JP2005092148A - 光走査装置及びカラー画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明の光学系に使用する偏向器は2段に分割されたポリゴンミラーであり、格段のミラーに複数の光束を入射させる。同一ミラーに入射する光束は副走査方向に関して互いに平行ではなく、各々ある角度をなすように設計されている。これにより、副走査方向の入射角を小さくしても光路分離が容易になり、波面収差の劣化によるビームスポット太りの発生を抑えることができる。
【選択図】 図1
Description
(1)複数の感光体に対して、複数の光走査装置を有する方式。
感光体と同数の光走査装置を有し、各光走査装置間の偏向器の同期を取って走査する(特許文献1)。
(2)偏向器の両側より光束を入射し、2方向に光束を振り分けて偏向走査する対向走査方式。
略平行でかつ副走査方向に離れた複数の光束を偏向器に入射し、複数の光束に対応する複数の走査光学素子を副走査方向に並べて走査する(特許文献2)。
(3)偏向器の片側より光束を入射し、1方向に偏向走査する片側走査方式。
偏向器の片側より光束を入射し、3枚構成の走査光学系で、L1、L2は異なる被走査面に向かう複数の光束が通過し、L3は各被走査面毎に設けられている(特許文献3、4及び5等)。
その反面、光走査装置に樹脂製の光学素子が用いられる場合、温度変化により、ガラスに比べ熱膨張係数が大きいため形状変化が大きく発生し、樹脂製光学素子の光学特性が変化する。特に、発熱が大きいポリゴンミラー等の偏向手段により、光学箱内の温度が上昇するとき、ポリゴンミラーが回転し作る気流、光学箱内の形状の違いなどにより、熱は一律に伝達していくことはなく、光学箱内の温度は温度分布を持つ。また、走査レンズにおいても、熱の伝わり方の違い、レンズ形状の違い(光学箱への設置面積の違い)等により、一律な温度変化は生じず、走査レンズの場所による温度差が発生する。
(1)複数の感光体に対して、複数の光走査装置を有する方式。
異なる光走査装置であるため、光学素子の形状ばらつきや温湿度環境が異なるため、各被走査面でビーム位置が相対的にずれ、上記「色ずれ」が発生しやすい。
(2)偏向器の両側より光束を入射し、2方向に光束を振り分けて偏向走査する対向走査方式。
上記(1)に比べ光走査装置が小型化しやすく、コストウェイトの高いポリゴンスキャナーを4色に対して共通に使用できるため低コスト化に有利である。一方、ポリゴンを中心として対向する光学系で、光学素子の形状ばらつきや温湿度環境が異なるため、各被走査面でビーム位置が相対的にずれ、上記「色ずれ」が発生しやすい。
(3)偏向器の片側より光束を入射し、1方向に偏向走査する片側走査方式。
各色(Y、M、C、K)に対応する各光束が、主走査方向に主にパワーを有する走査レンズ(第1レンズ)に共有に透過するため光学素子の形状ばらつきが少なく、且つ温湿度環境も殆ど同じであるため、各色の相対的な主走査方向のビームスポット位置変動(即ち色ずれ)を発生しにくいメリットがある。
・各色(Y、M、C、K)に対応する光束が共用して透過する光学素子は、副走査対応方向のレンズ高さが厚くなるため、各光束に対する面精度ばらつきを補償することが難しくなるため、ビームスポット径の小径化に課題がある。さらに肉厚化に伴い成形時間増大によるコストアップを低減することが課題である。
・各色(Y、M、C、K)に対応する光束が、同一の偏向ミラー面に入射するため、ポリゴンミラーの厚さが厚くなるため、偏向器が大きくなるなど装置が大型化する。更にこれに伴う風損による騒音、消費電力の増加、耐久性劣化が課題である。
・各色(Y、M、C、K)に対応する光束を分離するため、各光束が偏向ミラー面に対して斜め入射の構成としているため、ポリゴンミラーの偏向に伴うビーム光束のスキューのため、波面収差が劣化し易く、ビームスポット小径化に課題がある。更に、像坦持体(感光体)上の走査線曲がりを発生するため、それを補正するための調整が必須となる。
1.光学素子の形状ずれ、及び連続プリント時などの温度変動、温度分布などの外乱が生じた場合においても、各色間の相対的な色ずれを効果的に補正し、色ずれの少ない良好なカラー画像を出力できる光走査装置を提供することを第1の目的とする。
2.ポリゴンミラーの風損による騒音、消費電力、耐久性を向上する高速書き込み対応の光走査装置を提供することを第2の目的とする。
「比較例1」
・図6(a)において、各色(Y、M、C、Bk)に対応する光束は、ポリゴンミラーに対して斜めに入射することにより、厚さの薄いポリゴンミラーが使用でき、風損、消費電力、耐久性に有利な偏向器を実現している。各光束は副走査対応方向でほぼ同一箇所で反射し、ポリゴン厚さは3mmとしている。
・また各色(Y、M、C、Bk)に対応する光束は、長尺ミラーで構成される分離ミラーM1〜M4で光束分離するためポリゴンミラーに対して、大きな入射角度で入射しており、比較例1ではYとBkの成す角度は、約10°となっている。
・以上の比較例1では、ポリゴンミラーへの入射角を大きく採る必要があるため、大きな走査線曲がりを発生する。走査線曲がりは走査レンズL2の副走査方向にシフトするなどの手段によりある程度改善することができる。しかし波面収差の劣化によるビームスポット径太りは改善することが難しく、画像上の濃度むら、階調性の劣化が問題となる。
・図6(b)において、各色(Y、M、C、Bk)に対応する光束は、斜め入射による波面収差の劣化を防ぐため、偏向ミラー面に対して略平行に入射する構成としており、各光束は5mm間隔、ポリゴン厚さは17mmとしている。
・また各色(Y、M、C、Bk)に対応する光束は、走査レンズL1を共用して透過しており、L1に対して略平行で、光束間隔は5mm間隔、L1レンズ高さは20mmとしている。
・上記構成とすることで、長尺ミラーで構成される分離ミラーM1〜M4で、各光束を分離している。
・本比較例では、ポリゴンミラーの厚さが厚くなるため、偏向器が大きくなるなど装置が大型化する。更にこれに伴う風損による騒音、消費電力の増加、耐久性劣化が問題となる。
・さらに、L1レンズの高さが厚くなるため、各光束に対する面精度ばらつきを補償することが難しくなり、ビームスポット径の小径化に課題がある。さらに肉厚化に伴い成形時間増大によるコストアップを低減することが課題である。
図7(a)は光路図を示しており、この光学系は光源(半導体レーザアレイ)701、カップリングレンズ702、アパーチャ703、シリンドリカルレンズ704、カバーガラス705、偏向器706、走査レンズL1 707、走査レンズL2 708及び非走査面709を有する。
偏向器前の光学系のデータを表1に示す。RYは主走査方向曲率半径、RZは副走査方向曲率半径(レンズ中心)、Nは使用波長(655nm)での屈折率、そしてXは、各面が回転多面鏡の回転軸に垂直な面に投影したときの光軸方向(L1光軸方向になる)の距離である。尚、面番号4は共軸非球面である。数値は示さないが、カップリングレンズを射出した波面収差は良好に補正されている。偏向器はA寸18mm、6面のポリゴンミラーである。
Cs(Y)=1/RZ+B1・Y+B2・Y2+B3・Y3+B4・Y4+B5・Y5+・・・
で与えられる。
複数のビーム光束を1つの偏向器で偏向走査し、複数の像坦持体上に結像する走査光学素子を有し、該偏向器は2段に分割されたポリゴンミラーで構成され、それぞれの段の同一ミラー面に、少なくとも2以上の像坦持体に導かれる光束が副走査対応方向に互いに角度を持って入射することを特徴としている。
ここで用いる2段に分割されたポリゴンミラーは6面、内接円半径18mm、ミラー中心間隔は6mm、各段のミラー厚は2mm、全厚さは8mmとしている。また2段のミラー間に4mmの空隙を設け、半径10mm円筒状としている。
・「比較例1」に比べ、副走査方向の入射角を小さくしても光路分離が容易のため(本実施例ではYとM、およびCとBkの成す角度は2°としている)、波面収差の劣化によるビームスポット太りの発生を抑えることができる。
・「比較例2」に比べ、ポリゴンミラー厚が薄くできるとともに、不要な偏向に用いない部分は空隙を設けているため、ポリゴンミラー回転時の風損を低減でき、またスキャナー全体の重心位置を低く設定することができるため、騒音、消費電力の低減、耐久性向上に有利な構成を実現することができる。
1°<β<4°。
ここで、上限の4°を超えると、波面収差の劣化によるビームスポット径太りが無視できず、画像上の濃度むらや階調性の劣化を招く。
また下限の1°を超えると光路分離が難しくなり、経時変動などに伴うLDの出射方向の変動により、分離ミラーで光束が蹴られやすくなり、Y、M、C、Bk間の光量ばらつきによる色味が変動しやすくなる。
したがって、上記範囲内に設定することにより、良好なカラー画像をえることができる。
図1において、MとCに導く光束は、ポリゴンミラーの回転軸に垂直な面に対して、略平行に設定されている。
本構成を採用することにより、YとMおよびCとBkの成す角βが最小に設定できるため、ビームスポット径の劣化を抑えることができる。またポリゴン厚も薄く設定できるため、風損、騒音、耐久性を向上させることができる。
走査レンズL1の出射面の形状以外は上記データと全く同じである。L1の出射面(第2面)は、4段の偏心面で構成され、上記データに対して下式で表されるチルト成分Xtが付加された形状となっている。走査レンズL1の第2面(出射側の面)は
Xt(Y,Z)=(F0+F1・Y+F2・Y2+F3・Y3+F4・Y4+F5・Y5+F6・Y6+・・・)Z
である。係数は表4で与えられる。尚、本実施例において中央像高との倍率差の最も大きい像高での値βh/β0は0.99である。
チルト係数F1、F2、F3…を任意に設定することにより像高に応じてチルト角度を変化させることができる。この構成を有する偏心面を採用することにより以下のメリットがある。
偏心面を設定しただけでは、感光体上(像坦持体上)で大きな走査線曲がり(約0.2〜0.5mm程度)を生じる。この走査線曲がりは副走査方向に主にパワーを有する走査レンズL2のβチルト(副走査方向のチルト)またはZシフト(副走査方向のシフト)により有る程度補正することは可能である。しかし、走査線曲がりは完全にゼロに補正することはできず、Y、M、C、Bk間で約0.02〜0.05mm程度の無視できない副走査方向の色ずれを発生することがある。
そこで本発明は、像高に対応してチルト角度が変化する偏心面を用いることにより、走査線曲がりを原理的には完全にゼロにし、走査線曲がりの発生を抑えることができるため、副走査方向の色ずれを発生しにくい。且つ、波面収差の劣化も非常に小さいため、50μm以下の小径ビームスポットを実現することが可能となる。
本実施例におけるビームスポット径を図2に示す。ビームスポット径も小径化を実現している。グラフ右の枠内に示す数値は像高を示す。
本発明の実施例を図3に示す。
・各色(Y、M、C、Bk)に対応する光束は、走査レンズL1を共用して透過しており、L1レンズ高さは10mmとしている。
・L1の出射面側がY、M、C、Bkの各光束に対応して各偏心面のチルト角は設定され(4段)、チルト角に応じて屈折した光束は、分離ミラーM1〜M4に導かれ、光束を分離することができる。
・このような光束分離を行うことにより、ポリゴンミラー厚が薄くできるため、ポリゴンミラー回転時の風損を低減でき、またスキャナー全体の重心位置を低く設定することができるため、騒音、消費電力の低減、耐久性向上に有利な構成を実現することができる。
・さらに走査レンズの高さも低くすることができるため、成形時の成形時間が短縮化でるため低コストの実現が可能となり、またヒケなどの発生も抑えられるため、高精度の面形状を得ることができる。
本発明によれば、偏向器の片側より光束を入射し、1方向に偏向走査する片側走査方式である。
各色(Y、M、C、Bk)に対応する各光束が、主走査方向に主にパワーを有する走査レンズ(第1レンズ)に共有に透過するため光学素子の形状ばらつきが少なく、且つ温湿度環境も殆ど同じであるため、各色の相対的な主走査方向のビームスポット位置変動(即ち色ずれ)を発生しにくいメリットがある。
光源として用いられる半導体レーザは発光波長:655nmのもので、放射される発散性の光束はカップリングレンズ(焦点距離:15mm)により「実質的な平行光束」に変換され、シリンドリカルレンズ(焦点距離:96mm)の作用により、ポリゴンミラーの偏向反射面の位置に「主走査方向に長い線像」として結像する。
ポリゴンミラーは、偏向反射面数:6で内接円半径:18mmのものである。
また、ポリゴンミラーへは、副走査方向に2°で斜めに入射され、主走査方向においては像高0に向かう光束に対し約60°で入射されている。
カップリングレンズから射出された光束を規制するアパーチャは、主走査方向に6.4mm、副走査方向に0.9mmの矩形アパーチャを用いる。
L1(面番号1、2)は、偏向反射面に平行に配置され(レンズに光束は2°で斜入射される)、L2(面番号3、4)は、レンズの光軸と入射光束を一致させて配置(レンズに光束が斜入射されないように2°傾けて配置されている)している。
・ポリゴンミラーの厚さが厚くなることによって生じる風損による騒音、消費電力の増加、耐久性劣化、及び
・光束を分離するため、各光束が偏向ミラー面に対して斜め入射の構成としていることにより、波面収差の劣化に伴うビームスポット小径化
を実施例1〜7により改善することができる。
まず、装置内の下部側には水平方向に配設されて給紙カセット1から給紙される転写紙(図示せず)を搬送する搬送ベルト2が設けられている。この搬送ベルト2上にはイエローY用の感光体3Y,マゼンタM用の感光体3M,シアンC用の感光体3C及びブラックK用の感光体3Kが上流側から順に等間隔で配設されている。なお、以下、符号に対する添字Y,M,C,Bk(K)を適宜付けて区別するものとする。これらの感光体3Y、3M、3C、3Kは全て同一径に形成されたもので、その周囲には、電子写真プロセスに従いプロセス部材が順に配設されている。感光体3Yを例に採れば、帯電チャージャ4Y、走査結像光学系5Y、現像装置6Y、転写チャージャ7Y、クリーニング装置8Y等が順に配設されている。他の感光体3M、3C、3Kに対しても同様である。即ち、本実施の形態では、感光体3Y、3M、3C、3Kを各色毎に設定された被照射面とするものであり、各々に対して走査結像光学系5Y、5M、5C、5Kが1対1の対応関係で設けられている。
Claims (8)
- 複数のビーム光束を1つの偏向器で偏向走査し、複数の像坦持体上に結像する走査光学素子を有し、該偏向器は2段に分割されたポリゴンミラーで構成され、それぞれの段の同一ミラー面に、少なくとも2以上の像坦持体に導かれる光束を副走査対応方向に互いに角度を持って入射させることを特徴とする光走査装置。
- 前記同一ミラー面に少なくとも2以上の像坦持体に導かれるそれぞれの光束の副走査対応方向になす角βは1°<β<4°を満足することを特徴とする請求項1記載の光走査装置。
- 前記各像坦持体に導かれる光束の内、少なくとも1つの光束は、ポリゴンミラー回転軸に垂直な面に対し0.5度以内の角度で入射することを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
- 前記走査光学素子において、少なくとも1面は副走査対応方向にチルトする偏心面を有することを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
- 前記偏心面は、像高に対応して偏心角度が変化する面形状であることを特徴とする請求項4に記載の光走査装置。
- 透過部と反射部で構成される光束分離器を更に有し、前記各像坦持体に導かれる光束の内、少なくとも1つの光束を該反射部で光路分離することを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
- 前記走査光学素子において、前記各像坦持体に導かれる全ての光束は、最も偏向反射面側に位置する走査光学素子に入射することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに1項に記載の光走査装置。
- 請求項1〜7に記載の光走査装置を用いたことを特徴とするカラー画像形成装置。
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