱するとともに、被加熱体のサイズに応じて複数の加熱領域に切り換えることができる加熱ローラと;加熱ローラの軸方向に分散して配設されるとともに、加熱ローラの各加熱領域にそれぞれ対向して配設された複数の誘導コイルを含む誘導コイル装置と;誘導コイル装置に高周波電力を供給する高周波電源と;加熱ローラの一の加熱領域を使用して被加熱体を加熱するときには、当該加熱領域に対向する一の誘導コイルに投入する高周波電力の誘導コイル装置の全体に投入される高周波電力に対する高周波電力比を所定割合にすると同時に、残余の誘導コイルに対しては残余の高周波電力を振り分けることによって残余の加熱領域を一の加熱領域の温度とほぼ同等に保温するように制御する高周波電力振分手段と;を具備していることを特徴としている。
本発明および以下の各発明において、特に指定しない限り用語の定義および技術的意味は次による。
<加熱ローラについて> 加熱ローラは、後記誘導コイルに磁気結合して誘導電流により発熱するとともに、後述するように複数の加熱領域に切り換えられるように構成されている。そして、加熱ローラは、閉回路を形成した2次コイルを備えていて、この2次コイルが誘導コイルと磁気結合、たとえば空芯トランス結合する。後者の場合、閉回路の2次側抵抗値は、2次コイルの2次リアクタンスとほぼ等しい値を有している。なお、2次側抵抗値と2次リアクタンスとが「ほぼ等しい」とは、2次側抵抗値をRaとし、2次リアクタンスをXaとし、かつ、α=Ra/Xaとしたとき、数式1を満足する範囲とする。なお、数式条件を規定する理由については特許文献3に開示されている。また、2次側抵抗値は、測定により求めることが可能である。2次リアクタンスは、計算により求めることが可能である。さらに、αは、好適には0.25〜4倍の範囲、最適には0.5〜2倍の範囲である。
(数式1)
0.1<α<10
また、加熱ローラは、2次コイルを単一または複数配設することができる。複数の2次コイルを配設する場合、それらを加熱ローラの軸方向に分散して配設することが望ましい。2次コイルを支持するために、絶縁性物質からなるローラ基体を用いることができる。そして、ローラ基体の外面、内面またはローラ基体の内部に2次コイルを配設することができる。
0.1<α<10
また、加熱ローラは、2次コイルを単一または複数配設することができる。複数の2次コイルを配設する場合、それらを加熱ローラの軸方向に分散して配設することが望ましい。2次コイルを支持するために、絶縁性物質からなるローラ基体を用いることができる。そして、ローラ基体の外面、内面またはローラ基体の内部に2次コイルを配設することができる。
さらに、加熱ローラは、その利用上被加熱体のサイズに応じて軸方向に沿って複数の加熱領域に区分される。すなわち、トナー画像を形成した定着紙の定着など被加熱体を加熱する目的で加熱ローラを使用する場合、被加熱体の幅サイズに応じて適切な加熱領域を選択できるように構成されている。これらの加熱領域は、見かけ上識別できなくてもよいが、後述する誘導コイルとの協働によって加熱が区分される。トナー画像定着の場合を例として加熱領域を説明する。例えば、トナー画像が形成されたA4サイズの定着用紙からなる被定着体を定着する場合、被定着体を縦置きにして定着させるのと、横置きにするのとでは、必要な加熱領域の長さが異なる。また、例えばA4サイズの被定着体を定着する場合と、B4サイズの被定着体を定着する場合とでも必要な加熱領域幅が異なる。一方、定着に必要な加熱領域以外の領域まで一様に発熱させるのでは電力の無駄であるとともに、前述したように加熱ローラの軸方向の温度分布が不均一になるので、回避しなければならない。他方、必要な加熱領域内においては、なるべく均一な発熱が必要になる。また、2つの異なる加熱領域であっても、いずれの領域に対しても共通に寄与する共通加熱部位と、それぞれの加熱領域に対してのみ寄与する単独加熱部位とがあり得る。さらに、共通加熱部位と単独加熱部位との配置の態様は、共通加熱部位を左右いずれか一方に片寄せして、単独加熱部位をいずれか他方に寄せて配置する態様と、共通加熱部位を中央に配置して、その左右に単独加熱部位を配置する態様とがあるが、本発明においては、以上のいずれか一または全部に対応可能になっていることを許容する。
さらにまた、2次コイルを導体層、導電線および導電板などの導体により形成することができる。導体層は、所望の2次側抵抗値を得るために、以下の材料および製造方法を採用することができる。厚膜形成法(塗布+焼成)により形成する場合には、Ag、Ag+Pd、Au、Pt、RuO2およびCからなるグループから選択した材料を用いるのがよい。塗布方法としては、スクリーン印刷法、ロールコーター法およびスプレー法などを用いることができる。これに対して、めっき、蒸着またはスパッタリング法により形成する場合には、Au、Ag、NiおよびCu+(Au、Ag)のグループから選択した材料を用いるのがよい。導電線および導電板は、Cu、Alなどを用いることができる。なお、Cu、Alの場合は、酸化を防止するために、防錆被膜を表面に形成するのが好ましい。また、ローラ基体をFeやSUS(ステンレス鋼)で構成する場合、ローラ基体の表面層が高周波の表皮効果によって2次コイルとして作用する。したがって、上記のような格別の2次コイルを配設しなくてもよい。しかし、この場合であっても、要すればローラ基体とは別に2次コイルを配設することができる。なお、FeやSUSからなるローラ基体においても、表面に亜鉛被膜などの防錆皮膜を形成することができる。
次に、より一層実際的な加熱ローラを得るために、必要に応じて以下の構成を付加することが許容される。
1.(ローラ基体について) 2次コイルを支持するために、絶縁性物質からなるローラ基体を用いることができる。この場合、2次コイルは、ローラ基体の外面、内面または内部に配設することができる。絶縁性のローラ基体は、セラミックスまたはガラスを用いて形成することができる。そして、ローラ基体の耐熱性、強い衝撃性および機械的強度などを考慮して、例えば以下の材料を用いることができる。セラミックスとしては、例えばアルミナ、ムライト、窒化アルミニウムおよび窒化ケイ素などである。ガラスとしては、例えば結晶化ガラス、石英ガラスおよびパイレックス(登録商標)などである。
2.(熱拡散層について) 熱拡散層は、加熱ローラの軸方向における温度の均整度を向上するための手段として、必要に応じて導体層の上側に配設することができる。このために、熱拡散層は、加熱ローラの軸方向への熱伝導が良好な物質を用いるのがよい。熱伝導率の高い物質は、Cu、Al、Au、AgおよびPtなど導電率の高い金属に多く見られる。しかし、熱拡散層は、導体層の材料に対して同等以上の熱伝導率を有していればよい。したがって、熱拡散層は、導体層と同一材料であってもよい。
また、熱拡散層が導電性物質からなる場合、導体層と導電的に接触していてもよいが、絶縁膜を介して配設することにより、放射ノイズの輻射を遮断する作用をも奏する。なお、高周波磁界は、熱拡散層まで作用しないので、熱拡散層には発熱に寄与するほどの2次電流は誘起されない。
3.(保護層について) 保護層は、加熱ローラの機械的保護および電気絶縁、あるいは弾性接触性またはトナー離れ性向上のために、必要に応じて配設することができる。前者のための保護層の構成材料としては、ガラスを、また後者のための保護層の構成材料としては合成樹脂を、それぞれ用いることができる。ガラスとしては、ホウケイ酸亜鉛系ガラス、ホウケイ酸鉛系ガラス、ホウケイ酸系ガラスおよびアルミノシリケート系ガラスからなるグループの中から選択して用いることができる。また、後者としては、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂+フッ素樹脂およびポリアミド+フッ素樹脂からなるグループの中から選択して用いることができる。なお、ポリイミド樹脂+フッ素樹脂およびポリアミド+フッ素樹脂の場合、フッ素樹脂が外側に配設される。
4.(加熱ローラの形状について) 所望により加熱ローラにクラウンを形成することができる。クラウンとしては、鼓形および樽形のいずれであってもよい。
5.(加熱ローラの回転機構について) 加熱ローラを回転するための機構は、既知の構成を適宜選択して採用することができる。なお、トナー画像を熱定着する場合には、加熱ローラと正対して加圧ローラを配設して、両ローラの間をトナー画像が形成された記録媒体が通過する際に加熱されてトナーが記録媒体に融着するように構成することができる。
<誘導コイル装置について> 本発明において、「誘導コイル」は、その発生磁束を加熱ローラに鎖交させて加熱ローラに2次電流を誘起させ、かつ、抵抗発熱を発生させることで加熱ローラを所要に加熱するための手段であり、その複数が加熱ローラの軸方向に分散して配設されている。そして、上記複数の誘導コイルをまとめて誘導コイル装置という。誘導コイル装置は、後述する高周波電源から直接または整合回路およびまたは高周波伝送路を経由して付勢すなわち励磁されるとともに、加熱ローラに磁気結合例えば空芯トランス結合するが、回転する加熱コイルに対して静止していてもよいし、加熱ローラと一緒に、または別に回転してもよい。なお、回転する場合には、周波数可変高周波電源と誘導コイルとの間に回転集電機構を介在すればよい。なお、「空芯トランス結合」とは、完全な空芯のトランス結合だけでなく、実質的に空芯とみなせるトランス結合の場合を含む意味である。しかし、要すれば、渦電流損加熱方式の電磁結合であってもよい。
また、誘導コイル装置は、その誘導コイルを支持するために後述するコイルボビンを備えていることができる。コイルボビンには、整列巻の状態で誘導コイルを支持するための巻溝を形成することができる。コイルボビンを中空にして内部に誘導コイルに接続する高周波伝送路を通線するように構成することができる。しかし、コイルボビンに代えて合成樹脂やガラス質材により誘導コイルを直接成形ないし接着することによって、複数の誘導コイルを所定形状に維持するように構成することもできる。
さらに、誘導コイル装置の複数の誘導コイルは、共通の高周波電源に対して並列接続することができる。しかし、要すれば、複数の誘導コイルを直列接続するようにしてもよい。また、誘導コイルは、個々にまたはグループ分けされて個別の高周波電源に接続してもよい。いずれの態様であっても、誘導コイルに対して高周波電源から高周波電力を給電するための給電リード線は、誘導コイルの内面または外面に接近した位置に配置するのがよい。給電リード線を誘導コイルの内部に通線する場合、給電リード線が誘導コイルの中心軸に近いと、給電リード線と鎖交する磁束が多くなるために、内部に渦流損が生じて電力伝達効率が低下するので、好ましくない。これに対して、上記のように構成することにより、給電リード線と鎖交する磁束が少なくなるので、電力伝達効率の低下が相対的に抑制される。
さらにまた、複数の誘導コイルは、軸長およびターン数が一定であってもよいし、相違してもよい。好ましくは各加熱領域に対向する誘導コイルを次のように構成するのがよい。すなわち、加熱領域の軸方向の長さに応じて一または複数の単位誘導コイルを高周波電源に対して並列接続して加熱領域に対向する誘導コイルを構成する構成である。この構成によれば、加熱ローラの各加熱領域に対して投入する高周波電力を所望に制御しやすくなる。なお、本発明において「単位誘導コイル」とは、加熱ローラの所定の軸長、ターン数およびコイル径を備えていて、所定の高周波電圧を印加したときに所定の高周波電力が一単位として投入されるように構成されている。したがって、一単位誘導コイルに投入される高周波電力に単位誘導コイルの数を乗じた値の高周波電力を対向する加熱領域に投入することができる。
一方、誘導コイルに供給される高周波電力は、高周波電源を共通にしている場合、誘導コイルに対する高周波電圧の印加時間に概ね比例的になる。したがって、例えばPWM制御などにより複数の加熱領域に対向する複数の誘導コイル対する高周波電力の値を個別に制御することが可能になる。
<高周波電源について> 高周波電源は、加熱ローラの複数の加熱領域を所要に加熱するために、複数の加熱領域に対向するそれぞれの誘導コイルを付勢するために、高周波電力を発生して、所定の誘導コイルにこれを供給する。また、高周波電源は、その出力周波数(またはその範囲)が基本的に限定されるものではないが、トランス方式の場合は1MHz以上の高周波を出力するように構成されていると効果的である。なぜなら、1MHz以上の高周波にすることにより、導誘コイルのQを大きくして電力伝達効率をより一層高くすることが可能になるからである。電力伝達効率が高くなると、加熱の総合効率が高くなり、省電力を図ることができる。しかし、実際には15MHz以下の周波数にすることにより、放射ノイズの問題をなるべく回避しやすくすることができる。なお、適合する能動素子(たとえば、後述するようにMOSFETを用いることができる。)の経済性および高周波ノイズ抑制の容易性などの観点からは、好適には1〜4MHzである。さらに、本発明は、渦電流結合方式(渦電流加熱方式)であってもよいが、その場合には、20〜100kHzの範囲の周波数が好適である。
また、高周波を発生させるには、直流または低周波交流を直接または間接的に半導体スイッチ素子などの能動素子を用いて高周波に変換するのが実際的である。低周波交流から高周波電力を得るには、整流手段を用いていったん低周波交流を直流に変換するのがよい。直流は、平滑回路を用いて形成した平滑化直流でもよいし、非平滑直流であってもよい。直流を高周波に変換するには、増幅器およびインバータなどの回路要素を用いることができる。増幅器としては、例えば電力変換効率の高いE級増幅器などを用いることができる。また、ハーフブリッジ形インバータなどを用いることもできる。さらに、能動素子としては、高周波特性に優れているMOSFETが好適である。複数の高周波電源回路を並列的に接続して、各高周波電源回路の高周波出力を合成してから誘導コイルに印加するように構成することができる。これにより、所望の電力でありながら各高周波電源回路の出力を小さくてよいから、能動素子にMOSFETを用いて、廉価に効率よく高周波を発生することができる。
さらに、高周波電源は、複数の誘導コイルに対して共通に配設することができる。しかし、要すれば、高周波電源を複数の誘導コイルに対してそれぞれ個別に、またはグループ化して複数の高周波電源を配設することも許容される。
さらにまた、高周波電源の出力周波数は、一定であってもよいし、可変であってもよい。後述する高周波電力振分手段がフィルタ手段または共振回路からなる場合、高周波電源の出力周波数を可変にする必要がある。高周波電源の出力周波数を可変にするには、例えば励振回路の発振周波数を可変にするなど既知の周波数可変手段を用いることができる。なお、要すれば、例えば起動時の投入電力を通常運転時のそれより大きくして、急速加熱を行うように構成することができる。
<高周波電力振分手段について> 高周波電力振分手段は、加熱ローラの一の加熱領域を使用して被加熱体を加熱するときには、当該加熱領域に対向する誘導コイルに対して高周波電源から投入される高周波電力の誘導コイル装置の全体に投入される高周波電力に対する高周波電力比を所定割合にすると同時に、残余の誘導コイルに対しては残余の高周波電力を振り分けることによって残余の加熱領域を一の加熱領域の温度とほぼ同等に保温するように制御する手段である。なお、本発明において、「所定割合」とは、加熱ローラの一の加熱領域と残余の加熱領域との間におけるそれぞれ単位軸長に対する割合として表現されているものであると同時に、複数の加熱領域の一部が被加熱体の加熱のために使用されている場合において、加熱ローラの軸方向に実用上ほぼ均一な温度分布が得られる限界値およびそれ以上の範囲として表現されている。このため、誘導コイルが記述のように単位誘導コイルの適数を用いて構成されている場合には、一の加熱領域と残余の加熱領域とにおけるそれぞれの単位誘導コイル当たりに投入される高周波電力の割合に等しい。したがって、加熱ローラおよび誘導コイルの構成の如何にかかわらず、上記所定割合以上の範囲内において加熱ローラの軸方向にほぼ均一な温度分布が得ることが可能になる。しかし、被加熱体を加熱する一の加熱領域の全高周波電力に対する割合は、0.95を上限とするのが実際的である。なお、このとき残余の加熱領域の同様割合は0.05以下になる。また、所定割合が一定であっても、加熱領域の軸長に応じて当該加熱領域に投入される高周波電力の総量が変化することになる。
次に、高周波電力振分手段の具体的な構成の一例について説明する。以下、PWM制御方式、フィルタ方式および共振回路方式について説明する。なお、これらの例は、単独で実施するばかりでなく、適宜組み合わせて実施することが許容され、また組み合わせによってより一層高周波電力の割り振り可能な範囲が拡大したり、きめ細かく調整したりできるようになる。特にPWM制御方式とフィルタ方式または共振回路方式との組み合わせが好適である。
1.(PWM制御方式について) PWM制御方式は、加熱ローラの各加熱領域に対向する複数の誘導コイルに対する高周波電圧の印加時間をPWM制御により変化させることにより、各誘導コイルに供給される高周波電力を所望の割合で変化させる方式である。なお、PWM制御は、高周波の各半サイクルごとに行うようにしてもよいし、高周波電源の高周波出力を相対的に低周波、例えば1〜100Hz程度で変調してもよい。
2.(フィルタ方式について) フィルタ方式は、周波数可変形の高周波電源と誘導コイルとの間にフィルタ手段を介在させるとともに、高周波電源の周波数を変化させることによってフィルタ手段が応動して、高周波電力の通過度を変化させる。フィルタ手段の備えているべきフィルタ特性としては、帯域通過形、帯域阻止形、低域通過形および広域通過形のいずれであってもよい。また、フィルタ手段の構成としては、アナログ形、アクティブ形およびディジタル形のいずれであってもよい。さらに、フィルタ手段は、誘導コイルに対して直列または並列に接続することができる。
次に、フィルタ手段のフィルタ特性と誘導コイルの選択的付勢との関係について説明する。フィルタ特性が帯域通過形である場合、可変高周波電源が当該通過帯域の周波数を出力するように可変高周波電源を制御すれば、フィルタ手段に接続する誘導コイルは、フィルタ手段を通過した高周波電力によって付勢されるので、当該誘導コイルが対向する加熱ローラの領域を選択的にまたは所定比率で加熱することができる。したがって、例えば2つの誘導コイルの付勢割合を周波数により選択的に変更するには、通過帯域の互いに異なる2つのフィルタ手段を用意して、その一方を一方の誘導コイルに接続し、他方を他方の誘導コイルに接続して、周波数可変高周波電源の出力周波数をそれぞれの通過帯域内になるように切り換えるとともに、それぞれの通過帯域が所定の割合で一部オーバーラップするように設定すればよい。
そうして、フィルタ手段は、そこに入力する高周波の周波数に対して選択的に、かつ、所定割合で応動して当該フィルタ手段を通過する高周波電力を所定割合に応じて制御する。したがって、電源周波数を変化することにより、所望の誘導コイルに対する高周波電力の投入割合を制御することができる。
また、各誘導コイルと周波数可変高周波電源との間に介在して誘導コイルに供給される高周波電力を制御する部分がフィルタ手段により構成されているので、誘導コイルの構成の如何に影響を受けることなく、安定した制御を行うことができる。
3.(共振回路について) 共振回路は、誘導コイルを共振回路要素として構成されている。誘導コイルは、2次抵抗に加えて主としてインダクタンスを含んでいるので、一般的にはコンデンサを追加することにより共振回路を構成することができる。共振回路は、周波数可変形の高周波電源に対して直列共振回路および並列共振回路のいずれであってもよい。前者は、周波数可変形の高周波電源に対して誘導コイルおよびコンデンサの直列接続回路を接続する。後者は、周波数可変形の高周波電源に対して誘導コイルおよびコンデンサの並列回路を接続する。しかし、要すれば、誘導コイルの他にインダクタンスを追加することができる。そして、第1および第2の誘導コイルを共振回路構成部品として含む複数の共振回路を構成する場合は、それらの共振周波数を少なくとも2種類以上に相違させるとともに、共振特性曲線が一部オーバーラップするように設定する。
さらに、要すれば複数の共振回路の間において、選択度であるQの大きさを共振周波数とともに、少なくとも2つの異なった値を有するように構成することができる。すなわち、一方の共振回路のQ値の大きさを、他方のそれより相対的に小さくなるように構成する。
そうして、共振回路を用いて複数の誘導コイルに投入される高周波電力を所要の割合で振り分けるには、それぞれの誘導コイルを共振要素とする複数の共振回路に対して、ともに適度に共振するような周波数の高周波電力を出力するように高周波電源の周波数を設定すればよい。
<その他の構成について>
本発明の必須構成要素ではないが、所望により以下の構成を選択的に実施することにより、さらに効果的な誘導加熱ローラ装置を得ることができる。
本発明の必須構成要素ではないが、所望により以下の構成を選択的に実施することにより、さらに効果的な誘導加熱ローラ装置を得ることができる。
1.ウオームアップ制御について
起動すなわち給電開始後のウオームアップ期間中、加熱ローラが通常運転時におけるより低い回転数で回転するように制御することができる。
起動すなわち給電開始後のウオームアップ期間中、加熱ローラが通常運転時におけるより低い回転数で回転するように制御することができる。
2.加熱ローラの温度制御について
加熱ローラの温度を所定範囲内で一定、例えば200℃に維持にするために、加熱ローラの表面に感熱素子を導熱的に接触させることができる。そして、感熱素子を温度制御回路に接続する。感熱素子としては、負温度特性を有するサーミスタや正温度特性を有する非直線抵抗素子を用いることができる。
加熱ローラの温度を所定範囲内で一定、例えば200℃に維持にするために、加熱ローラの表面に感熱素子を導熱的に接触させることができる。そして、感熱素子を温度制御回路に接続する。感熱素子としては、負温度特性を有するサーミスタや正温度特性を有する非直線抵抗素子を用いることができる。
3.搬送シートについて
加熱ローラを用いて被加熱体を加熱する際に、加熱ローラが直接被加熱体に当接するように構成することができるが、要すれば両者の間に搬送シートが介在するように構成することができる。この場合、搬送シートは、無端状またはロール状の形態をとることが許容される。搬送シートを用いることにより、被加熱体の加熱と搬送をスムースに行うことが可能になる。
加熱ローラを用いて被加熱体を加熱する際に、加熱ローラが直接被加熱体に当接するように構成することができるが、要すれば両者の間に搬送シートが介在するように構成することができる。この場合、搬送シートは、無端状またはロール状の形態をとることが許容される。搬送シートを用いることにより、被加熱体の加熱と搬送をスムースに行うことが可能になる。
請求項2の発明の誘導加熱ローラ装置は、後記誘導コイル装置に磁気結合して誘導電流により発熱するとともに、中間部に位置する第1の加熱領域および両端部に位置する第2の加熱領域を有する加熱ローラと;加熱ローラの第1の加熱領域に対向して配設された第1の誘導コイルおよび第2の加熱領域に対向して配設された第2の誘導コイルを含む誘導コイル装置と;誘導コイル装置に高周波電力Wを供給する高周波電源と;誘導コイル装置の第1の誘導コイルに投入する高周波電力をWaとし、第2の誘導コイルに投入する高周波電力をWbとし、誘導コイル装置の全体に投入される高周波電力をWとしたとき、第1の加熱領域を使用して被加熱体を加熱するときには高周波電力比Wa/Wを0.7以上とし、残余を第2の誘導コイルにWbとして振り分けて投入するように制御する高周波電力振分手段と;を具備していることを特徴としている。
本発明は、加熱ローラに中間部および両端部に位置する2つの加熱領域が設定されるとともに、加熱ローラの中間部の加熱領域を使用して被加熱体を加熱する場合に、加熱ローラの温度分布をほぼ均一に保持するのに好適な構成を規定している。すなわち、加熱領域は、第1の加熱領域が加熱ローラの中間部に位置し、第2の加熱領域が加熱ローラの両端部に分散して位置する。この構成において、被加熱体の加熱パターンとしては、第1の加熱領域のみを使用する第1の加熱パターン、ならびに第1および第2の加熱領域をともに使用する第2の加熱パターンを含むのが一般的である。なお、第1および第2の加熱領域の軸長は、所望により適宜設定することができる。
高周波電力比Wa/Wを0.7以上、したがってWb/Wを0.3以下とすることにより、中間部の加熱領域を使用して被加熱体を加熱しているときに、加熱ローラの軸方向の温度分布がほぼ均一になる。これに対して、高周波電力比Wa/Wが0.7未満になると、第2の加熱領域に対向する誘導コイルに投入される高周波電力比Wb/Wが0.3以上になるために、第2の加熱領域の温度が第1の加熱領域のそれより高くなってしまい、加熱ローラの温度分布をほぼ均一に保持することができない。
請求項3の発明の誘導加熱ローラ装置は、後記誘導コイル装置に磁気結合して誘導電流により発熱するとともに、中央部に位置する第1の加熱領域および両端に位置する第2の加熱領域を有する加熱ローラと;加熱ローラの軸方向に分散して配設されるとともに、加熱ローラの第1の加熱領域に対向して配設された第1の誘導コイルおよび第2の加熱領域に対向して配設された第2の誘導コイルを含む誘導コイル装置と;誘導コイル装置に高周波電力Wを供給する高周波電源と;誘導コイル装置の第1の誘導コイルに投入する高周波電力をWaとし、第2の誘導コイルに投入する高周波電力をWbとし、誘導コイル装置の全体に投入される高周波電力をWとしたとき、第1および第2の加熱領域を同時に使用して被加熱体を加熱するときには高周波電力比Wb/Wを0.5以上とし、残余を第1の誘導コイルにWaとして振り分けて投入するように制御する高周波電力振分手段と;を具備していることを特徴としている。
本発明は、請求項2におけるのと同様に加熱ローラに2つの加熱領域が設定されるとともに、加熱ローラの2つの加熱領域を同時に使用する場合に加熱ローラの温度分布をほぼ均一化するのに好適な構成を規定している。すなわち、加熱領域は、請求項2におけるのと同様に第1の加熱領域が加熱ローラの中間部に位置し、第2の加熱領域が加熱ローラの両端部に分散して位置する。この構成において、被加熱体の加熱パターンとしては、第1の加熱領域のみを使用する第1の加熱パターン、ならびに第1および第2の加熱領域をともに使用する第2の加熱パターンを含むが一般的であるが、本発明は、第1および第2の加熱領域をともに使用する第2の加熱パターンにおいて、加熱ローラの軸方向の温度分布をほぼ均一に保持するものである。
高周波電力比Wb/Wを0.5以上、したがってWa/Wを0.5以下とすることにより、中間部の加熱領域を使用して被加熱体を加熱しているときに、加熱ローラの軸方向の温度分布がほぼ均一になる。これに対して、高周波電力比Wb/Wが0.5未満になると、第1の加熱領域に対向する誘導コイルに投入される高周波電力比Wb/Wが0.5以上になるために、第2の加熱領域の温度が第1の加熱領域のそれより低くなってしまい、加熱ローラの温度分布をほぼ均一に保持することができない。これは、加熱ローラの両端部は、一般的には中間部のそれに比較して冷却されやすいので、中間部より多くの高周波電力を投入する必要があるからである。しかし、加熱ローラおよび誘導コイルの構成如何では加熱ローラの両端部および中間部の冷却がほぼ同等にもなる。したがって、高周波電力比Wb/Wが0.5以上になるのである。
また、本発明において、第1の加熱領域のみを使用して被加熱体の加熱を行う場合には、請求項2におけるように高周波電力比Wa/Wを0.7以上に構成することが許容される。これにより、請求項2におけるのと同様な作用を奏する。
そうして、本発明においては、加熱ローラの中間部および両端部にそれぞれ第1および第2の加熱領域を有するので、加熱領域を切り換えることによって異なるサイズの被加熱体を加熱できるとともに、加熱の幅が最も大きくなる第1および第2の加熱領域を同時に使用する被加熱体の加熱時に加熱ローラの軸方向の温度分布をほぼ均一に保持することができる。
請求項4の発明の定着装置は、加圧ローラを備えた定着装置本体と;定着装置本体の加圧ローラに加熱ローラを圧接関係に対設して、両ローラ間にトナー画像が形成された記録媒体を挟んで搬送しながらトナー画像を定着するように配設された請求項1ないし3のいずれか一記載の誘導加熱ローラ装置と;を具備していることを特徴としている。
本発明において、「定着装置本体」とは、定着装置から誘導加熱ローラ装置を除いた残余の部分をいう。
加圧ローラと加熱ローラとは、直接圧接してもよいが、要すれば搬送シートなどを介して間接的に圧接してもよい。なお、搬送シートは、無端またはロール状であってもよい。
請求項5の発明の画像形成装置は、記録媒体にトナー画像を形成する画像形成手段を備えた画像形成装置本体と;画像形成装置本体に配設されて記録媒体のトナー画像を定着する請求項4記載の定着装置と;を具備していることを特徴としている。
本発明において、「画像形成装置本体」とは、画像形成装置から定着装置を除いた残余の部分をいう。また、画像形成手段は、記録媒体に間接方式または直接方式により画像情報を形成する画像を形成する手段である。なお、「間接方式」とは、転写によって画像を形成する方式をいう。
画像形成装置としては、例えば電子写真複写機、プリンタ、ファクシミリなどが該当する。
記録媒体としては、例えば転写材シート、印刷紙、エレクトロファックスシート、静電記録シートなどが該当する。
請求項1によれば、加熱ローラの軸方向に複数の加熱領域を選択的に設定することができるとともに、加熱ローラの一部の加熱領域を使用して被加熱体を加熱しているときであっても、残余の加熱領域が所定割合の高周波電力で加熱されて保温されるので、加熱ローラ全体の温度分布を実用上差し支えない程度に常時ほぼ均一に保持することができる。
請求項2によれば、加熱ローラの中間部および両端部にそれぞれ第1および第2の加熱領域を有するので、加熱領域を切り換えることによって異なるサイズの被加熱体を加熱できるとともに、一般的には最も使用頻度が大きくなる中間部の加熱領域を使用する被加熱体の加熱時に加熱ローラの軸方向の温度分布をほぼ均一に保持することができる。
請求項3によれば、加熱ローラの中間部および両端部にそれぞれ第1および第2の加熱領域を有するので、加熱領域を切り換えることによって異なるサイズの被加熱体を加熱できるとともに、加熱の幅が最も大きくなる第1および第2の加熱領域を同時に使用する被加熱体の加熱時に加熱ローラの軸方向の温度分布をほぼ均一に保持することができる。
請求項4によれば、請求項1ないし3の効果を有するとともに、加熱ローラのウオームアップが誘導加熱により早くなるのに加えてトナー画像が形成された記録媒体を加熱ローラと加圧ローラとの間に挟んで搬送しながらトナー画像を定着するので、トナー画像を高速で定着することができる。
請求項5によれば、請求項1ないし3の効果を有するとともに、加熱ローラのウオームアップが誘導加熱により早くなるので、高速タイプに好適な画像形成装置にすることができる。
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1ないし図6は、本発明の誘導加熱ローラ装置を実施するための第1の形態を示し、図1は装置全体の概要を示す回路ブロック図、図2は誘導コイル装置および加熱ローラの一部切欠中央断面正面図、図3は誘導コイル装置および加熱ローラの横断面図、図4は高周波電源の電源主回路部および周波数制御部を示す回路図、図5は出力回路および高周波電力割振手段の回路図、図6は第1および第2の誘導コイルに投入される高周波電力と出力周波数の関係を示す周波数−高周波電力特性を示すグラフ、図7は加熱ローラおよび誘導コイルの位置、加熱ローラの温度分布、ならびに被加熱体の関係を説明する概念図、図8は加熱ローラの定常時における各加熱領域の温度変化を示すグラフである。本実施の形態は、請求項1ないし3に準拠している。そして、誘導加熱ローラ装置は、加熱ローラHR、誘導コイル装置IC、高周波電源HFS、および高周波電力割振手段PAMを備えて構成されている。また、加熱ローラHRは、図2に示すように、回転機構RMを備え、これにより駆動されて回転する。以下、上記の構成要素ごとにその構成を詳細に説明する。
<加熱ローラHR> 加熱ローラHRは、ローラ基体1、2次コイルwsおよび保護層2を備えて構成されているとともに、回転機構RMにより回転駆動される。ローラ基体1は、アルミナセラミックス製の円筒体からなり、例えば長さ300mm、厚み3mmである。2次コイルwsは、Cuの蒸着膜からなるフィルム状をなした円筒状の1ターンコイルからなり、ローラ基体1の外面において、軸方向の有効長のほぼ全体にわたって配設されている。そして、2次コイルwsの厚みは、加熱ローラHRの周回方向の2次側抵抗Rの値が2次リアクタンスとほぼ同じ値の1Ωになるように設定されている。保護層2は、フッ素樹脂からなり、2次コイルwsの外面を被覆して形成されている。
回転機構RMは、加熱ローラHRを回転させるための機構であって、以下のように構成されている。すなわち、図2に示すように、第1の端部部材3A、第2の端部部材3B、一対の軸受4、4、ベベルギア5、スプラインギア6およびモータ7を備えて構成されている。第1の端部部材3Aは、キャップ部3a、駆動軸3bおよび尖端部3cからなる。キャップ部3aは、加熱ローラHRの図2において左端に外側から嵌合するとともに、図示を省略している押しねじを用いて加熱ローラHRに固定することによって、加熱ローラHRの左端を支持している。駆動軸3bは、キャップ部3aの外面の中央部から外方へ突出している。尖端部3cは、キャップ部3aの内面の中央部からキャップ部3aの内方へ突出している。第2の端部部材3Bは、リング部3dからなる。リング部3dは、加熱ローラHRの図2において右端に外側から嵌合するとともに、図示を省略している押しねじを用いて加熱ローラHRに固定することによって、加熱ローラHRの右端を支持している。一対の軸受4、4の一方は、第1の端部部材3Aにおけるキャップ部3aの外面を回転自在に支持する。また、他方は、第2の端部部材3Bの外面を回転自在に支持する。したがって、加熱ローラHRは、その両端に固定した第1および第2の端部部材3A、3Bと、一対の軸受4、4とにより回転自在に支持されている。ベベルギア5は、第1の端板3Aの駆動軸3bに装着されている。スプラインギア6は、ベベルギア5に噛合している。モータ7は、そのロータ軸がスプラインギア5に直結している。
<誘導コイル装置IC> 誘導コイル装置ICは、図1および図7に示すように、第1および第2の誘導コイルIC1、IC2からなる。第1の誘導コイルIC1は、図7に示すように、加熱ローラHRの中間部の加熱領域Aに対向して配設されている。これに対して、第2の誘導コイルIC2は、図1では集合されているように示しているが、実際には図7に示すように、第1の誘導コイルIC1の両端に若干の絶縁距離を存して隣接するとともに、加熱ローラHRの両端部に分散した加熱領域Bに対向して配設されている。したがって、第2の誘導コイルIC2は、加熱ローラHRの両端部に分散して配設されている。また、第1および第2の誘導コイルIC1およびIC2は、それぞれ複数の単位誘導コイルを並列接続して構成され、加熱ローラHRの2次コイルwsにそれぞれ磁気結合している。また、第1および第2の誘導コイルIC1およびIC2は、図2および図3に示すように、コイルボビン8に巻装されて、加熱ローラHRの軸方向に分散して配置されている。また、第1の誘導コイルIC1は、給電リード線9a、9d間に接続され、第2の誘導コイルIC2は、2分割されていて、その一方が給電線9b、9d間に、他方が9c、9d間に、それぞれ接続している。4本の給電リード線9a〜9dは、高周波電力割振手段PAMを経由して後述する高周波電源HFSの出力端に接続する。
コイルボビン8は、例えばフッ素樹脂製の円柱体からなり、凹部8a、支持部8bおよび通線溝8cを有している。凹部8aは、コイルボビン8の先端中央に形成されていて、回転機構RMに相対的に回転自在に係止している。支持部8bは、コイルボビン8の基端に形成されていて、図示しない固定部に固定される。通線溝8cは、コイルボビン8の外面の一部に軸方向に沿って樋状に形成されていて、内部に給電リード線9a〜9dを収納する。なお、給電リード線9a〜9dは、図3に示すように、通線溝1c内に収納されて、コイルボビン8の基端側から外部へ導出されている。
そうして、第1および第2の誘導コイルIC1およびIC2は、静止状態で使用され、給電リード線9a〜9dは通線溝1c内に収納されて各誘導コイルIC1IC2に接近しているので、磁束の鎖交が殆どないため、給電リード線9内には殆ど渦電流損が発生しない。
一方、第1および第2の誘導コイルIC1およびIC2は、第2の端部部材3Bのリング部3dから加熱ローラHRの内部に挿入されていて、コイルボビン1の先端に形成された凹部1aが第1の端板3Aの尖端部3cに係合し、かつ、前述したように基端に形成した支持部1bが固定部に固定されることによって、加熱ローラHRと同軸関係に支持されるとともに、加熱ローラHRが回転しても静止状態を維持する。
<高周波電源HFS> 高周波電源HFSは、図1および図4に示すように、電源主回路部MC、出力回路OCおよび周波数制御部FCからなる。
(電源主回路部MC) 電源主回路部MCは、図4に示すように、低周波電源AS、直流電源RDCおよび高周波発生部HFIから構成されている。低周波交流電源ASは、例えば100V商用交流電源からなる。直流電源RDCは、整流回路からなり、入力端が低周波交流電源ASに接続し、低周波交流電圧を非平滑直流電圧に変換して、その直流出力端から出力する。高周波発生部HFIは、高周波フィルタHFFおよびハーフブリッジ形インバータ主回路HBIからなる。高周波フィルタHFFは、両線路にそれぞれ直列の一対のインダクタL1、L2および一対のインダクタL1、L2の前後で両線路間に接続された一対のコンデンサC1、C2からなり、直流電源RDCおよび後述するハーフブリッジ形インバータ主回路HBIの間に介在して、高周波が低周波交流電源AS側へ流出するのを阻止する。ハーフブリッジ形インバータ主回路HBIは、直流電源RDC出力端間に直列接続され、駆動回路DCの駆動信号により励振されて交互にスイッチングする一対のMOSFETQ1、Q2および一対のMOSFETQ1、Q2に並列接続されたコンデンサC3、C4からなる。コンデンサC3、C4は、インバータ動作中に高周波バイパス作用を行う。
(出力回路OC) 出力回路OCは、異なる出力周波数のそれぞれにおいて、高周波電源HFSを効率が高い状態で作動させるために、高周波電源HFSに対する負荷として異なる周波数においてインピーダンス変換を行うことにより、ほぼ等しいインピーダンスおよび位相差を呈するように作用して、高周波電力を効率よく出力するための手段である。そして、図5に示すように、線路に直列に挿入されたコンデンサCssおよびインダクタLssの直列回路と、この直列回路の後段において線路に並列接続されたインダクタLppおよびコンデンサCppの並列回路とからなる。
また、出力回路OCは、高周波電源HFSがスイッチング手段としてMOSFETを用いた直列共振方式のハーフブリッジ形インバータ主回路HBI含んで構成されているので、MOSFETの出力容量Cossの充放電電圧が0Vになるスイッチング手段のデッドタイムdt中に出力電流Iを転流する負荷条件を異なる周波数で実現する定数をそれぞれの回路部品に設定して構成されている。
さらに、出力回路は、その周波数−インピーダンス特性が周波数f1、f2のところに現れている2つの並列共振点と、それらの中間においてインピーダンスが極大になっている直列共振点とを有している。要するに、第1および第2の出力周波数f1、f2のときに出力回路OCは、並列共振状態となる。
さらにまた、出力回路OCは、その周波数−位相特性が位相0°の通過点が3つある。周波数f1、f2のところが所定位相角になっている2つの並列共振点と、それらの中間においてインピーダンスが極大になっている直列共振点とを有している。
(周波数制御部FC) 周波数制御部FCは、図4に示すように、発振器OSCおよび駆動信号発生回路DCからなる。高周波発振器OSCは、発振周波数可変形であり、図示しない外部信号源により制御されて可変周波数の高周波励振信号を発生して、駆動回路DCに入力する。駆動回路DCは、プリアンプからなり、高周波発振器OSCから送出された高周波信号を増幅して駆動信号を出力する。
<高周波電力割振手段PAM> 高周波電力割振手段PAMは、図5に示すように、第1および第2の周波数弁別フィルタ手段F1、F2からなる。第1および第2の周波数弁別フィルタ手段F1、F2は、それぞれ接続する第1の誘導コイルIC1に対して予め設定された周波数の高周波電力を選択的に通過させるためのフィルタ手段である。第1および第2の周波数弁別フィルタ手段F1、F2は、線路に直列接続したコンデンサCC1、CC2と、線路に並列接続したコンデンサCpp1、Cpp2と、第1および第2の誘導コイルIC1、IC2から見た誘導コイルIC1、IC2および加熱ローラHRの等価インダクタンスLc1、Lc2との直並列共振回路からなる。なお、誘導コイル側から見た誘導コイルIC1、IC2および加熱ローラHRの等価回路は、図5に示すように、インダクタンスLc1、Lc2と、抵抗Rc1、Rc2との並列回路からなる。実際には、さらに分布容量が並列接続しているが、この分布容量は小さいので、コンデンサCpp1、Cpp2の静電容量を分布容量より1桁以上大きい値にすれば、実際上無視して差し支えない。
そうして、高周波電力割振手段PAMの周波数−高周波電力特性は、例えば図6に示すようになる。図において、曲線F1は第1の周波数弁別フィルタ手段F1の特性を示し、曲線F2は第2の周波数弁別フィルタ手段F2の特性を示している。したがって、周波数f1のときには、第1の周波数弁別フィルタ手段F1は、Wa1の高周波電力を通過させ、第2の周波数弁別フィルタ手段F2は、Wb1の高周波電力を通過させる。また、周波数f2のときには、第1の周波数弁別フィルタ手段F1は、Wa2の高周波電力を通過させ、第2の周波数弁別フィルタ手段F2は、Wb2の高周波電力を通過させる。
<誘導加熱ローラ装置の動作> 低周波交流電源ASの低周波交流電圧は、高周波電源HFSの電源主回路部MC内において、直流電源部RDCにより直流電圧に変換され、さらに高周波発生部HFIで高周波電圧に変換されて高周波電圧として出力される。この高周波出力電圧は、さらに出力回路OCと、高周波電力割振手段PAMとを経由して、静止状態の第1および第2の誘導コイルIC1、IC2に印加される。
図7に示すように、加熱ローラHRの第1の加熱領域Aを使用して標準的なサイズの被加熱体aを加熱する場合、図示しない外部信号源を操作して高周波電源HFSの高周波出力の出力周波数が第1の周波数f1に設定されて高周波電源HFSが作動する。このとき、図6に示すように、第1の周波数弁別フィルタ手段F1は、その周波数特性が第1の周波数f1の高周波を所定割合で通過させるように予め設定されているので、第1の周波数f1の全高周波電力Wが所定割合0.7以上に相当する高周波電力Wa1が通過し、第1の誘導コイルIC1がWa1の高周波電力で付勢されて加熱ローラHRの第1の加熱領域Aが発熱して温度上昇する。したがって、加熱領域Aを使用して被加熱体aを良好に加熱することができる。
一方、上記動作と同時に、第2の周波数弁別フィルタ手段F2は、その周波数特性が第2の周波数f1の高周波を所定割合0.3以下で通過させるように予め設定されているので、第2の周波数f2の全高周波電力Wが所定割合0.3以下に相当する高周波電力Wb1が通過し、第2の誘導コイルIC2がWb1の高周波電力で付勢されて加熱ローラHRの第2の加熱領域Bが適度に発熱して温度上昇する。その結果、加熱ローラHRの温度分布は、図7に示すように、加熱ローラHRの軸方向の有効長全体にわたってほぼ均一に保持される。また、加熱ローラHRの温度が定常状態になった以降の経過時間に対する温度は、図8の実線に示すように、ほぼ一定になる。これに対して、比較例として第1および第2の誘導コイルIC1、IC2に対して均等の高周波電力を投入した場合は、点線により示すように、第2の加熱領域Bの温度が過昇になってしまう。
次に、図7に示すように、加熱ローラHRの第1および第2の加熱領域AおよびBを同時に使用してサイズが大きい被加熱体bを加熱する場合には、外部信号源を操作して高周波電源HFSの高周波出力の出力周波数が第2の周波数f2に設定される。すると、第2の周波数弁別フィルタ手段F2は、その周波数特性が第2の周波数f2を所定割合0.5以上で通過させるように予め設定されているので、第2の周波数f2の全高周波電力Wが所定割合の高周波電力Wb2で通過し、第2の誘導コイルIC2がWb2の高周波電力で付勢されて加熱ローラHRの両端部に分散して位置する第2の加熱領域Bが発熱して温度上昇する。これと同時に、第1の周波数弁別フィルタ手段F1は、その周波数特性が第1の周波数f2を0.5以下の割合で通過させるように予め設定されているので、W−Wb2=Wa2の高周波電力で付勢されて加熱ローラHRの中間部に位置する第1の加熱領域Aが発熱して温度上昇する。その結果、加熱領域AおよびBを同時に使用して被加熱体bを良好に加熱することができる。こまた、これと同時に加熱ローラHRの温度分布を、図7に示すように、その軸方向の有効長全体にわたってほぼ均一に保持することができる。
図9および図10は、本発明の誘導加熱ローラ装置を実施するための第2の形態を示し、図9は装置全体の概要を示す回路ブロック図、図10は第1および第2の誘導コイルの配置と加熱ローラの温度分布との関係を説明する概念図である。なお、各図において、図1および図7と同一部分については同一符号を付して説明は省略する。本形態は、第1および第2の誘導コイルIC1、IC2が同一のコイル仕様(コイル長、コイルピッチおよびコイル径)からなり、加熱ローラHRの軸方向に沿って隣接して配置されている。したがって、加熱ローラHRの軸方向の約半分が加熱領域A、残り半分が加熱領域Bとなる。
そうして、図9に示すように、高周波電力振分手段PAMを経由して高周波電力比0.7以上の高周波電力で第1の誘導コイルIC1を付勢することにより、高周波加熱領域Aを加熱すれば、加熱領域Aを使用して標準サイズの被加熱体aを良好に加熱することができる。また、上記加熱と同時に高周波電力振分手段PAMを経由して高周波電力比0.3以下の高周波電力で第2の誘導コイルIC2を付勢することにより、加熱領域Bが適度に加熱されて保温されるので、図10のグラフに示すように、加熱領域AおよびBの全体をほぼ同じ温度に保持することができる。
次に、高周波電力振分手段PAMを経由して高周波電力比0.5の高周波電力で第1および第2の誘導コイルIC1、IC2を同時に付勢することにより、高周波加熱領域AおよびBを加熱すれば、加熱領域AおよびBを同時に使用して大きなサイズの被加熱体bを良好に加熱することができる。また、この場合も、図10のグラフに示すように、加熱領域AおよびBの全体をほぼ同じ温度に保持することができる。
図11は、本発明の定着装置を実施するための一形態を示す縦断面図である。図において、21は誘導加熱ローラ装置、22は加圧ローラ、23は記録媒体、24はトナー、25は架台、ICは誘導コイルである。
誘導加熱ローラ装置21は、図1ないし図5に示す誘導加熱ローラ装置を実施するための第1の形態を用いている。しかし、図9に示す第2の形態を用いることができる。
加圧ローラ22は、誘導加熱ローラ装置21の加熱ローラHRと圧接関係を有して配設されており、両者の間に記録媒体23を狭圧しながら搬送する。
記録媒体23は、その表面にトナー24が付着することにより、画像が形成される。
架台25は、以上の各構成要素(記録媒体23を除く。)を所定の位置関係に装架している。
そうして、定着装置は、トナー24が付着して画像を形成している記録媒体23が誘導加熱ローラ装置21の加熱ローラHRと加圧ローラ22との間に挿入されて搬送されるとともに、加熱ローラHRの熱を受けてトナー24が加熱されて溶融し、熱定着が行われる。
図12は、本発明の画像形成装置を実施するための一形態としての複写機の概念的断面図である。図において、31は読取装置、32は画像形成手段、33は定着装置、34は画像形成装置ケースである。
読取装置31は、原紙を光学的に読み取って画像信号を形成する。
画像形成手段32は、画像信号に基づいて感光ドラム32a上に静電潜像を形成し、この静電潜像にトナーを付着させて反転画像を形成し、これを紙などの記録媒体に転写して画像を形成する。
定着装置33は、図13に示した構造を有し、記録媒体に付着したトナーを加熱溶融して熱定着する。
画像形成装置ケース34は、以上の各装置および手段31ないし33を収納するとともに、搬送装置、電源装置および制御装置などを備えている。
AS…低周波電源、F1…第1のフィルタ手段、F2…第2のフィルタ手段、FC…周波数制御手段、HFS…高周波電源、HR…加熱ローラ、IC…誘導コイル装置、IC1…第1の誘導コイル、IC2…第2の誘導コイル、OC…出力回路、RDC…直流電源
Claims (5)
- 後記誘導コイル装置に磁気結合して誘導電流により発熱するとともに、被加熱体のサイズに応じて複数の加熱領域に切り換えることができる加熱ローラと;
加熱ローラの軸方向に分散して配設されるとともに、加熱ローラの各加熱領域にそれぞれ対向して配設された複数の誘導コイルを含む誘導コイル装置と;
誘導コイル装置に高周波電力を供給する高周波電源と;
加熱ローラの一の加熱領域を使用して被加熱体を加熱するときには、当該加熱領域に対向する一の誘導コイルに投入する高周波電力の誘導コイル装置の全体に投入される高周波電力に対する高周波電力比を所定割合にすると同時に、残余の誘導コイルに対しては残余の高周波電力を振り分けることによって残余の加熱領域を一の加熱領域の温度とほぼ同等に保温するように制御する高周波電力振分手段と;
を具備していることを特徴とする誘導加熱ローラ装置。 - 後記誘導コイル装置に磁気結合して誘導電流により発熱するとともに、中間部に位置する第1の加熱領域および両端部に位置する第2の加熱領域を有する加熱ローラと;
加熱ローラの第1の加熱領域に対向して配設された第1の誘導コイルおよび第2の加熱領域に対向して配設された第2の誘導コイルを含む誘導コイル装置と;
誘導コイル装置に高周波電力Wを供給する高周波電源と;
誘導コイル装置の第1の誘導コイルに投入する高周波電力をWaとし、第2の誘導コイルに投入する高周波電力をWbとし、誘導コイル装置の全体に投入される高周波電力をWとしたとき、第1の加熱領域を使用して被加熱体を加熱するときには高周波電力比Wa/Wを0.7以上とし、残余を第2の誘導コイルにWbとして振り分けて投入するように制御する高周波電力振分手段と;
を具備していることを特徴とする誘導加熱ローラ装置。 - 後記誘導コイル装置に磁気結合して誘導電流により発熱するとともに、中央部に位置する第1の加熱領域および両端に位置する第2の加熱領域を有する加熱ローラと;
加熱ローラの軸方向に分散して配設されるとともに、加熱ローラの第1の加熱領域に対向して配設された第1の誘導コイルおよび第2の加熱領域に対向して配設された第2の誘導コイルを含む誘導コイル装置と;
誘導コイル装置に高周波電力Wを供給する高周波電源と;
誘導コイル装置の第1の誘導コイルに投入する高周波電力をWaとし、第2の誘導コイルに投入する高周波電力をWbとし、誘導コイル装置の全体に投入される高周波電力をWとしたとき、第1および第2の加熱領域を同時に使用して被加熱体を加熱するときには高周波電力比Wb/Wを0.5以上とし、残余を第1の誘導コイルにWaとして振り分けて投入するように制御する高周波電力振分手段と;
を具備していることを特徴とする誘導加熱ローラ装置。 - 加圧ローラを備えた定着装置本体と;
定着装置本体の加圧ローラに加熱ローラを圧接関係に対設して、両ローラ間にトナー画像が形成された記録媒体を挟んで搬送しながらトナー画像を定着するように配設された請求項1ないし3のいずれか一記載の誘導加熱ローラ装置と;
を具備していることを特徴とする定着装置。 - 記録媒体にトナー画像を形成する画像形成手段を備えた画像形成装置本体と;
画像形成装置本体に配設されて記録媒体のトナー画像を定着する請求項4記載の定着装置と;
を具備していることを特徴とする画像形成装置。
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