JP2003338363A - 誘導加熱ローラ装置および画像形成装置 - Google Patents

誘導加熱ローラ装置および画像形成装置

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JP2003338363A
JP2003338363A JP2002146454A JP2002146454A JP2003338363A JP 2003338363 A JP2003338363 A JP 2003338363A JP 2002146454 A JP2002146454 A JP 2002146454A JP 2002146454 A JP2002146454 A JP 2002146454A JP 2003338363 A JP2003338363 A JP 2003338363A
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Japan
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induction
heating roller
coil
high frequency
induction coil
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Application number
JP2002146454A
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English (en)
Inventor
Toshiya Suzuki
俊也 鈴木
Takayuki Ogasawara
崇行 小笠原
Takaaki Tanaka
貴章 田中
Ichiro Yokozeki
一郎 横関
Manabu Takaya
学 貴家
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Toshiba Lighting and Technology Corp
Original Assignee
Harison Toshiba Lighting Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】加熱ローラを軸方向に均一に加熱できるととも
に、分散して配置された複数の誘導コイルの間や給電線
の絶縁が容易な誘導加熱ローラ装置およびこれを備えた
画像形成装置を提供する。 【解決手段】後記誘導コイルに磁気結合して誘導電流に
より発熱する加熱ローラHRと、加熱ローラHRの内部
に軸方向に分散して配設された複数の誘導コイルIC1
〜IC4と、加熱ローラHRの内部においてその軸方向
に延在し、かつ、誘導コイルに接続して複数の誘導コイ
ルに給電する給電線FC1、FC2と、軸方向に分割さ
れた複数のボビン構成片CB1、CB2を主体として構
成されていて、誘導コイルHRおよび給電線CB1、C
B2の少なくとも一方を内部に収納して誘導コイルIC
1〜IC4および給電線CB1、CB2を支持したコイ
ルボビンCBと、複数の誘導コイルに高周波電力を供給
する高周波電源HFSとを具備している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、誘導加熱ローラ装
置およびこれを備えた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】トナー画像を熱定着するために、従来か
らハロゲン電球を熱源として用いた加熱ローラが用いら
れているが、効率が悪く、大電力を必要とする不具合が
ある。そこで、誘導加熱方式を導入してこの問題を解決
しようと開発が行われている。
【0003】特開2000−215974号公報には、
被加熱体に近接して配設され、被加熱体であるところの
磁性体製の加熱ローラに誘導電流を生じさせる励磁コイ
ルであって、コイル線材を平面的に巻いたものを被加熱
体の曲面に沿わせて変形してあり、励磁コイルの長手方
向両端部の被加熱体とは反対側に励磁コイルの曲面に沿
うように磁性体コアが配設されている励磁コイルが記載
されている。(従来技術1) また、特開2000−215971号公報には、電磁誘
導発熱性の加熱回転体すなわち加熱ローラと、加熱回転
体の内側に配置された磁束発生手段を有し、磁束発生手
段から発生させた高周波誘導磁束により加熱回転体を電
磁誘導発熱させて被加熱体を加熱する誘導加熱装置であ
って、磁束発生手段は、磁性体からなるコアと、コアに
巻線した電磁変換コイルを有し、磁性体コアは、電磁変
換コイルを巻線したコア部分と、コア部分より加熱回転
体の一部分に磁束を集中させるための、先端部間に磁気
空間ギャップを存して対向させた磁束誘導コア部分を有
する構造が記載されている。(従来技術2) 従来技術1および2は、いずれも渦電流損を利用する加
熱方式(以下、「渦電流損方式」という。)であり、I
Hジャーなどにおいて実用化されているのと同様な動作
原理である。なお、渦電流損方式において用いられてい
る高周波の周波数は、20〜100kHz程度である。
【0004】これに対して、特開昭59−33787号
公報には、導電部材で構成した円筒状ローラ本体すなわ
ち加熱ローラと、ローラ本体内に同心状に配置した円筒
状ボビンと、ボビンの外周に螺旋状に巻装して通電によ
りローラ本体内に誘導電流を誘起させて加熱する誘導コ
イルとを備えた高周波誘導加熱ローラが記載されてい
る。(従来技術3) 従来技術3においては、円筒状ローラ本体が閉回路の2
次コイルとなり、誘導コイルが1次コイルとなって、両
者の間にトランス結合が生じて、円筒状ローラ本体の2
次コイルに2次電圧が誘起される。そして、この2次電
圧に基づいて2次コイルの閉回路内を2次電流が流れる
ことにより、円筒状ローラ本体が発熱する2次側抵抗の
発熱による加熱方式(以下、「トランス方式」という。)
である。トランス方式は、渦電流損方式より磁気的結合
が強いために定常効率が高いとともに、加熱ローラ全体
を加熱できるので、従来技術1および2に比較して定着
装置の構造が簡単になるという利点がある。また、加え
て動作周波数を100kHz以上、好適には1MHz以
上の高周波にすることによって、誘導コイルのQを大き
くして電力伝達効率を高くすることができる。このた
め、加熱の総合効率が高くなり、省電力を図ることがで
きる。また、渦電流損方式に比較して定着装置の構造が
簡単になるという利点もある。さらに、渦電流損方式の
加熱ローラより熱容量をかなり小さくすることができ
る。したがって、トランス方式は、熱定着の高速化に甚
だ好適である。
【0005】本発明者らは、先に誘導コイルに空芯トラ
ンス結合する回転可能に支持される中空構造からなる加
熱ローラの2次側抵抗値を2次リアクタンスにほぼ等し
い閉回路に形成することにより、誘導コイルから加熱ロ
ーラへの電力伝達効率が高くなり、加熱ローラを効率よ
く加熱できる著しい効果が得られるトランス結合形の発
明をなした。この発明は、特願2001−016335
号として本件出願人により出願されている。この発明に
より加熱ローラの誘導加熱の省電力を図るとともに、熱
定着を高速化することが容易になった。また、加熱ロー
ラの軸方向に分散した複数の誘導コイルを並列的に配設
することも上記出願の中で開示されている。これによ
り、加熱ローラをその軸方向に均一に加熱できるととも
に、所要の高周波電力を投入して迅速な加熱を行なうこ
とができる。なお、各誘導コイルに高周波電力を供給す
るには、加熱ローラの内部においてその軸方向に沿って
延在して誘導コイルに接続する給電線を介して行なうの
が実際的である。
【0006】一方、複写機、プリンタなどの画像形成手
段においては、画像を形成する用紙のサイズを複数選択
可能にしているものが多い。このような機能に対応させ
るには、用紙サイズに応じて加熱ローラの発熱領域を変
更することが要求される。
【0007】トランス方式においては、加熱ローラに対
する誘導コイルの好適な構成として、複数の誘導コイル
を加熱ローラの軸方向に分散して配置し、かつ、誘導コ
イルを選択的に駆動することにより、加熱ローラの加熱
領域を軸方向に可変にすることができる。これによって
上記の要求に応えるとともに、必要な領域のみを加熱し
て電力の無駄な消費を回避することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、加熱ローラ
を軸方向に均一に加熱するためには、複数の誘導コイル
をなるべく相互に接近して配置する必要がある。また、
複数の誘導コイルを選択的に駆動するためには、各誘導
コイルを互いに独立して高周波電源に接続する必要があ
る。さらに、隣接する誘導コイル間に大きな電位差があ
る場合には、それらの間に電位差に応じた所定の絶縁距
離を設ける必要が生じる。したがって、加熱ローラをそ
の軸方向に均一に加熱するとともに、加熱領域を切り換
え可能にするには、上記の各要求をともに満足しなけれ
ばならない。
【0009】しかしながら、従来技術においては、以上
の各要求は層反する関係にあるため、これらを全て満足
することが困難であった。
【0010】また、誘導コイル間の絶縁だけでなく、給
電線相互間および給電線と誘導コイルとの間の絶縁も適
切に行なう必要がある。
【0011】本発明は、加熱ローラを軸方向に均一に加
熱できるとともに、分散して配置された複数の誘導コイ
ルの間や給電線の絶縁が容易な誘導加熱ローラ装置およ
びこれを備えた画像形成装置を提供することを目的とす
る。
【0012】また、本発明は、加えて加熱ローラの加熱
領域を切り換え可能にした誘導加熱ローラ装置およびこ
れを備えた画像形成装置を提供することを他の目的とす
る。
【0013】
【課題を達成するための手段】請求項1の発明の誘導加
熱ローラ装置は、後記誘導コイルに磁気結合して誘導電
流により発熱する加熱ローラと;加熱ローラの内部に軸
方向に分散して配設された複数の誘導コイルと;加熱ロ
ーラの内部においてその軸方向に延在し、かつ、誘導コ
イルに接続して複数の誘導コイルに給電する給電線と;
軸方向に分割された複数のボビン構成片を主体として構
成されていて、誘導コイルおよび給電線の少なくとも一
方を内部に収納して複数の誘導コイルおよび給電線を支
持したコイルボビンと;複数の誘導コイルに高周波電力
を供給する高周波電源と;を具備していることを特徴と
している。
【0014】本発明および以下の各発明において、特に
指定しない限り用語の定義および技術的意味は次によ
る。
【0015】<加熱ローラについて> 加熱ローラ
は、後記誘導コイルに磁気結合して誘導電流により発熱
する。そのために、加熱ローラは、周回方向に閉回路を
形成した2次コイルを備えていて、この2次コイルが誘
導コイルと磁気結合、たとえば空芯トランス結合する。
後者の場合、閉回路の2次側抵抗値は、2次コイルの2
次リアクタンスとほぼ等しい値を有している。なお、2
次側抵抗値と2次リアクタンスとが「ほぼ等しい」と
は、2次側抵抗値をRaとし、2次リアクタンスをXa
とし、かつ、α=Ra/Xaとしたとき、数式1を満足
する範囲とする。なお、数式条件を規定する理由につい
ては本発明者によりなされた特願2001−01633
5に開示されている。また、2次側抵抗値は、測定によ
り求めることが可能である。2次リアクタンスは、計算
により求めることが可能である。さらに、αは、好適に
は0.25〜4倍の範囲、最適には0.5〜2倍の範囲
である。
【0016】
【数1】0.1<α<10 また、加熱ローラは、2次コイルを単一または複数配設
することができる。複数の2次コイルを配設する場合、
それらを加熱ローラの軸方向に分散して配設することが
望ましい。2次コイルを支持するために、絶縁性物質か
らなるローラ基体を用いることができる。そして、ロー
ラ基体の外面、内面またはローラ基体の内部に2次コイ
ルを配設することができる。
【0017】さらに、本発明によれば、所望により、加
熱ローラを被加熱体のサイズに応じて複数の長さの加熱
領域が形成されるように構成することができる。すなわ
ち、加熱ローラをトナー画像の定着などのために利用す
る場合、用紙サイズに応じて加熱領域を変化させるよう
に構成される。加熱領域の変化は、後述する誘導コイル
との協働によるものである。トナー画像定着の場合を例
として加熱領域を説明する。たとえばA4サイズ用紙の
トナー画像を定着する場合、用紙を縦置きにして定着さ
せるのと、横置きにするのとでは、必要な加熱領域の長
さが異なる。また、たとえばA4サイズ用紙を定着する
場合と、B4サイズ用紙とでも加熱領域幅が異なる。一
方、定着に必要な加熱領域以外の領域まで発熱させるの
は電力の無駄であり、回避しなければならない。他方、
必要な加熱領域内においては、均一な発熱が必要にな
る。また、2つの異なる加熱領域であっても、いずれの
領域に対して共通に寄与する共通加熱部位と、それぞれ
の加熱領域に対してのみ寄与する単独加熱部位とがあ
る。さらに、共通加熱部位と単独加熱部位との配置の態
様は、共通加熱部位を左右いずれか一方に片寄せして、
単独加熱部位をいずれか他方に寄せて配置する態様と、
共通加熱部位を中央に配置して、その左右に単独加熱部
位を配置する態様とがあり、本発明においては、そのい
ずれであってもよい。
【0018】さらにまた、加熱ローラの2次コイルを導
体層、導電線および導電板などの導体を持って形成する
ことができる。導体層は、所望の2次側抵抗値を得るた
めに、以下の材料および製造方法を採用することができ
る。厚膜形成法(塗布+焼成)により形成する場合に
は、Ag、Ag+Pd、Au、Pt、RuOおよびC
からなるグループから選択した材料を用いるのがよい。
塗布方法としては、スクリーン印刷法、ロールコーター
法およびスプレー法などを用いることができる。これに
対して、めっき、蒸着またはスパッタリング法により形
成する場合には、Au、Ag、NiおよびCu+(A
u、Ag)のグループから選択した材料を用いるのがよ
い。導電線および導電板は、Cu、Alなどを用いるこ
とができる。なお、Cu、ALの場合は、酸化を防止す
るために、防錆被膜を表面に形成するのが好ましい。ま
た、ローラ基体をFeやSUS(ステンレス鋼)で構成
する場合、ローラ基体の表面層が高周波の表皮効果によ
って2次コイルとして作用する。したがって、上記のよ
うな格別の2次コイルを配設しなくてもよい。しかし、
この場合であっても、要すればローラ基体とは別に2次
コイルを配設することができる。なお、FeやSUSか
らなるローラ基体においても、表面に亜鉛被膜などの防
錆皮膜を形成することができる。
【0019】次に、より一層実際的な加熱ローラを得る
ために、必要に応じて以下の構成を付加することが許容
される。
【0020】1 ローラ基体について 2次コイルを支持するために、絶縁性物質からなるロー
ラ基体を用いることができる。この場合、2次コイル
は、ローラ基体の外面、内面または内部に配設すること
ができる。絶縁性のローラ基体は、セラミックスまたは
ガラスを用いて形成することができる。そして、ローラ
基体の耐熱性、強い衝撃性および機械的強度などを考慮
して、たとえば以下の材料を用いることができる。セラ
ミックスとしては、たとえばアルミナ、ムライト、窒化
アルミニウムおよび窒化ケイ素などである。ガラスとし
ては、たとえば結晶化ガラス、石英ガラスおよびパイレ
ックス(登録商標)などである。
【0021】2 熱拡散層について 熱拡散層は、加熱ローラの軸方向における温度の均整度
を向上するための手段として、必要に応じて導体層の上
側に配設することができる。このために、熱拡散層は、
加熱ローラの軸方向への熱伝導が良好な物質を用いるの
がよい。熱伝導率の高い物質は、Cu、Al、Au、A
gおよびPtなど導電率の高い金属に多く見られる。し
かし、熱拡散層は、導体層の材料に対して同等以上の熱
伝導率を有していればよい。したがって、熱拡散層は、
導体層と同一材料であってもよい。
【0022】また、熱拡散層が導電性物質からなる場
合、導体層と導電的に接触していてもよいが、絶縁膜を
介して配設することにより、放射ノイズの輻射を遮断す
る作用をも奏する。なお、高周波磁界は、熱拡散層まで
作用しないので、熱拡散層には発熱に寄与するほどの2
次電流は誘起されない。
【0023】3 保護層について 保護層は、加熱ローラの機械的保護および電気絶縁、あ
るいは弾性接触性またはトナー離れ性向上のために、必
要に応じて配設することができる。前者のための保護層
の構成材料としては、ガラスを、また後者のための保護
層の構成材料としては合成樹脂を、それぞれ用いること
ができる。ガラスとしては、ホウケイ酸亜鉛系ガラス、
ホウケイ酸鉛系ガラス、ホウケイ酸系ガラスおよびアル
ミノシリケート系ガラスからなるグループの中から選択
して用いることができる。また、後者としては、シリコ
ーン樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂+フッ素樹脂お
よびポリアミド+フッ素樹脂からなるグループの中から
選択して用いることができる。なお、ポリイミド樹脂+
フッ素樹脂およびポリアミド+フッ素樹脂の場合、フッ
素樹脂が外側に配設される。
【0024】4 加熱ローラの形状について 所望により加熱ローラにクラウンを形成することができ
る。クラウンとしては、鼓形および樽形のいずれであっ
てもよい。
【0025】5 加熱ローラの回転機構について 加熱ローラを回転するための機構は、既知の構成を適宜
選択して採用することができる。なお、トナー画像を熱
定着する場合には、加熱ローラと正対して加圧ローラを
配設して、両ローラの間をトナー画像が形成された記録
媒体が通過する際に加熱されてトナーが記録媒体に融着
するように構成することができる。
【0026】<誘導コイルについて> 本発明におい
て、「誘導コイル」は、そこから発生する磁界を加熱ロ
ーラに鎖交させて加熱ローラに2次電流を誘起させ、か
つ、抵抗発熱を発生させることで加熱ローラを所要に加
熱するための手段であり、その複数が加熱ローラの内部
において、かつ、その軸方向に分散して後述するコイル
ボビンに支持されて配設されている。そして、後述する
高周波電源から直接または整合回路およびまたは高周波
伝送路を経由し、さらに加熱ローラ内をその軸方向に延
在する後述の給電線を介して駆動、換言すれば付勢すな
わち励磁されるとともに、加熱ローラに磁気結合たとえ
ば空芯トランス結合する。誘導コイルは、回転する加熱
コイルに対して静止していてもよいし、加熱ローラと一
緒に、または別に回転してもよい。なお、回転する場合
には、周波数可変高周波電源と誘導コイルとの間に回転
集電機構を介在すればよい。なお、「空芯トランス結
合」とは、完全な空芯のトランス結合だけでなく、実質
的に空芯とみなせるトランス結合の場合を含む意味であ
る。しかし、要すれば、渦電流損加熱方式の電磁結合で
あってもよい。
【0027】また、誘導コイルは、個々にまたはグルー
プ分けして個別の高周波電源に接続してもよい。グルー
プ分けする場合、複数の誘導コイルを並列接続して一つ
のグループにすることができる。
【0028】さらに、複数の誘導コイルは、長さが一定
であってもよいし、相違してもよい。誘導コイルに供給
される高周波電力は、高周波電源を共通にしている場
合、高周波電圧の印加時間に概ね比例的になる。これに
対して、加熱ローラの温度上昇は、誘導コイルに投入さ
れる高周波電力の誘導コイル単位長当たりの大きさに左
右される。したがって、高周波電圧の印加時間が同じ場
合、相対的に長い誘導コイルは、相対的に短い誘導コイ
ルに比較して温度上昇が遅くなる。そこで、長短複数の
誘導コイルを切り替えながらそれぞれが対向する加熱ロ
ーラの領域を同じ温度で、しかも、迅速に加熱する場合
には、高周波電圧の印加時間を誘導コイルの長さにほぼ
比例的に変化させればよい。これらの制御は、後述する
誘導コイル選択手段によって行なうように構成すること
ができる。
【0029】<給電線について> 給電線は、加熱ロ
ーラの内部に配設された誘導コイルに高周波電力を供給
するための導電路であって、加熱ローラの内部において
その軸方向に延在するとともに、端部が加熱ローラから
外部へ延在して直接または間接的に高周波電源に接続す
る。複数の誘導コイルが直接並列接続する場合には、一
対の給電線が用いられる。これに対して、複数の誘導コ
イルが加熱ローラの外部に配置された誘導コイル選択手
段を介して並列接続する場合、誘導コイルは、少なくと
も一端側を切り換え単位ごとに異なる給電線に接続する
必要がある。したがって、この場合、誘導コイルは、3
つ以上の給電線が必要になる。
【0030】また、給電線は、誘導コイルの内側および
外側のいずれを延在して加熱ローラの外部へ導出されて
いてもよい。しかし、なるべく誘導コイルに接近した位
置を延在するのがよい。給電線を誘導コイルの内部に通
線する場合、給電線が誘導コイルの中心軸に近いと、給
電線と鎖交する磁束が多くなるために、内部に渦流損が
生じて電力伝達効率が低下するので、好ましくない。こ
れに対して、上記のように構成することにより、鎖交磁
束が少なくなるので、電力伝達効率の低下が低減する。
【0031】さらに、給電線は、誘導コイルに接続する
ための接続部を分岐させることができる。また、加熱ロ
ーラから外部に露出する部分に高周波電源側へ接続する
電源端子を備えていることが許容される。
【0032】<コイルボビンについて> コイルボビ
ンは、誘導コイルおよび給電線を所定の位置に支持する
手段として用いられている。そして、絶縁性、耐熱性お
よび耐久性に優れた材料、たとえばガラス、セラミック
スおよび耐熱性合成樹脂などを用いて構成されているの
が望ましい。
【0033】本発明において、コイルボビンは、加熱ロ
ーラの軸方向に分割された複数のボビン構成片を主体と
して構成されている。なお、コイルボビンが完成してい
る状態において、ボビン構成片は、接着剤や機械的な嵌
合など適当な固着手段によって一体化されている。そし
て、誘導コイルおよび給電線の少なくとも一方は、コイ
ルボビンの内部に収納された状態でコイルボビンに支持
されている。そのために、内部に収納される部材は、ボ
ビン構成片が分離した状態のときに収納される。
【0034】次に、誘導コイルをコイルボビンの内部に
収納する場合と、誘導コイルをコイルボビンの外面に配
設して給電線をコイルボビンの内部に収納する場合とに
ついて、さらに詳しく説明する。
【0035】前者の場合、コイルボビンは、各誘導コイ
ルをそれらが隔壁を介して隣接するようにコイルボビン
の内部に収納する。そのためには、コイルボビンに筒状
部および隔壁部を形成する。そして、固着手段を用いて
縦割りされた複数のボビン構成片を合体させることによ
ってコイルボビンが完成されるように構成する。ボビン
構成片は、2つ割り、または3つ割り程度にするのが好
ましい。なお、給電線は、(1)コイルボビンの外面に
貼着したり、(2)コイルボビンの外面に溝を形成して
その内部に収納し、溝に絶縁性接着剤を充填したり、絶
縁性のカバーで溝を閉塞したり、(3)ボビン構成片の
内部にこれと一体に予め成形したりすることができる。
上記のいずれにおいても、給電線と誘導コイルとの間
は、コイルボビンの筒状部を貫通して接続するように構
成する。たとえば、誘導コイルの両端部をコイルボビン
の筒状部を貫通させて給電線に接続したり、給電線から
コイルボビンの筒状部を貫通して誘導コイルに接続する
接続線を予め給電線に分岐形成したり、誘導コイルおよ
び給電線とは別に接続導体を用いて両者間を接続したり
することができる。また、誘導コイルは、空芯コイルと
して形成されたものを用いるようにするのがよい。さら
に、コイルボビンの周面は、突出物がないように平滑に
なっているように構成することにより、誘導コイルと加
熱ローラとの間の距離をなるべく小さくして、両者間の
結合係数を大きくするのが好ましい。
【0036】後者の場合、コイルボビンは、給電線を内
部に収納するために、ボビン構成片に給電線収納溝を形
成している。また、誘導コイルと給電線との間を接続す
る導電部材からなる接続部を収容するために、給電線収
納溝とコイルボビンの外面との間を連通する連通孔を形
成する。給電線収容溝は、一つのボビン構成片に一つま
たは複数形成することができる。さらに、複数のコイル
構成片を一体化させてコイルボビンを形成したときに、
その内部に収納される複数の給電線の間に所要の絶縁距
離が確保されるようにコイルボビンを構成する。
【0037】さらに、コイルボビンのその他の構成につ
いて説明する。
【0038】(1)巻溝 コイルボビンの外面に誘導
コイルを支持する場合、整列巻の状態で誘導コイルを支
持するために、コイルボビンの外面に巻溝を形成するこ
とができる。
【0039】(2)絶縁鍔 コイルボビンの外面に誘
導コイルを支持する場合、複数の誘導コイルを接近して
配置するとともに、所要の絶縁距離を確保するために、
隣接する一対の誘導コイル間に絶縁鍔を形成することが
できる。
【0040】<高周波電源について> 高周波電源
は、複数の誘導コイルを付勢するために、高周波電力を
発生して、誘導コイルに供給する。また、高周波電源
は、その出力周波数(またはその範囲)が基本的に限定
されるものではないが、トランス方式の場合は1MHz
以上の高周波を出力するように構成されていると効果的
である。なぜなら、1MHz以上の高周波にすることに
より、導誘コイルのQを大きくして電力伝達効率をより
一層高くすることが可能になるからである。電力伝達効
率が高くなると、加熱の総合効率が高くなり、省電力を
図ることができる。しかし、実際には15MHz以下の
周波数にすることにより、放射ノイズの問題をなるべく
回避しやすくすることができる。なお、適合する能動素
子(たとえば、後述するようにMOSFETを用いることがで
きる。)の経済性および高周波ノイズ抑制の容易性など
の観点からは、好適には1〜4MHzである。さらに、
本発明は、渦電流結合方式(渦電流加熱方式)であって
もよいが、その場合には、20〜100kHzの範囲の
周波数が好適である。
【0041】また、高周波を発生させるには、直流また
は低周波交流を直接または間接的に半導体スイッチ素子
などの能動素子を用いて高周波に変換するのが実際的で
ある。低周波交流から高周波電力を得るには、整流手段
を用いていったん低周波交流を直流に変換するのがよ
い。直流は、平滑回路を用いて形成した平滑化直流でも
よいし、非平滑直流であってもよい。直流を高周波に変
換するには、増幅器およびインバータなどの回路要素を
用いることができる。増幅器としては、たとえば電力変
換効率の高いD級増幅器やE級増幅器などを用いること
ができる。また、ハーフブリッジ形インバータなどを用
いることもできる。さらに、能動素子としては、高周波
特性に優れているMOSFETが好適である。複数の高周波電
源回路を並列的に接続して、各高周波電源回路の高周波
出力を合成してから誘導コイルに印加するように構成す
ることができる。これにより、所望の電力でありながら
各高周波電源回路の出力を小さくてよいから、能動素子
にMOSFETを用いて、廉価に効率よく高周波を発生するこ
とができる。
【0042】さらに、高周波電源は、複数の誘導コイル
に対して共通に高周波電力を供給するように配設するこ
とができる。しかし、要すれば、誘導コイルに対してそ
れぞれ個別に、またはグループ化して複数の高周波電源
を配設することも許容される。
【0043】さらにまた、高周波電源の出力周波数は、
一定であってもよいし、可変であってもよい。後述する
誘導コイル選択手段がスイッチ手段からなる場合、出力
周波数が一定および可変のいずれであっても、所望の誘
導コイルを選択して、当該誘導コイルに高周波電力を供
給することができる。これに対して、誘導コイル選択手
段がフィルタ手段および共振回路からなる場合、高周波
電源の出力周波数を可変にする必要がある。高周波電源
の出力周波数を可変にするには、たとえば励振回路の発
振周波数を可変にするなど既知の周波数可変手段を用い
ることができる。なお、要すれば、たとえば起動時の投
入電力を通常運転時のそれより大きくして、急速加熱を
行なうように構成することができる。
【0044】<その他の構成について> 本発明の必
須構成要件ではないが、所望により以下の構成を選択的
に実施することにより、さらに効果的な誘導加熱ローラ
装置を得ることができる。
【0045】1 誘導コイル選択手段 誘導コイル選
択手段は、高周波電源および誘導コイルの間に介在して
高周波電源の高周波出力を所望の誘導コイルに対して選
択的に供給するように制御する手段であり、加熱ローラ
の加熱領域を切り換えるときに効果的である。誘導コイ
ル選択手段は、たとえばフィルタ手段、共振回路または
スイッチ手段などによって構成することができる。複数
の誘導コイルのうち常時高周波電力を供給しておきたい
誘導コイルが一つまたは複数あれば、当該誘導コイルと
高周波電源との間には、誘導コイル選択手段を介在させ
なくてもよい。しかし、残余の誘導コイルは介在する誘
導コイル選択手段により高周波電力の供給が制御される
ように構成されているものとする。
【0046】また、誘導コイル選択手段を用いることに
より、誘導コイルに対する高周波電圧の印加時間を変化
させることができる。これにより、第1および第2の誘
導コイルの単位長さ当たりに供給される高周波電力を同
一にしたり、同じく単位長さ当たりの投入電力を変化さ
せたりすることが可能になる。高周波電圧の印加時間を
制御するには、たとえば周波数の変化に加えてPWM制
御を行なうことができる。これにより、見かけ上同一印
加時間であっても、高周波電力が実際に投入される実印
加時間を相違させることができる。また、PWM制御
は、高周波の各半サイクルごとに行なうようにしてもよ
いし、相対的に低周波たとえば1〜100Hz程度で行
なってもよい。
【0047】以下、誘導コイル選択手段の各構成例につ
いて説明する。
【0048】(1)フィルタ手段による構成 フィル
タ手段は、周波数可変形の高周波電源と誘導コイルとの
間に介在させる。そして、フィルタ手段に印加される高
周波の周波数を変化させることによって、複数の誘導コ
イルのうち、主として所望の一つまたは複数の誘導コイ
ルに対して高周波電力を選択的に供給することができ
る。
【0049】(2)共振回路による構成 共振回路
は、誘導コイルを共振回路要素として構成されている。
誘導コイルは、主としてインダクタンスを含んでいるの
で、一般的にはコンデンサを追加することにより共振回
路を構成することができる。共振回路は、周波数可変形
の高周波電源に対して直列共振回路および並列共振回路
のいずれであってもよい。前者は、周波数可変形の高周
波電源に対して誘導コイルおよびコンデンサの直列接続
回路を接続する。後者は、周波数可変形の高周波電源に
対して誘導コイルおよびコンデンサの並列回路を接続す
る。しかし、要すれば、誘導コイルの他にインダクタン
スを付加することができる。そして、第1および第2の
誘導コイルを共振回路構成部品として含む複数の共振回
路を構成する場合は、それらの共振周波数を少なくとも
2種類以上に相違させる。
【0050】さらに、要すれば複数の共振回路の間にお
いて、選択度であるQの大きさを共振周波数とともに、
少なくとも2つの異なった値を有するように構成するこ
とができる。
【0051】(3)スイッチ手段による構成 スイッ
チ手段は、有接点形および無接点形のいずれであっても
よい。誘導コイルに対するスイッチ手段の接続は、直列
的に行なうのが一般的であるが、要すれば並列的に接続
して、誘導コイルを短絡することにより、誘導コイルに
対する高周波電力の供給を遮断するように構成してもよ
い。なお、後者の接続態様においては、複数の誘導コイ
ルを高周波電源に対して直列接続することを許容する。
【0052】2 ウオームアップ制御について 起動すなわち給電開始後のウオームアップ期間中、加熱
ローラが通常運転時におけるより低い回転数で回転する
ように制御することができる。
【0053】3 加熱ローラの温度制御について 加熱ローラの温度を所定範囲内で一定たとえば200℃
に維持にするために、加熱ローラの表面に感熱素子を導
熱的に接触させることができる。そして、感熱素子を温
度制御回路に接続する。感熱素子としては、負温度特性
を有するサーミスタや正温度特性を有する非直線抵抗素
子を用いることができる。
【0054】4 搬送シートについて 加熱ローラを用いて被加熱体を加熱する際に、加熱ロー
ラが直接被加熱体に当接するように構成することができ
るが、要すれば両者の間に搬送シートが介在するように
構成することができる。この場合、搬送シートは、無端
状またはロール状の形態をとることが許容される。搬送
シートを用いることにより、被加熱体の加熱と搬送をス
ムースに行うことが可能になる。
【0055】<本発明の作用について> 本発明にお
いては、以上説明したように構成されていることによ
り、以下のように作用する。
【0056】1 誘導コイルおよび給電線がコイルボビ
ンに支持されるため、位置が不所望に移動しない。
【0057】2 誘導コイル間、給電線間、ならびに誘
導コイルおよび給電線間の絶縁距離を所要に確保すると
ともに、誘導コイルを接近させて配置することができ
る。
【0058】3 上記2に伴って、加熱ローラの加熱時
の温度分布が均一になる。
【0059】4 コイルボビンCBが軸方向に分割され
た複数のボビン構成片を主体として構成されているの
で、コイルボビンの成形が容易である。
【0060】5 コイルボビン、誘導コイルおよび給電
線の組立体の組立が容易である。
【0061】6 3つ以上の複数の給電線を互いに絶縁
してコイルボビンに支持できるので、複数の誘導コイル
を選択的に駆動するように構成することができる。
【0062】7 上記6に伴って、複数の誘導コイルを
選択的に駆動すれば、加熱ローラの所望の領域を選択的
に加熱することができる。
【0063】請求項2の発明の画像形成装置は、記録媒
体にトナー画像を形成する画像形成手段を備えた画像形
成装置本体と;加圧ローラを備えた定着装置本体、なら
びに定着装置本体の加圧ローラに加熱ローラを圧接関係
に対設して両ローラ間にトナー画像が形成された記録媒
体を挟んで搬送しながらトナー画像を定着するように配
設された請求項1記載の誘導加熱ローラ装置を備え、形
成装置本体に配設されて記録媒体のトナー画像を定着す
る定着装置と;を具備していることを特徴としている。
【0064】本発明において、「画像形成装置本体」と
は、画像形成装置から定着装置を除いた残余の部分をい
う。また、画像形成手段は、記録媒体に間接方式または
直接方式により画像情報を形成する画像を形成する手段
である。なお、「間接方式」とは、転写によって画像を
形成する方式をいう。画像形成装置としては、たとえば
電子写真複写機、プリンタ、ファクシミリなどが該当す
る。
【0065】記録媒体としては、たとえば転写材シー
ト、印刷紙、エレクトロファックスシート、静電記録シ
ートなどが該当する。
【0066】定着装置は、加圧ローラを備えた定着装置
本体と、定着装置本体の加圧ローラに加熱ローラを圧接
関係に対設して、両ローラ間にトナー画像が形成された
記録媒体を挟んで搬送しながらトナー画像を定着するよ
うに配設された請求項1記載の誘導加熱ローラ装置とを
具備している。なお、「定着装置本体」とは、定着装置
から誘導加熱ローラ装置を除いた残余の部分をいう。加
圧ローラと加熱ローラとは、直接圧接してもよいが、要
すれば搬送シートなどを介して間接的に圧接してもよ
い。なお、搬送シートは、無端またはロール状であって
もよい。トナー画像が形成された記録媒体を加熱ローラ
と加圧ローラとの間に挟んで搬送しながらトナー画像を
高速で定着する。
【0067】そうして、本発明においては、高速タイプ
に好適な画像形成装置にすることができる。
【0068】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を説明する。
【0069】図1ないし図6は、本発明の誘導加熱ロー
ラ装置の第1の実施形態を示し、図1は装置全体の概要
を示す回路ブロック図、図2は加熱ローラの横断面図、
図2は加熱ローラ、誘導コイル、給電線およびコイルボ
ビンの関係を示す縦断面図、図4は誘導コイルおよびコ
イルボビンの分解斜視図、図5は高周波電源の回路図で
ある。本実施形態の誘導加熱ローラ装置は、加熱ローラ
HR、4つの誘導コイルIC1〜IC4、一対の給電線
FC1、FC2、コイルボビンCBおよび高周波電源H
FSを備えて構成されている。
【0070】<加熱ローラHR> 加熱ローラHR
は、図2に示すように、ローラ基体1、2次コイルws
および保護層2を備えて構成されているとともに、図示
しない回転機構により回転駆動される。
【0071】ローラ基体1は、アルミナセラミックス製
の円筒体からなり、たとえば長さ300mm、厚み3m
mである。2次コイルwsは、Cuの蒸着膜からなるフ
ィルム状をなした円筒状の1ターンコイルからなり、ロ
ーラ基体1の外面において、軸方向の有効長のほぼ全体
にわたって配設されている。そして、2次コイルwsの
厚みは、加熱ローラHRの周回方向の2次側抵抗Rの値
が2次リアクタンスとほぼ同じ値の1Ωになるように設
定されている。保護層2は、フッ素樹脂からなり、2次
コイルwsの外面を被覆して形成されている。
【0072】<4つの誘導コイルIC1〜IC4>
誘導コイルIC1〜IC4は、図3および図4に示すよ
うに、互いに小間隔で隣接して後述するコイルボビンC
Bの内部に収納されている。また、4つの誘導コイルI
C1〜IC4は、加熱ローラHRの加熱領域に対向する
位置に配設されて、2次コイルwsに磁気結合してい
る。
【0073】<一対の給電線FC1、FC2について>
給電線F1、FC2は、それぞれ導電線条RCおよ
び接続部JCからなる櫛状をなしていて、その一対が互
いに離間するとともに、接続部JCを介して後述するコ
イルボビンCBに支持された4つの誘導コイルIC1〜
IC4の両端に接続して、それらを並列接続している。
導電線条RCは、直線状をなしている。接続部JCは、
その複数が導電線条RCに対して櫛刃状に接続してい
る。
【0074】<コイルボビンCB> コイルボビンC
Bは、図4に示されているように、セラミックス製の2
つのボビン構成片CB1、CB2および一対のカバーC
1、C2を一体化して構成されている。そして、4つの
コイル収納室R1〜R4、一対の給電線収容溝G1、G
2および連通孔Hを備えている。4つのコイル収納室R
1〜R4は、コイルボビンCBの内部に配設され、3つ
の隔壁Pおよび両端の端壁Eによって電気的に隔離され
ていて、かつ、コイルボビンCBの長軸方向に隣接して
配置されている。給電線収容溝G1、G2は、コイルボ
ビンCBの半径方向に対向する外周部において、コイル
ボビンCBの外周面に開口するとともに、長軸方向に延
在して形成されている。連通孔Hは、給電線収容溝G
1、G2と4つのコイル収納室R1〜R4との間を連通
している。一対のカバーC1、C2は、ボビン構成片C
B1、CB2に接着して給電線収容溝G1、G2の開口
部を閉塞している。なお、図4において、給電線収容溝
G1、G2および連通孔Hは、図示を省略している。
【0075】<高周波電源HFS> 高周波電源HF
Sは、図5に示すように、低周波電源AS、直流電源R
DC、高周波発生部HFIおよび整合回路MCから構成
されている。
【0076】低周波交流電源ASは、たとえば100V
商用交流電源からなる。
【0077】直流電源RDCは、整流回路からなり、入
力端が低周波交流電源ASに接続し、低周波交流電圧を
非平滑直流電圧に変換して、その直流出力端から出力す
る。
【0078】高周波発生部HFIは、高周波フィルタH
FF、周波数可変形の高周波発振器OSC、駆動回路D
C、ハーフブリッジ形インバータ主回路HBIおよび負
荷回路LCにより構成されている。高周波フィルタHF
Fは、両線路にそれぞれ直列の一対のインダクタL1、
L2および一対のインダクタL1、L2の前後で両線路
間に接続された一対のコンデンサC1、C2からなり、
直流電源RDCおよび後述するハーフブリッジ形インバ
ータ主回路HBIの間に介在して、高周波が低周波交流
電源AS側へ流出するのを阻止する。高周波発振器OS
Cは、発振周波数可変形であり、後述する外部信号源O
SSにより制御されて可変周波数の高周波励振信号を発
生して、駆動回路DCに入力する。駆動回路DCは、プ
リアンプからなり、高周波発振器OSCから送出された
高周波信号を増幅して駆動信号を出力する。ハーフブリ
ッジ形インバータ主回路HBIは、直流電源RDC出力
端間に直列接続され、駆動回路DCの駆動信号により励
振されて交互にスイッチングする一対のMOSFETQ1、Q
2および一対のMOSFETQ1、Q2に並列接続されたコン
デンサC3、C4からなり、直流電源RDCの直流出力
をほぼ矩形波の高周波に変換する。コンデンサC3、C
4は、インバータ動作中に高周波バイパス作用を行な
う。負荷回路LCは、直流カットコンデンサC5、イン
ダクタL3および後述する整合回路MCにより構成され
ている。直流カットコンデンサC5は、一対のMOSFETQ
1、Q2を介して直流電源DC側から直流成分が負荷回
路LCに流入するのを阻止する。インダクタL3および
整合回路MCは、直列共振回路を形成して、誘導コイル
IC1〜IC4に印加される高周波電圧を正弦波に波形
整形する。波形整形された高周波電圧によって各誘導コ
イルIC1〜IC4は付勢される。
【0079】整合回路MCは、高周波出力線路に直列の
コンデンサC6および並列のコンデンサC5からなるイ
ンピーダンス変換回路であり、高周波発生部HFIと整
合回路MCから見た負荷のインピーダンスを整合させて
電力伝達効率を高める作用を行なう。
【0080】<誘導加熱ローラ装置の動作> 高周波
発生装置HFSは、高周波出力を一対の給電線FC1、
FC2を経由して4つの誘導コイルIC1〜IC4に並
列的に供給する。各誘導コイルIC1〜IC4は、励磁
されて高周波磁界を発生する。そして、発生した磁束
は、コイルボビンCBを通過して加熱ローラHRの2次
コイルwsに鎖交する。そのため、2次コイルwsは、
誘導電流が加熱ローラHRの周回方向に流れて抵抗発熱
する。その結果、加熱ローラHRは、均一に温度上昇す
る。
【0081】次に、図6ないし図11を参照して、本発
明の第2ないし第4の実施形態を説明する。各図におい
て、図1ないし図5と同一部分については同一符号を付
して説明は省略する。
【0082】図6ないし図8は、本発明の誘導加熱ロー
ラ装置の第2の実施形態を示し、図6は全体を示す回路
ブロック図、図7はコイルボビンおよび給電線の横断面
図、図8は誘導コイルの切り換えと加熱ローラの温度分
布の関係を説明する概念図である。本実施形態は、加熱
ローラHRの加熱領域を可変にした構成を備えている。
【0083】誘導コイルは、IC1、IC2、IC3の
3つであり、加熱ローラHRの加熱領域A、B、Cに対
向して配置されている。そして、4つの給電線FC0、
FC1、FC2、FC3および後述する誘導コイル選択
手段F1、F2、F3を経由して、それぞれ後述する高
周波発生装置HFSに選択的に駆動されるように接続し
ている。
【0084】図6に示すように、4つの給電線FC0、
FC1、FC2、FC3のうち、給電線FC0は、3つ
の誘導コイルIC1、IC2、IC3のそれぞれの一端
に対して共通に接続し、かつ、誘導コイル選択手段F
1、F2、F3を経由して高周波電源HFSの出力端の
安定電位側に接続している。また、給電線FC1は、誘
導コイルIC1の他端に接続している。同様に、給電線
FC2は誘導コイルIC2、給電線FC3は誘導コイル
IC3、のそれぞれ他端に接続している。
【0085】コイルボビンCBは、図7に示すように、
その外周面に4つの給電線収納溝G0、G1、G2、G
3が90°間隔で配設されている。そして、それぞれ符
号の末尾の数字が同じ給電線FC0、FC1、FC2、
FC3が収納されている。
【0086】高周波発生手段HFSは、外部信号源OS
Sを備えていて、外部信号源OSSを操作することによ
って、その出力周波数が可変になっている。
【0087】誘導コイル選択手段F1、F2、F3は、
帯域通過形のフィルタからなり、その通過帯域が互いに
相違している。たとえば、誘導コイル選択手段F1の通
過帯域が1MHz、誘導コイル選択手段F2が2MH
z、誘導コイル選択手段F3が3MHzに設定されてい
る。そして、誘導コイル選択手段F1は、高周波電源H
FSと第1の誘導コイル群IC1との間に直列に介在し
ている。誘導コイル選択手段F2は、同様に第2の誘導
コイル群IC2に接続している。また、誘導コイル選択
手段F3は、同様に第3の誘導コイル群IC3に接続し
ている。
【0088】そうして、高周波電源HFSの高周波出力
電圧が選択手段F1、F3、F2を経由して、静止状態
の誘導コイルIC1、IC2、IC3に選択的に印加さ
れる。すなわち、外部信号源OSSを操作して、高周波
電源HFSの高周波出力の周波数をたとえば10Hzの
低周波で交互に1MHzおよび2MHzにサイクリック
に切り換えると、誘導コイル選択手段F1は、1MHz
を通過させるので、高周波電源HFSが1MHzを出力
しているときには、誘導コイルIC1が時分割的に付勢
される。また、高周波電源HFSが2MHzを出力して
いるときには、誘導IC2と、これらに対向する加熱ロ
ーラHRの加熱領域AおよびBの2次コイルwsとが空
芯トランス結合して、2次コイルwsに2次電流が加熱
ローラHRの周回方向に誘導される。その結果、2次コ
イルwsの抵抗Rがジュール発熱する。その結果、加熱
領域AおよびBは、図8の(2)に示すように、均一に
加熱される。
【0089】これに対して、外部信号源OSSを操作し
て、高周波電源HFSの高周波出力の周波数をたとえば
10Hzの低周波で交互に1MHz、2MHzおよび3
MHzにサイクリックに切り換えると、誘導コイル選択
手段F1、F2、F3がそれぞれの通過周波数の高周波
電力を通過させるので、誘導コイルIC1、IC2およ
びIC3が交互に時分割的に付勢される。その結果、上
記と同様に作用して加熱ローラHRの加熱領域A、Bお
よびCは、図8の(3)に示すように、均一に加熱され
る。
【0090】次に、外部信号源OSSを操作して、高周
波電源HFSの高周波出力の周波数をたとえば2MHz
に切り換えると、誘導コイル選択手段F2のみが高周波
電力を通過させるので、誘導コイルIC2のみが付勢さ
れる。その結果、上記と同様に作用して加熱ローラHR
の加熱領域Bは、図8の(1)に示すように、均一に加
熱される。
【0091】図9および図10は、本発明の誘導加熱ロ
ーラ装置の第3の実施形態を示し、図9は複数の誘導コ
イル、給電線およびコイルボビンを示す斜視図、図10
はコイルボビンおよび給電線の分解斜視図である。本実
施形態は、誘導コイルICがコイルボビンCBの外面に
配設され、一対の給電線FC1、FC2がコイルボビン
CBの内部に収納されている。
【0092】すなわち、コイルボビンCBは、そのボビ
ン構成片CB1、CB2が充実した半円柱状をなしてい
るとともに、それぞれ合わせ目側に給電線収容溝Gを備
えている。また、連通孔HがコイルボビンCBの外周面
と給電線収容溝Gとの間を連絡している。
【0093】給電線FC1、FC2は、ボビン構成片C
B1、CB2が分離した状態のときに、給電線収容溝G
に嵌合し、接続部JCの先端が連通孔Hから外部へ突出
する。
【0094】誘導コイルIC1、IC2、IC3は、コ
イルボビンCBの外周においてコイルボビンCBに支持
され、その両端が給電線FC1、FC2の接続部JCに
接続する。
【0095】図11は、本発明の誘導加熱ローラ装置の
第4の実施形態における複数の誘導コイル、給電線およ
びコイルボビンを示す斜視図である。本実施形態は、隣
接する誘導コイルICの間に絶縁鍔fFをコイルボビン
CBの外周面に一体的に形成している。
【0096】図12および図13は、本発明の画像形成
装置の一実施形態としての複写機を示し、図12は全体
の概念的断面、図130は定着装置の断面図である。各
図において、31は読取装置、32は画像形成手段、3
3は定着装置、34は画像形成装置ケースである。
【0097】読取装置31は、原紙を光学的に読み取っ
て画像信号を形成する。
【0098】画像形成手段32は、画像信号に基づいて
感光ドラム32a上に静電潜像を形成し、この静電潜像
にトナーを付着させて反転画像を形成し、これを紙など
の記録媒体に転写して画像を形成する。
【0099】定着装置33は、図13に示すように、誘
導加熱ローラ装置21、加圧ローラ22および架台25
備えて構成されている。誘導加熱ローラ装置21は、図
1ないし図5に示す誘導加熱ローラ装置の第1の実施形
態を用いている。しかし、図6ないし図11に示す各誘
導加熱ローラ装置を用いることができる。加圧ローラ2
2は、誘導加熱ローラ装置21の加熱ローラHRと圧接
関係を有して配設されており、両者の間に記録媒体23
を狭圧しながら搬送する。なお、記録媒体23は、その
表面にトナー24が付着することにより、画像が形成さ
れる。架台25は、以上の各構成要素(記録媒体23を
除く。)を所定の位置関係に装架している。
【0100】そうして、定着装置は、トナー24が付着
して画像を形成している記録媒体23が誘導加熱ローラ
装置21の加熱ローラHRと加圧ローラ22との間に挿
入されて搬送されるとともに、加熱ローラHRの熱を受
けてトナー24が加熱されて溶融し、熱定着が行われ
る。
【0101】画像形成装置ケース34は、以上の各装置
および手段31ないし33を収納するとともに、搬送装
置、電源装置および制御装置などを備えている。
【0102】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、誘導電流によ
り発熱する加熱ローラと、加熱ローラの内部に軸方向に
分散して配設された複数の誘導コイルと、加熱ローラの
内部においてその軸方向に延在し、かつ、誘導コイルに
接続して複数の誘導コイルに給電する給電線と、軸方向
に分割された複数のボビン構成片を主体として構成され
ていて、誘導コイルおよび給電線の少なくとも一方を内
部に収納して誘導コイルおよび給電線を支持したコイル
ボビンと、誘導コイルに高周波電力を供給する高周波電
源と具備していることにより、加熱ローラを軸方向に均
一に加熱できるとともに、分散して配置された複数の誘
導コイルの間の絶縁が容易で、しかも、所望により加熱
ローラの加熱領域を切り換え可能にする誘導加熱ローラ
装置を提供することができる。
【0103】請求項2の発明によれば、画像形成装置本
体と、請求項1記載の定着装置とを具備していることに
より、請求項1の効果を有する画像形成装置を提供する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の誘導加熱ローラ装置の第1の実施形態
における装置全体の概要を示す回路ブロック図
【図2】同じく加熱ローラの横断面図
【図3】同じく加熱ローラ、誘導コイル、給電線および
コイルボビンを示す縦断面図
【図4】同じく誘導コイルおよびコイルボビンの分解斜
視図
【図5】同じく高周波電源の回路図
【図6】本発明の誘導加熱ローラ装置の第2の実施形態
の全体を示す回路ブロック図
【図7】同じくコイルボビンおよび給電線の横断面図
【図8】同じく誘導コイルの切り換えと加熱ローラの温
度分布の関係を説明する概念図
【図9】本発明の誘導加熱ローラ装置の第3の実施形態
における複数の誘導コイル、給電線およびコイルボビン
を示す斜視念図
【図10】同じくコイルボビンおよび給電線の分解斜視
【図11】本発明の誘導加熱ローラ装置の第4の実施形
態における複数の誘導コイル、給電線およびコイルボビ
ンを示す斜視図
【図12】本発明の画像形成装置の一実施形態としての
複写機の概念的断面図
【図13】同じく定着装置の縦断面図
【符号の説明】
CB…コイルボビン、CB1…ボビン構成片、CB2…
ボビン構成片、HR…加熱ローラ、IC1…誘導コイ
ル、IC2…誘導コイル、IC3…誘導コイル、IC4
…誘導コイル、E…端壁、G1…給電線収容溝、G2…
給電線収容溝、H…連通孔、JC…接続部、R1…コイ
ル収容室、R2…コイル収容室、R3…コイル収容室、
R4…コイル収容室、P…隔壁、RC…導電線条
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 貴章 愛媛県今治市旭町5丁目2番地の1ハリソ ン東芝ライティング株式会社内 (72)発明者 横関 一郎 愛媛県今治市旭町5丁目2番地の1ハリソ ン東芝ライティング株式会社内 (72)発明者 貴家 学 愛媛県今治市旭町5丁目2番地の1ハリソ ン東芝ライティング株式会社内 Fターム(参考) 2H033 AA03 BA25 BA26 BA27 BB18 BB21 BB22 BE06 CA17 CA30 CA45 3K059 AA08 AB28 AD05 CD79

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】後記誘導コイルに磁気結合して誘導電流に
    より発熱する加熱ローラと;加熱ローラの内部に軸方向
    に分散して配設された複数の誘導コイルと;加熱ローラ
    の内部においてその軸方向に延在し、かつ、誘導コイル
    に接続して複数の誘導コイルに給電する給電線と;軸方
    向に分割された複数のボビン構成片を主体として構成さ
    れていて、誘導コイルおよび給電線の少なくとも一方を
    内部に収納して誘導コイルおよび給電線を支持したコイ
    ルボビンと;複数の誘導コイルに高周波電力を供給する
    高周波電源と;を具備していることを特徴とする誘導加
    熱ローラ装置。
  2. 【請求項2】記録媒体にトナー画像を形成する画像形成
    手段を備えた画像形成装置本体と;加圧ローラを備えた
    定着装置本体、ならびに定着装置本体の加圧ローラに加
    熱ローラを圧接関係に対設して両ローラ間にトナー画像
    が形成された記録媒体を挟んで搬送しながらトナー画像
    を定着するように配設された請求項1記載の誘導加熱ロ
    ーラ装置を備え、形成装置本体に配設されて記録媒体の
    トナー画像を定着する定着装置と;を具備していること
    を特徴とする画像形成装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009529469A (ja) * 2006-03-14 2009-08-20 セオク チョイ、キ 携帯型アルミニウムホイルシーリング装置
US7939999B2 (en) 2005-09-01 2011-05-10 Dai Nippon Printing Co., Ltd. Electroluminescence device and functional device
JP2012038473A (ja) * 2010-08-04 2012-02-23 Uchino:Kk 誘導加熱装置及び誘導加熱方法
JP2016024352A (ja) * 2014-07-22 2016-02-08 キヤノン株式会社 熱定着装置およびそれを用いた画像形成装置

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