JP2005089845A - 溶融亜鉛めっき鋼板 - Google Patents

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雅毅 多田
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理孝 櫻井
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Junichi Inagaki
淳一 稲垣
Masaaki Yamashita
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【課題】 溶融亜鉛めっき鋼板を、接着剤を使用して接合するに際し、接着性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板を提供する。
【解決手段】 主としてη相からなる亜鉛めっき層が被覆された溶融亜鉛めっき鋼板において、前記亜鉛めっき層表面のAl23平均濃度とZnO平均濃度の比[Al23/ZnO]が0.03〜0.8であることを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼板。前記溶融亜鉛めっき鋼板は、亜鉛めっき層表面のAl23濃度とZnO濃度の比[Al23/ZnO]が0.06〜0.5である部分の面積率は50%超である。
【選択図】 図1

Description

この発明は、接着性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板に関するものである。
近年、防錆性の向上の観点から、自動車用パネル部品には亜鉛系めっき鋼板、特に溶融亜鉛系めっき鋼板の使用比率が増加している。通常、自動車用パネルに使用される溶融亜鉛系めっき鋼板は、溶接性および塗装性に優れている特性を生かして、溶融亜鉛めっき後に500℃程度に加熱して合金化処理を施した合金化溶融亜鉛めっき鋼板が使用されている。
また、さらなる防錆性の向上を目指し、自動車メーカーでは付着量が50g/m2以上の厚目付けの亜鉛系めっき鋼板に対する要望が強くなりつつあるが、前述した合金化溶融亜鉛めっき鋼板で厚目付け化を実施すると、合金化に長時間を要し、合金化不良いわゆる焼けムラが発生しやすく、逆にめっき層全体で合金化を完了させようとすると、過合金化となり、めっき−鋼板界面で脆いΓ相が生成し、加工時にめっき剥離が発生しやすくなるため、厚目付けの合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造することは非常に困難である。
このため、厚目付け化には合金化処理を施さない溶融亜鉛めっき鋼板が有効である。なお、本明細書では、溶融亜鉛めっき後に合金化処理を施さないめっき鋼板を「溶融亜鉛めっき鋼板」と記載し、溶融亜鉛めっき後に合金化処理を施しためっき鋼板を「合金化溶融亜鉛めっき鋼板」と記載して、両者を区別する。
溶融亜鉛めっき鋼板を使用した自動車車体の組立作業において、従来は互いに重ね合わされた2枚の溶融亜鉛めっき鋼板を接合するために、スポット溶接が行われていたが、近年、耐食性および制振性の付与を目的として、スポット溶接の代わりに接着剤による接合が行われるようになってきた。このような接合のための接着剤として、一般に、次工程の電着塗料焼付け工程において硬化する熱硬化型接着剤などが使用されている。
亜鉛めっき鋼板の接着性を向上させる技術として、例えば、下記(1)〜(4)が提案されている。
(1)特許文献1には、鋼板の表面上に形成された亜鉛めっき層の表面組成(原子濃度)が、[Al]≦18.0%、[Pb]≦0.65%かつ(100[Pb]+[Al])/5[Zn]≦4.0を満足する接着性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板に関する技術が開示されている。
(2)特許文献2には、めっき表面の1〜5nmの極表層に水酸化アルミニウムがそれ以外の化合物に対して、モル分率で10%以上存在することを特徴とする接着接合性にすぐれた溶融亜鉛系めっき鋼板に関する技術が開示されている。
(3)特許文献3には、めっき層中の鉄含有量が7〜20wt%の範囲内で、めっき層の表面粗さRaが1.5μm以下であり、めっき層表面のアルミニウムの原子濃度が30原子%以下である接着性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板に関する技術が開示されている。
(4)特許文献4には、めっき層中の鉄含有量が7〜20wt%の範囲内で、合金化溶融亜鉛めっき層表面の組成が、(a)Al23濃度とZnO濃度の比[Al23/ZnO]が0.85を超える部分と0.85以下の部分とが混在するとともに、Al23の平均濃度が5〜50mol%、ZnOの平均濃度が15〜95mol%であり、(b)Al23の平均濃度とZnOの平均濃度の比[Al23/ZnO]が0.05〜1.5であり、(c)Al23濃度が5〜35mol%で且つZnO濃度が20〜95mol%であって、Al23濃度とZnO濃度の比[Al23/ZnO]が0.05〜0.85である部分のめっき層表面に占める面積率が25〜80%である、接着性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板に関する技術が開示されている。
以下に、先行技術文献情報について記載する。
特開昭63−179055号公報 特開平8−333667号公報 特開平7−316769号公報 特開平10−204600号公報
特許文献1においては、鋼板の亜鉛めっき層上に、凝固時に亜鉛微粉末吹付、水スプレー、リン酸ナトリウム水溶液スプレーを行い、最表面に偏析するAlの量を抑えることで接着性の向上が図られているが、ここで述べられている関係式、すなわち[Al]≦18.0%、[Pb]≦0.65%かつ(100[Pb]+[Al])/5[Zn]≦4.0は、剥離がめっき皮膜内で起こる密着成分を多く含み接着剤自体の強度が高いエポキシ系の強力な接着剤について検討されているが、フードやトランクルームなどに用いられる、密着成分が少ないため、接着剤−めっき界面または接着剤層内で破壊しやすい塩化ビニル系(以下塩ビ系)接着剤やゴム系接着剤では必ずしも強度を改善することはできない。それは、前記ゴム系接着剤等は密着成分が少なくめっき皮膜表面と接着剤表面の化学結合が接着強度に及ぼす影響が大きいため、表面の汚れ、酸化状態、水酸化物の有無に大きく影響されるためである。
特許文献2においては、鋼板の表面上になされた亜鉛めっき層の上の1〜5nmの厚さのAl水酸化物皮膜が形成され、このAl水酸化物皮膜によって、めっき表面の濡れ性を改善し、表面の水酸基が接着剤と水素結合をするためにAl系酸化物の量を抑えることで接着性の向上が図られているが、溶融亜鉛めっき鋼板の場合、めっき表面にはめっき凝固時に生成した強固なAl系酸化皮膜が存在しているため、Al水酸化物皮膜を形成させるためには、アルカリ溶液等でAl系酸化皮膜を除去した上でAl水酸化物皮膜を形成させるプロセスが必要であり製造コストが高くなる。また、Al水酸化物はAl系酸化物に比べて化学的に活性でであり、コイルを高温多湿な環境の倉庫等に長期保管すると、容易にAl水酸化皮膜が成長し5nmを超える膜厚になり、破壊が水酸化物層内で起こるため接着性が低下する。これはAl酸化物が不動態保護膜として働きAlの酸化を抑制するのに対し、Al水酸化物は、活性なためAlとOH-の反応が抑制されず、メタルから水酸化物への反応が進行するためであると考えられる。
特許文献3、4においては、溶融亜鉛めっき鋼板と比べて、表面の凹凸があるため接着層−めっき界面のアンカー効果が期待できる合金化溶融亜鉛めっき鋼板の接着性向上について述べられており、表面状態の異なる溶融亜鉛めっき鋼板には直接に適用することはできない。また、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の表面には、Feが存在しているために、表面の化学状態は、溶融亜鉛めっき鋼板と異なっている。Feは、ZnやAlと比較して、表面電位が低い金属である。合金化溶融亜鉛めっき鋼板では、ZnやAlより表面電位の低いFeが接着面に存在することにより、接着剤との結合力が向上し接着強度が上昇すると考えられる。このように、溶融亜鉛めっき鋼板は、合金化溶融亜鉛めっき鋼板とは、表面の凹凸状態、表面の化学状態が異なるので、特許文献3、4に記載の技術を溶融亜鉛めっき鋼板に直接適用することはできない。
従って、この発明の目的は、上述した問題を解決し、互いに重ね合わされた2枚の溶融亜鉛めっき鋼板を、接着剤を使用して接合するに際し、接着性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板を提供することにある。
溶融亜鉛めっき鋼板を接着剤で接着する場合には、接着強度と共に接着部分の剥離形態が問題となる。接着部分の剥離形態としては、(a)接着剤内部での剥離即ち凝集破壊、(b)接着剤とめっき層界面との間の剥離即ち界面剥離、および、(c)めっき層と鋼板界面との間の剥離の3つの形態が考えられる。塩ビ系およびゴム系接着剤は、接着剤または接着剤/めっき界面の強度がめっき層/鋼板界面の強度より小さいため、めっき層/鋼板界面での破壊は起こることがない。従って、前記(a)の接着剤内部での剥離即ち凝集破壊か、または、前記(b)の接着剤とめっき層界面との間の剥離即ち界面剥離の何れかであり、接着剤内部での凝集破壊強度に比べて、接着剤とめっき層界面との間の剥離強度が低い場合には、(b)の接着剤/めっき界面剥離が生ずる。このような接着剤/めっき界面剥離が起こると、接着強度の低下を引き起こす。
溶融亜鉛めっき鋼板は、合金化溶融亜鉛めっき鋼板に比べて上記界面剥離が発生しやすく、従って接着性が劣る。接着剤の凝集破壊強度は、接着剤自体の性質に左右されるために、接着剤を選定することによって、改善することもできるが、上記界面剥離は、鋼板表面に形成された溶融亜鉛めっき層の性質に左右されるので、めっき層の表面性状自体を改善することが必要になる。
本発明者等は、溶融亜鉛めっき鋼板が冷延鋼板や合金化溶融亜鉛めっき鋼板に比較して接着性が劣る原因について鋭意研究を重ねた。その結果、以下のことを知見した。
溶融亜鉛めっき鋼板表面には、浴中に含まれるAlが表層に濃化したAl系酸化物(Al23)が形成されており、このAl系酸化物と接着剤との結合力、濡れ性および相溶性が低いことから、接着性が劣っている。この接着性を改善するためには、表層のAl酸化物の形成を抑えるか、効果的に除去する必要がある。
更に研究を進めた結果、溶融亜鉛めっき鋼板の接着性は、鋼板の表面粗さ及び表面酸化物の組成におよび分布状態に支配され、溶融亜鉛めっき鋼板表面にAl系酸化物とZn系酸化物を不均一に分布させ、両者を特定の比率で存在させることで良好な接着性が得られること、またAl酸化物の少ない部分の面積率を規定することでより良好な接着性が得られることを知見した。
この発明は、上記知見に基づいてさらに研究を進めた結果なされたものであって、この発明の要旨は以下の通りである。
(1)主としてη相からなる亜鉛めっき層が被覆された溶融亜鉛めっき鋼板において、前記亜鉛めっき層表面のAl23平均濃度とZnO平均濃度の比[Al23/ZnO]が0.03〜0.8であることを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼板。
(2)亜鉛めっき層表面のAl23濃度とZnO濃度の比[Al23/ZnO]が0.06〜0.5である部分の面積率は50%超であることを特徴とする(1)に記載の溶融亜鉛めっき鋼板。
(3)前記亜鉛めっき層表面のAl23濃度とZnO濃度の比[Al23/ZnO]が0.06〜0.5である部分は、粒径30〜100μmの島状に分布していることを特徴とする(1)又は(2)に記載の溶融亜鉛めっき鋼板。
本発明によれば、互いに重ね合わされた2枚の溶融亜鉛めっき鋼板を、接着剤を使用して接合するに際し、十分な接着性を確保することができる。
本発明において、溶融亜鉛めっき鋼板とは、鋼板に溶融亜鉛めっきを施して、鋼板の少なくとも1つの表面上に溶融亜鉛めっき層(主としてη相からなる亜鉛めっき層)が形成された鋼板である。なお、めっき層中には、めっき密着性確保のためにAlが添加され、さらに耐食性その他の性能の向上のために、Mg、Mn、Ti、Si、Sb、Bi、Pb等の元素が添加されていてもよい。
溶融亜鉛めっき鋼板は、鋼板を、めっき密着性を確保するためにめっき浴中にAlが添加された溶融亜鉛めっき浴に浸漬して製造される。この添加されたAlが、めっき皮膜凝固の際に、めっき層の最表面に偏析しそして酸化する。その結果、めっき層表面はAl酸化物(Al23)によって覆われ、このAl酸化物のために、接着性が低下する。
本発明では、主としてη相からなる亜鉛めっき層が被覆された溶融亜鉛めっき鋼板において、亜鉛めっき層表面のAl23平均濃度とZnO平均濃度の比[Al23/ZnO]を0.03〜0.8に限定する。前記[Al23/ZnO]が前記範囲を外れると接着剤とめっき層界面との間の接着力を向上させることができない。
本発明では、さらに、亜鉛めっき層表面のAl23濃度とZnO濃度の比[Al23/ZnO]が0.06〜0.5である部分の面積率を50%超とすることを規定する。溶融亜鉛めっき層表面は、Al23濃度とZnO濃度の比[Al23/ZnO]が高い部分と低い部分とが混在している。[Al23/ZnO]が高い部分はAl23濃度が高い部分であり、[Al23/ZnO]が低い部分はAl23濃度が低い部分であるので、亜鉛めっき層表面では、Al23は濃度分布が不均一に存在している。Al23濃度が低い部分の面積率を規定すること、具体的には、[Al23/ZnO]が0.06〜0.5である部分の面積率を50%超とすることで接着性向上効果がより優れる。
このように溶融亜鉛めっき層表面におけるAl23の存在により接着性が低下し、一方においてZnOの存在により接着性が向上する理由は必ずしも明らかでないが、合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき層表面上に生成する鉄酸化物と異なり、接着剤/めっき層界面の水素結合力や分子間力等の化学結合力が大きく影響するためと考えられる。
また、前記亜鉛めっき層表面のAl23濃度とZnO濃度の比[Al23/ZnO]が0.06〜0.5である部分を島状に分布させるとともに、その粒径を30〜100μmの範囲内とすることで、更に優れた接着力向上効果が得られる。
ここで、亜鉛めっき層表面のAl23濃度とZnO濃度の比[Al23/ZnO]が0.06〜0.5である部分が島状に分布とは、
(1)Al23濃度とZnO濃度の比[Al23/ZnO]が0.06〜0.5である部分が互いに離間した島状に存在し、Al23濃度とZnO濃度の比[Al23/ZnO]が0.06未満の部分及び/又は0.5超の部分は、Al23濃度とZnO濃度の比[Al23/ZnO]が0.06〜0.5である部分を囲むように存在していること、
あるいは、(2)Al23濃度とZnO濃度の比[Al23/ZnO]が0.06未満の部分及び/又は0.5超の部分が互いに離間した島状に存在し、Al23濃度とZnO濃度の比[Al23/ZnO]が0.06〜0.5である部分は、前記Al23濃度とZnO濃度の比[Al23/ZnO]が0.06未満の部分及び/又は0.5超の部分を囲むように存在していること、
あるいは、前記(1)と(2)が混在して存在していること、を指している。
接着性の優れるAl23濃度とZnO濃度の比[Al23/ZnO]が0.06〜0.5である部分が粒径30〜100μmの島状に存在することで、より優れた接着性向上効果が得られる。
ここで、粒径は以下のようにして求める。すなわち、EPMA(電子線マイクロアナライザ)を用いて、1mm×1mmの領域について、AlおよびZnの面方向における強度を測定し、元素マッピングを行なう。その後、[Al23/ZnO]が0.06〜0.5である部分について、面積率の測定を行なう。1mm×1mmの領域について、面積率をかけて得られた面積Sおよび島状部分の数Nを計測し、下式より粒径Dを求める。
D=2×{S/(πN)}1/2
溶融亜鉛めっき鋼板のめっき層の表面に凹凸が存在しているが、めっき層は溶融金属の凝固組織であるため、その表面粗さは、合金化溶融亜鉛めっき鋼板に比べて小さくなり、実質的な接着面積が減少する結果、接着性が劣るようになる。係る観点からは、表面粗さが大きい方が接着性には有利であり、亜鉛溶融めっき層の表面粗さRa(中心線平均粗さ)を0.1μm以上2.0μm以下とすることが好ましい。表面粗さRaの上限を2.0μmに規定するのは、2.0μm超ではめっき表面が粗すぎて、塗装後の鮮映性が確保されないためである。また、表面粗さ(Ra)が0.4μm未満では、表面粗さが低すぎて、せん断ラインにおいて鋼板がスリップする等のハンドリング問題が生ずるため好ましくない。従って、表面粗さRaのより好ましい範囲は、0.4〜2.0μmである。
次に、本発明の溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法について説明する。
本発明の溶融亜鉛めっき鋼板は、鋼板をAlが添加された溶融亜鉛めっき浴に浸漬して製造される。めっき密着性を確保するために、めっき浴中には0.05〜0.3質量%程度のAlが添加される。この添加されたAlが、めっき皮膜凝固の際に、めっき層の最表面に偏析して酸化され、その結果、めっき層表面はAl酸化物(Al23)によって覆われる。
接着性を向上するには、めっき層表層のAl酸化物の形成を抑えるか、形成されたAl酸化物を除去する必要がある。めっき層表層に形成されたAl酸化物を効果的に除去するには、調質圧延などによる機械的皮膜の破壊による除去や、アルカリ処理により化学的に酸化物層を破壊・溶解する方法がある。めっき層表面におけるAl酸化物を不均一に存在させ、またAl酸化物濃度の低い部分を島状に存在させるためには、調質圧延後にアルカリ処理を行う方法が好適である。
溶融亜鉛めっき層が形成された鋼板を調質圧延し、めっき層表面のAl酸化物皮膜を破壊するとともに、めっき層の表面粗さ(Ra)を0.1μm以上2.0μm以下に調整する。めっき層の表面粗さを前記範囲にするには、表面粗さRaが5.0μm以下の適宜粗さの圧延ロールを使用し、伸長率0.4〜2.0%で調質圧延すればよい。調質圧延の伸長率が0.4%未満では、表面の平坦化効果が不十分で、溶融亜鉛めっき層の表面粗さRaを2.0μm以下にすることができない。伸長率が2.0%を超えると材質上の問題が生ずるおそれがある。伸長率のより好ましい範囲は、0.5〜2.0%である。
次いで、調質圧延された溶融亜鉛めっき鋼板を、pHが11以上のアルカリ溶液に1.0〜30秒間接触させる。前記条件のアルカリ溶液との接触によって、めっき層表面に存在するAl酸化物が溶解する結果、溶融亜鉛めっき層表面のAl23平均濃度とZnO平均濃度の比[Al23/ZnO]を0.03〜0.8、Al23濃度とZnO濃度の比[Al23/ZnO]が0.06〜0.5である部分の面積率を50%超、Al23濃度とZnO濃度の比[Al23/ZnO]が0.06〜0.5である部分を粒径30〜100μmの島状に分布させることができ、接着性が実用上問題のないレベルまで改善される。
アルカリ溶液のpHは11以上であることが必要である。pHが11未満では、Al酸化物が溶解せず、めっき層表面のAl酸化物の存在形態を前記本発明で規定する範囲内にすることができず、接着性の向上効果が得られない。アルカリ溶液との接触時間は、1.0〜30秒間であることが必要である。アルカリ溶液との接触時間が1.0秒未満では、Al酸化物が十分に溶解せず、めっき層表面のAl酸化物の存在形態を前記本発明で規定する範囲内にすることができず、接着性の向上効果が得られない。一方、アルカリ溶液との接触時間が30秒を超えると、亜鉛めっき層の溶出量がめっき皮膜の重量の1/10以上になり経済的ではない。
アルカリ溶液としては、一般に、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化リチウム、オルソケイ酸ナトリウム等の水溶液が使用される。また、鋼板との接触方法は、浸漬法、スプレー法等が用いられる。
次に、この発明を実施例に基づいて説明する。板厚0.8mmの低炭素アルミキルド鋼板に対し、溶融亜鉛めっきラインにおいて下記条件で溶融亜鉛めっきを施して、めっき付着量が70〜90g/m2(片面あたり)の溶融亜鉛めっき鋼板を調製した。
(1)めっき浴の成分組成:アルミニウム:0.1〜0.2質量%、亜鉛:残部。
(2)めっき浴の温度:460℃
次いで、亜鉛めっき鋼板に伸長率0.5〜2.0%で調質圧延を行った後、水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬するアルカリ処理を行った。めっき層の表面粗さは圧延ロールの粗さを調整することで調整した。アルカリ処理条件を変えることでめっき層表面のAl23濃度、ZnO濃度、前記酸化物の分布状態を調整した。本実施例の供試体No.1〜10のアルカリ処理条件を表1に示す。
このようにして調製された供試体の各々について、表面粗さ、表面Al23濃度、ZnO濃度、Al23、ZnOの分布状態、接着性を、以下に述べる条件によって調査した。調査結果を表1および表2に示す。
(1)表面粗さ(Ra)
測定長さ:2.5mm、カットオフ:0.8mm
(2)めっき層表面のAl23濃度およびZnO濃度の測定
AES(オージェ電子分光法)により、表面に付着した汚染層をArイオンによって0.5分のスパッタリングで除去した後、測定すべき各元素のスペクトルを測定した。測定されたAlのスペクトルを酸化物として存在するAlの成分と金属として存在するAlの成分とにピーク分離し、同様に、測定されたZnのスペクトルを酸化物として存在するZnの成分と金属として存在するZnの成分とにピーク分離した。これらスペクトルの強度について相対感度因子補正を行なった後、僅かに見られたスパッタに起因するArを除いて、めっき層表面でのAl23とZnOの濃度を求めた。なお、スパッタ速度の標準試料としてはSiO2薄膜を用い、そのスパッタ速度は4.5nm/minであった。
また、AESを用いて、めっき層表面の酸化膜の膜厚を測定した。具体的には、1mm×1mmの視野内で任意の10点について測定して、その平均値を酸化膜厚とした。各点の測定領域は25μm2となるように、加速電圧5kvでビーム径を調整して測定を行なった。Oの含有率はある深さで最大となった後、減少して一定となる。O含有率が、最大値より深い位置で、最大値と一定値の和の1/2となる深さを酸化膜の厚さとした。
(3)接着性
接着剤として、エポキシ系接着剤、塩ビ系接着剤、ゴム系接着剤を使用し、下記の条件A又は条件B又は条件Cで引張り試験を行い、接着強度(剥離強度又は剪断強度)を測定するとともに、剥離界面の観察を行った。塩ビ系接着剤は条件A、ゴム系接着剤は条件B、エポキシ系接着剤は条件Cで評価した。
(3.1)接着強度
(条件A)
図1に示すように、200×25mmのサイズの2枚の供試体1の間に、0.15mmφのスペーサ2を介して、接着剤3の厚さが0.15mmとなるように試験体を調製し、160℃の温度で10分間焼付けを行った。次いで、引張り試験機を使用し、上記試験体を200mm/minの速度で矢印の方向に引張り、剥離時の平均剥離強度を測定した。
剥離強度(平均剥離強度)の測定値に応じて、剥離強度を以下のように評価した。
◎:11.0kgf/25mm以上
○:10.0〜10.9kgf/25mm
△:8.5〜9.9kgf/25mm
×:8.4kgf/25mm以下
(条件B)
図2に示すように、100×25mmのサイズの2枚の供試体1の間に接着剤3の厚さが1mm、接着部分の長さが25mmとなるように試験体を調製し、170℃の温度で20分間焼付けを行った。次いで、引張り試験機を使用し、上記試験体を50mm/minの速度で矢印の方向に引張り、剥離時の剪断強度を測定した。
剪断強度の測定値に応じて、以下のように評価した。
◎:0.28MPa以上
○:0.24〜0.27MPa
△:0.22〜0.23MPa
×:0.21MPa以下
(条件C)
図3に示すように、100×25mmのサイズの2枚の供試体1の間に0.15mmφのスペーサ2を介して接着剤3の厚さが0.15mm、接着部分の長さが10mmとなるように試験体を調製し、160℃の温度で10分間焼付けを行った。次いで、引張り試験機を使用し、上記試験体を5mm/minの速度で矢印の方向に引張り、剥離時の剪断強度を測定した。
剪断強度の測定値に応じて、以下のように評価した。
◎:16.0MPa以上
○:14.7〜15.9MPa
△:13.4〜14.6MPa
×:13.3MPa以下
さらに、条件A〜条件Cのうちで最も劣る評価を総合評価とした。
(3.2)剥離界面の観察
剥離界面を観察し、剥離形態に応じて以下のように評価した。
◎:接着剤の凝集破壊部の面積比率が100%
○:接着剤の凝集破壊部の面積比率比率(a)が50〜99%、接着剤/めっき界面破壊部の面積比率(b)が1〜50%。但し、a+b=100%。
△:接着剤の凝集破壊部の面積比率(a)が1〜49%、接着剤/めっき界面破壊部の面積比率(b)が51〜99%。但し、a+b=100%。
×:接着剤/めっき界面破壊部の面積比率が100%
Figure 2005089845
Figure 2005089845
本発明範囲を外れる比較例の試料は、剥離強度の総合評価は×であり、接着性に劣る。特に、塩ビ系接着剤、ゴム系接着剤においては、剥離は、全面が接着剤−めっき界面、または剥離界面の半分以上(面積比)が接着剤−めっき界面で起こり、剥離強度の評価は×〜△であり、接着性に劣る。
これに対して、本発明範囲を満足する発明例の試料は、剥離強度の総合評価は○〜◎であり、接着性に優れる。特に、塩ビ系接着剤、ゴム系接着剤においては、接着剤−めっき界面の接着性が改善されているので、剥離形態は、いずれも接着剤の凝集破壊であり、剥離強度の評価は○〜◎であり、比較例の試料に比べて、剥離強度が高く、接着性に優れる。
本発明の溶融亜鉛めっき鋼板は、自動車用パネル部品等の用途において、溶融亜鉛めっき鋼板同士を接着剤で接合して使用する用途、または溶融亜鉛めっき鋼板を他の鋼板等に接合して使用する用途に利用できる。
接着強度測定用の試験体(条件A)の概略斜視図である。 接着強度測定用の試験体(条件B)の概略図で、(a)は断面図、(b)は平面図である。 接着強度測定用の試験体(条件C)の概略図で、(a)は断面図、(b)は平面図である。
符号の説明
1 供試体
2 スペーサ
3 接着剤

Claims (3)

  1. 主としてη相からなる亜鉛めっき層が被覆された溶融亜鉛めっき鋼板において、前記亜鉛めっき層表面のAl23平均濃度とZnO平均濃度の比[Al23/ZnO]が0.03〜0.8であることを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼板。
  2. 亜鉛めっき層表面のAl23濃度とZnO濃度の比[Al23/ZnO]が0.06〜0.5である部分の面積率は50%超であることを特徴とする請求項1に記載の溶融亜鉛めっき鋼板。
  3. 前記亜鉛めっき層表面のAl23濃度とZnO濃度の比[Al23/ZnO]が0.06〜0.5である部分は、粒径30〜100μmの島状に分布していることを特徴とする請求項1又は2に記載の溶融亜鉛めっき鋼板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011149084A (ja) * 2010-01-25 2011-08-04 Nippon Steel Corp 昇温特性に優れた熱間プレス用Alめっき鋼板及びその製造方法
JP2015071810A (ja) * 2013-10-03 2015-04-16 新日鐵住金株式会社 ホットスタンプ鋼材の製造方法、ホットスタンプ用鋼板の製造方法及びホットスタンプ用鋼板
CN113025937A (zh) * 2021-02-07 2021-06-25 首钢集团有限公司 一种热浸镀锌钢板及其制备方法

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